特表2019-531522(P2019-531522A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-531522適応的目標グルコース値による基礎滴定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-531522(P2019-531522A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】適応的目標グルコース値による基礎滴定
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/17 20180101AFI20191004BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
   G16H20/17
   A61M5/172 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2019-500505(P2019-500505)
(86)(22)【出願日】2017年6月23日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月6日
(86)【国際出願番号】EP2017065578
(87)【国際公開番号】WO2018007172
(87)【国際公開日】20180111
(31)【優先権主張番号】16178554.8
(32)【優先日】2016年7月8日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.ANDROID
4.iPhone
5.Linux
6.UNIX
7.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アーラドッティル, ティナ ビョーク
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマイヤー, ピート
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066QQ22
4C066QQ61
4C066QQ82
4C066QQ92
5L099AA03
(57)【要約】
対象者に対する長期作用型インスリン薬剤投与量を調整するためのシステムおよび方法が提供される。対象者の複数のタイムスタンプ付与グルコース測定値およびインスリン注射データが得られる。第1の血糖リスク尺度が判断され、ここで、第1の血糖リスク尺度は、i)グルコース測定値にわたるグルコース値変動、(ii)グルコース測定値から算出される空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値における最小の観察されるグルコース測定値、(iv)ISFの変化率、または(v)アドヒアランス値である。空腹時血糖目標関数は、少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づいて計算されることで、最小の目標空腹時血糖値と最大の目標空腹時血糖値との間にある更新された目標空腹時血糖値を得る。長期作用型インスリン薬剤投与量は、更新された目標空腹時血糖値に基づいて調整される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量(216)を自律的に調整するためのデバイス(250)であって、1つまたは複数のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を含み、前記メモリは、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン(214)を含む前記処方されたインスリンレジメン(212)を含む第1のデータ構造(210)であって、前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンは前記長期作用型インスリン薬剤投与量を指定し、前記第1のデータ構造は、(i)目標空腹時血糖値(225)、(ii)最小の目標空腹時血糖値(226)、および(iii)最大の目標空腹時血糖値(227)、ならびに、前記対象者が注射する時に関する指示(218)をさらに含む、第1のデータ構造(210)と、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行される時、
経時的変化で取られる前記対象者の複数のグルコース測定値、および、前記複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値(230)に対して、前記経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと、
前記処方されたインスリンレジメンを適用するために前記対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることであって、前記第2のデータセットは前記経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含み、前記複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)前記1つまたは複数のインスリンペン(104)における対応するインスリンペンを使用して前記対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)前記対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に前記対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含む、第2のデータセット(238)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、前記第1の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも前記第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、前記最小の目標空腹時血糖値(226)と前記最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
前記更新された目標空腹時血糖値に基づいて前記長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を行う方法を行う命令と
を含む、デバイス(250)。
【請求項2】
前記空腹時血糖目標関数は、少なくとも、前記第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、前記第1の血糖リスク尺度および前記第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される前記最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および前記第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、前記空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、cはx番目の血糖リスク尺度に適用されるi番目の定数であり、前記x番目の血糖リスク尺度は、前記第1の血糖リスク尺度および前記第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にあり、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の血糖リスク尺度は前記複数の空腹時グルコース値における前記変動であり、前記第2の血糖リスク尺度は前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアであり、前記第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および前記第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、前記空腹時血糖目標関数は、
+c=FGL
の形式を有し、cは前記第1の血糖リスク尺度に適用される定数であり、cは前記第2の血糖リスク尺度に適用される定数であり、FGLは前記目標空腹時血糖値である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の血糖リスク尺度は前記複数の空腹時グルコース値における前記変動であり、前記第2の血糖リスク尺度は前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアであり、前記第3の血糖リスク尺度は前記対象者の前記複数のグルコース測定値における前記最小グルコース測定値であり、前記空腹時血糖目標関数は、(i)前記N次元空間の1次元としての前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、(ii)前記N次元空間の2次元としての前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコア、および(iii)前記N次元空間の3次元としての前記対象者の前記複数のグルコース測定値における前記最小グルコース測定値の関数である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数の空腹時グルコース値における前記変動に対する可能な値の範囲は3次元空間(
)の1次元を画定し、前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアに対する可能な値の範囲は前記3次元空間における2次元を画定し、前記最小グルコース測定値に対する可能な値の範囲は前記3次元空間における3次元を画定し、前記空腹時血糖目標関数は、
x+cy+cz=FGL
の形式を有し、cは前記複数の空腹時グルコース値における前記変動に適用される第1の定数であり、cは前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアに適用される第2の定数であり、cは前記最小グルコース測定値に適用される第3の定数であり、FGLは前記目標空腹時血糖値である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記方法は、前記第1のデータ構造において前記更新された目標空腹時血糖値を記憶することをさらに含み、前記方法は定期的に繰り返される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数のグルコース測定値における連続的な測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで前記対象者から自律的に取られる、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスはワイヤレス受信機(284)をさらに含み、前記第1のデータセットは、前記対象者に付けられたグルコースセンサ(102)からワイヤレスに得られる、かつ/または前記第2のデータセットは、前記1つまたは複数のインスリンペン(104)からワイヤレスに得られる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の血糖リスク尺度または前記第2の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数のグルコース値における全体的なグルコース値の範囲、
(ii)前記複数のグルコース値におけるグルコース値の四分位数範囲、
(iii)前記複数のグルコース値(σ)の平均(μ)からの前記複数のグルコース値における前記グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは前記複数のグルコース値における前記i番目のグルコース値であり、Pは前記複数のグルコース値における前記グルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される前記複数のグルコース値における前記グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動である、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の血糖リスク尺度または前記第2の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の範囲、
(ii)前記複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の四分位数範囲、
(iii)前記複数の空腹時グルコース値(σ)の平均(μ)からの前記複数の空腹時グルコース値における前記空腹時グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、mは前記複数の空腹時グルコース値における前記i番目の空腹時グルコース値であり、Pは前記複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される前記複数の空腹時グルコース値における前記空腹時グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項12】
前記方法は、前記対象者の1つまたは複数の生理学的測定値(247)を含む第3のデータセット(246)を自律的に得ることをさらに含み、前記空腹時血糖目標関数は、少なくとも、前記第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、前記第1の血糖リスク尺度および前記第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される前記最小グルコース測定値、または
(iv)前記対象者の前記1つまたは複数の生理学的測定値である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記方法は、前記対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータセットを自律的に得ることをさらに含み、前記空腹時血糖目標関数は、少なくとも、前記第1の血糖リスク尺度、前記第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度に基づき、前記第1の血糖リスク尺度、前記第2の血糖リスク尺度、および前記第3の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される前記最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の前記変化率、
(v)前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコア、または
(vi)前記対象者の前記1つまたは複数の生理学的測定値である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、前記対象者の体温、または前記対象者の心臓血管活動の測定値である、請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための方法であって、
経時的変化で取られる前記対象者の複数のグルコース測定値、および、前記複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値(230)に対して、前記経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと、
前記処方されたインスリンレジメンを適用するために前記対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることであって、前記第2のデータセットは前記経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含み、前記複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)前記1つまたは複数のインスリンペン(104)における対応するインスリンペンを使用して前記対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)前記対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に前記対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含む、第2のデータセット(238)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、前記第1の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも前記第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
前記更新された目標空腹時血糖値に基づいて前記長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、患者および医療関係者が糖尿病に対するインスリン治療を管理する際に支援し、ここで、処方された基礎注射は、血糖または連続グルコースデータセットに基づいて滴定され、目標の空腹時血糖目標値が推定される低血糖および高血糖のリスクに適応される、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は、正常な生理的インスリン分泌の進行性崩壊によって特徴付けられる。健常人では、膵臓β細胞による基礎インスリン分泌は、食間の長期間に定常のグルコース値を維持するために連続して生じる。また、健常人では、食事に反応して最初の第1段階のスパイクにインスリンが急速に放出されるといった食事分泌があり、その後、インスリン分泌は長引き、2〜3時間後に基礎値に戻る。
【0003】
インスリンは、グルコース、アミノ酸、および脂肪酸の骨格筋および脂肪内への細胞取込を促進することによって、および、肝臓からのグルコースの生産を抑制することによって、血糖を低下させるためにインスリン受容体に結合するホルモンである。正常な健常人では、生理的基礎インスリン分泌および食事インスリン分泌は、正常血糖を維持し、これは、空腹時血漿グルコース濃度および食後血漿グルコース濃度に影響する。基礎インスリン分泌および食事インスリン分泌は、2型糖尿病では損なわれ、早期の食後反応がない。これらの有害事象に対処するために、2型糖尿病の患者にはインスリン薬剤治療レジメンが提供される。1型糖尿病の患者にもインスリン薬剤治療レジメンが提供される。これらのインスリン薬剤治療レジメンの目的は、推定される低血糖および高血糖のリスクを最小限に抑えるようにする所望の空腹時血糖目標値を維持することである。
【0004】
調整可能な刻み幅および生理学的パラメータ推定、ならびに既定の空腹時血糖目標値によるスマートな滴定装置は、インスリン薬剤治療レジメンを施すように開発されている。
【0005】
