(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-531520(P2019-531520A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】医療機器をモニターするためのモバイルフォンの使用
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20191004BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20191004BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20191004BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20191004BHJP
A61M 5/178 20060101ALI20191004BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20191004BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/10
G09B29/10 A
A61M5/00 500
A61M5/178
A61B5/00 A
A61B5/145
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-568898(P2018-568898)
(86)(22)【出願日】2017年6月9日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】EP2017064165
(87)【国際公開番号】WO2018007100
(87)【国際公開日】20180111
(31)【優先権主張番号】1651008-3
(32)【優先日】2016年7月7日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】518006307
【氏名又は名称】ブリテル アクチエボラグ パブリーク
【氏名又は名称原語表記】BRIGHTER AB (PUBL)
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】ハステット,トルルス
【テーマコード(参考)】
2C032
4C038
4C066
4C117
5L049
【Fターム(参考)】
2C032HD03
2C032HD17
4C038KK10
4C066AA09
4C066BB01
4C066QQ84
4C117XB03
4C117XC15
4C117XE58
4C117XE76
4C117XL01
4C117XL11
5L049CC15
(57)【要約】
ユーザにより携行されるポータブル医療機器(1)と、同一のユーザにより携行されるモバイルフォン(2)とを使用する方法が提供される。この方法は、a)モバイルフォン(2)がある時点(第1の時点)で前記モバイルフォン(2)の地理的位置を決定して、前記地理的位置と前記第1の時点を、データ接続を介してサーバ(4)へ提供する、またはモバイルフォン(2)がセルラーネットワーク(3)により決定されたその位置を有し、前記セルラーネットワーク(3)が前記位置および前記第1の時点をサーバ(4)へ提供するステップと、その後、b)前記サーバ(4)が前記位置および前記第1の時点を使用して、前記時点のための位置特異的なデータを検索するステップと、その後、c)前記サーバ(4)がステップb.からのデータを使用して、前記医療機器(1)が保守または交換されるべきかを決定するステップと、を備える。システム、サーバ、およびモバイルフォンがまた提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより携行されるポータブル医療機器(1)、および同一のユーザにより携行されるクライアント機器(2)を使用する方法であって、
a.前記クライアント機器(2)が、ある時点(第1の時点)において、前記クライアント機器(2)の地理的位置を決定し、前記地理的位置および前記第1の時点を、データ接続を介してサーバ(4)へ供給するステップ、または、前記クライアント機器(2)が、第1の時点において、セルラーネットワーク(3)により決定されるその位置を有し、前記セルラーネットワーク(3)が、前記位置および前記第1の時点を、前記サーバ(4)へ供給するステップ、その後、
b.前記サーバ(4)が、前記位置および前記時点を使用して前記時点のための位置特異的データを検索するステップ、その後、
c.前記サーバ(4)が、ステップb.からの前記位置特異的データを使用して、前記医療機器を保守または交換すべきか否かを決定するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記医療機器は、ハウジング内に統合される、動作センサ(14)、処理装置(8)、メモリ(7)、およびセルフォン送受信機(24)を有し、前記メモリ(7)内に、動作イベントの時点に関する情報を格納することが可能であり、
前記方法は、ステップa)を、
I)前記クライアント機器(2)が、前記クライアント機器(2)の地理的位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、これらの位置および時点を、データ接続を介して前記サーバ(4)へ転送し、または、前記クライアント機器(2)が、少なくとも第1の時点および第2の時点についてセルラーネットワーク(3)により決定されるその位置を有し、前記セルラーネットワーク(3)が、前記位置および前記時点を前記サーバ(4)へ供給し、
II)前記医療機器(1)が、前記動作センサ(14)を使用して、前記医療機器(1)がいつ使用されたかを示す時点(第3の時点)を決定し、
III)前記医療機器(1)が、そのセルラー無線送受信機(24)を使用して、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立して、前記第3の時点を前記サーバ(4)へ転送し、
IV)前記サーバ(4)が、少なくとも前記第1の時点および前記第2の時点の中から、前記第3の時点に最も近接する時点を選択する、
ことにより実行し、
前記サーバ(4)は、ステップb)で、ステップIVで選択された前記第3の時点を使用して、位置特異的データを選択する、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
ステップIII)は、前記医療機器により、少なくとも所定の時間間隔で実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
ステップIII)は、前記医療機器(1)により、前記医療機器(1)が使用された後、自動的に実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法であって、
ステップc)は、前記サーバ(4)が、前記位置特異的データが、閾値を超える値であるか否かを確立することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記位置特異的データは、天候パラメータ、大気圧、湿度、温度、交通量、大気汚染、および人の密度からなる群から選択される1つである、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
ステップc)は、サーバ(4)が、機械学習をデータセット(15)に対して適用することにより生成される決定ルールを適用し、前記データセット(15)は、同等の医療機器について以前に収集された位置特異的データを含み、前記データセット(15)はまた、同等のポータブル医療機器の以前の障害に関するデータを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ポータブル医療機器(1)は、薬剤を注入する機器である、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法であって、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)に、前記位置を、少なくとも所定の時間間隔毎に決定させる命令を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記位置は、前記クライアント機器(2)により、GPSを使用して決定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記位置は、前記クライアント機器(2)により、Wi−Fi位置決めを使用して決定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法であって、
前記クライアント機器(2)は、前記地理的位置を決定し、前記地理的位置および前記時点を、前記セルラーネットワーク(3)により提供されるデータ接続を介して、前記サーバ(4)に転送する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記クライアント機器(2)の前記位置は、前記セルラーネットワーク(3)により決定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
ユーザにより携行されるポータブル医療機器(1)、および同一のユーザにより携行されるクライアント機器(2)、セルラーネットワーク(3)、およびサーバ(4)を備えるシステムであって、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)の地理的位置を決定し、前記地理的位置の決定の時点とともに格納し、前記地理的位置および前記時点を、データ接続を介してサーバ(4)へ供給するよう構成され、または、前記セルラーネットワーク(3)は、前記クライアント機器(2)の前記位置を決定し、前記位置および前記第1の時点を前記サーバ(4)へ供給するよう構成され、
前記サーバ(4)は、前記位置および前記時点を使用して、前記時点についての位置特異的データを検索し、前記位置特異的データを使用して、前記医療機器(1)を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記医療機器は、ハウジング内に統合される、動作センサ(14)、処理装置(8)、メモリ(7)、およびセルフォン送受信機(24)を有し、前記メモリ(7)中に、動作イベントの時点に関する情報を格納することが可能であり、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)の前記地理的位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、これらの位置および時点を、データ接続を介して前記サーバ(4)へ転送するよう構成され、または、前記セルラーネットワーク(3)は、前記クライアント機器(2)の前記位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、前記位置および前記時点を前記サーバ(4)へ供給するよう構成され、
