特表2019-528108(P2019-528108A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-528108マイクロニードルパッチ、この製造方法及びこれをアレルギー疾患診断のために操作する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-528108(P2019-528108A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】マイクロニードルパッチ、この製造方法及びこれをアレルギー疾患診断のために操作する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20190913BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 39/35 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20190913BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
   A61M37/00 530
   A61M37/00 514
   A61M37/00 520
   A61M37/00 505
   A61K9/70 401
   A61K39/35
   A61K39/00 Z
   A61P37/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-507740(P2019-507740)
(86)(22)【出願日】2017年7月3日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月19日
(86)【国際出願番号】KR2017007030
(87)【国際公開番号】WO2018030639
(87)【国際公開日】20180215
(31)【優先権主張番号】10-2016-0103053
(32)【優先日】2016年8月12日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】519184712
【氏名又は名称】プロラゲン カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515167539
【氏名又は名称】ラパス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAPHAS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、クワン フン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジュン ユー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、セオ ヘヨング
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホン キー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ドン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヤン ギ
(72)【発明者】
【氏名】キム、セオン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ド ヒョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA73
4C076BB31
4C076CC07
4C085AA02
4C085BA01
4C085BB03
4C085BB04
4C267AA72
4C267BB06
4C267BB25
4C267CC01
4C267EE08
4C267FF10
4C267GG02
4C267GG12
4C267GG16
4C267GG43
(57)【要約】
本発明は、個体の真皮層に簡便でかつ効果的にアレルゲンを注入することができるアレルギー疾患診断及び治療用マイクロニードルパッチ、この製造方法及びこれをアレルギー疾患診断のために操作する方法に関する。本発明の実施例によるマイクロニードルパッチは、アレルゲンを個体に注入するように構成された複数のマイクロニードル及び前記複数のマイクロニードルを支持するパッドを含む。本発明の実施例によるマイクロニードルパッチによると、個体の真皮層に簡便でかつ効果的にアレルゲンを注入することができ、患者に大きな苦痛を与えることなく、簡便でかつ効率的にアレルギー疾患を診断したり治療することができる。また、マイクロニードルパッチに含有されたアレルゲンの種類及び含量を調節することで、正確にアレルギー疾患を診断したり治療することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルゲンを個体に注入するように構成された複数のマイクロニードルと、
前記複数のマイクロニードルを支持するパッドとを含む、マイクロニードルパッチ。
【請求項2】
前記複数のマイクロニードルは、生分解性マイクロニードルであり、
前記アレルゲンは、前記複数のマイクロニードルに含まれ、前記複数のマイクロニードルの生分解によって前記個体に注入される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項3】
前記複数のマイクロニードルは、ヒアルロン酸を含む、請求項2に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項4】
前記複数のマイクロニードルは、中空のマイクロニードルであり、
前記アレルゲンは、前記パッドに含まれ、前記中空のマイクロニードルを貫通して前記個体に注入される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項5】
前記アレルゲンは、コナヒョウヒダニ、カビ、花粉、動物の毛、金属、プラスチック、ゴム、薬物、微生物及び食べ物からなる群より選ばれたいずれか一つまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項6】
前記アレルゲンは、コナヒョウヒダニを含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項7】
前記コナヒョウヒダニは、D.farinae種である、請求項6に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項8】
前記アレルゲンは、パッチ当り5μg以上含まれる、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項9】
