(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-529032(P2019-529032A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】ブラシヘッド、特に電動歯ブラシ用のブラシヘッド、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A46B 3/06 20060101AFI20190920BHJP
【FI】
A46B3/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-536692(P2019-536692)
(86)(22)【出願日】2017年9月20日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月10日
(86)【国際出願番号】EP2017073760
(87)【国際公開番号】WO2018054965
(87)【国際公開日】20180329
(31)【優先権主張番号】102016011477.0
(32)【優先日】2016年9月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518459994
【氏名又は名称】エム・プラス・ツェー シファー ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッフホルツ, エルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー, ベルトールド
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, エリック
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202BA01
3B202EA01
3B202EG03
(57)【要約】
本発明は、ブラシヘッド、特に電動歯ブラシ用のブラシヘッドに関連する。前記ブラシヘッドは、キャリア部(10)に接続された保持部(2)を有し、前記キャリア部(10)の表面(16)から、ブリッスルフィラメントにより形成された少なくとも1つのブリッスル束(8)と、弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)とが突出している。本発明によれば、前記ブラシヘッドにおいて、前記キャリア部(10)が通過孔(12)を有し、且つ、前記ブリッスル束(8)及び前記弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)が、それぞれ、前記通過孔(12)の1つを通って突出して、前記フィラメント材料により形成された厚肉部(14)又は前記弾性的に柔軟な材料により形成された厚肉部(38,40)を用いて、前記キャリア部(10)に対してポジティブフィット式に固定されることを特徴とする。本発明による方法において、最初に前記キャリア部(10)が、通過孔(12)を有する独立した部品として準備され、そして、前記ブリッスル束(8)と、前記弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)とが、前記ブリッスル束(8)及び前記弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)上にそれぞれ設けられた厚肉部(14,38,40)を用いて前記キャリア部(10)に対して固定され、このように準備された前記キャリア部(10)が、次いで、前記保持部(2)に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシヘッド、特に電動歯ブラシ用のブラシヘッドであって、キャリア部(10)に連結された保持部(2)を有し、前記キャリア部(10)の表面(16)から、ブリッスルフィラメントにより形成された少なくとも1つのブリッスル束(8)と、弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)とが突出しているブラシヘッドにおいて、
前記キャリア部(10)が通過孔(12)を含み、前記ブリッスル束(8)及び前記弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)が、それぞれ、前記通過孔(12)の1つを通って突出して、前記フィラメント材料により形成された厚肉部(14)又は前記弾性的に柔軟な材料により形成された厚肉部(38,40)を用いて、前記キャリア部(10)に対してポジティブフィット式に固定されることを特徴とする、ブラシヘッド。
【請求項2】
前記厚肉部(14,38,40)が、前記キャリア部(10)に、材料ポジティブフィット式に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記厚肉部(14,38,40)が前記キャリア部(10)に、前記通過孔(12)の裏側で開口部が閉鎖されるように連結されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
前記通過孔(12)の裏側の前記開口部が、前記キャリア部(10)に対して溶融状態で付与されたフィラメント材料又は弾性的に柔軟な材料により閉鎖されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項5】
複数の弾性的に柔軟な清掃要素(34,36)が共通の厚肉部(40)を有し、それにより互いに連結されていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項6】
前記保持部(2)と前記キャリア部(10)とが、前記キャリア部(10)と前記保持部(2)との間の間隙(18)に溶融状態で導入されたプラスチック材料(24)により互いに連結されていることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項7】
前記間隙(18)に導入された前記プラスチック材料(24)が、前記キャリア部(10)及び/又は、前記保持部(2)により形成されたプレート(6)を周方向に取り囲み、特に、前記プレート(6)及び/又は前記ブリッスルキャリアの下に重なり又は上に重なることを特徴とする、請求項6に記載のブラシヘッド。
【請求項8】
前記キャリア部(10)及び/又は前記保持部(2)が、前記間隙を画成する少なくとも1つのスペーサ(20)を形成していることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載のブラシヘッド。
【請求項9】