前記医療機器(1)は、前記動作センサ(14)を使用して、前記医療機器(1)がいつ使用されたかの時点(第3の時点)を決定し、そのセルラー無線送受信機(24)を使用して、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立し、前記第3の時点を前記サーバ(4)へ転送するよう構成され、
前記サーバ(4)は、少なくとも前記第1、第2、および第3の時点を受信し、少なくとも前記第1の時点および前記第2の時点の中から、前記第3の時点に最も近接する時点を選択し、選択された時点の位置を使用して、前記時点についての位置特異的データを検索し、前記位置特異的データを使用して、前記医療機器(1)を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記医療機器(1)は、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立し、前記第3の時点を前記サーバ(4)へ、少なくとも所定の時間間隔で転送するよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15または16に記載のシステムであって、
前記医療機器(1)は、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立し、前記第3の時点を前記サーバ(4)へ、前記医療機器(1)が使用された後に自動的に転送するよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記サーバによる前記決定のステップは、前記サーバ(4)が、機械学習をデータセット(15)に対して適用することにより生成される決定ルールを適用することを含み、前記データセット(15)は、同等の医療機器について以前に収集された位置特異的データを含み、前記データセット(15)はまた、前記同等の医療機器の以前の障害に関するデータを含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項14から18のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ポータブル医療機器(1)は、薬剤の注入のための機器である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項14から19のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)に前記位置を、少なくとも所定の時間間隔毎に決定させる命令を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項14から20のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記クライアント機器(2)は、前記地理的位置を決定し、前記地理的位置および時点を、前記サーバ(4)へ、前記セルラーネットワーク(3)により提供されるデータ接続を介して転送する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項14から20のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記クライアント機器(2)の前記位置は、前記セルラーネットワーク(3)により決定される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
識別されたポータブル医療機器(1)に関連する、その中に格納される情報を有するサーバ(4)であって、
前記サーバ(4)は、クライアント機器(2)の位置および時点を受信し、前記位置および前記時点を使用して、前記時点についての位置特異的データを検索し、前記位置特異的データを使用して、前記ポータブル医療機器(1)を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項24】
請求項23に記載のサーバであって、
少なくとも、前記クライアント機器(2)の第1の位置に関連する第1の時点、および前記クライアント機器(2)の第2の位置に関連する第2の時点を受信し、
前記ポータブル医療機器(1)から、前記医療機器(1)がいつ使用されたかを示す時点(第3の時点)を受信し、
前記サーバ(4)は、少なくとも前記第1の時点および前記第2の時点の中から、前記第3の時点に最も近接する時点を選択する時点選択ソフトウエア(26)を有し、
前記サーバ(4)は、選択された前記時点および位置を使用して、前記位置特異的データを検索するよう構成される、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項25】
請求項23または24に記載のサーバであって、
前記医療機器(1)を保守または交換すべきかの前記決定は、前記サーバ(4)が、機械学習をデータセット(15)に適用することにより生成される決定ルールを適用することを含み、
前記データセット(15)は、同等の医療機器について以前に収集された位置特異的データを含み、前記データセット(15)はさらに、前記同等のポータブル医療機器の以前の障害に関するデータを含む、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項26】
個々のポータブル医療機器(1)に関する、その中に格納される情報を有するクライアント機器(2)であって、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)の地理的位置を決定し、前記地理的位置の決定の時点と共に格納し、前記地理的位置および前記時点を、サーバ(4)へデータ接続を介して供給するよう構成され、
前記クライアント機器(2)は、前記サーバ(4)から、前記ポータブル医療機器(1)を保守または交換すべきかの情報を受信するよう構成される、
ことを特徴とするクライアント機器。
【請求項27】
請求項26に記載のクライアント機器であって、
前記クライアント機器(2)は、前記位置を、少なくとも所定の時間間隔毎に周期的に決定するよう構成される、
ことを特徴とするクライアント機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル医療機器の調子(health)を、例えば、医療機器が保守され(serviced)または交換される(replaced)ことが必要か否かを決定することにより、モニターする方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルまたは装着可能な(wearable)医療機器は、多数の病気を治療または緩和するために使用される。こうした医療機器の例は、注入(注射)(injection)機器、輸液用(点滴)(infusion)機器、血糖測定器、および透析機器を含む。
【0003】
患者により自己投与(self-administered)される注入可能な薬剤の数は、常に増加している。インシュリンはおそらく、患者自身が注入する薬剤の最も周知な例であるが、さらにまた、抗体、成長ホルモン、赤血球生成促進因子(EPO)、およびいくつかの化学療法薬剤は、患者による注入で自己投与される。
【0004】
注入は、最も頻繁には、ハンドヘルド(携帯型)注射機器を用いてなされ、典型的には、1日当たり1回から6回使用され、これは、常時薬剤を供給する輸液用機器とは対照的である。
【0005】
こうした薬剤はまた、患者にほぼ永久に(取り外し不能に)接続されるポータブル輸液用ポンプにより供給されることができる。
【0006】
透析は、患者により携行される、ポータブルまたは装着可能な機械を用いて実行されることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
患者の安全性のため、ポータブルまたは装着可能な医療機器が、正確かつ信頼できる方式で動作することは非常に重要である。同時に、ユーザにより常に携行されるこれらの機器は、極端な温度または湿度、または衝撃(ユーザが機器を落とした場合)、または機器を損傷しかねない他の有害な状況(harmful conditions)に晒されるかもしれない。
【0008】
こうした医療機器は、時々誤動作するかもしれず、そのため保守または交換を必要とするかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、ユーザにより携行されるポータブル医療機器と、同一のユーザにより携行される、好適にはポータブルクライアント機器、例えばモバイルフォン、であるクライアント機器とを用いる方法が提供される。
この方法は、a)クライアント機器がある時点(第1の時点)でクライアント機器の地理的位置を決定し、地理的位置および第1の時点を、データ接続を介してサーバへ提供する、または、クライアント機器が、第1の時点で、セルラーネットワークにより決定されるその位置を有し、セルラーネットワークがその位置および第1の時点をサーバへ提供するステップと、その後、b)サーバがその位置およびその時点(time point)を使用して、その時点のための位置特異的な(position-specific)データを検索するステップと、その後、c)サーバがステップb.からの位置特異的データを使用して、医療機器を保守または交換すべきか否かを決定するステップと、を備える。
【0010】
本発明はいくつもの利点を有する。1つの利点は、ポータブル医療機器をモニターするための新規な手段が提供されることである。ユーザの健康にとって、ポータブル医療機器が正確に動作することは重要な課題である。このため、医療機器が故障する前に医療機器を交換または保守することは非常に有用であり得る。本発明は、医療機器が、例えば極端な温度または湿度等の有害な状況に晒されているか否かを連続的に検出することを可能にする方法、システム、クライアント機器、およびサーバを提供する。
【0011】
本発明により、医療機器を、当該医療機器がいかなる環境に晒されているかに関し、モニターすることが可能となる。これは、医療機器がバッテリー駆動でない場合に、こうした医療機器が給電される(powered)センサを持つことができないため、特に有用であり得る。
【0012】
データの外部プロバイダ(またはモバイルフォンのセンサ)により供給されるデータを信頼することにより、医療機器は、それ自身のセンサを有する必要がない。さらに、通常使用されるセンサによっては検出することのできないあるタイプのデータ、例えば、交通密度(交通量)や人密度(people density)等、は、医療機器をモニターするために使用することができる。
