(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-531829(P2019-531829A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】経中隔挿入装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20191011BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-521811(P2019-521811)
(86)(22)【出願日】2017年10月17日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月14日
(86)【国際出願番号】US2017056843
(87)【国際公開番号】WO2018075426
(87)【国際公開日】20180426
(31)【優先権主張番号】62/409,448
(32)【優先日】2016年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/784,792
(32)【優先日】2017年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519142516
【氏名又は名称】マイーニ,ブリジェシュワー エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】マイーニ,ブリジェシュワー エス.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF49
4C160FF56
4C160MM33
4C160MM38
(57)【要約】
装置ハウジングと、前記装置ハウジング内に摺動可能に配置されたプッシャーと、前記プッシャーから伸びているガイド要素と、を有している経中隔挿入装置を提供する。前記装置ハウジングが、患者の心臓の右心房内に挿入され、その後、前記ガイド要素が、前記装置ハウジングから前進して心房中隔に向かい、左心房へのアクセスを提供する為に、装置ハウジングを通って挿入されたカテーテルにより運ばれる針により安定的な心房中隔の突刺を容易にする。前記ガイド要素は、網状に又はリングとして形成される。前記プッシャー及び/又は前記ガイド要素は、随意的に膨張可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房中隔を通るカテーテル又は針の精密で安全な経中隔挿入を容易にすることに適している経中隔挿入装置であって、前記経中隔挿入装置が、
装置ハウジングと、
前記装置ハウジング内に摺動可能に配置された摺動体と、
を有し、
前記摺動体が、プッシャーと、前記プッシャーから伸びているガイド要素と、を有し、
前記ガイド要素が、前記装置ハウジングの先端から伸縮可能であることを特徴とする経中隔挿入装置。
【請求項2】
左心房インターベンションを実施する為に左心房へのアクセスを提供することを特徴とする請求項1に記載の経中隔挿入装置。
【請求項3】
前記経中隔挿入装置は細長いが、比較的短い長さを有し、心房中隔に向かって正しい配向を達成する為に、前記経中隔挿入装置は心房内で回転することができる構成となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の経中隔挿入装置。
【請求項4】
前記ガイド要素がニチノール製であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項5】
前記ガイド要素が網状に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項6】
前記装置ハウジングが、ハウジング内部と、前記ハウジング内部を包囲する環状ハウジング間隙と、を有し、前記ガイド要素が、前記環状ハウジング間隙内に摺動可能に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項7】
前記装置ハウジングが、
ハウジング外壁と、
ハウジング内壁と、
前記ハウジング内壁により形成されたハウジング内部と、
前記ハウジング内部を包囲する環状ハウジング間隙と、
を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項8】
前記プッシャーが、
前方プッシャーリングと、
前記前方プッシャーリングから間隔をあけて配置されている後方プッシャーリングと、
前記前方プッシャーリング及び前記後方プッシャーリングの間に伸びている少なくとも1つのプッシャーロッドと、
を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項9】
1つ以上の前記プッシャーロッドが、前記前方プッシャーリング及び前記後方プッシャーリングの間に伸びていることを特徴とする請求項8に記載の経中隔挿入装置。
【請求項10】
前記ガイド要素が、前記プッシャーの前記前方プッシャーリングから伸びていることを特徴とする請求項8に記載の経中隔挿入装置。
【請求項11】
前記ガイド要素が、複数の平行で間隔のあいた長手方向のウェビング要素と、前記長手方向のウェビング要素に沿って互いに間隔をあけて配置されている複数の環状の横方向のウェビング要素と、を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項12】
