【実施例】
【0144】
アルキニルホスホンアミデート調製のための一般手順
火炎乾燥したシュレンク管中、アルゴン雰囲気下で、臭化エチニルマグネシウムの溶液(THF中0.5M、2mL、1mmol)をドライアイス/アセトン浴中で-78℃に冷却した。クロロ亜リン酸ジエチル(157mg、144μL、1mmol)をシリンジから滴加した。溶液を-78℃で30分間撹拌し、次いで室温に戻し、続いてさらに1.5時間撹拌した。その後、3mLの無水THFおよびアジド(1mmol)を加え、溶液を室温で24時間撹拌した。次いで、H
2O(5mL)を加え、溶液を空気に開放してさらに24時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、粗製混合物を
31P NMRで分析した。
【0145】
ビニルホスホニトの合成
三塩化リンからのビニルホスホニト合成のための一般手順A
火炎乾燥したシュレンク管に20mlの無水トルエン中1.50mmol(1.0当量)の三塩化リンを加え、-78℃に冷却した。3.3mmolのピリジン(2.2当量)および5mlのEt
2O中3.3mmolのアルコール(2.2当量)を滴加した。得られた懸濁液を室温に戻し、さらに30分間撹拌し、再度-78℃に冷却した。1.65mmol(1.1当量)のビニルグリニャール(THF中1.0M)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。最後に、2.25mmol(1.5当量)のボラン(THF中1.0M)を0℃で加え、さらに1時間撹拌した。粗生成物を精製のためにシリカカラムに乾燥充填した。
【0146】
ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのビニルホスホニト合成のための一般手順B
火炎乾燥したシュレンク管に200μlの無水THFに溶解した1.5mmol(1.0当量)ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンを加え、-78℃に冷却した。1.65mmol(1.1当量)のビニルグリニャール(THF中1.0M)を加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。1mlの無水THFまたはMeCN中3.3mmolの真空乾燥したアルコール(2.2当量)および3.3mmol(2.2当量)のテトラゾール(MeCN中0.45M)の溶液を加えた。得られた懸濁液を室温で終夜撹拌した。最後に、2.25mmol(1.5当量)のボラン(THF中1.0M)を0℃で加え、さらに1時間撹拌した。粗生成物を精製のためにシリカカラムに乾燥充填した。
【0147】
クロロ亜リン酸ジエチル、ビニルグリニャール試薬および異なるアジドからのビニルホスホンアミデート合成のための一般手順C
25-mlシュレンク管に1.71mlの臭化ビニルマグネシウム(THF中0.7M、1.20mmol、1.2当量)をアルゴン雰囲気下で加え、-78℃に冷却し、140μlのクロロ亜リン酸ジエチル(1.00mmol、1.0当量)を滴加した。帯黄色溶液を0℃まで戻し、さらに2時間撹拌し、3.2mlのTHFに溶解した1.00mmolのアジド(1.0当量)を加え、室温で終夜撹拌した。5mlの水を加え、さらに24時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。
【0148】
エチル-N-フェニル-P-エチニル-ホスホンアミデート
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エチルN-フェニル-P-エチニル-ホスホンアミデートを、「アルケニルまたはアルキニルホスホンアミデート調製のための一般手順」後にフェニルアジド(595mg、5mmol)から5mmolスケールで調製した。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、ヘキサン/酢酸エチルで溶出して精製した。生成物を無色固体として430mg(2.1mmol、42%)の収率で得た。
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【0149】
エチル-N-ベンジル-P-エチニル-ホスホンアミデート
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エチルN-ベンジル-P-エチニル-ホスホンアミデートを、「アルケニルまたはアルキニルホスホンアミデート調製のための一般手順」後にベンジルアジド(133mg、125μL、1mmol)から調製した。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、ヘキサン/酢酸エチルで溶出して精製した。生成物を無色固体として37mg(0.17mmol、17%)の収率で得た。
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【0150】
エチル-N-フェニル-P-ビニル-ホスホンアミデート
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化合物を、一般手順Cに従い、1.15mlのクロロ亜リン酸ジエチル(8mmol)から合成した。純粋なホスホンアミデートをフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc)により精製し、白色固体で得た。(675mg、3.20mmol、40.0%)