【0013】
クライアント機器(モバイルフォン)の位置を信頼することにより、医療機器は、その位置を決定するためにスイッチオンされる必要がない。これにより、機器のバッテリーを節約することができる。医療機器のバッテリーが充電されていない場合、患者は重要な治療を実行することができず、これにより患者をリスクに晒すため、医療機器のバッテリーを節約することは重要である。
【0014】
好適な実施形態において、医療機器は、動作センサ(operations sensor)、処理装置(processing unit)、メモリ、および、好適にはセルラーフォン送受信機(transceiver)である無線通信機器を備え、これらはハウジング内に統合されて、動作イベントの時点に関する情報をメモリに格納することができる。
この方法は、I)クライアント機器が、クライアント機器の地理的位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、これらの位置および時点を、データ接続を介してサーバへ送信し、または、クライアント機器が、セルラーネットワークにより少なくとも第1の時点および第2の時点について決定されたその位置を有し、セルラーネットワークがそれらの位置および時点をサーバへ提供すること、II)医療機器が、動作センサを使用して、医療機器がいつ使用中であった(in use)かの時点(第3の時点)を決定すること、III)医療機器が、そのセルラー無線送受信機(またはWi−Fi等の他の手段)を使用してサーバへのデータ接続を確立し、第3の時点をサーバへ転送すること、およびIV)サーバが、少なくとも第1の時点および第2の時点の中から、第3の時点に最も近接する時点を選択すること、により、ステップa)を実行すること、および、サーバが、ステップb)で、ステップIV)で選択された時点を使用して、位置特異的(position-specific)データを検索することを含む。
この位置は、複数の時点(time points)について決定されてよく、ステップIV)における選択は、これら複数の時点からなされることができる。医療機器およびサーバの間のデータ接続は、少なくとも部分的に無線であり、これにより、データ接続を確立するために物理的コネクタを医療機器へ接続する必要がない。好適な実施形態において、医療機器は、セルラー無線送受信機を使用する。
【0015】
医療機器は、使用中において、より損傷を被りやすい。本実施形態によれば、医療機器の動作の時点の位置特異的データを、医療機器をモニターするために使用することができるという利点が得られる。
【0016】
医療機器のセルラー送受信機は、例えば注入に関する情報を、(例えば、患者の薬剤服用順守(compliance)をモニターするため、)サーバへ転送するために使用されることができ、同時に、医療機器のバッテリーを節約することができる。こうして、医療機器は、セルラー送受信機を頻繁にスイッチオンする必要がなく、恐らく1日当たり1回でよく、こうして医療機器のバッテリーを節約する。
【0017】
ステップI)は、好適には、クライアント機器(モバイルフォン)が、少なくとも第1の時点および第2の時点について位置を確立することにより実行される。
【0018】
医療機器は、ステップIII)、すなわち、少なくとも所定の時間間隔での動作の時点の転送、を実行するよう構成されてよい。医療機器は、このステップを、当該医療機器が使用された(in use)後に自動的に実行されるよう構成されてよい。これにより、使用データ(use data)がサーバへ転送されて、患者の薬剤服用順守をモニターするため使用され得るという利点が得られる。このデータは、使用後迅速に転送される場合に、最も有用である。
【0019】
位置特異的データは、外部のデータ供給者、例えば天気サービス、により供給されてよい。位置特異的データは、大気圧、湿度、温度、または他の天気または気候パラメータ、交通量、大気汚染、大気中粒子密度、大気中花粉密度、および人の密度(例えば、領域単位当たりの人)からなる群から選択される1つであってよい。位置特異的データは、緯度および経度により決定される位置のための海抜高度であってよい。
【0020】
決定ステップ(ステップC)は、サーバが、位置特異的データが、閾値を超える値であるか否かを確立することを含んでよい。
【0021】
決定ステップのための決定ルールを取得するため、機械学習が使用されてよい。こうして、決定ステップ(ステップC)は、サーバが決定ルールを適用することを含み、この決定ルールは、機械学習をデータセットへ適用することにより生成され、このデータセットは、同等の(比較可能な)(comparable)医療機器のため以前に収集された位置特異的データを備え、このデータセットはまた、同等のポータブル医療機器の以前の障害に関するデータを備えてよい。
【0022】
好適な実施形態において、ポータブル医療機器は、薬剤の注入(injection)のための機器である(したがって輸液用(infusion)機器ではない)。
【0023】
モバイルフォンは、モバイルフォンに少なくとも所定の時間間隔ごとに位置を決定させるソフトウエア(アプリケーション)等の命令を備えてよい。
【0024】
位置は、複数の異なる方法で、モバイルフォンにより確立されることができる。ある実施形態において、位置は、GPSまたは他の同等の衛星に基づくシステムを使用して、モバイルフォンにより決定される。ある実施形態において、位置は、Wi−Fi位置決め(WPS)を使用してモバイルフォンにより決定される。地理的位置は、セルラーネットワークにより提供されるデータ接続を介してモバイルフォンからサーバへ供給されてよい。
【0025】
好適な実施形態において、モバイルフォンの位置は、セルラーネットワークにより決定される。セルラーネットワークは、十分な精度でモバイルフォンの位置を決定して、位置特異的データを検索することができる。これで、モバイルフォンのバッテリーを節約することができる。また、タイミング位置(timing position)決定の目的のためのソフトウエアを、モバイルフォンに導入する必要がない。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、ユーザにより携行されるポータブル医療機器と、同一のユーザにより携行されるモバイルフォンと、セルラーネットワークと、およびサーバを備えるシステムが提供される。
モバイルフォンは、モバイルフォンの地理的位置を、この地理的位置の決定の時点(time point)と共に決定および格納し、地理的位置および時点を、データ接続を介してサーバへ供給するよう構成され、または、セルラーネットワークは、モバイルフォンの位置を決定し、セルラーネットワークが位置および第1の時点をサーバへ供給するよう構成され、サーバは、位置および時点を使用してこの時点のための位置特異的データを検索し、位置特異的データを使用して、医療機器を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される。
【0027】
ある実施形態において、このシステムの医療機器は、ハウジング内に統合される、動作センサ(operations sensor)、処理装置、メモリ、およびセルラーフォン送受信機を有し、メモリ中に動作イベントの時点に関する情報を格納することができる。
モバイルフォンは、モバイルフォンの地理的位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、これらの位置および時点を、データ接続を介してサーバへ転送するよう構成される。または、セルラーネットワークは、モバイルフォンの位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、これらの位置および時点をサーバへ供給するよう構成される。
医療機器は、動作センサを使用して、医療機器がいつ使用中であったか(使用されたか)(has been in use)の時点(第3の時点)を決定し、そのセルラー無線送受信機を使用して、サーバへのデータ接続を確立して、第3の時点をサーバへ転送するよう構成される。
サーバは、少なくとも第1、第2、および第3の時点を受信して、少なくとも第1の時点および第2の時点の中から、第3の時点に最も近接する時点を選択し、選択された時点の位置を使用して、当該時点のための位置特異的データを検索し、位置特異的データを使用して、医療機器を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される。
【0028】
医療機器は、サーバへのデータ接続を確立し、第3の時点をサーバへ、少なくとも所定の時間間隔で転送するよう構成されてよい。医療機器は、サーバへのデータ接続を確立し、第3の時点をサーバへ、医療機器が使用された後自動的に転送するよう構成されてよい。
【0029】
モバイルフォンは、モバイルフォンに、その位置を少なくとも所定の時間間隔毎に決定させる命令を備えてよい。所定の間隔は、少なくとも1日当たり1回であってよい。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、サーバが提供され、このサーバは、識別された(identified)ポータブル医療機器に関連付けられる、その内部に格納される情報を有する。サーバは、モバイルフォンの位置および時点を受信するよう構成され、位置および時点を使用して、当該時点のための位置特異的データを検索し、位置特異的データを使用して、ポータブル医療機器を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される。
【0031】
サーバは、少なくとも、モバイルフォンの第1の位置に関連する第1の時点、およびモバイルフォンの第2の位置に関連する第2の時点を受信し、ポータブル医療機器から、医療機器がいつ使用中であったかを示す時点(第3の時点)を受信するよう構成されてよい。サーバは、少なくとも第1の時点および第2の時点の中から、第3の時点に最も近接する時点を選択する時点選択ソフトウエアを有し、サーバは、選択された時点および位置を使用して、位置特異的データを検索するよう構成される。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、モバイルフォンが提供され、このモバイルフォンは、個々のポータブル医療機器に関する、その内部に格納される情報を有する。モバイルフォンは、モバイルフォンの地理的位置を、当該地理的位置の決定の時点と共に決定および格納し、これら地理的位置および時点を、データ接続を介してサーバへ供給するよう構成される。モバイルフォンは、サーバから、ポータブル医療機器を保守または交換すべきか否かの情報を受信するよう構成される。
