(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
圧縮着火エンジンにより生じる排ガスを処理するための酸化触媒であって、この酸化触媒は、基材;基材上に配置された触媒材料、この触媒材料は白金(Pt)を含むものである;及び捕捉材料を備える領域を有し、この捕捉材料は、耐火性酸化物上に配置又は担持されたPt合金化金属を含み、この耐火性酸化物は、ジルコニアを少なくとも65重量%含み、この領域は、排ガスが触媒材料と接触及び/又は触媒材料を通過した後に、排ガスと接触するように配設されている。
Pt合金化金属が、金属及び/又は金属の酸化物を含み、該金属が、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、Pd及びAuの混合物、Pd及びCuの混合物、Au及びCuの混合物、Pd、Au及びCuの混合物、Pd及びAuの二元合金、Pd及びCuの二元合金、Au及びCuの二元合金、Pd、Au及びCuの三元合金から成る群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の酸化触媒。
基材が、入口端面及び出口端面を有し、排ガスが触媒材料と接触及び/又は触媒材料を通過した後に排ガスと接触するように配設された捕捉材料を有する領域が、基材の出口端面に配置された捕捉材料である、請求項1から12のいずれか一項に記載の酸化触媒。
酸化触媒がさらに捕捉ゾーンを備え、該捕捉ゾーンは、基材内にある複数のチャネル壁に配置又は担持された捕捉材料を有し、該捕捉ゾーンは、≦25mmの平均長さを有する、請求項15に記載の酸化触媒。
圧縮着火エンジンにより生じる排ガスを処理するための排気システムであって、請求項1から19のいずれか一項に記載の酸化触媒と、放出制御デバイスとを備える、排気システム。
Pt合金化金属が、金属及び/又は金属の酸化物を含み、該金属が、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、Pd及びAuの混合物、Pd及びCuの混合物、Au及びCuの混合物、Pd、Au及びCuの混合物、Pd及びAuの二元合金、Pd及びCuの二元合金、Au及びCuの二元合金、Pd、Au及びCuの三元合金から成る群から選択される、請求項21から23のいずれか一項に記載の捕捉ブリック。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、揮発した白金(Pt)を捕捉するための領域に関し、この領域は捕捉材料を含むか、又は捕捉材料から実質的に成る。捕捉領域は、上流にある(通常は酸化触媒の)触媒材料を通過した排ガス中の揮発したPtをトラップ又は捕捉するために、様々なやり方で配設されていてよい。この領域は、揮発したPtが、下流にある第二の放出制御デバイス、例えばSCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒で濃縮することを防止するために配設されている。
【0029】
捕捉材料は、耐火性酸化物上に配置又は担持されたPt合金化金属を含むか、又はこれから実質的に成り、この耐火性酸化物は、ジルコニアを少なくとも65重量%含む。
【0030】
本発明者らは、本発明に従って捕捉材料を使用することにより、捕捉材料を適切なやり方で排気システム内に配設すると、揮発したPtが、下流にあるSCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒に堆積していくことを減少又は防止可能なことを見出した。本発明の捕捉材料は、触媒活性、特にCO及び/又は未燃焼HCへの触媒活性、とりわけNO
x酸化への触媒活性が低い。捕捉材料は一般的にまた、NO
2の分解又は還元に対して実質的に触媒不活性であり、特にPtの揮発が起こる条件において、及び/又は下流にあるSCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒がNO
2:NOの比率に敏感な温度においては、そうである。
【0031】
捕捉材料(すなわち新しい、又は未使用の場合)又は捕捉領域は一般的に、白金及び/又はロジウムを実質的に含まないことが好ましい。捕捉材料はより好ましくは、白金及び/又はロジウムを含まない。
【0032】
捕捉材料又は捕捉領域は一般的に、卑金属、例えばバリウム又はバナジウムを含まないことが好ましいこともある。
【0033】
揮発した白金(Pt)を捕捉するための領域、又はその捕捉材料は通常、0.1〜3.5g in
−3、好ましくは0.2〜2.5g in
−3、さらにより好ましくは0.3〜2.0g in
−3、さらにより好ましくは0.5〜1.75g in
−3(例えば0.75〜1.5g in
−3)の耐火性酸化物の担持量を有する。
【0034】
捕捉材料は通常、平均比表面積が≧約50m
2/g(>約50m
2/g)、例えば≧約60m
2/g(>約60m
2/g)、好ましくは≧約75m
2/g(>約75m
2/g)、より好ましくは≧約90m
2/g(≧約90m
2/g)、さらにより好ましくは≧約100m
2/g(>約100m
2/g)である耐火性酸化物粒子を有する。
【0035】
耐火性酸化物の粒子の平均比表面積(SSA)は、−196℃での窒素物理吸着によって、体積法を用いて特定できる。平均SSAは、BET吸着等温式により特定される。
【0036】
耐火性酸化物は、<100ミクロンのd90を有することができる。耐火性酸化物は好ましくは、<75ミクロンのd90、例えば<50ミクロン(例えば<30ミクロン)、より好ましくは<20ミクロンのd90を有することができる。耐火性酸化物がより小さなd90を有する場合、より良好な充填及び接着性が得られる。疑義が生じるのを避けるため、d90測定は、レーザー回折式粒度分析により、Malvern Mastersizer2000を用いて得ることができ、これは、体積ベースの技法(すなわち、D90は、D
V90(又はD(v,0.90)とも呼べる)であり、数学的なミー理論モデルを適用して、粒子径分布を特定するものである。
【0037】
耐火性酸化物は通常、>0.1ミクロンのd90を有する。耐火性酸化物は、>1.0ミクロン、例えば>5.0ミクロンのd90を有することが好ましい。
【0038】
耐火性酸化物は、ジルコニア(ZrO
2)を少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくはジルコニアを少なくとも80重量%(例えばジルコニアを少なくとも90重量%)、含む。
【0039】
耐火性酸化物は、セリア(CeO
2)を20重量%未満、より好ましくはセリアを15重量%未満、さらにより好ましくはセリアを10重量%未満、含むことが好ましい。
【0040】
耐火性酸化物は通常、セリアを実質的に含まない。より好ましくは、耐火性酸化物はセリアを含まない。
【0041】
耐火性酸化物はさらに、ネオジムの酸化物(例えばNd
2O
3)、ランタンの酸化物(例えばLa
2O
3)、ハフニウムの酸化物(例えばHfO
2)、イットリウムの酸化物(例えばY
2O
3)、及び/又はプラセオジウムの酸化物(例えばPr
2O
3、PrO
2、及び/又はPr
6O
11)を含むことができる。これらの酸化物は、耐火性酸化物に対して安定化作用をもたらす。これらのうち幾つかの酸化物は、耐火性酸化物中に不純物として存在していてよい。
【0042】
耐火性酸化物がさらに、ネオジムの酸化物(例えばNd
2O
3)であることが好ましくあり得る。耐火性酸化物はさらに、ネオジムの酸化物(例えばNd
2O
3)を1〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%(例えば5〜15重量%)、例えば5〜10重量%、含むことができる。
【0043】
耐火性酸化物は、ジルコニアから実質的に成っていてよい。
【0044】
Pt合金化金属は通常、金属、及び/又は金属の酸化物を含むか、又は実質的にこれらから成る。この金属は好ましくは、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、Pd及びAuの混合物、Pd及びCuの混合物、Au及びCuの混合物、Pd、Au及びCuの混合物、Pd及びAuの二元合金、Pd及びCuの二元合金、Au及びCuの二元合金、Pd、Au及びCuの三元合金から成る群から選択される。金属が、パラジウム(Pd)、Pd及びAuの混合物、並びにPd及びAuの二元合金から成る群から選択されることが好ましい。より好ましくは、この金属はパラジウム(Pd)である。
【0045】
疑義が生じるのを避けるため、Pt合金化金属には、白金(例えば新しい、又は未使用の場合)は含まれない。
【0046】
Pt合金化金属粒子は、≦約20nm(例えば<約20nm)の平均粒径、例えば≦15nm(例えば<約15nm)、より好ましくは≦約10nm(例えば<約10nm)、特に≦8nm(例えば<約8nm)の平均粒径を有することが好ましい。
【0047】
Pt合金化金属粒子は通常、>約10%、好ましくは≧15%(例えば15〜35%)、例えば≧20%(例えば20〜30%)の分散性を有する。分散性は、未使用のPt合金化金属粒子(すなわち新品の粒子、繰り返し又は長時間の使用にさらされていないもの)について測定したものである。
【0048】
本明細書で使用するようにPt合金化金属について「平均粒径」及び「分散性」とは、特にPt合金化金属がパラジウムである場合、以下のようにCO化学吸着によって特定できる。Pt合金化金属含有率は、誘導結合プラズマ発光光分析装置(ICP−OES)によって測定できる。試料のCO取り込み量は、Micromeritics Autochem 2920という器具を用いて測定できる。試料は、水素ガスにより300℃で予熱する。一酸化炭素取り込み量は、パルス式化学吸着により50℃で測定する。それからPt合金化金属の粒径を、CO取り込み量、及び試料についてのS捕捉金属含有量に基づき、Autochem 2920というソフトウェアを用いて算出することができる。この計算では、CO:Pdについて1:1の化学吸着比を使用した。