前記アレルゲンは、パッチ当り10μg以上含まれる、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項10】
前記アレルゲンは、前記マイクロニードルパッチの製造後に4週期間の経過時点に少なくとも最初のアレルゲン含有量の60%以上で維持される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項11】
前記アレルゲンは、前記マイクロニードルパッチの製造後に8週期間の経過時点に少なくとも最初のアレルゲン含有量の60%以上で維持される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項12】
前記複数のマイクロニードルは、前記個体に挿入された後3時間以内に少なくとも90%以上生分解される、請求項2に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項13】
前記複数のマイクロニードルに含まれたアレルゲンと同一の種類のアレルゲンを含むアレルゲン塗布層をさらに含む、請求項2に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項14】
前記アレルゲン塗布層は、前記複数のマイクロニードルと前記パッドとの間で前記パッドを覆うように形成される、請求項13に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項15】
前記アレルゲン塗布層は、前記複数のマイクロニードルを覆うように形成される、請求項13に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項16】
前記複数のマイクロニードルの長さは、200μm以上350μm以下である、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項17】
第1基板上の互いに離隔した複数の地点にアレルゲンを含む粘性組成物をスポッティングする段階と、
前記スポッティングされた複数の粘性組成物に第2基板を接触する段階と、
前記第1基板と前記第2基板との間の垂直方向距離を相対的に離隔させて前記粘性組成物を引っ張る段階と、
前記引っ張られた粘性組成物を凝固する段階と、
前記凝固された粘性組成物を切断して複数のマイクロニードルを形成する段階とを含む、マイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項18】
第1基板及び第2基板上の互いに離隔した複数の地点にアレルゲンを含む粘性組成物をスポッティングする段階と、
前記第1基板にスポッティングされた複数の粘性組成物の位置と前記第2基板にスポッティングされた複数の粘性組成物の位置とが互いに対応するように、前記第1基板及び前記第2基板をアラインする段階と、
前記第1基板にスポッティングされた複数の粘性組成物に前記第2基板にスポッティングされた複数の粘性組成物を接触する段階と、
前記第1基板と前記第2基板との間の垂直方向距離を相対的に離隔させて前記粘性組成物を引っ張る段階と、
前記引っ張られた粘性組成物を凝固する段階と、
前記凝固された粘性組成物を切断して複数のマイクロニードルを形成する段階とを含む、マイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載のマイクロニードルパッチの製造方法において、
前記形成されたマイクロニードルに前記アレルゲンと同一の種類のアレルゲンを含む組成物を塗布する段階をさらに含む、マイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項20】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のマイクロニードルパッチをアレルギー疾患の診断のために操作する方法であって、
生体の事前設定された領域に前記マイクロニードルパッチを付着する段階と、
事前設定された時間経過後に前記付着したマイクロニードルパッチを除去する段階と、
前記事前設定された領域と前記事前設定された領域と隣接した領域とを比較してアレルギー反応を確認する段階とを含む、方法。
【請求項21】
前記アレルギー反応を確認する段階は、
前記事前設定された領域と前記隣接した領域とのイメージをそれぞれ獲得する段階と、
前記獲得されたイメージを処理する段階と、
前記処理されたイメージを通じてアレルギー反応を確認する段階とを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチ、この製造方法及びこれをアレルギー疾患診断のために操作する方法に関し、さらに詳しくは、個体の真皮層に簡便でかつ効果的にアレルゲンを注入することができるアレルギー疾患診断及び治療用マイクロニードルパッチ、この製造方法及びこれをアレルギー疾患診断のために操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体は、異種物質に対してその抗原に特異的に反応する抗体とリンパ球を生産し、再び抗原と接すると様々な免疫反応を起こす。この免疫反応は、生体の自己保存のための重要な防御メカニズムであり、一般的に生体に対して保護的に作用する。
【0003】
しかし、このような免疫反応が花粉、薬物、食べ物、動物の毛、コナヒョウヒダニ、食品添加物のように生体に有害でない物質にも誘発されて生体に有害に作用する場合があるが、このような免疫過敏反応をアレルギー(allergy)という。アレルギーによって気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、むくみ、アトピー性皮膚炎、薬疹、アナフィラキシーショックのような疾患が発生し得る。
【0004】
通常、アレルギーが疑われる患者のアレルギー誘発物質(以下、アレルゲン(allergen))を糾明するために、疑われるアレルゲンを選択して皮膚組織内に注入した後、膨疹と発疹のような皮膚反応を察する皮膚プリックテスト(skin prick test)を行うか、患者の血液を採取して数十種のアレルゲンに対する同時検査を実施する多重選別検査(multiple allergen simultaneous test;MAST)を行うなどによりアレルギー診断が行なわれている。
【0005】
しかし、皮膚プリックテストは、皮膚を通じて注射針が挿入されて、診断時に患者に相当な苦痛を与えるだけでなく、診断者の注入方式などによって診断結果が変わる場合があり、正確な診断が難しいという限界点を持つ。多重選別検査は、患者から血液を採取して実験室で別途に行われる検査であり、診断結果の正確性は高くても、検査にかかる費用が大きく、検査時点から結果を確認するまで長時間が所要されるという限界点がある。
【0006】
