(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-527720(P2019-527720A)
(43)【公表日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】アンドロゲン受容体アンチセンスオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20190906BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20190906BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20190906BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20190906BHJP
C07H 21/02 20060101ALI20190906BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20190906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20190906BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20190906BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20190906BHJP
【FI】
C07K14/00ZNA
A61K38/08
A61K38/10
A61K38/16
C07H21/02
A61P17/14
A61P43/00 111
C12N15/113 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2019-507826(P2019-507826)
(86)(22)【出願日】2017年5月24日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月27日
(86)【国際出願番号】IB2017000697
(87)【国際公開番号】WO2018029517
(87)【国際公開日】20180215
(31)【優先権主張番号】62/372,035
(32)【優先日】2016年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】519043383
【氏名又は名称】オリパス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ダラム
(72)【発明者】
【氏名】チョー,ボンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,カンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヒュンシク
【テーマコード(参考)】
4B063
4C057
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QS25
4B063QS36
4B063QX02
4C057CC03
4C057DD03
4C057MM02
4C057MM06
4C057MM07
4C084AA07
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4C084BA35
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA92
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
ヒトのアンドロゲン受容体プレmRNA内の「エクソン5」の5'スプライス部位を標的とするペプチド核酸誘導体が提供される。ペプチド核酸誘導体は、細胞においてアンドロゲン受容体mRNAのスプライスバリアントを強力に誘導し、局所投与時にアンドロゲン活性を伴う皮膚科学的徴候又は症状を安全に治療するのに有用である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
によって表されるペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、10と21との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのアンドロゲン受容体プレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、独立して、デューテリド、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
X及びYは、独立して、ヒドリド[H]、ホルミル[H-C(=O)-]、アミノカルボニル[NH
2-C(=O)-]、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアリールアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、又は置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表し;
Zは、ヒドリド、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され; 及び
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも4つは、独立して、核酸塩基部分に共有結合した置換又は非置換アミノ基を有する非天然核酸塩基から選択される、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩であって、
nは、10と21との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのアンドロゲン受容体プレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、独立して、デューテリド、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
X及びYは、独立して、ヒドリド[H]、ホルミル[H-C(=O)-]、アミノカルボニル[NH
2-C(=O)-]、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアリールアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、又は置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表し;
Zは、ヒドリド、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され; 及び
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも3つは、独立して、式II、式III、又は式IV:
【化2】
によって表される非天然核酸塩基から選択され、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、独立して、ヒドリド、並びに置換若しくは非置換のアルキル基から選択され;
L
1、L
2及びL
3は、塩基性アミノ基を核酸塩基部分に共有結合させる式V:
【化3】
によって表される共有結合リンカーであり;
Q
1及びQ
mは、置換又は非置換のメチレン(-CH
2-)基であり、及びQ
mは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q
2、Q
3、…、及びQ
m-1は、独立して、置換若しくは非置換のメチレン、酸素(-O-)、硫黄(-S-)、並びに置換若しくは非置換のアミノ基[-N(H)-、又は-N(置換基)-]から選択され; 及び
mは、1と15との間の整数である、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩。
【請求項3】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩であって、
nは、10と18との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S1、S2、…、Sn-1、Sn、T1、T2、…、Tn-1、及びTnは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル基を表し;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnの少なくとも4つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、独立して、ヒドリド、並びに置換若しくは非置換のアルキル基から選択され;
Q1及びQmは、置換又は非置換のメチレン基であり、及びQmは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q2、Q3、…、及びQm-1は、独立して、置換若しくは非置換のメチレン、酸素、並びにアミノ基から選択され; 及び
mは、1と11との間の整数である、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩。
【請求項4】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩であって、
nは、11と16との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのARプレmRNA配列と少なくとも11マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S1、S2、…、Sn-1、Sn、T1、T2、…、Tn-1、及びTnは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基から選択され;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、及びシトシンを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnの少なくとも4つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、独立して、ヒドリド、並びに置換若しくは非置換のアルキル基から選択され;
Q1及びQmは、メチレン基であり、及びQmは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q2、Q3、…、及びQm-1は、独立して、メチレン、酸素、及びアミノ基から選択され; 及び
mは、1と10との間の整数である、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩。
【請求項5】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩であって、
nは、11と16との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも12マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S1、S2、…、Sn-1、Sn、T1、T2、…、Tn-1、及びTnは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基から選択され;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnの少なくとも5つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R1、R3、及びR5は、ヒドリド基であり、並びにR2、R4、及びR6は、独立して、ヒドリド、又は置換若しくは非置換のアルキル基を表し;
Q1及びQmは、メチレン基であり、及びQmは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q2、Q3、…、及びQm-1は、独立して、メチレン、酸素基から選択され; 及び
mは、1と10との間の整数である、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩。
【請求項6】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩であって、
nは、11と16との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも12マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S1、S2、…、Sn-1、Sn、T1、T2、…、Tn-1、及びTnは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基から選択され;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及び非天然核酸塩基から選択され;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnの少なくとも5つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、ヒドリド基であり;
Q1及びQmは、メチレン基であり、及びQmは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q2、Q3、…、及びQm-1は、独立して、メチレン、及び酸素基から選択され; 及び
