(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-528411(P2019-528411A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/12 20060101AFI20190913BHJP
F16H 7/08 20060101ALI20190913BHJP
F16C 17/02 20060101ALN20190913BHJP
【FI】
F16H7/12 A
F16H7/08 Z
F16C17/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-507915(P2019-507915)
(86)(22)【出願日】2018年6月15日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月13日
(86)【国際出願番号】US2018037841
(87)【国際公開番号】WO2018232295
(87)【国際公開日】20181220
(31)【優先権主張番号】15/625,635
(32)【優先日】2017年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/792,258
(32)【優先日】2017年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】デック,アンドルゼイ
【テーマコード(参考)】
3J011
3J049
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA02
3J011CA10
3J011KA02
3J011LA08
3J049AA03
3J049BA07
3J049BB05
3J049BB15
3J049BB23
3J049BE05
3J049BE10
3J049BH02
3J049CA02
(57)【要約】
テンショナは、軸方向に延びる円筒部を有するベースを備え、円筒部は径方向外面と径方向外面の径方向内側である受容部とを有し、径方向外面に回転自在に係合する偏心アームと、径方向内側の受容部内に配置されたトーションスプリングとを備え、トーションスプリングは偏心アームに付勢力を与え、偏心アームに軸支されたプーリを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる円筒部を有するベースを備え、前記円筒部は径方向外面と前記径方向外面の径方向内側である受容部とを有し、
前記径方向外面に回転自在に係合する偏心アームと、
前記径方向内側の受容部内に配置されたトーションスプリングとを備え、前記トーションスプリングは前記偏心アームに付勢力を与え、
前記偏心アームに軸支されたプーリを
備えるテンショナ。
【請求項2】
前記プーリがニードルベアリングに軸支される請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記偏心アームと前記プーリと前記トーションスプリングとが、前記偏心アーム、プーリ、トーションスプリングのどれも、軸A−Aに沿って他から軸方向にずれないように、同心的に配置される請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記偏心アームが、ブッシュにより前記ベースに軸支される請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
径方向外面と径方向内側の受容部とを有するベース円筒部と、
前記径方向外面に回転自在に係合する偏心アームと、
前記径方向内側の受容部内に配置されたトーションスプリングとを備え、前記トーションスプリングは前記偏心アームに付勢力を与え、
前記偏心アームに係合し、前記偏心アームの回転に応動して旋回するように配設された細長アームを
備えるテンショナ。
【請求項6】
前記偏心アームと前記トーションスプリングが、前記偏心アームまたはトーションスプリングのいずれも、軸A−Aに沿って他から軸方向にずれないように、同心的に配置される請求項5に記載のテンショナ。
【請求項7】
前記偏心アームが、ブッシュにより前記ベースに軸支される請求項5に記載のテンショナ。
【請求項8】
前記プーリが、ニードルベアリングにより前記偏心アームに軸支される請求項5に記載のテンショナ。
【請求項9】
軸方向に延びる円筒部を有するベースを備え、前記円筒部は径方向外面と径方向内側に延びる受容部とを有し、
前記径方向外面に回転自在に係合する偏心アームと、
前記径方向内側の受容部内に配置されたトーションスプリングとを備え、前記トーションスプリングは前記偏心アームに付勢力を与え、
前記偏心アームに係合するプーリを備え、
前記偏心アームと前記プーリと前記トーションスプリングとが、前記偏心アーム、プーリまたはトーションスプリングのどれも、軸A−Aに沿って前記偏心アーム、プーリまたはトーションスプリングのいずれからも軸方向にずれないように、同心的に配置される
テンショナ。
【請求項10】
前記ベースが流体導管をさらに備え、流体を前記ベアリングに導く、請求項9に記載のテンショナ。
