特表2019-526629(P2019-526629A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-526629(P2019-526629A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/472 20060101AFI20190823BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190823BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 31/5575 20060101ALI20190823BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20190823BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   A61K31/472
   A61P27/02
   A61K9/08
   A61K47/18
   A61K47/14
   A61K47/10
   A61K47/04
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61K31/5575
   A61P27/06
   A61K9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-531599(P2019-531599)
(86)(22)【出願日】2017年8月30日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月8日
(86)【国際出願番号】US2017049473
(87)【国際公開番号】WO2018045091
(87)【国際公開日】20180308
(31)【優先権主張番号】62/382,237
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518023485
【氏名又は名称】アエリエ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リン、チェン−ウェン
(72)【発明者】
【氏名】コプジンスキー、ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】デロング、ミッチェル エイ
(72)【発明者】
【氏名】スターディバント、ジル エム
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナモールスィー、ラメシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA16
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD22Z
4C076DD38D
4C076DD46F
4C076DD49R
4C076FF14
4C076FF15
4C076FF16
4C084AA19
4C084MA17
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC30
4C086DA02
4C086DA03
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む眼科用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む、眼科用組成物。
【請求項2】
pHは、約3.5〜約5.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
pHは、約4.5〜約5.2である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
防腐剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウムを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
乳化剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記乳化剤は、ポリオキシル40ステアレート、ポリエトキシル化ひまし油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記等張化剤は、マンニトールを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記緩衝剤は、ホウ酸またはその塩を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
水をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
pH調整剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートは、ジメシレート塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩は、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
第2眼科用活性化合物をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第2眼科用活性化合物は、プロスタグランジン類似体である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記プロスタグランジン類似体は、ラタノプロストまたはトラボプロストである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
約0.02%w/v〜約0.03%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
約4.7%重量/体積のマンニトールを含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
約0.05%重量/体積のホウ酸を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
0.005%重量/体積のラタノプロストまたはトラボプロストをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、
約4.5〜約5.2のpHを有する、
眼科用組成物。
【請求項23】
約0.02%〜約0.03%重量/体積の(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、
約4.5〜約5.2のpHを有する、
眼科用組成物。
【請求項24】
(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む、眼科用組成物。
【請求項25】
前記塩は、ジメシレート塩である、請求項22〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
眼疾患を治療する方法であって、
