特表2019-529845(P2019-529845A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-529845車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-529845(P2019-529845A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20190920BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20190920BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20190920BHJP
   F16K 41/04 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   F16K17/04 A
   F04C18/16 A
   F16K17/04 C
   F16K17/04 F
   F16K27/02
   F16K41/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-536684(P2019-536684)
(86)(22)【出願日】2017年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月10日
(86)【国際出願番号】EP2017073593
(87)【国際公開番号】WO2018054885
(87)【国際公開日】20180329
(31)【優先権主張番号】102016011495.9
(32)【優先日】2016年9月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102017104203.2
(32)【優先日】2017年3月1日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジル エブラール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−バプティスト マールスコ
(72)【発明者】
【氏名】イェアク メラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァインホルト
【テーマコード(参考)】
3H051
3H059
3H066
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC11
3H051CC14
3H051CC16
3H059AA05
3H059BB01
3H059CA03
3H059CA11
3H059CA28
3H059CB02
3H059CC02
3H059CC06
3H059CD05
3H059EE01
3H059FF04
3H059FF12
3H066AA01
3H066BA38
3H066DA02
3H066DA16
(57)【要約】
本発明は、車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサ(10,112)のための最低圧力弁(50)であって、少なくとも1つの弁ケーシング(114)と、この弁ケーシング(114)内に形成された少なくとも1つの弁インサート開口(116)とを有しており、この弁インサート開口(116)内に装着され、かつ少なくとも1つの弁ピストン孔(120)を有した少なくとも1つの弁インサート(118)と、この弁インサート(118)で弁ピストン孔(120)内に少なくとも1つの弁ピストン区分(124)で摺動可能にガイドされている少なくとも1つの弁ピストン(122)と、少なくとも1つの流体流入通路(126)と、少なくとも1つの流体流出通路(128)と、を有しており、流体流入通路(126)は、弁ピストン(122)に面した端部に少なくとも1つの弁座(130)を有しており、この弁座に対して弁ピストン(122)は、最低圧力弁(50)を閉鎖するために、流体流入通路(126)と流体流出通路(128)とが弁ピストン(122)の閉鎖位置で互いに分離されるように、当接可能であって、弁座(130)は弁座直径dAを有しており、弁ピストン区分(124)は弁ピストン区分直径dBを有しており、弁座直径dAに対する弁ピストン区分直径dBの比は、約0.6〜0.95であって、好適には約0.7〜約0.9であって、特に好適には約0.8〜約0.85である、車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に商用車用のコンプレッサ、特にスクリュコンプレッサ(10,112)、またはロータリ・ベーン・コンプレッサのための最低圧力弁(50)であって、少なくとも1つの弁ケーシング(114)と、前記弁ケーシング(114)内に形成された少なくとも1つの弁インサート開口(116)とを有しており、
前記弁インサート開口(116)内に装着され、かつ少なくとも1つの弁ピストン孔(120)を有した少なくとも1つの弁インサート(118)と、前記弁インサート(118)の前記弁ピストン孔(120)内に少なくとも1つの弁ピストン区分(124)でもって摺動可能にガイドされている少なくとも1つの弁ピストン(122)と、少なくとも1つの流体流入通路(126)と、少なくとも1つの流体流出通路(128)と、を有しており、
前記流体流入通路(126)は、前記弁ピストン(122)に面した端部に少なくとも1つの弁座(130)を有しており、前記弁座に対して前記弁ピストン(122)は、前記最低圧力弁(50)を閉鎖するために、前記流体流入通路(126)と前記流体流出通路(128)とが前記弁ピストン(122)の閉鎖位置で互いに分離されるように、当接可能であって、
前記弁座(130)は弁座直径dAを有しており、前記弁ピストン区分(124)は弁ピストン区分直径dBを有しており、前記弁座直径dAに対する前記弁ピストン区分直径dBの比は、約0.6〜0.95であって、好適には約0.7〜約0.9であって、特に好適には約0.8〜約0.85である、車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁(50)。
【請求項2】