このような限界点を改善するために、アレルゲンが塗布されているパッチを直接皮膚に付着して皮膚反応を察するパッチ検査(patch test)が導入された(先行特許文献1参照)。しかし、このようなパッチによると、アレルゲンが表皮層を通り真皮層に注入されてアレルギー反応が起こるまでおおよそ48時間〜96時間程度の長時間が所要されるため、患者がこのようなパッチを付ける場合、シャワーなどの日常生活に不便があるという問題点が発生する。
【0007】
そこで、患者に苦痛や不便を与えることなく、アレルゲンを真皮層に効果的に注入することができるアレルゲン注入方法または装置に対する必要性が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出されたもので、本発明は、個体の真皮層に簡便でかつ効果的にアレルゲンを注入することができ、構造的に簡単であり、簡便にアレルギー疾患を診断したり治療することができるマイクロニードルパッチを提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明は、このようなマイクロニードルパッチを製造する方法及びこのようなマイクロニードルパッチを利用したアレルギー疾患を診断する方法を提供することにその目的がある。
【0010】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されなかったまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の実施例によるマイクロニードルパッチは、アレルゲンを個体に注入するように構成された複数のマイクロニードル及び前記複数のマイクロニードルを支持するパッドを含む。
【0012】
本発明の実施例による他の特徴によると、前記マイクロニードルは、生分解性マイクロニードルであり、前記アレルゲンは、前記マイクロニードルに含まれ、前記マイクロニードルの生分解によって前記個体に注入されることができる。
【0013】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記マイクロニードルは、ヒアルロン酸を含むことができる。
【0014】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記マイクロニードルは、中空のマイクロニードルであり、前記アレルゲンは、前記パッドに含まれ、前記中空のマイクロニードルを貫通して前記個体に注入されることができる。
【0015】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記アレルゲンは、コナヒョウヒダニ、カビ、花粉、動物の毛、金属、プラスチック、ゴム、薬物、微生物及び食べ物からなる群より選ばれたいずれか一つまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記アレルゲンは、コナヒョウヒダニを含むことができる。
【0017】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記コナヒョウヒダニは、D.farinae種であることができる。
【0018】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記アレルゲンは、パッチ当り5μg以上含まれることができる。
【0019】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記アレルゲンは、パッチ当り10μg以上含まれることができる。
【0020】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記アレルゲンは、前記パッチの製造後に4週期間の経過時点に少なくとも最初のアレルゲン含有量の60%以上で維持されることができる
【0021】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記アレルゲンは、前記パッチの製造後に8週期間の経過時点に少なくとも最初のアレルゲン含有量の60%以上で維持されることができる。
【0022】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記マイクロニードルは、前記個体に挿入された後3時間以内に少なくとも90%以上生分解されることができる。
【0023】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記マイクロニードルに含まれたアレルゲンと同一の種類のアレルゲンが分散された塗布層をさらに含むことができる。
【0024】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記塗布層は、前記マイクロニードルと前記パッドとの間で前記パッドを覆うように形成されることができる。
【0025】
本発明の実施例によるまた他の特徴によると、前記塗布層は、前記マイクロニードルを覆うように形成されることができる。
【0026】
本発明の実施例によるさらに他の特徴によると、前記マイクロニードルの長さは、200μm以上350μm以下であることができる。
【0027】
上記課題を解決するための本発明の実施例によるマイクロニードルパッチの製造方法は、第1基板上の互いに離隔した複数の地点にアレルゲンを含む粘性組成物をスポッティングする段階と、前記スポッティングされた複数の粘性組成物に第2基板を接触する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間の垂直方向距離を相対的に離隔させて前記粘性組成物を引っ張る段階と、前記引っ張られた粘性組成物を凝固する段階と、前記凝固された粘性組成物を切断して複数のマイクロニードルを形成する段階とを含むことができる。
【0028】
上記課題を解決するための本発明の実施例によるマイクロニードルパッチの他の製造方法は、第1基板及び第2基板上の互いに離隔した複数の地点にアレルゲンを含む粘性組成物をスポッティングする段階と、前記第1基板にスポッティングされた複数の粘性組成物の位置と前記第2基板にスポッティングされた複数の粘性組成物の位置とが互いに対応するように、前記第1基板及び前記第2基板をアラインする段階と、前記第1基板にスポッティングされた複数の粘性組成物に前記第2基板にスポッティングされた複数の粘性組成物を接触する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間の垂直方向距離を相対的に離隔させて前記粘性組成物を引っ張る段階と、前記引っ張られた粘性組成物を凝固する段階と、前記凝固された粘性組成物を切断して複数のマイクロニードルを形成する段階とを含むことができる。
【0029】
本発明の実施例による他の特徴によると、前記形成されたマイクロニードルに前記アレルゲンと同一の種類のアレルゲンを含む組成物を塗布する段階をさらに含むことができる。
【0030】
