特表2019-526731(P2019-526731A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-526731風力タービン用アクチュエータ装置、風力タービン及び装着方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-526731(P2019-526731A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】風力タービン用アクチュエータ装置、風力タービン及び装着方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20190823BHJP
【FI】
   F03D7/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-501585(P2019-501585)
(86)(22)【出願日】2017年6月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月11日
(86)【国際出願番号】EP2017064933
(87)【国際公開番号】WO2018041433
(87)【国際公開日】20180308
(31)【優先権主張番号】102016116138.1
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルトミクス アンドレ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB37
3H178BB43
3H178CC02
3H178DD12Z
3H178DD31X
3H178DD54X
(57)【要約】
本発明は、アクチュエータ素子(20)と制御素子(80)とを備えた、風力発電設備(100)用の、特に風力発電設備のロータブレード(108)用のアクチュエータ装置(10)、並びに、関連する風力発電設備(100)及び装着方法にも関し、アクチュエータ素子(20)は、優先方向(32)を有する少なくとも1つのアクチュエータ層(30)と、このアクチュエータ層(30)に実質的に平行な少なくとも1つの励起層(40)とを備えており、アクチュエータ層(30)は、光アクチュエータ(34)を備えており、この光アクチュエータ(34)は、励起光に基づいて、優先方向(32)におけるアクチュエータ層(30)の歪み及び/又は応力を変化させるように設計されており、励起層(40)は、励起光をアクチュエータ層(30)内に案内するように設計されており、制御素子(80)は、光源(84)と光ガイド(82)とを備えており、光源(84)は、励起層(40)から離れて配置されており、光ガイド(82)によって励起層(40)に接続されている。アクチュエータ装置(10)は、より大きな動作信頼性の実現を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ素子(20)と制御素子(80)とを備えた、風力発電設備(100)用の、特に風力発電設備のロータブレード(108)用のアクチュエータ装置(10)であって、
前記アクチュエータ素子(20)が、優先方向(32)を有する少なくとも1つのアクチュエータ層(30)と、前記アクチュエータ層(30)に実質的に平行な少なくとも1つの励起層(40)とを備えており、
前記アクチュエータ層(30)が、光アクチュエータ(34)を備えており、
前記光アクチュエータ(34)が、励起光に基づいて、前記優先方向(32)における前記アクチュエータ層(30)の歪み及び/又は応力を変化させるように設計されており、
前記励起層(40)が、励起光を前記アクチュエータ層(30)内に案内するように設計されており、
前記制御素子(80)が、光源(84)と光ガイド(82)とを備えており、
前記光源(84)が、前記励起層(40)から離れて配置されており、前記光ガイド(82)によって前記励起層(40)に接続されている、
前記アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記光アクチュエータ(34)が、少なくとも1つの光歪みアクチュエータ及び/又は光機械的アクチュエータを含む、請求項1に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項3】
前記光機械的アクチュエータが、下記のグループ、即ち、
・分極型光機械的アクチュエータ、
・液晶ベースの光機械的アクチュエータ、
・光熱遷移に基づく光機械的アクチュエータ、
・電荷誘起型光機械的アクチュエータ、
・放射圧に基づく光機械的アクチュエータ、
のうちの少なくとも1つから得られるアクチュエータを含む、請求項2に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項4】
前記光アクチュエータ(34)が、下記のグループ、即ち、
・ロタキサン、
・光学的に活性化可能な圧電結晶体、
・カーボンナノ物、特に、カーボンナノチューブ、
・強誘電体材料、
・光異性化可能有機化合物、
・液晶材料、
・キセロゲル
のうちの1つに属する少なくとも1つの材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項5】
前記アクチュエータ層(30)が、少なくとも1つの方向において異方性である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項6】
前記アクチュエータ層(30)が、繊維複合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項7】
前記アクチュエータ層(30)内の前記光アクチュエータ(34)が、基材内に、特に樹脂基材内に埋設されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項8】
前記アクチュエータ素子(20)が、少なくとも2つのアクチュエータ層(30)と、これらの間にそれぞれ位置する少なくとも1つの励起層(40)と、を備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項9】
前記アクチュエータ素子(20)が、前記アクチュエータ素子(20)の断面積の1平方ミリメートル毎に10〜50ニュートンの力を、励起光によって、加えるように設計されており、前記アクチュエータ素子の前記断面積が、前記優先方向(32)に垂直である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項10】
前記アクチュエータ素子(20)が、拡張型アクチュエータ素子として構成されており、前記優先方向(32)が、前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)に実質的に垂直であるか、あるいは、
前記アクチュエータ素子(20)が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、前記優先方向(32)が、実質的に前記アクチュエータ層(30)の平面内にある、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項11】
アクチュエータ面積の、前記アクチュエータ素子(20)の基準長の2乗に対する比が、0.0001〜0.01の範囲内にあり、特に、前記アクチュエータ素子(20)が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、0.01〜1の範囲内にある、請求項10に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項12】
前記アクチュエータ素子(20)によって実施され得る機械的仕事が、アクチュエータ体積の1立方メートル毎に100〜10000ジュールの範囲内にあり、特に、前記アクチュエータ素子(20)が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記アクチュエータ素子(20)によって実施され得る機械的仕事がアクチュエータ体積の1立方メートル毎に1000〜10000ジュールの範囲内にあり、あるいは、前記アクチュエータ素子(20)が湾曲型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記アクチュエータ素子(20)によって実施され得る機械的仕事がアクチュエータ体積の1立方メートル毎に100〜1000ジュールの範囲内にある、請求項10又は11に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項13】
前記アクチュエータ素子(20)が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、励起に応じて、前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の平面に対して垂直に且つ前記優先方向(32)に対して垂直に湾曲するように設計されている、請求項10〜12のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項14】
前記アクチュエータ素子(20)の高さの、前記優先方向における前記アクチュエータ素子(20)の長さに対する比が、0.001〜0.1の範囲内に、特に0.002〜0.02の範囲内にある、請求項13に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の平面に対して垂直な前記アクチュエータ素子(20)の高さが、1mm〜10mmの範囲内にあり、望ましくは3mm〜7mmの範囲内にあり、特に望ましくは約5mmの範囲内にある、請求項14に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項16】
前記励起層(40)が、極薄のガラス及び/又は重合体を含み、特に20μm〜100μmの厚さを有している、請求項1〜15のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項17】
前記アクチュエータ素子(20)が、前記励起光を反射するように設計された鏡面被膜(50)を備えており、
前記鏡面被膜(50)が、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(20)を、少なくとも1つの側面で、取り囲んでおり、特に、前記アクチュエータ素子(20)を、前記アクチュエータ層(30)とは反対側の前記励起層(40)側で、取り囲んでいる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項18】
前記光ガイド(82)が、光を前記励起層(40)内に長手方向(L)に導入するように配置されており、前記長手方向(L)が前記励起層(40)の平面内にあり、前記励起層(40)の前記平面が前記長手方向(L)と幅方向(B)とによって規定されており、
特に、前記アクチュエータ素子(20)が湾曲型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記優先方向(32)が、前記長手方向(L)に実質的に対応しているか、あるいは、前記長手方向(L)からずれている方向であって前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の平面内にある方向に実質的に対応しており、
