特表2019-528309(P2019-528309A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビオーム セラピューティクス リミティドの特許一覧

特表2019-528309抗菌用途に関連する化合物、組成物及び方法
<>
  • 特表2019528309-抗菌用途に関連する化合物、組成物及び方法 図000128
  • 特表2019528309-抗菌用途に関連する化合物、組成物及び方法 図000129
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-528309(P2019-528309A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】抗菌用途に関連する化合物、組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 323/60 20060101AFI20190913BHJP
   C08G 73/02 20060101ALI20190913BHJP
   C08G 64/02 20060101ALI20190913BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20190913BHJP
   C07C 279/12 20060101ALI20190913BHJP
   C07C 271/20 20060101ALI20190913BHJP
   C07C 275/14 20060101ALI20190913BHJP
   C07C 211/03 20060101ALI20190913BHJP
   C07C 237/10 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20190913BHJP
   C07D 207/27 20060101ALI20190913BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20190913BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190913BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20190913BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20190913BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20190913BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20190913BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20190913BHJP
   C08G 18/08 20060101ALN20190913BHJP
   C08G 63/685 20060101ALN20190913BHJP
   C08G 69/26 20060101ALN20190913BHJP
   C08F 226/08 20060101ALN20190913BHJP
【FI】
   C07C323/60CSP
   C08G73/02
   C08G64/02
   C08L101/02
   C07C279/12
   C07C271/20
   C07C275/14
   C07C211/03
   C07C237/10
   A61K31/16
   A61K31/155
   A61K31/27
   A61K31/4015
   C07D207/27 Z
   A61L15/44 100
   A61L27/54
   A61K9/06
   A61K9/08
   A61K9/127
   A61K9/14
   A61K9/12
   A61K9/70
   A61K9/70 401
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K47/36
   A61P31/00
   A61P31/04
   A61P31/10
   C08G18/08 009
   C08G63/685
   C08G69/26
   C08F226/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】155
(21)【出願番号】特願2019-512685(P2019-512685)
(86)(22)【出願日】2017年8月31日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月19日
(86)【国際出願番号】IB2017055245
(87)【国際公開番号】WO2018042367
(87)【国際公開日】20180308
(31)【優先権主張番号】201611029743
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519069671
【氏名又は名称】ビオーム セラピューティクス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】スーマナ ゴッシュ
(72)【発明者】
【氏名】モー シンハ
(72)【発明者】
【氏名】アナミカ バッタチャリヤ
(72)【発明者】
【氏名】スレッシュ サダシバン
(72)【発明者】
【氏名】シャミク ゴッシュ
(72)【発明者】
【氏名】リトウィク サマンタ
(72)【発明者】
【氏名】ナプール タンドン
【テーマコード(参考)】
4C069
4C076
4C081
4C086
4C206
4H006
4J001
4J002
4J029
4J034
4J043
4J100
【Fターム(参考)】
4C069AB12
4C069BB02
4C069BB52
4C069BC12
4C069CC13
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA19
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA71
4C076AA72
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB21
4C076BB31
4C076BB32
4C076CC31
4C076CC32
4C076EE09A
4C076EE16A
4C076EE22A
4C076EE23A
4C076EE24A
4C076EE26A
4C076EE30A
4C076EE36A
4C076EE37A
4C076EE38A
4C076FF02
4C081AA02
4C081AA03
4C081AA12
4C081AB31
4C081BA14
4C081CE01
4C081DA02
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA24
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA43
4C086MA56
4C086MA63
4C086MA66
4C086MA67
4C086NA14
4C086ZB32
4C086ZB35
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206GA19
4C206HA10
4C206HA22
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA44
4C206MA48
4C206MA52
4C206MA63
4C206MA76
4C206MA83
4C206MA86
4C206MA87
4C206NA14
4C206ZB32
4C206ZB35
4H006AA01
4H006AB20
4J001DA01
4J001DB01
4J001DC07
4J001DC11
4J001DD13
4J001EB06
4J001EC02
4J001EC13
4J001EC77
4J001GA13
4J001GE01
4J001JA20
4J002AB04X
4J002AB05X
4J002BB06X
4J002BG01X
4J002BG07W
4J002BG12W
4J002BJ00W
4J002BJ00X
4J002CF00X
4J002CF13W
4J002CF14W
4J002CF18X
4J002CF19X
4J002CG00X
4J002CG02W
4J002CH02X
4J002CK01X
4J002CK02W
4J002CK02X
4J002CL00X
4J002CL07W
4J002CM01W
4J002CM05W
4J002CM05X
4J002FD18W
4J002GB01
4J029AA03
4J029AA09
4J029AB07
4J029AC01
4J029BF25
4J029BH01
4J029BH02
4J029CA04
4J029DA02
4J029DA07
4J029DB01
4J029GA10
4J029GA94
4J029GA95
4J029HA01
4J029HB05
4J029HC06
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC05
4J034CC06
4J034CD01
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034LA16
4J034LA34
4J034RA02
4J043PA04
4J043QB00
4J043QC22
4J043QC28
4J043RA01
4J043RA08
4J043SA02
4J043SA06
4J043SA45
4J043SA81
4J043SB01
4J043TA51
4J043TA53
4J043TA57
4J043TA74
4J043TB01
4J043UA771
4J043UA781
4J043UA782
4J043UA791
4J043UA792
4J043XA03
4J043YB04
4J043YB08
4J043YB12
4J100AD02Q
4J100AL08Q
4J100AM21Q
4J100AQ08P
4J100BA03Q
4J100BA16Q
4J100BA27H
4J100BA27Q
4J100BA28Q
4J100BA29H
4J100BA33Q
4J100BA34H
4J100BA34Q
4J100BA37H
4J100BA53H
4J100CA31
4J100HA08
4J100HA53
4J100HA62
4J100HB25
4J100HC28
4J100HC29
4J100HC42
4J100HC43
4J100HC46
4J100JA53
(57)【要約】
本開示は、ポリマー及び医薬品/抗菌剤の分野にある。本開示は、SNAP(合成新規抗菌ポリマー)技術に基づく化合物、外科手術部位感染症(SSI)を含む微生物感染症を管理する組成物及び方法を提供する。本化合物は、ヒトにおける使用のための健康な治療窓を保障するために、微生物感染症を標的とするための管理/治療戦略として使用され、優れた抗菌効力、バイオフィルム破壊能力、グラム陰性菌及びグラム陽性菌ならびに真菌病原体を包含する広範な生物に対する広いスペクトル活性、及び低毒性プロファイルを含む利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
nは、1〜1000であり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
Xは、−O−又は−NH−であり;
mは、1〜1000であり;
は、臭化物、塩化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ナフチレート、ヒドロキシマレエート、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、フマル酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、イソチオン酸塩、第四級アンモニウム塩、若しくは他の医薬的に許容される塩、又はそれらの任意の組み合わせであり;
Zは、炭素又は窒素であり;
Yは、−CH−、−NH−又は官能化アミンであり;
及びRは、独立して、
【化2】
水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1−10である)であり、ポリマー又はポリマー誘導体は−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、アルギン酸、キトサン、PLGA、又はエチレンビニル酢酸;−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、アルギン酸、キトサン、PLGA、又はエチレンビニル酢酸のアクリル酸誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA、又はエチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル結合ハイブリッド足場、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタンポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカルバメート、ポリメタクリレート、ポリビニル、又はそのRとRの任意の組み合わせ、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級、4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリル基;フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−COR(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)で置換され、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、又はそれらの任意の組み合わせ
で置換され、ここで、Rは場合により存在し、
ここで、
【化3】
において、「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又はそれらの任意の組み合わせで置換され、
式中、−COR及び−CORにおいて、R及びRは独立して、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH)n(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチド、又はそれらの任意の組み合わせで置換され、
及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PLGA、エチレンビニル酢酸、ポリメタクリレート、ポリビニルのポリマー又はポリマー誘導体、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA又はエチレンビニル酢酸のアクリル酸誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA又はエチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル連結ハイブリッド足場、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、混合したポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート若しくはポリカルバメート又は任意のそれらの組み合わせ;−C(NH)−NH−C(NH)−、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nは1〜20である)、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−であり、ここで、Mは、
【化4】
であり、式中、R、R、Y、p、w、m及びmは、上記で定義される通りであり、Rは場合により、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH(mは1〜20であり、nは1〜20である)、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)、[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](mは1〜20であり、nは1〜20である)、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である、−COO−、−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−O−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であり、nは1〜20である)である]
で表される化合物。
【請求項2】
化合物が、
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
である、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項3】
化合物が、式Ia:
【化13】
[式中、
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
は、存在せず、
は、独立して、水素、
【化14】
[式中、
「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又は−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH)n(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドで置換され、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドであり、
Yは、−CH−、−NH−及び官能化アミンであり、ここで、官能化アミンは、−N(R)であり、Rは、
【化15】
であり、「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり;
Xは、−NH−又は−O−であり;
mは、1〜1000であり;
、R及びRは、請求項1において定義される通りである]
で表されるものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
nは、2〜1000であり;
Zは、NH又はCであり;
Yは、NH又はCHであり;
Xは、NH又はOであり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
は、請求項1で定義される通りであり;
及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドであり;
は、存在せず;
は、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート、ポリビニル、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、PLGA、エチレンビニル酢酸であるポリマー又はポリマー誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、PLGA、エチレンビニル酢酸のアクリル誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、PLGA、エチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル結合ハイブリッド、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、混合ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート又はポリカルバメート、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項5】
nは2〜500であり、R、R、R、R、X、Y、Z、m、p、m、m、Xは請求項4で定義される通りである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
nは2〜200であり、R、R、R、R、X、Y、Z、m、p、m、m、Xは請求項4で定義される通りである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
「n」が2〜1000である式Iで表される化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート、ポリビニル、アルギン酸、キトサン、PLGA、エチレンビニル酢酸のポリマー又はポリマー誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、PEG、PLA、PLA−PEGコポリマー、PHMB、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の組み合と結合する、式Iで表される化合物の結合ポリマーを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、式Ib:
【化16】
[式中、
nは、2〜1000であり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
及びRは、独立して、−C(NH)−NH−C(NH)−;−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nは1〜20である);−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−{ここで、Mは、
【化17】
(R、R、Y、p、w、m及びmは上記で定義される通りであり、Rは任意である)
である};
−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であい、nは1〜20である);−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である);−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](mは1〜20であり、nは1〜20である);−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である);−COO−;−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)であり;
Xは、酸素又は−NH−であり;
mは、1〜1000であり;
は、請求項1に定義の通りであり;
Yは、−NH−であり;
ここで、R及びRは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級、4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリル基;フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−COR(ここで、Rは、アルキル、アルケニル(モノエン又はポリエン)又は末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)で置換され、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、
【化18】
(式中、
「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、ここで、R及びRは、独立して、水素又はアルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選ばれるハロゲン、−COR、−CORで置換され、ここで、R及びRは、アルキニル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドである)
で置換される]
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
D又はL配置を有するC末端アミノ酸が、リジン、アルギニン、オルニチン、プロリン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、システイン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、グリシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
C末端オリゴペプチドが、D又はL配置を有する2〜30個のアミノ酸からなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
ここで、C−末端オリゴペプチドが、TAT(スレオニン−アラニン−スレオニン)、コレステロール結合G3R6TAT(ドデカペプチド)、MP196(ヘキサペプチド、RWRWRW−NH)、PAF−26(ヘキサペプチド、RKKWFW)、マストパラン(ポリビア−MP1、テトラデカペプチド、IDWKKLLDAAKQIL)、D−IK8(オクタペプチド、IRIKIRIK)、L5K5W(ウンデカペプチド、KKLLKWLKKLL−NH)、グラミシジン−D(ペンタデカペプチド、VGALAVVVWLWLWLW)、WR12(ドデカペプチド、RWWRWWRRWWRR)、プロテグリン(PG−1、オクタデカペプチド又はNH−RGGRLCYCRRRFCVCVGR−CONH))、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式Ibは、式中、XがNHであり;m、R、R、p、Y、m、m、Xが請求項1又は3に定義される通りであり、R及びRが、以下:
及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−であり;
が、−C(NH)−NH−C(NH)−であり、及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nが1〜20である)であり;
及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nが1〜20である);
が、−C(NH)−NH−C(NH)−であり、及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(ここで、Mは、
【化19】
{式中、
、R、Y、p、w、m及びmは、請求項2の式Iaで定義されるのと同じである}
であり;
が、−C(NH)−NH−C(NH)−であり、及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であり、nは1〜20である)であり;
及びRが、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);又は
及びRが、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)である、
から選択される組み合わせである、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
Xが、Oであり;m、R、R、p、Y、m、m、Xが、請求項1又は3で定義される通りであり;R及びRが、以下:
及びRが、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);
が、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)であり、及びRが、[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](nが1〜20であり、mが1〜20である)であり;
及びRが、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)であり;
及びRが、−COO−であり;又は
が、−COO−であり、及びRが、−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)である
から選択される組み合わせである、式Iaで表される請求項3に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、式I:
【化20】
[式中、
nが、2〜1000であり、
Yが、Cであり、
Xが、NH又はOであり、
pが、1〜10であり、
wが、1〜10であり、
が、0〜10であり、
が、0〜10であり、及び
、R、R、Rが、請求項1で定義される通りである]
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、以下:
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
から選択される、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項16】
式II:
【化35】
[式中、
「G」は、酸素(−O−)、硫黄(−S−)、炭素(−C−)、アリール、ヘテロアリール基であり;Qは、カルボン酸、アクリル酸ビニル、アクリル酸メチル、フッ化物、臭化物、塩化物又はヨウ化物から選択されるハロゲン、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH)p−CH=CH−CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)、−(CH)p−CH=CH−(CH)p−CH=CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)及び−(CH)p−CH=CH(pは1〜10である)であり、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲンで置換され、「G」は、酸素(−O−)、硫黄(−S−)であり、ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又は−COR、−CORで置換され、ここで、R及びRは、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドで置換される]
で表される化合物。
【請求項17】
式IIで表される化合物が、
【化36】
である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
請求項17に定義される式IIをポリアミン、ポリアミン誘導体、又はそれらの組み合わせと反応させるステップを含む、請求項3に定義される式Iaの化合物を調製する方法。
【請求項19】
式I、Ib及びIcで表される化合物は、モノマー単位の式Iaの自己重合;又は式Iaとヘキサメチレンジアミン、1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン、無水コハク酸、エタノールアミン、PEG、エタノールアミン又はポリアミンのアクリル酸又はカルボン酸誘導体、ビス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,6−ジエチルジカルバメート、グアニジンで官能化された異なるモノマー単位、ビグアニジン、ウレタン、混合グアニジン−ウレタン、尿素、エステル、アミド、カーボネート、カルバメートから選択される化合物(単数又は複数)とのヘテロ重合;あるいはポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリメタクリレート、ポリアクリル、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PLGAから選択されるポリマー又はポリマー誘導体、エチレンビニル酢酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、PEG、PLA、PLA−PEGコポリマー、PHMB、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の組み合わせとの共重合又は交差重合によって得られる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
ポリアミンが、スペルミン、スペルミジン、ノルスペルミジン若しくはプトレシン、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項18又は19に記載の方法又は化合物。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物と医薬として許容される賦形剤とを含む組成物。
【請求項22】
約0.1%〜20%(w/w)の化合物及び約80%〜99.9%(w/w)の医薬として許容される賦形剤を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が、約0.1%〜5%(w/w)の化合物及び約95%〜99.9%(w/w)の医薬として許容される賦形剤を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記賦形剤が、薬物送達担体、皮膚軟化剤、保湿剤、乳化剤、安定剤、界面活性剤、油、脂質、ワックス、可溶化剤、レオロジー調整剤、増粘剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、フィルム形成剤、pH調整剤若しくは他の従来公知の医薬として許容される賦形剤、又はそれらの賦形剤の任意の組み合わせから選択される、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
組成物が、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、ローション、リポソームゲル、微粉化ゲル、粉末、スプレー、溶液、フィルム、液体包帯、パッチ、インプラント上のコーティング材料、表面若しくはマトリックス上のコーティング材料、創傷被覆材、若しくは他の適切な薬物送達ビヒクル、又はそれらの剤形の任意の組み合わせから選択される剤形に製剤化される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
組成物が、微生物感染症又は疾患を治療し、局所投与、創傷感染時又は手術部位感染時の局所投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、肝大動脈内投与、関節内投与若しくは膵臓十二指腸動脈投与、又はそれらの様式の任意の組み合わせから選択される様式によりそれを必要とする対象に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
薬物送達担体が、生体適合性ポリマー、生分解性ポリマー、生体吸収性ポリマー若しくはヒドロゲル形成ポリマー、又はそれらのポリマーの任意の組み合わせであり、ポリマーが、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、エチレンビニル酢酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、PLA−PEGコポリマー、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、デキストラン、デンプン、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
それを必要とする対象に、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物又は組成物を投与することを含む、微生物感染症又は疾患を治療する方法。
【請求項29】
微生物感染症が、細菌感染症、真菌感染症、バイオフィルム関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