【0049】
Pt合金化金属の分散性は、Pt合金化金属の粒径を測定したものである。小さな面積を有する大きな粒子は、分散性が低い。
【0050】
捕捉材料又は捕捉領域は一般的に、Pt合金化金属の合計担持量(例えばPt合金化金属の金属含有量)が、1g ft
−3〜50g ft
−3、好ましくは4g ft−
3〜40g ft
−3、さらにより好ましくは8g ft
−3〜30g ft
−3である。
【0051】
Pt合金化金属は、耐火性酸化物上に配置又は担持されている。Pt合金化金属は、耐火性酸化物の上に直接配置されていてよく、又は耐火性酸化物によって直接担持されていてよい(例えば、Pt合金化金属と耐火性酸化物との間に介在する担持材料が存在しない)。例えば、Pt合金化金属(例えばパラジウム)は、耐火性酸化物の表面に分散されていてよく、かつ/又は耐火性酸化物内に含浸されていてよい。
【0052】
耐火性酸化物は通常、特にPt合金化金属がパラジウムを含む場合(例えば、CO及び/又は未燃焼HCの酸化におけるパラジウムの触媒活性)、Pt合金化金属の触媒活性を促進させる材料ではない。
【0053】
Pt合金化金属の少なくとも1つの粒子は、耐火性酸化物の少なくとも1つの粒子上に配置又は担持されていてよい。好ましくは、Pt合金化金属の複数の粒子を、耐火性酸化物の少なくとも1つの粒子上に配置又は担持する。より好ましくは、耐火性酸化物粒子が複数存在し、ここで複数のPt合金化金属粒子は、耐火性酸化物粒子のそれぞれの粒子に配置又は担持されている。
【0054】
本発明は、Pt含有触媒材料に関連して、酸化触媒の一部である捕捉材料の様々な配置構成を含む。捕捉材料は原則的に、このような触媒材料を含む酸化触媒によって使用できる。
【0055】
酸化触媒自体が、捕捉材料を含む場合(すなわち捕捉材料が、触媒材料と同じ基材上に配置又は担持されている)、酸化触媒は、本発明の酸化触媒である。
【0056】
捕捉材料が捕捉ブリックの一部である場合、酸化触媒は、本発明の酸化触媒であるか、又は捕捉材料を備える領域を有さない酸化触媒であり得る。
【0057】
酸化触媒が、本発明の酸化触媒である場合、酸化触媒は第一の捕捉材料を備える領域を有することができ、捕捉ブリックは、第二の捕捉材料を有することができる。第一の捕捉材料は、第二の捕捉材料と同じ、又はこれと異なる組成を有することができる。第一の捕捉材料の組成と、第二の捕捉材料の組成が異なる場合、それぞれの捕捉材料は独立して、先に規定した組成を有することができる。
【0058】
酸化触媒が、捕捉材料を備える領域を有さない酸化触媒である場合、酸化触媒は、基材上に配置された触媒材料を含むか、又はこれから実質的に成り、この触媒材料は、白金(Pt)を含有するものである。
【0059】
酸化触媒との関連で以下に記載する特徴は、文脈上、そうではない旨が示されていない限りにおいて、本発明の酸化触媒、及び/又は捕捉材料を備える領域を有さない酸化触媒に関する。
【0060】
酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルタ(CSF)、NO
x吸蔵触媒(NSC)、受動的NO
x吸着材(PNA)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、コールドスタート式(CSC(登録商標))触媒[国際公開第2012/166868号、及び国際特許出願番号PCT/US14/69079を参照、これらは参照によって本願に組み込まれる]、又はアンモニアスリップ触媒(ASC)であり得る。酸化触媒は、DOC、CSF、NSC、PNA、又はDECであることが好ましい。より好ましくは、酸化触媒は、DOC又はCSFである。
【0061】
疑義が生じるのを避けるため、捕捉材料及び触媒材料は、異なる組成を有する。
【0062】
触媒材料は一般的に、担持材料(本明細書では触媒材料の担持材料、又は「CM担持材料」とも呼ぶ)上に配置又は担持された白金(Pt)を含む。白金は、担持材料に直接配置されてもよく、又は担持材料によって直接担持されてもよい(例えば白金と担持材料の間に介在する担持材料は存在しない)。白金は例えば、担持材料の表面にわたって分散、かつ/又は担持材料内に含浸させることができる。
【0063】
CM担持材料は、耐火性酸化物(本明細書では、触媒材料の耐火性酸化物をいう)を含むか、又は実質的にこれから成る。耐火性酸化粒子は通常、平均比表面積が≧75m
2/g、例えば≧85m
2/g、好ましくは≧100m
2である。
【0064】
CM担持材料の耐火性酸化物は通常、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物から成る群から選択される。例えば、耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、セリア−アルミナ、チタニア−シリカ、ジルコニア−シリカ、ジルコニア−チタニア、セリア−ジルコニア及びアルミナ−酸化マグネシウムから成る群から選択することができる。
【0065】
CM担持材料又はこれらの耐火性酸化物が、アルミナの混合酸化物又は複合酸化物(例えばシリカ−アルミナ、アルミナ−酸化マグネシウム、又はアルミナとセリアとの混合物)を含むか、又は実質的にこれらから成る場合、アルミナの混合酸化物又は複合酸化物は好ましくは、少なくとも50〜99重量%のアルミナ、さらに好ましくは70〜95重量%のアルミナ、さらになお好ましくは75〜90重量%のアルミナを含む。
【0066】
CM担持材料又はこれらの耐火性酸化物がセリア−ジルコニアを含むか、又は実質的にセリア−ジルコニアから成る場合、セリア−ジルコニアは実質的に、20〜95重量%のセリア及び5〜80重量%のジルコニア(例えば50〜95重量%のセリア及び5〜50重量%のジルコニア)から成っていてよく、好ましくは35〜80重量%のセリア及び20〜65重量%のジルコニア(例えば55〜80重量%のセリア及び20〜45重量%のジルコニア)から成り、さらになお好ましくは45〜75重量%のセリア及び25〜55重量%のジルコニアから成り得る。
【0067】
CM担持材料又はこれらの耐火性酸化物は、任意選択的にドープされてもよい(例えばドーパントを用いて)。ドーパントは、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)、及びこれらの酸化物から成る群から選択することができる。
【0068】
CM担持材料又はこれらの耐火性酸化物がドープされる場合、ドーパントの合計量は、0.25〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%(例えば約1重量%)である。
【0069】
CM担持材料又はその耐火性酸化物は、ドーパントでドープされたアルミナを含むか、又は実質的にこれから成り得る。触媒材料がアルカリ土類金属を含む場合、好ましくは酸化触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)又は触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、CM担持材料又はその耐火性酸化物は、ドーパントでドープされたアルミナを含むか、又はこれから実質的に成るのが特に好ましい。
【0070】
アルミナは、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)若しくはジルコニウム(Zr)又はこれら2つ以上の組み合わせを含むドーパントにより、ドープすることができる。ドーパントは、ケイ素の酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物を含むか、又は実質的にこれらから成っていてよい。ドーパントは好ましくは、ケイ素、マグネシウム、バリウム、セリウム、又はこれらの酸化物を含むか、又は実質的にこれらから成り、ドーパントは特に、ケイ素、若しくはセリウム、又はこれらの酸化物である。ドーパントはさらに好ましくは、ケイ素、マグネシウム、バリウム、又はこれらの酸化物含むか、又は実質的にこれらから成り、ドーパントは特に、ケイ素、マグネシウム、又はこれらの酸化物であり、とりわけケイ素又はケイ素の酸化物である。
【0071】
ドーパントによりドープされたアルミナの例としては、シリカでドープされたアルミナ、酸化マグネシウムでドープされたアルミナ、バリウム又はバリウム酸化物でドープされたアルミナ、ランタン酸化物でドープされたアルミナ、又はセリアでドープされたアルミナが挙げられ、特に、シリカでドープされたアルミナ、ランタン酸化物でドープされたアルミナ、又はセリアでドープされたアルミナが挙げられる。ドーパントでドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ、バリウム又はバリウム酸化物でドープされたアルミナ、又は酸化マグネシウムでドープされたアルミナであることが好ましい。さらに好ましくは、ドーパントでドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ、又は酸化マグネシウムでドープされたアルミナである。さらになお好ましくは、ドーパントでドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナである。
【0072】
アルミナが、シリカでドープされたアルミナである場合、このアルミナには、合計重量で0.5〜45重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは1.5〜30重量%(例えば1.5〜10重量%)、特に2.5〜25重量%、さらに特に3.5〜20重量%(例えば5〜20重量%)、なお一層好ましくは4.5〜15重量%のシリカが、ドープされている。
【0073】