前記弁インサート(118)の前記弁ピストン孔(120)内に摺動可能にガイドされている前記弁ピストン区分(124)は、自由弁ピストン区分(124a)である、請求項1記載の最低圧力弁(50)。
【請求項3】
前記自由弁ピストン区分(124a)と前記弁ピストン孔(120)との間には少なくとも1つのシール(132)が、特に半径方向シール(132)が設けられている、請求項1または2記載の最低圧力弁(50)。
【請求項4】
前記自由弁ピストン区分(124a)は円筒状の形状を有しており、前記自由弁ピストン区分の周面には、前記弁ピストン孔(120)に対して押し付けられている前記シール(132)が、特に前記半径方向シール(132)が配置されている、請求項3記載の最低圧力弁(50)。
【請求項5】
前記弁座(130)は、環状の、特に閉じた環状の隆起部(134)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項6】
前記弁ピストン(122)は、前記流体流入通路(126)に面した端面(136)に少なくとも1つのシール(138)、特に軸方向シール(138)を有しており、前記軸方向シールは、前記弁ピストン(122)の閉鎖位置で前記弁座(130)に当接している、請求項1から5までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項7】
前記弁ピストン孔(120)の一方の端部(140)は軸方向当接部(142)を有していて、前記軸方向当接部により、前記自由弁ピストン区分(124a)および前記弁ピストン(122)の軸方向の摺動を制限可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項8】
前記弁ピストン(122)のばね取付け面(144)と前記弁インサート(118)のばね取付け面(146)との間にはばねエレメント(148)が、特にコイルばね(148)が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項9】
前記弁インサート(118)と前記弁ケーシング(114)の前記弁インサート開口(116)との間には少なくとも1つのシール(150)が、特に半径方向シール(150)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項10】
前記弁インサート(118)は円筒状の外輪郭を有しており、前記弁インサートの周面には、前記最低圧力弁(50)の組み付け状態で前記弁インサート開口(116)に向かって押し付けられる前記シール(150)が、特に前記半径方向シール(150)が配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項11】
前記弁インサート(118)は、前記弁インサート(118)の外表面から、前記軸方向当接部(142)を有する、前記弁ピストン孔(120)の前記端部(140)まで延在している、排気孔(152)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項12】
前記弁インサート開口(116)の表面には軸方向のストッパ(154)が、特に軸方向の位置固定リング(154)が設けられていて、前記ストッパ、特に位置固定リングに対して前記弁インサート(118)は、前記最低圧力弁(50)の組み付け状態で軸方向に押し付けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項13】
前記最低圧力弁(50)の前記弁ケーシング(114)は、前記スクリュコンプレッサ(10,112)のケーシング(20)の一体的な構成部分として形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【請求項14】
前記最低圧力弁(50)は、アングルタイプの最低圧力弁(50)として形成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の最低圧力弁(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に商用車用のコンプレッサ、特にスクリュコンプレッサ、またはロータリ・ベーン・コンプレッサのための最低圧力弁であって、少なくとも1つのケーシングと、ケーシング内に形成された少なくとも1つの弁インサート開口とを有している、最低圧力弁に関する。
【0002】
従来技術により既に、例えば、車両、特に商用車のスクリュコンプレッサのようなコンプレッサのための最低圧力弁が公知である。このような形式のスクリュコンプレッサは、例えば商用車のブレーキシステムのために必要な圧縮空気を準備するために使用される。
【0003】
この関連で特に、オイルが充填されたコンプレッサ、特にスクリュコンプレッサも公知である。このような形式のスクリュコンプレッサの潤滑の構想は、スクリュの潤滑のために必要なオイルを最初に、圧縮された圧縮空気により搬送するというものである。圧縮空気を空気処理装置に供給することができる前に、オイルはオイル分離装置内で圧縮空気から分離され、そこから、例えば組み込まれたオイル貯蔵部またはスクリュコンプレッサのスクリュへと再び供給される。
【0004】
空気処理装置は規則的な間隔で排気により回生しなければならないので、このために、スクリュコンプレッサの作動は(所定の遮断圧以降は)停止される。空気容器のための遮断圧に達した場合もコンプレッサは停止される。空気処理装置に対してスクリュコンプレッサにおける圧力を保護するために、空気処理装置は最低圧力弁を有している。
【0005】
これに関して、独国特許出願公開第102014118267号明細書(DE 10 2014 118 267 A1)には、流体流を制御するための弁が示されており、この弁は、流体流入通路を流体流出通路に接続するためのケーシングであって、弁ピストンをガイドする弁ピストン孔を有したケーシングと、弁ピストン孔内で軸方向可動に配置された円筒状の弁ピストンとを有しており、この弁ピストンは、流体流入通路と流体流出通路との間に配置された弁座に、圧力手段によって押し付け可能である、前端部に配置された弁プレートを備えている。弁の装着領域は、圧縮空気装置、例えばレール車両の圧縮空気発生装置、特にスクリュコンプレッサに延在している。
【0006】