該方法は、必要とする患者の眼に請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物を局所投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記眼疾患は、緑内障である、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(序論)
活性医薬成分の安定性を維持し、そして投与時の不快感を減少させながら、活性医薬成分に十分な溶解性を提供する眼科用組成物が必要とされている。典型的には、眼科用組成物は、投与の容易さおよび投与時の不快感の低減の両方のために、生理学的pHまたはその付近で投与される。しかしながら、すべての活性医薬成分が生理学的pHで十分に可溶性であるとは限らない。それ故、活性医薬成分の十分な溶解性を可能にし、そして投与時の不快感を最小にする組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様では、本開示は、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む眼科用組成物を提供する。
【0003】
別の態様では、本開示は、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物を提供する。
【0004】
別の態様では、本開示は、約0.02%重量/体積の4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物を提供する。
【0005】
別の態様では、本開示は、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む、眼科用組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、眼疾患を治療する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載されるような眼科用組成物を、必要としている患者の眼に局所投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が支配する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示された材料、方法および実施例は、例示的なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0008】
本明細書で使用される用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「し得る(can)」、「含有する(contain(s))」、およびその変形は、追加の行為または構成の可能性を排除しないオープンエンド移行句、用語、または文言を意図する。単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数を含む。本開示はまた、明示的に示されているか否かにかかわらず、本明細書に提示された実施形態または要素を「含む(comprising)」、「からなる(consisting of」」、および「から本質的になる(consisting essentially of」」他の実施形態を意図する。
【0009】
接続語「または(もしくは)」は、接続語によって関連付けられた1つ以上の列挙された要素のありとあらゆる組み合わせを含む。例えば、「AまたはBを含む装置」という句は、Bが存在しないAを含む装置、Aが存在しないBを含む装置、またはAとBの両方が存在する装置を指し得る。「A、B、・・・およびNのうちの少なくとも1つ」または「A、B、・・・Nのうちの少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせ」という句は、A、B、…およびNを含む群から選択される1つ以上の要素、すなわち、任意の1つの要素を単独で、または列挙されていない追加の要素と組み合わせることも含み得る1つ以上の他の要素と組み合わせることを含む1つ以上の要素A、B、・・・またはNは任意の組み合わせを意味するように広い意味で定義される。
【0010】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記載された値を含み、文脈によって示される意味を有する(例えば、少なくとも特定の量の測定値に関連する少なくともある程度の誤差を含む)。修飾語「約」はまた、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものとして考慮されるべきである。例えば、「約2〜約4」という表現は、範囲「2〜4」も開示する。「約」という用語は、示された数のプラスまたはマイナス10%を意味し得る。例えば、「約10%」は9%〜11%の範囲を示し得、そして「約1」は0.9〜1.1を意味し得る。四捨五入など、他の「約」の意味は文脈から明らかであり得るので、例えば、「約1」もまた0.5〜1.4を意味し得る。
【0011】
本明細書における数値範囲の列挙のために、同じ程度の正確さを有するその間の各介在数字が明らかに考慮される。例えば、6〜9の範囲については、6および9に加えて7および8の数、ならびに6.0〜7.0の範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0という数が明示的に企図されている。
【0012】
2.組成物
一態様では、本開示は、ネタルスジルまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む眼科用組成物を提供する。
【0013】
A.4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート
【0014】
別の態様では、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0015】
別の態様では、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0016】
別の態様では、約0.02%〜約0.03%重量/体積の(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0017】
別の態様では、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む、眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0018】
別の態様では、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩および(R)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩の混合物と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0019】
別の態様では、約0.02%〜約0.03%重量/体積の、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩および(R)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩の混合物と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0020】
