特表2019-530880(P2019-530880A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-530880フォース・モーメント・センサー、そのようなフォース・モーメント・センサーのためのフォース・トランスデューサー・モジュール、ならびに、そのようなフォース・モーメント・センサーを含むロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-530880(P2019-530880A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】フォース・モーメント・センサー、そのようなフォース・モーメント・センサーのためのフォース・トランスデューサー・モジュール、ならびに、そのようなフォース・モーメント・センサーを含むロボット
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/16 20060101AFI20190927BHJP
【FI】
   G01L5/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-520516(P2019-520516)
(86)(22)【出願日】2017年10月5日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月13日
(86)【国際出願番号】EP2017075296
(87)【国際公開番号】WO2018073012
(87)【国際公開日】20180426
(31)【優先権主張番号】16194160.4
(32)【優先日】2016年10月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾンデレッガー、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】アイヒマン、ズィーモン
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051AB08
2F051BA05
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
本発明は、4つの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)およびベース・プレート(2)を含むフォース・モーメント・センサー(1)であって、4つの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、力を検出し、検出される力Fに関する測定信号を発生させ、フォース・モーメント・センサー(1)は、カバー・プレート(3)を含み、カバー・プレート(3)は、境界表面(31)を含み、検出されることとなる力が、境界表面(31)に作用し、フォース・モーメント・センサー(1)は、評価ユニット(6)を含み、評価ユニット(6)は、圧電式フォース・センサー(4から4’’’)の測定信号を評価し、ベース・プレート(2)は、圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)および評価ユニット(6)を収容するための少なくとも1つのキャビティー(21から21’’’、22)を含み、圧電式フォース・センサー(4から4’’’)および評価ユニット(6)が、キャビティー(21から21’’’、22)の中に配置されており、ベース・プレート(2)およびカバー・プレート(3)は、機械的に接続され、ハウジングを形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)およびベース・プレート(2)を含むフォース・モーメント・センサー(1)であって、前記4つの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、力を検出し、検出される力に関する測定信号を発生させる、フォース・モーメント・センサー(1)において、
前記フォース・モーメント・センサー(1)は、カバー・プレート(3)を含み、前記カバー・プレート(3)は、境界表面(31)を含み、検出されることとなる前記力Fが、前記境界表面(31)に作用し、前記フォース・モーメント・センサー(1)は、評価ユニット(6)を含み、前記評価ユニット(6)は、前記圧電式フォース・センサー(4から4’’’)の測定信号を評価し、前記ベース・プレート(2)は、前記圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)および前記評価ユニット(6)を収容するための少なくとも1つのキャビティー(21から21’’’、22)を含み、前記圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)および前記評価ユニット(6)が、前記キャビティー(21から21’’’、22)の中に配置されており、前記ベース・プレート(2)およびカバー・プレート(3)は、機械的に接続され、ハウジングを形成していることを特徴とする、フォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のフォース・モーメント・センサー(1)のためのフォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)であって、導電体(11から11’’)を介して評価ユニット(6)に電気的接触をしている4つの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)が、前記フォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)を形成していることを特徴とする、フォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)。
【請求項3】
請求項2に記載のフォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)を含む、請求項1に記載のフォース・モーメント・センサー(1)であって、1つのフォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)が、前記ベース・プレート(2)の中に配置されているか、または、2つのフォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)が、前記ベース・プレート(2)の中に配置されていることを特徴とする、フォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項4】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、前記ベース・プレート(2)の中心(0)から半径方向に間隔を離して配置されたキャビティー(21から21’’’)の中に配置されており、前記評価ユニット(6)は、前記ベース・プレート(2)の前記中心(0)のキャビティー(22)の中に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項5】
前記ベース・プレート(2)の前記中心(0)に関して、前記評価ユニット(6)の前記キャビティー(22)は、十字形状になっており、4つのレッグを含み、前記レッグは、半径方向に延在しており、圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)のキャビティー(21から21’’’)は、2つの直接的に隣接するレッグの間に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項6】
2つの直接的に隣接するレッグは、移行領域において出会っており、前記ベース・プレート(2)は、それぞれの移行領域の中に貫通孔(23から23’’’)を含み、それぞれの貫通孔(23から23’’’)は、前記評価ユニット(6)の前記キャビティー(22)から圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)のキャビティー(21から21’’’)へ半径方向に延在していることを特徴とする、請求項5に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項7】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、複数の圧電式トランスデューサー・エレメント(8、8’)を含み、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、少なくとも1つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント(8)によって、垂直抗力の正確に1つの成分を検出し、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、少なくとも1つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント(8’)によって、せん断力の正確に1つの成分を検出することを特徴とする、請求項1または3に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項8】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、複数のトランスデューサー電極(9、9’)を含み、前記トランスデューサー電極(9、9’)は、圧電式トランスデューサー・エレメント(8、8’)のエレメント表面から、測定信号として分極電荷を収集し、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、複数のカウンター電極(10から10’’)を含み、前記カウンター電極(10から10’’)は、圧電式トランスデューサー・エレメント(8、8’)のエレメント表面から、測定信号として分極電荷を収集することを特徴とする、請求項7に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項9】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、正確に3つの導電体(11から11’’)を含み、第1のトランスデューサー電極(9)は、少なくとも1つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント(8)の少なくとも1つの第1のエレメント表面に接触して置かれており、前記第1のトランスデューサー電極(9)は、第1の導電体(11)と電気的接触をしており、第2のトランスデューサー電極(9’)は、少なくとも1つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント(8’)の少なくとも1つのエレメント表面に接触して置かれており、前記第2のトランスデューサー電極(9’)は、第2の導電体(11’)と電気的接触をしており、カウンター電極(10から10’’)は、前記トランスデューサー電極(9、9’)の反対側の前記圧電式トランスデューサー・エレメント(8、8’)のエレメント表面に接触して置かれており、前記カウンター電極(10から10’’)は、第3の導電体(11’’)と電気的接触をしていることを特徴とする、請求項8に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項10】
前記評価ユニット(6)は、電気回路基板を含み、前記電気回路基板は、支持材料、電子部品、および電気信号伝導体を含み、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、前記圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)のトランスデューサー電極(9、9’)およびカウンター電極(10から10’’)と電気的接触をしている、正確に3つの導電体(11から11’’)を含み、前記3つの導電体(11から11’’)は、前記ベース・プレート(2)の貫通孔(23から23’’’)を通って、圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)のキャビティー(21から21’’’)から前記評価ユニット(6)の前記キャビティー(22)へ延在しており、前記3つの導電体(11から11’’)は、前記電気回路基板の1つの側において前記評価ユニット(6)の電気信号伝導体と電気的接触をしていることを特徴とする、請求項1または3に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項11】
前記評価ユニット(6)は、前記圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)の測定信号を分析し、それらをデジタル出力信号として提供し、前記評価ユニット(6)は、少なくとも1つのインターフェース・ソケット(7)を含み、バス・システムのインターフェース・プラグが、前記インターフェース・ソケット(7)に電気的に接続され得り、前記評価ユニット(6)は、前記バス・システムを介して提供されるデジタル出力信号をロボットのロボット・コントロールに送信することを特徴とする、請求項10に記載のフォース・モーメント・センサー(1)。
【請求項12】
請求項1および3から10のいずれか一項に記載のフォース・モーメント・センサー(1)を含むロボット(15)であって、前記フォース・モーメント・センサー(1)の前記ベース・プレート(2)の境界表面(24)が、前記ロボット(15)の手首の表面に機械的に接続されており、前記フォース・モーメント・センサー(1)の前記カバー・プレート(3)の境界表面(31)が、ツール(16)に機械的に接続されていることを特徴とする、ロボット(15)。
【請求項13】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、前記カバー・プレート(3)の前記境界表面(31)に対抗するプレストレス力によって機械的にプレストレスを掛けられており、前記プレストレス力の効果的な方向は、前記境界表面(31)に垂直になっており、前記ツール(16)の曲げモーメントは、垂直抗力として前記圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)に作用することを特徴とする、請求項12に記載のロボット(15)。
【請求項14】
請求項2に記載の2つのフォース・トランスデューサー・モジュール(14、14’)を含む、請求項12または13に記載のロボット(15)であって、第1のフォース・トランスデューサー・モジュール(14)の第1の圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、第1の時間において力を検出し、第1の時間に検出される前記力に関する第1の測定信号を発生させ、第2のフォース・トランスデューサー・モジュール(14’)の第2の圧電式フォース・トランスデューサー(4から4’’’)は、第2の時間において同じ力を検出し、第2の時間において検出される前記力に関する第2の測定信号を発生させることを特徴とする、ロボット(15)。
【請求項15】
前記第1のフォース・トランスデューサー・モジュール(14)の第1の評価ユニット(6)は、前記第1の測定信号を評価し、それらを第1のデジタル出力信号として提供し、前記第2のフォース・トランスデューサー・モジュール(14’)の第2の評価ユニット(6)は、前記第2の測定信号を評価し、それらを第2のデジタル出力信号として提供し、前記フォース・モーメント・センサー(1)は、バス・システムを介して前記ロボット(15)のロボット・コントロールへ前記第1のデジタル出力信号を送信し、前記フォース・モーメント・センサー(1)は、前記バス・システムを介して前記ロボット(15)の前記ロボット・コントロールへ前記第2のデジタル出力信号を送信し、前記ロボット(15)の前記ロボット・コントロールは、伝送された前記第1のデジタル出力信号と、伝送された前記第2のデジタル出力信号とを比較することを特徴とする、請求項14に記載のロボット(15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルによるフォース・モーメント・センサーに関する。また、本発明は、そのようなフォース・モーメント・センサーのためのフォース・トランスデューサー・モジュールに関する。また、本発明は、そのようなフォース・モーメント・センサーを含むロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット工学は、時代の大きな流れである。ロボットは、コンポーネントを接続することなどのような複雑なプロセスをますます実施するようになる。センサー技術は、接合力を測定するために必須である。3軸の接合力は、力およびモーメントの6つの成分によって表現される。そのような接合力は、フォース・モーメント・センサーによって決定され得る。この目的のために、フォース・モーメント・センサーは、ツールとロボットのロボット・アームとの間の力経路の中に配置されており、たとえば、ロボット・アームの手首の中に配置されている。フォース・モーメント・センサーは、接合力を検出し、検出された接合力と同等の出力信号を、バス・システムのインターフェースを介して、ロボットのロボット・コントロールへ送信する。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0109311A1号明細書は、力を検出するためのフォース・モーメント・センサーを開示している。4つの圧電式フォース・トランスデューサーが、正方形形状のベース・プレートの4つの外側表面に機械的に締結されている。圧電式フォース・トランスデューサーは、第1および第2のサポートの境界表面に対抗するプレストレス力によって機械的にプレストレスを掛けられており、プレストレス力の効果的な方向は、境界表面に対して垂直になっている。それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、ベース・プレートの中心にある基準点に対して同じ距離に配置されている。2つの圧電式フォース・センサーは、それぞれ軸線の上にある。2つの軸線は、ベース・プレートの外側表面に対して垂直になっており、互いに直角に延在している。第1のサポートは、第1の軸線の圧電式フォース・トランスデューサーに固定されており、第2のサポートは、第2の軸線の圧電式フォース・トランスデューサーに固定されている。
