特表2019-527690(P2019-527690A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-527690免疫原性/治療用グリカン組成物およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-527690(P2019-527690A)
(43)【公表日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】免疫原性/治療用グリカン組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20190906BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190906BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190906BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20190906BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20190906BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20190906BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190906BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190906BHJP
【FI】
   A61K39/00 G
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61K47/64
   A61K47/42
   A61K39/39
   A61K45/00
   A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2019-503702(P2019-503702)
(86)(22)【出願日】2017年7月27日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】US2017044244
(87)【国際公開番号】WO2018022933
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】62/367,528
(32)【優先日】2016年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】516080655
【氏名又は名称】オービーアイ ファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ユー, チェン−ダー トニー
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ペイウェン
(72)【発明者】
【氏名】ライ, クオ−パオ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェイ−ハン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イ−ジュ
(72)【発明者】
【氏名】リン, シュ−イ
(72)【発明者】
【氏名】シェイ, イー−ファン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076BB11
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC751
4C085AA03
4C085AA05
4C085AA27
4C085AA38
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF14
4C085GG01
(57)【要約】
本開示は、Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3)糖コンジュゲート、および治療用アジュバント(OBI−821またはOBI−834)を含む免疫原性/治療用組成物、ならびに、がんなどの増殖性疾患の処置のためのそれの作製方法および使用方法を包含する。治療用コンジュゲートは、担体に連結した抗原を含む。特に、治療用コンジュゲートは、リンカーを介して連結したSSEA−4、Globo H、またはSSEA−3部分、およびKLH部分サブユニットを含む。治療用組成物は、部分的には、体の、損傷を受けた細胞またはがん細胞などの異常な細胞によって生じる危険から免疫系を通じて自身を保護する天然の能力を高めるためのがんワクチン(一価、二価、または三価のワクチン)として作用することが想定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜20個のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分と共有結合により連結した複数のステージ特異的胎児性抗原−4(SSEA−4)部分を含む組成物であって、前記SSEA−4部分が、前記KLH部分と1個または複数のアミノ酸残基において共有結合により結合している、組成物。
【請求項2】
前記アミノ酸残基がリジンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記SSEA−4部分が(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記SSEA−4部分が、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと、p−ニトロフェニルリンカー、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)リンカー、または4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(MCCa)リンカーを介して共有結合により連結している、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1〜20個のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分と共有結合により連結した複数のステージ特異的胎児性抗原−3(SSEA−3)部分を含む組成物であって、前記SSEA−3部分が、前記KLH部分と1個または複数のアミノ酸残基において共有結合により結合している、組成物。
【請求項6】
前記アミノ酸残基がリジンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記SSEA−3部分が(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記SSEA−3部分が、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと、p−ニトロフェニルリンカー、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)リンカー、または4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(MCCa)リンカーを介して共有結合により連結している、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
(a)1個または複数のKLH部分サブユニットと共有結合により連結した複数のGloboシリーズ抗原部分と、
(b)α−ガラクトシル−セラミド(α−GalCer)アジュバントと
を含む、医薬組成物。
【請求項10】
前記α−GalCerアジュバントが以下の構造:
【化15】
を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記KLH部分が、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、十一量体、十二量体、十三量体、十四量体、十五量体、十六量体、十七量体、十八量体、十九量体、または二十量体を形成し得る、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記Globoシリーズ抗原が、SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
(a)1個または複数のKLH部分サブユニットと共有結合により連結した複数のGloboシリーズ抗原部分と、
(b)OBI−821アジュバントと
を含む、医薬組成物。
【請求項14】
前記KLH部分が、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、十一量体、十二量体、十三量体、十四量体、十五量体、十六量体、十七量体、十八量体、十九量体、または二十量体を形成し得る、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記Globoシリーズ抗原が、SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
(a)1個もしくは複数のGloboシリーズ抗原またはその免疫原性断片と、
(b)担体タンパク質と
を含むワクチンであって、
前記担体タンパク質と共有結合により連結した前記Globoシリーズ抗原が、p−ニトロフェニルリンカー、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)リンカー、または4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(MCCa)リンカーによって連結している、ワクチン。
【請求項17】
前記担体タンパク質が、ジフテリア毒素、破傷風トキソイド、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を含む、請求項16に記載のワクチン。
【請求項18】
前記ジフテリア毒素が、ジフテリア毒素交差反応物質197(DT−CRM197)である、請求項17に記載のワクチン。
【請求項19】
前記Globoシリーズ抗原が、SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3である、請求項16に記載のワクチン。
【請求項20】
SSEA−4、Globo H、およびSSEA−3から選択される前記抗原のうちの1個または複数に対する一価、二価、または三価のワクチンである、請求項16に記載のワクチン。
【請求項21】
治療または診断に使用するためのモノクローナル抗体を産生するために、対象において抗体を誘導する方法であって、前記対象に、有効量の請求項1〜15に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項22】
前記対象がヒトまたは非ヒト哺乳動物である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
がんの処置を必要とする患者においてがんを処置する方法であって、前記患者に、治療有効量の請求項1〜15に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項24】
前記がんが、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳がん、肺がん、乳がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝がん、胆管がん、膵がん、結腸がん、腎がん、子宮頸がん、卵巣がん、または前立腺がんである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが、Globoシリーズ抗原を発現するがんである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記Globoシリーズ抗原が、SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
免疫反応の誘導または増強を必要とする対象において、免疫反応を誘導または増強する方法であって、
免疫原性的に有効な量の、請求項16に記載のワクチンを含む薬学的に許容される担体を投与するステップと、
以下:
(a)2回もしくはそれよりも多くの回数、前記ワクチンを投与すること、
(b)2回の逐次的な投与間の時間間隔および/もしくは投薬量レジメンを調節すること、
(c)投与経路を調節すること、および/もしくは投与の注射部位を変更すること、または
(d)Globoシリーズ抗原(Globo H、SSEA−3、SSEA−4)を含む他の組成物と組み合わせること
から選択される手順のうちの1つまたは複数とを含む、方法。
【請求項28】
注射が、免疫応答増強剤の添加によって変更および/または追加補充され得る、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記有効な量が約0.01μg〜約250mgである、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2016年7月27日に出願された米国仮特許出願第62/367,528号の優先権を主張する。上記出願の全体は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、がん免疫療法のための組成物および方法、特に抗がん免疫応答を引き出すことができる免疫原性/治療用糖コンジュゲートを対象とする。
【背景技術】
【0003】
多数の表面炭水化物が、悪性腫瘍細胞において発現している。例えば、Globo H(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)は、様々な上皮がんにおいて過剰発現することが示されており、乳がんおよび小細胞肺癌における腫瘍侵攻性および予後不良と関連する。これまでの研究は、Globo Hおよびステージ特異的胎児性抗原3(SSEA−3、Gb5とも呼ばれる)(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)が乳がん細胞および乳がん幹細胞において観察されたことを示している(WW Changら、「Expression of Globo H and SSEA−3 in breast cancer stem cells and the involvement of fucosyl transferases 1 and 2 in Globo H synthesis.」PNAS、105巻(33号):11667〜11672頁、2008年)。SSEA−4(ステージ特異的胎児性抗原−4)、すなわち六糖(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)は、多能性ヒト胚性幹細胞の細胞表面マーカーとして一般的に使用されており、間葉系幹細胞の単離、および神経前駆細胞の濃縮に使用されている(Kannagi Rら、EMBO J、2巻:2355〜2361頁、1983年)。これまでの研究は、ステージ特異的胎児性抗原−4(SSEA−4)が、多形性膠芽腫および他のがんにおいて、有望な治療標的となり得ることを示している(WW Changら、PNAS、111巻(7号):2482〜2487頁、2014年)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】WW Changら、PNAS(2008年)105巻(33号):11667〜11672頁
