(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-526963(P2019-526963A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】半導体スイッチングデバイスの高速温度検出のための集積回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/08 20060101AFI20190823BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20190823BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H01L27/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-506378(P2019-506378)
(86)(22)【出願日】2016年8月8日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月25日
(86)【国際出願番号】US2016046071
(87)【国際公開番号】WO2018030990
(87)【国際公開日】20180215
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【復代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】メイエル ロバート
【テーマコード(参考)】
5F038
5J055
【Fターム(参考)】
5F038AZ08
5F038BH16
5F038EZ20
5J055AX08
5J055AX15
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5J055EY01
5J055EY21
5J055EZ10
5J055GX01
5J055GX06
(57)【要約】
パワートランジスタデバイスに流れる電流により温度上昇がもたらされる、パワートランジスタデバイスにおける温度上昇を検出するための集積回路(IC)。パワートランジスタデバイスおよび検出FETが基材上に位置する。検出FETが、電流の流れの係数倍部分を検出し、電流信号を出力する。JFETが、パワートランジスタデバイスのドレインに接続された、そのドレインをもつ。パワートランジスタデバイスがオンであるとき、JFETもオンに切り替えられるように、および、パワートランジスタデバイスのドレイン電圧信号が、JFETの第2のノードに出力されるように、JFETのゲートがパワートランジスタデバイスのソースに接続されている。検出回路が、ドレイン電圧信号と電流信号とを受信し、パワートランジスタデバイスのドレイン・ソース抵抗が、組み合わされた閾値限界を上回ったとき、警報信号を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートランジスタデバイスに流れる電流により温度上昇がもたらされる、前記パワートランジスタデバイスにおける前記温度上昇を検出するための集積回路(IC)であって、前記ICが、
基材であって、
前記パワートランジスタデバイスが、前記基材上に位置する、
前記基材と、
前記基材上に位置する検出電界効果トランジスタ(検出FET)であって、
前記検出FETが、前記電流の流れの係数倍部分を検出する、および、第1のノードに電流信号を出力する、
前記検出FETと、
接合型電界効果トランジスタ(JFET)であって、
前記JFETのドレインが、前記パワートランジスタデバイスのドレインに接続されており、前記JFETのゲートが、前記パワートランジスタデバイスのソースに接続されていることにより、前記パワートランジスタデバイスがオンに切り替えられたとき、前記JFETもオンに切り替えられ、および、前記パワートランジスタデバイスのドレイン電圧信号が第2のノードに出力される、
前記JFETと、
前記ドレイン電圧信号と前記電流信号とを受信するように結合された検出回路であって、
前記ドレイン電圧信号が、基準電圧信号を上回り、かつ、前記電流信号が、基準電流信号を上回ったとき、前記パワートランジスタデバイスのドレイン・ソース抵抗が組み合わされた閾値限界を上回ったことを示す警報信号を、前記検出回路が出力する、
前記検出回路と、
を備える、IC。
【請求項2】
前記温度上昇が前記パワートランジスタデバイスの熱閾値を上回ったことを、前記警報信号が示す、
請求項1に記載のIC。
【請求項3】
前記パワートランジスタデバイスにおける前記電流の流れが校正電流閾値に既に達しているときの値に、前記基準電流信号が設定された、
請求項1に記載のIC。
【請求項4】
前記パワートランジスタデバイスの温度限界を示す前記ドレイン電圧信号の校正閾値に前記ドレイン・ソース抵抗が既に達しているときの値に、前記基準電圧信号が設定された、
請求項1に記載のIC。
【請求項5】
前記検出回路が、
前記ドレイン電圧信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電圧信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第1の比較器であって、
前記ドレイン電圧信号が、前記基準電圧信号を上回ったとき、前記第1の比較器が、第1の論理信号を出力する、
前記第1の比較器と、
前記電流信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電流信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第2の比較器であって、
前記電流信号が、前記基準電流信号を上回ったとき、前記第2の比較器が、第2の論理信号を出力する、
前記第2の比較器と、
を備える、
請求項1に記載のIC。
【請求項6】
前記検出回路が、前記第1の論理信号を受信するように結合された入力と、前記第2の論理信号を受信するように結合されたクロック入力と、を含むフリップフロップをさらに備え、
前記フリップフロップが、前記第1の論理信号と前記第2の論理信号とに応答して、前記警報信号を出力する、
請求項5に記載のIC。
【請求項7】
前記フリップフロップが、D型フリップフロップである、
請求項6に記載のIC。
【請求項8】
前記第1のノードとグランド電位との間に結合された検出抵抗器をさらに備える、
請求項1に記載のIC。
【請求項9】
前記第1のノードが、前記検出FETのソースを含み、