mは、1と8との間の整数である、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩。
【請求項7】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩であって、
nは、11と15との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも11マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S1、S2、…、Sn-1、Sn、T1、T2、…、Tn-1、及びTnは、ヒドリド基であり;
Xは、ヒドリド基であり;
Yは、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基を表し;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及び非天然核酸塩基から選択され;
B1、B2、…、Bn-1、及びBnの少なくとも5つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、ヒドリド基であり;
L1は、-(CH2)2-O-(CH2)2-、-CH2-O-(CH2)2-、-CH2-O-(CH2)3-、-CH2-O-(CH2)4-、又は-CH2-O-(CH2)5-を表し、右端は、塩基性アミノ基に直接結合しており; 及び
L2及びL3は、独立して、-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)3-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、及び-(CH2)8-から選択され、右端は、塩基性アミノ基に直接結合している、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的な塩。
【請求項8】
以下:
に提供されるペプチド核酸誘導体の群から選択される、請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
A、G、T、及びCは、それぞれ、アデニン、グアニン、チミン、及びシトシンの天然核酸塩基を有するPNAモノマーであり;
C(pOq)、A(p)、A(pOq)、G(p)、及びG(pOq)は、それぞれ、式VI、式VII、式VIII、式IX、及び式X
【化4】
によって表される非天然核酸塩基を有するPNAモノマーであり;
p及びqは、整数であり; 及び
N末端置換基及びC末端置換基の略語は、以下に具体的に記載される通りであり: 「Fmoc-」は、「[(9-フルオレニル)メチルオキシ]カルボニル-」基の略語であり; 「Fethoc-」は、「[2-(9-フルオレニル)エチル-1-オキシ]カルボニル」基の略語であり; 「Ac-」は、「アセチル-」基の略語であり; 「ベンゾイル-」は、「ベンゼンカルボニル-」基の略語であり; 「Piv-」は、「ピバリル-」基の略語であり; 「メチル-」は、「メチル-」基の略語であり; 「n-プロピル-」は、「1-(n-プロピル)-」基の略語であり; 「H-」は、「ヒドリド-」基の略語であり; 「p-トルエンスルホニル」は、「(4-メチルベンゼン)-1-スルホニル-」基の略語であり; 「-Lys-」は、アミノ酸残基「リジン」の略語であり; 「-Val-」は、アミノ酸残基「バリン」の略語であり; 「-Leu-」は、アミノ酸残基「ロイシン」の略語であり; 「-Arg-」は、アミノ酸残基「アルギニン」の略語であり; 「-Gly-」は、アミノ酸残基「グリシン」の略語であり; 「[N-(2-フェニルエチル)アミノ]カルボニル-」は、「[N-1-(2-フェニルエチル)アミノ]カルボニル-」基の略語であり; 「ベンジル-」は、「1-(フェニル)メチル-」基の略語であり; 「フェニル-」は、「フェニル-」基の略語であり; 「Me-」は、「メチル-」基の略語であり; 及び「-NH
2」は、非置換の「-アミノ」基の略語である、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
以下:
に提供される化合物の群から選択される、請求項1に記載のペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体の局所投与によって、アンドロゲン活性を伴う皮膚科学的徴候又は症状を治療する方法。
【請求項11】
請求項1に記載のペプチド核酸誘導体の局所投与によって、アンドロゲン性脱毛症を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン活性によって媒介される皮膚科学的徴候又は症状の治療のためのアンドロゲン受容体プレmRNAを標的とするペプチド核酸誘導体に関し、2016年8月8日に出願された米国仮出願第62/372035号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
脱毛症は、最初は頭皮における、抜け毛及び薄毛を特徴とする障害である。アンドロゲン性脱毛症(「男性型禿頭」とも称される)は、毛包及び周囲組織における明らかなアンドロゲン活性によって引き起こされる。
【0003】
アンドロゲン性脱毛症は男性と女性の両方に影響を及ぼすが、この障害は、しばしば、男性対女性では異なって現れる。男性は、斑点禿を経験する可能性が高く、女性は、頭皮の全体的な薄毛を経験する可能性がより高い。30〜50歳の男性におけるアンドロゲン性脱毛症の有病率は、約58%である[非特許文献1(J. Invest. Dermatol. vol 9, 296-300 (1997))]。アンドロゲン性脱毛症は、アンドロゲンとして知られる男性ステロイドホルモンの変化によって引き起こされる[非特許文献2(New Engl. J. Med. vol 341, 491-7 (1999)); 非特許文献3(Mol. Cell Endocrinol. vol 198, 89-95 (2002))]。
【0004】
アンドロゲンは、皮脂腺における皮脂の放出、毛包における毛の成長、性欲などを全身的に調節する。アンドロゲンは、小さな軟毛毛包の漸進的転換を刺激し、一部の領域における色素のない細くて短い毛を、より大きな終末期の毛包にする(例えば顔)。しかし、終末期の毛包に対するこのアンドロゲン作用とは対照的に、終末期の毛包から軟毛毛包への漸進的退行が、こめかみ及び頭頂で起こり、これはしばしば「アンドロゲンパラドックス」と呼ばれる[非特許文献4(Expert Opin. Drug Discov. vol 10, 269-292 (2015))]。
【0005】
アンドロゲン性脱毛症及びDHT: 5α-レダクターゼは、テストステロンを、テストステロンより強力で効果的なアンドロゲンである5α-ジヒドロテストステロン(DHT)に還元する。前頭部の成長期の毛包におけるDHT産生の実質的な増加が、非禿頭男性と比較して、若い禿頭男性で観察された[非特許文献5(Ind. J. Dermatol. Vene. Leprol. vol 79, 613-625 (2013))]。アンドロゲン性脱毛症の男性は、アンドロゲン性脱毛症のない男性よりも、低いレベルの「総テストステロン」を示す傾向がある。代わりに、DHTレベルは、アンドロゲン性脱毛症の男性において、アンドロゲン性脱毛症のない男性よりも高い。DHTは、5α-レダクターゼによってテストステロンから産生される。アンドロゲン性脱毛症の男性は、アンドロゲン性脱毛症のない男性よりも、毛包におけるより高いレベルの5α-レダクターゼを発現する。DHTは、毛包の縮小化、及びしたがってアンドロゲン性脱毛症の大きな原因となっている[非特許文献6(Endocrinology, vol 151, 2373-2380 (2010))]。
【0006】
フィナステリド及びデュタステリドは、5α-レダクターゼを阻害し、したがって、毛包及び周囲組織におけるアンドロゲン受容体に利用可能なDHTレベルを減少させる。この2つの小分子阻害剤は、全身性アンドロゲン活性の下方制御から生じる有害作用にもかかわらず、男性型禿頭の治療に使用されている。有害作用は、性機能障害、めまい、脱力感、頭痛、鼻水、皮疹などを含む[非特許文献7(New Engl. J. Med. vol 362, 1237-8 (2010))]。
【0007】
局所用ARアンタゴニスト: アンドロゲンは、アンドロゲン受容体(AR)に結合することによって、それらの薬理学的活性を発現する。ARアンタゴニストは、ARに結合して、アンドロゲンの生理学的機能を阻害し、したがって、毛包及び周囲組織に適切に送達されれば、アンドロゲン性脱毛症を治療するために使用することができる。全身性アンドロゲン活性の阻害によって引き起こされる副作用を回避するために、ARアンタゴニストは、頭皮組織に直接局所投与される。
【0008】
ケトコナゾールは、その有名な抗真菌活性に加えて、弱いARアンタゴニスト活性を有する。2%ケトコナゾールを含有するシャンプー(商業的ブランド名Nizoral(登録商標))は、アンドロゲン性抜け毛を局所的に治療するために使用されている[非特許文献8(J. Dermatol. Sci. vol 45(1), 66-68 (2007))]。
【0009】
トピルタミド(Topilutamide)は、フルジリル(fludiril)として知られるARアンタゴニストである。トピルタミドは、「ユーカピル(Eucapil)」のブランド名で、いくつかのヨーロッパの国においてアンドロゲン性脱毛症を治療するための2%局所製剤として市販されている[非特許文献9(Dermatol. Surg. vol 28(8), 678-685 (2002))]。
【0010】
毛包におけるARタンパク質又はmRNA: アンドロゲン性脱毛症の男性及び女性の対象では、AR発現は、前頭部の毛包において、後頭部の毛包におけるよりも高いことが見出された[非特許文献10(J. Investig. Dermatol. vol 109, 296-300 (1997))]。AR発現が、毛包及び周囲組織において選択的に薬剤によって下方制御される場合、そのような薬剤は、アンドロゲン活性の全身的下方制御によって引き起こされる有害事象を引き起こすことなく、安全にアンドロゲン性脱毛症を治療し得る。別の文献では、アンドロゲン性脱毛症の女性は、前頭部及び頭頂部の毛包において、後頭部の毛包におけるよりも高いレベルのAR mRNAを示すことが見出された[非特許文献11(Genetics Mol. Res. vol 12(2), 1834-1840 (2013))]。
【0011】
リボソームタンパク質合成: タンパク質は、DNA(2-デオキシリボース核酸)によってコードされる。細胞刺激に応答して、DNAは、転写されて、核においてプレmRNA(プレメッセンジャーリボ核酸)を産生する。プレmRNAのイントロンは、酵素的にスプライスアウトされ、mRNA(メッセンジャーリボ核酸)を産生し、次いで、これがサイトゾル区画に移動する。サイトゾルでは、リボソームと呼ばれる翻訳機構の複合体が、mRNAに結合し、mRNAに沿ってコードされた遺伝情報をスキャンしながらタンパク質合成を行う[非特許文献12(Biochemistry vol 41, 4503-4510 (2002)); 非特許文献13(Cancer Res. vol 48, 2659-2668 (1988))]。
【0012】
配列特異的様式で(すなわち、相補的に)RNAに結合するオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)と呼ばれる。ASOは、mRNAに強く結合し、サイトゾルにおけるmRNAに沿ったリボソームによるタンパク質合成を阻害し得る。その標的タンパク質のリボソームタンパク質合成を阻害するために、ASOは、細胞内に存在する必要がある。
【0013】
スプライシングプロセス: DNAは、転写されて、核においてプレmRNA(プレメッセンジャーリボ核酸)を産生する。次いで、下の図に概略的に要約されるように、プレmRNAは、「スプライシング」と総称される一連の複雑な反応によるイントロンの削除後に、mRNAにプロセシングされる[非特許文献14(Ann. Rev. Biochem. 72(1), 291-336 (2003)); 非特許文献15(Nature Rev. Mol. Cell Biol. 6(5), 386-398 (2005)); 非特許文献16(Nature Rev. Mol. Cell Biol. 15(2), 108-121 (2014))]。
【0014】
スプライシングは、プレmRNAとスプライシングアダプター因子との間の「スプライスソームE複合体」(すなわち、初期スプライスソーム複合体)を形成することによって開始される。「スプライスソームE複合体」では、U1は、エクソンNとイントロンNの接合部に結合し、U2AF
35は、イントロンNとエクソン(N+1)の接合部に結合する。したがって、エクソン/イントロン又はイントロン/エクソンの接合部は、初期スプライスソーム複合体の形成にとって重要である。「スプライスソームE複合体」は、U2とのさらなる複合体化後に、「スプライスソームA複合体」に進化する。「スプライスソームA複合体」は、近隣のエクソンを隣接させるために、イントロンを削除又はスプライスアウトする一連の複雑な反応を受ける。
【0015】
【0016】
スプライシングのアンチセンス阻害: 核において、ASOは、プレmRNA内の特定の位置に強く結合し、プレmRNAのmRNAへのスプライシングプロセスに干渉し、全長mRNA、又は標的エクソンを欠くmRNA変異体(複数可)を産生し得る。そのようなmRNAは、「スプライスバリアント」と呼ばれ、全長mRNAによってコードされるタンパク質よりも小さいタンパク質をコードする。
【0017】
