(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-528310(P2019-528310A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/258 20060101AFI20190913BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20190913BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20190913BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20190913BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20190913BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20190913BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20190913BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20190913BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20190913BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20190913BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20190913BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20190913BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20190913BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20190913BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20190913BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
A61K36/258
A61K35/744
A61K35/745
A61K35/747
A61P31/16
A61P11/00
A61P11/06
A61P11/02
A61P11/04
A61K8/9789
A61K8/99
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q11/00
A47K7/00 G
A47K10/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-527109(P2019-527109)
(86)(22)【出願日】2017年7月28日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月29日
(86)【国際出願番号】KR2017008203
(87)【国際公開番号】WO2018021889
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】10-2016-0096727
(32)【優先日】2016年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】519033937
【氏名又は名称】メタボリック エンジニアリング ラボラトリーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】METABOLIC ENGINEERING LABORATORIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】カン,フン ス
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジョン ヒ
【テーマコード(参考)】
2D135
4C083
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
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2D135DA28
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(57)【要約】
本発明は、発酵人参抽出物又は発酵紅参抽出物を有効成分として含む粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む、粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物。
【請求項2】
前記発酵人参又は発酵紅参が、乳酸菌発酵及び酵素発酵の2次発酵により製造されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記乳酸菌が、ラクトコッカス(Lactococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、リュ−コノストック(Leuconostoc)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、及びペディオコッカス(Pediococcus)からなる群から選択される少なくとも一つ以上の乳酸菌である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、リューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium brave)、及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)からなる群から選択される少なくとも一つ以上の乳酸菌である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2菌株(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3菌株(KCTC 11055 BP)である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記酵素が、ペクチナーゼ(pectinase)、セルラーゼ(cellulase)、ヘミセルラーゼ(hemicellulase)、キシラナーゼ(Xylanase)、ペクトリアーゼ(pectolyase)、ペクチンエステラーゼ(pectinesterase)、ラミナリナーゼ(laminarinase)からなる群から選択される少なくとも一つ以上の酵素である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記発酵人参又は発酵紅参が、組成物中に0.1〜50w/v%の量で含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記インフルエンザウイルスが、インフルエンザウイルスA型である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記インフルエンザウイルスA型が、H1N1、H5N1、及びH3N2からなる群から選択される少なくとも一つ以上である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記粘膜が、鼻腔粘膜、口腔粘膜、又は気道粘膜である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、スプレー、粉末、ゲル、軟膏、又は点滴剤(drop)の形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を含む、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療のための粘膜用薬剤学的組成物。