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【0151】
エチル-N-(4-カルボキシ-フェニル)-P-ビニル-ホスホンアミデート
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化合物を、一般手順Cに従い、288μlのクロロ亜リン酸ジエチル(2mmol)から合成した。純粋なホスホンアミデートをフラッシュカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH、9:1〜4:1)により精製し、白色固体で得た。(173mg、0.68mmol、34.0%)
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【0152】
エチル-N-ベンジル-P-ビニル-ホスホンアミデート
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化合物を、一般手順Cに従い、290μlのクロロ亜リン酸ジエチル(2mmol)から合成した。純粋なホスホンアミデートをフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc)により精製し、無色油状物で得た。(155mg、0.69mmol、34.3%)
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【0153】
エチル-N-(2-ニトロ-ベンジル)-P-ビニル-ホスホンアミデート
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化合物を、一般手順Cに従い、120μlのクロロ亜リン酸ジエチル(0.83mmol)から合成した。純粋なホスホンアミデートをフラッシュカラムクロマトグラフィ(2%MeOH/CH
2Cl
2)により精製し、褐色油状物で得た。(125mg、0.46mmol、55.4%)
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【0154】
エチル-N-(3-フェニル-プロピル)-P-ビニル-ホスホンアミデート
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化合物を、一般手順Cに従い、290μlのクロロ亜リン酸ジエチル(2mmol)から合成した。純粋なホスホンアミデートをフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc)により精製し、無色油状物で得た。(165mg、0.65mmol、32.5%)
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【0155】
エチル-N-シクロヘキシル-P-ビニル-ホスホンアミデート
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化合物を、一般手順Cに従い、140μlのクロロ亜リン酸ジエチル(1mmol)から合成した。純粋なホスホンアミデートをフラッシュカラムクロマトグラフィ(1.5%MeOH/CH
2Cl
2)により精製し、無色油状物で得た。(70mg、0.32mmol、32.2%)
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【0156】
アルキニル-ホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加:
ジエチル-アルキニル-ホスホニトの合成および異なるアジドとの反応(段階b)
ジエチル-アルキニル-ホスホニトを、発表されたプロトコル(13)に従って合成し、異なる脂肪族および芳香族アジドと反応させた(スキーム3)。所望のアルキニル-ホスホンアミデートの生成を
31P-NMRによってモニターした(異なるアジド基質の変換について表1参照)。
【0157】
スキーム3:ジエチル-アルキニルホスホニトのR-N
3(Rは表1参照)とのシュタウディンガー-ホスホニト反応
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【0158】
(表1)ジエチル-アルキニル-ホスホニトのシュタウディンガー-ホスホニト反応のための基質範囲(値は%)n. d. = 検出されない);
31P-NMRにより決定
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【0159】
N-フェニル-およびN-ベンジル-ホスホンアミデートをカラムクロマトグラフィにより、それぞれ41%および17%の収率で単離した。最も高い変換はTHF中で得られた(表2)。
【0160】
(表2)ジエチル-アルキニル-ホスホニトとフェニルアジドとの間のシュタウディンガー-ホスホニト反応に対する溶媒の影響
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【0161】
ホスホンアミデートアルキンまたはアルケンの塩基によるヒドロチオール化の一般手順
