特表2019-530831(P2019-530831A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-530831商用車の空気処理システム用の圧力調整弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-530831(P2019-530831A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】商用車の空気処理システム用の圧力調整弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/30 20060101AFI20190927BHJP
   B60T 15/36 20060101ALI20190927BHJP
   G05D 16/10 20060101ALI20190927BHJP
   F16J 15/18 20060101ALN20190927BHJP
【FI】
   F16K17/30 A
   B60T15/36 Z
   G05D16/10 Z
   F16J15/18 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-515358(P2019-515358)
(86)(22)【出願日】2017年8月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2017071061
(87)【国際公開番号】WO2018050400
(87)【国際公開日】20180322
(31)【優先権主張番号】102016117607.9
(32)【優先日】2016年9月19日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ガーボル ラタティチュ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター マルコシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルゲリー ベールツィ
【テーマコード(参考)】
3D049
3H060
3J043
5H316
【Fターム(参考)】
3D049BB39
3D049CC03
3D049HH03
3D049HH21
3D049HH25
3D049JJ03
3D049JJ05
3D049JJ06
3D049JJ08
3D049LL05
3D049MM03
3D049NN02
3H060AA02
3H060BB01
3H060CC22
3H060DA02
3H060DC05
3H060DD02
3H060DD12
3H060EE06
3H060FF03
3H060FF06
3H060HH06
3H060HH11
3J043AA04
3J043CA12
3J043CB13
5H316AA09
5H316BB02
5H316DD11
5H316EE02
5H316EE10
5H316EE12
5H316GG01
5H316JJ01
5H316KK02
5H316LL03
(57)【要約】
本発明は、商用車の空気処理システム用の圧力調整弁(A)であって、ハウジング(75)と、少なくとも1つの圧縮空気ポート(53,54)と、圧力ポート(53,54)が開口している少なくとも1つの第1の圧力調整チャンバ(65)と、を備え、圧力調整チャンバ(65)は、ハウジング(75)の少なくとも1つの壁区間と、摺動可能にハウジング(75)内で案内される圧力調整ピストン(62)の第1の空気圧作用面(78)とにより画定される可変の容積を有し、さらに第1の調整通路(64)が設けられており、第1の調整通路(64)は、圧力調整ピストン(62)の少なくとも1つの第1の位置では、圧力調整チャンバ(65)に接続されておらず、圧力調整ピストン(62)の少なくとも1つの第2の位置では、圧力調整チャンバ(65)に接続されており、圧力調整ピストン(62)は、さらにピン(79)を有し、ピン(79)は、圧力調整ピストン(62)の第1の空気圧作用面(78)から突出し、ピン(79)の端部には、第2の空気圧作用面(80)が存在し、ピン(79)は、空気圧に関して封止されて壁区間を通して可動に案内されている、商用車の空気処理システム用の圧力調整弁(A)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車の空気処理システム用の圧力調整弁(A)であって、
ハウジング(75)と、
少なくとも1つの圧縮空気ポート(53,54)と、
前記圧縮空気ポート(53,54)が開口している少なくとも1つの第1の圧力調整チャンバ(65)と、
を備え、
前記圧力調整チャンバ(65)は、前記ハウジング(75)の少なくとも1つの壁区間と、摺動可能に前記ハウジング(75)内で案内される圧力調整ピストン(62)の第1の空気圧作用面(78)とにより画定される可変の容積を有し、
さらに第1の調整通路(64)が設けられており、前記第1の調整通路(64)は、前記圧力調整ピストン(62)の少なくとも1つの第1の位置では、前記圧力調整チャンバ(65)に接続されておらず、前記圧力調整ピストン(62)の少なくとも1つの第2の位置では、前記圧力調整チャンバ(65)に接続されており、