微生物感染症が、市中感染症、ヘルスケア関連感染症(HCAI)又はそれらの組み合わせであり、市中感染が、表在性皮膚感染、局所創傷感染、火傷感染若しくは糖尿病性足感染、又はそれらの任意の組み合わせから選択され、ヘルスケア関連感染(HCAI)が、手術部位感染(SSI)、正中線関連血流感染症(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、医療機器関連感染症若しくは他のヘルスケア関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
手術部位感染症(SSI)が、整形外科用装置、冠状動脈ステント、中心静脈及び尿道カテーテル、心臓弁、血管移植片、中枢神経系インプラント、人工内耳又は歯科インプラント、又はそれらの任意の組み合わせから選択されるインプラントによって引き起こされるインプラント関連感染症である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
微生物感染症が、Pseudomonas属種、Acinetobacter属種、Enterobacter属種、Klebsiella属種、Escherichia属種、Staphylococcus属種、Streptococcus属種、Enterococcus属種、Haemophilus属種、Propionibacterium属種及びBacillus属種、Bacteroides属種、Fusobacterium属種、Clostridium属種、Candida属種、Malassezia属種、若しくはTrichophyton属種、又はそれらの任意の組み合わせから選択される微生物によって引き起こされる、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
微生物感染症が、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、K.pneumoniae、E.coli、S.epidermidis、S.aureus、E.faecium、S.pyogenes、H.influenzae、P.acnes、及びBacillus anthracis、B.fragilis、C.septicum、C.albicans、M.furfur若しくはT.rubrum又はそれらの任意の組み合わせ;ならびにS.aureus、Pseudomonas属種、Acinetobacter属種、Enterobacter属種、Klebsiella属種、Escherichia属種、Staphylococcus属種、Propionibacterium属種、Bacillus属種、Streptococcus属種、Enterococcus属種、Haemophilus属種、Bacteroids、Fusobacterium、Clostridium、Candida属種、Malassezia属種、若しくはTrichophyton属種の薬物耐性微生物菌、又はそれらの薬剤耐性微生物の任意の組み合わせから選択される微生物によって引き起こされ、ここで、薬物耐性S.aureusが、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)、メチシリン耐性Staphylococcus epidermidis(MRSE)、バンコマイシン耐性S.aureus(VRSA)、バンコマイシン耐性S.epidermidis(VRSE)又はバンコマイシン中程度耐性S.aureus(VISA)である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
化合物が、約1マイクログラム/ml〜500マイクログラム/ml、好ましくは1マイクログラム/ml〜200マイクログラム/mlの範囲である最小阻害濃度、及び/又は約0.01ミリグラム/ml〜20ミリグラム/ml、好ましくは約0.01ミリグラム/ml〜10ミリグラム/mlの範囲である最小バイオフィルム破壊濃度(MBDC)を有する、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上の追加の抗菌剤を対象に同時投与することをさらに含む、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
化合物が創傷治癒活性を有する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物又は組成物。
【請求項37】
医薬の製造における、請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物又は組成物の使用。
【請求項38】
細菌感染症、真菌感染症、バイオフィルム関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせから選択される微生物感染症を治療するための、請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物又は組成物の使用。
【請求項39】
化合物SMP−047、SMP−020、SMP−036、SMP−042、SMP−067、SMP−062、SMP−066、SMP−023、SMP−045、SMP−043及びSMP−026が、好ましくはカンジダ種に対して強力な抗真菌活性を有する、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物、組成物、方法又は使用。
【請求項40】
化合物SMP−001、SMP−002、SMP−007、SMP−020、SMP−043、SMP−045、SMP−027、SMP−037、SMP−034、SMP−036、SMP−042、SMP−047、SMP−051、SMP−030及びSMP−126が、バイオフィルム破壊活性、好ましくはグラム陽性、グラム陰性病原体又はそれらの組み合わせによって形成されたバイオフィルムに対するバイオフィルム破壊活性を有する、請求項1〜39のいずれか一項に記載の化合物、組成物、方法又は使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー及び医薬品/抗微生物薬の分野にある。本開示は、限定されないが、手術部位感染を含む、SNAP(合成新規抗微生物ポリマー)技術に基づく化合物、及び微生物感染を管理する方法を提供する。SNAP技術に基づく本化合物は、微生物感染症を標的とするための予防/予防として又は治療戦略として使用される。
【背景技術】
【0002】
創傷は、組織損傷及び外傷を引き起こす外皮又は粘膜のあらゆる物理的破壊である。創傷は感染症にかかる可能性があり、創傷及び/又は感染源に基づいて、「市中感染」又は「医療関連」として分類することができる。地域感染性創傷感染症は、職業上の曝露(建設現場での傷害や火傷、軍事活動関連の傷害)やレクリエーション活動(温泉、ウォーターパーク、地域社会のプール)に起因する怪我に先行することが多い。
【0003】
ヘルスケア関連感染症、特に手術部位感染症(SSI)は、侵襲的外科手術によって創傷に生じる感染症であり、長期にわたる創傷治癒、膿瘍形成、そして重篤な場合には敗血症をもたらす。SSIは、全てのヘルスケア関連感染症の約20%を占める最も一般的な種類の急性又は慢性創傷感染症の1つである(de Lissovoy et al.,Am J Infect Control 2009;37:387−97)。これらの感染症は、表在性若しくは深部切開性感染症、又は臓器若しくは体腔を含む感染症であり得る。SSIは、一般に、外科手術の30日以内に起こるが、1年以内に起こり得る(医療機器関連手術の場合)。
【0004】
SSIは、皮膚科、眼科、中耳炎、皮下組織及び乳房を含む様々な外科的処置;整形外科:心血管;神経学的;結腸直腸;胃腸及び産科、婦人科及び歯科から生じ得る。手術に使用される医療機器も細菌や真菌感染症に非常に感受性である。使用される最も一般的な装置又はインプラントは、整形外科用プロテーゼ、骨折固定装置、冠状動脈ステント、中心静脈及び尿道カテーテル、心臓弁、血管移植片、中枢神経系インプラント、人工内耳及び歯科インプラントである。外科的処置を超えた皮膚創傷感染はまた、蜂巣炎、虫刺され、切り傷及び虫刺され、火傷、糖尿病性足部潰瘍、壊疽、及び軍事集団における感染創傷からも起こり得る。
【0005】
ほとんどのSSIでは、病原体の原因は患者の皮膚、粘膜、又は内臓の内因性の細菌叢である。SSIにはさまざまな病原体(グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方)が関与している。最も一般的なものは、Staphylococcus aureus(〜30%)、Staphylococcus epidermidis(コアグラーゼ陰性Staphylococcus(〜14%)、Propionibacterium acnes、Enterococcus(〜11%)、Pseudomonas aeruginosa(〜5%)、E.coli(〜9%)、Enterobacter spp(〜4%)、Acinetobacter baumannii、及びBacillus fragilisである。SSIは、酵母種、特にCandida spp(〜2%)にも関連している。創傷に存在する微生物の大部分は好気性であるが、Bacteroids spp.、Fusobacterium sp.、及びClostridium sp.のような嫌気性生物もより深い組織で検出される(Percival et al.,Wound Rep Reg 2012;20:647−57)。いくつかのケースでは、SSIは、異常な病原体、例えば、Rhizopus oryzae、Rhodococcus bronchialis、Nocardia farcinica、Legionella pneumophila、Legionella dumoffii、及びPseudomonas multivoransによって引き起こされている。これらの稀な発生は、汚染された粘着ドレッシング及び包帯、水道水、あるいは汚染された消毒剤溶液、さらには外科手術職員にまで遡る。
【0006】
SSIは、多くの場合、集中治療室に入院する患者が通常再入院し、重大な患者の罹患率、入院期間の増加及び治療費のかなりの増加をもたらすさらなる合併症のリスクが高いという点で、重大な臨床的負担を表す。SSIは、3番目に頻繁に報告されている院内感染症であり、入院患者では14〜16%がこのような感染であり、外科患者では38%を占めている(Mangram et al.,1999 Infect Control Hosp Epidemiol 20:247〜278)。
【0007】
SSIの臨床転帰を成功させるには、迅速で適切かつ効果的な介入とともに早期認識が不可欠である。SSIの管理に一般的に推奨されている3つの方法は、計画された手術手順に特有の病原体をカバーする抗菌剤の使用(手術前戦略)、皮膚切開前の殺菌組織レベルを確立するための抗生物質の投与(手術前戦略)、処置が完了した後、指定された期間抗菌薬の継続投与(術後戦略)である。SSI管理は、感染部位、感染の重症度及び創傷の病因に依存する。
【0008】
創傷管理のために、ChloralPrep(登録商標)[2%クロルヘキシジンジグルコネート(CHG)]、DuraPrep(商標)[ヨウ素ポバクリレックス、(ヨウ素ベース共重合体)、0.7%有効ヨウ素]、Prontosanゲル(0.1%PHMB)、シルバダジン(1%銀スルファジアジンクリーム)、トリクロサンのような異なる局所消毒薬の賢明な予防的使用が、術前及び術後の両方の段階で使用される。防腐剤は、主に感染した外科的及び/又は非外科的な開放性の急性及び慢性創傷の治療に使用される。重症感染症又は全身感染症の場合、消毒薬は、一般に抗生物質と組み合わせて処方される。手術における予防的抗生物質の使用は、SSIの管理において一般的である。現在、整形外科感染症及びインプラント関連骨感染症において、バンコマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンなどを含有する抗生物質負荷骨セメントを使用する局所抗生物質療法が広く使用されている。
【0009】
術前及び術後の多くの皮膚製剤中の滅菌方法、手術手技及び抗菌薬予防の改善によるSSI率の減少(CDC進捗報告書、2016年によると2014年で17%の減少)に向けた介入の進歩にもかかわらず2番目に慢性的なヘルスケア関連感染症のままである。SSIの治療失敗をもたらすいくつかの課題がある。創傷管理の場合、広く使用されている防腐剤は、安全性プロファイル、皮膚の変色効果、耐性株に対する効力の低下、血清の存在下での不活性化、含浸包帯からの浸出及びバイオフィルムに対する限定された活性の点で欠点がある。従来の抗生物質の使用はまた、多剤耐性生物、例えば、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)、バンコマイシン耐性S.aureus(VRSA)、バンコマイシン耐性Enterococci(VRE)、薬物耐性S.epidermidis、Propionibacterium sp.、ならびに多剤耐性グラム陰性病原体、例えば、カルバペネム耐性Klebsiella、多剤耐性Acinetobacter及びPseudomonas、薬剤耐性Clostridium sp.、拡張スペクトルβラクタマーゼ産生Enterobacter、及び薬剤耐性真菌種、例えば、Candida sp.の出現に起因して治療失敗をもたらし、現在の抗生物質レジメンによる治療失敗に至る。さらに、創傷はしばしば、複数の薬剤耐性生物に感染しており、創傷フローラにおけるそのような多様性は大きな治療上の課題を提示し、臨床的有効性を達成するために広いスペクトルの抗菌活性を有する代替剤の開発を要求する。
【0010】
治療の失敗の別の主な原因は、特に異物(例えば、インプラント又は縫合糸)の存在下での手術部位における「バイオフィルム」関連感染症の罹患率である。バイオフィルムは、軍関係者によって契約されたもののように、非外科的深部創傷における感染症にも関連して見出される。バイオフィルムは、不十分な薬物浸透及び骨を通る分布を含む主要な治療障壁として作用する。そのようなバイオフィルムの存在は、治癒過程を遅らせ、感染部位で最適濃度の活性剤を利用できないために抗微生物剤耐性を引き起こす。したがって、構造の奥深くに存在する細菌又は真菌は、問題がないままである。現在の報告は、クオラムセンシングクエンチャーと共に、物理的に活性な抗癒着性表面、様々な殺菌材料及び分子を含むコーティングの使用を示唆している。しかし、これまでのところ効果的なバイオフィルム根絶のための効率的な治療法は確認されていない。
【0011】
さらに、創傷部位における感染の持続的存在は、炎症経路の活性化をもたらす宿主免疫応答を継続的に刺激する。それ故、感染の根絶は、外科的であろうと非外科的であろうと、創傷の部位で効果的な治癒過程が惹起されるために重要である。しかしながら、感染を効果的に除去する活性剤は、しばしば宿主細胞に対する毒性の副作用のために治癒反応も損なう。
【0012】
この背景は、微生物感染又はそれから生じる関連する疾患/合併症を予防するための、抗菌及び強力なバイオフィルム抑制作用を有する安全で効果的で安定な広域活性剤を製造するための費用効果の高い技術の開発を必要とする。抗菌剤が、最終的に創傷治癒をもたらすであろう成長及び組織再生の生物学的プロセスを妨げるべきではないことが前提条件である。これにより、感染の発生率、入院期間の短縮、医療の質の向上、そして最終的には経済的負担の軽減が実現する。
【0013】
しかしながら、所望の有効性を有すると同時にヒト細胞に対する毒性を欠くポリマーを開発することはそれほど容易な目標ではない。ポリマーの溶血特性を最小限に抑えることは、カテーテル、縫合糸、留置構造物、補綴物などの生物医学的装置におけるそれらの潜在的な使用のために不可欠となる。体循環へのポリマーのいかなる放出も直接赤血球(RBC)をポリマーにさらす。したがって、ポリマーと細胞膜のリン脂質残基の構造活性相関を深く理解することを通じて、ポリマーの開発には多くの興味と挑戦がある。
【0014】
本開示は、限定されないが、手術部位感染を含む、微生物感染の管理における化合物/分子及びそれらの用途を提供することによって、先行技術の前述の課題に取り組もうとするものである。
【発明の概要】
【0015】
開示の記述
本開示は、式Iで表される化合物に関する。
【0016】
【化1】
【0017】
式中、
nは、1〜1000であり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
Xは、−O−又は−NH−であり;
mは、1〜1000であり;
は、臭化物、塩化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ナフチレート、ヒドロキシマレエート、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、フマル酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、イソチオン酸塩、第四級アンモニウム塩、若しくは他の医薬的に許容される塩、又はそれらの任意の組み合わせであり;
Zは、炭素又は窒素であり;
Yは、−CH−、−NH−又は官能化アミンであり;
及びRは、独立して、
【0018】
【化2】
【0019】
水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1−10である)であり、ポリマー又はポリマー誘導体は−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、アルギン酸、キトサン、PLGA、又はエチレンビニル酢酸;−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、アルギン酸、キトサン、PLGA、又はエチレンビニル酢酸のアクリル酸誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA、又はエチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル結合ハイブリッド足場、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタンポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカルバメート、ポリメタクリレート、ポリビニル、又はそのRとRの任意の組み合わせ、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級、4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリル基;フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−COR(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)で置換され、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、又はそれらの任意の組み合わせ
で置換され、ここで、Rは、場合により存在し、
ここで、
【0020】
【化3】
【0021】
において、「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又はそれらの任意の組み合わせで置換され、
ここで、−COR及び−CORにおいて、R及びRは独立して、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH)n(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチド、又はそれらの任意の組み合わせで置換され、
【0022】
及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PLGA、エチレンビニル酢酸、ポリメタクリレート、ポリビニルのポリマー又はポリマー誘導体、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA又はエチレンビニル酢酸のアクリル酸誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA又はエチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル連結ハイブリッド足場、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、混合したポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート若しくはポリカルバメート又は任意のそれらの組み合わせ;−C(NH)−NH−C(NH)−、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nは1〜20である)、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−であり、ここで、Mは、
【0023】
【化4】
【0024】
であり、式中、R、R、Y、p、w、m及びmは、上記で定義される通りであり、Rは場合により、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH(mは1〜20であり、nは1〜20である)、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)、[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](mは1〜20であり、nは1〜20である)、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である、−COO−、−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−O−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であり、nは1〜20である)である。
【0025】
式IIで表される化合物に関する。
【0026】
【化5】
【0027】
式中、
「G」は、酸素(−O−)、硫黄(−S−)、炭素(−C−)、アリール、ヘテロアリール基であり、
Qは、カルボン酸、アクリル酸ビニル、アクリル酸メチル、フッ化物、臭化物、塩化物又はヨウ化物から選択されるハロゲン、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH)p−CH=CH−CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)、−(CH)p−CH=CH−(CH)p−CH=CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)及び−(CH)p−CH=CH(pは1〜10である)であり、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲンで置換され、
「G」は、酸素(−O−)、硫黄(−S−)であり、ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又は−COR、−CORで置換され、ここで、R及びRは、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドで置換される。
【0028】
本発明は、薬学的に許容される賦形剤と共に上記で定義された化合物を含む組成物;それを必要とする対象に、上記で定義された化合物又は組成物を投与することを含む、微生物感染又は疾患を治療する方法;医薬の製造における上記に定義された化合物又は組成物の使用;細菌感染症、真菌感染症、バイオフィルム関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせから選択される微生物感染症を治療するための、上記で定義されたような化合物又は組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示の化合物を含むSNAP技術の概要を前記化合物の様々な適用様式と共に示す。
図2図2は、代表的な創傷治癒試験として化合物の効果を試験するためのスクラッチアッセイにおけるNIH−3T3細胞の明視野顕微鏡写真を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、式Iで表される化合物に関する。
【0031】
【化6】
【0032】
式中、
nは、1〜1000であり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
Xは、−O−又は−NH−であり;
mは、1〜1000であり;
は、臭化物、塩化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ナフチレート、ヒドロキシマレエート、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、フマル酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、イソチオン酸塩、第四級アンモニウム塩、若しくは他の医薬的に許容される塩、又はそれらの任意の組み合わせであり;
Zは、炭素又は窒素であり;
Yは、−CH−、−NH−又は官能化アミンであり;
及びRは、独立して、
【0033】
【化7】
【0034】
水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1−10である)であり、ポリマー又はポリマー誘導体は−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、アルギン酸、キトサン、PLGA、又はエチレンビニル酢酸;−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、アルギン酸、キトサン、PLGA、又はエチレンビニル酢酸のアクリル酸誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA、又はエチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル結合ハイブリッド足場、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタンポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカルバメート、ポリメタクリレート、ポリビニル、又はそのRとRの任意の組み合わせ、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級、4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリル基;フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−COR(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)で置換され、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、又はそれらの任意の組み合わせ
で置換され、ここで、Rは場合により存在し、
ここで、
【0035】
【化8】
【0036】
において、「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又はそれらの任意の組み合わせで置換され、
式中、−COR及び−CORにおいて、R及びRは独立して、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH)n(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチド、又はそれらの任意の組み合わせで置換され、
【0037】
及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PLGA、エチレンビニル酢酸、ポリメタクリレート、ポリビニルのポリマー又はポリマー誘導体、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA又はエチレンビニル酢酸のアクリル酸誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLAコポリマー、PLGA又はエチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル連結ハイブリッド足場、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、混合したポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート若しくはポリカルバメート又は任意のそれらの組み合わせ;−C(NH)−NH−C(NH)−、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nは1〜20である)、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−であり、ここで、Mは、
【0038】
【化9】
【0039】
であり、式中、R、R、Y、p、w、m及びmは、上記で定義される通りであり、Rは場合により、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH(mは1〜20であり、nは1〜20である)、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)、[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](mは1〜20であり、nは1〜20である)、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である、−COO−、−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−O−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であり、nは1〜20である)である。
【0040】
本開示の実施形態において、式Iで表される化合物は、以下から選択される。
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
本開示の別の実施形態において、化合物は、式Iaで表される化合物である。
【化18】
【0050】
式中、
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
は、存在せず、
は、独立して、水素、
【0051】
【化19】
【0052】
であり、式中、「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又は−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH)n(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドで置換され、
及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドであり、
Yは、−CH−、−NH−及び官能化アミンであり、ここで、官能化アミンは、−N(R)であり、Rは、
【0053】
【化20】
であり、「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり;
Xは、−NH−又は−O−であり;
mは、1〜1000であり;
、R及びRは、上記の式Iにおいて定義される通りである。
【0054】
本開示の別の実施形態において、化合物式Iは、以下からなる。
nは、2〜1000であり;
Zは、NH又はCであり;
Yは、NH又はCHであり;
Xは、NH又はOであり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
は、上記式において定義される通りであり;
及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリール基であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級また4四級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−CORで置換され、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、モノエン、ポリエン、末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)から選択され、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL立体配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドであり;
は、存在せず;
は、−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート、ポリビニル、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、PLGA、エチレンビニル酢酸であるポリマー又はポリマー誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、PLGA、エチレンビニル酢酸のアクリル誘導体;−CH−(CH−COO−PVA、−CO−CH−(CH−PVA(nは1〜20である)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PEG、ポリ乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、PLGA、エチレンビニル酢酸のカルボン酸誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、アルキル結合ハイブリッド、架橋ポリマー足場、ポリビグアニジン、ポリウレタン、混合ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート又はポリカルバメート、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0055】
本開示のさらなる別の実施形態において、上記化合物は、nは2〜500であり、R、R、R、R、X、Y、Z、m、p、m、m、Xは、式Iで定義される通りである化合物である。
【0056】
本開示のさらなる別の実施形態において、上記化合物は、nは2〜200であり、R、R、R、R、X、Y、Z、m、p、m、m、Xは、式Iで定義される通りである化合物である。
【0057】
本開示のさらなる別の実施形態において、化合物は、式Iで表される化合物の結合ポリマーからなる化合物であって、「n」が2〜1000である式Iで表される化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート、ポリビニル、アルギン酸、キトサン、PLGA、エチレンビニル酢酸のポリマー又はポリマー誘導体;ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、PEG、PLA、PLA−PEGコポリマー、PHMB、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の組み合と結合する。
【0058】
本開示のさらなる別の実施形態において、化合物は、式Ibで表される化合物である。
【0059】
【化21】
【0060】
式中、
nは、2〜1000であり;
pは、1〜10であり;
wは、1〜10であり;
は、0〜10であり;
は、0〜10であり;
及びRは、独立して、−C(NH)−NH−C(NH)−;−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nは1〜20である);−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−であり、ここで、Mは、
【0061】
【化22】
【0062】