前記第2のノードが、前記JFETのソースである、
請求項1に記載のIC。
【請求項10】
前記JFETの前記ゲートと前記パワートランジスタデバイスの前記ソースとの両方が、グランド電位に接続された、
請求項1に記載のIC。
【請求項11】
前記パワートランジスタデバイスの前記ドレインが、電力コンバーターエネルギー伝達要素に結合された、
請求項1に記載のIC。
【請求項12】
前記警報信号が、前記パワートランジスタデバイスをオフに切り替えるために使用される、
請求項1に記載のIC。
【請求項13】
前記検出回路が、前記パワートランジスタデバイスにおける、所定のゲート・ソース電圧、および所定の電流の流れにおいて、前記電圧信号および前記電流信号を受信する、
請求項1に記載のIC。
【請求項14】
スイッチングデバイスにおける電流の流れにより温度上昇がもたらされる、前記スイッチングデバイスにおける前記温度上昇を検出するための集積回路(IC)であって、前記ICが、
前記電流の流れの係数倍部分を検出する、および、第1のノードに電流信号を出力する、電流検出デバイスと、
電圧検出デバイスであって、
前記スイッチングデバイスがオンに切り替えられたとき、前記電圧検出デバイスもオンに切り替えられるように、および、前記スイッチングデバイスの電圧信号が第2のノードに出力されるように、前記電圧検出デバイスが、前記スイッチングデバイスに結合された、
前記電圧検出デバイスと、
前記電圧信号および前記電流信号を受信するように結合された検出回路であって、
前記電圧信号が基準電圧信号を上回り、かつ、前記電流信号が基準電流信号を上回ったとき、前記検出回路が、警報信号を出力する、
前記検出回路と、
を備える、IC。
【請求項15】
前記スイッチングデバイスの熱閾値を前記温度上昇が上回ったことを、前記警報信号が示す、
請求項14に記載のIC。
【請求項16】
前記スイッチングデバイスにおける前記電流の流れが校正電流閾値に既に達しているときの値に、前記基準電流信号が設定された、
請求項14に記載のIC。
【請求項17】
前記電流検出デバイスが、検出電界効果トランジスタ(検出FET)であり、
前記電圧検出デバイスが、接合型電界効果トランジスタ(JFET)である、
請求項14に記載のIC。
【請求項18】
前記検出回路が、
前記電圧信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電圧信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第1の比較器であって、
前記電圧信号が前記基準電圧信号を上回ったとき、前記第1の比較器が、第1の論理信号を出力する、
前記第1の比較器と、
前記電流信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電流信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第2の比較器であって、
前記電流信号が前記基準電流信号を上回ったとき、前記第2の比較器が、第2の論理信号を出力する、
前記第2の比較器と、
前記第1の論理信号を受信するように結合された入力と、前記第2の論理信号を受信するように結合されたクロック入力と、を含むフリップフロップであって、
前記フリップフロップが、前記第1の論理信号と前記第2の論理信号とに応答して、前記警報信号を出力する、
前記フリップフロップと、
を備える、
請求項14に記載のIC。
【請求項19】
前記第1のノードとグランド電位との間に結合された検出抵抗器をさらに備える、
請求項14に記載のIC。
【請求項20】
前記第1のノードが、前記検出FETのソースを含む、
請求項17に記載のIC。
【請求項21】
前記スイッチングデバイスが、パワートランジスタデバイスである、
請求項14に記載のIC。
【請求項22】
前記スイッチングデバイスが、1つまたは複数のダイオードを備える、
請求項14に記載のIC。
【請求項23】
前記検出回路が、前記スイッチングデバイスの所定の閾動作状態において前記電圧信号および前記電流信号を受信する、
請求項14に記載のIC。
【請求項24】
半導体スイッチングデバイスにおける電流の流れにより温度上昇がもたらされる、集積回路(IC)の半導体スイッチングデバイスにおける前記温度上昇を検出する方法であって、前記方法が、
前記半導体スイッチングデバイスを通る前記電流の流れの係数倍部分を検出することであって、
前記電流の流れの前記係数倍部分を検出したことに応答して、電流信号が、第1のノードに出力される、
前記電流の流れの前記係数倍部分を検出することと、
前記半導体スイッチングデバイスがオンに切り替えられたとき、前記半導体スイッチングデバイスにおける電圧降下を検出することであって、
前記電圧降下を検出したことに応答して、前記半導体スイッチングデバイスの電圧信号が、第2のノードに出力される、
前記電圧降下を検出することと、
前記電圧信号および前記電流信号を受信するように結合された検出回路により警報信号を出力することであって、
前記電圧信号が基準電圧信号を上回り、かつ、前記電流信号が基準電流信号を上回ったとき、前記検出回路が、前記警報信号を出力する、
前記警報信号を出力することと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記温度上昇が前記半導体スイッチングデバイスの熱閾値を上回ったことを、前記警報信号が示す、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記半導体スイッチングデバイスにおける前記電流の流れが校正電流閾値に既に達しているときの値に、前記基準電流信号が設定された、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記電圧信号が前記半導体スイッチングデバイスの校正閾値に既に達しているときの値に、前記基準電圧信号が設定された、
請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記検出回路が、前記半導体スイッチングデバイスの所定の閾動作状態において前記電圧信号および前記電流信号を受信したとき、前記警報信号が出力される、
