特表2019-529302(P2019-529302A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2019-529302炭窒化ジルコニアをベースとする物を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-529302(P2019-529302A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】炭窒化ジルコニアをベースとする物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/80 20060101AFI20190920BHJP
   G04B 37/22 20060101ALI20190920BHJP
   C04B 35/486 20060101ALI20190920BHJP
   A44C 5/00 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   C04B41/80 B
   G04B37/22 V
   C04B35/486
   A44C5/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-506078(P2019-506078)
(86)(22)【出願日】2017年6月16日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2017064750
(87)【国際公開番号】WO2018036681
(87)【国際公開日】20180301
(31)【優先権主張番号】16185920.2
(32)【優先日】2016年8月26日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フォール,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】キュルショ,ロイク
(57)【要約】
本発明は、金属的な外観及び非ゼロの導電率を有する完成品又は半完成品であるジルコニアをベースとする物(1)を製造する方法に関し、
完成品又は半完成品の形に予成形された少なくとも1つのジルコニア製の物を用意する用意ステップと、
少なくとも第1の濃度(C1)の水素と炭素をベースとする気体である第1の物質及び第2の濃度(C2)の水素と窒素をベースとする気体である第2の物質を含む気体混合物を収容しているチャンバー(10)内に前記物を配置する配置ステップと、
前記物の外面(2)内に炭素と窒素の原子を拡散させてこの外面(2)において化学量論的な炭窒化物(ZrCx−Ny)を形成するように、前記第1及び第2の物質の分子が解離するまで前記気体混合物を加熱し、このようにして作られた反応性雰囲気内に前記物を保持する加熱ステップと、
前記加熱ステップの前に、前記ジルコニア製の物に含まれている酸素を前記表面の方へと拡散し解放することが可能になるように、二水素が注入されるチャンバー内に前記物を配置しその二水素を加熱する還元ステップとを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属的な外観及び非ゼロの導電率を有する完成品又は半完成品であるジルコニアをベースとする物(1)を製造する方法であって、
完成品又は半完成品の形に予成形された少なくとも1つのジルコニア製の物を用意する用意ステップと、
少なくとも第1の濃度(C1)の水素と炭素をベースとする気体である第1の物質及び第2の濃度(C2)の水素と窒素をベースとする気体である第2の物質を含む気体混合物を収容しているチャンバー(10)内に前記物を配置する配置ステップと、
前記物の外面(2)内に炭素と窒素の原子を拡散させてこの外面(2)において化学量論的な炭窒化物(ZrCx−Ny)を形成するように、前記第1及び第2の物質の分子が解離するまで前記気体混合物を加熱し、このようにして作られた反応性雰囲気内に前記物を保持する加熱ステップと
を有する方法。
【請求項2】
さらに、前記チャンバー内に収容されている気体を加熱する前記加熱ステップの間に、前記ジルコニア製の物内に含まれている酸素を表面の方へ拡散させて解放するステップを有する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チャンバー内に収容されている処理気体を加熱する前記加熱ステップの前に、前記ジルコニア製の物に含まれている酸素を前記表面の方へと拡散し解放することが可能になるように、二水素が注入されるチャンバー内に前記物を配置しその二水素を加熱する還元ステップを有する
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物の外面にある転換された層の厚みは、10〜1000nmである