原則として、スプライシングは、「スプライスソームE複合体」の形成を阻害することによって中断し得る。ASOが(5'→3')エクソン-イントロンの接合部、すなわち、「5'スプライス部位」に強く結合する場合、ASOは、プレmRNAとU1因子との間の複合体形成、及びしたがって「スプライスソームE複合体」の形成を遮断する。同様に、ASOが(5'→3')イントロン-エクソンの接合部、すなわち、「3'スプライス部位」に強く結合する場合、「スプライスソームE複合体」は形成できない。
【0018】
非天然オリゴヌクレオチド: DNA又はRNAオリゴヌクレオチドは、内因性ヌクレアーゼによる分解を受けやすく、それらの治療的有用性を制限する。今日までに、多数の非天然オリゴヌクレオチドが、開発され、集中的に研究されている[非特許文献17(Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. vol 33, 533-540 (2006))]。それらのうちのいくつかは、DNA及びRNAと比較して、長期の代謝安定性を示すことが見出された。以下に提供されるのは、少数の代表的な非天然オリゴヌクレオチドの化学構造である。そのようなオリゴヌクレオチドは、DNA又はRNAがするように、その相補的核酸に予想通りに結合する。
【0019】
【化1】
【0020】
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド: ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(PTO)は、モノマーあたり、骨格のホスフェートの酸素原子の1つが、硫黄原子で置換されているDNA類似体である。そのような小さな構造変化は、PTOを、ヌクレアーゼによる分解に対して比較的抵抗性にした[非特許文献18(Ann. Rev. Biochem. vol 54, 367-402 (1985))]。
【0021】
PTOとDNAとの間の骨格の構造的類似性を反映して、それらは両方とも、ほとんどの哺乳動物細胞種において細胞膜にあまり浸透しない。しかし、DNAのためのトランスポーター(複数可)を豊富に発現しているいくつかの種類の細胞については、DNA及びPTOは、良好な細胞取り込みを示す。全身投与されたPTOは、肝臓及び腎臓に容易に分布することが知られている[非特許文献19(Nucleic Acids Res. vol 25, 3290-3296 (1997))]。
【0022】
PTOのインビトロ細胞膜透過性を増加させるために、リポフェクションが広く実施されている。しかし、リポフェクションは、細胞膜を物理的に変化させ、細胞毒性を引き起こし、したがって、長期の治療的使用に対して安全ではないであろう。
【0023】
過去30年にわたって、アンチセンスPTO及びPTOの変異体は、がん、免疫学的障害、代謝性疾患などを治療するために臨床的に評価されている[非特許文献20(Biochemistry vol 41, 4503-4510 (2002)); 非特許文献21(Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. vol 33, 533-540 (2006))]。そのようなアンチセンス薬物候補の多くは、部分的にはPTOの乏しい細胞膜透過性のために、首尾よく開発されていない。乏しい膜透過性を克服するために、治療活性のためにはPTOを高用量で投与する必要がある。しかし、PTOは、用量制限毒性、例えば、凝固時間の増加、補体活性化、尿細管性腎症、クッパー細胞活性化、及び免疫刺激、例えば、脾腫、リンパ過形成、単核細胞浸潤に関連することが知られている[非特許文献22(Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. vol 33, 533-540 (2006))]。
【0024】
多くのアンチセンスPTOは、肝臓又は腎臓からの大幅な寄与を有する疾患に対して適切な臨床活性を示すことが見出されている。ミポメルセンは、LDLコレステロール輸送に関与するタンパク質であるアポB-100の合成を阻害するPTO類似体である。ミポメルセンは、おそらく肝臓へのその優先的な分布により、アテローム性動脈硬化症患者の特定の集団において適切な臨床活性を示した[非特許文献23(Circulation vol 118(7), 743-753 (2008))]。ISIS-113715は、タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)の合成を阻害するPTOアンチセンス類似体であり、II型糖尿病患者において治療活性を示すことが見出された[非特許文献24(Curr. Opin. Mol. Ther. vol 6, 331-336 (2004))]。
【0025】
ロックド核酸: ロックド核酸(LNA)では、RNAの骨格リボース環は、RNA又はDNAに対する結合親和性を増加させるように構造的に拘束されている。したがって、LNAは、高親和性のDNA又はRNA類似体と見なしてもよい[非特許文献25(Biochemistry vol 45, 7347-7355 (2006))]。PTOと同様に、LNAも、乏しい細胞膜透過性を示す。
【0026】
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド: ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)では、DNAの骨格ホスフェート及び2-デオキシリボースは、それぞれ、ホスホアミダイト及びモルホリンに置き換えられている[非特許文献26(Appl. Microbiol. Biotechnol. vol 71, 575-586 (2006))]。DNA骨格は負に帯電しているが、PMO骨格は帯電していない。したがって、PMOとmRNAとの間の結合は、骨格間の静電反発力がなく、DNAとmRNAとの間の結合よりも強い傾向がある。PMOはDNAと構造的に非常に異なるので、PMOは、DNA又はRNAを認識する肝臓トランスポーター(複数可)によって認識されないであろう。しかし、PMOも細胞膜を容易には浸透しない。
【0027】
ペプチド核酸: ペプチド核酸(PNA)は、単位骨格としてN-(2-アミノエチル)グリシンを有するポリペプチドであり、Nielsen博士及び同僚らによって発見された[非特許文献27(Science vol 254, 1497-1500 (1991))]。原型PNAの化学構造及び略書した専門語を、以下に提供する図面で説明する。DNA及びRNAと同様に、PNAもまた相補的核酸に選択的に結合する[非特許文献28(Nature (London) vol 365, 566-568 (1992))]。相補的核酸への結合において、PNAのN末端は、DNA又はRNAの「5'末端」と同等であると見なされ、PNAのC末端は、DNA又はRNAの「3'末端」と同等であると見なされる。
【0028】
【化2】
【0029】
PMOと同様に、PNA骨格は帯電していない。したがって、PNAとRNAとの間の結合は、DNAとRNAとの間の結合よりも強い傾向がある。PNAは化学構造においてDNAと著しく異なるので、PNAは、DNAを認識する肝臓トランスポーター(複数可)によって認識されず、DNA又はPTOの組織分布プロファイルとは異なる組織分布プロファイルを示すであろう。しかし、PNAも哺乳動物細胞膜にあまり浸透しない(非特許文献29(Adv. Drug Delivery Rev. vol 55, 267-280, 2003))。
【0030】
PNAの膜透過性を改善するための修飾核酸塩基: 共有結合したカチオン性脂質又はその同等物を有する修飾核酸塩基を導入することによって、PNAは、哺乳動物細胞膜に対して高度に透過性にされた。そのような修飾核酸塩基の化学構造は上に提供されている。シトシン、アデニン、及びグアニンのそのような修飾核酸塩基は、それぞれ、グアニン、チミン、及びシトシンと予想通りに、相補的にハイブリダイズすることが見出された[特許文献1(PCT Appl. No. PCT/KR2009/001256); 特許文献2(EP2268607); 特許文献3(US8680253)]。
【0031】
【化3】
【0032】
そのような修飾核酸塩基のPNAへの組み込みは、リポフェクションの状況に似ている。リポフェクションによって、オリゴヌクレオチド分子は、リポフェクタミンなどのカチオン性脂質分子で包まれ、そのようなリポフェクタミン/オリゴヌクレオチド複合体は、裸のオリゴヌクレオチド分子と比較して、かなり容易に細胞膜を浸透する傾向がある。
【0033】
良好な膜透過性に加えて、それらのPNA誘導体は、相補的核酸に対して超強力な親和性を有することが見出された。例えば、4〜5個の修飾核酸塩基を11〜13マーのPNA誘導体に導入すると、相補的DNAとの二重鎖形成において、20℃以上のT
m増加が容易にもたらされた。そのようなPNA誘導体は、一塩基ミスマッチに対して非常に敏感である。一塩基ミスマッチは、修飾塩基の種類及びPNA配列に応じて、11〜22℃のT
m低下をもたらした。
【0034】
ARアンチセンスオリゴヌクレオチド(AR ASO): 原則として、AR mRNAを標的とするASOは、アンドロゲン受容体のリボソームタンパク質合成を阻害することができる。細胞におけるAR発現を阻害するAR ASOの報告された事例がある。例えば、AR mRNAを相補的に標的とするLNA/DNAギャップマーであるEZN-4176は、腫瘍細胞において、及び前立腺がんの動物モデルの腫瘍において、AR発現を下方制御した[非特許文献30(Mol. Cancer. Ther. vol 10(12), 2309-2319 (2011))]。
【0035】
AR mRNAのエクソン1又はエクソン8のいずれかを標的とするASOは、前立腺がん細胞において、及びARアンタゴニストであるエンザルタミドによる化学療法に抵抗性の前立腺がんの動物モデルの腫瘍において、AR発現を阻害した[非特許文献31(Clin. Cancer Res. vol 21(7), 1675-1687 (2015))]。
【0036】
AR ASOの局所適用による毛包におけるAR下方制御: 毛包及び周囲組織におけるアンドロゲン活性の下方制御は、毛包及び周囲組織におけるAR発現を阻害することによって達成し得る。ASOが毛包及び周囲組織に送達される場合、毛包におけるAR発現は、AR ASOによって下方制御することができる。
【0037】
全身性アンドロゲン活性の下方制御からの副作用を回避するために、アンドロゲン性脱毛症の治療のために、毛包及び周囲組織において、AR発現を局所的に下方制御することが望ましい。ASOが、毛包に容易に送達されるように製造又は製剤化されている場合、頭皮へのAR ASOの局所適用は、毛包及び周囲組織におけるAR発現を局所的に阻害するための最も安全な方法であろう。今日まで、AR ASOは、アンドロゲン性脱毛症の局所治療にはほとんど使用されていない。AR ASOは、アンドロゲン除去療法に抵抗性の前立腺がんを治療するための全身投与について主に評価されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】PCT Appl. No. PCT/KR2009/001256
【特許文献2】EP2268607
【特許文献3】US8680253
【非特許文献】
【0039】
【非特許文献1】J. Invest. Dermatol. vol 9, 296-300 (1997)
【非特許文献2】New Engl. J. Med. vol 341, 491-7 (1999)
【非特許文献3】Mol. Cell Endocrinol. vol 198, 89-95 (2002)
【非特許文献4】Expert Opin. Drug Discov. vol 10, 269-292 (2015)
【非特許文献5】Ind. J. Dermatol. Vene. Leprol. vol 79, 613-625 (2013)
【非特許文献6】Endocrinology, vol 151, 2373-2380 (2010)
【非特許文献7】New Engl. J. Med. vol 362, 1237-8 (2010)
【非特許文献8】J. Dermatol. Sci. vol 45(1), 66-68 (2007)
【非特許文献9】Dermatol. Surg. vol 28(8), 678-685 (2002)
【非特許文献10】J. Investig. Dermatol. vol 109, 296-300 (1997)
【非特許文献11】Genetics Mol. Res. vol 12(2), 1834-1840 (2013)
【非特許文献12】Biochemistry vol 41, 4503-4510 (2002)
【非特許文献13】Cancer Res. vol 48, 2659-2668 (1988)
【非特許文献14】Ann. Rev. Biochem. 72(1), 291-336 (2003)
【非特許文献15】Nature Rev. Mol. Cell Biol. 6(5), 386-398 (2005)
【非特許文献16】Nature Rev. Mol. Cell Biol. 15(2), 108-121 (2014)
【非特許文献17】Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. vol 33, 533-540 (2006)
【非特許文献18】Ann. Rev. Biochem. vol 54, 367-402 (1985)
【非特許文献19】Nucleic Acids Res. vol 25, 3290-3296 (1997)
【非特許文献20】Biochemistry vol 41, 4503-4510 (2002)