アルミナが酸化マグネシウムでドープしたアルミナである場合、このアルミナには、先に定義された量の、又は1〜40重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、例えば5〜28重量%の量のマグネシウムがドープされている。より好ましくは、アルミナは酸化マグネシウムにより、10〜25重量%の量でドープされている。
【0074】
代替的に又はさらに、CM担持材料又はその耐火性酸化物は、アルミン酸アルカリ土類金属を含むか、又は実質的にこれから成っていてよい。「アルミン酸アルカリ土類金属」という用語は、一般に、式MAl
2O
4の化合物をいい、ここで「M」は、アルカリ土類金属、例えばMg、Ca、Sr又はBaを表す。このような化合物は、スピネル型構造を有することができる。
【0075】
アルミン酸アルカリ土類金属は通常、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、アルミン酸カルシウム(CaAl
2O
4)、アルミン酸ストロンチウム(SrAl
2O
4)、アルミン酸バリウム(BaAl
2O
4)、又はこれら2種以上の混合物である。アルミン酸アルカリ土類金属は好ましくは、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)である。
【0076】
酸化触媒において、触媒材料は、単一の白金族金属(PGM)を含むことができ、これは白金であり得る(例えば触媒材料は、唯一の白金族金属として白金を含む)。
【0077】
或いは、酸化触媒の用途に応じて、触媒材料は、(i)白金(Pt)、及び(ii)パラジウム(Pd)及び/又はロジウム(Rh)を含むことができる。
【0078】
一般的に、触媒領域又はその触媒材料は、Pt及びPd(及び任意選択的にRh)を含む場合には通常、Pt対Pdの質量比は、≧1:1である。触媒材料は、Pt及び任意選択的にPdを含むことができ、例えば1:0から1:1のPt対Pdの質量比で含むことができる。白金の揮発は、触媒材料が相対的にPt豊富な場合に起こることが、判明している。
【0079】
触媒材料がPt及びPd(及び任意選択的にRh)を含む場合、Pt対Pdの質量比は、≧1.5:1、より好ましくは≧2:1(例えば≧3:1)、さらにより好ましくは≧4:1、例えば≧10:1であることが好ましい。Pt対Pdの質量による比(すなわち質量比)は好ましくは、50:1から1:1、より好ましくは30:1から2:1(例えば25:1から4:1)、さらにより好ましくは20:1から5:1、例えば15:1から7.5:1である。
【0080】
触媒材料が、Pt及びRh(及び任意選択的にPd)を含む場合には一般的に、Pt対Rhの質量比は、≧1:1である。触媒材料は、Pt及び任意選択的にRhを含むことができ、例えば1:0から1:1のPt対Rhの質量比で含むことができる。触媒材料がPt及びRh(及び任意選択的にPd)を含む場合、Pt対Rhの質量比は好ましくは、≧1.5:1、より好ましくは≧2:1(例えば≧3:1)、さらにより好ましくは≧4:1、例えば≧10:1であることが好ましい。Pt対Rhの質量による比(すなわち質量比)は好ましくは、50:1から1:1、より好ましくは30:1から2:1(例えば25:1から4:1)、さらにより好ましくは20:1から5:1、例えば15:1から7.5:1である。
【0081】
触媒材料がPd(及び任意選択的にRh)を含む場合、触媒材料は、CM担持材料上に配置又は担持されたPdを含むことができる。Rhも存在する場合、触媒材料は、CM担持材料上に配置又は担持されたPd及びRhを含むことができる。
【0082】
酸化触媒は通常、5〜500g ft
−3のPGM合計担持量を有する。PGMの合計担持量は好ましくは、10〜400g ft
−3、より好ましくは20〜300g ft
−3、なおより好ましくは25〜250g ft
−3、さらにより好ましくは30〜200g ft
−3である。
【0083】
第一の酸化触媒実施態様(捕捉材料を有する、又は有さないもの)において、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、又は受動的NO
x吸着材(PNA)である。
【0084】
酸化触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、受動的NO
x吸着材(PNA)、コールドスタート式(CSC(登録商標))触媒、又はアンモニアスリップ触媒(ASC)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は通常、PGMの合計担持量が20〜200g ft
−3、より好ましくは40〜160g ft
−3である。
【0085】
第二の酸化触媒実施態様(捕捉材料を有する、又は有さないもの)において、酸化触媒は、触媒化スートフィルタ(CSF)である。
【0086】
酸化触媒が触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は好ましくは、PGMの合計担持量が1〜100g ft
−3、より好ましくは5〜50g ft
−3である。
【0087】
酸化触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、受動的NO
x吸着材(PNA)、コールドスタート式(CSC(登録商標))触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、又は触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は、ロジウム(Rh)を含まない。触媒材料は、通常は唯一の白金族金属(PGM)として、白金(Pt)を、又は白金(Pt)及びパラジウム(Pd)を含むことができる。
【0088】
酸化触媒が、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、又は触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、耐火性酸化物が、アルミナ、例えば任意選択的にドーパントでドープされたアルミナ(ドーパントは例えば、ケイ素又はケイ素酸化物であるか、又はドーパントがシリカである)、又はアルミナの混合酸化物若しくは複合酸化物を含むことが好ましい。或いは、耐火性酸化物は、アルミナから実質的に成っていてよい。
【0089】
第一及び第二の酸化触媒実施態様における触媒材料は、さらに、触媒促進剤を有することができる。触媒促進剤は、アルカリ土類金属を含むか、又は実質的にこれから成っていてよい。アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びこれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択することができる。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であることが好ましく、より好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であり、アルカリ土類金属は最も好ましくは、バリウム(Ba)である。
【0090】
触媒材料は一般に、アルカリ土類金属を合計量で、10〜500g ft
−3(例えば60〜400g ft
−3、又は10〜450g ft
−3)、特に20〜400g ft
−3、さらに特に35〜350g ft
−3、例えば50〜300g ft
−3、とりわけ75〜250g ft
−3含む。
【0091】
触媒促進剤(例えばアルカリ土類金属)、及び白金(及び任意選択的にパラジウム)は通常、CM担持材料上に担持されている。
【0092】
第三の酸化触媒実施態様(捕捉材料を有する、又は有さないもの)において、酸化触媒は、NO
x吸蔵触媒(NSC)である。
【0093】
酸化触媒がNO
x吸蔵触媒(NSC)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は好ましくは、以下のものを含む:
(a)白金(Pt)及びパラジウム(Pd)、好ましくはPt及びPdを唯一のPGMとして、又は
(b)白金(Pt)及びロジウム(Rh)、好ましくはPt及びRhを唯一のPGMとして、又は
(c)白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びロジウム(Rh)、好ましくはPt、Pd及びRhを唯一のPGMとして。
【0094】
酸化触媒がNO
x吸蔵触媒(NSC)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は好ましくは、PGMの合計担持量が20〜200g ft
−3、より好ましくは40〜160g ft
−3である。
【0095】
触媒材料がPdを含む場合、Pdは、CM担持材料上に配置又は担持されていてよい。
【0096】
触媒材料がPdを含む場合、Pdは、CM担持材料上に配置又は担持されていてよい。
【0097】
第三の酸化触媒実施態様において、CM担体は、アルミナ−酸化マグネシウム(例えばその混合酸化物又は複合酸化物)、酸化マグネシウムによりドープされたアルミナ、及びアルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)から成る群から選択される耐火性酸化物を含むか、又は実質的にこれから成ることが好ましい。耐火性酸化物はより好ましくは、アルミナ−酸化マグネシウム(例えばその混合酸化物又は複合酸化物)、及び酸化マグネシウムによりドープされたアルミナから成る群から選択される。アルミナ−酸化マグネシウム、又は酸化マグネシウムでドープしたアルミナは、酸化マグネシウムを1〜40重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、例えば5〜28重量%の量で含む。より好ましくは、アルミナは酸化マグネシウムにより、10〜25重量%の量でドープされている。