【0004】
4つの圧電式フォース・トランスデューサーは、第1および第2のサポートの境界表面に作用する力の3つの成分を検出する。4つの圧電式フォース・トランスデューサーと基準点との間の既知の距離から、座標系の中でベース・プレートに作用するモーメントの3つの成分が計算され得る。したがって、フォース・モーメント・センサーは、合計で6つの成分を提供する。
【0005】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、3つの圧電式トランスデューサー・エレメントを含む。圧電式トランスデューサー・エレメントは、その上に作用する力が、力の大きさに比例する量の分極電荷を発生させるような結晶方位で配置されている。それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーに関して、1つの圧電式トランスデューサー・エレメントは、垂直抗力の成分を検出し、2つの圧電式トランスデューサー・エレメントは、せん断力の2つの成分を検出する。したがって、検出される力に関して、4つのフォース・トランスデューサーが、分極電荷の形態の測定信号を発生させる。それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、電荷増幅器およびアナログ−デジタル・コンバーターを含む。それぞれの電荷増幅器は、3つの圧電式トランスデューサー・エレメントのうちの1つの分極電荷を増幅させ、それぞれのアナログ−デジタル・コンバーターは、3つの増幅された分極電荷のうちの1つを変換し、合計で3つのデジタル出力信号を結果として生じさせる。したがって、12個のデジタル出力信号が、合計で12個の圧電式トランスデューサー・エレメントに関して発生させられる。
【0006】
DE102012005555B3は、列になって配置されている複数の圧電式フォース・トランスデューサーを含む測定プレートを教示している。圧力ピースが、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーに関連付けられており、検出されることとなる力は、圧力ピースを介して圧電式フォース・トランスデューサーに作用する。それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、2つの圧電式トランスデューサー・エレメントを含み、1つの圧電式トランスデューサー・エレメントは、圧縮力を検出するためのものであり、1つの圧電式トランスデューサー・エレメントは、せん断力を検出するためのものである。圧電式フォース・トランスデューサーのそれぞれの圧電式トランスデューサー・エレメントは、測定プレートの凹部の中にペアになって重なり合って配置されている。合計で8つの圧電式トランスデューサー・エレメントが、8つの測定信号を発生させ、それは、4つのコネクターへの電気的な接続を介して伝送される。信号ケーブルが、測定信号を外部評価ユニットに送信するために、コネクターと接続され得る。
【0007】
本発明の第1の目的は、そのようなフォース・モーメント・センサーをさらに発展させ、それが、ロボットによって実施されることとなる複雑な動作と干渉することなく、ロボット・アームの手首の中の配置のために可能な限り小さい空間的な延在を有するようにすることである。フォース・モーメント・センサーの第2の目的は、それが可能な限り機械的にロバストであるべきであり、とりわけ、曲げモーメントに関して高いロバスト性を有するということである。フォース・モーメント・センサーの別の目的は、それが可能な限り安価であるべきであり、わずかにだけロボットの製造コストに貢献するようになっているということである。フォース・モーメント・センサーのさらなる別の目的は、高いレベルの労働安全を確保し、ロボットおよび人が同じスペースの中で作業することができるようになっているということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、独立請求項の特徴によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、4つの圧電式フォース・トランスデューサーおよびベース・プレートを含むフォース・モーメント・センサーであって、4つの圧電式フォース・トランスデューサーは、力を検出し、検出される力に関する測定信号を発生させ、フォース・モーメント・センサーは、カバー・プレートを含み、カバー・プレートは、境界表面を含み、検出されることとなる力が、境界表面に作用し、フォース・モーメント・センサーは、評価ユニットを含み、評価ユニットは、圧電式フォース・トランスデューサーの測定信号を分析し、ベース・プレートは、圧電式フォース・トランスデューサーおよび評価ユニットを収容するための少なくとも1つのキャビティーを含み、圧電式フォース・トランスデューサーおよび評価ユニットが、キャビティーの中に配置されており、ベース・プレートおよびカバー・プレートは、機械的に接続され、ハウジングを形成している、フォース・モーメント・センサーに関する。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0109311A1号明細書とは対照的に、本発明によるフォース・モーメント・センサーは、ベース・プレートのキャビティーの中に、4つの圧電式フォース・トランスデューサーを収容しており、また、圧電式フォース・トランスデューサーの測定信号を評価するための評価ユニットを収容している。そのうえ、検出されることとなる力は、カバー・プレートの境界表面に作用する。したがって、2つのコンポーネント、すなわち、ベース・プレートおよびカバー・プレートだけが、圧電式フォース・トランスデューサーを収容するために、および、力の印加のために必要とされる。ベース・プレートおよびカバー・プレートは、ハウジングを形成するように接続されている。米国特許出願公開第2016/0109311A1号明細書によれば、これは、2つのサポートおよび1つのベース・プレートを必要とし、DE102012005555B3によれば、これは、測定プレートおよび4つの圧力ピースを必要とする。ベース・プレートのキャビティーの中の圧電式フォース・トランスデューサーおよび評価ユニットのこの空間的にコンパクトな配置、ならびに、カバー・プレートの境界表面における力の導入は、フォース・モーメント・センサーのかなりのサイズ低減につながる。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、複数の圧電式トランスデューサー・エレメントを含み、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、少なくとも1つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメントによって、垂直抗力の正確に1つの成分を検出し、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、少なくとも1つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメントによって、せん断力の正確に1つの成分を検出する。
【0012】
米国特許出願公開第2016/0109311A1号明細書とは対照的に、本発明によるフォース・モーメント・センサーは、8つだけの圧電式トランスデューサー・エレメントを含む。これは、圧電式トランスデューサー・エレメントの数の33.3%の低減である。しかし、フォース・モーメント・センサーは、また、力の3つの成分およびモーメントの3つの成分を検出することができる。圧電式トランスデューサー・エレメントの数を低減させることは、フォース・モーメント・センサーのサイズのさらなる低減につながる。そのうえ、フォース・モーメント・センサーの製造コストが、劇的に低減される。
【0013】
また、本発明は、フォース・モーメント・センサーのためのフォース・トランスデューサー・モジュールであって、フォース・トランスデューサー・モジュールは、導電体を介して評価ユニットに電気的接触をしている4つの圧電式フォース・トランスデューサーによって形成されている、フォース・トランスデューサー・モジュールに関する。
【0014】
本発明によるフォース・トランスデューサー・モジュールは、力検出機能、測定信号発生機能、および測定信号評価機能を組み合わせている。それは、小さい寸法を有しており、フォース・モーメント・センサーのベース・プレートのキャビティーの中に配置され得る。結果として、このフォース・モーメント・センサーの生産は、とりわけ、コスト効率が良い。その理由は、フォース・トランスデューサー・モジュールがキャビティーの中に配置されると、ハウジングを形成するためにベース・プレートおよびカバー・プレートを機械的に接続することだけが必要であるからである。
【0015】
