(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-531475(P2019-531475A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】位置を測定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/10 20060101AFI20191004BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20191004BHJP
【FI】
G01S5/10 Z
H04W64/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-513016(P2019-513016)
(86)(22)【出願日】2017年9月15日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月27日
(86)【国際出願番号】DE2017000300
(87)【国際公開番号】WO2018064994
(87)【国際公開日】20180412
(31)【優先権主張番号】102016012101.7
(32)【優先日】2016年10月8日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】390035448
【氏名又は名称】フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ヴァーゼン・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シオン・レンハイ
(72)【発明者】
【氏名】シーク・ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062BB05
5J062CC12
5K067AA21
5K067DD02
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ51
(57)【要約】
本発明は、1つの受信機を有する1つの移動局をそれぞれ備える少なくとも1つの対象物の位置を測定するための方法に関する。当該方法では、基地局を有する少なくとも4つの基準対象物が使用される。これらの基準対象物が、既知の位置を最初に有する。これらの基準対象物の場合、複数の基地局がそれぞれ、1つの送信機を備える。この場合、当該基地局が、信号を送信し、当該移動局が、これらの信号を受信する。
本発明によれば、複数の基地局のうちの少なくとも2つの基地局が、異なる複数の周波数の周期信号を送信し、このために、周期的なパターンを有する信号を送信するための手段を有する適切な装置を備える。当該信号が、狭い幅で隣接した複数の周波数で送信される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定対象物の位置を測定するための方法であって、当該測定対象物が、受信機を有する移動局を含み、当該方法では、基地局と送信機とを含む少なくとも4つの基準対象物が使用され、
少なくとも1つの基準対象物が、受信機を有する移動局を有し得る結果、当該基準対象物であると同時に測定対象物でもあり、
前記基地局と前記移動局とが、構成上一体にされ得、
前記基準対象物が、変更し得る既知の位置を最初に有し、
前記基地局の前記送信機が信号を送信し、前記移動局が信号を受信する当該方法において、
前記基地局の少なくとも2つの送信機が、異なる複数の周波数の周期信号を互いに規定された時間間隔で送信し、これらの周波数は、狭い幅で隣接していることを特徴とする方法。
【請求項2】
当該狭い幅で隣接した周波数は、当該使用される信号の帯域幅よりも狭く互いに離間していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の前記基地局の複数の前記送信機の当該狭い幅で隣接している複数の周波数は、式1
|fn−fm|mod Δf≠0 (式1)
にしたがう関係にあり、当該式1の場合、
fnは、任意の1つの基地局の1つの送信機の周波数であり、
fmは、任意の他の1つの基地局の1つの送信機の周波数であり、
Δfは、前記使用される信号のフーリエスペクトルにおける複数の最大値間の周波数間隔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数の前記基地局の周波数が狭い幅で隣接しているこれらの基地局の複数の前記送信機に対する周波数間隔Δfが等しいように、周期期間が選択されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基地局の前記送信機の送信信号が、所定のタイミングでパルス化されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記周期信号の位相及び/又は振幅が、連続に又は非連続に変更されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の前記基地局の少なくとも2つの送信機が、信号の複数の周波数が相互に広く離間している当該信号を送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