上記の課題を解決するための本発明の実施例によるアレルギー疾患の診断方法は、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを利用して、生体の事前設定された領域に前記マイクロニードルパッチを付着する段階と、事前設定された時間経過後に前記付着したマイクロニードルパッチを除去する段階と、前記事前設定された領域と前記事前設定された領域と隣接した領域とを比較してアレルギー反応を確認する段階とを含むことができる。
【0031】
本発明の実施例による他の特徴によると、前記アレルギー反応を確認する段階は、前記事前設定された領域と前記隣接した領域とのイメージをそれぞれ獲得する段階と、前記獲得されたイメージを処理する段階と、前記処理されたイメージを通じてアレルギー反応を確認する段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の実施例によるマイクロニードルパッチによると、個体の真皮層に簡便でかつ効果的にアレルゲンを注入することができ、患者に大きな苦痛を与えることなく、簡便でかつ効率的にアレルギー疾患を診断したり治療することができる。また、マイクロニードルパッチに含有されたアレルゲンの種類及び含量を調節することで、正確にアレルギー疾患を診断したり治療することができ、高濃度でアレルゲンが含有されたマイクロニードルパッチを使用することで、より効果的にアレルギー疾患を診断したり治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の多様な実施例によるマイクロニードルパッチ及びそれぞれのアレルゲン注入機作を示した平面図である。
【0034】
図2】本発明の実施例による生分解性マイクロニードルパッチの多様な形態を示した平面図である。
【0035】
図3図2の(a)及び(b)に示したマイクロニードルパッチの製造方法を示したフローチャートである。
【0036】
図4図2の(c)に示したマイクロニードルパッチの製造方法を示したフローチャートである。
【0037】
図5図2の(d)に示したマイクロニードルパッチの製造方法を示したフローチャートである。
【0038】
図6】D.farinae種のコナヒョウヒダニアレルゲンが10μg含有されたマイクロニードルの写真である。
【0039】
図7】アレルゲン含量の増加による血清内IgE(immunoglobulin E)の濃度変化及び450nm波長の吸光度変化を測定して示した実験グラフである。
【0040】
図8】製造されたマイクロニードルパッチに放射線滅菌過程を経た後、パッチ内に含有されたアレルゲンの濃度変化を測定して示した実験グラフである。
【0041】
図9】時間経過によるアレルゲンの濃度変化を測定して示した実験グラフである。
【0042】
図10】個体の皮膚に本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを付着した後、時間経過によるマイクロニードルの生分解過程を示した写真である。
【0043】
図11】真皮層におけるMHC2マーカーとD.farinaeアレルゲンの活性度を測定して示した写真である。
【0044】
図12】本発明の実施例によるマイクロニードルパッチと従来のパッチとを個体の皮膚にそれぞれ付着した後、効果を比較して示した写真である。
【0045】
図13】本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを使用してアレルギー疾患を診断する方法を示したフローチャートである。
【0046】
図14図13のアレルギー反応を確認する段階を具体的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳しく後述する実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され、単に本実施例は本発明の開示を完全にして、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0048】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであるので、本発明が図示した事項に限定されるものではない。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳しい説明は省略する。
【0049】
本明細書上で言及された「含む」、「有する」、「なる」などが使用される場合、「〜のみ」が使用されない限り、他の部分が追加されることができる。構成要素を単数で表現した場合に特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。構成要素を解釈するにあたって、別途の明示的記載がなくても誤差範囲を含むと解釈する。
【0050】
明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指称する。
【0051】
図面で示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために図示したものであり、本発明が図示した構成の大きさ及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0052】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、当業者が充分に理解できるように技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立的に実施可能であってもよく、連関関係で共に実施可能であってもよい。
【0053】
一方、本発明において「アレルギー」は、特定のアレルゲンに対する反応がこれを表す宿主自分に有害な全ての形態の免疫学的な過敏反応と、これにより発生する現象を指称する。最近、個体の外部環境に存在するアレルゲンに対するIgE抗体−媒介型即時型過敏反応(hypersensitivity reaction type I)をアレルギー反応と狭く指称することもあるが、本発明において、アレルギー反応はこれに限定されるものではなく、個体の外部及び内部に存在する全てのアレルゲンに対する過敏反応(type I−IV)を含む広い意味のアレルギー反応として解釈しなければならない。
【0054】
従って、本発明において「アレルゲン」は、個体内で上述した免疫過敏反応を誘発し得る全ての種類の物質を意味し、外部的アレルゲンと内部的アレルゲン(即ち、自家アレルゲン)のいずれの種類に限定されず、個体内で免疫過敏反応を誘発する物質を意味することができる。従って、本発明におけるアレルゲンは、コナヒョウヒダニ、カビ、花粉、動物の毛、金属、プラスチック、ゴム、薬物、微生物、食べ物、自家タンパク質のようなタンパク質系列またはコリン系列の物質がなす群中から選ばれたいずれか一つまたはこれらの組み合わせであることができる。以下では、説明の便宜上、アレルゲンをD.farinae種のコナヒョウヒダニと想定して記述するが、本発明の実施例によるアレルゲンがこれに限定されるものではないという点に留意しなければならない。