【請求項11】
前記プーリがベアリングに軸支される請求項9に記載のテンショナ。
【請求項12】
前記ベアリングがニードルベアリングである請求項11に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関し、特に、ベース円筒部の径方向内側の受容部内に配置されたトーションスプリングを有するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
カムシャフトおよびバランスシャフトのような回転部材をクランクシャフトと同期させて回転駆動する2つの最も一般的な方法はタイミングチェーンとベルトである。タイミングチェーンは作動するためにオイルを必要とする。これに対し、ほとんどのタイミングベルトのアプリケーションは、オイルの存在がベルトを損傷するのでベルトドライブ内にオイルがないことが求められ、意図的な目的を抑制する。ベルトにおける最近の改良はもはや、ベルトがエンジンオイル環境から遮断されることを必要としない。
【0003】
しかし、オイルの中で作動するためのベルトの最近の改良は、解決すべき他の問題を提起する。1つの特別な問題は、カムシャフトをクランクシャフトに同期させた状態を保持するためにベルトドライブに対して適切に張力を付与することである。カムシャフトまたは他の同期駆動されるクランクシャフト要素がクランクシャフトとの同期を失うと、悲惨なエンジン損傷が発生しうる。
【0004】
回転するクランクシャフトからベルトを介して動力を伝達するために、ベルトの一方の側はクランクシャフトの周囲において引っ張られ、当業者により、ベルト緊張側と通常呼ばれる。これに対して他の側は、ベルトがクランクシャフトから離されるので、ベルト緩み側と呼ばれる。ベルトが過度に緩んで、クランクシャフトにより回転する各要素とクランクシャフトとの間の同期が失われることを防止するために、ベルトの緩み側に対して張力を付与することは重要である。
【0005】
公知のテンショナは各要素の配置に基づいてサイズが制約される。一般的に、トーションスプリングはプーリのベアリングに対して軸方向に重ねられる。これは装置の最小高さを制限し、延いてはエンジンとベルトシステムの設計に影響する。
【0006】
この技術の代表は米国特許第9,618,098号明細書であり、これは、ベースと、ベースに接続されたシャフトと、シャフトに同軸的に係合する偏心アジャスタと、シャフトに回動自在に係合するアームと、アームに軸支されたプーリと、アームとベースの間に係合するトーションスプリングとを備え、アームは第1受容部と第1受容部から軸方向の反対側に配設された第2受容部とを有し、アームとベースの間に配設された第1減衰部材を備え、第1減衰部材はベースに摩擦係合するとともに第1受容部に係合し、アームと第2受容部に係合する部材を有する偏心アジャスタとの間に配設された第2減衰部材と、第1減衰部材と第2減衰部材に垂直力を付与するために第1減衰部材とアームの間に配設された付勢部材とを備えたテンショナを開示する。
【0007】
必要なものは、ベース円筒部の受容部の径方向内側に配設されたトーションスプリングを有するテンショナである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主な特徴は、ベース円筒部の径方向内側の受容部内に配設されたトーションスプリングを有するテンショナを提供することである。
【0009】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記載と添付した図面により示され、明らかになる。
【0010】
本発明は、軸方向に延びる円筒部を有するベースを備え、円筒部は径方向外面と径方向外面の径方向内側である受容部とを有し、径方向外面に回転自在に係合する偏心アームと、径方向内側の受容部内に配置されたトーションスプリングとを備え、トーションスプリングは偏心アームに付勢力を与え、偏心アームに軸支されたプーリを備えるテンショナである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1はテンショナの分解図である。テンショナ100はベース10を備える。ベース10は、外面14を有する、軸方向に延びる円筒部12を備える。円筒部12はさらに、開口11と受容部18を備える。
【0013】
偏心アーム20は円筒部12の周りに旋回する。ブッシュ60は内面22と外面14の間に配設される。ブッシュ60は、円筒部12の開口11に実質的に整列するスロット61を備える。プーリ40は、ニードルベアリング50の面21に軸支される。ニードルベアリングは油中環境において用いられる。公知の他のベアリングも同様に使用可能である。
【0014】