さらに、旧東ドイツ国経済特許第207560号明細書(DD 207 560 A5)には、オイル噴射を行う圧縮機、特にスクリュ圧縮装置のための制御装置が示されており、この制御装置は、圧力管路内に配置された最低圧力弁を有しており、この最低圧力弁の弁本体は、消費器側で圧縮ばねにより負荷されている。
【0007】
さらに、独国特許出願公開第2822779号明細書(DE 28 22 779 A1)には、オイルシールを備えた回転圧縮機が示されており、この回転圧縮機は、圧縮された圧力が所定の値を超過した場合に、圧縮機入口を絞るまたは遮断するための放圧弁を有している。さらに、圧力管路から出口室を介して逆流が生じるのを阻止するために、出口通路を閉鎖する最低圧力弁が開示されている。
【0008】
独国特許出願公開第3146535号明細書(DE 31 46 535 A1)にはさらに、コンプレッサの圧力管路における最低圧力弁が開示されており、この場合、圧縮機の遮断時に圧縮空気が僅か短時間でも圧力管路へと流出する恐れがあることを回避するために、最低圧力弁の圧力負荷による制御が行われている。
【0009】
独国特許出願公開第3311055号明細書(DE 33 11 055 A1)により、オイル噴射により作動する圧縮機が示されており、この圧縮機では、負荷がかけられないアイドリング運転に切り替えることができ、さらには、取り出した圧縮空気を再利用する場合は、圧縮空気をすぐに提供できる。負荷のかけられていないアイドリング運転から、取り出した圧縮空気の再利用の際の負荷への圧縮機の戻し切り替えを加速するために、圧縮空気取り出し管路内の最低圧力弁に配置された走査装置が設けられている。
【0010】
コンプレッサ、特にスクリュコンプレッサとの関連で使用されるさらなる最低圧力弁は例えば、独国特許出願公開第3702652号明細書(DE 37 02 652 A1)、西独国実用新案公開第7301546号明細書(DE 73 01 546 U)、独国実用新案第8015773号明細書(DE 80 15 773 U1)、独国実用新案第8134215号明細書(DE 81 34 215 U1)、欧州特許公報の翻訳文(DE 603 04 555 T2)、独国特許出願公開第102006016318号明細書(DE 10 2006 016 318 A1)、独国特許発明第102014118266号明細書(DE 10 2014 118 266 B3)、ならびに欧州特許出願公開第0698738号明細書(EP 0 698 738 A2)により公知である。
【0011】
このような最低圧力弁は例えば、スクリュコンプレッサの出口領域に形成されており、この場合、最低圧力弁は、調整可能な圧力閾値を超えると初めて開くので、例えばスクリュコンプレッサの適切な潤滑が行われ得る。最低圧力弁の開放状態もしくは閉鎖状態における弁ピストンのニューマチック有効表面の面積間の差に基づき、ならびに摩擦の影響に基づき、構成によっては、開放圧は閉鎖圧と著しく異なる。これにより、例えば約10barの開放圧のもとで、例えば約4.5〜約5barの典型的な値を有する圧力ヒステリシスが生じ得る。
【0012】
空気処理装置の回生中、空気処理装置では通常、最低圧力弁の閉鎖圧に達するまで急速な減圧が生じる。
【0013】
このような急速な減圧と、前述した圧力ヒステリシスとに基づき、オイルがコンプレッサ出口に圧送される場合があり、これにより、このオイルが過剰に多量に、スクリュコンプレッサの出口から出ていく危険が生じる。結果として、スクリュコンプレッサの出口に接続される、例えば空気処理装置のような別のニューマチック構成要素が損傷されたり、詰まったりする恐れがある。
【0014】
急速な減圧の望ましくないさらなる作用は、スクリュコンプレッサ内に存在するオイルの発泡であり、これにより特に潤滑不足により、例えば軸受またはスクリュのように、スクリュコンプレッサの摩耗にさらされる構成部品において損傷が生じる恐れがある。
【0015】
そこで本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、車両、特に商用車のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁を改良して、特に、最低圧力弁の開放圧と閉鎖圧との間のヒステリシスを減じることである。
【0016】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を備えた、車両、特に商用車のコンプレッサ、特にスクリュコンプレッサ、またはロータリ・ベーン・コンプレッサのための最低圧力弁により解決される。これによると、車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁であって、少なくとも1つのケーシングと、このケーシング内に形成された少なくとも1つの弁インサート開口とを有しており、この弁インサート開口内に装着され、かつ少なくとも1つの弁ピストン孔を有した少なくとも1つの弁インサートと、この弁インサートの弁ピストン孔内に少なくとも1つの弁ピストン区分でもって摺動可能にガイドされている少なくとも1つの弁ピストンと、少なくとも1つの流体流入通路と、少なくとも1つの流体流出通路と、を有しており、流体流入通路は、弁ピストンに面した端部に少なくとも1つの弁座を有しており、この弁座に対して弁ピストンは、最低圧力弁を閉鎖するために、流体流入通路と流体流出通路とが弁ピストンの閉鎖位置で互いに分離されるように、当接可能であって、弁座は弁座直径dAを有しており、弁ピストン区分は弁ピストン区分直径dBを有しており、弁座直径dAに対する弁ピストン区分直径dBの比は、約0.6〜約0.95であって、好適には約0.7〜約0.9であって、特に好適には約0.8〜約0.85である、車両、特に商用車用のスクリュコンプレッサのための最低圧力弁が設けられている。
【0017】
