【実施例】
【0184】
実施例1
化合物SMP−002、SMP−046及びSMP−047の合成
【0185】
【化47】
【0186】
スキーム1で使用される試薬及び条件:i)t−ブタノール、トルエン、5時間、還流;N
1−(3−アミノプロピル)プロパン−1,3−ジアミン(ノルスペルミジン)、トルエン、18時間、還流;ii)ナトリウムエトキシド、R−Br、5時間還流;iii)EDC.HCl、HOSu、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)、DIEA、DMF、一晩、室温;iv)6N HCl、一晩、室温。
【0187】
ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1):1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(13.60g、84mmol)をトルエン(100ml)とt−ブタノール(11.91g、15ml、161mmol)の混合物に窒素雰囲気下で懸濁させ、5時間60℃に加熱した。ノルスペルミジン(5.77g、6.2ml、44mmol)のトルエン(60ml)中溶液を滴下した。反応混合物を120℃で18時間還流し、次に冷却し、真空下で濃縮した。得られた液体をジクロロメタン中で抽出し、蒸留水で洗浄し、最後に無水Na
2SO
4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮してジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメートを白色粉末として得た。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.22 (brs, 2H, -NHCO), 3.21-3.10 (m, 4H, -CH
2NHCO), 2.63-2.60 (m, 4H, -CH
2NH), 1.65-1.59 (m,4H, -CH
2), 1.40 (s 18 H, C(CH
3)
3).
【0188】
N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン(2):新たに切断したナトリウム金属(180mg、7.8mmol)を窒素雰囲気下で無水エタノール(15mL)に溶解した。この溶液に、N−アセチル−L−システイン(500mg、3.1mmol)、続いて1−ブロモドデカン(0.89mL、3.72mmol)を加え、反応混合物を5時間加熱還流した。冷却時、反応を少量の水でクエンチし、溶媒を減圧下で除去し、続いて酢酸エチルで抽出した。溶液を1M HCl、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、最後に溶媒を減圧下で除去して、N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン(2)を白色の固体として得た(810mg、80%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 4.78 (q, 1H, J
AB = 6 Hz, -CHNH), 3.50-3.45 (m, 1H, -CH
2S), 3.41 (t, 1H, J
AB = 6 Hz, -CH
2S), 3.03 (t, 2H, J
AB = 4.5 Hz, -CH
2S). 2.55-2.52. (m, 2H, -CH
2), 2.1(s, 3H, -COCH
3), 1.58-1.52 (m, 2H, -CH
2), 1.25 (s, 16 H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3). ESI-MS (m/z): 331.99 (M+H).
【0189】
N−アセチル−S−オクチル−L−システイン(3):化合物2を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って、N−アセチル−L−システインと1−ブロモオクタンから化合物3を合成した(63%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 6.65 (brs, 1H, NHCO), 4.70-4.65 (m, 1H, CH), 3.08-2.93 (m, 2H, -CH
2S), 2.53 (t, 2H, J
AB = 7 Hz, -CH
2S), 2.1(s, 3H, -COCH
3), 1.58-1.52 (m, 2H, -CH
2), 1.38-1.32 (m, 2H, -CH
2), 1.30-1.1.18 (m, 8H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0190】
(Z)−N−アセチル−S−(ノナデカ−9−エン−1−イル)−L−システイン(4):化合物2の合成について記載したのと同様の合成手順に従って、化合物4をN−アセチル−L−システイン及び(Z)−1−ブロモオクタデカ−9−エンから合成した(80%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 6.60 (brs, 1 H, NHCO), 5.35-5.32 (m, 2 H, -CH=CH-), 4.78-4.68 (m, 1H, -CHNHCO), 3.05-2.98 (m, 2H, -CH
2S), 2.53 (t, 2H, J
AB = 7 Hz, -CH
2S), 2.01 (s, 3H, -COCH
3), 2.01-1.98 (m, 2H, -CH
2)1.58-1.52 (m, 2H, -CH
2), 1.32-1.244 (m, 24H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3); ESI-MS (m/z): 414.25 (M+H).
【0191】
ジ−tert−ブチル((((N−アセチル−S−ドデシル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(5):0℃のDMF中における1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl、576mg、3mmol)の撹拌溶液に、N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン(2)(662mg、2.0mmol)を加え、続いて、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu、345mg、3mmol)を添加した。1時間後、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)(598mg、1.8mmol)及びN、N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.53mL、3mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。完了後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得、これを3%メタノール−ジクロロメタンを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製してジ−t−ブチル(((N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(5)、オフホワイトの固体(522mg、45%)を得た。
1H NMR (CDCl
3): δ 6.39 (brs, 1 H, -NHCO), 5.26 (brs, 2 H, -NHCO), 5.08 (q, 1H, J
AB = 8 Hz, -CHNH), 3.72-3.70 (m, 1H, -CH
2S), 3.63-3.57 (m, 1H, -CH
2S), 3.33-3.14 (m, 4H, -CH
2N), 3.13-3.07 (m, 2H, -CH
2S), 2.88-2.84 (m, 4H, -CH
2N), 2.57-2.54 (m, 2H, -CH
2), 2.03 (s, 3H, -COCH
3), 1.61-1.58 (m, 6 H, -CH
2). 1.51-1.49 (m, 2H, -CH
2), 1.46 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.37-1.28 (s, 14 H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0192】
ジ−tert−ブチル((((N−アセチル−S−オクチル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(6):化合物5を合成するために言及したのと類似した合成手順に従って、化合物6を化合物3及び化合物1から合成した。(53%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.35-5.26 (brs, 1H, NHCO), 5.24-5.17 (m, 1H, -CHNH), 3.56-3.52 (m, 2H, -CH
2S), 3.29-3.22 (m, 4H, -CH
2NHCO), 3.16-3.09 (m, 4H, -CH
2NCO), 2.93-2.87 (m, 2H, -CH
2S), 2.85-2.80 (m, 2H, -CH
2), 1.75-1.66 (m, 7H, -CH
2, -CH
3), 1.62-1.56 (m, 2H, -CH
2), 1.47 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.40-1.32 (m, 2H, -CH
2), 1.34-1.26 (m, 8H, -CH
2), 0.94-0.87 (m, 3H, -CH
3).
【0193】
ジ−tert−ブチル(((((Z)−N−アセチル−S−(ノナデカ−9−エン−1−イル)−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))(Z)−ジカルバメート(7):化合物5を合成するために記載したのと同様の合成手順に従って、化合物4及び化合物1から化合物7を合成した。(42%)
1H NMR (CDCl
3): δ 6.38 (brs, 1 H, -NHCO), 5.34-5.25 (m, 2 H, -CH=CH-), 5.22 (brs, 2 H, -NHCO), 5.09-5.02 (m, 1H, -CHNHCO), 3.65-3.53 (m, 2H, -CH
2S), 2.89-2.81 (m, 2H, -CH
2S), 3.26-3.15 (m, 4H, -CH
2NCO), 3.10-2.92 (m, 4H, -CH
2N), 2.59-2.52 (m, 2H, -CH
2), 2.00 (s, 3H, -COCH
3), 1.75-1.62 (m, 4H, -CH
2), 1.59-1.52 (m, 2H, -CH
2), 1.43 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.26-1.18 (m, 24 H, -CH
2), 0.91-0.83(m, 3H, -CH
3).
【0194】
(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−002):6N HCl(10mL)中の化合物5(645mg、1mmol)の懸濁液を一晩撹拌し、溶媒を蒸発させ、粗生成物をメタノール−ジクロロメタンに溶解し、続いてジエチルエーテルを加え、このプロセスを2〜3回繰り返し、最後に純粋な(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−002)を黄褐色の粘着性物質として得た。(403mg、78%)。
【0195】
ジ−tert−ブチル((((N−アセチル−S−オクチル−L−システイン)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート二塩酸塩(SMP−046):化合物SMP−046は、化合物(SMP−002)を合成するために記載したのと同様の合成手順に従うことにより、化合物6を合成した(79%)。
1H NMR (D
2O): 4.16-3.98 (m, 1H, -CH), 3.56-3.52 (m, 2H, -CH
2S), 3.29-3.22 (m, 8H, -CH
2N), 2.76-2.74 (m, 2H, -CH
2), 1.83-1.75 (m, 7H, -CH
2, -CH
3), 1.62-1.56 (m, 2H, -CH
2), 1.41-1.15 (m, 8H, -CH
2), 0.78-0.73 (m, 3H, -CH
3). ESI-MS (m/z): 391.26 (M+H).
【0196】
(S,Z)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ノナデカ−9−エン−1−イルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−047):化合物SMP−047は、化合物(SMP−002)の合成について述べたのと同様の合成手順に従って化合物7から合成された(27%)。
1H NMR (D
2O): δ 5.34-5.25 (m, 2 H, -CH=CH-), 5.10-5.04 (m, 1H, -CHNCO), 3.65-3.53 (m, 2H, -CH
2S), 2.89-2.81 (m, 2H, -CH
2S), 3.26-3.15 (m, 4H, -CH
2NH
2), 3.10-2.96 (m, 4H, -CH
2N), 2.59-2.52 (m, 2H, -CH
2), 2.00 (s, 3H, -COCH
3), 1.51-1.45 (m, 4H, -CH
2) 1.26-1.18 (m, 26 H, -CH
2), 0.91-0.83 (m, 3H, -CH
3) ; ESI-MS (m/z): 526.43 (M+H).
【0197】
実施例2
化合物SMP−022の合成
【0198】
【化48】
【0199】
スキーム2で使用される試薬及び条件:i)(Boc)
2O、THF、水、30時間、室温;ii)ナトリウム、エタノール、1−ブロモドデカン、5時間還流;iii)EDC.HCl、HOSu、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)、DIEA、DMF、一晩、室温;iv)TFA、THF、16時間、室温。
【0200】
(tert−ブトキシカルボニル)−L−システイン(8):THF(7mL)及び水(18mL)中のL−システイン塩酸塩(1.23g、8.25mmol)、(Boc)
2O(1.801g、8.25mmol)及びNaHCO
3(2.5g、29.8mmol)の混合物をアルゴン下、室温にて、30時間、窒素雰囲気下で撹拌した。反応完了後、pHを3に調整し、酢酸エチルで抽出し、真空中で蒸発させて、(tert−ブトキシカルボニル)−L−システインの油状物(1.54g、84%)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 9.05 (brs, 1H, -COOH), 5.51 (brs, 1H, -NHCO), 4.64-4.61 (m, 1H, -CHNHCO), 3.07-3.02 (m, 1, -CH
2S), 2.99-2.93 (m, 1 H, , -CH
2S), 1.44 (s, 9H, C-(CH
3)
3).