(R、R、Y、p、w、m及びmは上記で定義される通りであり、Rは任意である)
であり:
−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であい、nは1〜20である);−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である);−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](mは1〜20であり、nは1〜20である);−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である);−COO−;−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)であり;
Xは、酸素又は−NH−であり;
mは、1〜1000であり;
は、上記で定義の通りであり;
Yは、−NH−であり;
ここで、R及びRは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級、4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリル基;フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、−COR(ここで、Rは、アルキル、アルケニル(モノエン又はポリエン)又は末端置換アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)で置換され、ここで、Rのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、オリゴペプチド、
【0063】
【化23】
【0064】
(式中、
「G」は、酸素(−O−)又は硫黄(−S−)であり、ここで、R及びRは、独立して、水素又はアルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(ここで、nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)又は−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選ばれるハロゲン、−COR、−CORで置換され、ここで、R及びRは、アルキニル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドである)
で置換される。
【0065】
本開示のさらなる別の実施形態において、上記されるD又はL配置を有するC末端アミノ酸は、リジン、アルギニン、オルニチン、プロリン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、システイン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、グリシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0066】
本開示のさらなる別の実施形態において、上記されるC末端オリゴペプチドは、D又はL配置を有する2〜30個のアミノ酸からなる。
【0067】
本開示のさらなる別の実施形態において、上記されるC−末端オリゴペプチドが、TAT(スレオニン−アラニン−スレオニン)、コレステロール結合G3R6TAT(ドデカペプチド)、MP196(ヘキサペプチド、RWRWRW−NH)、PAF−26(ヘキサペプチド、RKKWFW)、マストパラン(ポリビア−MP1、テトラデカペプチド、IDWKKLLDAAKQIL)、D−IK8(オクタペプチド、IRIKIRIK)、L5K5W(ウンデカペプチド、KKLLKWLKKLL−NH)、グラミシジン−D(ペンタデカペプチド、VGALAVVVWLWLWLW)、WR12(ドデカペプチド、RWWRWWRRWWRR)、プロテグリン(PG−1、オクタデカペプチド又はNH−RGGRLCYCRRRFCVCVGR−CONH))、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0068】
本開示のさらなる別の実施形態において、上記される式Ibは、式中、XがNHであり;m、R、R、p、Y、m、m、Xが式Iに定義される通りであり、R及びRが、以下:
及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−であり;
が、−C(NH)−NH−C(NH)−であり、及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nが1〜20である)であり;
及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(nが1〜20である);
が、−C(NH)−NH−C(NH)−であり、及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−M−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(ここで、Mは、
【0069】
【化24】
【0070】
{式中、
、R、Y、p、w、m及びmは、上記式Iaで定義されるのと同じである}
であり;
が、−C(NH)−NH−C(NH)−であり、及びRが、−C(NH)−NH−C(NH)−NH−CH−(CH−O(CO)NH−(CH−NH(CO)−OCH−(CH−NH−C(NH)−NH−C(NH)−(mは1〜20であり、nは1〜20である)であり;
及びRが、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);又は
及びRが、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)である、
から選択される組み合わせである。
【0071】
本開示のさらなる別の実施形態において、式Iaは、式中、Xが、Oであり;m、R、R、p、Y、m、m、Xが、上記で定義される通りであり;R及びRが、以下:
及びRが、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である);
が、−CO−NH−(CH−NH(CO)−(nは1〜20である)であり、及びRが、[−CO−NH−(CH−NH(CO)−(OCH−CH−O(CO)−NH−](nが1〜20であり、mが1〜20である)であり;
及びRが、−CO−(CH−(CO)−(nは1〜20である)であり;
及びRが、−COO−であり;又は
が、−COO−であり、及びRが、−OCO−(CHCH−O)−CO−(nは1〜20である)である
から選択される組み合わせである化合物である。
【0072】
本開示のさらなる別の実施形態において、化合物は、式Icで表される化合物である。
【0073】
【化25】
【0074】
式中、
nが、2〜1000であり、
Yが、Cであり、
Xが、NH又はOであり、
pが、1〜10であり、
wが、1〜10であり、
が、0〜10であり、
が、0〜10であり、及び
、R、R、Rが、式Iで定義される通りである。
【0075】
本開示のさらなる別の実施形態において、式Iで表される化合物は、以下から選択される。
【0076】
【化26】
【0077】
【化27】
【0078】
【化28】
【0079】
【化29】
【0080】
【化30】
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
【化34】
【0085】
【化35】
【0086】
【化36】
【0087】
【化37】
【0088】
【化38】
【0089】
【化39】
【0090】
本開示は、式IIで表される化合物をさらに提供する。
【0091】
【化40】
【0092】
「G」は、酸素(−O−)、硫黄(−S−)、炭素(−C−)、アリール、ヘテロアリール基であり;Qは、カルボン酸、アクリル酸ビニル、アクリル酸メチル、フッ化物、臭化物、塩化物又はヨウ化物から選択されるハロゲン、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH)p−CH=CH−CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)、−(CH)p−CH=CH−(CH)p−CH=CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)及び−(CH)p−CH=CH(pは1〜10である)であり、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲンで置換され、「G」は、酸素(−O−)、硫黄(−S−)であり、ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−CH=CH−CH−(CH)p−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)及び−(CH−CH=CH(pは1〜10である)であり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、又は−COR、−CORで置換され、ここで、R及びRは、アルキル、直鎖アルキル鎖、分岐アルキル鎖、−(CH(nは1〜30である)、アルケニル、アルキニル、−(CH−CH=CH−CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH−(CH−CH=CH−(CH−CH(pは1〜10である)、−(CH−CH=CH(pは1〜10である)、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、R及びRのそれぞれは、場合により、1級、2級、3級又は4級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アクリル基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン、D又はL配置を有するC末端アミノ酸、又はオリゴペプチドで置換される。
【0093】
本開示の実施形態において、式IIで表される化合物は、以下である。
【0094】
【化41】
【0095】
本開示の別の実施形態において、上記で定義される式Iaで表される化合物を調製する方法が提供され、ここで、上記方法は、上記で定義される式IIをポリアミン、ポリアミン誘導体、又はそれらの組み合わせと反応させるステップを含む。
【0096】
本開示のさらに別の実施形態において、上記で定義される式I、Ib及びIcで表される化合物は、モノマー単位の式Iaの自己重合;又は式Iaとヘキサメチレンジアミン、1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン、無水コハク酸、エタノールアミン、PEG、エタノールアミン又はポリアミンのアクリル酸又はカルボン酸誘導体、ビス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,6−ジエチルジカルバメート、グアニジンで官能化された異なるモノマー単位、ビグアニジン、ウレタン、混合グアニジン−ウレタン、尿素、エステル、アミド、カーボネート、カルバメートから選択される化合物(単数又は複数)とのヘテロ重合;あるいはポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリメタクリレート、ポリアクリル、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PLGAから選択されるポリマー又はポリマー誘導体、エチレンビニル酢酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、PEG、PLA、PLA−PEGコポリマー、PHMB、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の組み合わせとの共重合又は交差重合によって得られる。
【0097】
本開示のさらに別の実施形態において、上記で定義されるポリアミンは、スペルミン、スペルミジン、ノルスペルミジン若しくはプトレシン、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0098】
本開示はさらに、上記で定義される化合物のいずれかと医薬として許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0099】
本開示の実施形態において、組成物は、約0.1%〜20%(w/w)の化合物及び約80%〜99.9%(w/w)の医薬として許容される賦形剤を含む。
【0100】
本開示の別の実施形態において、組成物は、約0.1%〜5%(w/w)の化合物及び約95%〜99.9%(w/w)の医薬として許容される賦形剤を含む。
【0101】
本開示のさらに別の実施形態において、賦形剤は、薬物送達担体、皮膚軟化剤、保湿剤、乳化剤、安定剤、界面活性剤、油、脂質、ワックス、可溶化剤、レオロジー調整剤、増粘剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、フィルム形成剤、pH調整剤若しくは他の従来公知の医薬として許容される賦形剤、又はそれらの賦形剤の任意の組み合わせから選択される。
【0102】
本開示のさらに別の実施形態において、組成物は、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、ローション、リポソームゲル、微粉化ゲル、粉末、スプレー、溶液、フィルム、液体包帯、パッチ、インプラント上のコーティング材料、表面若しくはマトリックス上のコーティング材料、創傷被覆材、若しくは他の適切な薬物送達ビヒクル、又はそれらの剤形の任意の組み合わせから選択される剤形に製剤化される。
【0103】
本開示のさらに別の実施形態において、組成物は、微生物感染症又は疾患を治療し、局所投与、創傷感染時又は手術部位感染時の局所投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、肝大動脈内投与、関節内投与若しくは膵臓十二指腸動脈投与、又はそれらの様式の任意の組み合わせから選択される様式によりそれを必要とする対象に投与される。
【0104】
本開示のさらに別の実施形態において、薬物送達担体が、生体適合性ポリマー、生分解性ポリマー、生体吸収性ポリマー若しくはヒドロゲル形成ポリマー、又はそれらのポリマーの任意の組み合わせであり、ポリマーが、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、エチレンビニル酢酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、PLA−PEGコポリマー、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、デキストラン、デンプン、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0105】
本開示はまた、それを必要とする対象に、上記で定義される化合物又は組成物を投与することを含む、微生物感染症又は疾患を治療する方法に関する。
【0106】
本開示の実施形態において、上記で記載される微生物感染症は、細菌感染症、真菌感染症、バイオフィルム関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0107】
本開示の別の実施形態において、上記で記載される微生物感染症は、市中感染症、ヘルスケア関連感染症(HCAI)又はそれらの組み合わせであり、市中感染が、表在性皮膚感染、局所創傷感染、火傷感染若しくは糖尿病性足感染、又はそれらの任意の組み合わせから選択され、ヘルスケア関連感染(HCAI)が、手術部位感染(SSI)、正中線関連血流感染症(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、医療機器関連感染症若しくは他のヘルスケア関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0108】
本開示のさらに別の実施形態において、上記で記載される手術部位感染症(SSI)は、整形外科用装置、冠状動脈ステント、中心静脈及び尿道カテーテル、心臓弁、血管移植片、中枢神経系インプラント、人工内耳又は歯科インプラント、又はそれらの任意の組み合わせから選択されるインプラントによって引き起こされるインプラント関連感染症である。
【0109】
本開示のさらに別の実施形態において、上記で記載される微生物感染症は、Pseudomonas属種、Acinetobacter属種、Enterobacter属種、Klebsiella属種、Escherichia属種、Staphylococcus属種、Streptococcus属種、Enterococcus属種、Haemophilus属種、Propionibacterium属種及びBacillus属種、Bacteroides属種、Fusobacterium属種、Clostridium属種、Candida属種、Malassezia属種、若しくはTrichophyton属種、又はそれらの任意の組み合わせから選択される微生物によって引き起こされる。
【0110】
本開示のさらに別の実施形態において、上記で記載される微生物感染症は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、K.pneumoniae、E.coli、S.epidermidis、S.aureus、E.faecium、S.pyogenes、H.influenzae、P.acnes、及びBacillus anthracis、B.fragilis、C.septicum、C.albicans、M.furfur若しくはT.rubrum又はそれらの任意の組み合わせ;ならびにS.aureus、Pseudomonas属種、Acinetobacter属種、Enterobacter属種、Klebsiella属種、Escherichia属種、Staphylococcus属種、Propionibacterium属種、Bacillus属種、Streptococcus属種、Enterococcus属種、Haemophilus属種、Bacteroids、Fusobacterium、Clostridium、Candida属種、Malassezia属種、若しくはTrichophyton属種の薬物耐性微生物菌、又はそれらの薬剤耐性微生物の任意の組み合わせから選択される微生物によって引き起こされ、ここで、薬物耐性S.aureusが、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)、メチシリン耐性Staphylococcus epidermidis(MRSE)、バンコマイシン耐性S.aureus(VRSA)、バンコマイシン耐性S.epidermidis(VRSE)又はバンコマイシン中程度耐性S.aureus(VISA)である。
【0111】
本開示のさらに別の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、約1マイクログラム/ml〜500マイクログラム/ml、好ましくは1マイクログラム/ml〜200マイクログラム/mlの範囲である最小阻害濃度、及び/又は約0.01ミリグラム/ml〜20ミリグラム/ml、好ましくは約0.01ミリグラム/ml〜10ミリグラム/mlの範囲である最小バイオフィルム破壊濃度(MBDC)を有する。
【0112】
本開示のさらに別の実施形態において、上記で記載される治療方法は、1つ以上の追加の抗菌剤を対象に同時投与することをさらに含む。
【0113】
本開示のさらに別の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、創傷治癒活性を有する。
【0114】
本開示はさらに、医薬の製造における、上記で定義される化合物又は組成物に関する。
【0115】
本開示の実施形態において、上記で定義される化合物及び組成物の使用は、細菌感染症、真菌感染症、バイオフィルム関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせから選択される微生物感染症を治療するために提供される。
【0116】
本開示の別の実施形態において、化合物SMP−047、SMP−020、SMP−036、SMP−042、SMP−067、SMP−062、SMP−066、SMP−023、SMP−045、SMP−043及びSMP−026は、好ましくはカンジダ種に対して強力な抗真菌活性を有する。
【0117】
本開示のさらに別の実施形態において、化合物SMP−001、SMP−002、SMP−007、SMP−020、SMP−043、SMP−045、SMP−027、SMP−037、SMP−034、SMP−036、SMP−042、SMP−047、SMP−051、SMP−030及びSMP−126は、バイオフィルム破壊活性、好ましくはグラム陽性、グラム陰性病原体又はそれらの組み合わせによって形成されたバイオフィルムに対するバイオフィルム破壊活性を有する。
【0118】
本開示は、SNAP(合成新規抗菌ポリマー)化合物/分子を提供する。本開示の化合物は、限定されないが、手術部位感染症(SSI)を含む、微生物感染症及び関連する疾患/合併症の管理における用途を有する。
【0119】
本開示のSNAP技術は、ポリマー骨格に共有結合するか、あるいは前記小分子を含むモノマー単位を合成した後に重合して合成新規抗菌ポリマー(SNAP)を形成する、強力な抗微生物活性を有する小分子を設計することを含む。本開示のSNAP分子の殺菌活性及び抗バイオフィルム活性は、抗菌感受性及び耐性病原体(細菌及び真菌)の両方に対して評価されている。スペルミジン/ノルスペルミジン/スペルミン及びN−アセチルシステイン(NAC)誘導体のようなポリアミンは、広範囲の臨床的に重要な病原体に対して広範囲の活性を取り入れることに関与する重要な薬理学的部分として役立つ官能性モノマー単位として選択された。機構的には、SNAP分子は、負に帯電した細菌及び真菌の細胞壁と静電的相互作用を有し、その結果、膜破壊、細胞成分の漏出及び細胞死をもたらす。あるいは、本開示の化合物は細胞質ゾルに入り、染色体DNAと相互作用して細胞複製及び転写プロセスを阻害し、そして最終的に細胞死を引き起こす。
【0120】
本明細書中で使用される場合、「管理」又は「管理する」とは、微生物感染、関連疾患又は障害が対象に発生するのを防止すること、微生物感染、関連疾患又は障害による死亡のリスクを減らすこと、微生物感染、関連疾患又は障害の発症を遅らせること、微生物感染、関連疾患又は障害の進行を抑制すること、微生物感染、関連疾患又は障害、及び/又は上記疾患又は障害に起因する悪影響の部分的又は完全な治療又は治療、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ること(効果は、微生物感染、関連疾患又は障害若しくは状態若しくはその症状を完全に若しくは部分的に防止するという点で予防的であり得、及び/又は微生物感染、関連疾患又は障害、及び/又は上記微生物感染、関連疾患又は障害に起因する悪影響に対する部分的若しくは完全に治療する点で治療的であり得る)、微生物感染、関連疾患又は障害を軽減すること(すなわち、微生物感染、関連疾患又は障害の後退を引き起こすこと)を指す。したがって、本開示は、本明細書に開示されている化合物又は組成物の治療上効果的な/有効な用量を投与することによる微生物感染及び関連疾患の予防及び/又は治療を含むがこれらに限定されない態様に関する。
【0121】
本明細書で使用されるとき、小型抗菌ポリマー(SMP)分子又はSMP化合物、SNAP分子又はSNAP化合物などの用語は、本開示内で互換的に使用され、本開示の化合物又は分子を指す。
【0122】
本明細書で使用するとき、化合物及び製剤という用語は、本開示において互換的に使用される。
【0123】
上記で言及されるように、本開示は、SNAP技術に基づいて合成された化合物を提供する。化合物は、それぞれ式I、Ia、Ib、Ic及びIIである。
【0124】
一実施形態において、本開示の化合物は、分子足場を有する式Iで表される化合物である。式Iにおける置換基/基の定義は、上記される通りである。
【0125】
本開示のいくつかの実施形態において、式Iの化合物の薬学的に許容される塩もまた提供される。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、例えば、無毒性の有機又は無機酸からの、治療薬の従来の無毒の塩又は四級アンモニウム塩をいう。これらの塩は、投与ビヒクル又は剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又は遊離塩基又は酸形態の治療薬を適切な有機又は無機酸又は塩基と別々に反応させ、その後の生成中に形成される塩を単離することによって調製され得る。従来の無毒性塩には、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されたものなど;酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などから調製される塩が挙げられる。例えば、その内容が参照により全体として本明細書に援用される、Berge et al.,“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)を参照されたい。
【0126】
一実施形態において、式Iで表される化合物における「n」は、1である。
【0127】
一実施形態において、式Iで表される化合物における「n」は、2〜1000である。
【0128】
一実施形態において、式Iで表される化合物における「n」は、2〜500である。
【0129】
一実施形態において、式Iで表される化合物における「n」は、2〜200である。
【0130】
本開示のいくつかの実施形態では、式Iのこれらのすべてのポリマー足場は、単独で又は組み合わせで存在して、独特の構造的及び抗菌特性を有するポリエステル又はポリアミド又はポリカルバメート又はポリカーボネート又はアルキル結合ハイブリッド又は架橋ポリマー足場を生じ得る。式Iに基づくそれぞれのハイブリッドポリマー分子の例及び合成は、以下のスキーム22、23、24、25及び26に表される。
【0131】
いくつかの実施形態では、ポリビグアニジン(スキーム4〜10)又はポリウレタン(スキーム13〜16)又は混合ポリビグアニジン−ポリウレタン(スキーム11及び12)又はポリ尿素(スキーム17及び18)又はポリエステル(スキーム19)又はポリアミド(スキーム20)又はポリカーボネート(スキーム21)又はポリカルバメート。又は当業者に公知の他の機能的結合又はそれらの組み合わせ、と異なるポリマー化合物を含む、ポリマー足場(n=2〜1000)を有する式Iが提供される。
【0132】
一実施形態では、式Iで表される化合物は、異なるL−アミノ酸、例えば、アルギニン、オルニチン、システイン、ヒスチジン、グリシン、セリン、スレオニン、リジン、チロシン、L−アミノ酸の代謝副産物、又はオリゴペプチド、例えば、TAT、コレステロール共役G3R6TAT(ドデカペプチド、G3R6TAT)、MP196(ヘキサペプチド、RWRWRW−NH)PAF−26(ヘキサペプチド、RKKWFW)、マストパラン(ポリビア−MP1、テトラデカペプチド、IDWKKLLDAAKQIL)、D−IK8(オクタペプチドIRIKIRIK)、L5K5W(ウンデカペプチド、KKLLKWLKKLL−NH)、グラミシジン−D(ペンタデカペプチド、VGALAVVVWLWLWW)、WR12(ドデカペプチド、RWWRWWRRWWRR)及びプロテグリン(PG−1、オクタデカペプチド、NH−RGGRLCYCRRRFCVCVGR−CONH))を含む。別の実施形態では、アルギニン、オルニチン及びそれらの異なる代謝副産物及び小ペプチド(1〜20アミノ酸ベース)は、上皮形成及びコラーゲン形成を含む組織修復に関与しており、したがって創傷治癒過程に対して重要な役割を果たしている。アルギニンは、一酸化窒素の唯一の前駆体、免疫応答、上皮化及び肉芽組織の形成に関与するシグナル分子であり、創傷治癒に伴う本質的な側面である。さらに別の態様において、システイン、ヒスチジン及びグリシンは、THP−1細胞中のNF−κB及びIL−8の活性化を低下させ、抗炎症効果を提供することが知られている。他の実施形態では、TAT、D−1K8、MP196、L5K5W、コレステロール結合G3R6TAT及びWR12などのオリゴペプチドは、多剤耐性グラム陽性及びグラム陰性病原体に対して強力な活性を示す。
【0133】
本開示は、式Iaで表されるポリマーを提供する。式Iaにおける置換基/基の定義は、上記される通りである。
【0134】
【化42】
【0135】
本開示はさらに、式Ibで表されるポリマーを提供する。式Ibにおける置換基/基の定義は、上記される通りである。
【0136】
【化43】
【0137】
nが2〜1000であり、XがNH又はOを有する式Ibのいくつかの実施形態において、式Iaとして表されるモノマー単位又は他の官能性モノマー足場のいずれかの自己重合は、ポリビグアニジン又はポリウレタン又は混合ポリビグアニジン−ポリウレタン又はポリ尿素又はポリエステル又はポリアミド又はポリカーボネート又はポリカルバメート又は当業者に知られている他の機能的結合又はそれらの組み合わせを有する異なるポリマー足場をもたらす。他の実施形態では、式Ia又は他の官能性モノマー足場と、ヘキサメチレンジアミン又はヘキサメチレンジイソシアネート又は無水コハク酸又はエタノールアミン又はPEG又はそれぞれの誘導体又は当業者に知られている他のもののような既知のモノマー足場とのヘテロ重合は、ポリビグアニジン又はポリウレタン又はポリアミド又はポリ尿素又は混合ポリグアニジウム−ポリウレタン系化合物又は先行技術において公知の他の官能基、又はそれらの任意の組み合わせをもたらす。他の実施形態では、式Ia又は他の官能性モノマー足場と、公知のポリマー誘導体、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリメタクリレート、ポリアクリル、ポリアクリル酸(PAA)、アルギン酸、キトサン、PLGA、エチレンビニル酢酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリカーボネート、PEG、PLA、PLA−PEGコポリマー、PHMB、ポリグアニジン、ポリビグアニジン、ポリウレタン、ポリビグアニジン−ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド若しくはポリカーボネート、又はそれらの組み合わせとの共重合又は交差重合は、ポリビグアニジン又はポリウレタン又はポリアミド又はポリ尿素又は混合ポリグアニジウム−ポリウレタン系化合物又は先行技術において公知の他の官能基、又はそれらの任意の組み合わせをもたらす。
【0138】
本開示はさらに、式Icのポリマーを提供する。式Ic中の置換基/基の定義は、上記の通りである。
【0139】
【化44】
【0140】
例示的な実施形態において、式IaのモノマーSMP分子は、SMP−047、SMP−051、SMP−002、SMP−116、SMP−137、SMP−114、SMP−139である。
【0141】
例示的な実施形態において、式IbのモノマーSMP分子は、SMP−020、SMP−042、SMP−007、SMP−010、SMP−060、SMP−067、SMP−110、SMP−108、SMP−140、SMP−146、SMP−080、SMP−077、SMP−078である。
【0142】
別の例示的な実施形態において、式IcのポリマーSMP分子は、SMP−037、SMP−049である。
【0143】
本開示はさらに、式IIで表される化合物を提供する。式IIの定義/置換基は、上記で定義される通りである。
【0144】
【化45】
【0145】
さらに別の実施形態において、式IIによって表されるSMPのいくつかの例は、以下の通りである。
【0146】
【化46】
【0147】
本開示はさらに、薬学的に許容される賦形剤と共に本明細書に記載の化合物を含む組成物又は製剤を提供する。化合物は、微生物感染又はそれに関連する疾患/合併症の管理のために治療上有効な量で提供される。
【0148】
一実施形態では、本開示は、創傷感染、手術部位及びインプラント関連の予防及び/又は治療のための、本明細書に記載の式I、Ia、Ib、Ic、IIの抗菌化合物を含む局所抗菌組成物を提供し、ここで、抗菌剤は、限定されないが、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、リポソームゲル、微粉化ゲル、ヒドロゲル、粉末、スプレー、溶液、液体包帯、フィルム、パッチ及び/又は他の適切な薬物送達媒体などの適切な局所投与形態で可溶化又は微粉化又は分散形態で存在する。。SMPの生分解性、生体適合性、生体吸収性及び自己組織化ヒドロゲル形成能に応じて、細菌感染症及び真菌感染症の予防及び/又は治療のために、インプラント又は他の異物(シリコーン又はラテックス又はチタン又は他のもの)表面上のフィルム又はコーティング材料として使用することができる。さらに、SMPは、異物表面上のバイオフィルム形成を防ぎ、したがって微生物感染の可能性を低下させて患者の服薬遵守をもたらす。いくつかの実施形態では、SMPは、制御された、即時の又は持続的な様式で作用部位にSMPを送達するのを助けるポリマーインプラント又は金属インプラント又は骨セメント又は他のポリマーキャリアにさらに含浸させることができる。
【0149】
局所製剤を含む様々な製剤中に存在する化合物は、0.1〜20%(w/w)、好ましくは0.1〜10%(w/w)、より好ましくは0.1〜5%(w/w)の範囲である。 製剤中に存在する薬学的に許容される賦形剤は、90〜99.9%(w/w)、好ましくは80〜99.9%(w/w)、さらに好ましくは90〜99.9%(w/w)の範囲である。
【0150】
本開示における薬学的に許容される賦形剤には、適切な薬物送達担体、皮膚軟化剤、保湿剤、乳化剤、界面活性剤、油、脂質、ワックス、可溶化剤、レオロジー調整剤、増粘剤、ゲル化剤、保存剤、酸化防止剤、フィルム形成剤、pH調整剤及びそれらの任意の組み合わせ。
【0151】
一実施形態では、適切な薬物送達担体は、異なるポリマー、脂質、油及び他の既知の担体、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、適切な界面活性剤、乳化剤及び安定剤が、角質層を通る活性SMPの皮膚浸透を可溶化及び/又は安定化及び/又は増強するために使用される。別の実施形態では、皮膚軟化剤及び保湿剤は、審美的感触を提供し、ならびに処方物の皮膚浸透能力を高めるために使用される。さらに別の実施形態では、抗酸化剤、防腐剤及びpH調整剤は、局所製剤を含む安定なSMP含有製剤を得るために使用される。
【0152】
