(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
及びaは、本明細書中に定義されるとおりである)。式(I)の化合物及びその塩は、ブロモドメイン含有タンパク質のBETファミリーの、例えばアセチル化リジン残基に対する結合を阻害することが見出されており、従って、例えば、自己免疫性疾患及び炎症性疾患(例えば関節リウマチ);並びに癌の治療における療法での用途を有し得る。
自己免疫性疾患若しくは炎症性疾患又は癌の治療方法であって、治療有効量の請求項1〜37のいずれか1項に定義される化合物又は塩を、それを必要とするヒト対象に対して投与することを含む、前記方法。
関節リウマチの治療方法であって、治療有効量の請求項1〜37のいずれか1項に定義される化合物又は塩を、それを必要とするヒト対象に対して投与することを含む、前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書で使用する場合、「ブロモドメイン」という用語は、アセチル化リジン残基、例えば、ヒストンのN末端尾部のものなどに結合する、進化的、且つ構造的に保存されたモジュール(長さがおよそ110個のアミノ酸)を指す。それらは、より遥かに大きいブロモドメイン含有タンパク質(BCP)の一部として確認されているタンパク質ドメインであり、これらの多くは、遺伝子転写及び/又はクロマチン再構成を調節する役割を有する。ヒトゲノムは、少なくとも57種のブロモドメインをコードしている。
【0014】
本明細書で使用する場合、「BET」という用語は、ブロモドメイン含有タンパク質からなる、ブロモドメイン及び特異的末端ドメイン(extraterminal domain)ファミリーを指し、これらのタンパク質としては、BRD2、BRD3、BRD4、及びBRDTが挙げられる。
【0015】
本明細書で使用する場合、「BET阻害剤」という用語は、1種以上のBETファミリーのブロモドメイン含有タンパク質(例えば、BRD2、BRD3、BRD4、又はBRDT)の、例えばアセチル化リジン残基に対する結合を阻害することができる化合物を指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、特定された数の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素鎖を指す。例えば、C
1-6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。別途明言されない限り、アルキル基は非置換である。「アルキル」という用語には、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチル)、ペンチル、並びにヘキシルが含まれる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「アルキレン」という用語は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素鎖から誘導される二価の基(例えば、1〜3個の炭素原子のもの(C
1-3アルキレン))を指す。アルキレンの例として、-CH
2-、-CH
2CH
2-、及び-CH
2CH
2CH
2-が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、-O-アルキル基を指し、ここで「アルキル」は、上記に定義されている。
【0019】
本明細書で使用する場合、「C
3-7シクロアルキル」という用語は、3個(シクロプロピル)、4個(シクロブチル)、5個(シクロペンチル)、6個(シクロヘキシル)、又は7個(シクロヘプチル)の炭素原子を有する飽和の単環式の炭化水素環を指す。
【0020】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、飽和又は不飽和の、単環式又は二環式の3〜7員環を指し、この環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個又は2個の非炭素原子を含まなければならない。ヘテロシクロアルキル基は、1個以上のC(O)、S(O)、又はSO
2基を含んでもよい。しかしながら、ヘテロシクロアルキル基は、芳香族ではない。2個以上のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル基は、異なるヘテロ原子を含んでもよい。「5員又は6員ヘテロシクロアルキル」は、飽和又は不飽和の、単環式の5員又は6員環を指し、この環は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個又は2個の非炭素原子を含まなければならない。ヘテロシクロアルキルとしては、限定されるものではないが、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロ-2H-ピラン、モルホリン、モルホリン-3-オン、ピペリジン-2-オン、ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、チオモルホリン、及びチオモルホリン1,1-ジオキシドが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、単環式又は二環式の炭化水素芳香族ラジカルを指す。アリールとしては、例えばフェニル及びナフチルが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、S、N、及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、単環式又は二環式の芳香族ラジカルを指す。本発明において有用なヘテロアリールの例証的例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる。フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフリル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾチエニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、インダゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、トリアゾロピリジニル、プリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、1,5-ナフチリジニル、1,6-ナフチリジニル、1,7-ナフチリジニル、1,8-ナフチリジニル、及びプテリジニル。
【0024】
本明細書で使用する場合、「場合により置換されている」という語句は、ある基が、非置換であってもよく、或いは本明細書に定義されるような1個以上の置換基で置換されていてもよいことを示す。基に関連した「置換されている」は、基の内部のメンバー原子に結合する水素原子が、定義された置換基のうちの1つによって置き換えられていることを示す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、主題化合物の所望される生物学的活性を保持し、且つ最小限の望ましくない毒物学的影響を示す塩を指す。これらの薬学的に許容される塩は、化合物の最終的単離及び精製中にその場で調製されてもよく、或いはその遊離酸形態又は遊離塩基形態の精製化合物を、それぞれ、好適な塩基又は酸と別個に反応させることによって調製されてもよい。さらに、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、遊離酸形態又は遊離塩基形態のさらなる処理中に、例えば、医薬製剤へと製造中にその場で調製されてもよい。
【0026】
本明細書で使用する場合、「治療」という用語は、病態の予防、特定された病態の寛解又は安定化、病態の症状の低減又は除去、病態の進行の速度を落とすこと又はその除去、及び以前罹患していた患者又は対象における病態の再発の防止又は遅延を指す。一実施形態において、治療は、特定された病態の寛解若しくは安定化、病態の症状の低減若しくは除去、又は病態の進行の速度を落とすこと若しくはその除去を指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という用語は、動物又はヒトの身体において所望の生物学的応答を誘発する、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の量を指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、動物又はヒトの身体を指す。
【0029】
本明細書における「本発明の化合物(1種又は複数種)」への言及は、遊離塩基としての、或いは塩、例えば薬学的に許容される塩としての、式(I)の化合物を意味することが理解されるべきである。
【0030】
発明の陳述
第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその塩:
【0031】
【化3】
(式中、
R
1は、
【化4】
を表し、
R
2は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又は-CHR
5(CH
2)
cR
6であり;
各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、-NO
2、-CONR
7R
8、-NR
7COR
8、-OCOR
8、-CO
2R
8、-SO
2NR
7R
8、-NR
7SO
2R
8、-SO
2R
8、-R
8、-NR
7R
8、及び-OR
8からなる群から独立して選択され、但しaが2である場合、1つのR
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から選択され;
R
4aは、水素、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-CN、-OH、又は-NR
9R
10であり;
R
4bは、水素又はC
1-3アルキルであり;
各R
4cは、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-CN、-OH、及び-NR
9R
10からなる群から独立して選択され;
R
5は、水素、C
1-3アルキル、又は-(CH
2)
dOR
11であり;
R
6は、水素、C
1-3アルキル、-(CH
2)
dOR
11、C
3-7シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり、ここで上記C
1-3アルキル、-(CH
2)
dOR
11、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基は、場合により、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-CH
2OH、-COOH、及び-COCH
3からなる群から独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよく;
R
7は水素若しくはC
1-3アルキルであり、且つR
8は-Y-Zであるか、又はR
3が-CONR
7R
8である場合、R
7及びR
8は、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロシクロアルキルを形成していてもよく、ここで上記ヘテロシクロアルキル基は、場合により、C
1-3アルキル、ハロゲン、-NH
2、-CH
2NH
2、-CO
2H、-OH、-CN、及び-CH
2OHから独立して選択される1個又は2個の基で置換されていてもよく;
Yは、結合又はC
1-3アルキレンであり、ここで上記C
1-3アルキレン基は、場合により、C
1-3アルキルから独立して選択される1個又は2個の基で置換されていてもよく;
Zは、水素、C
1-3アルキル、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-SO
2NR
12R
13、-NR
12SO
2R
13、-SO
2R
12、又は-NR
12R
13であり、ここでC
1-3アルキル、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、場合により、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-NH
2、-CH
2NH
2、-CO
2H、-OH、-CN、及び-CH
2OHから独立して選択される1個又は2個の基で置換されていてもよく;
各R
9は、水素又はCH
3から独立して選択され;
各R
10は、水素又はC
1-3アルキルから独立して選択され;
R
11は、水素又はC
1-3アルキルであり;
R
12は、水素又はC
1-3アルキルであり;
R
13は、水素又はC
1-3アルキルであり;
aは、0、1又は2を表し;
bは、0、1又は2を表し;
各c及びdは、独立して、0又は1を表す)
を提供する。
【0032】
一実施形態において、本発明は、式(Ia)〜(Ie)の化合物、又はそれらの塩:
【0033】
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義されるとおりである)
を提供する。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ia)、(Ic)又は(Ie)の化合物、又はそれらの塩:
【0035】
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義されるとおりである)
を提供する。
【0036】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物、又はその塩:
【0037】
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義されるとおりである)
を提供する。
【0038】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、又はその塩:
【0040】
【化9】
を表し、
R
2は、水素、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又は-CHR
5(CH
2)
cR
6であり;
各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、-NO
2、-CONR
7R
8、-NR
7COR
8、-OCOR
8、-CO
2R
8、-SO
2NR
7R
8、-NR
7SO
2R
8、-SO
2R
8、-R
8、-NR
7R
8、及び-OR
8からなる群から独立して選択され、但しaが2である場合、1つのR
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシからなる群から選択され;
R
4aは、水素、CH
3又はOCH
3であり;
R
5は、水素、C
1-3アルキル、又は-(CH
2)
dOR
11であり;
R
6は、水素、C
1-3アルキル、-(CH
2)
dOR
11、C
3-7シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであり、ここで上記C
1-3アルキル、-(CH
2)
dOR
11、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基は、場合により、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-CH
2OH、-COOH、及び-COCH
3からなる群から独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよく;
R
7は水素若しくはC
1-3アルキルであり、且つR
8は-Y-Zであるか、又はR
3が-CONR
7R
8である場合、R
7及びR
8は
、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロシクロアルキルを形成していてもよく、ここで上記ヘテロシクロアルキル基は、場合により、C
1-3アルキル、ハロゲン、-NH
2、-CH
2NH
2、-CO
2H、-OH、-CN、及び-CH
2OHから独立して選択される1個又は2個の基で置換されていてもよく;
Yは、結合又はC
1-3アルキレンであり、ここで上記C
1-3アルキレン基は、場合により、C
1-3アルキルから独立して選択される1個又は2個の基で置換されていてもよく;
Zは、水素、C
1-3アルキル、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-SO
2NR
12R
13、-NR
12SO
2R
13、-SO
2R
12、又は-NR
12R
13であり、ここでC
1-3アルキル、C
3-7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、場合により、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-NH
2、-CH
2NH
2、-CO
2H、-OH、-CN、及び-CH
2OHから独立して選択される1個又は2個の基で置換されていてもよく;
R
11は、水素又はC
1-3アルキルであり;
R
12は、水素又はC
1-3アルキルであり;
R
13は、水素又はC
1-3アルキルであり;
aは、0、1又は2を表し;
各c及びdは、独立して、0又は1を表す)
を提供する。
【0045】
さらなる実施形態において、R
2は、水素又はC
1-6アルキルである。
【0046】
さらなる実施形態において、R
2は、ヘテロシクロアルキルである。
【0047】
さらなる実施形態において、R
2は、基-CHR
5(CH
2)
cR
6を表す。
【0048】
さらなる実施形態において、R
5は、水素である。
【0049】
さらなる実施形態において、R
5は、-(CH
2)
dOR
11である。
【0050】
さらなる実施形態において、R
6は、ヘテロシクロアルキルである。
【0051】
さらなる実施形態において、R
6は、以下:
【0052】
【化12】
からなる群から選択される。
【0055】
さらなる実施形態において、cは0である。
【0056】
さらなる実施形態において、R
2は、以下:
【0057】
【化14】
(式中、Raは水素又はC
1-3アルキルであり;eは、0又は1である)
からなる群から選択される。
【0058】
さらなる実施形態において、R
2は-CHR
5(CH
2)
cR
6であり、R
5は-(CH
2)
dOR
11であり、bは0であり、R
6は-(CH
2)
dOR
11である。
【0059】
さらなる実施形態において、R
5及びR
6はいずれも-CH
2OCH
3を表す。
【0060】
さらなる実施形態において、R
4aは、水素、CH
3又は-OCH
3である。
【0061】
さらなる実施形態において、R
4aは、CH
3又は-OCH
3である。
【0062】
さらなる実施形態において、R
4aはCH
3である。
【0063】
さらなる実施形態において、R
4bはC
1-3アルキルである。
【0064】
さらなる実施形態において、R
4bはCH
3である。
【0065】
さらなる実施形態において、bは0である。
【0066】
さらなる実施形態において、R
4aは、水素、CH
3又は-OCH
3であり、R
4bはCH
3であり、bは0である。
【0067】
さらなる実施形態において、aは0である。
【0068】
さらなる実施形態において、aは1であり、R
3は
、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から選択される。
【0069】
さらなる実施形態において、R
3はハロゲンである。
【0070】
さらなる実施形態において、R
3はクロロである。
【0071】
さらなる実施形態において、R
3はイミダゾール環の4位にある。
【0072】
さらなる実施形態において、aは2であり、各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0073】
さらなる実施形態において、各R
3は、クロロ、ブロモ、CH
3、及び-CNからなる群から独立して選択される。
【0074】
一実施形態において、本発明は、以下の化合物:
5-(1-(オキシラン-2-イルメチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(5-(アゼチジン-3-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(5-ヒドロキシ-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(5-ヒドロキシ-4-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-エチル-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メチルピリジン-2(1H)-オン;
1-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸;
3-メチル-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-エチル-1H-イミダゾール-2-イル)-3-メチルピリジン-2(1H)-オン;
3-メチル-5-(1-プロピル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
3-メチル-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;及び
5-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン
を除く、式(I)の化合物を提供する。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物、又はその塩:
【0076】
【化15】
(式中、
R
2は、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ヘテロシクロアルキル又は-CHR
5(CH
2)
cR
6であり;
各R
3は、ハロゲン、-CN、及びC
1-3アルキルからなる群から独立して選択され;
R
4aは、水素、CH
3又はOCH
3であり;
R
5は、水素、C
1-3アルキル、又は-(CH
2)
dOR
11であり;
R
6は、水素、C
1-3アルキル、-(CH
2)
dOR
11、又はヘテロシクロアルキルであり、ここで上記C
1-3アルキル、-(CH
2)
dOR
11、及びヘテロシクロアルキル基は、場合により、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロゲン、-CH
2OH、-COOH、及び-COCH
3からなる群から独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよく;
R
11は、水素又はC
1-3アルキルであり;
aは、0、1又は2を表し;
cは、0又は1であり;
各dは、独立して、0又は1を表す)
を提供する。
【0077】
一実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0078】
【化16】
(式中、
R
2は、基-CHR
5(CH
2)
cR
6を表し;
各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択され;
R
4aは、CH
3又は-OCH
3であり;
R
5は、水素又はC
1-3アルキルであり;
R
6は、ヘテロシクロアルキルであり;
aは、0、1又は2であり;
cは、0又は1である)。
を提供する。
【0079】
一実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0080】
【化17】
(式中、
R
2は、基-CHR
5(CH
2)
cR
6を表し;
各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択され;
R
4aは、CH
3又は-OCH
3であり;
R
5は、水素又はC
1-3アルキルであり;
R
6は、以下:
【0081】
【化18】
からなる群から選択され、
aは、0、1又は2であり;
cは、0又は1である)
を提供する。
【0082】
一実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0083】
【化19】
(式中、
R
2は、以下:
【0084】
【化20】
(式中、Raは、水素又はC
1-3アルキルであり;eは、0又は1である)
からなる群から選択され、
各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択され;
R
4aは、CH
3又は-OCH
3であり;
aは、0、1又は2である)
を提供する。
【0085】
一実施形態において、本発明は、式(Ib)の化合物:
【0086】
【化21】
(式中、
R
2は、以下:
【0087】
【化22】
(式中、Raは、水素又はC
1-3アルキルであり;eは、0又は1である)
からなる群から選択され、
R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から選択され;
aは1である)
を提供する。
【0088】
一実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0089】
【化23】
(式中、
R
2は、基-CHR
5(CH
2)
cR
6を表し;
各R
3は、ハロゲン、-CN、C
1-3アルキル、及びC
1-3アルコキシからなる群から独立して選択され;
R
4は、CH
3又は-OCH
3であり;
R
5は、-(CH
2)
dOR
11であり;
R
6は、-(CH
2)
dOR
11であり;
各R
11は、独立してC
1-3アルキルを表し;
aは、0、1又は2であり;
cは0であり;
dは、0又は1である)
を提供する。
【0090】
一実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0091】
【化24】
(式中、
R
2は、基-CHR
5(CH
2)
cR
6を表し、ここでR
5及びR
6はいずれも-CH
2OCH
3を表し;
各R
3は、ハロゲン、-CN、及びC
1-3アルキルからなる群から独立して選択され;
R
4aは、CH
3又は-OCH
3であり;
aは、0、1又は2であり;
cは0である)
を提供する。
【0092】
式(I)の化合物の具体例は、以下である:
5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-ブロモ-1-エチル-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-(シクロプロピルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-ブロモ-1-(シクロプロピルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-イソブチル-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
(R)-1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
(S)-1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
1,3-ジメチル-5-(1-(ピペリジン-4-イルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-カルボキシレート;
5-(5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド;
2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル;