あるいは、前記アクチュエータ素子(20)が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記優先方向(32)が、前記長手方向(L)に対して及び/又は前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の前記平面に対して実質的に垂直である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項19】
前記アクチュエータ素子(20)を取り囲む増幅フレーム(200)を更に備えており、
前記増幅フレーム(200)が、前記アクチュエータ層(30)が前記優先方向(32)に拡張すると前記増幅フレーム(200)が前記優先方向(32)に対して垂直に縮小するように、配置されており、
前記増幅フレーム(200)が、前記優先方向(32)における動きと前記優先方向(32)に対して垂直な動きとの間の変換を行うように設計されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項20】
前記励起層(40)が、前記アクチュエータ層(30)に隣接する側において、励起光の前記アクチュエータ層(30)内への拡散導入用の少なくとも1つの拡散構成要素(60)を備えており、前記拡散構成要素(60)が、特に、表面の凹凸、望ましくは、レーザによって及び/又はエッチングによって形成された微小キャビティを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項21】
前記励起層(40)が、前記光源(84)から得られる光を励起光に変換するように設計された変換構成要素を備えており、前記励起光が、前記光源(84)の光とは、異なる波長、及び/又は、異なるスペクトルを有している、請求項1〜20のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)と能動構成要素(120、230)とを備えた、風力発電設備(100)のロータブレード(108)であって、
前記アクチュエータ装置(10)が、前記能動構成要素(120、230)を制御するように設計されている、
前記ロータブレード。
【請求項23】
前記アクチュエータ装置(10)の前記アクチュエータ素子(20)が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、
前記能動構成要素が、サーボフラップ(120)として構成されており、
前記アクチュエータ素子(20)が、前記サーボフラップ(120)の領域に、表面接触して、取り付けられている、請求項22に記載のロータブレード。
【請求項24】
前記アクチュエータ装置(10)の前記アクチュエータ素子(20)が、拡張型アクチュエータ素子として構成されており、
前記能動構成要素が、リフトフラップ(230)として構成されており、
前記ロータブレード(108)が、前記アクチュエータ素子(20)の動きを前記リフトフラップ(230)の制御に変換する変換ユニット(200、210)も備えている、請求項22に記載のロータブレード。
【請求項25】
前記アクチュエータ装置(10)が、前記アクチュエータ素子を取り囲む増幅フレームを備えており、
前記変換ユニットが、前記増幅フレームを前記リフトフラップに結合するためのプッシュプルロッドを備えている、請求項24に記載のロータブレード。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれか一項に記載のロータブレードを備えた風力発電設備(100)。
【請求項27】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)を、請求項22〜26のいずれか一項に記載のロータブレード(108)に装着する装着方法であって、
前記アクチュエータ素子(20)を前記ロータブレード(108)に取り付けるステップ、及び/又は、前記制御素子(80)を前記アクチュエータ素子(20)に接続するステップ、を含む、
前記装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に述べる発明は、風力発電設備用、特に風力発電設備のロータブレード用のアクチュエータ装置と、このアクチュエータ装置を備えた風力発電設備と、アクチュエータ装置を装着する装着方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータは、信号を機械的な運動又は例えば圧力や温度などのその他物理的な変数に変換する。これらの信号は電線を介して送信されることが多い。既知のアクチュエータとして、ほんの少し例を挙げれば、例えば、バイメタルアクチュエータ、油圧又は空気圧アクチュエータ、及び、圧電アクチュエータがある。
【0003】
アクチュエータは、風力発電設備において、特に風力発電設備のロータブレードにおいて使用される場合、例えば、ロータブレードフラップを制御する、及び/又は、ロータブレード自体をねじらせる、という点で、リフト(lift)を制御する。風力発電設備用の既知のアクチュエータ装置の1つの欠点は、電線が必然的に伴う落雷の影響を受けやすいことである。従って、風力発電設備のロータブレードのための落雷に付随するリスクが少ないアクチュエータ機構を提供することが望ましい。
【0004】
従って、このような背景に対して、本発明の目的は、より大きな動作信頼性を保証する、風力発電設備用アクチュエータ装置、このアクチュエータ装置を備えた風力発電設備、及びアクチュエータ装置を装着するための装着方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2008 037 447 A1
【特許文献2】DE 10 2010 006 544 B4
【特許文献3】EP 2 899 395 B1
【特許文献4】EP 2 495 434 B1
【特許文献5】DE 10 2013 006 166 A1
【特許文献6】DE 197 12 034 A1
【特許文献7】EP 3 128 169 A1
【特許文献8】DE 10 2010 047 918 A1
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Optical Nano and Micro Actuator Technology” (CRC Press 2012)
【非特許文献2】Iwaso et. al., “Fast response dry-type artificial molecular muscles with [c2]daisy chains,” Nature Chemistry, Vol. 9, June 2016, 625-631 doi: 10.1038/NCHEM.2513
【非特許文献3】Shepherd, H. J. et al., “Molecular actuators driven by cooperative spin-state switching,” Nat. Commun. 4:2607 doi: 10.1038/ncomms3607 (2013)
【非特許文献4】Morimoto et al., “A Diarylethene Cocrystal that Converts Light into Mechanical Work,” Journal of American Chemical Society 2010, 132, 14172-14178
【発明の概要】
【0007】
一態様において、アクチュエータ素子と制御素子とを備えた、風力発電設備用の、特に風力発電設備のロータブレード用のアクチュエータ装置が提供される。前記アクチュエータ素子は、優先方向を有する少なくとも1つのアクチュエータ層と、このアクチュエータ層に実質的に平行な少なくとも1つの励起層とを備えている。前記アクチュエータ層は、光アクチュエータを備えており、この光アクチュエータは、励起光に基づいて、前記優先方向における前記アクチュエータ層の歪み及び/又は応力を変化させるように設計されている。前記励起層は、励起光を前記アクチュエータ層内に案内するように設計されている。前記制御素子は、光源と光ガイドとを備えており、前記光源は、前記励起層から離れて配置されており、前記光ガイドによって前記励起層に接続されている。
【0008】
光アクチュエータは、入射光を、例えば、それを先ず電気エネルギに変換することなく、直接、機械的な運動に変換する特性を備えている。従って、光アクチュエータの使用によって、光制御型アクチュエータの場合に、通常、必要とされる2つの変換工程、具体的には、先ず光エネルギを電気エネルギに変換して、次にその電気エネルギを機械的エネルギに変換することを単純化することが可能になる。
【0009】
前記制御素子が、光源を励起層に接続する光ガイドを備えていることによって、電気的な接続線なしに、即ち、導電素子なしに、前記アクチュエータ素子の提供が可能になる。光ガイドを介して案内された光源の光は光アクチュエータに影響を及ぼし、光アクチュエータは、入射励起光を、直接、アクチュエータ層の歪み及び/又は応力に変換する。
【0010】
一実施形態において、前記光アクチュエータは、少なくとも1つの光歪みアクチュエータ(photostrictive actuator)及び/又は光機械的アクチュエータ(photomechanical actuator)を含む。
【0011】
光歪み(photostriction)は、照射光を歪みに直接変換することである。光機械的アクチュエータは、ごく一般的に、光の照射に対する反応として、機械的な運動を、歪みに関係なく、生成する。同時に、光機械的アクチュエータは、光照射の二次的な作用に基づくもの、例えば、加熱も含んでいる。
【0012】
光アクチュエータは、光アクチュエータの励起が、励起光によって、直接、一次的な作用として、開始されるように製作されていることが望ましい。それに加えて、あるいは、その代わりに、例えば入射光の結果としての加熱による二次的な作用が、光アクチュエータの励起として、機械的仕事を行うために、例えば優先方向において歪み及び/又は応力を変化させるために、使用できるように構成されてもよい。
【0013】
一実施形態において、前記光機械的アクチュエータは、次のグループ、即ち、a)分極型光機械的アクチュエータ、b)液晶ベースの光機械的アクチュエータ、c)光熱遷移に基づく光機械的アクチュエータ、d)電荷誘起型光機械的アクチュエータ、e)放射圧に基づく光機械的アクチュエータ、のうちの少なくとも1つから得られるアクチュエータを含む。
【0014】
分極型光機械的アクチュエータは、偏光で照射されると、光誘起型機械的変形を呈する光機械的アクチュエータである。そのような作用を呈する材料の一例は、ガラス、即ち、非晶質固体であり、これは、カルコゲンのグループから得られる1つ又は複数の成分からなる。液晶ベースの光機械的アクチュエータは、既に実証されているが、例えば、ネマチック状態のエラストマーである。例えば、アゾベンゼン液晶砕片を含有する重合体網状構造について、ネマチック状態の程度が光機械的アクチュエーション(optomechanical actuation:光機械的駆動)によって抑制又は復元できることが実証可能となっている。即ち、光照射は、例えば、液晶の程度に基づいて、アゾベンゼン重合体フィルムを変形させることができる。
【0015】
光熱遷移は、実質的に電熱遷移の直接の光学的な等価物であり、媒体によって吸収されて熱エネルギに変換される励起光のエネルギの一部分に基づいている。一般的に、その他の光駆動作用(photoactuating effect)に加えて、光アクチュエータは、常に、光熱遷移に基づく駆動機構の少なくとも1つの要素も備えている。
【0016】