さらに、複数のアンカーを有し、中隔内の開口を通る針又はカテーテルの挿入における心房中隔に対する衝突の為に、前記ガイド要素の各々の前記長手方向のウェビング要素が複数のアンカーによって終わっていることを特徴とする請求項11に記載の経中隔挿入装置。
【請求項13】
前記プッシャー及び前記ガイド要素の少なくとも1つが膨張可能であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項14】
前記装置ハウジングが、ハウジング内部を規定するハウジング壁と、前記ハウジング内部に対して大体平行に隣接する前記ハウジング壁を通って伸びているプッシャーチャネルと、を有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項15】
前記ガイド要素が、プッシャーを有し、前記プッシャーが、前記プッシャーチャネル内に摺動可能に配置された膨張可能なプッシャーロッドと、前記プッシャーロッドと流体連通するように配置された膨張可能なプッシャーリングと、を有し、前記プッシャーロッドが前記プッシャーリングで終わっていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項16】
前記ガイド要素が、円錐形に膨張可能であり、網状の前記ガイド要素の先端が、網状の前記ガイド要素の基端よりも大きな直径を有することを特徴とする請求項1から15のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項17】
前記摺動体が、患者の体から移植された僧帽弁調整装置を除去する為に使用されることを特徴とする請求項1から16のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項18】
前記摺動体が、患者の僧帽弁の前尖及び後尖上に固定する為に使用され、一度固定されると、前記移植された僧帽弁調整装置に取り付けられる機械的、磁性又は電磁性レバーとして機能することを特徴とする請求項17に記載の経中隔挿入装置。
【請求項19】
前記摺動体が、前記僧帽弁を安定させ、そして、エネルギーが前記僧帽弁に伝達され、前記前尖及び前記後尖が切除され、それにより、前記移植された僧帽弁調整装置が解放されて前記患者の体から除去されることを特徴とする請求項18に記載の経中隔挿入装置。
【請求項20】
前記摺動体が、左心室流出路の閉塞を防止する為に、僧帽弁移植前に前記僧帽弁の前尖を切除する為に使用されることを特徴とする請求項17から19のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項21】
前記摺動体が、前記摺動体内に収容されている一組の安定装置により、前記僧帽弁の前尖を安定させることを特徴とする請求項17から20のいずれか1つに記載の経中隔挿入装置。
【請求項22】
前記安定装置がまず、前記僧帽弁の前尖を安定させ、その後、前記摺動体が、前記僧帽弁の前尖を切除する為にエネルギーを伝達することを特徴とする請求項21に記載の経中隔挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2016年10月18日に出願された、「経中隔挿入装置(TRANSSEPTAL INSERTION DEVICE)」という名称の米国仮出願62/409,448の優先権を主張する、2017年10月16日に出願された、「経中隔挿入装置(TRANSSEPTAL INSERTION DEVICE)」という名称の米国特許出願15/784,792の優先権を主張するものである。これらの出願は参照されることにより、本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般的に心臓カテーテルに関し、特に、左心房インターベンション(left atrial intervention)を実施する為に左心房へのアクセスを提供する素早く安全な経中隔突刺及び心房中隔を通るカテーテル又は針の挿入を容易にすることに適している経中隔挿入装置に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓カテーテル法は、診断又は治療目的で心臓の特定領域内に動脈又は静脈を通って細長い管又はカテーテルを挿入する医療行為である。さらに詳しくは、心室、脈管及び弁にカテーテルを挿入することができる。
【0004】
心臓カテーテル法は、冠動脈造影及び左心室血管造影のような医療行為に使用することができる。冠動脈造影は、事前に動脈内に挿入されたカテーテル内に色素(造影剤)を注入された患者のX線画像を撮影することにより、冠状血管の視覚化及び潜在的遮断の発見を容易にする。左心室血管造影は、左心室の検査及び左側の心臓弁の機能の検査を可能にし、そして冠動脈造影と組み合わせて検査することができる。心臓カテーテル法は、4つの心室にわたる圧力を測定し、主要な心臓弁における圧力差を評価する為に使用することもできる。更なる応用において、心臓カテーテル法は、心拍出量又は1分毎に心臓から送り出される血液量を推定する為に使用することができる。
【0005】
