(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-530534(P2019-530534A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】薬剤送達装置のための制御部
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20190927BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20190927BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
A61M5/315 550A
A61M5/20 500
A61M5/31 520
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-520080(P2019-520080)
(86)(22)【出願日】2017年10月5日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017075367
(87)【国際公開番号】WO2018069150
(87)【国際公開日】20180419
(31)【優先権主張番号】16193794.1
(32)【優先日】2016年10月13日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】318014474
【氏名又は名称】エス・ハー・エル・メディカル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SHL MEDICAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フー,ペイ・チー
(72)【発明者】
【氏名】トゥー,シー・スン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066FF05
4C066HH03
4C066HH13
4C066HH17
4C066NN04
4C066NN08
4C066QQ24
4C066QQ32
4C066QQ73
4C066QQ79
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ92
(57)【要約】
薬剤送達装置および制御部が開示される。薬剤送達装置は、薬剤容器と、プランジャロッドと、弾性部材とを含む。プランジャロッドは、薬剤を放出するための薬剤容器内の摺動可能なストッパと接触する。弾性部材は、薬剤の送達の際にプランジャロッドに力を加えるようために用いられる。加えて、制御部は、弾性部材の誘導特性にしたがってプランジャロッドの送達ストロークの完了を検出するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置のための制御部であって、前記薬剤送達装置は、
薬剤容器と、
薬剤を放出するための前記薬剤容器内の摺動可能なストッパと接触する、プランジャロッドと、
前記薬剤の送達の際に前記プランジャロッドに力を加えるために用いられる、弾性部材と、を備え、
前記制御部は、前記弾性部材の誘導特性にしたがって前記プランジャロッドの送達ストロークの完了を検出するように構成される、制御部。
【請求項2】
前記誘導特性は、前記薬剤の前記送達の間における前記弾性部材の周波数変動によって得られる、請求項1に記載の制御部。
【請求項3】
前記周波数変動は、前記弾性部材を含むLC回路に由来する共振周波数に関する、請求項2に記載の制御部。
【請求項4】
前記弾性部材は、コイル形状であり、前記LC回路の誘導要素に相当する、請求項3に記載の制御部。
【請求項5】
前記LC回路の共振周波数値のモニタリングが、前記薬剤の前記送達が始まるときに活性化され、前記共振周波数値は、前記プランジャロッドの前記ストロークの前記完了を判定するために連続的にモニタリングされる、請求項4に記載の制御部。
【請求項6】
前記プランジャロッドの前記ストロークの前記完了は、前記共振周波数値が所定の周波数値と等しいまたは所定の周波数値よりも大きいことが検出されたときに判定される、請求項5に記載の制御部。
【請求項7】
前記LC回路の単位時間当たりの共振周波数差のモニタリングが、前記薬剤の前記送達が始まるときに活性化され、前記単位時間当たりの共振周波数差は、前記プランジャロッドの前記ストロークの前記完了まで連続的にモニタリングされる、請求項4に記載の制御部。
【請求項8】
前記プランジャロッドの前記ストロークの前記完了は、前記単位時間当たりの共振周波数差が実質的に0に等しくなるときに判定される、請求項7に記載の制御部。
【請求項9】