【0098】
酸化触媒がNO
x吸蔵触媒(NSC)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は通常、NO
x吸蔵要素を含む。
【0099】
NO
x吸蔵要素は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びこれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択されるアルカリ土類金属を含む。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であることが好ましく、より好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であり、アルカリ土類金属は最も好ましくは、バリウム(Ba)である。
【0100】
NO
x吸蔵要素は通常、アルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩、又は水酸化物から成る。
【0101】
酸化触媒がNO
x吸蔵触媒(NSC)である場合、酸化触媒又はその触媒材料は通常、NO
x吸蔵要素(例えばアルカリ土類金属)を合計量で、100〜6000g ft
−3、好ましくは250〜900g ft
−3(例えば250〜500g ft
−3)、特に300〜850g ft
−3(例えば300〜450g ft
−3)、さらに特に400〜800g ft
−3、例えば450〜600g ft
−3、含む。幾つかの場合では(例えば担持材料がセリアを含む場合)、CM担持材料及び/又はNSC担持材料により、NO
x吸蔵活性をある程度、もたらすことができる。疑義が生じるのを避けるため、NO
x吸蔵要素の合計量には通常、CM担持材料の合計及び/又はNSC担持材料の合計は、含まれない。
【0102】
NOx吸蔵要素は、CM担持材料上に配置又は担持されていてよい。
【0103】
酸化触媒又はその触媒材料はさらに、NO
x吸蔵要素担持材料(本明細書では「NSC担持材料」とも呼ぶ)を備えることができる。NO
x吸蔵要素をCM担持材料上に配置若しくは担持することに加えて、又はこれに代えて、NO
x吸蔵要素は、NSC担持材料上に配置又は担持されていてよい。
【0104】
NEC担持材料は、耐火性酸化物、例えばセリア、及びその混合酸化物又は複合酸化物から成る群から選択される耐火性酸化物を含むか、又はこれから実質的に成る。セリアの混合酸化物又は複合酸化物は、セリア−アルミナ及びセリア−ジルコニアから成る群から選択することができる。耐火性酸化物は、セリア、及びセリア−ジルコニアから成る群から選択されるのが好ましい。
【0105】
NSC担持材料又はその耐火性酸化物がセリア−ジルコニアを含むか、又は実質的にセリア−ジルコニアから成る場合、セリア−ジルコニアは実質的に、20〜95重量%のセリア及び5〜80重量%のジルコニア(例えば50〜95重量%のセリア及び5〜50重量%のジルコニア)から成っていてよく、好ましくは35〜80重量%のセリア及び20〜65重量%のジルコニア(例えば55〜80重量%のセリア及び20〜45重量%のジルコニア)から成り、さらになお好ましくは45〜75重量%のセリア及び25〜55重量%のジルコニアから成り得る。
【0106】
酸化触媒(第一から第三の酸化触媒実施態様を含む)、又はその触媒材料は、さらにゼオライトを含むことができる。ゼオライトは、中細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが10の四面体原子であるゼオライト)又は大細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが12の四面体原子であるゼオライト)であることが好ましい。適切なゼオライト又はゼオライトの種類の例としては、フォージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、超安定Y型ゼオライト、AEI型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、ZSM−12型ゼオライト、ZSM−20型ゼオライト、ZSM−34型ゼオライト、CHA型ゼオライト、SSZ−3型ゼオライト、SAPO−5型ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又はCHA型銅ゼオライトが挙げられる。ゼオライトは、好ましくはZSM−5型、ベータゼオライト又はY型ゼオライトである。
【0107】
ゼオライトは通常、シリカ対アルミナのモル比が、少なくとも25:11、好ましくは少なくとも25:1であり、有用な範囲は25:1から1000:1、50:1から500:1、また25:1から100:1、25:1から300:1、100:1から250:1である。
【0108】
酸化触媒又はその触媒材料がゼオライトを含む場合、ゼオライトの合計担持量は通常、0.05〜3.00g in
−3、特に0.10〜2.00g in
−3、さらに特に0.2〜0.8g in
−3である。
【0109】
酸化触媒は一般的に、触媒材料を備える領域を有する。捕捉材料を有する領域は、本明細書では「触媒領域」とも呼ぶ。触媒領域は通常、基材上に配置又は担持される。触媒領域は、基材上に直接配置されていてもよい(すなわち触媒領域は、基材の表面と接触している)。
【0110】
捕捉領域は、
(a)触媒領域上に配置又は担持されていてよい、かつ/又は
(b)基材上に直接配置されていてよい[すなわち捕捉領域は、基材の表面と接触する];かつ/又は
(c)触媒領域と接触していてよい[すなわち捕捉領域は、触媒領域に隣接又は当接している]。
【0111】
捕捉領域は一般的に、基材の複数のチャネル壁に配置又は担持されている(すなわち各チャネルは、基材内部にある)。
【0112】
本発明の酸化触媒はまた、捕捉材料を有する領域を備え、この領域は、触媒材料と接触及び/又は触媒材料を通過した後に、排ガスと接触するように配設されている。捕捉材料を有する領域は、本明細書では「捕捉領域」とも呼ぶ。
【0113】
捕捉領域は一般的に、排ガスが酸化触媒から離れるときに排ガスと接触するように配設されている。触媒領域は、捕捉領域より前で排ガスと接触するように配設又は配向されていてよい。本発明の酸化触媒の第一から第三の配置構成において、捕捉領域は、排ガスが酸化触媒を離れるときに排ガスと接触するように配設されており、触媒領域は任意選択的に、捕捉領域より前で排ガスと接触するように、配設又は配向されている。
【0114】
捕捉領域が、捕捉ゾーンであることが好ましい。より好ましくは捕捉ゾーンが、基材の出口端部又はその近くに配置又は担持される。
【0115】
一般的に捕捉ゾーンは、≧0.5インチ(≧12.7mm)、好ましくは≧1インチ(≧25.4mm)の長さを有する。捕捉ゾーンの長さは、基材の長さとは無関係である。
【0116】
捕捉ゾーンは通常、基材の長さの2.5〜80%の長さ(例えば5〜60%)、好ましくは基材の長さの10〜50%(例えば15〜35%)、より好ましくは基材の長さの15〜30%の長さを有する。
【0117】
本発明の酸化触媒の第一の配置構成(第一から第三の実施態様を含む)では、触媒領域が、捕捉ゾーンの上流に配置又は担持されている。捕捉領域は好ましくは、触媒ゾーンである。触媒ゾーンはより好ましくは、基材の入口端部又はその近くに、配置又は担持される。
【0118】
触媒ゾーンは通常、基材の長さの10〜90%の長さ(例えば50〜90%)、好ましくは基材の長さの15〜80%(例えば55〜80%)、より好ましくは基材の長さの20〜75%(例えば30〜65%)、さらにより好ましくは30〜65%の長さを有する。
【0119】
触媒ゾーンは、捕捉ゾーンに隣接していてよい。触媒ゾーンは好ましくは、捕捉ゾーンと接触している。触媒ゾーンが捕捉ゾーンと隣接するか、又は触媒ゾーンが捕捉ゾーンと接触している場合、触媒ゾーン及び捕捉ゾーンは、層(例えば単層)として基材上に配置又は担持されていてよい。よって、層(例えば単層)は、触媒ゾーン及び捕捉ゾーンが互いに隣接又は接触している場合、基材上に形成されていてよい。このような配置構成により、背圧の問題を回避できる。
【0120】
触媒ゾーンは、捕捉ゾーンと離れていてもよい。触媒ゾーンと捕捉ゾーンの間には、隔たり(例えば空間)が存在し得る。
【0121】
捕捉ゾーンは、触媒ゾーンと重なっていてよい。捕捉ゾーンの終端又は一部は、触媒ゾーン上に配置又は担持されていてよい。捕捉ゾーンは一般的に、触媒ゾーンと部分的に重なっているに過ぎない。
【0122】
本発明の第二の酸化触媒(第一から第三の酸化触媒実施態様を含む)では、触媒領域が触媒層である。触媒層は、実質的に基材の全長にわたって、特にモノリス基材のチャネルの全長にわたって延びることが好ましい。
【0123】
捕捉ゾーンは通常、触媒層上に配置又は担持されている。捕捉ゾーンは好ましくは、触媒層上に直接配置される(すなわち捕捉ゾーンは、触媒層の表面と接触している)。
【0124】
捕捉ゾーンを触媒層上に配置又は担持する場合、捕捉ゾーンの全長が、触媒層上に配置又は担持されていることが好ましい。捕捉ゾーンの長さは、触媒層の長さより短い。
【0125】
第三の酸化触媒配置構成において(第一から第三の酸化触媒実施態様を含む)、排ガスが触媒材料と接触及び/又は触媒材料を通過した後に排ガスと接触するように配設された捕捉領域は、出口端面(すなわち基材の出口端面)に配置又は担持された捕捉材料である。よって酸化触媒は、入口端面及び出口端面を有する基材、基材上に配置された触媒材料、及び捕捉材料を備え、この捕捉材料は、出口端面(すなわち基材の出口端面)に配置又は担持されている。
【0126】
第三の酸化触媒配置構成により、揮発した白金が白金含有酸化触媒から逸出するのを低減又は防止するための、コスト効率のよい解決法が提供される(このことは、触媒により生じたNO