例示的実施形態では、薬物送達担体はポリマーを含む。ポリマーは合成ポリマー、天然ポリマー又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、ポリマーは生分解性、生体適合性、生体吸収性又はそれらの任意の組み合わせである。本開示の好ましい実施形態において、ポリマーは、限定されないが、アルギン酸塩、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、セルロースエステル誘導体、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ乳酸(PLA)及びその誘導体、ポリカプロラクトン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、デキストラン、トリブロック(PEO−PPO−PEO)のようなポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)のトリブロックポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びPVA−PVPの架橋ポリマー及び他の適切なポリマーを含む。別の実施形態では、ヒドロゲル製剤用の担体は、異なる分子量及び異なる加水分解度を有するPVAのファミリーから選択され、PVP、アスコルビン酸パルミテート及びそれぞれのアスコルビン酸誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、脂肪酸のポリグリセリンエステル、アクリル酸共重合体、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、ペクチン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ガム及び他の架橋ポリマー及び当業者に公知のコポリマー化合物が挙げられる。好ましい実施形態では、ヒドロゲル担体は、限定されないが、カルボポール、PLGA(ポリ(ラクチド−co−グリコール酸)、PEG、PVA、PVP、ポリアクリル酸、キトサン、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストラン及びβ−シクロデキストリン、カルシウムペクチン、物理的に架橋したヒドロゲル、例えば、PVAアルギン酸塩、ヒアルロン酸メチルセルロース、ゼラチン寒天、デンプンカルボキシメチルセルロースなど、PLA(ポリ(l−乳酸))、ヒアルロン酸PLAベースの共重合体、ポリ(l−グルタミン酸)、PEG−PLA共重合体、PEO−PPO−PEO系の物理的架橋ヒドロゲル又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、製剤は、疎水性SMPが1:5〜1:50の範囲の異なる比率で脂質と混合されているリポソームベースの局所用組成物を含む。一実施形態では、そのような製剤中の脂質としては、限定されないが、鎖長C2〜C24の飽和及び不飽和脂肪酸、炭化水素、脂肪アルコール、C1〜C36アルカノールと異なる脂肪酸のグリセロール誘導体、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、コレステロール又はコレステロールエステル誘導体、リン脂質、異なる飽和度及びアシル鎖長を有するセラミド、又はそれらの脂質の任意の組み合わせが含まれる。別の実施形態では、適切な炭化水素としては、限定されないが、鉱油、イソヘキサデカン、スクアラン、水素化ポリイソブテン、ワセリン、パラフィン、微結晶ワックスが挙げられる;脂肪アルコールとしては、限定されないが、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、又はそれらの組み合わせが挙げられる;脂肪酸としては、限定されないが、C6〜C24アルカン酸、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸及びリノール酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる;グリセリドとしては、限定されないが、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、又はパルミチン酸及び/又はステアリン酸を有するグリセロールモノ、ジ及びトリエステルが挙げられる;脂肪酸のエステルとしては、限定されないが、C1〜C36アルカノール、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、パルミチン酸セチル、ラノリン、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸デシルエステル、オレイン酸エチル、及びC6〜C12アルカン酸エステル及び脂肪酸の他のエステルが挙げられる;可溶化剤は、限定されないが、水、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノール、油、緩衝剤及びそれらの組み合わせから選択される;油としては、限定されないが、以下の1つ以上が挙げられ、アーモンド油、アンズ種子油、ルリヂサ油、キャノーラ油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、魚油、ホホバ油、ラード油、アマニ油、煮マカダミアナッツ油、鉱油、オリーブ油、落花生油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、スクワラン、ヒマワリ種子油、トリカプリリン(1,2,3トリオクタノイルグリセロール)、小麦胚芽油及び他の抗菌用途で知られている油、又はそれらの組み合わせである。好ましい実施形態では、脂肪アルコールとしては、限定されないが、セチル、ミリスチル、オレイル、セテアリール、ステアリル、ラウリル、イソステアリル、ベヘニル、ウンデカノール、パルミトイル、ヘプタデシル、イソステアリル、エライジル、リノレイル、エリドリノレイル、リノレニル、エライドリノレニル、リシノレイル、ノナデシル、アラキジルアルコール又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。別の好ましい実施形態では、炭化水素は、限定されないが、鉱油、イソヘキサデカン、スクアラン、水素化ポリイソブテン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の好ましい実施形態では、グリセリドは、限定されないが、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、好ましくはジ−及びトリ−グリセリド、より好ましくはトリグリセリドを含む。本明細書に記載の組成物の最も好ましい実施形態では、グリセリドは、グリセロールと長鎖カルボン酸、例えばC10〜C22カルボン酸とのモノ−、ジ−、及びトリ−エステル、様々な植物性及び動物性脂肪、例えば油脂、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ラノリン、大豆油、トリオレイン、トリステアリングリセリルジラウレート又はそれらの任意の組み合わせである。さらに別の好ましい実施形態では、脂肪酸エステルとしては、限定されないが、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、オレイルミリステート、ラウリルアセテート、セチルプロピオネート、及びオレイルアジペート、アルキレングリコールエステル、例えばエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ−脂肪族酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル若しくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。さらに別の好ましい実施形態では、可溶化剤としては、限定されないが、界面活性剤、シリコーン油、カチオン性シリコーン、シリコーンゴム、高屈折率シリコーン、及びシリコーン樹脂、炭化水素油、ポリオレフィン、上記の脂肪酸エステル、パラフィン油のような炭化水素油、鉱物、ミリスチン酸イソプロピル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG400、PEG4000、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、エタノール、DMSO、イソプロパノール、プロピレングリコールカプリレート、グリセリンモノ/ジカプリレートカプリレート、モノグリセリド、ジグリセリド又は脂肪アルコール、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。さらに別の好ましい実施形態では、油としては、限定されないが、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ラノリン、大豆油、トリオレイン、トリステアリングリセリルジラウラート、シリコーン油、炭化水素油が挙げられ、炭化水素油としては、パラフィン油、鉱油、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、及びそれらの混合物、ティーツリー油若しくはホホバ油、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。使用される油の好ましい量は、約5%w/w〜約95%w/wの範囲であり、安定剤、可溶化剤、脂肪アルコール、脂肪酸エステルのような他の重要な賦形剤は、約0.1%w/w〜約30%w/wの範囲で使用される。
【0154】
一実施形態では、乳化剤又は界面活性剤としては、限定されないが、アニオン性トリエタノールアミン/ステアリン酸カリウム、ラウリルステアリン酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、ミツロウ/ホウ砂、非イオン性グリセリンジステアレート、ポリエチレングリコール−100−ステアレート、ステアレス−2、ステアレス−21、及びカチオン性界面活性剤、例えば、限定されないが、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリル、ポリクオタニウム−37、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレート、ポリアクリルアミド、プロピレングリコール、ジカプリレート/ジカプレート及びPPG−1トリデセト−6、ならびにシリコーン系材料、例えば、アルキル変性ジメチコーンコポリオール、ポリグリセリルエステル及びエトキシル化ジ脂肪酸エステルが挙げられる。別の実施形態では、乳化剤又は界面活性剤は、限定されないが、1つ以上のイオン性ポリソルベート界面活性剤、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80を含み、エーテル系界面活性剤は、限定されないが、ステアレス、ラウレス、オレス、セテス、当業者に公知の他の乳化剤又は界面活性剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む。乳化剤又は界面活性剤の好ましい量は、全配合物の約0.1%w/w〜約20%w/w、より好ましくは0.1%〜10%の範囲である。
【0155】
一実施形態では、局所製剤を含む本製剤に使用される皮膚軟化剤には、限定されないが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ヒマシ油、セテアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、カカオ脂、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールモノカプリレート、グリセリルモノオレエート、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリンエステル、水素化ラノリン、流動パラフィン、リノール酸、鉱油、オレイン酸、白色ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、脂肪アルコール、エーテル、ポリオキシプロピレン15−ステアリルエーテル、ステアリン酸プロピレングリコール、スクアラン、ステアリン酸、尿素、及び当業者に公知の他の皮膚軟化剤、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0156】
別の実施形態では、局所製剤を含む本製剤で使用される保湿剤としては、限定されないが、鉱油、パラフィン、スクアレン、植物性脂肪、例えば、カカオ脂、動物性脂肪、例えば、ラノリン、ラノリン酸、ステアリン酸、脂肪族アルコール、例えば、ラノリンアルコール及びセチルアルコール、多価アルコール、ワックスエステル、植物ワックス、リン脂質、ステロール、シリコーン及び当業者に公知の他の保湿剤、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0157】
別の実施形態では、湿潤剤としては、限定されないが、プロピレングリコール、ソルビトール、ブチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、アセトアミドMEA(アセチルエタノールアミン)、蜂蜜、ナトリウムPCA(ナトリウム−2−ピロリドンカルボキシレート)、ソルビトール、トリアセチン、及び当業者に公知の他の湿潤剤、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0158】
さらに別の実施形態では、防腐剤としては、限定されないが、以下の1つ以上が挙げられ、塩化ベンザルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化ベンゼトニウム、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、メチル、エチル、プロピル、ブチルパラベン、ベンジルアルコール、安息香酸、ソルビン酸、クロロアセトアミド、トリクロロカーボン、チメロサール、イミド尿素、ブロノポール、クロルヘキシジン、4−クロルクレゾール、クロロキシレノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、フェノキシエタノール、及び当業者に知られている他の防腐剤、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。さらに別の実施形態では、キレート剤には、限定されないが、ジ若しくはトリ若しくはテトラナトリウムEDTA、ジエチレントアミンペンタアセテート、及び当業者に公知の他のキレート剤、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0159】
別の実施形態では、抗酸化剤としては、限定されないが、αトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、一水和物、エリソルビン酸、オレイン酸エチル、フマル酸、リンゴ酸、メチオニン、モノチオグリセロール、リン酸、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、酒石酸、チモール、メタ重亜硫酸ナトリウム、ビタミンE、ポリエチレングリコールコハク酸、及び当業者に知られている他の酸化防止剤、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0160】
一実施形態では、抗菌用途のために当業者に知られている任意の薬学的に許容される賦形剤を本組成物又は製剤の製剤に使用することができる。
【0161】
一実施形態において、本製剤のpHは、約pH2〜pH8、好ましくは約pH3〜pH8、より好ましくは約pH5〜pH7.5の範囲である。本開示で使用されるpH調整剤は、限定されないが、以下の1つ以上の有機酸又は無機酸を含み、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、リン酸緩衝液、クエン酸、酢酸、フマル酸、塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、酒石酸、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、及び所望のpHを得るための当該技術分野において公知である他のpH調整剤、又はそれらのpH調整剤の任意の組み合わせを含む。
【0162】
本開示では、異なる薬物送達ビヒクル、他の賦形剤、及び局所剤形を含む剤形は、活性SMP/化合物の性質(荷電又は中性)、溶解性(水性又は非水性)及び濃度に基づいて選択される。一実施形態において、水溶性軟膏、ヒドロゲル、局所用ゲル、創傷包帯、ポリマーパッチ及び他の剤形は、本開示の水溶性親水性SMP/化合物に適した可能な製剤である。別の実施形態では、油/水(O/W)エマルジョンクリーム、O/W軟膏又は脂質ベースの軟膏、リポソームクリーム、リポソームゲル、ポリマーカプセル化局所用ゲル、カプセル化ヒドロゲル及び他の剤形は、本開示の疎水性SMP/化合物に可能である。
【0163】
例示的な実施形態では、本開示の製剤の剤形はヒドロゲルである。ヒドロゲルは三次元ネットワークであり、大量の水性流体を吸収することができる非常に親水性のポリマーによって形成され、ヒドロゲル形成はpH、温度(感熱性ゲル)、凍結融解サイクル、金属イオン(一価/二価/三価)及び他の多数のもののような外部刺激によって促進される。ヒドロゲルは、それらを生物医学的用途及び製薬用途に適切なツールにする柔軟性及び多孔性を有する好ましい機械的、界面特性により、生体組織のように挙動する。例えば、PVA及びPVPヒドロゲルは、本来無毒性で生体接着性である。PVAはまた、水中で高度の膨潤を示し、そして天然の組織に非常に類似し得、そして体内に容易に受け入れられ得るゴム状及び弾性の材料を形成する。好ましい実施形態では、ポリマー抗菌ヒドロゲルは、創傷包帯、及び治癒を助ける湿潤環境を維持し、さらに創傷関連手術部位における細菌感染及びインプラント関連感染を予防するための局所用ゲル製剤を含む剤形に適した担体である。さらに、ヒドロゲル材料は、柔らかく伸縮性があり滑りやすい外面を提供する一方で、それらは、標準的なプラスチック製又はゴム製デバイス、カテーテル、静脈内ライン及び他の種類の外科用チューブのような多くの医療デバイス上にもコーティングされる。滑りやすい外面は潤滑性に影響を与え、したがって、カテーテル挿入/カテーテル挿入プロセスに関連する痛み及び不快感を著しく減少させ、それにより患者のコンプライアンスを導く。さらに、ヒドロゲルによって付与された滑らかな表面は、細菌の付着を防ぎ、そしてバイオフィルム形成を阻害し、したがって、細菌感染の可能性及びUTI(尿路感染)の速度を有意に減少させる。
【0164】
本開示の例示的実施形態では、ヒドロゲルの調製が提供される。種々の外部刺激を用いて種々のポリマーマトリックスを有するヒドロゲルを形成した(表7)。一実施形態では、カルシウムペクチンヒドロゲルは、室温で約1000rpmで撹拌しながら25mM炭酸カルシウム溶液を約2.4%ペクチン溶液に添加することによって調製した。次いで、本開示の化合物を、調製したカルシウム−ペクチンヒドロゲルに添加した。
【0165】
一実施形態では、デンプン−ペクチンヒドロゲルは、デンプンとペクチンを特定のモル比で溶解し、続いて約110℃で約15分間インキュベートすることによって作製された。次いで、本開示の化合物を、調製されたヒドロゲルに特定の濃度でゲルベースに添加し、続いて炭酸カルシウムを添加して薬物担持架橋デンプン−ペクチンヒドロゲルを形成した。別の実施形態では、アルギン酸塩ヒドロゲルは特定濃度のCa2+の存在下で同様に製造される。
【0166】
局所創傷ゲル又はヒドロゲルフィルム形成は、金属イオン及びアルギン酸塩溶液の濃度に依存する。デキストランは天然多糖類である。一実施形態では、デキストランは、均一な溶液が形成されるまで連続的に撹拌しながら約25重量%の塩化カリウム溶液の存在下で約90℃で生分解性ヒドロゲルを形成し、続いて本開示の化合物を添加する。薬物負荷デキストラン溶液を室温に冷却してデキストラン系ヒドロゲルを形成させる。別の実施形態では、デキストラン及びβ−シクロデキストリンベースのヒドロゲルは、塩基性水性媒体の存在下でトリメタリン酸ナトリウムを使用して得られ、調製されたヒドロゲルは、本開示の疎水性化合物をカプセル化するために使用される。さらに別の実施形態では、PLA−PEG−PLAトリブロックコポリマーを用いてヒドロゲルを形成し、そして本開示の疎水性化合物を組み込む。
【0167】
本開示の例示的な実施形態では、SMPポリマー単独で、又は2若しくは3つのSMP分子の物理的混合物、又は本開示のSMP分子と既知のポリマーの混合物を使用して、自己組織化ヒドロゲル形成を調べた。好ましい態様において、SMP−105とSMP−007、又はSMP−071とSMP−079は一緒になって自己集合を示す。そのようなインサイチュー自己組織化の生分解性又は生体吸収性ヒドロゲルは、徐放を含む放出様式の作用部位に薬物を送達するために抗生物質を充填するために使用される。本開示の別の例示的な実施形態では、既知のポリマー足場を有効モノマー単位(本開示の式Iaの化合物)で官能化して、単独で又は他の既知のポリマー足場の存在下で自己組織化及びヒドロゲルを形成することができる(スキーム22、23及び24)。本開示のさらに別の例示的実施形態では、既知のポリマー足場を本開示のジアクリレート官能化モノマー単位化合物と反応させてポリマー骨格の異なる官能部分を架橋し、化学架橋ヒドロゲルを形成する(スキーム25及び26)。本開示のなお別の例示的な実施形態において、ヒドロゲルは、公知のヒドロゲル形成ポリマーの存在下で本開示の有効なSMP分子を用いて作製された(表7)。全ての場合において、ヒドロゲルは、無毒性又は最小限の毒性を維持しながら、感染部位での活性剤の持続的送達を維持することができる適切な担体/マトリックスとして作用する。
【0168】
異なるヒドロゲルマトリックスに充填されたSMP分子は、表7に論じられるようにヒドロゲル形成に使用されるポリマーマトリックスの性質に応じて様々な用途を有する。一実施形態において、PVA又はPVA酸又はPVA−PVP共重合体又はアルギン酸塩又はペクチン又はデンプンペクチンベースの生体適合性及び生分解性ヒドロゲルマトリックスは、SMP−007、SMP−037及び/又は他の親水性SMP分子を含む本開示の親水性抗菌剤に使用される。ヒドロゲルマトリックスの性質に応じて、薬物充填ヒドロゲルは、手術部位及び創傷関連感染症において局所用ゲル若しくはヒドロゲルフィルム又は創傷被覆材として、又はインプラント及びカテーテル表面のコーティング材として使用される。これらのヒドロゲルベースの創傷被覆材及び透明伸縮性フィルムは、水分を保持し、治癒過程を改善し、さらに感染部位での微生物感染及びバイオフィルム形成を防止するのを助ける。別の実施形態において、SMP−020及び/又は他の疎水性SMP分子を含む疎水性抗菌剤ヒドロゲルは、L−アスコルビルパルミテート又はPLA−PEG−PLA共重合体又はPLGA又はポロキサマー又はデキストラン−β−シクロデキストリン−STMP(ナトリウムトリメタホスフェート)又は他の任意のマトリックス又はそれらの組み合わせとともに使用され、ハイドロゲルを形成する。
【0169】
両親媒性物質をベースとする足場は、単独で自己集合するか、又はH結合、ファンデルワールス力、静電相互作用、又はπ−π相互作用を含む異なる非共有相互作用を介して、異なる活性官能単位間で架橋でき、大量の水をケージ化し、ヒドロゲルを形成することができるのでヒドロゲル化に魅力的である。抗菌性両親媒性足場を得るために、アクリル官能化PVAを、UV照射又はAIBNの存在下のいずれかで、モノ又はジアクリレート官能化ポリアミン誘導体と反応させて、両親媒性抗菌ポリマー又は自己組織化3Dゲルネットワーク又はヒドロゲルを得た。一方、合成されたアクリル官能化PVA(下記の実施例25のスキーム26)又はN−ビニルピロリドン(下記の実施例21及び22のスキーム22及び23)をポリアミン足場と反応させて自己組織化3Dゲルネットワーク又はヒドロゲルを得た。あるいは、酸官能化PVA足場を活性ポリアミン誘導体と反応させて、強力な抗菌特性を有するか又は自己会合してヒドロゲルを形成する傾向を有するポリアミド足場を得た(下記の実施例23及び24のスキーム24及び25)。
【0170】
別の例示的実施形態では、本開示の親水性抗菌性SMP分子/化合物は、カテーテル又は他のインプラント材料上のコーティング材料として使用される。コーティングされたSMP分子/化合物を含有する親水性カテーテルは、水中に浸漬されると、水を吸収してカテーテル表面に結合させ、滑らかで滑りやすい表面を形成する。そのような表面潤滑剤又は超軟質外層は、実質的に摩擦のないカテーテル挿入及び除去をもたらし、これはあらゆる細菌感染の危険性を最小限に抑えるのに役立つ。
【0171】
本開示の一実施形態では、モノマー及びポリマーSMP分子は、HaCaT細胞株に対して限定された毒性プロファイルを有するバイオフィルム阻害効果と共に有効なインビトロ抗菌及び抗真菌活性を示す。前記SMP分子は、異なる薬物送達ビヒクル/担体を用いて異なる局所製剤用に選択される。例えば、SMP−047(式Ia、モノマー類似体)、ポリビグアニジン系SMP−007(式Ib)、ポリビグアニジン−ポリウレタン系混合ポリマーSMP−037(式Ic)のような水溶性SMPは、剤形−水溶性軟膏又は創傷用ゲル、あるいはカテーテルその他のインプラント用のコーティング剤を調製するために選択される。別の実施形態では、難水溶性及び水不溶性ポリウレタン系SMP−020及びSMP−042は、軟膏又はポリマー/リポソーム封入ゲル又はカテーテル及び他のインプラント用のコーティング材料の形態で処方される。一実施形態では、抗菌軟膏剤は、鉱油、白色軟質パラフィン、ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリンエステル、白ミツロウ、黄ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、微結晶セルロース、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、異なる分子量のポリエチレングリコール、乳化剤及び当業者に知られている軟膏剤調製のための他の賦形剤、又はそれらの賦形剤の任意の組み合わせを含む群から選択される賦形剤を含む。
【0172】
一実施形態では、本開示のSMP化合物中に存在する異なる官能基は、銀イオン又は銀ナノ粒子と非共有結合的に相互作用する能力を有する。したがって、いくつかの実施形態では、血清の存在下で銀イオン又は銀ナノ粒子の失活を防ぎ、同時に包帯表面からの銀の浸出を防ぐことができる、包帯上の銀とのSNAP化合物の同時投与が提供される。
【0173】
一実施形態では、本開示のSMP化合物は水溶性で安定であり、限定されないが、軟膏、ヒドロゲル、ビーズ及び包帯材料を含む、異なる送達マトリックスに容易に含浸される。
【0174】
例示的な実施形態において、本開示の式I、Ia、Ib及びIcの化合物は、天然の足場を模倣し、したがって治療用量内で最小限の毒性を提供する。これらの化合物は、様々なヒト及びマウスの細胞株に十分に耐性である。具体的には、これらの化合物はインビトロ系で試験したように治癒過程を妨害しない。これは、本発明の化合物が創傷感染症の治療における使用に適合/安全であることを示している。
【0175】
本開示の一実施形態では、本明細書に記載のポリエステル化合物、主にエタノールアミン又はPEGとコハク酸とのホモポリマー及びコポリマーで構成される生体吸収性デバイスは、靭帯修復、縫合糸を含む創傷閉鎖、縫合糸アンカー皮膚ステープル及び接着剤、薬物送達担体、創傷被覆材、ならびに当該分野で公知の他の状態からの治療に及ぶ多様な用途を提供する。
【0176】
例示的な実施形態では、本明細書に記載の式I及び式IIの化合物は、抗菌性、抗真菌性、抗バイオフィルム性、又はそれらの任意の組み合わせを有する。さらに、化合物及び局所製剤を含むそれぞれの製剤は、抗菌又は抗感染特性だけでなく、創傷治癒、抗炎症又は抗酸化特性、又はそれらの任意の組み合わせも有する。
【0177】
例示的な実施形態において、本明細書に記載の式Iの化合物は、薬剤耐性株に作用するだけでなく、病原体に対するそれらの非特異的作用のために耐性株の発生に抵抗することができる。したがって、本開示の化合物を長期間使用した後でも、病原体における突然変異の頻度は低い。したがって、本開示の化合物は、現在の抗生物質耐性危機における抗微生物剤として魅力的で非常に有用である。
【0178】
本開示はさらに、微生物感染症及び/又は関連疾患の管理又は治療方法を提供する。微生物感染症は、SSIに関連する細菌感染症及び/又は真菌感染症であることが好ましい。一実施形態では、含む微生物感染症は、表在性皮膚感染症、深部創傷感染症、火傷感染症、糖尿病性足潰瘍に関連する感染症、壊疽、蜂巣炎、切り傷及び虫さされ、軍事集団における感染創傷及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態では、化合物及び/又は組成物は、インプラント関連の整形外科感染症及び/又は医療機器関連感染症の管理又は治療に使用される。例示的な実施形態では、微生物感染症は、整形外科用骨感染症、整形外科用プロテーゼの使用により生じるインプラント関連感染症、骨折固定装置、冠状動脈ステント、中心静脈及び尿道カテーテル、心臓弁、血管移植片、中枢神経系インプラント、眼科用、中耳炎用及び歯科用インプラント、あるいはそれらの感染症の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0179】
一実施形態では、治療方法は、細菌種及び/又は真菌種によって引き起こされる微生物感染に対して本開示の化合物及び/又は組成物を使用する。別の実施形態では、微生物感染症は、耐性菌及び/又は真菌株によって引き起こされる広域スペクトル耐性微生物感染症である。
【0180】
本開示に記載の化合物又は組成物を用いる抗微生物療法には、異なる薬物送達剤形が採用される。一実施形態では、局所適用のために、本開示の化合物又は組成物は、クリーム、軟膏、ゲル、粉末、スプレー、絆創膏のような含浸包帯、経皮パッチ、又はそれらの任意の組み合わせに限定されない。別の実施形態では、本開示に記載されている化合物又は組成物による、カテーテル、ステント及び整形外科用インプラントを含むがこれらに限定されないインプラントの表面コーティングは、微生物付着を減らしバイオフィルム形成を防ぐことによって感染に対抗するために行われる。表面被覆インプラントはこれらのインプラント/装置上での細菌の増殖を防ぐ。
【0181】
本開示はまた、医薬の製造における使用のための本明細書に記載の化合物又は組成物を提供する。本開示はさらに、抗細菌感染症、抗真菌感染症、バイオフィルム関連感染症、又はそれらの任意の組み合わせから選択される微生物感染症の治療に使用するための本明細書に記載の化合物又は組成物を提供する。一実施形態では、微生物感染症は、上記の実施形態に記載の感染症である。
【0182】
本明細書では本開示の特定の特徴にかなりの重点が置かれているが、本開示の原理から逸脱することなく様々な修正を加えることができ、好ましい実施形態に多くの変更を加えることができる。本開示の性質又は好ましい実施形態におけるこれら及び他の変更は、本明細書の開示から当業者には明らかであり、それにより前述の説明事項は単に本開示の例示としてであり、限定でないものとして解釈されるべきであることを明確に理解されたい。
【0183】
本開示のさらなる実施形態及び特徴は、本明細書に提供された説明に基づいて当業者に明らかとなるであろう。本明細書の実施形態ならびにその様々な特徴及び有利な詳細は、説明中の非限定的な実施形態を参照して説明される。本明細書の実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知の/従来の方法及び技法の説明は省略する。本明細書で使用される例は、単に本明細書の実施形態が実施され得る方法の理解を容易にすること、及び当業者が本明細書の実施形態を実施することをさらに可能にすることを意図する。したがって、以下の実施例は、本明細書の実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0184】
実施例1
化合物SMP−002、SMP−046及びSMP−047の合成
【0185】
【化47】
【0186】
スキーム1で使用される試薬及び条件:i)t−ブタノール、トルエン、5時間、還流;N−(3−アミノプロピル)プロパン−1,3−ジアミン(ノルスペルミジン)、トルエン、18時間、還流;ii)ナトリウムエトキシド、R−Br、5時間還流;iii)EDC.HCl、HOSu、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)、DIEA、DMF、一晩、室温;iv)6N HCl、一晩、室温。
【0187】
ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1):1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(13.60g、84mmol)をトルエン(100ml)とt−ブタノール(11.91g、15ml、161mmol)の混合物に窒素雰囲気下で懸濁させ、5時間60℃に加熱した。ノルスペルミジン(5.77g、6.2ml、44mmol)のトルエン(60ml)中溶液を滴下した。反応混合物を120℃で18時間還流し、次に冷却し、真空下で濃縮した。得られた液体をジクロロメタン中で抽出し、蒸留水で洗浄し、最後に無水NaSO上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮してジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメートを白色粉末として得た。
1H NMR (CDCl3): δ 5.22 (brs, 2H, -NHCO), 3.21-3.10 (m, 4H, -CH2NHCO), 2.63-2.60 (m, 4H, -CH2NH), 1.65-1.59 (m,4H, -CH2), 1.40 (s 18 H, C(CH3)3).
【0188】
N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン(2):新たに切断したナトリウム金属(180mg、7.8mmol)を窒素雰囲気下で無水エタノール(15mL)に溶解した。この溶液に、N−アセチル−L−システイン(500mg、3.1mmol)、続いて1−ブロモドデカン(0.89mL、3.72mmol)を加え、反応混合物を5時間加熱還流した。冷却時、反応を少量の水でクエンチし、溶媒を減圧下で除去し、続いて酢酸エチルで抽出した。溶液を1M HCl、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、最後に溶媒を減圧下で除去して、N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン(2)を白色の固体として得た(810mg、80%)。
1H NMR (CDCl3): δ 4.78 (q, 1H, JAB = 6 Hz, -CHNH), 3.50-3.45 (m, 1H, -CH2S), 3.41 (t, 1H, JAB = 6 Hz, -CH2S), 3.03 (t, 2H, JAB = 4.5 Hz, -CH2S). 2.55-2.52. (m, 2H, -CH2), 2.1(s, 3H, -COCH3), 1.58-1.52 (m, 2H, -CH2), 1.25 (s, 16 H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3). ESI-MS (m/z): 331.99 (M+H).
【0189】
N−アセチル−S−オクチル−L−システイン(3):化合物2を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って、N−アセチル−L−システインと1−ブロモオクタンから化合物3を合成した(63%)。
1H NMR (CDCl3): δ 6.65 (brs, 1H, NHCO), 4.70-4.65 (m, 1H, CH), 3.08-2.93 (m, 2H, -CH2S), 2.53 (t, 2H, JAB = 7 Hz, -CH2S), 2.1(s, 3H, -COCH3), 1.58-1.52 (m, 2H, -CH2), 1.38-1.32 (m, 2H, -CH2), 1.30-1.1.18 (m, 8H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0190】
(Z)−N−アセチル−S−(ノナデカ−9−エン−1−イル)−L−システイン(4):化合物2の合成について記載したのと同様の合成手順に従って、化合物4をN−アセチル−L−システイン及び(Z)−1−ブロモオクタデカ−9−エンから合成した(80%)。
1H NMR (CDCl3): δ 6.60 (brs, 1 H, NHCO), 5.35-5.32 (m, 2 H, -CH=CH-), 4.78-4.68 (m, 1H, -CHNHCO), 3.05-2.98 (m, 2H, -CH2S), 2.53 (t, 2H, JAB = 7 Hz, -CH2S), 2.01 (s, 3H, -COCH3), 2.01-1.98 (m, 2H, -CH2)1.58-1.52 (m, 2H, -CH2), 1.32-1.244 (m, 24H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3); ESI-MS (m/z): 414.25 (M+H).