キャップしたバイアルに、エチルN-フェニル-P-エチニル-ホスホンアミデート(10mg、0.05mmol)およびそれぞれの塩基(および必要な場合は添加剤)を加えた。混合物を200μLのそれぞれの溶媒に懸濁した。次いで、エタンチオール(3.1mg、3.6μL、0.05mmol)をマイクロリットルシリンジから加え、混合物を室温で3時間撹拌した。その後、混合物をCH
2Cl
2(5mL)で希釈し、H
2O(5mL)を加えた。抽出後、相を分離し、水層をCH
2Cl
2(5mL)で3回抽出した。合わせた有機層をH
2O(5mL)で2回と食塩水(5mL)で洗浄した。溶媒を除去した後、粗製混合物を
1H NMRおよび
31P NMRで分析した。アルケンホスホンアミデートの調製は、アルキンホスホンアミデートの調製と類似である。
【0162】
エチル-N-フェニル-P-(2-エチルスルファニル)-エテニル-ホスホンアミデート
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キャップしたバイアルに、エチルN-フェニル-P-エチニル-ホスホンアミデート(10mg、0.05mmol)および炭酸カリウム(2.8mg、0.02mmol)を加えた。混合物をDMF/H
2Oの1:1混合物(200μL)に懸濁した。次いで、エタンチオール(3.1mg、3.6μL、0.05mmol)をマイクロリットルシリンジから加え、混合物を室温で3時間撹拌した。その後、混合物をCH
2Cl
2(5mL)で希釈し、H
2O(5mL)を加えた。抽出後、相を分離し、水層をCH
2Cl
2(5mL)で3回抽出した。合わせた有機層をH
2O(5mL)で2回と食塩水(5mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去した後、生成物を12mg(0.044mmol、89%)の収率で得た。
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【0163】
(エチル-N-フェニル-P-エテニル-ホスホンアミデート)-S-グルタチオンコンジュゲート
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キャップしたバイアルに、エチルN-フェニル-P-エチニル-ホスホンアミデート(31mg、0.15mmol)および炭酸カリウム(7mg、0.05mmol)を加えた。混合物をDMF/H
2Oの1:1混合物(500μL)に懸濁した。次いで、(2S)-2-アミノ-4-{[(1R)-1-[(カルボキシメチル)カルバモイル]-2-スルファニルエチル]カルバモイル}-ブタン酸(31mg、0.1mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。その後、混合物をH
2O(5mL)で希釈し、CH
2Cl
2(5mL)を加えた。抽出後、相を分離し、有機層をH
2O(5mL)で3回抽出した。水層をCH
2Cl
2(5mL)で3回洗浄した。その後、溶媒を減圧下で除去した。粗製混合物を分取HPLCにより、アセトニトリルおよび酢酸アンモニウム緩衝液で溶出して精製した。生成物を酢酸アンモニウム塩として35.5mg(0.061mmol、61%)の収率で得た。
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【0164】
エタンチオールおよびグルタチオンのアルキニル-ホスホンアミデートへのチオール付加
脂肪族モデル基質としてエタンチオールを選択した。すべての実験を、0.1mmolスケールで、400μLの溶媒を用い、室温で3時間実施した。変換およびジアステレオ選択性を
31P-NMRおよび
1H-NMRで決定した(スキーム4)。
【0165】
スキーム4:反応条件のスクリーニングのためのモデル反応
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【0166】
最初の実験はE-およびZ-配座異性体両方の生成を確認した。ジアステレオマー混合物の
1H NMRにおける主要ジアステレオマーのビシナルH-Hカップリング定数=12.5Hzおよび少量ジアステレオマーの21.7Hzは、Z-異性体がすべての反応条件の主要生成物であることを示す(表3参照)。
【0167】
(表3)電子不足アルキニルホスホンアミデートの塩基によるヒドロチオール化のための溶媒のスクリーニング
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【0168】
次いで、チオール付加に対する溶媒の影響をさらに調査し、あらゆる試験溶媒でチオール付加物の定量的生成が明らかとなった。完全な変換が試験溶媒のすべてで達成された。DMSOは最も低いジアステレオ選択性を示した(12%E-生成物)。したがって、塩基の影響をDMSOおよびDMF/H
2O(1:1)でさらに調査した(表4)。
【0169】
(表4)電子不足アルキニルホスホンアミデートのDMSOおよびDMF/H
2O(1:1)中でのヒドロチオール化のための塩基のスクリーニング
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【0170】
DMSO中での反応のジアステレオ選択性は適用する塩基に依存することが判明した。これに対し、水性系における反応は常に主要生成物としてZ-アルケンを生じた。
【0171】