【0201】
N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイン(9):窒素雰囲気下で新たに切断したナトリウム金属(180mg、7.8mmol)を無水エタノール(15mL)に溶解した。この溶液に、化合物8(686mg、3.1mmol)を加え、続いて1−ブロモドデカン(0.89mL、3.72mmol)を加え、反応混合物を5時間加熱還流した。冷却時、反応を少量の水でクエンチし、溶媒を減圧下で除去し、続いて酢酸エチルで抽出した。溶液を1M HCl、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、最後に溶媒を減圧下で除去して、N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイン(9)を白色の固体として得た(965mg、80%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.40 (brs, 1H, -NHCO) 4.51 (q, 1H, J
AB = 6 Hz, -CH), 3.04-2.98 (m, 2 H, -CH
2S), 2.55 (t, 2H, J
AB = 7.5 Hz, -CH
2S), 1.60-1.54 (m, 2H, -CH
2), 1.46 (s, 9 H, -C(CH
3)
3), 1.38-1.32 (m, 2H, -CH
2), 1.29-1.23 (m, 16H, -CH
2), 0.88 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0202】
ジ−tert−ブチル(((N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(10):0℃のDMF中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl、576mg、3mmol)の撹拌溶液に、化合物9(778mg、2.0mmol)を加えた後、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu、345mg、3mmol)を加えた。1時間後、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)(598mg、1.8mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.53mL、3mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。完了後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機溶媒を蒸発させた後、溶離液として3%メタノール−ジクロロメタンを使用するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗製塊を精製して、ジ−tert−ブチル(((N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(10)をオフホワイトの固体として)を得た。(816mg、58%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.75 (brs, 1H, -NHCO), 4.26 (q, 1H, J
AB = 8 Hz, -CHNHCO), 3.74-3.71 (m, 1H, -NH), 3.69-3.68 (m, 1H, -NH), 3.49-3.45 (m, 2H, -CH
2S), 3.33-3.12 (m, 4H, -CH
2NCO), 3.14-3.07 (m, 2H, -CH
2S), 2.96-2.91 (m, 4H, -CH
2NCO), 2.54-2.51 (m, 2H, -CH
2), 1.70-1.61 (m, 2H, -CH
2), 1.53-1.49 (m, 2H, -CH
2), 1.42 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.33-1.18 (m, 27H, -CH
2, -C(CH
3)
3), 0.86 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0203】
(S)−2−アミノ−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロペンアミドトリス−テトラフルオロアセテート(SMP−022):THF(10ml)中の化合物10(300mg、0.43mmol)の氷冷溶液にトリフルオロ酢酸(10ml)を加え、そして反応混合物を室温で16時間撹拌した。完了時、溶媒を蒸発させ、残った粗製塊をメタノールに溶解し、ジエチルエーテルの添加により沈殿させた。この手順を3〜4回繰り返し、最後に粗製塊を真空乾燥して、SMP−022を褐色固体として得た(330mg、45%)。
【0204】
実施例3
化合物SMP−051の合成
【0205】
【化49】
【0206】
スキーム3で使用される試薬及び条件:(i)ジ−tert−ブチルデカーボネート、NaOH、t−ブタノール、水、48時間、室温;(ii)EDC・HCl、HOSu、SMP−002、DIEA、DMF、一晩、室温;(iii)6N HCl、一晩、室温。
【0207】
N
2,N
ω,N
ω’−トリス(tert−ブトキシカルボニル)−L−アルギニン(11):L−アルギニン(8.7g、50mmol)を500mL丸底フラスコのtert−ブタノール(150mL)及び水(150mL)の溶液に加えた。混合物を氷浴中で0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(7.0g、175mmol)を加えた。溶液を0℃で5分間撹拌し、それに(Boc)
2O(43.7g、200mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルを加え、固体クエン酸を加えることによって培地のpHを3に調整した。抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて化合物11を白色固体として得た。(16.2g、64%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 11.51 (brs, 1H, COOH), 9.41 (brs, 1H, NH), 8.42 (brs, 1H, NH), 5.77 (d, 1H, J
AB = 6.5 Hz, NHCH), 4.34 (q, 1H, J
AB = 7.0 Hz, CH), 3.92-3.82 (m, 2H, CH
2N), 1.84-1.82 (m, 2H, CH
2), 1.76-1.65 (m, 2H, CH
2), 1.52 (s, 9H, C(CH
3)
3), 1.50 (s, 9H, C(CH
3)
3), 1.45 (s, 9H, C(CH
3)
3).
【0208】
ヘキサ−tert−ブチルカーボネート(S)−2−アセトアミド−N−(4−((S)−2−アミノ−3グアニジノプロパンアミド)ブチル)−N−(3−((S)−2−アミノ−3−グアニジノプロパンアミド)プロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド(12):化合物5の合成について述べたのと同様の合成手順に従って、化合物11及び化合物SMP−002から化合物12を合成した(52%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.33-5.28 (m, 2H, -CHNHCO), 4.44-4.36 (m, 1H, -CHNHCO), 3.97-3.45 (m, 8H, -CH
2NCO), 2.99-2.96 (m, 4H, -CH
2NCH), 2.94-2.88 (m, 4H, CH
2S), 2.1 (s, 3H, -COCH
3), 1.94-1.69 (m, 10H, -CH
2), 1.54 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.52 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.50-1.49 (m, 4H, -CH
2), 1.47 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.30-1.27 (m, 18H, -CH
2), 0.93-0.90 (m, 3H, -CH
3).
【0209】
(S)−2−アセトアミド−N−(4−((S)−2−アミノ−3−グアニジノプロパンアミド)ブチル)−N−(3−((S)−2−アミノ−3−グアニジノプロパンアミド)プロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド塩酸塩(SMP−051):化合物SMP−051を化合物12から化合物(SMP−002)を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成した(86%)。
1H NMR (D
2O): δ 5.13-5.02 (m, 2H, -CHNHCO), 3.97-3.45 (m, 8H, -CH
2NCO), 2.99-2.96 (m, 4H, -CH
2NCH), 2.94-2.88 (m, 4H, CH
2S), 2.1 (s, 3H, -COCH
3), 1.98-1.72 (m, 4H, -CH
2), 1.73-1.67 (m, 6H, CH
2) 1.50-1.49 (m, 4H, -CH
2), 1.30-1.27 (m, 18H, -CH
2), 0.93-0.90 (m, 3H, -CH
3). ESI-MS (m/z): 745.38 (M+K).
【0210】
実施例4
化合物SMP−007及びSMP−010の合成
【0211】
【化50】
【0212】
スキーム4で使用される試薬及び条件:i)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間。
【0213】
1,6−ビス(N
3−シアノ−N1−グアニジノ)ヘキサン(13):n−ブタノール(29m)中の1,6−ヘキサメチレンジアミン二塩酸塩(3.78g、20.0mmol)及びジシアナミドナトリウム(3.56g、40.0mmol)の溶液を15時間加熱還流した。室温に冷却した後、固体を濾別し、ブタノール及び冷水で洗浄した。水から再結晶して、純粋な1,6−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)ヘキサン(4g、80%)を得た。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 8.06 (brs, 2H, -NH), 6.91 (brs, 4H, -NH), 3.00 (t, 4H, J
AB = 7.5 Hz, -CH
2), 1.69-1.65 (m, 4H, -CH
2), 1.42-1.41 (m, 4H, -CH
2).
【0214】
【化51】
【0215】
スキーム5で使用される試薬及び条件:i)1,6−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、5時間;ii)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間;iii)(S)−2−アセトアミド−N、N−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド(SMP−002)、160℃、5時間。
【0216】
ポリマーSMP−007の合成:(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−002)と化合物13(55mg、0.22mmol)の混合物(100mg、0.19mmol)を160℃にゆっくり加熱した。その温度に達した後、混合物融解物をさらに5時間その特定の温度に保った。その後、反応混合物を冷却し、水をそれに添加し、そして混合物を0.22ミクロンのシリンジフィルターを通して濾過して懸濁粒子を除去した。濾液を蒸発させ、真空下で数時間乾燥させて、所望のポリマーSMP−007を褐色の塊として得た(55mg)。
1H NMR (D
2O): δ 3.17-3.14 (m, 6H, -CH
2N, -CH
2S), 3.1-2.98 (m, 6H, -CH
2N, -CH
2S), 2.69-2.68 (m, 4H, -CH
2N), 2.57-2.54 (m, 2H, -CH
2), 1.98 (s, 3 H, -COCH
3), 1.69-1.49 (m, 8 H, -CH
2), 1.4-1.28 (m, 8H, -CH
2), 1.27-1.15 (m, 16H, -CH
2), 0.89-0.78 (m, 3H, -CH
3). M
n = 5000, M
w =3050 PDI =1.48.
【0217】
(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド(14):化合物(13)の合成について記載したのと同様の手順従って、化合物14をSMP−002から合成した。
【0218】
ポリマーSMP−010の合成:SMP−002(50mg、0.10mmol)と化合物14(64mg、0.11mmol)の混合物をゆっくりと160℃に加熱した。その温度に達した後、混合物融解物をさらに5時間その特定の温度に保った。その後、反応混合物を冷却し、水をそれに添加し、そして混合物を0.22ミクロンのシリンジフィルターを通して濾過して懸濁粒子を除去した。濾液を蒸発させ、真空下で数時間乾燥させて、所望のポリマーSMP−010を褐色の塊として得た(40mg)。
1H NMR (D
2O): δ 3.43-3.33 (m, 8H, -CH
2N), 3.13-3.07 (m, 2H, -CH
2S), 2.77-2.69 (m, 2H, -CH
2S), 2.57-2.54 (m, 2H, -CH
2), 2.07 (s, 3H, -COCH
3), 1.51-1.49 (m, 4H, -CH
2), 1.4-1.28 (m, 2H, -CH
2), 1.28-1.16 (m, 16 H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3). M
n (予測): 3600.
【0219】
実施例5
化合物SMP−043、SMP−045、SMP−017及びSMP−060の合成
【0220】
【化52】
【0221】
スキーム6で使用される試薬及び条件:i)塩化オキサリル、DMF、DCM、2時間、室温;ii)ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)、トリエチルアミン、DCM、一晩、室温;iii)6N HCl、一晩、室温;iv)1,6−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、5時間。
【0222】
塩化ラウロイル(15):ラウリン酸(5g、25mmol)を触媒量の乾燥DMFと共に乾燥DCM(10mL)に溶解し、塩化オキサリル(2.56mL、30mmol)を0℃でゆっくり加えた。添加完了後、反応混合物を室温で3時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで過剰の塩化オキサリルを減圧下で除去した。真空乾燥の際に残った残渣は所望の塩化ラウロイル(5.2g、95%収率)を与えた。
【0223】
塩化オレオイル(18):化合物(15)を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って化合物18をオレイン酸から合成した。
【0224】
ジ−tert−ブチル((ドデカノイルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(19):ジクロロメタン(20mL)中のジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)(332mg、1mmol)及びトリエチルアミン(202.4mg、0.28mL、2mmol)の溶液に塩化ラウロイル(290mg、1.3mmol)を0℃でゆっくり加えた。添加完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を水で洗浄し、有機層を真空下で濃縮して粗製物を得、これを3%メタノール−ジクロロメタンを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製してジ−t−ブチル((ドデカノイルアザンジイル)ビス(プロパン)−3,1−ジイル)ジカルバメート(410mg、80%)を半固体の塊として得た。
1H NMR (CDCl
3): δ 3.30-3.17 (m, 4H, -CH
2N), 3.14-3.04 (m, 4H, -CH
2N), 2.86-2.78 (m, 2H, -CH
2CO), 1.80-1.70 (m, 2H, -CH
2), 1.70-1.58 (m, 4H, -CH
2), 1.42 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.35-1.37 (m, 16H, -CH
2), 0.86 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0225】
ジ−tert−ブチル((オクタノイルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(20):化合物19を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って、塩化オクタノイル及び化合物1から合成した(52%)。
【0226】
ジ−tert−ブチル((アセチルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(21):化合物21は、化合物19の合成について言及したのと同様の手順に従って、塩化アセチル及び化合物1から合成した(72%)。
1H NMR (CDCl
3): 3.42-3.38 (m, 4H, -CH
2N), 3.29-3.24 (m, 4H, -CH
2N), 2.10 (s, 3H, -COCH
3), 1.69-1.63 (m, 4H, -CH
2), 1.43 (s, 18H, -C(CH
3)
3).
【0227】
ジ−tert−ブチル((ノナデカ−9−エノイルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))(Z)−ジカルバメート(22):化合物22は、化合物19の合成について言及したのと同様の手順に従って、塩化オレオイル及び化合物1から合成した(69%)。
1H NMR (CDCl
3): 5.38-5.26 (m, 2H, -CH=CH-), 3.42-3.21 (m, 4H, -CH
2N), 3.17-2.99 (m, 4H, -CH
2N), 2.32-2.25 (m, 2H, -CH
2CO), 2.07-1.93 (m, 2H, CH
2), 1.80-1.72 (m, 2H, CH
2), 1.67-1.57 (m, 4H, -CH
2), 1.43 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.33-1.22 (m, 20 H, CH
2), 0.90-0.84 (m, 3H, -CH
3).
【0228】
N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデカンアミド二塩酸塩(23):6N HCl(6mL)及びテトラヒドロフラン(6mL)中のジ−tert−ブチル((ドデカノイルアザンジルイ)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(19)(300mg、0.58mmol)の溶液を一晩撹拌し、その後、溶媒を蒸発させ、粗製塊をメタノール−ジクロロメタンに溶解し、続いてジエチルエーテルを加え、このプロセスを2〜3回繰り返した。最後に、純粋なN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデカンアミド二塩酸塩を、黄褐色の粘着性物質として得た(403mg、78%)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 3.30-3.17 (m, 4H, -CH
2N), 3.14-3.04 (m, 4H, -CH
2N), 2.86-2.78 (m, 2H, -CH
2CO), 1.80-1.70 (m, 2H, -CH
2), 1.70-1.58 (m, 4H, -CH
2), 1.35-1.37 (m, 16H, -CH
2), 0.86 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3). ESI-MS (m/z): 314.35 (M+H).
【0229】
N,N−ビス(3−アミノプロピル)オクタンアミド二塩酸塩(24):化合物24は、化合物(23)の合成について述べたのと同様の合成手順に従って化合物20から合成された(78%)。
1H NMR (D
2O): δ 3.50-3.44 (m, 4H, -CH
2N), 3.20-3.15 (m, 4H, -CH
2N), 2.42-2.39 (m, 2H, -CH
2CO), 2.02-1.88 (m, 4H, -CH
2), 1.59-1.53 (m, 2H, -CH
2), 1.32-2.1 (m, 8H, -CH
2), 0.82-0.81 (m, 3H, -CH
3).