2の量が低下するのを回避することにもなる)。なぜならば、高価な材料(例えば貴金属又は希土類金属)を大量に使用する必要がないからである。
【0127】
捕捉材料は、基材の出口端面に直接、配置又は担持されていてよい(捕捉材料は例えば、基材の出口端面と接触している)。
【0128】
第三の酸化触媒配置構成において(第一から第三の酸化触媒実施態様を含む)、酸化触媒は好ましくは、Pt合金化金属の合計担持量(例えばPt合金化金属の金属含有量)が、1g ft
−3 〜500g ft
−3(例えば50〜400g ft
−3)、好ましくは4g ft
−3〜250g ft
−3(例えば75〜250g ft
−3)、さらにより好ましくは8g ft
−3〜150g ft
−3(例えば100〜150g ft
−3)である。捕捉材料は、基材について相対的に小さな体積を占めることができ、このことは、Pt合金化金属について多い担持量が存在すべき場合には、必要となり得る。
【0129】
Pt合金化金属、例えばパラジウムは、基材の出口端面に配置又は担持されていてよい(Pt合金化金属は例えば、基材の出口端面に直接コーティングされている)。
【0130】
捕捉材料は、基材の出口端面に配置又は担持されている(例えば基材端面の下流に)。基材の出口端面は通常、複数のチャンネル壁端部を有する。
【0131】
基材の出口端面は、平面状(例えば慣用のハニカム基材のように)又は非平面状であり得る。基材の出口端面が非平面状である場合、出口端面は、三次元的な位置構成を有し得る。非平面状の端面を有する基材の例は、米国特許第8,257,659号に記載されている。非平面状の端面を有する基材によって、揮発した白金をトラップするための捕捉材料について、平面状端面を有する基材よりも大きな表面積が得られる。
【0132】
一般的に、基材の出口端面は、平面状であることが好ましい。
【0133】
基材の出口端面上に配置又は担持されていることに加えて、捕捉材料は、基材内の複数のチャネル壁に、配置又は担持されていてよい。捕捉材料を付与する間、捕捉材料の一部が基材のチャネルを通過することにより、基材内のチャネル壁が部分的にコーティングされる。
【0134】
捕捉材料が、基材内の複数のチャネル壁上に配置又は担持されている場合、酸化触媒は捕捉ゾーンを備え、この捕捉ゾーンは、捕捉材料を含むか、又は捕捉材料から実質的に成る。
【0135】
捕捉ゾーンは通常、(例えば基材の出口端面からの)平均長さが、≦25mm、好ましくは≦20mm、例えば≦15mm、より好ましくは≦10mm(例えば≦5mm)、さらにより好ましくは≦3mm(例えば<3mm)である。疑義が生じるのを避けるため、平均長さとは、基材の軸方向における長さをいう。
【0136】
酸化触媒は一般的に、基材上に配置された触媒材料を有する。触媒材料は、基材内の複数のチャネル壁に配置又は担持されている。
【0137】
第三の酸化触媒配置構成(第一から第三の酸化触媒の実施態様を含む)において、基材がフィルタリングモノリス基材である場合、触媒材料は、入口チャネルの塞栓又は封止された端部に配置又は担持されていてよい。触媒材料が、複数の入口チャネルの塞栓又は封止された端部に、配置又は担持されていることが好ましい。入口チャネルの塞栓又は封止された各端部は、基材の下流端部(すなわち排ガス出口側)にある。
【0138】
本発明の酸化触媒がディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、受動的NO
x吸着材(PNA)、NO
x吸蔵触媒(NSC)、CSC(登録商標)触媒、ASC又は触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、酸化触媒は、上述の第一、第二、又は第三の酸化触媒配置構成を有することができる。
【0139】
本発明の酸化触媒が、触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、触媒領域(又は触媒層又は触媒ゾーン)及び捕捉領域(又は捕捉ゾーン)は、(i)基材の複数の入口チャネル壁上に、及び/又は(ii)基材の複数の出口チャネル壁上に、配置又は担持されていてよい。
【0140】
或いは、本発明の酸化触媒が触媒化スートフィルタ(CSF)である場合、触媒領域(又は触媒層又は触媒ゾーン)は、基材の複数の入口チャネル壁上に配置又は担持されており、捕捉領域(又は捕捉ゾーン)は、基材の複数の出口チャネル壁上に配置又は担持されている。
【0141】
酸化触媒を担持するための基材は、当分野でよく知られている。基材上に触媒材料又は捕捉材料を塗布するためのウォッシュコートの作製方法、及びウォッシュコートを基材上に塗布する方法もまた、当分野で知られている(例えば、我々の国際公開第99/47260号、国際公開第2007/077462号、及び国際公開第2011/080525号を参照)。
【0142】
基材は通常、複数のチャネル(例えば排ガスを流し込むためのチャネル)を有する。この基材は一般的に、セラミック材料又は金属材料である。
【0143】
この基材は、コーディエライト(SiO
2−Al
2O
3−MgO)、炭化ケイ素(SiC)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr−Al合金又はステンレス鋼合金でできているか、又はこれらで構成されることが好ましい。
【0144】
この基材は通常、モノリスである(本明細書ではモノリス基材とも呼ぶ)。このようなモノリス基材は、当分野でよく知られている。
【0145】
モノリス基材は、フロースルーモノリス基材であり得る。或いはモノリス基材は、フィルタリングモノリス基材であり得る。
【0146】
フロースルーモノリス基材は通常、ハニカムモノリス(例えば金属製又はセラミック製のハニカムモノリス)を含み、それを通って延びる、両端部で開放されている複数のチャネルを有する。基材がフロースルーモノリス基材である場合、本発明の酸化触媒は通常、ディーゼル酸化触媒(DOC)、NO
x吸蔵触媒(NSC)、受動的NO
x吸着材(PNA)、ディーゼル発熱触媒(DEC)、コールドスタート式(CSC(登録商標))触媒、又はアンモニアスリップ触媒(ASC)である。
【0147】
フィルタリングモノリス基材は一般的に、複数の入口チャネルと複数の出口チャネルとを含み、入口チャネルは上流端部(すなわち、排ガスの入口側)で開放され、下流端部(すなわち、排ガスの出口側)で塞栓されるか封止され、出口チャネルは上流端部で塞栓されるか封止され、下流端部で開放されており、各入口チャネルは、多孔質構造によって出口チャネルから隔てられている。基材がフィルタリングモノリス基材である場合、本発明の酸化触媒は通常、触媒化スートフィルタ(CSF)、又はフィルタ上のNO
x吸蔵触媒(NSC)、好ましくは触媒化スートフィルタ(CSF)である。
【0148】
モノリス基材がフィルタリングモノリス基材である場合、フィルタリングモノリス基材は、ウォールフローフィルタであることが好ましい。ウォールフローフィルタでは、各入口チャネルが、多孔質構造の壁によって出口チャネルから交互に隔てられ、その逆も成り立つ。入口チャネルと出口チャネルは、ハニカム構造に配設されていることが好ましい。ハニカム構造が存在する場合、入口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルが上流端部で塞栓され、その逆も成り立つ(すなわち、出口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルが、下流端部で塞栓される)ことが好ましい。いずれの端部から見ても、交互に塞栓及び開放されているチャネルの端部は、チェス盤の外観を呈する。
【0149】
原則として、基材は、如何なる形状又は大きさであってもよい。しかしながら、基材の形状及び大きさは通常、触媒中の触媒活性材料の排ガスへの曝露を最適化するように選択される。基材は例えば、管状、繊維状、又は粒子状の形状を有しうる。適切な担持基材の例としては、モノリスハニカムコーディエライト型の基材、モノリスハニカムSiC型の基材、層状の繊維又は編地型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材、金属ワイヤーメッシュ型の基材、金属多孔体型の基材、及びセラミック粒子型の基材が挙げられる。
【0150】
本発明はまた、基材と、基材上に配置された捕捉材料とを備える捕捉ブリック、又は基材と、基材上に配置された捕捉材料とから実質的に成る捕捉ブリックを提供する。捕捉材料は、先に規定した捕捉材料であり得る。
【0151】
捕捉ブリックは通常、捕捉材料を含む層を備えるか、又は捕捉材料から実質的に成る層を備える。この層は、基材上に配置又は担持される。この層は、実質的に基材の全長にわたって、特に基材のチャネルの全長にわたって延びることが好ましい。
【0152】
捕捉ブリックは、基材と、捕捉材料を含む層とから実質的に成るか、又は基材と、捕捉材料から実質的に成る層とから実質的に成っていてよい。
【0153】
捕捉ブリックは、耐火性酸化物の担持量を、0.1〜3.5g in
−3、好ましくは0.2〜2.5g in
−3、さらにより好ましくは0.3〜2.0g in
−3、さらにより好ましくは0.5〜1.75g in
−3(例えば0.75〜1.5g in
−3)、有することができる。
【0154】
捕捉ブリックの基材は一般的に、先に規定した通り、モノリスである(本明細書ではモノリス基材ともいう)。モノリス基材は好ましくは、フロースルーモノリス基材である。
【0155】
通常、捕捉ブリックの基材は、軸方向の長さが、30mm〜300mm(例えば30mm〜100mm)、好ましくは40mm〜200mm、例えば50mm〜150mmである。
【0156】
