(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-528879(P2019-528879A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】マイクロニードル
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20190920BHJP
【FI】
A61M37/00 520
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-514022(P2019-514022)
(86)(22)【出願日】2017年12月29日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月12日
(86)【国際出願番号】KR2017015724
(87)【国際公開番号】WO2018124808
(87)【国際公開日】20180705
(31)【優先権主張番号】10-2016-0182699
(32)【優先日】2016年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0182712
(32)【優先日】2017年12月28日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518358859
【氏名又は名称】ラブンピープル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LABNPEOPLE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】チョ,スンヨン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB06
4C267BB23
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC05
4C267FF10
4C267GG12
4C267GG16
4C267GG43
4C267HH30
(57)【要約】
本発明のマイクロニードルは、基板部と、前記基板部に多数設けられるニードル孔と、前記基板部に設けられ、前記基板部上から突出して皮膚に挿入されるニードル部とを含み、前記ニードル部は、前記ニードル孔を区画する前記基板部の部位で前記ニードル孔の周方向に沿って互いに一定の間隔を置いて多数設けられることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、
前記基板部に多数設けられるニードル孔と、
前記基板部に設けられ、前記基板部上から突出して皮膚に挿入されるニードル部とを含み、
前記ニードル部は、前記ニードル孔を区画する前記基板部の部位で前記ニードル孔の周方向に沿って互いに一定の間隔を置いて多数設けられることを特徴とする、マイクロニードル。
【請求項2】
前記ニードル孔は、円形または正多角形の形状に前記基板部に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロニードル。
【請求項3】
前記ニードル部は、前記ニードル孔が正多角形の形状に形成された場合、前記ニードル孔を区画する前記基板部の内側辺の中央に設けられることを特徴とする、請求項2に記載のマイクロニードル。
【請求項4】
前記ニードル部は、
前記ニードル孔に収容されたまま前記基板部に一端が連結される第1ニードルと、
前記第1ニードルの他端に一端が連結されたまま前記ニードル孔に収容される第2ニードルとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロニードル。
【請求項5】
前記第2ニードルは、長さ方向の一端から他端の方向に行くほど次第に幅が狭くなる矢尻の形状に形成されるが、その一端には、前記第1ニードルの他端の幅よりも大きい幅を有する係止段部が設けられることを特徴とする、請求項4に記載のマイクロニードル。
【請求項6】
前記ニードル部または前記基板部に設けられ、薬物が流動できる経路を提供する担持溝を含むことを特徴とする、請求項5に記載のマイクロニードル。
【請求項7】
前記担持溝は、前記基板部の一面または他面に設けられ、その長さ方向の一端は前記基板部が形成する面積の一部に配置され、その長さ方向の他端は前記ニードル部の先端に向かって延びて配置されることを特徴とする、請求項6に記載のマイクロニードル。
【請求項8】
前記担持溝の長さ方向の他端から前記ニードル部の先端まで連通可能に連結されるスリット溝をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のマイクロニードル。
【請求項9】
前記担持溝が設けられた前記基板部または前記ニードル部の部位には、前記担持溝の形成方向に沿って担持孔が設けられることを特徴とする、請求項6に記載のマイクロニードル。
【請求項10】
前記担持孔は、前記第1ニードルまたは前記第2ニードルの上面から底面の方向に行くほど次第に内径が小さくなる形状に形成されることを特徴とする、請求項9に記載のマイクロニードル。
【請求項11】
前記基板部は、前記ニードル孔が正六角形の形状に設けられる場合、ハニカム構造を持つことを特徴とする、請求項2に記載のマイクロニードル。
【請求項12】
前記基板部または前記ニードル部は生体吸収性金属で形成されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項13】