【0230】
N,N−ビス(3−アミノプロピル)アセトアミド二塩酸塩(25):化合物25は、化合物(23)の合成について述べたのと同様の合成手順に従って化合物25から合成された(68%)。
【0231】
(Z)−N,N−ビス(3−アミノプロピル)ノナデカ−9−エナミド二塩酸塩(26):化合物26は、化合物(23)を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って、化合物23から合成された(52%)。
1H NMR (D
2O): 5.34-5.18 (m, 2H, -CH=CH-), 3.46-3.33 (m, 4H, -CH
2N), 3.05-2.90 (m, 4H, -CH
2N), 2.39-2.30 (m, 2H, -CH
2CO), 2.01-1.88 (m, 6H, CH
2), 1.56-1.47 (m, 4H, -CH
2), 1.24-1.16 (m, 20 H, CH
2), 0.86-0.76 (m, 3H, -CH
3).
【0232】
ポリマーSMP−043の合成:ポリマーSMP−043は、化合物23及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D
2O): δ 3.54-3.43 (m, 4H, -CH
2N), 3.24-3.16 (m, 4H, -CH
2N), 3.15-3.09 (m, 4H, -CH
2N), 2.17-2.07 (m, 4H, -CH
2), 1.98-1.91 (m, 2H, -CH
2), 1.64-1.54 (m, 4H, -CH
2), 1.45-1.36 (m, 4H, -CH
2), 1.31-1.28 (m, 18H, -CH
2), 0.90-0.84 (m, 3H, -CH
3). M
n (予測): 3900.
【0233】
ポリマーSMP−045の合成:ポリマーSMP−045は、化合物24及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D
2O): δ 3.24-3.20 (m, 4H, -CH
2N), 3.20-3.04 (m, 8H, -CH
2N), 2.30-2.23 (m, 2H, -CH
2CO), 2.15-2.07 (m, 2H, -CH
2), 1.94-1.88 (m, 2H, -CH
2), 1.62-1.55 (m, 4H, -CH
2), 1.46-1.36 (m, 2H, -CH
2), 1.32-1.26 (m, 12H, -CH
2), 0.88-0.84 (m, 3H, -CH
3). M
n (予測): 3500.
【0234】
ポリマーSMP−017の合成:化合物25及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D
2O): δ 3.32-3.19 (m, 4H, -CH
2N), 3.05-2.94 (m, 8H, -CH
2N), 1.84 (s, 3H, -CH
3CO), 1.75-1.61 (m, 4H, -CH
2), 1.43-1.33 (m, 4H, -CH
2), 1.22-1.31 (m, 4H, -CH
2). M
n (予測): 2900.
【0235】
ポリマーSMP−060の合成:化合物26及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D
2O): 5.36-5.19 (m, 2H, -CH=CH-), 3.49-3.36 (m, 4H, -CH
2NCO), 3.26-2.94 (m, 8H, -CH
2N), 2.24-2.13 (m, 2H, -CH
2CO), 1.96-1.85 (m, 8H, CH
2), 1.63-1.44 (m, 6H, -CH
2), 1.33-1.17 (m, 24 H, CH
2), 0.87-0.79 (m, 3H, -CH
3). M
n (予測): 5500.
【0236】
実施例6
化合物SMP−052の合成
【0237】
【化53】
【0238】
スキーム7で使用される試薬及び条件:i)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間;ii)1,2−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)エタン(24)、160℃、室温、5時間。
【0239】
1,2−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)エタン(27):化合物27は、エタン1,2ジアミン塩酸塩及び化合物24から、化合物13を合成するために述べた手順(72%)に従って合成された。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 7.21-7.08 (brs, 2H, NH), δ 6.97-6.77 (brs, 4H, NH), 3.15-3.05 (m, 4H, CH
2N).
【0240】
SMP−052の合成:ポリマーSMP−052をSMP−007の手順に従って合成した。
1H NMR (D
2O): δ 3.26-3.17 (m, 4H, -CH
2N), 3.12-3.03 (m, 8H, -CH
2N), 1.96-1.88 (m, 2H, -CH
2CO), 1.63-1.54 (m, 4H, -CH
2), 1.44-1.34 (m, 2H, -CH
2), 1.28-1.22 (m, 8H, -CH
2), 0.90-0.83 (m, 3H, -CH
3). M
n (予測): 3200
【0241】
実施例7
化合物SMP−026の合成
【0242】
【化54】
【0243】
スキーム8で使用される試薬及び条件:i)無水フタル酸、トルエン、DMF、24時間、還流;ii)(Boc)
2O、K
2CO
3、DCM、CH
3CN、室温、24時間;iii)ヒドラジン水和物、エタノール、5時間、室温;(iv)13、160℃、室温、5時間;v)6N HCl、30時間、室温。
【0244】
2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(28):無水フタル酸(10.0g、67.5mmol)をトルエン/DMF(100mL/10mL)中のノルスペルミジン(4.07g、4.37mL、31.0mmol)の溶液に加えた。反応混合物を還流条件下で1日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、300mLのエタノールを残渣に添加した。5時間撹拌した後、沈殿物を濾過し、回収し、乾燥させて2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(10g、85%)を得た。
1H NMR (CDCl
3): δ = 7.84-7.76 (m, 4H, ArH), 7.74-7.64 (m, 4H, ArH), 3.78-3.68 (m, 4H, -CH
2N), 2.69-2.54 (m, 4H, -CH
2N), 1.89-1.76 (m, 4H, -CH
2).
【0245】
tert−ブチルビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)カルバメート(29):ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.70mL、3.07mmol)をジクロロメタン:アセトニトリル(100mL:100mL)中のK
2CO
3(0.50g、3.63mmol)を有する2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(28)(1.00g、2.56mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で1日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタン200mLに溶解した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、白色粉末としてビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)カルバミン酸tert−ブチル(1g、80%)を得た。さらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0246】
tert−ブチルビス(3−アミノプロピル)カルバメート(30):エタノール(10mL)中のtert−ブチルビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)カルバメート(29)(1.00g、2.04mmol)及びヒドラジン一水和物(1.00mL、20.6mmol)を室温で5時間撹拌した。反応後、析出物を濾去した。ろ液を蒸発させ、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を蒸発させて、淡黄色油状のtert−ブチルビス(3−アミノプロピル)カルバメート(236mg、50%)を得た。この化合物はこれ以上精製することなく次の反応に用いた。
1H NMR (CDCl
3): δ 3.1-3.18 (m, 4H, -CH
2), 2.69 (t, 4H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
2), 1.69-1.63 (m, 4H, -CH
2), 1.45 (s, 9H, -C(CH
3)
3).
【0247】
ポリマー31の合成:tert−ブチルビス(3−アミノプロピル)カルバメート(230mg、1mmol)及び1,6−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)ヘキサン(13)(300mg、1.2mmol)の混合物を1滴の濃塩酸の存在下で160℃にゆっくり加熱した。温度に達した後、混合物融解物をさらに5時間その特定の温度に保った。その後、反応混合物を冷却し、それに水を添加し、混合物を0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を蒸発させ、真空下で数時間乾燥させて、所望のポリマー31を褐色の塊として得た(55mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 7.12 (brs, 1H, -NH), 6.70 (brs, 1H, -NH), 3.46-3.29 (m, 8H, -CH
2N(CNH)), 3.03-2.99 (m, 4H, -CH
2NCO), 1.61-1.49 (m, 4H, -CH
2), 1.40-1.36 (m, 13H; --CH
2, C(CH
3)
3), 1.28-1.02 (m, 4H, -CH
2).
【0248】
ポリマーSMP−26の合成:化合物31(90mg)を0℃で6N塩酸(5mL)に懸濁し、反応混合物を室温でゆっくり温めた。室温で30時間撹拌しながらさらに撹拌を続けた。溶媒を減圧下で蒸発させた後、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄して、所望のポリマーSMP−026を得て、これを真空下で数時間乾燥させた(55mg)。
1H NMR (D
2O): δ 3.32-3.25 (m, 4H, -CH
2N), 3.21-3.15 (m, 4H, -CH
2N(CNH)), 3.11-3.09 (m, 4H, -CH
2N(CNH)), 2.13-2.06 (m, 4H, -CH
2), 1.68-1.61 (m, 4H, -CH
2), 1.41-1.34 (m, 4H, -CH
2). M
n= 6600 M
w = 9300 PDI =1.4.
【0249】
実施例8
化合物SMP−027の合成
【0250】
【化55】
【0251】
スキーム9で使用される試薬及び条件:i)ヨウ化メチル、メタノール、48時間、室温。
【0252】
ポリマーSMP−27の合成:ヨウ化メチルメタノール(2mL)中のSMP−026(50mg)の溶液に反応混合物を添加し、室温で2日間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄して、所望のポリマーSMP−027を褐色の固体として得、これを真空下で数回乾燥させた(60mg)。
1H NMR (D
2O): δ 3.32 (s, 3H, -CH
3), 3.28-3.26 (m, 4H, -CH
2), 3.20-3.17 (m, 4H, -CH
2), 3.12-3.09 (m, 4H, -CH
2), 2.11-2.07 (m, 4H, -CH
2), 1.70-1.59 (m, 4H, -CH
2), 1.42-1.34 (m, 4H, -CH
2). M
n (予測)= 6700
【0253】
実施例9
SMP−057の合成
【0254】
【化56】
【0255】
スキーム10で使用される試薬及び条件:i)(Boc)
2O、NaOH、THF、水、一晩、室温;ii)EDC.HCl、HOSu、2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(1)、DIEA、DMF、一晩、室温;iii)ヒドラジン一水和物、エタノール一晩、室温;iv)1,6−ビス(N3−シアノ−N1−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、室温、5時間;v)6N HCl、室温、一晩。
【0256】
3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸(32):1:2の1M NaOH:THF(30mL)中のβ−アラニン(2.0g、22.4mmol)の溶液に(Boc)
2O(5.88g)を0℃で添加した。その溶液を室温で一晩撹拌した後、真空下で濃縮した。水層を酢酸エチルで洗浄し、4M HClでpH2.0に酸性化し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮して無色結晶として1を得た(3.96g、95%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.1 (brs, 1H, -NH), 3.50-3.31 (m, 2H, -CH
2N), 2.61-2.54 (m, 2H, -CH
2), 1.47 (s, -C(CH
3)
3).
【0257】
tert−ブチル(3−(ビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)アミノ)−3−オキソプロピル)カルバマート(33):化合物5の合成において言及した手順に従って、化合物32及び化合物1から合成した。
1H NMR (CDCl
3): δ 8.03 (brs, 1H, -NH), 7.86-7.83(m, 2H, -ArH), 7.76-7.73 (m, 2H, -ArH), 3.72-3.70 (m, 2H, -CH
2N), 3.43-3.37 (m, 6H, -CH
2, -CH
2N), 2.50-2.48 (m, 2H, -CH
2CO), 1.78-1.76 (m, 4H, -CH
2), 1.46 (s, -C(CH
3)
3).
【0258】
tert−ブチル(3−(ビス(3−アミノプロピル)アミノ)−3−オキソプロピル)カルバマート(34):化合物30を合成するために述べた手順に従って、化合物33から合成した。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 3.85-2.78 (m, 4H, -CH
2N), 3.13-3.00 (m, 4H, -CH
2N), 3.43-3.37 (m, 4H, CH
2, -CH
2N), 2.45-2.42 (m, 2H, -CH
2N), 2.22-2.1 (m, 2H, -CH
2N), 1.59-1.51 (m, 4H, -CH
2), 1.37 (s, -C(CH
3)
3).
【0259】
ポリマー35の合成:ポリマー35は、化合物34及び化合物13から化合物31を合成するために述べた手順に従って合成した。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 3.56-3.42 (m, 4H, -CH
2N), 3.40-3.29 (m, 4H, CH
2N), 3.28-3.19 (m, 4H, -CH
2N), 3.18-3.07 (m, 2H, -CH
2N), 2.44-2.34 (m, 4H, -CH
2), 2.02-1.93 (m, 2H, -CH
2CO), 1.91-1.76 (m, 4H, -CH
2), 1.45 (s, 9H, -C(CH
3)
3), 1.37-1.29 (m, 4H, -CH
2).
【0260】
ポリマーSMP−057の合成:ポリマーSMP−037は、化合物35からの合成であり、ポリマーSMP−26を合成するために述べた手順に従った。
1H NMR (D
2O): δ 3.38-3.30 (m, 8H, -CH
2N), 3.17-3.3.09 (m, 4H, -CH
2N), 2.79-2.72 (m, 2H, -CH
2NH
2), 2.44-2.34 (m, 4H, -CH
2), 2.32-2.29 (m, 2H, -CH
2CO), 1.99-1.91 (m, 4H, -CH
2), 1.51-1.40 (m, 4H, -CH
2). M
n (予測)= 6700.