【非特許文献2】Kannagi Rら、EMBO J(1983年)2巻:2355〜2361頁
【非特許文献3】WW Changら、PNAS(2014年)111巻(7号):2482〜2487頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において開示されるように、Globoシリーズ抗原(Globo H、SSEA−3、およびSSEA−4)が、がん細胞を特有の標的とし、治療薬ががん細胞を効果的に標的とするようにできることが認識された。
したがって、本開示は、一般に、Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HおよびSSEA−3)を含む治療用かつ/または予防用組成物、ならびに、免疫療法薬、ワクチン、剤形、キット、および製造の方法、およびその取扱いを包含する。
【0006】
一実施形態では、本発明は、担体部分、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはジフテリア毒素交差反応物質197(DT−CRM197)部分サブユニットに、p−ニトロフェニルリンカー、4−(4−N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド(MMCCH)リンカー、または4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(MCCa)リンカーを介して共有結合により連結したGloboシリーズ抗原(SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3)部分を含む単離された治療用コンジュゲートを包含する。
【0007】
別の例示的な実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化1】
(式中、nは、独立に、約1〜約3000の整数であり、mは、独立に、約1〜約20の整数である)を有する単離された免疫原性/治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、mが1を超える場合、KLH部分は凝集して多量体構造を形成し得る。ある特定の実施形態では、凝集は共有結合的結合である。ある特定の他の実施形態では、凝集は共有結合的結合ではない(例えば、凝集はH−結合または疎水性相互作用によって形成される)。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分(すなわち、m=1の場合)は、約1〜約150個のSSEA−4部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二量体KLH部分(すなわち、m=2の場合)は、約1〜約300個のSSEA−4部分を含み得る。ある特定の実施形態では、三量体KLH部分(すなわち、m=3の場合)は、約1〜約450個のSSEA−4部分を含み得る。ある特定の実施形態では、四量体KLH部分(すなわち、m=4の場合)は、約1〜約600個のSSEA−4部分を含み得る。ある特定の実施形態では、五量体KLH部分(すなわち、m=5の場合)は、約1〜約750個のSSEA−4部分を含み得る。ある特定の実施形態では、六量体KLH部分(すなわち、m=6の場合)は、約1〜約900個のSSEA−4部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二十量体KLH部分(すなわち、m=20の場合)は、約1〜約3000個のSSEA−4部分を含み得る。
【0008】
本明細書において開示される任意の態様では、免疫原性/治療用コンジュゲートは、1個もしくは複数のDT−CRM197部分、または任意の他の好適な免疫原性部分、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。
【0009】
一実施形態では、SSEA−4部分は、(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)を含む。さらなる実施形態では、KLH部分サブユニットは、KLH−1部分もしくはKLH−2部分、またはそれらの組み合わせである。本明細書で使用される場合、「KLH」という用語は、KLH−1、KLH−2、および/またはそれらの組み合わせを指す。
【0010】
別の例示的な実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化2】
(式中、nは、独立に、約1〜約3000の整数であり、mは、独立に、約1〜約20の整数である)を有する単離された免疫原性/治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、mが1を超える場合、KLH部分は凝集して多量体構造を形成し得る。ある特定の実施形態では、凝集は共有結合である。ある特定の他の実施形態では、凝集は共有結合ではない(例えば、凝集はH−結合または疎水性相互作用によって形成される)。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分(すなわち、m=1の場合)は、約1〜約150個のSSEA−3部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二量体KLH部分(すなわち、m=2の場合)は、約1〜約300個のSSEA−3部分を含み得る。ある特定の実施形態では、三量体KLH部分(すなわち、m=3の場合)は、約1〜約450個のSSEA−3部分を含み得る。ある特定の実施形態では、四量体KLH部分(すなわち、m=4の場合)は、約1〜約600個のSSEA−3部分を含み得る。ある特定の実施形態では、五量体KLH部分(すなわち、m=5の場合)は、約1〜約750個のSSEA−3部分を含み得る。ある特定の実施形態では、六量体KLH部分(すなわち、m=6の場合)は、約1〜約900個のSSEA−3部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二十量体KLH部分(すなわち、m=20の場合)は、約1〜約3000個のSSEA−3部分を含み得る。
【0011】
一実施形態では、SSEA−3部分は、(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)を含む。さらなる実施形態では、KLH部分サブユニットは、KLH−1部分もしくはKLH−2部分、またはそれらの組み合わせである。本明細書で使用される場合、「KLH」という用語は、KLH−1、KLH−2、および/またはそれらの組み合わせを指す。
【0012】
別の例示的な実施形態では、本発明は、以下の一般構造:
【化3】
(式中、nは、独立に、約1〜約3000の整数であり、mは、独立に、約1〜約20の整数である)を有する単離された免疫原性/治療用コンジュゲートを包含する。ある特定の実施形態では、mが1を超える場合、KLH部分は凝集して多量体構造を形成し得る。ある特定の実施形態では、凝集は共有結合である。ある特定の他の実施形態では、凝集は共有結合ではない(例えば、凝集はH−結合または疎水性相互作用によって形成される)。ある特定の実施形態では、単量体KLH部分(すなわち、m=1の場合)は、約1〜約150個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二量体KLH部分(すなわち、m=2の場合)は、約1〜約300個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、三量体KLH部分(すなわち、m=3の場合)は、約1〜約450個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、四量体KLH部分(すなわち、m=4の場合)は、約1〜約600個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、五量体KLH部分(すなわち、m=5の場合)は、約1〜約750個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、六量体KLH部分(すなわち、m=6の場合)は、約1〜約900個のGlobo H部分を含み得る。ある特定の実施形態では、二十量体KLH部分(すなわち、m=20の場合)は、約1〜約3000個のGlobo H部分を含み得る。
【0013】
一実施形態では、Globo H部分は、(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)を含む。さらなる実施形態では、KLH部分サブユニットは、KLH−1部分またはKLH−2部分またはそれらの組合せである。本明細書で使用される場合、「KLH」という用語は、KLH−1、KLH−2、および/またはそれらの組合せを指す。
【0014】
本発明の別の実施形態は、KLH部分サブユニットを含む医薬組成物であって、各KLH部分サブユニットが、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGloboシリーズ抗原部分を含む医薬組成物を包含する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2個のKLH部分サブユニットの二量体を含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGloboシリーズ抗原部分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも3個のKLH部分サブユニットの三量体を含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGloboシリーズ抗原部分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4個のKLH部分サブユニットを含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した1個または複数のGloboシリーズ抗原部分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、KLH部分サブユニット(例えば、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体など)の混合物を含み、各KLH部分サブユニットは、KLH部分サブユニットと共有結合により連結した多数のGloboシリーズ抗原部分を含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、ある特定の例示的な組成物の実施形態およびその使用方法は、本明細書に記載されている他の代表的な化合物および/または組成物の実施形態の任意の1つまたは複数を含んでもよく、これらが排除されてもよい(例えば条件付きで除く)。
【0016】
別の実施形態では、医薬組成物は、アジュバントを含む。本明細書で使用される場合、「免疫学的アジュバント(immunologic adjuvant)」という用語は、免疫原と併せて使用される、免疫原に対する免疫応答を増強または改変する物質を指す。具体的には、「アジュバント」および「免疫アジュバント(immunoadjuvant)」という用語は、本発明では互換的に使用され、宿主に単独で投与された場合には非免疫原性であり得るが、別の抗原と共同で投与されるとその抗原に対する宿主の免疫応答を強化する化合物または混合物を指す。アジュバントにより媒介される免疫応答の増強および/または持続時間の延長は、これだけに限定することなく、以下のうちの1つまたは複数を含めた当技術分野で公知の任意の方法によって評価することができる:(i)アジュバント/抗原組合せを用いた免疫に応答して産生される抗体の数が、抗原を単独で用いた免疫に応答して産生される抗体の数よりも増加すること;(ii)抗原またはアジュバントを認識するT細胞の数が増加すること;および(iii)1つまたは複数のI型サイトカインのレベルが上昇すること。
【0017】
アジュバントは、抗原を含む医薬組成物もしくはワクチン組成物の一部として、または抗原を含有する第2の組成物と共同で投与される別の製剤として投与することができる。これらの組成物のいずれにおいても、スフィンゴ糖脂質(GSL)を他のアジュバントおよび/または賦形剤/担体と組み合わせることができる。これらの他のアジュバントとしては、これだけに限定されないが、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、MF59、またはSAFなどの、油乳剤および乳化剤(emulsifier)に基づくアジュバント;水酸化アルミニウム(ミョウバン)、リン酸アルミニウムまたはリン酸カルシウムなどの無機ゲル;コレラ毒素(CT)、百日咳毒素、Escherichia coli易熱性毒素(LT)、突然変異毒素(例えば、LTK63またはLTR72)、Bacille Calmette−Guerin(BCG)、Corynebacterium parvum、DNA CpGモチーフ、ムラミルジペプチド、またはモノホスホリルリピドAなどの、微生物由来のアジュバント;免疫刺激複合体(ISCOM)、リポソーム、生分解性マイクロスフェア、またはサポニン(例えば、QS−21)などの粒子アジュバント;IFN−γ、IL−2、IL−12またはGM−CSFなどのサイトカイン;非イオン性ブロック共重合体、ムラミルペプチド類似体(例えば、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン[thr−MDP]、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−[1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ]−エチルアミン)、ポリホスファゼン、または合成ポリヌクレオチドなどの合成アジュバント、ならびに、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、炭化水素乳剤、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの表面活性物質、Toll様受容体分子、LPS、リポタンパク質、リポペプチド、フラジェリン、二本鎖RNA、ウイルスDNA、非メチル化CpGアイランド、レバミソール、カルメット−ゲラン桿菌、イソプリノシン、Zadaxin、PD−1アンタゴニスト、PD−1抗体、CTLAアンタゴニスト、CTLA抗体、インターロイキン、サイトカイン、GM−CSF、糖脂質、アルミニウム塩に基づくもの、リン酸アルミニウム、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リポソーム、TLR2アゴニスト、リポペプチド、ナノ粒子、モノホスホリルリピドA、OBI−821アジュバント、サポニン、OBI−834アジュバント、C34アジュバント、水中油型ナノ乳剤、ならびに細菌様粒子が挙げられる。これらの追加的なアジュバントは、ヒトにおける使用に関して薬学的に許容されるものでもあることが好ましい。
【0018】