結論として、モデル反応の反応条件を最適化することが可能であった。反応は水性溶媒系で適用することができ、緩和な炭酸塩基を用い、室温で3時間後に定量的変換を達成することができた。副反応は観察されなかった。
【0172】
次の段階において、これらの最適化した反応条件を、水溶性グルタチオンホスホンアミデートコンジュゲートの合成に適用した(スキーム5)。
【0173】
スキーム5:グルタチオン-ホスホンアミデートコンジュゲートの合成
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【0174】
コンジュゲートを半分取HPLCにより、塩基性条件下で、ジアステレオマー混合物として61%の収率で単離することができた。この水溶性ホスホンアミデートコンジュゲートの妥当な量が得られたため、リン-窒素結合の加水分解特性を判定するために試験を実施することができた。これらの試験のために、水性緩衝液中のコンジュゲートおよび標準の臭化テトラメチルホスホニウム(1.2μM)の3μM溶液を調製し、ホスホンアミデートの加水分解を、24時間にわたって
31P NMRにより標準に対してコンジュゲートの崩壊をモニターすることで特徴づけた。結果を
図1に示し、ここで酸性条件下でのGSH-ホスホンアミデートコンジュゲートの加水分解による崩壊が見られる。
【0175】
強酸性条件(1M HCL、pH0.36)下で、ホスホンアミデートは急速な分解を示し、これは下の曲線(丸)で表される。わずかに酸性の条件(150mM NH
4OAc緩衝液、pH4.76)について、青色の曲線で示すとおり、化合物は測定の期間中ずっと安定であった(四角)。
【0176】
反応の速度をHPLCで決定した。グルタチオンを、わずかに塩基性のpHで水性緩衝液中のエチル-N-フェニルアルキニルホスホンアミデートの溶液に加えた。いくつかの時点の後に酸性緩衝液の添加により反応を停止し、HPLC-UVにより内部標準としてイノシンを参照して分析した。
図2は、pH8.5でのグルタチオンとの反応におけるエチル-N-フェニルアルキニルホスホンアミデートの消費に関する。HPLC UVトレースを異なる時点で取った。実験は三つ組で行った。
【0177】
図2が示すとおり、発明者らは、pH8.5で15分後にアルキニルホスホンアミデート出発原料の95%を超える非常に迅速な変換を達成した。
【0178】
RGDペプチドのGFPへのシュタウディンガー誘導チオール付加
原理試験の次の証明において、発明者らは、癌細胞において過剰発現されたインテグリンに結合することが公知の、アジド含有環状RGDペプチド(c(RGDfK))を合成した。この環状アジド-ペプチドをビスエトキシアルキン-ホスホニトと反応させて、高度に反応性のホスホンアミデートを、HPLC後に53%の単離収率で生成し、副産物の生成は観察されなかった(スキーム6)。
【0179】
スキーム6:環状アジド-RGD-ペプチドのGSHへのシュタウディンガー誘導チオール付加
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【0180】
c(RGDfK)-アジドの合成
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環状RGDfK-アジドペプチドをNovaSynTGTアルコール樹脂上、0.26mmol/gのローディングで手動により合成した。まず、480.7mgの樹脂を2.5mlのトルエンおよび480μlの塩化アセチル中、60℃で3時間撹拌することにより、樹脂を活性化した。Fmoc-Asp(OAll)-OH(123.56mg、0.3125mmol、2.5当量)の二重カップリングをDCM中、活性化塩基としてDIPEA(212.6μl、1.25mmol、10当量)を用い、それぞれ1時間で実施した。さらなるアミノ酸カップリングを、DMF中でアミノ酸(0.25mmol、2当量)、HATU(0.25mmol、2当量)およびDIPEA(0.5mmol、4当量)を混合し、30分で1回と1時間で1回カップリングさせることにより実施した。Fmoc脱保護をDMF中の20%ピペリジンで行った。最終のアミノ酸カップリング後、樹脂をクロロホルム/酢酸/NMM(体積比37:2:1)中Pd(P(Ph
3)
4)(433mg、0.375mmol、3当量)により、アルゴン雰囲気下で2時間処理してalloc脱保護を行い、続いてFmoc脱保護と、DMF中HATU(0.25mmol、2当量)およびDIPEA(0.5mmol、4当量)により16時間の環化を実施した。リジン残基上に芳香族アジドを設置可能にするために、Fmoc-Lys(dde)-OHを固相合成において用い、DMF中2%ヒドラジンを3分間×3回用いて樹脂上で直交性に脱保護し、続いて4-アジド安息香酸(81.65mg、0.5mmol、4当量)のカップリングをDMF中HATU(190mg、0.5mmol、4当量)およびDIPEA(1mmol、8当量)で2時間行った。樹脂からの切断をTFA/DCM(体積比75:25)を用いて2.5時間で実施した。冷無水エーテル中で沈澱させた。粗生成物をUPLC-MSで分析し、続くシュタウディンガー反応で粗生成物として用いるか、または分取逆相C18 HPLC(0〜5分95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);5〜60分10/90、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))により精製した。生成物を白色粉末として得(8.0mg、11.0μmol、収率8.5%)、分析UPLC(RP-C18カラム、0.1%TFAを含む5〜95%アセトニトリル/水)により分析した。c(RGDfK)-アジドのUPLCクロマトグラムを