別の態様では、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩および(R)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩の混合物と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む眼科用組成物が本明細書に提供される。
【0021】
本明細書に提供される組成物のいくつかの実施形態では、pHは約3.5〜約5.5である。
【0022】
本明細書に提供される組成物のいくつかの実施形態では、pHは約4.5〜約5.2である。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物は防腐剤をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、防腐剤は塩化ベンザルコニウムを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は乳化剤をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、乳化剤は、ポリオキシル40ステアレート、ポリエトキシル化ひまし油、またはそれらの組み合わせを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、等張化剤はマンニトールを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、緩衝剤はホウ酸またはその塩を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物はさらに水を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物はpH調整剤をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートはジメシレート塩である。
【0032】
いくつかの実施形態では、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩は、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩である。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は第2眼科用活性化合物をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2眼科用活性化合物はプロスタグランジン類似体である。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジン類似体はラタノプロストまたはトラボプロストである。
【0036】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.02%w/v〜約0.03%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物は、約4.7%重量/体積のマンニトールを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.05%重量/体積のホウ酸を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は0.005%重量/体積のラタノプロストまたはトラボプロストをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩はジメシレート塩である。
【0042】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は二塩酸塩である。
【0043】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩はメシレート塩である。
【0044】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0045】
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩は、眼科用組成物中に約0.01%w/v〜約0.06%w/vの量で存在し得る。適切には、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩は、特定の塩形態に応じて約0.02%w/v〜約0.03%w/vの量で存在し得る。例えば、0.0285%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジメシレートは、0.02%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート遊離塩基を与え、0.0233%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジHClは、0.02%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート遊離塩基を与える。(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジメシレートは、ネタルスジルメシレートとしても知られている。
【0046】
一実施形態では、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートは、立体異性体のエナンチオマー濃縮異性体であり得る。例えば、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートは、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の(S)−または(R)−エナンチオマーの鏡像体過剰率を有し得る。エナンチオマーは、本明細書で使用される場合、その分子構造が互いに鏡像関係を有する一対の化合物のいずれかを指す。一実施形態では、本明細書に開示されている化合物の調製物は、選択された立体中心に対応する、RまたはSなどの選択された立体化学を有する化合物の異性体のために濃縮されている。例えば、化合物は、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の選択された立体中心の選択された立体化学を有する化合物に対応する純度を有する。
【0047】
用語「薬学的に許容される塩」は、比較的無毒の酸を用いて調製される4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートの塩を含む。中性形態の化合物は、塩を塩基接触させ、そして従来の方法で親化合物を単離することによって再生され得る。化合物の親形態は、極性溶媒における分子量および溶解度などの特定の物理的特性において様々な塩形態と異なるが、それ以外の点では、本開示の目的のためには塩は化合物の親形態と同等である。薬学的に許容される塩の例は、Berge et al, 1977, ”Pharmaceutically Acceptable Salts.”J. Pharm. Sci. Vol. 66, pp. 1−19で議論される。一実施形態では、化合物は一塩の形態で存在する。実施形態では、化合物は二塩の形態で存在する。