【0261】
実施例10
化合物SMP−037の合成
【0262】
【化57】
【0263】
スキーム11において使用される試薬及び条件:i)(Boc)
2O、NaOH、THF−水、室温、一晩;ii)1,6−ジイソシアナトヘキサン、THF、Et
3N、16時間、還流;iii)6N HCl、室温、一晩;iv)1,6−ビス(N
3−シアノ−N
1−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、5時間。
【0264】
カルバミン酸tert−ブチル(2−ヒドロキシエチル)(36):氷浴中のTHF(15mL)及びNaOH(5M、3mL)中のエタノールアミン(0.7mL、12mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(Boc)
2O(3.12g、14mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を酢酸エチル、及び10%クエン酸、飽和NaHCO
3(水性)、及びブラインで抽出した。最後に硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物36を黄色液体として得て、それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた(1.5g、80%)。
【0265】
ビス(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)ヘキサン−1,6−ジエチルジカルバメート(37):tert−ブチル(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(36)の溶液(1.61g、10mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.8mL、4mmol)及びトリエチルアミン(4.1mL、30mmol)を16時間加熱還流した。反応完了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをさらに酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を蒸発させた後、所望の化合物37を得た。
1H NMR (CDCl
3): δ 7.25-7.23 (m, 1H, -NH), 7.12-7.13 (m, 1H, -NH), 4.18-4.05 (m, 4H, -CH
2O), 3.42-3.32 (m, 4H, -CH
2N), 3.20-3.01 (m, 4H, -CH
2N), 1.42-1.34 (m, 4H, -CH
2), 1.43 (s, 18H, -C(CH
3)
3), 1.35-1.31 (m, 4H, -CH
2).
【0266】
ビス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,6−ジカルバメート二塩酸塩(38):化合物SMP−002を合成するために記載した手順に従って、化合物37及び1,6−ジイソシアナトヘキサンから化合物38を合成した。
【0267】
ポリマーSMP−037の合成:ポリマーSMP−037を、化合物38及び化合物13から、化合物SMP−007を合成するために述べた手順に従って合成した。
1H NMR (DMSO-d
6): 6.66 (brs, 6H, NH), 7.15 (brs, 2H, NH), 4.13 (t, J
AB= 5.5 Hz, 4H, -CH
2O), 3.00-2.94 (m, 12H, -CH
2N), 1.44-1.36 (m, 8H, -CH
2), 1.28-1.22 (m, 8H, -CH
2). M
n (予測)= 3900
【0268】
実施例11
化合物SMP−049の合成
【0269】
【化58】
【0270】
スキーム12で使用される試薬及び条件:i)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間;ii)ビス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,6−ジエチルジカルバメートジ−塩酸塩(38)、160℃、5時間。
【0271】
N,N−ビス(3−(3−シアノグアニジノ)プロピル)ドデカンアミド(39):化合物39から、化合物(13)の合成について述べた手順に従って化合物39を合成した。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 3.20-3.02 (m, 4H, -CH
2N), 2.98-2.93 (m, 4H, -CH
2N), 2.09-2.01 (m, 2H, -CH
2CO), 1.70-1.52 (m, 4H, -CH
2), 1.52-1.42 (m, 2H, -CH
2), 1.30-1.20 (m, 16H, -CH
2), 0.89-0.86 (m, 3H, -CH
3). (50 mg, 45%).
【0272】
ポリマーSMP−049の合成:ポリマーSMP−049は、化合物39及び化合物38から、ポリマーSMP−007を合成するために述べた手順に従って合成した。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 8.40-8.10 (brs, 12H, NH), 4.03-3.98 (m, 2H, -CH
2O), 3.91-3.86 (m, 2H, -CH
2O), 3.24-3.18 (m, 4H, -CH
2N), 2.99-2.93 (m, 8H, -CH
2N), 2.77-2.69 (m, 6H, -CH
2N, -CH
2CO), 1.62-1.53 (m, 6H, -CH
2), 1.36-1.30 (m, 6H, -CH
2), 1.27-1.17 (m, 18H, -CH
2), 0.90-0.82 (m, 3H, -CH
3). M
n (予測)= 4800.
【0273】
実施例12
化合物SMP−018、SMP−019、SMP−020、SMP−033、SMP−035、SMP−034及びSMP−036の合成
【0274】
【化59】
【0275】
スキーム13で使用される試薬及び条件:i)(Boc)
2O、DCM、0℃、2時間;ii)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;(iii)6N HCl、16時間、室温;iv)R
1−Br、K
2CO
3、KI、CH
3CN、DIEA、DMF、48時間、還流;v)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;vi)MeI、MeOH、24時間、室温。
【0276】
tert−ブチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(40):ジクロロメタン(30mL)中のジエタノールアミン(2.50g、23.80mmol)の撹拌溶液に(Boc)
2O(7.26g、33.29mmol)を0℃で添加し、同じ温度でさらに2時間撹拌した。完了後、反応混合物を水で洗浄し、生成物をジクロロメタン中で抽出した。次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、粗化合物40を無色の液体として得(3.5g、71%)、これを精製することなく次の工程にさらに利用した。
1H NMR (CDCl
3): δ 3.81-3.79 (m, 4H, -CH
2O), 3.46-3.41 (m, 4H, -CH
2N),1.47 (s, 9H, -C(CH
3)
3).
【0277】
ポリマー41の合成:化合物40(0.5g、2.44mmol)及び1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.41g、2.44mmol)の混合物をTHF(1mL)中で反応させ、のDABCO溶液(3.25mLのTHF中11mg)を反応させ、反応混合物を窒素雰囲気下60℃で5時間撹拌した。次に反応混合物を室温に冷却し、ポリマーを過剰のジエチルエーテルの存在下で沈殿させた。次いで、粗い塊を遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して、ポリマーを白色の粘着性の塊として単離した。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.09-.01 (m, 4H, -CH
2O), 2.95-2.94 (m, 8H, -CH
2N), 1.42-1.37 (m, 4H, -CH
2), 1.39 (s, 9H, -C(CH
3)
3), 1.23-1.21 (m, 4H, -CH
2).
【0278】
ポリマーSMP−019の合成:化合物1(100mg)を0℃で6N塩酸(10mL)に懸濁し、反応混合物を室温で撹拌した。撹拌をさらに16時間続けて透明な溶液を形成した。最後に、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄し、乾燥させて所望のポリマーSMP−019(55mg)を得た。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.27-4.22 (m, 4H, -CH
2O), 3.29-3.12 (m, 4H, -CH
2N), 3.00-2.93 (m, 4H, -CH
2N), 1.45-1.35 (m, 4H, -CH
2), 1.28-1.24 (m, 4H, -CH
2). M
n (予測): 7,000.
【0279】
2,2’−(オクチルアザンジイル)ビス(エタン−1−オール)(42):1−ブロモオクタン(3.0g、1.5mmol)、ジエタノールアミン(2.4g、2.3mmol)、無水炭酸カリウム(4.28g、3.1mmol)をアセトニトリル(40mL)中に取り、内容物を窒素雰囲気下で12時間還流した。冷却後、反応混合物を蒸発させ、ジクロロメタンで抽出し、無水乾燥させた。Na
2SO
4を減圧下で除去して粗生成物を得、これをジクロロメタン及びメタノールを溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な2,2’−(オクチルアザンジル)ビス(エタン−1−オール)を無色の油として得た(590mg、91%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 4.22 (brs, 2H, OHCH
2), 3.86 (t, 4H, J
AB = 5 Hz, -CH
2OH), 3.10 (t, 4H, J
AB = 4.5 Hz, -CH
2N), 2.94 (t, 2H, J
AB = 8 Hz, -CH
2N), 1.69-1.60 (m, 2H, -CH
2), 1.30-1.25 (m, 10H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 7 Hz, -CH
3).
【0280】
2,2’−(ドデシルアザンジル)ビス(エタン−1−オール)(43):化合物42の手順に従って、ジエタノールアミン及び1−ブロモドデカンを使用することにより、化合物43を合成した。
1H NMR (CDCl
3): δ 3.61 (t, 4H, J
AB = 5 Hz, -CH
2OH), 2.65 (t, 4H, J
AB = 5.5 Hz, -CH
2N), 2.51 (t, 2H, J
AB = 7.5 Hz, -CH
2N), 1.49-1.41 (m, 2H, -CH
2), 1.29-1.20 (m, 18H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0281】
(Z)−2,2’−(オクタデカ−9−エン−1−イルアザンジル)ビス(エタン−1−オール)(45):ジエタノールアミン及び(Z)−1−ブロモオクタデカ−9−エンを用いて、化合物42の手順に従って化合物45を合成した。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.37-5.30 (m, 2H, -CH=CH-), 3.64-3.61 (m, 4H, -CH
2OH), 2.69-2.66 (m, 4H, -CH
2N), 2.55-2.50 (m, 2H, -CH
2N), 2.19 (brs, 2H, -OH), 2.04-1.98 (m, 2H, -CH
2),1.49-1.44 (m, 2H, -CH
2), 1.33-1.22(m, 24H, -CH
2), 0.90-.86 (m, 3H, -CH
3).
【0282】
ポリマーSMP−018の合成:THF(1.3mL)中の化合物43(0.5g、1.80mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.24g、1.40mmol)の混合物に、DABCO(2mL THF中6.3mg)の溶液を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下60℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ポリマーを過剰のジエチルエーテルの存在下で沈殿させた。次に遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥してポリマーを白色の粘着性の塊として単離した(344mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 3.97-3.92 (m, 4H, -CH
2O), 2.98-2.90 (m, 4H, -CH
2N), 2.67-2.58 (m, 4H, -CH
2N), 2.47-2.41 (m, 2H, -CH
2N), 1.38-1.33 (m, 6H, -CH
2), 1.30-1.20 (m, 22H, -CH
2), 0.85 (t, J
AB= 6.5 Hz, 3H, -CH
3). M
n (予測): 12,400.
【0283】
ポリマーSMP−020の合成:メタノール(1mL)中のSMP−018(100mg)の溶液にヨウ化メチル(2mL)を反応混合物に加え、室温で24時間撹拌した。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄して、黄色の粘着性固体として所望のポリマーSMP−020を得、これを真空下で乾燥させた(70mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.41-4.30 (m, 4H, -CH
2O), 3.61-3.57 (m, 4H, -CH
2N
+), 3.51-3.47 (m, 2H, -CH
2N
+), 3.10 (s, 3H, -CH
3), 3.0-2.93 (m, 4H, -CH
2NH), 1.38-1.35 (m, 6H, -CH
2), 1.28-1.20 (m, 22H, -CH
2), 0.85 (t, J
AB= 6.8 Hz, 3H, -CH
3). M
n(予測): 12,800.
【0284】
実施例13
化合物SMP−024の合成
【0285】
【化60】
【0286】
スキーム14で使用される試薬及び条件:i)1−ブロモドデカン、NaI、アセトン、還流、24時間。
【0287】
ポリマーSMP−024の合成:アセトン(4mL)中のSMP−018(124mg、9.67μmol)の溶液に、NaI(10%wt/wtのSMP−018)及び1−ブロモドデカン(2mL、0.29mmol)を添加し、反応混合物を24時間還流した。反応完了後、溶媒をデカントし、得られた固体をメタノールで数回洗浄して過剰量の1−ブロモドデカン及び他の可溶性塩を除去して、所望のポリマーSMP−024を黄色の粘着性固体として得、これを真空下で乾燥した(70mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 5.8 (brs, 2H, NH), 4.20-3.94 (m, 4H, -CH
2O), 3.64-3.40 (m, 4H, -CH
2N
+), 3.23-3.05 (m, 4H, -CH
2N
+ merged with DMSO-d
6-H
2O residual peak); 2.95-2.94 (m, 4H, -CH
2NH), 1.41-1.3 (m, 8H, -CH
2), 1.30-1.15 (m, 40H, -CH
2), 0.86 (t, J
AB= 10 Hz, 6H, -CH
3). M
n(予測): 17,000.
【0288】
実施例14
化合物SMP−042の合成
【0289】
【化61】
【0290】
スキーム15で使用される試薬及び条件:i)MeI、MeOH、24時間、室温;ii)40、1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;iii)6N HCl、一晩、室温。
【0291】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルドデカン−1−アミニウム(46):化合物43及びヨウ化メチルを使用し、SMP−020の手順に従って、化合物46を合成した(158mg、75%)。
1H NMR (CDCl
3): δ4.18-4.12 (m, 4H-CH
2O), 4.10 (brs, 2H, -OH), 3.81-3.73 (m, 4H, -CH
2N
+), 3.58-3.51 (m, 2H, -CH
2N), 3.34 (s, 3H, -CH
3), 1.81-1.72 (m, 2H, -CH
2), 1.36-1.33 (m, 2H, -CH
2), 1.31-1.21 (m, 16H, -CH
2), 0.91-0.84 (m, 3H, -CH
3).