請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記物の外面にある転換された層の厚みは、20〜200nmである
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水素と窒素をベースとする第2の物質の濃度は、前記水素と炭素をベースとする第1の物質よりも大きい
請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の物質の濃度は、5〜100sccmである
請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の物質の濃度は、250〜5000sccmである
請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコニアをベースとする物、特に、焼結された物、に関し、より詳細には、金属的な外観及び非ゼロの電気伝導率を有する外面を当該物に与えるように厚みの一部にて化学構造が転換されているものに関する。本発明は、さらに、腕時計、装飾品、又はこの種の品を用いることがある高級品産業のための他のいずれかの物のような外装要素としての前記のような物、特に、腕時計ケースや腕輪の構造的要素を作るためのもの、の使用に関する。最後に、本発明は、このような物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる既知の材料のうち、金属は、高い機械抵抗、大きな引っ張り強さ、導電性などの特定の非常に有利な特性のために、非常に広く用いられている。また、金属の特有の光沢は、装飾の用途のために非常に需要が高い。しかし、金属の硬度はセラミックスの硬度よりも低い。このことによって、金属材料が腕時計ケースやリストバンドのような計時器の外装要素を作るために用いられる場合などには、多くの一般的な使用条件において、深刻な磨耗や腐食が発生することがある。
【0003】
硬度、耐摩耗性及び耐腐食性が金属よりも相当に高いような外装要素を製造するためにセラミックスを成形し研磨する方法がいくつか知られている。
【0004】
この種のジルコニア(ZrO2)をベースとするセラミックスの部品を改質して、金属よりも高い硬度と耐摩耗性や耐腐食性を維持しつつ、白金に近い灰色と輝度、そして、非ゼロの表面導電率を含む金属性の特性を与えるような方法が知られている。この方法によって、部分的に小さくなったZrO2コア及び金属的な外観を有する完成品又は半完成品であるジルコニア製の物を得ることが可能になる。この方法は、
− 完成品又は半完成品の形態である予成形された少なくとも1つのジルコニア製の物を用意するステップと、
− 水素、中性気体及び微量の炭素の混合物から作られたプラズマを収容するチャンバー内に前記物を配置するステップと、
− 約15〜240分間プラズマの近くに前記物を維持するステップと
を有する。これらの条件にて落ち着く前記物の平均温度は、前記物において炭素原子が拡散するように約600〜1300℃である。
【0005】
したがって、このような方法によって、金属製の部品と比べて有利な特性を維持しつつ、金属的な外観及び特性、すなわち、輝いており導電性の面、を備えた炭化ジルコニウムZrCの外側層を有するジルコニア製の部品を作ることが可能になる。
【0006】
したがって、好ましいことに、この炭化方法によって発生する金属的な外観を有する外層は、PVD、CVD又は他の堆積法によって得られる金属的な外観を有する薄い装飾性のフィルムの堆積法と比べて、当該部品のコア部と一体化されており、これによって、剥離のリスクがなくこの外層が完全に接着する。
【0007】
最後に、この方法によって、圧力下などにおける高温焼結法が必要となる堅固なZrCの部品を作る必要がなく、表面上にて炭化ジルコニウムZrCの有利な特性を備えた完成品又は半完成品である部品を得ることができる。また、ZrCはZrO2よりも10%を超える割合で密度が大きく、これによって、前記方法によって炭化されたZrO2の部品は、堅固なZrCで作られた同じ幾何学的構成の部品よりも軽くなる。最後に、ZrCの硬さ(典型的には25GPa)がZrO2の硬さ(典型的には13GPa)よりもはるかに大きいので、堅固なZrCの部品は、ZrO2で作られた同じ部品よりも焼結後の機械加工と研磨がはるかに難しい。前記方法は、ZrO2の部品の機械加工と研磨の後までZrCの部品の表面の転換を延ばすことを可能にすることによって、この課題を解決する。
【0008】
この方法は、同様に金属的な外観、非ゼロの導電率及び完全な接着性をもたらすが色が金色に近い黄色であるような窒化ジルコニウムの層を得るように適応していることができる。これを達成するために、水素、中性気体及び微量の窒素の混合物からプラズマを得る。
【0009】