前記圧力調整ピストン(62)は、さらにピン(79)を有し、前記ピン(79)は、前記圧力調整ピストン(62)の前記第1の空気圧作用面(78)から突出し、前記ピン(79)の端部には、第2の空気圧作用面(80)が存在し、前記ピン(79)は、空気圧に関して封止されて前記壁区間を通して可動に案内されている、
商用車の空気処理システム用の圧力調整弁(A)。
【請求項2】
前記第1の空気圧作用面(78)と、前記第2の空気圧作用面(80)とは、前記圧力調整ピストン(62)の同じ側に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の圧力調整弁(A)。
【請求項3】
前記第1の空気圧作用面(78)と、前記第2の空気圧作用面(80)とは、同じ方向を向いていることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の圧力調整弁(A)。
【請求項4】
前記圧力調整ピストン(62)の前記第2の空気圧作用面(80)は、逃がし弁チャンバ(66)内に突入することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の圧力調整弁(A)。
【請求項5】
前記圧力調整ピストン(62)は、半径方向の外面を有し、前記半径方向の外面に通気または空気抜き通路(76)と案内面(77)とが配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の圧力調整弁(A)。
【請求項6】
前記空気圧に関する封止は、シールリング(67)、特にOリングまたは加硫により接着されたシールリングにより形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の圧力調整弁(A)。
【請求項7】
前記圧力調整チャンバ(65)の、前記ハウジング(75)により形成された壁と、前記圧力調整ピストン(62)との間には、複数のパーツからなるシール(63)が配設されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の圧力調整弁(A)。
【請求項8】
前記複数のパーツからなるシールは、少なくとも1つの外リング(63a)と少なくとも1つの内リング(63b)とを有することを特徴とする、請求項7記載の圧力調整弁(A)。
【請求項9】
前記外リング(63a)は、硬質シールリングであり、前記内リング(63b)は、ゴム状のシールリングであり、特に前記硬質シールリングは、テフロンリングおよび/またはプラスチックリングであり、特に前記内リング(63b)は、Oリング、例えばシリコーンOリングまたはゴムOリングであることを特徴とする、請求項7記載の圧力調整弁(A)。
【請求項10】
前記圧力調整ピストン(62)は、ラジアル溝を有し、前記ラジアル溝内では、前記複数のパーツからなるシールが案内されていることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の圧力調整弁(A)。
【請求項11】
前記ラジアル溝は、溝底部に空気圧接続部を有し、空気圧接続部は、圧力調整チャンバ(65)とラジアル溝との間に形成されていることを特徴とする、請求項10記載の圧力調整弁(A)。
【請求項12】
前記空気圧接続部は、前記圧力調整弁(A)が組み立てられ、運転可能となった状態で、前記複数のパーツからなるシール(63)が、前記圧力調整チャンバ(65)からの圧力により半径方向外方に押し出し可能であるように配置されていることを特徴とする、請求項11記載の圧力調整弁(A)。
【請求項13】
前記圧力調整ピストン(62)は、1ピースに形成されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の圧力調整弁(A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整ピストンを備え、圧力調整ピストンは、ピンを有し、ピンは、圧力調整ピストンの空気圧作用面から突出し、ピンの端部には、第2の空気圧作用面が存在している、商用車の空気処理システム用の圧力調整弁に関する。
【0002】
従来技術において、商用車の空気処理システム用の圧力調整弁は、既に複数公知となっている。しかし、これらの圧力調整弁は、高いシステム複雑性を呈し、互いに動かされ、かつ封止すべき多数の弁要素を備えている。
【0003】
例えば独国特許出願公開第4234626号明細書(DE 42 34 626 A1)は、特に図2に、圧力制御される弁、すなわち商用車の空気ばね装置用の圧力調整弁を示している。
【0004】
因みに独国特許発明第102005057004号明細書(DE 10 2005 057 004 B3)は、商用車用の圧縮空気処理装置10用の圧力調整弁20を示している。
【0005】
冒頭で述べた形態の別の圧力制限弁装置は、独国特許出願公開第4012576号明細書(DE 40 12 576 A1)、独国特許出願公開第102008063819号明細書(DE 10 2008 063 819 A1)、独国特許出願公開第102008053994号明細書(DE 10 2008 053 994 A1)、欧州特許出願公開第1364849号明細書(EP 1 364 849 A2)および独国特許出願公開第4344416号明細書(DE 43 44 416 A1)に開示されている。