Hygieia社による「System for Optimizing A Patient’s Insulin Dosage Regimen」という名称の米国特許第8,370,077号は、経時的に患者のインスリン投与量レジメンを最適化するためのシステムであって、入力は、少なくとも、患者の現在のインスリン投与量レジメンにおける1つまたは複数の構成要素に対応し、かつ、データ入力は、少なくとも、複数回判断される患者の血糖値測定に対応する、システムを開示している。複数回判断される、患者の血糖値測定に対応するデータ入力から、既定の範囲内で患者の今後の血糖値測定値を維持するために患者の現在のインスリン投与量レジメンにおける1つまたは複数の構成要素のうちの少なくとも1つを、変動させるかどうかに関して、およびどれくらい変動させるかによって判断がなされる。
【0006】
The Regents of the University of Californiaによる「Method and Apparatus for Glucose Control and Insulin Dosing for Diabetics」という名称の米国特許第7,651,845号は、食事、運動、ストレス要因、および血糖値に対する他の乱れに対する正常な血糖反応を達成する目的のためにインスリンボーラス投薬および基礎送達を組み合わせてコントロールするための、コンピュータ実施方法および関連の装置を開示している。この開示では、run−to−runアルゴリズムを使用して、血糖値を監視し、かつ、条件が変動するとインスリン送達を調整する。
【0007】
Dimensional Dosing Systems社による「An Improved Method and Apparatus for Dosing Single and Multi−Agent Therapy」という名称の国際公開第2005000209号パンフレットは、単剤および多剤投薬治療のための方法および装置であって、非線形技術を使用して、単剤および多剤治療における次の製剤用量を算出するための用量滴定の生物学的過程を表現するための方法および装置を開示している。それぞれの製剤の全体の比率は、投薬範囲に関連している製剤量によって判断される。製剤の全体の比率および本質的な薬効を使用して、それぞれの製剤が代理マーカ上で有する全体的な比例する効果を判断する。このパラメータはさらにまた、製剤の活性が一因となっているマーカの比例した変化を調整することによって用量を算出するための4つのパラメータ方程式に挿入される。
【0008】
上で開示される滴定装置は、典型的には、通常は医療関係者によって決定される既定の目標値まで滴定する。この目標値は、推定されたインスリン感受性、および外来診療所で判断される他の因子に対して選定される。従って、目標値は、薬品またはアドヒアランスのレベルに対する反応が予期されないような、生理学的パラメータの変化に基づいて、医療関係者の所での診察の間に更新されないけれども、これらの変化は治療結果に影響する因子である。
【0009】
これは、基礎用量が忘れられている時があり、換言すれば、インスリンレジメンアドヒアランスが低いという問題があるという例である。このような例では、滴定装置は、医療関係者の所での前回の診察時に医療関係者によって設定されている、対象者の既定のグルコース目標値に達するように基礎インスリン薬剤用量を増加させることによる高いグルコース測定値には反応しない。これは、過量および低血糖を引き起こす可能性がある。図6に示されるように、図6の上パネルは、40日以上かけた基礎滴定中の血糖濃度を示す。基礎滴定アルゴリズムは、一定の目標値による、米国特許第8,370,077号において定義されるものと同様である。図6の下パネルが示すように、患者は時折基礎注射を忘れることがあることで、この基礎注射は基礎滴定装置に導入されず、低血糖イベント(例えば、4mmol/Lを下回るグルコース濃度)をもたらす。
【0010】
グルコース測定値が、ある説明できない理由により間違っている時に、別の問題が生じる。このような例では、滴定装置は、既定の目標値に達するように用量を比例して増加または減少させることによるこれらの極端な測定には反応しない。図7に示されるように、図7は、40日の期間にわたって患者に滴定している滴定装置のシミュレーションを示す。数日ごとに、空腹時グルコース測定値は、ある未知の理由により高くなりすぎて50%である。図7の上パネルは、40日にわたって基礎滴定中の血糖濃度を示す。基礎滴定アルゴリズムは、一定の目標値による、米国特許第8,370,077号において定義されるものと同様である。図7が示すように、滴定装置による一定の目標血糖濃度の使用によって、この状況でも低血糖イベント(例えば、4mmol/Lを下回るグルコース濃度)がもたらされる。よって、滴定装置は、既定の目標値に達するように用量を比例して増加または減少させることによるこれらの極端な測定には反応しない。
【0011】
米国特許出願第2011/0313674号には、リスク関数の最小化に基づくインスリンの滴定を最適化するための試験方法が記載されている。リスク関数は、グルコース、トリグリセリド、低密度脂質、および高密度脂質のようなバイオマーカの測定値に基づいている。
【0012】
しかしながら、安全な滴定を可能にする代替的な滴定装置の開発は依然必要とされ、所望されている。
【0013】
上記背景を仮定して、当技術分野において必要とされるものは、医療関係者の所での診察の間に改善されたインスリン薬剤滴定を提供するシステムおよび方法である。
【発明の概要】
【0014】
本開示は、医療関係者の所での診察の間に改善されたインスリン薬剤滴定を提供するためのシステムおよび方法に対する当技術分野における必要性に対処する。本開示において、変動する目標グルコース濃度を有する滴定装置が導入される。開示された滴定装置における目標グルコース濃度は、ここでXを正の整数として、過去X日分の全体的な血糖値変動性、過去X日分の空腹時末梢グルコース値変動性、過去X日分の最小血糖値、推定されるインスリン感受性因子の変化率、および/または過去X日におけるインスリン投与量レジメンアドヒアランスといった、対象者の血糖リスクに影響する1つまたは複数の因子によるものである。滴定装置は、目標グルコース濃度、および対象者の実際のグルコース濃度の変化に応答して、長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整する。
【0015】
従って、本開示の1つの態様は、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスであって、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを含み、メモリは、
基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む処方されたインスリンレジメンを含む第1のデータ構造であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンは長期作用型インスリン薬剤投与量を指定し、第1のデータ構造は、(i)目標空腹時血糖値、(ii)最小の目標空腹時血糖値、および(iii)最大の目標空腹時血糖値、ならびに、対象者が注射する時に関する指示をさらに含む、第1のデータ構造と、
1つまたは複数のプロセッサによって実行される時、
経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値、および、複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値に対して、経時的変化による対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプを含む、第1のデータセットを得ることと、
処方されたインスリンレジメンを適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることであって、第2のデータセットは経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)1つまたは複数のインスリンペン(104)における対応するインスリンペンを使用して対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含む、第2のデータセット(238)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度を更新することであって、第1の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、第1の血糖リスク尺度を更新することと、
少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値と最大の目標空腹時血糖値との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
更新された目標空腹時血糖値に基づいて長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を行う方法を行う命令と、を含む、デバイスを提供する。
【0016】
本明細書では、可変の目標空腹時血糖値による滴定装置であって、変化量はグルコースおよびインスリンデータ両方の入力、ひいては目標関数の高信頼性の算出に基づくことができる、滴定装置が提供される。
【0017】
さらなる態様では、第1の血糖リスク尺度は、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである。
【0018】
本明細書では、可変の目標空腹時血糖値による滴定装置であって、変化量は処方されたレジメンに対する対象者のアドヒアランスに直接基づくことができる、滴定装置が提供される。
【0019】
さらなる態様では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである。
【0020】
さらなる態様では、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、cはx番目の血糖リスク尺度に適用されるi番目の定数であり、x番目の血糖リスク尺度は、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にあり、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値である。
【0021】
さらなる態様では、第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアであり、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、空腹時血糖目標関数は、
+c=FGL
の形式を有し、ここで、cは第1の血糖リスク尺度に適用される定数であり、cは第2の血糖リスク尺度に適用される定数であり、FGLは目標空腹時血糖値である。
【0022】
さらなる態様では、第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアであり、第3の血糖リスク尺度は対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値であり、空腹時血糖目標関数は、(i)N次元空間の1次元としての複数の空腹時グルコース値における変動、(ii)N次元空間の2次元としての経時的変化による基礎アドヒアランススコア、および(iii)N次元空間の3次元としての対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値の関数である。
【0023】
さらなる態様では、複数の空腹時グルコース値における変動に対する可能な値の範囲は3次元空間(
)の1次元を画定し、経時的変化による基礎アドヒアランススコアに対する可能な値の範囲は3次元空間における2次元を画定し、最小グルコース測定値に対する可能な値の範囲は3次元空間における3次元を画定し、空腹時血糖目標関数は、
x+cy+cz=FGL
の形式を有し、ここで、cは複数の空腹時グルコース値における変動に適用される第1の定数であり、cは経時的変化による基礎アドヒアランススコアに適用される第2の定数であり、cは最小グルコース測定値に適用される第3の定数であり、FGLは目標空腹時血糖値である。
【0024】
さらなる態様では、方法は、第1のデータ構造において更新された目標空腹時血糖値を記憶することをさらに含み、該方法は定期的に繰り返される。
【0025】
さらなる態様では、複数のグルコース測定値における連続的な測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで対象者から自律的に取られる。
【0026】
さらなる態様では、デバイスはワイヤレス受信機(284)をさらに含み、第1のデータセットは、対象者に付けられたグルコースセンサ(102)からワイヤレスに得られる、かつ/または第2のデータセットは、1つまたは複数のインスリンペン(104)からワイヤレスに得られる。
【0027】
さらなる態様では、第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース値における全体的なグルコース値の範囲、
(ii)複数のグルコース値におけるグルコース値の四分位数範囲、
(iii)複数のグルコース値(σ)の平均(μ)からの複数のグルコース値におけるグルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数のグルコース値におけるi番目のグルコース値であり、Pは複数のグルコース値におけるグルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される複数のグルコース値におけるグルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動である。
【0028】
さらなる態様では、第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度は、
(i)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の範囲、
(ii)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の四分位数範囲、
(iii)複数の空腹時グルコース値(σ)の平均(μ)からの複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数の空腹時グルコース値におけるi番目の空腹時グルコース値であり、Pは複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動である。
【0029】
さらなる態様では、方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータを自律的に得ることをさらに含み、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、または
(iv)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である。
【0030】
さらなる態様では、方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータを自律的に得ることをさらに含み、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコア、または
(vi)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である。
【0031】
さらなる態様では、1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、対象者の体温、または対象者の心臓血管活動の測定値である。
【0032】
さらなる態様では、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための方法であって、
経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値、および、複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値(230)に対して、経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと、
処方されたインスリンレジメンを適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることであって、第2のデータセットは経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)1つまたは複数のインスリンペン(104)における対応するインスリンペンを使用して対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含む、第2のデータセット(238)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、第1の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
更新された目標空腹時血糖値に基づいて長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を含む方法が提供される。
【0033】
本開示の別の態様では、1つまたは複数のプロセッサによって実行される時、
経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値、および、複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値(230)に対して、経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む第1のデータセット(228)を得ることと、
処方されたインスリンレジメンを適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることであって、第2のデータセットは経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)1つまたは複数のインスリンペン(104)における対応するインスリンペンを使用して対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含む、第2のデータセット(238)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、第1の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
更新された目標空腹時血糖値に基づいて長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を含む方法を行う命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0034】
さらなる態様では、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読データキャリアが提供される。
【0035】