【請求項13】
前記疾患が、風邪、インフルエンザ、咳、くしゃみ、鼻水、筋肉痛、咽喉頭炎、鼻閉塞、喉頭炎、喉の痛み、かすれ声、頭痛、副鼻腔の痛み、鼻炎、咽頭炎、気管支炎、喘息、発熱、呼吸困難、全身倦怠感及び悪寒から選択される少なくとも一つ以上である、請求項12に記載の薬剤学的組成物。
【請求項14】
前記粘膜が、鼻腔粘膜、口腔粘膜、又は気道粘膜である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、スプレー、粉末、ゲル、軟膏、又は点滴剤(drop)の形態である、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2菌株(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3菌株(KCTC 11055 BP)を用いて、人参又は紅参を乳酸菌発酵するステップ;及び
ペクチナーゼ、セルラーゼ、及びヘミセルラーゼを用いて酵素発酵するステップ
を含む、請求項1に記載の発酵人参又は発酵紅参の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を含むか又はコーティングした衛生用品。
【請求項18】
前記衛生用品が、石鹸、ウェットティッシュ、トイレットペーパー、シャンプー、口腔洗浄剤、エアフレッシュナー、及び洗浄ジェルからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項17に記載の衛生用品。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物が充填された粘膜用抗インフルエンザウイルススプレー容器。
【請求項20】
前記粘膜が、鼻腔粘膜、口腔粘膜、又は気道粘膜である、請求項19に記載のスプレー容器。
【請求項21】
前記スプレー容器が、エアロゾルスプレー、プッシュ式スプレー、又は吸入器(nebulizer)である、請求項19に記載のスプレー容器。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を含む、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療のための動物用医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人参は、ウコギ科トチバニンジン属に属する多年草として地球上に約11種が知られている。人参は、これまで多くの薬理実験により、コレステロール低下、脂質過酸化抑制、血圧降下、血流増加、脳血管拡張、心臓機能亢進、抗不整脈、抗血栓、血小板凝集抑制、慢性腎不全の治療効果、細胞毒性及び癌の抑制、免疫機能調節作用、記憶力向上、脳代謝亢進、抗ストレス、抗酸化作用、抗老化作用、抗潰瘍及び胃酸分泌の抑制、作業能力亢進、放射線防護作用、抗糖尿病、解毒促進、肝細胞酵素の増加、喘息の治療、抗炎症作用、鎮痛作用、貧血の治療、生殖能力及び性機能の強化、血中アルコール濃度の低下、抗アレルギー、抗癌活性作用などがあることが知られている。
【0003】
現在、人参(又は紅参)の抗ウイルス活性については知られているが、発酵人参又は発酵紅参の抗ウイルス活性については公知されていない。
本明細書の全般に亘って多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、それを全体として本明細書に参照して挿入され、本発明が属する技術分野のレベル及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2010−0124304号
【特許文献2】韓国公開特許第10−2009−0037595号
【特許文献3】韓国公開特許第10−2014−0030360号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Genseng Res 38(2014)40-46
【非特許文献2】J. Ginseng Res 38(2014)226
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記組成物を含む、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療のための粘膜用薬剤学的組成物を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、前記組成物を含むか又はコーティングした衛生用品を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記組成物が充填された、粘膜用抗インフルエンザウイルススプレー容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための一様態として、本発明は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物を提供する。
本発明において「人参」は、紅参を作るための処理をしていない人参をいう。前記人参は、公知の様々な人参を用いることができ、例えば、高麗人参(Panax ginseng)、花旗参(P. quinquefolius)、田七人参(P. notoginseng)、竹節人参(P. japonicus)、三葉人参(P. trifolium)、ヒマラヤ人参(P. pseudoginseng)、ベトナム人参(P. vietnamensis)があるが、これに限定されない。好ましくは、本発明の人参は、高麗人参又は田七人参である。
【0009】
また、本発明において「紅参」は、人参を精選して皮を剥かずに蒸して乾燥させた淡黄色又は淡赤褐色の人参をいう。
本発明の発酵人参又は発酵紅参の原料となる人参又は紅参は、自然採取したもの又は栽培したものを用いるか、又は、市販のものを用いてもよいが、これらに限定されない。
【0010】
また、前記発酵人参又は発酵紅参の原料となる人参又は紅参は、生薬だけでなく、粉末、抽出液、抽出液粉末、濃縮液、又は濃縮液粉末などの加工品を用いてもよい。