【0006】
さらに欧州特許出願公開第2444291号明細書(EP 2 444 291 A1)は、空気圧式または電空式の車両ブレーキ装置の常用ブレーキ弁を示している。
【0007】
それゆえ本発明の課題は、冒頭で挙げた形態の商用車の空気処理システム用の圧力調整弁を有利に発展させ、特に圧力調整弁の構造的な構成を簡単化し、ひいては必要なパーツが少なくて済むようにすることである。
【0008】
上記課題は、本発明により、請求項1の特徴を備える圧力調整弁により解決される。請求項1によれば、商用車の空気処理システム用の圧力調整弁は、ハウジングと、少なくとも1つの圧縮空気ポートと、圧力ポート(圧縮空気ポート)が開口している少なくとも1つの第1の圧力調整チャンバと、を備え、圧力調整チャンバは、ハウジングの少なくとも1つの壁区間と、摺動可能にハウジング内で案内される圧力調整ピストンの第1の空気圧作用面とにより画定される可変の容積を有し、さらに第1の調整通路が設けられており、第1の調整通路は、圧力調整ピストンの少なくとも1つの第1の位置では、圧力調整チャンバに接続されておらず、圧力調整ピストンの少なくとも1つの第2の位置では、圧力調整チャンバに接続されており、圧力調整ピストンは、さらにピンを有し、ピンは、圧力調整ピストンの第1の空気圧作用面から突出し、ピンの端部には、第2の空気圧作用面が存在し、ピンは、空気圧に関して封止されて壁区間を通して可動に案内されているようにした。
【0009】
本発明は、圧力調整チャンバをハウジングチャンバおよび第2の調整通路を介して逃がし弁チャンバに接続する第1の調整通路を圧力調整弁ハウジング内に配置し、圧力調整ピストンのピンを空気圧に関して封止し、ハウジングの、中央に配置された壁区間を通して案内するという基本思想に基づく。第1の調整通路をハウジング側に配置したことで、第1の調整通路を、動く弁要素(例えば圧力調整ピストン)を通して導くことは、省略可能である。これにより、圧力調整ピストンあるいはピンの封止は、大幅に簡単化し、少なくとも1つのシール装置が省略可能である。さらに、ハウジングの壁区間を通して可動にピンを案内したことで、圧力調整ピストンの付加的な第2の空気圧作用面は、ピンの端面に設けることができ、第2の空気圧作用面は、逃がし弁チャンバと相互作用関係にある。圧力調整ピストンの第1の空気圧作用面により圧力調整チャンバと相互作用関係にあり、圧力調整ピストンの第2の空気圧作用面により相応に逃がし弁チャンバと相互作用関係にある圧力調整ピストンのこの構造的な構成に基づいて、圧力調整弁の十分に大きなヒステリシスが提供され得る。これにより圧力調整弁のあらゆる運転状態において、規定された確実な圧力調整が保証され得る。
【0010】
この関連においてさらに、第1の空気圧作用面と、第2の空気圧作用面とは、圧力調整ピストンの同じ側に配置されていてもよい。第1および第2の空気圧作用面をこのように配置したことで、圧力調整チャンバと逃がし弁チャンバとは、共通のハウジング内に相並んで、ピンが通し案内されている壁区間を通してのみ、極めて省スペースに配置することができる。
【0011】
因みに第1の空気圧作用面と、第2の空気圧作用面とは、同じ配向を有するようにしてもよい。配向は、略共面に行われてもよい。これにより、規定された押圧力分布が圧力調整ピストンの第1および第2の空気圧作用面に生じる。
【0012】
さらに、圧力調整ピストンの第2の空気圧作用面は、逃がし弁チャンバ内に突入するようにしてもよい。この構造的な配置は、特に圧力調整ピストンとリリーフ弁ピストンとを互いに略同軸にハウジング内に配置する可能性を提供し、このことから、圧力調整弁およびリリーフ弁の極めてコンパクトなハウジングを結果として生じる。因みにこの突入に基づいて、ピンの長さは延長され、これにより、壁区間のシールとピンとの間の摩耗は、ピンの第2の空気圧作用面の鋭利な周縁が、ピンの軸方向の運動時、壁区間のシールとの接触に至らないため、大幅に減じられる。延長されたピンの別の利点は、ピンあるいは圧力調整ピストンの、対応する壁区間内での軸方向の運動中のより正確な軸方向の案内である。
【0013】
さらに圧力調整ピストンが、半径方向の外面を有し、半径方向の外面に通気または空気抜き通路と案内面とが配置されていることが可能である。通気または空気抜き通路は、圧力調整弁の一義的な機能充足にとって不可欠である。それというのも通気または空気抜き通路は、圧力調整ピストンが第1の位置にあるとき、逃がし弁チャンバの確実な空気抜きを保証するからである。しかし、この空気抜き機能は、圧力調整ピストンの第1の位置でのみ生じる。それというのも、十分に大きく軸方向で摺動してからは、圧力調整ピストンのシールが、通気または空気抜き通路と第1の調整通路との間の接続部を封止するからである。圧力調整ピストンの案内面に基づいて、案内面および対応する壁区間の公差が正しく設定されていれば、対応する壁区間内での圧力調整ピストンの精緻な軸方向の案内が実現され得る。
【0014】