電荷誘起型光機械的アクチュエータの場合には、光子が半導体内に吸収されて、自由電子が価電子帯から伝導帯内に励起されて、その結果、ホールが格子内に残されて、それによって、材料内に局所的な機械的歪みが生じる。
【0017】
放射圧に基づく光機械的アクチュエータは、光とアクチュエータ構造体との間での運動量の移動に基づいている。これらの物理的な原理は、本発明に従う光アクチュエータがアクチュエータ層の歪み及び/又は応力を変化させるようにする利用可能な原理のほんの一部に過ぎない。その他の利用可能な作用も考えられるが、例えば、光アクチュエータは、光学的に活性化される形状記憶重合体から成ってもよく、あるいは、光子によって生成された電荷の局所的な不均等な分配によって応力を有するナノ構造体から成ってもよい。
【0018】
一実施形態において、前記光アクチュエータは、次のグループ、即ち、
・液晶材料、特に、液晶エラストマー、
・光異性化可能有機化合物(photoisomerizable organic compound)、具体的には、アゾ化合物(azo compound)、例えばアゾベンゼン(azobenzene)、及び、光互変性有機化合物(ここでは、光互変性色変化が開環異性体から閉環異性体への異性化と組み合わされている)、例えば、フルギド(fulgide)、ヘキサトリエン(hexatriene)、ジアリールエテン(diarylethene)、ジチエニルシクロペンテン(dithienylcyclopentene)、望ましくは、光互変性ジアリールエテン(photochromic diarylethene)、特に、光互変性ジアリールエテン単結晶(photochromic diarylethene single crystal)又は光互変性ジアリールエテンの共結晶(cocrystal)、例えば、過フッ素化縮合環系を備えた化合物、例えばペルフルオロナフタレン(perfluoronaphthaline)を備えた1、2−ビス(2−メチル−5−(1−ナフチル)−3−チエニル) ペルフルオロシクロペンテン(perfluorocyclopentene)、特に、ペルフルオロナフタレン(perfluoronaphthaline)を備えた1、2−ビス(2−メチル−5−(1−ナフチル)−3−チエニル) ペルフルオロシクロペンテン(perfluorocyclopentene)の共結晶、
・スピンクロスオーバ材料(spin-crossover material)、特にスピンクロスオーバ合成物(spin-crossover complex)、例えば、[Fe(L){M(CN)4}]スカフォード(scaffold)(ここで、Lは、配位子(ligand)、例えば、芳香環構造体内に少なくとも1つの窒素原子を備えたヘテロ芳香族化合物、例えばピラジン(pyrazine)又は3−シアノピリジン(3-cyanopyridine)、Mは、金属、例えばPt又はAu、例えば{Fe(3-CNpy)[Au(CN)2]2}*2/3H2O、
・カーボンナノ物、特にカーボンナノチューブ(単層、多層)、カーボンナノファイバ、及び、グラフェン(graphene)、
・基材、望ましくは弾性基材、特に弾性重合体基材、例えばポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)PDMSを含む基材、液晶エラストマー(liquid-crystal elastomer)を含む基材、又は、形状記憶重合体を含む基材内にカーボンナノチューブ、特に多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nano tube)MWCNT及び/又はグラフェンを含むナノ複合物、
・エラストマーフィルム、例えばアクリルエラストマー(acrylic elastomer)を含有するフィルムと組み合わせたカーボンナノチューブのフィルムを含むラミネート、
・例えば光感受性ヒドロゲル(light-sensitive hydrogel)、特に、熱反応性重合体(thermoresponsive polymer)と発色団(chromophore)との共有結合的に架橋された共重合体網状構造(copolymer network)のヒドロゲルの形態での光応答性重合体(photoresponsive polymer)、
・生物学的光応答性分子(biological photoresponsive molecule)、例えば光応答性タンパク質(photoresponsive protein)、例えばバクテリオロドプシン(bacteriorhodopsin)、
・カルコゲナイドガラス(chalcogenide glass)、例えばAs50Se50
・強誘電体材料(ferroelectric material)、例えば強誘電体単結晶(ferroelectric single crystal)及び強誘電体多結晶(ferroelectric polycrystalline)の材料、例えば分極型強誘電体セラミックス(polarized ferroelectric ceramic)、例えば、ランタン変性ジルコン酸チタン酸鉛(lanthanum-modified lead zirconate titanate)、ドープされたランタン変性ジルコン酸チタン酸鉛、例えばWOでドープされたランタン変性ジルコン酸チタン酸鉛、
・極性半導体、
・ロタキサン(rotaxane)、
・光学的に活性化可能な圧電結晶体、
のうちの1つに属する少なくとも1つの材料を含む。
【0019】
ほんの少し例を挙げると、これらの材料とその他の材料を光アクチュエータとして使用することは、非特許文献1−4から既知である。
【0020】
特許文献1には、風力発電設備のブレード(20)が記載されている。このブレード(20)は、該ブレードの後縁の上流に配置され、該ブレードの表面の近くの気流の特徴を検出するセンサと、このセンサの下流に配置され、測定された特徴に応じて気流を設定するアクチュエータと、を備えている。
【0021】
特許文献2には、特に風力発電設備用のロータブレードが開示されている。このロータブレードは、アクチュエータとマス(mass:塊体)とを有する少なくとも1つのマスアクチュエータを備えている。マスは、直線的に又は振り子運動における円弧状に移動させることができる。このロータブレードの特徴は、マスアクチュエータが、独立して操作できるユニットとして、センサとコントローラ(9)と共に、形成されていることである。
【0022】
特許文献3には、コード方向とスパン方向に伸延する変形可能後縁セクションを備えた風力タービンブレードが開示されている。この変形可能後縁セクションは、1つ又は複数のスリットによって、サクション側サブセクションとプレッシャ側サブセクションとに分割されている。この変形可能後縁セクションは、サクション側とプレッシャ側とに対応するサブセクションの少なくとも1つで動作する1つ又は複数のアクチュエータを備えている。上記スリットは、サブセクションの互いに対する、又は、サブセクション相互間に配置された中間構造体に対する、摺動運動を可能にするように構成されており、サクション側とプレッシャ側とに対応するサブセクションとアクチュエータとは、1つのサブセクションの変形が他方のサブセクションの実質的に対応する変形と関連付けられるように配置されている。
【0023】
特許文献4は、風力発電設備のロータブレードの状態をモニタするシステムに関する。このシステムでは、複数のセンサノードが、ロータブレードに取り付けられているか、あるいは、ロータブレード内に設けられている。個々のセンサノードにおいて、各々の場合に、ロータブレードの振動及び/又は音響波の空間分解検出用の少なくとも1つのセンサが設けられており、センサノードは、光ファイバによって、中央供給受信ユニットに接続されている。この中央供給受信ユニットには、光源が設けられており、この光源から得られる電磁波が光ファイバを介して光電変換器に供給されて、この光電変換器によって、受信された電磁波が電気エネルギに変換される。
【0024】
特許文献5は、風力発電設備のロータブレードの空力プロファイルにおける、形状可変であり流体力学的に駆動される後縁に関し、この後縁は、望ましくは、フレキシブルな上側部分と下側部分とを備えた基本構造体を備えており、また、この基本構造体を動かす流体力学的に、望ましくは空気圧で、操作される少なくとも1つのアクチュエータ構成要素も備えている。特徴として、このアクチュエータ構成要素は、蛇腹のように、自己の壁面の折り畳みによって、自己の広がりを変化させ、この壁面は、局所的にプロファイルの外側輪郭の形状を規定しており、望ましくは、下側にある空力プロファイルの包絡曲線に配置されており、この壁面は、プロファイルの可動部分と固定部分との間において、プロファイルの周囲について、内側プロファイル空間のシーリングを形成している。
【0025】
特許文献6には、空力プロファイルのプロファイル縁端部が記載されている。このプロファイル縁端部は、その外側及び/又は内側に、あるいは、その構造体に多機能性構成要素を備えている。
【0026】
特許文献7は、風力タービンのロータブレードに対して空力装置を動かすアクチュエータ装置に関する。このアクチュエータ装置は、ロータブレードの後縁セクションにアクチュエータ装置を取り付けるように配置されて準備された取り付け部と、空力装置をアクチュエータ装置に接続するように配置されて準備された接続部と、取り付け部と接続部とを接続するヒンジ部と、を備えている。このヒンジ部は、接続部が、ロータブレードの実質的にスパン方向に方向付けられた回転軸の周りで、取り付け部に対して相対的に移動できるようにしており、このアクチュエータ装置は、更に、接続部の取り付け部に対する回転移動を誘起する空気圧アクチュエータも備えており、この移動は可逆性移動である。このアクチュエータ装置は、特徴として、空力装置を接続部に取り外し可能に接続するように配置されて準備されている。更に、この発明は、そのようなアクチュエータ装置と空力装置とを備えた可動性の後縁装置(40)に関する。最後に、この発明は、風力タービンの、そのようなアクチュエータ装置とロータブレードとを備えたロータブレード装置に関する。
【0027】
特許文献8には、空気圧で駆動されて動作的に信頼できるフレキシブルな後縁の概念の種々の技術的な実施形態が記載されている。この発明において記載された異形態の全ては、変形可能な弾性空力構造体を偏向させるために、空気圧力と反作用的機械的エネルギの蓄積とを使用するという基本原理に基づいている。そのような異形態の効果的な実施形態によって、風力発電設備の実効的な空力効果と、風の負荷と、ロータの正確な動力制御とを調整できる。
【0028】
一実施形態において、前記アクチュエータ層は、少なくとも1つの方向において異方性である。アクチュエータ層が少なくとも1つの方向において異方性であるため、アクチュエータ層の特性の全てが1つの方向に依存しているわけではない。特に、この異方性は、光アクチュエータ又はアクチュエータ層が優先方向を形成するという効果を有していることが望ましい。
【0029】
一実施形態において、前記アクチュエータ層は、繊維複合材料を含む。繊維複合材料は、2つの主要成分、具体的には、ベッディング基材(bedding matrix)と強化用繊維とを備えていることが望ましい。この繊維は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維などを含むが、これらには限定されない。エンベッディング基材(embedding matrix)の材料は、例えば、熱硬化性物質やエラストマー、熱可塑性プラスチックなどの重合体を含んでいてもよく、また、セメントや金属、セラミックスなどのその他構成要素も含んでいてもよく、これらには限定されない。このような材料は、特に風力発電設備の領域において有効に使用できる。