【非特許文献21】Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. vol 33, 533-540 (2006)
【非特許文献22】Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. vol 33, 533-540 (2006)
【非特許文献23】Circulation vol 118(7), 743-753 (2008)
【非特許文献24】Curr. Opin. Mol. Ther. vol 6, 331-336 (2004)
【非特許文献25】Biochemistry vol 45, 7347-7355 (2006)
【非特許文献26】Appl. Microbiol. Biotechnol. vol 71, 575-586 (2006)
【非特許文献27】Science vol 254, 1497-1500 (1991)
【非特許文献28】Nature (London) vol 365, 566-568 (1992)
【非特許文献29】Adv. Drug Delivery Rev. vol 55, 267-280, 2003)
【非特許文献30】Mol. Cancer. Ther. vol 10(12), 2309-2319 (2011)
【非特許文献31】Clin. Cancer Res. vol 21(7), 1675-1687 (2015)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0040】
発明の概要
本発明は、式I:
【0041】
【化4】
によって表されるペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、10と21との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのアンドロゲン受容体プレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、独立して、デューテリド(deuterido)、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
X及びYは、独立して、ヒドリド[H]、ホルミル[H-C(=O)-]、アミノカルボニル[NH
2-C(=O)-]、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアリールアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、又は置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表し;
Zは、ヒドリド、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され; 及び
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも4つは、独立して、核酸塩基部分に共有結合した置換又は非置換アミノ基を有する非天然核酸塩基から選択される、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0042】
式Iの化合物は、ヒトARプレmRNAの選択的スプライシングを誘導し、「エクソン5」を欠くAR mRNAスプライスバリアント(複数可)を生じ、したがって、局所投与時にアンドロゲン活性を伴う皮膚科学的徴候又は症状を安全に治療するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】式Iのペプチド核酸誘導体について選択可能な天然又は非天然(修飾)核酸塩基の例。
【
図2A】式Iのペプチド核酸誘導体について選択可能な置換基の例。
【
図3】天然又は修飾核酸塩基を有するPNAモノマーの化学構造。
【
図5A】「(N→C)Fethoc-GA(5)A-GC(1O2)C-A(5)GG-C(1O2)AA(5)-G-NH
2」のPNA誘導体の化学構造。
【
図5B】「(N→C)ベンゾイル-Lys-Val-C(1O2)TT-A(5)CC-A(5)GG-C(1O2)AA(5)-G-NH
2」のPNA誘導体の化学構造。
【
図6】本発明のPNA誘導体を合成するために使用されるFmoc-PNAモノマーの化学構造。
【
図7A-B】それぞれ、HPLC精製の前及び後の「ASO1」のC
18逆相HPLCクロマトグラム。
【
図8A-B】
図8(A). 0aM(陰性対照)、3aM、30aM、300aM、又は3fMの「ASO5」で処理したMCF7細胞のネステッドPCR産物の電気泳動分析。
図8(B). 配列決定データと共に、エクソン4〜5のスキッピングについてのPCRバンドの概略図。
【
図9A-C】
図9(A). 0zM(陰性対照)、又は1zM〜1aMの「ASO5」で5時間処理したMCF7細胞におけるエクソン4〜6の相対的レベルの変化(スチューデントのt検定による統計分析)。
図9(B). 0zM(陰性対照)、又は1zM〜1aMの「ASO1」で5時間処理したMCF7細胞におけるエクソン4〜6の相対的レベルの変化(スチューデントのt検定による統計分析)。
図9(C). 0zM(陰性対照)、又は1zM〜1aMの「ASO10」で5時間処理したMCF7細胞におけるエクソン4〜6の相対的レベルの変化(スチューデントのt検定による統計分析)。
【
図10A-B】
図10(A). 0zM(陰性対照)、又は100zM〜300aMの「ASO1」で処理したMCF7細胞のウエスタンブロットデータ。
図10(B). 0zM(陰性対照)、又は10zM〜30aMの「ASO5」で処理したMCF7細胞のウエスタンブロットデータ。
【
図11A-B】
図11(A). 除毛後の日数と共に、除毛の皮膚領域における群ごとの毛の成長の画像。
図11(B). 陰性対照(ビヒクル)群に対する「ASO1」処理群の相対的輝度スコア(スチューデントのt検定による統計分析)。
【
図12】0fM(陰性対照、ビヒクル)、0.2fM又は1fMの「ASO1」で処理した動物から得た皮膚サンプルについてのAR IHC(赤)及びDAPI(青)蛍光画像の代表的なセット。
【
図13】陰性対照(ビヒクル)群に対する「ASO5」処理群の相対的輝度スコア(スチューデントのt検定による統計分析)。
【
図14A-B】
図14(A). 陰性対照(ビヒクル)群に対する「ASO10」処理群の相対的輝度スコア(スチューデントのt検定による統計分析)。
図14(B). 0(陰性対照、ビヒクル)、1、5又は25fMの「ASO10」で処理した動物から得た皮膚サンプルについてのAR IHC(赤)及びDAPI(青)蛍光画像の代表的なセット。
【
図15】0(陰性対照)、1、10、100、又は1,000zMの「ASO10」で24時間処理したMCF7細胞におけるTaqManアッセイによる、陰性対照に対する相対的AR mRNAレベルについてのqPCRデータ(スチューデントのt検定による統計分析)。
【
図16】0(陰性対照)、0.01又は0.1pmole/Kgの「ASO10」を、週に2回、4週間、皮下投与したマウスから得た組織サンプルについてのAR IHC(赤)及びDAPI(青)蛍光画像の代表的なセット。
【発明を実施するための形態】
【0045】
【化5】
によって表されるペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、10と21との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのアンドロゲン受容体プレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、独立して、デューテリド、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
X及びYは、独立して、ヒドリド[H]、ホルミル[H-C(=O)-]、アミノカルボニル[NH
2-C(=O)-]、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアリールアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、又は置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表し;
Zは、ヒドリド、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され; 及び
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも4つは、独立して、核酸塩基部分に共有結合した置換又は非置換アミノ基を有する非天然核酸塩基から選択される、
ペプチド核酸誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0046】
式Iの化合物は、ヒトARプレmRNAの選択的スプライシングを誘導し、「エクソン5」を欠くAR mRNAスプライスバリアント(複数可)を生じ、したがって、局所投与時にアンドロゲン活性を伴う皮膚科学的徴候又は症状を安全に治療するのに有用である。
【0047】
「nは10と21との間の整数である」という条件は、文字通り、nが11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20の整数の群から選択可能な整数であることを表す。
【0048】
式Iの化合物は、ヒトAR遺伝子[NCBI参照配列: NC_000023.11]から転写されたヒトARプレmRNAの「エクソン5」の5'スプライス部位に強く結合する。エクソン及びイントロンの番号は、AR mRNA転写物に応じて変わり得るが、「エクソン5」由来の20マー及び「イントロン5」由来の20マーからなる40マーのARプレmRNA配列は、明白に、[(5'→3')GUGGGCCAAGGCCUUGCCUG-GUAAGGAAAAGGGAAGUGGG]と読む。あるいは、40マーのプレmRNA配列は、[(5'→3')GUGGGCCAAGGCCUUGCCUG┃guaaggaaaagggaaguggg]と表してもよく、エクソン及びイントロンの配列は、それぞれ「大」文字及び「小」文字で表され、エクソン/イントロン接合部は「┃」で表される。
【0049】
本発明において式Iの化合物を記載するために採用された[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのプレmRNA配列は、AR「エクソン5」における9マー及びAR「イントロン5」における8マーからなる。したがって、17マーのプレmRNA配列は、代わりに、[(5'→3')CCUUGCCUG┃guaaggaa]と読んでもよい。
【0050】
式Iの化合物は、ヒトARプレmRNA中のエクソン5の標的5'スプライス部位に強く結合し、化合物の標的エクソンを含む「スプライスソーム初期複合体」の形成に干渉する。本発明の化合物は「スプライスソーム初期複合体」の形成を立体的に阻害するので、AR「エクソン5」は、スプライスアウトされて、「エクソン5」を欠くAR mRNAスプライスバリアント(単数又は複数)を生じる。結果として、本発明の化合物は、「エクソン5」のスキッピングを誘導する。
【0051】
式Iの化合物は、先行技術[PCT/KR2009/001256]に例示されているように、相補的DNAに強く結合する。式IのPNA誘導体と、その全長相補的DNA又はRNAとの間の二重鎖は、水性緩衝液中で確実に測定するには高すぎるT
m値を示す。式IのPNA化合物は、より短い長さ、例えば10マーの相補的DNAとの高いT
m値を依然としてもたらす。
【0052】
高い結合親和性のために、本発明のPNA誘導体は、「エクソン5」の5'スプライス部位と9マーほどの小さい相補的重複であっても、細胞において「エクソン5」のスキッピングを強力に誘導する(そのような少ない数の重複は、他のプレmRNAとの交差反応性の危険性を増加し得るが)。本発明のPNA誘導体が、局所治療目的に使用される場合、交差反応性の危険性は、かなり軽減されると予測される。
【0053】
式IのPNA誘導体中の天然又は非天然核酸塩基の化学構造は、
図1(A)〜(C)に例示されている。本発明の天然(すなわち、天然に存在する)又は非天然(すなわち、天然に存在しない)核酸塩基は、
図1(A)〜(C)に提供される核酸塩基を含むが、これらに限定されない。そのような非天然核酸塩基の提供は、許容可能な核酸塩基の多様性を説明しようとするものであり、したがって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。当業者は、式IのPNA化合物中の特定の位置について、非天然核酸塩基の変形が可能である(そのような変形が、その標的プレmRNA配列との所望の相補性を満たす限り)ことを容易に理解し得る。
【0054】
式IのPNA誘導体を記載するために採用された置換基は、
図2(A)〜(E)に例示されている。
図2(A)は、置換又は非置換のアルキル基の例を提供する。置換若しくは非置換のアルキルアシル、並びに置換若しくは非置換のアルキルアシル、アリールアシル基が、
図2(B)に例示されている。
図2(C)は、置換若しくは非置換のアルキルアミノ、置換若しくは非置換のアリールアミノ、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル若しくはアリールスルホニル、並びに置換若しくは非置換のアルキルホスホニル若しくはアリールホスホニル基の例を示す。
図2(D)は、置換又は非置換のアルキルオキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル又はアリールアミノカルボニル基の例を提供する。