5-(1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-4,5-ジメチル-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-(4-ブロモフェニル)-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(S)-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(S)-5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(S)-5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(S)-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(S)-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
(S)-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(R)-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
(S)-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
5-(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
rac-1-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン;
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート;
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-5-カルボキシレート;
2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸;
rac-5-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
rac-1-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン;
1-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン;
5-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
rac-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン;
1-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン;及び
1-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン、又はそれらの塩。
【0093】
さらなる実施形態において、本発明は、以下の式の、5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンである化合物:
【0095】
さらなる実施形態において、本発明は、以下の式の、5-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンである化合物:
【0097】
本発明のさらなる実施形態において、式(I)の化合物は、遊離塩基の形態である。一実施形態において、遊離塩基の形態である式(I)の化合物は、実施例1〜42の化合物のうちのいずれか1つである。
【0098】
式(I)の化合物の塩としては、薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容されなくてもよいが、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩の調製において有用であり得る塩が挙げられる。
【0099】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。一実施形態において、実施例1〜42のうちのいずれかの化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。
【0100】
式(I)の化合物は、酸性又は塩基性官能基を含み得るため、当業者であれば、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩が調製可能であることを理解するであろう。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、改善された安定性、溶解度、及び/又は結晶化度を有し、医薬としての開発を容易にし得る。
【0101】
式(I)の化合物は、塩基性官能基を含んでもよく、好適な酸(無機酸又は有機酸)を用いた処理によって、薬学的に許容される酸付加塩を形成可能であり得る。代表的な薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、アクリル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ヘプタン酸塩、フタル酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ナフトエ酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、マンデル酸塩、タンニン酸塩、ギ酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピルビン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ラウリン酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、エストレート(estolate)、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、p-アミノベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、及びナフタレン-2-スルホン酸塩が挙げられる。別の実施形態において、薬学的に許容される塩は、1,2-エタンジスルホン酸(エジシル酸塩)塩である。
【0102】
式(I)の化合物は、酸性官能基を含んでもよく、好適な薬学的に許容される塩には、そのような酸性官能基の塩が含まれる。代表的な塩としては、薬学的に許容される金属塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び亜鉛の塩など;脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、並びにヒドロキシアルキルアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ジエチルアミン、TEA、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びシクロヘキシルアミンなどを含む、薬学的に許容される有機第一級、第二級、及び第三級アミンが挙げられる。
【0103】
好適な塩に対する概説については、Bergeら、J. Pharm.Sci.、66:1〜19頁(1977年)を参照されたい。本発明は、式(I)の化合物の塩のすべての可能な化学量論的形態及び非化学量論的形態をその範囲内に包含する。
【0104】
塩は、当該技術分野において周知の技法を用いて、例えば溶液から沈殿させて、濾過することによって形成してもよく、或いは溶媒を蒸発させることによって形成してもよい。
【0105】
多くの有機化合物は、溶媒中で反応したり、或いは溶媒から沈殿又は結晶化したりする場合に、これらの溶媒と錯体を形成する可能性があることが理解されるであろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は「水和物」として知られている。高い沸点を有する溶媒、並びに/又は水素結合を形成する傾向が高い溶媒、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコール、及びN-メチルピロリジノンなどを使用することで、溶媒和物が形成され得る。溶媒和物の確認方法としては、限定されるものではないが、NMR及び微量分析が挙げられる。式(I)の化合物又はその塩は、溶媒和形態及び非溶媒和形態で存在してもよい。
【0106】
一実施形態において、5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン一水和物の結晶形態が提供される。
【0107】
水和物結晶は、X線粉末回折(XRPD)、ラマン分光法及び熱重量分析(TGA)により特性決定された。
【0108】
X線粉末回折(XRPD)
データは、NiフィルターしたCu Ka線(45kV/40mA)、及びステップサイズ0.02° 2θ、並びにX'celerator(商標)RTMS(Real Time Multi-Strip)検出器を用いて、PANalytical X’Pert Pro回折計上で取得した。入射ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)、0.04ラッドソーラースリット、散乱線除去スリット(0.25°)、及び10mmビームマスク。回折ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)及び0.04ラッドソーラースリット。
【0109】
FT-ラマン分光法
ラマンスペクトルは、1064nmのNd:YVO
4励起レーザー、InGaAs及び液体N
2冷却されたGe検出器、並びにMicroStageを備えたNicolet NXR9650又はNXR 960分光計(Thermo Electron)を用いて収集した。スペクトルは全て、ガラスカバーを通し、Happ-Genzelアポダイゼーション関数及び2レベルゼロフィリングを用いて、4cm
-1分解能、64スキャンで取得した。
【0110】
熱重量分析(TGA)
別段に記載されない限り、TGAサーモグラムは、TA Instruments Q500熱重量分析計を用いて、Alパン中、40mL/分のN
2パージ下、15℃/分で取得した。
【0111】
さらなる実施形態において、結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン一水和物は、
図1に実質的に示されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0112】
実施例30aについての特徴的なXRPD角度及びd間隔は、表1に記録される。誤差範囲(許容誤差)は、ピーク割り当てのそれぞれについて約±0.1° 2θである。ピーク強度は、優先方位によりサンプル間で変動し得る。ピーク位置は、PANalytical Highscore Plusソフトウェアを用いて測定した。
【0114】
さらなる実施形態において、表1に示されるような、10.0度、12.4度、13.1度、14.8度、15.8度、17.9度、19.6度、20.2度、21.2度、23.3度、及び24.4度の特定の2θ値のピーク(±0.1° 2θの実験誤差)を有するX線粉末回折パターンを有する、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0115】
さらなる実施形態において、10.0度、12.4度、13.1度、14.8度、15.8度、17.9度、19.6度、20.2度、21.2度、23.3度、及び24.4度からなる群から選択される少なくとも9つの特定の2θ値のピーク(±0.1° 2θの実験誤差)を有するX線粉末回折パターンを有する、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0116】
さらなる実施形態において、10.0度、12.4度、13.1度、14.8度、15.8度、17.9度、19.6度、20.2度、21.2度、23.3度、及び24.4度からなる群から選択される少なくとも8つ、又は少なくとも7つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも4つの特定の2θ値のピーク(±0.1° 2θの実験誤差)を有するX線粉末回折パターンを有する、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0117】
さらなる実施形態において、10.0度、12.4度、13.1度、14.8度、15.8度、17.9度、19.6度、20.2度、21.2度、23.3度、及び24.4度からなる群から選択される少なくとも3つの特定の2θ値のピーク(±0.1° 2θの実験誤差)を有するX線粉末回折パターンを有する一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0118】
さらなる実施形態において、
図2に実質的に示されるようなFTラマンスペクトルを有する、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0119】
さらなる実施形態において、440cm
-1、485cm
-1、528cm
-1、730cm
-1、794cm
-1、804cm
-1、919cm
-1、977cm
-1、1015cm
-1、1051cm
-1、1101cm
-1、1158cm
-1、1231cm
-1、1262cm
-1、1277cm
-1、1299cm
-1、1326cm
-1、1362cm
-1、1440cm
-1、1472cm
-1、1488cm
-1、1569cm
-1、1595cm
-1、1657cm
-1、2843cm
-1、2926cm
-1、2948cm
-1、3122cm
-1におけるピーク(ここで各バンド位置における誤差範囲は約±1cm
-1である)を含む、本明細書中上記の条件下で得られるFT-ラマンスペクトルにより特徴づけられる、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0120】
さらなる実施形態において、440cm
-1、485cm
-1、528cm
-1、730cm
-1、794cm
-1、804cm
-1、919cm
-1、977cm
-1、1015cm
-1、1051cm
-1、1101cm
-1、1158cm
-1、1231cm
-1、1262cm
-1、1277cm
-1、1299cm
-1、1326cm
-1、1362cm
-1、1440cm
-1、1472cm
-1、1488cm
-1、1569cm
-1、1595cm
-1、1657cm
-1、2843cm
-1、2926cm
-1、2948cm
-1、3122cm
-1からなる群から選択される少なくとも8つのピーク(ここで各バンド位置における誤差範囲は約±1cm
-1である)を含む、本明細書中上記の条件下で得られるFT-ラマンスペクトルにより特徴づけられる、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0121】
さらなる実施形態において、977cm
-1、1595cm
-1及び1657cm
-1のピーク(ここで各バンド位置における誤差範囲は約±1cm
-1である)を含む、本明細書中上記の条件下で得られるFT-ラマンスペクトルにより特徴づけられる、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0122】
なおさらなる実施形態において、当業者が理解し得るとおり、上述の実施形態を特徴付ける分析データの任意の組み合わせによって特徴付けられる、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンが提供される。
【0123】
さらなる実施形態において、
a)
図1に実質的に示されるようなX線粉末回折パターン(XRPD);及び/又は
b) 10.0度、12.4度、13.1度、14.8度、15.8度、17.9度、19.6度、20.2度、21.2度、23.3度、及び24.4度の特定の2θ値のピーク(±0.1° 2θの実験誤差)を有するX線粉末回折パターン(XRPD);及び/又は
c)
図2に実質的に示されるようなFTラマンスペクトル
を有する化合物が提供される。
【0124】
X線粉末回折(XRPD)パターンの取得に関わる利用される装置、湿度、温度、粉末結晶の配向(方位)、及び他のパラメータが、回折パターンの線の外観、強度、及び位置に多少の変動を生じさせ得ることは、当業者に周知であり且つ理解されている。本明細書中に提供される「
図1に実質的に示されるような(示されるとおりの)」X線粉末回折パターンは、
図1のXRPDパターンを与えた化合物と同じ結晶形態を有する化合物を表すと当業者が考え得るXRPDパターンである。すなわち、このXRPDパターンは、
図1のXRPDパターンと同一であってもよく、又はむしろ多少異なっていてもよい。このようなXRPDパターンは、必ずしも本明細書中に示される回折パターンのいずれか1つの線のそれぞれを示していなくてもよく、及び/又はデータの取得に関する条件の差異から生じる前記の線の外観、強度、若しくは位置のシフトにおけるわずかな変化を示していてもよい。当業者は、結晶化合物のサンプルが、本明細書中に開示される形態と、同じ形態を有するか、又は異なる形態を有するか否かを、それらのXRPDパターンの比較により決定することができる。例えば、当業者は、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンのサンプルのXRPDパターンを
図1と重ね合わせ、当技術分野における専門技術及び知識を用いて、サンプルのXRPDパターンが
図1に実質的に示されるとおりであるか否かを容易に決定することができる。このXRPDパターンが
図1に実質的に示されるとおりである場合、サンプル形態を、本発明の化合物と同じ形態を有すると容易に且つ正確に同定することができる。
【0125】
さらに、ラマンスペクトルの取得に関わる利用される装置、湿度、温度、粉末結晶の配向及び他のパラメータが、スペクトル中のピークの外観、強度、及び位置に多少の変動を生じさせ得ることもまた、当業者に周知であり且つ理解される。本明細書中で提供される「
図2に実質的に示されるような(示されるとおりの)」ラマンスペクトルは、
図2のラマンスペクトルを提供した化合物と同じ結晶形態を有する化合物を表すと当業者が考え得るラマンスペクトルである。すなわち、このラマンスペクトルは、
図2のラマンスペクトルと同一であってもよく、又はむしろ多少異なっていてもよい。このようなラマンスペクトルは、必ずしも本明細書中に示されるスペクトルのいずれか1つのピークのそれぞれを示していなくてもよく、及び/又はデータ取得に関する条件の差異から生じる前記ピークの外観、強度、又は位置のシフトにおけるわずかな変化を示していてもよい。当業者は、結晶化合物のサンプルが、本明細書中に開示される形態と同じ形態を有するか、又は異なる形態を有するかを、それらのラマンスペクトルの比較によって決定することができる。例えば、当業者は、一水和物結晶形態の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンのサンプルのラマンスペクトルを
図2と重ね合わせて、当技術分野における専門技術及び知識を用いて、サンプルのラマンスペクトルが
図2に実質的に示されるとおりであるか否かを容易に決定することができる。XRPDパターンが
図1に実質的に示されるとおりである場合、サンプル形態を、本発明の化合物と同じ形態を有すると容易に且つ正確に同定することができる。
【0126】
好ましい実施形態において、水和物は結晶形態である。非晶質形態の水和物(例えば、非晶質一水和物)も、本発明の一部を形成する。水和物結晶形態については、結晶化度の程度は、約60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を上回る。一実施形態において、結晶化度の程度は、99%超である。
【0127】
ある特定の本発明の化合物は、互変異性型で存在してもよい。本発明は、個別の互変異性体としてであろうと、或いはそれらの混合物としてであろうと、本発明の化合物の互変異性体のすべてを包括することが理解されるであろう。
【0128】
本発明の化合物は、結晶形態であってもよく、或いは非晶形態であってもよい。本発明の化合物の、最も熱力学的に安定な結晶形態が、特に目的とされる。
【0129】
本発明の化合物の結晶形態は、いくつかの従来型の分析技法を用いて特徴付け及び区別することができ、これらの技法としては、限定されるものではないが、X線粉末回折法(XRPD)、赤外分光法(IR)、ラマン分光法、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、及び固相核磁気共鳴(ssNMR)が挙げられる。
【0130】
本発明はまた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、すべての好適な同位体的変化形態も包含する。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の同位体的変化形態は、少なくとも1個の原子が、同じ原子番号を有するが、天然に通常見られる原子量とは異なる原子量を有する原子で置き換えられているものとして定義される。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれ、
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
17O、
18O、
18F、及び
36Clなどが挙げられる。式(I)の化合物、又はその塩若しくは溶媒和物の、ある特定の同位体的変化形態、例えば、
3H又は
14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物及び/又は基材の組織分布研究において有用である。トリチウム、すなわち
3H及び炭素14、すなわち
14Cの同位体が、それらの調製及び検出性の容易さから特に好ましい。さらに、重水素、すなわち
2Hなどの同位体による置換は、代謝安定性がより大きいことから、ある特定の治療的利点、例えば、インビボでの半減期の延長又は用量要件の低減を提供する場合があるため、一部の状況においては好ましくあり得る。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の同位体的変化形態は、従来型の手順によって、例えば例証的方法によって、或いは好適な試薬の適切な同位体的変化形態を用いる、下の実施例において記載される調製によって、一般的に調製することができる。
【0131】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、1つ以上の不斉中心(キラル中心とも呼ばれる)を含んでもよく、それ故に、個別のエナンチオマー、ジアステレオマー、又は他の立体異性型として、或いはそれらの混合物として存在してもよい。また、キラル中心、例えばキラル炭素原子などが、アルキル基などの置換基内に存在してもよい。式(I)の化合物又は本明細書に例証される任意の化学構造中に存在するキラル中心の立体化学が特定されていない場合、その構造は、すべての個別の立体異性体及びそれらのすべての混合物を包括することが意図される。したがって、1つ以上のキラル中心を含む式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、ラセミ混合物として、鏡像異性的に富化された混合物として、或いは鏡像異性的に純粋な個別の立体異性体として使用されてもよい。
【0132】
1つ以上の不斉中心を含む式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の個別の立体異性体は、当業者に既知の方法で分割することができる。例えば、このような分割は、(1)ジアステレオ異性体塩、錯体、又は他の誘導体の形成によって、(2)立体異性体特異的な試薬との選択的反応、例えば酵素的酸化又は還元によって、或いは(3)キラル環境における、例えばキラルリガンドが結合したシリカなどのキラル支持体における、又はキラル溶媒の存在下における、ガス-液体又は液体クロマトグラフィーよって、実行することができる。当業者であれば、所望の立体異性体を上記の分離手順のうちの1つによって別の化学成分へと変換する場合、所望の形態を遊離させるためにさらなる工程が必要であることを理解するであろう。或いは、特定の立体異性体は、光学的に活性な試薬、基材、触媒、又は溶媒を用いる不斉合成によって、或いは不斉変換によってあるエナンチオマーを他のエナンチオマーへと変換することによって合成してもよい。
【0133】
一実施形態において、本発明の化合物は、4種の既知のBETファミリーのブロモドメイン含有タンパク質(例えば、BRD2、BRD3、BRD4、及びBRDt)のうちの1種以上の、例えばアセチル化リジン残基に対する結合を阻害することができる。さらなる実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、BRD4の、その同族のアセチル化リジン残基に対する結合を阻害することができる。本発明の化合物は、既知のBET阻害剤よりも改善されたプロファイルを有し得、例えば、ある特定の化合物は、以下の性質のうちの1つ以上を有し得る。
(i)強力なBET阻害活性、
(ii)BETファミリーのタンパク質以外の他の既知のブロモドメイン含有タンパク質を上回る選択性、
(iii)他のBETファミリーメンバーを上回る、特定のBETファミリーメンバーに対する選択性、
(iv)任意の所与のBETファミリーメンバーについて、1つの結合ドメインに対する選択性(すなわち、BD2よりもBD1、又は逆もまた同様)、
(v)改善された発展性(例えば、望ましい溶解度プロファイル、薬物動態、及び薬動力学)、又は
(vi)低減された副作用プロファイル。
【0134】
使用の陳述
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、BET阻害剤であり、したがって、全身性炎症若しくは組織炎症、感染症若しくは低酸素症に対する炎症反応、細胞の活性化及び細胞増殖、脂質代謝、線維症に関連する様々な疾患又は病態の治療、並びにウイルス性感染症の防止(予防)及び治療において治療的有用性を有し得る。
【0135】
BET阻害剤は、広範な種類の急性又は慢性の自己免疫性又は炎症性の病態、例えば関節リウマチ、骨関節炎、急性痛風、乾癬、乾癬性関節炎、脊椎関節炎、全身性紅斑性狼瘡、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、多発性硬化症、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎)、喘息、慢性閉塞性気道疾患、間質性肺炎、心筋炎、心膜炎、筋肉炎、湿疹、皮膚炎(アトピー性皮膚炎を含む)、脱毛症、白斑、水疱性皮膚症、腎炎、血管炎、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、鬱病、シェーグレン症候群、唾液腺炎、網膜中心静脈閉塞症、網膜分枝静脈閉塞症、アーヴァイン・ガス症候群(白内障後及び術後)、網膜色素変性症、毛様体扁平部炎、散弾様網膜脈絡膜症、網膜上膜、嚢胞性黄斑浮腫、傍中心窩毛細血管拡張症、牽引性黄斑症、硝子体黄斑牽引症候群、網膜剥離、神経網膜炎、特発性黄斑浮腫、網膜炎、ドライアイ(乾性角結膜炎)、春季角結膜炎、アトピー性角結膜炎、ぶどう膜炎(例えば前部ぶどう膜炎、全ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、ぶどう膜炎関連黄斑浮腫など)、強膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、加齢性黄斑変性、肝炎、膵炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、急性アルコール性肝炎、慢性アルコール性肝炎、アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、硬変症(cirrhosis)、チャイルドピュー硬変症、自己免疫性肝炎、劇症肝炎、慢性ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、全身性硬化症、間質性肺疾患を伴う全身性硬化症、サルコイドーシス、神経サルコイドーシス、アジソン病、下垂体炎、甲状腺炎、I型糖尿病、巨細胞性動脈炎、ループス腎炎を含む腎炎、例えば糸球体腎炎などの臓器合併症を伴う血管炎、巨細胞性動脈炎を含む血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎、ベーチェット病、川崎病、高安動脈炎、壊疽性膿皮症、臓器合併症を伴う血管炎、慢性臓器移植拒絶、並びに移植された臓器に対する急性拒絶などの治療において有用であり得る。関節リウマチ及びNASHの治療のためのBET阻害剤の使用が、特に目的とされる。