図7に示す。LRMS: m/z: 749.67 [M+H]
+ (calcd. m/z: 749.3485)。
【0181】
c(RGDfK)-ホスホンアミデートアルキンの合成
ビスエトキシアルキン-ホスホニト合成
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THF中の臭化エチニルマグネシウム(5M、2ml、1mmol、1当量)を、火炎乾燥したシュレンク管中で-78℃に冷却し、クロロ亜リン酸ジエチル(0.143ml、1mmol、1当量)を加えた。溶液を-78℃で10分間撹拌し、室温に戻し、さらに90分間撹拌した。出発原料の完全消費を
31P-NMR(生成物126.73ppm;
図6参照:粗製ビスエトキシアルキン-ホスホニト合成は
図9参照)でチェックし、粗生成物のままで続くアジド-c(RGDfK)とのシュタウディンガー反応に用いた。
【0182】
c(RGDfK)-アジドに対するシュタウディンガー反応
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粗製ペプチドを用いる場合、それ(66mg、88.2μmol、1当量)をDMSO(4ml、22mM)に溶解し、火炎乾燥したフラスコ中で1時間乾燥した後、ビスエトキシアルキン-ホスホニト(NMRにより決定した生成物のパーセンテージに応じた量、132.3μmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、4mlの水を加え、6時間撹拌し、その後凍結乾燥した。粗生成物を半分取逆相C18 HPLC(0〜5分95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);5〜60分10/90、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))で精製し、生成物を白色粉末で得た(6.2mg、6.64μmol、全収率5.3%)。
【0183】
精製したc(RGDfK)-アジドペプチド(6.9mg、9.14μmol、1当量)を用いて、それをDMSO(1.5ml、6mM)に溶解し、火炎乾燥したフラスコ中で1時間乾燥した後、ビスエトキシアルキン-ホスホニト(NMRにより決定した生成物のパーセンテージに応じた量、36.56μmol、4当量)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、1.5mlの水を加え、再度6時間撹拌し、その後凍結乾燥した。粗生成物を半分取逆相C18 HPLC(0〜5分95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);5〜60分10/90、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))で精製し、生成物を白色粉末で得た(4.1mg、4.89μmol、収率53.5%)。
【0184】
最終生成物をLC-UV:室温、5.0分(RP-C18カラムで0〜1分95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);1〜16.5分5/95、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))および質量分析により分析した。c(RGDfK)-アルキンのクロマトグラムを
図8に示す。HRMS: m/z: 839.3636 [M+H]
+ (calcd. m/z: 839.3606)
【0185】
電子不足c(RGDfK)-ホスホンアミデートアルキンのヒドロチオール化
グルタチオンとのモデル反応
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グルタチオン(1mg、3.25μmol、1当量)およびc(RGDfK)-ホスホンアミデートアルキン(1.24mg、3.25μmol、1当量)を135μlの10mM炭酸水素アンモニウム緩衝液pH9.2および15μlのアセトニトリル中で混合した(c=21.6mM)。10分間振盪した後、LC-UV/MSにより付加生成物への定量的変換が観察された。
【0186】
最終生成物をLC-UV:室温、4.3/4.4分(RP-C18カラムで0〜1分95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);1〜16.5分5/95、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))により分析した。
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【0187】
チオールとの反応のための第一の試験基質として、発明者らはグルタチオン(GSH)を用い、pH8.8のわずかに塩基性条件下、室温で10分後に、ほぼ定量的変換でチオールのホスホンアミデート-アルキンへの迅速かつ高収率の付加を観察した(
図3:環状アジド-RGD-ペプチドのGSHへのシュタウディンガー誘導チオール付加)。
【0188】