そのうえ、本発明は、また、フォース・モーメント・センサーを含むロボットであって、フォース・モーメント・センサーのベース・プレートの境界表面が、ロボットの手首の表面に機械的に接続されており、フォース・モーメント・センサーのカバー・プレートの境界表面が、ツールに機械的に接続されている、ロボットに関する。
【0016】
本発明の1つの実施形態では、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサーは、カバー・プレートの境界表面に対抗するプレストレス力によって機械的にプレストレスを掛けられており、プレストレス力の効果的な方向は、境界表面に垂直になっており、ツールの曲げモーメントは、垂直抗力として圧電式フォース・トランスデューサーに作用する。
【0017】
また、これは、米国特許出願公開第2016/0109311A1号明細書とは対照的であり、米国特許出願公開第2016/0109311A1号明細書では、圧電式フォース・トランスデューサーは、第1および第2のサポートの境界表面に対抗するプレストレス力によって機械的にプレストレスを掛けられており、このプレストレス力の効果的な方向は、境界表面に対して垂直になっている。このケースでは、ツールの曲げモーメントは、せん断力として圧電式フォース・トランスデューサーに作用することとなる。せん断力は、摩擦力として境界表面から圧電式フォース・トランスデューサーへ伝達される。摩擦力の伝達に関して、比較的に高いプレストレス力によって、境界表面に対抗して圧電式フォース・トランスデューサーに機械的にプレストレスを掛けることが必要である。しかし、圧電式フォース・トランスデューサーの圧電材料は、単に破壊限界までプレストレス力に耐えることとなり、その破壊限界の上方では、圧電材料の損傷および破壊が起こることとなる。本発明では、そのような高いプレストレス力を印加することは必要ない。その理由は、ツールの曲げモーメントが、プレストレス力に対して平行に延在する垂直抗力として作用するからである。したがって、高いプレストレス力によって、本発明によるフォース・モーメント・センサーに機械的にプレストレスを掛けることは必要ではなく、それによって、それは、はるかに高い曲げモーメントに耐えることが可能である。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、ロボットのフォース・モーメント・センサーは、2つのフォース・トランスデューサー・モジュールを含み、第1のフォース・トランスデューサー・モジュールの第1の圧電式フォース・トランスデューサーは、第1の時間において力を検出し、第1の時間に検出される力に関する第1の測定信号を発生させ、第2のフォース・トランスデューサー・モジュールの第2の圧電式フォース・トランスデューサーは、第2の時間において同じ力を検出し、第2の時間において検出される力に関する第2の測定信号を発生させる。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、ロボットのフォース・モーメント・センサーは、2つのフォース・トランスデューサー・モジュールを含み、第1のフォース・トランスデューサー・モジュールの第1の評価ユニットは、第1の測定信号を評価し、それらを第1のデジタル出力信号として提供し、第2のフォース・トランスデューサー・モジュールの第2の評価ユニットは、第2の測定信号を評価し、それらを第2のデジタル出力信号として提供し、フォース・モーメント・センサーは、バス・システムを介してロボットのロボット・コントロールへ第1のデジタル出力信号を送信し、フォース・モーメント・センサーは、バス・システムを介してロボットのロボット・コントロールへ第2のデジタル出力信号を送信し、ロボットのロボット・コントロールは、伝送された第1のデジタル出力信号と、伝送された第2のデジタル出力信号とを比較する。
【0020】
これは、有利である。とりわけ、ロボットおよび人が、同じスペースの中で一緒に作業し、安全フェンスなどのような安全対策によって、互いから空間的に分離されていないときに、2回検出される力のデジタル出力信号の本発明によるそのような比較が、作業の安全の理由のために必要である可能性がある。このケースでは、ロボット・アームの素早く力強い移動に起因して、人間が、重傷またはさらには致命傷のリスクにさらされる。ロボットのロボット・コントロールは、検出される力と伝送される力とを比較し、それが2つの検出される力と伝送される力との間の差を検出すると、それは、ロボットを安全モードへと切り替えることが可能であり、安全モードでは、ロボットおよび人の協調が中断され、人は、安全な距離へ移動することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下では、本発明が、図を参照して、例として説明されることとなる。
【0022】
図1】1つのフォース・トランスデューサー・モジュールを含むフォース・モーメント・センサーの第1の実施形態の一部分の分解図である。
図2】2つのフォース・トランスデューサー・モジュールを含むフォース・モーメント・センサーの第2の実施形態の一部分の分解図である。
図3図2によるフォース・モーメント・センサーの第2の実施形態の一部分を通る断面を示す図である。
図4図1または図2によるフォース・モーメント・センサーのためのフォース・トランスデューサー・モジュールの実施形態の一部分の平面図である。
図5図4によるフォース・トランスデューサー・モジュールの実施形態の一部分の図である。
図6図1または図2によるフォース・モーメント・センサーを含むロボットの実施形態の一部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2は、ベース・プレート2およびカバー・プレート3を含む、フォース・モーメント・センサー1の2つの実施形態のパーツを示している。フォース・モーメント・センサー1の中心0は、座標x、y、zを有する直交座標系の原点に位置付けされている。また、フォース・モーメント・センサー1の中心0は、ベース・プレート2の中心0であり、中心0とも称される。z軸に沿った方向は、長手方向とも称され、一方、xy平面の中の方向は、半径方向と称される。
【0024】
ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、長手方向においてよりも、xy平面の中において大きい寸法を有している。xy平面において、ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、直径が150mmの円形断面を有しており、好ましくは、直径が100mm以下の円形断面を有している。ベース・プレート2は、30mmの長手方向の厚さを有しており、好ましくは、20mm以下の長手方向の厚さを有している。カバー・プレート3は、10mmの長手方向の厚さを有しており、好ましくは、5mm以下の長手方向の厚さを有している。本発明の教示を知ると、ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、多角形断面などのような非円形断面を有することも可能である。
【0025】
ベース・プレート2は、ポット形状になっており、一方、カバー・プレート3は、蓋として形成されている。ベース・プレート2の外側縁部は、半径方向にハウジングの境界を定めている。ベース・プレート2の外側縁部は、任意の開口部なしに閉じられている。ベース・プレート2の境界表面24は、長手方向にハウジングの境界を定めている。ベース・プレート2の境界表面24は閉じられておらず、それは、プレストレス部材5から5’’’のための複数の開口部を含む。カバー・プレート3の境界表面31は、長手方向にハウジングの境界を定めている。カバー・プレート3の境界表面31は、任意の開口部なしに閉じられている。カバー・プレート3の半径方向外側の縁部は、ベース・プレート2の外側縁部と同一平面上にある。
【0026】
ベース・プレート2は、少なくとも1つのキャビティー21から21’’’、22を含む。キャビティー21から21’’’、22は、カバー・プレート3に面するベース・プレート2の側部に配置されている。フォース・モーメント・センサー1のコンポーネントは、キャビティー21から21’’’、22の中に配置されている。
【0027】
ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、機械的に抵抗力のある材料から作製されている。ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、機械的に接続され、ハウジングを形成している。機械的な接続は、好ましくは、スクリュー接続による圧力嵌めの様式で、プレストレス部材5から5’’’を介して実施される。プレストレス部材5から5’’’は、ボルトとして形成され得る。カバー・プレート3は、ベース・プレート2に面する側部にスクリュー接続を確立するためのネジ山を含む。好ましくは、4つのプレストレス部材5から5’’’は、ベース・プレート2の4つの開口部を通って突出し、カバー・プレート3の4つのネジ山の中へねじ込まれる。プレストレス部材5から5’’’がねじ込まれると、ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、互いにプレストレスを掛けられる。この目的のために、それぞれのプレストレス部材5から5’’’のボルト・ヘッドは、ベース・プレート2の上に置かれている。好ましくは、それぞれのボルト・ヘッドは、ベース・プレート2の凹部の中に置かれており、ベース・プレート2の境界表面24を越えて突出していない。機械的な接続は、気密および水密になっている。気密および水密のシーリングは、シーリング・エレメント13a、13bから13b’’’、13cによって実現されている。ハウジングは、キャビティー21から21’’’、22の中に位置付けされているコンポーネントを、動作の間に起こる衝撃および衝突から保護する。しかし、ハウジングは、また、キャビティー21から21’’’、22の中のコンポーネントを、汚染物質(ダスト、湿分など)などのような、有害な環境条件から保護する。最後に、ハウジングは、キャビティー21から21’’’、22の中のコンポーネントを、電磁放射線の形態の電気的なおよび電磁的な干渉効果から保護する。
【0028】
好ましくは、ベース・プレート2は、複数の圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を収容するための複数のキャビティー21から21’’’を含む。好ましくは、4つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、4つのキャビティー21から21’’’の中に配置されている。圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’のそれぞれのキャビティー21から21’’’は、中心0に対して半径方向の距離rに配置されている。圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’のキャビティー21から21’’’は、半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’とも呼ばれる。半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、中心0から同じ半径方向の距離rに配置されている。半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、同一である。それぞれの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、長手方向に見たときに円形断面を有している。2つの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21、21’’は、x軸の上に存在しており、2つの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21’、21’’’は、y軸の上に存在している。2つの直接的に隣接する半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、距離aだけ間隔を離して配置されている。それぞれの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、少なくとも1つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を収容している。図1による実施形態では、それぞれの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、正確に1つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を収容している。図2による実施形態では、それぞれの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、正確に2つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を収容している。2つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、z軸に沿って見たときに、互いに重なり合って配置されている。
【0029】
好ましくは、ベース・プレート2は、評価ユニット6のためのキャビティー22を含む。評価ユニット6のキャビティー22は、中心0に配置されている。評価ユニット6のキャビティー22は、中央キャビティー22とも呼ばれる。図1による実施形態では、中央キャビティー22は、正確に1つの評価ユニット6を収容している。図2による実施形態では、中央キャビティー22は、正確に2つの評価ユニット6を収容している。2つの評価ユニット6は、z軸に沿って見たときに、互いに重なり合って配置されている。中央キャビティー22は、中心0の周りに十字形状になっており、半径方向に延在する4つのレッグを含む。2つの直接的に隣接するレッグは、互いに対して垂直になっている。4つのレッグは、4つの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’に対して、中心0に関して45°だけオフセットされている。半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’は、2つの直接的に隣接するレッグの間に配置されている。これは、ベース・プレート2の中の利用可能なスペースの最適な利用を結果として生じさせる。2つの直接的に隣接するレッグは、移行領域において互いに接触している。それぞれの移行領域において、ベース・プレート2は、貫通孔23から23’’’を含む。ベース・プレート2の貫通孔23から23’’’は、同一になっている。ベース・プレート2のそれぞれの貫通孔23から23’’’は、中央キャビティー22から半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’へ半径方向に延在している。したがって、キャビティー21から21’’’、22は、貫通孔23から23’’’を介して互いに接続されている。
【0030】
好ましくは、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、正確に2つの圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’を含む。それぞれの圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’は、ディスク形状になっており、石英(SiO単結晶)、カルシウムガロゲルマネート(CaGaGe14またはCGG)、ランガサイト(LaGaSiO14またはLGS)、トルマリン、オルトリン酸ガリウム、圧電セラミックなどのような、圧電材料から構成されている。圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、長手方向においてよりも、xy平面の中において大きい寸法を有している。それぞれの圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’は、直径が20mmの円形断面を有しており、好ましくは、直径が10mm以下の円形断面を有している。それぞれの圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’は、1.0mm以下の、好ましくは、0.8mm以下の長手方向の厚さを有している。
【0031】
圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のそれぞれの結晶方位は、検出されることとなる力Fに関してそれが高い感度を有するようになっている。力Fの検出は、kHz範囲の測定周波数によって動的である。高い感度は、力Fのそれぞれの変化によって、圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’が可能な限り多くの分極電荷Qを発生させるような感度として定義される。力Fは、力成分Fx、Fy、Fzを含み、添え字x、y、zは、力成分Fx、Fy、Fzが作用する圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のエレメント表面を表している。添え字x、y、zは、座標x、y、zに対応している。
【0032】