しかし、このような炭化/窒化法において可能な色スペクトルが非常に限定されることは重要である。実際に、炭化が与えることができる金属的な効果は典型的な白金色の金属的な効果であり、窒化が与えることができる金属的な効果は典型的な金色の金属効果である。しかし、電話機、腕時計又は装飾品のような物のカスタム化のレベルを増加させる必要があり、このカスタム化には利用可能な色を増やすことを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ジルコニア製の物を製造する方法であって、この物の表面厚みにおいて炭窒化ジルコニウムの層の形成を可能にするものを提供することによって、従来技術の課題を解決することを目的とする。この炭窒化ジルコニウムの層は、プラズマ法によって得られる層と同様な美的、電気的、耐機械性及び耐化学性の特性を備えるが、純粋な炭化における白金色から純粋な窒化における金色にまで色スペクトルが及び、ブロンズ色及びローズゴールド色を含む。これは、ジルコニア内に拡散した炭素Cと窒素Nの相対的な化学量論(又は濃度)に依存し、この相対的な化学量論は、チャンバーの雰囲気内の相対的な炭素と窒素の濃度に依存する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は、金属的な外観及び非ゼロの導電率を有する完成品又は半完成品であるジルコニアをベースとする物を製造する方法に関し、
完成品又は半完成品の形に予成形された少なくとも1つのジルコニア製の物を用意する用意ステップと、
少なくとも第1の濃度の水素と炭素をベースとする気体である第1の物質及び第2の濃度の水素と窒素をベースとする気体である第2の物質を含む気体混合物を収容しているチャンバー内に前記物を配置する配置ステップと、
前記物を加熱して前記物の外面内にて炭素と窒素の原子を拡散させるように、前記第1及び第2の物質の分子が解離するまで前記気体混合物を加熱し、加熱された気体を収容しているチャンバー内に前記物を保持する加熱ステップと
を有する。
【0012】
好ましいことに、本発明に係る方法によって、セラミックス要素をカラーリングするための別の色オプションを提供することが可能になり、この色を気体混合物における第1の物質と第2の物質の濃度に応じて調整することができる。
【0013】
第1の有利な実施形態において、気体混合物が加熱され、その分子は、電流が流れる高融点金属で作られチャンバー内に配置されて気体混合物と処理される物を均質に加熱する少なくとも1つの抵抗要素によって解離される。
【0014】
第2の有利な実施形態において、気体混合物が加熱され、その分子は、気体混合物及び処理される物を均質に加熱するようにチャンバー内にて作られたプラズマによって解離される。
【0015】
もっぱら非限定的な例として与えられ添付の図面に示された本発明の少なくとも1つの実施形態についての下記の詳細な説明において、本発明に係るデバイスの目的、利点及び特徴が、より明確に出現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る物を概略的に示している。
図2】本発明に係る方法を実行するためのチャンバーを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例として、図1において、ジルコニア製の物1によって形成された開始物が用意されている。これは、例えば、結晶学的に正方構造(酸化ジルコニウムZrO2)を有し、色が白色であり、焼結のような通常のセラミックス製の物の製造技術によって作られる。
【0018】
この物は、例えば、既に鏡面研磨されており腕時計バンドのリンクのような腕時計の外装要素を形成するように意図された全体として平行六面体の形の部品が内部で用いられるような、最終形状を有する完成品であることができる。もちろん、当該物は、必要であれば、その物を最終的な利用形態に適応させるために後に機械加工操作が行われることがあるような半完成品であることができる。物1は、腕時計、装飾品、又はこの種の外装要素を用いることがある高級品業界に関連している任意の物の一部であることができる。
【0019】
そして、図2に示しているように、この物がチャンバー10内に導入され、このチャンバー10の内部にてこの物が処理される。施される処理は、炭窒化としても知られている炭化と窒化の同時処理である。当該方法の本質的な特徴は、10〜1000nmのオーダーである薄い厚みにわたって当該物の表面を転換させることを伴うことである。これにおいて、図1の外側領域2におけるジルコニア(酸化ジルコニウム)は、金属的な外観を有する炭窒化ジルコニウムZrCxyへと転換される。したがって、炭窒化ジルコニウムの結晶構造に対応する新しい結晶構造へのジルコニア構造の表面が改質される。この新しい結晶構造は、特に当該物が摩耗しやすい状態にされる場合に、裂けてしまったり当該物の表面から分離してしまうことがあるような付加的なコーティングではない。特に、炭窒化ジルコニウム構造を有する表面層の外側領域は、表面から20〜200nmの深さまで延在している。