本発明の根底を成す思想は、コンプレッサ、特にスクリュコンプレッサまたはロータリ・ベーン・コンプレッサのための最低圧力弁であって、この最低圧力弁の圧力ヒステリシスを最小にするために、その弁座直径が、弁ピストン区分の直径に対する特別な比を有している最低圧力弁を設ける、というものである。圧力ヒステリシスは、1つには、開放状態もしくは閉鎖状態における弁ピストンのニューマチック有効表面の面積が異なることにより生じる、開放圧と閉鎖圧との差に基づき生じる。また1つには、圧力ヒステリシスは、弁インサートにおいて弁ピストン孔内に摺動可能にガイドされている弁ピストン区分の摩擦影響により影響される。驚くべきことに、本発明者はこの関連において、弁座直径dAに対する弁ピストン区分直径dBの比が約0.82(dB/dA=約0.82)である場合に最低圧力弁のヒステリシスが著しく、約0.2barに減じられることをつきとめた。したがって、弁ピストン区分直径dBは、弁座直径dAよりも小さく形成されていて、さらに専ら弁インサートの弁ピストン孔内に(すなわち、付加的な摩擦面はなく)軸方向で摺動可能にガイドされている。このような構造的な構成により、弁ピストンの付着摩擦および滑動摩擦をさらに減じることができ、このことは最低圧力弁の圧力ヒステリシスに対してさらに良好に作用し、したがって圧力ヒステリシスは実際に無視できる程度となる。
【0018】
さらに、弁インサートで弁ピストン孔内に摺動可能にガイドされている弁ピストン区分は、自由弁ピストン区分であってよい。最低圧力弁の構造的な構成が簡略化されるので、摺動可能にガイドされる弁ピストン区分は自由弁ピストン区分として構成される。自由弁ピストン区分とは、この自由弁ピストン区分が、弁ピストン区分の、弁ピストンに一体的に接続されていない、特に自由端部に位置していることを意味する。特に、弁インサートの構造的な構成ならびに製造と組み付けが簡単になる。
【0019】
さらに、自由弁ピストン区分と弁ピストン孔との間には少なくとも1つのシールが、特に半径方向シールが設けられていることが考えられる。半径方向シールは、(この場合、弁ピストンと弁インサートのように)特に半径方向で互いに相対的に移動するニューマチック構成部分において極めて良好なシール作用を発揮するので、最低圧力弁の確実な機能性を満たすためには有利である。さらに、半径方向シールの使用により、弁ピストン区分と弁ピストン孔の簡単な構造ならびに簡単な組み付けが可能となる。
【0020】
さらに、自由弁ピストン区分は円筒状の形状を有しており、自由弁ピストン区分の周面には、弁ピストン孔に対して押し付けられているシールが、特に半径方向シールが配置されていることが考えられる。自由弁ピストン区分の円筒状の形状により、自由弁ピストン区分を特に簡単に、慣用の製作法(例えば、旋削)により製造することができる。自由弁ピストン区分の周面における半径方向シールの配置は、半径方向シールの簡単な組み付けにより特に好適である。半径方向シールはOリングおよび/またはAirzetリングとして形成することができる。しかしながらこの関連では別の半径方向シールの構想も考えられる。この場合、半径方向シールは、弁ピストン区分の周面に、差し込み、貼り付け、クランプ、ねじ留め、クリップ固定、接着、かつ/または加硫接着されてよい。
【0021】
さらに、弁座は、環状の、特に閉じた環状の隆起部を有していることが考えられる。シール座の隆起部により特に改善されたシール作用が得られる。結果として、シールすべき構成部分において、隆起部により、簡単かつ好適な形式で特別な面圧を高めることができ、これによりシール作用が高まる。
【0022】
さらに、弁ピストンは、流体流入通路に面した端面に少なくとも1つのシール、特に軸方向シールを有しており、軸方向シールは、弁ピストンの閉鎖位置で弁座に当接していることが考えられる。軸方向シールの使用は、少なくとも一時的にシールすべき、互いに静止して位置する2つのニューマチック構成部分(この場合:弁ピストンと流体流入通路)が当接する際に特に好適である。この使用例における軸方向シールは、ピストンと弁座が相対移動する間にはこれらを相互にシールする必要はなく、ピストンが当接された状態の場合にのみシールすればよいので、軸方向シールを極めて良好にシール作用を発揮するように設計することができる。この場合、軸方向シールを端面に差し込む、貼り付ける、ねじ留めする、クリップ固定する、クランプする、接着する、かつ/または加硫接着することができる。この関連で適切なその他の取付け手段も考えることができる。軸方向シールは実質的にリング状に形成されている。しかしながら、(例えば、Oリング、ダイヤフラムシール、またはソンブレロ型のような)軸方向シールの別の形状も考えられる。
【0023】
弁ピストン孔の一方の端部は軸方向当接部を有していて、軸方向当接部により、自由弁ピストン区分および弁ピストンの軸方向の摺動を制限可能であることも考えられる。軸方向当接部を備えた弁ピストン孔を設けることは特に、一方では軸方向のガイドを構造的に極めて簡単に行え、他方では単に1つの構成部分において、特に1つのガイド孔(すなわち弁ピストン孔)のみによって弁ピストンを軸方向で制限することができるので、大きな意味がある。さらに、最低圧力弁の確実な作動のためには、弁ピストンもしくは弁ピストン区分の形状的に画定されたストッパが必須である。
【0024】
当接は、(1つの)ブロックへのばねの移動によっても行うことができる。ばねは、1つのもしくはその弁ピストン孔内にも位置していてよい。この場合、当接部を、ばね取付け面の間にも形成することができる。
【0025】
さらに、弁ピストンのばね取付け面と弁インサートのばね取付け面との間にはばねエレメントが、特にコイルばねが配置されていることが考えられる。コイルばねの形態のばねエレメントは、組み込まれ組み付けられた状態で、流体通路の端部における弁座への弁ピストンの当接と、開放圧および閉鎖圧とに関わるので、本発明による最低圧力弁の機能を満たすのに有利である。さらに、コイルばねは、半径方向でコンパクトな細長い機械的エレメントであるので、弁インサート開口の内側の半径方向で狭いスペース特性のもとでの使用が特に好適である。
【0026】
さらに、弁インサートとケーシングの弁インサート開口との間には少なくとも1つのシールが、特に半径方向シールが設けられていることが考えられる。既に説明したように、弁インサートは単に弁インサート開口にのみ装着されるので、作動圧のもとにある弁インサート開口を必ず大気に対してシールしなければならない。さらに、弁インサートの装着状態では、弁インサートと弁インサート開口の半径方向面しか接触しない。したがって、本発明では、弁インサートと弁インサート開口との間に別の半径方向シールを設けるのが特に簡単かつ有利である。
【0027】