前記第1ニードルと前記基板部との連結部位には切り取り部が設けられ、前記切り取り部は、前記第1ニードルの長さ方向の一端における、前記第1ニードルの幅方向の両側にそれぞれ設けられることを特徴とする、請求項12に記載のマイクロニードル。
【請求項14】
前記切り取り部は、前記第1ニードルの長さ方向の一端における、前記第1ニードルの幅方向の両端と前記担持孔の長さ方向の一端との間にそれぞれ設けられるスリット孔を含むことを特徴とする、請求項13に記載のマイクロニードル。
【請求項15】
前記切り取り部は、前記第1ニードルの長さ方向の一端における、前記第1ニードルの幅方向の両端にそれぞれ設けられ、前記ニードル孔と連通可能に連結されるノッチを含むことを特徴とする、請求項13に記載のマイクロニードル。
【請求項16】
前記生体吸収性金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛および鉄のうちの少なくとも一つの成分を含むことを特徴とする、請求項12に記載のマイクロニードル。
【請求項17】
基板部と、
前記基板部に設けられ、前記基板部上から突出して皮膚に挿入されるニードル部と、
薬物が流動できる経路を提供する、前記ニードル部または前記基板部に含まれている担持溝とを含むことを特徴とする、マイクロニードル。
【請求項18】
前記担持溝は、前記基板部の一面または他面に設けられ、その長さ方向の一端は前記基板部が形成する面積の一部に配置され、その長さ方向の他端は前記ニードル部の先端に向かって延びて配置されることを特徴とする、請求項17に記載のマイクロニードル。
【請求項19】
前記担持溝の長さ方向の他端から前記ニードル部の先端まで連通可能に連結されるスリット溝をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載のマイクロニードル。
【請求項20】
前記担持溝が設けられた前記基板部または前記ニードル部の部位には、前記担持溝の形成方向に沿って担持孔が設けられることを特徴とする、請求項19に記載のマイクロニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルに関し、より詳細には、皮膚に付着して皮下に薬物などの物質を送達するマイクロニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達システム(drug delivery system;DDS)は、薬理学的活性を有する物質を様々な物理化学的技術を用いて細胞、組織、臓器および器官などへ送り届ける一連の技術を意味する。
【0003】
薬物送達システムとしては、口から薬物を摂取する経口投与方式が最も一般的に使用されており、これ以外にも、人体の一部分に薬物を送り込む経皮透過型方式などがある。その中でも、金属材質の注射針で患者の皮膚に孔を開けて液状の薬物を送達する方式、すなわち、注射器を用いた薬物送達方式が古くから広く用いられている。
【0004】
しかし、注射器を用いた薬物送達方式は、薬物注入の際に患者に疼痛を与え、かつ、繰り返し接種の手間と注射器の管理不十分による注射針の再利用により患者に感染を誘発させるおそれがあるという欠点がある。
【0005】
また、上記の方式は、注射器使用の知識を保有している接種者が必要とされるため、患者が自ら注射器を用いて薬物を投与することができないという欠点もある。
【0006】
よって、近年では、注射器を用いた薬物送達方式を改善するために、ペン型注射器よりも遥かに小さいマイクロサイズの経皮透過型マイクロニードルが製作され、活用されている。
【0007】
マイクロニードルは、角質層に物理的に小さな孔を開けて薬物を送達するシステムであって、1998年に米国ジョージア工科大学のプラウスニッツグループで半導体プロセス技術を利用してシリコーン素子でマイクロニードルアレイを作り、薬物送達の応用可能性を提示したことを始めとして多くの研究が盛んに行われており、シリコーンだけでなく、金属、ポリマー、ガラス及びセラミックなどのさまざまな材質をベースに、さまざまなサイズと形状に作られている。
【0008】
また、マイクロニードルは、生体内薬物やワクチンなどの活性物質の伝達、体内分析物質の検出および生検(biopsy)に使用される以外に、スキンケア物質や薬物の皮膚組織内への注入または皮膚内からの血液などの体液の抽出を目的として使用されることもある。よって、マイクロニードルは、局部的かつ持続的な薬物注入が可能であり、皮膚への挿入時に疼痛を最小化することができるので、最近様々な分野での使用が非常に急増している薬物送達方式の一つであるといえる。
【0009】
ところが、従来のマイクロニードルは、皮膚の角質層によって体内に薬物を迅速に拡散させない構造的形態を持っている。すなわち、
図8に示すように、従来のマイクロニードル10は、接着シート(図示せず)に置かれた状態で皮膚に付着する基板部1と、その基板部1上から突出して皮膚に挿入されるニードル2とを含んで構成されるので、ニードル2が基板部1上で一定の間隔をおいて多数の行列に配列された単純な構造を持つため、経皮を利用した薬物拡散が非効率的であるという欠点があった。
【0010】
これにより、最近は、薬物送達速度を向上させるために、化学的エンハンサー(enhancer)、イオン浸透療法(iontophoresis)、電気穿孔法(electroporation)、超音波、および熱素子を用いて経皮薬物送達を補強する方法が引き続き開発されているが、これは、マイクロニードルの製造工程を複雑にするだけでなく、その製造コストも上昇させるという欠点があり、また、薬物の形態によっては適切でない場合が多く、皮膚に副作用も引き起こすという問題もある。