【0020】
炭窒化処理を行うために、チャンバー10は、水素、炭素及び窒素を含む気体が充填された雰囲気Aを収容していなければならず、また、加熱手段20が設けられている必要がある。この加熱手段によって、処理を活性化することが可能になる。
【0021】
本発明によると、チャンバーは、少なくとも第1の物質と第2の物質を含有する気体混合物を収容している。第1の物質は、前記チャンバーにおいて第1の濃度C1含有しているCH4タイプの水素と炭素をベースとする気体である。第2の物質は、前記チャンバーにおいて第2の濃度C2含有しているNH3タイプの水素と窒素をベースとする気体である。
【0022】
チャンバー内の温度上昇によって、ジルコニア製の物の処理が行われることが可能になる。実際に、チャンバー内の雰囲気におけるこの温度上昇によって、水素H、炭素C及び窒素Nの原子が遊離するような気体の解離が発生し、ジルコニア製の部品の温度が上昇する。熱と水素雰囲気の複合効果の下で、ジルコニア内に含まれている酸素の一部が表面の方へと拡散しジルコニアから解放される。
【0023】
酸素の一部が表面の方へと拡散することによるこの部分的なジルコニアの還元は、当該物の表面からコア部の方への炭素と窒素の原子の拡散に付随するものである。実際に、熱の影響の下で、チャンバーの気体混合物から解離した炭素と窒素の原子は、部分的に還元されたジルコニア内にて拡散する。この炭素と窒素の原子の拡散によって、これらの原子の表面層の外観が部分的に還元されたジルコニアと再び組み合わさって、炭窒化ジルコニウムの層が作られる。
【0024】
本発明に係る物の特徴によると、表面層は、部分的に還元されたジルコニアのコア部と外側の炭化と窒化(炭窒化)の処理をされた領域の間に位置している遷移領域を含んでいる。実際に、当該雰囲気の気体混合物が炭素をベースとする第1の物質及び窒素をベースとする第2の物質を含有することを考えると、当該物は同時に炭化され窒化され、当該遷移領域は同時にジルコニウムのオキシ炭化物とオキシ窒化物を含有する。したがって、表面層の化学組成が、外装要素の表面から測定した深さに応じて変わり、表面における化学量論的な炭窒化ジルコニウム(ZrCx−Ny)からジルコニウムのオキシ炭化物とオキシ窒化物を含有する遷移領域まで、そして、最終的に半化学量論的な酸化ジルコニウム(部分的に還元されたジルコニア)のコア部にまで、連続的に変わることに留意すべきである。
【0025】
本発明の別の好ましい特徴によると、遷移領域におけるジルコニウムのオキシ炭化物とオキシ窒化物の炭素−窒素含有量は、深さが深くなるにしたがって減少し、それらの酸素含有量は、深さが深くなるにしたがって増加する。このように、遷移領域は、炭素/窒素含有量が当該物のコア部の方に近くなるにしたがって徐々に減少し、かつ、酸素の存在がZrOzx−ZrOzyタイプの物質の形態で徐々に増加して、部分的に還元されたZrO2-xジルコニアによって本質的に作られている当該物のコア部に徐々に到達するようなジルコニウムのオキシ炭化物/オキシ窒化物を含有している。もちろん、これらの様々な領域の間の遷移が徐々に行われることを理解することができるであろう。
【0026】
当然、当該物の炭化/窒化の程度は、チャンバーに注入された気体混合物における第1の物質と第2の物質の濃度に依存する。実際に、この第1の物質と第2の物質の濃度は、必ずしも同一ではなく、これによって、気体混合物における第1の物質の濃度と第2の物質の濃度の間に存在する比に依存して、当該物は、窒化よりも多く炭化され又はその逆となる。この炭化と窒化の混合によって、炭化による白金色と窒化による金色の間の混合に起因する通常ではない外側の色を前記物が有することが可能になる。このようにして、得られた色スペクトルは、白金色からイエローゴールド色まで及び、ブロンズ色とローズゴールド色を含む。このように、最終色は、第1及び第2の物質の初期濃度に依存し、窒素をベースとする物質の濃度C2に対して炭素をベースとする物質の濃度C1が高いほど、この部品の最終色がブロンズ色又は白金色に近くなる。反対に、炭素をベースとする物質の濃度C1に対する窒素をベースとする物質の濃度C2が高いほど、この部品の最終色がローズゴールド色又はイエローゴールド色に近くなる。好ましくは、濃度C1は、5〜100sccm(立方センチメートル毎分)であり、濃度C2は、250〜5000sccmである。
【0027】
この方法によって得られる物は、セラミックスの特性、特に、非常に高い硬度、耐摩耗性及び耐腐食性の特性、を維持しつつ、いくつかの新しい特性、特に、非ゼロの表面導電率、ブロンズ色又はローズゴールド色に近い色、又は金属性の光沢を獲得することができる。