請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、半導体デバイスにおける温度を検出するための回路に関し、特に、電力MOSFET集積回路における温度変化を検出するための回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力半導体スイッチングデバイスの保護のために、スイッチの内側で直接、温度上昇(接合部温度)を迅速に検出すること、および、制御装置温度測定値に依存しないことが重要である。例えば、電力スイッチ(MOSFET)および制御装置が、異なる半導体ダイに位置する場合、電力スイッチと制御装置との間に熱伝達および熱平衡の長い遅延が存在し得る。これは、制御装置保護回路からの何らかの反応の前に電力MOSFETの壊滅的な故障を引き起こし得る。
【0003】
温度を検出するためのこれまでの手法は、電力スイッチングデバイスに装着されたヒートシンクにおける温度を検出することを含む。温度検出のための別の知られた方法は、電力MOSFET接合部の非常に近くに位置する電気的に絶縁された多結晶シリコンダイオードを通したものである。順電圧降下がMOSFET接合部温度に逆比例するように、検出ダイオードの順電圧降下は負の温度係数をもつ。別のこれまでのアプローチは、温度に対して抵抗の線形な変動を示す電圧可変抵抗器に依存する。
【0004】
電力MOSFET技術の一種では、半導体基材が典型的にはドレイン電位を基準とする。これは、デバイスの主な熱的接続である。MOSFETとともに使用される制御装置は、通常ロー側接続制御装置であり、そういうものであるから、それらの基準電圧は、MOSFETのソース電位と共有される。MOSFETのソース電位はデバイスに対する主な熱的接続ではないので、ソース接続を共有することによりデバイスに対する良好な熱的結合を得ることが困難である。これまでのアプローチの1つでは、ハーフブリッジスイッチング構成の一例において、ハイ側ドライバを介して熱的接続が実現され、ハイ側ドライバ自体は、ハイ側MOSFETのソースを基準とし、ハイ側MOSFETのソースは、ロー側MOSFETのドレインでもある。従って、ハイ側ドライバは、ロー側MOSFETのドレインに対する適度に良好な熱的接続を達成し得、そういうものであるから、ロー側MOSFET温度を監視し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の構成は、大きな欠点をもつ。第1に、熱検出が浮遊ハイ側ドライバにおいて行われるのでハイ側ドライバに対する限られた選択肢は、熱閾値を上回ったときのラッチシャットダウンである。第2に、ロー側MOSFETからハイ側ドライバに対する熱的結合が、定常状態、およびゆっくりと変化する温度に対して許容可能であるのに対し、電力MOSFETにおける突然の、迅速な、および大きな温度変化が存在するとき、熱的結合が、温度変化に迅速に追従するには不十分である。従って、過渡状態のもとで、ハイ側ドライバが問題を検出する前に、電力MOSFETにおける意図される最大温度を上回ることが起こりやすい。
【0006】
別の欠点は、特定の状況において、顧客がヒステリシス熱シャットダウン能力をもつことを好むことである。しかし、これは、ロー側制御装置から熱検出回路に対する通信信号が存在しないとき、不可能である。
【0007】
以下の図を参照しながら、本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態が説明され、異なる図の中の同様の参照符号は、別段の指定がない限り、同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】ドレイン電流(I
D)および接合部温度(T
j)に対するドレイン・ソースオン抵抗R
DS(on)の変動を示す、例示的な縦型MOSFETのグラフである。
【
図1B】ドレイン電流(I
D)および接合部温度(T
j)に対するドレイン・ソースオン抵抗R
DS(on)の変動を示す、例示的な縦型MOSFETのグラフである。
【
図2A】有益には温度検出および過熱保護を使用し得る例示的な電力コンバーター回路図である。
【
図2B】有益には温度検出および過熱保護を使用し得る例示的な電力コンバーター回路図である。
【
図3】電力MOSFETドレイン電流およびドレイン電圧の瞬時値を検出するための例示的な概略回路図である。
【
図4】
図3に示す回路を使用して温度を検出する例示的な概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面中の複数の図にわたり、対応する参照符号が、対応する構成要素を示す。当業者は、図中の要素が簡潔かつ明確であるように描かれることと、一定の縮尺で描かれるとは限らないこととを理解する。例えば、開示されるデバイスの様々な実施形態をより理解しやすくするために、図中のいくつかの要素の寸法が他の要素より誇張される場合があり得る。さらに、市販に適した実施形態において有用または必要な、一般的だがよく理解される要素は、多くの場合、開示されるこれらの様々な実施形態の図が見づらくならないように図示されない。
【0010】
以下の説明では、説明される実施形態を十分に理解できるように、例えば、デバイスの種類、電圧、コンポーネント値、回路構成など、特定の詳細事項が記載される。しかし、当業者は、これらの特定の詳細事項が説明される実施形態を実施するために必要ではない場合があり得ることを理解する。説明される実施形態を理解しにくくならないように、よく知られた回路構造および要素が詳細には説明されないか、または、ブロック図の形態で示されることがさらに理解される。
【0011】
本明細書中での、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「一例(one example)」、または「一例(an example)」についての言及は、実施形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な場所で使用する「一実施形態において(in one embodiment)」、「一実施形態において(in an embodiment)」、「一例(one example)」または「例(an example)」という語句は、すべてが同じ実施形態または例に関係するとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせ、および/または部分的組み合わせで組み合わされ得る。特定の特徴、構造、または特性は、説明される機能を提供する集積回路、電子回路、結合論理回路、または他の適切なコンポーネントに含まれ得る。加えて、本明細書とともに提供される図が当業者への説明を目的としていることが理解される。
【0012】