【0011】
また、マイクロニードル10の基板部1は、一般に、モールド(mold)を用いて製作され、モールド方式で製作された基板部1は、後工程でプレスから加圧を受けることになる。そうすると、基板部1に設けられた多数のニードル2がプレスから加圧を受けて基板部1上から折り曲げられて突出することができる。
【0012】
しかし、従来のマイクロニードル10は、前述したように、ニードル2が基板部1上で互いに一定の間隔をもって多数配置された構造を持つため、プレスには複雑な構造の可動金型、すなわち、多数のニードル2とそれぞれに対応して接触する加圧片を備えた可動金型が装着されなければならない。
【0013】
上述したような可動金型が装着されたプレスで多数個のニードル2を加圧する際に、多数のニードル2同士の間に配置された基板部1の部位が加圧片に影響を受けて変形したり破損したりするという問題点がある。
【0014】
特に、皮下に送達される薬物の送達速度を増加させるために、ニードル2の個数を増やしてニードル2間の間隔を非常に細かく狭める場合には、むしろ、多数のニードル2同士の間に配置された基板部1の部位が加圧片にさらに近接して配置されることにより容易に変形したり破損したりするおそれがある。
【0015】
よって、本出願人は、上述したような問題点を解決するために本発明を提案した。これに関連する先行技術文献としては、韓国公開特許第10−2014−0105686号の「身体の疼痛部位または経穴部位を刺激するためのマイクロニードルパッチ」などがある。
【0016】
一方、長さの短いマイクロニードルを介して薬物が体内に円滑に広がるため、別途の注入装備を一緒に使用するか或いは長時間ユーザーの皮膚に接触しなければならない使用方式を取るので、使い勝手がよくなく、ニードルの材質による炎症などの副作用が発生するおそれもあるという欠点もある。
【0017】
かかる欠点を緩和するために、本出願人は、生分解性金属からなるマイクロニードルに関する技術を特許出願などによって開示したことがあるが、金属板材から成形されるマイクロニードルは、角質層に対する高い浸透性を備え、既存のマイクロニードルに比べて優れた薬物伝達能力を示すにも拘わらず、別途の薬物注入装備などを使用しない構造で板材上の皮膚接触面の外側から薬物担持パッチなどを介して薬物を注入しようとする場合、より迅速かつ効果的な注入構造が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、その目的は、体内に伝達しようとする薬物が皮下に迅速に浸透または拡散されるようにし、かつ、マイクロニードル製造作業の利便性を図るようにニードルが配列されたマルチ型マイクロニードルを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、生分解性金属板材型マイクロニードルであって、別途の注入器具などを使用することなくより迅速かつスムーズに薬物が注入できるマイクロニードルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、基板部と、前記基板部に多数設けられるニードル孔と、前記基板部に設けられ、前記基板部上から突出して皮膚に挿入されるニードル部とを含み、前記ニードル部は、前記ニードル孔を区画する前記基板部の部位で前記ニードル孔の周方向に沿って互いに一定の間隔を置いて多数個設けられ得る。
【0021】
また、前記ニードル孔は、円形または正多角形の形状に前記基板部に設けられてもよい。
【0022】
また、前記ニードル部は、前記ニードル孔が正多角形の形状に形成された場合、前記ニードル孔を区画する前記基板部の内側辺の中央に設けられてもよい。
【0023】
また、前記ニードル部は、前記ニードル孔に収容されたまま前記基板部に一端が連結される第1ニードルと、前記第1ニードルの他端に一端が連結されたまま前記ニードル孔に収容される第2ニードルとを含んでもよい。
【0024】
また、前記第2ニードルは、長さ方向の一端から他端の方向に行くほど次第に幅が狭くなる矢尻の形状に形成されるが、その一端には、前記第1ニードルの他端の幅よりも大きい幅を有する係止段部が設けられてもよい。
【0025】
また、前記ニードル部または前記基板部に設けられ、薬物が流動できる経路を提供する担持溝を含んでもよい。
【0026】
また、前記担持溝は、前記基板部の一面または他面に設けられ、その長さ方向の一端は前記基板部が形成する面積の一部に配置され、その長さ方向の他端は前記ニードル部の先端に向かって延びて配置されてもよい。
【0027】
また、前記担持溝の長さ方向の他端から前記ニードル部の先端まで連通可能に連結されるスリット溝をさらに含んでもよい。
【0028】
また、前記担持溝が設けられた前記基板部または前記ニードル部の部位には、前記担持溝の形成方向に沿って担持孔が設けられてもよい。
【0029】
また、前記担持孔は、前記第1ニードルまたは前記第2ニードルの上面から底面の方向に行くほど次第に内径が小さくなる形状に設けられてもよい。
【0030】
また、前記基板部は、前記ニードル孔が正六角形の形状に設けられる場合、ハニカム構造を持ってもよい。
【0031】
また、前記基板部または前記ニードル部は、生体吸収性金属で形成されてもよい。
【0032】
また、前記第1ニードルと前記基板部との連結部位には切り取り部が設けられ、前記切り取り部は、前記第1ニードルの長さ方向の一端における、前記第1ニードルの幅方向の両側にそれぞれ設けられてもよい。
【0033】