【0048】
適切な無機アニオンの例は、以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、および亜リン酸から誘導されるものを含むが、これらに限定されない。適切な有機アニオンの例は、以下の有機酸:2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸および吉草酸から誘導されるものを含むが、これらに限定されない。適切な高分子有機アニオンの例は、以下の高分子酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものを含むが、これらに限定されない。
【0049】
B.緩衝剤
眼科用組成物は緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、組成物のpHドリフトを最小限に抑え、組成物を安定化させるのを助けるのに役立ち得る。適切な緩衝剤としては、酢酸、クエン酸、炭酸、リン酸、ホウ酸、それらの薬学的に許容される塩、トロメタミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。緩衝剤は、眼科用組成物中に、約0.01%重量/体積〜約1%重量/体積、または約0.1%w/v〜約0.9%w/v、または約0.3%w/v〜約0.8%w/v、または約0.4%w/v〜約0.6%w/vの量で存在し得る。適切には、緩衝剤は少なくとも0.01%w/v、少なくとも0.05%w/v、少なくとも0.1%w/v、少なくとも0.3%w/v、または少なくとも0.5%w/vで存在し得る。適切には、緩衝剤は、1.0%w/v以下、0.8%w/v以下、または0.6%w/v以下の量で存在し得る。実施形態では、緩衝剤は、眼科用組成物中に、約0.03%w/v、約0.04%w/v、約0.05%w/v、約0.06%w/v、または約0.07%w/vの量で存在し得る。緩衝剤は適切にはホウ酸であり得る。
【0050】
C.等張化剤
組成物の等張性、または浸透圧は、本技術分野で既知の従来の材料を使用することによって、正常な涙液に対して低張性、等張性、または高張性に調整され得る。等張化剤は、典型的には非イオン性化合物である。等張化剤の例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、デキストロース、グリセリン、およびプロピレングリコールを含むが、これらに限定されない。適切には、等張化剤は、眼科用組成物中に、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積、または約1%w/v〜約10%w/v、または約2.5%w/v〜約7.5%w/v、または約4%w/v〜約6%w/vの量で存在し得る。適切には、等張化剤は、少なくとも0.01%w/v、少なくとも0.05%w/v、少なくとも1%w/v、少なくとも2.5%w/v、少なくとも4%w/v、または少なくとも5%w/vで存在し得る。適切には、等張化剤は、10%w/v以下、7.5%w/v以下、6%w/v以下、または5%w/v以下の量で存在し得る。実施形態では、等張化剤は、眼科用組成物中に、約4.5%w/v、約4.6%w/v、約4.7%w/v、約4.8%w/v、または約4.9%w/vの量で存在し得る。等張化剤は、適切にはマンニトールであり得る。
【0051】
D.他の成分
実施形態では、組成物はまた、組成物のpHを約3.5から約5.5の間に調整するのに十分な量のpH調整剤を含み得る。適切には、眼科用組成物は、約4.5〜約5.2または約4.5〜約5.1のpHを有し得る。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2のpH、またはこれらの値のうちの任意の2つによって境界付けられる範囲のpHを有する。適切なpH調整剤は、水酸化ナトリウムを含むが、これに限定されない。
【0052】
実施形態では、組成物はまた乳化剤を含有し得る。適切な乳化剤は、ポリオキシル40ステアレート、ポリエトキシル化ひまし油、およびそれらの組み合わせ、ならびに当業者に既知の他の薬剤を含むが、これらに限定されない。乳化剤は、眼科用組成物中に、約0.01%重量/体積〜約1%重量/体積、または約0.1%w/v〜約0.9%w/v、または約0.3%w/v〜約0.8%w/v、または約0.4%w/v〜約0.6%w/vの量で存在し得る。適切には、乳化剤は、少なくとも0.01%w/v、少なくとも0.05%w/v、少なくとも0.1%w/v、少なくとも0.3%w/v、または少なくとも0.5%w/vで存在し得る。適切には、乳化剤は、1.0%w/v以下、0.8%w/v以下、または0.6%w/v以下の量で存在し得る。実施形態では、乳化剤は、眼科用組成物中に、約0.2%w/v、約0.25%w/v、約0.3%w/v、約0.5%w/v、または約0.75%w/vの量で存在し得る。
【0053】
眼科用組成物は、典型的には単位用量または複数回投与形態で包装されている。防腐剤は、微生物汚染を予防または抑制するために存在し得る。適切な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸、または当業者に既知の他の薬剤を含むが、これらに限定されない。防腐剤が存在する場合、防腐剤は、眼科用組成物中に、約0.001%w/v〜約1.0%w/v、または約0.01%w/v〜約1.0%w/v、または約0.1%w/v〜約1.0w/vの量で存在し得る。適切には、防腐剤は、少なくとも0.001%w/v、少なくとも0.005%w/v、少なくとも0.01%w/v、少なくとも0.05%w/v、少なくとも0.1%w/v、または少なくとも0.5%w/vで存在し得る。適切には、防腐剤は、1.0%w/v以下、0.9%w/v以下、0.5%w/v以下、または0.1%w/v以下の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、防腐剤は、眼科用組成物中に、約0.005%w/v、約0.010%w/v、約0.015%w/v、約0.020%w/v、約0.025%w/v、または約0.030%w/vの量で存在し得る。防腐剤は、好適には塩化ベンザルコニウムであり得る。
【0054】
実施形態では、組成物は第2活性医薬成分を含み得る。第2活性医薬成分は、ラタノプロストまたはトラボプロストなどのプロスタグランジンであり得る。第2活性医薬成分が存在する場合、第2活性医薬成分は、約0.001%w/v〜約1.0%w/v、または約0.01%w/v〜約1.0%w/v、または約0.1%w/v〜約1.0w/vの量で存在し得る。適切には、第2活性医薬成分は、少なくとも0.001%w/v、少なくとも0.005%w/v、少なくとも0.01%w/v、少なくとも0.05%w/v、少なくとも0.1%w/v、または少なくとも0.5%w/v、少なくとも5%w/vで存在し得る。適切には、第2活性医薬成分は、1.0%w/v以下、0.9%w/v以下、0.5%w/v以下、または0.1%w/v以下の量で存在し得る。
【0055】
界面活性剤、快適性向上剤、可溶化剤、酸化防止剤、および安定化剤などの、眼科用組成物に一般的に使用される他の成分も存在し得る。
【0056】