【0136】
一実施形態において、急性又は慢性の自己免疫性又は炎症性の病態は、例えば高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、及びアルツハイマー病などの、APO-A1の調節を介する脂質代謝の障害である。
【0137】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫性又は炎症性の病態は、例えば喘息又は慢性閉塞性気道疾患などの、呼吸器障害である。
【0138】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫性又は炎症性の病態は、例えば関節リウマチ、骨関節炎、急性痛風、乾癬、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、又は炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎)などの、全身性炎症性障害である。
【0139】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫性又は炎症性の病態は、多発性硬化症である。
【0140】
さらなる実施形態において、急性又は慢性の自己免疫性又は炎症性の病態は、I型糖尿病である。
【0141】
BET阻害剤は、細菌、ウイルス、菌類、寄生虫による感染症又はそれらの毒素に対する炎症反応を伴う疾患又は病態、例えば敗血症、急性敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、内毒血症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群、中毒性ショック症候群、急性肺損傷、ARDS(成人型呼吸窮迫症候群)、急性腎不全、劇症肝炎、火傷、急性膵炎、術後症候群、サルコイドーシス、ヘルクスハイマー反応、脳炎、脊髄炎、髄膜炎、マラリア、並びにインフルエンザ、帯状ヘルペス、単純ヘルペス、及びコロナウイルスなどのウイルス感染症に関連するSIRSなどの治療において有用であり得る。一実施形態において、細菌、ウイルス、菌類、寄生虫による感染症又はそれらの毒素に対する炎症反応を伴う疾患又は病態は、急性敗血症である。
【0142】
BET阻害剤は、虚血再灌流傷害に関連する病態、例えば心筋梗塞、脳血管虚血(脳卒中)、急性冠動脈症候群、腎再灌流傷害、臓器移植、冠動脈バイパス術、心肺バイパス手技、肺、腎、肝、胃腸管、又は末梢肢の塞栓症などの治療において有用であり得る。
【0143】
BET阻害剤は、線維性の病態、例えば特発性肺線維症、腎線維症、肝線維症、術後狭窄、ケロイド性瘢痕形成、強皮症(斑状強皮症を含む)、心筋線維症、及び嚢胞性線維症などの治療において有用であり得る。
【0144】
BET阻害剤は、ウイルス感染症、例えば単純ヘルペス感染症及び再活性化、口唇ヘルペス、帯状ヘルペス感染症及び再活性化、水痘、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、頸部新生物、アデノウイルス感染症(急性呼吸器疾患を含む)、ポックスウイルス感染症(牛痘及び天然痘など)、並びにアフリカブタ熱ウイルスなどの治療において有用であり得る。一実施形態において、ウイルス感染症は、皮膚又は頸部上皮のHPV感染症である。別の実施形態において、ウイルス感染症は、潜伏性HIV感染症である。
【0145】
BET阻害剤は、血液学的(例えば白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫など)、肺、乳房、及び結腸を含む上皮の癌、正中癌、間葉、肝、腎の、及び神経学的な腫瘍を含む、癌の治療において有用であり得る。
【0146】
BET阻害剤は、脳癌(神経膠腫)、神経膠芽腫、バナヤン・ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット・デュクロス病、乳癌、炎症性乳癌、結腸直腸癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣細胞腫、髄芽細胞腫、結腸癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、黒色腫、扁平上皮癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫癌、骨肉腫、骨の巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、プラズマ細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、外套細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、混合系統系白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽腔癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質性腫瘍)、NUT-正中癌、及び精巣癌から選択される1種以上の癌の治療において有用であり得る。
【0147】
一実施形態において、癌は、白血病、例えば急性単球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、及び混合系統系白血病(MLL)から選択される白血病である。別の実施形態において、癌はNUT-正中癌である。別の実施形態において、癌は多発性骨髄腫である。別の実施形態において、癌は小細胞肺癌(SCLC)などの肺癌である。別の実施形態において、癌は神経芽細胞腫である。別の実施形態において、癌はバーキットリンパ腫である。別の実施形態において、癌は子宮頸部癌である。別の実施形態において、癌は食道癌である。別の実施形態において、癌は卵巣癌である。別の実施形態において、癌は乳癌である。別の実施形態において、癌は結腸直腸癌である。別の実施形態において、癌は前立腺癌である。別の実施形態において、癌は、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0148】
一実施形態において、BET阻害剤の必要性が示される疾患又は病態は、全身性炎症反応症候群に関連する疾患、例えば敗血症、火傷、膵炎、大外傷、出血、及び虚血から選択される。この実施形態において、BET阻害剤は、診断時点で、SIRSの発生率を低減するため、急性肺損傷、ARDS、急性の腎、肝、心、又は胃腸管の損傷の発症を含むショック、多臓器不全症候群の発症を低減するため、及び死亡率を低減するために投与され得る。別の実施形態において、BET阻害剤は、敗血症、出血、広範な組織損傷、SIRS、又はMODS(多臓器不全症候群)の高いリスクに関連する手術又は他の手技に先立って投与され得る。特定の実施形態において、BET阻害剤の必要性が示される疾患又は病態は、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、及び内毒血症である。別の実施形態において、BET阻害剤は、急性又は慢性の膵炎の治療に対して必要性が示される。別の実施形態において、BET阻害剤は、火傷の治療に対して必要性が示される。
【0149】
さらなる態様において、本発明はまた、療法において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩も提供する。
【0150】
一実施形態において、本発明は、療法において使用するための、以下の式の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン、又はその薬学的に許容される塩:
【0152】
さらなる実施形態において、本発明は、療法において使用するための、以下の式の5-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン、又はその薬学的に許容される塩:
【0154】
一実施形態において、本発明は、療法において使用するための、以下の式の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン一水和物:
【0156】
さらなる態様において、本発明は、上に列挙された徴候の各々及びすべてを含む、ブロモドメイン阻害剤、特にBET阻害剤の必要性が示される疾患又は病態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0157】
さらなる態様において、本発明はまた、自己免疫性疾患及び炎症性疾患、並びに癌の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩も提供する。
【0158】
さらなる態様において、本発明は、関節リウマチの治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。さらなる態様において、本発明は、治療抵抗性関節リウマチの治療において使用するための、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0159】
さらなる態様において、本発明は、自己免疫性疾患若しくは炎症性疾患、又は癌を治療する方法に関し、本方法は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に対して投与することを含む。
【0160】
なおもさらなる態様において、本発明は、関節リウマチを治療する方法に関し、本方法は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に対して投与することを含む。
【0161】
さらなる態様において、本発明は、自己免疫性疾患若しくは炎症性疾患、又は癌の治療において使用するための医薬品の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0162】
さらなる態様において、本発明は、関節リウマチの治療において使用するための医薬品の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0163】
医薬組成物/投与経路/用量
療法において使用する場合、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩が、未加工の化学物質として投与される可能性もあるが、医薬組成物としてこの活性成分を提供するのが一般的である。
【0164】
さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0165】
さらなる実施形態において、以下の式の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン、又はその薬学的に許容される塩:
【0166】
【化30】
及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0167】
さらなる態様において、以下の式の5-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン、又はその薬学的に許容される塩:
【0168】
【化31】
及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0169】
さらなる実施形態において、以下の式の5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン一水和物:
【0170】
【化32】
及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0171】
賦形剤(1種又は複数種)は、薬学的に許容されなければならず、組成物中の他の成分と適合性でなければならない。また、本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを混合することを含む、医薬組成物を調製するための方法も提供される。本医薬組成物は、本明細書に記載される疾患のうちのいずれかの治療において使用することができる。
【0172】
式(I)の化合物は、医薬組成物での使用が意図されているため、それらの化合物は、各々好ましくは、実質的に純粋な形態で、例えば少なくとも85%の純度、特に少なくとも98%の純度(重量基準での重量%)で提供されることが容易に理解されるであろう。
【0173】
医薬組成物は、単位用量毎に所定の量の活性成分を含む単位用量形態で提供されてもよい。好ましい単位投与量の組成物は、活性成分の1日用量又は下位用量、又はその適切な部分を含むものである。したがって、このような単位用量は、1日に2回以上で投与されてもよい。
【0174】
医薬組成物は、任意の適切な経路による投与、例えば、経口(頬側若しくは舌下を含む)、直腸、吸入、鼻腔内、局所(頬側、舌下、若しくは経皮を含む)、眼(局所、眼内、結膜下、強膜上、テノン嚢下を含む)、膣、又は非経口(皮下、筋内、静脈内、若しくは皮内を含む)経路による投与のために適合させることができる。このような組成物は、製薬の技術分野において既知の任意の方法によって、例えば活性成分と賦形剤(1種又は複数種)とを組み合わせることによって調製することができる。
【0175】
本発明の化合物、特に、5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン及びその水和型(例えば一水和物)は、経口及び静脈内注射の両方(例えばヒトにおける1日1回投与)を支援するpKプロファイルを有し得る。
【0176】
一態様において、医薬組成物は、経口投与のために適合される。
【0177】
さらなる態様において、医薬組成物は、静脈内投与のために適合される。
【0178】
経口投与用に適合された医薬組成物は、例えば錠剤若しくはカプセル剤、粉剤若しくは顆粒剤、水性若しくは非水性液体中の溶液剤若しくは懸濁剤、食用発泡物若しくはホイップ、又は水中油型液状乳剤若しくは油中水型液状乳剤などの別々の単位として提供することができる。
【0179】
錠剤又はカプセル剤中に配合するのに好適な粉末は、化合物を好適な細かいサイズに小さくして(例えば、微粒子化による)、同様に調製された食用炭水化物などの医薬賦形剤、例えばデンプン又はマンニトールと混合することによって調製することができる。また、例えば風味剤、保存剤、分散剤、及び着色剤が存在してもよい。
【0180】
カプセル剤は、上記のような粉末混合物を調製して、成形されたゼラチンシースに充填することによって作製することができる。充填作業の前に、粉末混合物に、例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又は固形ポリエチレングリコールなどの滑剤及び滑沢剤を添加することができる。カプセル剤を摂取する場合の医薬品の利用能を改善するために、例えば寒天、炭酸カルシウム、又は炭酸ナトリウムなどの崩壊剤又は可溶化剤を添加することもできる。
【0181】
また、所望される場合又は必要とされる場合、混合物に、好適な結合剤、滑剤、滑沢剤、甘味剤、風味剤、崩壊剤、及び着色剤を配合することもできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース又はβ-ラクトースなど、トウモロコシ甘味剤、天然及び合成のガム、例えばアカシアガム、トラガカントガム、又はアルギン酸ナトリウムなど、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの剤形中で使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製すること、造粒又はスラグ化すること、滑沢剤及び崩壊剤を添加すること、並びに錠剤へと圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、好適に粉砕された化合物と、上記のような希釈剤又は基剤、並びに場合により、例えばカルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、若しくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの再吸収促進剤、及び/又はベントナイト、カオリン、若しくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤とを混合することによって調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプンのり、アカディアゴムのり(acadia mucilage)、又はセルロース系若しくはポリマー系材料の溶液などの結合剤を用いて湿潤化して、スクリーンを押し通すことによって造粒することができる。造粒に対する代替案として、粉末混合物は打錠機に通してもよく、結果的に、不完全に形成されたスラグが得られ、これが顆粒へと砕かれる。顆粒は、錠剤成形用金型への固着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、又は鉱物油を添加することによって滑沢化してもよい。その後、滑沢化された混合物は錠剤へと圧縮される。また、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、自由流動性の不活性賦形剤と組み合わせ、造粒工程又はスラグ化工程を経ずに、直接的に錠剤へと圧縮することもできる。シェラックの密封被覆からなる透明又は不透明の保護コーティング、糖又はポリマー材料のコーティング、及びワックスの光沢コーティングを提供してもよい。異なる単位投与量を区別するために、これらのコーティングに染料を添加してもよい。
【0182】
例えば溶液剤、シロップ剤、及びエリキシル剤などの経口用流体は、所与の量が所定の量の化合物を含むような投与単位の形態で調製することができる。シロップ剤は、化合物を好適に風味付けされた水溶液中に溶解させることで調製することができ、一方で、エリキシル剤は、非毒性のアルコール系ビヒクルを使用することで調製される。懸濁剤は、化合物を非毒性ビヒクル中に分散させることで製剤化できる。また、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤及び乳化剤、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油又は天然甘味料又はサッカリン又は他の人工甘味剤などを添加することもできる。
【0183】
経口投与用の組成物は、治療活性剤の放出を持続又はそれ以外の方法で制御するような、改変された放出プロファイルを提供するように設計され得る。
【0184】
適切である場合、経口投与用の投与単位組成物は、マイクロカプセル化することができる。組成物は、例えば粒子状材料をポリマー、ワックスなどで被覆又はその中に包埋することによって、放出を延長又は持続させるように調製することができる。
【0185】
経鼻又は吸入投与用の医薬組成物は、好都合には、エアロゾル剤、溶液剤、懸濁剤、ゲル剤、又は乾燥粉剤として製剤化することができる。
【0186】
吸入投与にとって好適であり、且つ/又は吸入投与用に適合された医薬組成物の場合、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、例えば微粒子化によって得られる、粒径を低減した形態であることが好ましい。サイズを低減した(例えば、微粒子化された)化合物又は塩の好ましい粒径は、約0.5〜約10ミクロンのD50値(例えば、レーザー回折を用いて測定した場合)によって定義される。
【0187】
吸入投与にとって好適であり、且つ/又は吸入投与用に適合された医薬組成物の場合、医薬組成物は、薬学的に許容される水性溶媒又は非水性溶媒中の活性物質の溶液又は微細懸濁液を含む、乾燥粉末組成物又はエアロゾル製剤であり得る。乾燥粉末組成物は、例えばラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトール、又はデンプンなどの粉末基剤、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩(好ましくは、粒径を低減した形態、例えば微粒子化された形態)、並びに場合により、例えばL-ロイシン若しくは別のアミノ酸、及び/又はステアリン酸の金属塩、例えばステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなどの性能改変剤を含んでもよい。好ましくは、吸入可能な乾燥粉末組成物は、ラクトース、例えばラクトース一水和物、及び式(I)の化合物又はその塩の乾燥粉末ブレンドを含む。
【0188】
一実施形態において、吸入投与にとって好適である乾燥粉末組成物は、好適な吸入デバイス内に据え付けられた医薬品パック(複数可)に設けられた複数の密封用量容器に組み込まれてもよい。容器は、1つずつ断裂可能、剥離可能、又はそれ以外の方法で開放可能であり得、一定の用量の乾燥粉末組成物が、当該技術分野において既知であるように、吸入デバイスの吸い口における吸入によって投与される。医薬品パックは、例えばディスク形状又は細長いストリップなどのいくつかの異なる形態をとってもよい。代表的な吸入デバイスは、GlaxoSmithKlineにより販売されている、DISKHALER(商標)吸入器デバイス、DISKUS(商標)吸入デバイス、及びELLIPTA(商標)吸入デバイスである。DISKUS(商標)吸入デバイスについては、例えば英国公開特許第2242134(A)号に記載されており、ELLIPTA(商標)吸入デバイスについては、例えば国際公開第03/061743(A1)号、国際公開第2007/012871(A1)号、及び/又は国際公開第2007/068896(A1)号に記載されている。
【0189】
非経口投与用に適合された医薬組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び意図される受容者の血液と本組成物を等張にする溶質を含み得る、水性及び非水性の注射用滅菌溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。組成物は、単位用量又は多回用量の容器、例えば密封アンプル及びバイアルで提供されてもよく、使用の直前に、滅菌液状担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする、フリーズドライの(凍結乾燥された)状態で保管されてもよい。即用の注射用溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。
【0190】
局所投与用に適合される医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、粉剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、発泡剤、噴霧剤、エアロゾル剤、又は油剤として製剤化することができる。このような医薬組成物は、従来型の添加剤を含んでもよく、これらの添加剤としては、限定されるものではないが、保存剤、薬物の浸透を補助する溶媒、共溶媒、エモリエント剤、噴射剤、粘度改変剤(ゲル化剤)、界面活性剤、及び担体が挙げられる。一実施形態において、組成物の重量に対して0.01〜10%又は0.01〜1%の式(I)〜(XVI)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、局所投与用に適合された医薬組成物が提供される。
【0191】
眼、又はその他の外部組織、例えば口及び皮膚の治療の場合、組成物は、好ましくは、局所用の軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、噴霧剤、又は発泡剤として適用される。軟膏剤に製剤化される場合、活性成分は、パラフィン系又は水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に採用することができる。或いは、活性成分は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤を用いたクリーム剤に製剤化することができる。眼への局所投与用に適合された医薬組成物としては、活性成分を好適な担体、特に水性溶媒中に溶解又は懸濁させた点眼剤が挙げられる。
【0192】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、例えば、対象の年齢及び体重、治療を必要とする正確な病態及びその重症度、製剤の性質、並びに投与経路を含むいくつかの因子に左右され、究極的には、担当医師又は獣医師の裁量によることになる。医薬組成物において、経口投与のための各投与単位は、遊離塩基として計算して、好ましくは0.01〜1000mg、より好ましくは0.5〜100mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。一実施形態において、本発明の化合物は、0.5〜20mg(例えば10〜20mg)の一日用量で経口投与される。さらなる実施形態において、本発明の化合物は、0.5〜10mg(例えば5〜10mg)の一日用量で静脈内投与される。
【0193】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、単独で、或いは他の治療剤と組み合わせて採用されてもよい。したがって、本発明による併用療法は、少なくとも1種の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与、及び少なくとも1種の他の治療活性剤の使用を含む。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び他の治療活性剤(複数可)は、単一の医薬組成物として一緒に投与されてもよく、或いは別個に投与されてもよく、別個に投与される場合には、この投与は同時に行われてもよく、或いは任意の順序で順次行われてもよい。
【0194】
さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、1種以上の他の治療活性剤、及び場合により、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、複合製剤が提供される。
【0195】
当業者には、適切である場合、他の治療成分(1種又は複数種)を、その治療成分の活性及び/又は安定性及び/又は例えば溶解度などの物理的特性を最適化するために、塩の形態で、例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩として、或いは溶媒和物、例えば水和物として使用してもよいことは、明白であろう。また、適切である場合、治療成分は、光学的に純粋な形態で使用され得ることも明白であろう。
【0196】
上で言及した組み合わせは、好都合には、医薬組成物の形態、したがって、上に定義した組み合わせを薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む医薬組成物の形態で使用するために提供することができる。
【0197】
一般的合成経路
式(I)の化合物及びその塩:
【0198】
【化33】
(式中、R
1、R
2、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)
は、本発明のさらなる態様を構成する、本明細書中以下に記載される手法により調製し得る。
【0200】
【化34】
の製造方法が提供され、この方法は、式(III)の化合物:
【0201】
【化35】
(式中、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりであり、X
1及びX
2はそれぞれCH又はNを表し、但しX
1がNである場合、X
2はCHであり、逆もまた同様である)のアルキル化を含む。例えば、式(III)の化合物をN,N-ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中に溶解させ、次いで、ハロゲン化アルキルの存在下に適切な塩基で処理し、好適な温度で適切な時間加熱して、精製後、式(IIa)の化合物(式中、R