【0030】
一実施形態において、前記アクチュエータ層内の前記光アクチュエータは、基材内に、特に樹脂基材内に埋設されている。ここで樹脂という用語は、固体から液体の有機物質を意味する。特に、樹脂は、プラスチックについての基本材料として重合体を意味する。基材によって、光アクチュエータは、アクチュエータ層内に有益な形態で埋設できる。
【0031】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子は、少なくとも2つのアクチュエータ層と、これらの間にそれぞれ位置する少なくとも1つの励起層と、を備えている。
【0032】
この多層構成は、圧電積層体の既知の構成と比較できる。アクチュエータ素子が、1つが別の1つの上に配置された多数のアクチュエータ層を有する場合、優先方向が、利点として、積み重ね方向に実現できる。その場合、アクチュエータの変位は、層の数に比例して、利点として、ある程度の広がりにまでスケール変更できる。
【0033】
しかしながら、優先方向は、必ずしも、あらゆる実施形態において、積み重ね方向に対応していなくてもよい。特に、アクチュエータ素子が2つのアクチュエータ層と、これらの間に位置する1つの励起層とを備えている場合には、優先方向は、アクチュエータ層又は励起層の平面内にあってもよい。この場合において、2つのアクチュエータ層は、励起光に対して相異なる反応を呈し、例えば、一方のアクチュエータ層は優先方向において歪みによって拡張し、他方のアクチュエータ層は優先方向において縮小することが望ましい。この結果、アクチュエータ素子は、湾曲する。しかしながら、別の実施形態において、アクチュエータ層は、同じ反応を呈してもよく、その結果、アクチュエータ素子全体が、それらの層の平面内にある優先方向において、拡張する。
【0034】
さらなる実施形態において、複数の励起層を2つのアクチュエータ層の間に設けることも可能である。この場合には、相異なる励起光をそれぞれのアクチュエータ層内に導入できる。
【0035】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子は、前記アクチュエータ素子の断面積の1平方ミリメートル毎に10〜50ニュートン(N/mm)の力を、励起光によって、加えるように設計されており、前記アクチュエータ素子の断面積は、優先方向に垂直である。
【0036】
断面積の1平方ミリメートル毎のニュートン単位の力は、メガパスカル単位の圧力に対応しており、10〜50N/mmの範囲は、圧電アクチュエータに広く使用されている値であり、多くの領域に、特に風力発電設備の用途に利用できる。
【0037】
優先方向に対して垂直なアクチュエータ素子の断面積は、アクチュエータ面積と呼称されることが望ましく、アクチュエータ層と励起層とを含むアクチュエータ素子全体の面積として特定されることが望ましい。
【0038】
従って、積層体アクチュエータについて、アクチュエータ面積は、層の数とは関係なく、1つの対応する層の表面積に対応することが望ましい。
【0039】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子は、拡張型アクチュエータ素子として構成されており、拡張の方向は、前記優先方向に対応しており、前記優先方向は、前記少なくとも1つのアクチュエータ層に実質的に垂直であるか、あるいは、前記アクチュエータ素子は、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、前記拡張の方向は、前記アクチュエータ層の前記優先方向に実質的に垂直である。
【0040】
拡張型アクチュエータ素子は、望ましくは直線的な機械的変形を可能にして、この直線的な機械的偏りは、例えば、その他の素子の運動に変換できる。望ましくは、アクチュエータ素子の積層体状の構成は、拡張型アクチュエータ素子に対応しており、この例における直線的な拡張変位は積み重ね方向に対応している。拡張型アクチュエータ素子は、一実施形態において、風力発電設備のロータブレードのリフトフラップを駆動するように設計されてもよい。
【0041】
これとの違いとして、湾曲型アクチュエータ素子は、優先方向に対して垂直な拡張又は偏向の方向にアクチュエータ素子を湾曲させるように設計されている。この湾曲型アクチュエータ素子は、制御される素子の比較的大きい領域に亘って伸延する2次元のアクチュエータ素子として構成されることが望ましい。優先方向は、実質的に、アクチュエータ素子が自己の2次元の広がりを有する平面内に伸びている。ここでは、一実施形態において、その平面内に配置された1つ又は複数のアクチュエータ層及び/又は励起層が含まれていてもよく、その場合、優先方向はアクチュエータ層内に配置されており、あるいは、別の一実施形態において、その平面に対して垂直な複数の積み重ねられた層が含まれていてもよく、その場合、優先方向は、それぞれのアクチュエータ層の平面に対して垂直である。湾曲型アクチュエータ素子は、自己の2次元の広がりを有する平面に対して垂直に、自己のその他の外形寸法と比較して、小さい広がりを有していることが望ましい。
【0042】
一実施形態において、そのような湾曲型アクチュエータ素子は、風力発電設備のロータブレードのサーボフラップを制御するように設計されている。拡張型アクチュエータ素子とは対照的に、湾曲型アクチュエータ素子は、少なくとも、アクチュエータ層と励起層が、湾曲型アクチュエータ素子が自己の2次元の広がりを有する平面と平行に配置されている場合に、遥かに少ない数のアクチュエータ層又は励起層を備えており、より大きい表面積を取る一方で、同等の体積を有している。
【0043】
一実施形態において、前記アクチュエータ面積の、前記アクチュエータ素子の基準長の2乗に対する比は、0.0001〜0.01の範囲内にあり、特に、前記アクチュエータ素子が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、0.01〜1の範囲内にある。
【0044】
アクチュエータ変位と拡張変位との比をアクチュエータ素子の基準長と呼称することにする。例えば、アクチュエータが、0.1mmのアクチュエータ変位を必要とするように設計される場合、これによって0.1%の、歪みによる拡張が可能になり、その結果、基準長は100mmになる。勿論、これは一例であり、アクチュエータの実際の設計は実際の要件に基づいていてもよい。
【0045】
アクチュエータ面積の、基準長の2乗に対する比についての0.01〜1の範囲は、特に風力発電設備のリフトフラップについて必要とされるような範囲に対応している。0.0001〜0.01の範囲は、特に風力発電設備用のサーボフラップの設計に使用されるような範囲に対応している。
【0046】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子によって実施され得る機械的仕事は、アクチュエータ体積の1立方メートル毎に100〜10000ジュール(J/m)の範囲内にあり、特に、前記アクチュエータ素子が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記アクチュエータ素子によって実施され得る機械的仕事は、アクチュエータ体積の1立方メートル毎に1000〜10000ジュールの範囲内にあり、あるいは、前記アクチュエータ素子が湾曲型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記アクチュエータ素子によって実施され得る機械的仕事は、アクチュエータ体積の1立方メートル毎に100〜1000ジュールの範囲内にある。
【0047】
アクチュエータ素子の体積をアクチュエータ体積と呼称することにするが、このアクチュエータ体積は、少なくともアクチュエータ層と励起層とを含んでいることが望ましい。100〜10000J/mの範囲内で実施され得る機械仕事は、特に、最初に述べた光アクチュエータの例に使用可能であり、アクチュエータ素子の設計に依存して実現できる。
【0048】
一般的に、平面アクチュエータ(surface actuator)の場合における達成可能なエネルギ密度は、積層体アクチュエータの場合に比べて、約10分の1である。アクチュエータ体積の100〜1000J/mの範囲は、風力発電設備のサーボフラップの駆動に使用できることが望ましい。アクチュエータ体積の1000〜10000J/mの範囲は、風力発電設備のリフトフラップを駆動するように設計されることが望ましい。
【0049】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子は、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、励起によって、前記優先方向に対して垂直に湾曲するように設計されている。
【0050】
従って、湾曲型アクチュエータ素子は、優先方向の平面に対して垂直に湾曲するように設計されていることが望ましい。特に、この優先方向は、湾曲型アクチュエータ素子が2次元の広がりを有しており、例えば1つの素子の基板又は表面に取り付けられる平面内に配置されている。その結果として、アクチュエータが取り付けられる表面領域の変形を直接呈する2次元のアクチュエータ素子を設計できる。湾曲型アクチュエータ素子は、その動作原理について、バイメタルアクチュエータ(bimetallic actuator)に対応しており、これと同様の方法で形成されてもよい。湾曲アクチュエータ素子の1つの構成において、優先方向は、アクチュエータ層の平面内に配置されており、即ち、1つ又は複数のアクチュエータ層は、アクチュエータが取り付けられている表面領域に対して実質的に平行に伸びている。別の一構成において、湾曲型アクチュエータ素子は、多数の層から成り、これらの層は、アクチュエータが取り付けられている表面領域に対して実質的に垂直に伸びている。この場合において、優先方向も、複数のアクチュエータ層の平行な平面に対して実質的に垂直に伸びている。
【0051】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子の高さの、前記優先方向におけるアクチュエータ素子の長さに対する比は、0.001〜0.1の範囲内に、特に0.002〜0.02の範囲内にある。
【0052】
この実施形態において、アクチュエータ層の平面は、優先方向とこれに対して垂直な方向とに広がっている。アクチュエータ素子によって実施され得る機械的仕事は、優先方向に対して垂直な、アクチュエータ素子の幅に比例する。換言すれば、幅方向におけるアクチュエータ素子の差動的な貢献は一定であり、高さの、優先方向における長さに対する比によって、既に特定されていることが望ましい。この比が望ましい範囲内にあるアクチュエータ素子は、特に、風力発電設備のロータブレードでの使用に良好に適合している。
【0053】
風力発電設備のロータブレードのサーボフラップの例について、優先方向はロータブレードのプロファイルの方向に対応していてもよい。その場合、サーボフラップは、例えば、プロファイル弦(profile chord)の方向におけるある程度の長さで、風力発電設備のロータブレードの後縁の領域内に設けられていてもよい。サーボフラップを駆動するために実施される機械的仕事は、ロータブレードの半径の方向においてフラップの幅に比例しており、即ち、幅方向における単位当たりの仕事は、風力発電設備のロータブレードの半径に亘って、ハブからブレードの先端まで、実質的に一定である。例えば、そのようなサーボフラップは、1メートルの幅を有していてもよい。アクチュエータ素子によって実施され得る機械的仕事と、サーボフラップによって必要とされる機械的仕事とは、アクチュエータとサーボフラップとの幅に比例しており且つこの幅に直線的に依存しているので、アクチュエータ素子の長さとその高さとを規定すれば、それで十分である。アクチュエータ素子の体積と、それによって実施され得る機械的仕事とは、サーボフラップの長さに対応する長さを乗算することによって、得られる。