別の態様では、本開示は、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスを提供する。デバイスは、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを含む。メモリは、基礎インスリン薬剤投与量レジメンを含む処方されたインスリンレジメンを含む第1のデータ構造、および命令を含む。基礎インスリン薬剤投与量レジメンは長期作用型インスリン薬剤投与量を指定する。第1のデータ構造は、長期作用型インスリン薬剤投与量、ならびに最小および最大の目標空腹時血糖値を計算することをベースに使用される当初の目標空腹時血糖値をさらに含む。命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行される時、方法を行う。
【0036】
方法では、第1のデータセットが得られる。第1のデータセットは経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値を含む。複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値に対して、経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表すタイムスタンプがある。
【0037】
第1の血糖リスク尺度は更新される。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、または(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値である。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコア、
(vi)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値、または
(i)〜(vi)のいずれか1つによるものである。
【0040】
方法は、第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることを続ける。長期作用型インスリン薬剤投与量は次いで、新規の目標空腹時血糖値に基づいて調整される。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のデータ構造は、対象者が長期作用型インスリン薬剤投与量を注射する時に関する指示をさらに含む。このような実施形態では、方法は、処方されたインスリンレジメンを適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることをさらに含む。第2のデータセットは経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含む。複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録は、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおける対応するインスリンペンを使用して対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント、および(ii)対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプを含む。さらに、このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)である(例えば、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に限定される場合の
であり、この場合、3次元は目標空腹時血糖値であるが、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を超えて含む場合いくらか高次元である)。さらに、空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、cはx番目の血糖リスク尺度に適用されるi番目の定数であり、x番目の血糖リスク尺度は、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にある。さらに、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値である。しかしながら、いくつかの実施形態では、FGLは、血糖リスク尺度の非線形関数として表現される。いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数は、f({x、…、xN−1})=FGLの形式を有し、式中、fは複数の血糖リスク尺度{x、…、xN−1}の線形または非線形関数である。f({x、…、xN−1})の形式の空腹時血糖目標関数の例は、血糖リスク尺度の加重総和を求める
である。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)である(例えば、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に限定される場合の
であり、この場合、3次元は目標空腹時血糖値であるが、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を超えて含む場合いくらか高次元である)。さらに、空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、fはx番目の血糖リスク尺度のiの関数であり、x番目の血糖リスク尺度は、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にある。さらに、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値であり、この実施形態では、関数fの合成である。形式f(x)の空腹時血糖目標関数の例には、いくつかの非限定的な可能性を挙げると、xを累乗する関数、xの逆数を取る関数、xを無効にする関数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、第2の血糖リスクに対する可能な値の範囲、および目標空腹時血糖値の値の範囲は、3次元空間(
)を画定し、空腹時血糖目標関数はcx+cy=FGLの形式を有する。ここで、cは第1の血糖リスク尺度に適用される第1の定数であり、cは第2の血糖リスク尺度に適用される第2の定数であり、FGLは空腹時グルコース値である。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアであり、第3の血糖リスク尺度は対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値である。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、(i)N次元空間の1次元としての複数の空腹時グルコース値における変動、(ii)N次元空間の2次元としての経時的変化による基礎アドヒアランススコア、および(iii)N次元空間の3次元としての対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数の空腹時グルコース値における変動に対する可能な値の範囲、経時的変化による基礎アドヒアランススコアに対する可能な値の範囲、および最小グルコース測定値に対する可能な値の範囲は、4次元空間(
)を画定し、空腹時血糖目標関数は、cx+cy+cz=FGLの形式を有し、ここで、cは複数の空腹時グルコース値における変動に適用される第1の定数であり、cは経時的変化による基礎アドヒアランススコアに適用される第2の定数であり、cは最小グルコース測定値に適用される第3の定数であり、FGLは算出される目標空腹時血糖値である。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のデータ構造において算出される目標空腹時血糖値を記憶することをさらに含み、該方法は定期的に繰り返される。
【0048】
いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定値における連続的な測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで対象者から自律的に取られる。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法を実行するためのデバイスはワイヤレス受信機をさらに含み、第1のデータセットは、対象者に付けられたグルコースセンサからワイヤレスに得られる、かつ/または第2のデータセットは、1つまたは複数のインスリンペンからワイヤレスに得られる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度は、(i)複数のグルコース値における全体的なグルコース値の範囲、(ii)複数のグルコース値におけるグルコース値の四分位数範囲、(iii)複数のグルコース値(σ)の平均(μ)からの複数のグルコース値におけるグルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数のグルコース値におけるi番目のグルコース値であり、Pは複数のグルコース値におけるグルコース値の数である、平均自乗差、および、(iv)
のように計算される複数のグルコース値におけるグルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動である。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度は、(i)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の範囲、(ii)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の四分位数範囲、(iii)複数の空腹時グルコース値(σ)の平均(μ)からの複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数の空腹時グルコース値におけるi番目の空腹時グルコース値であり、Pは複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の数である、平均自乗差、および、(iv)
のように計算される複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動である。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を自律的に得ることをさらに含む。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、または(iv)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である。いくつかのこのような実施形態では、1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、対象者の体温、または対象者の心臓血管活動の測定値である。
【0053】
いくつかの実施形態では、方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータセットを自律的に得ることをさらに含む。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコア、または(vi)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である。いくつかのこのような実施形態では、1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、対象者の体温、または対象者の心臓血管活動の測定値である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本開示の一実施形態に従って、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのレジメン監視デバイス、患者データを収集するためのデータ収集デバイス、対象者からのグルコースデータを測定する1つまたは複数のグルコースセンサ、および処方されたインスリン薬剤レジメンに従ってインスリン薬剤を注射するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンを含み、上で特定された構成要素は、オプションとして通信ネットワークを通して相互接続される、例示のシステムトポロジを示す図である。
図2】本開示の一実施形態による、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスを示す図である。
図3】本開示の別の実施形態による、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスを示す図である。
図4A】本開示のさまざまな実施形態に従って、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスのプロセスおよび特徴のフローチャートである。
図4B】本開示のさまざまな実施形態に従って、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスのプロセスおよび特徴のフローチャートである。
図4C】本開示のさまざまな実施形態に従って、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスのプロセスおよび特徴のフローチャートである。
図4D】本開示のさまざまな実施形態に従って、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスのプロセスおよび特徴のフローチャートである。
図4E】本開示のさまざまな実施形態に従って、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのデバイスのプロセスおよび特徴のフローチャートである。
図5】本開示の一実施形態による、処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための、連結式インスリンペン、連続グルコースモニタ、メモリ、およびプロセッサの統合システムの例を示す図である。
図6】先行技術による、40日にわたって2型糖尿病患者に滴定するための一定のグルコース目標値による滴定装置のシミュレーション例であって、上パネルは40日にわたる基礎滴定中の血糖濃度を示し、数日ごとに患者は自身の基礎量を取るのを忘れ、基礎滴定アルゴリズムは、一定の目標値による、米国特許第8,370,077号において定義されるものと同様であり、かつこのシミュレーションにおいて低血糖イベントをもたらす、シミュレーション例を示す図である。
図7】先行技術による、40日にわたって2型糖尿病患者に滴定するための一定のグルコース目標値による滴定装置のシミュレーション例であって、上パネルは40日にわたる基礎滴定中の血糖濃度を示し、数日ごとに空腹時グルコース測定値はある未知の理由により高くなりすぎ、基礎滴定アルゴリズムは、一定の目標値による、米国特許第8,370,077号において定義されるものと同様であり、かつこのシミュレーションにおいて低血糖イベントをもたらす、シミュレーション例を示す図である。
図8】本開示による、40日にわたって2型糖尿病患者に滴定するための可変のグルコース目標値による滴定装置のシミュレーション例であって、上パネルは40日にわたる基礎滴定中の血糖濃度を示し、数日ごとに患者は自身の基礎量を取るのを忘れ、可変のグルコース目標値による基礎滴定によって該シミュレーションでは低血糖イベントが回避される、シミュレーション例を示す図である。
図9】本開示による、40日にわたって2型糖尿病患者に滴定するための可変のグルコース目標値による滴定装置のシミュレーション例であって、上パネルは40日にわたる基礎滴定中の血糖濃度を示し、数日ごとに空腹時グルコース測定値はある未知の理由により高くなりすぎ、可変のグルコース目標値による基礎滴定によって該シミュレーションでは低血糖イベントが回避される、シミュレーション例を示す図である。
図10】本開示の一実施形態による、c+c=FGLの形式の空腹時血糖目標関数であって、対象者の第1の血糖リスク尺度は、値xを得るために更新され、さらにまた、この値を使用して、c+c=FGLの空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値と最大の目標空腹時血糖値と(それぞれ、FGLminおよびFGLmax)の間にある更新された目標空腹時血糖値を得る、空腹時血糖目標関数を示す図である。
図11】本開示に従って、非線形空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づく一実施形態であって、ここで、第1の血糖リスク尺度は空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は第1のデータセットの経時的変化による基礎アドヒアランススコアであり、非線形空腹時血糖目標関数は、増大する血糖リスク尺度と共に増大するFGLを表現するように適応される、一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図全体を通して対応する部分を指す。
【0056】
本開示は、経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値、および、複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値に対して、経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプを含むデータセットに関するデータの取得に依存している。図1はこのようなデータの取得のための統合システム502の例を示し、図5は、このようなシステム502のさらなる細部を示す。統合システム502は、1つまたは複数の連結式インスリンペン104、1つまたは複数のグルコースモニタ102、メモリ506、および対象者の自律的グルコースデータのアルゴリズム分類を行うためのプロセッサ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、グルコースモニタ102は連続グルコースモニタである。
【0057】
統合システム502によって、対象者の自律的タイムスタンプ付与グルコース測定値が得られる520。また、いくつかの実施形態では、処方されるインスリンレジメンを対象者に適用するために使用される1つまたは複数のインスリンペン104からのデータは、複数の記録として得られる540。それぞれの記録は、処方されたインスリン投薬レジメンの一部分として対象者が受信した、注射されるインスリン薬剤の量を指定するタイムスタンプ付与イベントを含む。グルコース測定値は、フィルタ処理され504、非一時的なメモリ506に記憶される。経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値を使用して、対象者508の血糖リスクを判断する。このように、グルコースデータは、本開示の方法510に従って(例えば、更新される目標空腹時血糖値に基づいて長期作用型インスリン薬剤投与量を調整するために)解析されかつ視覚化される。
【0058】
ここで、添付の図面に示される例を、実施形態に対しての詳細に参照する。以下の詳細な説明では、本開示を十分に理解してもらうために、多数の具体的な詳細が示されている。しかしながら、本開示がこれらの具体的な詳細なしで実践可能であることは、当業者には明らかとなるであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように詳細に説明されていない。