典型的には、緩衝剤および等張化剤は防腐剤と一緒にまたはこれらだけで混合される。次いで、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジメシレートを混合物に加えそして撹拌する。次いで水を加えて組成物を100%にする。次いでpH調整剤を添加することによりpHを調整する。
【0057】
3.製剤および使用方法
本開示の眼科用製剤は、溶液、懸濁液、乳濁液、およびゲルを含む、局所眼科用送達に適した様々な剤形に製剤化され得る。組成物は好適には水性である。
【0058】
本開示はまた、緑内障および他の眼疾患を治療する方法に関する。本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「治療する」または「治療すること」は、対象にレジメンを投与すること、例えば、障害またはその障害の少なくとも1つの症状が治癒、軽減、緩和、改善、回復、よくなるおよび/または向上するように、本明細書に記載の化合物または組成物を投与することを指す。治療することは、障害または障害の症状を軽減、緩和、改善、回復、よくなる、向上および/または影響を及ぼすのに有効な量を投与することを含む。治療は、障害の症状の劣化または悪化を抑制し得る。
【0059】
方法は、治療上有効量の本開示による組成物を患者の罹患眼(片眼または両眼)に局所的に適用することを含む。投与の頻度および量は、様々な臨床的要因に基づいて当業者によって容易に決定され得る。方法は、典型的には、1日1回または2回、1または2滴の眼への局所適用を含む。
【0060】
したがって、一態様では、眼疾患の治療を必要とする対象において眼疾患を治療する方法であって、本明細書で提供される組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、眼疾患は緑内障である。
【0061】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、約0.02%〜約0.03%重量/体積の(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0065】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩および(R)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩の混合物と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0066】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、約0.02%〜約0.03%重量/体積の(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩および(R)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩の混合物と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、約4.5〜約5.2のpHを有する、眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、緑内障の治療を必要とする対象において緑内障を治療する方法であって、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩および(R)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩の混合物と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0068】
4.実施例
本開示は、以下の非限定的な例によって説明される複数の態様を有する。様々な実施例において、以下の材料および特徴付ける技術が使用されている。
【0069】
実施例1。4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートの製剤
表1は、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート製剤の組成を示す。製剤N、O、およびPは、ラベル付けされた150ミリリットル(mL)のプラスチック貯蔵容器中に、ホウ酸、d−マンニトールを添加し、0.015%の塩化ベンザルコニウムを添加してまたは添加しないことにより調製した。次いで、その溶液に、5%塩化ベンザルコニウムストック溶液を含むまたは含まない、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジメシレートを加え、さらに10分間撹拌することにより溶解させた。次に100ミリリットル(mL)の精製水を加えて溶液をほぼ100%にし、pHを約5.0に調整した。十分な4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジメシレート(CAS番号:#1422144−42−0)(0.0285%w/v)を加えて、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート遊離塩基(CAS番号:#1254032−66−0)をを0.02%w/vで存在させた。
【表1】
【0070】
実施例2。4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートおよびラタノプロストの固定用量組み合わせの製剤
表2は、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートおよびラタノプロストの固定用量組み合わせの製剤を示す。製剤RおよびSは、ラベル付けされた150ミリリットル(mL)のプラスチック貯蔵容器中にホウ酸およびd−マンニトールを添加することによって調製された。次いで、その溶液に、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートおよび塩化ベンザルコニウム/ラタノプロストストック溶液(100×)を加え、さらに10分間撹拌することにより溶解させた。次に100ミリリットル(mL)の精製水を加えて溶液をほぼ100%にし、pHを約5.0に調整した。十分な4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートジメシレート(CAS番号:#1422144−42−0)(0.0285%w/v)を加えて、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート遊離塩基(CAS番号:#1254032−66−0)を0.02%w/vで存在させた。
【表2】
【0071】
実施例3。防腐剤を含まない4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートおよびラタノプロスト固定用量の組み合わせ
実施例1の方法に従って追加の製剤を調製し得る。表3は、防腐剤を含まない4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートおよびラタノプロストの固定用量組み合わせの製剤を示す。
【表3】
【0072】
実施例4。4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートの製剤。