前記制御部は、薬剤送達の進捗を示すためのインディケータを制御する、請求項1に記載の制御部。
【請求項10】
前記制御部は、前記プランジャロッドの前記ストロークの前記完了を示すために前記インディケータへ信号を送るように構成され、前記インディケータは、所定の遅延時間後に前記薬剤の前記送達の前記完了を示すように構成される、請求項9に記載の制御部。
【請求項11】
先行する請求項のいずれかに記載の制御部を備える、薬剤送達装置。
【請求項12】
前記制御部および外部ユニットと通信するように構成される通信ユニットをさらに備える、請求項11に記載の薬剤送達装置。
【請求項13】
前記インディケータは、前記薬剤送達装置および/または前記外部ユニット内に配置される、請求項11または請求項12に記載の薬剤送達装置。
【請求項14】
前記所定の遅延時間は、カスタマイズ可能である、請求項13に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、薬剤送達装置のための制御部に関し、特に、薬剤送達の完了を検出するように構成される制御部に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
進歩した薬剤送達装置は、自動機構を特徴として使い易いように開発されてきた。進歩した自動薬剤送達装置は、人為的ミスの危険がほとんどなく、より直感的かつ人間工学的に使用者が使用し得るように、可聴的、触知的、または視覚的な確認を達成するように機械的に設計される。
【0003】
文献EP2583710Aは、このような進歩した自動薬剤送達装置を開示している。使用者が薬剤送達装置の近位端部を押す間に自動注入が開始され、針が注入領域に侵入することを可能にし、その後、この使用者は機械音によって注入が完了したことに気付き得る。このように、進歩した自動薬剤送達装置は、使用者が注入のプロセスを容易に遂行することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機械的薬剤送達装置は、あまり正確でなく適応可能でない場合がある。たとえば、この機械的薬剤送達装置の聴覚的な確認は、注入完了の正確なタイミングに対応しない場合があり、薬剤送達の進捗の表示について調整可能/カスタマイズ可能でない場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の概要
本発明は、薬剤送達装置のための制御部に関する。薬剤送達装置は、薬剤容器と、プランジャロッドと、弾性部材とを備える。プランジャロッドは、薬剤を放出するための薬剤容器内の摺動可能なストッパと接触する。弾性部材は、薬剤の送達の際にプランジャロッドに力を加えるために用いられる。加えて、制御部は、弾性部材の誘導特性にしたがってプランジャロッドの送達ストロークの完了を検出するように構成される。
【0006】
好ましくは、誘導特性は、薬剤の送達の間における弾性部材の周波数変動によって得られる。
【0007】
好ましくは、周波数変動は、弾性部材を含むLC回路に由来する共振周波数に関する。
好ましくは、弾性部材は、コイル形状であり、LC回路の誘導要素に相当する。
【0008】
好ましくは、LC回路の共振周波数値のモニタリングが、薬剤の送達が始まるときに活性化され、共振周波数値は、プランジャロッドのストロークの完了を判定するために連続的にモニタリングされる。
【0009】
好ましくは、プランジャロッドのストロークの完了は、共振周波数値が所定の周波数値と等しいまたは所定の周波数値よりも大きいことが検出されたときに判定される。
【0010】
好ましくは、LC回路の単位時間当たりの共振周波数差のモニタリングが、薬剤の送達が始まるときに活性化され、単位時間当たりの共振周波数差は、プランジャロッドのストロークの完了まで連続的にモニタリングされる。
【0011】
好ましくは、プランジャロッドのストロークの完了は、単位時間当たりの共振周波数差が実質的に0に等しくなるときに判定される。
【0012】
好ましくは、制御部は、薬剤送達の進捗を示すためのインディケータを制御する。
好ましくは、制御部は、プランジャロッドのストロークの完了を示すためにインディケータへ信号を送るように構成され、インディケータは、所定の遅延時間後に薬剤の送達の完了を示すように構成される。
【0013】
好ましくは、薬剤送達装置は、制御部および外部ユニットと通信するように構成される通信ユニットをさらに含む。
【0014】
好ましくは、インディケータは、薬剤送達装置および/または外部ユニット内に配置される。
【0015】
好ましくは、所定の遅延時間は、カスタマイズ可能である。
本発明によれば、提供される薬剤送達装置は、薬剤の送達の完了を正確に検出するようにカスタマイズ可能であり得、薬剤送達装置の制御部は、薬剤送達の進捗全体を示すインディケータを制御するように構成され得る。