【0059】
第1、第2などの用語がさまざまな要素を説明するために本明細書において使用される場合があるが、これらの要素がこれらの用語に限定されるものではないことも、理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためだけに使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の対象者は第2の対象者と呼ぶことが可能であり、同様に、第2の対象者は第1の対象者と呼ぶことが可能である。第1の対象者および第2の対象者は両方とも対象者であるが、同じ対象者ではない。また、「対象者」および「ユーザ」という用語は、本明細書において同義で使用される。用語として、インスリンペンはインスリンの個別の用量を適用するのに適した注射器具を意味し、注射器具は、用量関連データをログ記録しかつ通信するように適応される。
【0060】
本開示において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈で明確に指示されない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。本明細書で使用される用語「および/または」が、関連する列挙された項目の1つまたは複数のあらゆる可能な任意の組み合わせを指しかつ包含することも理解されるであろう。用語「comprises(含む、備える)」および/または「comprising(含む、備える)」は、本明細書で使用される時、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/もしくはそれらの群の存在または追加を除外しないことは、さらに理解されるであろう。
【0061】
本明細書で使用される用語「if(〜場合)」は、文脈に応じて、「when(〜時)」もしくは「upon(〜すると)」、または「〜と判断することに応答して」もしくは「〜を検出することに応答して」を意味すると解釈されてよい。同様に、文脈に応じて、語句「〜と判定される場合」または「[述べられる条件またはイベント]が検出される場合」は、文脈に応じて、「〜と判断すると」、または「〜と判断することに応答して」、または「[述べられる条件またはイベント]を検出すると」、または「[述べられる条件またはイベント]を検出することに応答して」を意味すると解釈されてよい。
【0062】
本開示による、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのシステム48の詳細な説明については、図1図3と併せて記載する。そのように、図1図3は、ひとまとめにして、本開示によるシステムのトポロジを示す。トポロジでは、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのレジメン監視デバイス(「レジメン監視デバイス250」)(図1図2、および図3)、データ収集用デバイス(「データ収集デバイス200」)、対象者と関連付けられた1つまたは複数のグルコースセンサ102(図1および図5)、および対象者にインスリン薬剤を注射するための1つまたは複数のインスリンペン104(図1および図5)がある。本開示全体を通して、データ収集デバイス200およびレジメン監視デバイス250は、単に明確にする目的で別個のデバイスとして参照されるものになる。すなわち、データ収集デバイス200の開示された機能性およびレジメン監視デバイス250の開示された機能性は、図1に示されるような別個のデバイスに含有される。しかしながら、実際、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200の開示された機能性およびレジメン監視デバイス250の開示された機能性が単一のデバイスに含有されることは理解されるであろう。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200の開示された機能性および/またはレジメン監視デバイス250の開示された機能性は、単一のデバイスに含有され、この単一のデバイスはグルコースモニタ102またはインスリンペン104である。
【0063】
図1を参照すると、レジメン監視デバイス250は、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整する。これを行うために、レジメン監視デバイス250と電気通信しているデータ収集デバイス200は、継続的に、対象者に取り付けられる1つまたは複数のグルコースセンサ102から生じる自律的グルコース測定値を受信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はまた、インスリン薬剤を注射するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペン104からインスリン薬剤注射データを受信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、対象者によって使用されるグルコースセンサ102およびインスリンペン104から直接このようなデータを受信する。例えば、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、無線周波数信号を通してワイヤレスにこのデータを受信する。いくつかの実施形態では、このような信号は、802.11(WiFi)、Bluetooth、またはZigBee標準に準拠している。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、かかるデータを直接受信し、このデータを解析し、解析されたデータをレジメン監視デバイス250に渡す。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ102および/またはインスリンペン104は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用して、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250に通信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はまた、対象者の生理学的測定値247を(例えば、ウェアラブル生理学的測定デバイス、磁気計またはサーモスタットといったデータ収集デバイス200内の測定デバイスなどから)得るまたは受信する。
【0064】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250は、対象者に近接していない、かつ/またはワイヤレス性能を有していない、または、このようなワイヤレス性能は、グルコースデータ、インスリン薬剤注射データ、および/または生理学的測定データを取得する目的で使用されない。このような実施形態では、通信ネットワーク106を使用して、グルコース測定値をグルコースセンサ102からデータ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250に、インスリン薬剤注射データを1つまたは複数のインスリンペン104からデータ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250に、および/または生理学的測定データを1つまたは複数の生理学的測定デバイス(図示せず)からデータ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250に通信してよい。
【0065】
ネットワーク106の例として、ワールドワイドウェブ(WWW)、携帯電話ネットワークなどのイントラネットおよび/またはワイヤレスネットワーク、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ならびにワイヤレス通信による他のデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。ワイヤレス通信は、オプションとして、汎欧州デジタル移動電話通信方式(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、Evolution、Data−Only(EV−DO)、HSPA、HSPA+、Dual−Cell HSPA(DC−HSPDA)、Long Term Evolution(LTE)、近距離通信(NFC)、広帯域符号分割多元接続(W−CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、Wireless Fidelity(Wi−Fi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11ac、IEEE802.11ax、IEEE802.11b、IEEE802.11g、および/またはIEEE802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi−MAX、電子メールに対するプロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/または郵便局プロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、拡張可能メッセージングおよびプレゼンスプロトコル(XMPP)、Session Initiation Protocol for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、インスタントメッセージングおよびプレゼンスサービス(IMPS))、および/もしくはショートメッセージサービス(SMS)、または本開示の出願日時点ではまだ開発されていない通信プロトコルを含む任意の他の適した通信プロトコルを含むがこれらに限定されない複数の通信標準、プロトコル、および技術のいずれかを使用する。
【0066】
いくつかの実施形態では、対象者に取り付けられる単一のグルコースセンサ102があり、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250はグルコースセンサ102の一部分である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250、ならびにグルコースセンサ102は、単一のデバイスである。
【0067】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250は、インスリンペンの一部分である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250、ならびにインスリンペン104は、単一のデバイスである。
【0068】
当然ながら、システム48の他のトポロジが可能である。例えば、通信ネットワーク106に依存するのではなく、1つまたは複数のグルコースセンサ102および1つまたは複数のインスリンペン104は、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250に直接情報をワイヤレスに送信することができる。さらに、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250は、ポータブル電子デバイス、サーバコンピュータを構成してよく、または実際には、ネットワークにおいて共にリンクされるいくつかのコンピュータを構成してよく、もしくはクラウドコンピューティングコンテキストにおける仮想マシンであってよい。そのように、図1に示される例示のトポロジは、単に、当業者が容易に理解するようなやり方で本開示の一実施形態の特徴を説明する役割を果たす。
【0069】
図2を参照すると、典型的な実施形態では、レジメン監視デバイス250は1つまたは複数のコンピュータを含む。図2における例証の目的で、レジメン監視デバイス250は、対象者に対して処方されたインスリン投薬レジメンに対する履歴アドヒアランスを評価するための機能性の全てを含む単一のコンピュータとして表される。しかしながら、本開示はそのように限定されない。いくつかの実施形態では、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための機能性は、任意の数のネットワークコンピュータに広がっている、かつ/またはいくつかのネットワークコンピュータのそれぞれに常駐している、かつ/または通信ネットワーク106にわたってアクセス可能な遠隔位置における1つまたは複数の仮想マシン上でホストされる。幅広い種々のコンピュータトポロジのいずれかが、本願に使用され、かつ全てのこのようなトポロジが本開示の範囲内にあることを、当業者は理解するであろう。
【0070】
前述を念頭に置いて図2に移ると、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための例示のレジメン監視デバイス250は、1つまたは複数の処理ユニット(CPU)274、ネットワークまたは他の通信インターフェース284、メモリ192(例えば、ランダムアクセスメモリ)、オプションとして、1つまたは複数のコントローラ288によってアクセスされる1つまたは複数の磁気ディスクストレージおよび/または永続記憶デバイス290、先述の構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス213、ならびに、先述の構成要素に電力供給するための電源276を備える。いくつかの実施形態では、メモリ192におけるデータは、キャッシュなどの既知のコンピューティング技法を使用して、不揮発性メモリ290とシームレスに共有される。いくつかの実施形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、中央処理ユニット274に対して遠隔に位置する大容量ストレージを含む。換言すれば、メモリ192および/またはメモリ290に記憶されるいくつかのデータは、実際、レジメン監視デバイス250に外付けされるが、ネットワークインターフェース284を使用して、インターネット、イントラネット、または、他の形式のネットワークまたは電子ケーブル(図2における要素106として示される)上でレジメン監視デバイス250によって電子的にアクセス可能であるコンピュータ上でホストされてよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのレジメン監視デバイス250のメモリ192は、
・さまざまな基本システムサービスをハンドリングするための手順を含むオペレーティングシステム202、
・インスリンレジメン監視モジュール204、
・第1のデータ構造210であって、対象者に対する処方されたインスリンレジメン212、目標空腹時血糖値225、最小の目標空腹時血糖値226、および最大の目標空腹時血糖値227を含み、さらにまた、処方されたインスリンレジメンは、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214、およびオプションとして、いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与量レジメン220を含む、第1のデータ構造210、
・第1のデータセット220であって、経時的変化を表し、かつ、経時的変化による対象者の複数のグルコース測定値、および複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値230に対して、対応するグルコース測定が行われた時を表すタイムスタンプ232を含む、第1のデータセット220、
・対象者に対する複数の血糖リスク尺度234であって、複数の血糖リスク尺度におけるそれぞれの対応する血糖リスク尺度236は、対象者に対する血糖リスクを単独で表す、複数の血糖リスク尺度234、および
・複数のインスリン薬剤記録を含むオプションの第2のデータセット238であって、複数のインスリン薬剤記録におけるそれぞれの対応するインスリン薬剤記録240は、インスリン薬剤が対象者に注射された1つまたは複数のインスリンペン104と関連付けられた対応するインスリン薬剤注射イベント242、および対応する薬剤注射イベント244が生じた時を指示する注射イベントタイムスタンプ244を含む、オプションの第2のデータセット238を記憶する。
【0072】
いくつかの実施形態では、インスリンレジメン監視モジュール204は、任意のブラウザ(電話、タブレット、ラップトップ/デスクトップ)内でアクセス可能である。いくつかの実施形態では、インスリンレジメン監視モジュール204は、ネイティブデバイスフレームワーク上で作動し、かつAndroidまたはiOSといったオペレーティングシステム202を作動させるレジメン監視デバイス250に対するダウンロードに利用可能である。
【0073】
いくつかの実装形態では、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのレジメン監視デバイス250の上で特定されるデータ要素またはモジュールの1つまたは複数は、前述したメモリデバイスの1つまたは複数に記憶され、上述した機能を実行するための命令のセットに対応する。上で特定されたデータ、モジュール、またはプログラム(例えば、命令のセット)は、別個のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装される必要はないため、これらのモジュールのさまざまなサブセットは、さまざまな実装形態で組み合わせられてよい、あるいは再配置されてよい。いくつかの実装形態では、メモリ192および/または290はオプションとして、上で特定される、モジュールおよびデータ構造のサブセットを記憶する。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ192および/または290は、上述されない追加のモジュールおよびデータ構造を記憶する。
【0074】
いくつかの実施形態では、対象者に対する処方されたインスリンレジメン212における長期作用型インスリン薬剤投与量216を自律的に調整するためのレジメン監視デバイス250は、スマートフォン(例えば、iPHONE)、ラップトップ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または他の形式の電子デバイス(例えば、ゲーム機)である。いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250はモバイルではない。いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250はモバイルである。
【0075】