本発明の粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物は、前記人参及び紅参を発酵させた発酵人参及び発酵紅参を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明において「発酵人参」は、人参を発酵して得られた物質を制限なく含み、「発酵紅参」は、紅参を発酵して得られた物質を制限なく含む。
本発明の前記発酵は、好ましくは、乳酸菌発酵及び酵素発酵の2次発酵工程により行われる。
したがって本発明の発酵人参又は発酵紅参は、好ましくは、それぞれ人参又は紅参を乳酸菌発酵及び酵素発酵する2次発酵工程により製造することができる。
【0012】
前記乳酸菌発酵及び酵素発酵は、同時に又は順次に行ってもよく、好ましくは、前記発酵は、乳酸菌発酵の後に酵素発酵を行う。
本発明の乳酸菌発酵に用いられる乳酸菌は、当業界に公知された様々な乳酸菌を含み、例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、リュ−コノストック(Leuconostoc)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)及びペディオコッカス(Pediococcus)からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0013】
好ましくは、本発明の乳酸菌発酵に用いられる乳酸菌は、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、リューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium brave)及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0014】
より好ましくは、本発明の乳酸菌発酵に用いられる乳酸菌は、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2菌株(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3菌株(KCTC 11055 BP)からなる群から選択されるものであり、最も好ましくは、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2菌株(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3菌株(KCTC 11055 BP)の組合せである。
【0015】
発酵に用いられる乳酸菌は、天然培地で液体培養した生菌を接種するか、又は凍結乾燥した乳酸菌粉末など、粉末化された菌株を用いてもよい。
乳酸菌の接種は、これに限定されないが、人参又は紅参の抽出液に直接行ってもよく、もしくは、人参又は紅参の根の切片又は粉末が浸漬された水に行ってもよい。
【0016】
前記発酵人参又は発酵紅参の乳酸菌発酵は、適正の温度及び時間で行う。好ましくは、25〜45℃、27〜45℃、29〜45℃、31〜45℃、33〜45℃、33〜43℃、又は33〜40℃の温度で行うことができる。また、好ましくは、1〜20日間、4〜20日間、4〜18日間、4〜16日間、4〜14日間、6〜14日間、8〜14日間、又は10〜14日間行うことができる。より好ましくは、33〜40℃の温度で10〜14日間行うことができる。
【0017】
本発明の具体的な一実施例において、人参又は紅参の粉末が浸漬された水に、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2菌株(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3菌株(KCTC 11055 BP)を、約0.5〜2重量%接種した後、25〜45℃で1〜20日間乳酸菌発酵を行った。
本発明の酵素発酵に用いられる酵素は、これに限定されないが、ペクチナーゼ(pectinase)、セルラーゼ(cellulase)、ヘミセルラーゼ(hemicellulase)、キシラナーゼ(Xylanase)、ペクトリアーゼ(pectolyase)、ペクチンエステラーゼ(pectinesterase)及びラミナリナーゼ(laminarinase)からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
好ましくは、前記発酵は、ペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼからなる群から選択される少なくとも一つであり、より好ましくは、ペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼの混合物であってもよい。
【0018】
具体的には、本発明は、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2菌株(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3菌株(KCTC 11055 BP)を用いて、人参又は紅参を乳酸菌発酵するステップ;及びペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼを用いて、酵素発酵するステップを含む、発酵人参又は発酵紅参の製造方法を提供する。
前記酵素発酵は、適性の温度及び時間で行う。好ましくは、40〜60℃、42〜60℃、44〜60℃、46〜60℃、46〜58℃、46〜56℃、又は47〜53℃の温度で行うことができる。また、好ましくは、10〜90時間、15〜90時間、20〜90時間、30〜90時間、40〜90時間、50〜90時間、60〜90時間、60〜85時間、60〜80時間、又は60〜75時間行うことができる。より好ましくは、47〜53℃の温度で60〜75時間行うことができる。
【0019】
好ましくは、本発明の発酵人参又は発酵紅参は、前記乳酸菌発酵及び酵素発酵の後、抽出工程により抽出物の形態で製造してもよい。
具体的には、本発明に係る乳酸菌発酵及び酵素発酵が完了した発酵人参又は発酵紅参を、水、アルコール又はこれらの混合溶媒で抽出し、ろ過して、抽出物を製造してもよい。前記抽出溶媒は、水、C1−4アルコール、又は、水とC1−4アルコールとの混合溶媒を用いてもよく、C1−4アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、及びイソプロパノールなどを用いてもよい。
好ましくは、発酵過程が完了した発酵人参又は発酵紅参をエタノールで抽出し、発酵人参エタノール抽出物又は発酵紅参エタノール抽出物を製造することができる。
【0020】
また、前記抽出物は、さらに噴霧乾燥して抽出物粉末を製造するか、又は抽出した後ろ過し、ろ液を濃縮して濃縮物を製造してもよく、前記濃縮物を再度噴霧乾燥して濃縮物粉末を製造してもよい。
したがって本発明の発酵人参は、人参生薬又はその粉末、抽出物、抽出物粉末、濃縮物、又は濃縮物粉末を、本発明に係る発酵、好ましくは、乳酸菌発酵及び酵素発酵して得られた発酵物そのもの、その抽出物、抽出物粉末、濃縮物、又は濃縮物粉末を制限なく含み、本発明の発酵紅参は、紅参生薬又はその粉末、抽出物、抽出物粉末、濃縮物、又は濃縮物粉末を、本発明に係る発酵、好ましくは、乳酸菌発酵及び酵素発酵して得られた発酵物そのもの、その抽出物、抽出物粉末、濃縮物、又は濃縮物粉末を制限なく含む。