2、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)を得る。
【0203】
【化36】
の製造方法がさらに提供され、この方法は、式(III)の化合物:
【0204】
【化37】
(式中、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりであり、X
1はNであり、且つX
2はCHである)のアルキル化を含む。例えば、式(III)の化合物を、ジメチルスルホキシドなどの好適な溶媒中に溶解させ、次いで、アルコールの存在下にIr(ppy)
2(dtbbpy)PF
6、トシル酸及びメチルチオグリコレートなどの好適な試薬で処理し、青色光を好適な温度で適切な時間照射して、精製後、式(IIb)の化合物(式中、R
2、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)を得る。
【0206】
【化38】
の製造方法がさらに提供され、この方法は、式(III)の化合物:
【0207】
【化39】
(式中、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりであり、X
1はCHであり、且つX
2はNである)
のアルキル化を含む。例えば、式(III)の化合物をジメチルスルホキシドなどの好適な溶媒中に溶解させ、次いでアルコールの存在下にIr(ppy)
2(dtbbpy)PF
6、トシル酸及びメチルチオグリコレートなどの好適な試薬で処理し、青色光を好適な温度で適切な時間照射し、精製後、式(IIc)の化合物(式中、R
2、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)を得る。
【0209】
【化40】
の製造方法がさらに提供され、この方法は、式(III)の化合物:
【0210】
【化41】
(式中、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりであり、X
1はCHであり、且つX
2はNである)
のアルキル化を含む。例えば、式(III)の化合物をN,N-ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中に溶解させ、次いで、ハロゲン化アルキルの存在下に好適な塩基で処理し、好適な温度で適切な時間加熱して、精製後、式(IId)の化合物(式中、R
2、R
3、R
4a、R
4b、R
4c、b及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)を得る。
【0211】
式(III)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(IV)の化合物:
【0212】
【化42】
(式中、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりであり、Rは場合により、水素、又は[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアセタールなどの好適な保護基である)
のクロスカップリングを含む。X
1及びX
2は、式(II)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである。例えば、式(IV)の化合物を1,4-ジオキサン/水などの溶媒混合物中に溶解させ、次いで、パラジウム触媒及び好適な塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下に好適な式(V)のカップリングパートナーで、適切な時間、好適な温度で加熱しながら処理し、精製後、適宜好適な脱保護を行った後に、式(III)の化合物を得ることができた。上記のカップリングパートナーは、一般式(V)(式中、R
4a、R
4b、R
4c、及びbは、式(I)の化合物について定義したとおりである)のカップリングパートナーである。
【0214】
式(II)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(IV)の化合物:
【0215】
【化44】
(式中、R
2、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)
のクロスカップリングを含む。X
1及びX
2は、式(II)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである。例えば、式(IV)の化合物を、1,4-ジオキサン/水などの溶媒混合物中に溶解させ、次いで、パラジウム触媒及び好適な塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下に、好適な式(V)のカップリングパートナーで、適切な時間、好適な温度で加熱しながら処理し、精製後、式(II)の化合物を得ることができた。上記のカップリングパートナーは、一般式(V)(式中、R
4は、式(I)の化合物について定義される)のカップリングパートナーである。
【0217】
【化45】
の製造方法がさらに提供され、この方法は、上記の式(IV)の化合物のクロスカップリングを含む。式(IV)の化合物は、例えば、ジメチルスルホキシドなどの好適な溶媒中に溶解させ、その後、銅触媒の存在下に、好適な式(VII)のカップリングパートナーで、適切な時間、好適な温度で加熱しながら処理し、精製後、式(VI)の化合物を得ることができた。
【0219】
式(IV)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(VIII)の化合物:
【0220】
【化47】
(式中、R
2、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)
の臭素化を含む。例えば、式(VIII)の化合物を、THFなどの溶媒中に溶解させ、次いでTMPMgCl・LiClなどの好適な塩基で処理し、その後CBr
4などの臭素化剤で処理することができた。次いで、この混合物を好適な温度で適切な時間撹拌し、精製後、式(IV)の化合物を得る。
【0221】
式(VIII)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(IX)の化合物:
【0223】
ここでは、式(IX)の化合物をN,N-ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中に溶解させ、次いで、ハロゲン化アルキルの存在下に、炭酸カリウムなどの好適な塩基で処理し、好適な温度で適切な時間加熱して、精製後、式(VIII)の化合物(式中、R
3及びaは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)を得る。
【0224】
式(IIa)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(X)の化合物:
【0226】
ここでは、式(X)の化合物を、クロロホルムなどの好適な溶媒中に溶解させ、その後、酢酸などの好適な酸の存在下に、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義されるR
3を含む好適なアミン、及び式(I)の化合物について本明細書中上記に定義されるR
3を含む好適な1,3-ジカルボニル化合物で処理する。次いで、この混合物を、好適な温度で適切な時間加熱し、精製後に、式(IIa)の化合物を得る。
【0227】
式(I)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(I)の化合物(式中、R
3はニトリルなどの好適な官能基である)の官能基化を含む。かかる化合物は、例えば、加水分解及び、適切な場合、さらなるカップリングにより官能基化され、式(I)の化合物(式中、R
2、R
3及びR
4a、R
4b、R
4cは、式(I)の化合物について本明細書中上記に定義したとおりである)を得ることができる。
【0228】
特定のR
3及びR
4置換基により決定される式(V)、(VII)、(IX)及び(X)の特定の化合物は、例えば、Sigma Aldrichから市販されている。
【実施例】
【0229】
【表2】
【0230】
実験の詳細
LCMS
システムA:
UPLC分析は、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×2.1mm(内径)、充填物直径1.7μm)上で、40℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中0.1%v/vのギ酸の溶液。
B= MeCN中0.1%v/vのギ酸の溶液。
利用した勾配(グラジエント)は以下のとおりであった:
【0231】
【表3】
【0232】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルであった。
注入体積:0.5μL
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化方式:交互走査(Alternate-scan)ポジティブ及びネガティブエレクトロスプレー
走査範囲:100〜1000AMU
走査時間:0.27秒
走査間遅延:0.10秒
【0233】
システムB:
UPLC分析は、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×2.1mm(内径)、充填物直径1.7μm)上で、40℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=アンモニア溶液でpH10に調整された水中10mM重炭酸アンモニウム。
B=MeCN。
利用した勾配は以下のとおりであった:
【0234】
【表4】
【0235】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルであった。
注入体積:0.3μL
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化方式:交互走査ポジティブ及びネガティブエレクトロスプレー
走査範囲:100〜1000AMU
走査時間:0.27秒
走査間遅延:0.10秒
【0236】
システムC:
UPLC分析は、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×2.1mm(内径)、充填物直径1.7μm)上で、40℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中0.1%v/vトリフルオロ酢酸。
B= MeCN中0.1%v/vトリフルオロ酢酸。
利用した勾配は以下のとおりであった:
【0237】
【表5】
【0238】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルであった。
注入体積:0.5μL
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化方式:ポジティブエレクトロスプレー
走査範囲:100〜1000AMU
走査時間:0.27秒
走査間遅延:0.05秒
【0239】
システムD:
UPLC分析は、Xbridge C18カラム(50mm×4.6mm(内径)、充填物直径2.5μm)上で、35℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中5mM重炭酸アンモニウム(pH10)。
B=アセトニトリル
利用した勾配は以下のとおりであった:
【0240】
【表6】
【0241】
UV検出は、200nm〜400nmの波長からの合計シグナルであった。
注入体積:3.0μL
MS条件
MS:Waters Quattro micro
イオン化方式:交互走査ポジティブ及びネガティブエレクトロスプレー
走査範囲:100〜1000AMU
走査時間:0.50秒
走査間遅延:0.10秒
【0242】
質量分析計直結自動分取HPLC(MDAP)
質量分析計直結自動分取HPLCは、以下に与えられる条件の下で行われた。UV検出は、210nm〜350nmの波長からの平均化シグナルであり、質量スペクトルは、交互走査ポジティブモード及びネガティブモードエレクトロスプレーイオン化を用いて、質量分析計上で記録した。
【0243】
方法A
方法Aは、Xselect CSH C18カラム(典型的には150mm×30mm(内径)、充填物直径5μm)上で、周囲温度にて行った。利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中0.1%v/vのギ酸の溶液。
B=アセトニトリル中0.1%v/vのギ酸の溶液。
【0244】
方法B
方法Bは、Xselect CSH C18カラム(典型的には150mm×30mm(内径)、充填物直径5μm)上で、周囲温度にて行った。利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=アンモニアでpH10に調整された水中10mM重炭酸アンモニウム
B=アセトニトリル。
【0245】
方法C
方法Cは、Xselect CSHカラム(典型的には、150mm×30mm(内径)、充填物直径5μm)上で、周囲温度にて行った。利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中0.1%v/vのTFAの溶液
B=アセトニトリル中0.1%v/vのTFAの溶液。
【0246】
1H NMR
1H NMRスペクトルは、Bruker AVII+400MHz分光計上でクライオプローブを用いて、0.00ppmのTMSを基準としてCDCl
3、CD
3OD又はDMSO-d
6中で記録された。
【0247】
中間体調製
別段に記載されない限り、中間体及び実施例の調製のための出発物質は、例えば、PharmaTech及びSigma Aldrichから市販されている。
【0248】
中間体1:2,4-ジブロモ-1-エチル-1H-イミダゾール
【0249】
【化50】
窒素雰囲気下で、水素化ナトリウム(0.575g、14.39mmol)を、氷浴を用いて冷却された、無水DMF(5mL)を含むフラスコに添加した。数分後、2,4-ジブロモ-1H-イミダゾール(2.5g、11.07mmol)を少しずつ添加し(試薬が難溶性を示したとき、添加途中でDMF(5mL)を添加した)、その後ブロモエタン(1mL、13.40mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を窒素下で撹拌し、氷浴で30分間冷却し、その後室温に到達させて、17時間撹拌したままにした。この混合物を、氷水混合物の添加によりクエンチし、EtOAcで抽出し(×3)、有機物を合わせてブラインで洗浄し(×3)、Na
2SO
4で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去し、3.01gの粘性の低い油状物を得た。この粗物質を340gのSiカートリッジ上で精製し、20CVにわたるシクロヘキサン中0〜20%Et
2Oで溶出(溶離)した。2,5-ジブロモ-1-エチル-1H-イミダゾールが最初に溶出し、その後標題化合物が溶出した。いずれの場合も、関連画分を合わせ、揮発性物質を減圧下で除去し、標題化合物(1.75g、6.89mmol、62.3%)を白色の粘性固体として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.82分;MH
+253、255、257。
【0250】
中間体2:1-(シクロプロピルメチル)-2-ヨード-1H-イミダゾール
【0251】
【化51】
アセトン(20mL)中の2-ヨード-1H-イミダゾール(1.0g、5.16mmol)、(ブロモメチル)シクロプロパン(766mg、551μL、5.67mmol)及び炭酸カリウム(2.14g、15.47mmol)の混合物を、還流下で24時間加熱した。冷却した反応混合物を濾過し、溶媒を濾液から蒸発させ、標題化合物(1.12g、4.51mmol、88%)を黄色油状物として得た。これをさらに精製することなく使用した。LCMS:(システムA):t
RET=0.39分;MH
+249。
【0252】
中間体3:4-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール
【0253】
【化52】
4-クロロ-1H-イミダゾール(2g、19.51mmol)及び炭酸カリウム(5.39g、39.0mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、排気/再充填により窒素雰囲気下に置いた。DMF(25mL)を添加し、容器の排気/再充填を繰り返し、混合物を撹拌した後、DMF(25mL)中の(2-(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(6.91mL、39.0mmol)を添加した。反応容器を窒素雰囲気下に置き、室温で撹拌したままにした。3.5時間後、反応混合物を後処理に進めた。反応混合物を20mLの水でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。残留物を50mLのEtOAc中に溶解させ、30mLの水で洗浄し、次いで、30mLのブラインで洗浄した。有機層を疎水性フリットに通過させ、溶媒を減圧下で除去した。サンプルを最小限のジクロロメタン中にロードし、120gのシリカカートリッジを使用して、0〜30%酢酸エチル-シクロヘキサン溶媒系を用いて溶出する勾配溶出カラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物を淡黄色油状物(2.37g)として得た。LCMS:(システムA):t
RET=1.16分;MH
+233、235。
【0254】
中間体4:2-ブロモ-4-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール
【0255】
【化53】
窒素雰囲気下で0℃のTHF(22mL)中の4-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体3を参照、2.00g、8.59mmol)の撹拌溶液に、1M TMPMgCl・LiCl(12.89mL、12.89mmol)を滴加した。反応物をこの温度で1時間撹拌し、その後THF(20mL)中のCBr
4(5.70g、17.18mmol)を5分間かけて滴加した。反応物をゆっくりと室温に温め、さらに3時間撹拌した。反応物を、NaHCO
3飽和水溶液(5mL)の添加によりクエンチし、DCMで抽出した(3x5mL)。合わせた有機層を疎水性フィルターに通して乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗サンプルをDCM(10mL)中に溶解させ、120gのシリカカラム(ヘキサンで予め洗浄)上に直接ロードした。30CVにわたるシクロヘキサン〜シクロヘキサン中30%EtOAcで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、標題化合物(1.86g、5.67mmol、66%)を薄い褐色の油状物として得た。LCMS:(システムA):t
RET=1.30分;MH
+311、313、315。
【0256】
中間体5:5-(4-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0257】
【化54】
2つの20mLマイクロ波バイアルに、炭酸カリウム(1g、7.24mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、0.863g、3.47mmol)及び2-ブロモ-4-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体4を参照、0.9g、2.89mmol)、1,4-ジオキサン(10mL)及び水(2.5mL)を添加し、窒素で5分間パージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.100g、0.087mmol)を添加し、バイアルを密封し、窒素でさらに5分間パージした。マイクロ波反応器中で、反応物を110℃で1時間撹拌した。2つのバイアルを合わせ、溶媒を真空中で除去し、粗残留物を酢酸エチル(20mL)中に溶解し、セライトに通して濾過し、3x20mLのEtOAcで洗浄した。溶媒を真空中で除去した。粗残留物をDCM(10mL)中に溶解させ、120gのシリカカラム(シクロヘキサンで予め洗浄)上にロードした。30CVにわたる100%シクロヘキサン〜100%EtOAcで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製により、標題化合物(921mg、2.60mmol、45%)を淡黄色の固体として得た。LCMS:(システムA):t
RET=1.16分;MH
+354、356。
【0258】
中間体6:メチル1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート
【0259】
【化55】
メチル1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(2g、15.86mmol)及び炭酸カリウム(4.38g、31.7mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、排気/再充填により窒素雰囲気下に置いた。アセトン(20mL)を添加し、容器の排気/再充填を繰り返し、混合物を撹拌した後、(2-(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(3.37mL、19.03mmol)を添加した。反応容器を窒素雰囲気下に置き、室温で一晩(終夜)撹拌したままにした。さらなる0.33当量の(2-(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(0.926mL、5.23mmol)を添加し、反応をさらに4時間継続したままにした。反応混合物を、40mLの水の添加でクエンチし、10mLのブラインを添加して三相溶液の形成を防止しながらEtOAc(40mL)で抽出した。水性層をさらなる3x40mLのEtOAcで抽出した。有機層を合わせ、疎水性フリットに通過させて、溶媒を減圧下で除去した。サンプルをDCM中に溶解させ、シリカ120gカートリッジを使用して、25CVにわたる10〜75%酢酸エチル-シクロヘキサンの溶媒系を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、以下の2つの生成物を得た:
メチル1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-5-カルボキシレート(1.45g)。LCMS(システムB):t
RET=1.10分;MH
+257。
メチル1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(標題化合物)(1.34g)。LCMS(システムB):t
RET=1.02分;MH
+257。
【0260】
中間体7:メチル2-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート
【0261】
【化56】
メチル1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(調製例については中間体6を参照、297mg、1.158mmol)を、トリフルオロトルエン(6mL)を含む丸底フラスコに添加した。溶解したら、アゾビスイソブチロニトリル(9.51mg、0.058mmol)及びN-ブロモスクシンイミド(227mg、1.274mmol)を添加し、このフラスコを窒素雰囲気下に置いた。反応混合物を65℃で一晩撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)でクエンチし、EtOAc(2x20mL)で抽出した。有機層を合わせ、溶媒を減圧下で除去した。サンプルをDCM中にロードし、シリカカートリッジ(80g)を使用して、酢酸エチル-シクロヘキサン溶媒系[10〜20%、1CV;20%、7CV;20〜100%、3CV;100%、3CV]を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空中で除去して、標題化合物を白色の固体として得た(206mg、0.61mmol、53%)。LCMS(システムB):t
RET=1.16分;MH
+335、337。
【0262】
中間体8:メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート
【0263】
【化57】
1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、1.739g、6.98mmol)、メチル2-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(調製例については中間体7を参照、1.56g、4.65mmol)、及び炭酸カリウム(1.929g、13.96mmol)を、撹拌子を含む5mLマイクロ波バイアルに添加した。1,4-ジオキサン(15mL)及びメタノール(5mL)をこのバイアルに添加し、これを窒素で5分間パージした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.161g、0.140mmol)を添加した。さらに5分間窒素でパージした後、バイアルに蓋をし、マイクロ波中で100℃にて1時間加熱した。さらなる0.5当量の1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(調製例については中間体3を参照、0.580g、2.326mmol)及び1mol%のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.054g、0.047mmol)を上記のマイクロ波バイアルに添加し、これを窒素でさらに10分間パージし、さらに1時間のマイクロ波の100℃での加熱に戻した。反応混合物に由来する溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。残留物を酢酸エチル中に再溶解させ、セライト(登録商標)に通して濾過して任意の水溶性不純物を除去し、溶媒を減圧下で除去した。サンプルをDCM中にロードし、シリカカラム(120g)を使用して、酢酸エチル-シクロヘキサン溶媒系[25〜75%、15CV;75%、10CV]を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチル(30mL)中に再溶解させ、有機層から全ての微量不純物が除去されるまで8部の水/ブライン(30mL/10mL)で洗浄した。有機層を疎水性フリットに通過させ、溶媒を減圧下で除去し、標題化合物をベージュ色の固体(1.76g)として得た。LCMS(システムB):t
RET=1.06分;MH
+378。
【0264】
中間体9:1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニトリル
【0265】
【化58】
1H-イミダゾール-4-カルボニトリル(1g、10.74mmol)及び炭酸カリウム(2.97g、21.49mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、排気/再充填により窒素雰囲気下に置いた。アセトン(10mL)を添加し、容器の排気/再充填を繰り返し、混合物を撹拌した後、(2-(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(2.28mL、12.89mmol)を添加した。反応容器を窒素雰囲気下に置き、室温で撹拌しながら48時間放置した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を30mLのEtOAc中に溶解させ、次いで、30mLの水及び20mLのブラインで洗浄した。合わせた水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、疎水性フリットに通過させ、溶媒を減圧下で除去した。サンプルをDCM中に溶解させ、80gのシリカカートリッジを使用して、20CVにわたる10〜75%酢酸エチル-シクロヘキサンの溶媒系を用いる勾配溶出フラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物を透明油状物(1.61g)として得たが、これはメジャーな4-カルボニトリル生成物に加えて、約10%の5-カルボニトリル位置異性体を含有していた。LCMS(システムB):t