力Fは、垂直抗力またはせん断力のいずれかとして、エレメント表面に作用する。垂直抗力は、エレメント表面の表面法線に対して平行である有効軸線に沿って作用する。せん断力は、エレメント表面の表面法線に対して垂直である有効軸線に沿って作用する。それぞれの圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’に関して、z軸は、表面法線である。垂直抗力Fzを検出するために、第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8は、所定の結晶方位を有しており、分極電荷Qzが、その表面法線が垂直抗力Fzのz軸に対して平行になっているエレメント表面の上に発生させられるようになっている。圧電せん断効果に関して、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’は、所定の結晶方位を有しており、分極電荷QxまたはQyが、その表面法線がせん断力Fxのx軸に対して垂直になっているかまたはせん断力Fyのy軸に対して垂直になっているエレメント表面の上に発生させられるようになっている。せん断力Fxを検出するために、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’は、x軸に沿った高い感度の結晶方位によって配置されている。せん断力Fyを検出するために、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’は、y軸に沿った高い感度の結晶方位によって配置されている。このように、同じ第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’は、したがって、x軸に沿った高い感度の結晶方位によってせん断力Fxを検出すること、または、y軸に沿った高い感度の結晶方位によってせん断力Fyを検出することのいずれかのために、xy平面の中に配置され得り、すなわち、それは、単に90°だけ回転させられていなければならない。それぞれの圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’は、2つのエレメント表面を有している。圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のそれぞれのエレメント表面の上の分極電荷Qは、反対側の極性を有している。しかし、本発明を知る当業者は、異なる形状を有する圧電式トランスデューサー・エレメントを使用することも可能である。したがって、ロッド形状の圧電式トランスデューサー・エレメントが、圧電横効果のために使用され得り、それは、所定の結晶方位にカットされており、分極電荷Qzが、その表面法線が垂直抗力Fzのz軸に対して垂直であるエレメント表面の上に発生させられるようになっている。
【0033】
好ましくは、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、複数のトランスデューサー電極9、9’および複数のカウンター電極10から10’’を含む。トランスデューサー電極9、9’およびカウンター電極10から10’’は、アルミニウム、銅、金などのような、導電性の材料から作製されており、圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のエレメント表面から分極電荷Qを収集する。トランスデューサー電極9、9’およびカウンター電極10から10’’は、xy平面の中に存在しており、直径が20mmの円形断面を有しており、好ましくは、直径が10mm以下の円形断面を有している。トランスデューサー電極9、9’は、長手方向に0.2mm以下の、好ましくは、0.05mm以下の厚さを有している。カウンター電極10から10’’は、長手方向に2.0mm以下の、好ましくは、1.0mm以下の厚さを有している。しかし、本発明を知る当業者は、トランスデューサー電極と同じ厚さを有するカウンター電極を使用することも可能である。
【0034】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、垂直抗力Fzを検出するための少なくとも1つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8と、せん断力FxまたはFyを検出するための少なくとも1つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’とを含む。図3による圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の実施形態は、垂直抗力Fzを検出するための正確に2つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8と、せん断力FxまたはFyを検出するための正確に2つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’とを含む。第1の2つの圧電式トランスデューサー・エレメント8は、ペアになって配置されており、また、2つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’も、ペアになって配置されている。図3に示されている表現では、2つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8は、z軸に沿って見たときに、2つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’の上方に配置されている。第1のトランスデューサー電極9は、z軸に沿って見たときに、2つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8のエレメント表面の間に位置付けされている。第2のトランスデューサー電極9’は、z軸に沿って見たときに、2つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’のエレメント表面の間に位置している。カウンター電極10から10’’は、トランスデューサー電極9、9’から離れる方に面する圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のエレメント表面に接触して置かれている。第1のカウンター電極10は、z軸に関して上側のものであり、第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8の第1のトランスデューサー電極9から離れる方に面する、エレメント表面に接触して置かれている。第2のカウンター電極10’は、z軸に沿って見たときに、2つの第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8と2つの第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’との間に配置されている。第2のカウンター電極10’は、z軸に沿って見たときに下側のものであり、第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8の第1のトランスデューサー電極9から離れる方に面する、エレメント表面に接触して置かれており、また、z軸に沿って見たときに上側のものであり、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’の第2のトランスデューサー電極9’から離れる方に面する、エレメント表面に接触して置かれている。第3のカウンター電極10’’は、z軸に沿って見たときに下側のものであり、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’の第2のトランスデューサー電極9’から離れる方に面する、エレメント表面に接触して置かれている。
【0035】
圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のトランスデューサー電極9、9’に接触して置かれているエレメント表面は、同じ極性を有しており、トランスデューサー電極9、9’によって並列に電気的に接続されている。そのうえ、圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’のカウンター電極10に接触して置かれているエレメント表面も、同じ極性を有しており、カウンター電極10から10’’によって並列に電気的に接続されている。同じ極性を有する分極電荷Qは、並列に接続されているエレメント表面に対する力Fの作用の下で発生させられる。したがって、トランスデューサー電極9、9’およびカウンター電極10から10’’は、それぞれ、同じ極性を有する分極電荷Qを合計する。好ましくは、カウンター電極10から10’’は、フォース・モーメント・センサー1のハウジングと同じグランド電位にある。
【0036】
トランスデューサー電極9、9’およびカウンター電極10から10’’の分極電荷Qは、導電体11から11’’によって受け入れられる。導電体11から11’’は、ワイヤー形状になっており、アルミニウム、銅、金などのような、導電性の材料から作製されている。第1の導電体11は、第1のトランスデューサー電極9から分極電荷Qを受け入れる。第2の導電体11’は、第2のトランスデューサー電極9’から分極電荷Qを受け入れる。第3の導電体11’’は、カウンター電極10から10’’から分極電荷Qを受け入れる。分極電荷Qは、導電体11から11’’によって評価ユニット6へ伝送される。
【0037】
それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、プレストレス部材5から5’’’によって機械的にプレストレスを掛けられる。半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’の中に配置されている圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、ベース・プレート2のプレストレス部材5から5’’’によって、カバー・プレート3に対抗して、プレストレス力によって、機械的にプレストレスを掛けられる。図1から図3に示されているように、それぞれのプレストレス部材5から5’’’は、ベース・プレート2の開口部から突出しており、カバー・プレート3のネジ山の中にねじ込まれている。xy平面に関して、それぞれの開口部は、半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’の中心に配置されている。開口部は、ベース・プレート2の中に装着されているソケットによって、半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’から分離されている。ベース・プレート2がカバー・プレート3に対抗してプレストレスを掛けられている状態において、ソケットは、半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’をプレストレス部材5から5’’’から分離している。機械的なプレストレスは、圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の圧電式トランスデューサー・エレメント8、8’、トランスデューサー電極9、9’、およびカウンター電極10から10’’の間の優秀な電気的接触を確保し、それによって、高い局所的な電気的な応力および電気的な漏洩電流を伴う非接触エリアは起こらないこととなり、そのうえ、接触表面の上の表面粗度が均一化されることにもなり、フォース・モーメント・センサー1の優秀な線形性を結果として生じさせる。線形性は、分極電荷Qと検出されることとなる力成分Fx、Fy、Fzとの間の比例関係からの偏差である。
【0038】
ベース・プレート2の少なくとも1つのキャビティー21から21’’’、22は、少なくとも1つのシーリング・エレメント13a、13bから13b’’’、13cによって、気密および水密の様式でシールされている。シーリング・エレメント13a、13bから13b’’’、13cは、プラスチック、金属などから作製されている。図1による実施形態では、フォース・モーメント・センサー1は、環状のシーリング・エレメント13aを含む。環状のシーリング・エレメント13aは、ベース・プレート2の外側縁部とカバー・プレート3の半径方向外側の縁部との間に配置されている。環状のシーリング・エレメント13は、カバー・プレート3に対抗してベース・プレート2がプレストレスを掛けられた状態で圧縮されており、それによって、シールが提供される。図2による実施形態では、フォース・モーメント・センサー1は、複数のディスク形状のシーリング・エレメント13bから13b’’’、13cを含む。第1のディスク形状のシーリング・エレメント13bから13b’’’は、複数の半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’をシールする。第2のディスク形状のシーリング・エレメント13.3は、中央キャビティー22のためのシールを提供する。好ましくは、ディスク形状のシーリング・エレメント13bから13b’’’、13cは、材料結合によってキャビティー21から21’’’、22の縁部に接触している。材料結合は、溶接、拡散接合、熱圧着、はんだ付けなどによって実現される。
【0039】
評価ユニット6は、好ましくは、フォーム・フィッティング接続、摩擦接続、または材料結合接続によって、ベース・プレート2に機械的に接続されている。xy平面の中での評価ユニット6の膨張は、長手方向におけるものよりも大きい。評価ユニット6は、150mm未満の直径、好ましくは、100mm未満の直径を有するディスク形状になっている。図1図2、および図4に示されている実施形態では、評価ユニット6は、十字形状のディスクである。長手方向の評価ユニット6の厚さは、20mm以下である。
【0040】
評価ユニット6は、電気回路基板を含む。電気回路基板は、電気的に絶縁する支持材料、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、Alセラミック炭化水素−セラミック・ラミネートなどから作製されている。電気回路基板は、電気抵抗器、電気キャパシター、半導体エレメント、プロセッサーなどのような、電子部品を設けられている。電気回路基板は、電気信号伝導体を含む。電気信号伝導体は、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金などのような、導電性の材料から作製されている。電気信号伝導体は、電気回路基板の支持材料の上に平坦に横たわっており、電子部品同士の間の電気的な接続を提供している。圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の導電体11から11’’は、電気回路基板へガイドされている。圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の導電体11から11’’は、圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の半径方向外側のキャビティー21から21’’’から、ベース・プレート2の貫通孔23から23’’’を通って、ベース・プレート2の中央キャビティー22の中へ延在している。中央キャビティー22の中では、導電体11から11’’の端部が、下側の境界表面の反対側の電気回路基板の表面の上の電気信号伝導体と電気的接触をしている。中央キャビティー22の中では、導電体11から11’’は、接触するためのツールにとって、容易にアクセス可能である。好ましくは、導電体11から11’’は、材料結合によって電気信号伝導体に接触している。材料結合は、溶接、拡散接合、熱圧着、はんだ付けなどによって実現される。このように、ベース・プレート2の貫通孔23から23’’’は、圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の導電体11から11’’が評価ユニット6の電気回路基板に簡単で迅速でしっかりとした電気的接触をすることを可能にする。
【0041】
電子部品として、評価ユニット6は、少なくとも1つの電荷増幅器および少なくとも1つのアナログ−デジタル・コンバーターを含む。好ましくは、評価ユニット6は、それぞれの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’に関して、少なくとも1つの電荷増幅器および少なくとも1つのアナログ−デジタル・コンバーターを含む。評価ユニット6は、圧電式フォース・センサー4から4’’’の測定信号を分析する。第1の電荷増幅器は、第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8からの分極電荷Qを増幅させ、第1のアナログ−デジタル・コンバーターは、第1の圧電式トランスデューサー・エレメント8からの増幅された分極電荷Qをデジタル化する。第2の電荷増幅器は、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’からの分極電荷Qを増幅させ、第1のアナログ−デジタル・コンバーターは、第2の圧電式トランスデューサー・エレメント8’からの増幅された分極電荷Qをデジタル化する。
【0042】
4つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、それぞれ、導電体11から11’’を介して評価ユニット6に電気的接触をしており、フォース・トランスデューサー・モジュール14、14’を形成している。図1による実施形態では、フォース・モーメント・センサー1は、1つのフォース・トランスデューサー・モジュール14を含み、一方、図2による実施形態では、フォース・モーメント・センサー1は、2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’を含む。長手方向への1つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’の寸法は、ベース・プレート2と比較して十分に小さいので、2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’を長手方向に重なり合わせてベース・プレート2の中に配置させることが可能である。
【0043】