前記ブラシヘッドを前記電動歯ブラシの電気駆動装置に機械的に接続するための接続要素により特徴付けられる、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項10】
電動歯ブラシのためのアタッチメント部品であって、前記電動歯ブラシの駆動装置に接続され得る駆動シャフトがその内部に設けられたスリーブ部材と、前記駆動シャフトに接続された請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のブラシヘッドと、を備えた、前記アタッチメント部品。
【請求項11】
ブラシヘッド、特に電動歯ブラシ用のブラシヘッドであり、キャリア部(10)に連結された保持部(2)を有し、前記キャリア部(10)の表面(16)から、ブリッスルフィラメントにより形成された少なくとも1つのブリッスル束(8)と、弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)とが突出している前記ブラシヘッドを製造するための方法であって、最初に、前記キャリア部(10)を、通過孔(12)を有する独立した部品として準備し、そして、ブリッスルフィラメントからつくられた、前記通過孔(12.1)の1つを通って突出する少なくとも1つのブリッスル束(8)と、前記通過孔、又はその他の通過孔(12.2)の1つを通って突出する少なくとも1つの弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)とが、前記キャリア部(10)に連結され、そして、前記ブリッスル束(8)又は前記弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)上にそれぞれ形成された厚肉部(14,38,40)を用いて固定され、このように準備された前記キャリア部(10)が、次いで、前記保持部(2)に連結される、方法。
【請求項12】
前記フィラメント材料から形成された前記厚肉部(14)及び/又は前記弾性的に柔軟な材料から形成された前記厚肉部(38、40)が、溶融状態で前記通過孔(12.1,12.2)の裏側の開口部に、当該開口部を密閉するように付与されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記キャリア部(10)に、予め作製された弾性的に柔軟な要素(32)が詰め込まれることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)を形成するための前記弾性的に柔軟な材料が、溶融状態で前記通過孔(12.2)を通して射出されることを特徴とする、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ブリッスル束(8)、及び/又は、弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)のプリフォームを、関連する通過孔(12.1、12.2)に挿入した後に、前記ブリッスル束及び前記要素の取り付け側の端部を加熱して前記厚肉部(14,38,40)を形成する熱成形ステップにより特徴付けられる、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)及びブリッスル束(8)が一緒に単一の通過孔(12.1,12.2)に設置される、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの弾性的に柔軟な清掃要素(32,34,36)及び前記ブリッスル束(8)が、取り付け側にて一緒に加熱されて共通の厚肉部を形成することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシヘッド、特に電動歯ブラシ用のブラシヘッドに関する。このようなブラシヘッドは、一般的に、電動歯ブラシのハンドピース(その内部に一般的に駆動装置を収容している)に接続可能なアタッチメント部品として販売されている。アタッチメント部品はプラスチック材料製の消耗品である。アタッチメント部品は、通常、スリーブ部材を含み、このスリーブ部材に、ハンドピースの駆動シャフトに接続され得る駆動シャフトが差し込まれる。本発明によるブラシヘッドが、スリーブ部材の自由端に一般的に配置される。
【背景技術】
【0002】
口腔用の清掃要素は、口腔内の空間が限られているために、非常にコンパクトで小型に設計されることが一般的に要求される。口腔内では、歯の頬側の面の清掃が、頬が近接しているためにとにかく困難である。
【0003】
歯のクリーニングに一般的に使用されるブリッスル束(毛束)をブリッスル束キャリアに取り付けるための様々な選択肢がある。インモールド法は、ブリッスル束上に厚肉部を形成し、液体プラスチック材料により密閉(シール)して、ブリッスルキャリア又はその少なくとも一部を形成する。インモールド法は、比較的高さの低いブラシの製造を可能にしている。本発明の意味の範囲における「高さ」(height)とは、ブリッスル束のフィラメントとほぼ平行な延在部であると理解されたい。
【0004】
本発明の請求項1のプリアンブルに記載の特徴を有するブラシヘッドが特許文献1から知られる。このブラシヘッドにおいて、保持部は、ブラシヘッドをアタッチメント部品の駆動要素に接続するためのピンとして接続される。保持部は、第1に、駆動トルク(典型的に、ブラシヘッドをその枢動軸を中心に枢動させる、往復運動で加えられるトルク)を付与するために使用される。この保持部は、プレート形状のキャリア部に連結されており、キャリア部は保持部に、インモールド技術を用いて取り付けられ、また、ブリッスルフィラメントからつくられたブリッスル束により形成される。インモールドプロセスにおいて、ブリッスル束はその端部が表面溶融されて厚肉部を形成する。このようにして準備されたブリッスル束が、キャリア部を形成するプラスチック部品が射出される金型キャビティに突き通される。既に知られているブラシヘッドは、弾性的に柔軟なクリーニング要素も担持している。これらは、取り付け側にて、プラスチック材料から形成された取り付け足に接続されて、幅広固定ヘッド(通過孔を通って突出し、その裏側でスナップロック式にロックする)を形成する。固定ヘッドは、キャリア部の裏側に開口している幅広の固定レセプタクルに受け入れられる。弾性的に柔軟な清掃要素をブラシヘッドにこのように取り付けることにより、弾性的に柔軟な清掃要素をキャリア部に対して或る程度枢動させることが可能になる。
【0005】