好ましくは、本発明の前記発酵人参又は発酵紅参は、組成物中に0.1〜50w/v%の量で含まれる。
【0021】
本発明の前記乳酸菌発酵及び酵素発酵の2次発酵工程は、人参と紅参に含まれているジンセノサイドを生物変換(bioconversion)させる過程である。
具体的に、人参又は紅参からはジンセノサイドF1、ジンセノサイドF2、ジンセノサイドRh2、PPT(protopanaxatriol)、コンパウンドK(compound K)又はPPD(protopanaxadiol)といったジンセノサイドが検出されないが、驚くべきことに、人参又は紅参を乳酸菌発酵及び酵素発酵すると、前記ジンセノサイドF1、ジンセノサイドF2、ジンセノサイドRh2、PPT(protopanaxatriol)、コンパウンドK(compound K)及びPPD(protopanaxadiol)からなる群から選択される少なくとも一つのジンセノサイドが生成される。
具体的な実験例において、本発明に係る乳酸菌発酵及び酵素発酵を行った発酵紅参のジンセノサイド成分を分析した結果、ジンセノサイドF1、ジンセノサイドF2、ジンセノサイドRh2、PPT(protopanaxatriol)、コンパウンドK(compound K)及びPPD(protopanaxadiol)が検出されることが確認できた。
【0022】
本発明において、前記発酵人参又は発酵紅参は、0.05〜0.50mg/gのジンセノサイドF1を含む。好ましくは、0.10〜0.50mg/g、0.15〜0.50mg/g、0.20〜0.50mg/g、0.20〜0.45mg/g、0.20〜0.40mg/g、0.20〜0.35mg/g、又は0.20〜0.30mg/gのジンセノサイドF1を含んでもよい。
本発明において、前記発酵人参又は発酵紅参は、0.20〜0.80mg/gのジンセノサイドF2を含む。好ましくは、0.25〜0.80mg/g、0.30〜0.80mg/g、0.35〜0.80mg/g、0.40〜0.80mg/g、0.45〜0.80mg/g、0.45〜0.75mg/g、0.45〜0.70mg/g、又は0.45〜0.65mg/gのジンセノサイドF2を含んでもよい。
【0023】
また、本発明の前記発酵人参又は発酵紅参は、0.10〜1.10mg/gのPPTを含む。好ましくは、0.20〜1.10mg/g、0.30〜1.10mg/g、0.40〜1.10mg/g、0.50〜1.10mg/g、0.60〜1.10mg/g、0.70〜1.10mg/g、0.70〜1.05mg/g、0.70〜1.00mg/g、又は0.70〜0.95mg/gのPPTを含んでもよい。
また、本発明の前記発酵人参又は発酵紅参は、1.00〜8.00mg/gのコンパウンドKを含む。好ましくは、1.50〜8.00mg/g、2.00〜8.00mg/g、3.00〜8.00mg/g、3.00〜7.00mg/g、3.00〜6.00mg/g、又は3.00〜5.00mg/gのコンパウンドKを含んでもよい。
【0024】
また、本発明の前記発酵人参又は発酵紅参は、0.10〜3.00mg/gのジンセノサイドRh2を含む。好ましくは、0.30〜3.00mg/g、0.60〜3.00mg/g、0.90〜3.00mg/g、1.20〜2.70mg/g、1.20〜2.40mg/g、1.20〜2.10mg/g、又は1.20〜1.80mg/gのジンセノサイドRh2を含んでもよい。
また、本発明の前記発酵人参又は発酵紅参は、0.20〜5.00mg/gのPPDを含む。好ましくは、0.50〜5.00mg/g、0.80〜5.00mg/g、1.20〜5.00mg/g、1.50〜5.00mg/g、1.80〜5.00mg/g、1.80〜4.70mg/g、1.80〜4.40mg/g、1.80〜4.10mg/g、1.80〜3.80mg/g、1.80〜3.50mg/g、1.80〜3.20mg/g、又は1.80〜2.90mg/gのPPDを含んでもよい。
【0025】
本発明の発酵人参又は発酵紅参は、インフルエンザウイルスに対して抗ウイルス活性を有する。
具体的に、本発明の発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む組成物は、インフルエンザウイルス感染による(i)体重減少を緩和させ;(ii)肺内ウイルスの複製を抑制し;(iii)炎症性サイトカインの生成を減少させ;(iv)肺組織病理の誘導を抑制する、抗インフルエンザウイルス活性を示す。
本発明の発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む組成物の抗ウイルス効果を適用し得るインフルエンザウイルスは、哺乳動物(mammals)又は鳥類(birds)であり、例えば、鳥、人、犬、馬、豚、猫などを感染させることのできるインフルエンザウイルスを含む。
好ましくは、前記インフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルスA型である。
より好ましくは、前記インフルエンザウイルスA型は、H1N1、H5N1、及びH3N2からなる群から選択されるインフルエンザウイルスA型であってもよい。
【0026】
本発明の抗インフルエンザウイルス組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
また、前記プロポリスは、これに限定されるものではないが、例えば、0.1〜20w/v%の量で含んでもよい。
本発明の発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む抗インフルエンザウイルス組成物は、粘膜用であることを特徴とする。
【0027】
本発明において、前記「粘膜用」とは、粘膜への薬物伝達、即ち粘膜投与を意味し、薬物を粘膜に接触、付着、分散、又は透過させることにより伝達することを含む。
好ましくは、前記粘膜は、鼻腔粘膜、口腔粘膜、又は気道粘膜であってもよく、具体的には、鼻腔内粘膜、口腔内粘膜、上気道粘膜、下気道粘膜を全て含む。
【0028】
本発明の組成物は、粘膜に投与されることで、ウイルスが侵入する経路に直接作用し、即効性が期待できる利点があるほか、経口投与に比べて、より優れた抗インフルエンザウイルス効果を奏する。
本発明の前記粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物は、スプレー(噴霧)、粉末、ゲル、軟膏、又は点滴剤(drop)の形態で提供することができ、好ましくは、スプレー(噴霧)の形態であってもよい。
【0029】
本発明は、別の一様態として、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む抗インフルエンザウイルス組成物を含む、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療のための粘膜用薬剤学的組成物を提供する。
また、前記薬剤学的組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
前記発酵人参、発酵紅参、インフルエンザウイルス、粘膜、及びプロポリスは、前述した通りである。
【0030】