弁インサートは円筒状の外輪郭を有しており、弁インサートの周面には、最低圧力弁の組み付け状態で弁インサート開口に向かって押し付けられるシールが、特に半径方向シールが配置されていることが考えられる。弁インサートの円筒状の外輪郭により、弁インサートを極めて簡単に、慣用の製作法(例えば、旋削)により安価かつ正確に製造することができる。さらに、弁インサートの周面における半径方向シールの配置は、半径方向シールの組み付けを簡略にするために特に適切である。
【0028】
さらに、弁インサートは、弁インサートの外表面から、軸方向当接部を有する、弁ピストン孔の端部まで延在している、排気孔を有していることが考えられる。最低圧力弁の組み付け状態では基本的に弁ピストン孔の内側に、弁ピストン区分の端面と、弁ピストン孔の端部と、弁ピストン孔とによって空間的に画定される実質的に円筒状の中間室が形成されている。最低圧力弁の作動中、前述したこの円筒状の中間室は、弁ピストン区分の半径方向シールが絶対的なシール性を保証することができないので、所定の割合の作動圧により継続的に負荷される。この円筒状の中間室が、(例えばこの場合、排気孔によって)継続的に排気されないならば、この中間室は一種のガスばねのように弁ピストンの端部に作用し、これにより特に最低圧力弁の圧力ヒステリシスはその影響を最小にするのではなく、拡大されてしまう。
【0029】
弁インサート開口の表面には軸方向のストッパが、特に軸方向の位置固定リングまたはねじカバーが設けられていて、このストッパ、特に位置固定リングに対して弁インサートは、最低圧力弁の組み付け状態で軸方向に圧接されていることも考えられる。既に説明したように、弁インサートは単に弁インサート開口にのみ装着されるので、最低圧力弁のケーシングは、弁インサート開口の内側で、機能を保証するために所定の軸方向ストッパを有していなければならない。軸方向の位置固定リングの形態の軸方向ストッパは、この場合、極めて簡単な組み付けとアクセス性により、かつ確実な軸方向の力により、特に好適である。
【0030】
さらに、最低圧力弁のケーシングは、スクリュコンプレッサのケーシングの一体的な構成部分として形成されていることが考えられる。最低圧力弁のケーシングとスクリュコンプレッサのケーシングとの一体的な結びつきは、いずれにせよ結果として最低圧力弁およびスクリュコンプレッサのケーシングの構造的な構成を簡略にする。最低圧力弁の別個のケーシングを省くことができるので、その結果さらに、必要な材料ならびに組み付けコストおよび製造コスト、ならびに部品数を減じることができる。さらに、構造的な構成により、最低圧力弁もしくはスクリュコンプレッサのケーシングの外側からの極めて良好なアクセス性が実現できるので、特に弁インサート開口の製作を簡単にすることができる。
【0031】
さらに、最低圧力弁は、アングルタイプの最低圧力弁として形成されていることが考えられる。アングルタイプの最低圧力弁の構成は、最低圧力弁全体が軸方向で貫流されるのではなく、したがって構造的な手間を著しく減じることができ、さらに、これに付随して高額なコストを回避することができるので、特に好適である。著しく簡単な構造的な構成によりさらに、機能安全性が高まる。
【0032】
本発明のさらなる詳細および利点は、図示した実施例につき説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による最低圧力弁を備えたスクリュコンプレッサの実施例を示す概略的な断面図である。
図2】閉鎖位置にある本発明による最低圧力弁の実施例を示す概略的な横断面図である。
図3】開放位置にある図2の本発明による最低圧力弁の実施例を示す概略的な横断面図である。
【0034】
図1には、本発明による最低圧力弁50を有するスクリュコンプレッサ10が概略的な断面図で示されている。
【0035】
スクリュコンプレッサ10は、このスクリュコンプレッサ10を、ここには図示されていない電気モータの形態の駆動装置に機械的に取り付けるための取付けフランジ12を有している。
【0036】
しかしながら入力軸14は示されており、この入力軸を介して、電気モータからトルクが両スクリュ16および18のうちの一方に、すなわちスクリュ16に伝達される。
【0037】
スクリュ18はスクリュ16に噛み合っていて、スクリュ16によって駆動される。
【0038】
スクリュコンプレッサ10はケーシング20を有していて、このケーシング内に、スクリュコンプレッサ10の主要な構成要素が収容されている。
【0039】
ケーシング20にはオイル22が充填されている。
【0040】
スクリュコンプレッサ10のケーシング20の空気入口側には入口管片24が設けられている。
【0041】
この場合、入口管片24は、この入口管片にエアフィルタ26が配置されているように形成されている。
【0042】
さらに、空気入口管片24には半径方向で空気入口28が設けられている。
【0043】
入口管片24と、ケーシング20に入口管片24が取り付けられている個所との間の領域には、ばね荷重が加えられたバルブインサート30が設けられており、この場合、軸方向シールとして構成されている。
【0044】
このようなバルブインサート30は逆止弁として機能する。
【0045】
バルブインサート30の下流には、空気を両スクリュ16,18に供給する空気供給通路32が設けられている。
【0046】
両スクリュ16,18の出口側には、上昇管路36を備えた空気出口管34が設けられている。
【0047】
上昇管路36の端部の領域には温度センサ38が設けられており、この温度センサによってオイル温度を監視することができる。
【0048】
さらに、空気出口領域には、空気/オイル分離エレメント42のためのホルダ40が設けられている。
【0049】
空気/オイル分離エレメントのためのホルダ40は、(図1に示したような)組み付け状態で底面側の領域に、空気/オイル分離エレメント42を有している。
【0050】
さらに、空気/オイル分離エレメント42の内部には、相応のフィルタスクリーンもしくは公知の濾過およびオイル分離装置44が設けられているが、これについてはより詳しくは特記しない。
【0051】
空気/オイル分離エレメントのためのホルダ40は、組み付け状態および作動準備完了状態(すなわち図1に示したような状態)に関して中央上方領域に、空気出口開口46を有しており、この空気出口開口は逆止弁48および最低圧力弁50に通じている。
【0052】
逆止弁48および最低圧力弁50は、組み合わせられた1つの共通の弁として形成されてもよい。
【0053】