しかし、この構成は、固定ヘッドが、或る程度の高さのキャリア部を必要とし、可能な限り高さが低いブラシに対する要望に応えられないため、不利である。さらに、バクテリア又は汚染物が、裏側が開いているロッキングレセプタクルに詰まる可能性がある。また、キャリア部に形成された通過孔に固定ヘッドを通過させるために、或る程度の公差が必要であるため、細菌又は汚染物が、通過孔内、及び、キャリア部と取り付け脚部との間に集まり、これは、歯ブラシのブラシヘッドの衛生上の要求条件に反する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2599403号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、改良された、特に電動歯ブラシ用のブラシヘッド、及び、このようなブラシヘッドの製造に適した方法を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を、装置に関して達成するために、本発明は、請求項1に記載の特徴を有するブラシヘッドを提案する。このブラシヘッドにおいて、キャリア部が、ブリッスル束又は弾性的に柔軟なクリーニング要素がそれぞれ通過する通過孔を含む。本発明によるブラシヘッドは、少なくとも1つのブリッスル束と、少なくとも1つの弾性的に柔軟な清掃要素とを備えている。通過孔は、通常、これらの清掃要素の各々のために設けられる。従って、前記ブリッスル束のうちの1つが、この束に関連する1つの通過孔に受け入れられる。前記弾性的に柔軟な清掃要素のうちの1つが、それぞれの清掃要素に関連するさらなる通過孔に設置される。しかし、ブリッスル束を、弾性的に柔軟な清掃要素と一緒に単一の通過孔に設置することも可能である。この場合、前記ブリッスル束と前記弾性的に柔軟な清掃要素とが、共通の通過孔を共有する。
【0009】
本発明によれば、前記ブリッスル束及び前記弾性的に柔軟な清掃要素は、前記キャリア部にポジティブフィット式に固定される。この固定は、フィラメント材料により形成され得る厚肉部(thickened portion)を用いて、インモールド法により公知のように行われる。しかし、それ自体が公知のインモールド法とは異なり、前記キャリア部は、典型的には、最初に通過孔を有して準備され、その後、前記ブリッスル束又は前記弾性的に柔軟な清掃要素がそれぞれ設けられるだけである。前記キャリア部に対する前記ブリッスル束の前記ポジティブフィット固定のために、最初に前記キャリア部に前記ブリッスル束を詰め込み、次いで、前記ブリッスル束の、取り付け側の端部を表面溶融できる。すると、厚肉部が生じ、この厚肉部により前記ブリッスル束が前記キャリア部に対してポジティブフィット式に固定され、且つ、前記キャリア部の裏側に付与される。しかし、前記フィラメント材料は、対応する通過孔への開口部に対して融着可能な状態で付与されることができ、従って、この開口部は、前記フィラメント材料を前記キャリア部の材料に融着することにより密閉(シール)され得る。この手順は、このようにして準備された前記キャリア部の裏側における、この後に行われる裏面射出成形プロセスにおいて、溶融プラスチック材料が前記通過孔に入ることを防止する。
【0010】
例えば、対応する方法において、弾性的に柔軟な清掃要素のプリフォームを前記通過孔に導入し、次いで、その取り付け側の端部を加熱して厚肉部を形成できる。プリフォームは、例えば円筒状のロッド(棒)として構成され得る。例えば、このプリフォームを、単にヒートステーク(熱かしめ)すればよい。この方法では、前記弾性的に柔軟な材料を単純に軟化させた後、可塑的に成形して厚肉部を形成する。
【0011】
或いは、キャリア部に、予め作製された弾性的に柔軟な清掃要素を詰め込んでもよい。ここで、前記予め作製された弾性的に柔軟な清掃要素は、取り付け側に設けられる厚肉部を既に有している。前記予め作製された弾性的に柔軟な清掃要素は、一般的に、前記キャリア部の裏側から通過孔を通して、前記厚肉部が前記キャリア部の裏側に当接するまで押し込まれる。ここで、前記予め作製された弾性的に柔軟な清掃要素と前記キャリア部(典型的に、射出成形により生成される)とは、互いに係合(おそらくは相互ロック)する密閉輪郭を有して、前記通過孔の開口部を密閉する。こうして、前記通過孔の領域における、前記キャリア部と前記弾性的に柔軟な清掃要素との間の一種のラビリンスシールを、それぞれの清掃要素に対して形成できる。前記弾性的に柔軟な清掃要素は高い弾性を有するため、前記それぞれのラビリンスシールは、前記清掃要素を前記キャリア部に押し付けることにより効果的に生成されることができ、前記弾性的に柔軟な清掃要素が前記キャリア部に対して密閉的に付与されることができ、これにより、前記通過孔が密閉される。
【0012】
1つの代替的な方法において、前記弾性的に柔軟な清掃要素を形成するための弾性的に柔軟な材料を、可溶状態で前記通過孔に射出して、前記弾性的に柔軟な清掃要素を形成できる。このプロセスステップは、ブリッスル束が詰められる前、又は詰めた後のいずれにおいても行うことが可能である。この目的のために、金型キャビティが、通常、前記キャリア部の裏側に接触して用いられて、厚肉部を成形するための適切なキャビティを形成する。前記キャリア(典型的に、プラスチック材料から予め作製される)の反対側には、前記弾性的に柔軟な清掃要素の清掃作用領域の溶融成形に使用されるキャビティが設けられる。前記弾性的に柔軟な清掃要素は、通常、ロッド状、すなわち円筒状であり、好ましくは円形の断面を有する。しかし、長方形、多角形、又は楕円形の断面も考えられる。前記弾性的に柔軟な材料を射出成形した後、前記弾性的に柔軟な清掃要素に厚肉部が設けられ、これにより、前記キャリア部に、少なくともポジティブフィット式に、好ましくは、ポジティブフィット式で且つ材料ポジティブフィット(positive substance−fit)式に接合される。
【0013】
複数の弾性的に柔軟な清掃要素は、均一の又は共通の厚肉部を有することができ、この厚肉部は、射出成形、成型若しくはヒートステークによりつくられることができ、或いは、共通の厚肉部を有する複数の弾性的に柔軟な清掃要素を予め作製することによりつくられ得る。この厚肉部により、前記清掃要素が互いに接合される。
【0014】