前記インフルエンザウイルスによる疾患は、例えば、風邪、インフルエンザ、咳、くしゃみ、鼻水、筋肉痛、咽喉頭炎、鼻閉塞、喉頭炎、喉の痛み、かすれ声、頭痛、副鼻腔の痛み、鼻炎、咽頭炎、気管支炎、喘息、発熱、呼吸困難、全身倦怠感及び悪寒から選択される少なくとも一つであってもよいが、これに限定されない。
本発明の前記薬剤学的組成物は、スプレー、粉末、ゲル、軟膏、又は点滴剤(drop)の形態で提供することができ、好ましくは、スプレーの形態であってもよい。
【0031】
本発明の薬剤学的組成物は、発酵人参又は発酵紅参、プロポリスのほか、さらに薬剤学的に許容可能な担体を含んでもよい。前記担体としては、通常、粘膜投与用製剤の製造に用いられる担体を用いてもよく、具体的には、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセリン、等張水性緩衝液、及びこれらの組み合わせが挙げられる。また、前記担体の他にも粘度調整剤、保存料、等張化剤、pH調整剤、乳化剤、不活化剤、甘味料、香料、酸性化剤などを適宜配合してもよい。
前記粘度調整剤は、例えば、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、アルギニン酸ナトリウム塩、及びCMCナトリウムから選択されるものを用いてもよい。
【0032】
また、前記乳化剤は、ポリソルベート、グリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、又はモノグリセリドを用いてもよい。
また、前記保存料は、安息香酸ナトリウム、p−メチル安息香酸、p−エチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムを用いてもよく、天然防腐剤である黄金花抽出物を用いてもよい。
【0033】
また、前記甘味料は、D−ソルビトール、D−マンニトール、キシリトールなどの糖アルコールや、砂糖、グルコース、マルトース、フルクトース などの一般的な甘味料、ステビオサイド、酵素処理ステビア、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム、サッカリンなどの高甘味度甘味料、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類を用いてもよい。
また、前記香料は、天然香料(ハーブ香料、ミント香料、ストロベリー香料、バニラ香料、蜂蜜香料など)又は一般的に食品に使用できる合成香料を用いてもよい。
また、前記酸性化剤は、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、果汁、酒石酸、ギ酸、天然抽出液などを用いてもよい。
【0034】
また、他の一様態として、本発明は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む抗インフルエンザウイルス組成物を含むか又はコーティングした衛生用品を提供する。前記抗インフルエンザウイルス組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
前記発酵人参、発酵紅参、インフルエンザウイルス、及びプロポリスは、前述した通りである。
本発明の衛生用品は、これに限定されるものではないが、石鹸、ウェットティッシュ、トイレットペーパー、シャンプー、口腔洗浄剤、エアフレッシュナー、及び洗浄ジェルからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0035】
また、他の一様態として、本発明は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む粘膜用抗インフルエンザウイルス組成物が充填された、粘膜用抗インフルエンザウイルススプレー容器を提供する。前記抗インフルエンザウイルス組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
前記発酵人参、発酵紅参、粘膜、インフルエンザウイルス、及びプロポリスは、前述した通りである。
【0036】
本発明のスプレー容器は、本発明の発酵人参又は発酵紅参を含む組成物を吸い上げ、適用対象の粘膜、例えば、鼻腔、口腔、又は気道粘膜に、エアロゾル又はミスト状に噴霧することができる。
前記スプレー容器は、好ましくは、エアロゾルスプレー、プッシュ式スプレー、又は吸入器(nebulizer)であってもよいが、これに限定されない。
【0037】
前記エアロゾルスプレーは、例えば
図8に示すような装置により提供することができる。具体的に、
図8のエアロゾルスプレーは、発酵人参又は発酵紅参を含む組成物が充填される空間を提供する容器と、前記容器に設けられ、内部に充填された組成物を噴霧するようにプッシュ式で操作される操作ボタンと、圧縮保存された組成物を空気中にスプレー噴射する噴射ノズルと、を含む。前記操作ボタンを押すと、圧縮保存された組成物が、内部の圧力によって発泡ガスとともに空気中に噴射される。
【0038】
このとき、前記発泡ガスは、前記組成物を空気中に噴射させるための推進剤の役割をするだけでなく、前記スプレー用組成物に気孔を形成させる発泡剤としての役割も果たす。これらの発泡ガスとしては、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、ブタンガス、イソブタンガス、プロパンガスジメチルエーテル(dimethyl ether;DME)が混合された混合ガスのうち選択された少なくとも1種のガスを用いてもよい。本発明の発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む組成物は、前記発泡ガスによりスプレー容器内に圧縮充填することができる。
【0039】
また、前記プッシュ式スプレーは、例えば
図9に示すような口腔用スプレー装置により提供することができる。具体的に、
図9は、発酵人参又は発酵紅参を含む組成物が充填される空間を提供する容器と、前記容器に設けられ、内部に充填された組成物を噴霧するようにプッシュ式で操作される操作ボタン、及び前記組成物を空気中にスプレー噴射する噴射ノズルを含む。
【0040】
また、前記プッシュ式スプレーは、例えば
図10に示すような鼻腔用スプレー装置により提供することができる。具体的に、
図10は、発酵人参又は発酵紅参を含む組成物が充填される空間を提供する容器と、前記容器に設けられ、内部に充填された組成物を噴霧するようにプッシュ式で操作される操作ボタン、及び前記組成物を空気中にスプレー噴射する噴射ノズルを含む。
【0041】
前記スプレー容器は、使用者の嗜好などを考慮して、さらに天然抽出物を含んでもよい。前記天然抽出物は、キキョウ抽出物又はペパーミント抽出物であってもよいが、これらに限定されず、発酵人参又は発酵紅参の、インフルエンザウイルスによる疾患の予防及び治療効果に影響を与えない通常の天然抽出物であってもよい。
また、他の一様態として、本発明は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む薬剤学的組成物を粘膜投与するステップを含む、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0042】