本発明はさらに、圧縮着火エンジンにより生じる排ガスを処理するための排気システムを提供する。排気システムは通常、(i)本発明の酸化触媒及び/又は本発明の捕捉ブリック、並びに(ii)放出制御デバイスを備える。
【0157】
放出制御デバイスの例には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、NO
x吸蔵触媒(NSC)、リーンNO
x吸蔵触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、及びこれらのうち2つ以上の組み合わせが含まれる。このような放出制御デバイスは、当分野でよく知られている。
【0158】
排気システムは、NO
x吸蔵触媒(NSC)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒、及びこれらのうち2種以上の組み合わせから成る群から選択される放出制御デバイスを備えることが好ましい。より好ましくは、放出制御デバイスは、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒、及びこれらのうち2種以上の組み合わせから成る群から選択される。さらになお好ましくは、放出制御デバイスは、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒である。
【0159】
本発明の排気システムがSCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒を備える場合、排気システムはさらに、窒素性還元剤、例えばアンモニア、又はアンモニア前駆体(尿素若しくはギ酸アンモニウム)、好ましくは尿素を、SCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒の上流で排ガス内に注入するためのインジェクタを備えていてもよい。インジェクタは通常、酸化触媒及び/又は捕捉ブリックの下流にある。このようなインジェクタは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結していてよい。排ガス中への前駆体のバルブ制御された投与量は、適切にプログラミングされたエンジン管理手段によって、また排ガスの組成をモニタリングするセンサによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって、調整することができる。アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成することができ、生成されたアンモニアは、排ガス中に注入することができる。
【0160】
インジェクタの代わりに、又はインジェクタに加えて、アンモニアはその場で(例えばSCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒の上流に配置されたNSCのリッチ再生の間に)生成され得る。よって、排気システムはさらに、排ガス中に炭化水素を増やすためのエンジン管理手段を備えていてもよい。
【0161】
SCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド系及び第VIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも1種類から成る群から選択される金属を含んでいてよく、ここでこの金属は、耐火性酸化物又はモレキュラーシーブに担持されている。この金属は好ましくは、Ce、Fe、Cu、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、より好ましくはこの金属が、Fe又はCuである。
【0162】
SCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒用の耐火性酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、及びこれらの2種以上を含む混合酸化物から成る群から選択され得る。非ゼオライト触媒には、酸化タングステン(例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2)も含まれ得る。
【0163】
SCR触媒、SCRF(登録商標)触媒、又はそれらのウォッシュコートが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合が、特に好ましい。少なくとも1つのモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔のモレキュラーシーブであり得る。「小細孔モレキュラーシーブ」とは、本明細書では、最大8の環サイズを含む、CHAなどのモレキュラーシーブを意味し;「中細孔モレキュラーシーブ」とは、本明細書では、最大10の環サイズを含む、ZSM−5などのモレキュラーシーブを意味し;「大細孔のモレキュラーシーブ」とは、本明細書では、最大12の環サイズを有する、ベータなどのモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブは、SCR触媒における使用にとって有利であり得る。
【0164】
本発明の排気システムにおいて、SCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ERI(ZSM−34を含む)、モルデナイト、フェリエライト、BEA(ベータを含む)、Y、CHA、LEV(Nu−3を含む)、MCM−22及びEU−1から成る群から選択される合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、好ましくはAEI又はCHAであり、シリカのアルミナに対する比が約10〜約50、例えば約15〜約40である。
【0165】
第一の排気システム配置構成において、排気システムは、本発明の酸化触媒を備える(酸化触媒は例えば、捕捉材料を備える領域を有する)。
【0166】
第一の排気システム配置構成の第一の実施態様において、排気システムは、本発明の酸化触媒(例えばDOC、DEC、NSC、PNA、CSC(登録商標)触媒又はASC)、及び選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒を備える。本発明の酸化触媒の後には通常、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRF触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒の間に、配設してもよい。よって酸化触媒の後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒が続いてもよい(例えばインジェクタは、SCRF(登録商標)触媒の上流にある)。
【0167】
第一の排気システム配置構成の第二の実施態様において、排気システムは、本発明の酸化触媒(例えばCSF、DOC、DEC、NSC、PNA、CSC(登録商標)触媒又はASC)、及び選択的触媒還元(SCR)触媒、並びに任意選択的に、触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のいずれかを備える。
【0168】
第一の排気システム配置構成の第二の実施態様において、本発明の酸化触媒の後には通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRの上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配設してもよい。よって酸化触媒の後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクタはSCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が続いてもよい(例えば、SCRはCSF又はDPFの上流にある)。
【0169】
第一の排気システム配置構成の第三の実施態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)と、好ましくは触媒化スートフィルタ(CSF)としての本発明の酸化触媒と、選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。ディーゼル酸化触媒(DOC)の後には通常、本発明の酸化触媒が続く(例えば、DOCは本発明の酸化触媒の上流にある)。本発明の酸化触媒の後には通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配設してもよい。よって酸化触媒の後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクタはSCR触媒の上流にある)。
【0170】
第二の排気システム配置構成において、排気システムは、(i)排ガスを処理するための酸化触媒であって、この酸化触媒は、第一の基材と、第一の基材上に配置された触媒材料とを備え、この触媒材料は、白金(Pt)を含む、酸化触媒、並びに(ii)本発明の捕捉ブリックを備え、この捕捉ブリックは、排ガスが酸化触媒を通過した後に、排ガスと接触するように配設されている。酸化触媒は、本発明の酸化触媒であるか、又はそうでなくてもよい。
【0171】