本開示の目的において、「グランド」または「グランド電位」は、基準電圧または基準電位を表し、この基準電圧または基準電位に対して、電子回路または集積回路(IC:Integrated circuit)のすべての他の電圧または電位が規定または測定される。
【0013】
本出願の場合において、トランジスタが「オフ状態」または「オフ」であるとき、トランジスタは実質的に電流を流さない。逆に、トランジスタが「オン状態」または「オン」であるとき、トランジスタは実質的に電流を流すことができる。例示として、パワートランジスタは、第1の端子であるドレインと第2の端子であるソースとの間において高電圧がサポートされるNチャネル金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(NMOS:N−channel metal−oxide−semiconductor field−effect transistor)を備え得る。電力MOSFETは、集積型制御装置回路により駆動されて、負荷に提供されるエネルギーを調節する電力スイッチを備え得る。
【0014】
一実施形態において、制御されるスイッチまたはダイオード(例えばショットキーダイオード)などの半導体スイッチングデバイスの温度を検出するための装置および方法が提供される。以下で示される、および説明される特定の例はMOSFETスイッチングデバイスを含むが、本開示の教示により他のスイッチングデバイスが使用され得ることが理解される。
【0015】
一例において、電力MOSFETスイッチングデバイスは、ドレイン電位を基準とする基材を含み、ドレインがデバイスの主な熱的接続である。デバイスのスイッチングを制御する制御装置は、ロー側接続制御装置であり得、従って、その基準電圧は、縦型電力MOSFETスイッチングデバイスのソース電位とシェアされる。制御装置は、電力MOSFETスイッチングデバイスと同じ集積回路ダイに一緒に集積され得るか、または、制御装置は、異なる集積回路ダイへと分離され得る。電力MOSFETスイッチングデバイスおよび制御装置は、同じパッケージに含まれ得るか、または、別のパッケージに収容され得る。
【0016】
一実施形態において、ロー側接続回路を介して電力半導体スイッチングデバイスにおける温度を検出する装置および方法が提供される。温度検出は、間接的なダイ間の熱的結合ではなく、電力半導体スイッチングデバイス(例えばMOSFET)において測定された電気信号を直接使用して行われる。その結果、これは、瞬間的な熱検出を可能にし、つまりは、高速な過渡温度上昇が生じる過渡状態から保護する。さらに、ロー側基準は、ヒステリシス熱シャットダウン機能の能力を提供する。
【0017】
図1Aは、固定の接合部温度(T
j)における、および、パラメータとしての異なるゲート対ソース電圧値に対する、ドレイン電流に対するドレイン・ソースオン抵抗R
DS(on)の変動を示す、(1つの例示的なMOSFETにおける)半導体スイッチングデバイスに対する概括的なグラフである。
図1Bは、接合部温度(T
j)に対する、ドレイン・ソース正規化オン抵抗R
DS(on)のグラフを示す。典型的なMOSFETでは、測定されたR
DS(on)は、チャネル、形成されたJFETの蓄積層、および、金属化体、ボンドワイヤ、およびパッケージングからの寄生効果を含み得る。高電圧電力MOSFETでは、チャネル/ドリフト領域の抵抗がR
DS(on)を支配する。
【0018】
図1Aに示すグラフ100では、横軸110のドレイン電流(例えばアンペアで表したI
D1、I
D2、I
D3、…)に対して、R
DS(on)の変動(例えばオームで表したR
DS(on)1、R
DS(on)2、R
DS(on)3、…)が縦軸120に示される。異なるMOSFETタイプに対する数値例において、このグラフは、最大100Aのドレイン電流範囲に対して、R
DS(on)へのドレイン電流I
Dの約10%の直接的な効果を示し得る。
図1Aに示すグラフ100は、ゲート・ソース電圧V
GS1 131、V
GS2 132、およびV
GS3 133の異なる例に対して示され、式130はV
GS3>V
GS2>V
GS1を規定し、グラフは、固定の接合部温度T
j(Fix)135に対するものである。縦線I
D(Fix)134は、温度に対する変化のための、ドレイン・ソースオン抵抗R
DS(on)を測定するために使用され得る固定ドレイン閾値電流を表す。
【0019】
その一方で、
図1Bに示すグラフ150において、縦軸170におけるR
DS(on)の正規化された値は、−50℃から150℃まで変化する横軸160の(例えばセ氏温度℃で表された)接合部温度T
jに対して強い関係を示す。ゲート・ソース電圧V
GS1 181およびV
GS2 182に対する2つの例示的なグラフが示され、式180はV
GS2>V
GS1を規定する。正規化された値(R
DS(on)=1)175は、基準温度(T
j=25℃)165におけるスイッチングデバイスドレイン・ソースオン抵抗を規定する。
図1Bにおいて観測され得るように、V
GS2 182のグラフにおいて測定された点A184から点B186までのT
j=25℃からT
j=125℃までの温度上昇に対して、R
DS(on)がほぼ2倍となる。R
DS(on)の温度係数は、多数キャリアのみであるので常に正となる、
図1Bに示すグラフにおける曲線の傾きである。正のR
DS(on)温度係数は、温度上昇にともなう伝導損を悪化させ得る。正のR
DS(on)温度係数は、MOSFETを並列化させるとき、有益な特徴となる。検出FETが主FETと並列であるので、不平衡な電流分布をともなう場合であっても、熱安定性が確実なものとされ得る。
【0020】
上述のように縦型MOSFETにおけるドレイン・ソースオン抵抗R
DS(on)は、半導体材料、チャネルサイズ、動作状態(ドレイン電流および電圧)に依存し、接合部温度に強く依存する。ゲート電圧(V
GS)およびドレイン電流(I
DS)などの他の因子が、一定に保たれる場合、
図1Bにおける接合部温度(T
j)に対するオン抵抗R
DS(on)の直接的な関係が、知られた温度における(例えば25℃の環境における)校正R
DS(on)と比較して、任意の正常動作または異常状態中、温度上昇を直接検出するために使用され得る。
【0021】
図2Aおよび
図2Bは、開示される実施形態によるR
DS(on)監視を通した温度検出および過熱保護により恩恵を受け得るスイッチングデバイスを含む電力コンバーターのトポロジーの例である。