当該使用される信号の帯域幅よりも大きい周波数差を有する互いに広く離間している周波数が
送信されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の前記基地局の少なくとも2つの送信機が、時間差のある信号を送信することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基地局の前記送信機の到着する信号の位相位置が、位置測定の精度を上げるために使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
当該受信された複数の信号が、時間をずらしてサブサンプリングされることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数の前記基準対象物の少なくとも一部、しかしながら少なくとも3つ、好ましくは全ての基準対象物が、送信機を有する前記基地局に加えて受信機を有する移動局も備え、
前記基地局と前記移動局とが、構成上一体にされ得、この基地局とこの移動局とは、別の基準対象物から信号を受信することを、移動局を有する複数の前記基準対象物に可能にさせることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基地局と送信機とを有する複数の基準対象物と、移動局と受信機とを有する少なくとも1つの測定対象物とによって、移動局と受信機とを有する対象物の位置を測定するための装置であって、
前記複数の基準対象物の位置が、最初に既知であり且つ変更でき、前記測定対象物が、送信機を有する基地局をさらに含み得、したがって前記基準対象物にも属し得、この基準対象物の位置を測定することができ、この基地局とこの移動局とが、1つの機器内に構成上一体にされている当該装置において、
前記装置は、それぞれ1つの基地局を有する少なくとも4つの基準対象物を備え、これらの基準対象物が、複数の前記基地局を時間同期させるための手段と送信機とを有し、
少なくとも2つの基地局が、周期的なパターンを有する信号を送信するための手段を有する送信機を備え、当該信号が、狭い幅で隣接した複数の周波数で送信されることを特徴とする装置。
【請求項14】
少なくとも1つの基地局が、別の基地局に互いに広く離間している周波数で信号を送信するための手段を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記移動局は、狭い幅で隣接している複数の周波数を分離するための手段及び/又は互いに広く離間している複数の周波数を分離するための手段を有することを特徴とする請求項13〜14のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置を測定するための方法及び装置に関する。
従来の技術によれば、対象物の位置を測定するための様々な方法が公知である。
例えば車両をナビゲートするために、GPS測位方法が、日常において極めて頻繁に使用される。この際、少なくとも4つの送信機が援用され、これら送信機は、地上を離れてしまう前に軌道内にあり同期化される。これら送信機は同期式信号を発信し、これら信号は、これら送信機の位置についての情報も含んでいる。ナビゲートされる対象物は受信機を有し、この受信機が信号を受容し、その固有の位置を測定する。この際、相対性的影響が考慮される。このメソッドは例えば刊行物http://www.navcen.uscg.gov/pubs/gps/gpsuser/gpuser.pdf.において解説されている。
【背景技術】
【0002】
出願人の独国特許出願公開102011107333号明細書の中で、さらなる方法が解説されている。この方法は、閉じた空間における対象物から実験室規模における距離に到るまでの位置決めを可能にする。この際、位置測定されるべき対象物が信号を送信し、この信号の周波数は判明していて、位置が判明している複数の受信機が信号の位相を測定し且つ、そこから送信機の位置を導き出す。
【0003】
刊行物「A 5,8 GHz Local Positioning and Communication System」Mosshammer et al.(2007) IEEE/MTT‐S International Microwave Symposiom,1237 〜 1240項は、対象物の位置測定のための方法を開示し、この方法において位置測定されるべき対象物が信号を発信し、その信号は固有の周波数を時間的に変え、基地局によって受信され、並びに返信される。対象物が返信された信号を受信し、且つ周波数に依存して振幅を記録する。