【0292】
ポリマー47の合成:化合物40(0.25g、1.22mmol)、化合物46(0.1g、0.35mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.3g、1.8mmol)及び乾燥THF(約1mL)の混合物を丸底フラスコ内でアルゴンの連続流下で取り出した。これに、DABCOの溶液(2.4mLのTHF中8.2mg)を加え、反応混合物を60℃で5時間撹拌した。次に遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥してポリマーを白色の粘着性の塊として単離した(275mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.41-4.46 (m, 4H, -CH
2O), 4.05-3.95 (m, 8H, -CH
2O), 3.65-3.55 (m, 4H, CH
2N
+), 3.50-3.44 (m, 8H, -CH
2NCO), 2.93 (s, 3H, -CH
3), 3.00-2.84 (m, 14H, -CH
2N
+, -CH
2NCO), 1.4-1.33 (m, 32H, -CH
2, -C(CH
3)
3), 1.30-1.20 (m, 30H, -CH
2), 0.87-0.70 (m, 3H, -CH
3).
【0293】
ポリマーSMP−042の合成:ポリマーSMP−042の合成は、化合物47を用い、ポリマーSMP−019の手順に従って行われ、ポリマーは黄色の粘着性固体として得られた(220mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.35-4.20 (m, 8H, -CH
2O), 3.95-3.75 (m, 4H, -CH
2O), 3.58-3.47 (m, 8H, CH
2N
+), 3.40-3.28 (m, 4H, -CH
2NCO), 3.15 (s, 3H, -CH
3), 3.05-2.92 (m, 14H, -CH
2N
+, -CH
2NCO), 1.42-1.33 (m, 14H, -CH
2), 1.25-1.18 (m, 30H, -CH
2), 0.83-0.72 (m, 3H, -CH
3).
M
n(予測): 15,200.
【0294】
実施例15
化合物SMP−062の合成
【0295】
【化62】
【0296】
スキーム16で使用される試薬及び条件:i)(Boc)
2O、TEA、メタノール、水、一晩、室温;ii)EDC・HCl、HOSu、2’−アザンジイルビス(エタン−1−オール)、DIPEA、DCM:DMF(3:1)、一晩、室温;iii)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;iv)6N HCl、一晩、室温。
【0297】
11−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)ウンデカン酸(48)の合成:12−アミノドデコン酸(1.1g、5.0mmol)、トリエチルアミン(0.8mL、5.7mmol)、及びBoc
2O(1.053g、4.8mmol)をMeOH(15mL)中に合わせ、60℃で一晩還流した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに再溶解し、0.25M HClで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。ヘキサンを用いた再結晶により、所望の無色の結晶性固体を得た(1.250g、80%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 4.54 (bs, 1H, NHCO), 3.18-3.08 (m, 2H, -CH
2N), 2.40-2.35 (m, 2H, -CH
2CO), 1.70-1.62 (m, 2H, -CH
2), 1.47(s, 9H, -C(CH
3)
3), 1.40-1.25 (m, 16H, -CH
2).
【0298】
tert−ブチル(11−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−11−オキソウンデシル)カルバマート(49)の合成:DCM:DMF(3:1、20mL)中の化合物48(1g、3.2mmol)の溶液に、HOSu(0.55g、4.8mmol)及びEDC.HCl(0.9mg、4.8mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、無水乾燥した。Na
2SO
4で濃縮し、HOSuエステルを淡黄色固体として得た(1g、77%)。次に、DCM:DMF(3:1、20mL)中のジエタノールアミン(0.306g、3mmol)の溶液に、0℃でTEA(0.84mL、6.1mmol)を加えた。それに続いてHOSuエステル(1g、3.2mmol)を添加し、反応混合物を室温でさらに16時間撹拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに再溶解し、無水乾燥した。Na
2SO
4で処理し、濃縮後、溶出液として3%メタノール−ジクロロメタンを使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して粗製塊を得、白色固体として化合物49を得た(0.8g、63%)。
1H NMR (CDCl
3): δ 4.53 (bs, 1H, NH), 3.89-3.78 (m, 4H, -CH
2O), 3.58-3.50 (m, 4H, -CH
2N), 3.14-3.04 (m, 2H, -CH
2N), 2.42-2.35 (m, 2H, -CH
2CO), 1.67-1.59 (m, 2H, -CH
2), 1.43 (s, 9H, -C(CH
3)
3), 1.35-1.23 (m, 16H, -CH
2).
【0299】
ポリマー50の合成:ポリマー50の合成は、ポリマー41の手順に従って、化合物49及び1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて行い、ポリマーを白色固体として得た(450mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.05-3.97 (m, 4H, -CH
2O), 3.59-3.39 (m, 4H, -CH
2N), 3.00-2.8 (m, 4H, -CH
2N), 2.75-2.73 (m, 2H, -CH
2N), 2.30-2.20 (m, 2H, -CH
2CO), 1.48-1.40 (m, 2H, -CH
2), 1.36 (s, 9H, -C(CH
3)
3), 1.30-1.15 (m, 24H, -CH
2). M
n(予測): 16,400.
【0300】
ポリマーSMP−062の合成:ポリマーSMP−062の合成は、化合物50を用い、ポリマーSMP−019の手順に従って行われ、ポリマーは白色固体として得られた。(367mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 4.25-4.20 (m, 4H, -CH
2O), 3.54-3.47 (m, 4H, -CH
2N), 3.00-2.83 (m, 6H, -CH
2N), 2.30-2.23 (m, 2H, -CH
2CO), 1.32-1.14 (m, 26H, -CH
2). M
n(予測): 14,500.
【0301】
実施例16
化合物SMP−041の合成
【0302】
【化63】
【0303】
スキーム17で使用される試薬及び条件:i)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;ii)6N HCl、一晩、室温;iii)MeI、MeOH 24時間、室温。
【0304】
ポリマー51の合成:化合物30(0.5g、2.2mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.36g、2.2mmol)及び乾燥THF(1.14mL)の混合物をアルゴンの連続流下で丸底フラスコに入れた。これに、DABCO(3.4mLのTHF中9.6mg)の溶液を加え、反応混合物を60℃で5時間撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、ポリマーをジエチルエーテルの存在下で沈殿させた。得られた塊を遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させてポリマーを白色の粘着性の塊として単離した(350mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ5.76 (brs, 2H, -NH), 3.13-3.10 (m, 4H, -CH
2NHCO), 2.99-2.91 (m, 8H, -CH
2NHCO, CH
2NCO), 1.57-1.49 (m, 4H, -CH
2),1.39 (s, 9H, -C(CH
3)
3), 1.38-1.30 (m, 4H, -CH
2), 1.26-1.19 (m, 4H, -CH
2).
【0305】
ポリマーSMP−040の合成:ポリマー51を使用し、SMP−019の手順に従ってポリマーSMP−040を合成し、ポリマーを淡黄色粘着性固体(380mg)として得た。
1H NMR (D
2O): δ3.22-3.18 (m, 2H, -CH
2N), 3.09-3.00 (m, H, -CH
2N), 1.88-1.80 (m, 4H, -CH
2), 1.49-1.40 (m, 4H, -CH
2), 1.32-1.26 (m, 4H, -CH
2). M
n (予測): 8,900
【0306】
ポリマーSMP−041の合成:ポリマーSMP−041の合成は、SMP−040及びヨウ化メチルを用いて、SMP−020の手順に従って行われ、ポリマーは赤褐色の粘着性固体として得られた(220mg)。
1H NMR (DMSO-d
6): δ 3.14-3.02 (m, 7H, -CH
2N, -CH
3), 2.98-2.92 (m, 4H, -CH
2N), 2.90-2.81 (m, 4H, -CH
2N), 1.72-1.63 (m, 4H, -CH
2), 1.2-1.21 (m, 4H, -CH
2), 1.20-1.16 (m, 4H, -CH
2). M
n (予測): 9,300.
【0307】
実施例17
化合物SMP−064の合成
【0308】
【化64】
【0309】
スキーム18で使用される試薬及び条件:i)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;ii)6N HCl、一晩、室温。
【0310】
実施例18
化合物SMP−030、SMP−053及びSMP−029の合成
【0311】
【化65】
【0312】
スキーム19で使用される試薬及び条件:i)塩化オキサリル、DMF、DCM、3時間、室温;ii)43又は45、Et
3N、DCM 24時間、室温;iii)6N HCl、16時間、室温。
【0313】
塩化スクシニル(52):コハク酸(2.95g、25mmol)を触媒量の乾燥DMFと共に乾燥DCM(10mL)に溶解し、塩化オキサリル(2.56mL、30mmol)を0℃でゆっくり加えた。反応混合物を室温でさらに3時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで過剰の塩化オキサリルを減圧下で除去した。真空乾燥の際に残った残渣は、所望の二塩化スクシニル(3.4g、95%収率)を与えた。
【0314】
ポリマーSMP−030の合成:0℃でジクロロメタン(50ml)中の化合物43(820mg、3mmol)及びトリエチルアミン(0.5ml)の溶液にジクロロメタン中のスクシニルジクロリド(558mg、3.6mmol)の溶液をゆっくり添加し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。その後、反応混合物を水及び炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。溶媒を蒸発させると、SMP−030が茶色の塊として得られた(200mg)。
1H NMR (CDCl
3): δ 4.71-4.48(m, 4H, -CH
2OH), 4.09-3.92 (m, 4H, -CH
2N), 3.24-3.21 (m, 2H, -CH
2N), 1.88-1.78 (m, 4H, -CH
2), 1.35-1.32 (m, 4H, -CH
2CO), 1.26-1.24 (m, 18H, -CH
2), 0.87 (t, 3H, J
AB = 6.5 Hz, -CH
3).
【0315】
ポリマーSMP−053の合成:ポリマーSMP−053の合成は、化合物45及び化合物53を使用し、SMP−019の手順に従って行われた。
1H NMR (CDCl
3): δ 5.36-5.30 (m, 2H, -CH=CH-), 4.56-4.50 (m, 4H, -CH
2OH), 3.55-3.46 (m, 4H, -CH
2N), 3.38-3.32 (m, 2H, -CH
2N), 2.68-2.59 (m, 4H, -CH
2CO), 2.03-2.00 (m, 2H, -CH
2), 1.81-1.75 (m, 2H, -CH
2), 1.33-1.24 (m, 24H, -CH
2), 0.89-.86 (m, 3H, -CH
3).