いくつかの医療行為において、左心房内にカテーテルを挿入することが必要である。この目的で、大動脈内にカテーテルを配置することを避ける為に、左心房へのアクセスは通常、右心房にアクセスし、右心房と左心房の間の心房中隔を突刺し、中隔を通してカテーテルを左心房内に通すことにより達成される。周囲の組織を誤って突刺してしまうと心臓の非常に深刻な損傷の原因となるので、経中隔突刺は極めて精密に実行しなければならない。また、経中隔突刺は、突刺の精密性を保証する助けとはならない複雑な器具を必要とする。
【0006】
したがって、左心房インターベンションを実施する為に左心房へのアクセスを提供する素早く安全な経中隔突刺を容易にすることに適した装置への確立された必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、左心房インターベンションを実施する為に左心房へのアクセスを提供する素早く安全な経中隔突刺を容易にすることに適した装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、左心房インターベンションを実施する為に左心房へのアクセスを提供する心房中隔を通るカテーテル又は針の素早く安全な経中隔挿入を容易にすることに適している経中隔挿入装置に関する。経中隔挿入装置は細長いが、比較的短い長さを有し、心房中隔に向かって正しい配向を達成する為に、経中隔挿入装置は心房内で簡単に安全に回転することができる。
【0009】
本発明の第1の実施形態において、本発明は、心房中隔を通るカテーテル又は針の精密で安全な経中隔挿入を容易にすることに適している経中隔挿入装置を含み、前記経中隔挿入装置が、装置ハウジングと、前記装置ハウジング内に摺動可能に配置された摺動体と、を有する。前記摺動体が、プッシャーと、前記プッシャーから伸びているガイド要素と、を有する。前記ガイド要素が、前記装置ハウジングの先端から伸縮可能である。
【0010】
第2の側面において、前記ガイド要素が網状に形成される。
【0011】
もう1つの側面において、前記装置ハウジングが、ハウジング内部と、前記ハウジング内部を包囲する環状ハウジング間隙と、を有し、前記ガイド要素が、前記環状ハウジング間隙内に摺動可能に配置される。
【0012】
もう1つの側面において、装置ハウジングが、ハウジング外壁と、ハウジング内壁と、前記ハウジング内壁により形成されるハウジング内部と、前記ハウジング内部を包囲する環状ハウジング間隙と、を有する。
【0013】
さらに、もう1つの側面において、前記プッシャーが、前方プッシャーリングと、前記前方プッシャーリングから間隔をあけて配置されている後方プッシャーリングと、前記前方プッシャーリング及び前記後方プッシャーリングの間に伸びている少なくとも1つのプッシャーロッドと、を有する。
【0014】
また、もう1つの側面において、1つ以上の前記プッシャーロッドが、前記前方プッシャーリング及び前記後方プッシャーリングの間に伸びている。
【0015】
もう1つの側面において、前記ガイド要素が、前記プッシャーの前記前方プッシャーリングから伸びている。
【0016】
もう1つの側面において、前記ガイド要素が、複数の平行で間隔のあいた長手方向のウェビング要素と、前記長手方向のウェビング要素に沿って互いに間隔をあけて配置されている複数の環状の横方向のウェビング要素と、を有する。
【0017】
もう1つの側面において、中隔内の開口を通る針又はカテーテルの挿入における心房中隔に対する衝突の為に、前記ガイド要素の各々の前記長手方向のウェビング要素が複数のアンカーによって終わっている。
【0018】
もう1つの側面において、前記プッシャー及び前記ガイド要素の少なくとも1つが膨張可能である。
【0019】
もう1つの側面において、前記装置ハウジングが、ハウジング内部を規定するハウジング壁と、前記ハウジング内部に対して大体平行に隣接する前記ハウジング壁を通って伸びているプッシャーチャネルと、を有する。さらに、前記ガイド要素が、プッシャーを有し、前記プッシャーが、前記プッシャーチャネル内に摺動可能に配置された膨張可能なプッシャーロッドと、前記プッシャーロッドと流体連通するように配置された膨張可能なプッシャーリングと、を有し、前記プッシャーロッドが前記プッシャーリングで終わっている。
【0020】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面及び以下の好ましい実施形態の詳細な説明からより簡単に明らかになるであろう。
【0021】
本発明の目的並びに特定の特徴及び利点は、添付の図面及び以下の詳細な説明を考慮することにより、さらに明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、単に説明を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を限定する為ではなく、説明の為に提供される添付の図面を参照にして以下に記載される。図面において、同様の記号は同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態による経中隔挿入装置の前方斜視図であり、カテーテルを伴う経中隔挿入装置の分解図である。
【
図2】カテーテルが経中隔挿入装置の一部を通って伸びている第1の後退位置における
図1の経中隔挿入装置の前方斜視図である。
【
図3】カテーテルが経中隔挿入装置を通って伸びており、経中隔挿入装置の先端から突出している第2の前進位置における
図1の経中隔挿入装置の後方斜視図である。
【
図4】