【0004】
先行技術に準ずる方法に、欠点が結びついている。
【0005】
GPSメソッドは、こうして建物内で制限されてのみ機能する。
独国特許出願公開102011107333号に準ずる方法において、対象物の数量が限定されていて、これら対象物の位置が測定され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開102011107333号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A 5,8 GHz Local Positioning and Communication System」Mosshammer et al.(2007) IEEE/MTT‐S International Microwave Symposiom,1237 〜 1240項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
Mosshammer et al.の方法において、基地局の信号が連続してのみ受信され得、帯域幅の活用は非効率的で、位置測定されるべき対象物と基地局の間における同期化が必要で、基地局及び対象物は送信も、受信もしなくてはならない。基本的に、建物内で信号が壁によって反射されるという問題がある。
【0009】
よって、本発明の課題は先行技術の欠点が克服され得る方法及び装置を提供することである。他の位置測定システムが十分な正確性又は信号強度を有さない位置において、例えば建物内及び空間内、密集して建て込んだ地域又は地中といった位置において、たとえ位置測定されるべき対象物が地中に埋まっていても、対象物の正確な位置測定は実現されなくてはならない。特に、建物内又は空間内に存在する対象物の位置測定が実現されなくてはならない。測定速度は可能な限り高い方がよい。測定速度は毎秒1回の測定から毎秒1000回以上の測定規模にあるべきである。位置測定の正確性は特にGPS測位方法に比して向上されるべきである。この方法は対象物の任意の数量の同時的な位置測定のために使用されることが可能でなくてはならない。信号の壁に対する反射から生起する問題は軽減されるべき、又は阻止されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載の:
少なくとも1つの測定対象物の位置を測定するための方法であって、当該測定対象物が、受信機を有する移動局を含み、当該方法では、基地局と送信機とを含む少なくとも4つの基準対象物が使用され、
少なくとも1つの基準対象物が、受信機を有する移動局を有し得、したがって、基準対象物と測定対象物とは等価であり、
前記基地局と前記移動局とが、構成上一体にされ得、
前記基準対象物が、変更し得る既知の位置を最初に有し、
前記基地局の前記送信機が信号を送信し、前記移動局が信号を受信する当該方法において、
前記基地局の少なくとも2つの送信機が、異なる複数の周波数の周期信号を互いに規定された時間間隔で送信し、これらの周波数は、狭い幅で隣接していることによって解決される。
さらにこの課題は、請求項13に記載の:
基地局と送信機とを有する複数の基準対象物と、移動局と受信機とを有する少なくとも1つの測定対象物とによって、移動局と受信機とを有する対象物の位置を測定するための装置であって、
前記複数の基準対象物の位置が、最初に既知であり且つ変更でき、前記測定対象物が、送信機を有する基地局をさらに含み得、したがって前記基準対象物にも属し得、この基準対象物の位置を測定することができ、この基地局とこの移動局とが、1つの機器内に構成上一体にされている当該装置において、
前記装置は、それぞれ1つの基地局を有する少なくとも4つの基準対象物を備え、これらの基準対象物が、複数の前記基地局を時間同期させるための手段と送信機とを有し、
少なくとも2つの基地局が、周期的なパターンを有する信号を送信するための手段を有する送信機を備え、当該信号が、狭い幅で隣接した複数の周波数で送信されることによって解決される。
【0011】
他の位置測定システムが十分な正確性又は信号強度を有さない位置において、例えば建物内及び空間内、密集して建て込んだ地域又は地中といった位置において、たとえ位置測定されるべき対象物が地中に埋まっていても、発明に係る方法及び装置によって対象物の位置測定を実現することが以後可能である。特に建物内又は空間内の位置は顕著に一層高度な地点正確性で、且つ高い測定速度で測定され得る。任意の数量の複数対象物の位置が同時に測定され得る。信号の壁に対する反射によって生起する測定問題が軽減され得、 又は除外され得る。
【0012】
本発明の有利なその他の構成は、従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明は、下記において限定的に解釈される必要がなく、その一般的形態において解説される。
【0014】