また、前記切り取り部は、前記第1ニードルの長さ方向の一端における、前記第1ニードルの幅方向の両端と前記担持孔の長さ方向の一端との間にそれぞれ設けられるスリット孔を含んでもよい。
【0034】
また、前記切り取り部は、前記第1ニードルの長さ方向の一端における、前記第1ニードルの幅方向の両端にそれぞれ設けられ、前記ニードル孔と連通可能に連結されるノッチを含んでもよい。
【0035】
また、前記生体吸収性金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛および鉄のうちの少なくとも一つの成分を含んでもよい。
【0036】
一方、本発明に係る流路経路を有するマイクロニードルは、基板部と、前記基板部に設けられ、前記基板部上から突出して皮膚に挿入されるニードル部と、薬物が流動できる経路を提供する、前記ニードル部または前記基板部に含まれている担持溝とを含んで構成されてもよく、
【0037】
このとき、前記担持溝は、前記基板部の一面または他面に設けられ、その長さ方向の一端は前記基板部が形成する面積の一部に配置され、その長さ方向の他端は前記ニードル部の先端に向かって延びて配置されてもよい。
【0038】
また、前記担持溝の長さ方向の他端から前記ニードル部の先端まで連通可能に連結されるスリット溝をさらに含んでもよい。
【0039】
また、前記担持溝が設けられた前記基板部または前記ニードル部の部位には、前記担持溝の形成方向に沿って担持孔が設けられてもよい。
【0040】
【発明の効果】
【0041】
本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードルは、一つのニードル孔の周りに多数のニードル部が一定のパターンで設けられる構成を持つため、所定の面積の皮膚に多数のニードル部を挿入させて体内に伝達しようとする薬物を皮下に迅速に拡散または浸透させることができる。
【0042】
また、本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードルは、正六角形の形状に設けられたニードル孔によって基板部がハニカム構造を持つことができるので、ニードル部を折り曲げるプレス加圧過程で基板部がプレスによって変形したり破損したりすることを最小限に抑えることができる。
【0043】
また、本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードルは、プレスの可動金型に設けられた加圧片をニードル部の個数と同じ個数だけ設けなくても、多数のニードル部を基板部上から突出させることができるので、プレスの可動金型製作コストを削減させ、結果的に、マイクロニードルの製造コストを減らすことができるとともに製造工程も簡素化させることができる。
【0044】
また、本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードルは、体内に、治療のための薬物の他にも、生体吸収性金属に含まれている成分(マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄など)を伝達して、ユーザーに薬物と一緒にミネラルを供給することができる。
【0045】
また、本発明の一実施形態に係る生体吸収性金属を用いたマイクロニードルは、皮膚に接触した基板部を皮膚上から分離させる簡単な過程で皮下にニードル部が残留することがあるので、人体に有益な生体吸収性金属がユーザーの体内に容易に残留するようにすることができ、これにより、ユーザーは別途の施術を受けず、人体に有益な生体吸収性金属イオンを体内に収容することができる。
【0046】
また、本発明の一実施形態に係るマイクロニードルは、ニードル部上に薬物などの有効成分の流動を円滑にする構成を備えることにより、より迅速かつスムーズに角質層を通過した有効成分が皮膚内に浸透して広がるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードルの平面図である。
【0048】
【0049】
【
図3】本発明の一実施形態に係るニードル部が立てられた状態を示す斜視図である。
【0050】
【
図4】本発明の一実施形態に係るニードル部に担持溝および担持孔が設けられた状態を示す図である。
【0051】
【
図5】本発明の一実施形態に係るニードル部に切り取り部が設けられた様子を示す平面図である。
【0052】
【
図6】本発明の一実施形態に係る穿孔部が円形の形状に設けられた様子を示す平面図である。
【0053】
【
図7】本発明の一実施形態に係る穿孔部が正八角形の形状に設けられた様子を示す平面図である。
【0054】
【
図8】従来のマイクロニードルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の利点、特徴、及びそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になるだろう。
【0056】
しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現される。但し、本実施形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0057】
以下、
図1乃至
図7を参照して、本発明の一実施形態に係るマイクロニードルを詳細に説明する。本発明を説明するにあたり、関連する公知の機能或いは構成についての具体的な説明は、発明の要旨を曖昧にするために省略される。
【0058】
図1は本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードルの平面図、