図2の第1の後退位置における経中隔挿入装置及びカテーテルを示す、心房中隔を突刺する前の
図1の経中隔挿入装置及びカテーテルの
図2の断面4−4に沿った断面図である。
【
図5】心房中隔が突刺され、カテーテルが心房中隔を通って伸びている、
図3の第2の前進位置における経中隔挿入装置及びカテーテルを示す、
図1の経中隔挿入装置及びカテーテルの
図4と同様の断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態による経中隔挿入装置の前方斜視図であり、カテーテルを伴う経中隔挿入装置の分解図である。
【
図8】カテーテルが経中隔挿入装置の一部を通って伸びている第1の後退位置における
図7の経中隔挿入装置の前方斜視図である。
【
図9】カテーテルが経中隔挿入装置を通って伸びており、経中隔挿入装置の先端から突出している第2の前進位置における
図7の経中隔挿入装置の後方斜視図である。
【
図10】
図8の第1の後退位置における経中隔挿入装置及びカテーテルを示す、心房中隔を突刺する前の
図7の経中隔挿入装置及びカテーテルの
図8の断面10−10に沿った断面図である。
【
図11】心房中隔が突刺され、カテーテルが心房中隔を通って伸びている、
図9の第2の前進位置における経中隔挿入装置及びカテーテルを示す、
図7の経中隔挿入装置及びカテーテルの
図10と同様の断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態による経中隔挿入装置の前方斜視図であり、カテーテルを伴う経中隔挿入装置の分解図である。
【
図14】後退位置における経中隔挿入装置及びカテーテルを示す、心房中隔を突刺する前の
図13の経中隔挿入装置及びカテーテルの断面図である。
【
図16】本発明の第4の実施形態による経中隔挿入装置の前方斜視図であり、カテーテルを伴う経中隔挿入装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を通して、同様の参照番号は同様の部品を示している。
【0025】
以下の記載において、説明の目的で例として多くの詳細が記載されているが、これらの特定の詳細を使用しなくても、本発明を実施することができると当業者は理解するであろう。
【0026】
以下の詳細な説明は単に例として記載されているものであり、記載されている実施形態又は記載されている実施形態の利用を限定することを意図するものではない。ここで使用されている用語「例として」は、「実施例となる」ことを意味している。ここで「例として」記載されている実施は、他の実施より優れている又は好ましいと解釈される必要はないものである。以下に記載の全ての実施は、当業者が開示されている実施形態を実施又は使用することを可能にする為の例としての実施であり、特許請求の範囲により規定される開示の範囲を限定することを意図するものではない。ここで記載されている「上部」、「下部」、「左側」、「後方」、「右側」、「前方」、「垂直」、「水平」等は
図1に記載の本発明の配向に関するものである。さらに、上述の技術分野、背景技術、発明の概要、又は以下の詳細な説明に示されている明示又は暗示された理論により縛られることを意図しないものである。添付の図面に図示され、以下の明細書に記載された特定の装置及び方法は、添付の特許請求の範囲において規定されている発明概念の単なる例としての実施形態であると理解される。したがって、ここに開示されている実施形態の特定の寸法及び他の物理的特徴は、特許請求の範囲に明示されていない限り、限定として解釈されるものではない。
【0027】
図面を通して、本発明は、左心房インターベンションを実施する為に左心房へのアクセスを提供する心房中隔の素早く安全な経中隔突刺及び心房中隔を通るカテーテルの挿入を容易にすることに適している経中隔挿入装置に関する。
【0028】
まず
図1〜6を参照すると、本発明の例としての実施形態による経中隔挿入装置100が図示されている。図示されているように、経中隔挿入装置100は、一般的に細長く、長手方向軸101に沿って配置されている。経中隔挿入装置100は、装置ハウジング102を有する。装置ハウジング102は、一般的に細長く、長手方向軸101に沿って配置された円筒形状であり、ハウジング外壁104及びハウジング内壁106(
図4〜6)を有する。ハウジング内壁106は、長手方向軸101に沿ってハウジング外壁104と一般的に同心で平行である。ハウジング外壁104及びハウジング内壁106の間に環状ハウジング間隙108が形成される。ハウジング内壁106内にハウジング内部110が形成される。装置ハウジング102は、先端112及び基端114を有する。いくつかの実施形態において、装置ハウジング102の先端112は、
図4及び5に最も良く示されているように、長手方向断面において先が細くなっている。前方ハウジング開口116は、ハウジング内部110及び環状ハウジング間隙108と連通するように装置ハウジング102の先端112に配置される。後方ハウジング開口118は、ハウジング内部110と連通するように装置ハウジング102の基端114に配置される。
【0029】
さらに、経中隔挿入装置100は摺動体120を有し、摺動体120は、装置ハウジング102内に配置され、装置ハウジング102に対して摺動可能又は長手方向に移動可能である。本実施形態の摺動体120は、プッシャー122及び網状のガイド要素132から成る。いくつかの実施形態において、プッシャー122及び網状のガイド要素132のような摺動体120は、射出成形、溶接等により単一ユニットとして形成することができる。