【0055】
以下、添付の図1及び図2を参照して、本発明の多様な実施例によるマイクロニードルパッチについて説明する。
【0056】
図1は、本発明の多様な実施例によるマイクロニードルパッチ及びそれぞれのアレルゲン注入機作を示した平面図であり、図2は、本発明の実施例による生分解性マイクロニードルパッチの多様な形態を示した平面図である。
【0057】
図1を参照すると、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチ100a、100b、100c、100dは、アレルゲン10を個体に注入するように構成された複数のマイクロニードル110a、110b、110c、110d及び複数のマイクロニードルを支持するパッド120a、120b、120c、120dを含んで構成される。
【0058】
また、多様な実施例によるマイクロニードルパッチは、パッド120a、120b、120c、120dに重ねて纎維機織または不織布シートをさらに含んでもよく、パッチが個体の皮膚に付着する場合、マイクロニードルパッチが動かないようにするためにパッド120a、120b、120c、120dに接着部がさらに形成されてもよい。
【0059】
図1の(a)は、ソリッドタイプ(solid type)のマイクロニードルパッチ100aと、該タイプのマイクロニードルを使用して個体の皮膚1内にアレルゲン10を注入する方法を示す。ソリッドタイプのマイクロニードル110aは、皮膚1にチャンネルを生成させてアレルゲン10の通路を作り、アレルゲン10が含まれた別途のパッチを該チャンネル上に付着することで、アレルゲン10が個体の皮膚1内に注入可能にする。
【0060】
図1の(b)は、コーティングタイプ(coated type)のマイクロニードルパッチ100bと、該タイプのマイクロニードル110bを使用して個体の皮膚1内にアレルゲン10を注入する方法を示す。コーティングタイプのマイクロニードル110bは、上述したソリッドタイプのマイクロニードル110a上にアレルゲン10が含まれた組成物が塗布されており、パッチを個体に付着する場合、塗布されたアレルゲン10が皮膚1内に注入可能にする。
【0061】
図1の(c)は、生分解タイプ(dissolving type)のマイクロニードルパッチ100cと、該タイプのマイクロニードル110cを使用して個体の皮膚1内にアレルゲン10を注入する方法を示す。生分解タイプのマイクロニードル110cは、個体の皮膚1内で生分解され、アレルゲン10が注入されるようにする。生分解タイプのマイクロニードルパッチ100cについては、図2を参照してより具体的に後述する。
【0062】
図1の(d)は、中空タイプ(hollow type)のマイクロニードルパッチ100dと、該タイプのマイクロニードル110dを使用して個体の皮膚1内にアレルゲン10を注入する方法を示す。中空タイプのマイクロニードル110dは、パッド120dに含まれたアレルゲン10が貫通する通路を提供し、該通路によって移動されたアレルゲン10が皮膚1に注入可能にする。
【0063】
このようなソリッドタイプ100a、コーティングタイプ100b、生分解タイプ100c、中空タイプのマイクロニードルパッチ100dは、互いに異なるアレルゲン10注入方式を有するが、アレルギー反応を起こすアレルゲン10を個体の皮膚1内に注入可能なことは同一であるので、本発明の実施例によるマイクロニードルパッドは、上述した図1の(a)〜(d)タイプが全て適用されることができる。
【0064】
図2を参照すると、図1の(c)のような生分解性マイクロニードルパッチ100cは、多様な変形例によって形成されることができる。
【0065】
生分解性マイクロニードルパッチ20、20'、20"は、複数の生分解性マイクロニードル21、21'、21"及びこれを支持するパッド22、22'、22"を含む。さらに、本発明の実施例による生分解性マイクロニードルパッチ20、20'、20"は、アレルゲン塗布層23'、23"をさらに含んで構成されることができる。
【0066】
複数の生分解性マイクロニードル21、21'、21"は、アレルゲン10を含み、生体内で体液、酵素または微生物などによって分解されることができる物質で構成される。ここで、生分解は、生体内にアレルゲン10が注入されて体液に溶解されるものと、体内の酵素などによって生分解されるものを全て包括すると解釈されることができる。
【0067】
この時、マイクロニードル21、21'、21"は、個体に挿入時に副作用を最小化し、効果的に薬物を伝達することができる生分解性物質で形成されることが好ましい。このような物質は、好ましくはヒアルロン酸(hyaluronic acid ;HA)であることができる。
【0068】
但し、これに限定されるものではなく、生分解性マイクロニードル21、21'、21"は、キトサン(chitosan)、コラーゲン(collagen)、ゼラチン(gelatin)、ミリスチン酸(myristic acid)、ベヘン酸(behenic acids)、セルロースまたはその誘導体、マルトース、デキストリン、グルコサミン、ヘパリン、ポリリジン(polylysine)、その他の動物性ワックスなどのような生体由来可溶性物質で形成されてもよく、ポリビニルピロリドン(PVP);ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ乳酸(polylactic acid)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid)などのような生体適合物質で形成されることもできる。さらに、上述したものに限らず、公知された任意の生分解性物質で形成可能なことは勿論である。
【0069】
パッド22、22'、22"は、複数のマイクロニードル21、21'、21"を支持するためにマイクロニードル21、21'、21"と連結された板状の構造である。パッド22、22'、22"は、複数のマイクロニードル21、21'、21"と一体化するように形成されることが好ましい。但し、これに限定されず、複数のマイクロニードル21、21'、21"と分離した別個の部材で形成されてもよい。
【0070】
パッド22、22'、22"は、生分解されない別途の公知された物質で形成されてもよく、上述したマイクロニードル21、21'、21"の材料と同一の生分解性物質を含み、マイクロニードル21、21'、21"と共に生分解されるように形成されてもよい。パッド22、22'、22"が複数のマイクロニードル21、21'、21"を支持可能な支持力を提供し、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチ20、20'、20"が個体の皮膚に付着する場合、マイクロニードル21、21'、21"がアレルゲン10を個体に注入するようにできれば、パッド22、22'、22"の形態及び成分は特に制限されない。