【0316】
実施例19
化合物SMP−066の合成
【0317】
【化66】
【0318】
スキーム20で使用される試薬及び条件:i)EDC・HCl、HOSu、DIPEA、DCM:DMF(3:1)、28、一晩、室温;ii)ヒドラジンヒドラート、エタノール、5時間;iii)52、TEA、ジクロロメタン、一晩、室温;iv)6N HCl、一晩、室温。
【0319】
実施例20
化合物SMP−070の合成
【0320】
【化67】
【0321】
スキーム21で使用される試薬及び条件:i)エチルクロロホルメート、Et
3N、THF、8時間、室温;ii)PEG、DBU、THF、10時間、還流。
【0322】
実施例21
化合物SMP−071〜075の合成
【0323】
【化68】
【0324】
スキーム22で使用される試薬及び条件:i)DCM、Et
3N、16時間、室温;ii)1−ビニル−2−ピロリジノン、AIBN、THF、8時間、60℃;iii)6N HCl、THF、16時間、室温;iv)4−(ジメチルアミノ)ブタン酸塩酸塩、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;v)a)4−(ジメチルアミノ)ブタン酸塩酸塩、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;b)MeI、MeOH、24時間、室温;vi)a)トリ−Boc−アリギニン、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;b)6NのHCl、24時間の室温;vii)MeI、MeOH、24時間、室温。
【0325】
実施例22
化合物SMP−082の合成*
【0326】
【化69】
【0327】
試薬及び条件:i)DCM、Et
3N、16時間、室温;ii)1−ビニル−2−ピロリジノン、AIBN、THF、8時間、60℃。
【0328】
実施例23
化合物SMP−083及びSMP−084の合成
【0329】
【化70】
【0330】
スキーム24で使用される試薬及び条件:i)無水コハク酸、DMF、60℃、20時間;ii)SMP−051、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温。
【0331】
実施例24
化合物SMP−076、SMP−077及びSMP−078の合成
【0332】
【化71】
【0333】
スキーム25で使用される試薬及び条件:i)無水コハク酸、DMF、60℃、20時間;ii)化合物30、化合物54、又はトリ−boc−アルギニン、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;b)6N HCl、24時間、室温。
【0334】
スキーム24及び25における酸変性PVAは、以下のプロトコルのいずれかによって調製される。
【0335】
酸変性PVA(28%)(60)の合成:PVA(分子量9〜10kDa、80%加水分解型)(10g)をDMF(150mL)に120℃で溶解し、60℃に冷却した。溶液に無水コハク酸(4.00g、40mmol、28%w.r.t.水酸基)を加え、60℃で20時間撹拌した後、周囲温度に冷却した。過剰の酢酸エチルを反応混合物に加え、沈殿がもたらされ、それを濾過により回収した。得られた粗生成物をメタノールに溶解し、さらに過剰のジエチルエーテルを加えて沈殿させた。沈殿物を分離し、ジエチルエーテルで徹底的に洗浄し、減圧下で乾燥させて酸変性PVA(28%)を灰白色物質として得た(6.2g)。
【0336】
酸変性PVA(14%)(60)の合成:PVA(10g)をDMF(150mL)に120℃で溶解し、60℃に冷却した。溶液に無水コハク酸(2.00g、20mmol、14%w.r.t.水酸基)を加え、60℃で20時間撹拌した後、周囲温度に冷却した。過剰の酢酸エチルを反応混合物に加え、沈殿がもたらされ、それを混合物から酢酸エチルを除去することにより回収した。得られた粗生成物をメタノールに溶解した後、過剰のジエチルエーテルを加えて沈殿させた。沈殿物を濾過により分離し、ジエチルエーテルで徹底的に洗浄し、減圧下で乾燥させて酸変性PVA(14%)を灰白色の物質として得た(4.2g)。
【0337】
実施例25
化合物SMP−079、SMP−080及びSMP−081の合成
【0338】
【化72】
【0339】
試薬及び条件:i)塩化アクリロイル、DMF、50℃、20時間;ii)1−ビニル−2−ピロリジノン、AIBN、THF、8時間、60℃;b)6N HCl、24時間、室温。
【0340】
実施例26
局所用抗菌ゲル組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌ゲルは、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0341】
【表1】
【0342】
調製方法(F1):
1.SMP−007を水に溶解し、プロピレングリコールを加えた。
2.主混合容器中で、カルボポール980の水溶液を室温で150〜250rpmで水和させた。
3.調製した水溶性薬液を主混合容器に入れ、150〜400rpmで30分〜1時間撹拌し、室温で均一な混合物を得た。
4.安息香酸ナトリウムを水に溶解し、主混合容器に加える。
5.最後に、10%トリエタノールアミンを添加して、pHを5.5〜6.5に維持することによって最終ゲル配合物を得た。得られた溶液をさらに30〜40分間撹拌して、均質な製剤を得た。
【0343】
SMP−007を用いてF2〜F4製剤を調製するために、表1に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0344】
【表2】
【0345】
調製方法(F5)
1)主混合容器内で、EDTAとアラントインを水に溶解した。その後、カルボポール980及びヒアルロン酸ナトリウムを添加し、室温(RT)で1時間、150〜250rpmで膨潤させた。
2)別の容器中で、SMP−020をグリセリンの存在下で室温で200〜300rpmで10分間連続的に混合しながら均質に分散させた。
3)SMP−020を含有する上記混合物の内容物を、主混合容器に150〜250rpmで2時間室温で撹拌しながら添加した。
4)フェノキシエタノール溶液を主混合容器に添加し、撹拌速度を150〜250rpmに維持しながらさらに20分間混合して、均一なゲル製剤を得た。
5)最後に、6N水酸化ナトリウム溶液を添加してpH5.5〜6.5の最終ゲル製剤を得た。得られた溶液をさらに30〜40分間撹拌して、均質な製剤を得た。
【0346】
SMP−020を用いてF6及びF7製剤を調製するために表2に記載の他の成分を用いて同様の実験手順に従った。
【0347】
【表3】
【0348】
調製方法(F8):
1.溶媒注入法によりリポソームを調製した。ここでは、特定のw/w比のSMP−020、レシチン及びコレステロールを最少量のエタノール及びジクロロメタン混合物に溶解した。
2.得られた溶液を45〜65℃で300〜500rpmで30分〜1.5時間撹拌しながらpH7.4のリン酸緩衝溶液に注入した。得られた混合物を有機溶媒が蒸発するまで撹拌し、残った溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧下で蒸発させた。
3.これにより、TEMによって特徴付けられた特定のサイズのリポソームが形成される。
4.主混合容器内で、カルボマー974Pの水溶液を室温で200〜300rpmで水和させた。
5.薬物封入リポソーム溶液を主混合容器に加え、室温で均質混合物を得るために150〜400rpmで30分〜1時間撹拌した。
6.溶液を室温で撹拌しながらベンジルアルコール及びブチル化ヒドロキシトルエンを最後に加えた。
7.最後に、10%トリエタノールアミンを加えてpH5.5〜6.5の最終ゲル製剤を得た。得られた溶液をさらに30〜40分間撹拌して、均質な製剤を得た。SMP−020又はSMP−037を用いてF9製剤を調製するために表3に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0349】
実施例27
局所用抗菌軟膏組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌軟膏は、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0350】
【表4】
【0351】
調製方法(F10):
1.ガラス張りの融解容器中に、67gのポリエチレングリコール400と22gのポリエチレングリコール4000を添加しそして60〜70℃で融解した。
2.上記混合物をホモジナイザーに移し、50〜55℃に冷却した。
3.別の容器内でSMP−020を3〜5gのポリエチレングリコール400及び3gのポリエチレングリコール4000に50〜55℃で分散させ、ゆっくりホモジナイザーに加えた。
4.均質な軟膏製剤を得るために均質化を50〜55℃で30分〜1.5時間実施し、室温に冷却させた。
5.溶液が室温に達している間にベンジルアルコールを最後に加えた。
6.最後に、10%トリエタノールアミンを添加してpH5.5〜6.5の最終軟膏製剤を得た。得られた溶液をさらに10〜30分間撹拌して、均一な製剤を得た。
【0352】
SMP−020又はSMP−042を有するF11〜F13製剤を調製するために表4に記載の他の成分を用いて同様の実験手順に従った。
【0353】
【表5】
【0354】
製造手順(F14):
1.セトステアリルアルコール、セトマクロゴール1000及び鉱油を65〜70℃の容器内で融解した。
2.SMP−047を精製水に溶解し、そして50〜60℃に加熱した。工程1で述べたように水相を脂質相に添加し、続いて50〜60℃で均質化して均質なA相溶液を得た。
3.別の容器中で白色の軟質パラフィンを取り出し、70℃で融解し、融解塊をフィルターを通してミキサー容器に移しそして50〜60℃に冷却する(B相)。
4.工程2に記載したA相を50〜60℃で10〜15分間撹拌又は均質化を維持することにより、50〜60℃で融解軟質パラフィン塩基(B相)に添加した。
6.軟膏剤をゆっくり室温に冷却し、続いて防腐剤を添加した。
7.最後に10%トリエタノールアミンを添加してpH5.5〜6.5の最終軟膏製剤を得た。
【0355】
得られた溶液をさらに10〜30分間撹拌して、均一な製剤を得た。SMP−047を用いてF15及びF16製剤を調製するために表5に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0356】
実施例28
局所用抗菌クリーム組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌クリームは、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0357】
【表6】
【0358】
調製方法(F17):
1.主混合容器にカルボポール980溶液を添加し、200〜250rpmで水和させた。
2.別の容器中でオートミールをグリセロール中に分散させ、150〜200rpmで10〜15分間撹拌して均質な分散液を得た。撹拌速度を150〜250rpmに維持することにより、上記溶液をカルボポール溶液にゆっくり加えた。得られた溶液を55〜60℃に加熱した(A相)。
3.別の容器にカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、ジメチコン、セトステアリルアルコール、ステアレス−2及びステアレス−21を添加し、SMP−020を脂質相に分散させた。150〜200rpmで撹拌を維持しながら最終混合物を60〜65℃で加熱した(B相)。
4.撹拌速度を55〜60℃で250〜450rpmに維持することによってB相をA相にゆっくり添加して、均質な混合物を得た。
5.得られた溶液を40℃に到達させ、続いて保存料(ベンジルアルコール)及び酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)の両方を加えた。
6.最後に10%トリエタノールアミンを添加して最終pH5.5〜6.5を得た。得られた溶液を室温に冷却し、250〜450rpmでさらに30分〜1時間撹拌して、最終的に均質なクリーム製剤を得た。
【0359】
SMP−020を用いてF18及びF19製剤を調製するために表6に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0360】
実施例29
局所用抗菌性ヒドロゲル又は創傷被覆材に基づく組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌製剤は、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0361】
【表7】
【0362】
調製方法(F20):
1.水溶性SMP分子(SMP−007)を水に溶解して(17.5%w/v)を得た。難水溶性SMP分子(SMP−037)をDMSOに溶解してストック濃度(17.5%w/v)を得た。
2.17.5%w/vのPVA/PVA酸(28%)の溶液を、その溶液を90℃に加熱することによって10mlの水中の1.75gのPVA/PVA酸(28%)を脱溶媒することによって前処理した。
3.ストック溶液からの異なる量のSMP分子(17.5%w/v)をヒドロゲルを形成することが知られている固定比のスペルミジン/ノルスペルミジン対PVA/PVA酸溶液に順次添加した。得られた混合物を5分間超音波処理し、そして3〜4日後に3〜6回の連続凍結/融解サイクルに通してSMP負荷ヒドロゲルを得た。
【0363】
表7のF21〜F26に記載されるように、疎水性又は親水性SMP分子のいずれかの装填を容易にする種々のポリマーマトリックスと共にヒドロゲルを形成するために異なる外部刺激を使用して最終ヒドロゲル配合物を得た。
【0364】