RET=1.08分;MH
+224。
【0266】
中間体10:2-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニトリル
【0267】
【化59】
1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニトリル(調製例については中間体9を参照、1.41g、6.31mmol)を、THF(30mL)及び撹拌子を含む丸底フラスコに添加した。溶解したら、NBS(1.236g、6.94mmol)を添加し、フラスコを窒素雰囲気下に置いた。反応混合物を60℃に加熱し、撹拌しながら一晩放置した。さらなる0.25当量のNBS(0.281g、1.578mmol)を反応混合物に添加し、反応物を60℃でさらに5時間撹拌したままにした。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(30mL)に再溶解させた。反応混合物を水(30mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を疎水性フリットに通過させ、溶媒を減圧下で除去した。サンプルを、メタノール溶液からFlorisil(登録商標)上に吸収させ、80gのシリカカートリッジを使用して、0〜50%酢酸エチル-シクロヘキサン溶媒系を用いる勾配溶出カラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物を濁った油状物(943mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=1.25分間;MH
+検出されず。
【0268】
中間体11:2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニトリル
【0269】
【化60】
1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、1166mg、4.68mmol)、2-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニトリル(調製例については中間体10を参照、943mg、3.12mmol)、及び炭酸カリウム(1294mg、9.36mmol)を、撹拌子を含む5mLマイクロ波バイアルに添加した。1,4-ジオキサン(15mL)及び水(5mL)をバイアルに添加し、これを窒素で5分間パージし、その後テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(108mg、0.094mmol)を添加した。さらに5分間窒素でパージした後、バイアルに蓋をし、マイクロ波中で110℃にて1時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。残留物を酢酸エチル中に再溶解させ、セライト(登録商標)に通して濾過し、溶媒を減圧下で再度除去した。サンプルをDCM中にロードし、80gのシリカカートリッジを使用して、20CVにわたる5〜75%酢酸エチル-シクロヘキサン溶媒系を用いる勾配溶出カラムクロマトグラフィーを用いて精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物を白色の固体(551mg)として得た。第2の、純度の低いバッチも単離した。このサンプルをEtOAc(30mL)中に溶解させ、有機層中に不純物が見えなくなるまで水(8x50mL)による反復洗浄に供した。精製された第2バッチを、白色の固体(297mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=1.11分;MH
+354。
【0270】
中間体12:4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール
【0271】
【化61】
トリ-n-ブチルホスフィン(2.407mL、9.75mmol)及び4-クロロ-1H-イミダゾール(100mg、0.975mmol)を、0℃のトルエン(10mL)中に溶解させた。1,3-ジメトキシプロパン-2-オール(1.161mL、9.75mmol)を添加し、その後TMAD(840mg、4.88mmol)を添加して、反応物をこの温度で10分間撹拌した。次いで、反応物を60℃で8時間加熱し、その後80℃でさらに16時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、粗残留物をMDAP(方法B)により精製し、生成物を、クロロ位置異性体の3:1混合物としての無色油状物(126mg、0.585mmol、60%)として得た。サンプル(100mg)を1:1のMeOH:DMSO(3mL)中に溶解させ、MDAP(方法C)により精製した。溶媒を真空中で蒸発させ、第1の(望ましくない)位置異性体を透明油状物(15mg)として得た。廃溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAc(100mL)中に抽出し、その後飽和NaHCO
3溶液及びブライン(それぞれ100mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で有機層から除去した。このサンプルを1:1のMeOH:DMSO(3mL)中に溶解させ、MDAP(方法C)により精製した。溶媒を減圧下で濃縮し、飽和NaHCO
3溶液の添加により中和した。第2の生成物をEtOAc(2×100mL)中に抽出し、溶媒を減圧下で除去し、第2の位置異性体(標題化合物)を透明油状物(65mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.71分;MH
+205、207。
【0272】
中間体13:2-ブロモ-4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール
【0273】
【化62】
THF(1.5mL)中の4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体12を参照、64mg、0.313mmol)の溶液を、乾燥した2〜5mLマイクロ波バイアル中に準備し、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。TMPMgCl・LiCl(THF/トルエン中1M)(0.469mL、0.469mmol)を滴加し、反応物を1時間撹拌した。THF(1mL)中のCBr
4(207mg、0.625mmol)の溶液を、第2の乾燥したマイクロ波バイアル中に窒素下で準備し、この溶液をシリンジにより第1の反応容器に滴下して移した。反応混合物を室温に到達させ、窒素下でさらに4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(50mL)中に再溶解させた。これを飽和NaHCO
3溶液(50mL)で洗浄し、その後有機層を疎水性フリットに通して、溶媒を減圧下で除去した。サンプルを1:1のMeOH:DMSO(3mL)中に溶解させ、MDAP(方法B)により精製した。溶媒を真空中で蒸発させ、標題化合物を黄色油状物(55mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.89分;MH
+283、285、287。
【0274】
中間体14:rac-tert-ブチル3-((4-クロロ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0275】
【化63】
4-クロロ-1H-イミダゾール(2g、19.51mmol)、DIPEA(6.81mL、39.0mmol)及びK
2CO
3(5.39g、39.0mmol)を、窒素下にDMF(100mL)中で合わせ、5分間撹拌した。tert-ブチル3-(ブロモメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(7.60g、27.3mmol)を添加し、反応物を一晩100℃で加熱した。反応物を冷却して濾過し、その後真空中で濃縮して、黄色の半固体を得た。残留物をMeOH(20mL)中に溶解し、8mLを60gのC18シリカに適用し、これを(水+0.1%ギ酸)中0%(MeCN+0.1%ギ酸)で2CV溶出し、次いで0〜50%(MeCN+0.1%ギ酸)で10CVにわたって溶出し、その後50%で5CV保持した。適切な画分を合わせ、真空中で濃縮して、標題化合物(バッチ1)を透明油状物として得た。残りの粗生成物を、同じ勾配及び120gシリカカラムを用いて精製した(粗溶液はわずかに濁っていたため、2滴の水を添加して可溶化した)。適切な画分を真空中で濃縮し、透明油状物を得た。この油状物を、120gのシリカカラム及び上記の溶出条件を用いてさらに精製した。適切な画分を真空中で濃縮し、標題化合物(バッチ2)を透明油状物として得た。混合画分(上記の精製に由来)を合わせ、真空中で濃縮して黄色油状物を得た。これを最小限のMeOH中に溶解して2部に分割し、それぞれを、上記と同じ勾配を用いて120gのシリカカラム上で精製した。これらのカラムから適切な画分を合わせ、真空中で濃縮して、標題化合物(バッチ3)を黄色油状物として得た。標題化合物の3つのバッチを最小限のMeOH中で合わせ、その後真空中で濃縮して、標題化合物(3.57g)の単一バッチを黄色油状物として得た。LCMS(システムB) t
RET、1.05分、MH
+=300、302。
【0276】
中間体15:rac-tert-ブチル3-((2-ブロモ-4-クロロ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0277】
【化64】
tert-ブチル3-((4-クロロ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(中間体14、3.565g、11.89mmol)を窒素下でTHF(30mL)中に溶解し、氷浴中で冷却した。TMPMgCl・LiCl(THF中1M)(17.84mL、17.84mmol)を約10分間かけて滴加し、反応物を30分間撹拌した。THF(30mL)中のCBr
4(7.89g、23.78mmol)を滴加し、反応物を撹拌したままにし、一晩温めた。反応物を氷浴中で冷却し、飽和NaHCO
3(50mL)でクエンチした後、EtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機物をブライン(250mL)で洗浄した後、疎水性フリットを通して溶出させ、真空中で濃縮して褐色油状物を得た。この油状物を最小限のDCM中に溶解し、2つに分割した。各部分を100gのSNAPカートリッジに適用してシクロヘキサン中0%酢酸エチルで2CV溶出し、次いで0〜50%酢酸エチルで10CVにわたって溶出し、その後50%で5CV保持した。各カラムからの適切な画分を合わせ、真空中で濃縮して標題化合物(3.606g、76%)を暗橙色油状物として得た。LCMS(システムB) t
RET、1.20分、MH+=378、380、382。
【0278】
中間体16:rac-tert-ブチル3-((4-クロロ-2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0279】
【化65】
tert-ブチル3-((2-ブロモ-4-クロロ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(調製例については中間体15を参照、3.6g、9.51mmol)を、1,4-ジオキサン(24mL)及び水(6mL)中に溶解した。この溶液に窒素を10分間バブリングし、その後1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、4.74g、19.01mmol)、K
2CO
3(3.94g、28.5mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.549g、0.475mmol)を添加した。反応物を、窒素下で4時間110℃で加熱した。反応物を冷却してEtOAc(50mL)で希釈し、次いでセライト(登録商標)に通して濾過した。濾過ケーキをEtOAc(25mL)で洗浄し、濾液を水及びブライン(それぞれ100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させて、疎水性フリットに通して濾過し、真空中で濃縮して橙色油状物を得た。粗生成物を最小限のDCM中で340gのSNAPカートリッジに適用し、シクロヘキサン中10%(3:1のEtOAc:EtOH)で2CV溶出し、次いで10〜60%(3:1のEtOAc:EtOH)で10CVにわたって溶出し、その後60%で5CV保持した。適切な画分を真空中で濃縮し、標題化合物(3.317g、79%)をクリーム色泡状物として得た。LCMS(システムB) t
RET、1.20分、MH+=421、423。
【0280】
中間体17:rac-5-(4-クロロ-1-(ピペリジン-3-イルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0281】
【化66】
tert-ブチル3-((4-クロロ-2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(調製例については中間体16を参照、2.8176g、6.69mmol)をDCM(50mL)中に溶解し、TFA(10mL、130mmol)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して残留物をMeOH中に溶解し、20gのSCXカートリッジに適用して、これをMeOHで溶出し、その後MeOH中2N NH
3で溶出した(それぞれ100mL)。MeOH中2N NH
3で溶出した画分を真空中で濃縮し、標題化合物(1.99g、88%)を黄色油状物として得た。LCMS(システムB) t
RET、0.68分、MH
+=321、323。
【0282】
中間体18:rac-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール
【0283】
【化67】
撹拌された4-クロロ-1H-イミダゾール(6g、58.5mmol)及び炭酸カリウム(16.18g、117mmol)に、無水DMF(200mL)中の3-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(15.72g、88mmol)の溶液を添加し、得られた混合物を窒素雰囲気下、100℃で16時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(800mL)と酢酸エチル(800mL)との間で分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチル(250mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、真空中で濃縮して粗生成物(12.19g)を得た。粗生成物を酢酸エチル中に溶解させ、12CVにわたる0〜10%エタノール-酢酸エチル(+1%Et
3N)勾配を用いてシリカカートリッジ(330g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物(7.99g、68%)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.70分;MH
+201、203。
【0284】
さらに、適切な画分の真空中での濃縮後、5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール(1.85g、16%)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.74分;MH
+201、203。
【0285】
中間体19:rac-2-ブロモ-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール
【0286】
【化68】
窒素雰囲気下で0℃の無水THF(80mL)中の4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体18を参照、7.98g、39.8mmol)の撹拌溶液に、THF/トルエン中のTMPMgCl・LiCl(1.0M)(80mL、80mmol)を30分間かけて滴加した。得られた褐色混合物を0℃で1時間撹拌した。この反応混合物に、無水THF(55mL)中のCBr
4(39.6g、119mmol)の溶液を20分間かけて滴加した。次いで、反応混合物を室温に温め(氷浴の除去)、さらに16時間撹拌した。この反応物を、冷却しながら(反応フラスコを冷水浴中に入れた)水(20mL)を注意深く添加することによりクエンチした。粒子状物質(クエンチングの際に形成)を濾過により除去し、濾過ケーキを酢酸エチル(100mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、粘性の褐色油状物(37g)を得た。残留物を酢酸エチル(500mL)と飽和水性重炭酸ナトリウム(500mL)との間で分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチル(250mL)で逆抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を2N水性塩酸(2x500mL)で抽出した。有機相をブライン(250mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、真空中で濃縮して褐色油状物(21.7g)を得た。水性相を、固体水酸化ナトリウムを用いてpH>14に調整し、酢酸エチル(2x500mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(250mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、真空中で濃縮して(4.06g)の褐色油状物を得た。単離された褐色油状物を合わせ、DCM中に溶解させ、12CVにわたる0〜50%酢酸エチル+1%Et
3N-シクロヘキサン勾配を用いてシリカカートリッジ(330g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物(9.113g、82%)を褐色油状物として得た。LCMS(システムB):t
RET 0.88分;MH
+=279、281、283。
【0287】
中間体20:4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール
【0288】
【化69】
撹拌された4-クロロ-1H-イミダゾール(27.2g、265mmol)及び炭酸カリウム(73.3g、531mmol)に、無水DMF(1000mL)中の4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(66.5g、371mmol)の溶液を添加し、得られた混合物を窒素雰囲気下、100℃の内部温度で18時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を濾過し、濾過ケーキをMeCN(50mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、幾つかの粒子状物質が存在する褐色油状物を得た。この残留物を酢酸エチル(200mL)で摩砕(triturate)して濾過した。濾過ケーキを酢酸エチル(50mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、褐色油状物(59.65g)を得た。この油状物を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、12CVにわたる0〜10%エタノール-酢酸エチル(+1%Et
3N)勾配を用いてシリカカートリッジ(1.5Kg)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物(29.4g、55%)を橙色油状物として得た。LCMS(システムB) t
RET 0.67分、MH+=201、203。
【0289】
さらに、関連画分の真空中での濃縮により、5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール(8.47g、16%)を橙色油状物として得た。LCMS(システムB) t
RET 0.71分;MH
+=201、203。
【0290】
中間体21:2-ブロモ-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール
【0291】
【化70】
窒素雰囲気下で0℃の無水THF(250mL)中の4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体20を参照、28.64g、143mmol)の撹拌溶液に、THF/トルエン中のTMPMgCl・LiCl溶液1.0M(186mL、186mmol)を45分間かけて滴加し、0〜4℃の内部温度を維持した。得られた溶液を室温に温め(氷浴の除去)、室温で60分間撹拌した。この反応混合物に、無水THF(250mL)中のCBr
4(61.5g、186mmol)の溶液を60分間かけて滴加し、17〜24℃の内部温度を維持した。得られた褐色溶液を室温で2.5時間撹拌した。この反応物を、水(65mL)をゆっくりと添加することによりクエンチした。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(800mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、半固体の褐色ガム状物を得た。このガム状物を水(1L)と酢酸エチル(800mL)との間で分配し、有機相を分離し、水性相を酢酸エチル(400mL)でさらに抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、真空中で濃縮して粘性の褐色油状物(76.4g)を得た。この油状物をDCM中に溶解させ、12CVにわたる0〜50%酢酸エチル+1%Et
3N-シクロヘキサン勾配を用いてシリカカートリッジ(750g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて褐色の固体(30.8g)とした。この固体を、石油エーテル40-60(50mL)で摩砕した。母液をデカントし、得られた固体を真空中で乾燥させ、標題化合物(29.8g、75%)を褐色の固体として得た。LCMS(システムB) t
RET、0.84分、MH
+=279、281、283。
【0292】
中間体22:4-ブロモ-1-エチル-1H-イミダゾールと5-ブロモ-1-エチル-1H-イミダゾールとの3:1混合物
【0293】
【化71】
アセトン(30mL)中の4-ブロモ-1H-イミダゾール(3.0g、20.4mmol)、炭酸カリウム(8.46g、61.2mmol)及びヨードエタン(4.78g、2.47mL、30.6mmol)の混合物を24時間還流した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液から溶媒を蒸発させた。残留物をクロマトグラフし[0〜10%エタノール/酢酸エチル]、標題化合物を無色油状物(480mg)として得た。LCMS(システムB) t
RET=0.61分及び0.67分;MH
+=175、177及び175、177。
【0294】
中間体23:メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート
【0295】
【化72】
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(調製例については中間体8を参照、1.76g、4.66mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、無水メタノール(20mL)中に溶解させた。このフラスコを排気/再充填により窒素でパージし、トリメチルシリルクロリド(11.92mL、93mmol)を反応混合物に添加した。この反応混合物を、窒素雰囲気下、40℃で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をメタノール(30mL)中に2回再溶解させ、溶媒を真空中で除去した。粗生成物をメタノール中にロードして、20gスルホン酸(SCX)カートリッジを使用し、メタノール、その後メタノール中2Mアンモニアの連続溶媒溶出を用いてSPEにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空中で除去し、標題化合物を白色の固体(773mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.56分;MH
+248。
【0296】
中間体24:rac-2,4-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール
【0297】
【化73】
DMF(3.8mL)中に溶解させた2,4-ジブロモ-1H-イミダゾール(300mg、1.328mmol)の溶液に、3-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.192mL、1.461mmol)及び炭酸カリウム(551mg、3.98mmol)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、マイクロ波照射下、100℃で45分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(15mL)中に溶解させた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)、ブライン(15mL)で洗浄し、水性層をEtOAc(2×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、疎水性フリットに通過させ、溶媒を減圧下で除去して黄色油状物を得た。得られた残留物を3mL DCM中に溶解させ、シクロヘキサン〜シクロヘキサン中30%EtOAc(+1%NEt
3)で溶出する40gの通常相シリカカラムを用いて精製し、標題化合物を無色油状物(160mg)として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.88分;MH
+323、325、327。
【0298】
中間体25:2,4-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾールと2,5-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾールとの3:1混合物
【0299】
【化74】
DMF(2.5mL)中に溶解させた2,4-ジブロモ-1H-イミダゾール(200mg、0.885mmol)の溶液に、炭酸カリウム(367mg、2.66mmol)及び4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.128mL、0.974mmol)を添加し、反応混合物をマイクロ波照射下、100℃で45分間撹拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層をブライン溶液(10mL)で洗浄し、次いで疎水性フリットに通過させ、真空中で濃縮して橙色油状物を得た。得られた残留物を3mL DCM中に溶解させ、シクロヘキサン〜シクロヘキサン中50%EtOAc(+1%NEt
3)で溶出する12gの通常相シリカカラムを用いて精製し、標題化合物を黄色油状物(193mg)として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.84分;MH
+323、325、327。
【0300】
中間体26:rac-1-(3-((2,4-ジブロモ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-イル)エタノン
【0301】
【化75】