【0191】
ジ−tert−ブチル((((N−アセチル−S−ドデシル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(5):0℃のDMF中における1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl、576mg、3mmol)の撹拌溶液に、N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン(2)(662mg、2.0mmol)を加え、続いて、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu、345mg、3mmol)を添加した。1時間後、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)(598mg、1.8mmol)及びN、N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.53mL、3mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。完了後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得、これを3%メタノール−ジクロロメタンを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製してジ−t−ブチル(((N−アセチル−S−ドデシル−L−システイン)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(5)、オフホワイトの固体(522mg、45%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ 6.39 (brs, 1 H, -NHCO), 5.26 (brs, 2 H, -NHCO), 5.08 (q, 1H, JAB = 8 Hz, -CHNH), 3.72-3.70 (m, 1H, -CH2S), 3.63-3.57 (m, 1H, -CH2S), 3.33-3.14 (m, 4H, -CH2N), 3.13-3.07 (m, 2H, -CH2S), 2.88-2.84 (m, 4H, -CH2N), 2.57-2.54 (m, 2H, -CH2), 2.03 (s, 3H, -COCH3), 1.61-1.58 (m, 6 H, -CH2). 1.51-1.49 (m, 2H, -CH2), 1.46 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.37-1.28 (s, 14 H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0192】
ジ−tert−ブチル((((N−アセチル−S−オクチル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(6):化合物5を合成するために言及したのと類似した合成手順に従って、化合物6を化合物3及び化合物1から合成した。(53%)。
1H NMR (CDCl3): δ 5.35-5.26 (brs, 1H, NHCO), 5.24-5.17 (m, 1H, -CHNH), 3.56-3.52 (m, 2H, -CH2S), 3.29-3.22 (m, 4H, -CH2NHCO), 3.16-3.09 (m, 4H, -CH2NCO), 2.93-2.87 (m, 2H, -CH2S), 2.85-2.80 (m, 2H, -CH2), 1.75-1.66 (m, 7H, -CH2, -CH3), 1.62-1.56 (m, 2H, -CH2), 1.47 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.40-1.32 (m, 2H, -CH2), 1.34-1.26 (m, 8H, -CH2), 0.94-0.87 (m, 3H, -CH3).
【0193】
ジ−tert−ブチル(((((Z)−N−アセチル−S−(ノナデカ−9−エン−1−イル)−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))(Z)−ジカルバメート(7):化合物5を合成するために記載したのと同様の合成手順に従って、化合物4及び化合物1から化合物7を合成した。(42%)
1H NMR (CDCl3): δ 6.38 (brs, 1 H, -NHCO), 5.34-5.25 (m, 2 H, -CH=CH-), 5.22 (brs, 2 H, -NHCO), 5.09-5.02 (m, 1H, -CHNHCO), 3.65-3.53 (m, 2H, -CH2S), 2.89-2.81 (m, 2H, -CH2S), 3.26-3.15 (m, 4H, -CH2NCO), 3.10-2.92 (m, 4H, -CH2N), 2.59-2.52 (m, 2H, -CH2), 2.00 (s, 3H, -COCH3), 1.75-1.62 (m, 4H, -CH2), 1.59-1.52 (m, 2H, -CH2), 1.43 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.26-1.18 (m, 24 H, -CH2), 0.91-0.83(m, 3H, -CH3).
【0194】
(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−002):6N HCl(10mL)中の化合物5(645mg、1mmol)の懸濁液を一晩撹拌し、溶媒を蒸発させ、粗生成物をメタノール−ジクロロメタンに溶解し、続いてジエチルエーテルを加え、このプロセスを2〜3回繰り返し、最後に純粋な(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−002)を黄褐色の粘着性物質として得た。(403mg、78%)。
【0195】
ジ−tert−ブチル((((N−アセチル−S−オクチル−L−システイン)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート二塩酸塩(SMP−046):化合物SMP−046は、化合物(SMP−002)を合成するために記載したのと同様の合成手順に従うことにより、化合物6を合成した(79%)。
1H NMR (D2O): 4.16-3.98 (m, 1H, -CH), 3.56-3.52 (m, 2H, -CH2S), 3.29-3.22 (m, 8H, -CH2N), 2.76-2.74 (m, 2H, -CH2), 1.83-1.75 (m, 7H, -CH2, -CH3), 1.62-1.56 (m, 2H, -CH2), 1.41-1.15 (m, 8H, -CH2), 0.78-0.73 (m, 3H, -CH3). ESI-MS (m/z): 391.26 (M+H).
【0196】
(S,Z)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ノナデカ−9−エン−1−イルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−047):化合物SMP−047は、化合物(SMP−002)の合成について述べたのと同様の合成手順に従って化合物7から合成された(27%)。
1H NMR (D2O): δ 5.34-5.25 (m, 2 H, -CH=CH-), 5.10-5.04 (m, 1H, -CHNCO), 3.65-3.53 (m, 2H, -CH2S), 2.89-2.81 (m, 2H, -CH2S), 3.26-3.15 (m, 4H, -CH2NH2), 3.10-2.96 (m, 4H, -CH2N), 2.59-2.52 (m, 2H, -CH2), 2.00 (s, 3H, -COCH3), 1.51-1.45 (m, 4H, -CH2) 1.26-1.18 (m, 26 H, -CH2), 0.91-0.83 (m, 3H, -CH3) ; ESI-MS (m/z): 526.43 (M+H).
【0197】
実施例2
化合物SMP−022の合成
【0198】
【化48】
【0199】
スキーム2で使用される試薬及び条件:i)(Boc)O、THF、水、30時間、室温;ii)ナトリウム、エタノール、1−ブロモドデカン、5時間還流;iii)EDC.HCl、HOSu、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)、DIEA、DMF、一晩、室温;iv)TFA、THF、16時間、室温。
【0200】
(tert−ブトキシカルボニル)−L−システイン(8):THF(7mL)及び水(18mL)中のL−システイン塩酸塩(1.23g、8.25mmol)、(Boc)O(1.801g、8.25mmol)及びNaHCO(2.5g、29.8mmol)の混合物をアルゴン下、室温にて、30時間、窒素雰囲気下で撹拌した。反応完了後、pHを3に調整し、酢酸エチルで抽出し、真空中で蒸発させて、(tert−ブトキシカルボニル)−L−システインの油状物(1.54g、84%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 9.05 (brs, 1H, -COOH), 5.51 (brs, 1H, -NHCO), 4.64-4.61 (m, 1H, -CHNHCO), 3.07-3.02 (m, 1, -CH2S), 2.99-2.93 (m, 1 H, , -CH2S), 1.44 (s, 9H, C-(CH3)3).
【0201】
N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイン(9):窒素雰囲気下で新たに切断したナトリウム金属(180mg、7.8mmol)を無水エタノール(15mL)に溶解した。この溶液に、化合物8(686mg、3.1mmol)を加え、続いて1−ブロモドデカン(0.89mL、3.72mmol)を加え、反応混合物を5時間加熱還流した。冷却時、反応を少量の水でクエンチし、溶媒を減圧下で除去し、続いて酢酸エチルで抽出した。溶液を1M HCl、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、最後に溶媒を減圧下で除去して、N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイン(9)を白色の固体として得た(965mg、80%)。
1H NMR (CDCl3): δ 5.40 (brs, 1H, -NHCO) 4.51 (q, 1H, JAB = 6 Hz, -CH), 3.04-2.98 (m, 2 H, -CH2S), 2.55 (t, 2H, JAB = 7.5 Hz, -CH2S), 1.60-1.54 (m, 2H, -CH2), 1.46 (s, 9 H, -C(CH3)3), 1.38-1.32 (m, 2H, -CH2), 1.29-1.23 (m, 16H, -CH2), 0.88 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0202】
ジ−tert−ブチル(((N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(10):0℃のDMF中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl、576mg、3mmol)の撹拌溶液に、化合物9(778mg、2.0mmol)を加えた後、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu、345mg、3mmol)を加えた。1時間後、ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)(598mg、1.8mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.53mL、3mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。完了後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機溶媒を蒸発させた後、溶離液として3%メタノール−ジクロロメタンを使用するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗製塊を精製して、ジ−tert−ブチル(((N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ドデシル−L−システイニル)アザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(10)をオフホワイトの固体として)を得た。(816mg、58%)。
1H NMR (CDCl3): δ 5.75 (brs, 1H, -NHCO), 4.26 (q, 1H, JAB = 8 Hz, -CHNHCO), 3.74-3.71 (m, 1H, -NH), 3.69-3.68 (m, 1H, -NH), 3.49-3.45 (m, 2H, -CH2S), 3.33-3.12 (m, 4H, -CH2NCO), 3.14-3.07 (m, 2H, -CH2S), 2.96-2.91 (m, 4H, -CH2NCO), 2.54-2.51 (m, 2H, -CH2), 1.70-1.61 (m, 2H, -CH2), 1.53-1.49 (m, 2H, -CH2), 1.42 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.33-1.18 (m, 27H, -CH2, -C(CH3)3), 0.86 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0203】
(S)−2−アミノ−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロペンアミドトリス−テトラフルオロアセテート(SMP−022):THF(10ml)中の化合物10(300mg、0.43mmol)の氷冷溶液にトリフルオロ酢酸(10ml)を加え、そして反応混合物を室温で16時間撹拌した。完了時、溶媒を蒸発させ、残った粗製塊をメタノールに溶解し、ジエチルエーテルの添加により沈殿させた。この手順を3〜4回繰り返し、最後に粗製塊を真空乾燥して、SMP−022を褐色固体として得た(330mg、45%)。
【0204】
実施例3
化合物SMP−051の合成
【0205】
【化49】
【0206】
スキーム3で使用される試薬及び条件:(i)ジ−tert−ブチルデカーボネート、NaOH、t−ブタノール、水、48時間、室温;(ii)EDC・HCl、HOSu、SMP−002、DIEA、DMF、一晩、室温;(iii)6N HCl、一晩、室温。
【0207】
,Nω,Nω’−トリス(tert−ブトキシカルボニル)−L−アルギニン(11):L−アルギニン(8.7g、50mmol)を500mL丸底フラスコのtert−ブタノール(150mL)及び水(150mL)の溶液に加えた。混合物を氷浴中で0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(7.0g、175mmol)を加えた。溶液を0℃で5分間撹拌し、それに(Boc)O(43.7g、200mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルを加え、固体クエン酸を加えることによって培地のpHを3に調整した。抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて化合物11を白色固体として得た。(16.2g、64%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ 11.51 (brs, 1H, COOH), 9.41 (brs, 1H, NH), 8.42 (brs, 1H, NH), 5.77 (d, 1H, JAB = 6.5 Hz, NHCH), 4.34 (q, 1H, JAB = 7.0 Hz, CH), 3.92-3.82 (m, 2H, CH2N), 1.84-1.82 (m, 2H, CH2), 1.76-1.65 (m, 2H, CH2), 1.52 (s, 9H, C(CH3)3), 1.50 (s, 9H, C(CH3)3), 1.45 (s, 9H, C(CH3)3).
【0208】
ヘキサ−tert−ブチルカーボネート(S)−2−アセトアミド−N−(4−((S)−2−アミノ−3グアニジノプロパンアミド)ブチル)−N−(3−((S)−2−アミノ−3−グアニジノプロパンアミド)プロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド(12):化合物5の合成について述べたのと同様の合成手順に従って、化合物11及び化合物SMP−002から化合物12を合成した(52%)。
1H NMR (CDCl3): δ 5.33-5.28 (m, 2H, -CHNHCO), 4.44-4.36 (m, 1H, -CHNHCO), 3.97-3.45 (m, 8H, -CH2NCO), 2.99-2.96 (m, 4H, -CH2NCH), 2.94-2.88 (m, 4H, CH2S), 2.1 (s, 3H, -COCH3), 1.94-1.69 (m, 10H, -CH2), 1.54 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.52 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.50-1.49 (m, 4H, -CH2), 1.47 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.30-1.27 (m, 18H, -CH2), 0.93-0.90 (m, 3H, -CH3).
【0209】
(S)−2−アセトアミド−N−(4−((S)−2−アミノ−3−グアニジノプロパンアミド)ブチル)−N−(3−((S)−2−アミノ−3−グアニジノプロパンアミド)プロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド塩酸塩(SMP−051):化合物SMP−051を化合物12から化合物(SMP−002)を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成した(86%)。
1H NMR (D2O): δ 5.13-5.02 (m, 2H, -CHNHCO), 3.97-3.45 (m, 8H, -CH2NCO), 2.99-2.96 (m, 4H, -CH2NCH), 2.94-2.88 (m, 4H, CH2S), 2.1 (s, 3H, -COCH3), 1.98-1.72 (m, 4H, -CH2), 1.73-1.67 (m, 6H, CH2) 1.50-1.49 (m, 4H, -CH2), 1.30-1.27 (m, 18H, -CH2), 0.93-0.90 (m, 3H, -CH3). ESI-MS (m/z): 745.38 (M+K).
【0210】
実施例4
化合物SMP−007及びSMP−010の合成
【0211】
【化50】
【0212】
スキーム4で使用される試薬及び条件:i)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間。
【0213】
1,6−ビス(N−シアノ−N1−グアニジノ)ヘキサン(13):n−ブタノール(29m)中の1,6−ヘキサメチレンジアミン二塩酸塩(3.78g、20.0mmol)及びジシアナミドナトリウム(3.56g、40.0mmol)の溶液を15時間加熱還流した。室温に冷却した後、固体を濾別し、ブタノール及び冷水で洗浄した。水から再結晶して、純粋な1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン(4g、80%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ 8.06 (brs, 2H, -NH), 6.91 (brs, 4H, -NH), 3.00 (t, 4H, JAB = 7.5 Hz, -CH2), 1.69-1.65 (m, 4H, -CH2), 1.42-1.41 (m, 4H, -CH2).
【0214】
【化51】
【0215】
スキーム5で使用される試薬及び条件:i)1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、5時間;ii)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間;iii)(S)−2−アセトアミド−N、N−ビス(N−シアノ−N−グアニジノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド(SMP−002)、160℃、5時間。
【0216】
ポリマーSMP−007の合成:(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(3−アミノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド二塩酸塩(SMP−002)と化合物13(55mg、0.22mmol)の混合物(100mg、0.19mmol)を160℃にゆっくり加熱した。その温度に達した後、混合物融解物をさらに5時間その特定の温度に保った。その後、反応混合物を冷却し、水をそれに添加し、そして混合物を0.22ミクロンのシリンジフィルターを通して濾過して懸濁粒子を除去した。濾液を蒸発させ、真空下で数時間乾燥させて、所望のポリマーSMP−007を褐色の塊として得た(55mg)。
1H NMR (D2O): δ 3.17-3.14 (m, 6H, -CH2N, -CH2S), 3.1-2.98 (m, 6H, -CH2N, -CH2S), 2.69-2.68 (m, 4H, -CH2N), 2.57-2.54 (m, 2H, -CH2), 1.98 (s, 3 H, -COCH3), 1.69-1.49 (m, 8 H, -CH2), 1.4-1.28 (m, 8H, -CH2), 1.27-1.15 (m, 16H, -CH2), 0.89-0.78 (m, 3H, -CH3). Mn = 5000, Mw =3050 PDI =1.48.
【0217】
(S)−2−アセトアミド−N,N−ビス(N−シアノ−N−グアニジノプロピル)−3−(ドデシルチオ)プロパンアミド(14):化合物(13)の合成について記載したのと同様の手順従って、化合物14をSMP−002から合成した。
【0218】
ポリマーSMP−010の合成:SMP−002(50mg、0.10mmol)と化合物14(64mg、0.11mmol)の混合物をゆっくりと160℃に加熱した。その温度に達した後、混合物融解物をさらに5時間その特定の温度に保った。その後、反応混合物を冷却し、水をそれに添加し、そして混合物を0.22ミクロンのシリンジフィルターを通して濾過して懸濁粒子を除去した。濾液を蒸発させ、真空下で数時間乾燥させて、所望のポリマーSMP−010を褐色の塊として得た(40mg)。
1H NMR (D2O): δ 3.43-3.33 (m, 8H, -CH2N), 3.13-3.07 (m, 2H, -CH2S), 2.77-2.69 (m, 2H, -CH2S), 2.57-2.54 (m, 2H, -CH2), 2.07 (s, 3H, -COCH3), 1.51-1.49 (m, 4H, -CH2), 1.4-1.28 (m, 2H, -CH2), 1.28-1.16 (m, 16 H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3). Mn (予測): 3600.
【0219】
実施例5
化合物SMP−043、SMP−045、SMP−017及びSMP−060の合成
【0220】
【化52】
【0221】
スキーム6で使用される試薬及び条件:i)塩化オキサリル、DMF、DCM、2時間、室温;ii)ジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)、トリエチルアミン、DCM、一晩、室温;iii)6N HCl、一晩、室温;iv)1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、5時間。
【0222】
塩化ラウロイル(15):ラウリン酸(5g、25mmol)を触媒量の乾燥DMFと共に乾燥DCM(10mL)に溶解し、塩化オキサリル(2.56mL、30mmol)を0℃でゆっくり加えた。添加完了後、反応混合物を室温で3時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで過剰の塩化オキサリルを減圧下で除去した。真空乾燥の際に残った残渣は所望の塩化ラウロイル(5.2g、95%収率)を与えた。
【0223】
塩化オレオイル(18):化合物(15)を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って化合物18をオレイン酸から合成した。
【0224】
ジ−tert−ブチル((ドデカノイルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(19):ジクロロメタン(20mL)中のジ−tert−ブチル(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(1)(332mg、1mmol)及びトリエチルアミン(202.4mg、0.28mL、2mmol)の溶液に塩化ラウロイル(290mg、1.3mmol)を0℃でゆっくり加えた。添加完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を水で洗浄し、有機層を真空下で濃縮して粗製物を得、これを3%メタノール−ジクロロメタンを溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製してジ−t−ブチル((ドデカノイルアザンジイル)ビス(プロパン)−3,1−ジイル)ジカルバメート(410mg、80%)を半固体の塊として得た。
1H NMR (CDCl3): δ 3.30-3.17 (m, 4H, -CH2N), 3.14-3.04 (m, 4H, -CH2N), 2.86-2.78 (m, 2H, -CH2CO), 1.80-1.70 (m, 2H, -CH2), 1.70-1.58 (m, 4H, -CH2), 1.42 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.35-1.37 (m, 16H, -CH2), 0.86 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0225】
ジ−tert−ブチル((オクタノイルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(20):化合物19を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って、塩化オクタノイル及び化合物1から合成した(52%)。
【0226】
ジ−tert−ブチル((アセチルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(21):化合物21は、化合物19の合成について言及したのと同様の手順に従って、塩化アセチル及び化合物1から合成した(72%)。
1H NMR (CDCl3): 3.42-3.38 (m, 4H, -CH2N), 3.29-3.24 (m, 4H, -CH2N), 2.10 (s, 3H, -COCH3), 1.69-1.63 (m, 4H, -CH2), 1.43 (s, 18H, -C(CH3)3).
【0227】
ジ−tert−ブチル((ノナデカ−9−エノイルアザンジイル)ビス(プロパン−3,1−ジイル))(Z)−ジカルバメート(22):化合物22は、化合物19の合成について言及したのと同様の手順に従って、塩化オレオイル及び化合物1から合成した(69%)。
1H NMR (CDCl3): 5.38-5.26 (m, 2H, -CH=CH-), 3.42-3.21 (m, 4H, -CH2N), 3.17-2.99 (m, 4H, -CH2N), 2.32-2.25 (m, 2H, -CH2CO), 2.07-1.93 (m, 2H, CH2), 1.80-1.72 (m, 2H, CH2), 1.67-1.57 (m, 4H, -CH2), 1.43 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.33-1.22 (m, 20 H, CH2), 0.90-0.84 (m, 3H, -CH3).
【0228】
N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデカンアミド二塩酸塩(23):6N HCl(6mL)及びテトラヒドロフラン(6mL)中のジ−tert−ブチル((ドデカノイルアザンジルイ)ビス(プロパン−3,1−ジイル))ジカルバメート(19)(300mg、0.58mmol)の溶液を一晩撹拌し、その後、溶媒を蒸発させ、粗製塊をメタノール−ジクロロメタンに溶解し、続いてジエチルエーテルを加え、このプロセスを2〜3回繰り返した。最後に、純粋なN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデカンアミド二塩酸塩を、黄褐色の粘着性物質として得た(403mg、78%)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.30-3.17 (m, 4H, -CH2N), 3.14-3.04 (m, 4H, -CH2N), 2.86-2.78 (m, 2H, -CH2CO), 1.80-1.70 (m, 2H, -CH2), 1.70-1.58 (m, 4H, -CH2), 1.35-1.37 (m, 16H, -CH2), 0.86 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3). ESI-MS (m/z): 314.35 (M+H).
【0229】
N,N−ビス(3−アミノプロピル)オクタンアミド二塩酸塩(24):化合物24は、化合物(23)の合成について述べたのと同様の合成手順に従って化合物20から合成された(78%)。
1H NMR (D2O): δ 3.50-3.44 (m, 4H, -CH2N), 3.20-3.15 (m, 4H, -CH2N), 2.42-2.39 (m, 2H, -CH2CO), 2.02-1.88 (m, 4H, -CH2), 1.59-1.53 (m, 2H, -CH2), 1.32-2.1 (m, 8H, -CH2), 0.82-0.81 (m, 3H, -CH3).
【0230】
N,N−ビス(3−アミノプロピル)アセトアミド二塩酸塩(25):化合物25は、化合物(23)の合成について述べたのと同様の合成手順に従って化合物25から合成された(68%)。
【0231】
(Z)−N,N−ビス(3−アミノプロピル)ノナデカ−9−エナミド二塩酸塩(26):化合物26は、化合物(23)を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って、化合物23から合成された(52%)。
1H NMR (D2O): 5.34-5.18 (m, 2H, -CH=CH-), 3.46-3.33 (m, 4H, -CH2N), 3.05-2.90 (m, 4H, -CH2N), 2.39-2.30 (m, 2H, -CH2CO), 2.01-1.88 (m, 6H, CH2), 1.56-1.47 (m, 4H, -CH2), 1.24-1.16 (m, 20 H, CH2), 0.86-0.76 (m, 3H, -CH3).
【0232】
ポリマーSMP−043の合成:ポリマーSMP−043は、化合物23及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D2O): δ 3.54-3.43 (m, 4H, -CH2N), 3.24-3.16 (m, 4H, -CH2N), 3.15-3.09 (m, 4H, -CH2N), 2.17-2.07 (m, 4H, -CH2), 1.98-1.91 (m, 2H, -CH2), 1.64-1.54 (m, 4H, -CH2), 1.45-1.36 (m, 4H, -CH2), 1.31-1.28 (m, 18H, -CH2), 0.90-0.84 (m, 3H, -CH3). Mn (予測): 3900.
【0233】
ポリマーSMP−045の合成:ポリマーSMP−045は、化合物24及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D2O): δ 3.24-3.20 (m, 4H, -CH2N), 3.20-3.04 (m, 8H, -CH2N), 2.30-2.23 (m, 2H, -CH2CO), 2.15-2.07 (m, 2H, -CH2), 1.94-1.88 (m, 2H, -CH2), 1.62-1.55 (m, 4H, -CH2), 1.46-1.36 (m, 2H, -CH2), 1.32-1.26 (m, 12H, -CH2), 0.88-0.84 (m, 3H, -CH3). Mn (予測): 3500.
【0234】
ポリマーSMP−017の合成:化合物25及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D2O): δ 3.32-3.19 (m, 4H, -CH2N), 3.05-2.94 (m, 8H, -CH2N), 1.84 (s, 3H, -CH3CO), 1.75-1.61 (m, 4H, -CH2), 1.43-1.33 (m, 4H, -CH2), 1.22-1.31 (m, 4H, -CH2). Mn (予測): 2900.
【0235】
ポリマーSMP−060の合成:化合物26及び化合物13から、ポリマーSMP−007を合成するために述べたのと同様の合成手順に従って合成された。
1H NMR (D2O): 5.36-5.19 (m, 2H, -CH=CH-), 3.49-3.36 (m, 4H, -CH2NCO), 3.26-2.94 (m, 8H, -CH2N), 2.24-2.13 (m, 2H, -CH2CO), 1.96-1.85 (m, 8H, CH2), 1.63-1.44 (m, 6H, -CH2), 1.33-1.17 (m, 24 H, CH2), 0.87-0.79 (m, 3H, -CH3). Mn (予測): 5500.