図2(E)には、置換若しくは非置換のアルキルアミノチオカルボニル、置換若しくは非置換のアリールアミノチオカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルオキシチオカルボニル、並びに置換若しくは非置換のアリールオキシチオカルボニル基の例が提供される。そのような例示的置換基の提供は、許容可能な置換基の多様性を説明しようとするものであり、したがって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。当業者は、オリゴヌクレオチド配列が、N末端又はC末端における置換基を超えて、標的プレmRNA配列へのオリゴヌクレオチドの配列特異的結合の最重要因子であることを容易に理解し得る。
【0055】
式Iの化合物は、良好な細胞透過性を有し、先行技術[PCT/KR2009/001256]において例示されているように、「裸の」オリゴヌクレオチドとして処理された場合、細胞内に容易に送達されることができる。したがって、本発明の化合物は、「裸の」オリゴヌクレオチドとして式Iの化合物で処理した細胞において、ヒトARプレmRNAにおける「エクソン5」のスキッピングを誘導して、AR「エクソン5」を欠くAR mRNAスプライスバリアント(複数可)を生じる。式Iの化合物は、細胞における標的エクソンのスキッピングを強力に誘導するために、細胞内に送達するためのいかなる手段又は製剤も必要としない。式Iの化合物は、フェムトモル未満の濃度の「裸の」オリゴヌクレオチドとして本発明の化合物で処理した細胞において、AR「エクソン5」のスキッピングを容易に誘導する。
【0056】
良好な細胞又は膜透過性のために、式IのPNA誘導体は、「裸の」オリゴヌクレオチドとして局所投与して、標的皮膚におけるAR「エクソン5」のスキッピングを誘導することができる。式Iの化合物は、局所的な治療的又は生物学的活性のために、経皮送達を増加させるための製剤を必要としない。通常、式Iの化合物は、水及び共溶媒に溶解され、ピコモル未満の濃度で局所的又は経皮的に投与され、標的皮膚において所望の治療的又は生物学的活性を誘発する。本発明の化合物は、局所的治療活性を誘発するために、多量に又は侵襲的に製剤化される必要はない。
【0057】
式Iの化合物は、薬学的に許容可能な酸又は塩基と組み合わせて使用してもよく、薬学的に許容可能な酸又は塩基としては、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、メタンスルホン酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
【0058】
式IのPNA誘導体又はその薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能なアジュバントと組み合わせて対象に投与することができ、薬学的に許容可能なアジュバントとしては、限定されないが、クエン酸、塩酸、酒石酸、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、重炭酸ナトリウム、蒸留水、防腐剤(複数可)などが挙げられる。
【0059】
本発明の化合物は、1aMから1nM超の範囲の治療的又は生物学的に有効な濃度で対象に局所投与することができ、この濃度は、投与スケジュール、対象の症状又は状況などに応じて変わるであろう。
【0060】
好ましいのは、式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、10と21との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのアンドロゲン受容体プレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、独立して、デューテリド、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
X及びYは、独立して、ヒドリド[H]、ホルミル[H-C(=O)-]、アミノカルボニル[NH
2-C(=O)-]、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアリールアミノカルボニル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、又は置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表し;
Zは、ヒドリド、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のアルキル、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され; 及び
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも3つは、独立して、式II、式III、又は式IV:
【0061】
【化6】
によって表される非天然核酸塩基から選択され、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、独立して、ヒドリド、並びに置換若しくは非置換のアルキル基から選択され;
L
1、L
2及びL
3は、塩基性アミノ基を核酸塩基部分に共有結合させる式V:
【0062】
【化7】
によって表される共有結合リンカーであり;
Q
1及びQ
mは、置換又は非置換のメチレン(-CH
2-)基であり、及びQ
mは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q
2、Q
3、…、及びQ
m-1は、独立して、置換若しくは非置換のメチレン、酸素(-O-)、硫黄(-S-)、並びに置換若しくは非置換のアミノ基[-N(H)-、又は-N(置換基)-]から選択され; 及び
mは、1と15との間の整数である、
式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0063】
興味深いのは、式IのPNAオリゴマー、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、10と18との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも9マーの相補的重複を有し;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアルキルアシル、置換若しくは非置換のアリールアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、又は置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル基を表し;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも4つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、独立して、ヒドリド、並びに置換若しくは非置換のアルキル基から選択され;
Q
1及びQ
mは、置換又は非置換のメチレン基であり、及びQ
mは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q
2、Q
3、…、及びQ
m-1は、独立して、置換若しくは非置換のメチレン、酸素、並びにアミノ基から選択され; 及び
mは、1と11との間の整数である、
PNAオリゴマー、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0064】
特に興味深いのは、式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、11と16との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのARプレmRNA配列と少なくとも11マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基から選択され;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、及びシトシンを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも4つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、独立して、ヒドリド、並びに置換若しくは非置換のアルキル基から選択され;
Q
1及びQ
mは、メチレン基であり、及びQ
mは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q
2、Q
3、…、及びQ
m-1は、独立して、メチレン、酸素、及びアミノ基から選択され; 及び
mは、1と10との間の整数である、
PNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0065】
非常に興味深いのは、式IのPNAオリゴマー、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、11と16との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも12マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基から選択され;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及びウラシルを含む天然核酸塩基、並びに非天然核酸塩基から選択され;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも5つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R
1、R
3、及びR
5は、ヒドリド基であり、並びにR
2、R
4、及びR
6は、独立して、ヒドリド、又は置換若しくは非置換のアルキル基を表し;
Q
1及びQ
mは、メチレン基であり、及びQ
mは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q
2、Q
3、…、及びQ
m-1は、独立して、メチレン、酸素基から選択され; 及び
mは、1と10との間の整数である、
PNAオリゴマー、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0066】
さらに非常に興味深いのは、式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、11と16との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも12マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、ヒドリド基であり;
X及びYは、独立して、ヒドリド、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基から選択され;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及び非天然核酸塩基から選択され;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも5つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、ヒドリド基であり;
Q
1及びQ
mは、メチレン基であり、及びQ
mは、塩基性アミノ基に直接結合しており;
Q
2、Q
3、…、及びQ
m-1は、独立して、メチレン、及び酸素基から選択され; 及び
mは、1と8との間の整数である、
PNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0067】
最も興味深いのは、式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
nは、11と15との間の整数であり;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内の[(5'→3')CCUUGCCUGGUAAGGAA]の17マーのRNA配列と少なくとも11マーの相補的重複を有し;
式Iの化合物は、ヒトのARプレmRNA内のプレmRNA配列と完全に相補的であり;
S
1、S
2、…、S
n-1、S
n、T
1、T
2、…、T
n-1、及びT
nは、ヒドリド基であり;
Xは、ヒドリド基であり;
Yは、置換若しくは非置換のアルキルアシル、又は置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル基を表し;
Zは、置換又は非置換のアミノ基を表し;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nは、独立して、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、及び非天然核酸塩基から選択され;
B
1、B
2、…、B
n-1、及びB
nの少なくとも5つは、独立して、式II、式III、又は式IVによって表される非天然核酸塩基から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、ヒドリド基であり;
L
1は、-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-、-CH
2-O-(CH
2)
2-、-CH
2-O-(CH
2)
3-、-CH
2-O-(CH
2)
4-、又は-CH
2-O-(CH
2)
5-を表し、右端は、塩基性アミノ基に直接結合しており; 及び
L
2及びL