さらに、空気圧に関する封止は、シールリング、特にOリングまたは加硫により接着されたシールリングにより形成されていてもよい。ゴムをベースとするOリングは、あらゆる形態の圧縮空気弁において、作用面対が互いに相対的に動かされるとき、信頼性が高く、十分に実証された封止可能性を形成する。この種のシールリングを例えば圧力調整ピストンの外側の周面に加硫により接着することで、機能信頼性のさらなる向上と、圧力調整ピストンの製造の簡単化とが達成され得る。それというのも、シールリングと圧力調整ピストンとの間の結合は、この場合、このために設けられた溝により実現されるのではなく、両構成部品の堅固な結合により実現されるからである。
【0015】
さらに、圧力調整チャンバの、ハウジングにより形成された壁と、圧力調整ピストンとの間には、複数のパーツからなるシールが設けられているようにしてもよい。特に、例えば圧力調整ピストンがその軸方向の運動により第1の位置から第2の位置に動くとき、圧力調整ピストンのシールは、位置が切り換わるたびに、第1の調整通路の、圧力調整チャンバのハウジング壁内に開口している開口を乗り越える。第1の調整通路の、壁区間内に配置される開口を定期的に乗り越えることは、圧力調整ピストンのシールの摩耗を高める。それゆえシールは、シールに割り当てられた主機能、すなわち圧力調整ピストンと、ハウジングの対応する壁区間との封止の他に、付加的に摩耗に対する抵抗性の向上という副機能を充足しなければならない。主機能および副機能の組み合わせにとって、圧力調整弁の運転信頼性の向上という意味で、圧力調整ピストンおよび壁区間の封止を複数のパーツからなるシールにより実現することは、特に有利であり得る。
【0016】
この関連において特に、複数のパーツからなるシールは、少なくとも1つの外リングと少なくとも1つの内リングとを有するようにしてもよい。摩耗を高めないようにすると同時に、それにもかかわらず複数のパーツからなるシールの複雑性を不必要に高めないように、2つのパーツからなるシールは、これに関して極めて良好な妥協を提供する。而して、例えば2つのパーツからなるシールの外側のリングは、複数のパーツからなるシールの内側のリングより耐摩耗性の材料から形成されていることができる。内側のリングは、この構成においては、その弾性に基づいて主に、外側のシールリングの、対応する壁区間への十分な圧接力を担っている。
【0017】
因みに外リングは、硬質シールリングであり、内リングは、ゴム状のシールリングであり、特に硬質シールリングは、テフロンリングおよび/またはプラスチックリングであり、特に内リングは、Oリング、例えばシリコーンOリングまたはゴムOリングであるようにしてもよい。テフロンリングおよび/またはプラスチックリングの使用は、有利なシール作用あるいは摩耗に対する抵抗性の他に付加的に、外側のリングの表面と、ハウジングの対応する壁区間との間の摩擦の減少を達成することができる。シリコーンOリングまたはゴムOリングは、その弾性的な特性に基づいて主に、外側のリングを、シール作用を実現すべく、十分に大きな圧接力でもってハウジングの対応する壁区間に押し付けるために用いられる。
【0018】
さらにこの関連において、圧力調整ピストンは、ラジアル溝を有し、ラジアル溝内では、複数のパーツからなるシールが案内されていてもよい。ラジアル溝を圧力調整ピストンの周面に設けたことで、複数のパーツからなるシールは、確実に、特に第1の調整通路の、壁区間内に配置された開口を乗り越える間、壁区間に当接することができ、而して圧力調整弁の運転信頼性の向上に寄与することができる。
【0019】
さらにラジアル溝は、溝底部に空気圧接続部を有し、空気圧接続部は、圧力調整チャンバとラジアル溝との間に形成可能であるようにしてもよい。溝底部と圧力調整チャンバとの間の空気圧接続部に基づいて、圧力調整ピストンのシールに対して、圧縮空気を加えることができるので、シール作用は、こうして結果として生じる、壁区間へのシールのより高い圧接力に基づいてさらに向上され、このことは、圧力調整弁の機能信頼性に対する付加的なポジティブな影響をもたらす。
【0020】
特に空気圧接続部は、圧力調整弁が組み立てられ、運転可能となった状態で、複数のパーツからなるシールが、圧力調整チャンバからの圧力により半径方向外方に押し出し可能であるように配置されているようにしてもよい。この空気圧接続部は、シール作用の改善の他に、特に、複数のパーツからなるシールの弾性的な内リングが、時とともに弾性的なゴム素材またはシリコーン素材の不可避の劣化に基づいてもはや完全な圧接力を外側のリングに対して及ぼし得ないときに、有利であることが判っている。
【0021】
因みに圧力調整ピストンは、1ピースに形成されていてもよい。パーツ数の減少の他に、1ピースに形成される圧力調整ピストンは、より簡単かつ低コストに製造され、加えてより高い機械的な剛性を有している。
【0022】
本発明のさらなる詳細および利点について、而るに図面に示した実施例を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による圧力調整弁と、本発明によるリリーフ弁とを1つの共通のハウジング内に配置した一実施例の概略断面図である。
図2】圧力調整弁の本発明による圧力調整ピストンの第1の実施例の概略斜視図である。
図3】圧力調整弁の圧力調整ピストンの第1の実施例の概略断面図である。