逆止弁48に続いて、空気出口51が設けられている。
【0054】
空気出口51は、通常、相応に公知の圧縮空気消費器に接続されている。
【0055】
空気/オイル分離エレメント42内に存在する分離されたオイル22を再びケーシング20内に戻し案内するために、上昇管路52が設けられていて、この上昇管路は、空気/オイル分離エレメント42のためのホルダ40から出発して、ケーシング20内へ移行するところに、濾過および逆止弁54を有している。
【0056】
濾過および逆止弁54の下流では、ケーシング孔内にノズル56が設けられている。
【0057】
オイル戻し案内管路58は、スクリュ16またはスクリュ18のほぼ真ん中の領域に戻されて、このスクリュに再びオイル22を供給する。
【0058】
組み付け状態にあるケーシング20の底面領域内側には、オイル排出ねじ59が設けられている。
【0059】
オイル排出ねじ59を介して、相応のオイル排出開口が開かれ、この開口を介してオイル22を排出することができる。
【0060】
ケーシング20の下方領域には、オイルフィルタ62が取り付けられる付設部60も設けられている。
【0061】
ケーシング20内に配置されているオイルフィルタ入口通路64を介して、オイル22はまずは温度調整弁66に案内される。
【0062】
温度調整弁66の代わりに、ケーシング20内にあるオイル22のオイル温度を監視することができ、かつ目標値へと調整することができる開ループ制御装置および/または閉ループ制御装置が設けられてよい。
【0063】
次いで温度調整弁66の下流には、オイルフィルタ62のオイル入口があり、このオイルフィルタは、中央の戻し案内管路68を介してオイル22を再び、スクリュ18へと、またはスクリュ16へと戻し案内するが、軸14のオイル潤滑される軸受70にも戻し案内する。
【0064】
軸受70の領域にはノズル72も設けられていて、このノズルはケーシング20内で戻し案内管路68に連通して設けられている。
【0065】
クーラ74は付設部60に接続されている。
【0066】
ケーシング20の(組み付け状態に関して)上方領域には、ケーシング20内の高すぎる圧力を減圧することができる安全弁76が位置している。
【0067】
最低圧力弁50の手前に、放圧弁80に通じるバイパス管路78が位置している。
【0068】
空気供給通路32との接続によって制御されるこの放圧弁80を介して、空気入口28の領域に空気を戻し案内することができる。
【0069】
この領域には、示されていない空気抜き弁およびノズル(供給管路の縮径部)が設けられていてよい。
【0070】
さらに、ケーシング20の外壁にほぼ管路34の高さにオイルレベルセンサ82を設けることができる。
【0071】
このオイルレベルセンサ82は例えば、光学センサであってよく、センサ信号により、作動中に油面がオイルレベルセンサ82の上方にあるかどうか、またはオイルレベルセンサ82が露出していて、これにより油面が相応に低下しているかどうかを検知することができるように構成され、調整されている。
【0072】
このような監視との関連で、相応のエラー報知または警告をシステムの使用者に発する、もしくは伝えるアラームユニットを設けることもできる。
【0073】
図1に示されたスクリュコンプレッサ10の機能は以下の通りである:
空気は、空気入口28を介して供給され、逆止弁30を介してスクリュ16,18に到り、ここで空気は圧縮される。
【0074】
5〜16倍に圧縮された空気オイル混合物は、スクリュ16,18を出た後、出口管34を通って上昇管路36を介して上昇し、温度センサ38へと直接吹き付けられる。
【0075】
まだ部分的にオイル粒子を含む空気は、次いで、ホルダ40を介して空気/オイル分離エレメント42へと案内され、相応の最低圧力に達すると空気出口管路51へと到る。
【0076】
ケーシング20内に存在するオイル22は、オイルフィルタ62を介して、かつ場合によっては熱交換器74を介して作動温度に保持される。
【0077】
冷却が不要な場合は、熱交換器74は使用されず、オンにもされていない。
【0078】
相応のスイッチオンは、温度調整弁66を介して行われる。オイルフィルタ62における浄化後、オイルは管路68を介してスクリュ18にまたはスクリュ16に供給されるが、軸受70にも供給される。
【0079】
スクリュ16またはスクリュ18には、戻し案内管路52,58を介してオイル22が供給され、この場合、オイル22の浄化は、空気/オイル分離エレメント42内で行われる。
【0080】
図示されていない電気モータのトルクは、軸14を介してスクリュ16に伝達され、このスクリュ16はスクリュ18に噛み合っており、この電気モータを介してスクリュコンプレッサ10のスクリュ16,18は駆動される。
【0081】
詳しくは図示されていない放圧弁80に基づいて、作動準備状態で例えばスクリュ16,18の出口側に形成される高圧が、供給管路32の領域で閉じ込められることがなく、特にコンプレッサの始動時に供給管路32の領域には常に低い入口圧が、特に大気圧が存在していることが保証される。
【0082】
さもないと、コンプレッサの始動により最初に、駆動モータに過剰に負荷をかける極めて高い圧力がスクリュ16,18の出口側に発生してしまう恐れがある。
【0083】
図2には、商用車用のスクリュコンプレッサ112のための、閉鎖位置にある本発明による最低圧力弁50の実施例が概略的な横断面図で示されている。
【0084】
基本的には、このような形式の最低圧力弁50は、いわゆるロータリ・ベーン・コンプレッサとの関連においても使用することができる。
【0085】
最低圧力弁50は、(弁)ケーシング114と、このケーシング114に形成されている弁インサート開口116とを有している。
【0086】
弁インサート開口116は、開放端部と部分閉鎖端部とを備えた円筒状の凹設孔としてケーシング114内に設けられている。
【0087】
開放端部と部分閉鎖端部とは互いに向かい合って配置されている。
【0088】
さらに、最低圧力弁50は、弁インサート開口116内に装着される弁インサート118を有している。
【0089】
弁インサート118は実質的にU字型の横断面を有していて、円筒状の外輪郭を有しており、回転対称的に形成されている。
【0090】
さらに、弁インサート118はこの組み付け状態で、弁インサート118を軸方向で画定する外側扁平端面と内側扁平端面とを有している。