【0236】
実施例6
化合物SMP−052の合成
【0237】
【化53】
【0238】
スキーム7で使用される試薬及び条件:i)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間;ii)1,2−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)エタン(24)、160℃、室温、5時間。
【0239】
1,2−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)エタン(27):化合物27は、エタン1,2ジアミン塩酸塩及び化合物24から、化合物13を合成するために述べた手順(72%)に従って合成された。
1H NMR (DMSO-d6): δ 7.21-7.08 (brs, 2H, NH), δ 6.97-6.77 (brs, 4H, NH), 3.15-3.05 (m, 4H, CH2N).
【0240】
SMP−052の合成:ポリマーSMP−052をSMP−007の手順に従って合成した。
1H NMR (D2O): δ 3.26-3.17 (m, 4H, -CH2N), 3.12-3.03 (m, 8H, -CH2N), 1.96-1.88 (m, 2H, -CH2CO), 1.63-1.54 (m, 4H, -CH2), 1.44-1.34 (m, 2H, -CH2), 1.28-1.22 (m, 8H, -CH2), 0.90-0.83 (m, 3H, -CH3). Mn (予測): 3200
【0241】
実施例7
化合物SMP−026の合成
【0242】
【化54】
【0243】
スキーム8で使用される試薬及び条件:i)無水フタル酸、トルエン、DMF、24時間、還流;ii)(Boc)O、KCO、DCM、CHCN、室温、24時間;iii)ヒドラジン水和物、エタノール、5時間、室温;(iv)13、160℃、室温、5時間;v)6N HCl、30時間、室温。
【0244】
2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(28):無水フタル酸(10.0g、67.5mmol)をトルエン/DMF(100mL/10mL)中のノルスペルミジン(4.07g、4.37mL、31.0mmol)の溶液に加えた。反応混合物を還流条件下で1日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、300mLのエタノールを残渣に添加した。5時間撹拌した後、沈殿物を濾過し、回収し、乾燥させて2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(10g、85%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ = 7.84-7.76 (m, 4H, ArH), 7.74-7.64 (m, 4H, ArH), 3.78-3.68 (m, 4H, -CH2N), 2.69-2.54 (m, 4H, -CH2N), 1.89-1.76 (m, 4H, -CH2).
【0245】
tert−ブチルビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)カルバメート(29):ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.70mL、3.07mmol)をジクロロメタン:アセトニトリル(100mL:100mL)中のKCO(0.50g、3.63mmol)を有する2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(28)(1.00g、2.56mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で1日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタン200mLに溶解した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、白色粉末としてビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)カルバミン酸tert−ブチル(1g、80%)を得た。さらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0246】
tert−ブチルビス(3−アミノプロピル)カルバメート(30):エタノール(10mL)中のtert−ブチルビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)カルバメート(29)(1.00g、2.04mmol)及びヒドラジン一水和物(1.00mL、20.6mmol)を室温で5時間撹拌した。反応後、析出物を濾去した。ろ液を蒸発させ、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を蒸発させて、淡黄色油状のtert−ブチルビス(3−アミノプロピル)カルバメート(236mg、50%)を得た。この化合物はこれ以上精製することなく次の反応に用いた。
1H NMR (CDCl3): δ 3.1-3.18 (m, 4H, -CH2), 2.69 (t, 4H, JAB = 6.5 Hz, -CH2), 1.69-1.63 (m, 4H, -CH2), 1.45 (s, 9H, -C(CH3)3).
【0247】
ポリマー31の合成:tert−ブチルビス(3−アミノプロピル)カルバメート(230mg、1mmol)及び1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン(13)(300mg、1.2mmol)の混合物を1滴の濃塩酸の存在下で160℃にゆっくり加熱した。温度に達した後、混合物融解物をさらに5時間その特定の温度に保った。その後、反応混合物を冷却し、それに水を添加し、混合物を0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を蒸発させ、真空下で数時間乾燥させて、所望のポリマー31を褐色の塊として得た(55mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 7.12 (brs, 1H, -NH), 6.70 (brs, 1H, -NH), 3.46-3.29 (m, 8H, -CH2N(CNH)), 3.03-2.99 (m, 4H, -CH2NCO), 1.61-1.49 (m, 4H, -CH2), 1.40-1.36 (m, 13H; --CH2, C(CH3)3), 1.28-1.02 (m, 4H, -CH2).
【0248】
ポリマーSMP−26の合成:化合物31(90mg)を0℃で6N塩酸(5mL)に懸濁し、反応混合物を室温でゆっくり温めた。室温で30時間撹拌しながらさらに撹拌を続けた。溶媒を減圧下で蒸発させた後、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄して、所望のポリマーSMP−026を得て、これを真空下で数時間乾燥させた(55mg)。
1H NMR (D2O): δ 3.32-3.25 (m, 4H, -CH2N), 3.21-3.15 (m, 4H, -CH2N(CNH)), 3.11-3.09 (m, 4H, -CH2N(CNH)), 2.13-2.06 (m, 4H, -CH2), 1.68-1.61 (m, 4H, -CH2), 1.41-1.34 (m, 4H, -CH2). Mn= 6600 Mw = 9300 PDI =1.4.
【0249】
実施例8
化合物SMP−027の合成
【0250】
【化55】
【0251】
スキーム9で使用される試薬及び条件:i)ヨウ化メチル、メタノール、48時間、室温。
【0252】
ポリマーSMP−27の合成:ヨウ化メチルメタノール(2mL)中のSMP−026(50mg)の溶液に反応混合物を添加し、室温で2日間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄して、所望のポリマーSMP−027を褐色の固体として得、これを真空下で数回乾燥させた(60mg)。
1H NMR (D2O): δ 3.32 (s, 3H, -CH3), 3.28-3.26 (m, 4H, -CH2), 3.20-3.17 (m, 4H, -CH2), 3.12-3.09 (m, 4H, -CH2), 2.11-2.07 (m, 4H, -CH2), 1.70-1.59 (m, 4H, -CH2), 1.42-1.34 (m, 4H, -CH2). Mn (予測)= 6700
【0253】
実施例9
SMP−057の合成
【0254】
【化56】
【0255】
スキーム10で使用される試薬及び条件:i)(Boc)O、NaOH、THF、水、一晩、室温;ii)EDC.HCl、HOSu、2,2’−(アザンジイルビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(イソインドリン−1,3−ジオン)(1)、DIEA、DMF、一晩、室温;iii)ヒドラジン一水和物、エタノール一晩、室温;iv)1,6−ビス(N3−シアノ−N1−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、室温、5時間;v)6N HCl、室温、一晩。
【0256】
3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸(32):1:2の1M NaOH:THF(30mL)中のβ−アラニン(2.0g、22.4mmol)の溶液に(Boc)O(5.88g)を0℃で添加した。その溶液を室温で一晩撹拌した後、真空下で濃縮した。水層を酢酸エチルで洗浄し、4M HClでpH2.0に酸性化し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮して無色結晶として1を得た(3.96g、95%)。
1H NMR (CDCl3): δ 5.1 (brs, 1H, -NH), 3.50-3.31 (m, 2H, -CH2N), 2.61-2.54 (m, 2H, -CH2), 1.47 (s, -C(CH3)3).
【0257】
tert−ブチル(3−(ビス(3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)プロピル)アミノ)−3−オキソプロピル)カルバマート(33):化合物5の合成において言及した手順に従って、化合物32及び化合物1から合成した。
1H NMR (CDCl3): δ 8.03 (brs, 1H, -NH), 7.86-7.83(m, 2H, -ArH), 7.76-7.73 (m, 2H, -ArH), 3.72-3.70 (m, 2H, -CH2N), 3.43-3.37 (m, 6H, -CH2, -CH2N), 2.50-2.48 (m, 2H, -CH2CO), 1.78-1.76 (m, 4H, -CH2), 1.46 (s, -C(CH3)3).
【0258】
tert−ブチル(3−(ビス(3−アミノプロピル)アミノ)−3−オキソプロピル)カルバマート(34):化合物30を合成するために述べた手順に従って、化合物33から合成した。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.85-2.78 (m, 4H, -CH2N), 3.13-3.00 (m, 4H, -CH2N), 3.43-3.37 (m, 4H, CH2, -CH2N), 2.45-2.42 (m, 2H, -CH2N), 2.22-2.1 (m, 2H, -CH2N), 1.59-1.51 (m, 4H, -CH2), 1.37 (s, -C(CH3)3).
【0259】
ポリマー35の合成:ポリマー35は、化合物34及び化合物13から化合物31を合成するために述べた手順に従って合成した。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.56-3.42 (m, 4H, -CH2N), 3.40-3.29 (m, 4H, CH2N), 3.28-3.19 (m, 4H, -CH2N), 3.18-3.07 (m, 2H, -CH2N), 2.44-2.34 (m, 4H, -CH2), 2.02-1.93 (m, 2H, -CH2CO), 1.91-1.76 (m, 4H, -CH2), 1.45 (s, 9H, -C(CH3)3), 1.37-1.29 (m, 4H, -CH2).
【0260】
ポリマーSMP−057の合成:ポリマーSMP−037は、化合物35からの合成であり、ポリマーSMP−26を合成するために述べた手順に従った。
1H NMR (D2O): δ 3.38-3.30 (m, 8H, -CH2N), 3.17-3.3.09 (m, 4H, -CH2N), 2.79-2.72 (m, 2H, -CH2NH2), 2.44-2.34 (m, 4H, -CH2), 2.32-2.29 (m, 2H, -CH2CO), 1.99-1.91 (m, 4H, -CH2), 1.51-1.40 (m, 4H, -CH2). Mn (予測)= 6700.
【0261】
実施例10
化合物SMP−037の合成
【0262】
【化57】
【0263】
スキーム11において使用される試薬及び条件:i)(Boc)O、NaOH、THF−水、室温、一晩;ii)1,6−ジイソシアナトヘキサン、THF、EtN、16時間、還流;iii)6N HCl、室温、一晩;iv)1,6−ビス(N−シアノ−N−グアニジノ)ヘキサン(13)、160℃、5時間。
【0264】
カルバミン酸tert−ブチル(2−ヒドロキシエチル)(36):氷浴中のTHF(15mL)及びNaOH(5M、3mL)中のエタノールアミン(0.7mL、12mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(Boc)O(3.12g、14mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を酢酸エチル、及び10%クエン酸、飽和NaHCO(水性)、及びブラインで抽出した。最後に硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物36を黄色液体として得て、それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた(1.5g、80%)。
【0265】
ビス(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)ヘキサン−1,6−ジエチルジカルバメート(37):tert−ブチル(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(36)の溶液(1.61g、10mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.8mL、4mmol)及びトリエチルアミン(4.1mL、30mmol)を16時間加熱還流した。反応完了後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これをさらに酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を蒸発させた後、所望の化合物37を得た。
1H NMR (CDCl3): δ 7.25-7.23 (m, 1H, -NH), 7.12-7.13 (m, 1H, -NH), 4.18-4.05 (m, 4H, -CH2O), 3.42-3.32 (m, 4H, -CH2N), 3.20-3.01 (m, 4H, -CH2N), 1.42-1.34 (m, 4H, -CH2), 1.43 (s, 18H, -C(CH3)3), 1.35-1.31 (m, 4H, -CH2).
【0266】
ビス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,6−ジカルバメート二塩酸塩(38):化合物SMP−002を合成するために記載した手順に従って、化合物37及び1,6−ジイソシアナトヘキサンから化合物38を合成した。
【0267】
ポリマーSMP−037の合成:ポリマーSMP−037を、化合物38及び化合物13から、化合物SMP−007を合成するために述べた手順に従って合成した。
1H NMR (DMSO-d6): 6.66 (brs, 6H, NH), 7.15 (brs, 2H, NH), 4.13 (t, JAB= 5.5 Hz, 4H, -CH2O), 3.00-2.94 (m, 12H, -CH2N), 1.44-1.36 (m, 8H, -CH2), 1.28-1.22 (m, 8H, -CH2). Mn (予測)= 3900
【0268】
実施例11
化合物SMP−049の合成
【0269】
【化58】
【0270】
スキーム12で使用される試薬及び条件:i)ナトリウムジシアナミド、n−ブタノール、還流、15時間;ii)ビス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,6−ジエチルジカルバメートジ−塩酸塩(38)、160℃、5時間。
【0271】
N,N−ビス(3−(3−シアノグアニジノ)プロピル)ドデカンアミド(39):化合物39から、化合物(13)の合成について述べた手順に従って化合物39を合成した。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.20-3.02 (m, 4H, -CH2N), 2.98-2.93 (m, 4H, -CH2N), 2.09-2.01 (m, 2H, -CH2CO), 1.70-1.52 (m, 4H, -CH2), 1.52-1.42 (m, 2H, -CH2), 1.30-1.20 (m, 16H, -CH2), 0.89-0.86 (m, 3H, -CH3). (50 mg, 45%).
【0272】
ポリマーSMP−049の合成:ポリマーSMP−049は、化合物39及び化合物38から、ポリマーSMP−007を合成するために述べた手順に従って合成した。
1H NMR (DMSO-d6): δ 8.40-8.10 (brs, 12H, NH), 4.03-3.98 (m, 2H, -CH2O), 3.91-3.86 (m, 2H, -CH2O), 3.24-3.18 (m, 4H, -CH2N), 2.99-2.93 (m, 8H, -CH2N), 2.77-2.69 (m, 6H, -CH2N, -CH2CO), 1.62-1.53 (m, 6H, -CH2), 1.36-1.30 (m, 6H, -CH2), 1.27-1.17 (m, 18H, -CH2), 0.90-0.82 (m, 3H, -CH3). Mn (予測)= 4800.
【0273】
実施例12
化合物SMP−018、SMP−019、SMP−020、SMP−033、SMP−035、SMP−034及びSMP−036の合成
【0274】
【化59】
【0275】
スキーム13で使用される試薬及び条件:i)(Boc)O、DCM、0℃、2時間;ii)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;(iii)6N HCl、16時間、室温;iv)R−Br、KCO、KI、CHCN、DIEA、DMF、48時間、還流;v)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;vi)MeI、MeOH、24時間、室温。
【0276】
tert−ブチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(40):ジクロロメタン(30mL)中のジエタノールアミン(2.50g、23.80mmol)の撹拌溶液に(Boc)O(7.26g、33.29mmol)を0℃で添加し、同じ温度でさらに2時間撹拌した。完了後、反応混合物を水で洗浄し、生成物をジクロロメタン中で抽出した。次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、粗化合物40を無色の液体として得(3.5g、71%)、これを精製することなく次の工程にさらに利用した。
1H NMR (CDCl3): δ 3.81-3.79 (m, 4H, -CH2O), 3.46-3.41 (m, 4H, -CH2N),1.47 (s, 9H, -C(CH3)3).
【0277】
ポリマー41の合成:化合物40(0.5g、2.44mmol)及び1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.41g、2.44mmol)の混合物をTHF(1mL)中で反応させ、のDABCO溶液(3.25mLのTHF中11mg)を反応させ、反応混合物を窒素雰囲気下60℃で5時間撹拌した。次に反応混合物を室温に冷却し、ポリマーを過剰のジエチルエーテルの存在下で沈殿させた。次いで、粗い塊を遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して、ポリマーを白色の粘着性の塊として単離した。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.09-.01 (m, 4H, -CH2O), 2.95-2.94 (m, 8H, -CH2N), 1.42-1.37 (m, 4H, -CH2), 1.39 (s, 9H, -C(CH3)3), 1.23-1.21 (m, 4H, -CH2).
【0278】
ポリマーSMP−019の合成:化合物1(100mg)を0℃で6N塩酸(10mL)に懸濁し、反応混合物を室温で撹拌した。撹拌をさらに16時間続けて透明な溶液を形成した。最後に、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄し、乾燥させて所望のポリマーSMP−019(55mg)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.27-4.22 (m, 4H, -CH2O), 3.29-3.12 (m, 4H, -CH2N), 3.00-2.93 (m, 4H, -CH2N), 1.45-1.35 (m, 4H, -CH2), 1.28-1.24 (m, 4H, -CH2). Mn (予測): 7,000.
【0279】
2,2’−(オクチルアザンジイル)ビス(エタン−1−オール)(42):1−ブロモオクタン(3.0g、1.5mmol)、ジエタノールアミン(2.4g、2.3mmol)、無水炭酸カリウム(4.28g、3.1mmol)をアセトニトリル(40mL)中に取り、内容物を窒素雰囲気下で12時間還流した。冷却後、反応混合物を蒸発させ、ジクロロメタンで抽出し、無水乾燥させた。NaSOを減圧下で除去して粗生成物を得、これをジクロロメタン及びメタノールを溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な2,2’−(オクチルアザンジル)ビス(エタン−1−オール)を無色の油として得た(590mg、91%)。
1H NMR (CDCl3): δ 4.22 (brs, 2H, OHCH2), 3.86 (t, 4H, JAB = 5 Hz, -CH2OH), 3.10 (t, 4H, JAB = 4.5 Hz, -CH2N), 2.94 (t, 2H, JAB = 8 Hz, -CH2N), 1.69-1.60 (m, 2H, -CH2), 1.30-1.25 (m, 10H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 7 Hz, -CH3).
【0280】
2,2’−(ドデシルアザンジル)ビス(エタン−1−オール)(43):化合物42の手順に従って、ジエタノールアミン及び1−ブロモドデカンを使用することにより、化合物43を合成した。
1H NMR (CDCl3): δ 3.61 (t, 4H, JAB = 5 Hz, -CH2OH), 2.65 (t, 4H, JAB = 5.5 Hz, -CH2N), 2.51 (t, 2H, JAB = 7.5 Hz, -CH2N), 1.49-1.41 (m, 2H, -CH2), 1.29-1.20 (m, 18H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0281】
(Z)−2,2’−(オクタデカ−9−エン−1−イルアザンジル)ビス(エタン−1−オール)(45):ジエタノールアミン及び(Z)−1−ブロモオクタデカ−9−エンを用いて、化合物42の手順に従って化合物45を合成した。
1H NMR (CDCl3): δ 5.37-5.30 (m, 2H, -CH=CH-), 3.64-3.61 (m, 4H, -CH2OH), 2.69-2.66 (m, 4H, -CH2N), 2.55-2.50 (m, 2H, -CH2N), 2.19 (brs, 2H, -OH), 2.04-1.98 (m, 2H, -CH2),1.49-1.44 (m, 2H, -CH2), 1.33-1.22(m, 24H, -CH2), 0.90-.86 (m, 3H, -CH3).
【0282】
ポリマーSMP−018の合成:THF(1.3mL)中の化合物43(0.5g、1.80mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.24g、1.40mmol)の混合物に、DABCO(2mL THF中6.3mg)の溶液を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下60℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ポリマーを過剰のジエチルエーテルの存在下で沈殿させた。次に遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥してポリマーを白色の粘着性の塊として単離した(344mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.97-3.92 (m, 4H, -CH2O), 2.98-2.90 (m, 4H, -CH2N), 2.67-2.58 (m, 4H, -CH2N), 2.47-2.41 (m, 2H, -CH2N), 1.38-1.33 (m, 6H, -CH2), 1.30-1.20 (m, 22H, -CH2), 0.85 (t, JAB= 6.5 Hz, 3H, -CH3). Mn (予測): 12,400.
【0283】
ポリマーSMP−020の合成:メタノール(1mL)中のSMP−018(100mg)の溶液にヨウ化メチル(2mL)を反応混合物に加え、室温で24時間撹拌した。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をジクロロメタンで数回洗浄して、黄色の粘着性固体として所望のポリマーSMP−020を得、これを真空下で乾燥させた(70mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.41-4.30 (m, 4H, -CH2O), 3.61-3.57 (m, 4H, -CH2N+), 3.51-3.47 (m, 2H, -CH2N+), 3.10 (s, 3H, -CH3), 3.0-2.93 (m, 4H, -CH2NH), 1.38-1.35 (m, 6H, -CH2), 1.28-1.20 (m, 22H, -CH2), 0.85 (t, JAB= 6.8 Hz, 3H, -CH3). Mn(予測): 12,800.
【0284】
実施例13
化合物SMP−024の合成
【0285】
【化60】
【0286】
スキーム14で使用される試薬及び条件:i)1−ブロモドデカン、NaI、アセトン、還流、24時間。
【0287】
ポリマーSMP−024の合成:アセトン(4mL)中のSMP−018(124mg、9.67μmol)の溶液に、NaI(10%wt/wtのSMP−018)及び1−ブロモドデカン(2mL、0.29mmol)を添加し、反応混合物を24時間還流した。反応完了後、溶媒をデカントし、得られた固体をメタノールで数回洗浄して過剰量の1−ブロモドデカン及び他の可溶性塩を除去して、所望のポリマーSMP−024を黄色の粘着性固体として得、これを真空下で乾燥した(70mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 5.8 (brs, 2H, NH), 4.20-3.94 (m, 4H, -CH2O), 3.64-3.40 (m, 4H, -CH2N+), 3.23-3.05 (m, 4H, -CH2N+ merged with DMSO-d6-H2O residual peak); 2.95-2.94 (m, 4H, -CH2NH), 1.41-1.3 (m, 8H, -CH2), 1.30-1.15 (m, 40H, -CH2), 0.86 (t, JAB= 10 Hz, 6H, -CH3). Mn(予測): 17,000.
【0288】
実施例14
化合物SMP−042の合成
【0289】
【化61】
【0290】
スキーム15で使用される試薬及び条件:i)MeI、MeOH、24時間、室温;ii)40、1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;iii)6N HCl、一晩、室温。
【0291】
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルドデカン−1−アミニウム(46):化合物43及びヨウ化メチルを使用し、SMP−020の手順に従って、化合物46を合成した(158mg、75%)。
1H NMR (CDCl3): δ4.18-4.12 (m, 4H-CH2O), 4.10 (brs, 2H, -OH), 3.81-3.73 (m, 4H, -CH2N+), 3.58-3.51 (m, 2H, -CH2N), 3.34 (s, 3H, -CH3), 1.81-1.72 (m, 2H, -CH2), 1.36-1.33 (m, 2H, -CH2), 1.31-1.21 (m, 16H, -CH2), 0.91-0.84 (m, 3H, -CH3).
【0292】
ポリマー47の合成:化合物40(0.25g、1.22mmol)、化合物46(0.1g、0.35mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.3g、1.8mmol)及び乾燥THF(約1mL)の混合物を丸底フラスコ内でアルゴンの連続流下で取り出した。これに、DABCOの溶液(2.4mLのTHF中8.2mg)を加え、反応混合物を60℃で5時間撹拌した。次に遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥してポリマーを白色の粘着性の塊として単離した(275mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.41-4.46 (m, 4H, -CH2O), 4.05-3.95 (m, 8H, -CH2O), 3.65-3.55 (m, 4H, CH2N+), 3.50-3.44 (m, 8H, -CH2NCO), 2.93 (s, 3H, -CH3), 3.00-2.84 (m, 14H, -CH2N+, -CH2NCO), 1.4-1.33 (m, 32H, -CH2, -C(CH3)3), 1.30-1.20 (m, 30H, -CH2), 0.87-0.70 (m, 3H, -CH3).
【0293】
ポリマーSMP−042の合成:ポリマーSMP−042の合成は、化合物47を用い、ポリマーSMP−019の手順に従って行われ、ポリマーは黄色の粘着性固体として得られた(220mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.35-4.20 (m, 8H, -CH2O), 3.95-3.75 (m, 4H, -CH2O), 3.58-3.47 (m, 8H, CH2N+), 3.40-3.28 (m, 4H, -CH2NCO), 3.15 (s, 3H, -CH3), 3.05-2.92 (m, 14H, -CH2N+, -CH2NCO), 1.42-1.33 (m, 14H, -CH2), 1.25-1.18 (m, 30H, -CH2), 0.83-0.72 (m, 3H, -CH3).
Mn(予測): 15,200.