図2Aは、ロー側グランド基準201を基準とする制御231を含むスイッチングデバイスM221を含むAC/DCブースト力率補正(PFC:Power Factor Correction)コンバーター200を示す。制御ブロック231は、フィードバック(FB:feedback)制御信号を含むいくつかの制御信号233を受信し、および、スイッチングデバイスのスイッチングを制御するための、および、電力コンバーターの出力電圧V
O252および出力電流I
O253を通した出力負荷251へのエネルギーの伝達を調節するための駆動信号223を生成する。一例において、電力コンバーター入力端子は、ブーストコンポーネントに入力電圧信号V
in215を印加するために、整流器および入力回路210を通して整流およびフィルタ処理され得る正弦波入力信号V
AC205に結合され得る。主ブーストコンポーネントは、ブーストインダクタL
B218、ブーストスイッチングデバイス221、および制御ブロック231を含み、ブーストスイッチングデバイス221と制御ブロック231とは、一実施形態において、両方とも単一のIC230に一体化され、本明細書において開示される温度検出回路は、制御ブロック231に組み込まれ得る。
【0022】
当業者は、スイッチングデバイス221にかかるチョッピングされた電圧が整流モジュール240を通して整流されることにより、負荷250への調節出力電圧V
o252および出力電流I
o253を生成することに留意すると考えられる。
【0023】
図2Bは、ロー側制御ブロック261またはハイ側制御ブロック262に追加された本開示の温度検出回路により恩恵を受け得るハーフブリッジスイッチングデバイス270の別の例示的なトポロジーである。
図2Bに示される電力コンバーターは、入力整流器および入力回路ブロック210から、整流された、および電磁妨害(EMI:electromagnetic interference)フィルタ処理された入力電圧信号V
in215を受信し、この入力電圧信号V
in215はハーフブリッジスイッチングデバイス260に印加される。示されるように、スイッチングデバイス260は、リンク277を通してスイッチM1 271の低電位側(例えばソース)を基準とするロー側制御ブロック261をともなうロー側スイッチM1 271と、リンク276を通してスイッチM2 272の低電位側(例えばソース)を基準とするハイ側制御ブロック262を含むハイ側スイッチM2 272とを含む。ロー側制御ブロック261およびハイ側制御ブロック262は各々、特別な制御信号263および264をそれぞれ受信し得る。制御信号263および264は、コンバーターの出力からのフィードバックFB制御信号268を含み得る。制御ブロック261および262は、それぞれ、ロー側スイッチ272およびハイ側スイッチ271に対する駆動信号273および274を生成する。ロー側制御ブロック261およびハイ側制御ブロック262は、通信リンク265を通して機能的に同期され得る。
【0024】
一実施形態において、ハーフブリッジスイッチングデバイス270の中点電位V
A278が、負荷250にかかる出力電圧V
o252および出力電流I
o253を作成/生成する(絶縁または非絶縁構成であり得る)エネルギー変換ブロック280に結合される。
【0025】
本明細書において開示される熱検出回路は、
図2Aに示すロー側制御ブロック231、または
図2Bに示すロー側制御ブロック261もしくはハイ側制御ブロック262に追加され得ることが理解される。開示される実施形態が
図2Aおよび
図2Bに示す例示的なトポロジーに限定されないこと、すなわち、ロー側制御装置を使用する様々な異なるスイッチングコンバーター、および電力半導体スイッチングデバイス用途が、本明細書において開示される温度検出回路により恩恵を受け得ることがさらに理解されなければならない。
【0026】
ハーフブリッジ構成には、例えば、ロー側MOSFETスイッチとハイ側MOSFETスイッチとが存在する。本明細書において説明される温度検出方法は、例えば、これらのMOSFETスイッチが非ゼロ電位に浮遊している場合、これらのMOSFETスイッチのうちのいずれかとともに使用され得ることが理解されなければならない。上述のように、MOSFETスイッチの場合、制御がMOSFETのソース(または、非基材)を基準とすることが理解されなければならない。ハイ側スイッチM2 272および制御ブロック262についても同様に、MOSFETスイッチの場合、制御がMOSFETのソース(または、非基材)を基準とすることが理解される。従って、両方の場合において、それらは、MOSFETソース基準制御と呼ばれ得る。
【0027】
一実施形態において、電力MOSFETスイッチングデバイスのR
DS(on)は、規定の正の温度係数をもつ。一定のV
GSおよびI
DSの状態において、知られていない温度R
DS(on)Txにおける動作スイッチング状態中に、ドレイン・ソースオン抵抗を測定すること、および、同じデバイスに対して同じ条件/パラメータのもとでの知られた温度(例えば25℃)における記憶された校正された値R
DS(on)T25と、ドレイン・ソースオン抵抗を比較することにより、MOSFETの内側における温度を校正された温度に対して正確に、および迅速に推測することが可能である。
【0028】
一実施形態において、MOSFETデバイスのドレイン・ソースオン抵抗値は、知られた温度(例えば25℃)R
DS(on)T25における製造試験中に測定され、校正中に記憶される。従って、R
DS(on)が通常または過渡動作中に温度上昇にともなって変化する場合、制御装置が、校正された値に対する瞬間的な抵抗変化の比を測定し得、および、MOSFETデバイスの熱保護に有用な温度上昇を計算し得る。
【0029】
一実施態様において、電力MOSFETスイッチングデバイスのドレイン電圧および電流は、各スイッチングサイクルにおいて測定される。一例において、ドレイン電圧は、接合型電界効果トランジスタ(JFET:junction field−effect transistor)を使用して測定され、JFETのドレインが電力MOSFETのドレインに接続され、JFETのゲートが電力MOSFETのソースに接続される。電力MOSFETがオンであるとき、JFETソースノード電圧値がMOSFETドレインの電圧値に追従することにより、オン期間中、ドレイン電圧の正確な読み取り値を提供する。
【0030】
一実施形態において、MOSFETドレイン電流は、主電力MOSFETに流れる電流の所定の係数倍のものを測定する検出FETを通して取得される。従って、検出電流を検出することが、各スイッチングサイクルにおける電力MOSFETドレイン電流(I