前記通過孔をフィラメント材料又は前記弾性的に柔軟な材料で密閉することは、本発明の必要な特徴ではないが、それでもなお、好ましいことである。前記弾性的に柔軟な清掃要素と前記ブリッスル束とを備えたキャリア部を、例えばその裏側にて前記保持部に直接、射出成形により連結でき、これにより、高さに関して可能な限りコンパクトなブラシヘッドを製造できる。前記保持部は、一般的に、エンジニアリングプラスチック材料からつくられ、且つ、高い粘性を有し、これは、前記保持部を射出成形金型に比較的高い圧力で射出することを必要とする。前記保持部は、前記保持部上に一体的に形成されたプレートを形成でき、当該プレートの表面は、好ましくは、前記キャリア部の表面とほぼ平行に延在する。プラスチック材料を、前記保持部と前記キャリア部との間に導入し、硬化させて、前記キャリア部を前記保持部に連結できる。このプラスチック材料は、例えば射出成形により導入され得る。この手順における硬化が、前記プラスチック溶融物が冷却するときに生じることが好ましい。前記プラスチック材料は、硬化又は固定される接着剤であることが適切であろう。前記保持部にプレートが設けられる場合、このプレートの表面が、前記キャリア部の裏面と共に、好ましくは間隙を取り囲み、この間隙に、前記プラスチック材料が充填されて、前記キャリア部と前記保持部とを連結させる。
【0015】
電動歯ブラシのブラシヘッドとしてのブラシヘッドの好ましい実施形態において、保持部は、前記ブラシヘッドを歯ブラシの電気駆動装置に機械的に接続するための、少なくとも1つの接続要素を備えている。前記保持部は、その上に(好ましくは一方の側にて)ピンを備え、当該ピンは、前記ブラシヘッドの回転又は枢動軸を画成している。前記保持部は、典型的に、その全体又は一部が、前記アタッチメント部品の上述のスリーブ要素内に配置されて受け入れられる。これは、前記ブラシヘッドが、前記スリーブ要素に対する回転又は枢動運動を行うことができ且つ前記スリーブ要素に係留連結するように行われる。前記ブラシヘッドを前記電気駆動装置に機械的に接続するための前記接続要素は、最も簡単な場合、ピン上に凹状に設けられたレセプタクルであり、このレセプタクル内に、前記アタッチメント部品の前記駆動シャフトが係合して、例えば、前記ブラシヘッドに、前記スリーブ要素に対して周期的な枢動運動をさせる。この場合、前記接続要素は、前記保持部の外周面上に配置され、すなわち、前記保持部(一般的に円筒状の前記ピンの凹部を有する)により画成された前記枢動軸に対して垂直な延在部である。前記ピンは、その自由端において、典型的に、センタリングボアを含み、このボアは、前記スリーブ要素のセンタリングピンと協働して、前記ブラシヘッドの枢動運動のためのベアリングを画成する。前記接続要素の、反対側に典型的に位置する側において、前記ピンは、通常、ロッキング凹部を有し、この凹部にロッキングピン(前記スリーブ要素に固定的に接続される)が係合して、前記ブラシヘッドを前記スリーブ要素内に固定する。この固定は、前記ブラシヘッドが、前記枢動軸に沿って前記スリーブ要素上に前記ピンのために形成されたレセプタクルから引き抜かれることがないように行われる。前記スリーブ要素内に設けられた、前記ピンに接続するための前記シャフトは、好ましくは、ほぼ円筒状のロッキングヘッドを含み、このロッキングヘッドの円筒軸は、前記ロッキングピンの前記枢動軸にほぼ平行に延在するが延在する。このロッキングピンを受け入れるために、中央ピンが、一般的にロッキングピンレセプタクルを含み、ロッキングピンレセプタクルは、典型的に、前記枢動軸に対して偏心的であるが、前記枢動軸に対して平行に設けられる。
【0016】
前記ピンの上述の要素は、通常、前記ピンが前記スリーブ要素上に取り付けられたならば、前記スリーブ要素内に配置される。
【0017】
前記保持部の構成要素として設けられているプレートが、中央ピンを超えて半径方向に突き出ている。従って、前記保持部は、前記中央ピンと前記プレートから成る。前記プレートは、通常、ベース面を有し、当該ベース面は、前記ブラシヘッドの前記表面(この表面から前記ブラシヘッドの前記清掃要素が突出する)のベース面にほぼ対応し、且つ/又は平行に延在する。この表面は、円形又は楕円形であり得る。前記表面の前記ベース面、すなわち前記表面の輪郭は、柔らかい口腔粘膜を損傷から保護するための凸状の周縁を有するように選択される。
【0018】
前記キャリア部は、好ましくは、前記ブリッスル束がそこを通って突出する前記表面に対応するベース面を有する。好ましくはディスク形状のキャリア部が、通常、この表面を形成し、すなわち、前記ブラシヘッドの上端部を形成している。前記キャリア部は、好ましくはディスク形状であり、すなわち、実質的に同一平面上にある主要面を有し、主要面の一方は、通常、前記ブラシヘッドの前記表面を形成し、他方は、前記プレートに対向して、通常、前記プレートに平行に延在して、前記清掃要素の前記厚肉部のための当接面を形成している。前記キャリア部は、好ましくは、0.5mm〜3.0mmの厚さを有する比較的薄いディスクとして構成される。前記プレートは、それぞれの厚肉部の位置に対応して、対応する厚肉部を受け入れる凹部を含むことができ、これは、ブラシヘッドのコンパクトな設計にとって好ましい。
【0019】
キャリア部は、通常、前記保持部に、前記キャリア部と前記プレートとの間に鉛直方向に延在する隙間が残らないように連結される。前記キャリア部は前記プレートに直接当接できる。ここで、前記キャリア部と前記保持部とは、一般的に、最初に別々に製造される2つの部品として形成され、その後、接合される。この接合は、溶接、例えば、超音波溶接又は摩擦溶接により行われ得る。
【0020】
射出成形により接合する場合、前記ブリッスルキャリアと前記保持部とは、最初に別々に作成されたこれらの2つの部品を接合するために、最初に射出成形金型に挿入され、これらの2つの部品は、互いに所定距離離隔されて保持される。この離隔保持は、前記ブリッスル束及び前記弾性的に柔軟な清掃要素の前記厚肉部が、前記保持部の上側(好ましくは、前記保持部の前記プレートの上側)と前記キャリア部の下側との間に、好ましくは、前記通過孔を密閉するように配置されるように行われる。次いで、前記2つの部品間に残されている間隙にプラスチック材料が射出されて、前記間隙を完全に充填して、前記キャリア部を前記保持部に連結する。こうして射出成形されたコーティングの形態で形成された中間層は、好ましくは、前記キャリア部と前記保持部又は前記プレートとの間にそれぞれ配置されるだけではない。この中間層は、前記プレート及び/又はキャリア部を周方向において全体的に又は部分的に取り囲むこともできる。これにより、例えば、キャリア部と前記保持部とを周方向に取り囲んで外側輪郭を画成する当接縁部を、異なる材料から生成できる。射出される材料は、通常、熱可塑性材料である。このプラスチック材料は、弾性的に柔軟な材料、例えば、TPE(熱可塑性エラストマ)であり得る。或いは、射出される材料は、硬質成分、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)、POM(ポリアセタール)、PC(ポリカーボネート)又はPBT(ポリブチレンテレフタレート)から形成され得る。一般的に好ましいのは易流動性プラスチック材料、好ましくは、2.16kgで15g/10minよりも大きいMFI(メルトフローインデックス)、及び、そのプラスチック材料に対応する試験温度を有するプラスチック材料である。また、口腔内の歯又は組織領域が前記ブラシヘッドの外周により穏やかに清掃され得るように、クリーニング又は研磨効果を有する添加剤を射出材料に添加することも可能である。