【0030】
特定の実施形態において、摺動体120は、非多孔性のPTFE/ダクロン(Dacron)のような繊維により覆われている。
【0031】
図1に最も良く示されているように、プッシャー122は、ハウジング外壁104及びハウジング内壁106の間の環状ハウジング間隙108内に配置される。いくつかの実施形態において、プッシャー122は、前方プッシャーリング124と、前方プッシャーリング124から間隔をあけて配置された後方プッシャーリング126と、を有する。少なくとも1つの細長いプッシャーロッド128が、前方プッシャーリング124及び後方プッシャーリング126の間に伸びている。いくつかの実施形態において、複数のプッシャーロッド128が、前方プッシャーリング124及び後方プッシャーリング126の周囲に互いに一般的に平行な関係で、前方プッシャーリング124及び後方プッシャーリング126の間に伸びている。
【0032】
さらに
図1を参照にして、網状のガイド要素132が、プッシャー122から前方に伸びており、例えばプッシャー122の前方プッシャーリング124から前方に伸びている。網状のガイド要素132が、横方向に内部空間133の範囲を定め、以下に詳しく説明するように、内部空間133を通って長手方向に移動する針又はカテーテルの誘導効果を提供する。網状のガイド要素132は、図示されているように、一般的に細長い円筒形状である。いくつかの実施形態において、網状のガイド要素132は、横方向に伸縮可能であり、即ち直径の変化を可能にし、例えば、網状のガイド要素132は、網状のガイド要素132の先端が網状のガイド要素132の基端よりも大きな直径を有する、円錐形に拡張可能である。網状のガイド要素132は拡張可能であるが、網状のガイド要素132が上述の誘導効果を提供し続けることができるように、拡張は一定の範囲に限定されている。いくつかの実施形態において、図面に示されているように、網状のガイド要素132は、網状のガイド要素132の周囲に互いに間隔をあけて配置されている複数の平行な長手方向のウェビング要素134を含むことができ、同様に、網状のガイド要素132において長手方向のウェビング要素134を互いに接続する複数の平行な間隔をあけて配置された横方向のウェビング要素136を含むことができる。しかしながら、代替実施形態においては、網状のガイド要素132の構成が変更され、例えば、限定としてではなく、網状のガイド要素はネットを形成する斜めの網目要素から成ることができる。網状のガイド要素132は、例えば、限定としてではなく、ニチノール製であることができる。いくつかの実施形態において、図示されているように、網状のガイド要素132の各長手方向のウェビング要素134の先端は幅広部又はアンカー138で終わっている。アンカー138は、網状のガイド要素132の周囲に配置することができ、経中隔挿入装置100の長手方向軸101に対して横方向の平面上に実質的に互いに同一平面上に配置される。アンカー138は、例えば、限定としてではなく、タンタルから成ることができる。
【0033】
図2及び3に図示されているように、摺動体120は、摺動することにより装置ハウジング102内で異なる長手方向位置を取ることができる。
図2に図示されている第1の後退位置において、摺動体120は、装置ハウジング102に対して後退しており、網状のガイド要素132は、一般的に装置ハウジング102内に配置され、プッシャー122は、装置ハウジング102の基端114から後方に突出している。第2の前進位置において、摺動体120は、装置ハウジング102に対して前進しており、摺動体120は、前方ハウジング開口116を通って前進して装置ハウジング102の先端112から外側に突出しており、網状のガイド要素132は、装置ハウジング102から外側に前方に伸びており、プッシャー122は、装置ハウジング102内に概ね受け入れられる。さらに詳しくは、第2の前進位置において、プッシャーロッド128は、図示されているように、装置ハウジング102内に受け入れられるが、プッシャー122の後方プッシャーリング126は装置ハウジング102外部にとどまり、装置ハウジング102の基端114上に静止し、摺動体120が装置ハウジング102を通ってさらに前進することを阻止する。
【0034】
以下に記載の目的により、摺動体は、左心耳手術中の穿孔の事態において、左心耳内に固定する為に使用される。摺動体は非多孔性であるから閉塞用バルーンとして作用し、流血が止まるか最終的な処置を実施するまで、心膜内への更なる溢血を防止する。
【0035】
以下に記載の目的により、針又はスピアを保持するカテーテル500を、経中隔挿入装置100を通して挿入することができ、そして、摺動体120によって誘導されて、
図3に図示されているように、カテーテル500を装置ハウジング102の先端112から外側に突出することができる。
【0036】