図2は
図1に示されたA部分の拡大図、
図3は本発明の一実施形態に係るニードル部が立てられた状態を示す斜視図、
図4は本発明の一実施形態に係るニードル部に担持溝および担持孔が設けられた状態を示す図、
図5は本発明の一実施形態に係るニードル部に切り取り部が設けられた様子を示す平面図、
図6は本発明の一実施形態に係る穿孔部が円形の形状に設けられた様子を示す平面図、
図7は本発明の一実施形態に係る穿孔部が正八角形の形状に設けられた様子を示す平面図、
図8は従来のマイクロニードルを示す斜視図である。
【0059】
図1乃至
図7に示すように、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は、基板部110と、前記基板部110に多数設けられるニードル孔120と、前記ニードル孔120を区画する前記基板部110の部位で前記ニードル孔120の周方向に沿って互いに一定の間隔を置いて多数設けられるニードル部130とを含むことができる。
【0060】
前記基板部110は、所定の面積と厚さを有する薄い薄板の形状を持つことができ、接着性物質が塗布された接着シート(図示せず)に置かれたままユーザーの皮膚にパッチ(patch)として付着することができる。
【0061】
また、前記基板部110は、付着しようとする皮膚部位に対応してさまざまなサイズおよび形状に製作できるとともに、屈曲した皮膚部位と気密に接触することができるように、その周り部は様々な曲率で形成できる。例えば、前記基板部110は、ユーザーの鼻に付着する場合には公知の鼻パックなどの形で製作できる。
【0062】
また、前記基板部110には、皮下に送達しようとする薬物が担持できる。前記基板部110に薬物を担持させる方式としては、薬物が貯蔵された容器に前記基板部110を浸漬させてコーティングさせる方式や、薬物を基板部110に塗布させてコーティングさせる方式など、様々な公知の方式が使用できる。
【0063】
ちなみに、前記基板部110に担持される薬物は、病気の予防と治療を目的とする薬物になることができ、これに限定されず、遺伝子物質またはスキンケアのためのEGF(Epidermal Growth Factor:上皮細胞増殖因子)またはヒアルロン酸(Hyaluronic acid)であってもよい。
【0064】
前記ニードル孔120は、前記基板部110をレーザーを用いたカッティング装置で加工することにより形成されることもある構成要素であり、前述したように、前記基板部110の表面上に互いに一定の間隔を置いて多数設けられ得る。
【0065】
前記ニードル孔120は、円形または正多角形の形状に前記基板部110に設けられ得る。例えば、
図2及び
図7に示すように正六角形または正八角形の形状に前記基板部110に設けられ得るが、これに限定されず、
図6に示すように円形の形状に前記基板部110に設けられてもよい。
【0066】
前記ニードル部130は、
図2に示すように、前記ニードル孔120に収容されたまま前記基板部110に長さ方向の一端が連結される第1ニードル131と、前記第1ニードル131の長さ方向の他端と長さ方向の一端とが連結されたまま前記ニードル孔120に収容される第2ニードル132とを含むことができる。
【0067】
前述したように構成されたニードル部130は、成形工程またはプレス装置を用いた加圧工程によって前記基板部110の表面上で垂直方向に折り曲げられて突出することができる。すなわち、前記ニードル部130は、前記基板部110がユーザーの皮膚と接触すると、ユーザーの皮下に挿入されて薬物を伝達する部位といえる。
【0068】
前記ニードル部130は、前記ニードル孔120が正多角形の形状に形成された場合、
図2に示すように、前記ニードル孔120を区画する前記基板部の内側辺111の中央に設けられ得る。
【0069】
もし、前記ニードル部130が前記ニードル孔120を区画する前記基板部110の内側頂点部位に設けられる場合、前記ニードル部130を垂直方向に折り曲げる作業過程(プレスによる加圧工程)で前記ニードル部130が分節されるおそれがある。したがって、前述したようにニードル部130が分節されることを防止するために、前記ニードル部130は、前記ニードル孔120を区画する前記基板部110の内側辺111の中央部に設けられることが好ましい。
【0070】
前記ニードル部130の第1ニードル131と第2ニードル132は、皮膚に容易に挿入できるように全体的に矢尻の形状を持つことができ、第1ニードル131は、その長さ方向の一端から他端の方向に行くほど次第に幅が狭くなる形状に形成できる。
【0071】
併せて、前記第2ニードル132も、その長さ方向の一端から他端の方向に行くほど次第に幅が狭くなる矢尻の形状に形成され、その一端には、前記第1ニードルの長さ方向の他端の幅よりも大きい幅を持つ係止段部132aが設けられ得る。
【0072】
一方、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は、前記ニードル部130または前記基板部110に設けられ、薬物が流動できる経路を提供する担持溝133をさらに含むことができる。
【0073】
前記担持溝133は、前記基板部110の一面または他面に設けられ、その長さ方向の一端は前記基板部110が形成する面積の一部に配置され、その長さ方向の他端は前記ニードル部130の先端、すなわち、第2ニードル132の他端に向かって延びて配置され得る。
【0074】
前記担持溝133は、前記基板部110の一面または他面に選択的に設けられるが、本発明の一実施形態では前記基板部110の一面と他面の両方に設けられることが図面上に示されている。