【0071】
アレルゲン塗布層23'、23"は、マイクロニードル21'、21"に含まれたアレルゲン10と同一の種類のアレルゲン10を含む。アレルゲン塗布層23'、23"は、パッチ当りアレルゲンの含有量をさらに高めることができることに技術的意義がある。
【0072】
図2の(b)のように、アレルゲン塗布層23'は、複数のマイクロニードル21'とパッド22'との間でパッド22'を覆うように形成されてもよい。アレルギー塗布層23'は、複数のマイクロニードル21'間のみに塗布され、マイクロニードル21'下には配置されず、マイクロニードル21'とパッド22'とは直接接するように構成されてもよい。
【0073】
多様な実施例において、図2の(c)のように、アレルゲン塗布層23"は、複数のマイクロニードル21"上でマイクロニードル21"を覆うように形成されてもよい。
【0074】
一方、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチ20、20'、20"のマイクロニードル21、21'、21"は、アレルゲン10が人の皮膚内の約250μmの深さに注入されることができるように、200μm以上350μm以下の長さを有することが好ましい。但し、この長さは、例示的なものであり、必ずしも限定されるものではなく、アレルゲン10を注入する地点が事前設定されれば、それに合わせてマイクロニードル21、21'、21"の長さが決定可能なことは勿論である。
【0075】
以下、図3図5を参照して、上述した図2の多様な生分解性マイクロニードルパッチ20、20'、20"の製造方法を説明する。
【0076】
図3は、図2の(a)に示したマイクロニードルパッチ20の製造方法を示したフローチャートであり、図4は、図2の(b)に示したマイクロニードルパッチ20'の製造方法を示したフローチャートであり、図5は、図2の(c)に示したマイクロニードルパッチ20"の製造方法を示したフローチャートである。
【0077】
図3を参照すると、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチ20の製造方法は、パッド22を形成する段階と、アレルゲン10を含む粘性組成物30をスポッティングする段階と、スポッティングされた粘性組成物30を引っ張る段階、凝固する段階と、凝固された粘性組成物30を切断してマイクロニードル21を形成する段階とを含む。
【0078】
パッド22を形成する段階は、図3の(a)のように、第1基板3上に組成物を塗布した後、これを乾燥することで行われることができる。この時、乾燥を円滑にするために、送風を実施することもできる。
【0079】
ここで、第1基板3は、図示したように平板状であり、その素材が特に制限されない。但し、第1基板3は、医薬用で使用されるマイクロニードルパッチを製作することに使用されるため、人体に有害でない素材で形成されることが好ましい。
【0080】
組成物は、第1基板3上でパッドの構造を形成するように粘性を有する物質を意味する。組成物は、上述したパッドをなす物質を含み、好ましくは、ヒアルロン酸を含むことができる。また、パッドを形成する組成物は、アレルゲンを含むこともできる。ここでアレルゲンは、後述するマイクロニードル21を形成する粘性組成物30に含まれたアレルゲン10と同一であることが好ましい。
【0081】
次に、アレルゲン10を含む粘性組成物30をスポッティングする段階が行われる。ここで、アレルゲン10を含む粘性組成物30は、個体に注入されて生分解される上述した生分解性物質を含む。
【0082】
一方、スポッティングする段階は、公知のディスペンサーを使用して事前設定された間隔でスポッティングされるように行われることができる。
【0083】
アレルゲン10を含む粘性組成物30のスポッティングが行なわれれば、図3の(c)のようにスポッティングされた複数の粘性組成物30に第2基板4を接触させる。
【0084】
第2基板4は、第1基板3と同一に平板の形状であってもよく、事前設定された部分(スポッティングされた地点と対応する部分)が突き出してマイクロニードル21を形成するのに適合するように形成されたものでもよい。
【0085】
第2基板4とスポッティングされた粘性組成物30の一部が触れると、図3の(d)及び(e)のように第1基板3と第2基板4との間の垂直方向距離を相対的に離隔させることで粘性組成物30を引っ張り、引っ張られた粘性組成物30を凝固する段階が行われる。通常、引っ張る段階が先行されるが、引っ張る段階及び凝固する段階の開始は同時に行なわれてもよく、二つの段階の前後関係は特に制限されない。
【0086】
引っ張り及び凝固する過程で、引っ張られた粘性組成物30に送風を実施してもよい。
【0087】
最後に、図3の(f)のように、凝固された粘性組成物30を切断して複数のマイクロニードル21を形成する。
【0088】
ここで、アレルゲン10を含む粘性組成物30の粘度、第1基板3と第2基板4との相対移動速度及び送風の強さなどの製作法上の変数によって、形成されるマイクロニードル21の長さ、上端部及び下端部の直径、縦横比などが変わることができる。所望のマイクロニードル21の製造仕様によって上述した各段階が適切に設計変更されて行われることができる。また、マイクロニードル21の強度及び形状を調節してマイクロニードルパッチ20を製造する方法は、上述した方法の他にも、韓国公開特許第10−2014−0051648号に開示された技術を参照して行なわれることができる。
【0089】
一方、図3のように、第1基板上のみに粘性組成物をスポッティングしてマイクロニードルを製造してもよいが、これに限定されず、第1基板及び第2基板の両方に粘性組成物をスポッティングまたは塗布し、第1基板にスポッティングされた粘性組成物と第2基板の粘性組成物とを接触してマイクロニードルを製造してもよいことは勿論である。ここで、第2基板にスポッティングまたは塗布される粘性組成物は、第1基板にスポッティングされた粘性組成物と同一の成分を含むことが好ましい。
【0090】
第1基板上の複数の離隔した地点に粘性組成物をスポッティングし、第2基板にもその対応する地点に粘性組成物をスポッティングして、第1基板及び第2基板の粘性組成物がそれぞれ対応するように第1基板及び第2基板をアライン(align)した後、粘性組成物を引っ張ってマイクロニードルを製造することができる。
【0091】
また、第1基板上の複数の離隔した地点に粘性組成物をスポッティングし、第2基板に粘性組成物を均一に塗布した後、粘性組成物を接触した後に引っ張ってマイクロニードルを製造することもできる。
【0092】
図4及び図5のマイクロニードルパッチ20'、20"の製造方法は、上述した図3の製造方法にアレルゲン塗布層23'、23"を形成する段階がさらに行われることを示す。
【0093】