DS)の尺度を提供する。従って、電力MOSFETスイッチングデバイスのドレイン電圧およびドレイン電流を表す信号を使用することにより、R
DS(on)値が特定の閾動作値を上回った時点が特定され得、これは、さらに、スイッチング電力MOSFETに対する既定の目標温度限界に直接関係する。
【0031】
図3は、電力MOSFETドレイン電流およびドレイン電圧スイッチングデバイスの瞬時値を検出するための例示的な概略回路図を示す。回路305において、ドレイン電流は、検出FET Q2 343を通して出力信号U
Isns346により検出される。ドレイン電圧は、JFET361を通して出力信号U
Vsns366により検出される。示されるように、ノードV
A328は、電力コンバーターエネルギー伝達要素への結合点であり、
図2Aに示すノードV
A228および
図2Bに示すノードV
A278に対応する(すなわち、等価である)。回路305は、半導体スイッチングデバイス(主電力MOSFET)Q1 321と、係数倍のサイズ(fractional−sized)の検出FET Q2 341とを含む。主MOSFET Q1 321と検出FET341との間におけるそれぞれのサイズ差は、比K:1により与えられることに留意されたい。サイズ比は、各FETにおけるセル数により規定され得、さらに、これは、ドレイン・ソースオン抵抗と逆の関係をもち、次式により示されるように各FETにおける電流と直接的な関係(比例)にある。
【0032】
K=N
Q1−cells/N
Q2−cells=R
DS(on)Q2/R
DS(on)Q1=I
1/I
2
【0034】
V
D=I
1R
DS(on)Q1=I
2R
DS(on)Q2=(I
1/K)R
DS(on)Q2
【0035】
示されるように、主MOSFET Q1 321のドレインおよび検出FET Q2 341のドレインは、同じバス電圧V
D327に結合される。主MOSFET Q1 321に対するゲーティング信号323、および、検出FET Q2 341に対するゲーティング信号343は、同じ駆動信号V
drive333により提供される。これは、検出FETと主MOSFETとの両方に対して一定のV
GSを維持するための条件を満たす。その結果、主MOSFET Q1 321および検出FET Q2 341における電流密度が同じに留まる。主MOSFET Q1 321を通って流れるI
D325と、検出FET Q2 341を通って流れるI
sns342との電流比は、それらのサイズK:1に比例する。検出FET Q2 341のドレイン・ソース抵抗測定値は、主MOSFET Q1 321に比べて、そのより大きなドレイン・ソースオン抵抗に起因して、より正確である(より誤差が少ない)ことが理解される。
【0036】
検出抵抗器344は、検出FET Q2 341のソースからグランド301に結合していることが示される。検出抵抗器344を通って流れる検出電流I
sns342は、U
Isns346信号を生成し、これは、主MOSFET Q1 321を通って流れる電流I
D325を表す。
【0037】
図3に示す実施形態において、ドレイン電圧V
D327は、ドレインバスV
D327に結合されたJFET361を通して検出される。JFET361のゲート363は、主MOSFET Q1 321のソースに結合される。JFET361のゲートは、グランド電位(ゼロ電圧)に接続されていることが示される。主MOSFET Q1 321がオンに切り替わったときに常に、JFET361のゲート・ソース電圧がゼロに近くなり、JFET361のピンチオフ電圧(V
P)より高くなる。従って、JFET361もオンに切り替えられ、これが、信号U
Vsns366によりドレインオン電圧降下を検出するために、ドレイン電圧V
D327をタップ端子(JFETソース)365に結合する。主MOSFET Q1 321がオフであるとき、JFET361のゲート363がJFET361のピンチオフ電圧(V
P)未満に低下する。従って、JFET361がオフ状態であり、それにより、タップ端子365からドレイン電圧V
D327を遮断する。従って、当業者は、信号U
Isns346およびU
Vsns366を介して、電力MOSFETのドレイン・ソース抵抗を通したオン期間瞬時電流とオン期間瞬時電圧降下とが提供されることを理解する。
【0038】
図4は、
図3に示す回路を使用して既定の限界を上回る温度上昇を検出し得る閾値検出回路410の例示的な概略回路図である。端子365および345に提供された出力信号U
Isns346およびU
Vsns366は、それぞれ、閾値検出回路410への入力として示される。検出回路410は、その非反転入力454において電流信号U
Isns346を受信する第1の比較器450を含む。電流信号U
Isns346は、比較器450の反転入力に印加された基準電流信号I
ref456と比較される。信号U
Isns446が電流基準信号I
ref456より高く上昇したときに常に、比較器450の出力458が論理ハイ値に遷移する。一実施形態において、基準電流信号I
ref456は、既定の校正電流閾値である。電流信号U
Isns346が既定の校正電流閾値を上回ったときに常に、比較器450の出力458が高く遷移する。
【0039】
検出回路410は、信号U
Vsns366を受信するように結合された非反転入力464を含む第2の比較器460をさらに含む。信号U
Vsns366は、比較器460の反転入力に印加された基準電圧V
ref466と比較される。基準V
ref466は、その接合部温度に直接関係した電力MOSFETのR
DS(on)に対する閾値を表す。信号U
Vsns466が基準電圧V
ref466より高くなったときに常に、比較器460の出力468がハイ論理値に遷移する。
【0040】
比較器460の出力468は、D型フリップフロップ470のデータ入力D471に結合され、比較器450の出力458は、フリップフロップ470のクロック入力472に結合される。温度限界のインジケーターとして、ドレイン電圧の既定の/規定の閾値を校正された電流におけるR
DS(on)が上回ったことを示すように設定された基準電圧閾値をドレイン電圧が上回ったとき、比較器460の出力が論理ハイになる。
【0041】
さらに