【0021】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、前記中間スペースに導入されたプラスチック材料は、前記保持部の前記キャリア部又は前記プレートの上に重なり又は下に重なる。また、前記中間スペースに導入されたプラスチック材料は、典型的に、それぞれ前記キャリア部又は前記保持部の表面に、段差を有さずに連続的に移行するように構成される。前記キャリア部は、前記キャリア部の表面から離間して設けられた、半径方向突出部又は半径方向周縁部を有することができ、この半径方向突出部の上に、前記中間スペース内に射出された前記プラスチック材料が重ねられ、これにより、前記キャリア部を前記保持部に対してポジティブフィット式に固定もできる。同様に、前記中間スペース内に射出された前記プラスチック材料は、前記プレートの下側にも設けられ得る。この目的のために、前記プレートもまた、半径方向突出部を形成でき、この半径方向突出部の下に、前記中間スペース内に射出された固化プラスチック材料が重ねられ、これにより、この場合もまた、前記中間スペース内に射出された前記プラスチック材料を前記保持部に、枢動軸の方向にてポジティブフィット式に連結する。
【0022】
可能な最強の連結に関し、前記中間スペース内に導入された前記プラスチック材料が、前記ピンまで到達することが好ましい。すなわち、前記中間スペース内に導入された前記プラスチック材料が、前記プレートの裏側を覆って、前記ブラシヘッドの幅広部の下側(前記典型的に円筒状のピン上で前記枢動軸へと半径方向に突出する)を形成するように到達することが好ましい。こうして、前記プレートと前記キャリア部とが、同一のベース面を有して形成されることができ、そして、前記中間スペース内に導入された前記プラスチック材料が、この中間スペースに正確に閉じ込められる。前記中間スペース内に導入された前記プラスチック材料が、前記キャリア部又は前記プレートをそれぞれ周方向に取り囲む場合、前記幅広部の外側輪郭もまた、特に、典型的には、専ら、前記中間スペースに導入されたプラスチック材料により画成される。しかし、前記中間スペースに導入されるプラスチック材料が、前記キャリア部の下にのみ配置されてもよく、この場合、前記キャリア部のみが、ブリッスル束がそこを通って突出する表面を画成し、そして、前記キャリア部の裏側が、前記プレートと、前記中間スペース内に射出されたプラスチック材料により覆われる。また、このプラスチック材料は、前記プレートの裏側も取り囲むことができ、これにより、前記キャリア部を前記保持部に、前記枢動軸の方向においてもポジティブフィット式に接合できる。
【0023】
本発明によるブラシヘッドの可能な限り簡単な製造に鑑みて、本発明の好ましい発展形態によれば、前記キャリア部又はそのプレート及び/又は保持部が、それぞれ、前記中間スペースを画成するスペースを形成することが提案される。それぞれのスペーサは、典型的には、前記キャリア部又は前記プレート上のそれぞれに一体的に形成される。前記スペーサは、前記キャリア部又は前記保持部からそれぞれ枢動軸の方向に突出し、その自由端がそれぞれ、前記キャリア部又は前記プレートにより形成された噛み合い面に当接する。前記スペーサ(単数又は複数)は、前記中間スペースを画成するために、前記キャリア部上に、また、前記保持部上にも設けられ得る。従って、前記ブラシヘッドの製造において、予め作製された部品、前記キャリア部、及び前記保持部は、前記射出成形金型内で、前記スペーサを用いて離間されるが、既に互いに押し付けられているため、スペーサは幾分変形され得る。しかし、前記中間スペースは常に残されており、この中間スペース内に前記プラスチック材料が、射出成形コーティング中に導入されて充填される。こうして、所定寸法を有するブラシヘッドを、特に前記スペーサのおかげで製造できる。
【0024】
前記ブラシヘッドの高さを可能な限りコンパクトに設定するために、前記中間スペースの高さは、好ましくは、前記厚肉部の寸法にほぼ対応する。この基準は、前記高さが前記厚肉部の高さ延在部の100%〜200%に対応する場合に、既に満たされている。前記キャリア部及び/又は前記保持部は、通常、円形又は楕円形のベース面を有して形成される。前記キャリア部と前記保持部の、対向して配置された主要側面(main side surfaces)は、典型的には、ほぼ平坦で且つ互いにほぼ平行に設けられる。上述のスペーサのみが、前記保持部と前記キャリア部とのそれぞれの、対向して配置された面を超えて突出している。前記キャリア部の、前記ブリッスル束又は前記弾性的に柔軟な清掃要素がそれぞれそこを通って突出している面は、典型的に、前記ブラシヘッドの面の90%〜100%、好ましくは30〜60%を形成する。前記縁部及び中間スペースは、好ましくは、前記ブラシヘッドの面の40%〜70%を占める。前記ブラシヘッドのこの面は、通常、円形又は楕円形に形成される。
【0025】
前記ブラシヘッドの、ピンに対して幅広の部分の正味高さは、通常、2.5mm〜5.0mmである。前記ピンは枢動軸を形成し、ブラシヘッドが電動歯ブラシに設置される場合、前記ブラシヘッドを駆動するための駆動面も形成し得る。
【0026】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、ナブ(nubs)が、前記保持部又は前記プレートのそれぞれの裏側、すなわち前記キャリア部とは反対の側に設けられ、好ましくは、前記保持部上に一体的に形成される。これらのナブの自由端は前記ブラシ本体の下面に露出されている。ナブは、通常、前記枢動軸に平行に延在する。また、前述のナブは、前記保持部又は前記プレートを、それぞれ射出成形金型内に位置決めするように機能する。この位置決めは、前記中間スペースに導入された前記プラスチック材料が前記保持部の下面周囲を流れてそこで固化できるように、そして、これにより、この下面のほぼ全体が、前記中間スペース内に導入された前記プラスチック材料により形成され、前記ナブのみが、その自由端がこの下面上に露出されるように行われる。このようにして、前記ブラシヘッドの下側の前記中間スペースに導入されるプラスチック材料の予め決められた層厚さが、簡単な方法で定められる。この目的のために射出成形材にて必要なスペーシングは、前記ナブにより、確実且つ簡単に設定される。ナブは、典型的には、前記保持部又は前記プレートのそれぞれの外縁内に半径方向に配置され、この配置は、前記保持部又は前記プレートが縁部において比較的薄く構成され、そして、前記中間スペースに導入されるプラスチック材料により取り囲まれることができるように行われる。