【0054】
一実施形態において、前記少なくとも1つのアクチュエータ層の平面に対して垂直な前記アクチュエータ素子の高さは、1mm〜10mmの範囲内にあり、望ましくは3mm〜7mmの範囲内にあり、特に望ましくは約5mmの範囲内にある。
【0055】
望ましくは、約という用語は、丸めの誤差として解釈されるべきであり、即ち、4.5mmから、例えば、5.49mmまでの範囲は、約5mmの値として解釈されるべきである。望ましい範囲内にあるアクチュエータ素子の高さは、特に、風力発電設備の領域における使用についての要件を満たしている。
【0056】
一実施形態において、前記励起層は、極薄のガラス及び/又は重合体を含み、特に20μm〜100μmの厚さを有している。
【0057】
極薄のガラス及び/又は重合体は、勿論、励起層内に含有されてもよい材料の一例にすぎない。その他の適切な材料も考えられる。極薄のガラス又は重合体は、利点として、励起層が、非常に薄い厚さにも拘らず、所望の特性を有することを可能にする。
【0058】
一実施形態において、前記アクチュエータ素子は、前記励起光を反射するように設計された鏡面被膜を備えており、前記鏡面被膜は、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子を、少なくとも1つの側面で、取り囲んでおり、特に、前記アクチュエータ素子を、前記アクチュエータ層とは反対側の前記励起層側で、取り囲んでいる。
【0059】
この鏡面被膜は、励起光の波長に適するように設計されていることが望ましい。鏡面被膜の効果として、例えば、励起光がアクチュエータ層内に案内されずに励起層から逃げることによる光損失を低減できる。このようにして、アクチュエータ素子全体の効率が増大する。
【0060】
一実施形態において、前記光ガイドは、光を前記励起層内に長手方向に導入するように配置されており、前記長手方向は、前記励起層の平面内にあり、前記励起層の前記平面は、前記長手方向と幅方向とによって規定されており、特に、前記アクチュエータ素子が湾曲型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記優先方向は、前記長手方向に実質的に対応しているか、あるいは、前記長手方向からずれている方向であって前記少なくとも1つのアクチュエータ層の平面内にある方向に実質的に対応しており、あるいは、前記アクチュエータ素子が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記優先方向は、前記長手方向に対して及び/又は前記少なくとも1つのアクチュエータ層の前記平面に対して実質的に垂直である。
【0061】
長手方向が励起層の平面内に伸びていることは、光ガイドによってこの層内に光を導入することが特に容易であることを意味している。その他の実施形態において、長手方向は、励起層の方向として規定されてもよく、1つ又は複数の光ガイドが、光を、励起層内に、励起層の平面内において、導入し、この1つ又は複数の光ガイドが光を導入する方向は、必ずしも長手方向には対応していない。
【0062】
この実施形態において、アクチュエータ素子が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されているか、あるいは、拡張型アクチュエータ素子として構成されているか、に依存して、光アクチュエータの異なる作用が使用されることが望ましい。具体的には、湾曲型素子の場合には光アクチュエータの横断方向の作用が使用され、アクチュエータ素子が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には光アクチュエータの長手方向の作用が使用される。この横断方向の作用は、圧電アクチュエータに対して知られている横断方向作用、即ち、d31作用(d31 effect)に相当し、この長手方向の作用は、線形作用、即ち、d33作用(d33 effect)に相当する。これらも、単に例として述べた構成に過ぎず、その他の実施形態においては、その他の作用、例えば、剪断変形作用(shear effect)、あるいは、横断方向の作用と長手方向の作用との組み合わせも使用できる。
【0063】
一実施形態において、前記アクチュエータ装置は、前記アクチュエータ素子を取り囲む増幅フレームを更に備えており、前記増幅フレームは、前記アクチュエータ層が前記優先方向に拡張すると前記増幅フレームが前記優先方向に対して垂直に縮小するように、配置されており、また、前記増幅フレームは、前記優先方向における動きと前記優先方向に対して実質的に垂直な動きとの間の変換を行うように設計されている。
【0064】
換言すれば、このような増幅フレームは変位増大システムを実施しており、これによって、アクチュエータの変位を、動きの観点で、より長い変位に変換できる。特に、アクチュエータ素子が複数の層を備えている、即ち、積層体アクチュエータとして形成されている場合には、アクチュエータ素子の達成可能な駆動変位を、特に風力発電設備における用途に適した態様で、増幅フレームによって増大させることができる。
【0065】
アクチュエータによって生成され得る機械的エネルギは、この変換によっては、変えられない。従って、変位距離が増大した場合には、各々の変位距離に亘って加えられ得る力は、その分だけ低減される。増幅フレームの変換率(transformation factor)は、2〜10の範囲内にあり、特に約5であるが、これらには限定されない。
【0066】
一実施形態において、前記励起層は、前記アクチュエータ層に隣接する側において、励起光の前記アクチュエータ層内への拡散導入用の少なくとも1つの拡散構成要素を備えており、前記拡散構成要素は、特に、表面の凹凸、望ましくは、レーザによって及び/又はエッチングによって形成された微小キャビティを含む。
【0067】
この拡散構成要素は、アクチュエータ層内における励起光の均一な分配を実現することが望ましい。その代わりに、あるいは、それに加えて、別の実施形態において、この拡散構成要素は、励起層とアクチュエータ層との間における独立した層として、あるいは、アクチュエータ層の一部分として、形成されてもよい。表面の凹凸に基づかないその他の拡散構成要素も考えられる。
【0068】
一実施形態において、前記励起層は、前記光源から得られる光を励起光に変換するように設計された変換構成要素を備えており、前記励起光は、前記光源の光とは、異なる波長、及び/又は、異なるスペクトルを有している。
【0069】
変換構成要素を使用することによって、光源の光を光アクチュエータ用に正確に調節する必要がなくなる。従って、光源から得られる光が励起光として適切でない場合でも、その光を変換構成要素によって励起光に変換すれば、光アクチュエータを励起できる。
【0070】
一実施形態において、変換構成要素は、蛍光性又は燐光性の材料を含む。特に燐光性の材料が使用される場合には、光アクチュエータの励起は、従って、光源による照射がオフに切り換えられた後にも実施できる。しかしながら、これらの材料は単なる例に過ぎず、他の変換構成要素も考えられる。また、励起層の一部分としての変換構成要素は、単に一例として述べられたものとして解釈されるべきであり、その他の実施形態においては、独立した変換構成要素が励起層とアクチュエータ層との間に形成されてもよく、あるいは、変換構成要素は、アクチュエータ層の一部分として形成されてもよい。
【0071】
別の一態様において、本発明の一実施形態に従うアクチュエータ装置と能動構成要素とを備えた、風力発電設備のロータブレードが設けられており、前記アクチュエータ装置は、前記能動構成要素を制御するように設計されている。
【0072】
本発明に従うアクチュエータ装置を備えたロータブレードは、ロータブレードに設けられた能動構成要素が、電線に接続される必要なく、制御され得ることを可能にする。本発明に従うアクチュエータ装置の上述の実施形態のその他の効果と利点の全ても、同様にロータブレードに移すことができる。この能動構成要素は、リフトフラップ、サーボフラップ、ボーテックスジェネレータ(vortex generator)、あるいは、例えば、ロータブレードの空力特性及び/又は音響特性を変化させることができるその他の一部の能動構成要素を含むことが望ましい。
【0073】
ロータブレードの一実施形態において、前記アクチュエータ装置の前記アクチュエータ素子は、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、フラップは、サーボフラップとして構成されており、前記アクチュエータ素子は、前記サーボフラップの領域に、表面接触して、取り付けられている。
【0074】
サーボフラップは、形状可変の能動構成要素であり、即ち、サーボフラップ自体が、駆動によって、自己の形状を変化させる、例えば、湾曲することが望ましい。このサーボフラップは、望ましくは、ロータブレードのブレード先端部の領域に設けられており、後縁から見た場合、ロータブレードプロファイルの10〜20%の領域を含む。ブレード先端部の領域は、特に、ロータブレードハブから見た場合、半径方向におけるロータブレードの長さの外側の30%を含み、サーボフラップは、ロータブレードの半径の方向において、ブレード先端部の全領域において又は部分的領域のみにおいて、例えば1m〜10m程度の長さを有していてもよい。
【0075】
サーボフラップのアクチュエータ力は、サーボフラップの全領域に亘って実質的に均等に分配される態様で、加えられる必要がある。この理由から、サーボフラップの可能な限り大きい領域が、湾曲型アクチュエータとして構成されたアクチュエータ装置によってカバーされることが望ましい。これは、勿論、単一の2次元のアクチュエータ素子でなくてもよく、その代わりに、サーボフラップの複数の部分をそれぞれカバーして、各々、独立した制御素子を有する複数の個別のアクチュエータ素子も考えられる。サーボフラップは、例えば、湾曲可能な材料、例えばガラス繊維強化プラスチックの中央層として構成されてもよく、少なくとも1つの湾曲型アクチュエータ素子が、その中央層の上側及び/又は下側に形成される。形状の形成のために、弾性材料物も、その中央層とアクチュエータ素子とを覆うように形成されてもよい。
【0076】
ロータブレードの一実施形態において、前記アクチュエータ装置の前記アクチュエータ素子は、拡張型アクチュエータ素子として構成されており、フラップは、リフトフラップとして構成されており、前記ロータブレードは、前記アクチュエータ素子の動きを前記リフトフラップの制御に変換する変換ユニットも備えている。
【0077】
リフトフラップは、プロファイルの奥行き方向において例えば15〜50%の広がりを有する別個の素子であることが望ましい。リフトフラップの位置は、アクチュエータ装置によってロータブレードに対して変えられる。例えば、リフトフラップの向きが、リフトを増大させる又は低減するために、ロータブレードに対して変えられる。変換ユニットは、一実施形態において、プッシュプルロッド(push/pull rod)を備えており、これによって、アクチュエータの動きが、既知のリフトフラップの場合における如く、リフトフラップの動きに変換される。アクチュエータ装置が拡張型アクチュエータ素子として構成されているので、この拡張型アクチュエータ素子は、直線的なアクチュエータの動きを生成し、これは、変換ユニットによって容易に変換できる。