トーションベアリング30は、ベルト負荷を与えるために、偏心アーム20に係合し、ベルト(図示せず)に向かって付勢する。端部31はスロット61と開口11から突出して、偏心アーム20の受容部24に係合する。端部32はベース10において受容部15に係合する。トーションスプリング30は受容部18内に完全に配置される。受容部18は円筒部12の中央空洞部である。トーションスプリング30は、ベアリング50とプーリ40と偏心アーム20に対して同一平面にある。トーションスプリング30はプーリ40、ベアリング50、ブッシュ60および円筒部12の径方向内側に配設される。すなわちトーションスプリング30、ベアリング50、プーリ40および偏心アーム20は全て、列記された要素のどれも、軸A−Aに沿って他の要素から軸方向にずれないように、同心的に配置される。
【0015】
保持リング6は、ベース10において円周方向スロット16に係合する。保持リング5は、偏心アーム20において円周方向スロット23に係合する。保持リング5は偏心アーム20においてベアリング50を保持する。保持リング6はベース10において偏心アーム20を保持する。油が存在するとき、保持リング5、6はそれぞれスラストワッシャとして作用し、軸方向力を伝達する。
【0016】
プーリ40はベアリング50に圧入される。固定具4は、テンショナ100をエンジン(図示せず)等の取付け面に固定するために、トーションスプリング30とベース10の穴17から突出する。
【0017】
ブッシュ60は、約0.05から約0.20の範囲の動摩擦係数(COF)を有する。静摩擦係数COFは、好ましくは動摩擦係数COFよりも小さい。
【0018】
図2は上方から見た分解図である。偏心アーム20は軸A−Aの周りに旋回し、その軸は円筒部12の中心にあり、固定具4から突出する。偏心アーム20は軸A−Aの周りに旋回する。プーリ40は偏心アーム20の幾何学的中心である“B”の周りに回転する。“B”は軸A−Aから偏心方向にずれており、これにより偏心アーム20の偏心した揺動運動が可能になり、延いてはテンショナ100がベルト(図示せず)に対して可変の負荷を付与することを可能にする。
【0019】
図3はベースの斜視図である。端部受容部15はベース10において受容部18の一端に配置される。端部32は受容部15に係合し、これにより端部32を固定し、トーションスプリングの反作用点として作用する。
【0020】
図4は偏心アームの斜視図である。“B”はプーリ20の幾何学的中心であり、その周りにプーリ40が回転する。偏心アーム20は軸A−Aにおいて“A”の周りに旋回する。受容部24はスプリング30の端部31に係合する。
【0021】
図5はトーションスプリングの斜視図である。端部31は偏心アーム20の受容部24内に突出する。端部32は受容部15に係合する。
【0022】
図6はテンショナの断面図である。トーションスプリング30、ブッシュ60、円筒部12、偏心アーム20、ベアリング50およびプーリ40は全て、列記された要素のどれも、軸A−Aに沿って他の要素から軸方向にずれないように、同心的に配置される。この完全な同心的かつ入れ子状の配置は、テンショナの高さを最小化し、非常に狭小なアプリケーションにおいて使用されることを可能にする。
【0023】
図7は他の実施形態の分解図である。要素は、ベアリング51がすべり軸受けであり、またブシュ60が省略されていることを除いて、この明細書に記載されたものと同じである。この他の実施形態は、油中および/または油がかかる潤滑状態において作動するように構成されている。偏心アーム20は軸A−Aの周りに旋回する。プーリ40は軸B−Bの周りに回転する。
図4参照。軸A−Aは軸B−Bから離れて配置され、したがって軸A−Aに対して同軸的ではなく、これにより偏心アーム20の偏心した旋回を許容する。
【0025】
図9はその他の実施形態の断面図である。トーションスプリング30、偏心アーム20およびベアリング51は、列記された要素のどれも、軸A−Aに沿って他の要素から軸方向にずれないように、同心的に配置される。ベース10内の流体導管71は、オイル等の流体がエンジンオイルシステム(図示せず)から流体導管71を介し、ベアリング51へ流動してベアリングを潤滑するための通路として作用する。Oリング72は、エンジンオイルシステムとの接続部分をシールするための手段として作用する。
【0026】
図10は他の実施形態の側面図である。偏心アーム20とプーリ40の代りに、この他の実施形態はカム45を備える。カム45は偏心アーム20と同じ原理で作用し、この装置において同じ位置を占める。プーリ40はない。カム45は細長部材80に係合する。細長部材80は公知の適当な低摩擦材料であってもよい。細長部材80はまた、スライドガイドとも呼ばれる。チェーンCはスライドガイド80の表面に摺動自在に係合する。枢軸81はスライドガイドの一端に配設される。スライドガイド80はカム45の回転に応動して枢軸81の周りに旋回する。表面46の偏心形状により、カム45の回転はスライドガイド80を枢軸81の周りに旋回させ、これによりチェーンCにおける負荷を維持する。この実施形態は、一例として、内燃機関のタイミングシステムにおいて有用である。
【0027】
図11は
図10における他の実施形態の斜視図である。カム45の表面46はスライドガイド80に係合する。
【0028】
本発明の形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。
【国際調査報告】