【0028】
第1の実施形態において、処理を活性化する加熱手段は、高融点金属で作られた少なくとも1つの抵抗要素を有する。このような抵抗要素は、自身を流れる電流によってジュール効果によって熱を発生させる。このようにして、図3及び4においてそれぞれ示されているように、加熱手段20は、前記チャンバー内に配置されており気体及び処理すべき部品を均質的に加熱するように構成している単一の抵抗要素21を有することができ、あるいは熱の均質的な分配を確実にするように構成している複数の独立した抵抗要素を有することができる。
【0029】
第2の実施形態において、加熱手段はプラズマである。このようなプラズマは、水素、炭素及び窒素をベースとする気体混合物、そして、適切であれば中性気体、のイオン化によって得られる。このプラズマは、例えば、放電によって得られる。もちろん、本発明の方法のいくつかの変種において、プラズマを発生させる他の手段を用いることについても思い描くことができる。例えば、無線周波数波(RF)又はマイクロ波によってプラズマを得ることができる。
【0030】
プラズマを得るために用いられる方法に依存して、中性気体としてアルゴンを使用することは有利である。もちろん、ネオンのような他の中性気体を使用することも思い描くことができる。
【0031】
変種の1つにおいて、予備的ジルコニア還元ステップを行うことができる。この還元ステップは、炭窒化ステップの前に行われ、二水素H2が注入されたチャンバー内に前記物を配置することを伴うものである。チャンバー内の雰囲気は、当該物の温度が上昇するように加熱され、これによって、ジルコニア内に含まれた酸素が表面へと拡散し解放される。
【0032】
この還元ステップは、特定のチャンバー内で行うことができ、又は炭窒化操作と同じチャンバー内で行うことができる。この場合において、チャンバーは、そのチャンバー内の雰囲気の性質を変える手段を有する。
【0033】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、上記の本発明の様々な実施形態に対して当業者に明らかな様々な改変及び/又は改善及び/又は組み合わせを行うことができることは明らかである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2019年2月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属的な外観及び非ゼロの導電率を有する完成品又は半完成品であるジルコニアをベースとする物(1)を製造する方法であって、
完成品又は半完成品の形に予成形された少なくとも1つのジルコニア製の物を用意する用意ステップと、
少なくとも第1の濃度(C1)の水素と炭素をベースとする気体である第1の物質及び第2の濃度(C2)の水素と窒素をベースとする気体である第2の物質を含む気体混合物を収容しているチャンバー(10)内に前記物を配置する配置ステップと、
前記物の外面(2)内に炭素と窒素の原子を拡散させてこの外面(2)において化学量論的な炭窒化物(ZrCx−Ny)を形成するように、前記第1及び第2の物質の分子が解離するまで前記気体混合物を加熱し、このようにして作られた反応性雰囲気内に前記物を保持する加熱ステップと、
前記チャンバー内に収容されている処理気体を加熱する前記加熱ステップの前に、前記ジルコニア製の物に含まれている酸素を前記表面の方へと拡散し解放することが可能になるように、二水素が注入されるチャンバー内に前記物を配置しその二水素を加熱する還元ステップと
を有する方法。
【請求項2】
さらに、前記チャンバー内に収容されている気体を加熱する前記加熱ステップの間に、前記ジルコニア製の物内に含まれている酸素を表面の方へ拡散させて解放するステップを有する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物の外面にある転換された層の厚みは、10〜1000nmである
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記物の外面にある転換された層の厚みは、20〜200nmである
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水素と窒素をベースとする第2の物質の濃度は、前記水素と炭素をベースとする第1の物質よりも大きい
請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の物質の濃度は、5〜100sccmである
請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2の物質の濃度は、250〜5000sccmである
請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】