【0078】
ロータブレードの一実施形態において、前記アクチュエータ装置は、前記アクチュエータ素子を取り囲む増幅フレームを備えており、前記変換ユニットは、前記増幅フレームを前記リフトフラップに結合するためのプッシュプルロッドを備えている。
【0079】
アクチュエータ装置が増幅フレームを備えていることによって、可能な限り短いアクチュエータ変位を増幅フレームのより長い動きに変換できる。このような増幅フレームによって実現できる一般的な変換比は2〜10の範囲内にあり、即ち、アクチュエータ変位を、最高2〜10倍の長さにまで、増大させることができる。その他の変換も考えられるが、例えば複数の変換装置、例えば複数の増幅フレームを連続して接続してもよい。プッシュプルロッドの代わりに、あるいは、これに加えて、変換ユニットは、アクチュエータ素子の動きをリフトフラップの制御に変換するために、別の構成要素を備えていてもよい。
【0080】
別の一実施形態において、風力発電設備のロータブレードは、複数の能動構成要素を備えている。これらの複数の能動構成要素は、例えば、複数のリフトフラップ、複数のサーボフラップ、複数のボーテックスジェネレータ、あるいは、その他の複数の能動構成要素であってもよい。別の一実施形態において、サーボフラップとリフトフラップとを組み合わせたものをロータブレードに設けてもよい。従って、本発明に従うアクチュエータ装置のそれぞれに適切な構成を、それぞれの能動構成要素に、あるいは、能動構成要素の組み合わせに使用できる。
【0081】
別の一態様において、本発明の一実施形態に従うロータブレードを備えた風力発電設備が提供される。
【0082】
別の一態様において、本発明の一実施形態に従うアクチュエータ装置を本発明の一実施形態に従うロータブレードに装着する装着方法が提供され、この方法は、前記アクチュエータ素子を風力発電設備の前記ロータブレードに取り付けるステップ、及び/又は、前記制御素子を前記アクチュエータ素子に接続するステップを備えている。
【0083】
尚、特許請求の範囲の請求項1に記載のアクチュエータ装置と、請求項25に記載のロータブレードと、請求項26に記載の風力発電設備と、請求項27に記載の装着方法とは、特に従属請求項において規定されているように、類似の及び/又は同一の望ましい実施形態を備えていることを理解されたい。
【0084】
以下、添付図面を参照して、本発明を、例示的な実施形態に基づいて、例として更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1a】風力発電設備の概略図である。
図1b】既知のアクチュエータ装置の概略図である。
図2】アクチュエータ装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
図3】アクチュエータ装置のさらなる例示的な実施形態を示す概略図である。
図4】アクチュエータ装置のさらなる例示的な実施形態を示す概略図である。
図5a-5b】アクチュエータ装置の例示的な実施形態を示す概略的な平面図である。
図6】アクチュエータ装置のさらなる例示的な実施形態を示す概略図である。
図7】ロータブレード上のアクチュエータ装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
図8a-8b】図7に示す例示的な実施形態の細部を示す概略図である。
図9a-9b】アクチュエータ装置のさらなる例示的な実施形態を示す概略図である。
図9c-9d】アクチュエータ装置のさらなる例示的な実施形態を示す概略図である。
図10】増幅フレームを有する例示的な実施形態を示す概略図である。
図11】リフトフラップを有するロータブレードの断面の一例を示す概略図である。
図12】アクチュエータ装置のさらなる例示的な実施形態の斜視図の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1aは、タワー102とナセル104とを備えた風力発電設備100を示している。ナセル104には、3枚のロータブレード108とスピナ110とを備えたロータ106が配置されている。稼働時に、ロータ106が、風によって回転運動させられて、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0087】
図1bは、既知のアクチュエータ装置2の概略的な図を示しており、この場合、光源3によって励起光4が活性層5に導かれる。活性層5は光アクチュエータ6を備えており、この光アクチュエータ6は、励起光4に基づいて、アクチュエータ層5の歪み(strain)による拡張を生じさせる。アクチュエータ層5は、基板7に取り付けられている。アクチュエータ層5の誘起された拡張は、例えば、基板7を含めて層5を湾曲させることができる。この既知の例では、光源3からの励起光4の照射は、光ガイドなどを使用せずに、アクチュエータ層5全体に亘って、2次元的に且つ直接、実施される。図2は、例えば図1aに示されているような風力発電設備100用のアクチュエータ装置10を、概略的に且つ一例として、示している。アクチュエータ装置10は、アクチュエータ素子20と制御素子80を備えている。制御素子80は、アクチュエータ素子20の動作機構を制御するように形成されていることが望ましい。
【0088】
この例において、アクチュエータ素子20は、この例では水平方向に示された優先方向32を有するアクチュエータ層30を備えている。アクチュエータ層30は光アクチュエータ34を備えており、この光アクチュエータ34は、アクチュエータ層30内に照射される光に従って、優先方向32にアクチュエータ層30の歪み及び/又は応力を変化させるように設計されている。アクチュエータ層30は、例えば、埋設された異方性結晶体を光アクチュエータ34とする樹脂基材である。優先方向32と光アクチュエータ34とは、勿論、一例として選択されているだけであり、その他の例示的な実施形態においては、その他の材料が考えられ、及び/又は、その他の優先方向が考えられる。
【0089】
アクチュエータ素子20は、アクチュエータ層30に実質的に平行な励起層40も備えている。励起層40は、励起光44をアクチュエータ層30内に案内するように設計されている。図2の例において、励起層40は、優先方向32に対応するアクチュエータ素子20とアクチュエータ層30との全長に亘って、励起光44を案内する。励起層40は、例えば、極薄のガラス又は重合体を含み、望ましくは20〜100μmの厚さで形成されていてもよい。
【0090】
制御素子80は、光ガイド82と光源84を備えている。光源84はアクチュエータ素子20から離れて配置されており、光ガイド82は光源84によって放射された光を励起層40内に案内するように設計されている。光源84は、1つ又は複数の波長の光を放射するように設計されていてもよい。この放射光の波長は、光アクチュエータ34を活性化するのに適した光の1つ又は複数の波長に対応していることが望ましい。また、その他の例示的な実施形態においては、光源84によって放射される光の波長は、光アクチュエータ34が活性化に必要とする波長からずれていてもよい。その場合、例えば、変換素子(図示せず)が、例えば蛍光性又はリン光性の材料を含む素子が、励起層40内に設けられてもよい。
【0091】
図2には、鏡面被膜50が示されており、この鏡面被膜50は、アクチュエータ素子20を複数の側面で取り囲んでおり、励起光44を反射するように設計されている。鏡面被膜50は、光ガイド82を介して励起層内に導入された光の大部分が確実にアクチュエータ層30の励起に使用され得るようにしている。その他の例示的な実施形態において、鏡面被膜50は、部分的に、特にアクチュエータ層30とは反対側にある励起層40側にのみ設けられている。
【0092】
また図2には、拡散構成要素60も示されており、この拡散構成要素60は、アクチュエータ層30と励起層40との間に設けられており、励起光44を拡散してアクチュエータ層30内に導入するように設計されている。拡散構成要素60は、例えば、励起層40の表面の凹凸として、特に、レーザによって及び/又はエッチングによって形成された微小キャビティとして、形成されてもよい。その他の例示的な実施形態において、拡散構成要素60は、アクチュエータ層30の一部分として又は独立した構成要素として、形成されてもよい。
【0093】
図3は、アクチュエータ装置10のさらなる例示的な一実施形態を、概略的に且つ一例として、示している。図3に示されたアクチュエータ装置は、2つの互いに平行なアクチュエータ層30を備えており、これらの相互間に励起層40が配置されている。励起層40からの光は、結果的に、これらの2つのアクチュエータ層30の一方に、上方又は下方のいずれかの方向に入ることができる。これらのアクチュエータ層30は、互いに同じ又は異なっていてもよく、例えば、同じ又は相異なる励起特性を有する光アクチュエータを備えていてもよい。これらの2つのアクチュエータ層30の優先方向は、互いに同じ又は異なっていてもよい。
【0094】
図4には、アクチュエータ装置10のさらなる例示的な一実施形態が概略的に且つ一例として示されており、このアクチュエータ装置10には、3つのアクチュエータ層30が備えられており、そして、これらと平行に、2つの励起層40がこれらの相互間に配置されている。励起層40の各々は、光ガイド82を介して、光源84に接続されている。別の例において、このようにして積み重ねられるアクチュエータ層30と励起層40との構成は、任意の所望の構成数で、作成してもよい。この積層構成の形態によって、優先方向は積み重ね方向に沿って伸びていることが望ましく、その結果、この積層体(stack:スタック)は、1つのアクチュエータ層30又は複数のアクチュエータ層30が励起されると、より厚く又はより薄くなる。従って、具体的に述べると、個々のアクチュエータ層30のアクチュエータ変位をアクチュエータ装置10全体に亘って増大させることができ、その理由は、アクチュエータ素子20のこの増大への貢献、即ち、拡張がアクチュエータ層30の各々について生じるからである。
【0095】
図5a及び図5bは、アクチュエータ装置10、あるいは、光アクチュエータ34を備えたアクチュエータ層30の平面図を、概略的に且つ一例として、示している。図5aは、光アクチュエータ34の優先方向、即ち、異方性が図5bとは異なる。Lがアクチュエータ素子20の拡張の方向を示しており、この方向は、アクチュエータ層30が励起されると拡張又は縮小する優先方向32に対応している。幅BがLと垂直に示されており、この幅Bは実質的に変化しない。図5aに示された場合では、光ガイド82による光の導入が幅方向B全体に亘って分配されるように実施され、即ち、優先方向32における拡張が光の導入方向に生じる。図5bに示された他方の場合では、光の導入が光ガイド82によってアクチュエータ素子20の長手方向L全体に亘って実施され、即ち、優先方向32における拡張が光の導入に対して垂直に生じる。
【0096】
長さ方向と幅方向の両方に導入される光の組み合わせも考えられる。その他の例示的な実施形態において、アクチュエータ素子20は、長手方向Lと幅方向Bの両方における活性化に対して不変であり、変化は、これらの方向に対して垂直に、例えば図3又は図4に示された積層体の厚さの方向に、生じる。
【0097】
図6は、アクチュエータ装置10のさらなる例示的な一実施形態を、概略的に且つ一例として、示している。光ガイド82における制御素子80は、アクチュエータ素子20への入口の前に、ビームを扇形に放散する光学的構成要素86を備えている。この例では、入射ビームが光学的構成要素86に入り、広い扇形の光線が光学的構成要素86から出る。この扇形の光線は、例えば出力側にある複数の光ガイド82によって、アクチュエータ素子20内に導入されてもよい。光学的構成要素86は、例えば、プリズムなどである。