第二の排気システム配置構成の第一の実施態様において、排気システムは、酸化触媒(例えばDOC、DEC、NSC、PNA、CSC(登録商標)触媒、又はASC)、例えば先に規定した酸化触媒又は本発明の酸化触媒、本発明の捕捉ブリック、及び選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒を備える。本発明の酸化触媒の後には通常、捕捉ブリックが続く(例えば、酸化触媒は捕捉ブリックの上流にある)。捕捉ブリックには通常、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒が続く。窒素還元剤のインジェクタが、酸化触媒と、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒との間に配設されていてよく、好ましくは捕捉ブリックと、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒との間に、配設されている。よって酸化触媒の後に、捕捉ブリックが続いてもよく(例えば、酸化触媒は捕捉ブリックの上流にある)、捕捉ブリックの後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、捕捉ブリックはインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒が続いてもよい(例えばインジェクタは、SCRF(登録商標)触媒の上流にある)。
【0172】
第二の排気システム配置構成の第二の実施態様において、排気システムは、酸化触媒(例えばCSF、DOC、DEC、NSC、PNA、CSC(登録商標)触媒、又はASC)、例えば先に記載した酸化触媒又は本発明の酸化触媒、本発明の捕捉ブリック、及び選択的触媒還元(SCR)触媒、及び任意選択的に触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のいずれかを備える。
【0173】
第二の排気システム配置構成の第二の実施態様において、酸化触媒の後には通常、捕捉ブリックが続き(例えば、酸化触媒は捕捉ブリックの上流にある)、捕捉ブリックには通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、捕捉ブリックはSCRの上流にある)。窒素還元剤のインジェクタは、酸化触媒と、選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配設されていてよく、窒素還元剤のインジェクタは好ましくは、捕捉ブリックと、選択的触媒還元(SCR(登録商標))触媒との間に、配設されている。よって酸化触媒の後に、捕捉ブリックが続いてもよく(例えば、酸化触媒は捕捉ブリックの上流にある)、捕捉ブリックの後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、捕捉ブリックはインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクタはSCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が続いてもよい(例えば、SCRはCSF又はDPFの上流にある)。
【0174】
第二の排気システム配置構成の第三の実施態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、酸化触媒(例えば前述のもの)、又は触媒化スートフィルタ(CSF)としての本発明の酸化触媒と、捕捉ブリックと、選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。ディーゼル酸化触媒(DOC)の後には通常、酸化触媒(例えばCSF)が続く(例えば、DOCは酸化触媒の上流にある)。本発明の酸化触媒の後には通常、捕捉ブリックが続き(例えば、酸化触媒は捕捉ブリックの上流にある)、捕捉ブリックの後には通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、捕捉ブリックはSCR触媒の上流にある)。窒素還元剤のインジェクタは、酸化触媒と、選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配設されていてよく、窒素還元剤のインジェクタは好ましくは、捕捉ブリックと、選択的触媒還元(SCR(登録商標))触媒との間に、配設されている。よって酸化触媒の後に、捕捉ブリックが続いてもよく(例えば、酸化触媒は捕捉ブリックの上流にある)、捕捉ブリックの後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、捕捉ブリックはインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクタはSCR触媒の上流にある)。
【0175】
上述の第一又は第二の排気システム配置構成のいずれかの実施態様において、ASC触媒は、SCR触媒又はSCRF(登録商標)触媒の下流に(すなわち別個の基材モノリスとして)配置することができ、又はさらに好ましくは、SCR触媒を備えた基材モノリスの下流又は終端を、ASCのための担体として使用することができる。
【0176】
本発明はさらに、車両を提供する。この車両は、圧縮着火エンジンと、本発明による酸化触媒、排気システム又は捕捉ブリックのいずれかとを備える。圧縮着火エンジンは好ましくは、ディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジンは、均一供給圧縮着火(HCCI)エンジン、予混合供給圧縮着火(PCCI)エンジン、又は低温燃焼(LTC)エンジンであり得る。ディーゼルエンジンは通常の(すなわち従来からの)ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0177】
車両は、米国又は欧州の法律で規定されている軽量ディーゼル車(LDV)であってよい。軽量ディーゼル車は通常、<2840kgの重量を有し、より好ましくは<2610kgの重量を有する。
【0178】
米国では、軽量ディーゼル車(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車をいう。欧州では、軽量ディーゼル車(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席以下の座席を備え、5トン以下の最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トン以下の最大質量を有する貨物輸送車をいう。
【0179】
或いは車両は、米国の法律で規定されている、>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車のような大型ディーゼル車(HDV)であってもよい。フィルタリング基材を有する放出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(登録商標))触媒、及びそれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択され得る。
【0180】
定義
本明細書で用いられる「混合酸化物」という用語は一般的に、当技術分野で従来から知られているような、単一相の酸化物の混合物をいう。本明細書で用いられる「複合酸化物」という用語は一般的に、当技術分野で従来から知られているような、二相以上の相を有する酸化物の組成物をいう。
【0181】
本明細書で用いられる頭字語「PGM」とは、「白金族金属」をいう。「白金族金属」という用語は、一般的に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtから成る群から選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtから成る群から選択される金属をいう。一般に、用語「PGM」とは、好ましくは、Rh、Pt及びPdから成る群から選択される金属をいう。
【0182】
本明細書で用いられる「捕捉領域」という用語は、「揮発した白金(Pt)を捕捉するための領域」と同義である。
【0183】
本明細書で用いられる「端面」という表現は、特に「入口端面」又は「出口端面」について述べる場合、「端面」という表現と同義である。端面、又は基材の端面は通常、基材を通じてチャネルを画定又は区切る壁端部によって(例えば基材の外部表面に)形成される。
【0184】
本明細書で用いられる「Pt合金化金属」という表現は、特に排ガスの温度が<900℃、特に<800℃、例えば<700℃である場合に、白金(すなわち白金金属)と合金を形成可能な材料をいう。
【0185】
本明細書で用いられる「実質的に成る」という表現は、特定した材料と、発明の特徴の基本的特性に事実上影響を及ぼさないあらゆるその他の材料又は工程(例えば少量の不純物など)とを含むように、発明特徴の範囲を限定する。「実質的に〜から成る」という表現は、「〜から成る」という表現を包含する。
【0186】
材料に関して、典型的にはウォッシュコート領域、ウォッシュコート層又はウォッシュコート領域の含有量の文脈において、本明細書で用いられる「実質的に含まない」という表現は、例えば≦5重量%、好ましくは≦2重量%、さらに好ましくは≦1重量%など、少量の材料を意味する。「〜を実質的に含まない」という表現は、「〜を含まない」という表現を包含する。
【0187】
数値範囲の終点に関して本明細書で使用される「約」という表現は、特定した数値範囲の正確な終点を含む。従って、例えば「約0.2」までのパラメーターを定義する表現は、0.2までのパラメーター(0.2を含む)を包含する。
【0188】
本明細書で使用するように「選択的触媒還元フィルタ触媒」は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(SCR−DPF)上にコーティングされた選択触媒還元調製物を含み、これは当分野で知られている。
【0189】
実施例
これより、以下の非限定的な実施例によって、本発明を説明する。
【0190】
例1(参照用SCR触媒)
3重量%のCu/CHAゼオライトでコーティングされた基材の製造
市販で手に入るアルミノシリケートCHAゼオライトを、Cu(NO
3)
2の水溶液に、撹拌しながら添加した。このスラリーをろ過し、それから洗浄、乾燥した。所望の金属担持量が得られるまで、この手順を繰り返すことができる。最終的な生成物を焼成した。混合後に、バインダ及びレオロジー調整剤を添加して、ウォッシュコート組成物を形成した。