本開示のスキーム22〜24と同様に、ビニル置換又はメタクリレート又はアクリレート置換スペルミジン、ノルスペルミジン、スペルミン、ジエタノールアミン及び他の多くの誘導体化分子又は官能化SMPモノマー分子のような異なる反応性モノマー足場は、アクリレート又は他の反応性官能化ポリマー骨格、例えば、デキストラン、アルブミン、(ヒドロキシエチル)デンプン、ポリアスパルトアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリル酸)pHEMA、PVA、ポリアクリル酸、PEG、PEG−PLA、ポリ(D、L−乳酸)、ポリグリコール酸、PLGA、ヒアルロン酸等と反応し、適切なラジカル発生剤の存在下でラジカル重合により架橋ゲル/ヒドロゲルを形成する。ラジカルは、ラジカル開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチロニトリル)を使用することによって、又は単独でUV光の曝露後に、又は(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)のような適切な光開始剤の存在下で、又はペルオキシ硫酸とN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミド(TEMED)で構成される光開始剤の存在下で、反応媒体中でその場でラジカルを発生させた。有効なSMP分子SMP−047、SMP−020、SMP−37、SMP−007、SMP−010、SMP−042、SMP−034、SMP−036及び他のものは、異なるポリマーマトリックス又はポリマー誘導体、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、PVA酸、ポリ−L−乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、ヒアルロン酸、デンプン−ペクチン、アルギン酸ナトリウム、デキストラン、β−シクロデキストリン、キトサンと組み合わせたデキストランを単独又はそれらの組み合わせに負荷し、室温及びpH7での生分解性及び生体適合性のゲル又はヒドロゲルを形成した。これらの抗菌ポリマー系は、グラム陽性及びグラム陰性病原体によって引き起こされる様々な種類の創傷、インプラント及び他の手術部位関連感染症の治療のために異なる局所剤形に処方された。
【0365】
本開示のSMPモノマー分子及びポリマー分子は、最終的に、有効濃度で作用部位に活性物質を送達するために、異なる局所剤形に処方された。加水分解性及び非加水分解性基の存在に応じて、ポリマーは生分解性又は生体適合性又は部分生分解性形態として認識された。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリグリコリド、キトサン、ポリヒドロキソブチレート、キトサン、ヒアルロン酸ベースの結合は、加水分解性であり、生分解性として認められている。一方、ポリウレタン、ポリウレア、ポリメタクリレートベースの足場は非生分解性であるが、それらのいくつかは生体適合性であることが見出された。そのような生体適合性抗菌ポリマーは、様々な整形外科用途に使用されている。
【0366】
実施例30
抗菌コーティング組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌製剤は、インプラントコーティングを含む用途のために処方された。
【0367】
【表8】
【0368】
調製方法(F27):
1.SMP−042をジメチコン、PEG−12−ジメチコン及びプロピレングリコール中に分散させた。
2.上記溶液(工程1に記載)をシリコーン系医療用流体と混合して、透明から不透明の溶液を形成した。
3.ラテックスカテーテルを室温で10分〜30分間、最終混合物(ステップ2に記載)に浸した。
4.SMP−042含有シリコーン被覆ラテックスカテーテルを25℃及び60%RHで24時間硬化させ、さらなる特徴付け、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0369】
SMP−020を有するF29製剤を調製するために表8に記載の他の成分又は可溶化剤を用いて同様の実験手順を続けた。親水性ポリマーSMP−007の場合、PVA−スペルミジン混合物を用いてSMP−007を可溶化し、続いてラテックスカテーテルを室温で10分〜30分間最終混合物に浸漬した。最後に、SMP−007含有シリコーン被覆ラテックスカテーテルを25℃、60%RHで24時間硬化させ、さらなる特性評価、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0370】
【表9】
【0371】
調製方法(F30):
1.ラテックスカテーテルを室温で10分〜30分間、20%PVA−アクリレート水溶液に浸漬した。
2.次にPVA−アクリレート被覆カテーテルをアクリレート誘導体化分子の水溶液(化合物62)に浸漬し、続いて5〜10分間UV照射した。
3.最後にPVA被覆カテーテルを25℃及び60%RHで24時間硬化させ、さらなる特徴付け、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0372】
代替として、ステップ3を行う前の最後に、PVAコーティングされたカテーテルを室温で10分〜30分間、医療用流体に最後に浸して、滑りやすい表面を得た。最後に、シリコーン−PVA被覆カテーテルを25℃及び60%RHで24時間硬化させ、さらなる特徴付け、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0373】
実施例31
最小阻止濃度(MIC)の決定
本開示の化合物のMICは以下のように決定された。
【0374】
材料:ブレインハートインフュージョンブロス、細菌及び真菌培養物、96ウェルプレート、オートクレーブ、インキュベーター。検証研究/試験に使用された微生物株は、MTCC(Chandigarh,India)−S.aureus(MTCC−6908),E.coli(MTCC−1687);NCIM(Pune,India)−E.aerogenes(NCIM−5139);ATCC(USA):S.aureus(ATCC−43300)、S.epidermidis(ATCC−35984)、P.aeruginosa(ATCC−27853)、A.baumanii(ATCC−19606)、K.pneumoniae(ATCC−13883)、E.coli(ATCC−BAA196);CCARM(Korea)−Candida albicans(CCARM−14009)、P.aeruginosa(CCARM−2161)及びA.baumanii(CCARM−12001)から入手した。
【0375】
方法:本分子のMICは、臨床標準研究所(CLSI)のガイドラインに従って、マイクロブロス希釈法によって決定した。微生物株は、適切な培地[細菌用ブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)、及びカンジダ用サブローデキストロースブロス(SDB)]で、37℃で24時間培養した。MIC試験のために、滅菌BHI/SDブロス(100μl)を96ウェル全てに添加し、薬物を含有するブロス100μlを最初のウェル(1A〜1H)に添加し、連続(二重)希釈を最大10ウェル(96ウェルプレートのカラム1からカラム10)まで実施した。接種材料については、UV−Visual分光光度計(約1.5×10
8細胞/ml)で微生物培養物の濁度を600nmで0.1光学濃度(O.D.)に調整し、さらに希釈した(滅菌培地で100倍)。無菌対照ウェル(96ウェルプレートのカラム12)を除く各ウェルに希釈培養懸濁液(100μl)を加えた。96ウェルプレートの11列目を増殖対照及びビヒクル対照として使用した。プレートを37℃で24時間インキュベートした。試験化合物のMICは、視覚的細菌増殖を妨げる試験化合物の最低濃度を観察することによって決定した。MIC試験結果及び結論/推論を以下の表10〜13に提供する。
【0376】
【表10】
【0377】
結果:不飽和C−18アルキル鎖を有するSMP−047は、MRSAに対して強力な抗菌活性を有し、耐性大腸菌に対しても強力であることが見出された(表10)。末端アミノ基のアルギニン残基によるSMP−002及びSMP−047の修飾は、それぞれSMP−051及びSMP−065をもたらした。SMP−051の抗菌活性は、SMP−002と比較して、グラム陽性病原体に対して10〜20倍、グラム陰性病原体に対して100〜150倍改善されることが見出された。SMP−051及びSMP−047は両方とも、広いスペクトルの抗菌活性を有する小さな消毒剤分子であることが見出された(表10)。
【0378】
推論:試験した全てのSMP分子は良好な抗菌活性を示した。上記の結果はまた、C−12のような特定の疎水性基、又はラウリル、オレイル、リノール基のような不飽和C−18長鎖及び正味の正電荷の存在が、異なるSMP分子の抗菌活性によって見られるように所与の分子の抗菌活性に影響を及ぼすことを示唆する。結論として、S−アルキル化−NACファーマコフォア部分の存在のような異なる機能部分の全体的な空間的配向及び幾何学的配置は、所与の分子の抗菌活性に対して重要な役割を果たす。
【0379】
【表11】
【0380】
結果:SMP−002モノマーを、多数のホモポリマー及びヘテロポリマーを得るための強力なビルディングブロックとしてさらに調べた。例えば、SMP−010を得るための自己重合、又はヘテロポリマーSMP−007を得るためのヘキサメチレンビグアニジンジシアノ部分との重合のいずれかを行うために、SMP−002を利用した(表11)。SMP−007及びSMP−010は両方とも良好な抗菌活性を示した。SMP−007の場合、長いC12アルキル鎖含有NACファーマコフォアから寄与する有意な活性を確認するために、C12、C8及びモノ不飽和C18アルキル官能化ポリマーを有するSMP−043、SMP−045及びSMP−060のような他のポリビグアニジウム結合ノルスペルミジン系ヘテロポリマーをそれぞれ設計及び合成した。SMP−043、SMP−045及びSMP−060のようなこれらすべてのポリビグアニジン系ポリマーは、MRSAに対して同様の活性を示すことが見出された。SMP−043及びSMP−045の両方は、カンジダ種に対して類似の抗真菌活性を有する。多くの態様において類似しているが、SMP−043は、耐性S.エピデルミディス株に対して8倍増強された活性及び大腸菌株に対して4倍増強された活性を有するため、SMP−045よりも強力な抗菌剤である(表11)。
【0381】
推論:試験した全てのSMP分子は良好な抗菌活性を示した。特に、SMP−043及びSMP−007は最も効果的なポリビグアニジンベースの抗微生物ポリマーとして示され、異なる局所処方物は異なる薬物送達担体を用いて製造された。
【0382】
【表12】
【0383】
結果:抗菌活性を探求するために、ポリウレタン系ポリマーの別のセットを設計し合成した。ジエタノールアミン又はノルスペルミジン誘導体をモノマー単位として選択し、続いてヘキサメチレンジイソシアネートと重合させて様々なポリウレタン誘導体を得た(表12)。SMP−018を過剰のヨウ化メチルと反応させて、C−12アルキル鎖及びメチル含有四級化SMP−020分子を得た。四級化は、特に耐性病原体に対して優れた抗菌活性及び抗真菌活性を提供する。SMP−033及びSMP−035分子をヨウ化メチルと反応させることによって四級化して、それぞれSMP−034及びSMP−036を得た。C−16アルキル及びメチル四級化ポリマー足場を有するSMP−036、ならびにC−8アルキル及びメチル四級化分子を有するSMP−034の両方が、グラム陽性病原体に対して特異的であることが見出された。SMP−042は、SMP−020のようなメチル及びC−12アルキル四級化単位を有するトリブロックコポリマーであり、SMP−020のように類似の抗菌活性及び抗バイオフィルム活性を有することが見出された。四級化を除いて、長鎖(C12)アルキルアミン官能化ポリウレタン誘導体は、SMP−061及びSMP−062のように製造された。興味深いことに、SMP−062はグラム陽性病原体に対してSMP−020のような類似の抗微生物特性を有することが見出された。SMP−067は、耐性グラム陽性病原体に対して強力な活性を示すことが見出された。モノマー単位としてノルスペルミジン誘導体、ヘキサメチレンジイソシアネート、エタノールアミン及びヘキサメチレン又はジメチレンシアノポリグアニジウム誘導体を選択することによって、ポリビグアニジン及びポリウレタン系混合ポリマーの別のセットを設計及び合成した(表12)。異なるモノマー足場間のその後の重合は、SMP−037、SMP−049、SMP−059及び他の多くのもののような様々な混合ポリマーを生じる。すべてのポリマーの中で、SMP−037は、広範囲の細菌種及び真菌種に対して、特にMRSA及び耐性S.エピデルミディスに対して強力な抗菌活性を有することが見出された。ジエタノールアミン及びノルスペリミジン誘導体と無水コハク酸とを異なるモル比で反応させることによって、ポリエステル及びポリアミド系ポリマー足場の別のセットを設計及び合成した(表12、SMP−30及びSMP−049)。C−12アルキル官能化ポリエステル類似体は良好な抗菌活性を示した。
【0384】
推論:試験した全てのSMP分子は良好な抗菌活性を示した。上記の結果は、ポリマー足場における電荷及び疎水性、ならびに両方の特性の正しいバランスの重要性が、活性抗菌ポリマーを提供するために必要であることを示している。その場合、メチル及びC12−アルキル四級化ポリウレタン足場は、すべての異なる結合を有する、これまでに合成されたすべてのSMP分子の中で最も強力な抗菌、抗真菌及び抗バイオフィルム活性をもたらした。さらに、一価不飽和C−18アルキル鎖は、グラム陽性菌膜と選択的相互作用を示した。とりわけ、ポリウレタン、ポリウレア及び混合ポリウレタン−ポリビグアニジンベースの足場SMP−020、SMP−042、SMP−037及びSMP−062が、異なる薬物送達担体を使用することによる局所製剤のための活性APIとして選択された。上記の結果は、最適な抗菌活性を得るためのポリマー足場における電荷及び疎水性バランスの重要性をさらに裏付けるものである。
【0385】
【表13】
【0386】
結果:本開示の化合物のいくつかの活性は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、K.pneumoniaeなどのグラム陰性病原体に対して試験した(表14)。ポリウレタンベースのポリマーであるSMP−020は、感受性及び耐性の両方のグラム陰性病原体に対して最も有効な分子であり、市販の消毒剤PHMBのように挙動することが見出された。SMP−037、SMP−007及び単量体類似体、SMP−051のようなポリマーもまた、グラム陰性病原体に対して非常に有効であることが見出され、広域スペクトル消毒剤として認識することができる。
【0387】
推論:SMP−007は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、及びK.pneumoniaeなどの他のグラム陰性病原体に対して、約4〜20μg/mlの優れた抗菌活性を有することが見出された。SMP−020は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、K.pneumoniae及び他のもののような他のグラム陰性病原体に対してさえも強力な抗菌活性を有することが見出された。
【0388】