図3は、本開示によって使用可能であるレジメン監視デバイス250の具体的な実施形態のさらなる説明を示す。図3に示されるレジメン監視デバイス250は、1つまたは複数の処理ユニット(CPU)274、周辺インターフェース370、メモリコントローラ368、ネットワークまたは他の通信インターフェース284、メモリ192(例えば、ランダムアクセスメモリ)、ユーザインターフェース278、ディスプレイ282および入力280を含むユーザインターフェース278(例えば、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン)、オプションの加速度計317、オプションのGPS319、オプションのオーディオ回路構成372、オプションのスピーカ360、オプションのマイク362、レジメン監視デバイス250上の接触強度を検出するための1つまたは複数のオプションの強度センサ364(例えば、レジメン監視デバイス250のタッチ感知表示システム282などのタッチ感知面)、オプションの入力/出力(I/O)サブシステム366、1つまたは複数のオプションの光センサ373、先述の構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス213、および先述の構成要素に電力供給するための電源276を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、入力280は、タッチ感知面などのタッチ感知ディスプレイである。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース278は、1つまたは複数のソフトキーボード実施形態を含む。ソフトキーボード実施形態は、表示されるアイコン上のシンボルの標準(QWERTY)および/または非標準構成を含んでよい。
【0077】
図3に示されるレジメン監視デバイス250は、オプションとして、加速度計317に加えて、レジメン監視デバイス250の位置および向き(例えば、縦方向または横方向)に関する情報を得る、かつ/または対象者による身体運動量を判断するための磁力計(図示せず)およびGPS319(または、GLONASSもしくは他のグローバルナビゲーションシステム)受信機を含む。
【0078】
図3に示されるレジメン監視デバイス250が、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量(216)を自律的に調整するために使用されてよい多機能デバイスの単なる1つの例であること、および、レジメン監視デバイス250が、オプションとして示されるより多いまたは少ない構成要素を有する、オプションとして2つ以上の構成要素を組み合わせる、またはオプションとして構成要素の異なる構成または配置を有することは、理解されるべきである。図3に示されるさまざまな構成要素は、1つまたは複数の信号処理回路および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで実装される。
【0079】
図3に示されるレジメン監視デバイス250のメモリ192は、オプションとして高速ランダムアクセスメモリを含み、オプションとしてまた、1つまたは複数の磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステートメモリデバイスなどの不揮発性メモリを含む。CPU274などのレジメン監視デバイス250の他の構成要素によるメモリ192へのアクセスは、オプションとして、メモリコントローラ368によってコントロールされる。
【0080】
いくつかの実施形態では、図3に示されるレジメン監視デバイス250のメモリ192は複数の生理学的測定値を含む第3のデータセット246をオプションとして含み、それぞれのこのような生理学的測定値247は測定値248を含む。いくつかの実施形態では、生理学的測定値247は対象者の体温である。いくつかの実施形態では、生理学的測定値247は対象者の活動の測定値である。いくつかの実施形態では、これらの生理学的測定値は追加の血糖リスク尺度としての役割を果たす。いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250の、オプションの加速度計317、オプションのGPS319、および/もしくは磁気計(図示せず)、または、オプションとして、1つまたは複数のグルコースモニタ102および/または1つまたは複数のペン104内のこのような構成要素を使用して、このような生理学的測定値247を取得する。
【0081】
周辺インターフェース370を使用して、デバイスの入力および出力周辺機器を、CPU274およびメモリ192に結合することができる。1つまたは複数のプロセッサ274は、インスリンレジメン監視モジュール204といった、メモリ192に記憶されるさまざまなソフトウェアプログラムおよび/または命令のセットを作動させてまたは実行して、レジメン監視デバイス250に対するさまざまな機能を実行し、かつデータを処理する。
【0082】
いくつかの実施形態では、周辺インターフェース370、CPU274、およびメモリコントローラ368は、オプションとして、単一チップ上に実装される。いくつかの他の実施形態では、これらは、オプションとして、別個のチップ上に実装される。
【0083】
ネットワークインターフェース284のRF(無線周波数)回路構成は、電磁信号とも呼ばれるRF信号を受信および送信する。いくつかの実施形態では、第1のデータ構造210、第1のデータセット228、複数の血糖リスク尺度234、オプションの第2のデータセット238、および/またはオプションの第3のデータセット246は、対象者と関連付けられたグルコースセンサ102、対象者と関連付けられたインスリンペン104、および/またはデータ収集デバイス200などの、1つまたは複数のデバイスからこのRF回路構成を使用して受信される。いくつかの実施形態では、RF回路構成108は、電気信号と電磁信号との変換を行い、かつ電磁信号によって、通信ネットワークおよび他の通信デバイス、グルコースセンサ102、およびインスリンペン104、ならびに/またはデータ収集デバイス200と通信する。RF回路構成284は、オプションとして、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つまたは複数の増幅器、同調器、1つまたは複数の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、およびメモリなどを含むがこれらに限定されない、これらの機能を実行するための周知の回路構成を含む。RF回路構成284は、オプションとして、通信ネットワーク106と通信する。いくつかの実施形態では、回路構成284は、RF回路構成を含まず、実際には、1つまたは複数のハードワイヤ(例えば、光ケーブルまたは同軸ケーブルなど)を通してネットワーク106に接続される。
【0084】
いくつかの実施形態では、オーディオ回路構成372、オプションのスピーカ360、およびオプションのマイク362は、対象者とレジメン監視デバイス250との間のオーディオインターフェースを提供する。オーディオ回路構成372は、周辺インターフェース370からオーディオデータを受信し、該オーディオデータを電気信号に変換し、この電気信号をスピーカ360に送信する。スピーカ360は、電気信号を、人間の可聴音波に変換する。オーディオ回路構成372はまた、音波からマイク362によって変換された電気信号を受信する。オーディオ回路構成372は、電気信号をオーディオデータに変換し、かつこのオーディオデータを処理のために周辺インターフェース370に送信する。オーディオデータは、オプションとして、周辺インターフェース370によって、メモリ192および/またはRF回路構成284との間の抽出かつ/または送信が行われる。
【0085】
いくつかの実施形態では、電源276は、オプションとして、電力管理システム、1つまたは複数の電源(例えば、バッテリ、交流(AC))、充電システム、停電検出回路、電力変換装置または変換器、電源状態表示器(例えば、発光ダイオード(LED))、およびポータブルデバイスにおける電力の生成、管理、および分散と関連付けられた任意の他の構成要素を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250は、オプションとして、1つまたは複数の光センサ373も含む。光センサ373は、オプションとして、電荷結合デバイス(CCD)または相補的金属酸化物半導体(CMOS)フォトトランジスタを含む。光センサ373は、1つまたは複数のレンズを通して投射される、環境からの光を受け、この光を画像を表すデータに変換する。光センサ373は、オプションとして、静止画像および/またはビデオをキャプチャする。いくつかの実施形態では、光センサは、レジメン監視デバイス250の正面のディスプレイ282の反対側のレジメン監視デバイス250の後ろに位置することで、入力280は、静止画像および/またはビデオ画像取得のためのビューファインダとして使用することが可能になる。いくつかの実施形態では、別の光センサ373は、レジメン監視デバイス250の正面に位置することで、(例えば、対象者の健康または状態を検証する、対象者の身体活動レベルを判断する、または対象者の状態を遠隔に診断するのを助ける、対象者の視覚化した生理学的測定値247を取得するなどのために)対象者の画像が得られる。
【0087】
図3に示されるように、レジメン監視デバイス250は好ましくは、さまざまな基本システムサービスをハンドリングするための手順を含むオペレーティングシステム202を備える。オペレーティングシステム202(例えば、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、WINDOWS、またはVxWorksといった埋込式オペレーティングシステム)は、汎用システムタスク(例えば、メモリ管理、記憶デバイスコントロール、電源管理など)をコントロールしかつ管理するためのさまざまなソフトウェア構成要素および/またはドライバを含み、さまざまなハードウェア構成要素とさまざまなソフトウェア構成要素との間の通信を容易にする。
【0088】
いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250はスマートフォンである。他の実施形態では、レジメン監視デバイス250は、スマートフォンではなく、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、救急車コンピュータ、あるいは他の形式またはワイヤードもしくはワイヤレスネットワークデバイスである。いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250は、図2および図3に図示されるレジメン監視デバイス250に見られる、回路構成、ハードウェア構成要素、およびソフトウェア構成要素のいずれかまたは全てを有する。簡略および明確にするために、レジメン監視デバイス250の可能な構成要素の数個のみが示されることで、レジメン監視デバイス250上に設置される追加のソフトウェアモジュールをより良く強調する。
【0089】
図1に開示されるシステム48はスタンドアロンで稼働することができるが、いくつかの実施形態では、また、何らかの形で情報を交換するために電子カルテとリンクされ得る。
【0090】
ここで、対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するためのシステム48の詳細が開示されており、本開示の一実施形態による、システムのプロセスおよび特徴のフローチャートに関する詳細は、図4A図4Eを参照して開示される。いくつかの実施形態では、システムのこのようなプロセスおよび特徴は、図2および図3に示されるインスリンレジメン監視モジュール204によって実施される。
【0091】
ブロック402。図4Aのブロック402を参照して、1型真性糖尿病または2型真性糖尿病のどちらかである対象者におけるインスリン治療の目的は、空腹時血漿グルコースおよび食後血漿グルコースをコントロールするために正常な生理的インスリン分泌にできるだけ綿密に適合させることである。図2に示されるように、監視デバイス250は1つまたは複数のプロセッサ274およびメモリ192/290を含む。メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行される時、方法を行う命令を記憶する。方法では、第1のデータセット228が得られる。第1のデータセット228は、1つまたは複数のグルコースセンサ102からの対象者のグルコース測定値230を含む。図2に示されるように、それぞれのこのようなグルコース測定値230は、対応する測定が行われた時を表すためにグルコース測定タイムスタンプ232によってタイムスタンプ付与される。
【0092】
いくつかの実施形態では、グルコース測定値230は自律的に測定される。ABBOTTによるFREESTYLE LIBRE CGM(「LIBRE」)は、対象者の自律的グルコース測定を行うためにグルコースセンサ102として使用されてよいグルコースセンサの例である。LIBREによって、肌装着型の硬貨サイズのセンサによる較正不要グルコース測定が可能になり、これは、共に近くなった時に、近距離無線通信によってリーダーデバイス(例えば、データ収集デバイス200および/またはレジメン監視デバイス250)に8時間分のデータを送ることができる。LIBREは、日常生活のあらゆる活動において14日間装着可能である。ブロック404を参照すると、いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで対象者から取られる。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、1日以上、2日以上、1週間以上、または2週間以上の時間帯にわたって、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで対象者から取られる。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は(例えば、人力なく、人の介入なくなど)自律的に取られる。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は(例えば、手動による人力によって、人の介入でなど)手動で取られる。
【0093】
レジメン監視デバイス250は、空腹時血漿グルコースおよび食後血漿グルコースをコントロールするために正常な生理的インスリン分泌にできるだけ綿密に適合させるために使用される、対象者に対する処方されたインスリンレジメン212を含む第1のデータ構造210にアクセスするかつ/またはこれを記憶する。本開示では、処方されたインスリンレジメン212は、長期作用型インスリン薬剤投与量216を指定する基礎インスリン薬剤投与量レジメン214を含む。第1のデータ構造210は、長期作用型インスリン薬剤投与量を計算することをベースに使用される当初の目標空腹時血糖値226をさらに指定する。
【0094】
いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって指定される長期作用型インスリン薬剤は、12〜24時間の作用持続時間を有する単一のインスリン薬剤、または、ひとまとめにすると、12〜24時間の作用持続時間を有するインスリン薬剤の混合から成る。このような長期作用型インスリン薬剤の例として、Insulin Degludec(Tresibaという商標でNOVO NORDISKが開発)、NPH(Schmid、2007年、「New options in insulin therapy、J Pediatria(Rio J)、83(補足5):S145〜S155」、Glargine(LANTUS、2007年3月2日、インスリングラルギン[rDNA由来]注射、[処方情報]、ブリッジウォーター、ニュージャージー州:Sanofi−Aventis)、および、Determir(Plankら、2005年、「A double−blind、randomized、dose−response study investigating the pharmacodynamic and pharmacokinetic properties of the long−acting insulin analog detemir」、Diabetes Care 28:1107〜1112)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与量レジメン220によって指定される短時間作用型インスリン薬剤は、3〜8時間の作用持続時間を有する単一のインスリン薬剤、または、ひとまとめにすると、3〜8時間の作用持続時間を有するインスリン薬剤の混合を含む。このような短時間作用型インスリン薬剤の例として、Lispro(HUMALOG、2001年5月18日、インスリンリスプロ[rDNA由来]注射、[処方情報]、インディアナポリス、インディアナ州:Eli Lilly and Company)、Aspart(NOVOLOG、2011年7月、インスリンアスパルト[rDNA由来]注射、[処方情報]、プリンストン、ニュージャージー州、NOVO NORDISK社、2011年7月)、Glulisine(Helms Kelley、2009年、「Insulin glulisine:an evaluation of its pharmacodynamic properties and clinical application」、Ann Pharmacother 43:658〜668)、および、Regular(Gerich、2002年、「Novel insulins:expanding options in diabetes management」、Am J Med.113:308〜316)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
ブロック406。図4Aのブロック406を参照すると、方法は、対象者の第1の血糖リスク尺度236を更新することを続ける。第1の血糖リスク尺度は、いくつかの考えられる血糖リスク尺度を挙げると、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、または(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は、複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動である。いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は、複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動である。いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は、複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値である。
【0097】
いくつかの実施形態では、より大きい、血糖リスク尺度のセットが考えられる。例えば、ブロック408を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のデータ構造210は、対象者が長期作用型インスリン薬剤投与量を注射する時に関する指示218をさらに含み、インスリンレジメン監視モジュール204は、処方されるインスリンレジメンを適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペン104から第2のデータセット238を得る。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数を使うためのより充実した血糖リスク尺度のセットを有することが可能である。図2に示されている。図2に示されるように、第2のデータセット238は経時的変化によるインスリン薬剤記録240を含む。それぞれの記録240は、(i)インスリンペン104を使用するインスリン薬剤注射のためのインスリン薬剤注射イベント242、および(ii)イベントの発生時に対応するペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ244を含む。よって、いくつかのこのような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、この場合、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、(iv)第1のデータセット228の複数のグルコース測定値および第2のデータセット238のインスリン薬剤記録240を使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベント242の数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである。