【0027】
上述のスペーサ及び/又はナブは、典型的に、前記ブリッスルキャリア及び/又は前記保持部若しくは前記プレートのそれぞれの上面又は下面に、周方向に分散して設けられる。
【0028】
また、本発明は、電動歯ブラシ用のアタッチメント部品に関連し、当該アタッチメント部品は、スリーブ要素と、当該スリーブ要素内に設けられて前記電動歯ブラシの駆動装置に接続可能な駆動シャフトと、本発明によるブラシヘッドとを備えている。前記ブラシヘッドは前記駆動シャフトに接続されている。前記スリーブ要素は、前記ブラシヘッドとは反対側に位置する端部に、前記アタッチメント部品を前記電動歯ブラシのハンドピース上で支持するための機械的接続オプションを含む。さらに、前記駆動シャフトは、その端部側にて、前記駆動シャフトが前記ハンドピースの駆動シャフトに接続されるように構成されている。これは、前記スリーブ要素が前記電動歯ブラシの前記ハンドピースのハウジング上に取り付けられたときに前記駆動シャフトの回転運動を前記ブラシヘッドに伝達するためである。そして、前記ブラシヘッドは、典型的には、枢動される。すなわち、前記駆動シャフトは回転式に駆動されるのではなく、所定の角度範囲だけ周期的に枢動されるだけである。
【0029】
本発明のさらなる詳細及び利点は、図面と組み合わせた実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態の部分断面斜視図である。
【
図6】キャリア部の一実施形態の、保持部に接続される前の断面図である。
【
図8】
図7に示した電動歯ブラシのブラシヘッドの断面図である。
【
図9】
図7及び
図8に示した電動歯ブラシの駆動ピンの斜視図である。
【
図10】
図9に示した駆動ピンの、ハブが接合状態にある断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は、各々、実施形態を概略的に示している。参照番号2は保持部を示す。保持部2は、ピン4及びプレート6を形成しており、プレート6はピン4から半径方向に突出し、且つ、ピン4上に一体的に設けられている。ブリッスル束8が、キャリア部10に設けられた通過孔12を通って突出し、ブリッスル束8の厚肉部14が、キャリア部10の裏側にて当接している。図を簡単にするために、1つのブリッスル束8のみが
図1に示されている。言うまでもなく、ブリッスル束8又はその他の清掃要素(具体的には、弾性的に柔軟な清掃要素)が、キャリア部10により形成された表面16全体にわたり、面の可能な限り多くの部分にわたって清掃作用を得るように突出している。ブリッスル束及び清掃要素は、市場で一般的であるように、様々な直径、色、材料特性及び輪郭、並びに、様々なブリッスルフィラメント及び様々な個数のブリッスルフィラメントを有し得る。弾性的に柔軟な清掃要素として、好ましくは、熱可塑性エラストマ製の清掃要素が考えられる。弾性的に柔軟な清掃要素は、好ましくは、ブリッスル束8(単数又は複数)に対してほぼ平行に延在する。
【0032】
図1〜
図5は、保持部2に対するキャリア部10の配置の様々な例を示す。キャリア部10の通過孔12に保持されている清掃要素の詳細は、
図6及び添付の説明で論じる。
【0033】
図6及び関連する説明は、ブリッスル束、及び、弾性的に柔軟な清掃要素、並びに、これらの形成の例を示す。
【0034】
参照番号18は、キャリア部10の下面とプレート6の上面との間に囲まれた中間スペースを示す。スペーサ20が、プレートからこの中間スペース18内に突出し、キャリア部10の下面に当接してプレート6から所定の距離にキャリア部10を保持している。
図1は、このようなスペーサ20を1つだけ示しているが、複数のこのようなスペーサ20がプレート6の表面から突出して、キャリア部10をプレート6に対して点状に且つ様々な位置にて保持及び支持する。
【0035】
ナブ22がプレート6の下面から突出している。また、これらのナブ22の幾つかもまた、プレート6の下面に設けられてプレート6の下面上に一体的に形成されている。
【0036】
参照番号24は、中間スペース18内に射出されたプラスチック材料を示す。このプラスチック材料24は中間スペース18を完全に満たしている。また、プラスチック材料24は、キャリア部10を周方向に取り囲んでいるが、表面16上でキャリア部10と面一に終端している。また、プラスチック材料24は、プレート6の下面も囲んでピン4まで半径方向に突出している。この実施形態において、参照番号26で示されているブラシヘッドの幅広部は、キャリア部10と、プレート6と、プラスチック材料24による射出成形コーティング部とから構成されたディスクの形態で形成されている。ディスクの縁部は、各々、丸みを帯びている。プラスチック材料24は、現在のところ、容易に流動する熱可塑性エラストマであり、これは、キャリア部10をプレート6に接合するだけでなく、ディスクの外側境界部を、比較的軟質の材料(柔らかい口腔粘膜に対して、硬質プラスチック材料よりも優しい材料)から形成する。
【0037】
保持部2は、エンジニアリングプラスチック材料から形成される。エンジニアリングプラスチック材料は、高い耐摩耗性、及び、少なくとも1500MPaの高い弾性率を示す。このようなエンジニアリングプラスチック材料の粘度は比較的高い。本発明のエンジニアリングプラスチック材料のMFI(メルトフローインデックス)は、プラスチック材料に対応する試験温度及び2.16kgの荷重で、<20g/10minである(20g/10minより小さい)。工業用プラスチック材料は、具体的には、POM、PA、PC、又はPBTである。保持部2はこのような材料からつくられる。ピン4は、典型的に、接続部、ホルダ、及びセンタリング装置(一般的な説明で提示される)を含む。これらを用いて、図示されている実施形態が、電動歯ブラシ用のアタッチメント部品のスリーブ要素(図示せず)に保持されることができ、且つ、駆動装置に機械的に接続され得る。
【0038】
図示されている実施形態において、プラスチック材料24は、キャリア部10とエンジニアリングプラスチック材料製の保持部2との間に接着力を付与できる。ブリッスルキャリアは、硬質成分、例えば、PA、PET、PP、PE、POM、PC、又はPBTのそれぞれから形成され得る。
【0039】
図1に示した実施形態は、プラスチック材料24を保持部2に確実に取り付けるために、ポジティブフィット連結が必要であることを想定している。また、プラスチック材料24はプレートの下面にも延在し、従って、ピン4がそこから突き出ている幅広部26の下面も形成する。しかし、キャリア部10の材料性質は、プラスチック材料24がキャリア部10に、材料ポジティブフィット式でのみ確実に接着され得るような性質である。しかし、プラスチック材料24は、キャリア部10を周方向にのみ取り囲む。