別の実施形態では、医薬組成物は、IL−2、IL−12、IL−18、IL−2、IFN−γ、TNF、IL−4、IL−10、IL−13、IL−21、GM−CSFおよびTGF−βからなる群から選択されるサイトカインを含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、ケモカインを含む。
【0019】
さらなる実施形態では、免疫原性/治療剤は、医薬組成物として投与される。
【0020】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、モノクローナル抗体、化学療法薬、ホルモン治療剤、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害性/細胞増殖抑制剤、抗新生物剤、抗増殖剤、抗mTOR剤、抗Her2剤、抗EGFR剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、血管新生阻害剤、ベバシズマブ、細胞増殖および生存シグナル伝達経路の阻害剤、アポトーシス誘導剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤、インテグリン遮断薬、NSAID、PPARアゴニスト、固有の多剤耐性(MDR)の阻害剤、制吐剤、貧血の処置に有用な薬剤、好中球減少の処置に有用な薬剤、免疫増強性薬、ビスホスホネート(biphosphonate)、アロマターゼ阻害剤、新生細胞の最終分化を誘導する薬剤、γ−セレクターゼ阻害剤、がんワクチン(例えば、能動免疫療法)、モノクローナル抗体治療薬(例えば、受動免疫療法)、およびそれらの任意の組合せを含む。
【0021】
別の実施形態では、本発明の治療用組成物は、PD−1/PD−L1阻害剤(細胞傷害性T細胞リンパ球(CTL)免疫療法)、CTLA−4免疫療法、CDK4/6阻害剤(標的療法)、PI3K阻害剤(標的療法)、mTOR阻害剤(標的療法)、AKT阻害剤(標的療法)、Pan−Her阻害剤(標的療法)をさらに含んでよい。これらの阻害剤は、それぞれのモノクローナル抗体も生成されるように改変することができる。そのような抗体は、本発明の治療用組成物に含めることができる。
【0022】
別の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、がんワクチンである。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、皮下投与用に製剤化さる。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、動脈内投与用に製剤化される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
【0023】
付属の図面をその後の詳細な説明と併せて考慮して、参照することにより、本発明のより完全な理解を得ることができる。図面に例示されている実施形態は、単に本発明を例証することを意図するものであり、例示されている実施形態に本発明を限定するものとは解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1-1】図1Aは、多角度レーザー散乱分光法(MALS)を検出器として使用した、KLHのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の結果を示す。図1Bは、SEC−MALSを使用した、KLHの質量分布分析を示す。
図1-2】同上。
【0025】
図2-1】図2は、SEC−MALSを使用した、SSEA−4−KLH糖コンジュゲート(図2A)、Globo H−KLH糖コンジュゲート(図2B)、およびSSEA−3−KLH糖コンジュゲート(図2C)の質量分布分析を示す。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
【0026】
図3-1】図3Aおよび図3Bは、OBI−821アジュバントを伴う種々の用量のSSEA−4−KLHおよびSSEA−4−DTの一価ワクチンによって誘導された5匹の個別のマウスからの抗SSEA−4 IgMレベルと濃度中央値の結果を示す。図3Cおよび図3Dは、OBI−821アジュバントを伴う種々の用量のSSEA−4−KLHおよびSSEA−4−DTの一価ワクチンによって誘導された抗SSEA−4 IgGレベルの結果を示す。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
【0027】
図4-1】図4Aおよび図4Bは、OBI−834アジュバントを伴う種々の用量のSSEA−4−KLHおよびSSEA−4−DTの一価ワクチンによって誘導された5匹の個別のマウスからの抗SSEA−4 IgMレベルと濃度中央値の結果を示す。図4Cおよび図4Dは、OBI−834アジュバントを伴う種々の用量のSSEA−4−KLHおよびSSEA−4−DTの一価ワクチンによって誘導された抗SSEA−4 IgGレベルの結果を示す。
図4-2】同上。
図4-3】同上。
図4-4】同上。
【0028】
図5-1】図5は、OBI−821アジュバントを伴う二価ワクチン(Globo H−KLHと組み合わせたSSEA−4−KLHの糖コンジュゲート)によって誘導された免疫原性の結果を示す。図5Aは、抗Globo H IgMレベルの結果を示し、図5Bは、抗SSEA−3 IgMレベルの結果を示し、図5Cは、抗SSEA−4 IgMレベルの結果を示す。図5Dは、抗Globo H IgGレベルの結果を示す。図5Eは、抗SSEA−3 IgGレベルの結果を示し、図5Fは、抗SSEA−4 IgGレベルの結果を示す。
図5-2】同上。
図5-3】同上。
図5-4】同上。
図5-5】同上。
図5-6】同上。
【0029】
図6-1】図6は、OBI−821アジュバントを伴う三価ワクチン(SSEA−4−KLH+Globo H−KLH+SSEA−3−KLH糖コンジュゲート)によって誘導された免疫原性の結果を示す。図6Aは、抗Globo H IgMレベルの結果を示し、図6Bは、抗SSEA−4 IgMレベルの結果を示す。図6Cは、抗Globo H IgGレベルの結果を示し、図6Dは、抗SSEA−4 IgGレベルの結果を示す。
図6-2】同上。
図6-3】同上。
図6-4】同上。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施には、別段の指定のない限り、当技術分野の技術の範囲内に入る分子生物学、微生物学、および免疫学の従来の技法を用いる。そのような技法は、文献において十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年);DNA Cloning、I巻およびII巻(D. N. Glover編、1985年);Culture Of Animal Cells(R. I. Freshney、Alan R. Liss, Inc.、1987年);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press、1986年);B. Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984年);Methods In Enzymology全巻(Academic Press, Inc.、N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J. H. MillerおよびM. P. Calos編、1987年、Cold Spring Harbor Laboratory);Methods In Enzymology、154巻および155巻(Wuら編)、Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker編、Academic Press、London、1987年);Antibodies: A Laboratory Manual、HarlowおよびLanes(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年);ならびにHandbook Of Experimental Immunology、I〜IV巻(D. M. WeirおよびC. C. Blackwell編、1986年)を参照されたい。
【0031】
抗体を引き出すための、合成炭水化物コンジュゲートの使用は、1929年にGoebelおよびAveryによって最初に実証された(Goebel, W. F.、およびAvery, O. T.、J. Exp. Med.、1929年、50巻、521頁;Avery, O. T.、およびGoebel, W. F.、J. Exp. Med.、1929年、50巻、533頁)。炭水化物がベンゼンジアゾニウム配糖体を介して担体タンパク質に連結された。合成抗原を用いたウサギの免疫により、ポリクローナル抗体が生成された。他の研究者ら(Allen, P. Z.、およびGoldstein, I. J.、Biochemistry、1967年、6巻、3029頁;Rude, E.、およびDelius, M. M.、Carbohydr. Res.、1968年、8巻、219頁;Himmelspach, K.ら、Eur. J. Immunol.、1971年、1巻、106頁;Fielder, R. J.ら、J. Immunol.、1970年、105巻、265頁)により、炭水化物とタンパク質担体をコンジュゲーションするための同様の技法が開発された。
【0032】
腫瘍細胞の公知の標的作用物質を特異的に標的とするために、ワクチン接種から生じる能動免疫療法において糖コンジュゲートを使用することができる。炭水化物抗原に対する応答には、通常、腫瘍に対する体の拒絶反応を補助するT細胞の使用が関与しない。コンジュゲートを用いたワクチン接種の結果としての完全な腫瘍拒絶反応の確率は可能性が低いと考えられるが、そのような処置により、免疫サーベイランスが高められ、新しい腫瘍コロニーの再発が低下し得る。(Dennis, J.、Oxford Glycosystems Glyconews Second、1992年;Lloyd, K. O.、Specific Immunotherapy of Cancer with Vaccines、1993年、New York Academy of Sciences、50〜58頁)。ToyokuniおよびSinghalは、測定可能なIgG力価を刺激する合成糖コンジュゲートについて記載しており、(Toyokuni, T.ら、J. Am. Chem. Soc.、1994年、116巻、395頁)、IgG応答は一般にヘルパーT細胞の関与を伴うので、これは有意な結果である。
【0033】
したがって、本開示は、SSEA−4の標的となる/それによって媒介される免疫原性/治療用化合物、組成物、および/または医薬製剤組成物、ならびに、免疫療法薬、ワクチン、剤形、キット、および製造の方法、およびその取扱いを対象とする。
【0034】
「a(1つの)」または「an(1つの)」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または本明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「one(1つの)」を意味し得るが、「1つまたは複数の(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」、および「1つまたは1つ超の(one or more than one)」という意味とも一致する。
【0035】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、例えば、測定デバイス、値を決定するために用いられる方法に固有の誤差の変動、または試験対象の中に存在する変動を含むことを示すために使用される。一般には、用語は、状況に応じておよそまたは1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%未満の変動性を包含することを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、別段の指定のない限り、置換されていても置換されていなくてもよい1〜20個の炭素原子を含有する、例えば、C1〜C8またはC1〜C4の直鎖状または分枝の一価炭化水素を指す。アルキルの例としては、これだけに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0037】
特許請求の範囲における「または(or)」という用語の使用は、択一選択のみを指すまたは択一選択が相互排他的であることが明示されていなければ、「および/または」を意味するために使用されるが、択一選択と「および/または」とを指すに過ぎないとする定義を本開示は支持する。
【0038】
本明細書および請求項(複数可)で使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの、含む(including)の任意の形態)または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、包括的またはオープンエンドであり、追加的な必要でない要素または方法のステップを排除するものではない。本明細書において考察されている任意の実施形態は本発明の任意の方法または組成物に関して実行することができ、逆もまた同じであることが企図されている。さらに、本発明の組成物を使用して本発明の方法を実現することができる。
【0039】
「処置すること(Treating)」または「処置すること(treating)」とは、本明細書では、障害、障害の症状、障害に続発する病態、または障害に対する素因を治癒する、緩和する、軽減する、矯正する、防止する、または好転させる目的で、対象に治療用組成物を投与することとみなされる。
【0040】
「有効量」とは、処置される対象において、本明細書に詳述されている医学的に望ましい結果を生じさせることができる、治療用組成物の量である。医学的に望ましい結果は、客観的(すなわち、いくつかの検査またはマーカーによって測定可能である)、または主観的(すなわち、対象が効果の兆候を示すまたは効果を感じる)であってもよい。
【0041】
「治療用組成物を用いた処置に適している疾患」とは、本明細書で言及される場合、本明細書に開示されている治療用組成物を投与することによって処置することができる任意の手技、状態、障害、不快および/または疾病を意味する。
【0042】
「増殖性障害」とは、一部の細胞型が過剰に産生され、その結果、健康悪化が生じる障害である。増殖性障害は、良性または悪性であり得る。増殖性障害としては、例えば、がんを挙げることができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、本明細書に開示されている治療用組成物によって処置することができる「がん」とは、成長の状態が異常な細胞を含む。がん細胞は、正常な制御機構の喪失により特徴付けられ得、したがって、継続的に拡大し、隣接する組織に浸潤し、体の遠位パートに移動し、細胞が栄養分を得るための新しい血管の成長を促進することができる。本明細書で使用される場合、がんは、悪性または良性であり得る。がんは、体内の任意の組織から発生し得る。細胞が成長し増大するにしたがい、細胞は腫瘍と称される組織の塊を形成する。腫瘍という用語は、異常な成長または塊を含み得る。腫瘍は、がん性(悪性)または非がん性(良性)であり得る。がん性腫瘍は、近接する組織に浸潤し、体中に拡散(転移)し得る。しかし、良性腫瘍は、一般に、近接する組織に浸潤せず、体中に拡散しない。がんは、血液および血液形成組織のがん(白血病およびリンパ腫)と「固形」腫瘍とに分けることができる。「固形」腫瘍は、癌腫または肉腫を含み得る。