また、前記薬剤学的組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
前記発酵人参、発酵紅参、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスによる疾患、粘膜投与、及びプロポリスは、前述した通りである。
本発明の組成物の適切な投与量は、製剤化方法、患者の年齢、体重、性、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により多様に処方することができる。例えば、本発明の組成物の投与は、好ましくは、1日あたり0.001〜200mg/kgを2〜20回にわたって投与することができる。
【0043】
また、他の一様態として、本発明は、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療のための薬剤の製造において、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む粘膜用薬剤学的組成物の用途を提供する。
また、前記薬剤学的組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
前記発酵人参、発酵紅参、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスによる疾患、粘膜投与、及びプロポリスは、前述した通りである。
【0044】
また、他の一様態として、本発明は、発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む抗インフルエンザウイルス組成物を含む、インフルエンザウイルスによる疾患の予防又は治療のための動物用医薬品を提供する。
また、前記薬剤学的組成物は、さらにプロポリスを含んでもよい。
前記発酵人参、発酵紅参、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスによる疾患、粘膜投与、及びプロポリスは、前述した通りである。
【発明の効果】
【0045】
本発明の発酵人参又は発酵紅参を有効成分として含む組成物は、インフルエンザウイルスの感染による体重減少を緩和し、肺内ウイルスの複製を抑制し、炎症性サイトカインの生成を減少させ、そして肺組織病理の誘導を抑制することにより、抗インフルエンザウイルス剤として有効に活用することができる。さらに、前記組成物は、粘膜、例えば鼻腔粘膜、口腔粘膜、又は気道粘膜に投与され、経口投与に比べて、より速く優れた抗インフルエンザウイルス活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、マウス感染モデル(CD4 C57BL/6)において、H5N1インフルエンザウイルスに対する発酵紅参試料A及びBの抗ウイルス効果を示す。発酵紅参試料A(又はB)250μgの1w/v%水溶液とH5N1インフルエンザウイルスを混合して投与したマウス群(n=5)の体重変化を示す。「非発酵紅参サンプル」は、発酵していない紅参抽出物(500μg、1w/v%水溶液)及びH5N1インフルエンザウイルスを混合して投与した対照群を意味する。
【
図2】
図2は、発酵紅参試料AのH5N1及びH3N2インフルエンザウイルスに対する高い抗ウイルス活性を示す。インフルエンザウイルス(H5N1又はH3N2)及び異なる量の発酵紅参(試料A又は試料B)を混合して、マウス(n=5、CD4 C57BL/6)に投与したときのマウスの体重変化を示す。
【0047】
【
図3】
図3A及び3Bは、発酵紅参試料のH5N1インフルエンザウイルスの複製抑制効果を示す。H5N1インフルエンザウイルスと、発酵紅参試料A又はBとを混合して投与したマウス群(n=5、CD4 C57BL/6)の体重変化、及び6日目の肺のウイルス濃度を分析した結果を示す。「H5N1 単独」は、紅参試料は投与せずにウイルスのみを投与した対照群を意味する。
【
図4】
図4A〜4Cは、発酵紅参試料AのH5N1インフルエンザウイルスによる炎症性サイトカインの生成抑制効果を示す。H5N1インフルエンザウイルス及び発酵紅参試料A又はBとを混合して投与したマウス群(n=5、CD4 C57BL/6)の6日目の肺及び気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar lavage fluid;BALF)において、炎症性サイトカインを分析した結果を示す。「H5N1単独(only)」は、紅参試料は投与せずにウイルスのみを投与した対照群を意味する。
【0048】
【
図5】
図5は、発酵紅参試料AのH5N1インフルエンザウイルスによる肺組織病理の誘導抑制効果を示す。H5N1インフルエンザウイルスと、発酵紅参試料A又はBとを混合して投与したマウス群(n=5、CD4 C57BL/6)の6日目の肺を摘出し、組織病理学的分析を行った。「紅参A」及び「紅参B」は、それぞれ発酵紅参試料A及びH5N1インフルエンザウイルス、及び発酵紅参試料B及びH5N1インフルエンザウイルスを混合して投与したマウスでの結果であり、「H5N1」は、H5N1インフルエンザウイルスのみを投与した対照群であり、「非投与群」は、発酵人参及びウイルスを投与していない対照群を意味する。
【
図6】
図6A及び6Bは、発酵紅参試料Aをウイルス感染前又はウイルス感染後に処理しときの保護効果を示す。
図6aは、H5N1インフルエンザウイルスの感染前又は感染後にマウス(CD5 C57BL/6)の発酵紅参試料Aを処理したときの体重変化を示す。
図6bは、H1N1パンデミックインフルエンザウイルスに対する発酵紅参試料Aの前処理の影響を示す。
【0049】
【
図7】
図7は、免疫欠乏マウスにおける、H5N1インフルエンザウイルスに対する発酵紅参試料Aの抗ウイルス効果を示す。μMTマウスは、抗体を産生するB細胞が欠乏したマウスである。「CD4 KO 250μg」は、発酵紅参試料A250μgを1w/v%水溶液で投与したCD4欠乏マウスを意味する。
【
図8】
図8は、本発明に係る粘膜用エアロゾルスプレーの例を示す。
【
図9】
図9は、本発明に係るプッシュ式口腔用スプレーの例を示す。
【
図10】
図10は、本発明に係るプッシュ式鼻腔用スプレーの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、本発明をより理解しやすくするために提供されるものであって、実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
実施例1:発酵紅参の製造
韓国の人参農協から提供された紅参(Panax ginseng)を20〜30メッシュ(mesh)に粉砕し、発酵タンクに入れ、紅参の重量に対して20倍に相当する精製水を投入してよく混合した後、120℃、1.5気圧下で15分間高温加圧処理し、滅菌した。次いで、発酵タンクの温度を37℃に冷却してこれを保持しながら、滅菌した紅参粉末混合物に大韓民国登録特許第10−0856790号に記載のラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)M−2(KCTC 11054 BP)及びリューコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)M−3(KCTC 11055 BP)菌株を1%(v/v)接種した。接種後、発酵タンクの温度を37℃に保持しながら、一定期間(発酵紅参試料Aは12日間、Bは5日間)発酵した。