【0033】
本方法は、ユーザにより携行されるポータブル医療機器、および同一のユーザにより携行され、位置を決定し、または決定されたその位置を有することの可能なモバイルフォンを提供することを含んでよい。モバイルフォンは、ある時点(第1の時点)において、モバイルフォンの位置を決定し、少なくともセルラーネットワークを介して提供されるデータ接続を介して、サーバへ、地理的位置および第1の時点を供給する。
【0034】
本方法は、モバイルフォンが、モバイルフォンの地理的位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、これらの位置および時点を、少なくともセルラーネットワークを介して提供されるデータ接続を介して、サーバへ転送することを含んでよい。または、本方法は、モバイルフォンが、少なくとも第1の時点および第2の時点についてセルラーネットワークにより決定されるその位置を有し、セルラーネットワークが、位置および時点をサーバへ供給することを含んでよい。
【0035】
添付図面は、本明細書の一部を成し、本発明の好適な実施形態を概略的かつ例示的に説明し、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明に係るシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るシステムの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明に係る方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明に係るシステムの概略図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明に係るサーバの概略図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
システムを図示する図面において、サーバが、ハードウエアおよびソフトウエアコンポーネントの双方において図示されている。
【0038】
注入機器(injection devices)に関し、本明細書において、「注入(injection)」、「注入の時(time of injection)」、「注入手段」、「注入機器」等として参照されるが、注入(injection)はまた、薬剤が医療機器により患者の内部へ注入されることなくイジェクト(排出)(ejected)される場合も参照することが理解されるべきである。これは、例えば、ユーザが、機器が所望のとおり動作するかをチェックする目的のため、少量の薬剤をイジェクトすることにより、注射器を準備する(primes)場合であってよい。
【0039】
開示される閾値、例えば、50℃、は、例示として提供されるのみであって、いかなる意味においても限定的ではない。本発明を使用する際に使用すべき実際の閾値は、試験を実行することにより見出すことができ、実際の機器で使用されるコンポーネントの仕様書中に見出すことができ、または、後述するように機械学習により見出すことができる。閾値は、好適には予め定められており、すなわち、閾値は、少なくとも、サーバが決定ステップを実行する前に決定される。ここで、「データが転送される(transferred)」と参照される場合、データはまた代替的に、「供給される(provided)」ことであってよいと理解される。
【0040】
ここで、「クライアント機器」と参照される場合、好適には、それは、ポータブルクライアント機器、例えばモバイルフォンである。
【0041】
図1を参照して、本発明は、ポータブル医療機器1のユーザが同時にモバイルフォン2を携行するとの前提に基づく。モバイルフォン2は、ユーザの地理的位置(geographical position)、すなわち医療機器1の地理的位置、を確立するために使用される。医療機器1およびモバイルフォン2の間の非常に小さい位置の差(恐らく1m未満)はこのため無視される。地理的位置は、時点(time point)と共に、機器の信頼性に影響し得る多様なパラメータ、例えば局所的温度または湿度、のためのデータを検索するために使用される。局所的温度または湿度は、医療機器1の挙動に影響する可能性があるものとする。例えば、局所的湿度が極度に高い場合、医療機器は、保守または交換を必要とし得る。多数の医療機器1のデータは、機械学習が適用されることが可能なデータセット15中に収集され、機器の障害を予測することが可能なパターンを特定(同定)する。
【0042】
システム50は、医療機器1、モバイルフォン2、セルラーネットワーク3、およびサーバ4を備える。
【0043】
こうして、システム50は、好適には、そのそれぞれが1人のユーザおよび1つのモバイルフォン2に関連付けられる複数の医療機器1を含む。サーバ4は、複数の医療機器1をモニターするために使用されることが可能である。
【0044】
図2を参照して、ここで医療機器1は、ポータブルまたはウェアラブル(装着可能)な医療機器、例えば、薬剤注入(injection)のためのポータブル機器、血糖測定器、ポータブルまたはウェアラブルな透析装置、または例えばインシュリン等の薬剤を輸液(infusion)する輸液用機器等であってよい。ポータブル医療機器は、ハンドヘルド医療機器であってよい。
【0045】
好適な実施形態において、医療機器は、ポータブル注入機器である。ポータブル注入機器1は、例えば成長ホルモン、抗体(例えば抗体に基づく薬剤)、またはインシュリン等の薬剤を注入するために使用されてよい。典型的には、注入機器1は、人により、1日当たり1回から6回自身に注入(注射)するために使用される。こうしたポータブル注入機器は、ユーザにより例えばポケットやハンドバック内に携行されることができる。これは、自身にインシュリンを投与する人にとって最も一般的な方法であり、ユーザの身体に絶え間なく接続されて多かれ少なかれ一日中連続的に薬剤を投与する輸液用機器と対照的である。注入機器は、ユーザの主導(イニシアティブ)で薬剤を投与する。一方、輸液用機器は、多かれ少なかれユーザに絶え間なく(取り外せないように)接続されて薬剤を連続的に供給する。
【0046】
医療機器1が注入機器である場合、医療機器は注入手段6を有する。注入手段6は、注入機器の技術分野において公知であるように配置されてよい。注入手段6は、例えばインシュリン等の薬剤を含む交換可能なカートリッジを取り付ける場所を備えてよい。カートリッジは典型的には、注射器(injection syringe)を取り付ける場所を有する。注入手段6はまた、典型的には、カートリッジ内に圧力を生成するプランジャ(plunger)、およびプランジャがどれだけの距離を移動するかを制御する投与量設定手段を備える。プランジャは、駆動機構により動力供給される。注入手段6はまた、注入アクチュエータ(作動装置)、例えば、ユーザにより押下されることが可能なボタンを備える。これにより、投与量設定手段により許容された程度までのプランジャの移動が引き起こされる。好適な注入手段の例は、WO2015/076745号公報およびその中に引用される文献中に見出すことができる。
【0047】
追加的に、医療機器1は、データ通信を許容するセルラーネットワーク3と通信するためのセルラー無線送受信機24を備えてよい。セルラーネットワーク3は、例えば、GPRS、3G、4G、LTEまたは同様のセルラーネットワークであってよい。セルラー無線送受信機24は典型的には、セルラーネットワーク3中で医療機器1を識別するためのSIMカード、またはSIMカードを取り付けるための場所、を備える。セルラー無線送受信機24は、医療機器1およびサーバ4の間で、例えばインターネットを介したデータ接続を確立することができる。
しかしながら、音声通信は必要ではなく、セルラー無線送受信機24により利用可能にされる必要はない。セルラーネットワーク3を使用した、例えばWi−Fi上の通信の利点は、セルラーカバレッジ(対応範囲)が、手動でのログイン手順を必要とせず、ほぼどこでも利用可能であることである。医療機器1およびサーバ4の間の通信は、さらに、データ通信をサポートする他のタイプのネットワークの接続タイプ、例えば、有線(wire-bound)技術を含んでよい。
【0048】
医療機器1は、動作センサ14を備えてよい。このセンサ14は、医療機器1が使用された際、例えば、医療機器の可動部分の動きを検出することにより、検出することができる。動作センサ14は、例えば、回転部分の回転、医療機器の注入手段6のプランジャの線形運動を検出するよう配置されることができる。
【0049】
センサ14は、例えば、医療機器1の部分の旋回または変位、拡張または収縮、または医療機器1への消耗品(consumable part)の挿入、温度変化、消耗品または材料の使用、区画内の液体のレベル変化、または圧力変化を検出してよい。
【0050】
動作センサ14がどのように配置されることが可能であるかの例は、WO2015/076745号公報およびその中で引用される文献に見出すことができる。動作センサ14は、回転または線形移動を検出することが可能であってよい。動作センサ14は、例えば、動きを検出する光学センサであってよい。
【0051】
医療機器1が注入機器でなく、例えば、輸液用機器または透析装置である場合、動作センサ14は、医療機器1のポンプまたはプランジャの動きを検出してよい。
【0052】
医療機器1が血糖測定器である場合、動作センサ14は、テストスティックのテストスティックポートへの挿入を検出してよい。
【0053】
医療機器1は、ソフトウエアや動作センサ14からのデータを格納するメモリ7、およびソフトウエアを実行して機器の動作センサ14と通信する処理装置8を備えてよい。メモリ7は、好適には固体メモリである。医療機器1、好適には処理装置8は、時点を決定するためのクロックを備えてよい。処理装置8は、医療機器の部分が誤動作した場合、エラーコードを生成することが可能であってよい。エラーコードは、例えば、バッテリーが充電されていない、機器の部分との通信の途絶、処理装置の障害、メモリ障害またはセンサ障害に関連してよい。
【0054】
ポータブル医療機器1は、好適には、バッテリー20により給電される、バッテリー駆動機器であってよい。処理装置8、メモリ7、およびセルラー無線送受信機24は、バッテリー20により給電されてよい。バッテリー20はまた、動作センサ14を給電してよい。バッテリー20はまた、医療機器1の動作に必要となる、ポンプ、またはエンジン、またはセンサ(例えば、血糖センサ)を給電してよい。
【0055】
医療機器1は、医療機器の動作のデジタルログを備えてよい。医療機器1が注入機器である場合、医療機器は、ユーザにより実行され、注入の記録がされた、注入のログを備えてよい。ポータブル医療機器が血糖測定器を備える場合、デジタルログはまた、血糖値のログであってよい。