【0075】
前述したような担持溝133は、前記基板部110または前記ニードル部130に担持された薬物が流動できる経路を形成するだけでなく、前記基板部110または前記ニードル部120に担持される薬物が貯蔵できる空間を提供することにより、体内に伝達される薬物の量を調整することができるようにする。
【0076】
また、前記担持溝133は、
図4に示すように、前記基板部110または前記ニードル部130の厚さ方向に行くほど次第に内径が小さくなる形状を有することができる。
【0077】
前述したように構成された担持溝133は、その形状に応じて、前記基板部110または前記ニードル部130の平面積を増やして、前記基板部110または前記ニードル部130に担持される薬物の量が調節できるようにするだけでなく、前記基板部110または前記ニードル部130に担持された薬物が皮下に容易に伝達できるように流動経路を提供することができる。
【0078】
言い換えれば、薬物送達経路による担持溝133などの構造がない平らな面のみからなるニードル部130が皮膚に挿入される場合、皮膚とニードル部130の板面とが密着して薬物が流れ込み難い構造を形成する一方で、担持溝133が形成された基板部110およびニードル部130がユーザーの皮膚に接触することにより、前記ニードル部120が皮膚に挿入されると、前記担持溝133に貯蔵された薬物が体内に容易に伝達されて拡散できる。また、前記基板部110または前記ニードル部130に担持された薬物は、前記担持溝133の形成方向に沿って流動して皮下へ伝達できる。
【0079】
また、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は、前記担持溝133の長さ方向の他端から前記ニードル部130の先端、すなわち、第2ニードル132の他端まで連通可能に連結されるスリット溝134をさらに含むことができる。
【0080】
前記スリット溝134は、前記担持溝133または後述の担持孔135に貯蔵された薬物が前記ニードル部130の先端に容易に流動できるようにする役割を果たし、これにより、前記基板部110または前記ニードル部130に含まれている薬物が前記担持溝133と前記スリット溝134を順次経由してユーザーの皮下へより容易に伝達できる。
【0081】
一方、前記担持溝133には担持孔135がさらに設けられてもよい。すなわち、前記担持溝133が設けられた前記基板部110または前記ニードル部130の部位には、前記担持溝133の形成方向に沿って担持孔135が設けられてもよい。つまり、前記担持孔135は、前記ニードル部130の第1ニードル131または前記第2ニードル132の長さ方向に沿って前記担持溝133内に設けられてもよい。
【0082】
前記担持孔135は、前記基板部110の一面と他面または前記ニードル部130の一面と他面を互いに連通可能に連結するため、前記基板部110または前記ニードル部120の一面または他面に担持された薬物が互いに疎通できるようにしてユーザーの皮膚の中で薬物が迅速に拡散できるようにする。
【0083】
また、前記担持孔135は、前記担持溝133と同様に、薬物が貯蔵できる空間を提供するため、前記基板部110または前記ニードル部130に担持される薬物の量が調節できるようにする。すなわち、前記担持孔135は、前記第1ニードル131または前記第2ニードル132の一面から他面の方向または他面から一面の方向に行くほど次第に内径が小さくなる形状に設けられ得るため、前記ニードル部130に担持されて形成される薬物コーティング層が収容できる空間を提供することができる。
【0084】
ニードル部130の板面と、挿入された部位の皮膚(角質など)との密着面上に、薬物などが流れる流路を形成させることにより、薬物などが皮膚の中に容易に広がるようにする、前述した担持溝133、スリット溝134および担持孔135などの構成は、本発明の主な実施形態に係るマイクロニードル100だけでなく、
図8に示すような構造の一つのニードル孔に1つのニードル部を備えた構造のマイクロニードルにも困難なく適用できるのは勿論である。
【0085】
前述したように構成された本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は、ニードル部130が、基板部110上に形成されたニードル孔120同士の間で一定の間隔をおいて多数個設けられた構成を持つので、体内へ供給しようとする薬物が皮下に集中的に伝達されて迅速に拡散できる。
【0086】
前記基板部110は、前記ニードル孔120が正六角形の形状に形成される場合、ハニカム(honeycomb)構造を持つことができる。ハニカム構造を持つ前記基板部110は、前記ニードル孔120の周辺に配置された多数のニードル部130を折り曲げるためにプレスの加圧片で加圧する過程において、前記ニードル孔120を区画する前記基板部110の部位110a(
図1参照)が加圧片によって変形したり破損したりすることが防止できる。
【0087】
さらに具体的には、プレスの可動金型に設けられた加圧片が前記ニードル孔120に挿入される過程で前記ニードル部120を加圧して折り曲げるので、この際、前記多数のニードル孔120同士の間に配置された前記基板部110の部位110a(
図1参照)が前記加圧片110に影響されて変形したり裂けたりするおそれがある。
【0088】