図4】圧力調整弁の本発明による圧力調整ピストンの第2の実施例の概略断面図である。
図5】本発明による空気処理システムの一実施例内における図1に示した圧力調整弁およびリリーフ弁の空気圧回路配置を示す図である。
【0024】
図1は、本発明による圧力調整弁Aと、本発明によるリリーフ弁Cとを1つの共通のハウジング75内に配置した一実施例の概略断面図を示している(図5も参照)。
【0025】
商用車の空気処理システム用の圧力調整弁Aは、ハウジング75の他に圧縮空気ポート53,54を備えている。その際、圧縮空気ポート53,54は、半径方向の孔としてハウジング75内に設けられている。
【0026】
さらに圧力調整弁は、圧力ポート53,54が開口している第1の圧力調整チャンバ65を備えている。圧力調整チャンバ65は、実質的にリング形のチャンバとしてハウジング75内に成形されており、圧力調整チャンバ65の中心軸線は、ハウジング75の中心軸線に対して同軸に方向付けられている。
【0027】
さらに圧力調整チャンバ65は、可変の容積を有している。圧力調整チャンバの容積は、ハウジング75の壁区間と、摺動可能にハウジング75内で案内される圧力調整ピストン62の第1の空気圧作用面78とにより画定される。ハウジング75の前述の壁区間は、図1に示したように、圧力調整ピストン62(およびピン79)の半径方向の外面がその内側で案内される壁区間と見なしてもよい。
【0028】
したがって圧力調整ピストン62は、さらにピン79を有し、ピン79は、圧力調整ピストン62の第1の空気圧作用面78から突出している。加えて圧力調整ピストン62は、1ピースに形成されている。ピン79(図2参照)の端部には、第2の空気圧作用面80が存在している。さらに第1の空気圧作用面78と、第2の空気圧作用面80とは、圧力調整ピストン62の同じ側に配置されている。図1に示したように、さらに第1の空気圧作用面78と、第2の空気圧作用面80とは、同じ方向を向いている。第1の空気圧作用面78と、第2の空気圧作用面80とは、略共面に配置されている。
【0029】
加えてピン79は、空気圧に関して封止されて壁区間を通して可動に案内されている。壁区間内では、ピン79は、ハウジング区間内に配置されたシールリング67により空気圧に関して封止されている。シールリング67による空気圧に関する封止は、図1に示したようにOリングにより形成されている。
【0030】
さらに圧力調整チャンバ65の、ハウジング75により形成された壁と、圧力調整ピストン62との間には、複数のパーツからなるシール63が設けられている。この複数のパーツからなるシールは、実質的に内リング63bと外リング63aとからなっている。しかし、複数のパーツからなるシールは、2つより多くのシールリングを有していてもよい。しかし、空気圧に関する封止は、加硫により接着されたシールリングその他の慣用のシールにより形成されていてもよい。このことは、因みに本明細書で述べるすべてのその他のシールにもいえる。
【0031】
さらに圧力調整弁Aは、ハウジング75内で摺動可能に案内されるばね収容ポット74を備えている。ばね収容ポット74の、圧力調整弁Aが組み立てられた状態において圧力調整ピストン62に面した端部は、圧力調整ピストン62のばね収容ポット74に面した端部に当接している。
【0032】
ばね収容ポット74内には、ばね60が配置されている。ばね60の第1の端部は、ばね収容ポット74の開放端部の領域にばね受け73により軸方向および半径方向で支持されている。さらにばね60は、ばね収容ポット74内をその第2の端部まで延在し、第2の端部は、ばね収容ポット74内に設けられた収容部に軸方向および半径方向で支持されている。ばね受け73の中央位置において、ばね受け73は、さらに調整ねじ72と結合関係にある。調整ねじ72は、リテーナリングを介して軸方向でハウジング75内に取り付けられたハウジングインサートの中央に螺入されている。
【0033】
ハウジングインサート内には、付加的にばねチャンバ81が設けられており、ばねチャンバ81は、ハウジングインサートの内部構造と、ばね収容ポット74の開放端部とにより画定される。さらにハウジングインサートは、内側のリング面を有し、内側のリング面には、ばね収容ポット74の開放端部が当接可能である。
【0034】
圧力調整弁Aは、さらに空気抜きポート59を備え、空気抜きポート59は、孔の形態で半径方向で、かつハウジング75の中心軸線に対して略垂直にハウジング75の外側から、ばね収容ポット74を収容するハウジング孔まで延在している。
【0035】
ばね60は、本実施例では、コイルばねとして構成されている。しかし、ばね60の構成は、コイルばねの形態に限定されるものではなく、当業者にとってこの関連において周知慣用されているあらゆる弾性要素に置換されてもよい。
【0036】
圧力調整弁A内には、さらに第1の調整通路64が設けられている。第1の調整通路64は、ハウジング75内に配置されており、開口により、圧力調整ピストン62が摺動可能にその内部で案内されている壁区間内に開口している。調整通路64は、同じくハウジング75の中心軸線に対して略垂直に延在し、さらにハウジングチャンバ55内に開口している。
【0037】