【0044】
本発明の治療用組成物によって処置することができるがんとしては、口腔および咽頭(唇、舌、唾液腺、口腔底、歯肉および他の口、上咽頭、扁桃、中咽頭、下咽頭、他の口腔/咽頭)のがん;消化器系(食道;胃;小腸;結腸および直腸;肛門、肛門管、および肛門直腸;肝臓;肝内胆管;胆嚢;他の胆管;膵臓;後腹膜;腹膜、網、および腸間膜;他の消化器)のがん;呼吸器系(鼻腔、中耳、および洞;喉頭;肺および気管支;胸膜;気管、縦隔、および他の呼吸器)のがん;中皮腫のがん;骨および関節;ならびに心臓を含めた軟部組織;黒色腫および他の非上皮性皮膚がん(skin cancer)を含めた皮膚がん(skin cancer);カポジ肉腫および乳がん;女性生殖器系(子宮頸部;子宮体;子宮、卵巣;膣;外陰部;および他の女性生殖器)のがん;男性生殖器系(前立腺;精巣;陰茎;および他の男性生殖器)のがん;泌尿器系(膀胱;腎臓および腎盤;尿管;および他の泌尿器)のがん;眼および眼窩のがん;脳および神経系(脳;および他の神経系)のがん;内分泌系(甲状腺および胸腺を含めた他の内分泌)のがん;リンパ腫(ホジキン病および非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、および白血病(リンパ球性白血病;骨髄性白血病;単球性白血病;および他の白血病)を含めた、部位によって分類されるものが挙げられる。
【0045】
本発明による治療用組成物に適した標的であり得る、組織型によって分類される他のがんとしては、これだけに限定されないが、新生物、悪性;癌腫、NOS;癌腫、未分化型、NOS;巨細胞および紡錘細胞癌;小細胞癌、NOS;乳頭癌、NOS;扁平上皮細胞癌、NOS;リンパ上皮癌;基底細胞癌、NOS;石灰化上皮腫;移行上皮癌、NOS;乳頭状移行上皮癌;腺癌、NOS;ガストリノーマ、悪性;胆管細胞癌;肝細胞癌、NOS;混合型肝癌;柱状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープ内腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌、NOS;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺癌;乳頭状腺癌、NOS;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌、NOS;顆粒細胞癌;濾胞腺癌、NOS;乳頭状濾胞状腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌、NOS;乳頭状嚢胞腺癌、NOS;乳頭漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌、NOS;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌、NOS;小葉癌;炎症性癌;パジェット病、乳房の;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;男性ホルモン産生細胞腫、悪性;セルトリ細胞腫;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;グロームス血管肉腫;悪性黒色腫、NOS;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫、NOS;線維肉腫、NOS;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫、NOS;平滑筋肉腫、NOS;横紋筋肉腫、NOS;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫、NOS;混合腫瘍、悪性、NOS;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫、NOS;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫、NOS;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎児性癌、NOS;奇形腫、悪性、NOS;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管外皮腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫、NOS;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫、NOS;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル芽細胞歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル芽細胞線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫、NOS;星状細胞腫、NOS;原形質性星状細胞腫;線維性星細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽腫、NOS;乏突起膠腫、NOS;乏突起膠芽腫;原始神経外胚葉性;小脳肉腫、NOS;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫、NOS;網膜芽細胞腫、NOS;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫、NOS;ホジキン病、NOS;ホジキン;側肉芽腫、NOS;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性、NOS;菌状息肉腫;他の指定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病、NOS;リンパ性白血病、NOS;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病、NOS;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病、NOS;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;およびヘアリー細胞白血病が挙げられる。
【0046】
本明細書で定義される「上皮がん」とは、上皮または関連する皮膚の組織、管腔臓器、および他の器官から発生するがん(複数可)を指す。上皮がんとしては、これだけに限定されないが、乳がん、肺がん、肝がん、頬側がん、胃がん(stomach cancer)、結腸がん、鼻咽頭がん、皮膚がん(dermal cancer)、腎がん、脳腫瘍、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、腸がん、膵がん、および膀胱がんが挙げられる。
【0047】
「患者」または「対象」とは、本明細書で使用される場合、がんなどの増殖性疾患と診断されたまたはそれを有する疑いがあるまたはそれが発生している哺乳動物の対象を指す。例示的な患者は、がんなどの増殖性疾患が発生する可能性があるヒト、類人猿、イヌ、ブタ、ウシ、ネコ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類および他の哺乳動物であり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「実質的に精製された」または「実質的に単離された」とは、そのネイティブな状態では通常付随する実質的に全ての他の分子から分離された状態にある分子(例えば、化合物)を指す。実質的に精製された分子は、調製物中に存在する優勢な種であることが好ましい。特に、実質的に精製された分子は、天然の混合物中に存在する他の分子(溶媒を除く)を、60%を超えて含まず、好ましくは75%含まず、あるいは85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、もしくは99.5%含んでいなくてもよいか、または列挙された任意の2つの百分率の間の任意の範囲で含んでいなくてもよい。一部の実施形態では、実質的に精製された分子は、天然の混合物中に存在する他の分子(溶媒を除く)を、より好ましくは90%含まず、最も好ましくは95%含んでいない。「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、それらの天然の状態において存在する分子または物質を含むものではない。ある特定の実施形態では、「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、1個のKLH部分を別のKLH部分から精製する(例えば、KLH二量体部分をKLH三量体部分から実質的に精製するまたは実質的に単離する)ことを含む。例えば、実質的に精製されたKLH二量体部分(または他の免疫原性多量体部分)は、混合物中に存在する他のKLH多量体を、60%を超えて含まず、好ましくは75%含まず、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、もしくは99.5%含んでいなくてもよいか、または列挙された任意の2つの百分率の間の任意の範囲で含んでいなくてもよい。一部の実施形態では、KLH二量体(または他の免疫原性多量体部分)は、混合物中に存在する他のKLH多量体を、より好ましくは90%含まず、最も好ましくは95%含んでいない。別の実施形態では、「実質的に精製された」または「実質的に単離された」という用語は、1個の多量体部分を別の多量体部分から精製することを含まず、例えば、1個のKLH部分を別のKLH部分から精製することは含まない(例えば、実質的に精製されたまたは実質的に単離された組成物中にKLH二量体およびKLH三量体が含まれる)が、不純物は実質的に除去される。
【0049】
「投与すること(administering)」とは、本明細書では、本発明の治療用組成物を患者に提供することとみなされる。例として、限定するものではなく、組成物の投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって実施することができる。そのような経路を1つまたは複数用いることができる。非経口投与は、例えば、ボーラス注射による、またはある期間にわたった段階的な灌流によるものであってもよい。あるいは、または同時に、投与は、経口経路または経鼻経路によるものであってもよい。さらに、投与はまた、ボーラスの外科的沈着または医療機器の設置によるものであってもよい。
【0050】
「それを必要とする患者」とは、本明細書では、増殖性障害と診断されたまたはそれを有する疑いがある患者とみなされる。一実施形態では、患者は、がんを有する、またはそれが発生する可能性がある。
【0051】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、タンパク質担体および/またはアジュバントの補助を伴ってまたは伴わずに免疫応答を引き出すことができる任意の物質と定義される。本発明の組成物の抗原は、炭水化物、より好ましくはグリカン−抗原、最も好ましくはSSEA−4、Globo HまたはSSEA−3部分を含むことが好ましい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「免疫原性」という用語は、免疫原、抗原、またはワクチンの、免疫応答を刺激する能力を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「免疫療法」という用語は、予防上および/または治療上の目標を実現するための免疫系の調節の概念に基づく処置戦略のアレイを指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体の抗原結合性部位と接触する抗原分子のパートと定義される。
【0055】
本発明の「治療用組成物」は、「免疫原性コンジュゲート」および/または「治療用コンジュゲート」および/または「治療用抗体」を含む。治療用コンジュゲートは、少なくとも1つの担体と連結した抗原を含む。治療用コンジュゲートの連結は共有結合であることが好ましい。治療用コンジュゲートの一実施形態では、抗原はGloboシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HまたはSSEA−3)部分などのグリカンであり、担体はKLH部分および/またはKLH部分サブユニットである。そのように、治療用コンジュゲートという用語は、1個または複数のGloboシリーズ抗原部分と連結した1個または複数のKLH部分サブユニットを包含する。一実施形態では、治療用コンジュゲートという用語は、約または少なくとも1、10、10もしくは10個またはそれより多くのGloboシリーズ抗原部分と連結した1個または複数のKLH部分を包含する。別の実施形態は、KLH部分サブユニットと連結したそのようなGloboシリーズ抗原の単離された二量体、三量体、四量体、五量体または六量体、またはそれらの組合せを包含する。
【0056】
「治療用抗体」は、本発明の治療用コンジュゲートおよび好ましくは治療用コンジュゲートのGloboシリーズ抗原部分ポーションに特異的に結合する抗体(下でさらに定義される)と定義される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ワクチン」という用語は、抗原に関連する疾患に対する免疫を付与するために使用される治療用コンジュゲートを含有する治療用組成物を指す。がんワクチンは、体の、がん細胞などの損傷を受けたまたは異常な細胞によって生じる危険から免疫系を通じて自身を保護する天然の能力が高まるように設計される。防御免疫応答は、これだけに限定されないが、疾患の防止、疾患の発症の遅延、症状の重症度の低下、罹患率の低下、および死亡の遅延を含めた、疾患の重症度を低下させるものである。ワクチンは、体液性免疫応答(例えば、Bリンパ球による抗体の産生の刺激)と細胞性免疫応答(例えば、T−リンパ球ならびに/またはNK細胞およびマクロファージなどの他の細胞によって媒介される免疫応答)の両方を活性化することができるものであることが好ましい。酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、フローサイトメトリー、細胞増殖アッセイ、CTLアッセイ、およびADCC/CDCアッセイなどの、免疫応答を決定するための標準のアッセイが開発されてきた。
【0058】