このモデル付加生成物に対し、発明者らは、異なるpHならびに中性および塩基性pHでのMesNaおよびDTTのようなチオール付加の下で、安定性試験を実施した。生成物はpH2.3〜pH9.0までの広いpH範囲で安定であることが判明した(
図4:c(RGDfK)-グルタチオンのpH安定性)。
【0189】
また、生成物は、生理的pH(PBS緩衝液;pH7.4)でDTTおよびMesNaの高濃度(0.2M、100当量)に対しても安定である。pH9.0で、MesNaは生成した二重結合にゆっくり付加する(4日後に10%の付加生成物が生じた)。これに対して、DTTは速やかに付加生成物を生じ(30時間後に42%)、その後経時的に分解する。
【0190】
GFPタンパク質のシュタウディンガー誘導チオール付加
次の段階で、発明者らは、Cys含有モデルタンパク質によるシュタウディンガー誘導コンジュゲーション反応を調査した。ここで、発明者らは環状RGD-ホスホンアミデートへのチオールコンジュゲーションのために利用可能なシステインを1つだけ有する変異eGFPを用いた。
【0191】
GFP C70M S147Cとの反応
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GFP C70M S147C(3.13nmol、1当量)を100μlの10mM炭酸水素アンモニウムpH8.4に再緩衝化し、c(RGDfK)-ホスホンアミデートアルキン(0.08mg、93.9nmol、30当量)を加えた。反応混合物を37℃、800rpmで3時間振盪した。最後に、混合物を10kDa MWCOのAmicon Spinフィルターを用いてスピンろ過した。試料を14000rpm、5分間で10回スピンろ過し、新鮮10mM炭酸水素アンモニウム緩衝液を加えた後、MALDI-TOF分析を行い、GFP C70M S147Cの所望の生成物への全変換を検証した。
MALDI TOF: 予想 (in Da): 28605.31 (M+H
+), 14303.16 (M+2H
+); 実測 (in Da): 28608.46 (M+H
+), 14294.46 (M+2H
+)
【0192】
このアプローチにより、発明者らは、31μMの濃度でタンパク質レベルでのこの反応の実現可能性を確証することができ、ここで、消化されたタンパク質コンジュゲートのMALDI-MS分析およびMS/MS分析により検証して、コンジュゲートは実質的に定量的変換で生成した(
図5:チオール含有eGFPへのシュタウディンガー誘導チオール付加)。
【0193】
c(RGDfK)-グルタチオンの安定性試験
c(RGDfK)-グルタチオンを異なる溶媒(0.1M HCl、pH1;0.1%TFAを含む30%アセトニトリル/水、pH2.3;PBS緩衝液、pH7.4;酢酸アンモニウム緩衝液、pH9.0;0.05M NaOH、pH12)中に2mMの濃度で溶解し、0.5mMのイノシンを内部標準として加えた。次いで、出発原料の安定性を3日間にわたってモニターした。
【0194】
競合するチオール存在下での安定性試験、c(RGDfK)-グルタチオンをPBSまたは1M Tris HCl、pH9.0のいずれかに2mMの濃度で溶解し、10当量のDTTまたはMesNaを加えた。混合物を数日間にわたってモニターした。
【0195】
アルキンホスホンアミデートとの抗体コンジュゲーション
まず、実験を、ヒト上皮成長因子に対するモノクローナルIgG1抗体、セツキシマブで実施した。抗体をビオチンホスホンアミデートで修飾し、非還元条件下でのSDS-PAGEと、続いて抗ビオチンウェスタンブロッティングにより分析した(スキーム7)。
【0196】
スキーム7:ビオチン修飾アルキニルホスホンアミデートによるシステイン選択的抗体修飾のための2段階還元およびアルキル化アプローチ
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【0197】
インタクトな抗体を、50mMホウ酸塩含有PBS(pH8.0)中、37℃でDTTとインキュベートすることにより還元した。反応後に過剰のDTTをサイズ排除カラムカラムにより除去し、還元した抗体断片を50mM炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH8.5)中、ビオチンホスホンアミデート(チオールに対し1.1当量)と共にインキュベートした。EDTA(1mM)を反応混合物に加えて、ジスルフィド生成を促進する重金属イオンを錯化した。
【0198】
ウェスタンブロット分析により、抗体断片の修飾が確認されたが、残っているシステインの再酸化によりインタクトな抗体は再生成されない。これは、高度の修飾によって説明することができよう。ジスルフィド結合の事前の還元なしに、修飾は検出され得なかった。したがって、これらの化合物の遊離システイン残基に対する高い選択性がさらに確認される。さらなる実験は、修飾の程度の決定および修飾抗体の機能性を証明する実験を含むことになる(
図10:非還元SDS-PAGE後のウェスタンブロット分析参照。SM:セツキシマブ出発原料。1:5分、2:1時間、3:2時間、4:20時間のビオチン修飾ホスホンアミデートとのインキュベーション。ジスルフィドを事前に還元した(左)および還元しない(右)反応)。
【0199】