表4は、そのジメシレート塩およびジHCl塩としての4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエート製剤の組成を示す。製剤N4およびO4は、ラベル付けされた150ミリリットル(mL)のプラスチック貯蔵容器中に、ホウ酸、d−マンニトールを添加し、0.015%の塩化ベンザルコニウムを添加してまたは添加しないことにより調製した。次いで、その溶液に、5%塩化ベンザルコニウムストック溶液を含むまたは含まない、4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートメシレート(CAS番号:#1422144−42−0)または4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートクロリド(CAS番号:#1253952−02−1)を加え、さらに10分間撹拌することにより溶解させた。次に100ミリリットル(mL)の精製水を加えて溶液をほぼ100%にし、pHを約5.0に調整した。
【0073】
製剤P4は、本明細書に記載の方法に従って調製され得る。
【表4】
【0074】
前述の詳細な説明および添付の実施例は単に例示的なものであり、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義される本開示の範囲に対する限定として解釈されるべきではないことが理解される。
【0075】
(付記)
(付記1)
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約0.01%重量/体積〜約1.0%重量/体積の緩衝剤と、約0.01%重量/体積〜約10%重量/体積の等張化剤と、を含む、眼科用組成物。
【0076】
(付記2)
pHは、約3.5〜約5.5である、付記1に記載の組成物。
【0077】
(付記3)
pHは、約4.5〜約5.2である、付記1または2に記載の組成物。
【0078】
(付記4)
防腐剤をさらに含む、付記1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【0079】
(付記5)
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウムを含む、付記4に記載の組成物。
【0080】
(付記6)
乳化剤をさらに含む、付記1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【0081】
(付記7)
前記乳化剤は、ポリオキシル40ステアレート、ポリエトキシル化ひまし油、またはそれらの組み合わせを含む、付記6に記載の組成物。
【0082】
(付記8)
前記等張化剤は、マンニトールを含む、付記1〜7のいずれか1つに記載の組成物。
【0083】
(付記9)
前記緩衝剤は、ホウ酸またはその塩を含む、付記1〜8のいずれか1つに記載の組成物。
【0084】
(付記10)
水をさらに含む、付記1〜9のいずれか1つに記載の組成物。
【0085】
(付記11)
pH調整剤をさらに含む、付記1〜10のいずれか1つに記載の組成物。
【0086】
(付記12)
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートは、ジメシレート塩である、付記1〜11のいずれか1つに記載の組成物。
【0087】
(付記13)
4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩は、(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩である、付記1〜12のいずれか1つに記載の組成物。
【0088】
(付記14)
第2眼科用活性化合物をさらに含む、付記1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【0089】
(付記15)
前記第2眼科用活性化合物は、プロスタグランジン類似体である、付記14に記載の組成物。
【0090】
(付記16)
前記プロスタグランジン類似体は、ラタノプロストまたはトラボプロストである、付記15に記載の組成物。
【0091】
(付記17)
約0.02%w/v〜約0.03%w/vの4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩を含む、付記1〜16のいずれか1つに記載の組成物。
【0092】
(付記18)
約4.7%重量/体積のマンニトールを含む、付記1〜17のいずれか1つに記載の組成物。
【0093】
(付記19)
約0.05%重量/体積のホウ酸を含む、付記1〜18のいずれか1つに記載の組成物。
【0094】
(付記20)
約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムを含む、付記1〜19のいずれか1つに記載の組成物。
【0095】
(付記21)
0.005%重量/体積のラタノプロストまたはトラボプロストをさらに含む、付記16に記載の組成物。
【0096】
(付記22)
(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、を含み、
約4.5〜約5.2のpHを有する、
眼科用組成物。
【0097】
(付記23)
約0.02%〜約0.03%重量/体積の(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、約4.7%重量/体積のマンニトールと、約0.05%重量/体積のホウ酸と、約0.015%重量/体積の塩化ベンザルコニウムと、を含み、
約4.5〜約5.2のpHを有する、
眼科用組成物。
【0098】
(付記24)
(S)−4−(3−アミノ−1−(イソキノリン−6−イルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ベンジル2,4−ジメチルベンゾエートまたはその薬学的に許容される塩と、ホウ酸と、マンニトールと、ラタノプロストと、を含む、眼科用組成物。
【0099】
(付記25)
前記塩は、ジメシレート塩である、付記22〜24のいずれか1つに記載の組成物。
【0100】
(付記26)
眼疾患を治療する方法であって、
該方法は、必要とする患者の眼に付記1〜24のいずれか1つに記載の組成物を局所投与することを含む、方法。
【0101】
(付記27)
前記眼疾患は、緑内障である、付記26に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2019年6月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項26
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項26】
眼疾患治療必要とする患者の眼に局所投与される、前記眼疾患の治療において使用するための請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項27
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項27】
前記眼疾患は、緑内障である、請求項26に記載の組成物
【国際調査報告】