本明細書で使用される場合、「グリカン」という用語は、多糖、またはオリゴ糖を指す。グリカンはまた、本明細書では、糖タンパク質、糖脂質、糖ペプチド、グリコプロテオーム、ペプチドグリカン、リポ多糖またはプロテオグリカンなどの糖コンジュゲートの炭水化物ポーションを指すためにも使用される。グリカンは、通常、単糖間のO−グリコシド連結のみからなる。例えば、セルロースは、β−1,4連結したD−グルコースで構成されるグリカン(またはより具体的にはグルカン)であり、キチンは、β−1,4連結したN−アセチル−D−グルコサミンで構成されるグリカンである。グリカンは、単糖残基のホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得、また、直鎖または分枝であり得る。グリカンは、糖タンパク質およびプロテオグリカンでのように、タンパク質に付着して見いだされ得る。グリカンは、一般に、細胞の外面上に見いだされる。O連結グリカンおよびN連結グリカンは、真核生物において非常に一般的であるが、原核生物においても、あまり一般的ではないが見いだされる場合がある。N連結グリカンは、シークオン内のアスパラギンのR基窒素(N)に付着して見いだされる。シークオンは、Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr配列であり、Xはプロリン(praline)以外の任意のアミノ酸である。好ましいグリカンは、Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HまたはSSEA−3)部分である。
【0059】
Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo H、またはSSEA−3)を発現しているがんとしては、これだけに限定されないが、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳がん、肺がん、乳がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝がん、胆管がん、膵がん、結腸がん、腎がん、子宮頸がん(cervix cancer)、卵巣がん、および前立腺がんが挙げられる。
【0060】
「SSEA−4部分」とは、SSEA−4またはその断片もしくは類似体であるグリカン(すなわち、糖部分を含有する分子)であると本明細書で定義される。SSEA−4は、六糖エピトープ(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)、および任意選択で非糖部分を含有するグリカンである。その断片は、六糖エピトープの断片、および、該当する場合には非糖部分を含有するグリカンである。
【0061】
「Globo H部分」とは、本明細書では、Globo Hまたはその断片もしくは類似体であるグリカン(すなわち、糖部分を含有する分子)であると定義される。Globo Hは、六糖エピトープ(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)、および任意選択で非糖部分を含有するグリカンである。その断片は、六糖エピトープの断片、および、該当する場合には非糖部分を含有するグリカンである。
【0062】
「SSEA−3部分」とは、SSEA−3またはその断片もしくは類似体であるグリカン(すなわち、糖部分を含有する分子)であると本明細書で定義される。SSEA−3は、五糖エピトープ(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)、および任意選択で非糖部分を含有するグリカンである。その断片は、六糖エピトープの断片、および、該当する場合には非糖部分を含有するグリカンである。
【0063】
「キーホールリンペットヘモシアニン」(KLH)は、巨大なキーホールリンペットであるMegathura crenulataの血リンパ中に見いだされる、大きな、多サブユニットの、酸素を運搬する金属タンパク質である。KLHは、サブユニットからなる異種性グリコシル化タンパク質であり、凝集体での分子量が約350,000〜約390,000であり、分子量が約400kDa(例えば、KLH単量体)〜約8000kDa(例えば、KLH二十量体)である。KLHサブユニットの各ドメインは、単一の酸素分子に一緒に結合する2個の銅原子を含有する。酸素がヘモシアニンに結合すると、分子は示差的な、透明な乳白青色を呈する。ある特定の実施形態では、KLHタンパク質は、強力に免疫原性であるが、それでもヒトにおいて安全である。ある特定の実施形態では、KLHは、Megathura crenulataの血リンパから、一般には硫酸アンモニウム沈殿および透析を含み、最高純度を得るためにクロマトグラフィーによる精製を伴い得る一連のステップによって精製することができる。ある特定の実施形態では、KLH精製は、内毒素除去も含んでよいが、内毒素は抗体産生のために注射されるとアジュバントとしての機能を果たす可能性があるので、このステップは不必要であり得る。澄んだ乳白青色の高品質のKLH調製物がKLH溶解性の最良の指標であることが好ましい。ある特定の実施形態では、KLH単量体単位が集合して、総分子量が約4,000kDa〜8,000kDaの大きな多量体(十量体または二十量体)になる。
【0064】
ある特定の実施形態では、高次のKLH多量体は、およそ800万〜1000万の分子量を有し、沈降係数が約92〜107Sである。存在する高次のKLH多量体の量は、沈降−平衡および/または沈降−速度超遠心分析に基づく。他の実施形態では、本発明のKLHにより、増強された免疫原性活性、特に増強された抗腫瘍活性が実証される。増強された免疫原性活性は、これだけに限定されないが、例えば、(a)KLHを注射(アジュバントを用いない)することで、(b)KLHをアジュバントとして使用することで、(c)KLHをハプテンまたは免疫原性の弱い抗原に対する担体免疫原として使用することで、および(d)KLHを抗腫瘍剤として使用することで、見られる。本発明のKLH組成物は、これだけに限定されないが、膀胱、乳房、卵巣腫瘍などを含めた多くの腫瘍に対して増強された抗腫瘍活性を示す。ある特定の実施形態では、2個のKLH部分がKLH単量体間の共有結合性の連結によって二量体を形成し得る。理論により限定されることなく、KLH部分間の共有結合性の連結はジスルフィド結合によるものであると考えられる。ある特定の実施形態では、2個またはそれ超のKLH部分は、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体などをKLH単量体、二量体、三量体などの間の共有結合性の連結によって形成し得る。理論により限定されることなく、KLH部分間の共有結合性の連結はジスルフィド結合によるものであると考えられる。
【0065】
ある特定の実施形態では、Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HまたはSSEA−3)部分タンパク質とKLH部分のコンジュゲーションの間に、ある特定の実施形態におけるKLH部分タンパク質は、インタクトな分子と比較して、好ましくはGloboシリーズ抗原部分サブユニットの解離に起因して分子量の減少を示す。他の実施形態では、本明細書に開示されているコンジュゲーション方法により、以前には報告されていないKLHサブユニットの解離がもたらされる。いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、本発明のGloboシリーズ抗原部分−KLH部分サブユニットコンジュゲートのグリコシル化レベルが高いことにより、Globoシリーズ抗原部分間に水素結合が形成されることが予想される。そのように、ある特定の実施形態では、KLH部分サブユニット間のファンデルワールス力および疎水性相互作用はGloboシリーズ抗原水素結合に置き換えられ、これにより、KLH部分サブユニットの分離がもたらされる。コンジュゲーション後、Globoシリーズ抗原部分−KLH部分コンジュゲートのKLH部分サブユニットが凝集して新規の単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体またはそれらの任意の組合せが形成されることが好ましい。得られる例示的な治療用Globoシリーズ抗原部分−KLH部分コンジュゲートは、予想外に大きなエピトープ比を有し、驚くほど、かつ予想外に優れた免疫原性の属性を有する。ある特定の実施形態では、Globoシリーズ抗原部分とKLH1およびKLH2上のリシンをコンジュゲートする。他の実施形態では、Globoシリーズ抗原部分とKLH1およびKLH2上のリシンをコンジュゲートしない。
【0066】
本明細書で使用される場合、本明細書に開示されている治療用コンジュゲートに関する「エピトープ比」とは、例えば、治療用コンジュゲート中の抗原エピトープと担体分子の関係を指す。エピトープ比は、Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HまたはSSEA−3)部分とKLH部分の関係を指すことが好ましい。治療用コンジュゲートのエピトープ比は、次式=(実際のGloboシリーズ抗原部分の重量/Globoシリーズ抗原部分の分子量)/(実際のKLH部分の重量/KLH部分の分子量)組合せを使用して計算されることが最も好ましい。エピトープ比は、当業者が容易に決定できる。Globoシリーズ抗原の重量は、例えば、パルスアンペロメトリック検出を伴う高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC−PAD)によって決定されることが好ましい。
【0067】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、本明細書に開示されている治療用コンジュゲートに親和性を伴って特異的に結合する単離された治療用抗体、ならびに、増殖性疾患の処置および/または診断におけるそれらの使用も包含する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」(免疫グロブリン)という用語は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体(camelised antibody)、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、所望の生物学的活性を示す抗体断片、ジスルフィド連結したFv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合性断片を包含する。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち、抗原結合性部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってよい。
【0069】
エピトープ、例えば、本明細書に記載の処置(複数可)において使用される治療用コンジュゲートのGloboシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HまたはSSEA−3)部分に対する抗体の「親和性」とは、当技術分野においてよく理解されている用語であり、抗体のエピトープへの結合の程度、または強度を意味する。親和性は、これだけに限定されないが、平衡解離定数(KDまたはKd)、見かけの平衡解離定数(KD’またはKd’)、およびIC50(競合アッセイにおいて50%阻害をもたらすために必要な量)を含めた、当技術分野で公知のいくつもの様式で測定し、かつ/または表すことができる。本発明の目的に関して、親和性は、エピトープに結合する抗体の所与の集団についての平均親和性であることが理解される。本明細書において1mL当たりのIgGのmg数またはmg/mLの単位で報告されているKD’の値は、血清1mL当たりのIgのmg数を示すが、血漿を使用することもできる。抗体親和性を本明細書に記載の処置方法の投与の基礎として使用するまたは本明細書に記載の処置方法に選択する場合、抗体親和性は、処置前および/または処置中に測定することができ、得られた値は、臨床医が、ヒト患者がその処置に適する候補であるかどうかの評価に使用することができる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する(specifically binding)」という用語は、結合対間(例えば、抗体と抗原)の相互作用を指す。種々の例では、特異的に結合するとは、親和定数が少なくとももしくは約10−6モル/リットル、約10−7モル/リットル、約10−8モル/リットル、もしくはそれ未満、約10−9モル/リットル、または約10−10モル/リットル、もしくはそれ未満、あるいは、列挙された任意の2つの結合親和定数の間の任意の範囲であることによって具体化することができる。
【0071】
Globoシリーズ抗原(SSEA−4、Globo HまたはSSEA−3)に対する例示的な抗体は、血清などの所望の抗体の増加について検査を受けた免疫された対象から体液を採取することによって、および任意の従来の方法によって血液から血清を分離することによって調製することができる。
【0072】
抗体は、一般に、関連する抗原およびアジュバントを多数回注射することによって上昇する。関連する抗原を、免疫される種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニンとコンジュゲートすることが有用であり得る。
【0073】
抗原を用いて動物を免疫する方法は、当技術分野で公知である。抗原の腹腔内注射または皮下注射が、哺乳動物を免疫するための標準方法である。より詳細には、抗原を希釈し、適量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、生理的食塩水などに懸濁させることができる。所望であれば、抗原懸濁液を適量のアジュバントと混合し、次いで、対象に投与することができる。
【0074】
ある特定の実施形態では、対象を、適切な量のアジュバントと混合した抗原を数回投与することによって力価プラトーまで高めることができる。免疫のために適切な担体も使用することができる。上記の通り免疫した後、血清を所望の抗体の量の増加について方法によって検査する。
【0075】
ワクチンは、炭水化物抗原またはその免疫原性断片およびアジュバントを含んでよい。さらに別の実施形態では、ワクチンは、炭水化物抗原またはその免疫原性断片;担体タンパク質およびOBI−821アジュバントを含む。別の実施形態では、ワクチンは、SSEA−4、KLHから選択される炭水化物抗原、およびOBI−821アジュバントを含む。担体タンパク質の非限定的な例には、例えば、KLHまたはDT−CRM197が含まれる。
【0076】
治療用組成物は、他の抗がん/抗増殖性薬ならびにアジュバントおよびサイトカインまたはケモカインなどの他の免疫調節分子を含んでよい。ある特定の実施形態では、組合せは、別々の薬剤/組成物または共製剤(co−formulation)の同時投与であってよい。これらの薬剤は、別々の容器または単一の容器に一緒に入ったキットとして送達することができる。
【0077】
アジュバントは、他の薬剤の効果を改変する薬理学的または免疫学的薬剤である。アジュバントは、所与の抗原に対する免疫応答を増強する無機または有機化学物質、巨大分子またはがん細胞全体もしくはその一部であってよい。アジュバントとしては、完全フロイントアジュバントおよび不完全フロイントアジュバント、Toll様受容体分子およびその模倣物、LPS、リポタンパク質、リポペプチド、フラジェリン、二本鎖RNA、非メチル化CpGアイランド、レバミソール、カルメット−ゲラン桿菌、オクトレオチド、イソプリノシンおよびZadaxin、細菌およびウイルスによって古典的に放出される様々な形態のDNAおよびRNA、PD−1アンタゴニストならびにCTLAアンタゴニストが挙げられる。一実施形態では、アジュバントは、サポニンアジュバントである。
【0078】