【0091】
弁インサート開口116と弁インサート118とは互いに同心的に方向付けられている。
【0092】
さらに弁インサート118は弁ピストン孔120を有している。
【0093】
弁ピストン孔120は、真ん中に配置された円筒状の凹設孔として、弁インサート118の内側扁平端面に垂直に設けられている。
【0094】
弁ピストン孔120も開放端部と部分閉鎖端部とを有している。
【0095】
さらに、最低圧力弁50は弁ピストン122を有しており、この弁ピストンはさらに、1つの弁ピストン区分124を含んでいる。
【0096】
弁ピストン122は実質的に、板状の円筒体として形成されている。
【0097】
図2では、最低圧力弁50は、弁ピストン122の閉鎖位置において示されている。
【0098】
弁ピストン区分124は、弁ピストン122の、弁インサート118に面した端面から突出している。
【0099】
弁ピストン区分124は細長い円筒体として形成されていて、弁ピストン122と一体に、かつ同心的に接続されている。
【0100】
弁ピストン区分124はさらに、弁インサート118の弁ピストン孔120内で軸方向摺動可能にガイドされている。
【0101】
さらに、最低圧力弁50は流体流入通路126と流体流出通路128とを有している。
【0102】
流体とは、空気もしくは空気・オイル混合物である。
【0103】
流体流入通路126は、ケーシング114内に孔として形成されていて、部分閉鎖端部から弁インサート開口116内へと開口している。
【0104】
流体流入通路126の中心軸線と、弁インサート開口116の中心軸線とは、互いにほぼ同心的に向けられている。
【0105】
流体流出通路128も、ケーシング114内に孔として形成されていて、半径方向に弁インサート開口116内へと開口している。
【0106】
流体流出通路128の中心軸線は、弁インサート開口116の中心軸線に対して実質的に垂直に向けられている。
【0107】
流体流入通路126はさらに、弁ピストン122に面した端部に弁座130を有している。
【0108】
この場合、弁座130は、ケーシング114における弁インサート開口116の部分閉鎖端部に形成されている。
【0109】
弁ピストン122は、最低圧力弁50を閉鎖するために、弁座130に当接可能である。
【0110】
さらに、弁座130は弁座直径dAを有している。
【0111】
さらに、弁ピストン区分124は弁ピストン区分直径dBを有している。
【0112】
弁座直径dAに対する弁ピストン区分直径dBの比は、約0.7〜約0.9である(dB/dA=約0.7〜約0.9)。
【0113】
特に好適には、弁座直径dAに対する弁ピストン区分直径dBの比は、約0.8〜約0.85である(dB/dA=約0.8〜約0.85)。
【0114】
さらに弁インサート118において弁ピストン孔120内に摺動可能にガイドされている弁ピストン区分124は、自由弁ピストン区分124aである。
【0115】
自由弁ピストン区分124aと弁ピストン孔120との間には半径方向シール132が設けられている。
【0116】
自由弁ピストン区分124aは円筒状の形状を有している。
【0117】
自由弁ピストン区分124aの周面には、弁ピストン孔120に対して押し付けられる半径方向シール132が配置されている。
【0118】
さらに、弁ピストン孔120の内側に存在している自由弁ピストン区分124aの周面は、一貫して環状の半径方向収容溝を有しており、この収容溝内に半径方向シール132が配置されている。
【0119】
半径方向シール132は、エラストマー、特にゴムから成るOリングとして形成されている。
【0120】
弁座130はさらに、閉じられた環状の隆起部134を有している。
【0121】
隆起部134は実質的に、少なくとも部分的に形成されたトーラス(輪環体)として成形されている。
【0122】
少なくとも部分的に形成されたトーラスは、その平坦な表面で、弁インサート開口116の部分閉鎖端部側の、ケーシング114内の流体流入通路126の端部に付設されている。
【0123】
弁ピストン122は、流体流入通路126に面した端面136に軸方向シール138を有しており、この軸方向シールは、弁ピストン122の閉鎖位置で弁座130に当接している。
【0124】
この場合、弁座直径dAは、流体流入通路126の直径よりも僅かに大きい。
【0125】
軸方向シール138はリング状に形成されていて、弁ピストン122の、流体流入通路126に面した端面136に設けられたリング溝内に配置されている。
【0126】
軸方向シール138は、エラストマー、特にゴムから形成されている。
【0127】
さらに、弁ピストン孔120の端部140は軸方向当接部142を有している。
【0128】
当接は、(1つの)ブロックへのばねの移動によっても起こり得る。ばねは、弁ピストン孔120内にも位置していてよい。この場合、当接部は、ばね取付け面144とばね取付け面146との間にも形成されてよい。
【0129】
弁ピストン孔120の端部140は、部分閉鎖端部140aとして形成されている。
【0130】
軸方向当接部142は、部分閉鎖端部140aの範囲内に、リング状の軸方向制限面として形成されている。
【0131】
さらに、弁ピストン122のばね取付け面144と弁インサート118のばね取付け面146との間にはコイルばね148が配置されている。
【0132】
弁ピストン122のばね取付け面144はこの場合、弁ピストン122の、弁インサート118に面した端面に平坦な外側リング面として形成されており、弁ピストン区分124の固定端部を半径方向で取り囲んでいる。
【0133】
弁インサート118のばね取付け面146は、弁インサート118の内側端面の外側リング面として形成されていて、弁ピストン孔120の開放端部を半径方向で取り囲んでいる。
【0134】
付加的に弁インサート118と、ケーシング114の弁インサート開口116との間には半径方向シール150が設けられている。
【0135】
半径方向シール150は、弁インサート118の円筒状の外輪郭の周面に配置されていて、最低圧力弁50の組み付け状態で弁インサート開口116に対して押し付けられている。
【0136】
弁インサート118の円筒状の外輪郭は、一貫して延在するリング溝を有しており、この溝内に半径方向シール150が配置されている。