【0098】
いくつかのこのような実施形態では、空腹時血糖目標関数は少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づいており、第1の血糖リスク尺度は、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、(iv)第1のデータセット228の複数のグルコース測定値および第2のデータセット238のインスリン薬剤記録240を使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベント242の数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである。
【0099】
図4Bのブロック410を参照すると、いくつかの実施形態では、レジメン監視デバイス250はワイヤレス受信機284を含み、第1のデータセット228は、対象者に付けられたグルコースセンサ102からワイヤレスに得られる、かつ/または第2のデータセット238は、1つまたは複数のインスリンペン104からワイヤレスに得られる。
【0100】
上に記されるように、いくつかの実施形態では、1つの可能な血糖リスク尺度236は、複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動である。より詳細には、図4Bのブロック412を参照すると、いくつかの実施形態では、血糖リスク尺度(例えば、空腹時血糖目標関数を計算するために使用される、第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度など)は、(i)第1のデータセット228における複数のグルコース値における全体的なグルコース値の範囲、(ii)第1のデータセット228における複数のグルコース値におけるグルコース値の四分位数範囲、(iii)第1のデータセット228における複数のグルコース値(σ)の平均(μ)からの複数のグルコース値におけるグルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは第1のデータセット228の複数のグルコース値におけるi番目のグルコース値であり、Pは第1のデータセット228の複数のグルコース値におけるグルコース値の数である、平均自乗差、および、(iv)
のように計算される、第1のデータセット228の複数のグルコース値におけるグルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動である。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1のデータセット228における複数のグルコース値(例えば、値P)は、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間に対象者から測定されたグルコース値に限定される。換言すれば、いくつかの実施形態では、第1のデータセット228は、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間の対象者に対するグルコース測定値のみを有する。他の実施形態では、第1のデータセット228は、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間を超えた対象者に対するグルコース測定値を有するが、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間よりも古い測定値は、対象者の複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動を算出するために使用されない。
【0102】
上に記されるように、いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数の計算に使用される血糖リスク尺度236(例えば、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度など)は、複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動である。より詳細には、図4Bのブロック414を参照すると、いくつかの実施形態では、血糖リスク尺度は、(i)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の範囲、(ii)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の四分位数範囲、(iii)複数の空腹時グルコース値(σ)の平均(μ)からの複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数の空腹時グルコース値におけるi番目の空腹時グルコース値であり、Pは複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の数である、平均自乗差、および、(iv)
のように計算される複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動である。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1のデータセット228からの複数の空腹時グルコース値(例えば、値P)における空腹時グルコース値の数は、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間に対象者から測定された空腹時グルコース値に限定される。換言すれば、いくつかの実施形態では、第1のデータセット228は、複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の発生を判断するために使用される、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間の対象者に対するグルコース測定値のみを有する。他の実施形態では、第1のデータセット228は、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間を超えた対象者に対するグルコース測定値を有するが、過去4時間、過去12時間、過去24時間、過去2日、過去1週間、または過去2週間よりも古い測定値は、さらには複数の空腹時グルコース値における変動を算出するために使用される、複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値を判断するために使用されない。
【0104】
いくつかの実施形態では、複数の空腹時グルコース値は、最初に、空腹時検出アルゴリズム、および第1のデータセット228におけるグルコース測定値230を使用して空腹時イベントを自律的に検出することによって判断される。グルコースモニタ102からのグルコース測定値230を使用して空腹時イベントを検出するためのいくつかの方法がある。例えば、いくつかの実施形態では、第1の空腹時イベントは、最初にグルコース測定値にわたる変動
の移動期間を計算することによって、第1のデータセット228における複数のグルコース測定値によって包含される第1の時間帯(例えば、24時間)において特定される。ここで、
であり、式中、Gは、考えられる複数のグルコース測定値の一部kにおけるi番目のグルコース測定値であり、Mは複数のグルコース測定値におけるグルコース測定値の数であり、一続きの所定のタイムスパンを表し、
は、第1のデータセット228の複数のグルコース測定値から選択されたMのグルコース測定値の平均であり、kは第1の時間帯内にある。例として、グルコース測定は、数日間または数週間にわたって、グルコース測定値が5分ごとに取られるようにしてよい。このタイムスパン全体の範囲内の第1の時間帯k(例えば、1日)が選択されることで、複数の測定値の一部kは、最小変動期間で検査される。第1の空腹期間は、第1の時間帯内の最小変動期間
であるとみなされる。次に、プロセスでは、別の最小変動期間で複数のグルコース測定値の次の一部kを検査することで別の空腹期間を割り当てることによって、複数のグルコース測定値の一部kが繰り返される。
【0105】
また、いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤投与量レジメン206のアドヒアランスとみなされるような空腹時イベントのみを使用して、空腹時グルコース値を算出する。以下の実施例3は、空腹時イベントが基礎インスリン薬剤投与量レジメン206のアドヒアランスであるかどうかに関する判断がなされるやり方を示す。さらに、参照により本明細書に組み込まれる、2016年6月30日出願の「Regimen Adherence Measure for Insulin Treatment Base on Glucose Measurement and Insulin Pen Data」という名称の欧州特許出願第16177080.5号は、アドヒアランスまたは非アドヒアランスとして空腹時イベントを特定かつ類別するための技法を開示している。いくつかの実施形態では、欧州特許出願第16177080.5号による「基礎レジメンのアドヒアランス」として類別されるそういった空腹時イベントのみが、本開示における空腹時グルコース値を算出するために使用される。いくつかの実施形態では、第1のデータセット230によって包含される所定の空腹時イベントに対する2つ以上のグルコース測定値230がある。この場合、この空腹時イベントに対する空腹時血糖値は、その時間帯内のグルコース測定値230の、平均値、またはその他の中心傾向の測定とされる。
【0106】
ブロック416。図4Cのブロック416を参照すると、方法は、少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることを続ける。図8および図9に示される。
【0107】
図8は、本開示による、40日にわたって2型糖尿病患者に滴定するための可変のグルコース目標値による滴定装置のシミュレーション例を示す。空腹時血糖目標関数は、(i)第1の血糖リスク尺度および(ii)第2の血糖リスク尺度を含む組み合わせに応じて、更新された(可変の)目標空腹時血糖値を算出する。図8について、(i)第1の血糖リスク尺度および(ii)第2の血糖リスク尺度を含む空腹時血糖目標関数は、過去3日にわたる最小血糖(第1の血糖リスク尺度)、過去3日にわたる血糖における変化量(第2の血糖リスク尺度)、および過去3日にわたる基礎アドヒアランス(第3の血糖リスク尺度)の線形関数である。よって、図8は、少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することが、実際、1つの血糖リスク尺度のみでなくそれ以上の組み合わせに基づく場合があることを示す。いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数は、3つ以上の血糖リスク尺度、4つ以上の血糖リスク尺度、または5つ以上の血糖リスク尺度236の組み合わせを使用する。いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数は、線形結合として表現される複数の血糖リスク尺度を利用する。いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数は、非線形結合として表現される複数の血糖リスク尺度を利用する。図8において、上パネルは40日にわたる基礎滴定中の血糖濃度を示す。数日ごとに患者は自身の基礎量を取るのを忘れる。空腹時血糖目標関数を使用して計算される可変の目標空腹時血糖値による基礎滴定によって、該シミュレーションでは低血糖イベントが回避される。
【0108】
図9は、本開示による、40日にわたって2型糖尿病患者に滴定するために、空腹時血糖目標関数を使用して計算される可変の目標空腹時血糖値225による滴定装置の別のシミュレーション例を示す。この例では、空腹時血糖目標関数は、(i)第1の血糖リスク尺度および(ii)第2の血糖リスク尺度に基づいており、空腹時血糖目標関数は、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を提供する。図9について、空腹時血糖目標関数は(i)第1の血糖リスク尺度に基づいており、(ii)第2の血糖リスク尺度は、(a)過去3日にわたる最小血糖、(b)過去3日にわたる空腹時血糖における変動、(c)インスリン感受性因子推定の変化、および(d)過去3日の基礎アドヒアランスの線形関数である。よって、図9は、空腹時血糖目標関数が4つの血糖リスク尺度の組み合わせに基づく例を示す。図9では、上パネルは40日にわたる基礎滴定中の血糖濃度を示す。数日ごとに空腹時グルコース測定値はある未知の理由により高くなりすぎて50パーセントである。可変のグルコース目標値による基礎滴定によって該シミュレーションでは低血糖イベントが回避される。
【0109】
図4Cのブロック418は、少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得る一実施形態を示す。第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)である(例えば、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に限定される場合の
であり、この場合、3次元は算出された目標空腹時血糖値であるが、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を超えて含む場合いくらか高次元である)。この例では、空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、cはx番目の血糖リスク尺度に適用されるi番目の定数であり、x番目の血糖リスク尺度は、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にある。さらに、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値225である。以下の実施例1は、Nが2であるような空腹時血糖目標関数の例を示すため、空腹時血糖目標関数は単一の血糖リスク尺度に依存している。
【0110】
図4Cのブロック420は、空腹時血糖目標関数が第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、ここで、第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアである一実施形態を示す。第1の血糖リスク尺度の可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度の可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、ここで、目標空腹時血糖値は3次元を形成する。空腹時血糖目標関数は、c+c=FGLの形式を有し、ここで、cは第1の血糖リスク尺度に適用される定数であり、cは第2の血糖リスク尺度に適用される定数であり、FGLは判断される目標空腹時血糖値である。
【0111】
いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数は血糖リスク尺度の非線形結合である。以下の実施例2に示される。
【0112】
図4Dのブロック422を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアの関数であり、第3の血糖リスク尺度は対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値の関数である。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、(i)4次元空間の1次元としての複数の空腹時グルコース値における変動、(ii)4次元空間の2次元としての経時的変化による基礎アドヒアランススコアの関数、および(iii)4次元空間の3次元としての対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値の関数によるものである。
【0113】
ブロック424は本開示の1つの実施形態によるブロック422の一実装形態の例である。複数の空腹時グルコース値における変動に対する可能な値の範囲、基礎アドヒアランススコアに対する可能な値の範囲、および最小グルコース測定値に対する可能な値の範囲は、3次元空間を画定し、空腹時血糖目標関数はcx+cy+cz=FGLの形式を有する。ここで、c、c、およびcは、それぞれ、複数の空腹時グルコース値における変動、経時的変化による基礎アドヒアランススコア、および最小グルコース測定値に適用される定数であり、FGLは目標空腹時血糖値225である。
【0114】
図4Dのブロック426を参照すると、いくつかの実施形態では、方法は、第1のデータ構造210において新規の目標空腹時血糖値225を記憶することをさらに含み、図4の方法は定期的に繰り返される。このように、目標グルコース値は図8および図9に示されるように経時的に更新される。
【0115】
図4Dのブロック428を参照すると、いくつかの実施形態では、方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を自律的に得ることをさらに含む。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、または(iv)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である。いくつかのこのような実施形態では、1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値247は、対象者の体温、または対象者の心臓血管活動の測定値である。
【0116】
図4Eのブロック430を参照すると、いくつかの実施形態では、方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータセット246を自律的に得ることをさらに含む。このような実施形態では、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコア、または(vi)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である。いくつかのこのような実施形態では、1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、対象者の体温、または対象者の心臓血管活動の測定値である。
【0117】