【0056】
医療機器1はまた、ディスプレイを含むユーザインタフェースを有してよい。医療機器1は、好適には、医療機器1の多様なコンポーネントを収容するハウジングを有する。処理装置8は、医療機器1が所定時間使用されていない場合は、バッテリー電力を節約するため、医療機器1をスイッチオフし、またはスリープモードにするよう構成されてよい。
【0057】
医療機器1の使用の時点は、処理装置8が、動作センサ14が動作に関する信号を処理装置8へ送信する毎に登録することにより、検出されてよい。これらの時点は、機器1のメモリ7内にデジタル形式で格納されてよい。
【0058】
処理装置8は、メモリ7から時点を検索して、セルラー送受信機24の助けを借りてデータ通信を使用し、これらをサーバ5へ転送することが可能であってよい。
【0059】
動作センサ14は、これが存在する場合、処理装置8に、これらの間で信号授受が発生するよう接続される。センサ計測、センサ信号処理、および、センサ14と処理装置8とメモリ7との間の通信は、センサ技術分野において公知であるあらゆる好適な方法で実行されることができる。信号処理およびデータ格納は、機器1の多様な部分、例えば、センサ14、メモリ7、および処理装置8内、で実行されてよい。
【0060】
モバイルフォン2は、好適には、モバイル通信の技術分野で公知であるようなセルラー無線送受信機5を有する。これにより、セルラーネットワーク3と通信することができる。好適には、モバイルフォン2は、音声通信、例えば、GSM(登録商標)上の音声通信をサポートする。糖尿病患者であるかもしれないユーザが助けを必要とする場合、例えば、低血糖症が発生した場合、音声通信は有益であり得る。ユーザは、医療機器1を提供する医療従事業者(health provider)に電話する必要があるかもしれない。モバイルフォン2は、処理装置、メモリ、およびユーザインタフェース(例えば、テキストおよび数値を入力することが可能なタッチスクリーン)を有する。メモリは、データおよびソフトウエアを格納するのに使用されることができる。セルラー無線送受信機5は、典型的には、セルラーネットワーク3内でモバイルフォン1を識別するためのSIMカード、またはSIMカードを取り付けるための場所、を備える。モバイルフォン2は、モバイルフォン2をWi−Fiネットワークへ接続するのに使用されることができるWi−Fiチップ(回路)を有してよい。モバイルフォン2は、衛星52から位置決めのための信号を受信するGPSチップを有してよい。
【0061】
モバイルフォン2は、サーバ4へのデータ接続を確立することが可能であってよい。モバイルフォン2およびサーバ4の間の通信は、例えばセルラーネットワーク(3G、4G、LTE等)、またはWi−Fi等のあらゆる好適な技術で実行されることができる。好適には、無線技術が使用される。モバイルフォン2およびサーバ4の間の通信は、例えばインターネット51等の広域ネットワーク(wide area network)を介して実行されてよい。モバイルフォン2およびサーバ4の間の通信はまた、例えば、モバイルフォンがセルラーネットワーク3へテキストメッセージを送信し(SMS)、セルラーネットワーク3からサーバ4へ情報を送信することにより、実行されてよい。例えばWi−Fiが使用されて時点および位置が転送される場合、このステップでセルラーネットワーク3を含むことは必要ではないかもしれない。
【0062】
好適にはまた、モバイルフォン2のユーザインタフェースは、画像およびテキストを表示するディスプレイを有する。ディスプレイは、好適にはタッチディスプレイである。タッチディスプレイは、ユーザがモバイルフォン2へ情報を入力することを可能とするキーボードを表示することが可能であってよい。好適にはまた、モバイルフォン2は、ソフトウエア、例えばアプリケーションをダウンロードおよびインストールすることが可能である。好適はモバイルフォン(クライアント機器)2の例は、iPhone(登録商標)またはAndroidフォンである。
【0063】
モバイルフォン2は、少なくとも1つのセンサ25を有してよい。センサは、温度センサ、湿度センサ、大気圧センサ、光センサ、および加速度センサのいずれか1つであってよい。センサ25は、以下で説明するとおり、本発明の別個の実施形態中で使用されることができる。
【0064】
モバイルフォン2はまた、現在どこに位置するかの地理的位置を確立することができ、またはセルラーネットワーク3により決定されるその位置を有する。これは、GPS、モバイルフォントラッキング、またはWi−Fi位置決めを含む、あらゆる好適な技術で実現することができる。こうして、モバイルフォン2は、位置決め手段13、例えば、衛星52(
図3および
図6)から信号を受信可能なGPS位置決め手段、を有してよい。地理的位置は、例えば、緯度および経度を使用して表現されてよい。
【0065】
モバイルフォン2は、自動的にモバイルフォン2に位置を決定させ、モバイルフォン2のメモリ中に時点と共に位置を格納させるソフトウエア(例えばアプリケーション)を有してよい。これは、少なくとも所定の時間間隔で、例えば少なくとも15分毎に、繰り返すことが可能である。モバイルフォン2のソフトウエア(アプリケーション)は、この時間間隔を決定することができ、モバイルフォン2のクロックまたはタイマは、時間を決定するのに使用されることができる。アプリケーションはまた、モバイルフォン2に命令を供給して位置をサーバ4へ、例えば、位置を決定する時間間隔より長くてよい所定の時間間隔で、例えば1日当たり1回、転送させてよい。モバイルフォン2のアプリケーションはまた、サーバ4からユーザへ通知を、例えば、医療機器1を保守または交換すべき場合に、供給することが可能であってよい。モバイルフォン2は、そのメモリ中に、医療機器1に関する情報、例えば、医療機器1の識別子、またはユーザの識別子を格納していてよい。
【0066】
モバイルフォントラッキング(追跡)が使用される場合、モバイルフォン2の位置は、セルラーネットワーク3により決定される。セルラーネットワーク3は、モバイルフォン2がどのセルに接続されているかに関する情報を使用してよく、または複数のセルを含む多数セルを使用してよい。セルラーネットワーク3は、その位置が決定されるべきモバイルフォンのデータベースを備えてよい。モバイルフォンの位置は、データベースに格納され、サーバ4に利用可能にされる。セルラーネットワーク3は、モバイルフォン2の位置を所定の間隔で決定する命令を備えてよい。こうして、セルラーネットワーク3のコンピュータは、モバイルフォン2またはモバイルフォン2のグループの位置を、所定間隔で決定するよう構成されてよい。
位置データは、セルラーネットワーク3からサーバ4へあらゆる好適な方法で送信される。例えば、サーバ4は、セルラーネットワーク3のコンピュータまたはデータベースから、特定のモバイルフォン2または複数のモバイルフォン2に関する地理的データを検索してよい。サーバ4は、データベース11内に位置データを格納することができる。
【0067】
GPSまたはWi−Fi位置決めが使用される場合、位置は、モバイルフォン2からサーバ4へ、モバイルフォン2およびサーバ4の間で確立されるデータ接続を使用して送信されてよい。
【0068】
サーバ4は、典型的には、医療従事業者、病院、またはヘルスケア提供会社により運用される。サーバ4は、ソフトウエアおよびデータを格納するメモリを有する。サーバ4は、さらに、プロセッサを有してソフトウエアを実行することができ、またオペレーティングシステムを有してよい。サーバ4は、ユーザインタフェース22を有して、医療従事業者におけるユーザにサーバの設定を変更させ、例えば、閾値を変更したり通知を受信したりの設定を変更させることができる。サーバ4は、モバイルフォン2および/またはセルラーネットワーク3と通信する通信インタフェース9を有する。
いくつかの実施形態において、サーバ4は、モバイルフォン2の位置を、セルラーネットワーク3から、サーバ4がモバイルフォン2と通信することなく、受信する。通信インタフェース9はまた、医療機器1と通信するために使用されてよい。サーバ4は、リモートコンピュータであってよい。サーバ4は、例えば仮想サーバとして協働する2つ以上のコンピュータまたはサーバであってよい。
【0069】
サーバ4は、通信インタフェース9を使用して、位置データを、モバイルフォン2またはセルラーネットワーク3からデータ接続を介して受信することができる。好適には、サーバ4は、それぞれが1つのモバイルフォン2および少なくとも1つの医療機器1を携行する複数のユーザのデータを検索または取得することができる。
【0070】
サーバ4はまた、複数の医療機器1およびモバイルフォン2の識別子を備えるデータベース11を備える。それぞれの医療機器1は、例えば、数値、文字の組み合わせ、または数値と文字の組み合わせであってよい固有の識別子を有する。それぞれのモバイルフォン2はまた、モバイルフォン番号またはISMI番号であってよい固有の識別子を有する。データベース11中で、それぞれの医療機器1の識別子は、1つのモバイルフォン2の識別子に結合される。
【0071】
こうして、特定のモバイルフォン2からのデータは、データベース11中で、特定の医療機器1に結合されることが保証される。
【0072】
サーバ4は、医療機器1に関する決定を実行する決定ルールソフトウエア10を有する。この決定は、医療機器1を保守、廃棄、または交換すべきこと、またはいずれのアクションも取られるべきでないこと、であってよい。決定ルールソフトウエア10は、位置特異的パラメータのための閾値を有してよい。こうして、例えば、温度、湿度、および大気汚染のそれぞれのための閾値が提供されてよい。仮想的な例として、決定ルールは、もし閾値が、少なくとも所定数の場所、例えば3箇所、で値(40℃)を上回ったら、医療機器を交換すべき、と記述する。決定ルールソフトウエア10は、必要に応じて更新されてよい。例えば、閾値は、決定ルールソフトウエア10を更新することにより、上方または下方に調整されてよい。これは、ユーザインタフェース22を使用することにより実行され得る。
【0073】
決定ルールソフトウエア10の1つまたは複数の閾値は、必要に応じて変更されてよい。例えば、経験に基づき、温度の閾値を下げるべきと発見された場合、これは、医療従事業者により、サーバ4の決定ルールソフトウエア10の閾値を単純に変更することにより、便宜な方法で実行することができる。
【0074】
サーバ4は、以下に説明される時点選択ソフトウエア26を有してよい。
【0075】
典型的には、医療機器1は、パーソナル型、すなわち1人の人のみによって使用される。データベース11は、好適には、医療従事業者が医療機器1のユーザへ接触することを許容する情報、例えば、電話番号、電子メイルアドレス、または自宅アドレスを含む。例えば、医療従事業者は、ある医療機器1が保守または交換を必要としており、ユーザにこれに関して知らせる必要があると決定してよい。