本発明によれば、少なくとも1つの対象物が、受信機を有する移動局を備え、この対象物の位置は測定されなくてはならない。移動局且つ受信機を有する対象物は測定対象物と記される。
【0015】
本発明の意味における対象物は、位置が測定されなくてはならない各対象物又は各生物である。
【0016】
さらに本発明の意味における対象物は、例えばヒトの手首関節又はヒトの指先、又は膝といった対象物の一部分、又は生物の一部分でもあり得る。最も簡単な実施形態において、対象物は移動局のハウジングでもあり得る。
【0017】
少なくとも4つの対象物が用いられ、これら対象物は其々、基地局を備え、この基地局は送信機を有している。送信機を有する基地局を有する対象物は下記において基準対象物と呼ばれる。この場合において、対象物は基地局のハウジングである。
【0018】
基準対象物は、同様に移動局を備えてもよい。
【0019】
位置を測定されるべき対象物は基地局を備え得、基準対象物に属する。この場合において基準対象物は基地局及び移動局を有し、機器の中で構造的に一体化されていることが可能で及び、こうして送信機及び受信機を有する。位置を測定されるべき対象物の数量又は、位置を測定される測定対象物の数量は任意の値を採用し得る。例えば2,3,4,5,6,…10,…20,50…100以上の対象物が、それらの位置に関して測定され得る。
【0020】
この際、基準対象物が且つ、これによって同様に送信機を有する基準対象物に属する基地局が先ず確固とした位置を有し、この位置は同様に変化し得る。基準対象物の位置は、どの位置座標に基準対象物が存在するのかが判明しているように稼働開始前に測定され又は、固定される。方法実行のために、少なくとも4つの基準対象物が要され、但し4を上回る、例えば5,6,7,8,9,10,20…50以上の基準対象物が同様に存在し得る。基準対象物の数量が多いほど、位置測定は一層正確である。
【0021】
基準対象物の送信機は、例えば同期式といった相互に所定の時間間隔で、又は確固として所定の時間間隔で送信し、この時間間隔は部分的に同期式であることが可能である。
【0022】
本発明に準じ、基準対象物の少なくとも4つの基地局の少なくとも2つの送信機が異なる周波数の信号を発信し、この信号は狭い幅で隣接し、且つ周期的パターンを有する。
【0023】
相互に狭い幅で並ぶ周波数は使用される信号の帯域幅に比して、相互に狭く離間している。周波数は特に使用される信号の相互の周期継続時間に比して、相互に狭く離間していることが可能である。これは、信号の位相が、位置測定の精度を上げるために一層容易に援用され得、且つ入手可能な周波数域が効率的に活用されるという利点を有する。
【0024】
この際、複数の前記基地局の複数の前記送信機の当該狭い幅で隣接している複数の周波数は、式1
|f
n−f
m|mod Δf≠0 (式1)
にしたがう関係にあり、当該式1の場合、
f
nは、任意の1つの基地局の1つの送信機の周波数であり、
f
mは、任意の他の1つの基地局の1つの送信機の周波数であり、
Δfは、前記使用される信号のフーリエスペクトルにおける複数の最大値間の周波数間隔である。
【0025】
この際、周期的パターンの周期継続時間は、基準対象物の基地局の送信機の為のΔfが同一であるように、選択されていなくてはならず、これら基準対象物の周波数は相互に狭い幅で並んでいる。
【0026】
基準対象物の基地局の送信機は有利にも、相互に狭い幅で並ぶ周波数で送信し、同一の周期的パターンを有する送信信号を利用する。これは、基準対象物の基地局の様々な送信機の信号の比較が一層容易になるという利点を有する。
【0027】
周期的パターンは、送信信号が幅の狭い、顕著に形成された最大値を有する離散フーリエスペクトルを含むという利点を有する。
【0028】
但し狭い幅で隣接する周波数が、少なくとも部分的に異なる周期的パターンを有することも考えられる。
【0029】
周期的パターンは、自由に選ばれ得、様々に形成され得る。
【0030】
送信機の送信信号は、例えば所定のタイミングで基地局によってパルス化されていることがあり得る。
【0031】
当該パルス化の継続時間は自由に選択され得る。同様に当該パルス化の間隔は自由に選択され得る。
【0032】
位相及び/又は振幅は、例えば振幅及び位相の増加の形態において、又は振幅及び位相の減少の形態において、又は振幅及び位相の飛躍的な変化の形態において、連続に又は非連続に変えられる。
【0033】
本発明の実施形態において、基準対象物の少なくとも4つの基地局が送信機を有し、これら送信機は全てが狭い幅で隣接する周波数で同期式に送信する。
【0034】
さらなる実施形態において、基準対象物の全基地局が送信機を有し、これら送信機は狭い幅で隣接する周波数で同期式に送信する。
【0035】
さらなる実施形態において、基準対象物のグループがあり、これら基準対象物の基地局は其々に少なくとも1つの送信機を有し、グループ内で狭い幅で隣接する周波数で送信し、グループ周波数域は相互に広く離間している。
【0036】