3は、独立して、-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-O-(CH
2)
2-、-(CH
2)
2-O-(CH
2)
3-、-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、及び-(CH
2)
8-から選択され、右端は、塩基性アミノ基に直接結合している、
PNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0072】
に提供される化合物の群から選択される、式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩であって、
A、G、T、及びCは、それぞれ、アデニン、グアニン、チミン、及びシトシンの天然核酸塩基を有するPNAモノマーであり;
C(pOq)、A(p)、A(pOq)、G(p)、及びG(pOq)は、それぞれ、式VI、式VII、式VIII、式IX、及び式X
【0073】
【化8】
によって表される非天然核酸塩基を有するPNAモノマーであり;
p及びqは、整数であり; 及び
N末端置換基及びC末端置換基の略語は、以下に具体的に記載される通りであり: 「Fmoc-」は、「[(9-フルオレニル)メチルオキシ]カルボニル-」基の略語であり; 「Fethoc-」は、「[2-(9-フルオレニル)エチル-1-オキシ]カルボニル」基の略語であり; 「Ac-」は、「アセチル-」基の略語であり; 「ベンゾイル-」は、「ベンゼンカルボニル-」基の略語であり; 「Piv-」は、「ピバリル-」基の略語であり; 「メチル-」は、「メチル-」基の略語であり; 「n-プロピル-」は、「1-(n-プロピル)-」基の略語であり; 「H-」は、「ヒドリド-」基の略語であり; 「p-トルエンスルホニル」は、「(4-メチルベンゼン)-1-スルホニル-」基の略語であり; 「-Lys-」は、アミノ酸残基「リジン」の略語であり; 「-Val-」は、アミノ酸残基「バリン」の略語であり; 「-Leu-」は、アミノ酸残基「ロイシン」の略語であり; 「-Arg-」は、アミノ酸残基「アルギニン」の略語であり; 「-Gly-」は、アミノ酸残基「グリシン」の略語であり; 「[N-(2-フェニルエチル)アミノ]カルボニル-」は、「[N-1-(2-フェニルエチル)アミノ]カルボニル-」基の略語であり; 「ベンジル-」は、「1-(フェニル)メチル-」基の略語であり; 「フェニル-」は、「フェニル-」基の略語であり; 「Me-」は、「メチル-」基の略語であり; 及び「-NH
2」は、非置換の「-アミノ」基の略語である、
PNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0074】
図3は、A、G、T、C、C(pOq)、A(p)、A(pOq)、G(p)、及びG(pOq)と略書されるPNAモノマーの化学構造を、まとめて、明確に提供する。先行技術[PCT/KR2009/001256]で論じられているように、C(pOq)は、「グアニン」に対するそのハイブリダイゼーションのために、「修飾シトシン」PNAモノマーと見なされる。A(p)及びA(pOq)は、「チミン」に対するそれらのハイブリダイゼーションのために、「修飾アデニン」PNAモノマーと見なされる。同様に、G(p)及びG(pOq)は、「シトシン」とのそれらの塩基対形成のために、「修飾グアニン」PNAモノマーであると考えられる。
【0075】
図4は、本発明における式IのPNA誘導体のN末端又はC末端を多様化するために使用される置換基についての様々な略語の化学構造を明白に例示する。
【0076】
PNA誘導体の略語を例示するために、「(N→C)Fethoc-GA(5)A-GC(1O2)C-A(5)GG-C(1O2)AA(5)-G-NH
2」と略書されるPNA誘導体の化学構造は、
図5(A)に提供される。別の例示として、「(N→C)ベンゾイル-Lys-Val-C(1O2)TT-A(5)CC-A(5)GG-C(1O2)AA(5)-G-NH
2」と略書されるPNA誘導体の化学構造は、
図5(B)に提供される。
【0077】
「(N→C)Fethoc-GA(5)A-GC(1O2)C-A(5)GG-C(1O2)AA(5)-G-NH
2」の13マーPNA配列は、プレmRNAとのその相補的結合への結合において、「(5'→3')GAA-GCC-AGG-CAA-G」のDNA配列と同等である。この13マーPNAは、ヒトARプレmRNA内の「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーRNA配列
【0078】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けた9マー配列と9マーの相補的重複を有する。「イントロン5」における4つの単一ミスマッチは"uaag"として印を付けられていることに留意する。
【0079】
「(N→C)ベンゾイル-Lys-Val-C(1O2)TT-A(5)CC-A(5)GG-C(1O2)AA(5)-G-NH
2」の13マーPNA配列は、ヒトARプレmRNA内の「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーRNA配列
【0080】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けた13マー配列と13マーの相補的重複を有する、「(5'→3')CTT-ACC-AGG-CAA-G」のDNA配列と同等である。
【0081】
「(N→C)Ac-C(1O2)TT-A(5)CC-A(5)GG-C(1O2)TA(5)-G-NH
2」の13マーPNA配列は、ヒトARプレmRNA内の「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーRNA配列
【0082】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けた12マー配列と12マーの相補的重複を有する、「(5'→3')CTT-ACC-AGG-CTA-G」のDNA配列と同等である。エクソン5における単一ミスマッチは"U"として印を付けられていることに留意する。
【0083】
「(N→C)Fethoc-TTT-TCC(1O2)-TTA(6)-CCA(6)-GG(6)C-A(6)A-NH
2」の17マーPNA配列は、ヒトARプレmRNA内の「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーRNA配列
【0084】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けた17マー配列と17マーの相補的重複を有する、「(5'→3')TTT-TCC-TTA-CCA-GGC-AA」のDNA配列と同等である。
【0087】
に挙げられる特に好ましい化合物の群から選択される、式IのPNA誘導体、又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0088】
発明の詳細な説明
PNAオリゴマーを調製するための一般手順
PNAオリゴマーは、わずかであるが適切な改変を加えた先行技術[US6,133,444; WO96/40685]に開示された方法に従って、Fmoc化学に基づく固相ペプチド合成(SPPS)によって合成した。この研究で使用した固体支持体は、PCAS BioMatrix Inc. (Quebec, Canada)から購入したH-Rink Amide-ChemMatrixであった。修飾核酸塩基を有するFmoc-PNAモノマーは、先行技術[PCT/KR 2009/001256]に記載されているように、又はわずかな改変を加えて合成した。修飾核酸塩基を有するそのようなFmoc-PNAモノマー、及び天然に存在する核酸塩基を有するFmoc-PNAモノマーを使用して、本発明のPNA誘導体を合成した。PNAオリゴマーをC
18逆相HPLC(0.1%TFAを含む水/アセトニトリル又は水/メタノール)によって精製し、質量分析法によって特徴付けた。
【0089】
スキーム1は、本発明のSPPSにおいて採用されている典型的なモノマー伸長サイクルを例示しており、手順の詳細は以下に提供される。しかし、当業者にとって、自動ペプチド合成機又は手動ペプチド合成機上でそのようなSPPS反応を効果的に実行することにおいて、多くのわずかな変形が明らかに可能である。スキーム1の各反応工程は、以下のように簡単に提供される。
【0091】
[H-Rink-ChemMatrix樹脂の活性化] 1.5mLの20%ピペリジン/DMF中の0.01mmol(約20mg樹脂)のChemMatrix樹脂を、20分間、ライブラチューブ(libra tube)中でボルテックスし、脱Fmoc溶液をろ過して除いた。樹脂を、連続して、1.5mLの塩化メチレン(MC)、1.5mLのジメチルホルムアミド(DMF)、1.5mLのMC、1.5mLのDMF、及び1.5mLのMCでそれぞれ30秒間洗浄した。固体支持体上に得られた遊離アミンを、Fmoc-PNAモノマー又はFmoc-保護アミノ酸誘導体のいずれかとのカップリングに供した。
【0092】
[脱Fmoc] 樹脂を、1.5mLの20%ピペリジン/DMF中で7分間ボルテックスし、脱Fmoc溶液をろ過して除いた。樹脂を、連続して、1.5mLのMC、1.5mLのDMF、1.5mLのMC、1.5mLのDMF、及び1.5mLのMCでそれぞれ30秒間洗浄した。固体支持体上に得られた遊離アミンを、直ちにFmoc-PNAモノマーとのカップリングに供した。
【0093】
[Fmoc-PNAモノマーとのカップリング] 固体支持体上の遊離アミンを、Fmoc-PNAモノマーと以下のようにカップリングさせた。0.04mmolのPNAモノマー、0.05mmolのHBTU、及び10mmolのDIEAを、1mLの無水DMF中で2分間インキュベートし、遊離アミンを有する樹脂に添加した。樹脂溶液を1時間ボルテックスし、反応媒体をろ過して除いた。次いで、樹脂を、連続して、1.5mLのMC、1.5mLのDMF、及び1.5mLのMCでそれぞれ30秒間洗浄した。本発明において使用される修飾核酸塩基を有するFmoc-PNAモノマーの化学構造は、
図6に提供される。
図6に提供される修飾核酸塩基を有するFmoc-PNAモノマーは、例と見なされるべきであり、したがって、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。当業者は、式IのPNA誘導体を合成するためのFmoc-PNAモノマーにおけるいくつかの変形を容易に理解し得る。
【0094】
[キャッピング] カップリング反応後、1.5mLのキャッピング溶液(DMF中、5%無水酢酸及び6%2,6-ルチジン)中で5分間振盪することによって、未反応遊離アミンをキャッピングした。次いで、キャッピング溶液を、ろ過して除き、連続して、1.5mLのMC、1.5mLのDMF、及び1.5mLのMCでそれぞれ30秒間洗浄した。
【0095】
[N末端における「Fethoc-」基の導入] 塩基性カップリング条件下で樹脂上の遊離アミンを「Fethoc-OSu」と反応させることによって、「Fethoc-」基をN末端に導入した。「Fethoc-OSu」[CAS番号179337-69-0、C
20H
17NO
5、MW 351.36]の化学構造は、以下のように提供される。
【0097】
[樹脂からの切断] 1.5mLの切断溶液(トリフルオロ酢酸中、2.5%トリ-イソプロピルシラン及び2.5%水)中で3時間振盪することによって、樹脂に結合したPNAオリゴマーを樹脂から切断した。樹脂をろ過して除き、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、逆相HPLCによる精製のために、得られた沈殿物をろ過によって回収した。
【0098】
[HPLC分析及び精製] 樹脂から切断した後、PNA誘導体の粗生成物を、0.1%TFAを含有する水/アセトニトリル又は水/メタノール(勾配法)を溶出するC
18逆相HPLCによって精製した。
図7(A)及び
図7(B)は、それぞれ、HPLC精製の前及び後の「ASO1」の例示的HPLCクロマトグラムである。「ASO1」のオリゴマー配列は、表1に提供されるとおりである。
【0099】
式IのPNA誘導体の合成例
本発明のPNA誘導体は、上に提供された合成手順に従って又はわずかな改変を加えて調製した。表1は、本発明のAR ASOの例を、質量分析法による構造的特徴付けデータと共に提供する。表1におけるAR ASOの提供は、式IのPNA誘導体を例示しようとするものであり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0101】
10マーの相補的DNAに対するPNAの結合親和性
表1におけるPNA誘導体を、N末端又はC末端のいずれかを相補的に標的とする10マーのDNAに対するそれらの結合親和性について評価した。結合親和性を、PNAと、10マーの相補的DNAとの間の二重鎖についてのT
m値によって評価した。表1におけるPNA誘導体と、完全に相補的なDNAとの間の二重鎖は、水性緩衝溶液中で確実に測定するには高すぎるT
m値を示す。緩衝溶液は、T
m測定中に沸騰してなくなる傾向があるからである。
【0102】
T
m値は、以下のようにUV/Vis分光計で測定した。15mLのポリプロピレンファルコンチューブ中の4mLの水性緩衝液(pH7.16、10mMのリン酸ナトリウム、100mMのNaCl)中の4μMのPNAオリゴマー及び4μMの相補的10マーDNAの混合溶液を、90℃で1分間インキュベートし、数分間かけてゆっくりと周囲温度に冷却した。次いで、溶液を気密キャップを備えた3mLの石英UVキュベットに移し、Agilent 8453 UV/可視分光光度計又は先行技術[PCT/KR2009/001256]に記載されている同様のもの又はわずかな改変を加えて、260nmでT