【0076】
サーバ4は、セルラーネットワーク3、および/またはモバイルフォン2へのデータ接続を使用して、モバイルフォン2へ、医療機器1が保守または交換を必要としているとの信号を送信することができる。こうした信号は、SMS/テキストメッセージの形式であってよく、またはモバイルフォン2中のアプリケーションを介してであってよい。モバイルフォン2で音声通知および/または振動もまた提供されてよい。
【0077】
サーバ4は、医療機器1へのデータ接続を使用して、医療機器1へ信号を送信してよく、この信号により、医療機器1は、医療機器のユーザに、医療機器1が保守又は交換を必要としていることを通知する。
サーバ4からの信号により、医療機器1は、システムチェック、例えばバッテリー電力のチェック、を実行してよい。信号処理は、好適には、医療機器1およびサーバ4の間の、動作データをサーバ4へ送信するのに使用されるのと同一の通信セッションで発生してよい。
代替的に、これは、後の通信セッションで発生する。ユーザへの通知は、医療機器1のディスプレイ上に表示されるメッセージ、または音声信号、または振動、またはこれらの組み合わせであってよく、または医療機器1のシャットダウンによるものであってよい。ディスプレイ上のメッセージは、例えば、「エラー」、または「保守」または「医療従事業者Xにコンタクト」、または「XX−XXXXXへ電話」であってよい。医療機器は、こうして、ユーザインタフェースを有し、これは、通知のため使用されることのできるディスプレイを含んでよい。
【0078】
図3および
図4を参照して、サーバ4は、モバイルフォン2の地理的位置を時点とともに使用して、ユーザの位置のための、すなわち医療機器1のための位置特異的データを検索し、この位置特異的データを使用して、医療機器1を保守または交換すべきか否かを決定することができる。医療機器1は、動作センサ14、セルラー送受信機24、メモリ7、処理装置8、およびバッテリー20のそれぞれを有してもよく、有さなくてもよい。
【0079】
図4のステップ100において、モバイルフォン2は、その位置を決定し、または代替的に、モバイルフォン2の位置は、セルラーネットワーク3により決定される。これは、上記の方法で実行することができる。この位置は、第1の時点について決定される。モバイルフォン2は、自動的にモバイルフォン2に位置を決定させ、その位置を時点とともに、モバイルフォン2のメモリ内に格納させるソフトウエア(例えば、アプリケーション)を有してよい。これは、少なくとも好適な所定の時間間隔、例えば、少なくとも15分毎に繰り返されることができる。これにより、医療機器1の連続的モニタリングが提供される。モバイルフォン2のソフトウエア(アプリケーション)は、この時間間隔を決定し、モバイルフォン2内のクロックまたはタイマは、時間を決定するために使用されることができる。代替的に、セルラーネットワーク3は、モバイルフォンの位置を、所定の時間間隔で、例えば15分毎に1回、決定するよう構成される。
【0080】
所定の時間間隔は、例えば、少なくとも5分毎から少なくとも24時間毎であってよい。好適な時間間隔は、少なくとも15分毎または少なくとも1時間毎であってよい。
【0081】
ステップ101において、モバイルフォン2は、位置、および当該位置のための時点を、サーバ4へ、データ接続を使用して転送する。モバイルフォン2は、最初に自身をサーバ4に対して同定(識別)してよい。識別は、当該技術分野で公知なあらゆる方法で実行されてよい。これにより、サーバ4は、モバイルフォンからの位置データを、データベース11中の正確な医療機器1に関連付けることができる。位置データは、少なくとも好適な(より長い)所定の時間間隔ポイント、例えば、1日当たり1回、1日当たり2回、1日当たり4回、または1時間当たり1回、でサーバ4へ転送される。
代替的に、セルラーネットワーク3は、モバイルフォン2の位置を、セルラーネットワーク3から直接サーバ4へ、例えば、モバイルフォン2がどの基地局に接続されているかに基づいて、提供する。セルラーネットワーク3は、これを、例えば1日当たり1回である、所定の時間間隔で実行することができる。サーバ4は、セルラーネットワーク3に対して、モバイルフォン2の位置を、所定の時間間隔で検索することができる。
【0082】
ステップ102で、サーバ4は、時点を使用して、位置および時点(第1の時点)のための位置特異的データを検索する。位置特異的データは、パラメータの値、例えば、当該位置についての、温度、大気圧、湿度、交通量、大気汚染、および人の密度のうちの1つであってよい。位置特異的データは、データの外部サプライヤ21から検索されてよい。データの外部サプライヤは、位置特異的データを有するあらゆるプロバイダまたはデータベースであってよい。天候、温度、大気圧、湿度、および大気汚染に関する情報は、例えば、天気サービスから検索されることができる。交通量、または人の密度に関する情報は、例えば、Googleから検索されてよい。位置特異的データはまた、サーバ4中の別個のデータベースから供給されてよい。
こうした情報がいかに使用されて機器の損耗を予測するかを、以下説明する。第1の時点の時点に正確に合致する時点のための位置特異的データ(例えば、温度)が存在しなかった場合(これはしばしば起き得るが)、サーバ4または外部プロバイダ21は、第1の時点に最も近接する時点のための位置特異的データを選択してよい。
【0083】
ステップ103で、サーバ4は、位置特異的データを使用して、医療機器1を保守または交換すべきか否かを決定する。サーバ4は、決定ルールソフトウエア10を使用してこれを実行する。決定ルールソフトウエア10の決定ルールは、閾値であってよい。例えば、医療機器1が40℃より高い温度下に晒されている場合、交換されるべきである。当然ながら、最も頻度の高い決定は、何らのアクションも取らず、医療機器1の継続的使用を許容することである。
【0084】
例えば、特定の医療機器1が、40℃より高い気温に晒されるべきでないということとする。この場合、閾値は、40℃に設定される。例えば、ユーザがニューデリーに位置しており、時点が11:45である場合、サーバ4は、この情報を使用してニューデリーでのこの位置のための11:45(または11:45に近い時点)の温度データを検索する。この時および位置の温度データは42℃であった。この値は、40℃より暑いため、サーバ4は、医療機器を交換すべきと判定する。同様の閾値は、最低温度、大気圧等のため使用されることができる。
【0085】
保守または交換の決定は、直ちに実行される必要はない。この方法は、時系列上、医療機器の群(fleet)をモニターするために使用されることができ、医療機器1が有害な状況に晒されてから後相当な時間が経過したとき、1つ以上の医療機器を同時に保守または交換することを決定することができる。
【0086】
閾値を有する決定ルールを含む方法の例が、
図5に示されている。ステップ201で、サーバ4の決定ルールソフトウエア10は、位置特異的データ、この場合温度、を受信する。ステップ202で、決定ルールソフトウエア10は、決定ルールを適用する。この場合、決定ルールは、40℃を上回る温度が、例えば外部プロバイダ21から、サーバ4へ提供されたら、医療機器1を交換すべきとするものである。ステップ202で、記録された温度値が40℃以下であると分かれば、ステップ203で、機器を交換しないとの決定がなされる。外部プロバイダからの温度値が40℃を上回れば、ステップ204で、医療機器1を交換するとの決定がなされる。このように、医療機器が、40℃を上回る温度に晒されている場合、ステップ204で、決定ルールソフトウエア10により、機器を交換するとの決定がなされる。
【0087】
決定ルールはより複雑であってよく、以下の仮想事例で説明されるように、2つ以上のパラメータを含んでよい。
【0088】
決定ルールソフトウエア10の出力は、サーバ4から、通信インタフェース9および/またはユーザインタフェース22により、通信されることが可能である。ユーザインタフェース22は、医療機器1の交換、廃棄、または保守に関する通知を提供してよい。こうした通知は、あらゆる好適な形式であってよい。通知は、複数の医療機器1の記録を取るコンピュータシステムに送信される。こうしたコンピュータシステムは、例えば、新規の機器を自動的に注文する、医療機器1のユーザに通知または警告する、または医療または技術スタッフに通知または警告する、等の関連するアクションを取ってよい。通知は、好適には、モバイルフォン2に、例えば、テキスト/SMSで、またはモバイルフォン2中のアプリケーションに、送信されることができる。
【0089】
本発明の異なる態様において、地理的位置は、必ずしも確立されなくともよい。これに替えて、モバイルフォン2のセンサ25が、医療機器1のための代理(proxy)センサとして使用される。AndroidまたはiOSに適合するモバイルフォンは、しばしは、1つ以上の以下のセンサを有する:大気圧センサ、温度センサ、加速度センサ、湿度センサ、および光センサ。このため、データの外部サプライヤ21からデータを取得する必要が必ずしもないかもしれない。
図4を参照して、ステップ100は、必ずしも実行されなくてもよく、これに替えて、モバイルフォン2がセンサ25を使用して、大気圧、温度、加速度、湿度、および光から選択されるパラメータ、またはモバイルフォン2のセンサ25により検出可能な他のパラメータの値を決定する。この値は、モバイルフォン2のメモリに格納される。
【0090】
ステップ101で、これに替えて、センサ25により決定されたパラメータの値は、サーバ4へ、モバイルフォン2およびサーバ4の間のデータ接続を使用して転送される。
図4のステップ102は、実行されない。ステップ103は、
図4にあるように実行される。センサ25は、パラメータの値を、少なくとも所定の時間間隔で決定してよい。これは、モバイルフォン2のメモリ中のソフトウエア、例えばアプリケーション、により制御され得る。
【0091】
図6および
図7を参照して、医療機器1が、医療機器1の使用を検知する動作センサ14を有する場合、この方法は、医療機器1の動作イベントの時点を、地理的位置の時点と対にする(pairing)ステップを含んでよい。医療機器1が動作中、例えば、輸液用ポンプが稼動している、または注入を実行中であるとき、時点のための位置特異的データを決定することは、特に重要である。
【0092】
位置データは、モバイルフォン2からサーバ4へ送信され、時点を比較することにより、センサ計測値(例えば動作センサ14による)と対にされることができる。こうして、サーバ4は、モバイルフォンにより決定される(またはセルラーネットワーク3により決定される)、動作イベントの時点に最も近接する地理的位置を選択することができる。
【0093】