ハウジングチャンバ55は、(図1参照)圧力調整弁Aとリリーフ弁Cとの間の構造的なインタフェースである。本実施例では、圧力調整弁Aとリリーフ弁Cとは、共通のハウジング75を分け合っている。しかし、この構造的な構成は、圧力調整弁Aとリリーフ弁Cとを互いに結び付ける多数の可能性のうちの1つにすぎない。ハウジングチャンバ55からは、第2の調整通路56が、リリーフ弁Cの逃がし弁チャンバ66まで延在している。
【0038】
この関連において、例えば、圧力調整弁Aとリリーフ弁Cとを別々のハウジング内に配置し、両弁をハウジングチャンバ55を介して接続し、かつ第2の空気圧作用面80を相応にリリーフ弁Cの逃がし弁チャンバ66に接続することも同じく可能である(図5も参照)。
【0039】
図1には、圧力調整ピストン62の第2の空気圧作用面80が、逃がし弁チャンバ66内に突入していることが看取可能である。ピン79は、さらにリリーフ弁ピストン68の対応する開口内に突入し、リリーフ弁ピストン68は、ハウジング75内の中央に配置される軸方向の収容孔に対して付加的に、逃がし弁チャンバ66を画定している。リリーフ弁ピストン68は、ハウジング75の、中央に配置される軸方向の収容孔内で摺動可能に案内されている。因みにリリーフ弁ピストン68は、シールリング69を介して逃がし弁チャンバ66に対して封止されている。
【0040】
リリーフ弁ピストン68の、ピン79とは反対側の端部は、中央に配置された軸方向の収容孔の端部に設けられた対応するハウジング突出部とともに弁座71を形成している。弁座71を封止すべく、加えてシールディスク70が設けられており、シールディスク70は、リリーフ弁ピストン68の前述の端部に設けられた対応する成形部内に配置されている。
【0041】
リリーフ弁ピストン68の内部には、さらにばね61が存在し、ばね61は、リリーフ弁ピストン68内を少なくとも部分的に延在し、別のハウジングインサートまで延在している。別のハウジングインサートは、ばね61を制限し、軸方向および半径方向で支持している。
【0042】
因みにハウジング75は、リリーフ弁Cの領域に、半径方向で配置された入口ポート57を有している(図5参照)。入口ポート57は、半径方向にハウジング75の外側からその中心線に対して略垂直に、軸方向で配置された中央の収容孔まで延在し、収容孔内には、リリーフ弁ピストン68が摺動可能に案内されている。
【0043】
さらにハウジング75は、リリーフ弁Cの領域に、半径方向に配置された出口ポート58を有している。
【0044】
図2は、さらに、圧力調整弁Aの本発明による圧力調整ピストン62の第1の実施例の概略斜視図を示している(図5も参照)。
【0045】
既に前述したように、圧力調整ピストン62は、複数のパーツからなるシール63と、ピン79とを有し、ピン79は、圧力調整ピストン62の第1の空気圧作用面78から突出し、ピン79の端部には、第2の空気圧作用面80が存在している。
【0046】
圧力調整ピストン62は、因みに半径方向の外面を有し、半径方向の外面には、複数の空気抜き通路76が配置されている。空気抜き通路76は、一定の角度をおいて半径方向の外面に分配されている。さらに空気抜き通路76は、それぞれ軸方向に、圧力調整ピストン62の、ばね収容ポット74に面した端部から概ね、複数のパーツからなるシール63まで延在している。
【0047】
圧力調整ピストン62の半径方向の外面には、さらに複数の案内面77が配置されている。案内面77は、同じく一定の角度をおいて半径方向の外面に分配され、空気抜き通路76に隣接して配置されている。案内面77は、実質的に空気抜き通路76と同様に軸方向に延在している。
【0048】
図3は、図1および2に示した圧力調整ピストン62の第1の実施例の概略断面図を示している。
【0049】
圧力調整ピストン62は、外リング63aと内リング63bとを有する複数のパーツからなるシール63を有している。圧力調整ピストン62は、周方向に延在するラジアル溝を有し、ラジアル溝内では、複数のパーツからなるシール63が案内されている。複数のパーツからなるシール63は、同じく2つより多くのシールリングからなっていてもよい。
【0050】
その際、外リング63aは、硬質シールリングである。硬質シールリングは、テフロンリングまたはプラスチックリングとして形成されている。代替的には、硬質シールリングは、テフロンコーティングされたプラスチックリングとして形成されていてもよい。当業者に公知の別の硬質シールリング素材またはそれらの組み合わせも、この関連において同じく使用可能である。
【0051】
内リング63bは、これに対してゴム状のシールリングである。これに関して内リング63bは、Oリングであることが可能である。内リング63bの素材は、シリコーンまたはゴムであることができる。当業者に公知の別の弾性的な素材も、この関連において同じく使用可能である。
【0052】
図4は、圧力調整弁Aの本発明による圧力調整ピストン62の第2の実施例の概略断面図を示している(図5も参照)。
【0053】
圧力調整ピストン62は、以下に示す構造的な相違点を除き、図1、2および3に示した圧力調整ピストン62と実質的に同じ構造的な特徴を有している。
【0054】