図4の例を参照すると、比較器450の出力は、D型(「D」)フリップフロップ470のクロック入力に結合されていることが示される。従って、Dフリップフロップ470は、電流比較器450からの出力により、クロックに基づいて動作する。Dフリップフロップ470は、(クロックの立ち上がりエッジなどの)クロックサイクルの決められた部分においてD入力471の値を捕捉する。その捕捉された値は、Q出力473となる。他の時点において、Q出力473は変化しない。D入力471は、ドレイン電圧比較器460からの出力468である。その結果、電流信号346が電流校正閾値456を上回った時点で、信号366により提供されたドレイン電圧が電圧閾値466を上回った場合、Q出力473が論理ハイ値に遷移する。その結果、当業者は、電力MOSFETのR
DS(on)が組み合わされた閾値を上回ったとき、Dフリップフロップ470のQ出力473が論理ハイ値に設定されることを理解する。言い換えると、電力MOSFETを通って流れる電流が校正閾値に既に達したか、または上回った瞬間に、電力MOSFETスイッチングデバイスのR
DS(on)が測定または検出される。
【0042】
上述のように、電力MOSFETのドレイン・ソース抵抗R
DS(on)は、その接合部温度の直接的な関数であるので、R
DS(on)の変化が、電力MOSFETデバイスの瞬間的な温度変化を直接示す。この手法により、Q出力473における論理ハイ値は、警報状態を示すために使用され得、この場合において、電力MOSFETスイッチングデバイスの推奨される、または規定の熱閾値を上回る。
【0043】
他の実施形態において1つを上回る閾値レベルが検出され得ることが理解されなければならない。すなわち、様々な種類の温度検出または他の種類の制御保護に対して、複数の閾値電圧レベルが規定され得る。比較器およびフリップフロップの複数のセットが、温度検出および/または制御保護のための様々な出力信号を生成することに使用され得る。例示として、第1の保護レベルは、電力MOSFETスイッチングデバイスの1つまたは複数の制御パラメータ(例えば、電流制限値、スイッチング周波数、パルス幅、または、一時的にスイッチングを停止すること)を変えるために使用され得る。第2の保護レベルは、致命的な過渡状態または温度上昇の状況を防ぐために使用され得、警報信号がデバイスをラッチアップまたは永久的に停止するために使用される。
【0044】
当業者は、開示される主題が半導体材料の異なるバージョンおよび変形例により実装され得ることを理解する。例えば、電力MOSFETスイッチングデバイスは、任意のディスクリート型または集積型Si、SiC、GaN、または他の種類の高電子移動度半導体スイッチから構成され得る。
【0045】
例示的な実施形態の上記の説明は、要約で説明される事項を含め、網羅的であることも、開示される形態または構造そのものへの限定であることも意図されない。本明細書において説明される主題の特定の実施形態および例は、例示を目的としており、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく様々な同等な変更が可能である。実際、特定の例示的な電流、電圧、抵抗、デバイスの種類、およびサイズなどが説明のために提示されることと、本発明の教示に従った他の実施形態および例において他の値も使用し得ることとが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2019年8月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートランジスタデバイスにおける電流の流れにより温度上昇がもたらされる、前記パワートランジスタデバイスにおける前記温度上昇を検出するための集積回路(IC)であって、前記ICが、
基材であって、
前記パワートランジスタデバイスが、前記基材上に位置する、
前記基材と、
前記基材上に位置する検出電界効果トランジスタ(検出FET)であって、
前記検出FETが、前記電流の流れの係数倍部分を検出する、および、第1のノードに電流信号を出力する、
前記検出FETと、
接合型電界効果トランジスタ(JFET)であって、
前記JFETのドレインが、前記パワートランジスタデバイスのドレインに接続されており、前記JFETのゲートが、前記パワートランジスタデバイスのソースに接続されていることにより、前記パワートランジスタデバイスがオンに切り替えられたとき、前記JFETもオンに切り替えられ、および、前記パワートランジスタデバイスのドレイン電圧信号が第2のノードに出力される、
前記JFETと、
前記ドレイン電圧信号と前記電流信号とを受信するように結合された検出回路であって、
前記ドレイン電圧信号が、基準電圧信号を上回り、かつ、前記電流信号が、基準電流信号を上回ったとき、前記パワートランジスタデバイスのドレイン・ソース抵抗が組み合わされた閾値限界を上回ったことを示す警報信号を、前記検出回路が出力する、
前記検出回路と、
を備える、IC。
【請求項2】
前記温度上昇が前記パワートランジスタデバイスの熱閾値を上回ったことを、前記警報信号が示す、
請求項1に記載のIC。
【請求項3】
前記パワートランジスタデバイスにおける前記電流の流れが校正電流閾値に既に達しているときの値に、前記基準電流信号が設定された、
請求項1に記載のIC。
【請求項4】
前記パワートランジスタデバイスの温度限界を示す前記ドレイン電圧信号の校正閾値に前記ドレイン・ソース抵抗が既に達しているときの値に、前記基準電圧信号が設定された、
請求項1に記載のIC。
【請求項5】
前記検出回路が、
前記ドレイン電圧信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電圧信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第1の比較器であって、
前記ドレイン電圧信号が、前記基準電圧信号を上回ったとき、前記第1の比較器が、第1の論理信号を出力する、
前記第1の比較器と、
前記電流信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電流信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第2の比較器であって、
前記電流信号が、前記基準電流信号を上回ったとき、前記第2の比較器が、第2の論理信号を出力する、
前記第2の比較器と、
を備える、
請求項1に記載のIC。
【請求項6】
前記検出回路が、前記第1の論理信号を受信するように結合された入力と、前記第2の論理信号を受信するように結合されたクロック入力と、を含むフリップフロップをさらに備え、
前記フリップフロップが、前記第1の論理信号と前記第2の論理信号とに応答して、前記警報信号を出力する、