図4Eのブロック432を参照すると、ここで更新される処方されたインスリンレジメンに対する目標空腹時血糖値によって、この時、長期作用型インスリン薬剤投与量216を調整することが可能である。いくつかの実施形態では、長期作用型インスリン薬剤投与量は、
の形式の等式によって目標空腹時血糖値を使用して計算される。ここで、NDは次の基礎用量216であり、BHmeasはグルコース測定値230からの算出された空腹時血糖値であり、FGLは、本開示に説明されるように、算出された空腹時グルコース目標値であり、ISFは対象者の推定された基礎インスリン感受性因子である。
【実施例1】
【0118】
この例は、単一の血糖リスク尺度が使用され、空腹時血糖目標関数がc+c=FGLの形式を有し、ここで、例えば、xは第1の血糖リスク尺度である。図10は、c+c=FGLの空腹時血糖目標関数を示す。対象者の第1の血糖リスク尺度236は、値xを得るために(例えば、ブロック406に示されるように)更新される。さらにまた、この値xを使用して、空腹時血糖目標関数c+c=FGLを計算することで、最小の目標空腹時血糖値226と最大の目標空腹時血糖値227と(それぞれ、FGLmin226およびFGLmax227)の間にある更新された目標空腹時血糖値225を得る。
【実施例2】
【0119】
いくつかの実施形態では、空腹時血糖目標関数は、血糖リスク尺度の線形または非線形結合である。図11は、非線形空腹時血糖目標関数が、空腹時グルコース値における変動、および第1のデータセットの経時的変化による基礎インスリンレジメンアドヒアランススコアに基づく一実施形態を示す。代替的には、空腹時グルコース値における変動は第1の血糖リスク尺度の関数として表現され、第1のデータセットの経時的変化による基礎アドヒアランススコアは第2の血糖リスク尺度の関数として表現され、これらの関数は、増大する血糖リスク尺度と共に増大するFGLを表現するように適応され、例えば、FGLは血糖リスク尺度の増加関数である。
【0120】
図11において、空腹時グルコース値において観察される変動が小さいほど、設定されるFGLを小さくすることができる。換言すれば、空腹時グルコース値における変動の低減は、患者の治療状況の信頼度を暗示するため、より積極的なインスリン薬剤治療が可能になる。逆に、図11では、第1のデータセットの経時的変化による、基礎インスリンレジメンアドヒアランススコアが低くなるほど、設定されるFGLを高くしなければならない。換言すれば、基礎インスリンレジメンアドヒアランススコアが低くなることは患者のインスリンレジメンに対するアドヒアランスにおける信頼度が欠如していることを暗示するため、あまり積極的ではない(より無難な)インスリン薬剤治療の根拠となる。有利には、空腹時血糖目標関数によって、FGLの算出された値に相反する影響を与えるけれどもこれらの2つの血糖リスク尺度を同時に使用することが可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、図11の空腹時血糖目標関数は
の形式を有し、式中、fは空腹時グルコース値(x)における変動の関数であり、fは第1のデータセット(x)の経時的変化による基礎インスリンレジメンアドヒアランススコアの関数であり、ここで、fおよびfは異なる関数である。そのように、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、ここで、目標空腹時血糖値は3次元を形成する。第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度は、ブロック406に従って更新され、これらの更新された値を使用して、空腹時血糖目標関数を計算することによって、目標空腹時血糖値225の値を得る。
【実施例3】
【0121】
空腹時イベントがインスリンレジメンにアドヒアランスしているかどうかを判断するためのグルコース測定値の使用。いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定値を含む第1のデータセット228が得られる。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、例えば、連続グルコースモニタ102によって自律的に得られる。この例では、自律的グルコース測定値に加えて、インスリン投与イベントは、処方されたインスリンレジメン212を適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペン104からのインスリン薬剤記録240の形式で得られる。これらのインスリン薬剤記録240は、任意のフォーマットであってよく、実際には、複数のファイルまたはデータ構造にわたって散在してよい。そのように、いくつかの実施形態では、本開示は、近年進歩したインスリン投与ペンを活用する。このインスリン投与ペンは、過去に投与したインスリン薬剤のタイミングおよび量を覚えることができるという意味で「スマート」になっている。このようなインスリンペン104の1つの例は、NovoPen5である。このようなペンは、患者が用量をログ記録する際に支援し、かつ2倍の投薬を防止する。インスリンペンによって、インスリン薬剤用量およびタイミングを送りかつ受信することができるようになり、ひいては、本開示の、連続グルコースモニタ102、インスリンペン104、およびアルゴリズムの統合が可能になることが考えられる。そのように、1つまたは複数のインスリンペン104からのインスリン薬剤記録240は、1つまたは複数のインスリンペン104からのこのようなデータのワイヤレスな取得を含むと考えられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、それぞれのインスリン薬剤記録240は、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおける対応するインスリンペンを使用して対象者に注射されるインスリン薬剤の量を含む対応するインスリン薬剤注射イベント242、および、(ii)対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に対応するインスリンペン104によって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ244を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、空腹時イベントは、第1のデータセット228における、対象者のグルコース測定値230、およびこれらに関連したグルコース測定タイムスタンプ232を使用して特定される。空腹時イベントが特定されると、上記のブロック414について説明される方法、または任意の他の方法によって、空腹時イベントに対する類別が適用される。この類別は、「インスリンレジメンのアドヒアランス」および「インスリンレジメンの非アドヒアランス」のうちの1つである。
【0124】
空腹時イベントは、取得された1つまたは複数の薬剤記録が、時間および数量ベースで、空腹時イベント中の基礎インスリン薬剤レジメン214でのアドヒアランスを確立する時、インスリンレジメンのアドヒアランスとみなされる。空腹時イベントは、取得された1つまたは複数の薬剤記録240が時間および数量ベースで、空腹時イベント中の基礎インスリン薬剤投与量レジメン214でのアドヒアランスを確立する1つまたは複数の薬剤記録を含まない時、インスリンレジメンの非アドヒアランスとみなされる。いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214は、長期作用型インスリン薬剤216の用量が複数のエポックでのそれぞれの対応するエポック218中に取られるべきものである、および、空腹時イベントは、空腹時イベントと関連付けられるエポック218での薬剤記録がない時、インスリンレジメンの非アドヒアランスとみなされることを指定する。さまざまな実施形態では、複数のエポックにおけるそれぞれのエポックは、2日以下、1日以下、または12時間以下である。よって、第1のデータセット228は空腹期間を特定するために使用され、基礎インスリン薬剤レジメン214は24時間ごとの長期作用型インスリン薬剤216の投与量Aを取ることを指定する場合を考慮されたい。この例では、従って、エポックは1日(24時間)である。空腹時イベントは、タイムスタンプ付与グルコース測定値の最小変動期間から、または、タイムスタンプ付与グルコース測定値230の他の形式の解析によって導出されるため、本質的にタイムスタンプ付与される。よって、対応する空腹時イベントによって表される、タイムスタンプまたは空腹期間は、空腹時イベントがインスリンレジメンのアドヒアランスであるかどうかを検査するための開始点として使用される。例えば、対応するタイムスタンプと関連付けられた空腹期間が5月17日火曜日午前6時である場合、インスリン薬剤注射記録240において求められることは、対象者が5月17日火曜日午前6時までの24時間の期間(エポック)における長期作用型インスリン薬剤の投与量Aを取った(および、処方された投与量以上または以下ではない)ことの根拠である。対象者がこのエポック中に長期作用型インスリン薬剤の投与量を取った場合、空腹時イベント(および/または基礎注射イベントおよび/またはこの時間中のグルコース測定値)は、インスリンレジメンのアドヒアランスとみなされる。対象者がこのエポック218中に長期作用型インスリン薬剤216の用量を取らなかった(または、長期作用型インスリンレジメン216によって指定されるこの期間中に長期作用型インスリン薬剤の用量以上を取った)場合、空腹時イベント(および/または基礎注射イベントおよび/またはこの時間中のグルコース測定値)は、インスリンレジメンの非アドヒアランスとみなされる。
【0125】
いくつかの実施形態では、エポックは、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって定義され、対象者がエポック中に基礎インスリン薬剤投与量レジメン214によって必要とされる長期作用型インスリンの量(およびそれ以下)を取る限り、空腹時イベント後であっても、空腹時イベントはインスリンレジメンのアドヒアランスとみなされることになる。例えば、エポックが夜中ちょっと過ぎに毎日を始める1日である(換言すれば、基礎インスリン薬剤投与量レジメン214が毎日取るべき1つまたは複数の長期作用型インスリン薬剤投与量を指定し、さらに、夜中の始まりおよび終わりを1日と定義する)、および、空腹時イベントが正午に生じる場合、空腹時イベントは、対象者が日中のある時点で1日に対して処方された長期作用型インスリン薬剤注射を行うことを提供するインスリンレジメンのアドヒアランスとみなされることになる。
【0126】
実施形態のリスト
1.対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量(216)を自律的に調整するためのデバイス(250)であって、1つまたは複数のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を含み、メモリは、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン(214)を含む処方されたインスリンレジメン(212)を含む第1のデータ構造(210)であって、基礎インスリン薬剤投与量レジメンは長期作用型インスリン薬剤投与量を指定し、第1のデータ構造は、(i)目標空腹時血糖値(225)、(ii)最小の目標空腹時血糖値(226)、および(iii)最大の目標空腹時血糖値(227)をさらに含む、第1のデータ構造(210)と、
1つまたは複数のプロセッサによって実行される時、
経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値、および、複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値(230)に対して、経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、第1の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、または
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値である、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
更新された目標空腹時血糖値に基づいて長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を行う方法を行う命令と、を含む、デバイス(250)。
【0127】
2.第1のデータ構造は、対象者が長期作用型インスリン薬剤投与量を注射する時に関する指示(218)をさらに含み、方法は、処方されたインスリンレジメンを適用するために対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ることであって、第2のデータセットは経時的変化による複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)1つまたは複数のインスリンペン(104)における対応するインスリンペンを使用して対象者に対するインスリン薬剤注射を表す対応するインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)対応するインスリン薬剤注射イベントの発生時に対応するインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含む、得ることをさらに含み、
空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコアである、実施形態1のデバイス。
【0128】
3.第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、cはx番目の血糖リスク尺度に適用されるi番目の定数であり、x番目の血糖リスク尺度は、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にあり、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値である、実施形態2のデバイス。
【0129】
4.第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアであり、第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、空腹時血糖目標関数は、
+c=FGL
の形式を有し、ここで、cは第1の血糖リスク尺度に適用される定数であり、cは第2の血糖リスク尺度に適用される定数であり、FGLは目標空腹時血糖値である、実施形態2のデバイス。
【0130】
5.第1の血糖リスク尺度は複数の空腹時グルコース値における変動であり、第2の血糖リスク尺度は経時的変化による基礎アドヒアランススコアであり、第3の血糖リスク尺度は対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値であり、空腹時血糖目標関数は、(i)N次元空間の1次元としての複数の空腹時グルコース値における変動、(ii)N次元空間の2次元としての経時的変化による基礎アドヒアランススコア、および(iii)N次元空間の3次元としての対象者の複数のグルコース測定値における最小グルコース測定値の関数である、実施形態2のデバイス。
【0131】
6.複数の空腹時グルコース値における変動に対する可能な値の範囲は3次元空間(
)の1次元を画定し、経時的変化による基礎アドヒアランススコアに対する可能な値の範囲は3次元空間における2次元を画定し、最小グルコース測定値に対する可能な値の範囲は3次元空間における3次元を画定し、空腹時血糖目標関数は、
x+cy+cz=FGL
の形式を有し、ここで、cは複数の空腹時グルコース値における変動に適用される第1の定数であり、cは経時的変化による基礎アドヒアランススコアに適用される第2の定数であり、cは最小グルコース測定値に適用される第3の定数であり、FGLは目標空腹時血糖値である、実施形態5のデバイス。
【0132】
7.方法は、第1のデータ構造において更新された目標空腹時血糖値を記憶することをさらに含み、該方法は定期的に繰り返される、実施形態1〜6のいずれか1つのデバイス。
【0133】
8.複数のグルコース測定値における連続的な測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで対象者から自律的に取られる、実施形態1〜7のいずれか1つのデバイス。
【0134】
9.デバイスはワイヤレス受信機(284)をさらに含み、第1のデータセットは、対象者に付けられたグルコースセンサ(102)からワイヤレスに得られる、かつ/または第2のデータセットは、1つまたは複数のインスリンペン(104)からワイヤレスに得られる、実施形態2のデバイス。
【0135】
10.第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース値における全体的なグルコース値の範囲、
(ii)複数のグルコース値におけるグルコース値の四分位数範囲、
(iii)複数のグルコース値(σ)の平均(μ)からの複数のグルコース値におけるグルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数のグルコース値におけるi番目のグルコース値であり、Pは複数のグルコース値におけるグルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される複数のグルコース値におけるグルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動である、実施形態2〜3のいずれか1つのデバイス。
【0136】
11.第1の血糖リスク尺度または第2の血糖リスク尺度は、
(i)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の範囲、
(ii)複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の四分位数範囲、
(iii)複数の空腹時グルコース値(σ)の平均(μ)からの複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは複数の空腹時グルコース値におけるi番目の空腹時グルコース値であり、Pは複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される複数の空腹時グルコース値における空腹時グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動である、実施形態2のデバイス。
【0137】
12.方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値(247)を含む第3のデータセット(246)を自律的に得ることをさらに含み、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、または
(iv)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である、実施形態1のデバイス。
【0138】