【0016】
本発明のさらなる構成および局面が、添付の図面を参照して以下の実施形態の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0017】
明細書の一部に含まれるまたは明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示の実施形態、構成、および局面を示し、説明とともに本発明の原理を解説するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る、制御部と、インディケータと、通信ユニットとを有する初期状態における薬剤送達装置の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、弾性部材の誘導特性に基づいたプランジャロッドの送達ストロークの検出のための、
図1の薬剤送達装置に設けられる例示の概略的なLC回路を示す図である。
【
図3】単位時間当たりの共振周波数差対弾性部材の長さのプロットを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、薬剤送達の進捗のいくつかの段階を示すために薬剤送達装置に設けられるインディケータを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、
図1の薬剤送達装置に設けられる制御回路の機能ブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態の説明
本発明の様々な例示の実施形態、構成、および局面が、図面を参照して、以下に詳細に説明される。以下の図面について、同様または類似の数字および記号は、同様または類似の要素を意味する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る、制御部11と、インディケータ13と、通信ユニット12とを有する初期状態における薬剤送達装置1の断面図である。
図1を参照すると、薬剤送達装置1は、主に、薬剤容器80と、プランジャロッド90と、摺動可能なストッパ83と、弾性部材91とを含む。薬剤容器80は、薬剤送達装置1内に配置され、薬剤を含む所定の体積を有する。プランジャロッド90は、摺動可能なストッパ83と接触する近位端部を有し、近位方向におけるプランジャロッド90への力を加えるように適合される弾性部材91を包み込む。摺動可能なストッパ83は、薬剤を放出するために薬剤容器80内に配置される。
【0021】
加えて、薬剤送達装置1は、キャップ10、管状活性化部材30、ばね34、針61、および筐体部材(図示せず)をさらに含む。使用者がキャップ10を取り外し、管状活性化部材30を送達領域に対して(たとえば、使用者の腕の皮膚に対して)押すとき、ばね34が圧縮され、針61が侵入し、筐体部材が部品80,90,83および91と協働して自動注入を達成する。それと同時に、弾性部材91は、薬剤の送達の際、プランジャロッド90に力を加える。この自動注入の技術は、たとえば文献EP2583710Aに既に提示されているため、この自動注入技術は本明細書では重ねて説明されない。
【0022】
実施形態によれば、制御部11は、プランジャロッド90の送達ストロークの完了を検出するように構成またはプログラムされ得る。実施形態によれば、弾性部材91は、コイル形状であってもよく、またはばねであってもよく、したがって弾性部材91は、回路に設けられる間インダクタとして機能し得る、すなわち、弾性部材91は、誘導特性を有する。実施形態によれば、制御部11は、弾性部材91の誘導特性にしたがってプランジャロッド90の送達ストロークの完了を検出するように構成され得る。加えて、制御部91は、プログラム可能または構成可能である任意の利用可能な制御部であってもよい。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る、弾性部材91の誘導特性に基づいたプランジャロッド90の送達ストロークの検出のための、
図1の薬剤送達装置に設けられる例示の概略的なLC回路15を示す。
図1および
図2の両方を参照すると、弾性部材91はインダクタとして機能し得るため、弾性部材91は、インダクタンス・キャパシタンス(LC)回路の誘導要素に相当し得る。コンデンサC1には、弾性部材91が設けられ繋げられてLC回路15を形成し得る。制御部11は、LC回路15に繋げられ得、LC回路15に由来する共振周波数を検出し得る。共振周波数は、式:
【0025】
から得られ得る。Lは弾性部材91のインダクタンスを表し、CはコンデンサC1のキャパシタンスを表し、fは共振周波数を表す。
【0026】