ある特定の実施形態では、サポニンアジュバントは、実質的に純粋なOBI−821である。他の実施形態では、OBI−821は、その生物学的に活性な断片である。アジュバントは、OBI−821の不純な形態も包含し得る。精製OBI−821は、本明細書に記載のワクチンと共に投与した、または他の実質的に純粋なサポニンもしくは非サポニンアジュバントと混和した場合にアジュバント効果の増強を示す。
【0079】
OBI−821アジュバントは、天然に存在する配糖体であり、例えば、その内容全体が参照により組み込まれる米国特許第5,057,540号および米国特許第6,524,584号に記載の通り、Quillaja saponaria Molinaの木から高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、低圧液体シリカクロマトグラフィー、および親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)によって高純度で抽出される。
【0080】
ある特定の実施形態では、OBI−821アジュバントは、少なくとも1つの、以下の式Iの単離された化合物:
【化4】
(式中、
は、β−D−アピオースまたはβ−D−キシロースまたはHであり;
およびRは、独立に、H、脂肪酸アシル部分
【化5】
である)を含む。
【0081】
OBI−821アジュバントはまた、式Iの単離された化合物であって、式中:
(i)Rがβ−D−アピオースであり、Rが上記の脂肪酸アシル部分であり、RがHである(1989化合物V1A);
(ii)Rがβ−D−アピオースであり、RがHであり、Rが上記の脂肪酸アシル部分である(1989化合物V1B);
(iii)Rがβ−D−キシロースであり、Rが上記の脂肪酸アシル部分であり、RがHである(1989化合物V2A);または
(iv)Rがβ−D−キシロースであり、RがHであり、Rが上記の脂肪酸アシル部分である(1989化合物V2B)、
化合物を含んでもよい。
集合的に、1989化合物V1A、1989化合物V1B、1989化合物V2A、および1989化合物V2Bは、「1989化合物混合物」と称する。
【0082】
表1は、1989化合物の官能基および1989化合物混合物中の各1989化合物のモル%の要約である。
【表1】
【0083】
OBI−821アジュバントは、式Iの単離された化合物であって、式中:
(i)RがHであり、Rが上記の脂肪酸アシル部分であり、RがHである(1857化合物A);
(ii)RがHであり、RがHであり、Rが上記の脂肪酸アシル部分である(1857化合物B)、
化合物を含んでよい。
集合的に、1857化合物Aおよび1857化合物Bを「1857化合物混合物」と称する。
【0084】
表2は、1857化合物の官能基および1857化合物混合物中の各1857化合物のモル%の要約である。HPLC。
【表2】
【0085】
OBI−821アジュバントは以下の化合物:
(i)1857化合物A;
(ii)1857化合物B;
(iii)1989化合物V1A;
(vi)1989化合物V1B;
(v)1989化合物V2A;または
(vi)1989化合物V2B
のうちの1つまたは複数を含む。
【0086】
OBI−821アジュバント中の1857化合物混合物および1989化合物混合物の百分率は、以下の範囲であってよい:
(i)OBI−821の約1モル%〜約25モル%が1857化合物混合物で構成され;
(ii)OBI−821の約75モル%〜約99モル%が1989化合物混合物で構成される。
【0087】
モル%は全て、0.1%きざみで変動し得、列挙された範囲の任意のもののうちの任意の%範囲を含む(例えば約75モル%〜約99モル%は約87%〜約90%、および約90.5%〜約97%を含むが、約1モル%〜約25モル%は、約3.5%〜約11%、約10%〜約14%を含む)。さらなる例示的なモル%は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24〜約25%;もしくは、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98〜約99%の範囲であってよく、または、本明細書において列挙された任意の2つのモル%の間の範囲である。
【0088】
1989化合物混合物は、約60〜75モル%の1989化合物V1A;約0〜10モル%の1989化合物V1B;約25〜40モル%の1989化合物V2A;および約0〜10モル%の1989化合物V2Bを含み得る。モル%は全て、0.1きざみで変動し得る(例えば、65%、2.5%、35.6%)。さらなる例示的なモル%は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24〜約25%;60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74〜約75%;25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39〜約40%の範囲であってよく、または、本明細書において列挙された任意の2つのモル%の間の範囲である。
【0089】
1857化合物混合物は、約90〜100モル%の1857化合物A;約0〜10モル%の1857化合物Bを含み得る。モル%は全て、0.1きざみで変動し得る(例えば、65%、2.5%、35.6%)。さらなる例示的なモル%は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9〜約10%、もしくは、90、91、92、93、94、95、96、97、98〜約99%の範囲であってよく、または、本明細書において列挙された任意の2つのモル%の間の範囲である。
【0090】
別の実施形態では、実質的に純粋なOBI−821は粗製Quillaja saponaria抽出物から精製され、前記OBI−821は、粒子サイズ5um、ポア100Å、ID 4.6mm×L 25cmの対称C18カラムで、移動相Aが0.1%トリフルオロ酢酸を含む蒸留水であり、移動相Bが0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルである移動相A:Bが95%:5%〜75%:25%で、11分、1mL/分の流速で含む溶出プログラムを用いた逆相HPLCで分析した場合に、溶媒ピークを除いて、クロマトグラムの全ピークの総面積の90%またはそれよりも多くを構成する単一の優勢なピークによって特徴付けられる。さらなる例示的な%比は、(約95%、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76〜約75%) 対 約25%、24、23、22、21、20、29、28、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6〜約5%)の範囲であってよく;本明細書において列挙された任意の2つのモル%の間の範囲である。
【0091】
ワクチンは、炭水化物抗原またはその免疫原性断片およびOBI−821アジュバントを含んでよい。さらに別の実施形態では、ワクチンは、炭水化物抗原またはその免疫原性断片;担体タンパク質およびOBI−821アジュバントを含む。別の実施形態では、ワクチンは、SSEA−4、KLH、およびOBI−821アジュバントから選択される炭水化物抗原を含む。担体タンパク質の非限定的な例としては、KLHが挙げられる。
【0092】
「a−ガラクトシル−セラミド」および「a−GalCer」という用語は、その内容全体が参照により組み込まれる米国特許第8,268,969に号記載の通り、ナチュラルキラーT細胞を刺激してTヘルパー1(TH1)サイトカインとTH2サイトカインの両方を産生させる糖脂質を指す。ある特定の実施形態では、OBI−834(C34としても公知)アジュバントは、以下の例示的な構造によって特徴付けられる:
【化6】
【0093】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、前駆細胞が別個の特殊化した細胞型になる遺伝子発現の変化に通常関与する免疫細胞分化プロセスに影響を及ぼすことによって免疫応答の強度および持続時間を調節する多数の小さな分泌タンパク質のいずれかを指す。サイトカインは、それらの推定される機能、分泌細胞、または作用の標的に基づいて、リンフォカイン、インターロイキン、およびケモカインとして多様に名付けられている。例えば、一部の一般的なインターロイキンとして、これだけに限定されないが、IL−2、IL−12、IL−18、IL−2、IFN−γ、TNF、IL−4、IL−10、IL−13、IL−21、GM−CSF、およびTGF−βが挙げられる。
【0094】
本明細書で使用される場合、「ケモカイン」という用語は、リンパ球の動員および活性化をもたらす、感染の部位で放出される種々の小さな走化性サイトカインのいずれかを指す。ケモカインは白血球を感染部位に誘引する。ケモカインは、保存されたシステイン残基を有し、それにより、ケモカインを4つの群に割り当てることが可能である。群は、代表的なケモカインと共に、C−Cケモカイン(RANTES、MCP−1、MIP−1α、およびMIP−1β)、C−X−Cケモカイン(IL−8)、Cケモカイン(リンホタクチン)、およびCXXXCケモカイン(フラクタルカイン)である。
【0095】
本発明の治療用組成物は、PD−1/PD−L1阻害剤(細胞傷害性T細胞リンパ球(CTL)免疫療法)、CTLA−4免疫療法、CDK4/6阻害剤(標的療法)、PI3K阻害剤(標的療法)、mTOR阻害剤(標的療法)、AKT阻害剤(標的療法)、Pan−Her阻害剤(標的療法)をさらに含んでよい。これらの阻害剤は、それぞれのモノクローナル抗体も生成されるように改変することができる。そのような抗体は、本発明の治療用組成物に含めることができる。
【0096】
治療用組成物は、他の抗がん/抗増殖剤または化学療法剤を含んでよい。一部の実施形態では、そのような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology、V.T. DevitaおよびS. Hellman(編者)、第6版(2001年2月15日)、Lippincott Williams & Wilkins Publishersにおいて見いだされる。そのような抗がん剤としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:ホルモン治療剤(例えば、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター)、モノクローナル抗体療法、化学療法、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害性/細胞増殖抑制剤、抗新生物剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ)、細胞増殖および生存シグナル伝達経路の阻害剤、アポトーシス誘導剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤、ラパマイシン(mTOR)阻害剤の哺乳動物標的、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、インテグリン遮断薬、NSAID、PPARアゴニスト、固有の多剤耐性(MDR)の阻害剤、制吐剤、貧血の処置に有用な薬剤、好中球減少の処置に有用な薬剤、免疫増強性薬、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、新生細胞の最終分化を誘導する薬剤、γ−セレクターゼ阻害剤、がんワクチン、およびそれらの任意の組合せ。
【0097】
治療用組成物(本明細書では、医薬組成物とも称される)は、一般に、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語は、医薬投与に適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。補足的な活性化合物も組成物に組み入れることができる。医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、動脈内、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸内投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用に使用する溶液または懸濁液は、以下の構成成分を含んでよい:注射用水、生理食塩水溶液、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸、クエン酸、またはリン酸などの緩衝液、および、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの、張度を調整するための薬剤。pH値は、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整することができる。非経口用調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回用量バイアルに封入することができる。
【0098】
注射による使用に適した医薬組成物は、滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与に関しては、適切な担体として、生理的食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF、Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は滅菌されているべきであり、また、容易な注射可能性(syringability)が存在する限りでは流体であるべきである。組成物は、製造および保管の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の混入作用から保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および適切なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。妥当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合では必要な粒子サイズを維持することによっておよび界面活性物質を使用することによって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって実現することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムが組成物に含まれることが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0099】
滅菌注射用溶液は、必要量の活性化合物を、上に列挙されている成分の1つ、または成分の組合せを伴う適切な溶媒中に組み入れ、必要に応じて、その後、濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を塩基性分散媒および上に列挙されているものからの他の必要な成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合では、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥を含み、それにより、活性成分と、予め滅菌濾過したその溶液由来の任意の追加的な所望の成分との散剤を得る。
【0100】