【0098】
図7は、本発明に従うアクチュエータ装置10の例示的な一実施形態を概略的に且つ一例として示しており、このアクチュエータ装置10は、風力発電設備のロータブレード108の後縁領域120に使用されて、サーボフラップの駆動を実施するように設計されている。図7は、風力発電設備のロータブレード108のプロファイルを断面図で示している。この実施形態において、後縁領域120は、実質的にプロファイルの中央に配置されたキャリア基板130を備えている。キャリア基板130の周りに、この例では、上側と下側の両方に、4つのアクチュエータ素子20が配置されている。この例では、アクチュエータ素子20は、アクチュエータ素子20全体の湾曲を生じさせる2次元アクチュエータである。形状の形成のために、及び、後縁領域120のプロファイルを完全なものにするために、キャリア基板130とアクチュエータ素子20は、弾性成形材料132内に封入されている。
【0099】
図7に示された後縁フラップ120の機能的な原理は、図8a及び図8bに詳細に示されている。図8a及び図8bは、後縁、即ち、フラップ領域120を、拡大して且つプロファイル内の弾性成形材料132なしで、示している。キャリア基板130は、例えば、GFRP又はそれに類似した材料を含むか、あるいは、その材料を含み、図8aでは、中立位置に示されている。即ち、キャリア基板130は偏向されておらず、これは中立フラップ位置に対応している。キャリア基板130は、上側と下側の両方に、即ち、ロータブレード108を基準にしてサクション側とプレッシャ側の両方に、それぞれ、2つのアクチュエータ素子20aと20bを備えている。それぞれのアクチュエータ素子20a、20bの優先方向32は、ロータブレード108のプロファイル弦(profile chord)の方向に伸びている。キャリア基板130は、その前端部、即ち、ロータブレード108の前縁の方向に面した端部の所で、ロータブレード108に取り付けられている。
【0100】
アクチュエータ素子20aと20bは、それぞれ、独立した光源84によって活性化され、その理由は、以下に更に述べる如く、アクチュエータ素子20aの活性化とアクチュエータ素子20bの活性化とは、互いに異なることがあるからである。アクチュエータ素子20aは、サクション側で活性化されて優先方向32に拡張するので、キャリア基板130は湾曲し、これは、図8bにおける位置130aから位置130bまでの変化に対応している。望ましい一実施形態において、アクチュエータ素子20bは、同時に縮小するように、同時に活性化される。従って、キャリア基板130の湾曲は、アクチュエータ素子20bに逆らうようにして生じる必要はなく、むしろ、それとは対照的に、それらの援助によっても生じてもよい。逆の工程については、即ち、キャリア基板の湾曲位置130bから中立位置130aまでの変化については、アクチュエータ素子20b又は20aの逆の活性化が必要である。例えば、アクチュエータ素子20aが、縮小するように活性化されてもよい。その代わりに、あるいは、望ましくはそれに加えて、アクチュエータ素子20bが、拡張するように活性化されてもよい。図8において、アクチュエータ素子20は、一例として、3つの層、即ち、2つのアクチュエータ層とこれらの間に配置された励起層とを備えているように、示されている。尚、言うまでもないが、その他の例示的な実施形態においては、アクチュエータ素子20のその他の構成も使用されてもよい。
【0101】
全ての実施形態において、特に制御素子80による活性化には、照射、非照射、あるいは、それらの任意の所望の組み合わせ、あるいは、照射と非照射との中間段階、例えば、低減された強度を用いた照射、変調を用いた照射、種々のパターンを用いた照射、種々の波長を用いた照射などが含まれることが望ましい。それに応じて、複数のアクチュエータ素子の同時活性化には、例えば、照射による同時活性化、非照射による同時活性化、あるいは、上述の組み合わせの各々による同時活性化も含まれる。
【0102】
図9a〜9dは、優先方向32を有するアクチュエータ装置10のさらなる例示的な一実施形態を示しており、この優先方向32は、光ガイド82が励起層40内に光を導入する方向に垂直である。
【0103】
図9aは、2つのアクチュエータ層30とこれらの間に配置された励起層40とを備えた2次元的に構成されたアクチュエータ素子20を概略的に示している。優先方向32は、Lとして定められた長手方向に対応しており、アクチュエータ素子20の個々の層は、方向Dにおいて、ある厚さで、積み重ねられており、アクチュエータ素子の2次元の広がりは、長手方向Lのみならず、幅方向Bも含んでいる。従って、図9bは、図9aに示されたアクチュエータ素子20がどのように幅方向Bに沿って巻き上げられているかを示している。優先方向32は、これによっては、変化せず、即ち、依然として長手方向Lに、換言すれば、図9bにおいて図面の平面に対して垂直に、伸びている。これは、図9cにおいて遠近法によって示されている。図9aに表現されたものと比較して、アクチュエータ装置10が幅方向Bに要する広がりが少ないことが明確に分かる。従って、図9aに示された2次元のアクチュエータと同じアクチュエータ効果を有し、しかしながら、必要な底面積が僅か何分の1かのアクチュエータが実現できる。これは、スペースが重要な用途には、特に有益である。
【0104】
図9dでは、図9aに示されたアクチュエータ素子20の詳細が概略的に且つ遠近法によって示されており、その一方で、光源84と複数の光ガイド82とを備えた制御素子80の接続形態が示されており、これらによって、光が、励起層40内に、長手方向Lにおける種々の位置から、導入される。
【0105】
図10は、アクチュエータ装置10の例示的な一実施形態を概略的に且つ一例として示しており、このアクチュエータ装置10は、優先方向32におけるアクチュエータの動きを変換するための増幅フレーム200を備えている。この例示的な一実施形態において、アクチュエータ素子20は、優先方向32が積層方向に対応する積層体として構成されていることが望ましい。増幅フレーム200は、優先方向32における動きを変換して、その結果として、優先方向32に対して実質的に垂直なアクチュエータ方向220を生成し、その際の変換比率は設定可能である。このようにして、例えば、プッシュプルロッド(push-pull rod)210を、アクチュエータ方向220に、アクチュエータ素子20の優先方向32における拡張又は縮小に比べて遥かに長い距離に亘って、移動させることができる。このアクチュエータの構造は、圧電積層体の既知の構造と類似しており、増幅フレーム200についての一般的な増幅係数は、約5の範囲内である。即ち、優先方向32における例えば100μmの拡張の結果として、例えば500μmの拡張がアクチュエータ方向220に沿って生じる。この増幅フレーム200は変換装置の単なる一例に過ぎず、また、プッシュプルロッド210も結合構成要素の単なる一例に過ぎず、その他の手段は当業者に知られている。
【0106】
図11は、リフトフラップ230を有するロータブレード108の断面を概略的に且つ一例として示しており、このリフトフラップ230は、例えば図10に示されたような2つのアクチュエータ装置10によって制御される。アクチュエータ装置10の各々は、増幅フレーム200を備えており、プッシュプルロッド210を駆動して、その結果、フラップ230は偏向方向320に沿って偏向される。サーボフラップと比較して、リフトフラップ230は、実質的に湾曲せず、全体として機械的に変位する。この目的のために、2つのプッシュプルロッド210は互いに反対方向に動かされ、その結果、フラップ230が方向320に沿って傾くことが望ましい。この例では、プッシュプルロッド210を動力伝達手段として使用しているが、その他の例示的な実施形態においては、当然、その他の全ての機械的手段も考えられる。
【0107】
リフトフラップとサーボフラップとを、一例として、例示的な実施形態における能動的構成要素として説明したが、上述の利点は、その他の能動的構成要素についても、例えば、ボーテックスジェネレータなどについても、実現できる。例えばリフトフラップとサーボフラップとを組み合わせたもののような組み合わせも利点として考えられる。
【0108】
図12は、例えば図9aに示されたような2次元的に構成されたアクチュエータ素子20のさらなる例示的な一実施形態を概略的に示している。図12に示された2次元のアクチュエータにおいて、アクチュエータ層30と励起層40との広がりは、このアクチュエータが、基板と、例えば風力発電設備のロータブレードの一部分と、接続しているアクチュエータ面積に対して、垂直である。従って、この一実施形態は積層体アクチュエータ(stack actuator)と見なすことができ、この積層体アクチュエータから、厚さDを有する薄いスライスが、切り取られて、幅方向Bと長さ方向Lとに沿って平坦に配置されている。この構成によって、2次元の平面内にある優先方向32における歪みによる拡張が可能になる。優先方向32は、アクチュエータ層30に対して垂直であり、アクチュエータ層30は、優先方向32に沿って積み重ねられている。この例示的な一実施形態において、アクチュエータ素子20は、鏡面被膜50も備えており、この鏡面被膜50は、反射層としての役割を果たしており、励起光が、確実に、光ガイド82から励起層40内に最適に導入されるようにしている。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a-5b】
図6
図7
図8a-8b】
図9a-9b】
図9c-9d】
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2019年4月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ素子(20)と制御素子(80)とを備えた、風力発電設備(100)用の、特に風力発電設備のロータブレード(108)用のアクチュエータ装置(10)であって、
前記アクチュエータ素子(20)が、優先方向(32)を有する少なくとも1つのアクチュエータ層(30)と、前記アクチュエータ層(30)に実質的に平行な少なくとも1つの励起層(40)とを備えており、
前記アクチュエータ層(30)が、光アクチュエータ(34)を備えており、
前記光アクチュエータ(34)が、励起光に基づいて、前記優先方向(32)における前記アクチュエータ層(30)の歪み及び/又は応力を変化させるように設計されており、
前記励起層(40)が、励起光を前記アクチュエータ層(30)内に案内するように設計されており、
前記制御素子(80)が、光源(84)と光ガイド(82)とを備えており、
前記光源(84)が、前記励起層(40)から離れて配置されており、前記光ガイド(82)によって前記励起層(40)に接続されている、
前記アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記光アクチュエータ(34)が、少なくとも1つの光歪みアクチュエータ及び/又は光機械的アクチュエータを含む、請求項1に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項3】
前記光機械的アクチュエータが、下記のグループ、即ち、
・分極型光機械的アクチュエータ、
・液晶ベースの光機械的アクチュエータ、
・光熱遷移に基づく光機械的アクチュエータ、