したがって、ベース・プレート2およびカバー・プレート3は、フォース・モーメント・センサー1の両方の実施形態に関して、同じ寸法を有することが可能である。フォース・モーメント・センサー1が、1つだけのフォース・トランスデューサー・モジュール14を含む場合には、1つだけの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’が、それぞれの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’の中に配置されることとなる。次いで、検出されることとなる力が圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の上に作用するように、カウンター電極10から10’’の長手方向の厚さは、半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’が完全に充填されることになるようになっている。フォース・モーメント・センサー1が2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’を含む場合には、それぞれの半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’が、それぞれのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’の2つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を収容することとなり、それぞれのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’は、重なり合って配置されており、カウンター電極10から10’’を介して同じグランド電位にある。したがって、検出されることとなる力が圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’の上に作用するように、カウンター電極10から10’’は、長手方向に十分に薄くなることとなり、半径方向に間隔を置いて配置されたキャビティー21から21’’’が完全に充填されることになるようになっている。フォース・トランスデューサー・モジュール14、14’の2つの評価ユニット6は、互いから所定の空間的距離で重なり合って中央キャビティー22の中に配置されている。2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’は、互いから独立して同じ力を検出する。2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’は、互いから独立して測定信号を評価する。
【0044】
図1および図2によるフォース・モーメント・センサー1の実施形態に関して、評価ユニット6は、8つの圧電式フォース・センサー4から4’’’のデジタル化された分極電荷QxからQx’’’、QyからQy’’’、QzからQz’’’から、力Fの3つの成分Fx、Fy、Fz、および、モーメントMの3つの成分Mx、My、Mzを計算することができる。それぞれの式は、以下の通りである。
Fx=+Qx’−Qx’’’
Fy=+Qy’’−Qy
Fz=+Qz+Qz’+Qz’’+Qz’’’
Mx=a/2*(+Qz+Qz’)−a/2*(+Qz’’+Qz’’’)
My=a/2*(+Qz’+Qz’’)-a/2*(+Qz+Qz’’’)
Mz=a/2*(+Qy+Qx’+Qy’’+Qx’’’)
力Fの3つの計算される成分Fx、Fy、Fz、および、モーメントMの3つの計算される成分Mx、My、Mzに関して、評価ユニット6は、デジタル出力信号を発生させて提供する。6つの成分のデジタル出力信号は、3軸の接合力を表現することが可能である。
【0045】
評価ユニット6は、インターフェース・ソケット7を含む。Ethercat、Ethernet Powerlinkなどのような、バス・システムのインターフェース・コネクターが、インターフェース・ソケット7において電気的に接続され得る。インターフェース・コネクターおよびバス・システムは、図1または図2に示されていない。バス・システムを介して、評価ユニット6は、ロボットのロボット・コントロールと通信しており、提供されるデジタル出力信号をロボットのロボット・コントロールに送信する。通信は、少なくとも1kHz、好ましくは、少なくとも4kHzのバス・レートを有するリアルタイム通信である。バス・レートおよび測定周波数は、測定周波数がバス・レートよりも大きくなるように選択される。
【0046】
図6は、フォース・モーメント・センサー1を備えたロボット15の実施形態の一部分を示している。ロボット15は、ロボット・アームを含む。ロボット・アームは、コンポーネントを接合することなどのような複雑な動作を実施するように適合されている。フォース・モーメント・センサー1、1’は、ロボット・アームの手首の中に配置されている。フォース・モーメント・センサー1のベース・プレート2の境界表面24は、ロボット15の手首の表面に機械的に接続されている。好ましくは、機械的な接続は、スクリュー接続によって圧力嵌めの様式で実現されている。ロボット15が複雑な機械加工または簡単な動作を実施するために使用するツール16が、フォース・モーメント・センサー1のカバー・プレート3の境界表面31に機械的に接続されている。機械的な接続は、好ましくは、スクリュー接続によって圧力嵌めの様式で実現されている。
【0047】
ツール16は、力Fが作用するレバー・アームを形成することが可能であり、それは、曲げモーメントが垂直抗力としてz軸に沿ってフォース・モーメント・センサー1のカバー・プレート3の境界表面31に作用することにつながる。この垂直抗力は、圧電式フォース・トランスデューサー44’’’のプレストレス力に対して平行に作用する。
【0048】
フォース・モーメント・センサー1は、冗長な様式で力Fを検出することが可能である。図2によるフォース・モーメント・センサー1の実施形態に示されているように、2倍の4つの圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を含む2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’が、この目的のために、ベース・プレート2の4つのキャビティー21から21’’’の中に配置されている。第1のフォース・トランスデューサー・モジュール14は、第1の圧電式フォース・センサー4から4’’’を含み、第1の圧電式フォース・センサー4から4’’’は、第1の時間に力Fを検出し、第1の時間に検出される力Fに関する第1の測定信号を発生させる。第2のフォース・トランスデューサー・モジュール14’は、第2の圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’を含み、第2の圧電式フォース・トランスデューサー4から4’’’は、第2の時間に同じ力Fを検出し、第2の時間に検出される力Fに関する第2の測定信号を発生させる。2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’による力のこの冗長な検出は、同時に実施される。フォース・トランスデューサー・モジュール14、14’は、互いに独立して同じ力を検出する。それぞれのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’は、評価ユニット6を含む。2つのフォース・トランスデューサー・モジュール14、14’の2つの評価ユニット6は、中央キャビティー22の中に配置されている。第1の時間に検出される力Fに対応する第1の測定信号は、導電体11から11’’を介して第1のフォース・トランスデューサー・モジュール14の第1の評価ユニット6へ伝送される。第2の時間に検出される力Fの第2の測定信号は、導電体11から11’’を介して第2のフォース・トランスデューサー・モジュール14’の第2の評価ユニット6へ伝送される。第1の評価ユニット6は、第1の時間に検出される力Fの第1の測定信号を分析し、それに関する第1のデジタル出力信号を提供する。第2の評価ユニット6は、第2の時間に検出される力Fの第2の測定信号を分析し、それに関する第2のデジタル出力信号を提供する。フォース・トランスデューサー・モジュール14、14’は、第1の時間に検出される力Fおよび第2の時間に検出される力Fの測定信号を、互いに独立して評価する。
【0049】
フォース・モーメント・センサー1は、第1の時間に検出される力Fの第1のデジタル出力信号、および、第2の時間に検出される力Fの第2のデジタル出力信号を、バス・システムを介して、ロボット15のロボット・コントロールへ送信する。ロボット・コントロールは、第1の時間に検出される力Fの伝送された第1のデジタル出力信号と、第2の時間に検出される力の伝送された第2のデジタル出力信号とを比較することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
0 フォース・モーメント・センサーの中心
1 フォース・モーメント・センサー
2 ベース・プレート
3 カバー・プレート
4から4’’’ 圧電式フォース・トランスデューサー
5から5’’’ プレストレス部材
6 評価ユニット
7 インターフェース・ソケット
8、8’ 圧電式トランスデューサー・エレメント
9、9’ トランスデューサー電極
10から10’’ カウンター電極
11から11’’ 導電体
13a、13bから13b’’’、13c シーリング・エレメント
14、14’ フォース・トランスデューサー・モジュール
15 ロボット
16 ツール
21から21’’’ 半径方向外側のキャビティー
22 中央キャビティー
23から23’’’ 貫通孔
24 ベース・プレートの境界表面
31 カバー・プレートの境界表面
a 距離
r 半径方向の距離
x、y、z 座標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】