請求項5に記載のIC。
【請求項7】
前記フリップフロップが、D型フリップフロップである、
請求項6に記載のIC。
【請求項8】
前記第1のノードとグランド電位との間に結合された検出抵抗器をさらに備える、
請求項1に記載のIC。
【請求項9】
前記第1のノードが、前記検出FETのソースを含み、
前記第2のノードが、前記JFETのソースである、
請求項1に記載のIC。
【請求項10】
前記JFETの前記ゲートと前記パワートランジスタデバイスの前記ソースとの両方が、グランド電位に接続された、
請求項1に記載のIC。
【請求項11】
前記パワートランジスタデバイスの前記ドレインが、電力コンバーターエネルギー伝達要素に結合された、
請求項1に記載のIC。
【請求項12】
前記警報信号が、前記パワートランジスタデバイスをオフに切り替えるために使用される、
請求項1に記載のIC。
【請求項13】
前記検出回路が、前記パワートランジスタデバイスにおける、所定のゲート・ソース電圧、および所定の電流の流れにおいて、前記ドレイン電圧信号および前記電流信号を受信する、
請求項1に記載のIC。
【請求項14】
スイッチングデバイスにおける電流の流れにより温度上昇がもたらされる、前記スイッチングデバイスにおける前記温度上昇を検出するための集積回路(IC)であって、前記ICが、
前記電流の流れの係数倍部分を検出する、および、第1のノードに電流信号を出力する、電流検出デバイスと、
電圧検出デバイスであって、
前記スイッチングデバイスがオンに切り替えられたとき、前記電圧検出デバイスもオンに切り替えられるように、および、前記スイッチングデバイスの電圧信号が第2のノードに出力されるように、前記電圧検出デバイスが、前記スイッチングデバイスに結合された、
前記電圧検出デバイスと、
前記電圧信号および前記電流信号を受信するように結合された検出回路であって、
前記電圧信号が基準電圧信号を上回り、かつ、前記電流信号が基準電流信号を上回ったとき、前記検出回路が、警報信号を出力する、
前記検出回路と、
を備える、IC。
【請求項15】
前記スイッチングデバイスの熱閾値を前記温度上昇が上回ったことを、前記警報信号が示す、
請求項14に記載のIC。
【請求項16】
前記スイッチングデバイスにおける前記電流の流れが校正電流閾値に既に達しているときの値に、前記基準電流信号が設定された、
請求項14に記載のIC。
【請求項17】
前記電流検出デバイスが、検出電界効果トランジスタ(検出FET)であり、
前記電圧検出デバイスが、接合型電界効果トランジスタ(JFET)である、
請求項14に記載のIC。
【請求項18】
前記検出回路が、
前記電圧信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電圧信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第1の比較器であって、
前記電圧信号が前記基準電圧信号を上回ったとき、前記第1の比較器が、第1の論理信号を出力する、
前記第1の比較器と、
前記電流信号を受信するように結合された第1の入力と、前記基準電流信号を受信するように結合された第2の入力と、を含む第2の比較器であって、
前記電流信号が前記基準電流信号を上回ったとき、前記第2の比較器が、第2の論理信号を出力する、
前記第2の比較器と、
前記第1の論理信号を受信するように結合された入力と、前記第2の論理信号を受信するように結合されたクロック入力と、を含むフリップフロップであって、
前記フリップフロップが、前記第1の論理信号と前記第2の論理信号とに応答して、前記警報信号を出力する、
前記フリップフロップと、
を備える、
請求項14に記載のIC。
【請求項19】
前記第1のノードとグランド電位との間に結合された検出抵抗器をさらに備える、
請求項14に記載のIC。
【請求項20】
前記第1のノードが、前記検出FETのソースを含む、
請求項17に記載のIC。
【請求項21】
前記スイッチングデバイスが、パワートランジスタデバイスである、
請求項14に記載のIC。
【請求項22】
前記スイッチングデバイスが、1つまたは複数のダイオードを備える、
請求項14に記載のIC。
【請求項23】
前記検出回路が、前記スイッチングデバイスの所定の閾動作状態において前記電圧信号および前記電流信号を受信する、
請求項14に記載のIC。
【請求項24】
半導体スイッチングデバイスにおける電流の流れにより温度上昇がもたらされる、集積回路(IC)の前記半導体スイッチングデバイスにおける前記温度上昇を検出する方法であって、前記方法が、
前記半導体スイッチングデバイスを通る前記電流の流れの係数倍部分を検出することであって、
前記電流の流れの前記係数倍部分を検出したことに応答して、電流信号が、第1のノードに出力される、
前記電流の流れの前記係数倍部分を検出することと、
前記半導体スイッチングデバイスがオンに切り替えられたとき、前記半導体スイッチングデバイスにおける電圧降下を検出することであって、
前記電圧降下を検出したことに応答して、前記半導体スイッチングデバイスの電圧信号が、第2のノードに出力される、
前記電圧降下を検出することと、
前記電圧信号および前記電流信号を受信するように結合された検出回路により警報信号を出力することであって、
前記電圧信号が基準電圧信号を上回り、かつ、前記電流信号が基準電流信号を上回ったとき、前記検出回路が、前記警報信号を出力する、
前記警報信号を出力することと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記温度上昇が前記半導体スイッチングデバイスの熱閾値を上回ったことを、前記警報信号が示す、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記半導体スイッチングデバイスにおける前記電流の流れが校正電流閾値に既に達しているときの値に、前記基準電流信号が設定された、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記電圧信号が前記半導体スイッチングデバイスの校正閾値に既に達しているときの値に、前記基準電圧信号が設定された、
請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記検出回路が、前記半導体スイッチングデバイスの所定の閾動作状態において前記電圧信号および前記電流信号を受信したとき、前記警報信号が出力される、
請求項24に記載の方法。
【国際調査報告】