一般に、経口用組成物は、不活性な希釈剤または食用担体を含む。経口治療的投与のために、活性化合物を賦形剤と組み合わせ、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物は、洗口剤として使用するために、流体担体を使用して調製することもできる。薬学的に適合する結合剤またはアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分のいずれか、または性質が同様である化合物を含有してよい:結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどのバインダー;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香味剤などの香味剤。
【0101】
さらに、経口投与に関しては、本発明の製剤は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊促進剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に従来の手段によって調製された錠剤またはカプセル剤の形態をとってよい。錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングすることができる。本発明の組成物は、例えば、ポリ−グリコール酸/乳酸(PGLA)製のマイクロスフェアまたはマイクロカプセルに導入することもできる(米国特許第5,814,344号;同第5,100,669号および同第4,849,222号;PCT公開第WO95/11010号および同第WO93/07861号参照)。経口投与用の液体調製物は、例えば、溶剤、シロップ剤、乳剤または懸濁剤の形態をとってもよく、使用する前に水または他の適切なビヒクルを用いて復元するための乾燥生成物として提供してもよい。そのような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ剤、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(emulsifying agent)(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。調製物は、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤も含有してよい。経口投与用の調製物は、活性化合物の徐放がもたらされるように適切に製剤化することができる。
【0102】
吸入または経鼻投与による投与に関しては、化合物は、適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などのガスを含有する加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾル噴霧剤の形態で送達される。
【0103】
全身投与は、経粘膜または経皮であってもよい。経粘膜または経皮投与に関しては、関門を透過させるのに適した浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、一般に、当技術分野で公知であり、それらとしては、例えば、経粘膜投与に関しては、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、経鼻噴霧剤または坐剤を使用することによって実現することができる。経皮投与に関しては、当技術分野で一般に公知の通り、活性化合物を軟膏剤、膏薬、ゲル剤、またはクリーム剤に製剤化する。化合物は、坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を用いて)または直腸送達用の停留浣腸の形態に調製することもできる。
【0104】
実行に応じて、埋め込み物およびマイクロカプセル封入送達系を含めた徐放製剤などの、化合物を体から迅速に排除されることから保護する担体を用いて活性化合物を調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤を調製するための方法は、当業者には明らかになるであろう。材料は、商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁剤(細胞に特異的な抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されるリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,522,811号に記載の通り、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0105】
経口用組成物または非経口用組成物は、投与しやすくし、かつ投与量を均一にするために単位投与形態に製剤化することが有利である。単位投与形態とは、本明細書で使用される場合、処置される対象に対する単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果がもたらされるように計算された所定の数量の活性化合物を含有する。
【0106】
本発明の免疫原性製剤は、非経口的に、すなわち、例えば、ボーラス注射、持続注入、または遺伝子銃(例えば、裸のDNAまたはRNAなどのベクターワクチンを対象に投与するため)を介した直接注射による静脈内(i.v.)、皮下(subcutaneous)(s.c.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、皮下(subdermal)(s.d.)、または皮内(i.d.)投与によって送達することができる。注射用の製剤は、防腐剤を添加した単位剤形として、例えば、アンプルまたは複数回用量容器中に入れて提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の賦形剤、懸濁剤、溶剤または乳剤などの形態をとってよく、また、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化用薬剤(formulatory agent)を含有してよい。あるいは、活性成分は、使用する前に適切なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水を用いて復元するための散剤の形態であってよい。
【0107】
本発明では、種々の粘膜のワクチン接種戦略も企図されている。
【0108】
投与量:そのような治療用組成物の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準の薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示す治療用組成物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を使用することもできるが、感染していない細胞に対する潜在的な損傷を最小限にし、それにより、副作用を低下させるために、そのような化合物を罹患場所部位に標的化する送達系の設計に対して注意を払うべきである。
【0109】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトにおける使用のための投与量の範囲の策定に使用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性はほとんどまたは全く伴わずに、ED50を含む循環濃度の範囲内に入ることが好ましい。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。本開示の方法において使用される化合物のいずれに関しても、最初に細胞培養アッセイから治療有効用量を推定することができる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養において決定されたIC50を含む循環血漿中濃度範囲(すなわち、症状の最大半量の阻害が実現される試験化合物の濃度)が実現されるように策定することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0110】
開示された組成物では、抗原および/またはアジュバントの両方もしくは任意の他の関連成分が免疫原性的に有効な量で存在する。特異的な抗原のそれぞれについて、免疫原性的に有効な最適量を実験により決定するべきである(所与の患者の具体的な特徴および/または処置の型を考慮する)。一般に、この量は、抗原0.01μg〜250mgの範囲にある。本発明のある特定の例示的なアジュバントに関しては、免疫原性的に有効な量は、アジュバント10〜250μgの範囲にあり得る。
【0111】
一部の実施形態では、治療有効量の治療用組成物(すなわち、有効な投与量)は、約0.001μg/kg〜約250g/kg、0.01μg/kg〜10g/kg、もしくは0.1μg/kg〜1.0g/kgの範囲、または、患者の体重1キログラム当たり約もしくは少なくとも0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009;0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09;0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、もしくは250グラムもしくはマイクログラム、または、本明細書において列挙されている数のいずれかの間の任意の範囲、または当業者には過度な実験を伴わずに明らかであるか理解される他の範囲であり得る。これだけに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全体的な健康または年齢、および存在する他の疾患を含めたある特定の因子が、対象を有効に処置するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼし得ることが当業者には理解されよう。
【0112】
他の実施形態では、治療用組成物中のGloboシリーズ抗原部分の治療有効量(すなわち、有効な投与量)は、約0.001μg/kg〜約250g/kg、0.01μg/kg〜10g/kg、もしくは0.1μg/kg〜1g/kgの範囲、または、患者の体重1キログラム当たり約もしくは少なくとも0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009;0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09;0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、もしくは250グラムもしくはマイクログラム、または本明細書において列挙されている数のいずれかの間の任意の範囲、または当業者には過度な実験を伴わずに明らかであるか理解される他の範囲であり得る。これだけに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全体的な健康または年齢、および存在する他の疾患を含めたある特定の因子が、対象を有効に処置するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼし得ることが当業者には理解されよう。
一実施形態では、ワクチンを含む薬学的に許容される担体の免疫原性的に有効な量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75〜約5.0μgの範囲、または本明細書において列挙された任意の数の間の任意の範囲である。
【0113】
一部の実施形態では、本発明の治療用組成物を、それを必要とする対象(例えば、乳がんなどのがんを有する対象)に、無増悪生存または全生存を、対照プラセボ、例えば、リン酸緩衝生理食塩水プラセボと比較して、平均で約または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50日、週間、カ月、または年延長させる方法において投与する。
【実施例】
【0114】
本発明の治療用組成物の例示的なSSEA−4六糖部分を、アリルグリコシドとして化学的に合成し、次いで、KLHまたはジフテリア毒素交差反応物質197(DT−CRM197)とのコンジュゲーションのために調製した。
【0115】
(実施例1:本発明の例示的な糖コンジュゲート(SSEA−4−KLHおよびSSEA−4−DT)の調製)
例示的な一実施形態では、例示的なSSEA−4−KLHの化学合成は、以下の一般的なステップを伴う:
【化7】
【0116】
SSEA−4−NHの調製:例示的な試料は、5.0当量のp−ニトロフェニルエステルと共に10mgのSSEA−4抗原を1.5μLのトリエチルアミン(NEt3)中に添加することによって調製した。30℃で1.5時間インキュベートした後、SSEA−4を、300μLの1%酢酸中でクエンチした。最終的に、SSEA−4抗原を、0.22μmフィルターを通して濾過し、0.1%酢酸中で凍結乾燥した。
【0117】
SSEA−4−KLHコンジュゲーション:凍結乾燥したSSEA−4−NHは、DMF中に溶解し、pH8.0でKLH(リン酸緩衝食塩溶液PBS中に溶解)と混合した。室温で16時間インキュベートした後、SSEA−4−KLH混合物を、MAP−TFFシステムで精製し、DMFからPBSに貯蔵緩衝液を交換した。
【0118】
例示的な一実施形態では、SSEA−4−DTの化学合成は、以下の一般的なステップを伴う:
【化8】
【0119】
SSEA−4−NHの調製:例示的な試料は、5.0当量のp−ニトロフェニルエステルと共に10mgのSSEA−4抗原を2μLのトリエチルアミン(NEt3)中に添加することによって調製した。30℃で1.5時間インキュベートした後、SSEA−4を、300μLの1%酢酸中でクエンチした。最終的に、SSEA−4抗原を、0.22μmフィルターを通して濾過し、0.1%酢酸中で凍結乾燥した。
【0120】
SSEA−4−DTコンジュゲーション:凍結乾燥したSSEA−4−NHリンカーをDMFに溶解し、pH9.5でジフテリア毒素交差反応物質197(DT−CRM197)(リン酸緩衝食塩溶液PBS中に溶解)と混合した。室温で20時間インキュベートした後、SSEA−4−DT混合物を、MAP−TFFシステムで精製し、DMFからPBSに貯蔵緩衝液を交換した。SSEA−4−DTおよびSSEA−4−KLH組成物の要約を表3に示した。
【表3】
【0121】
(実施例2:本発明の糖コンジュゲート(SSEA−4−MCCa−KLH、Globo H−MCCa−KLH、およびSSEA−3−MCCa−KLH)の調製)
1.例示的な糖−MCCa化合物の調製のための一般的な手順
【0122】
アミン基質(Globo H−ペンチル(pantyl)アミン、SSEA−3−ペンチルアミン、またはSSEA−4−ペンチルアミン)、MCCa−OSu、およびDIPEAを周囲温度においてDMF中で混合した。反応粗生成物を2時間撹拌した。TLCによって評価し、モニターして反応が完了した後、次いで反応を冷却し、中和し、水によってクエンチした。次いで得られた混合物を精製のためにRPC18ゲルのパッドに添加した。RPC18ゲルを通したクロマトグラフィー精製の後、回収した画分をロータリーエバポレーターおよび高真空システムによって濃縮して、予想される糖−MCCa化合物を白色の固体として得た。収率は約65〜80%である。
【化9】