【0040】
図1に示した実施形態を製造するために、キャリア部10は、最初にプラスチック材料から射出成形により製造され、射出成形中に通過孔(単数又は複数)12が形成される。その後、キャリア部10にブリッスル束8が詰め込まれ、最初に、ブリッスル束8の、アタッチメント(取り付け)側の端部が、キャリア部10から所定の距離に配置されて溶融される。次いで、ブリッスル束8は軸方向に、溶融工程中に形成された厚肉部14をキャリア部の下面に押し付けるために移動される。
【0041】
保持部2は、好ましくは、エンジニアリングプラスチック材料から射出成形により、ピン上の全ての機能面を有する最終的な輪郭を有して準備される。準備された2つの構成要素2及び10を射出成形金型に入れる。保持部2は、一方の金型半体に割り当てられ、キャリア部10は他方の金型半体に割り当てられる。キャリア部10は、典型的には、いわゆる穿孔フィールドプレートにより保持される。穿孔フィールドプレートは、典型的には、射出成形金型の外側でキャリア部10に設けられ、その後、射出成形金型の内側に、射出成形金型を完成させるために挿入される。射出成形金型が閉じられると、スペーサ20がキャリア部10の下面に当接し、そこでわずかに圧縮される。次いで射出されるプラスチック材料24が、残りの中間スペース18に充填される。プレート6の上記以外の平坦な裏側は、ナブ22により、射出成形金型から所定の距離に保持され、その結果、その距離に間隙が残され、この間隙にプラスチック材料24が充填され、これにより、プレートの、プラスチック材料24による裏側射出成形コーティングを形成する。プラスチック材料24が十分に冷却された後、金型ネストが開かれ、
図1に概略的に示されている完成品が取り出される。
【0042】
図2は、本発明の基本形態の断面図を示す。同一の構成要素には、前述の実施形態と同じ参照番号が付されている。これは、図面の全ての図に当てはまる。
【0043】
図2に示されている基本形態において、中間スペース18にプラスチック材料24が充填されている。プラスチック材料24は、幅広部26の外周面と面一で終端している。幅広部26の外周面は、上部においてはキャリア部10の縁部により形成され、底部においてはプレート6の縁部により形成され、それらの間においては、プラスチック材料24により形成されている。
【0044】
図2と比較すると、
図3による実施形態におけるプレート6は、キャリア部10よりも小さい半径方向延在部を有する。プラスチック材料24は、キャリア部10とプレート6との両方を周方向に取り囲むが、表面16より上、又は、プレート6の下面より下を、それぞれより厚くすることには寄与していない。プラスチック材料24は、キャリア部10とプレート6とを周方向に囲む、単なる衝撃保護部である。このような構成において、保持部2及びキャリア部10は、典型的に、中間スペース18に射出されるプラスチック材料24に接着するプラスチック材料から形成され、これにより、材料ポジティブフィット連結が枢動軸Sの方向に生じる。
【0045】
図4に示した実施形態は、
図2の実施形態にほぼ対応しているが、保持部2上に一体的に形成されたスペーサ20がプレート5から突出し、キャリア部10の下面に当接し、これにより、中間スペース18を画成している。
【0046】
図5に示した構造は、
図1に示した実施形態にほぼ対応している。しかし、
図5に示されているキャリア部10は、ロッキング縁部28を有する。ロッキング縁部28は、表面16から離間して形成され、且つ、キャリア部10により形成された表面16よりも突き出している。また、ロッキング縁部28に、プラスチック材料24が、枢動軸(参照符号Sにより示す)の方向において重ねられている。その結果、キャリア部10も、枢動軸Sの方向に引き出されないように、ポジティブフィット式に固定される。プレート6の下側のアンダーラッピングにより、対応の作用によるポジティブフィット接続が、プラスチック材料24と保持部2との間に確立される。さらに、プラスチック材料24は、キャリア部10とプレート6の両方を外周方向において、ポジティブフィット接続が枢動軸Sに対する半径方向においても与えられるように、取り囲んでいる。
図5に示した実施形態は、キャリア部の材料及び保持部2の材料が接着性の点でプラスチック材料24に適合しない場合に、様々な部品を接合するのに特に適している。
【0047】
図6は、キャリア部10の一実施形態の断面図を示す。この実施形態において、第1の通過孔12.1の、ブリッスル束8の裏側までの領域に突出カラー30が設けられており、突出カラー30に厚肉部14が、材料ポジティブフィット式に当接している。この目的のために、ブリッスル束8のフィラメント材料、すなわち、単一のブリッスル束8のフィラメントを形成している材料が、アタッチメント側のブリッスル束8の端部で表面溶融されて、カラー30に対して溶融可能な状態で押し付けられる。これは、本願の出願人による国際公開第2016/097091号パンフレットに記載されている状態と同様である。
【0048】
このブリッスル束8に加え、弾性的に柔軟な清掃要素32,34,36の様々な実施形態が示されている。弾性的に柔軟な清掃要素は、好ましくは、熱可塑性エラストマ、すなわち、射出成形により加工され得る材料からつくられる。弾性的に柔軟な材料は、好ましくは、20〜60の硬度ショアAを有する。弾性的に柔軟な清掃要素32は、円筒状の構造で、表面16を超えて突出し、前面が丸みを帯びている。その反対側に位置する端部にて、弾性的に柔軟な清掃要素32は、厚肉部38を有する。厚肉部38は、通過孔12.2を半径方向に超えて突出して周方向に存在し、且つ、キャリア部10の裏側に、通過孔12.2を密閉するように当接している。厚肉部38は、弾性的に柔軟な清掃要素32を形成する材料から成形される。弾性的に柔軟な清掃要素32は、予め作製された弾性的に柔軟な清掃要素の一例である。この清掃要素は、最初に厚肉部38を有して(例えば、射出成形用金型内で)準備され、次いで、通過孔12.2に挿入することにより、予備組立式に詰め込まれる。
【0049】
弾性的に柔軟な清掃要素34と36は、互いに異なる長さで設けられ、且つ、共通の厚肉部40を有する。厚肉部40は、清掃要素34,36の2つのロッド状領域を接合し、これにより、清掃要素34,36をキャリア部10の裏側に、ポジティブフィット式に配置する。
【0050】