上記の結果は、一価不飽和C−18アルキル鎖がグラム陽性菌膜と選択的に相互作用するのに対して、強いカチオン電荷ならびに電荷と疎水性の適切なバランスがグラム陰性菌膜との強い相互作用をもたらすことを示唆する。上記の構造機能活性の結果は、モノマー分子又はポリマー分子の骨格の周りの活性官能基の疎水性、正味電荷及び配向が、異なる細菌膜とのそれらの相互作用の決定に向けて重要な役割を果たすことを示唆する。上記の結果はまた、いくつかの分子がグラム陽性菌膜との相互作用に対して特異的であり、グラム陰性病原体に対して強力であることが見出されたものは非常に少ないことを示している。この事実は、グラム陽性病原体と陰性病原体について異なる膜形態が存在するために容易に正当化することができる。全ての異なるSMP分子についての上記生物活性の結果は、活性官能基の適切な3D形状/配向と共にハード若しくは特定の薬理作用部分又はそれらの組み合わせのいずれかの存在がグラム陰性膜を破壊するために不可欠であり、一方、分子の特定の配向と共にC12若しくはC18(一価不飽和)アルキル鎖又はソフト電荷又はそれらの組み合わせのようなものは、グラム陽性膜との相互作用を制御するために必要な因子であることを結論付ける。
【0389】
実施例31
S.epidermidisバイオフィルム破壊アッセイ
本開示の化合物をS.epidermidisに対するそれらのバイオフィルム破壊活性について以下のように試験した。
【0390】
材料:ブレインハートインフュージョンブロス、S.epidermidis ATCC35984、96ウェルプレート、オートクレーブ、インキュベーター、0.05%MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)試薬、マルチウェルプレートリーダー。
【0391】
方法:S.epidermidis ATCC35984をブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)中で37℃にて24時間増殖させた。白金耳量の細菌培養物を滅菌水に懸濁し、UV−Visual分光光度計(約1.5×10
8)で600nmにて0.1ODに濁度を調整し、さらに(滅菌BHIブロスで100倍に)希釈し、100μLの培養懸濁液を96ウェルプレートに加え、バイオフィルム形成のためにプレートを37℃で48時間インキュベートした。バイオフィルムを滅菌水で2回洗浄して浮遊細胞を除去した。次いで、バイオフィルムを様々な濃度の本開示の化合物を懸濁した100μLのBHIブロスで処理し、プレートをさらに37℃で24時間インキュベートした。最小バイオフィルム破壊濃度(MBDC)は、MTT試薬でインキュベートしたプレートを用いて37℃で2時間バイオフィルムを染色することによって決定した。沈殿物を100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、吸光度をマルチウェルプレートリーダーで600nmにて測定した。最小バイオフィルム破壊濃度は、48時間増殖対照で処理した薬物のMTT OD値を差し引くことによって計算した。活性結果を表14に提供する。
【0392】
【表14】
【0393】
結果:NAC(N−アセチルシステイン)基はC12長鎖結果(SMP−001)で官能化され、S.epiermidis(ATCC 35984)によって効果的に開発されたバイオフィルムを破壊することが見出された。興味深いことに、SMP−002(式Ia)は、SMP−001のように抗バイオフィルム活性を維持することが見出された。SMP−020、SMP−042、SMP−034、及びSMP−036(式Ib)は、それらの疎水性の違いにもかかわらず、低い薬物濃度(0.125mg/ml)でS.epidermidisによって形成されたバイオフィルムを破壊することが見出された。ポリビグアニジン官能基に属するSMP−007、SMP−043、SMP−045のような特定の分子のいくつかはまた、S.epiermidisバイオフィルムに対して強力な活性を有することが見出された。ポリビグアニジンとポリウレタンの混合足場に属するSMP−037もまた、優れた抗バイオフィルム活性を有することが見出された。
【0394】
推論:構造活性相関は、NACに付加された四級化電荷及び長いC−12アルキル鎖が、S.epidermidisによって形成されたバイオフィルムを破壊することに対して有意な影響を有すると結論付けた。
【0395】
実施例32
E.coliバイオフィルム破壊アッセイ
以下のように、本開示の化合物をそれらの大腸菌に対するバイオフィルム破壊活性について試験した。
【0396】
材料:ブレインハートインフュージョンブロス+1%グルコース、大腸菌ATCC BAA196、96ウェルプレート、オートクレーブ、インキュベーター、MTT、マルチウェルプレートリーダー。
【0397】
方法:大腸菌ATCC BAA196をブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)中で37℃にて24時間増殖させた。白金耳量の細菌培養物を滅菌水に懸濁し、UV−Visual分光光度計(約1.5×10
8)で600nmにて0.1ODに濁度を下げ、さらに(滅菌BHIブロス+1%グルコースを用いて100倍で)希釈し、100μLの培養物の懸濁液を96ウェルプレートに添加し、バイオフィルム形成のためにプレートを37℃で24時間インキュベートした。バイオフィルムを滅菌水で2回洗浄して浮遊細胞を除去した。次いで、バイオフィルムを様々な濃度の本開示の化合物を懸濁させた100μLのBHIブロス+1%グルコースで処理し、プレートをさらに37℃で24時間インキュベートした。最小バイオフィルム破壊濃度(MBDC)は、バイオフィルムをMTT試薬でインキュベートしたプレートを用いて37℃で2時間染色することによって決定し、沈殿物を100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、マルチウェルプレートリーダーで吸光度を600nmで測定した。最小バイオフィルム破壊濃度は、24時間増殖制御で処理した薬物のMTT OD値を差し引くことによって計算した。活性結果を表15に提供する。
【0398】
【表15】
【0399】
結果:試験した全ての化合物は大腸菌バイオフィルムの破壊を示し、その中でSMP−051が最良であり、SMP−001及びSMP−020がそれに続いた。
【0400】
推論:結果は、アルギニンベース及び四級化ベースのポリマーがグラム陰性バイオフィルムを破壊するより良い能力を有することを示唆している。
【0401】
実施例33
細胞毒性アッセイ
本開示の化合物の細胞毒性をHaCat細胞において試験した。
【0402】
材料:RPMI1640培地、96ウェルプレート、ウシ胎児血清、CO
2インキュベーター、倒立顕微鏡、ウォーターバス、HaCat細胞株。
【0403】
方法:MTTアッセイは、Alleyら、1988に記載されているように、いくつかの修正を加えて行った。アッセイにおけるDMSOの最終濃度が<5%であるように、DMSO中の本開示の化合物の異なる希釈物をMTTアッセイに使用した。RPMI 1640培地中で調製した細胞懸濁液は、試験薬を含まずに5%ウシ胎児血清(200μlの容量)を96ウェルプレートに播種し(ウェル当たり20,000細胞)、約12時間増殖させた。次いで、試験化合物の適切な容積の作業ストック溶液をウェルに添加して、最終濃度25、50、100、200及び400μg/mlを3連で達成した。参照阻害剤カンプトテシンを最終濃度50μMを達成するように添加した。細胞を5%CO
2雰囲気中37℃で48時間インキュベートした。インキュベーション期間後、プレートをインキュベーターから取り出し、使用済み培地を除去し、続いてMTT試薬を最終濃度0.5mg/mlになるように添加した。3時間インキュベートした後、MTTを除去し、100μlのDMSOを添加し、ELISAリーダーで570nmで吸光度を測定した。アッセイ対照は、(a)培地対照(細胞を含まない培地)、(b)陰性対照(細胞を含む培地であるが、実験化合物を含まない)、(iii)陽性対照(細胞を含み、50μMカンプトテシンを含む培地)であった。実験は3重にして行い、データを細胞の生存率としてパーセントでプロットした。結果を表16に提供する。
【0404】
【表16】
【0405】
結果:本開示のいくつかの有効な広域スペクトル化合物の毒性アッセイをHaCaT細胞株に対して行った(表16)。モノマー類似体(式Ia)の中で、SMP−047は市販のPHMB及びクロロヘキシジン分子と比較してより良好な安全性プロフィールを有することが見出された。ポリマー分子(式I、式Ib、式Ic)の中で、SMP−020、SMP−042及びSMP−062のようなポリウレタン系分子の大部分は、良好な安全性プロフィールを有し、PHMBと同等又はそれ以上に良好であることがわかった。さらに、SMP−007、SMP−060及びSMP−037のようなポリビグアニジン及び混合ポリウレタン−ポリビグアニジン足場のいくつかは、参照標準PHMBに関して良好な安全性プロフィールを有することが見出された。
【0406】
推論:上記のデータは、SMP化合物がそれらのMICよりもはるかに高い濃度でヒト細胞株により十分に許容され、それ故に抗微生物剤として使用するための良好な治療域を有することを示唆する。
【0407】
実施例34
創傷治癒特性を試験するためのスクラッチアッセイ
本開示の化合物の創傷治癒特性を試験するためにスクラッチアッセイを実施した。
【0408】
材料:NIH−3T3細胞株、ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)、6ウェルプレート、ウシ胎児血清、CO
2インキュベーター、倒立顕微鏡、滅菌マイクロチップ。
【0409】
方法:NIH−3T3細胞を、10%FBSを添加したダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)の6ウェル組織培養プレートに播種した。細胞を37℃(5%CO
2)で24時間インキュベートして、単層中で70〜80%の密集度に到達させた。この段階で、滅菌マイクロピペットチップを使用して、チップの長軸をウェルの底部に対して垂直に保持することによって、ウェルの中心に沿って(直線で端から端まで)培養単層に引っ掻き傷を導入した。かくして得られたスクラッチの幅は、先端のとがった端部の外径と同等であった。スクラッチを導入した後、細胞を培地で2回穏やかに洗浄して剥離した細胞を除去し、次いでウェルに所望の濃度の試験剤を含有する新鮮培地を補充した。次いで、細胞を37℃(5%CO
2)で6時間インキュベートした後、全試料について均一な顕微鏡設定(対物倍率10倍)を用いて画像を取得した。培養物(全てのウェル)の顕微鏡写真を処理の6時間後に撮って、各ウェルにおいて、引っ掻き傷の状態(引っ掻き傷内の細胞の外観、引っ掻き傷の境界の完全性及び引っ掻き傷の両側の細胞の一般的健康状態)を定性的に評価した。各ウェルの引っかき傷によって生じたギャップの充填をサンプル間で比較し、未治療対照との比較に基づいて治癒に対する試験剤のあらゆる効果についての解釈を導いた。結果を
図2に提供する。
【0410】
結果:本明細書で試験された全てのSMP化合物は、NIH−3T3細胞によって十分に許容され、未処理(UT)及び線維芽細胞増殖因子補充(FGF)サンプルと比較して引っ掻き治癒過程に悪影響を示さなかった。各サンプルの画定されたスクラッチ領域(垂直の長方形の箱)で観察されたように、いくつかの細胞はスクラッチの導入後、6時間以内に各サンプルのスクラッチ領域に移動した。サンプル間に目に見える違いはなかった。
【0411】
推論:インビトロでのスクラッチテストアッセイに基づくと、どの化合物も創傷治癒を妨げる可能性のある特性を示さないことが観察される。
【0412】
さらに、単量体類似体SMP−047、ポリビグアニジン類似体SMP−007、ポリウレタン類似体SMP−020及び混合ポリウレタンとポリビグアニジン類似体SMP−037のような分子のいくつかは、上記のように、インビトロMIC値、HaCaT細胞株に対する毒性値、及びグラム陽性とグラム陰性病原体に対するバイオフィルム阻害効果に基づいて局所組成物を調製するために選択された。組成物を、ヒドロゲル、ヒドロゲルフィルム、創傷被覆材、ゲル、軟膏、スプレー、溶液のような異なる局所投与形態に、又は持続的に感染部位に活性成分を送達するためのカテーテル又はインプラント表面上のコートの形態に処方した。
【0413】
上記の実施例及び結果は、抗菌用途における現在開発されている化合物の効率を示す。 SNAP技術を用いて開発された本開示の化合物の意義及びいくつかの利点は以下の通りである。
【0414】
銀を含む現在のシナリオで広く規定されているすべての防腐剤は1960年代以前に開発された。新しい広域スペクトル消毒薬の開発及び改善された医療機器の開発におけるそれらの使用について論じる最近の臨床研究/報告は多くない。本開示の技術は、改善された収率で最終化合物を得るための費用対効果の高い、合成的に実行可能な(短い工程)プロセスを含む。これらの化合物は、抗生物質耐性株を含む病原菌、真菌に対して広範囲の抗菌効果を提供する。ポリマー足場中の複数の正電荷及びバイオフィルム抑制セグメントの反復は、抗微生物作用及びバイオフィルム抑制作用の両方を改善し、したがって他の既知の消毒剤/特に耐性株に対する化合物と比較して生物有効性を改善する。さらに、この技術は、抗生物質又は他の化合物とは異なり、耐性株を開発する傾向が低い。さらに、本発明の化合物は、それらがいかなる反応性官能基も欠いているので、血液又は血清タンパク質の存在下で安定なままである。これは、従来技術のヨードフォア及び銀ベースの消毒剤配合物に関する最近の課題の1つであるインビボ状態での消毒剤の失活プロセスを防止することに注意を払う。
【0415】
本発明の化合物の高い抗微生物効力は、短期間で、低投薬量で治療効果を可能にし、これはまた毒性の副作用−現在使用されている防腐剤又は化合物において一般的な現象を最小にする。SNAP技術の独特の化学的性質はまた、それをヒドロゲル、ビーズ及びパッド、又は創傷包帯材料のような異なる送達マトリックスと適合させる。さらに、SNAP技術は、特定の濃度で包帯剤又はヒドロゲルを介して同時投与した場合に銀ナノ粒子又は銀創傷包帯剤の抗菌作用を増大させて、両方の活性物質の持続放出ならびに長期間にわたる抗菌及びバイオフィルム抑制作用の全体的改善を達成する。したがって、SNAP技術を使用して開発された本開示の化合物は、SSIに関連する耐性株に対して安全で改善された有効性を提供するだけでなく、感染部位における最適薬物濃度を維持するための独自の非浸出持続薬物放出アプローチも提供し、患者の罹患率と医療費を削減する。したがって、現在のSNAP技術は、長期的には治療の全体的な経済的負担を軽減することを約束する、さまざまな適用方法によるSSIの予防及び治療に使用するために、グラム陽性及びグラム陰性病原体の両方に対する強力なバイオフィルム抑制作用とともに優れた抗菌特性を提供するであろう、消毒空間において安全で効果的な広域スペクトル抗菌剤を開発するという未解決の必要性に部分的に対処することを目的とする。