圧力調整ピストン62のラジアル溝は、溝底部に空気圧接続部を有している。空気圧接続部は、圧力調整弁Aが組み立てられ、運転可能となった状態で、複数のパーツからなるシール63が、圧力調整チャンバ65からの圧力により半径方向外方に押し出し可能であるように配置されている。溝底部と圧力調整チャンバ65との間の空気圧接続部は、例えば圧力調整ピストン孔82により実現され得る。複数の圧力調整ピストン孔82や、または別の形状付与も可能である。
【0055】
図5は、本発明に係る空気処理システムの一実施例における図1に示した圧力調整弁Aおよびリリーフ弁Cの空気圧回路配置を示している。
【0056】
図5に示した空気処理システムは、圧力調整弁Aとリリーフ弁Cとを有している。さらに空気処理システムは、エアドライヤB(例えばエアドライヤカートリッジの形態のエアドライヤ)と、チェック弁Dとを有している。
【0057】
さらに空気処理システムは、コンプレッサポート1を有し、コンプレッサポート1により圧縮空気は、図5には図示しないコンプレッサから供給される。同じく空気処理システムには、空気処理システムの第1の出口ポート21が設けられている。空気処理システムの第1の出口ポート21は、商用車において一般的な圧縮空気消費部、例えば多回路保護弁に接続されている。
【0058】
コンプレッサポート1は、エアドライヤBの入口管路51を介してエアドライヤBに接続されている。エアドライヤBの下流では、エアドライヤBの出口が、出口管路52を介して空気処理システムの第1の出口ポート21に接続されている。チェック弁Dは、エアドライヤBの出口の下流においてエアドライヤBの出口管路52内に配置されている。
【0059】
エアドライヤBの入口管路51は、エアドライヤBの上流で分岐し、これによりリリーフ弁Cの入口ポート57は、エアドライヤBの入口管路51に接続されている。リリーフ弁Cの出口ポート58を介してリリーフ弁Cは、加えて空気処理システムの主空気抜きポート3に接続されている。
【0060】
エアドライヤBの下流において、エアドライヤBの出口とチェック弁Dとの間で、さらに第2の出口ポートまたは入口ポート22が分岐している。
【0061】
因みにエアドライヤBの出口管路52は、チェック弁Dの下流で分岐し、これにより圧力調整弁Aの圧縮空気ポート53,54は、エアドライヤBの出口管路52に接続されている。さらに圧力調整弁Aは、空気抜きポート59を備え、空気抜きポート59は、空気処理システムの別の空気抜きポートに接続されている。
【0062】
既に前述したように、圧力調整弁Aは、第1の調整通路64(図1参照)を備え、第1の調整通路64によりハウジングチャンバ55は、圧力調整チャンバ65(同じく図1参照)に接続可能である。ハウジングチャンバ55は、他方、第2の調整通路56によりリリーフ弁Cの逃がし弁チャンバ66に接続されている(同じく図1参照)。ハウジングチャンバ55からは、加えてコンプレッサ制御ポート4が分岐可能であり、コンプレッサ制御ポート4によりハウジングチャンバ55は、図5には示さないコンプレッサの制御入力部に接続可能である。
【0063】
圧力調整弁Aの機能についての説明は、以下の通りである:
まず圧縮空気は、コンプレッサポート1を介して入口管路51を通してエアドライヤBに向かって流動し(このために図5参照)、エアドライヤBを貫流し、次いでチェック弁Dを通って流動し、空気処理システムの第1の出口ポート21を介して空気処理システムを後にする。出口ポート21の下流では、商用車において一般的な圧縮空気消費部に圧縮空気が供給される。因みに圧力調整弁Aの圧縮空気ポート53,54と、リリーフ弁Cの入口ポート57とには、圧縮空気が加えられる。
【0064】
圧力調整弁Aの圧縮空気ポート53,54にかかっている圧縮空気は、加えて圧力調整チャンバ65内に流入し、圧力調整チャンバ65に同じく圧縮空気を加える。圧力調整チャンバ65内の圧力がさらに上昇すると、圧力調整ピストン62の第1の位置から第2の位置への圧力調整ピストン62の軸方向の摺動が実施される。圧力調整ピストン62が第1の位置から第2の位置へと移行する間、圧力調整ピストン62の、複数のパーツからなるシール63は、第1の調整通路64の開口を乗り越える。したがって第1の調整通路64は、圧力調整ピストン62の第2の位置において圧力調整チャンバ65に接続されている。これにより、圧力調整弁Aのいわゆるカットアウト圧力が達成される。
【0065】
つまり圧縮空気は、圧力調整チャンバ65から第1の調整通路64、ハウジングチャンバ55および第2の調整通路56を介して逃がし弁チャンバ66内に流入可能である。そこで、圧力下にある逃がし弁チャンバ66は、次いでリリーフ弁ピストン68に、圧力調整チャンバ65内を支配している圧力と略同じ圧力を加える。
【0066】