図4の(b)のアレルゲン塗布層23'を形成する段階は、パッド22'を形成する段階直後に行われて、アレルゲン塗布層23'がパッド22'を覆うように形成されてもよい。また、図5の(g)のアレルゲン塗布層23"を形成する段階は、凝固されたマイクロニードル21"を切断する段階以後に行われて、アレルゲン塗布層23"が複数のマイクロニードル21"を覆うように形成されてもよい。図示していないが、多様な実施例において、図4でアレルゲン塗布層23'は、マイクロニードル21'が形成された後にマイクロニードル21'の間に塗布されてもよい。
【0094】
図4及び図5において、その他の段階は、上述した図3のマイクロニードルパッチ20の製造方法の各段階と対応するので、重複した説明は省略する。
【0095】
図6は、上述した方法のいずれか一つの方法によって製造されたマイクロニードルパッチと、その中の一つのマイクロニードルを拡大(図6の(b)参照)して撮影した写真である。
【0096】
具体的に図6の(a)のマイクロニードルパッチは、D.farinae種のコナヒョウヒダニを含むアレルゲン10μgとヒアルロン酸で製造された。図6の(b)を参照すると、製造されたマイクロニードルは、全体長さが274.37μm、マイクロニードルの上部の直径が28.88μmであることを確認することができる。
【0097】
以下、図7図12の実験結果または写真を参照して、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチについて説明する。
【0098】
図7は、アレルゲン伝達による免疫反応の活性度を確認するために、パッチ当りアレルゲン含量の増加による血清内IgEの濃度変化及び450nm波長の吸光度変化を測定して示した実験グラフである。
【0099】
具体的に、図7の(a)は、パッチ当りアレルゲンの含量を0.2μg、2μg、10μgに増加させて製造したマイクロニードルパッチを個体に付着した後、4週経過後の個体の血清内IgE抗体の濃度を測定した結果を示す。実験に使用したアレルゲンは、D.farinae種のコナヒョウヒダニであり、該アレルゲンは、IgE抗体−媒介型即時型アレルギー反応を起こす代表的なものであると知られている。
【0100】
対照群から0.2μgのアレルゲンを含むパッチを付着した場合、2μgのアレルゲンを含むパッチを付着した場合までは、個体の血清内IgE抗体の濃度が約500ng/mlから約700ng/mlに小幅増加する一方、10μgにアレルゲンのパッチ当り含量を高める場合、血清内IgE抗体濃度が約1200ng/mlと大幅に増加したことが確認できた。パッチ当りアレルゲンの含量を0.2μgから2μgに10倍増加させた場合、血清内IgE抗体の濃度が約200ng/mlの増加に過ぎなかった一方、パッチ当りアレルゲンの含量を2μgから10μgに10倍の半分程度である5倍増加させた場合、血清内IgE抗体の濃度が約500ng/ml増加することが確認できた。これは、パッチ当りアレルゲンの含量を0.2μgとした場合より2倍以上血清内IgE抗体の濃度が上昇したもので、パッチ当りアレルゲンの含量を10μg以上に高めることがアレルゲン伝達による免疫反応を起こすことに重要なことを確認することができる。
【0101】
さらに、図7の(b)は、パッチ当りアレルゲンの含量を0.2μg、2μg、10μgに増加させて製造したマイクロニードルパッチを個体に付着する場合、4週経過後の個体の血清内D.farinaeコナヒョウヒダニアレルゲンの特異的IgE抗体の濃度変化を確認するためのもので、450nm波長の吸光度を測定したものの結果を示す。
【0102】
対照群から0.2μgのアレルゲンを含むパッチを付着した場合、2μgのアレルゲンを含むパッチを付着した場合までは、血清内D.farinaeコナヒョウヒダニアレルゲンの特異的IgE抗体が些細な変化を示した一方、10μgにアレルゲンのパッチ当り含量を高める場合、血清内D.farinaeコナヒョウヒダニアレルゲンの特異的IgE抗体が大幅に増加し、これで450nm波長の吸光度が大幅に増加したことが確認できる。パッチ当りアレルゲンの含量を10μgにした場合に、パッチ当りアレルゲンの含量を2μgにした場合より450nm波長の吸光度が約5倍以上上昇し、パッチ当りアレルゲンの含量を10μg以上高めることがアレルゲン伝達による免疫反応を起こすことに重要なことを確認することができる。このように10μg以上の高濃度でアレルゲンが含有されたマイクロニードルパッチをアレルギー疾患の診断や治療に使用することで、従来のアレルギー診断及び治療方法より短時間で効果的にアレルギー疾患を診断したり治療することができることに利点がある。
【0103】
図8は、製造されたマイクロニードルパッチに放射線滅菌過程を経た後、パッチ内に含有されたアレルゲンの濃度変化を測定して示した実験グラフである。
【0104】
本発明の実施例によるマイクロニードルパッチが人体に付着してアレルギー疾患を診断したり治療する用途で使用される場合に発生し得る細菌感染などの問題を予防するために、製造されたマイクロニードルパッチに放射線滅菌過程を行う。
【0105】
放射線強度を2.5kgy、5kgy、10kgyに高め、マイクロニードルパッチに滅菌過程を行っても、対照群と比べてD.farinae種のコナヒョウヒダニアレルゲンのパッチ当り濃度変化がほとんどないことが確認できる。
【0106】
図9は、時間経過によるD.farinae種のコナヒョウヒダニアレルゲンの濃度変化を測定して示した実験グラフである。具体的に、常温に放置されたアレルゲンの濃度変化、4℃に放置されたアレルゲンの濃度変化と本発明の実施例によるマイクロニードルパッチに含有されたアレルゲンの濃度変化を測定して比較した実験グラフである。
【0107】
本発明の実施例によるマイクロニードルパッチにアレルゲンを含有させた場合、含有しない場合より時間経過につれてアレルゲンの含量低下(degradation)の比率が低いことが確認できる。アレルゲンがパッチの製造後に4週期間の経過時点で、少なくともパッチ内の最初のアレルゲン含有量の60%以上に維持される耐久性を確認することができる。
【0108】
図10は、個体の皮膚に本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを付着した後、時間経過によるマイクロニードルの生分解過程を示した写真である。
【0109】
本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを人体の皮膚に付着した場合、皮膚の深さによってマイクロニードルの挿入有無を断層撮影を通じて確認し、1時間、1時間30分、2時間の時間経過につれてマイクロニードルが生分解される過程を確認する。マイクロニードルパッチの付着時に、マイクロニードルが皮膚表皮(epidermis)である顆粒層(granular layer)、有棘層(spinous layer)及び表皮と真皮(dermis)の境界の下地点である乳頭層(papillary layer)の深さまで挿入されることを確認することができる。
【0110】