・電荷誘起型光機械的アクチュエータ、
・放射圧に基づく光機械的アクチュエータ、
のうちの少なくとも1つから得られるアクチュエータを含む、請求項2に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項4】
前記光アクチュエータ(34)が、下記のグループ、即ち、
・ロタキサン、
・光学的に活性化可能な圧電結晶体、
・カーボンナノ物、特に、カーボンナノチューブ、
・強誘電体材料、
・光異性化可能有機化合物、
・液晶材料、
・キセロゲル
のうちの1つに属する少なくとも1つの材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項5】
前記アクチュエータ層(30)が、少なくとも1つの方向において異方性である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項6】
前記アクチュエータ層(30)が、繊維複合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項7】
前記アクチュエータ層(30)内の前記光アクチュエータ(34)が、基材内に、特に樹脂基材内に埋設されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項8】
前記アクチュエータ素子(20)が、少なくとも2つのアクチュエータ層(30)と、これらの間にそれぞれ位置する少なくとも1つの励起層(40)と、を備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項9】
前記アクチュエータ素子(20)が、前記アクチュエータ素子(20)の断面積の1平方ミリメートル毎に10〜50ニュートンの力を、励起光によって、加えるように設計されており、前記アクチュエータ素子の前記断面積が、前記優先方向(32)に垂直である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項10】
前記アクチュエータ素子(20)が、拡張型アクチュエータ素子として構成されており、前記優先方向(32)が、前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)に実質的に垂直であるか、あるいは、
前記アクチュエータ素子(20)が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、前記優先方向(32)が、実質的に前記アクチュエータ層(30)の平面内にある、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項11】
アクチュエータ面積の、前記アクチュエータ素子(20)の基準長の2乗に対する比が、0.0001〜0.01の範囲内にあり、特に、前記アクチュエータ素子(20)が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、0.01〜1の範囲内にある、請求項10に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項12】
前記アクチュエータ素子(20)によって実施され得る機械的仕事が、アクチュエータ体積の1立方メートル毎に100〜10000ジュールの範囲内にあり、特に、前記アクチュエータ素子(20)が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記アクチュエータ素子(20)によって実施され得る機械的仕事がアクチュエータ体積の1立方メートル毎に1000〜10000ジュールの範囲内にあり、あるいは、前記アクチュエータ素子(20)が湾曲型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記アクチュエータ素子(20)によって実施され得る機械的仕事がアクチュエータ体積の1立方メートル毎に100〜1000ジュールの範囲内にある、請求項10又は11に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項13】
前記アクチュエータ素子(20)が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、励起に応じて、前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の平面に対して垂直に且つ前記優先方向(32)に対して垂直に湾曲するように設計されている、請求項10〜12のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項14】
前記アクチュエータ素子(20)の高さの、前記優先方向における前記アクチュエータ素子(20)の長さに対する比が、0.001〜0.1の範囲内に、特に0.002〜0.02の範囲内にある、請求項13に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の平面に対して垂直な前記アクチュエータ素子(20)の高さが、1mm〜10mmの範囲内にあり、望ましくは3mm〜7mmの範囲内にあり、特に望ましくは約5mmの範囲内にある、請求項14に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項16】
前記励起層(40)が、極薄のガラス及び/又は重合体を含み、特に20μm〜100μmの厚さを有している、請求項1〜15のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項17】
前記アクチュエータ素子(20)が、前記励起光を反射するように設計された鏡面被膜(50)を備えており、
前記鏡面被膜(50)が、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(20)を、少なくとも1つの側面で、取り囲んでおり、特に、前記アクチュエータ素子(20)を、前記アクチュエータ層(30)とは反対側の前記励起層(40)側で、取り囲んでいる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項18】
前記光ガイド(82)が、光を前記励起層(40)内に長手方向(L)に導入するように配置されており、前記長手方向(L)が前記励起層(40)の平面内にあり、前記励起層(40)の前記平面が前記長手方向(L)と幅方向(B)とによって規定されており、
特に、前記アクチュエータ素子(20)が湾曲型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記優先方向(32)が、前記長手方向(L)に実質的に対応しているか、あるいは、前記長手方向(L)からずれている方向であって前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の平面内にある方向に実質的に対応しており、
あるいは、前記アクチュエータ素子(20)が拡張型アクチュエータ素子として構成されている場合には、前記優先方向(32)が、前記長手方向(L)に対して及び/又は前記少なくとも1つのアクチュエータ層(30)の前記平面に対して実質的に垂直である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項19】
前記アクチュエータ素子(20)を取り囲む増幅フレーム(200)を更に備えており、
前記増幅フレーム(200)が、前記アクチュエータ層(30)が前記優先方向(32)に拡張すると前記増幅フレーム(200)が前記優先方向(32)に対して垂直に縮小するように、配置されており、
前記増幅フレーム(200)が、前記優先方向(32)における動きと前記優先方向(32)に対して垂直な動きとの間の変換を行うように設計されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項20】
前記励起層(40)が、前記アクチュエータ層(30)に隣接する側において、励起光の前記アクチュエータ層(30)内への拡散導入用の少なくとも1つの拡散構成要素(60)を備えており、前記拡散構成要素(60)が、特に、表面の凹凸、望ましくは、レーザによって及び/又はエッチングによって形成された微小キャビティを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項21】
前記励起層(40)が、前記光源(84)から得られる光を励起光に変換するように設計された変換構成要素を備えており、前記励起光が、前記光源(84)の光とは、異なる波長、及び/又は、異なるスペクトルを有している、請求項1〜20のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)と能動構成要素(120、230)とを備えた、風力発電設備(100)のロータブレード(108)であって、
前記アクチュエータ装置(10)が、前記能動構成要素(120、230)を制御するように設計されている、
前記ロータブレード。
【請求項23】
前記アクチュエータ装置(10)の前記アクチュエータ素子(20)が、湾曲型アクチュエータ素子として構成されており、
前記能動構成要素が、サーボフラップ(120)として構成されており、
前記アクチュエータ素子(20)が、前記サーボフラップ(120)の領域に、表面接触して、取り付けられている、請求項22に記載のロータブレード。
【請求項24】
前記アクチュエータ装置(10)の前記アクチュエータ素子(20)が、拡張型アクチュエータ素子として構成されており、
前記能動構成要素が、リフトフラップ(230)として構成されており、
前記ロータブレード(108)が、前記アクチュエータ素子(20)の動きを前記リフトフラップ(230)の制御に変換する変換ユニット(200、210)も備えている、請求項22に記載のロータブレード。
【請求項25】
前記アクチュエータ装置(10)が、前記アクチュエータ素子を取り囲む増幅フレームを備えており、
前記変換ユニットが、前記増幅フレームを前記リフトフラップに結合するためのプッシュプルロッドを備えている、請求項24に記載のロータブレード。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれか一項に記載のロータブレードを備えた風力発電設備(100)。
【請求項27】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置(10)を、請求項22〜26のいずれか一項に記載のロータブレード(108)に装着する装着方法であって、
前記アクチュエータ素子(20)を前記ロータブレード(108)に取り付けるステップ、及び/又は、前記制御素子(80)を前記アクチュエータ素子(20)に接続するステップ、を含む、
前記装着方法。
【請求項28】
風力発電設備のロータブレード用のアクチュエータ装置であって、
優先方向を有する少なくとも1つのアクチュエータ層と、前記アクチュエータ層に平行な少なくとも1つの励起層と、を有するアクチュエータ素子であって、前記アクチュエータ層が、励起光により前記優先方向における前記アクチュエータ層の歪み及び/又は応力を変化させる光アクチュエータを含む、アクチュエータ素子と、
光源を前記励起層に接続する光ガイドであって、前記光源からの励起光は、前記励起層によって前記アクチュエータ層内に案内される、光ガイドと、
を備え、
前記ロータブレードは、前記励起光に基づく前記アクチュエータ層の歪み及び/又は応力の変化を利用して駆動される、
前記アクチュエータ装置。
【国際調査報告】