特定の実施形態において、摺動体は、移植された僧帽弁調整装置(Mitraclip(登録商標))を除去する為に使用される。摺動体は、僧帽弁の前尖及び後尖上に固定する為に使用される。一度固定されると、僧帽弁調整装置に取り付けられる機械的、磁性又は電磁性レバーの何れかとして機能し、僧帽弁を安定させる。その後、摺動体120を通してエネルギーが僧帽弁に伝達され、前尖及び後尖が切除される。それにより、僧帽弁調整装置が解放されて体から除去される。摺動体120は、僧帽弁に僧帽弁調整装置が存在しない場合も使用され、左心室流出路の閉塞を防止する為に、僧帽弁移植前に僧帽弁の前尖を切除する為に使用される。この例において、僧帽弁の前尖は、摺動体120内に収容されている一組の安定装置により安定される。安定装置は、まず僧帽弁の前尖を安定させる為に使用され、その後、摺動体120が、僧帽弁の前尖を切除する為に、エネルギーを伝達する為に使用される。その後、切除された組織は安定装置を用いて体から除去される。
【0037】
特定の実施形態において、摺動体は、肺静脈内に固定する為に使用される。高周波エネルギー又は他の形のエネルギーは、ケーブル及び摺動体を介して肺静脈まで伝達され、その結果、肺静脈は電気的に切除される。
【0038】
心房中隔520を突刺する経中隔挿入装置100の典型的な用途が、
図4及び5を参照にして以下に記載されている。
【0039】
まず、経中隔挿入装置100は、(
図2を参照にして記載されている)第1の後退位置に配置され、第1の後退位置において、摺動体120は装置ハウジング102に対して後退しており、装置ハウジング102の先端112が、経中隔挿入装置100の先細の前端又は先端を提供する。その後、経中隔挿入装置100は、静脈を通って伸びているカテーテル(以後、明確化を目的として「外部カテーテル」と呼ぶ)を通して心臓の右心房510内に挿入される。外部カテーテル及び静脈は、本発明を不明瞭にしない為に、図面には図示されていない。
【0040】
経中隔挿入装置100が右心房510に到達すると、(不図示の)針又はスピアを内部に保持する第2の別のカテーテル500が、装置ハウジング102のハウジング内部110及び摺動体120を通って伸びている。カテーテル500は、従来のデザインを有し、細長くて一般的に柔軟なカテーテル本体502及びカテーテル本体502が終わる先細のカテーテル先端504を有する。経中隔挿入装置100内に第2の別のカテーテル500を挿入する前、又は挿入した後に、
図4に図示されているように、外科医が経中隔挿入装置100をゆっくり移動して、突刺される心房中隔520の目標点522又は目標領域に向けて近くに配置する。
【0041】
経中隔挿入装置100が心房中隔520の目標点522に向けて配置されると、経中隔挿入装置100は、
図2の後退位置から
図3の前進位置へと変更されるように操作され、即ち、摺動体120が装置ハウジング102に対して前方に押し出され、網状のガイド要素132が装置ハウジング102の先端112から前方に突出する。経中隔挿入装置100は、心房中隔520に対して十分近くに配置されるので、摺動体120を前方に押し出すことにより、網状のガイド要素132が最終的に心房中隔520に接触して静止する。もし存在していたら、アンカー138は、心房中隔520と係合することができ、それにより、網状のガイド要素132を心房中隔520上に固定することに貢献し、それにより、網状のガイド要素132は目標点522の周りに保持される。
【0042】
網状のガイド要素132が心房中隔520上に静止すると、網状のガイド要素132及び心房中隔520が網状のガイド要素132の内部空間133及び心房中隔520の目標点522を包囲する。その後、カテーテル500を通って針又はスピアが心房中隔520に向かって前進し、心房中隔520を突刺し、心房中隔520に開口530を形成する。摺動体120は、装置ハウジング102のハウジング外壁104及びハウジング内壁106の間の環状ハウジング間隙108内に配置され、環状ハウジング間隙108は、摺動体120を安定させることに貢献し、それにより、網状のガイド要素132を同じ位置に維持して、心房中隔520を突刺する時に安全で精密な狙いを提供する。
【0043】
心房中隔520に開口530が形成されると、その後、カテーテル500が開口530を通って患者の心臓の左心房512内に挿入され、それにより、既知の左心房インターベンションが実施される。経中隔挿入装置100は、カテーテル500を安定させる為に
図5の位置に保持され、心房中隔520に対する正しい配向を維持する。
【0044】
心臓カテーテル手術が完了すると、カテーテル500は、開口530を通って左心房512から引き出され、網状のガイド要素132内に後退する。次に、網状のガイド要素132が、心房中隔520との係合から外れて、
図4に図示されているように環状ハウジング間隙108内に後退する。最後に、経中隔挿入装置100は、外部カテーテルを通して右心房510から除去される。
【0045】
経中隔挿入装置100は、心房中隔520を通るカテーテル500及び針又はスピアのより安全でより迅速な挿入を容易にし、したがって、カテーテル500又は針の挿入時に周囲の組織を損傷する危険性を最小限にして、より安全でより迅速な左心房512へのアクセスを容易にすると当業者には理解される。
【0046】
図7〜12を参照にして、経中隔挿入装置の第2の実施形態が、一般的に参照番号200として図示されている。経中隔挿入装置200において、
図1〜6に関して上述されている経中隔挿入装置100の各要素と類似した要素は、
図7〜12において200〜299の一連の同様の番号により指定されている。第1の実施形態の装置ハウジング102とは異なり、第2の実施形態の経中隔挿入装置200の装置ハウジング202は、単一のハウジング壁204を有する。