【0191】
400cpiのコーディエライト製フロースルー基材モノリスを、3重量%のCu/CHAゼオライト試料の水性スラリーにより、国際公開第99/47260号に開示された方法でコーティングした。コーティングされた製品(片方の端部のみからコーティング)を乾燥させ、それから焼成し、この手順をもう一方の端部から繰り返して、基材モノリスについて実質的に全体がコーティングされるようにし、このコーティングは、2つのコーティングの接続部において、軸方向で少し重なっていた。コーティングされた基材モノリスを、炉内にて空気中で500℃で5時間にわたり、エージングした。直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチ(7.62cm)のコアを、完成した製品から切り出した。
【0192】
例2(比較例)
シリカ−アルミナ粉末を水中でスラリー化し、<20ミクロンのd
90にミリングした。このスラリーに酢酸バリウムを加え、その後、適量の可溶性の白金とパラジウム塩を加えた。スラリーがシリカ−アルミナを77質量%、及びゼオライトを23質量%含有するように、ベータゼオライトを添加した。それから、スラリーを攪拌して均質化した。得られたウォッシュコートを、確立されたコーティング技術を用い、1平方インチ当たり400個のセルを有するコーディエライト製フロースルーモノリスの入口チャネルに塗布した。それから、この部材を乾燥させた。
【0193】
シリカ−アルミナの第二のスラリーを、<20ミクロンのd
90にミリングした。硝酸白金溶液を添加し、それから硝酸マンガン溶液を添加した。この混合物を撹拌して、均質化した。このスラリーを、確立されたコーティング技術を用いて、基材の出口端部に塗布した。それからこの部材を、500℃で乾燥及び焼成した。得られた触媒は、合計PGM担持量が150g ft
−3であり、Pt:Pdの重量比が3:1であった。Mn担持量は、130g ft
−3であった。
【0194】
例3
シリカ−アルミナ粉末を水中でスラリー化し、<20ミクロンのd
90にミリングした。このスラリーに酢酸バリウムを加え、その後、適量の可溶性の白金とパラジウム塩を加えた。スラリーがシリカ−アルミナを77質量%、及びゼオライトを23質量%含有するように、ベータゼオライトを添加した。それから、スラリーを攪拌して均質化した。得られたウォッシュコートを、確立されたコーティング技術を用い、1平方インチ当たり400個のセルを有するコーディエライト製フロースルーモノリスの入口チャネルに塗布した。それから、この部材を乾燥させた。
【0195】
シリカ−アルミナの第二のスラリーを、<20ミクロンのd
90にミリングした。硝酸白金溶液を添加し、それから硝酸マンガン溶液を添加した。この混合物を撹拌して、均質化した。このスラリーを、確立されたコーティング技術を用いて、基材の出口端部に塗布した。それからこの部材を、500℃で乾燥及び焼成した。得られた触媒は、合計PGM担持量が150g ft
−3であり、Pt:Pdの重量比が3:1であった。Mn担持量は、130g ft
−3であった。
【0196】
安定化されたジルコニア(13.5重量%のNd
2O
3)を水に添加することによって、第三のスラリーを製造した。硝酸Pdを添加し、この混合物を攪拌して均質化した。10%のアルミナバインダを添加し、このスラリーを基材の出口チャネルに、確立された技術により1インチのコーティング深さで塗布した。この部材を500℃で乾燥、焼成した。安定化されたジルコニア担持量は、2.0g in
−3であり、第三のコーティングのPd担持量は、20g ft
−3であった。
【0197】
例4
シリカ−アルミナ粉末を水中でスラリー化し、<20ミクロンのd
90にミリングした。このスラリーに酢酸バリウムを加え、その後、適量の可溶性の白金とパラジウム塩を加えた。スラリーがシリカ−アルミナを77質量%、及びゼオライトを23質量%含有するように、ベータゼオライトを添加した。それから、スラリーを攪拌して均質化した。得られたウォッシュコートを、確立されたコーティング技術を用い、1平方インチ当たり400個のセルを有するコーディエライト製フロースルーモノリスの入口チャネルに塗布した。それから、この部材を乾燥させた。
【0198】
シリカ−アルミナの第二のスラリーを、<20ミクロンのd
90にミリングした。硝酸白金溶液を添加し、それから硝酸マンガン溶液を添加した。この混合物を撹拌して、均質化した。このスラリーを、確立されたコーティング技術を用いて、基材の出口端部に塗布した。それからこの部材を、500℃で乾燥及び焼成した。得られた触媒は、合計PGM担持量が150fg ft
−3であり、Pt:Pdの重量比が3:1であった。Mn担持量は、130g ft
−3であった。
【0199】
安定化されたジルコニア(13.5重量%のNd
2O
3)を水に添加することによって、第三のスラリーを製造した。硝酸Pdを添加し、この混合物を攪拌して均質化した。ギ酸をスラリーの0.7質量%添加し、この混合物を1時間撹拌した。この間、Pd塩が減少するにつれて、スラリーは黄色から灰色に変わった。10%のアルミナバインダを添加し、このスラリーを基材の出口チャネルに、確立された技術により1インチのコーティング深さで塗布した。この部材を500℃で乾燥、焼成した。安定化されたジルコニア担持量は、2.0g in
−3であり、第三のコーティングのPd担持量は、20g ft
−3であった。
【0200】
実験結果
試験システム
試験は、
図1に記載の第一の合成触媒活性試験(SCAT)実験室用反応器で行ったのだが、ここでは例1のコーティングされたCu/CHAゼオライトSCR触媒のエージングされたコアが、例2、3又は4の触媒のコアの導管下流に配置されていた。合成ガス混合物を導管に、1分あたり6リットルの流速で通過させた。炉を使用して、定常状態の温度にて950℃の触媒出口温度で2時間、酸化触媒試料を加熱(又はエージング)した。SCR触媒を、酸化触媒試料の下流に配置し、炉の出口とSCR入口との間にある管の長さを調整することにより、エージング工程の間、300℃の触媒温度に保った(適切であれば、水冷式熱交換器ジャケットを使用可能)。適切に位置決めされた熱電対(T
1及びT
2)により、温度を特定した。エージングの間に使用したガス混合物は、空気が40%、N
2が50%、H
2Oが10%であった。
【0201】
参照用の「ブランクエージング」試料を試験したが、これはエージング装置においてSCRコアの上流に置かれた、白金を含む酸化触媒が無いものである。つまり、ブランクエージングは、白金を含む触媒の不在下で行ったものであり、このため白金の揮発は起こり得ない。
【0202】
酸化触媒エージングに続き、SCR触媒を第一のSCAT反応器から取り出し、特にエージングされた試料のNH
3−SCR活性を試験するために、第二のSCAT反応器に挿入した。それからSCR触媒を、500℃でのSCR活性について、合成ガス混合物(O
2=10%;H
2O=5%、CO
2=330ppm;NH
3=400ppm;NO=500ppm;NO
2=0ppm;N
2=残部、すなわち0.8のα値(NH
3:NO
xの比率)を用いて試験した。NO
x変換率の結果を正規化し、ブランクエージング試験からのSCRコアに対して報告する。正規化されたNO
x変換率が、表1に示されている。
【0203】
表1は、950℃で2時間にわたり上流にある酸化触媒によりエージングした後の、例1から取ったエージングされたSCR触媒コアについてのNO
x変換活性を示す。ブランクエージング稼働についての500℃でのNO
x変換率は、白金揮発無しのエージング後に達成される基準変換率を示す。
【0204】
上流の位置にある例2からのコアでエージングしたSCR試料は、NO
x変換率について著しい減少を示す。例2の触媒は、白金捕捉材料を有さない。上流の位置にある例3からのコアでエージングしたSCR試料は、ブランクのエージング稼働と比較して、NO
x変換率性能について僅かな減少を示す。例3の酸化触媒は、ジルコニアを含む捕捉材料を備える。捕捉材料コーティングを製造したが、材料を粉末として単離する必要はなかった。上流の位置にある例4からのコアでエージングしたSCR試料は、例3の後方でエージングしたSCR試料と同様のNO
x変換性能を示す。例4は、ジルコニアと、ギ酸により還元したPdとを含む捕捉材料を備える。捕捉材料コーティングを製造したが、材料を粉末として単離する必要はなかった。
【0205】
触媒活性の測定
例2、3及び4の触媒から、コア試料を採取した。これらのコアを、790℃で16時間、10%の水を用いて水熱エージングした。
【0206】
全てのコアについての触媒活性は、合成ガスベンチ触媒活性試験(SCAT)により特定した。エージングしたコアを、表2に示したシミュレート排ガス混合物中で試験した。それぞれの場合において、残部は窒素である。NOについての酸化活性は、250℃での変換率(パーセンテージ)として特定する。CO及びHCについての酸化活性は、ライトオフ温度により特定し、これによって50%の変換率が達成される(T50)。
【0207】
結果
SCATの結果を、表3及び4に示す。
【0208】
表3に示された結果は、例2、3及び4の触媒についてのCO及びHCライトオフ温度を示す。実施例における全ての触媒は、同様のCO及びHCライトオフ活性を有する。例3及び4の触媒は、ジルコニアを含む捕捉材料を含有する。捕捉材料の組み込みは、CO及びHCライトオフに対して否定的な影響を何らもたらさない。
【0209】
表4は、250℃でのNO酸化活性を示す。実施例の全ての触媒は、同様のNO酸化活性を示す。例3及び4は、ジルコニアを含む捕捉材料を含有する。捕捉材料の組み込みは、NO酸化活性に対して否定的な影響を何らもたらさない。
【0210】
疑義を避けるために、本明細書で引用したすべての文献の全内容は、参照により本願に組み込まれる。