図示されているブラシヘッドの実施形態を製造するための様々な可能な方法がある。キャリア部10は、一般的に、最初に射出成形によりプラスチック小板として製造される。次いで、キャリア部10にブリッスル束8が詰め込まれる。ブリッスル束8は、アタッチメント側にて表面溶融されて、それぞれ関連するカラー30を密閉するように付与される。各ブリッスル束8は、それらに関連する通過孔12.1を有する。このように準備されたキャリア部10に、弾性的に柔軟な清掃要素(それぞれ弾性的に柔軟な清掃要素32及び34,36として予め作製されている)を詰め込むことができる。
【0051】
或いは、弾性軟質材料からつくられたロッド状の半製品をそれぞれの通過孔12.2に導入して、それらの端部をアタッチメント側にて加熱又は表面溶融して、厚肉部38又は40を形成してもよい。
【0052】
さらなる代替案として、キャリア部10が、弾性的に柔軟な清掃要素32,34,36を関連する厚肉部38、40と共に形成するためのキャビティを形成する射出成形金型に挿入されてもよい。これらのキャビティは、射出成形ツール内の共通の流路を介して互いに接続され得る。また、異なる材料特性及び/又は色の弾性的に柔軟な清掃要素を製造するために、弾性的に柔軟な清掃要素32,34,36のための様々な異なるキャビティを、射出成形金型にて流体的に互いに分離してもよい。弾性的に柔軟なプラスチック材料、具体的にはTPEをキャビティ内に注入すると、弾性的に柔軟な清掃要素32,34,36が形成される。これらは、キャリア部10に対して、厚肉部38、40を用いてポジティブフィット式に固定される。同様に、材料ポジティブ式連結も、弾性的に柔軟な材料の溶融された当接部により生じる。各チャネル12.1,12.2が、裏側で密閉される。
【0053】
プラスチック材料を、キャリア部10に対するさらなる射出成形用金型に射出して、保持部2を形成してもよい。或いは、保持部2を別個の部品として準備して、保持部2とキャリア部10とを互いに連結するプラスチック材料を、中間スペース18(2つの部品2と10とを接合するための間隙として形成される)に導入してもよい。
【0054】
電動歯ブラシ50は、ハンドル部52と、ハンドル部52上に取り付け可能なアタッチメント部54とから成る。ハンドル部52は、蓄電池56又はバッテリ、電動モータ58、及び、逆転装置60を収容している。逆転装置60は、電動モータ58の駆動シャフトの連続回転運動を、参照符号61で示されているブラシヘッドの交互回転運動に変換する。
【0055】
ハンドル部52の外側に、歯ブラシ50を作動させるためのスイッチ62が配置されている。アタッチメント部54は、シャフト64を受け入れる中空の支持管66から成る。支持管66及びシャフト64は、接続装置70を介してハンドル部52に接続される(図示せず)。アタッチメント部54の、ハンドル部52とは反対側の端部にブラシヘッド61が配置され、ブラシヘッド61がそのピン4と共に中空支持管66内に突き出ている。
【0056】
このピン4は、以下に、より詳細に説明するように駆動ピン74を形成しており、ベベルギヤセグメント76のハブ82上に取り付けられ得る。ベベルギヤセグメント76は、シャフト64のヘッド端部に配置されたさらなるベベルギヤセグメント78と噛み合う。ブラシヘッド61の回転軸又は対称軸92は、シャフト64の回転軸と約90°の角度を形成している。
【0057】
交互に駆動されるシャフト64のトルクが、ブラシヘッド61に、ベベルギヤセグメント76及び78から成るベベルギヤ72を介して伝達される。ブラシヘッド61により掃除される回転角度範囲は、+/−20°〜+/−100°の値であり得るが、好ましくは、+/−35°の値である。
【0058】
図9〜
図10に、駆動ピン74及びハブ82、又はこれらの互いに対する適合が詳細に示されている。ハブ82は駆動ピン74の下側86に配置されている。駆動ピン74は、ハブ82内に回転可能に固定されて配置及び保持されている。この目的のために、ハブ82に、ブラシヘッド61の回転軸又は対称軸92に対して偏心的に配置されたスリーブ状の凹部90が設けられている。凹部90は、平行に配置された2つの側壁94により形成され、これらの側壁94に円筒状の側壁セクション96,98が隣接している。ベース100が凹部90を、ブラシヘッド61の上側102の方向に画定している。そして、側壁セクション98の中心104が、ブラシヘッド61の対称軸106に一致している。側壁94は、各々、対称軸106に平行に延在する溝108、及び、隣接して配置されたタング(舌状部)110を有する。各側壁94のタング110又は溝108は、それぞれ、互いに対向して配置されている。
【0059】
駆動ピン74は、ハブ82のネガ(負)型として形成され、平行に延在する側壁112を有し、これらの側壁112に円筒状の側壁セクション114,116が隣接している。側壁112は、対応するタング118と、対称軸92に平行に延在する溝120とを有する。そして、凹部90又は駆動ピン74のそれぞれの溝108,120又はタング110,118は、それぞれ、縁部領域122にも配置されることができ、縁部領域122において、側壁94又は112が、それぞれ、側壁セクション96,98及び114,116にそれぞれ移行する。ハブ82は、ブラシヘッドから離れた側の縁部にスナップフック124を備え、スナップフック124は、駆動ピン74上に形成されたノーズ126の上に重なる。
【0060】
ハブ82と駆動ピン74は、一体成形される部品として射出成形ピン4により製造され得る。その場合、ピン4は、好ましくは、ベベルギヤセグメント76の歯部も形成する。
【符号の説明】
【0061】
2 保持部
4 ピン
6 プレート
8 ブリッスル束
10キャリア部
12 通過孔
14 厚肉部
16 表面
18 中間スペース
20 スペーサ
22 ナブ(nub)
24 中間スペース18内に射出されたプラスチック材料
26 幅広部
28 ロッキング縁部、ブラシヘッドの幅広部
S 枢動軸
30 カラー
32 弾性的に柔軟な清掃要素
34 弾性的に柔軟な清掃要素
36 弾性的に柔軟な清掃要素
38 厚肉部
40 厚肉部
50 歯ブラシ
52 ハンドル部
54 アタッチメント部品
56 蓄電池
58 電動モータ
60 逆転装置
61 ブラシヘッド
62 スイッチ
66 中空支持管
64 シャフト
70 接続装置
72 ベベルギヤ
74 駆動ピン
76 ベベルギヤセグメント
78 ベベルギヤセグメント
82 ハブ
86 下側
90 スリーブ状凹部
92 回転軸又は対称軸
94 側壁
96 円筒状の側壁セクション
98 円筒状の側壁セクション
100 ベース
102 下側
104 側壁セクション98の中心点
106 ブラシヘッド61の対称軸
108 溝
110 タング
112 側壁
114 円筒状の側壁セクション
116 円筒状の側壁セクション
118 タング
120 溝
122 縁部領域
124 スナップフック
126 ノーズ
【国際調査報告】