図6は、モバイルフォン2がセルラー無線送受信機5(第1のセルラー送受信機)を有し、医療機器1がまたセルラー送受信機24(第2のセルラー送受信機)を有するシステム50を示す。医療機器1は、第2のセルラー送受信機24を使用して、サーバ4へのデータ接続を確立し、サーバ4へ、医療機器1の使用(動作イベント)の時点に関するデータを転送する。
【0094】
図7を参照して、ステップ301で、モバイルフォン2は、好適には、例えばGPSまたはWi−Fi位置決めを使用して、位置を決定し、この位置および時点を、サーバ4へ、データ接続を使用して、転送または供給する。これは、
図4のステップ100および101につき上記したように、少なくとも所定の時間間隔で実行される。これにより、少なくとも第1および第2の時点が、モバイルフォン2からサーバ4により受信される。
代替的に、モバイルフォン2の位置は、セルラーネットワーク3により決定され、この場合、位置は、セルラーネットワーク3により、サーバ4へ供給される。こうして、少なくとも第1の地理的位置に関連付けられる第1の時点と、第2の地理的位置に関連付けられる第2の時点とが、サーバ4内に格納される。こうして、地理的位置に関連付けられる複数の時点が、サーバ4内に格納される。言うまでもなく、2つより多い時点であり得る。
【0095】
ステップ302で、医療機器1のユーザは、例えば、注入を行うことにより、医療機器1を使用する。これは、動作センサ14により検出される。この時点(第3の時点)は、医療機器1のクロックにより決定され、当該時点は、メモリ7に格納される。こうして、医療機器の使用が、動作センサ14により検出される。医療機器の使用は、センサ14により検出されるような可動部分の動きとして定義されてよい。
【0096】
ステップ303で、医療機器1は、サーバ4との間で確立されるデータ接続を確立する。医療機器1は、例えば、セルラー無線送受信機24を使用して、セルラーネットワーク3を介してサーバ4へのデータ接続を確立する。医療機器1はその後、動作の時点(第3の時点)をサーバ4へ転送する。これは、所定の時間間隔で、またはユーザが医療機器1を使用した直後、例えば、注入をした直後、に実行されることができる。時点の転送は、このように、医療機器1の動作が契機(トリガー)(triggered)となる。例えば、医療機器が注入機器である場合、注入の実行は、時点のサーバへの転送のトリガーとなってよい。医療機器が、血糖測定器である場合、測定動作が、時点の転送のトリガーとなってよい。医療機器が、透析装置である場合、透析サイクルの完了により、動作の時点を転送してよい。転送は、少なくとも所定の時間間隔で、例えば、少なくとも1日当たり1回、または1時間当たり1回、なされてよい。動作時点を転送する所定の時間間隔は、好適には、モバイルフォンの位置がいつ決定されるかの所定の時間間隔より長くてよい。動作イベントは、医療目的での医療機器1の使用のログを取るため、例えば、治療計画に基づく患者の薬剤服用順守をモニタリングするため、使用されてよい。
【0097】
第1、第2、および第3の時点は、サーバ4のメモリに格納される。ステップ301は、ステップ302または303の前後に実行されてよい。ステップ301、302、および303は、繰り返し実行されて、サーバ4中に2セットの時点を作成してもよい。動作の時点を正確な地理的位置と対にするため、サーバは、ステップ304および305を実行する。
【0098】
ステップ304で、サーバ4は、少なくとも、第1、第2、および第3の時点を、時点選択ソフトウエア26へ供給する。時点選択ソフトウエア26は、ステップ305で、第1の時点および第2の時点から、第3の時点に最も近接する時点を選択する。こうして、時点選択ソフトウエア26は、それぞれが地理的位置に関連付けられる複数の時点から、動作の時点に最も近接する時点を選択する。
【0099】
第1の時点が最も近接する場合、第1の時点の位置が、ステップ306で、位置特異的データを検索するのに使用される。第2の時点が最も近接する場合、その時点の位置が、ステップ307で、位置特異的データを検索するのに使用される。ステップ306および307は、
図4のステップ102として実行される。
【0100】
例えば、医療機器1からの動作センサ14の計測が、15:25(第3の時点)に発生し、15:00の位置Xおよび15:30の位置Yがある場合、サーバ4の時点選択ソフトウエア26は、それが時間上15:25の動作センサ1の計測値に最も近接するため、位置Yを選択する。こうして、サーバ4は、位置Yを使用して、位置特異的データを検索する。
【0103】
表1の例において、座標X
2Y
2の位置が、位置特異的データを検索するのに使用される。位置X
4Y
4もまた、位置特異的データを検索するのに使用される。
【0104】
ここにおける他の実施形態と組み合わせることが可能な別個の実施形態において、動作データは、医療機器1からモバイルフォン2へ、無線で、例えば、Bluetooth(登録商標)または近距離無線通信(NFC)を使用して転送され、モバイルフォン2は、このデータを、上記のようにリモートコンピュータ4へ転送する。サーバ4はその後、上記のように動作イベントデータを使用する。
【0105】
図8を参照して、好適な実施形態において、決定ルールソフトウエア10は、機械学習をデータセット15に適用することにより生成される決定ルールを実装する。このデータセット15は、同等の(similar)ポータブル医療機器から以前に収集されたデータを備え、このデータセット15は、同等の機器のあらゆる以前の障害に関するデータを備える。障害は、こうした同等のポータブル衣料機器の、故障(breakdowns)、障害(failure)、交換またはエラーコードを含む。
【0106】
「同等な(similar)」または「比較可能な(comparable)」機器とは、例えば、これらが同様なモデルである、または同様な挙動であることが合理的に期待できるような所定のコンポーネントを共有するなどの理由で、比較することができることを意味する。
【0107】
機械学習自体は、以前から公知である。機械学習は、例えば、ベイズ(Bayesian)ネットワークまたは人工ニューラルネットワークを適用することを含んでよい。ガイダンスは、US2014/0012784号公報、US2008/0059120号公報、およびUS8819498号公報中に見出すことができる。サーバ4は、データセット15を分析して決定ルールソフトウエア10に実装される決定ルールを生成する機械学習ソフトウエア16を備えてよい。データセット15は、ユニットデータベース11中に情報を有してよい。
【0108】
データセット15は、あらゆる有用な情報を有してよい。このため、データセット15は、モデル、シリアル番号、ユーザのアドレス、製造日、医療機器1のコンポーネントおよび製造業者、および以前に記録された位置特異的データ(温度、湿度等)に関する情報を含んでよい。
【0109】
重要なことに、データセット15は、医療機器1または同等の医療機器の以前の障害に関する情報を有する。このデータは、手動で入力され得る。代替的に、データセット15は、医療機器1または比較可能な医療機器からエラーコードを自動的に受信してよい。データセット15のサイズは、時系列上増加していき、決定ルールを改良していく。この方法は、医療機器1からのエラーコードに関する情報をデータセット15に自動的に追加するステップを含んでよい。この方法は、医療機器1からのエラーコードに関する情報をデータセットに自動的に追加するステップを含んでよい。
【0110】
機械学習をデータセット15に適用することにより、決定ルールソフトウエア10の決定ルールは、以前には未知であったファクタを、医療機器1を診断するため、考慮することができるようになる。例えば、低い温度下における所定の使用パターン(例えば、高頻度の使用等)は、医療機器の損傷のリスクを増加させ得ることは、蓋然性が高い。こうした障害パターンを、機械学習を使用することにより検出することができる。こうして、この方法は、リサーチツールとして使用することができる。データセット15に含めることができ、これにより機械学習ソフトウエア16が、決定ルールソフトウエア10中の決定ルールを生成する際に考慮することができるパラメータは、以下を含んでよい:温度、湿度、大気汚染、使用パターン、エラーコード、使用の時刻またはエラーコードを生成した時間、モデル、シリアル番号、ユーザのアドレス、製造日、医療機器1内のコンポーネントのシリアル番号、および医療機器1の交換。また、センサ25からのデータが使用されてよい。例えば、所定の加速度パターンは、ユーザが運動を実行していることを示し得る。
【0111】
機械学習をデータセット15へ適用することにより、医療機器1の障害を予測する新たなパターンを発見することができる。こうしたパターンは、まだ発見されていないが、いくつかの純粋に仮想的な例を、以下、例示目的のみで説明する。第1の仮想的な例は、高温度での注入は、医療機器1の損耗を予測するというものである。第2の仮想的な例は、高温度と高湿度の組み合わせが、医療機器がある下請業者からの部品を有する場合、医療機器の障害をもたらすというものである。第3の例は、1mlを超える容量の注入は、バッテリー充電エラーコードをもたらすというものである。
【0112】
好適には、データセット15は、多数の医療機器1、好適には1000より多い医療機器1からのデータを含む。
【0113】
本方法は、サーバ4が、データセット15に、位置特異的データ、センサ14またはセンサ25からのデータまたは時点または位置、外部サプライヤ21、医療機器1、またはモバイルフォン2から受信された位置特異的データを追加するステップを含んでよい。
【0114】
本方法は、機械学習ソフトウエア16が、更新されたデータセット15を分析して更新された決定ルールを生成し、決定ルールソフトウエア10を新たな決定ルールで更新するステップを含んでよい。これは
図9に、ステップ400において、いかにサーバ4がデータ、例えば位置特異的データ、を外部サプライヤ21から受信するか、として示されている。このデータはその後、データセット15に追加される。ステップ401で、機械学習ソフトウエア16は、更新されたデータセット15を分析して、ステップ402で、更新された決定ルールを生成する。この更新された決定ルールは、その後ステップ403で、決定ルールソフトウエア10を更新するのに使用される。機械学習ソフトウエア16は、決定ルールが決定ルールソフトウエアを更新するために使用されるための少なくとも最小限の所定の信頼性を有することを保証するよう、決定ルールを提供するためにカットオフを適用してよい。
【0115】
ステップ403は省略されてよい。ステップ403が省略される場合、決定ルールソフトウエアは、手動で更新されてよい。機械学習ソフトウエア16は、その後、決定ルールソフトウエアを自動的に更新し得るオペレータに、(ユーザインタフェース22を使用して)通知を送信してよい。