また、時間が経過するほど次第に挿入されたマイクロニードルが生分解されることが確認でき、パッチの付着後2時間が経過した時点でほとんど生分解されて消えることが確認できる。そこで、本発明の実施例による生分解性マイクロニードルパッチを使用して個体内にアレルゲンを注入する場合、約2時間または3時間以内に挿入されたマイクロニードルが約90%以上生分解されて、個体の真皮層に短時間で簡便かつ効果的にアレルゲンが注入可能であるという利点を有する。
【0111】
マイクロニードルの生分解によってマイクロニードルに含有されたアレルゲンが表皮と真皮層に注入されるが、アレルゲンが実際に注入されて人体でアレルギー反応を誘発するかについて確認するために、下記の図11及び図12を参照して説明する。
【0112】
図11は、真皮層におけるMHC2マーカーとD.farinaeアレルゲンの活性度を測定して示した写真である。
【0113】
MHC2マーカーを通じて皮膚真皮層の樹状細胞の分布を確認する。マイクロニードルパッチの付着後、皮膚にD.farinae種のコナヒョウヒダニアレルゲンが注入されたことを検出する。パッチの付着時点から付着後の4時間が経過した時点に撮影された写真を通じて、実際に皮膚内にアレルゲンが伝達されたことが確認できる。さらに、MHC2マーカーを通じて確認した樹状細胞の活性度測定結果とD.farinae種のコナヒョウヒダニアレルゲンの活性度測定結果を併合(merge)した結果を確認すると、アレルゲンが注入された地点と樹状細胞の活性地点が対応することから、注入されたアレルゲンがアレルギー反応を起こすことが確認できる。
【0114】
図12は、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチと従来のパッチを個体の皮膚にそれぞれ付着した後、効果を比較して示した写真である。
【0115】
実験対象は、通常の付着型アレルギー診断パッチ(finn chamber)にアレルギー反応を起こさなかった人である。この人に本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを付着してアレルギー反応を観察した結果、アレルギー反応が発生した兆候を確認することができる。通常の付着型アレルギー診断パッチを使用した場合、皮膚の表面で皮膚色の変化が全く観測されなかったが、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを付着した場合、赤色に皮膚が変わったことからボアレルギー反応が起きたことが確認できる。
【0116】
これにより、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチは、個体の真皮層に簡便でかつ効果的にアレルゲンを注入することができ、患者に大きな苦痛を与えることなく、簡便でかつ効率的にアレルギー疾患を診断したり治療することができることが確認できる。
【0117】
以下、図13及び図14を参照して、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを使用してアレルギー疾患を診断する方法について説明する。
【0118】
図13は、本発明の実施例によるマイクロニードルパッチを使用してアレルギー疾患を診断する方法を示したフローチャートであり、図14は、図13のアレルギー反応を確認する段階を具体的に示したフローチャートである。
【0119】
本発明の実施例によるアレルギー疾患の診断方法は、生体の事前設定された領域にマイクロニードルパッチを付着する段階(S10)、事前設定された時間経過後に付着したマイクロニードルパッチを除去する段階(S20)、及び事前設定された領域と事前設定された領域の隣接した領域とを比較してアレルギー反応を確認する段階(S30)を含む。
【0120】
マイクロニードルパッチを付着する段階(S10)において、パッチを付着する地点は、腕または背中のようにパッチを付着して診断し易い地点に選択することができる。
【0121】
事前設定された時間の経過後に付着したマイクロニードルパッチを除去する段階(S20)において、事前設定された時間はマイクロニードルパッチの種類によって調整することができる。例えば、アレルギー疾患の診断時に、本発明の実施例による生分解性マイクロニードルパッチを使用する場合は、マイクロニードルが皮膚に挿入された後ほとんど生分解される2時間後にパッチが除去されることができる。
【0122】
事前設定された領域と隣接した領域とを比較してアレルギー反応を確認する段階(S30)は、事前設定された領域と隣接した領域とのイメージをそれぞれ獲得する段階(S31)、獲得されたイメージを処理する段階(S32)、及び処理されたイメージを通じてアレルギー反応を確認する段階(S33)を含んで行われることができる。
【0123】
通常、マイクロニードルパッチが付着されてアレルギー反応が起きた地点(即ち、事前設定された地点)は、膨疹と発疹現象によって赤く変わる。アレルギー反応が起きた地点とアレルギー反応が起きない地点との赤の程度を比較することで、注入されたアレルゲンに対して個体がアレルギー反応を起こすか否かを確認するために、事前設定された領域と隣接した領域とのイメージをそれぞれ獲得する(S31)。
【0124】
この段階は、例えば、それぞれの地点の写真を撮影することで行われることができる。
【0125】
獲得されたそれぞれのイメージを処理する段階(S32)は、事前設定された領域のイメージと隣接した領域のイメージとを重畳(overlapping)させ、重畳されたイメージで共通した部分を相殺させて二つのイメージの差異だけが確認できるようにイメージを処理する方式で行われることができる。
【0126】
但し、イメージを処理する方法は、このような方法に限定されず、通常の多様なイメージ処理方法が適用されて行われることができる。
【0127】
最後に、処理されたイメージを通じてアレルギー反応を確認(S33)することで、注入されたアレルゲンに対して個体がアレルギー疾患を有するか否かを診断することができる。
【0128】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例をさらに詳しく説明したが、本発明は必ずしもこのような実施例に限られるものではなく、本発明の技術思想から外れない範囲内で多様に変形実施されることができる。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためではなく説明するためのもので、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。従って、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図5(e)】
図5(f)】
図5(g)】
図5(h)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】