【0294】
実施例15
化合物SMP−062の合成
【0295】
【化62】
【0296】
スキーム16で使用される試薬及び条件:i)(Boc)O、TEA、メタノール、水、一晩、室温;ii)EDC・HCl、HOSu、2’−アザンジイルビス(エタン−1−オール)、DIPEA、DCM:DMF(3:1)、一晩、室温;iii)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;iv)6N HCl、一晩、室温。
【0297】
11−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)ウンデカン酸(48)の合成:12−アミノドデコン酸(1.1g、5.0mmol)、トリエチルアミン(0.8mL、5.7mmol)、及びBocO(1.053g、4.8mmol)をMeOH(15mL)中に合わせ、60℃で一晩還流した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに再溶解し、0.25M HClで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。ヘキサンを用いた再結晶により、所望の無色の結晶性固体を得た(1.250g、80%)。
1H NMR (CDCl3): δ 4.54 (bs, 1H, NHCO), 3.18-3.08 (m, 2H, -CH2N), 2.40-2.35 (m, 2H, -CH2CO), 1.70-1.62 (m, 2H, -CH2), 1.47(s, 9H, -C(CH3)3), 1.40-1.25 (m, 16H, -CH2).
【0298】
tert−ブチル(11−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−11−オキソウンデシル)カルバマート(49)の合成:DCM:DMF(3:1、20mL)中の化合物48(1g、3.2mmol)の溶液に、HOSu(0.55g、4.8mmol)及びEDC.HCl(0.9mg、4.8mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、無水乾燥した。NaSOで濃縮し、HOSuエステルを淡黄色固体として得た(1g、77%)。次に、DCM:DMF(3:1、20mL)中のジエタノールアミン(0.306g、3mmol)の溶液に、0℃でTEA(0.84mL、6.1mmol)を加えた。それに続いてHOSuエステル(1g、3.2mmol)を添加し、反応混合物を室温でさらに16時間撹拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに再溶解し、無水乾燥した。NaSOで処理し、濃縮後、溶出液として3%メタノール−ジクロロメタンを使用するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して粗製塊を得、白色固体として化合物49を得た(0.8g、63%)。
1H NMR (CDCl3): δ 4.53 (bs, 1H, NH), 3.89-3.78 (m, 4H, -CH2O), 3.58-3.50 (m, 4H, -CH2N), 3.14-3.04 (m, 2H, -CH2N), 2.42-2.35 (m, 2H, -CH2CO), 1.67-1.59 (m, 2H, -CH2), 1.43 (s, 9H, -C(CH3)3), 1.35-1.23 (m, 16H, -CH2).
【0299】
ポリマー50の合成:ポリマー50の合成は、ポリマー41の手順に従って、化合物49及び1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて行い、ポリマーを白色固体として得た(450mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.05-3.97 (m, 4H, -CH2O), 3.59-3.39 (m, 4H, -CH2N), 3.00-2.8 (m, 4H, -CH2N), 2.75-2.73 (m, 2H, -CH2N), 2.30-2.20 (m, 2H, -CH2CO), 1.48-1.40 (m, 2H, -CH2), 1.36 (s, 9H, -C(CH3)3), 1.30-1.15 (m, 24H, -CH2). Mn(予測): 16,400.
【0300】
ポリマーSMP−062の合成:ポリマーSMP−062の合成は、化合物50を用い、ポリマーSMP−019の手順に従って行われ、ポリマーは白色固体として得られた。(367mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 4.25-4.20 (m, 4H, -CH2O), 3.54-3.47 (m, 4H, -CH2N), 3.00-2.83 (m, 6H, -CH2N), 2.30-2.23 (m, 2H, -CH2CO), 1.32-1.14 (m, 26H, -CH2). Mn(予測): 14,500.
【0301】
実施例16
化合物SMP−041の合成
【0302】
【化63】
【0303】
スキーム17で使用される試薬及び条件:i)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;ii)6N HCl、一晩、室温;iii)MeI、MeOH 24時間、室温。
【0304】
ポリマー51の合成:化合物30(0.5g、2.2mmol)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(0.36g、2.2mmol)及び乾燥THF(1.14mL)の混合物をアルゴンの連続流下で丸底フラスコに入れた。これに、DABCO(3.4mLのTHF中9.6mg)の溶液を加え、反応混合物を60℃で5時間撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、ポリマーをジエチルエーテルの存在下で沈殿させた。得られた塊を遠心分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させてポリマーを白色の粘着性の塊として単離した(350mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ5.76 (brs, 2H, -NH), 3.13-3.10 (m, 4H, -CH2NHCO), 2.99-2.91 (m, 8H, -CH2NHCO, CH2NCO), 1.57-1.49 (m, 4H, -CH2),1.39 (s, 9H, -C(CH3)3), 1.38-1.30 (m, 4H, -CH2), 1.26-1.19 (m, 4H, -CH2).
【0305】
ポリマーSMP−040の合成:ポリマー51を使用し、SMP−019の手順に従ってポリマーSMP−040を合成し、ポリマーを淡黄色粘着性固体(380mg)として得た。
1H NMR (D2O): δ3.22-3.18 (m, 2H, -CH2N), 3.09-3.00 (m, H, -CH2N), 1.88-1.80 (m, 4H, -CH2), 1.49-1.40 (m, 4H, -CH2), 1.32-1.26 (m, 4H, -CH2). Mn (予測): 8,900
【0306】
ポリマーSMP−041の合成:ポリマーSMP−041の合成は、SMP−040及びヨウ化メチルを用いて、SMP−020の手順に従って行われ、ポリマーは赤褐色の粘着性固体として得られた(220mg)。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.14-3.02 (m, 7H, -CH2N, -CH3), 2.98-2.92 (m, 4H, -CH2N), 2.90-2.81 (m, 4H, -CH2N), 1.72-1.63 (m, 4H, -CH2), 1.2-1.21 (m, 4H, -CH2), 1.20-1.16 (m, 4H, -CH2). Mn (予測): 9,300.
【0307】
実施例17
化合物SMP−064の合成
【0308】
【化64】
【0309】
スキーム18で使用される試薬及び条件:i)1,6−ジイソシアナトヘキサン、DABCO、THF、5時間還流;ii)6N HCl、一晩、室温。
【0310】
実施例18
化合物SMP−030、SMP−053及びSMP−029の合成
【0311】
【化65】
【0312】
スキーム19で使用される試薬及び条件:i)塩化オキサリル、DMF、DCM、3時間、室温;ii)43又は45、EtN、DCM 24時間、室温;iii)6N HCl、16時間、室温。
【0313】
塩化スクシニル(52):コハク酸(2.95g、25mmol)を触媒量の乾燥DMFと共に乾燥DCM(10mL)に溶解し、塩化オキサリル(2.56mL、30mmol)を0℃でゆっくり加えた。反応混合物を室温でさらに3時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで過剰の塩化オキサリルを減圧下で除去した。真空乾燥の際に残った残渣は、所望の二塩化スクシニル(3.4g、95%収率)を与えた。
【0314】
ポリマーSMP−030の合成:0℃でジクロロメタン(50ml)中の化合物43(820mg、3mmol)及びトリエチルアミン(0.5ml)の溶液にジクロロメタン中のスクシニルジクロリド(558mg、3.6mmol)の溶液をゆっくり添加し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。その後、反応混合物を水及び炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。溶媒を蒸発させると、SMP−030が茶色の塊として得られた(200mg)。
1H NMR (CDCl3): δ 4.71-4.48(m, 4H, -CH2OH), 4.09-3.92 (m, 4H, -CH2N), 3.24-3.21 (m, 2H, -CH2N), 1.88-1.78 (m, 4H, -CH2), 1.35-1.32 (m, 4H, -CH2CO), 1.26-1.24 (m, 18H, -CH2), 0.87 (t, 3H, JAB = 6.5 Hz, -CH3).
【0315】
ポリマーSMP−053の合成:ポリマーSMP−053の合成は、化合物45及び化合物53を使用し、SMP−019の手順に従って行われた。
1H NMR (CDCl3): δ 5.36-5.30 (m, 2H, -CH=CH-), 4.56-4.50 (m, 4H, -CH2OH), 3.55-3.46 (m, 4H, -CH2N), 3.38-3.32 (m, 2H, -CH2N), 2.68-2.59 (m, 4H, -CH2CO), 2.03-2.00 (m, 2H, -CH2), 1.81-1.75 (m, 2H, -CH2), 1.33-1.24 (m, 24H, -CH2), 0.89-.86 (m, 3H, -CH3).
【0316】
実施例19
化合物SMP−066の合成
【0317】
【化66】
【0318】
スキーム20で使用される試薬及び条件:i)EDC・HCl、HOSu、DIPEA、DCM:DMF(3:1)、28、一晩、室温;ii)ヒドラジンヒドラート、エタノール、5時間;iii)52、TEA、ジクロロメタン、一晩、室温;iv)6N HCl、一晩、室温。
【0319】
実施例20
化合物SMP−070の合成
【0320】
【化67】
【0321】
スキーム21で使用される試薬及び条件:i)エチルクロロホルメート、EtN、THF、8時間、室温;ii)PEG、DBU、THF、10時間、還流。
【0322】
実施例21
化合物SMP−071〜075の合成
【0323】
【化68】
【0324】
スキーム22で使用される試薬及び条件:i)DCM、EtN、16時間、室温;ii)1−ビニル−2−ピロリジノン、AIBN、THF、8時間、60℃;iii)6N HCl、THF、16時間、室温;iv)4−(ジメチルアミノ)ブタン酸塩酸塩、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;v)a)4−(ジメチルアミノ)ブタン酸塩酸塩、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;b)MeI、MeOH、24時間、室温;vi)a)トリ−Boc−アリギニン、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;b)6NのHCl、24時間の室温;vii)MeI、MeOH、24時間、室温。
【0325】
実施例22
化合物SMP−082の合成
【0326】
【化69】
【0327】
試薬及び条件:i)DCM、EtN、16時間、室温;ii)1−ビニル−2−ピロリジノン、AIBN、THF、8時間、60℃。
【0328】
実施例23
化合物SMP−083及びSMP−084の合成
【0329】
【化70】
【0330】
スキーム24で使用される試薬及び条件:i)無水コハク酸、DMF、60℃、20時間;ii)SMP−051、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温。
【0331】
実施例24
化合物SMP−076、SMP−077及びSMP−078の合成
【0332】
【化71】
【0333】
スキーム25で使用される試薬及び条件:i)無水コハク酸、DMF、60℃、20時間;ii)化合物30、化合物54、又はトリ−boc−アルギニン、EDC.HCl、HOSu、DMF、18時間、室温;b)6N HCl、24時間、室温。
【0334】
スキーム24及び25における酸変性PVAは、以下のプロトコルのいずれかによって調製される。
【0335】
酸変性PVA(28%)(60)の合成:PVA(分子量9〜10kDa、80%加水分解型)(10g)をDMF(150mL)に120℃で溶解し、60℃に冷却した。溶液に無水コハク酸(4.00g、40mmol、28%w.r.t.水酸基)を加え、60℃で20時間撹拌した後、周囲温度に冷却した。過剰の酢酸エチルを反応混合物に加え、沈殿がもたらされ、それを濾過により回収した。得られた粗生成物をメタノールに溶解し、さらに過剰のジエチルエーテルを加えて沈殿させた。沈殿物を分離し、ジエチルエーテルで徹底的に洗浄し、減圧下で乾燥させて酸変性PVA(28%)を灰白色物質として得た(6.2g)。
【0336】
酸変性PVA(14%)(60)の合成:PVA(10g)をDMF(150mL)に120℃で溶解し、60℃に冷却した。溶液に無水コハク酸(2.00g、20mmol、14%w.r.t.水酸基)を加え、60℃で20時間撹拌した後、周囲温度に冷却した。過剰の酢酸エチルを反応混合物に加え、沈殿がもたらされ、それを混合物から酢酸エチルを除去することにより回収した。得られた粗生成物をメタノールに溶解した後、過剰のジエチルエーテルを加えて沈殿させた。沈殿物を濾過により分離し、ジエチルエーテルで徹底的に洗浄し、減圧下で乾燥させて酸変性PVA(14%)を灰白色の物質として得た(4.2g)。
【0337】
実施例25
化合物SMP−079、SMP−080及びSMP−081の合成
【0338】
【化72】
【0339】
試薬及び条件:i)塩化アクリロイル、DMF、50℃、20時間;ii)1−ビニル−2−ピロリジノン、AIBN、THF、8時間、60℃;b)6N HCl、24時間、室温。
【0340】
実施例26
局所用抗菌ゲル組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌ゲルは、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0341】
【表1】
【0342】
調製方法(F1):
1.SMP−007を水に溶解し、プロピレングリコールを加えた。
2.主混合容器中で、カルボポール980の水溶液を室温で150〜250rpmで水和させた。
3.調製した水溶性薬液を主混合容器に入れ、150〜400rpmで30分〜1時間撹拌し、室温で均一な混合物を得た。
4.安息香酸ナトリウムを水に溶解し、主混合容器に加える。
5.最後に、10%トリエタノールアミンを添加して、pHを5.5〜6.5に維持することによって最終ゲル配合物を得た。得られた溶液をさらに30〜40分間撹拌して、均質な製剤を得た。
【0343】
SMP−007を用いてF2〜F4製剤を調製するために、表1に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0344】
【表2】
【0345】
調製方法(F5)
1)主混合容器内で、EDTAとアラントインを水に溶解した。その後、カルボポール980及びヒアルロン酸ナトリウムを添加し、室温(RT)で1時間、150〜250rpmで膨潤させた。
2)別の容器中で、SMP−020をグリセリンの存在下で室温で200〜300rpmで10分間連続的に混合しながら均質に分散させた。
3)SMP−020を含有する上記混合物の内容物を、主混合容器に150〜250rpmで2時間室温で撹拌しながら添加した。
4)フェノキシエタノール溶液を主混合容器に添加し、撹拌速度を150〜250rpmに維持しながらさらに20分間混合して、均一なゲル製剤を得た。
5)最後に、6N水酸化ナトリウム溶液を添加してpH5.5〜6.5の最終ゲル製剤を得た。得られた溶液をさらに30〜40分間撹拌して、均質な製剤を得た。
【0346】
SMP−020を用いてF6及びF7製剤を調製するために表2に記載の他の成分を用いて同様の実験手順に従った。
【0347】
【表3】
【0348】
調製方法(F8):
1.溶媒注入法によりリポソームを調製した。ここでは、特定のw/w比のSMP−020、レシチン及びコレステロールを最少量のエタノール及びジクロロメタン混合物に溶解した。
2.得られた溶液を45〜65℃で300〜500rpmで30分〜1.5時間撹拌しながらpH7.4のリン酸緩衝溶液に注入した。得られた混合物を有機溶媒が蒸発するまで撹拌し、残った溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧下で蒸発させた。
3.これにより、TEMによって特徴付けられた特定のサイズのリポソームが形成される。
4.主混合容器内で、カルボマー974Pの水溶液を室温で200〜300rpmで水和させた。
5.薬物封入リポソーム溶液を主混合容器に加え、室温で均質混合物を得るために150〜400rpmで30分〜1時間撹拌した。
6.溶液を室温で撹拌しながらベンジルアルコール及びブチル化ヒドロキシトルエンを最後に加えた。
7.最後に、10%トリエタノールアミンを加えてpH5.5〜6.5の最終ゲル製剤を得た。得られた溶液をさらに30〜40分間撹拌して、均質な製剤を得た。SMP−020又はSMP−037を用いてF9製剤を調製するために表3に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0349】
実施例27
局所用抗菌軟膏組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌軟膏は、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0350】
【表4】
【0351】
調製方法(F10):
1.ガラス張りの融解容器中に、67gのポリエチレングリコール400と22gのポリエチレングリコール4000を添加しそして60〜70℃で融解した。
2.上記混合物をホモジナイザーに移し、50〜55℃に冷却した。
3.別の容器内でSMP−020を3〜5gのポリエチレングリコール400及び3gのポリエチレングリコール4000に50〜55℃で分散させ、ゆっくりホモジナイザーに加えた。
4.均質な軟膏製剤を得るために均質化を50〜55℃で30分〜1.5時間実施し、室温に冷却させた。
5.溶液が室温に達している間にベンジルアルコールを最後に加えた。
6.最後に、10%トリエタノールアミンを添加してpH5.5〜6.5の最終軟膏製剤を得た。得られた溶液をさらに10〜30分間撹拌して、均一な製剤を得た。
【0352】
SMP−020又はSMP−042を有するF11〜F13製剤を調製するために表4に記載の他の成分を用いて同様の実験手順に従った。
【0353】
【表5】
【0354】
製造手順(F14):
1.セトステアリルアルコール、セトマクロゴール1000及び鉱油を65〜70℃の容器内で融解した。
2.SMP−047を精製水に溶解し、そして50〜60℃に加熱した。工程1で述べたように水相を脂質相に添加し、続いて50〜60℃で均質化して均質なA相溶液を得た。
3.別の容器中で白色の軟質パラフィンを取り出し、70℃で融解し、融解塊をフィルターを通してミキサー容器に移しそして50〜60℃に冷却する(B相)。
4.工程2に記載したA相を50〜60℃で10〜15分間撹拌又は均質化を維持することにより、50〜60℃で融解軟質パラフィン塩基(B相)に添加した。
6.軟膏剤をゆっくり室温に冷却し、続いて防腐剤を添加した。
7.最後に10%トリエタノールアミンを添加してpH5.5〜6.5の最終軟膏製剤を得た。
【0355】
得られた溶液をさらに10〜30分間撹拌して、均一な製剤を得た。SMP−047を用いてF15及びF16製剤を調製するために表5に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0356】
実施例28
局所用抗菌クリーム組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌クリームは、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0357】
【表6】
【0358】
調製方法(F17):
1.主混合容器にカルボポール980溶液を添加し、200〜250rpmで水和させた。
2.別の容器中でオートミールをグリセロール中に分散させ、150〜200rpmで10〜15分間撹拌して均質な分散液を得た。撹拌速度を150〜250rpmに維持することにより、上記溶液をカルボポール溶液にゆっくり加えた。得られた溶液を55〜60℃に加熱した(A相)。
3.別の容器にカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、ジメチコン、セトステアリルアルコール、ステアレス−2及びステアレス−21を添加し、SMP−020を脂質相に分散させた。150〜200rpmで撹拌を維持しながら最終混合物を60〜65℃で加熱した(B相)。
4.撹拌速度を55〜60℃で250〜450rpmに維持することによってB相をA相にゆっくり添加して、均質な混合物を得た。
5.得られた溶液を40℃に到達させ、続いて保存料(ベンジルアルコール)及び酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)の両方を加えた。
6.最後に10%トリエタノールアミンを添加して最終pH5.5〜6.5を得た。得られた溶液を室温に冷却し、250〜450rpmでさらに30分〜1時間撹拌して、最終的に均質なクリーム製剤を得た。
【0359】
SMP−020を用いてF18及びF19製剤を調製するために表6に記載の他の成分を用いて同様の実験手順を続けた。
【0360】
実施例29
局所用抗菌性ヒドロゲル又は創傷被覆材に基づく組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌製剤は、創傷又は手術部位感染を含む用途のために処方された。
【0361】
【表7】
【0362】
調製方法(F20):
1.水溶性SMP分子(SMP−007)を水に溶解して(17.5%w/v)を得た。難水溶性SMP分子(SMP−037)をDMSOに溶解してストック濃度(17.5%w/v)を得た。
2.17.5%w/vのPVA/PVA酸(28%)の溶液を、その溶液を90℃に加熱することによって10mlの水中の1.75gのPVA/PVA酸(28%)を脱溶媒することによって前処理した。
3.ストック溶液からの異なる量のSMP分子(17.5%w/v)をヒドロゲルを形成することが知られている固定比のスペルミジン/ノルスペルミジン対PVA/PVA酸溶液に順次添加した。得られた混合物を5分間超音波処理し、そして3〜4日後に3〜6回の連続凍結/融解サイクルに通してSMP負荷ヒドロゲルを得た。
【0363】
表7のF21〜F26に記載されるように、疎水性又は親水性SMP分子のいずれかの装填を容易にする種々のポリマーマトリックスと共にヒドロゲルを形成するために異なる外部刺激を使用して最終ヒドロゲル配合物を得た。
【0364】
本開示のスキーム22〜24と同様に、ビニル置換又はメタクリレート又はアクリレート置換スペルミジン、ノルスペルミジン、スペルミン、ジエタノールアミン及び他の多くの誘導体化分子又は官能化SMPモノマー分子のような異なる反応性モノマー足場は、アクリレート又は他の反応性官能化ポリマー骨格、例えば、デキストラン、アルブミン、(ヒドロキシエチル)デンプン、ポリアスパルトアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリル酸)pHEMA、PVA、ポリアクリル酸、PEG、PEG−PLA、ポリ(D、L−乳酸)、ポリグリコール酸、PLGA、ヒアルロン酸等と反応し、適切なラジカル発生剤の存在下でラジカル重合により架橋ゲル/ヒドロゲルを形成する。ラジカルは、ラジカル開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチロニトリル)を使用することによって、又は単独でUV光の曝露後に、又は(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)のような適切な光開始剤の存在下で、又はペルオキシ硫酸とN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミド(TEMED)で構成される光開始剤の存在下で、反応媒体中でその場でラジカルを発生させた。有効なSMP分子SMP−047、SMP−020、SMP−37、SMP−007、SMP−010、SMP−042、SMP−034、SMP−036及び他のものは、異なるポリマーマトリックス又はポリマー誘導体、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、PVA酸、ポリ−L−乳酸(PLA)、PEG−PLA共重合体、ヒアルロン酸、デンプン−ペクチン、アルギン酸ナトリウム、デキストラン、β−シクロデキストリン、キトサンと組み合わせたデキストランを単独又はそれらの組み合わせに負荷し、室温及びpH7での生分解性及び生体適合性のゲル又はヒドロゲルを形成した。これらの抗菌ポリマー系は、グラム陽性及びグラム陰性病原体によって引き起こされる様々な種類の創傷、インプラント及び他の手術部位関連感染症の治療のために異なる局所剤形に処方された。
【0365】
本開示のSMPモノマー分子及びポリマー分子は、最終的に、有効濃度で作用部位に活性物質を送達するために、異なる局所剤形に処方された。加水分解性及び非加水分解性基の存在に応じて、ポリマーは生分解性又は生体適合性又は部分生分解性形態として認識された。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリラクチド、ポリグリコリド、キトサン、ポリヒドロキソブチレート、キトサン、ヒアルロン酸ベースの結合は、加水分解性であり、生分解性として認められている。一方、ポリウレタン、ポリウレア、ポリメタクリレートベースの足場は非生分解性であるが、それらのいくつかは生体適合性であることが見出された。そのような生体適合性抗菌ポリマーは、様々な整形外科用途に使用されている。