m測定に供した。T
m測定のための10マーの相補的DNAは、Bioneer(www.bioneer.com, Dajeon, Republic of Korea)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0103】
式IのPNA誘導体の観察されたT
m値は、10マーのDNAへの相補的結合に関して非常に高く、表2に提供される。例えば、「ASO5」は、
【0104】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けたPNA内のN末端10マーを標的とする10マーの相補的DNAとの二重鎖について、86.1℃のT
m値を示した。それに対し、「ASO5」は、
【0105】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けたPNA内のC末端10マーを標的とする10マーの相補的DNAとの二重鎖について、81.3℃のT
mを示した。
【0107】
式IのPNA誘導体の生物学的活性の実施例
式IのPNA誘導体を、インビトロ及びインビボでそれらの生物学的活性について評価した。以下に提供される生物学的実施例は、式IのそのようなPNA誘導体の生物学的プロファイルを説明するための例として提供され、したがって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0108】
実施例1. 「ASO5」によって誘導されるエクソンスキッピング
表1に特定される「ASO5」は、ヒトARプレmRNA内の「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーRNA配列
【0109】
において「太字」及び「下線付き」として印を付けた13マー配列と13マーの完全相補的重複を有する13マーのアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0110】
「ASO5」を、MCF7細胞(カタログ番号HTB-22, ATCC)においてAR「エクソン5」のスキッピングを誘導するその能力について、ARネステッドPCRによって評価した。使用した手順を以下のように詳述する。
【0111】
[細胞培養及びASO処理] MCF7細胞は、10%FBS、1%ストレプトマイシン/ペニシリン、及び0.01mg/mlのウシインスリンを補充したEMEM培地中で、5%CO
2雰囲気下、37℃で増殖させた。細胞を、3aM〜3fMの「ASO5」で処理する前に、60mm培養皿中で継代培養した。
【0112】
[RNA抽出] MCF7細胞を「ASO5」の存在下又は非存在下で3時間インキュベートした。全RNAを、「Universal RNA Extraction Kit」(カタログ番号9767, Takara)を用いて、製造業者の説明書に従って、60mm培養皿中の細胞から抽出した。
【0113】
[ワンステップPCRによるcDNA合成] 以下のサイクル条件: 50℃で30分、及び94℃で2分、続いて、94℃で30秒、55℃で30秒、及び72℃で1分の39サイクルに従って、遺伝子特異的プライマーのセット[エクソン3_フォワード: (5'→3')TGGGTGTCACTATGGAGC、及びエクソン9_リバース: (5'→3')GGGTGT-GGAAATAGATGGG]に対する、platinum(登録商標)Taqポリメラーゼを用いたSuper Script(登録商標)ワンステップRT-PCRキット(カタログ番号10928-042, Invitrogen)を用いた25μLの逆転写反応において、100ngのRNA鋳型を使用した。
【0114】
[ネステッドPCR増幅] 増幅プロセスを通して、1つの特定のアニーリング温度ではなく(すなわち、従来のPCR法)、効率的かつ特異的にある温度範囲にわたって機能する独自の増幅技術(サイクルごとにアニーリング温度を増加させるように修正)を使用した。以下のサイクル条件: 最初の10サイクル[94℃で30秒、47℃で40秒(サイクルごとに+0.5℃)、72℃で40秒]、続いて20サイクル[94℃で30秒、50℃で30秒、及び72℃で40秒]に従って、プライマーのセット[エクソン3_フォワード: (5'→3')TGGGTG-TCACTATGGAGC、及びエクソン7n_リバース: (5'→3')GGGGTGATTTGGAGCCAT]に対する、20μLのネステッドPCR(Invitrogen)反応において、1μLのcDNAをさらに増幅した。
【0115】
[エクソンスキッピング生成物の同定] PCR産物を2%アガロースゲル上で電気泳動分離に供した。標的サイズのバンドを回収し、サンガー配列決定(Sanger Sequencing)によって分析した。
図8(A)では、「エクソン5」を欠くAR mRNAスプライスバリアントに割り当て可能な3つの処理関連PCR産物バンドがあった。「ASO5」は、「エクソン5」、「エクソン4〜5」、及び「エクソン4〜6」のスキッピングを誘導することがわかったが、スキッピング生成物の比率は、ASO濃度に依存するようであった。
図8(B)は、サンガー配列決定の例として、
図8(A)における「エクソン4〜5」のスキッピングバンドの実際の配列決定データを提供する。
【0116】
実施例2. 「ASO5」で処理したMCF7細胞におけるAR mRNAレベルのqPCR評価
「ASO5」を、SYBR Green検出を用いたqPCRによって、ヒトAR mRNAを下方制御するその能力について評価した。
【0117】
MCF7細胞を、60mm培養皿中の5mL培養培地中で継代培養し、0zM(陰性対照)〜1aM(各濃度につき2つの培養皿)の「ASO5」で処理した。5時間後、「MiniBEST Universal RNA Extraction Kit」を用いて、製造業者の説明書に従って(カタログ番号9767, Takara)、全RNAを抽出した。500ngのRNA鋳型を使用して、オリゴ-dTを用いた50μLの逆転写反応について製造業者の説明書(カタログ番号6110A, Takara)に従ってcDNAを合成した。次いで、以下のサイクル条件: 94℃で2分、続いて、94℃で15秒、55℃で30秒、及び72℃で2分の15サイクルに従って、「エクソン3」から「エクソン9」に及ぶプライマーのセット[エクソン3_フォワード: (5'→3')TGGGTGTCACTATGGAGC、及びエクソン9_リバース: (5'→3')GGGTG-TGGAAATAGAT-GGG]に対する1回目のPCRに、cDNAを供した。
【0118】
1回目のPCR産物を2,000倍に希釈し、エクソン特異的プライマーセットのセット[エクソン4について、エクソン4_フォワード(q): (5'→3')GACCATGTTTTGCCCATTG及びエクソン4_リバース(q): (5'→3')GGCTCTTTTGAAGAAGACC; エクソン5について、エクソン5_フォワード(q): (5'→3')GAAACAGAAGTA-CCTGTGC及びエクソン5_リバース(q): (5'→3')GTCATCCCTGCTTCATAAC; 並びにエクソン6について、エクソン6_フォワード(q): (5'→3')CGGAAGCTGAAGAAACTTG及びエクソン6_リバース(q): (5'→3')CACTTGACCACGTGTACAAG]に対する20μLのリアルタイムPCR反応に、1μLのそれぞれの希釈したPCR産物を供した。PCR反応は、SYBR Green(Takara, Japan)によってモニターした。サイクル条件: 95℃で3分、続いて、95℃で5秒及び60℃で30秒の40サイクル。
【0119】
図9(A)は、そこから得られたqPCRデータを提供する。ASO濃度が0zMから100zMに増加するにつれて、エクソン4〜6の相対的発現レベルは有意に減少した。100zMでは、エクソンメッセージレベルは、約50〜60%減少した。しかし、1aMでは、エクソンメッセージレベルは、陰性対照(ASO処理なし)のレベル近くまで回復した。qPCRデータの奇妙な用量反応パターンは、「ASO5」によるエクソンスキッピングの間に蓄積された「エクソンイントロン環状RNA(EIciRNA)」による転写上方制御に起因し得る[Nature Struc. Mol. Biol. vol 22(3), 256-264 (2015)]。
【0120】
実施例3. 「ASO1」で処理したMCF細胞におけるAR mRNAレベルのqPCR評価
表1に特定される「ASO1」は、ヒトAR mRNA内の「エクソン5」と「エクソン6」の接合部を相補的に標的とするようにもともと設計されている13マーのアンチセンスオリゴヌクレオチドである。「ASO1」は、ヒトARプレmRNA内の「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーRNA配列
【0121】
において「太字」及び「下線付き」と印を付けた9マー配列と9マーの相補的重複を有する。イントロン5における4つの単一ミスマッチは"uaag"として印を付けられていることに留意する。したがって、「ASO1」は、13マー配列のうち9マーの相補的重複を有するのみであるが、ヒトARプレmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドと見なすことができる。
【0122】
「ASO1」を、「実施例2」に記載のプロトコルに従って、qPCRによってヒトAR mRNAを下方制御するその能力について評価した。
【0123】
図9(B)は、そこから得られたqPCRデータを提供する。ASO濃度が0zMから100zMに増加するにつれて、「エクソン4〜6」の相対的発現レベルは有意に減少した。100zMでは、エクソンメッセージレベルは、80%を超えて減少した。しかし、1aMでは、エクソンメッセージレベルは、陰性対照(ASO処理なし)の約60%まで回復した。qPCRデータの奇妙な用量反応パターンは、「ASO5」によるエクソンスキッピングの間に蓄積された「エクソンイントロン環状RNA(EIciRNA)」による転写上方制御に起因し得る[Nature Struc. Mol. Biol. vol 22(3), 256-264 (2015)]。
【0124】
実施例4. 「ASO10」で処理したMCF細胞におけるAR mRNAレベルのqPCR評価
表1に特定される「ASO10」は、ヒトARプレmRNAの「エクソン5」と「イントロン5」の接合部にまたがる20マーのプレmRNA配列
【0125】
において「太字」及び「下線付き」と印を付けた12マー配列と12マーの完全相補的重複を有する12マーのアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0126】
「ASO10」を、「実施例2」に記載のプロトコルに従って、qPCRによってヒトAR mRNA(全長)を下方制御するその能力について評価した。
【0127】
図9(C)は、そこから得られたqPCRデータを提供する。「エクソン4〜6」の相対的発現レベルは、1zM〜1,000zMの「ASO10」で処理したMCF7細胞において60〜80%有意に減少した。
【0128】
実施例5. 「ASO1」によるAR下方制御のウエスタンブロット分析
MCF7細胞を、5mlの培養培地を含有する60mm培養皿中で継代培養し、0zM(陰性対照)、又は100zM〜300aMの「ASO1」で処理した。4つの培養皿を4つの陰性対照に使用した。48時間後、細胞を冷PBSで2回洗浄し、次いで、1×プロテアーゼ阻害剤(カタログ番号P8340, Sigma)を補充した200μLの1×細胞溶解緩衝液(カタログ番号9803, Cell Signaling Tech)による溶解に供した。溶解物を1.5mlのe-チューブに回収した。200μLの各溶解物を、100μLの3×サンプル緩衝液と混合し、100℃で5分間煮沸した。20μLの各溶解物(合計12個の溶解物、4個の陰性対照及び8個のASO処理サンプル)を8%SDS-PAGEゲル上で電気泳動分離に供し、0.2μmのPVDFメンブレンに転写した。メンブレンを抗AR抗体(カタログ番号5153, Cell Signaling Tech)及び抗β-アクチン抗体(カタログ番号sc4778, Santa Cruz)でプローブした。
図10(A)は、そこから得られたARウエスタンブロットデータを提供する。ウエスタンブロット法の技術的アーチファクトを克服するために、複数の(陰性)対照サンプルを使用した。(陰性)「対照4」についてのARバンドを除いて、ASO処理を伴う溶解物のARバンド強度は、ASO処理を伴わない溶解物のARバンド強度よりもかなり弱く、これは、「ASO1」が、MCF7細胞において全長ARタンパク質の発現を阻害することを明白に示す。
【0129】
実施例6. 「ASO5」によるAR下方制御のウエスタンブロット分析
「ASO5」を、「実施例5」に記載の手順に従って、MCF7細胞において、10zM〜30aMで、ARタンパク質発現を阻害するその能力について評価した。
【0130】
図10(B)は、0zM(陰性対照、ASO処理なし)、又は10zM〜30aMの「ASO5」で処理したMCF7細胞で得られたARウエスタンブロットデータを提供する。ウエスタンブロット法の技術的アーチファクトを克服するために、複数の(陰性)対照サンプルを使用した。ASO処理を伴う溶解物のARバンド強度は、ASO処理を伴わない近隣の溶解物のARバンド強度よりもかなり弱く、これは、「ASO1」が、MCF7細胞において全長ARタンパク質の発現を阻害することを明白に示す。
【0131】
実施例7. マウスにおける「ASO1」の局所投与により促進された毛の成長
「ASO1」を、以下のように、局所投与時にC57BL/6マウスにおいて毛の成長を促進するその能力について評価した。ヒトARプレmRNAにおける「ASO1」の標的配列は、マウスARプレmRNAにおいて保存されている。したがって、マウスにおけるインビボでの治療所見を、あいまいさをほとんど伴わずに、ヒトの場合に外挿し得る。