ところが、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は、前記ニードル孔120を正六角形の形状に設けて前記基板部110をハニカム構造で形成することができ、これにより、基板部110の全体的な強度を増加させて、プレスを用いた作業工程において前記基板部110が変形したり破損したりすることを防止することができる。
【0089】
また、一つのニードル孔120に挿入される1つの加圧片によって多数個のニードル部130が加圧を受けて折り曲げられ、基板部110上から突出できる。したがって、プレスの可動金型に設けられる加圧片を前記ニードル部130の個数と対応する個数だけ設ける必要がないため、可動金型の構造が全体的に簡素になる。これにより、プレスに設けられる可動金型の製作コストが削減され、結果としてマルチ型マイクロニードル100の製造コストも減少し、その製造工程も簡素になることができる。
【0090】
一方、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は生体吸収性金属で形成できる。すなわち、前記基板部110または前記ニードル部120は、人体に有益な成分で構成された生体吸収性金属で形成できる。
【0091】
つまり、前記基板部110は、生体吸収性金属として活用されるマグネシウム、カルシウム、亜鉛および鉄のうちの少なくとも一つの成分を含む金属で製作でき、これにより、前記基板部110上で設けられるニードル部130も生体吸収性金属で製作される。
【0092】
また、前記基板部110が生体吸収性金属で形成された場合に、前記第1ニードル131と前記基板部110との連結部位には切り取り部140がさらに設けられてもよい。
【0093】
前記切り取り部140は、生体吸収性金属で形成された前記基板部110が皮膚上に接触してから分離されるときに、前記ニードル部130が前記基板部110から離脱して皮膚に残留するようにすることができる。
【0094】
ここで、前記切り取り部140は、
図5の(a)および(b)に示すように、前記第1ニードル131の長さ方向の一端から前記第1ニードル131の幅方向の両側にそれぞれ設けられてもよい。
【0095】
つまり、前記切り取り部140は、
図5の(a)に示すように、前記第1ニードル131の長さ方向の一端における、前記第1ニードル131の幅方向の両端と前記担持溝133の長さ方向の一端との間にそれぞれ配置されるスリット孔の形状を有してもよく、
図5の(b)に示すように、前記第1ニードル131の長さ方向の一端における、前記第1ニードル131の幅方向の両端にそれぞれ設けられ、前記ニードル孔120と連通可能に連結されるノッチの形状を有してもよい。
【0096】
前述したように構成された切り取り部140は、皮膚に接触した基板部110が皮膚上から分離されるときに皮下に挿入された前記第1ニードル131と前記第2ニードル132が皮下に残留するようにするため、前記第1ニードル131の長さ方向の一端部位が前記基板部110上で容易に切れるようにその連結部位の面積を減らす役割を果たす。
【0097】
すなわち、皮下に挿入された前記第1ニードル131と前記第2ニードル132は、皮下組織の収縮力によって皮下組織に結着できる。このとき、ユーザーによって皮膚上から分離される前記基板部110が皮下組織の収縮力よりも大きな力で第1ニードル131と第2ニードル132を引っ張ると、第1ニードル131と第2ニードル132も基板部110と一緒に皮膚上から分離されるしかない。
【0098】
しかし、本発明の一実施形態では、前記切り取り部140を前記基板部110と前記第1ニードル131との連結部位に形成することにより、前記第1ニードル122と前記第2ニードル123を引っ張るように前記基板部110に提供される力を、皮下組織が提供する収縮力よりも小さくなるように減衰させ、前記第1ニードル131と前記第2ニードル132が皮下に残留するようにした。
【0099】
また、前記第2ニードル132に設けられた係止段部132aが皮下組織に係止できるので、前記第1ニードル131と前記第2ニードル132が皮下組織にさらに結着できる。よって、皮膚に接触していた基板部110が皮膚上から分離されるとき、前記第1ニードル131と前記基板部110との連結部位が前記係止段部132aによってさらに容易に切れることがある。
【0100】
皮膚に残留した前記第1ニードル131と前記第2ニードル132は、前記基板部110に担持された薬物を皮下へ伝達するだけでなく、生体吸収性金属に含まれているミネラル成分も皮下へ伝達することができる。すなわち、生体吸収性金属として活用されるマグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄成分が皮下へ伝達されることにより、体内にミネラル成分も供給することができる。
【0101】
ちなみに、生体吸収性金属は、整形外科用インプラントに応用するために、マグネシウムをベースにする合金が製作されて国内外で商用化された事例があり、整形外科用インプラントに適用された生体吸収性金属は、安全な骨折固定のために体内での分解速度を最大限に下げるか、或いは耐食性の向上に焦点が合わせられていた。
【0102】
ところが、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100を形成する生体吸収性金属は、整形外科用に適用された生体吸収性金属とは異なり、体内での分解速度を加速化して皮下で薬物の放出と共にミネラルの供給が可能なメカニズムが適用できる。
【0103】
例えば、生体吸収性金属として活用されるマグネシウム、カルシウム、亜鉛は、下記の[化学式1]乃至[化学式3]でそれぞれ表れたように、水と反応して水素ガスを放出しながら分解されるメカニズムを保有している。