リリーフ弁ピストン68に加わる押圧力が、これとは反対方向に作用するばね61の力を上回ると、リリーフ弁ピストン68は、軸方向で摺動される。その結果、弁座71は開き、これにより、リリーフ弁Cの入口ポート57と出口ポート58とは、互いに接続される。入口ポート57と出口ポート58との接続は、結果として、エアドライヤBの入口管路51が、空気処理システムの、出口ポート58に接続される主空気抜きポート3を介して空気抜きされることを伴う。これにより、コンプレッサポート1を介して供給されるすべての圧縮空気は、前述したように主空気抜きポート3を介して空気抜きされ、空気処理システムの通気は、中断される。ハウジングチャンバ55が付加的にコンプレッサ制御ポート4に接続されているとき、コンプレッサ制御ポート4には、同じくカットアウト圧力が加えられる。カットアウト圧力は、例えばコンプレッサの制御ユニットに直接的に制御圧力として伝送されるか、または圧力センサにより電気的な制御信号に変換される。制御圧力または電気的な制御信号に応答して、コンプレッサの運転は、空気処理システムに再び圧縮空気を供給しなければならなくなるまで、調整されるか、または減じられた出力で継続されることになる。
【0067】
入口管路51の空気抜きと、コンプレッサの一時的な運転停止または出力減少とに基づいて、同じくエアドライヤBの出口管路52内と第1の出口ポート21内とで圧力が低下する。圧力調整弁の圧縮空気ポート53,54は、出口管路52に接続されているので、したがって圧力調整弁Aの圧力調整チャンバ65内ならびに第1の調整通路64、ハウジングチャンバ55、第2の調整通路56および逃がし弁チャンバ66内でも圧力が低下する。
【0068】
圧力調整チャンバ65内の圧力が連続的に低下すると、圧力調整ピストン62は、ばね60の、相対的に大きくなる力に基づいて、第2の位置から第1の位置へと戻る。その際、圧力調整ピストン62の、複数のパーツからなるシール63は、改めて第1の調整通路64を乗り越える(通過する)。したがって第1の調整通路64は、圧力調整ピストン62の第1の位置では、圧力調整チャンバ65に接続されていない。これにより、圧力調整弁Aのいわゆるカットイン圧力に達する。
【0069】
圧力調整ピストン62の複数のパーツからなるシール63が、第1の調整通路64を乗り越えると直ちに、逃がし弁チャンバ66は、第2の調整通路56、ハウジングチャンバ55、第1の調整通路64、圧力調整ピストン62の空気抜き通路76およびこれに接続される圧力調整弁Aの空気抜きポート59を介して空気抜きされる。
【0070】
この空気抜きにより、ばね61の力が逃がし弁チャンバ66内の押圧力を上回るまで、逃がし弁チャンバ66内の圧力が低下すると、リリーフ弁ピストンは、弁座71が閉じるまで戻る。リリーフ弁Aの入口ポート57と出口ポート58とは、再び互いに切り離されており、その結果、空気処理システム内のさらなる圧力降下は、起こり得ない。因みにコンプレッサ制御ポート4は、同じく空気抜きされ、これによりコンプレッサの運転は、例えば再開され得る。
【0071】
要するに、つまり、圧力調整弁Aの前述の機能に基づいて、空気処理システムの第1の出口ポート21には、出口圧が圧力調整弁Aのカットイン圧力とカットアウト圧力との間の範囲でのみ作用し得ることが、確認される。
【0072】
既に前述したように、圧力調整ピストン62は、第2の空気圧作用面80を有するピン79を有し、ピン79は、空気圧に関して封止されて逃がし弁チャンバ66内に突入している(図1参照)。しかし、ピン79は、必ずしも逃がし弁チャンバ66内に突入していなくてもよい。規定通り機能を充足するためには、ピン79の第2の空気圧作用面80が逃がし弁チャンバ66と(例えば圧力調整弁Aとリリーフ弁Cとが共通のハウジング75を有しない場合には、別個のポートを介して)接続関係にあることだけが必要である。
【0073】
圧力調整ピストン62が圧力調整チャンバ65と逃がし弁チャンバ66とにピン79を介して接続されていることにより、圧力調整弁Aのヒステリシスは拡大し、これによりその調整特性は、大幅に改善する。因みに圧力調整弁Aおよびリリーフ弁Cの開放特性あるいは閉鎖特性は、第1および第2の調整通路64,56の直径比と、ハウジングチャンバ55の直径とを介して調整され得る。
【符号の説明】
【0074】
1 コンプレッサポート
3 空気処理システムの主空気抜きポート
4 空気処理システムのコンプレッサ制御ポート
21 空気処理システムの第1の出口ポート
22 空気処理システムの第2の出口ポートまたは入口ポート
51 エアドライヤの入口管路
52 エアドライヤの出口管路
53 圧縮空気ポート
54 圧縮空気ポート
55 ハウジングチャンバ
56 第2の調整通路
57 リリーフ弁の入口ポート
58 リリーフ弁の出口ポート
59 圧力調整弁の空気抜きポート
60 圧力調整弁のばね
61 リリーフ弁のばね
62 圧力調整ピストン
63 複数のパーツからなるシール
63a 複数のパーツからなるシールの外リング
63b 複数のパーツからなるシールの内リング
64 第1の調整通路
65 圧力調整チャンバ
66 逃がし弁チャンバ
67 シールリング
68 リリーフ弁ピストン
69 リリーフ弁ピストンのシールリング
70 リリーフ弁ピストンのシールディスク
71 リリーフ弁の弁座
72 圧力調整弁の調整ねじ
73 圧力調整弁のばね受け
74 圧力調整弁のばね収容ポット
75 ハウジング
76 通気または空気抜き通路
77 案内面
78 第1の空気圧作用面
79 ピン
80 第2の空気圧作用面
81 圧力調整弁のばねチャンバ
82 圧力調整ピストン孔
A 圧力調整弁
B エアドライヤ
C リリーフ弁
D チェック弁
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】