【0052】
次いで、発酵タンクを50℃に昇温し、これを保持しながら、大韓民国登録特許第10−0877489号に記載のペクチナーゼ(pectinase)、セルラーゼ(cellulase)及びヘミセルラーゼ(hemicellulase)の酵素複合体(Citrozym Cloudy, Novozyme)を5%(v/v)添加し、50℃で一定時間(発酵紅試料Aは72時間、Bは24時間)反応させた。発酵が終わった紅参粉末混合物を発酵培養タンク内で、95℃で2時間殺菌し、これを抽出機に入れ、70%酒精を5倍投入した後、70℃で8時間3回繰り返し抽出した。抽出液を10〜50マイクロフィルターでろ過し、ろ過した抽出液を60℃、600〜700mmHg減圧下で固形分含量55%に真空濃縮して、発酵紅参濃縮液(発酵紅参試料A及びB)を製造した。
【0053】
実施例2−1〜2−9:発酵紅参スプレー剤形のための液状組成物の製造
下記表1に記載の含量で、実施例1で製造した発酵紅参試料A、プロポリス、精製水を秤量した後、これを予め用意した調製タンクに投入し、20〜60分間撹拌して、粘膜用スプレー剤形のための均質な液状組成物を製造した。
【表1】
【0054】
実施例3−1〜3−9:発酵紅参を含むエアロゾルスプレー容器の製造
実施例2−1〜2−9の液状組成物を充填できるスプレー容器、プッシュ式操作ボタン、及び噴射ノズルを含む、
図8に示すようなスプレー容器に充填し、発酵紅参を含むエアロゾルスプレー容器を製造した。
【0055】
実施例4−1〜4−9:発酵紅参を含むプッシュ式口腔用スプレー容器の製造
実施例2−1〜2−9の液状組成物を充填できる容器、プッシュ式操作ボタン、及び噴射ノズルを含む、
図9に示すようなスプレー容器に充填し、発酵紅参を含むプッシュ式口腔用スプレー容器を製造した。
【0056】
実施例5−1〜5−9:発酵紅参を含むプッシュ式鼻腔用スプレー容器の製造
実施例2−1〜2−9の液状組成物を充填できる容器、プッシュ式操作ボタン、及び噴射ノズルを含む、
図10に示すようなスプレー容器に充填し、発酵紅参を含むプッシュ式鼻腔用スプレー容器を製造した。
【0057】
実験例1:発酵紅参中のジンセノサイドの分析
真空乾燥物にメタノールを加えてろ過し、HPLC分析を行った。HPLC分析は、Waters HPLC(600 controller、717 plus Autosampler、2487 dual absorbance detector)を用いて行い、カラムは、ZORBAX Edipse XDB−C18(4.6×250mm、5micron)を用い、カラムオーブンの温度は30℃、サンプルのローディング量は、10μℓとした。移動相は、100%水と100%アセトニトリルで75分間濃度勾配して得た。流速は、1分あたり2.5mℓとし、203nmで検出した。
【0058】
その結果、表2に示すように、発酵紅参試料A及び発酵紅参試料Bは、ジンセノサイドF1、F2、PPT(protopanaxatriol)、コンパウンドK(compound K)、Rh2、及びPPD(protopanaxadiol)成分を含むことが分かった。発酵紅参試料A及びBのこれらの成分は、従来の紅参濃縮液(正官庄、大韓民国)では見られない発酵紅参の特徴的な成分である(表2)。
【表2】
【0059】
実験例2:発酵紅参の抗ウイルス活性(体重及び生存率の確認)
<ウイルスの用意及びマウス鼻腔への投与>
ウイルスは、H5N1、A/プエルトリコ/8/1934(H1N1;A/PR8)及びA/フィリピン/82(H3N2サブタイプ)を有精卵(embryonated hen's egg)を用いて公知の方法で培養した(Quan FS etal.(2007)J Virol81:3514.524;Song JM et al.(2011)Proc Natl Acad Sci U S A108:757.61;Song JM et al.(2011)PLoS One6:e14538;Kim MC et al.(2013)Mol Ther21:485.92)。
【0060】
マウスは、雌性BALB/cマウス(6週齢、Harlan Laboratories)を群ごとに5〜6匹ずつ用いた。マウスの鼻腔内に投与するために、イソフルラン(isoflurane)で麻酔し、発酵紅参試料A又はBと、H5N1、A/PR8 H1N1ウイルス(2.5 LD50)又はA/Philippines/82 H3N2ウイルス(2.5 LD50)を投与した。ウイルス感染したマウスを毎日観察し、体重と生存率を記録した。対照群には発酵していない紅参抽出物を用いた。
【0061】
その結果、
図1で確認できるように、発酵紅参試料A及びBは、rgH5N1鳥インフルエンザウイルスに対して抗ウイルス効果を示した。具体的には、低用量(250μg/マウス)の発酵紅参試料A及び試料Bを1w/v%水溶液でそれぞれのマウスの鼻腔に投与した結果、rgH5N1ウイルス及び発酵紅参試料Aを混合して投与したマウスは、体重減少を示しておらず、rgH5N1ウイルスの致死量に対して完全な抑制を示した。一方、発酵紅参試料Bを投与したマウスは、若干体重が減少したが、9日後体重を回復した。ところが、発酵していない紅参試料(non-fermented ginseng sample)を投与したマウスは、その投与量が発酵紅参試料の2倍であったにもかかわらず、酷い体重減少を示し、最終的には全て死亡した。
【0062】
また、
図2で発酵紅参試料A及びBの抗ウイルス活性を確認した。具体的には、H5N1及びH3N2を投与したマウスにおいて、発酵紅参試料A投与群(500μg又は250μg、1w/v%水溶液)は、体重減少を示しておらず、発酵紅参試料B投与群(500μg又は250μg、1w/v%水溶液)は、5〜15%の範囲で若干の体重減少を示した。一方、H5N1及びH3N2インフルエンザウイルスのみを投与したマウスは、全てひどい体重減少を示した。
【0063】
実験例3:発酵紅参の抗ウイルス活性(ウイルス濃度分析)
発酵紅参試料A及びBの抗ウイルス活性の保護効果を理解するために、H5N1ウイルス感染後6日目のマウスの肺のウイルス濃度を分析した。
肺のウイルス濃度は、MDCK細胞を用いて、公知の方法で分析した(Quan FS et al.,J Virol(2008)82:1350-1359)。インフルエンザウイルスに感染してから6日後に肺を摘出した。簡単に、MDCK細胞が単層にシードされた6ウェルプレートに肺抽出物を順次希釈して接種し、37℃で1時間感染させた。
DEAEデキストラン、非必須アミノ酸、グルタミン及びトリプシンを含む重層培地(overlay medium)を追加し、2日間又は3日間培養した。0.25%グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)で固定した後、1%クリスタルバイオレットで染色し、プラーク(plaque)を数えた。
【0064】
その結果、体重変化のパターンは、発酵紅参試料A及びBにおいて類似性を示した(
図3A)。H5N1ウイルスに感染されたマウスの肺から平均7.4×10