【0132】
[除毛及び群分け] それぞれ、0日目に、7週齢の雌性C57BL/6マウスを、ゾレチル(zoletil)/ロンプン(rompun)で麻酔し、背部の毛をバリカン及びワックスで切って取り除いた。欠陥のない(すなわち、しみのない)除毛を有するマウスを選択し、3つの群に無作為に割り当てた(群あたり7匹の動物)。
【0133】
[局所投与] 「ASO1」の母保存溶液を、3%(v/v)グリセリンを補充した水性30%(v/v)エタノール中で0.2fM又は1fMに希釈することによって、「ASO1」の局所用溶液を調製した。約100μLの0(陰性対照)、0.2、又は1fMの「ASO1」を、3、7、10、及び14日目に、綿ボールを使用して、各動物の背部に局所投与した。
【0134】
[毛の成長のデジタル画像採点] 毛の成長の採点については、動物を麻酔し、デジタルカメラを用いて固定値の露光時間及び照度で
図11(A)に示すように群ごとに撮影した。各動物の除毛領域のデジタル画像を選択し、「ImageJ」プログラムを使用して、選択した領域にわたる平均輝度についてデジタル方式で採点した。より低い輝度スコアは、より速い毛の成長と見なされる。個々の動物の輝度スコアを群ごとに組み合わせ、スチューデントのt検定による統計分析に供した。
図11(B)は、対照群に対するASO処理群の相対的輝度スコアを要約する。相対的輝度スコアは、処理群において日数と共に減少する傾向があった。13日目に、1fM群は、非処理群よりも輝度スコアが有意に低かった。したがって、「ASO1」は、1fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0135】
[毛の重量による採点] 21日目に、動物を麻酔し、背部の毛をバリカンで切った。個々の動物からの毛のサンプルを群ごとに組み合わせ、秤量して、0日目と21日目との間の毛の成長を評価した。平均毛重量は、対照群で70.5mg/動物、0.2fM処理群で90.8mg/動物、及び1fM処理群で94.4mg/動物であった。したがって、「ASO1」は、1fMだけでなく0.2fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0136】
[皮膚サンプルのAR IHC] 21日目の剃毛後、マウスは、その群に従って、ビヒクル又は「ASO1」のいずれかの単一局所投与を受けた。24日目に、除毛を有する領域の皮膚を、アンドロゲン受容体に対する免疫組織化学(IHC)分析のためにサンプリングした。皮膚サンプルを、凍結切片化し、連続して、1:100希釈の一次抗AR抗体(カタログ番号sc-816, Santa Cruz)、1:200希釈の二次抗IgG(カタログ番号BA-1100, Vector)、及び次いで赤色蛍光タグ化のための1:200希釈のDylight 594-ストレプトアビジン(カタログ番号SA-5594, Vector, CA, USA)を用いた免疫染色に供した。「ASO1」による局所処理時のAR発現レベルの変化について、IHC画像を、Olympus蛍光顕微鏡で撮影した。
【0137】
図12は、毛包におけるAR発現が、0.2fM又は1fMの「ASO1」の局所投与時に毛包において顕著に阻害されたことを実証するAR IHC画像の代表的なセットである。DAPI染色画像は、IHC画像における毛包の位置を示すために提供された。0.2fM又は1fMの「ASO1」の局所投与時に、真皮下の筋肉層においてさえも、AR発現が減少したことに注目することは興味深い。したがって、「ASO1」は、局所投与時に真皮及び真皮下の筋肉層に容易に送達され、ARの発現を強力に阻害する。
【0138】
実施例8. マウスにおける「ASO5」の局所投与により促進された毛の成長
「ASO5」を、以下に詳述するように、局所投与時にC57BL/6マウスにおいて毛の成長を促進するその能力について評価した。ヒトARプレmRNAにおける「ASO5」の標的配列は、マウスARプレmRNAにおいて保存されている。したがって、マウスにおけるインビボでの治療所見を、あいまいさをほとんど伴わずに、ヒトの場合に外挿し得る。
【0139】
[除毛及び群分け] それぞれ、0日目に、7週齢の雌性C57BL/6マウスを、ゾレチル/ロンプンで麻酔し、背部の毛をバリカン及びワックスで切って取り除いた。欠陥のない(すなわち、しみのない)除毛を有するマウスを選択し、3つの群に無作為に割り当てた(群あたり10匹の動物)。
【0140】
[局所投与] 「ASO5」の母保存溶液を、3%(v/v)グリセリンを補充した水性30%(v/v)エタノール中で1、5、又は25fMに希釈することによって、「ASO5」の局所用溶液を調製した。約100μLの各ASO溶液又はビヒクル(陰性対照)を、3、7、10、14、及び21日目に、綿ボールを使用して、動物の背部に局所投与した。
【0141】
[毛の成長のデジタル画像採点]
図13は、陰性対照群に対するASO処理群の相対的輝度スコアを要約する。相対的輝度スコアは、ASO処理群において日数と共に減少する傾向があった。17日目に、1fM及び25fMの処理群は、非処理群よりも輝度スコアが有意に低かった。したがって、「ASO5」は、1〜25fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0142】
[毛の重量による採点] 21日目に、動物を麻酔し、背部の毛を切り取って、回収した。個々の動物からの毛のサンプルを群ごとに組み合わせ、秤量して、0日目と21日目との間の毛の成長を評価した。処理群は、対照群と比較して、毛重量の顕著な増加をもたらした。1fM、5fM、及び25fM群の平均毛重量は、それぞれ、陰性対照群の293%、306%、及び278%であった。したがって、「ASO5」は、1〜25fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0143】
21日目の剃毛後、動物は、ビヒクル、又は1fM、5fM、若しくは25fMの「ASO5」のいずれかの単一局所投与を受けた。53日目に、背部の毛をバリカンで剃って回収し、21日目と53日目との間の毛の成長の総量を決定した。1fM、5fM、及び25fM群の平均毛重量は、それぞれ、非処理群の1,630%、1,450%、及び771%であった。したがって、「ASO5」は、1〜25fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0144】
実施例9. マウスにおける「ASO10」の局所投与により促進された毛の成長
「ASO10」を、以下に詳述するように、局所投与時にC57BL/6マウスにおいて毛の成長を促進するその能力について評価した。ヒトARプレmRNAにおける「ASO10」の標的配列は、マウスARプレmRNAにおいて保存されている。したがって、マウスにおけるインビボでの治療所見を、あいまいさをほとんど伴わずに、ヒトの場合に外挿し得る。
【0145】
[除毛及び群分け] それぞれ、0日目に、7週齢の雌性C57BL/6マウスを、ゾレチル/ロンプンで麻酔し、背部の毛をバリカン及びワックスで切って取り除いた。欠陥のない(すなわち、しみのない)除毛を有するマウスを選択し、3つの群に無作為に割り当てた(群あたり9匹の動物)。
【0146】
[局所投与] 「ASO10」の母保存溶液を、3%(v/v)グリセリンを補充した水性30%(v/v)エタノール中で1、5、又は25fMに希釈することによって、「ASO10」の局所用溶液を調製した。約100μLの各ASO溶液又はビヒクル(陰性対照)を、2日目に、綿ボールを使用して、動物の背部に局所投与した。
【0147】
[毛の成長のデジタル画像採点]
図14(A)は、対照群に対するASO処理群の相対的輝度スコアを要約する。相対的輝度スコアは、処理群において日数と共に減少する傾向があった。27日目に、1fM及び5fMの処理群は、非処理群よりも輝度スコアが有意に低かった。したがって、「ASO10」は、1〜5fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0148】
[毛の重量による採点] 27日目に、動物を麻酔し、背部の毛を切り取って、回収した。個々の動物からの毛のサンプルを群ごとに組み合わせ、秤量して、0日目と27日目との間の毛の成長を評価した。処理群は、対照群と比較して、毛重量の適度な増加をもたらした。1fM、5fM、及び25fM群の平均毛重量は、それぞれ、非処理群の115%、114%、及び119%であった。したがって、「ASO10」は、1〜25fMでの局所投与時に毛の成長を促進すると結論付けられた。
【0149】
[皮膚サンプルのAR免疫組織化学] 27日目の毛の切断後、動物は、27日目及び29日目に、ビヒクル、又は1、5、若しくは25fMの「ASO10」のいずれかをさらに局所的に受けた。アンドロゲン受容体に対する免疫組織化学分析のために、背部の皮膚サンプルを30日目に回収した。皮膚サンプルを、「実施例7」に記載されているように、アンドロゲン受容体に対する免疫染色に供した。IHC画像は、Zeissスライドスキャナーで撮影した。
図14(B)は、AR IHC画像の代表的なセットである。毛包の数が、ASO処理群において、陰性対照群と比較して顕著に増加したことに注目することは興味深い。処理群における毛包の数の顕著な増加に起因して、処理群において毛包におけるAR発現が減少したことを明確に述べることは困難であろう。それにもかかわらず、真皮下の筋肉層におけるAR発現は、処理群において、対照群と比較して顕著に減少した。最も注目に値する減少は、5fM処理群で観察された。「ASO10」で処理した動物におけるIHC所見をまとめると、「ASO10」は、試験した全ての用量で、最も顕著には5fMで、AR発現を阻害して、毛包の数を増加させることによって毛の成長を促進する。
【0150】
実施例10. 「ASO10」で処理したMCF7細胞におけるTaqManアッセイによるAR mRNAレベルのqPCR評価
「ASO10」を、TaqManプローブを採用するqPCRによって、ヒトAR mRNAを下方制御するその能力について評価した。
【0151】
MCF7細胞を、60mm培養皿中の5mL培養培地中で継代培養し、0zM(陰性対照)〜1aM(各濃度につき2つの培養皿)の「ASO10」で処理した。24時間後、「MiniBEST Universal RNA Extraction Kit」によって、製造業者の説明書に従って(カタログ番号9767, Takara)、全RNAを抽出した。
【0152】
以下のサイクル条件: 50℃で30分、及び94℃で2分、続いて、94℃で30秒、50℃で30秒、及び72℃で1分の15サイクルに従って、エクソン特異的プライマーのセット[エクソン3_フォワード: (5'→3')TGGGTGTCACTATGGAGC; 及びエクソン9_リバース: (5'→3')GGGTGT-GGAAATAGATGGG]に対する、ワンステップRT-PCRキット(Invitrogen)を用いた20μLの逆転写反応について、400ngのRNA鋳型を使用して、cDNAを合成した。
【0153】
cDNA溶液を50倍に希釈し、以下のサイクル条件: 95℃で3分、続いて、95℃で15秒及び60℃で30秒の40サイクルに従って、エクソン特異的プライマーのセット[エクソン4_フォワード: (5'→3')TTGTCCATCTTGTCGTCTT; 及びエクソン5_リバース: (5'→3')CCTCTC-CTTCCTCCTGTA]に対する20μLのリアルタイムPCR反応に、1μLのそれぞれの希釈したPCR産物を供した。qPCR反応は、TaqManプローブ[(5'→3')TTTCTTCAG-ZEN-CTTCCGGGCTC-3IABkFQ]を用いてモニターした。
【0154】
図15は、そこから得られたqPCRデータを提供する。エクソン4〜6の相対的発現レベルは、1zM〜1aMの「ASO10」で処理したMCF7細胞において約50〜70%有意に減少した。
【0155】
実施例11. 「ASO10」を皮下投与したマウスにおけるIHCによるAR発現の下方制御
「ASO10」を、以下のように、マウスにおけるAR発現を阻害するその能力について評価した。
【0156】
12週齢の雄性のC57BL/6マウスを、陰性対照(ASO処理なし)、0.01pmole/Kgの「ASO10」、及び0.1pmole/Kgの「ASO10」の3つの群に無作為に割り当てた(群あたり3匹の動物)。マウスは、投与群に従って、ビヒクル、又はビヒクル(PBS)に溶解したASOのいずれかを週2回、4週間、皮下に受けた。最終投与の3日後、動物をゾレチル/ロンプンで麻酔し、パラフィンブロックによるAR IHCのための組織又は臓器サンプリングに供した。
【0157】
ARタンパク質を、連続して、1:100希釈の一次抗体(カタログ番号sc-816, Santa Cruz)、1:200希釈の二次抗ウサギIgG(カタログ番号BA-1100, VECTOR)、及び1:200のDylight 594-ストレプトアビジン(カタログ番号SA-5594, VECTOR)を用いてプローブした。核をDAPIで染色した。IHC蛍光画像は、Zeissスライドスキャナーで撮影した。
【0158】
図16は、ARタンパク質を豊富に発現することが知られている組織を用いて得られたAR IHC画像(赤)を提供する。IHC画像は、DAPI(青色)と共局在化して提供されることに留意する。「ASO10」への慢性的皮下曝露時に、ASO用量が0.01pmole/Kgから0.1pmole/Kgまで増加するにつれて、AR発現は、注射部位の遠位の表皮、肝臓、精巣、及び前立腺において顕著に減少した。したがって、「ASO10」は、全身曝露時にマウスにおけるARタンパク質発現を明白に阻害する。
【国際調査報告】