さらなる実施形態において、基準対象物の基地局の少なくとも2つの送信機が信号を送信し、これら信号の周波数は相互に広く離間している。相互に広く離間している周波数は、好ましくは周波数差を有し、この周波数差は使用される信号の帯域幅に比して一層大きい。これは、様々な送信機が容易に相互区別可能であるという利点を有する。
【0037】
さらなる実施形態において、基準対象物の少なくとも4つの基地局の一部分は少なくとも1つの送信機を有し、この送信機は其々に同期式に相互に広く離間している周波数で送信する。
【0038】
さらなる実施形態において、基準対象物の少なくとも4つの基地局の少なくとも2つは送信機を有し、其々に時差式信号を発信する。但し、これら信号は同一の周波数を有し得、基準対象物の基地局の全送信機が、同一周波数を発する時差式信号を発信する必要はない。
【0039】
送信信号として電磁波が使用され得る。基本的に、電波、赤外線、光、特にISMバンド域における周波数を有する電波が送信信号として考慮される。
【0040】
但し非限定的に、例えば基準対象物の基地局の下記組合わせが利用され得、この組合わせは表1に示されていて、この表において基地局はBSと略記されている。
【0041】
さらに周波数の組合わせ及びタイムウィンドウの組合わせが非限定的に利用され得、これら組合わせは表2及び表3において示されている。様々な周期的パターンM
1,M
2並びにM
3が、及び様々な周波数f
1,f
2,f
3並びにf
4が、表2及び表3にある。周波数f
1並びにf
2及びf
3並びにf
4は其々、狭い幅で隣接する。周波数ペアf
1,f
2及びf
3,f
4は相互に広く離間している。
【0042】
但し有利な実施形態において、基準対象物の少なくとも一部分が、少なくとも3つの、好ましくは全ての基準対象物、送信機を有する基地局に加えて、受信機を有する移動局を備える。この際、基地局及び移動局は機器の中で構造的に一体化されていることが可能である。これは、移動局を有する各基準対象物が他の全基準対象物の信号を受信することを可能にする。こうして、基準対象物間における間隔は移動局及び他の全基準対象物によって測定され得る。基準対象物の位置は移動局を有する少なくとも4つの基準対象物の任意の3つによって展設された座標システムに関連付けられ、間隔値によって測定され得る。これは、全ての基準対象物の位置を測定するために外部の補助手段が不要になるという利点を有する。
【0043】
さらなる実施形態において、このシステムは零(null)の測定対象物を有してもよい。但し1つ以上の測定対象物が同様に用いられ得る。さらに全ての基準対象物が定置である必要はなく、基地局に加えて移動局も備える。これは、各基準対象物が他の全基準対象物の信号を受信することを可能にする。基準対象物の全ペア間における間隔は、こうして測定され得る。このシステムは、この実施形態において、基準対象物相互における相対的位置の変更を探知することができる。測定対象物がある場合、この測定対象物の位置が、同様に基準対象物に関して相対的に測定される。
【0044】
下記に、方法の過程が示される。
【0045】
1.少なくとも4つの基準対象物が、相互に所定の時間間隔で信号を送信し、これら基準対象物の位置は先ず判明していて、但し変化し得え、これら信号は同期式であり、又は少なくとも部分的に時間的にずれている。少なくとも4つの基準対象物の少なくとも2つは、狭い幅で隣接する周波数で送信し、この周波数の送信信号は周期的パターンを有する。
2.測定対象物の移動局の受信機は、又はポイント2後の基準対象物の受信機は、追加的に移動局を有し、移動局と構造的に一体化していることが可能で、基準対象物の信号を受信する。
3.測定対象物の移動局は、又は基準対象物の移動局は、追加的に移動局を有し、相互に広く離間している周波数と場合によって存在する雑音を分別する。さらに、例えばバンドパスフィルタ又はローパスフィルタの使用といった公知の方法が先行技術に準じて援用され得る。
4.周期的パターンを有する狭い幅で隣接する周波数を有する基準対象物の信号は、測定対象物の移動局によって、又は移動局を有する基準対象物によって、パターン周期性の活用下で分別される。これは、コムフィルタ又はフーリエ変換といった当業者にとって公知の手段で行われ得る。
5.移動局は、全基準対象物からの信号の到着時点を測定する。これら時点から、各移動局が固有の位置を算定する。例えばGPS測位方法といった先行技術から、このための相応しい方法が公知である。到着時間測定の正確性を向上するために、受信した信号の時間をずらしたサブサンプリングが用いられ得る。位置測定の精密化のために、到着しつつある信号の位相角が用いられ得る。
【0046】