【0137】
半径方向シール150は、エラストマー、特にゴムから成るOリングとして形成されている。
【0138】
弁インサート118はさらに、弁インサート118の外表面から、弁ピストン孔120の部分閉鎖端部140aまで延在する排気孔152を有している。
【0139】
排気孔152は、弁インサート118の真ん中に、円形かつ同心的な貫通孔として形成されている。
【0140】
弁インサート開口116の表面には、軸方向の位置固定リング154が設けられており、この位置固定リングには弁インサート118がこの組み付け状態で軸方向に当て付けられている。
【0141】
弁インサート118は、この組み付け状態において、その外側端面で、位置固定リング154へと軸方向で当て付けられている。
【0142】
弁インサート開口116の内周面には、弁インサート開口116の開放端部の近傍に、閉じられた環状の半径方向収容溝が設けられていて、この収容溝内には位置固定リング154が配置されている。
【0143】
最低圧力弁50のケーシング114は、スクリュコンプレッサ112のケーシング20の一体的な構成部分として形成されている。
【0144】
最低圧力弁50はさらに、アングルタイプの最低圧力弁50として形成されている。
【0145】
図3には、図2の本発明による最低圧力弁50の実施例が開放位置で示されている。
【0146】
最低圧力弁50の機能は以下の通り説明される:
流体流入通路126はスクリュコンプレッサ112の圧縮側に流体接続されている。
【0147】
スクリュコンプレッサ112の作動が開始されるとすぐに、圧縮空気が、スクリュコンプレッサ112の圧縮側から流体流入通路126内へと流入し、そこの弁座130において、弁ピストン122の、流体流入通路126に面した端面を作動圧で負荷する。
【0148】
その都度の作動圧と座直径dAから生じる押圧力は、まず少なくとも、コイルばね148から弁ピストン122へと加えられるばね力、流体流出通路128内の圧力と円環面dA−dBから生じる押圧力、およびシールエレメント132と弁インサート118との間の摩擦力の合計を超えるまで上昇されなければならない。
【0149】
そうではない場合は、弁ピストン122は、流体流入通路126と流体流出通路128とを互いに分離するように閉鎖位置に位置する。
【0150】
押圧力(例えば、約10barの作動圧以上)が、ばねエレメント148のばね力、リング面dA−dBから生じる押圧力、およびシールエレメント132と弁インサート118との間の摩擦力の合計を上回ると、弁インサート118における弁ピストン孔120内で弁ピストン区分124aによって軸方向摺動可能にガイドされている弁ピストン122が、軸方向で弁インサート118の方向に移動する。
【0151】
弁ピストン122の軸方向の摺動は、主として作動圧に依存する所定の摺動長さ以上で、弁ピストン孔120の部分閉鎖端部140aにおける軸方向当接部142によって制限される。
【0152】
したがって、自由弁ピストン区分124aと弁ピストン122との軸方向の摺動は軸方向当接部142によって制限可能である。
【0153】
次いで、圧縮空気が流体流入通路126から弁インサート開口116を介して流体流出通路128へと流入し、ここからさらに、(例えば空気処理装置のような)ニューマチック構成部分に供給され得る。
【0154】
スクリュコンプレッサ112の作動圧が所定の値よりも下がると、弁ピストン122は弁座130の方向に動く。この所定の値以上では、コイルばね148のばね力と、リング面dA−dBの押圧力との合計を、直径dBから生じる弁ピストン122における押圧力と、シールエレメント132と弁インサート118との間の摩擦力との合計が上回ることになる。
【0155】
軸方向シール138が弁座130に当接した後、弁ピストン122は最終的に閉鎖位置に達する。
【0156】
弁ピストン122の、流体流入通路126に面した端面におけるニューマチック作用面が、弁ピストンの閉鎖位置におけるよりも開放位置における方が小さいので、(このような状況は、このような構成形式のどんな弁でも原則的に存在する)開放圧は閉鎖圧と異なる。
【0157】
ヒステリシスと呼ばれるこのような不一致は、できるだけ小さく維持されるのが望ましく、特に弁座直径dAに対する弁ピストン区分直径dBの比により、開放圧が約10barの場合に、ヒステリシスが約1barの、特に約0.5barの、特に好適には約0.2barの値に下がることができるように、調整することができる。
【符号の説明】
【0158】
10 スクリュコンプレッサ
12 取付けフランジ
14 入力軸
16 スクリュ
18 スクリュ
20 ケーシング
22 オイル
24 入口管片
26 エアフィルタ
28 空気入口
30 バルブインサート
32 空気供給通路
34 空気出口管
36 上昇管路
38 温度センサ
40 空気/オイル分離エレメントのためのホルダ
42 空気/オイル分離エレメント
44 フィルタスクリーンもしくは公知の濾過もしくはオイル分離装置
46 空気出口開口
48 逆止弁
50 最低圧力弁、アングルタイプの最低圧力弁
51 空気出口
52 上昇管路
54 濾過および逆止弁
56 ノズル
58 オイル戻し案内管路
59 オイル排出ねじ
60 付設部
62 オイルフィルタ
64 オイルフィルタ入口通路
66 温度調整弁
68 戻し案内管路
70 軸受
72 ノズル
74 クーラ、熱交換器
76 安全弁
78 バイパス管路
80 放圧弁
82 オイルレベルセンサ
112 スクリュコンプレッサ
114 (弁)ケーシング
116 弁インサート開口
118 弁インサート
120 弁ピストン孔
122 弁ピストン
124 弁ピストン区分
124a 自由弁ピストン区分
126 流体流入通路
128 流体流出通路
130 弁座
132 自由弁ピストン区分の半径方向シール
134 弁座の隆起部
136 弁ピストンの端面
138 弁ピストンの軸方向シール
140 弁ピストン孔の端部
140a 弁ピストン孔の部分閉鎖端部
142 弁ピストン孔の端部の軸方向当接部
144 弁ピストンのばね取付け面
146 弁インサートのばね取付け面
148 ばねエレメント、コイルばね
150 弁インサートの半径方向シール
152 排気孔
154 軸方向位置固定リング
dA 弁座直径
dB 弁ピストン区分直径
図1
図2
図3
【国際調査報告】