【0116】
以上、本発明を、特定の例示的実施形態を参照して説明したが、本開示は一般的に本発明の概念を例示的に説明することのみを意図するものであって、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。本発明は、特許請求の範囲により一般的に規定される。
【手続補正書】
【提出日】2019年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより携行されるポータブルまたはウェアラブル医療機器(1)、および同一のユーザにより携行されるクライアント機器(2)を使用する方法であって、
前記医療機器(1)は、ハウジング内に統合される、動作センサ(14)、処理装置(8)、メモリ(7)、およびセルラー無線送受信機(24)を有し、前記メモリ(7)内に、動作イベントの時点に関する情報を格納することが可能であり、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)に少なくとも所定の時間間隔で位置を決定させる命令を備え、または、セルラーネットワーク(3)が前記クライアント機器(2)の前記位置をサーバ(4)へ所定の時間間隔で提供し、
前記方法は、
a.前記クライアント機器(2)が、少なくとも第1の時点および第2の時点において、前記クライアント機器(2)の地理的位置を決定し、これらの位置および前記時点を、データ接続を介してサーバ(4)へ供給するステップ、または、前記クライアント機器(2)が、少なくとも第1の時点および第2の時点において、セルラーネットワーク(3)により決定されるその位置を有し、前記セルラーネットワーク(3)が、前記位置および前記時点を、前記サーバ(4)へ供給するステップ、
b.前記医療機器(1)が、前記動作センサ(14)を使用して、前記医療機器(1)がいつ使用されたかの時点(第3の時点)を決定するステップ、
c.前記医療機器(1)が、そのセルラー無線送受信機(24)を使用して、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立して、前記第3の時点を前記サーバ(4)に転送するステップ、
d.前記サーバ(4)が、少なくとも前記第1の時点および第2の時点のうち、前記第3の時点に最も近接する時点を選択するステップ、
e.前記サーバ(4)が、前記位置およびステップd)で選択された前記時点を使用して、前記位置および前記時点のための位置特異的データを検索するステップ、ここで前記位置特異的データは、天気または気候パラメータ、大気圧、湿度、温度、交通量、大気汚染、大気中粒子密度、大気中花粉密度、人の密度、および海抜高度からなる群から選択され、その後、
f.前記サーバ(4)が、ステップe)からの前記位置特異的データを使用して、前記医療機器を保守または交換すべきか否かを決定するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
ステップc)は、前記医療機器により、少なくとも所定の時間間隔で実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
ステップc)は、前記医療機器(1)により、前記医療機器(1)が使用された後、自動的に実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、
ステップf)は、前記サーバ(4)が、機械学習をデータセット(15)に対して適用することにより生成される決定ルールを適用し、前記データセット(15)は、同等の医療機器について以前に収集された位置特異的データを含み、前記データセット(15)はまた、同等のポータブル医療機器の以前の障害に関するデータを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ポータブル医療機器(1)は、薬剤を注入する機器である、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記クライアント機器(2)は、前記地理的位置を決定し、前記地理的位置および前記時点を、前記セルラーネットワーク(3)により提供されるデータ接続を介して、前記サーバ(4)に転送する、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
ユーザにより携行されるポータブル医療機器(1)、および同一のユーザにより携行されるクライアント機器(2)、セルラーネットワーク(3)、およびサーバ(4)を備えるシステムであって、
前記医療機器(1)は、ハウジング内に統合される、動作センサ(14)、処理装置(8)、メモリ(7)、およびセルラー無線送受信機(24)を有し、前記メモリ(7)内に、動作イベントの時点に関する情報を格納することが可能であり、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)の地理的位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定および格納し、前記地理的位置および前記時点を、データ接続を介してサーバ(4)へ供給するよう構成され、または、前記セルラーネットワーク(3)は、前記クライアント機器(2)の前記位置を、少なくとも第1の時点および第2の時点について決定し、前記位置および前記時点を前記サーバ(4)へ供給するよう構成され、
前記医療機器(1)は、前記動作センサ(14)を使用して、前記医療機器(1)がいつ使用されたかの時点(第3の時点)を決定し、そのセルラー無線送受信機(24)を使用して、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立して、前記第3の時点を前記サーバ(4)に転送するよう構成され、
前記サーバ(4)は、少なくとも前記第1、第2および第3の時点を受信して、少なくとも前記第1の時点および前記第2の時点から、前記第3の時点に最も近接する時点を選択し、前記選択された時点を使用して、前記時点についての位置特異的データを検索するよう構成され、ここで前記位置特異的データは、天気または気候パラメータ、大気圧、湿度、温度、交通量、大気汚染、大気中粒子密度、大気中花粉密度、人の密度、および海抜高度からなる群から選択され、
前記サーバ(4)は、前記位置特異的データを使用して、前記医療機器(1)を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成され、
ここで、前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)に少なくとも所定の時間間隔で位置を決定させる命令を備え、または、セルラーネットワーク(3)が前記クライアント機器(2)の前記位置をサーバ(4)へ所定の時間間隔で提供する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
前記医療機器(1)は、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立し、前記第3の時点を前記サーバ(4)へ、少なくとも所定の時間間隔で転送するよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のシステムであって、
前記医療機器(1)は、前記サーバ(4)へのデータ接続を確立し、前記第3の時点を前記サーバ(4)へ、前記医療機器(1)が使用された後に自動的に転送するよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記サーバによる前記決定のステップは、前記サーバ(4)が、機械学習をデータセット(15)に対して適用することにより生成される決定ルールを適用することを含み、前記データセット(15)は、同等の医療機器について以前に収集された位置特異的データを含み、前記データセット(15)はまた、前記同等の医療機器の以前の障害に関するデータを含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項7から9のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ポータブル医療機器(1)は、薬剤の注入のための機器である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
識別されたポータブル医療機器(1)に関連する、その中に格納される情報を有するサーバ(4)であって、
前記サーバ(4)は、クライアント機器(2)の位置および時点を受信し、前記位置および前記時点を使用して、前記時点についての位置特異的データを検索し、前記位置特異的データを使用して、前記ポータブル医療機器(1)を保守または交換すべきか否かを決定するよう構成される、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項13】
請求項12に記載のサーバであって、
少なくとも、前記クライアント機器(2)の第1の位置に関連する第1の時点、および前記クライアント機器(2)の第2の位置に関連する第2の時点を受信し、
前記ポータブル医療機器(1)から、前記医療機器(1)がいつ使用されたかを示す時点(第3の時点)を受信し、
前記サーバ(4)は、少なくとも前記第1の時点および前記第2の時点の中から、前記第3の時点に最も近接する時点を選択する時点選択ソフトウエア(26)を有し、
前記サーバ(4)は、選択された前記時点および位置を使用して、前記位置特異的データを検索するよう構成される、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のサーバであって、
前記医療機器(1)を保守または交換すべきかの前記決定は、前記サーバ(4)が、機械学習をデータセット(15)に適用することにより生成される決定ルールを適用することを含み、
前記データセット(15)は、同等の医療機器について以前に収集された位置特異的データを含み、前記データセット(15)はさらに、前記同等のポータブル医療機器の以前の障害に関するデータを含む、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項15】
個々のポータブル医療機器(1)に関する、その中に格納される情報を有するクライアント機器(2)であって、
前記クライアント機器(2)は、前記クライアント機器(2)の地理的位置を決定し、前記地理的位置の決定の時点と共に格納し、前記地理的位置および前記時点を、サーバ(4)へデータ接続を介して供給するよう構成され、
前記クライアント機器(2)は、前記サーバ(4)から、前記ポータブル医療機器(1)を保守または交換すべきかの情報を受信するよう構成される、
ことを特徴とするクライアント機器。
【国際調査報告】