【0366】
実施例30
抗菌コーティング組成物
本開示の化合物を含む以下の抗菌製剤は、インプラントコーティングを含む用途のために処方された。
【0367】
【表8】
【0368】
調製方法(F27):
1.SMP−042をジメチコン、PEG−12−ジメチコン及びプロピレングリコール中に分散させた。
2.上記溶液(工程1に記載)をシリコーン系医療用流体と混合して、透明から不透明の溶液を形成した。
3.ラテックスカテーテルを室温で10分〜30分間、最終混合物(ステップ2に記載)に浸した。
4.SMP−042含有シリコーン被覆ラテックスカテーテルを25℃及び60%RHで24時間硬化させ、さらなる特徴付け、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0369】
SMP−020を有するF29製剤を調製するために表8に記載の他の成分又は可溶化剤を用いて同様の実験手順を続けた。親水性ポリマーSMP−007の場合、PVA−スペルミジン混合物を用いてSMP−007を可溶化し、続いてラテックスカテーテルを室温で10分〜30分間最終混合物に浸漬した。最後に、SMP−007含有シリコーン被覆ラテックスカテーテルを25℃、60%RHで24時間硬化させ、さらなる特性評価、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0370】
【表9】
【0371】
調製方法(F30):
1.ラテックスカテーテルを室温で10分〜30分間、20%PVA−アクリレート水溶液に浸漬した。
2.次にPVA−アクリレート被覆カテーテルをアクリレート誘導体化分子の水溶液(化合物62)に浸漬し、続いて5〜10分間UV照射した。
3.最後にPVA被覆カテーテルを25℃及び60%RHで24時間硬化させ、さらなる特徴付け、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0372】
代替として、ステップ3を行う前の最後に、PVAコーティングされたカテーテルを室温で10分〜30分間、医療用流体に最後に浸して、滑りやすい表面を得た。最後に、シリコーン−PVA被覆カテーテルを25℃及び60%RHで24時間硬化させ、さらなる特徴付け、薬物放出試験及び生物活性試験に使用した。
【0373】
実施例31
最小阻止濃度(MIC)の決定
本開示の化合物のMICは以下のように決定された。
【0374】
材料:ブレインハートインフュージョンブロス、細菌及び真菌培養物、96ウェルプレート、オートクレーブ、インキュベーター。検証研究/試験に使用された微生物株は、MTCC(Chandigarh,India)−S.aureus(MTCC−6908),E.coli(MTCC−1687);NCIM(Pune,India)−E.aerogenes(NCIM−5139);ATCC(USA):S.aureus(ATCC−43300)、S.epidermidis(ATCC−35984)、P.aeruginosa(ATCC−27853)、A.baumanii(ATCC−19606)、K.pneumoniae(ATCC−13883)、E.coli(ATCC−BAA196);CCARM(Korea)−Candida albicans(CCARM−14009)、P.aeruginosa(CCARM−2161)及びA.baumanii(CCARM−12001)から入手した。
【0375】
方法:本分子のMICは、臨床標準研究所(CLSI)のガイドラインに従って、マイクロブロス希釈法によって決定した。微生物株は、適切な培地[細菌用ブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)、及びカンジダ用サブローデキストロースブロス(SDB)]で、37℃で24時間培養した。MIC試験のために、滅菌BHI/SDブロス(100μl)を96ウェル全てに添加し、薬物を含有するブロス100μlを最初のウェル(1A〜1H)に添加し、連続(二重)希釈を最大10ウェル(96ウェルプレートのカラム1からカラム10)まで実施した。接種材料については、UV−Visual分光光度計(約1.5×10細胞/ml)で微生物培養物の濁度を600nmで0.1光学濃度(O.D.)に調整し、さらに希釈した(滅菌培地で100倍)。無菌対照ウェル(96ウェルプレートのカラム12)を除く各ウェルに希釈培養懸濁液(100μl)を加えた。96ウェルプレートの11列目を増殖対照及びビヒクル対照として使用した。プレートを37℃で24時間インキュベートした。試験化合物のMICは、視覚的細菌増殖を妨げる試験化合物の最低濃度を観察することによって決定した。MIC試験結果及び結論/推論を以下の表10〜13に提供する。
【0376】
【表10】
【0377】
結果:不飽和C−18アルキル鎖を有するSMP−047は、MRSAに対して強力な抗菌活性を有し、耐性大腸菌に対しても強力であることが見出された(表10)。末端アミノ基のアルギニン残基によるSMP−002及びSMP−047の修飾は、それぞれSMP−051及びSMP−065をもたらした。SMP−051の抗菌活性は、SMP−002と比較して、グラム陽性病原体に対して10〜20倍、グラム陰性病原体に対して100〜150倍改善されることが見出された。SMP−051及びSMP−047は両方とも、広いスペクトルの抗菌活性を有する小さな消毒剤分子であることが見出された(表10)。
【0378】
推論:試験した全てのSMP分子は良好な抗菌活性を示した。上記の結果はまた、C−12のような特定の疎水性基、又はラウリル、オレイル、リノール基のような不飽和C−18長鎖及び正味の正電荷の存在が、異なるSMP分子の抗菌活性によって見られるように所与の分子の抗菌活性に影響を及ぼすことを示唆する。結論として、S−アルキル化−NACファーマコフォア部分の存在のような異なる機能部分の全体的な空間的配向及び幾何学的配置は、所与の分子の抗菌活性に対して重要な役割を果たす。
【0379】
【表11】
【0380】
結果:SMP−002モノマーを、多数のホモポリマー及びヘテロポリマーを得るための強力なビルディングブロックとしてさらに調べた。例えば、SMP−010を得るための自己重合、又はヘテロポリマーSMP−007を得るためのヘキサメチレンビグアニジンジシアノ部分との重合のいずれかを行うために、SMP−002を利用した(表11)。SMP−007及びSMP−010は両方とも良好な抗菌活性を示した。SMP−007の場合、長いC12アルキル鎖含有NACファーマコフォアから寄与する有意な活性を確認するために、C12、C8及びモノ不飽和C18アルキル官能化ポリマーを有するSMP−043、SMP−045及びSMP−060のような他のポリビグアニジウム結合ノルスペルミジン系ヘテロポリマーをそれぞれ設計及び合成した。SMP−043、SMP−045及びSMP−060のようなこれらすべてのポリビグアニジン系ポリマーは、MRSAに対して同様の活性を示すことが見出された。SMP−043及びSMP−045の両方は、カンジダ種に対して類似の抗真菌活性を有する。多くの態様において類似しているが、SMP−043は、耐性S.エピデルミディス株に対して8倍増強された活性及び大腸菌株に対して4倍増強された活性を有するため、SMP−045よりも強力な抗菌剤である(表11)。
【0381】
推論:試験した全てのSMP分子は良好な抗菌活性を示した。特に、SMP−043及びSMP−007は最も効果的なポリビグアニジンベースの抗微生物ポリマーとして示され、異なる局所処方物は異なる薬物送達担体を用いて製造された。
【0382】
【表12】
【0383】
結果:抗菌活性を探求するために、ポリウレタン系ポリマーの別のセットを設計し合成した。ジエタノールアミン又はノルスペルミジン誘導体をモノマー単位として選択し、続いてヘキサメチレンジイソシアネートと重合させて様々なポリウレタン誘導体を得た(表12)。SMP−018を過剰のヨウ化メチルと反応させて、C−12アルキル鎖及びメチル含有四級化SMP−020分子を得た。四級化は、特に耐性病原体に対して優れた抗菌活性及び抗真菌活性を提供する。SMP−033及びSMP−035分子をヨウ化メチルと反応させることによって四級化して、それぞれSMP−034及びSMP−036を得た。C−16アルキル及びメチル四級化ポリマー足場を有するSMP−036、ならびにC−8アルキル及びメチル四級化分子を有するSMP−034の両方が、グラム陽性病原体に対して特異的であることが見出された。SMP−042は、SMP−020のようなメチル及びC−12アルキル四級化単位を有するトリブロックコポリマーであり、SMP−020のように類似の抗菌活性及び抗バイオフィルム活性を有することが見出された。四級化を除いて、長鎖(C12)アルキルアミン官能化ポリウレタン誘導体は、SMP−061及びSMP−062のように製造された。興味深いことに、SMP−062はグラム陽性病原体に対してSMP−020のような類似の抗微生物特性を有することが見出された。SMP−067は、耐性グラム陽性病原体に対して強力な活性を示すことが見出された。モノマー単位としてノルスペルミジン誘導体、ヘキサメチレンジイソシアネート、エタノールアミン及びヘキサメチレン又はジメチレンシアノポリグアニジウム誘導体を選択することによって、ポリビグアニジン及びポリウレタン系混合ポリマーの別のセットを設計及び合成した(表12)。異なるモノマー足場間のその後の重合は、SMP−037、SMP−049、SMP−059及び他の多くのもののような様々な混合ポリマーを生じる。すべてのポリマーの中で、SMP−037は、広範囲の細菌種及び真菌種に対して、特にMRSA及び耐性S.エピデルミディスに対して強力な抗菌活性を有することが見出された。ジエタノールアミン及びノルスペリミジン誘導体と無水コハク酸とを異なるモル比で反応させることによって、ポリエステル及びポリアミド系ポリマー足場の別のセットを設計及び合成した(表12、SMP−30及びSMP−049)。C−12アルキル官能化ポリエステル類似体は良好な抗菌活性を示した。
【0384】
推論:試験した全てのSMP分子は良好な抗菌活性を示した。上記の結果は、ポリマー足場における電荷及び疎水性、ならびに両方の特性の正しいバランスの重要性が、活性抗菌ポリマーを提供するために必要であることを示している。その場合、メチル及びC12−アルキル四級化ポリウレタン足場は、すべての異なる結合を有する、これまでに合成されたすべてのSMP分子の中で最も強力な抗菌、抗真菌及び抗バイオフィルム活性をもたらした。さらに、一価不飽和C−18アルキル鎖は、グラム陽性菌膜と選択的相互作用を示した。とりわけ、ポリウレタン、ポリウレア及び混合ポリウレタン−ポリビグアニジンベースの足場SMP−020、SMP−042、SMP−037及びSMP−062が、異なる薬物送達担体を使用することによる局所製剤のための活性APIとして選択された。上記の結果は、最適な抗菌活性を得るためのポリマー足場における電荷及び疎水性バランスの重要性をさらに裏付けるものである。
【0385】
【表13】
【0386】
結果:本開示の化合物のいくつかの活性は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、K.pneumoniaeなどのグラム陰性病原体に対して試験した(表14)。ポリウレタンベースのポリマーであるSMP−020は、感受性及び耐性の両方のグラム陰性病原体に対して最も有効な分子であり、市販の消毒剤PHMBのように挙動することが見出された。SMP−037、SMP−007及び単量体類似体、SMP−051のようなポリマーもまた、グラム陰性病原体に対して非常に有効であることが見出され、広域スペクトル消毒剤として認識することができる。
【0387】
推論:SMP−007は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、及びK.pneumoniaeなどの他のグラム陰性病原体に対して、約4〜20μg/mlの優れた抗菌活性を有することが見出された。SMP−020は、P.aeruginosa、A.baumannii、E.aerogenes、K.pneumoniae及び他のもののような他のグラム陰性病原体に対してさえも強力な抗菌活性を有することが見出された。
【0388】
上記の結果は、一価不飽和C−18アルキル鎖がグラム陽性菌膜と選択的に相互作用するのに対して、強いカチオン電荷ならびに電荷と疎水性の適切なバランスがグラム陰性菌膜との強い相互作用をもたらすことを示唆する。上記の構造機能活性の結果は、モノマー分子又はポリマー分子の骨格の周りの活性官能基の疎水性、正味電荷及び配向が、異なる細菌膜とのそれらの相互作用の決定に向けて重要な役割を果たすことを示唆する。上記の結果はまた、いくつかの分子がグラム陽性菌膜との相互作用に対して特異的であり、グラム陰性病原体に対して強力であることが見出されたものは非常に少ないことを示している。この事実は、グラム陽性病原体と陰性病原体について異なる膜形態が存在するために容易に正当化することができる。全ての異なるSMP分子についての上記生物活性の結果は、活性官能基の適切な3D形状/配向と共にハード若しくは特定の薬理作用部分又はそれらの組み合わせのいずれかの存在がグラム陰性膜を破壊するために不可欠であり、一方、分子の特定の配向と共にC12若しくはC18(一価不飽和)アルキル鎖又はソフト電荷又はそれらの組み合わせのようなものは、グラム陽性膜との相互作用を制御するために必要な因子であることを結論付ける。
【0389】
実施例31
S.epidermidisバイオフィルム破壊アッセイ
本開示の化合物をS.epidermidisに対するそれらのバイオフィルム破壊活性について以下のように試験した。
【0390】
材料:ブレインハートインフュージョンブロス、S.epidermidis ATCC35984、96ウェルプレート、オートクレーブ、インキュベーター、0.05%MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)試薬、マルチウェルプレートリーダー。
【0391】
方法:S.epidermidis ATCC35984をブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)中で37℃にて24時間増殖させた。白金耳量の細菌培養物を滅菌水に懸濁し、UV−Visual分光光度計(約1.5×10)で600nmにて0.1ODに濁度を調整し、さらに(滅菌BHIブロスで100倍に)希釈し、100μLの培養懸濁液を96ウェルプレートに加え、バイオフィルム形成のためにプレートを37℃で48時間インキュベートした。バイオフィルムを滅菌水で2回洗浄して浮遊細胞を除去した。次いで、バイオフィルムを様々な濃度の本開示の化合物を懸濁した100μLのBHIブロスで処理し、プレートをさらに37℃で24時間インキュベートした。最小バイオフィルム破壊濃度(MBDC)は、MTT試薬でインキュベートしたプレートを用いて37℃で2時間バイオフィルムを染色することによって決定した。沈殿物を100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、吸光度をマルチウェルプレートリーダーで600nmにて測定した。最小バイオフィルム破壊濃度は、48時間増殖対照で処理した薬物のMTT OD値を差し引くことによって計算した。活性結果を表14に提供する。
【0392】
【表14】
【0393】
結果:NAC(N−アセチルシステイン)基はC12長鎖結果(SMP−001)で官能化され、S.epiermidis(ATCC 35984)によって効果的に開発されたバイオフィルムを破壊することが見出された。興味深いことに、SMP−002(式Ia)は、SMP−001のように抗バイオフィルム活性を維持することが見出された。SMP−020、SMP−042、SMP−034、及びSMP−036(式Ib)は、それらの疎水性の違いにもかかわらず、低い薬物濃度(0.125mg/ml)でS.epidermidisによって形成されたバイオフィルムを破壊することが見出された。ポリビグアニジン官能基に属するSMP−007、SMP−043、SMP−045のような特定の分子のいくつかはまた、S.epiermidisバイオフィルムに対して強力な活性を有することが見出された。ポリビグアニジンとポリウレタンの混合足場に属するSMP−037もまた、優れた抗バイオフィルム活性を有することが見出された。
【0394】
推論:構造活性相関は、NACに付加された四級化電荷及び長いC−12アルキル鎖が、S.epidermidisによって形成されたバイオフィルムを破壊することに対して有意な影響を有すると結論付けた。
【0395】
実施例32
E.coliバイオフィルム破壊アッセイ
以下のように、本開示の化合物をそれらの大腸菌に対するバイオフィルム破壊活性について試験した。
【0396】
材料:ブレインハートインフュージョンブロス+1%グルコース、大腸菌ATCC BAA196、96ウェルプレート、オートクレーブ、インキュベーター、MTT、マルチウェルプレートリーダー。
【0397】
方法:大腸菌ATCC BAA196をブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)中で37℃にて24時間増殖させた。白金耳量の細菌培養物を滅菌水に懸濁し、UV−Visual分光光度計(約1.5×10)で600nmにて0.1ODに濁度を下げ、さらに(滅菌BHIブロス+1%グルコースを用いて100倍で)希釈し、100μLの培養物の懸濁液を96ウェルプレートに添加し、バイオフィルム形成のためにプレートを37℃で24時間インキュベートした。バイオフィルムを滅菌水で2回洗浄して浮遊細胞を除去した。次いで、バイオフィルムを様々な濃度の本開示の化合物を懸濁させた100μLのBHIブロス+1%グルコースで処理し、プレートをさらに37℃で24時間インキュベートした。最小バイオフィルム破壊濃度(MBDC)は、バイオフィルムをMTT試薬でインキュベートしたプレートを用いて37℃で2時間染色することによって決定し、沈殿物を100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、マルチウェルプレートリーダーで吸光度を600nmで測定した。最小バイオフィルム破壊濃度は、24時間増殖制御で処理した薬物のMTT OD値を差し引くことによって計算した。活性結果を表15に提供する。
【0398】
【表15】
【0399】
結果:試験した全ての化合物は大腸菌バイオフィルムの破壊を示し、その中でSMP−051が最良であり、SMP−001及びSMP−020がそれに続いた。
【0400】
推論:結果は、アルギニンベース及び四級化ベースのポリマーがグラム陰性バイオフィルムを破壊するより良い能力を有することを示唆している。
【0401】
実施例33
細胞毒性アッセイ
本開示の化合物の細胞毒性をHaCat細胞において試験した。
【0402】
材料:RPMI1640培地、96ウェルプレート、ウシ胎児血清、COインキュベーター、倒立顕微鏡、ウォーターバス、HaCat細胞株。
【0403】
方法:MTTアッセイは、Alleyら、1988に記載されているように、いくつかの修正を加えて行った。アッセイにおけるDMSOの最終濃度が<5%であるように、DMSO中の本開示の化合物の異なる希釈物をMTTアッセイに使用した。RPMI 1640培地中で調製した細胞懸濁液は、試験薬を含まずに5%ウシ胎児血清(200μlの容量)を96ウェルプレートに播種し(ウェル当たり20,000細胞)、約12時間増殖させた。次いで、試験化合物の適切な容積の作業ストック溶液をウェルに添加して、最終濃度25、50、100、200及び400μg/mlを3連で達成した。参照阻害剤カンプトテシンを最終濃度50μMを達成するように添加した。細胞を5%CO雰囲気中37℃で48時間インキュベートした。インキュベーション期間後、プレートをインキュベーターから取り出し、使用済み培地を除去し、続いてMTT試薬を最終濃度0.5mg/mlになるように添加した。3時間インキュベートした後、MTTを除去し、100μlのDMSOを添加し、ELISAリーダーで570nmで吸光度を測定した。アッセイ対照は、(a)培地対照(細胞を含まない培地)、(b)陰性対照(細胞を含む培地であるが、実験化合物を含まない)、(iii)陽性対照(細胞を含み、50μMカンプトテシンを含む培地)であった。実験は3重にして行い、データを細胞の生存率としてパーセントでプロットした。結果を表16に提供する。
【0404】
【表16】
【0405】
結果:本開示のいくつかの有効な広域スペクトル化合物の毒性アッセイをHaCaT細胞株に対して行った(表16)。モノマー類似体(式Ia)の中で、SMP−047は市販のPHMB及びクロロヘキシジン分子と比較してより良好な安全性プロフィールを有することが見出された。ポリマー分子(式I、式Ib、式Ic)の中で、SMP−020、SMP−042及びSMP−062のようなポリウレタン系分子の大部分は、良好な安全性プロフィールを有し、PHMBと同等又はそれ以上に良好であることがわかった。さらに、SMP−007、SMP−060及びSMP−037のようなポリビグアニジン及び混合ポリウレタン−ポリビグアニジン足場のいくつかは、参照標準PHMBに関して良好な安全性プロフィールを有することが見出された。
【0406】
推論:上記のデータは、SMP化合物がそれらのMICよりもはるかに高い濃度でヒト細胞株により十分に許容され、それ故に抗微生物剤として使用するための良好な治療域を有することを示唆する。
【0407】
実施例34
創傷治癒特性を試験するためのスクラッチアッセイ
本開示の化合物の創傷治癒特性を試験するためにスクラッチアッセイを実施した。
【0408】
材料:NIH−3T3細胞株、ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)、6ウェルプレート、ウシ胎児血清、COインキュベーター、倒立顕微鏡、滅菌マイクロチップ。
【0409】
方法:NIH−3T3細胞を、10%FBSを添加したダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)の6ウェル組織培養プレートに播種した。細胞を37℃(5%CO)で24時間インキュベートして、単層中で70〜80%の密集度に到達させた。この段階で、滅菌マイクロピペットチップを使用して、チップの長軸をウェルの底部に対して垂直に保持することによって、ウェルの中心に沿って(直線で端から端まで)培養単層に引っ掻き傷を導入した。かくして得られたスクラッチの幅は、先端のとがった端部の外径と同等であった。スクラッチを導入した後、細胞を培地で2回穏やかに洗浄して剥離した細胞を除去し、次いでウェルに所望の濃度の試験剤を含有する新鮮培地を補充した。次いで、細胞を37℃(5%CO)で6時間インキュベートした後、全試料について均一な顕微鏡設定(対物倍率10倍)を用いて画像を取得した。培養物(全てのウェル)の顕微鏡写真を処理の6時間後に撮って、各ウェルにおいて、引っ掻き傷の状態(引っ掻き傷内の細胞の外観、引っ掻き傷の境界の完全性及び引っ掻き傷の両側の細胞の一般的健康状態)を定性的に評価した。各ウェルの引っかき傷によって生じたギャップの充填をサンプル間で比較し、未治療対照との比較に基づいて治癒に対する試験剤のあらゆる効果についての解釈を導いた。結果を図2に提供する。
【0410】
結果:本明細書で試験された全てのSMP化合物は、NIH−3T3細胞によって十分に許容され、未処理(UT)及び線維芽細胞増殖因子補充(FGF)サンプルと比較して引っ掻き治癒過程に悪影響を示さなかった。各サンプルの画定されたスクラッチ領域(垂直の長方形の箱)で観察されたように、いくつかの細胞はスクラッチの導入後、6時間以内に各サンプルのスクラッチ領域に移動した。サンプル間に目に見える違いはなかった。
【0411】
推論:インビトロでのスクラッチテストアッセイに基づくと、どの化合物も創傷治癒を妨げる可能性のある特性を示さないことが観察される。
【0412】
さらに、単量体類似体SMP−047、ポリビグアニジン類似体SMP−007、ポリウレタン類似体SMP−020及び混合ポリウレタンとポリビグアニジン類似体SMP−037のような分子のいくつかは、上記のように、インビトロMIC値、HaCaT細胞株に対する毒性値、及びグラム陽性とグラム陰性病原体に対するバイオフィルム阻害効果に基づいて局所組成物を調製するために選択された。組成物を、ヒドロゲル、ヒドロゲルフィルム、創傷被覆材、ゲル、軟膏、スプレー、溶液のような異なる局所投与形態に、又は持続的に感染部位に活性成分を送達するためのカテーテル又はインプラント表面上のコートの形態に処方した。
【0413】
上記の実施例及び結果は、抗菌用途における現在開発されている化合物の効率を示す。 SNAP技術を用いて開発された本開示の化合物の意義及びいくつかの利点は以下の通りである。
【0414】
銀を含む現在のシナリオで広く規定されているすべての防腐剤は1960年代以前に開発された。新しい広域スペクトル消毒薬の開発及び改善された医療機器の開発におけるそれらの使用について論じる最近の臨床研究/報告は多くない。本開示の技術は、改善された収率で最終化合物を得るための費用対効果の高い、合成的に実行可能な(短い工程)プロセスを含む。これらの化合物は、抗生物質耐性株を含む病原菌、真菌に対して広範囲の抗菌効果を提供する。ポリマー足場中の複数の正電荷及びバイオフィルム抑制セグメントの反復は、抗微生物作用及びバイオフィルム抑制作用の両方を改善し、したがって他の既知の消毒剤/特に耐性株に対する化合物と比較して生物有効性を改善する。さらに、この技術は、抗生物質又は他の化合物とは異なり、耐性株を開発する傾向が低い。さらに、本発明の化合物は、それらがいかなる反応性官能基も欠いているので、血液又は血清タンパク質の存在下で安定なままである。これは、従来技術のヨードフォア及び銀ベースの消毒剤配合物に関する最近の課題の1つであるインビボ状態での消毒剤の失活プロセスを防止することに注意を払う。
【0415】
本発明の化合物の高い抗微生物効力は、短期間で、低投薬量で治療効果を可能にし、これはまた毒性の副作用−現在使用されている防腐剤又は化合物において一般的な現象を最小にする。SNAP技術の独特の化学的性質はまた、それをヒドロゲル、ビーズ及びパッド、又は創傷包帯材料のような異なる送達マトリックスと適合させる。さらに、SNAP技術は、特定の濃度で包帯剤又はヒドロゲルを介して同時投与した場合に銀ナノ粒子又は銀創傷包帯剤の抗菌作用を増大させて、両方の活性物質の持続放出ならびに長期間にわたる抗菌及びバイオフィルム抑制作用の全体的改善を達成する。したがって、SNAP技術を使用して開発された本開示の化合物は、SSIに関連する耐性株に対して安全で改善された有効性を提供するだけでなく、感染部位における最適薬物濃度を維持するための独自の非浸出持続薬物放出アプローチも提供し、患者の罹患率と医療費を削減する。したがって、現在のSNAP技術は、長期的には治療の全体的な経済的負担を軽減することを約束する、さまざまな適用方法によるSSIの予防及び治療に使用するために、グラム陽性及びグラム陰性病原体の両方に対する強力なバイオフィルム抑制作用とともに優れた抗菌特性を提供するであろう、消毒空間において安全で効果的な広域スペクトル抗菌剤を開発するという未解決の必要性に部分的に対処することを目的とする。
図1
図2
【国際調査報告】