本発明に係る装置は少なくとも4つの基準対象物を有し、これら基準対象物は其々、送信機を有する基地局によって、並びに基地局の計器を同期化するための手段を備え、少なくとも1つの対象物を、若しくは測定対象物を有し、この対象物若しくは測定対象物は受信機を有する移動局を有する。移動局を有する対象物は、同様に少なくとも4つの基準対象物の1つであり得る。この場合において、対象物は基地局を、並びに移動局を有し、この基地局並びに移動局は、場合によっては構造的に一体化していることが可能で、送信機並びに受信機を有する。基地局の少なくとも2つは、周期的パターンを有する信号を放出するための手段を有する送信機を有し、これら信号は狭い幅で隣接する周波数で送信される。少なくとも1つの基地局は、相互に広く離間している周波数の他の基地局に信号を放出するための手段を有し得る。移動局は、相互に狭い幅で並ぶ周波数を分別するための手段を有し、相互に広く離間している周波数を分別するための手段を有し得る。相互に広く離間している周波数を分別するための手段は、例えばバンドパスフィルタ又はローパスフィルタなどであり得る。相互に狭い幅で並ぶ周波数を分別するための手段はコムフィルタ、又はフーリエ変換実行の手段であり得る。
【0047】
好ましい実施形態において、基準対象物の少なくとも一部分が、但し少なくとも3つの、好ましくは全ての基準対象物が、受信機を有する追加的な移動局を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図面は本発明の特徴のための模範的実施例を示している。
【0049】
【
図1】周期的パターンを有する2つの送信信号のための例である。
【
図2】狭い幅で隣接している周波数を有する2つの基準対象物の送信機の送信信号スペクトルである。
【
図3】狭い幅で隣接している周波数を有する様々な基準対象物のN送信機の搬送波周波数である。
【
図4】基地局中の信号生成の可能な実現のための、この基地局を担う移動局の部分における信号処理の可能な実現のための流れ図である。
【0050】
図1は周期的なパターンを有する2つの相応しい送信信号のための例を示している。信号1は位相変調されていて、信号2は振幅変調されている。
図1において、x軸は時間を[s]で、y軸は振幅を記す。
【0051】
図2は、2つの基地局の送信信号のスペクトルの振幅推移を示していて、これら送信信号の周波数が狭い幅で並んでいる。
図2において、x軸が周波数を[Hz]で記し、y軸が振幅を記す。
【0052】
図3において、N送信機の搬送波周波数が示されていて、これら周波数は公式1を満たす。Δfは、この際、使用される信号のフーリエ−スペクトルにおける最大値間の周波数間隔を記し、f
0は、基地局の信号の周波数を記す。
図3において、x軸が周波数を[Hz]で記し、y軸が振幅を記す。
【0053】
図4は、流れ図であり、この流れ図は基地局における信号生成の可能な実現、この基地局を担う移動局の部分における受信機の可能な実現及び信号処理の可能な実現を解説する。周期的シンボル列は、二位相偏移変調によって、周期的パターンに移行される。周期的パターンは所望の周波数f
1の搬送波信号に変調され送信される。移動局が信号を受け、バンドパスフィルタリングを実行し、このフィルタリングは雑音を、並びに遥かに離間した周波数での信号を抑制する。信号は変調されサンプリングされる。この信号を他の基準対象物の信号から分別するために、コムフィルタが使用され、この基準対象物は狭い幅で隣接する周波数で送信する。引き続いて、信号の到着時間及び位相角が測定される。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0054】
下記に、パラメータが一例のために記載され、このパラメータによって本発明に係る方法は、限定的に解釈されることなく実行され得る。
【0055】
基地局を有する16の基準対象物が固定された位置で設置され、これらは時間的に同期化されている。全ての基地局が、同一の周期的パターンを有する信号を発信する。其々2つの基地局が、時差式で、同一の周波数で送り、結果、合計して8つの様々な周波数で送信される。これら周波数の最初の4つ及び最後の4つは其々、相互中で狭い幅で隣接する。最後の4つの周波数のグループから、最初の4つの周波数のグループは広く離間する。周波数域として、2 GHz及び5,8 GHzにおけるISMバンドが考慮される。そうして、例えば最初のグループの周波数が2GHz帯に、2つ目のグループの周波数が5,8GHz帯にあり得る。
【0056】
移動局が、基地局の信号を受け、相互に広く離間している周波数における信号をバンドパスフィルタで分別する。信号は、狭い幅で隣接する周波数で送られ、コムフィルタで分離され得る。信号は同一の周波数で送信され、時間差を有し、互いに影響を受けない。
【0057】
移動局は基地局の信号を高速でサンプリングし、信号の到着時間を算出するため、時間をずらしたサブサンプリングが使用される。先行技術に準じ、到着時間から移動局の位置が、例えばGPS−方法から公知の方法で算出され得る。さらに、到着する信号の位相位置は、位置測定の正確性を向上するために使用され得る。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【国際調査報告】