【化10】
【化11】
【0123】
2.例示的な糖−MCCa−KLHコンジュゲート生成物の調製のための一般的な手順
【0124】
KLHを化学的に修飾して修飾KLH中間体とし、次いで糖−MCCaとコンジュゲートし、低酸素レベルの環境で粗製糖−MCCa−KLHコンジュゲート生成物を得る。
【0125】
ステップ1.KLHのチオール化
緩衝液交換したKLHを不活性ガスでパージした。パージの後、不活性ガスの保護下で2−イミノチオランヒドロクロリド(2−IT)をKLHに添加する。反応を18℃で35分間撹拌した。35分間の撹拌の後、反応粗生成物を、カラムクロマトグラフィー精製のために、調製されたG−15カラムに迅速にロードした。回収した画分を試料採取し、BCAプロットおよびEllmanプロットによって試験し、生成物を確かめた。EllmanアッセイおよびBCAアッセイのために、プールしたタンパク質中間体修飾KLHをすぐに試料採取し、SH値およびタンパク質含量を決定した。回収した修飾KLHにPBS緩衝液を添加して、タンパク質濃度を約0.6〜1.0mg/mLに調整した。
【0126】
ステップ2.中間体のコンジュゲーション
調製された中間体化合物(糖−MCCa)をPBS緩衝液に溶解した。この中間体を修飾KLHボトルに逐次的に移した。PBS緩衝溶液を加えて糖ボトルをすすぎ、次いでこの溶液をコンジュゲーション反応に移す。混合後、SH数の値をモニターするために、最初の0.5時間、そして次の1時間、1.5時間、2時間、および3時間で反応粗生成物を試料採取した。SH数の値が200より低い場合、糖−MCCa−KLHコンジュゲートを次の作業ステージまでフリーザーで貯蔵した。
【0127】
ステップ3.予想される糖−MCCa−KLHコンジュゲート生成物を得るための精製
【0128】
糖−MCCa−KLH粗生成物は、TFFシステム濾過または10倍量のpH7.2のPBSを使用する遠心分離によって精製した。濾過溶液を回収し、HPLC分析のために試料採取した。精製した糖−MCCa−KLHを、さらなる放出試験のために一時的にフリーザーに貯蔵した。
【化12】
【化13】
【化14】
【0129】
(実施例3:糖コンジュゲート中の例示的なGloboシリーズ抗原(SSEA−4、Globo H、およびSSEA−3)のKLHに対するエピトープ比の分析)
KLH二十量体(天然の凝集形態)の分子量は、およそ7.5MDa〜8.6MDaである。天然のKLHは、およそ8.6MDaの分子量によって確認した。
【0130】
KLHおよびGloboシリーズ抗原−KLH糖コンジュゲート(SSEA−4−MCCa−KLH、Globo H−MCCa−KLH、およびSSEA−3−MCCa−KLH)の質量分布を、多角度レーザー散乱分光計(SEC−MALS)を使用してサイズ排除クロマトグラフィーによって推定し、導出した。図1Aでは、KLHの多量体(n>7〜20)およびオリゴマー(n>20)が観察された。図1Bは、二十量体のピーク面積が78.48%であり、多十量体(multi−decamer)が20.31%であることを示した。KLHの観察された平均分子量(MW)は7476kDaであった。図2Aは四量体(n=3)が、SSEA−4−MCCa−KLH糖コンジュゲートの主要な構成成分(58.7%)であることを示した。同様に、図2B(Globo H−MCCa−KLH糖コンジュゲート)および図2C(SSEA−3−MCCa−KLH糖コンジュゲート)はまた、四量体(n=3)が、Globo H−MCCa−KLH糖コンジュゲート(58.9%)およびSSEA−3−MCCa−KLH糖コンジュゲート(61.3%)の主要な構成成分であることを示した。KLHにコンジュゲートしたGloboシリーズ抗原のワクチンの要約を表4に示した。
【表4】
【0131】
(実施例4:マウスにおける免疫化のための例示的なGloboシリーズ抗原糖コンジュゲートワクチンの調製)
6〜8週齢の雌C57BL/6マウスをBioLascoから取得し、一価、二価または三価のワクチン効力アッセイのために、それぞれLevel Biotech Inc.およびEurofins Panlabsで試験を実施した。投薬の少なくとも1日前に、体重に基づいた無作為化プロセスによって動物を試験群に選択し、各々の群が5匹のマウスを含む。
【0132】
その後、Globoシリーズ抗原糖コンジュゲート(Globo H−KLH、SSEA−3−KLH、SSEA−4−KLH/DT)とアジュバント(OBI−821またはOBI−834)を、0、7、14、21日目(20μgのOBI−821アジュバントを使用)または0、14、28日目(40μgのOBI−834アジュバントを使用)に、マウスの左右両方の腹部(0.5〜5μg;100μL/部位)に皮下投与(s.c)した。試験(OBI−821アジュバントを使用)中、全血試料を、以下の時点で採取する:免役前(0日目、投薬前)、10、17、24、および31日目。血液検体は、試験中に顎下収集によって取得され、最後の時点である43日目の血液採血のためには心臓穿刺を使用する。OBI−834アジュバントについては、全血試料を免疫前(0日目、投薬前)、21、28、38および50日目に採取する。抗凝固剤を添加せずに血液を採取し、1,500g、4℃で15分間遠心分離して血清に加工する。得られた血清検体を検体採取チューブに移し、その後のグリカンアレイアッセイによって決定される効力アッセイのために−60〜−80℃未満で貯蔵する。
【0133】
(実施例5:グリカンアレイアッセイ)
本開示における例示的な試験プラットフォームは、マイクロ流体カートリッジ内で自動的にELISA反応を実施するAgnitio BioICシステム(分析器BA−G2012、カタログ番号A12101)およびポンプ機(ポンプ機BA−G2012、カタログ番号A15101)を利用した。各カートリッジは、マイクロ流体ポンプおよびバルブのアレイ、チャネルネットワーク、試薬貯蔵リザーバー、グリカンアレイ反応ゾーン、ならびに廃棄物貯蔵リザーバーを含んでいた。試験を実施するために、化学発光を伴う多重化ELISA反応を実施するために、全ての試薬および試験試料を、それぞれのリザーバーからグリカンマイクロアレイを含む反応ゾーンに逐次的にポンプ移送した。結果データを同時に取得し、Agnitio Science and Technology Inc.によって提供されたLabITソフトウェアによってデータ分析を実施した。本開示に従って適切に構成されたAgnitio BioICシステムの機器の仕様は、PCT特許出願(WO2017041027A1)において報告された。
【0134】
例示的な実験材料:
1.試料希釈剤(BioCheck、カタログ番号MB10175)。
2.グリカンチップを含むOBI−868グリカンチップキット(Agnitio、カタログ番号MG03−IgG、MM03−IgM)、ブロッキング緩衝液(タンパク質不含ブロッキング緩衝液、Thermo Fisher Scientific Inc.、カタログ番号37571)、コンジュゲート緩衝液、洗浄緩衝液[リン酸緩衝食塩水(Thermo Fisher Scientific Inc.、カタログ番号70011)プラス0.2%(vol/vol)Tween20(J.T. Baker、カタログ番号JTB−X251−07)]、基質緩衝液(A)および基質緩衝液(B)[SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate、Thermo Fisher Scientific Inc.、カタログ番号37074]。グリカンチップは、別個に、SSEA−4、SSEA−3、またはGlobo Hによってコーティングされた。
3.二次抗体:ヤギ抗マウスIgG−HRP(KPL、カタログ番号474−1806)またはヤギ抗マウスIgM−HRP(KPL、カタログ番号074−1803)。
【0135】
試薬調製:
1.各々の血清/血漿試料に関して、2.5μLの試料を247.5μLの試料希釈剤に添加してよく混合することによって、100倍希釈物を調製した。(試料希釈倍率:50倍、100倍、200倍、300倍、1,000倍、および10,000倍)。抗GloboシリーズIgG/IgMのいずれかの平均強度が、内部標準曲線の最高点を超える場合、試料の1,000倍および/または10,000倍希釈物を調製する。
2.二次抗体溶液:二次抗体の段階希釈物は、以下の表に記載されるコンジュゲート緩衝液を使用して調製した。各添加/希釈間で試料をよく混合した。
【表5】
3.基質の調製:各チップについて、基質緩衝液(A)および(B)の両方の65μLのアリコートで試料を調製し、よく混合した。混合した基質は、各試験前に新規に調製するべきである。
【0136】
アッセイ手順:620μLの洗浄緩衝液をアレイの「洗浄」穴に添加した。次いで、120μLのブロッキング緩衝液をアレイの「ブロッキング」穴に添加した。この時点で、120μLの二次抗体溶液および100μLの血清を、別個にアレイの「コンジュゲート」および「血清」穴に添加した。最後に、120μLの混合した基質緩衝液をアレイの「基質」穴に10分で添加した。グリカンアレイを30分間加圧するためにAgnitio BioICポンプ機に配置した。結合した血清を、Agnitio BioIC分析器を使用して可視化しモニターした。
【0137】
データ分析は以下のステップにより実施した:
1.各IgG/IgM濃度について得られた平均強度をY軸に、総IgG/IgM濃度(μg/mL)をX軸にプロットして内部曲線(internal curve)を作成する。内部曲線Rは>0.95であるべきである。
2.チップの各セットの内部曲線および抗GloboシリーズIgG/IgM(抗SSEA−4、抗SSEA−3、または抗Globo H)の平均強度を計算する。抗GloboシリーズIgG/IgMの平均強度は、内部曲線の最高点を超えるべきではない。
3.Microsoft Excel(登録商標)または同等のアプリケーションを使用して、測定強度(Y軸)を内部曲線に当てはめることによって、未知の試料の抗体強度を計算する。
4.希釈試料について、試料中の実際のIgG/IgM濃度を得るために、濃度に希釈係数を掛けることによって補償する。
5.次の式で相対的なIgG/IgM濃度を計算して報告する:
相対的なIgG/IgM濃度(μg/mL)=計算されたIgG/IgM濃度×0.1
【0138】
結果
1.一価ワクチン効力アッセイ(OBI−821またはOBI−834アジュバントと組み合わせたSSEA−4−KLHまたはSSEA−4−DT)
【0139】
図3に示すように、SSEA−4−KLHワクチン+OBI−821アジュバント(図3A)およびSSEA−4−DTワクチン+OBI−821アジュバント(図3B)で処置したマウスは、3つの異なる例示的な代表的ワクチン用量(0.05、0.5および5μg)において、10日目でそれぞれの抗SSEA−4 IgMレベルで応答した。抗SSEA−4 IgMレベルは、10日目から43日目まで、それらのレベルを維持した。しかしながら、SSEA−4−DTワクチンの抗SSEA−4 IgMレベルは、SSEA−4−KLHワクチンよりも低かった。同様に、SSEA−4−DTワクチンの抗SSEA−4 IgGレベルは、SSEA−4−KLHワクチンよりも低かった(図3Cおよび3Dに示す)。KLHはDTよりも優れた担体タンパク質であり、より高い抗体応答を誘導できることが示された。
【0140】
図4に示すように、SSEA−4−KLHワクチン+OBI−834アジュバント(図4A)およびSSEA−4−DTワクチン+OBI−834アジュバント(図4B)で処置したマウスは、3つの異なる例示的な代表的ワクチン用量(0.05、0.5および5μg)において、21日目でそれぞれの抗SSEA−4 IgMレベルで応答した。抗SSEA−4 IgMレベルは、21日目から50日目まで、それらのレベルを維持した。しかしながら、SSEA−4−DTワクチンの抗SSEA−4 IgMレベルは、SSEA−4−KLHワクチンよりも低かった。同様に、SSEA−4−DTワクチンの抗SSEA−4 IgGレベルは、SSEA−4−KLHワクチンよりも低かった(図4Cおよび4Dに示す)。KLHはDTよりも優れた担体タンパク質であり、より高い抗体応答を誘導できることが示された。
【0141】
2.効力を実証する、代表的な二価ワクチン効力アッセイ(OBI−821アジュバントと組み合わせたSSEA−4−KLH+Globo H−KLH)
【0142】
これまでの結果により、本発明者らは、以下の実験のためにKLHおよびOBI−821を選択した。図5に示すように、SSEA−4−KLHワクチン+OBI−821アジュバントで処置したマウスは、10日目で抗Globo H(図5A)、抗SSEA−3(図5B)、および抗SSEA−4(図5C)IgMレベルで応答し、それぞれ10日目から43日目までそれらのレベルを維持した。同様に、SSEA−4−KLHワクチン+OBI−821アジュバントで処置したマウスは、10日目で抗Globo H(図5D)、抗SSEA−3(図5E)、および抗SSEA−4(図5F)IgGレベルで応答し、それぞれ10日目から43日目までそれらのレベルを維持した。
【0143】
3.効力を実証する、代表的な三価ワクチン効力アッセイ(OBI−821アジュバントと組み合わせたSSEA−4−KLH+Globo H−KLH+SSEA−3−KLH)
【0144】
最終的に本発明者らは、以下のアッセイのために三価ワクチン(SSEA−4−KLH+Globo H−KLH+SSEA−3−KLH)を確立した。図6に示すように、三価ワクチン+OBI−821アジュバントで処置したマウスは、10日目で抗Globo H(図6A)および抗SSEA−4(図6B)IgMレベルで応答した。同様に、三価ワクチン+OBI−821アジュバントで処置したマウスは、10日目で抗Globo H(図6C)および抗SSEA−4(図6D)IgGレベルで応答した。これらの肯定的な結果は、Globoシリーズ抗原(Globo H、SSEA−3、およびSSEA−4)における一価または多価ワクチンの免疫原性を示した。
【0145】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語ならびに任意の頭字語は、本発明の分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等である任意の組成物、方法、キット、および情報伝達手段を使用して本発明を実施することができるが、本明細書には好ましい組成物、方法、キット、および情報伝達手段が記載されている。
【0146】
本明細書において引用されている全ての参考文献は、法律により認められる最大限まで参照により本明細書に組み込まれる。これらの参考文献についての考察は、ただ単にそれらの著者らによりなされた主張を要約するものである。いずれの参考文献(またはいずれの参考文献の一部)も、関連する先行技術であると認めるものではない。出願人らは、引用された参考文献のいずれの正確度および妥当性についても異議を申し立てる権利を留保する。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
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図4-3】
図4-4】
図5-1】
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図5-5】
図5-6】
図6-1】
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【国際調査報告】