実施形態によれば、制御部11は、LC回路15の共振周波数値を常にモニタリングするように構成され得る。別の実施形態によれば、制御部11は、薬剤の送達が始まるときにLC回路15の共振周波数値をモニタリングすることを開始し得る。すなわち、LC回路15の共振周波数値をモニタリングすることは、使用者が薬剤送達装置の近位端部を押して薬剤を注入することを開始するときに、始動または活性化される。
【0027】
本発明の実施形態によれば、制御部11は、薬剤の送達の間に、LC回路15の共振周波数値を連続的にモニタリングし得る。言い換えれば、制御部11は、薬剤が注入されるとき、LC回路15を検出し続ける。次に、制御部11は、弾性部材91の周波数変動に基づいて、プランジャロッド90のストロークの完了を判定し得る。
【0028】
図3は、単位時間当たりの共振周波数差対弾性部材91の長さのプロットを示す。
図1〜
図3を参照すると、薬剤送達装置1が使用されていないまたは使用を始められていない間、弾性部材91は予め張力をかけられた状態にある、すなわち弾性部材91は長さL1で圧縮される。注入の間、プランジャロッド90は解放され、弾性部材91は摺動可能なストッパ83に力を加えて動かすように長さを増加させ、薬剤を送達させる。プランジャロッド90の送達ストロークの完了の際、弾性部材91は弛緩を停止し、長さL2を有する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、弾性部材91は、複数の螺旋状コイルを有する形状のコイルである。プランジャロッド90が解放されるとき、弾性部材91は、弛緩の際にL1からL2まで長さが変化し得る。それと同時に、弾性部材91の各隣接するコイルの対は、ある距離だけ伸張し得、弾性部材91のインダクタンス変動を生じさせる。結果として、各隣接するコイルの対の間の距離を増加させることは、LC回路15の共振周波数を変化させるように弾性部材91に由来するインダクタンスを低減させ得る。
【0030】
本発明の実施形態によれば、コンデンサC1のキャパシタンスおよび長さL2を有する弛緩状態における弾性部材91のインダクタンスによって、所定の周波数値が規定され得る。したがって、制御部11は、共振周波数値が所定の周波数値と実質的に等しいまたは所定の周波数値よりも大きいことが検出されるとき、プランジャロッド90のストロークの完了を判定し得る。
【0031】
別の実施形態によれば、
図3から、単位時間当たりの共振周波数差△fが弾性部材91がL1からL2まで長さを変化させる期間内に変動することが観察され得る。よって、制御部11は、薬剤の送達が始まるときに、LC回路15の単位時間当たりの共振周波数差△fをモニタリングすることを開始し得る。次に、制御部11は、プランジャロッド90が移動し、かつ弾性部材91が弛緩している間、単位時間当たりの共振周波数差△fをモニタリングし続け得る。結果として、単位時間当たりの共振周波数差△fが実質的に0に等しいことが検出される、すなわちLC回路15の共振周波数が変動することを停止して一定の値となる場合、制御部11は、プランジャロッド90のストロークの完了を判定し得る。
【0032】
本発明の実施形態によれば、制御部11は、インディケータに有線または無線で接続され得る。
図1に示されるように、制御部11は、薬剤送達装置1の薬剤送達の進捗を示すようにインディケータ13を制御し得る。
【0033】
本発明の実施形態によれば、インディケータ13は、薬剤送達装置内に配置され得る。たとえば、制御部に有線で接続されるインディケータ13は、限定ではないが、LED装置、振動装置、ブザーもしくはスピーカ、または人間にとって感知可能な任意の装置であり得る。
【0034】
別の実施形態では、制御部11に無線で接続されるインディケータ(図示せず)は、薬剤送達装置1の外部にあり得る。局面によれば、外部インディケータは、外部ブザーもしくはスピーカ、外部振動装置、または、外部LEDなどの単純な装置であり得る。別の局面によれば、外部インディケータは、携帯電話、スマートウォッチ、スマートブレスレットなどの外部電子装置であってもよい。しかしながら、本発明の外部インディケータは、上述された装置に限定されない。制御部11から無線で表示信号を受信し得るあらゆる装置が、薬剤送達装置1のための外部インディケータとして用いられ得る。さらに、実施形態によれば、薬剤送達装置1は、制御部11と通信するように、かつ外部ユニットと通信するように構成され得る通信ユニット12(
図1に図示)をさらに含んでもよい。この方法では、制御部11は、通信ユニット12を通して外部インディケータ(図示せず)に信号を送り得る。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係る、薬剤送達の進捗のいくつかの段階を示すために薬剤送達装置1に設けられるインディケータ13を示す。