図10及び11に図示されているように、プッシャーチャネル262が、装置ハウジング202の基端214から先端212まで、ハウジング壁204に沿ってハウジング壁204を通って伸びている。
図11に図示されているように、装置ハウジング202の先端212は、前方ハウジング開口216を取り囲む凹状の座部領域260を有する。
【0047】
第1の実施形態と同様に、
図7〜9に図示されているように、第2の実施形態の摺動体220は、プッシャー222及びプッシャー222から伸びているガイド要素232を有する。ここに図示されているプッシャー222は、単一のプッシャーロッド228から成る。次に、ガイド要素232は、プッシャー222から横方向に伸びているリングとして形成され、リングは、装置ハウジング202の凹状の座部領域260内に受け入れられる寸法及び形状を有する。摺動体220は、膨張可能とすることもでき、限定としてではなく、例えば、プッシャーロッド228及びガイド要素232は、中空で柔軟であり、互いに流体連通していることができる。プッシャーロッド228は、装置ハウジング202のプッシャーチャネル262内を摺動変位するように配置される。プッシャーロッド228は、以下に記載の目的で、プッシャーロッド228及びガイド要素232を膨張させる為に、プッシャーロッド228を通してガイド要素232内に(図示しない)加圧膨張流体を供給する(図示しない)膨張流体源と流体連通するように配置されることができる。
【0048】
第1の実施形態と同様に、
図8及び9に図示されているように、第2の実施形態の摺動体220は、装置ハウジング202内で摺動して異なる長手方向位置を取ることができる。
図8に図示されている第1の後退位置において、摺動体220は、装置ハウジング202に対して後退しており、環状のガイド要素232は、装置ハウジング202の凹状の座部領域260に静止している。第2の前進位置において、摺動体220は、装置ハウジング202に対して前方に移動しており、プッシャーロッド228が装置ハウジング202のプッシャーチャネル262を通って前進して摺動体220が装置ハウジング202の先端212から外側に突出し、ガイド要素232が装置ハウジング202の先端212から間隔をあけて配置されている。針又はスピアを保持するカテーテル500は、経中隔挿入装置200を通して挿入されることができ、摺動体220の環状のガイド要素232により誘導され、
図9に図示されているように、装置ハウジング202の先端212から外側に突出している。
【0049】
心房中隔520を突刺する経中隔挿入装置200の典型的な用途が、
図10及び11を参照にして以下に記載されている。
【0050】
まず、経中隔挿入装置200は、(
図8を参照にして記載されている)第1の後退位置に配置され、第1の後退位置において、摺動体220は装置ハウジング202に対して後退しており、装置ハウジング202の先端212と共に丸い環状のガイド要素232が、経中隔挿入装置200の丸い前端又は先端を提供している。その後、経中隔挿入装置200は、静脈を通って伸びているカテーテル(以後、明確化を目的として「外部カテーテル」と呼ぶ)を通して心臓の右心房510内に挿入される。外部カテーテル及び静脈は、本発明を不明瞭にしない為に、図面には図示されていない。
【0051】
経中隔挿入装置200が右心房510に到達すると、(不図示の)針又はスピアを内部に保持する第2の別のカテーテル500が、装置ハウジング202のハウジング内部210及び摺動体220を通って伸びている。カテーテル500は、従来のデザインを有し、細長くて一般的に柔軟なカテーテル本体502及びカテーテル本体502が終わる先細のカテーテル先端504を有する。経中隔挿入装置200内に第2の別のカテーテル500を挿入する前、又は挿入した後に、
図10に図示されているように、外科医が経中隔挿入装置200をゆっくり移動して、突刺される心房中隔520の目標点522又は目標領域に向けて近くに配置する。
【0052】
経中隔挿入装置200が心房中隔520の目標点522に向けて配置されると、経中隔挿入装置200は、
図8の後退位置から
図9の前進位置へと変更されるように操作され、即ち、摺動体220が装置ハウジング202に対して前方に押し出され、環状のガイド要素232が装置ハウジング202の先端212から離れて前方に移動する。経中隔挿入装置200は、心房中隔520に対して十分近くに配置されるので、摺動体220を前方に押し出すことにより、環状のガイド要素232が最終的に心房中隔520に接触して静止する。
【0053】
環状のガイド要素232が心房中隔520上に静止すると、環状のガイド要素232及び心房中隔520が環状のガイド要素232の内部空間233及び心房中隔520の目標点522を包囲する。その後、カテーテル500を通って針又はスピアが心房中隔520に向かって前進し、心房中隔520を突刺し、心房中隔520に開口530を形成する。
【0054】
心房中隔520に開口530が形成されると、その後、カテーテル500が開口530を通って患者の心臓の左心房512内に挿入され、それにより、既知の左心房インターベンションが実施される。経中隔挿入装置200は、カテーテル500を安定させる為に
図11の位置に保持され、心房中隔520に対する正しい配向を維持する。
【0055】