1-(3-(ブロモメチル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(366mg、1.664mmol)、2,4-ジブロモ-1H-イミダゾール(300mg、1.328mmol)及び炭酸カリウム(556mg、4.02mmol)をアセトニトリル(6mL)中に溶解させた。反応を窒素下で実施し、80℃で17時間磁気撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)に通して濾過し、酢酸エチル(20mL)で洗浄した。次いで、溶媒を真空中で蒸発させ、橙色油状物を得た。残留物を3mL DCM中に溶解させ、40gのシリカカラム上にロードした。EtOAc(+1%NEt
3)〜EtOAc中5%エタノール(+1%NEt
3)で溶出し、粗生成物を得た。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法C)により精製し、標題化合物を無色油状物(162mg)として得た。LCMS(システムC):t
RET=0.74分;MH
+364、366、368。
【0302】
実施例1:5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0303】
【化76】
窒素下、室温で撹拌された1,4-ジオキサン(200mL)及び水(60mL)中の2-ブロモ-1H-イミダゾール(21.0g、138mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTech Incから市販されているもの、38.0g、152mmol)及び炭酸カリウム(57.4g、415mmol)の脱気溶液に、固体テトラキス(8.00g、6.92mmol)を1回で添加した。反応混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)パッドに通して濾過し、濾液を分離した。水性層を、DCM中10%MeOH(2x100mL)で再抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させて、粗生成物を褐色ガム状物として得た。粗生成物をジエチルエーテル中10%DCM(2x50mL)で摩砕した。得られた固体を濾過し、減圧下で乾燥させ、粗化合物をクリーム色の固体として得た。この化合物をジエチルエーテルで摩砕し、セライト(登録商標)パッドに通して濾過し、減圧下で乾燥させて、標題化合物(23.0g、120mmol、87%)をクリーム色の固体として得た。LCMS(システムD):t
RET=2.14分;MH
+190。
【0304】
実施例2:5-(4-ブロモ-1-エチル-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0305】
【化77】
小フラスコ中で、THF(5mL)を、トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン(0.797g、2.52mmol)及びジアセトキシパラジウム(0.283g、1.260mmol)に添加し、得られた混合物を5分間撹拌し、その後、2,4-ジブロモ-1-エチル-1H-イミダゾール(調製例については中間体1を参照、3.2g、12.60mmol)、リン酸カリウム(8.03g、37.8mmol)及び1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、10.1g、15.0mmol)を含む250mL丸底フラスコに添加した。得られた混合物を還流下で88時間加熱した。反応物を冷却させ、次いでEtOAcと水との間で分配し、水性相をEtOAcで抽出し、有機物を合わせ、Na
2SO
4を用いて乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去し、油状物を得た。この粗物質を、10CVにわたる酢酸エチル中0〜50%(3:1(酢酸エチル:エタノール))勾配を用いて、100gカラム上のシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。関連画分を合わせ、標題化合物(1.178g、3.98mmol、31.6%)を油状物として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.73分;MH
+296、298。
【0306】
実施例3:5-(1-(シクロプロピルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0307】
【化78】
エタノール(2mL)及びトルエン(2mL)中の1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、50mg、0.2mmol)、1-(シクロプロピルメチル)-2-ヨード-1H-イミダゾール(調製例については中間体2を参照、50mg、0.2mmol)、炭酸カリウム(139mg、1.0mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(14mg、10mol%)の混合物を、マイクロ波中120℃で30分間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、セライト(登録商標)に通して濾過した。溶媒を濾液から蒸発させ、残留物をクロマトグラフし[0〜10%エタノール/酢酸エチル]、標題化合物(10mg、0.041mmol、20%)を無色ガム状物として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.43分;MH
+244。
【0308】
実施例4:5-(4-ブロモ-1-(シクロプロピルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0309】
【化79】
ジクロロメタン(2mL)中の5-(1-(シクロプロピルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例3を参照、33mg、0.123mmol)の溶液を0℃に冷却し、N-ブロモスクシンイミド(22mg、0124mmol)で処理した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をクロマトグラフし[0〜10%エタノール/酢酸エチル]、標題化合物(29mg、0.090mmol、73%)を黄色油状物として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.84分;MH
+322、324。
【0310】
実施例5:5-(1-イソブチル-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0311】
【化80】
5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、0.114g、0.6mmol)をDMF(2.4mL)中に溶解させた。0.6mL(0.15mmol)の溶液を、1-ブロモ-2-メチルプロパン(0.2mmol)に添加した。炭酸カリウム(0.041g、0.300mmol)を添加した。反応容器を密封し、18時間50℃で撹拌したままにした。温度を70℃に上げた。2時間後、2当量のDIPEA(0.35mL)を、さらなる1当量の炭酸カリウム(0.041g、0.300mmol)及び1当量の1-ブロモ-2-メチルプロパン(0.2mmol)と一緒に反応混合物に添加した。反応物を70℃で3時間撹拌したままにした。反応容器を密封し、最初に600Wを用いてマイクロ波中、90℃で30分間加熱した。反応物を室温に冷却した後、サンプルをMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(20mg、0.081mmol、49%)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.43分;MH
+246。
【0312】
実施例6:1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン
【0313】
【化81】
5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、0.114g、0.6mmol)をDMF(2.4mL)中に溶解させた。0.6mL(0.15mmol)の溶液を、4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.2mmol)に添加した。炭酸カリウム(0.041g、0.300mmol)を添加した。反応容器を密封し、18時間50℃で撹拌したままにした。温度を70℃に上げた。2時間後、2当量のDIPEA(0.35mL)を、さらなる1当量の炭酸カリウム(0.041g、0.30mmol)及び1当量の4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.2mmol)と一緒に反応混合物に添加した。反応物を70℃で3時間撹拌したままにした。反応容器を密封し、最初に600Wを用いてマイクロ波中、90℃で30分間加熱した。反応物を室温に冷却した後、サンプルをMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(8.3mg、0.029mmol、17%)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.34分;MH
+288。
【0314】
実施例7:rac-1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン
【0315】
【化82】
5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、0.114g、0.6mmol)をDMF(2.4mL)中に溶解させた。0.6mL(0.15mmol)の溶液を、rac-2-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.2mmol)に添加した。炭酸カリウム(0.041g、0.300mmol)を添加した。反応容器を密封し、18時間50℃で撹拌したままにした。温度を70℃に上げた。2時間後、2当量のDIPEA(0.35mL)を、さらなる1当量の炭酸カリウム(0.041g、0.30mmol)及び1当量のrac-2-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.2mmol)と一緒に反応混合物に添加した。反応物を70℃で3時間撹拌したままにした。反応容器を密封し、最初に600Wを用いてマイクロ波中、90℃で30分間加熱した。反応物を室温に冷却した後、サンプルをMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(5.7mg、0.029mmol、12%)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.46分;MH
+288。
【0316】
実施例8:1,3-ジメチル-5-(1-(ピペリジン-4-イルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン
【0317】
【化83】
5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、0.114g、0.6mmol)をDMF(2.4m)中に溶解させた。0.6mL(0.15mmol)の溶液を、tert-ブチル4-(ブロモメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.2mmol)に添加した。炭酸カリウム(0.041g、0.300mmol)及びジメチルスルホキシド(DMSO)(0.2mL)を添加した。反応容器を密封し、最初に600Wを用いてマイクロ波中、90℃で30分間加熱した。反応物を室温に冷却した後、反応溶媒(DMF、DMSO)中のサンプルをMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、Boc生成物を得た。0.5mLの1,4-ジオキサン中4M HClを添加し、サンプルを一晩放置した。溶媒を除去した。サンプルをDMSO(0.8mL)中に溶解させ、MDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(3.9mg)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.56分;MH
+286。
【0318】
実施例9:rac-1,3-ジメチル-5-(1-((テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン
【0319】
【化84】
水素化ナトリウム(80mg、2mmol)及び5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、0.284g、1.5mmol)をDMF(6mL)中に溶解させ、混合物を22℃で15分間撹拌した。次いで、0.6mLの混合物を、2-(ブロモメチル)テトラヒドロフラン(0.15mmol)に添加した。反応容器を密封し、22℃で18時間撹拌したままにした。18時間後、さらなる当量の水素化ナトリウム(0.008g、0.20mmol)を反応物に添加し、反応物を22℃で2時間撹拌したままにした。反応物を0.3mLのMeOHでクエンチした。サンプルをMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(3.2mg、0.012mmol、7%)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.64分;MH
+274。
【0320】
実施例10:5-(1-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0321】
【化85】
水素化ナトリウム(0.053g、1.32mmol)及び5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、0.114g、0.6mmol)をDMF(2.4mL)中に溶解させ、混合物を22℃で15分間撹拌した。次いで、0.6mLの混合物(0.15mmolのコア、0.33mmolの水素化ナトリウム)を、1-ブロモ-2-メトキシエタン(0.2mmol)に添加した。反応容器を密封し、22℃で18時間撹拌したままにした。反応物を0.3mLのMeOHでクエンチした。DMF/MeOH中のサンプルを、MDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(5.4mg、13%)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.27分;MH
+248。
【0322】
実施例11:5-(1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0323】
【化86】
DIAD(0.057mL、0.291mmol)を、暗中で、乾燥THF(0.5mL)中の5-(1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例1を参照、50mg、0.264mmol)、1,3-ジメトキシプロパン-2-オール(0.035mL、0.291mmol)及びトリフェニルホスフィン(76mg、0.291mmol)の撹拌溶液に添加した。反応物を、窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。さらなる2当量の1,3-ジメトキシプロパン-2-オール(0.063mL、0.529mmol)及びトリフェニルホスフィン(139mg、0.529mmol)を添加し、反応混合物を窒素で5分間パージした後、2当量のDIAD(0.103mL、0.529mmol)を添加した。40℃で5時間撹拌した後、変換が依然として限定されていたため、さらなる2当量の1,3-ジメトキシプロパン-2-オール(0.063mL、0.529mmol)及び2当量のDIAD(0.103mL、0.529mmol)を添加し、反応物をマイクロ波中、50℃で1時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を1:1のMeCN:DMSO(6mL)中に溶解させ、2xMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、生成物含有画分を合わせた。サンプルを1:1のMeCN:DMSO(0.9mL)中に溶解させ、MDPA(方法B)により精製した。生成物含有画分をもう一度回収して乾燥させたが、不純物が依然としてはっきりと見られた。水性抽出でも不純物を除去することができず、その後サンプルをさらなる精製に供した。5mgの物質をDMSO(3mL)中に溶解させた。3000μLの注入をCSH C18 150×30mm、5μmカラム上に行い、これを、10mM水性重炭酸アンモニウム(アンモニアでpH10に調整)中0〜99%MeCNの勾配を用いて、40mL/分で41分間かけて溶出した。蒸発後、標題化合物を白色の固体(2mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.66分;MH
+292。
【0324】
実施例12:メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-カルボキシレート
【0325】
【化87】
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(調製例については中間体8を参照、1.76g、4.66mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、無水メタノール(20mL)中に溶解させた。このフラスコを排気/再充填により窒素でパージし、トリメチルシリルクロリド(11.92mL、93mmol)を反応混合物に添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下、40℃で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をメタノール(30mL)中に2回再溶解させ、溶媒を真空中で除去した。粗生成物をメタノール中にロードし、20gのスルホン酸(SCX)カートリッジを使用して、メタノール、その後メタノール中2Mアンモニア(2M)の連続溶媒溶出を用いてSPEにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空中で除去し、標題化合物を白色の固体(773mg、3.13mmol、67%)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.56分;MH
+248。
【0326】
実施例13:5-(5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0327】
【化88】
5-(4-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については中間体5を参照、538mg、1.44mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、無水メタノール(6mL)中に溶解させた。このフラスコを排気/再充填によりパージし、TMS-Cl(3.8mL、29.7mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を40℃で一晩撹拌した。別の部分のTMS-Cl(3.8mL、29.7mmol)を反応混合物に添加し、反応物を40℃で一晩撹拌したままにした。溶媒を減圧下で除去した。任意の残留不純物を除去し、生成物を塩ではなく遊離塩基として得るため、粗生成物をメタノール中にロードし、スルホン酸(SCX)2gカートリッジ上で、メタノール、2Mアンモニア/メタノールを用いる連続溶媒溶出を用いて、SPEにより精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、標題化合物(324mg)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.57分;MH
+224、226。
【0328】
実施例14:2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
【0329】
【化89】
2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボニトリル(調製例については中間体11を参照、848mg、2.462mmol)を、撹拌子を含む丸底フラスコに添加し、無水メタノール(10mL)中に溶解させた。このフラスコを排気/再充填によりパージし、TMS-Cl(6.29mL、49.2mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下、40℃で一晩撹拌した。その後のメタノール(2×30mL)の添加及び溶媒蒸発の反復を用いて任意の高沸点副産物の除去を試み、これを確実に行った。粗生成物をメタノール中に溶解させ、20gのスルホン酸(SCX)カートリッジ上で、メタノール、2Mアンモニア/メタノールを用いる連続溶媒溶出を用いてSPEにより精製した。生成物含有画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去した。サンプルを、3mLのMeOH:DMSO中に部分的に溶解させて濾過した。サンプルをMDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、明確な同一性を有する2バッチの生成物を得た。最初の濾過で得られた残留物をH
2O(+最小限の2M HCl)6mL中に溶解させ、MDAP(方法C)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、明確な同一性を有する3バッチの生成物を得た。3回の実行(run)にわたる同等の生成物画分を合わせた。生成物が白色の固体(290mg)として得られた。20mgを1:1のMeOH:DMSO(0.9mL)中に溶解させ、MDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で除去し、標題化合物を白色の固体(14mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.44分;MH
+233。
【0330】
実施例15:2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル
【0331】
【化90】
1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(1472mg、5.91mmol)、2-ブロモ-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボニトリル(776mg、3.94mmol)、及び炭酸カリウム(1361mg、9.85mmol)を、撹拌子を含む5mLマイクロ波バイアルに添加した。1,4-ジオキサン(15mL)及び水(5mL)をバイアルに添加し、これを窒素で5分間パージした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(137mg、0.118mmol)を添加した。さらに5分間窒素でパージした後、バイアルに蓋をし、マイクロ波中、110℃で1時間加熱した。混合物をセライト(登録商標)に通して濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残留物を撹拌して酢酸エチル中で懸濁液を形成し、その後セライト(登録商標)に通して濾過して、さらなる酢酸エチルで洗浄した。難溶性の生成物を、メタノールを含むカートリッジに通してすすぎ、別の丸底フラスコに入れた。無機塩基が存在したままであり、ポアライトポリマー(porelite polymer)への付着による精製を試みたが、その後の洗浄は失敗であった。この画分をメタノール中に溶解させ、濾過してすべてのポアライト(porelite)を除去し、溶媒を減圧下で除去し、濾過して濾液を乾燥させ、生成物の予備バッチ(101mg)を得た。生成物が依然として濾過ケーキ中に存在するのがはっきりと分かったため、これをエタノール中に懸濁させて濾過し、さらなるエタノールで洗浄してさらなる生成物を単離した。溶媒を濾液から除去し、第2の、標題化合物のより大きなバッチ(885mg)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.57分;MH
+240。
【0332】
実施例16:5-(1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-4,5-ジメチル-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0333】
【化91】
ジアセチル(50mg、0.581mmol)、1,3-ジメトキシプロパン-2-アミン(83mg、0.697mmol)、酢酸アンモニウム(53.7mg、0.697mmol)、1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド(88mg、0.581mmol)及び酢酸(0.166mL、2.90mmol)の混合物をクロロホルム(0.2mL)中に溶解させた。反応容器を密封し、マイクロ波リアクター中、140℃で10分間加熱した。サンプルをそのまま注入し、MDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(16mg)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.42分;MH
+320。
【0334】
実施例17:5-(4-(4-ブロモフェニル)-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0335】
【化92】
酢酸アンモニウム(38mg、0.493mmol)、2-ブロモ-1-(4-ブロモフェニル)エタノン(92mg、0.331mmol)、1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド(50mg、0.331mmol)、1,3-ジメトキシプロパン-2-アミン(42.3μL、0.331mmol)の混合物を、4mLガラスバイアルに入れ、クロロホルム(0.2mL)中に溶解させて、酢酸(50μL、0.873mmol)を添加した。反応容器を密封し、マイクロ波リアクター中、130℃で10分間加熱した。サンプルをDMSO(1mL)で希釈し、2回の注入(それぞれ約0.7mL)に分けて、MDAP(方法B)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させて、生成物を得た。サンプルをDMSO(0.6mL)中に溶解させ、MDAP(方法A)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させて、標題化合物を白色の固体(8.8mg)として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.84分;MH
+446、448。
【0336】
実施例18及び19:rac-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(実施例18)及びrac-5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(実施例19)
【0337】
【化93】