5PFU(particle forming units)ウイルスが検出された(
図3B)。発酵紅参試料B及びウイルスを混合して投与したマウスは、1.5×10
5PFUの有意に低いウイルス濃度を示した(
図3B)。驚くべきことに、発酵紅参試料Aを投与したマウス群は、検出限界以下の肺内ウイルス濃度を示した(
図3B)。これは、発酵紅参試料AがH5N1インフルエンザウイルスに対し、肺内のウイルス複製を完全に抑制することを意味する。
【0065】
実験例4:発酵紅参の抗ウイルス活性(サイトカイン濃度の分析)
発酵紅参試料Aの炎症性疾患に対する保護効果を理解するために、H5N1インフルエンザウイルスの感染後6日目のマウスの肺抽出物内の前炎症性サイトカインを分析した。サイトカインELISAは、公知の方法で行った(Quan FS et al.,Vaccine(2007)25:72-28)。Ready-Set-Go TNFα及びIL-6(eBioscience,San Diego,CA)を用いて、製造者の推奨手順に従い、肺抽出物内のサイトカインを検出した。
【0066】
その結果、H5N1インフルエンザウイルスのみを投与したマウスは、肺及び気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluids;BALF)内の高い炎症性サイトカイン(IL−6、TNF−α)濃度を示した(
図4A〜4C)。H5N1インフルエンザウイルス及び発酵紅参試料Bを混合して投与したマウス群は、BALF内の低い炎症性サイトカイン濃度を示した(
図4B)。発酵紅参試料A及びBいずれも、H5N1インフルエンザウイルス単独投与群に比べて、肺内の炎症性サイトカインを減少させる効果を示した(
図4A及び4C)。特に、発酵紅参試料A及びH5N1インフルエンザウイルスを混合して投与したマウス群は、非投与マウス群同様、前炎症性サイトカインがほぼ完全に抑制された(
図4A〜4C)。これらの結果は、発酵紅参試料がH5N1インフルエンザウイルスによる炎症性サイトカインの生成を抑制することを意味する。
【0067】
実験例5:発酵紅参の抗ウイルス活性(組織病理学的効果の分析)
インフルエンザウイルスの感染は、気道及び実質組織(parenchymal tissue)内の高い浸潤性細胞とともに激しい肺の炎症を誘発する(
図5のH5N1)。H5N1インフルエンザウイルス感染後6日目に、各群の肺組織切片に対して組織病理学的分析を行った(
図5)。発酵紅参試料B及びH5N1インフルエンザウイルスを混合して投与したマウス群は、H5N1インフルエンザウイルスのみを投与したマウス群に比べて、肺の炎症が緩和された。特に、発酵紅参試料A及びH5N1インフルエンザウイルスを混合して投与した後6日目になるマウスは、非投与マウスの肺と類似した程度の肺組織病理を示した(
図5)。
【0068】
実験例6:発酵紅参の鼻腔粘膜投与による抗ウイルス活性
インフルエンザウイルス感染の予防及び治療効果を検証するために、ウイルス感染前後の保護効果を測定した。発酵紅参の予防効果を試験するために、発酵紅参試料A(500μg)を1w/v%水溶液でウイルス感染前の4、4.5、12又は24時間にマウスに鼻腔内投与(intranasal)した(
図6)。発酵紅参の治療効果を試験するために、インフルエンザウイルスに感染されたマウスに発酵紅試料A(500μg)を1w/v%水溶液でウイルス感染3.5時間後に鼻腔内投与した(
図6)。
【0069】
その結果、発酵紅参の処理は、H5N1インフルエンザウイルス感染の前処理及び後処理の両方において、保護効果及び治療効果を確認することができた。特に、前処理で優れた保護効果を観察することができた(
図6A)。
また、ウイルスのみを単独で感染させたマウスに比べて、ウイルスと発酵紅参試料を混合して処理したマウスは、H1N1インフルエンザウイルス(A/California/2009 pandemic virus)に対して完全な抑制を示した(
図6B)。
これにより、発酵紅参は、インフルエンザウイルス感染の予防及び治療効果を示し、現実的な治療にも適用可能であることを確認した。
【0070】
実験例7:免疫欠乏マウスにおける効果
抗体の産生は、インフルエンザウイルスに対する免疫の付与、保護と深い関連があると知られている。言い換えると、抗体を産生するB細胞が欠乏したマウスは、インフルエンザウイルスの感染から保護し難いということを意味する。発酵紅参試料AがB細胞欠乏マウスにおいて、H1N1インフルエンザウイルス感染に対して抗ウイルス保護効果を有するか調べた。以前言及したプロトコルを変更し、μMTマウスモデルを使用した。
図7で確認できるように、μMTマウスを発酵紅参試料A及びH5N1インフルエンザウイルス(A/California/2009 pandemic virus)の混合物で感染させた結果、他のマウス(CD4 C57BL/6、TLR4 C57BL/6)同様に完全な保護を示した。これらのB細胞欠乏μMTマウスにおける保護効果は、発酵紅参試料がウイルス複製を抑制できるという結果とも一貫する。発酵紅参試料は、抗体を産生するB細胞がないマウスにおいても、優れた抗ウイルス活性を示した。
【0071】
実験例8:発酵紅参スプレー剤形の抗ウイルス活性の評価
H5N1鳥インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を確認するために、実施例4−2又は4−7のプッシュ式口腔用スプレー容器を用いて、H5N1ウイルスを感染させたマウスに発酵紅参、又は、発酵紅参及びプロポリスを投与した。その結果、H5N1ウイルスを投与した後、発酵紅参、又は、発酵紅参及びプロポリスを投与したマウスは、体重の減少を示しておらず、H5N1ウイルスの致死量に対して抑制効果を示した。一方、H5N1ウイルスを投与した後、発酵紅参を投与していないマウスは、酷い体重減少を示し、最終的には全て死亡した。
【0072】
実験例9:発酵紅参スプレー剤形の体内のウイルス複製の抑制活性の評価
発酵紅参スプレー剤形のウイルス複製の抑制効果を評価するために、実施例4−2及び4−7のプッシュ式口腔用スプレー容器を用いて、H5N1ウイルスを感染させたマウスに投与し、感染後6日目のマウスの肺のウイルス濃度を測定した。
H5N1ウイルスに感染されたマウスの場合、肺から相当量のウイルスが検出された。これに比べ、発酵紅参、又は、発酵紅参及びプロポリスを投与したマウス群は、かなり少量のウイルスが検出された。これは、発酵紅参スプレー剤形により提供された発酵紅参が、H5N1インフルエンザウイルスに対して肺内のウイルス複製を著しく抑制することを意味する。
【0073】
実験例10:発酵紅参スプレー剤形の組織病理学的効果
インフルエンザウイルスの感染は、気道及び実質組織(parenchymal tissue)内の高い浸潤性細胞とともに酷い肺の炎症を誘発する。発酵紅参スプレー剤形の肺の組織病理学的効果を理解するために、実施例4−2及び4−7のプッシュ式口腔用スプレー容器を用いて、H5N1インフルエンザウイルスの感染後6日目に、各群の肺組織切片の組織病理学的分析を行った。
その結果、H5N1インフルエンザウイルスのみを投与したマウス群は、酷い肺の炎症を示したのに対し、発酵紅参、又は、発酵紅参及びプロポリスを投与した後6日目になるマウスは、良好な肺組織病理を示した。
【国際調査報告】