【0107】
上述したような生体吸収性金属で形成された基板部110とニードル部130は、皮下でイオンおよび分解産物を放出し、その副産物により生成される水素ガスが皮下内で膨潤効果を提供してシワ改善効果を誘導することができる。
【0108】
また、生体吸収性金属の構成成分であるマグネシウムと亜鉛が生体内に挿入されて生成される副産物であるZnOとMgClは、皮膚の表面に留まりながら、基板部110と前記ニードル部120に担持された薬物が皮下に吸収されることを向上させる薬物送達エンハンサー(enhancer)の役割も果たすことができる。したがって、生体吸収性金属で形成された前記基板部110と前記ニードル部130は、それ自体に担持している薬物をユーザーに効果的に伝達することができる。
【0109】
一方、前記基板部110に設けられる前記ニードル孔120と前記ニードル部130の形状は、公知のリソグラフィ(Lithography)またはエッチング(Etching)法によって前記基板部110上でパターン化されて形成できる。
【0110】
このとき、生体吸収性金属で形成された基板部110は、メタル素材の金属、例えば、ステンレス鋼または鉄などの金属よりも低い耐食性を持っているので、前記ニードル部130の枠が前記リソグラフィまたはエッチング法によって腐食されて原素材自体の厚さよりも薄くなって鋭利になることがある。すなわち、前記第1ニードル131または前記第2ニードル132の周り部にはリソグラフィまたはエッチング法による腐食によってそれ自体の厚さよりも小さい厚さを有する鋭い斜面が形成され、皮下に容易に挿入できる鋭い形状を有することができる。
【0111】
また、本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードル100は、従来のマイクロニードルに設けられたニードル孔よりは相対的に大きい直径または大きい面積を有するニードル孔120を備えているので、ユーザーは、前記ニードル孔120を介してライトセラピー(light−therapy;光線治療)施術も並行して受けることができる。
【0112】
すなわち、前記基板部110が皮膚に付着しても、多数のニードル孔120を介してユーザーの皮膚が外部に露出するおそれがあるので、その露出した皮膚に、皮膚疼痛やにきび、アトピーなどの皮膚疾患に有益な光を照射して光線治療も容易に行うことができる。
【0113】
したがって、ユーザーは、前記ニードル部130を介して皮膚に投入されて拡散する薬物と前記ニードル孔120を介して照射される光によって治療を受けることができるので、薬物治療と光線治療との相乗効果を期待することができる。
【0114】
ちなみに、本発明の一実施形態では、前記ニードル孔120を介して露出した皮膚に、人体に有益な光を照射してライトセラピー施術も受けることができると説明したが、これに限定されない。つまり、液状のスキンケア物質または皮膚治療物質を、前記ニードル孔120を介して露出した皮膚に塗布して皮膚治療施術を行うこともできる。
【0115】
また、前記基板部110は、前記ニードル孔120によってユーザーの皮膚にさらに密着して接触することができる。
【0116】
すなわち、本発明の一実施形態に係るニードル孔120は、多数のニードル部130を一つの空間内で収容する構成により、従来のマイクロニードルに設けられたニードル孔(一つのニードルのみ収容することが可能な孔)より相対的に大きい直径または大きい面積を持つため、前記基板部110がユーザーの皮膚と接触するときにユーザーの皮膚が前記ニードル孔120に挿入され、この時、負圧が形成されて前記基板部110が皮膚にさらに密着することができる。
【0117】
したがって、本発明の一実施形態に係るマイクロニードル100は、前記ニードル孔110によって前記基板部110がユーザーの皮膚にさらに密着できる構成を持つことができる。
【0118】
前述したように構成された本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードル100は、一つのニードル孔の周りに多数のニードル部が一定のパターンで設けられる構成を持つため、所定の面積の皮膚に多数のニードル部を挿入させて、体内へ伝達しようとする薬物を皮下に迅速に拡散または浸透させることができる。
【0119】
また、本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードル100は、正六角形の形状に形成されたニードル孔120によって基板部110がハニカム構造を持つことができるので、ニードル部130を折り曲げるプレス加圧過程で基板部110がプレスによって変形したり破損したりすることを最小限に抑えることができる。
【0120】
また、本発明の一実施形態に係るマルチ型マイクロニードル100は、プレスの可動金型に設けられた加圧片をニードル部130の個数と同じ個数だけ設けなくても、多数のニードル部130を基板部110上から突出させることができるので、プレスの可動金型製作コストを削減させ、結果として、マイクロニードルの製造コストを減らすことができるとともに製造工程も簡素化させることができる。
【0121】
以上、本発明に係る具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形が可能であるのはもちろんである。
【0122】
よって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のマイクロニードルは、医療分野やスキンケア分野などの多様な産業分野に販売されて使用可能である。
【国際調査報告】