0℃のDMF(2mL)中の5-(4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例13を参照、40mg、0.161mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(12.88mg、0.322mmol)を添加した。反応物を30分間撹拌し、その後2-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.021mL、0.161mmol)を添加した。反応物を室温に温め、室温で一晩撹拌したままにした。溶媒を真空中で蒸発させた。固体をDMF(0.8mL)中に溶解させ、マイクロ波バイアルに移した。炭酸カリウム(44.5mg、0.322mmol)、2-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.062mL、0.483mmol)及びDIPEA(0.056mL、0.322mmol)を添加した。反応容器を密封し、100℃で2時間加熱した。反応を一晩撹拌したままにした。溶媒を真空中で蒸発させた。サンプルを1:1のMeOH:DMSO(1mL)中に溶解させ、MDAP(ギ酸法)により精製した。両異性体を回収し、別々に保持した。溶媒を真空中で蒸発させ、窒素流下でさらに乾燥させた。主な(major)異性体をMeOH中に溶解させ、SCXカラムに添加して、MeOHで溶出し、その後MeOH中2Mアンモニアで溶出した。適切な画分を真空中で蒸発させ、窒素流下でさらに乾燥させた。サンプルを1mL MeOH中に溶解させ、MDAP(高pH法)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、標題化合物(実施例18)(4.6mg)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.87分;MH
+322、324。少量の(minor)異性体をMeOH中に溶解させ、SCXカラムに添加して、MeOHで溶出し、その後MeOH中2Mアンモニアで溶出した。適切な画分を真空中で蒸発させ、窒素流下でさらに乾燥させて、標題化合物(実施例19)(4mg)を得た。LCMS(システムA):t
RET=0.70分;MH
+322。
【0338】
実施例20:5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0339】
【化94】
0℃のDMF(2mL)中の5-(4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例13を参照、40mg、0.179mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(17.88mg、0.447mmol)を添加した。反応物を30分間撹拌し、その後4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.035mL、0.268mmol)を添加した。反応物を室温に温め、さらに18時間撹拌した。反応物をメタノール(2mL)でクエンチし、溶媒を真空中で除去した。反応混合物を、2〜5mLマイクロ波バイアル中でDMF(2mL)中に再溶解させ、4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.071mL、0.537mmol)、炭酸カリウム(49.4mg、0.358mmol)及びDIPEA(0.062mL、0.358mmol)を添加し、反応物を100℃で18時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、粗残留物をDMSO/MeOH(1.8mL)中に溶解させた。MDAP(高pH法)により精製し、標題化合物(3.8mg、10.63μmol、6%)を無色フィルム状物として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.56分;MH
+322、324。他の異性体(実施例30)も無色フィルム状物(22mg)として単離された。
【0340】
実施例21:rac-5-(5-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0341】
【化95】
0℃のDMF(2mL)中の5-(4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例13を参照、40mg、0.179mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(17.88mg、0.447mmol)を添加した。反応物を30分間撹拌し、その後3-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.034mL、0.268mmol)を添加した。反応物を室温に温め、さらに18時間撹拌した。反応物をメタノール(2mL)でクエンチし、溶媒を真空中で除去した。反応物を2〜5mLマイクロ波バイアル中でDMF(2mL)中に再溶解させ、DIPEA(0.062mL、0.358mmol)、炭酸カリウム(49.4mg、0.358mmol)及び3-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.067mL、0.537mmol)を添加し、反応物を100℃で18時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、粗残留物をDMSO/MeOH(1.8mL)中に再溶解させて濾過した。この溶液をMDAP(方法A)により精製し、生成物(4.4mg、0.012mmol、7%)を無色フィルム状物として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.59分;MH
+322、324。他の異性体(実施例27)も無色フィルム状物(20mg)として単離することができた。
【0342】
実施例22:5-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0343】
【化96】
1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(73.8mg、0.296mmol)、2-ブロモ-4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体13を参照、56mg、0.197mmol)、及び炭酸カリウム(68.2mg、0.494mmol)を、撹拌子を含む5mLマイクロ波バイアルに添加した。1,4-ジオキサン(0.75mL)及びメタノール(0.25mL)をバイアルに添加し、これを窒素で5分間パージした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(6.85mg、5.92μmol)を添加した。さらに5分間窒素でパージした後、バイアルに蓋をし、マイクロ波中、100℃で1時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(20mL)中に溶解させた。溶液をセライト(登録商標)に通して濾過し、濾液から減圧下で溶媒を除去した。サンプルを1:1のMeOH:DMSO(0.9mL)中に溶解させ、MDAP(高pH法)により精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、粗生成物を得た。さらなる精製を試みた;サンプルをiPrOH中にロードし、1gのスルホン酸(SCX)カートリッジ上で、連続溶媒iPrOH、2Mアンモニア/iPrOHを用いてSPEにより精製した。この精製では3%の不純物を除去することができず、画分を再度合わせ、溶媒を減圧下で除去した。サンプル(約60mg)を12mLのDMSO中に溶解させた。3000μLの注入を、CSH C18 150×30mm、5μmカラム上で、水性重炭酸アンモニウム(アンモニアでpH10に調整)中15〜99%MeCNの勾配を用いて行った。純粋画分を合わせ、MeCNを除去するために窒素流下で室温にて暗中ブローダウンした。残留水性混合物をロータリーエバポレーター(真空なし)に取り付けて、Florentineフラスコ中にできるだけ薄い氷の膜を得るため、アセトン及び固体CO
2浴中、暗中で30分間回転させた。凍結混合物を含むフラスコをホイルで覆い、一晩凍結乾燥させて無色の固体を得た。この固体を、蒸発中の加温を避けるために揮発性溶媒(4xDCM;15mL)を用いて、予め秤量したバイアルに移した。溶媒を室温での窒素ブローダウンにより除去し、残留非晶質泡状物をDCM(約3mL)中に再溶解させ、n-ヘキサン(約12mL)で沈殿させた。溶媒を室温での窒素ブローダウンにより除去し、一晩蒸発を継続して、標題化合物を非晶質の無色の固体(40mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.82分;MH
+326、328。
1H NMR (CD
3OD, 400 MHz) δ:7.82 (d, 1H)、7.57 (m, 1H)、7.37 (s, 1H)、4.53 (m, 1H)、3.72-3.63 (m, 4H)、3.61 (s, 3H)、3.32 (1H, m)、3.31 (s, 6H)、2.15 (s, 3H)。
【0344】
実施例23:rac-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-5-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0345】
【化97】
撹拌子を含むマイクロ波バイアル中で、5-(4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例13を参照、150mg、0.671mmol)をDMF(4mL)中に溶解させ、窒素で10分間パージした。1-(3-(ブロモメチル)ピペリジン-1-イル)エタノン(221mg、1.006mmol)を添加し、溶液を80℃に加熱した。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌した。さらなる1-(3-(ブロモメチル)ピペリジン-1-イル)エタノン(59.0mg、0.268mmol)を反応混合物に添加し、これを80℃でさらに7時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc中に再溶解させた。この溶液をセライト(登録商標)に通して濾過し、1:1のMeOH:DMSO(3mL)中に溶解させて、MDAP(方法C)により精製した。溶媒を真空中で蒸発させ、標題化合物を淡黄色油状物(35mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.72分;MH
+363、365。他の異性体(実施例24)も淡黄色油状物(116mg)として単離することができた。
【0346】
実施例24:rac-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0347】
【化98】
5-(4-クロロ-1-(ピペリジン-3-イルメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については中間体17を参照、2.348g、7.32mmol)をDCM(35mL)中に溶解させた。Et
3N(3.06mL、21.96mmol)を添加し、その後AcCl(0.781mL、10.98mmol)を添加して、室温で30分間撹拌した。反応物を飽和NaHCO
3(50mL)でクエンチし、10分間撹拌した。有機層を抽出し、疎水性フリットに通して濾過し、その後真空中で濃縮し、粗標題化合物を橙色泡状物として得た。粗生成物を最小限のDCM中で100gのシリカカートリッジに適用し、DCM中の0.5%メタノール中2M NH
3で2CV溶出し、次いで0.5〜8%MeOH中2M NH
3で10CVにわたって溶出し、その後8%で5CV保持した。適切な画分を真空中で濃縮し、真空中でEt
2Oと共蒸発させた後、標題化合物(2.3422g)をクリーム色の固体として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.72分;MH
+363、365。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz):δ 7.44 (1H, d)、7.33-7.34 (1H, m)、6.91 (1H, s)、4.15-4.20 (1H, m)、3.84-3.93 (1H, m)、3.71-3.77 (1H, m)、3.62-3.66 (4H, m)、3.11-3.18 (1H, m)、2.67-2.73 (1H, m)、2.21 (3H, s)、2.08 (3H, s)、1.88-1.95 (1H, m)、1.64-1.77 (2H, m)、1.43-1.51 (2H, m)、1.13-1.20 (1H, m)。
【0348】
実施例25及び26:5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン単一エナンチオマー
【0349】
【化99】
rac-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-クロロ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(約2.3g)を、2cmx25cm Chiralpak IB(10μm)カラムを用いた分取キラルHPLCにより精製した。約2.3gの材料を、1回に約100mgの材料を2mL EtOH中に溶解させて精製した。1回に1mLの溶液をカラム上に注入し、20%EtOH/ヘプタンと共に流した(流速=20mL/分、波長215nm)。10.5〜12分からの画分(エナンチオマー1)、12〜13.5分からの画分(混合)及び13.5〜17.5分からの画分(エナンチオマー2)をまとめて蒸発させ、実施例25(エナンチオマー1、1.06g、キラル純度>99.5%)及び実施例26(エナンチオマー2、830mg、キラル純度>99.5%)を得た。キラル純度は、内径4.6mm x 25cm Chiralpak IBカラムを用いて20%EtOH/ヘプタンを流す分析キラルHPLCにより確認した(流速=1.0mL/分、波長215nm;エナンチオマー1 t
RET 約17分、エナンチオマー2 t
RET 約19分)。
【0350】
実施例27:rac-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0351】
【化100】
1,4-ジオキサン(66mL)及び水(22.00mL)中のrac-2-ブロモ-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体19を参照、9.1g、32.6mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、12g、48.2mmol)、炭酸カリウム(13.50g、98mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.00g、0.865mmol)の脱気混合物を、窒素雰囲気下、還流で20時間撹拌した。反応混合物を、セライト(登録商標)のパッドに通して濾過し、ケーキを酢酸エチル(50mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、残留物を酢酸エチル(200mL)と水(200mL)との間で分配した。有機相を分離し、水性相(エマルション)を酢酸エチル(2x150mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、褐色ガム状物(16.0g)に濃縮した。このガム状物を酢酸エチル中に溶解させ、12CVにわたる0〜30%エタノール-酢酸エチル+1%Et
3N勾配を用いて、シリカカートリッジ(330g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、ベージュ色の粘性の泡状物(8.58g)を得た。このガム状物をTBME(約100mL)で摩砕した。得られた懸濁液を濾過し、オフホワイト色の固体を真空中で乾燥させ、標題化合物(7.16g、68%)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.77分;MH
+322、324。摩砕で得られた母液を真空中で濃縮し、褐色油状物を得た。この油状物を酢酸エチル中に溶解させ、12CVにわたる0〜30%エタノール+1%Et
3N-酢酸エチル勾配を用いてシリカカートリッジ(80g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて、得られた泡状物をTBME(約15mL)で摩砕した。得られた懸濁液を濾過し、固体を真空中で乾燥させ、標題化合物(485mg、5%)のさらなるバッチをオフホワイト色の固体として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.77分;MH
+322、324。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4) δ 7.84 (m, 1H)、7.58 (m, 1H)、7.24 (s, 1H)、4.01-4.09 (m, 1H)、3.89-3.97 (m, 1H)、3.68-3.76 (m, 1H)、3.59-3.67 (m, 4H)、3.50 (m, 1H)、3.21 (dd, J=7.7, 11.4 Hz, 1H)、2.19 (s, 3H)、2.03 (m, 1H)、1.67-1.77 (m, 1H)、1.57-1.67 (m, 1H)、1.52 (m, 1H)、1.24-1.35 (m, 1H)。
【0352】
実施例28及び29:5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オンの単一エナンチオマー
【0353】
【化101】
rac-5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例27を参照、1g)をエタノール(10mL)中に溶解させ、Chiralpak AD-H(250×30mm)カラムを用いるキラル分取クロマトグラフィーに供した。1回に250μLの溶液をカラム上に注入し、85%ヘプタン(+0.2%(v/v)イソプロピルアミン)及び15%エタノール(+0.2%(v/v)イソプロピルアミン)と共に流した(流速=42.5mL/分(45バール)、280nmのUVダイオードアレイ)。第1溶出異性体を含む画分を18.2分〜20.7分の間で回収した。第2溶出異性体を含む画分を21.7分〜26分の間で回収した。合わせた異性体画分を蒸発乾固させ、実施例29(エナンチオマー1、431mg、キラル純度99.9%)及び実施例30(エナンチオマー2、447mg、キラル純度97.3%)を得た。キラル純度は、Chiralpak AD-H 250×4.6mmカラムを使用し、ヘプタン:EtOH:イソプロピルアミン(85:15:0.2)と共に流す分析キラルHPLCにより確認した(流速=1mL/分、波長250nm;エナンチオマー1 t
RET 約20分、エナンチオマー2 t
RET 約23.5分)。
【0354】
実施例30:5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0355】
【化102】
撹拌された3:1の1,4-ジオキサン:水(280mL)中の2-ブロモ-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体21を参照、29.8g、107mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、31.9g、128mmol)、炭酸カリウム(44.2g、320mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.616g、0.533mmol)の脱気混合物を、還流で20時間加熱した。反応混合物を、セライト(登録商標)のプラグに通して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(100mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、残留物を酢酸エチル(500mL)と水(500mL)との間で分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチル(2×300mL)で逆抽出した。合わせた有機相を真空中で濃縮し、粗生成物(39.9g)を得た。粗生成物を酢酸エチル中10%MeOH中に溶解させ、15CVにわたる0〜25%エタノール-酢酸エチル+1%Et
3N勾配を用いて、シリカカートリッジ(750g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で濃縮してTBMEと共沸し、極めて淡い黄色の固体(バッチ1、22.5g)及び赤色油状物(バッチ2、5.1g)を得た。バッチ1をTBME(約300mL)で摩砕し、濾過し、固体を真空中で乾燥させ、オフホワイト色の固体(バッチ3、21.39g)を得た。濾液を真空中で濃縮してバッチ4(1.2g)を得た。バッチ2とバッチ4を合わせて酢酸エチル中に溶解させ、12CVにわたる0〜25%エタノール+1%Et
3N勾配を用いて、シリカカートリッジ(330g)上で精製した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させて赤色ガム状物を得た。このガム状物をTBMEで摩砕し、濾過し、固体を真空中で乾燥させ、オフホワイト色の固体(バッチ5、3.25g)を得た。このバッチから得られた濾液を真空中で濃縮してTBMEで摩砕し、濾過し、固体を真空中で乾燥させて、標題化合物をオフホワイト色の固体(バッチ6、0.637g)として得た。バッチ3とバッチ5を合わせてメタノール(500mL)中に溶解させ、SiliaMetS Thiol(44.4g、53.3mmol)で処理した。得られた混合物を50℃で2時間撹拌した。冷却後、懸濁液をセライト(登録商標)に通して濾過し、濾液を真空中で濃縮して黄色ガム状物を得た。このガム状物をTBME(約500mL)で摩砕し、固体を濾過により回収した。濾過ケーキをTBME(100mL)で洗浄し、真空中で10日間乾燥させて標題化合物(バッチ7、21.04g)を得た。LCMS(システムB):t
RET=0.74分;MH
+322、324。
1H NMR (DMSO-d
6, 600 MHz):δ (ppm) 7.88 (d, J=2。6 Hz, 1H)、7.50 - 7.52 (m, 1H)、7.38 (s, 1H)、3.89 (d, J=7.4 Hz, 2H)、3.77 (br dd, J=11.2, 4.4 Hz, 2H)、3.50 (s, 3H)、3.15 -3.23 (m, 2H)、2.01 -2.09 (m, 3H)、1.84 - 1.96 (m, 1H)、1.27 - 1.34 (m, 2H)、1.11 (qd, J=12.2, 4.5Hz, 2H)。上記の摩砕(バッチ6を与えた)から得られた濾液を真空中で濃縮し、TBMEで再度摩砕した。固体を濾過により回収し、真空中で乾燥させて、標題化合物(バッチ8、2.21g)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.74分;MH
+322、324。
【0356】
実施例30a:5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン水和物の調製
5-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(調製例については実施例30を参照)(9.2g)を、水(100mL)と一緒に250mLの丸底フラスコに添加し、30℃で一晩撹拌した。スラリーをブフナー漏斗上の真空濾過により単離し、濾液を再循環させてフラスコ及び生成物を洗浄した。ケーキを周囲温度及び湿度で一晩空気乾燥させ、標題化合物を白色の結晶固体(9.1g)として得た。
【0357】
実施例31:5-(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0358】
【化103】
1,2-ジメトキシエタン(8mL)及び水(2mL)中の1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、678mg、2.72mmol)、4-ブロモ-1-エチル-1H-イミダゾールと5-ブロモ-1-エチル-1H-イミダゾールとの3:1混合物(調製例については中間体22を参照、476mg、2.72mmol)、炭酸カリウム(1.88g、13.6mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(191mg、0.272mmol)の混合物を、マイクロ波中、80℃で2時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、セライト(登録商標)に通して濾過した。濾液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。残留物をクロマトグラフして[0〜20%エタノール/酢酸エチル]粗生成物を得て、これを高pHのMDAP(方法B)により再精製し、標題化合物を無色油状物(12mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.55分;MH
+218。
【0359】
実施例32:rac-1-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン
【0360】
【化104】
Rac-2-ブロモ-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体19を参照、100mg、0.358mmol)、3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン(132mg、1.073mmol)、ヨウ化銅(I)(6.8mg、0.036mmol)及び炭酸カリウム(99mg、0.715mmol)をDMSO(2mL)中で合わせた。反応混合物を窒素でパージし、110℃で17時間加熱した。さらなるヨウ化銅(I)(6.8mg、0.036mmol)を反応混合物に添加し、さらに24時間加熱を継続した。反応混合物を冷却し、セライト(登録商標)に通して濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄した。濾液を水(10mL)で洗浄し、水性相をEtOAc(2×10mL)で再抽出した。合わせた有機物を疎水性フリットに通過させ、得られた濾液を真空中で濃縮した。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法B)により精製し、標題化合物を白色の固体(22mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.76分;MH
+322、324。
【0361】
実施例33及び34:メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(実施例33)及びメチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-5-カルボキシレート(実施例34)
【0362】
【化105】
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(調製例については中間体23を参照、250mg、1.011mmol)を、窒素下でDMF(10mL)中に懸濁させた。炭酸カリウム(279mg、2.022mmol)、次いで4-(ブロモメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン(253mg、1.416mmol)を添加し、反応物を週末かけて100℃で加熱した。反応物を冷却し、EtOAcと水(それぞれ20mL)との間で分配した。水性相をEtOAc(20mL)で再抽出し、合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥させ、疎水性フリットに通して濾過し、真空中で濃縮して橙色油状物を得た。粗生成物を最小限のDCM中で10gのSNAPカートリッジに適用し、20〜100%(3:1のEtOAc:EtOH)で溶出した。適切な画分を真空中で濃縮して粗生成物を得て、これをMDAP(方法A)により精製し、標題化合物を透明油状物(24mg、実施例33、及び2mg、実施例34)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.65分;MH
+346(実施例33);LCMS(システムB):t
RET=0.74分;MH
+346(実施例34)。
【0363】
実施例35:2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸
【0364】
【化106】
メチル2-(1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(調製例については実施例33を参照、50mg、0.145mmol)をメタノール(2mL)及びTHF(2mL)中に溶解させた。LiOH(0.724mL、0.724mmol)を添加し、反応物を50℃で2時間加熱した。反応物を冷却し、2N HClで酸性化し、その後、真空中で濃縮して黄色の半固体を得た。MDAP精製(方法A)により、標題化合物をクリーム色の固体(26mg)として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.42分;MH
+332。
【0365】
実施例36:rac-5-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0366】
【化107】
1,4-ジオキサン(0.45mL)及び水(0.15mL)中のrac-2,4-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体24を参照、60mg、0.185mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、60mg、0.241mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1mg、0.926μmol)及び炭酸カリウム(77mg、0.556mmol)の混合物を、マイクロ波中、100℃で1時間加熱した。反応混合物をセライト(登録商標)に通して濾過し、酢酸エチル(20mL)で洗浄した。その後、溶媒を真空中で蒸発させ、橙色油状物を得た。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法B)により精製し、標題化合物を白色の固体(27mg)として得た。LCMS(システムA):t
RET=0.74分;MH
+366、368。
【0367】
実施例37:rac-1-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン
【0368】
【化108】
Rac-2,4-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体24を参照、55mg、0.170mmol)、3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン(63mg、0.509mmol)、ヨウ化銅(I)(3.mg、0.017mmol)及び炭酸カリウム(47mg、0.339mmol)を、DMSO(1.5mL)中で合わせた。反応混合物を窒素でパージし、110℃に加熱した。反応混合物を冷却し、セライト(登録商標)に通して濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄した。濾液を水(10mL)で洗浄し、水性相をEtOAc(2×10mL)で再抽出した。合わせた有機物を疎水性フリットに通過させ、得られた濾液を真空中で濃縮した。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法B)により精製して、標題化合物を白色の固体(16mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.78分;MH
+366、368。
【0369】
実施例38:1-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン
【0370】
【化109】
2,4-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾールと2,5-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾールとの3:1混合物(調製例については中間体25を参照、60mg、0.185mmol)、3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン(68.4mg、0.556mmol)、ヨウ化銅(I)(3.5mg、0.019mmol)及び炭酸カリウム(51mg、0.370mmol)をDMSO(1.5mL)中で合わせた。反応混合物を窒素でパージし、その後110℃で19時間加熱した。さらなるヨウ化銅(I)(3.5mg、0.019mmol)及び炭酸カリウム(51mg、0.370mmol)を添加し、反応混合物を110℃でさらに23時間撹拌した。付加的なヨウ化銅(I)(3.5mg、0.019mmol)及び炭酸カリウム(51mg、0.370mmol)を添加し、反応混合物を110℃でさらに3時間撹拌した。反応混合物を冷却し、セライト(登録商標)に通して濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄し、得られた濾液を真空中で濃縮して、28mgの橙色油状物を得た。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法B)により精製し、標題化合物を無色油状物(2mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.75分;MH
+366、368。
【0371】
実施例39:5-(4-ブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0372】
【化110】
1,4-ジオキサン(0.39mL)及び水(0.13mL)中の、2,4-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾールと2,5-ジブロモ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾールとの3:1混合物(調製例については中間体25を参照、50mg、0.154mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、50mg、0.201mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.9mg、0.772μmol)及び炭酸カリウム(64mg、0.463mmol)を、マイクロ波中、100℃で1時間加熱した。さらなる炭酸カリウム(64mg、0.463mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.9mg、0.772μmol)を添加し、反応混合物をマイクロ波中、100℃で、さらに1時間加熱した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層をブライン溶液(10mL)で洗浄し、次いで疎水性フリットに通過させ、真空中で濃縮して無色油状物を得た。得られた残留物を3mL DCM中に溶解させ、12gの通常相シリカカラムを用いて、EtOAc(+1%NEt3)〜25%エタノールで溶出して精製し、無色油状物を得た。残留物を分取HPLCによりさらに精製し(XBridge Shield RP18 150x30mm、5μm、室温、41分にわたる水中0〜99%MeOH/0.1%ギ酸勾配、流速40mL/分、UV検出は、波長210〜350nmからのシグナルを合計した)、標題化合物を無色油状物(7mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.76分;MH
+366、368。
【0373】
実施例40:rac-5-(1-((1-アセチルピペリジン-3-イル)メチル)-4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン
【0374】
【化111】
1,4-ジオキサン(0.450mL)及び水(0.15mL)中のrac-1-(3-((2,4-ジブロモ-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(調製例については中間体26を参照、64mg、0.175mmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(例えばMilestone PharmaTechから市販されているもの、44mg、0.175mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1mg、0.877μmol)及び炭酸カリウム(73mg、0.526mmol)の混合物を、マイクロ波中、100℃で1時間加熱した。反応混合物をセライト(登録商標)に通して濾過し、酢酸エチル(20mL)で洗浄した。次いで、溶媒を真空中で蒸発させ、橙色油状物を得た。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法B)により精製し、粗生成物を白色の固体として得た。残留物をMeOH:DMSOの1:1溶液中に再溶解させ、MDAP(方法B)により再精製し、標題化合物を無色油状物(15mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.72分;MH
+407、409。
【0375】
実施例41:1-(4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン
【0376】
【化112】
3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン(70.4mg、0.571mmol)、ヨウ化銅(I)(3.6mg、0.019mmol)、炭酸カリウム(52.6mg、0.381mmol)及び2-ブロモ-4-クロロ-1-(1,3-ジメトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体13を参照, 54mg、0.190mmol)を、乾燥DMSO(0.5mL)と合わせた。反応混合物を110℃で65時間加熱した。反応混合物を冷却して、セライト(登録商標)に通して濾過し、EtOAc(約15mL)で洗浄した。濾液を水(15mL)で洗浄し、水性層をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を疎水性フリットに通過させ、濾液を真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をMeOH:DMSOの1:1混合物中に溶解させ、MDAP(方法B)により精製し、標題化合物をオフホワイト色の固体(11mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.84分;MH
+326、328。
【0377】
実施例42:1-(4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン
【0378】
【化113】
3,5-ジメチルピリジン-4(1H)-オン(132mg、1.073mmol)、ヨウ化銅(I)(12mg、0.063mmol)、炭酸カリウム(99mg、0.715mmol)及び2-ブロモ-4-クロロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-イミダゾール(調製例については中間体21を参照、100mg、0.358mmol)を、乾燥DMSO(1mL)と合わせた。反応混合物を110℃で撹拌しながら100時間加熱した。ヨウ化銅(12mg、0.063mmol)を反応物に添加し、これをさらに24時間撹拌したままにした。反応混合物を室温に冷却し、セライト(登録商標)に通して濾過し、EtOAc(約30mL)で洗浄した。濾液を水(15mL)で洗浄し、水性層をEtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を疎水性フリットに通過させ、濾液を真空中で濃縮し、黄色油状物を得た。粗生成物をMeOH:DMSOの1:1混合物(0.8mL)中に溶解させ、MDAP(方法B)により精製し、標題化合物を白色の固体(14.5mg)として得た。LCMS(システムB):t
RET=0.73分;MH
+322、324。
【0379】
生物学的データ
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)アッセイ
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)競合アッセイを利用して、ブロモドメイン結合を評価した。このアプローチを可能にするため、公知の高親和性pan-BET相互作用小分子を、遠赤蛍光染料(参照化合物X)であるAlexa Fluor(登録商標)647で標識した。参照化合物Xは、ブロモドメイン結合のレポーターとして作用し、TR-FRET対のアクセプターフルオロフォア成分である。抗-6*His抗体にコンジュゲートされたユーロピウムキレートを、TR-FRET対のドナーフルオロフォアとして利用した(PerkinElmer AD0111)。抗-6*His抗体は、この研究において用いられるBETタンデムブロモドメイン含有タンパク質構築物のそれぞれのアミノ末端に付加された6ヒスチジン精製エピトープに選択的に結合する。TR-FRETシグナルは、ドナーフルオロフォアとアクセプターフルオロフォアが20〜80Åにごく接近したとき(このアッセイでは、参照化合物Xがブロモドメイン含有タンパク質に結合することにより可能となる)に発生する。
【0380】
参照化合物X:4-((Z)-3-(6-((5-(2-((4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-4-イル)アセトアミド)ペンチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-2-((2E,4E)-5-(3,3-ジメチル-5-スルホ-1-(4-スルホブチル)-3H-インドール-1-イウム-2-イル)ペンタ-2,4-ジエン-1-イリデン)-3-メチル-5-スルホインドリン-1-イル)ブタン-1-スルホネート)
【0381】
【化114】
【0382】
DMF(40μl)中のN-(5-アミノペンチル)-2-((4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-4-イル)アセトアミド(調製については参照化合物J、国際公開第2011/054848(A1)号を参照、1.7mg、3.53μmol)の溶液に、同様にDMF(100μL)中のAlexaFluor647-ONSu(2.16mg、1.966μmol)の溶液を添加した。この混合物を、DIPEA(1μl、5.73μmol)で塩基性化し、ボルテックスミキサーで一晩撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させた。この固体をMeCN/水/AcOH(5/4/1、<1mL)中に溶解させ、濾過し、Phenomenex Jupiter C18分取カラムに適用し、以下の勾配で溶出した(A=水中0.1%トリフルオロ酢酸、B=0.1%TFA/90%MeCN/10%水):流量=10mL/分、AU=20/10(214nm):5〜35%、t=0分:B=5%;t=10分:B=5%;t=100分:B=35%;t=115分:B=100%(分離勾配:0.33%/分)
【0383】
主成分は、26〜28%Bの範囲にわたって溶出したが、2つのピークで構成されているように見えた。「両」成分を含むはずの中間画分(F1.26)を、分析HPLC(Spherisorb ODS2、60分にわたり1〜35%)で分析した。単一成分は28%Bで溶出した。画分F1.25/26及び27を合わせ、蒸発乾固した。DMFと共に移動させ、蒸発乾固させ、乾燥エーテルで摩砕し、青色の固体を<0.2mbarで一晩乾燥させ、1.54mgを得た。分析HPLC(Spherisorb ODS2、60分にわたり1〜35%B):MSM10520-1:[M+H]
+(実測値):661.8(M-29に対応)。この値は、計算質量1320.984の[(M+2H)/2]
+(M-29である)に等しい。これは、Alexa Fluor 647色素を用いた場合の標準的な出現であり、質量分析計条件下での2つのメチレン基の理論的損失を表す。
【0384】
アッセイ原理:
TR-FRETシグナルを発生させるため、ドナーフルオロフォアをλ337nmのレーザーで励起すると、これがその後λ618nmの発光を生じさせる。アクセプターフルオロフォアが近接するとエネルギー移動が起こり得、これがλ665nmでのAlexa Fluor(登録商標)647の発光を生じさせる。競合化合物の存在下では、参照化合物Xはブロモドメインに対する結合から押しのけられ得る。押しのけが起こると、アクセプターフルオロフォアはもはやドナーフルオロフォアに近接せず、これが蛍光エネルギー移動を妨げ、続いてλ665nmでのAlexa Fluor(登録商標)647の発光の喪失が生じる。
【0385】
BETファミリー(BRD2、BRD3、BRD4及びBRDT)に対する結合についての式(I)の化合物と参照化合物Xとの競合を、ブロモドメイン1(BD1)とブロモドメイン2(BD2)の両方にまたがるタンパク質トランケートを用いて評価した。BD1又はBD2に対する異なる結合をモニターするため、アセチルリジン結合ポケット内に、重要なチロシンのアラニンへの単一残基突然変異を起こさせた。この手法を有効にするために、BETファミリーメンバーのそれぞれについて二重残基突然変異タンデムドメインタンパク質を作製した。蛍光偏光法を利用して、参照化合物Xに対する単一突然変異体及び二重突然変異体のそれぞれの結合親和性を決定した。参照化合物Xに対する二重突然変異体タンデムタンパク質の親和性は、非変異の(突然変異していない)野生型タンデムBETタンパク質と比較して大きく低下した(Kdが1000分の1未満に低下)。参照化合物Xに対する単一突然変異ブロモドメインタンデムタンパク質の親和性は、対応する非変異のBETタンパク質と同等の効力であった。これらのデータは、チロシンのアラニンへの単一突然変異が、突然変異ブロモドメインと参照化合物X間の相互作用のKdを1000分の1未満に低下させることを示した。TR-FRET競合アッセイにおいて、参照化合物Xは、非変異のブロモドメインに対するKdと同等の濃度で使用され、これにより、突然変異ブロモドメインにおける結合が検出されないことが保証される。
【0386】
タンパク質産生:組換えヒトブロモドメイン[(BRD2(1〜473)(Y113A)及び(Y386A)、BRD3(1〜435)(Y73A)及び(Y348A)、BRD4(1〜477)(Y97A)及び(Y390A)、並びにBRDT(1〜397)(Y66A)及び(Y309A)]を、N末端に6-Hisタグを付けて、大腸菌(E.coli)細胞中で(BRD2/3/4についてはpET15bベクター中で、BRDTについてはpET28aベクター中で)発現させた。His-タグ化されたブロモドメインのペレットを、50mMのHEPES(pH7.5)、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、及び1μL/mLのプロテアーゼ阻害剤のカクテルに再懸濁させ、超音波処理を用いて大腸菌細胞から抽出し、ニッケルセファロース高速カラムを用いて精製し、タンパク質を洗浄した後、20カラム体積にわたる、0〜500mMイミダゾールと、50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、500mMイミダゾールのバッファーの線形勾配で溶出した。最終精製は、Superdex 200分取等級サイズ排除カラムにより完了した。精製タンパク質は、20mMのHEPES(pH7.5)及び100mMのNaCl中で、-80℃にて保存した。タンパク質同定は、ペプチド質量フィンガープリンティング及び質量分析により確認された予想分子量によって確認した。
【0387】
ブロモドメインBRD2、3、4及びT、BD1+BD2突然変異体TR-FRET競合アッセイのためのプロトコール:
全アッセイ成分を、50mM HEPES(pH7.4)、50mM NaCl、5%グリセロール、1mM DTT及び1mM CHAPSからなるアッセイバッファー中に溶解させた。参照化合物Xを、20nMの単一突然変異タンデムブロモドメイン含有タンパク質を含むアッセイバッファー中に、このブロモドメインに対する2*Kdと同等の濃度まで希釈した。Greiner 384ウェル黒色低体積マイクロタイタープレート中で、ブロモドメイン及び参照化合物Xを含む溶液を、試験化合物又はDMSOビヒクル(このアッセイでは最大で0.5%のDMSOが用いられる)の用量応答希釈まで添加し、その後30分間室温でインキュベートした。等体積の3nMの抗-6*Hisユーロピウムキレートを全ウェルに添加し、その後さらに30分間室温でインキュベートした。TR-FRETは、Perkin Elmer Multimodeプレートリーダーを用いて、ドナーフルオロフォアをλ337nmで励起し、その後、50μ秒間の遅延後、それぞれλ615nm及びλ665nmにおけるドナーフルオロフォア及びアクセプターフルオロフォアの発光を測定することにより検出された。これらのアッセイを制御するため、それぞれ16ウェルの非阻害(DMSOビヒクル)反応及び阻害(10*IC
50濃度のWO2011/054846A1の実施例11の)反応を、マイクロタイタープレート毎に含めた。
【0388】
次いで、以下の形の4パラメータ曲線適合を適用した。
y=a+((b-a)/(1+(10^x/10^c)^d)
(式中、「a」は最小値であり、「b」はHill勾配であり、「c」はpIC
50であり、「d」は最大値である)。
【0389】
結果
全ての実施例は、上記のBRD4アッセイにおいて試験され、BRD4 BD1アッセイにおいては5.2〜7.8の範囲内の平均pIC
50、またBRD4 BD2アッセイにおいては4.4〜6.3の範囲内の平均pIC
50を有することが見出された。実施例30は、BRD4 BD1アッセイにおいて7.1の平均pIC
50(n=22)を有し、またBRD4 BD2アッセイにおいて5.9の平均pIC
50(n=16)を有することが見出された。実施例22は、BRD4 BD1アッセイにおいて7.3の平均pIC
50を有し、またBRD4 BD2アッセイにおいて5.7の平均pIC
50を有することが見出された。
【0390】
実施例1、3、5、6、7、25、29及び30を、BRD2アッセイ及びBRDTアッセイにおいて試験し、BRD2 BD1アッセイにおいて5.1〜7.9の範囲内の平均pIC
50を有し、BRD2 BD2アッセイにおいて4.3〜6.0の範囲内の平均pIC
50を有し、BRDT BD1アッセイにおいて4.9〜7.4の範囲内の平均pIC
50を有し、BRDT BD2アッセイにおいて4.6〜5.7の範囲内の平均pIC
50を有することが見出された。実施例1は、BRDT BD2アッセイにおいて<4.3の平均pIC
50を有していた。実施例25、29及び30は、BRD3アッセイにおいて試験され、BRD3 BD1アッセイにおいて7.1〜7.7の範囲内の平均pIC
50を有し、BRD3 BD2アッセイにおいて6.0〜6.6の範囲内の平均pIC
50を有することが見出された。
【0391】
ヒト全血からのLPS誘導性MCP-1産生の測定
細菌リポ多糖(LPS)などのtoll様受容体のアゴニストによる単核球細胞の活性化は、MCP-1などの重要な炎症メディエーターの産生をもたらす。このような経路は、様々な自己免疫性疾患及び炎症性疾患の病態生理の中心であると広く考えられている。血液を、ヘパリンナトリウム(Leo Pharmaceuticals)(血液1ml当たり10単位のヘパリン)を含むチューブに収集する。100%DMSO中1μlの試験試料を含む96ウェルの化合物プレートを調製した(ドナーの可変性を考慮して2複製)。130μlの全血を、96ウェル化合物プレートの各ウェルに分注し、37℃、5%CO
2で30分間インキュベートした。PBS中で作製した10μlのリポ多糖(チフス菌(Salmonella typhosa)由来、L6386)(最終アッセイ濃度200ng/mL)を、化合物プレートの各ウェルに添加した。次いで、プレートを、加湿したプライマリーセルインキュベーター内に、37℃、5%CO
2で18〜24時間置いた。140μlのPBSを、血液を含む化合物プレートのすべてのウェルに添加した。その後、プレートを密封し、2500rpmで10分間遠心分離した。25μlの細胞上清を、ヒトMCP-1捕捉抗体で予めコーティングした96ウェルMSDプレートに入れた。プレートを密封し、600rpmのシェーカー上に1時間(室温で)置いた。MSD SΜLFO-TAG(商標)試薬で標識した、25μlの抗ヒトMCP-1抗体を、MSDプレートの各ウェルに添加する(50×ストックをDiluent100(希釈剤100)で1:50に希釈し、。最終アッセイ濃度は1μg/mLである)。次いで、プレートを再密封し、さらに1時間振盪した後、PBSを用いて洗浄した。その後、150μlの2×MSDリードバッファーT(4×ストックのMSDリードバッファーTを脱イオン水を用いて50:50に希釈し、)を各ウェルに添加し、プレートをMSD Sector Imager 6000で読み取った。各化合物についての濃度応答曲線をデータから生成し、pIC
50値を計算した。
【0392】
結果:
全ての実施例(実施例2〜4、31、33、34、38〜40を除く)を上記のアッセイにおいて試験し、4.7〜7.5の範囲内の平均pIC
50を有することが見出された。実施例35は、<4.7の平均pIC
50を有していた。実施例30は、6.9の平均pIC
50を有していた。実施例22は、7.0の平均pIC
50を有していた。これらのデータは、上記の全血アッセイにおいて試験したブロモドメイン阻害剤が、重要な炎症メディエーターMCP-1の産生を阻害したことを示した。
【0393】
トリニトロフェノール-キーホールリンペットヘモシアニン(TNP-KLH)誘導性免疫グロブリン-1(IgG1)産生マウスアッセイ
T細胞依存性マウス免疫化モデルは、T細胞依存性抗原のキーホールリンペットヘモシアニン2,4,6ニトロフェノール(KLH-TNP)に対する免疫活性化を表す機構的なin vivoモデルである。KLH-TNPの投与は、T細胞及びB細胞と樹状細胞との間の基本的な免疫細胞相互作用を含む抗体応答を誘発する。実施例30を、マウスにおけるトリニトロフェノール-キーホールリンペットヘモシアニン(TNP-KLH)誘導性免疫グロブリン-1(IgG1)産生を阻害するその能力についてアッセイした。雄のCD1マウス(Charles River Laboratories)を4つの群(1群当たりn=7)に割り当て、特定の投与レジメンを与えた。この処置は、1%(w/v)メチルセルロース(aq400)の単回経口投与、又は14日間の投与期間にわたる1.5mg/kg、5mg/kg若しくは15mg/kgの化合物の1日2回(BID)(0時間及び4時間)の経口投与のいずれかであった。研究の1日目に、各マウスは、化合物の経口投与の1時間後にTNP-KLH(100ug/kg)の単回ボーラス腹腔内(ip)投与を受けた。連続血液サンプルを、最初の連日経口投与後1日目の1、4及び8時間目、及び7日目及び11日目の1時間目に尾静脈を介して、又は14日目に心穿刺を介して(最終サンプル)回収した。7日目、11日目及び14日目の血液サンプルから回収した血清を-80℃で凍結させた。全生活相を通して、処置群のいずれにおいても有害な副作用は観察されなかった。分析日に血清を室温に解凍し、TNP ELISAを用いてIgG1のレベルを測定し(社内で現像)、SpectraMax190分光光度計(Molecular Devices、カリフォルニア州)上で読み取った。平均IgG1値を生成し、化合物による処置後14日目のIgG1低下の平均パーセントを、対応するビヒクル処置群と比較して計算した。有意性のレベルは、Graphpad Prismバージョン5.04(Graphpad Software、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、分散分析(ANOVA)、それに続くダネットの多重比較t検定(Dunnett’s multiple comparison t-test)により計算した。統計的差異を***P<0.01として決定した。結果は表1に示される。
【0394】
このモデルにおいて示される抗炎症活性は、in vivoにおける重要な機構を表し、自己免疫性症状及び炎症性症状の治療の進歩を助けると考えられる。
【0395】
【表7】