13.方法は、対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータセットを自律的に得ることをさらに含み、空腹時血糖目標関数は、少なくとも、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度に基づき、第1の血糖リスク尺度、第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
(iv)複数のグルコース測定値および第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、
(v)経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)経時的変化での基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、経時的変化による基礎アドヒアランススコア、または
(vi)対象者の1つまたは複数の生理学的測定値である、実施形態2のデバイス。
【0139】
14.1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、対象者の体温、または対象者の心臓血管活動の測定値である、実施形態12または13のデバイス。
【0140】
15.対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための方法であって、
経時的変化で取られる対象者の複数のグルコース測定値、および、複数のグルコース測定値におけるそれぞれの対応するグルコース測定値(230)に対して、経時的変化での対応するグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、第1の血糖リスク尺度は、
(i)複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、または
(iii)複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値である、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
更新された目標空腹時血糖値に基づいて長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと、を含む、方法。
【0141】
引用される参考文献および代替的な実施形態
本明細書に引用される全ての参考文献は、それぞれの個々の刊行物、または特許もしくは特許出願が、全ての目的のために全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に指示されたのと同じ程度に、これら全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0142】
本発明は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に埋め込まれたコンピュータプログラム機構を含むコンピュータプログラム製品として実装可能である。例えば、コンピュータプログラム製品は、図1図2、または図3の任意の組み合わせにおいて示される、かつ/または図4に記載されるプログラムモジュールを含有することが可能である。これらのプログラムモジュールは、CD−ROM、DVD、磁気ディスク記憶製品、または任意の他の非一時的なコンピュータ可読データもしくはプログラム記憶製品上に記憶可能である。
【0143】
本発明の多くの修正および変形は、当業者に理解されるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書に説明される具体的な実施形態は、例としてのみ提案されている。実施形態は、本発明の原理、およびこの実際的応用を最も良く説明することによって、当業者が本発明、および考えられる特定の使用に適するようなさまざまな修正によるさまざまな実施形態を最も良く利用できるようにするために、選定されかつ説明されたものである。本発明は、添付の特許請求項の文言に加えて、このような特許請求項に権利が与えられる全範囲の等価物によってのみ、限定されるものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2019年7月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量(216)を自律的に調整するためのデバイス(250)であって、1つまたは複数のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を含み、前記メモリは、
基礎インスリン薬剤投与量レジメン(214)を含む前記処方されたインスリンレジメン(212)を含む第1のデータ構造(210)であって、前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンは前記長期作用型インスリン薬剤投与量を指定し、前記第1のデータ構造は、(i)目標空腹時血糖値(225)、(ii)最小の目標空腹時血糖値(226)、および(iii)最大の目標空腹時血糖値(227)をさらに含む、第1のデータ構造(210)と、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行され時、以下の方法を行う指示と
を含み、前記方法は、
経時的変化で測定される前記対象者の複数のグルコース測定値、および、前記複数のグルコース測定値におけるそれぞれのグルコース測定値(230)に対して、前記経時的変化でのそれぞれのグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、前記第1の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値
である、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも前記第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、前記最小の目標空腹時血糖値(226)と前記最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
前記更新された目標空腹時血糖値に基づいて前記長期作用型インスリン薬剤投与量を調整すること
を含み、
前記第1のデータ構造はさらに、前記対象者が前記長期作用型インスリン薬剤投与量を注射すべき時に関する指示(218)を含み、
前記方法はさらに、
前記処方されたインスリンレジメンを適用するために前記対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得ること
を含み、前記第2のデータセットは、前記経時的変化における複数のインスリン薬剤記録を含み、前記複数のインスリン薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)前記1つまたは複数のインスリンペン(104)のうちそれぞれのインスリンペンを使用した前記対象者に対するインスリン薬剤注射を表す、それぞれのインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)前記それぞれのインスリン薬剤注射イベントの発生時に前記それぞれのインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含み、
前記空腹時血糖目標関数は、少なくとも、前記第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、前記第1の血糖リスク尺度および前記第2の血糖リスク尺度はそれぞれ独立して、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される前記最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による基礎アドヒアランススコア
である、デバイス(250)。
【請求項2】
それぞれのインスリン薬剤注射イベント(242)が、1つまたは複数のインスリンペンのうちそれぞれのインスリンペンを使用して対象者に注射されるインスリン薬剤の量を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
空腹時イベントは、取得された1つまたは複数の薬剤記録が、時間および数量ベースで、空腹時イベント中の前記基礎インスリン薬剤投与量レジメン(214)でのアドヒアランスを確立する時、インスリンレジメンのアドヒアランスとみなされ、空腹時イベントは、取得された1つまたは複数の薬剤記録(240)が時間および数量ベースで、空腹時イベント中の前記基礎インスリン薬剤投与量レジメン(214)でのアドヒアランスを確立する1つまたは複数の薬剤記録を含まない時、インスリンレジメンの非アドヒアランスとみなされる、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数は、アドヒアランスな空腹時イベントの数に対応し、(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数は、アドヒアランスな空腹時イベント及び非アドヒアランスな空腹時イベントの総数に対応する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
基礎インスリン薬剤投与量レジメン(214)は、長期作用型インスリン薬剤(216)の用量が複数のエポックのうちそれぞれのエポック(218)中に取られるべきものであること、および、空腹時イベントは、前記空腹時イベントと関連付けられるエポック(218)での薬剤記録がない時、インスリンレジメンの非アドヒアランスとみなされることを指定し、それぞれのエポック(218)は、前記対象者が前記長期作用型インスリン薬剤投与量を注射すべき時に関する指示(218)である、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および前記第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、前記空腹時血糖目標関数は、
の形式を有し、ここで、cはx番目の血糖リスク尺度に適用されるi番目の定数であり、前記x番目の血糖リスク尺度は、前記第1の血糖リスク尺度および前記第2の血糖リスク尺度を含む複数の血糖リスク尺度にあり、iは1とN−1との間の整数であり、FGLは目標空腹時血糖値である、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の血糖リスク尺度は前記複数の空腹時グルコース値における前記変動であり、前記第2の血糖リスク尺度は前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアであり、前記第1の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲、および前記第2の血糖リスク尺度に対する可能な値の範囲はそれぞれ、N次元空間の次元(
)であり、前記空腹時血糖目標関数は、
+c=FGL
の形式を有し、cは前記第1の血糖リスク尺度に適用される定数であり、cは前記第2の血糖リスク尺度に適用される定数であり、FGLは前記目標空腹時血糖値である、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の血糖リスク尺度は前記複数の空腹時グルコース値における前記変動であり、前記第2の血糖リスク尺度は前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアであり、第3の血糖リスク尺度は前記対象者の前記複数のグルコース測定値における前記最小グルコース測定値であり、前記空腹時血糖目標関数は、(i)前記N次元空間の1次元としての前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、(ii)前記N次元空間の2次元としての前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコア、および(iii)前記N次元空間の3次元としての前記対象者の前記複数のグルコース測定値における前記最小グルコース測定値の関数である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数の空腹時グルコース値における前記変動に対する可能な値の範囲は3次元空間(
)の1次元を画定し、前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアに対する可能な値の範囲は前記3次元空間における2次元を画定し、前記最小グルコース測定値に対する可能な値の範囲は前記3次元空間における3次元を画定し、前記空腹時血糖目標関数は、
x+cy+cz=FGL
の形式を有し、cは前記複数の空腹時グルコース値における前記変動に適用される第1の定数であり、cは前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアに適用される第2の定数であり、cは前記最小グルコース測定値に適用される第3の定数であり、FGLは前記目標空腹時血糖値である、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記方法は、前記第1のデータ構造において前記更新された目標空腹時血糖値を記憶することをさらに含み、前記方法は定期的に繰り返される、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数のグルコース測定値における連続的な測定値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔レートで前記対象者から自律的に測定される、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の血糖リスク尺度または前記第2の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数のグルコース値における全体的なグルコース値の範囲、
(ii)前記複数のグルコース値におけるグルコース値の四分位数範囲、
(iii)前記複数のグルコース値(σ)の平均(μ)からの前記複数のグルコース値における前記グルコース値の平均自乗差であって、
のように計算され、式中、mは前記複数のグルコース値におけるi番目のグルコース値であり、Pは前記複数のグルコース値における前記グルコース値の数である、平均自乗差、および、
(iv)
のように計算される前記複数のグルコース値における前記グルコース値の標準偏差、という(i)、(ii)、(iii)、または(iv)のうちの1つとして計算される前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動である、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記方法は、前記対象者の1つまたは複数の生理学的測定値を含む第3のデータセットを自律的に得ることをさらに含み、
前記空腹時血糖目標関数は、少なくとも、前記第1の血糖リスク尺度、前記第2の血糖リスク尺度、および第3の血糖リスク尺度に基づき、前記第1の血糖リスク尺度、前記第2の血糖リスク尺度、および前記第3の血糖リスク尺度はそれぞれ単独で、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される前記最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の前記変化率、
(v)前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による前記基礎アドヒアランススコア、または
(vi)前記対象者の前記1つまたは複数の生理学的測定値
である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数の生理学的測定値におけるそれぞれの生理学的測定値は、前記対象者の体温、または前記対象者の心臓血管活動の測定値である、請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
対象者に対する処方されたインスリンレジメンにおける長期作用型インスリン薬剤投与量を自律的に調整するための方法であって、
経時的変化で測定される前記対象者の複数のグルコース測定値、および、前記複数のグルコース測定値におけるそれぞれのグルコース測定値(230)に対して、前記経時的変化でのそれぞれのグルコース測定が行われた時を表す対応するタイムスタンプ(232)を含む、第1のデータセット(228)を得ることと、
第1の血糖リスク尺度(236)を更新することであって、前記第1の血糖リスク尺度は、
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される複数の空腹時グルコース値における変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される最小グルコース測定値、
である、第1の血糖リスク尺度(236)を更新することと、
少なくとも前記第1の血糖リスク尺度に基づく空腹時血糖目標関数を計算することで、最小の目標空腹時血糖値(226)と最大の目標空腹時血糖値(227)との間にある更新された目標空腹時血糖値を得ることと、
前記更新された目標空腹時血糖値に基づいて前記長期作用型インスリン薬剤投与量を調整することと
を含み、前記方法はさらに、
前記処方されたインスリンレジメンを適用するために前記対象者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第2のデータセット(238)を得るこ
を含み、前記第2のデータセットは前記経時的変化における複数のインスリン薬剤記録を含み、前記複数のインスリン薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(240)は、(i)前記1つまたは複数のインスリンペン(104)のうちそれぞれのインスリンペンを使用し前記対象者に対するインスリン薬剤注射を表す、それぞれのインスリン薬剤注射イベント(242)、および(ii)前記それぞれのインスリン薬剤注射イベントの発生時に前記それぞれのインスリンペンによって自動的に生成される対応する電子タイムスタンプ(244)を含
前記空腹時血糖目標関数は、少なくとも、前記第1の血糖リスク尺度および第2の血糖リスク尺度に基づき、前記第1の血糖リスク尺度および前記第2の血糖リスク尺度はそれぞれ独立して
(i)前記複数のグルコース測定値にわたって観察される前記全体的なグルコース値変動、
(ii)前記複数のグルコース測定値から算出される前記複数の空腹時グルコース値における前記変動、
(iii)前記複数のグルコース測定値において観察される前記最小グルコース測定値、
(iv)前記複数のグルコース測定値および前記第2のデータセットを使用して算出されるインスリン感受性因子の変化率、または
(v)前記経時的変化による基礎アドヒアランススコアであって、(a)前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される時に前記対象者によって行われたインスリン薬剤注射イベントの数を(b)前記経時的変化での前記基礎インスリン薬剤投与量レジメンによって指図される基礎インスリン薬剤注射イベントの総数で除算することによって計算される、前記経時的変化による基礎アドヒアランススコア
である、方法。
【国際調査報告】