図4の薬剤送達装置は、使用者が見得る、
図1の薬剤送達装置1の外観を示す。インディケータ12は、たとえばLED装置12であり得る。
【0036】
図4を参照すると、薬剤送達装置1は、初期段階においてはキャップで蓋をされる。キャップが取り外された後、LED装置12は、薬剤送達装置1が使用できる状態であることを示すために、しばらくの間、発光し得る(使用可能状態の段階)。薬剤の送達が活性化された後、薬剤送達装置1のLED装置12は点滅を開始し得る。LED装置12は、薬剤/用量の送達の間、点滅し続け得る(注入の段階)。薬剤送達装置1のプランジャロッド(図示せず)のストロークの完了が上述されたように判定されるまで、LED装置12は遅延時間の間、点滅を停止するが、依然として発光し得る(時間遅延の段階)。LED装置12は、遅延時間が過ぎて薬剤の送達の実際の完了を示した後、異なる色で発光し得る(終了の段階)。薬剤送達装置1が(たとえば、ヒトの体から)除去された後、LED装置12は発光を停止し得る。
【0037】
注入の段階に関して、注入時間は、薬剤送達装置1の電源(たとえば電池)、薬剤送達装置1のシリンジの特性(サイズまたは材料など)、薬剤/薬物の量、薬剤/薬物の粘度、薬剤送達装置1の針ゲージおよび/またはその組み合わせに依存し得る。したがって、注入時間の通常条件は、注入前に所定の範囲内で決定され得る。よって、薬剤送達装置1の制御部は、注入の失敗条件も決定し得る。たとえば、注入時間が短すぎる場合、薬剤送達装置1の制御部は、薬剤送達装置1が機能不全である(または動かなくなった)と判定し得る。他方、注入時間が長すぎる場合、薬剤送達装置1の制御部は、薬剤送達装置1のプランジャロッドが、たとえば摩耗によって非常にゆっくりと動いていると判定し得る。
【0038】
遅延時間の段階について、プランジャロッドの送達ストロークが完了したとき、薬剤は通常、依然として送達されるため、薬剤の送達の完了は、プランジャロッドの送達ストロークが終了した後で起こり得る。よって、プランジャロッドの送達ストロークの完了と薬剤の送達の完了との間には潜在時間が存在する。言い換えれば、薬剤の送達の最終的な完了時間は、プランジャロッドの送達ストロークの完了時間プラス遅延時間に近似する。実施形態によれば、遅延時間は、人体(注入を受けるターゲットである)特性、薬剤パラメータ、薬剤送達装置の設計および/または外部条件に応じて予め決定され得る。たとえば、人体特性は、限定されないが、血圧、注入部位、注入温度、皮膚の圧力/抵抗、体脂肪率、水和条件、年齢などであり得る。薬剤パラメータは、限定されないが、粘度、投薬量などであり得る。薬剤装置の設計は、限定されないが、針ゲージ、針長さ、注入ばね力などであり得る。外部環境条件は、限定されないが、貯蔵温度などであり得る。したがって、所定の遅延時間は、各個々の注入環境下における各個々の人体についてカスタマイズ可能である。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に係る、
図1の薬剤送達装置に設けられる制御回路50の機能ブロックダイアグラムを示す。
図5を参照すると、制御回路50は、電源56と、制御部11と、検出部57と、弾性部材(ばね)91と、インディケータ(LED装置)13とを含む。薬剤送達装置が電源オンである間、制御部11はたとえば電池であり得る電源56から電力を受容する。本発明の実施形態によれば、制御部11は、弾性部材91の誘導特性(共振周波数など)を検出するように検出部57を制御し得、制御部11は、弾性部材91の誘導特性にしたがって薬剤送達装置の利用の進捗を示すようにインディケータ13を制御してもよい。
【0040】
要約すれば、本発明は、そのための制御部を備える薬剤送達装置を提供する。薬剤送達装置は、薬剤容器と、プランジャロッドと、弾性部材とを含む。薬剤送達装置の制御部は、弾性部材の誘導特性を感知してプランジャロッドの送達ストロークの完了を判定し、さらにカスタマイズ可能な遅延時間で薬剤の送達の完了を判定するように構成され得る。加えて、制御部は、薬剤の送達の進捗全体を示すためのインディケータも制御し得る。その結果、正確で、カスタマイズ可能で、より直感的に使い易い薬剤送達装置が達成される。
【0041】
本明細書では特定の実施形態が示され説明されたが、様々な代替例および/または等価物の実施が、本発明の範囲から逸脱することなく、示され説明された特定の実施形態に代替され得ることが当業者によって理解されるだろう。この出願は、本明細書に説明された特定の実施形態のあらゆる適合物または変形物をカバーすることを意図される。したがって、この発明は、請求項およびその等価物によってのみ限定されることが意図される。
【国際調査報告】