心臓カテーテル手術が完了すると、カテーテル500は、開口530を通って左心房512から引き出され、環状のガイド要素232を通って後退する。次に、環状のガイド要素232が、心房中隔520との係合から外れて
図10に図示されている装置ハウジング202の先端212に後退する。最後に、経中隔挿入装置200は、外部カテーテルを通して右心房510から除去される。
【0056】
次に、
図13〜15を参照にして、経中隔挿入装置の第3の実施形態が、一般的に参照番号300として図示されている。経中隔挿入装置300において、
図1〜6に関して上述されている経中隔挿入装置100の各要素と類似した要素は、
図13〜15において300〜399の一連の同様の番号により指定されている。第3の実施形態の経中隔挿入装置300はさらに、内部空間372を有する中間カテーテル370又は細長い管を有する。
図14に最も良く示されているように、中間カテーテル370は、装置ハウジング302のハウジング内部310に、ハウジング内壁306及びカテーテル500の間に配置される。即ち、中間カテーテル370は、装置ハウジング302内に収容され、心房中隔520を突刺及び/又は通過する為のカテーテル500を受け入れる。
図13及び15に最も良く示されているように、中間カテーテル370の先端又は先端付近に、随意的な外側環状超音波トランスデューサ374が、中間カテーテル370により保持されている。中間カテーテル370は、装置ハウジング302から外側に前方に伸びることができ、それにより、超音波トランスデューサ374が経中隔挿入装置300の周囲の超音波画像を撮像することを可能にし、経中隔突刺処置の精密な実施を容易にする。
【0057】
特定の実施形態において、経中隔挿入装置は、前向きの超音波トランスデューサ及び/又は横向きの超音波トランスデューサを有している。特定の実施形態において、前向きの超音波トランスデューサ及び/又は横向きの超音波トランスデューサは、超音波トランスデューサから電子信号を伝達して記憶するように設計されたチップ又は超音波チップを有している。
【0058】
次に、
図16を参照にして、経中隔挿入装置の第4の実施形態が、一般的に参照番号400として図示されている。経中隔挿入装置400において、
図1〜6に関して上述されている経中隔挿入装置100の各要素と類似した要素は、
図16において400〜499の一連の同様の番号により指定されている。第4の実施形態の経中隔挿入装置400はさらに、摺動体420により、例えばプッシャー422の前方プッシャーリング424により、保持される随意的な環状超音波トランスデューサ480を有している。経中隔挿入装置400が前進位置、即ち、摺動体420が装置ハウジング402から前方に伸びている位置に配置されると、超音波トランスデューサ480は経中隔挿入装置400の周囲の超音波画像を撮像することができるので、経中隔突刺処置の精密な実施を容易にする。
【0059】
本発明の経中隔挿入装置は、以下の技術の少なくとも1つを外科医が実施することを良好に補助することができる:心房中隔の視覚化及び安定化;卵円窩の視覚化及び安定化;(大動脈のような組織から離れた)左心房の安全領域内への心房中隔を通る経中隔突刺の誘導;(心房細動アブレーション(AFib Ablation)の為の肺静脈の隔離)左心房内への誘導;左心房の視覚化;肺静脈内への誘導;肺静脈の視覚化及び安定化、特に肺静脈の小孔の視覚化及び安定化;左心耳の視覚化及び安定化;左心耳内への誘導;僧帽弁の視覚化及び安定化;並びに僧帽弁及び左心室内への誘導。
【0060】
ここに記載の本発明の好ましい実施形態には、多くの改良、変形及び細部の変更を実施することができるものであり、上記記載及び添付の図面の記載は、例として解釈されるものであり、限定を意図するものではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその適法な均等物により決定されるものである。
【符号の説明】
【0061】
100 経中隔挿入装置
101 長手方向軸
102 装置ハウジング
104 ハウジング外壁
106 ハウジング内壁
108 環状ハウジング間隙
110 ハウジング内部
112 102の先端
114 102の基端
116 前方ハウジング開口
118 後方ハウジング開口
120 摺動体
122 プッシャー
124 前方プッシャーリング
126 後方プッシャーリング
128 プッシャーロッド
132 網状のガイド要素
133 内部空間
134 長手方向のウェビング要素
136 横方向のウェビング要素
138 アンカー
200 経中隔挿入装置
202 装置ハウジング
204 ハウジング壁
212 202の先端
214 202の基端
216 前方ハウジング開口
220 摺動体
222 プッシャー
228 プッシャーロッド
232 環状のガイド要素
233 内部空間
260 凹状の座部領域
262 プッシャーチャネル
300 経中隔挿入装置
302 装置ハウジング
306 ハウジング内壁
310 ハウジング内部
370 中間カテーテル
372 内部空間
374 超音波トランスデューサ
400 経中隔挿入装置
402 装置ハウジング
420 摺動体
422 プッシャー
424 前方プッシャーリング
480 超音波トランスデューサ
500 カテーテル
502 カテーテル本体
504 カテーテル先端
510 右心房
512 左心房
520 心房中隔
522 520の目標点
530 520の開口
【国際調査報告】