システイン選択的修飾を、セツキシマブホスホンアミデートコンジュゲートのトリプシン消化と、続くMS/MS分析によってさらに確認した。MS/MSスペクトルを単純化するために、修飾を前述の条件下、構造的により単純なエチル-N-フェニルアルキニルホスホンアミデートで実施した。重鎖のCys 263および軽鎖のCys 214の修飾をMS/MS(HCD断片化)によって確認することができたが、ジスルフィド結合の事前の還元なしに修飾は検出されなかった。
【0200】
ビニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加:
a)様々なボラン保護ビニルホスホニトの合成
ジエチルビニルホスホニトを、以前に発表されたプロトコルに基づき、クロロ亜リン酸ジエチルの臭化ビニルマグネシウムによるアルキル化と、続くボラン付加により合成した(13)(スキーム8)。所望のホスホニトを37%の収率で単離した。
【0201】
スキーム8:ボラン保護ジエチルビニルホスホニトの合成
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【0202】
異なるO-置換基を有するビニルホスホニトを、三塩化リンから出発し、2つの塩素のピリジン存在下、対応するアルコールでの置換により合成した。生成したモノクロロ亜リン酸エステルをビニルグリニャール試薬と反応させ、ボランで保護した。これらすべての段階をワンポット戦略で実施した。
【0203】
スキーム9:様々なボラン保護ジエチルビニルホスホニトのPCl
3からの合成および単離収率
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【0204】
いくつかのアルコールはその後のグリニャール試薬の付加に適合性でないため、発明者らはこれらのアルコール由来のホスホニトの合成に、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンから出発する、代替経路を適用した。第1段階におけるビス(ジイソプロピルアミノ)ビニルホスフィンへのアルキル化は、第2段階のアセトニトリルのような、より極性の高い溶媒中でのアルコールのテトラゾールによる付加を可能にした。すべてのホスホニトをボランによりインサイチューで処理し、フラッシュクロマトグラフィで精製した。
【0205】
スキーム10:様々なボラン保護ビニルホスホニトのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからの合成および単離収率
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【0206】
IIa)の実験部分
ジエチルビニルホスホニトボラン
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25-mlシュレンク管に2.14mlの臭化ビニルマグネシウム(THF中0.7M、1.50mmol、1.5当量)をアルゴン雰囲気下で加え、-78℃に冷却し、140μlのクロロ亜リン酸ジエチル(1.00mmol、1.0当量)を滴加した。帯黄色溶液を0℃まで戻し、さらに2時間撹拌し、1.00mlのボラン(THF中1.0M、1.00mmol、1.0当量)を加え、0℃でさらに1時間撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc、9:1)で精製して、所望の化合物を無色油状物で得た。(60mg、0.37mmol、37.0%)
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NMRデータは文献中に報告されたものに一致している。
18
【0207】
ジ(2-ニトロベンジル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Aに従い、PCl
3(260μl、3.00mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc、4:1)により精製し、帯黄色固体で得た。(555mg、1.48mmol、49.2%)
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【0208】
ジ(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Aに従い、PCl
3(130μl、1.50mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH、19:1〜9:1)により精製し、無色油状物で得た。(34mg、0.11mmol、7.3%)
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【0209】
ジフェニルビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Aに従い、PCl
3(393μl、4.50mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc、4:1)により精製し、無色油状物で得た。(700mg、2.71mmol、60.3%)
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【0210】
ビス(4-(2-ニトロ-5-(オキシプロパルギル)ベンジルオキシ)フェニル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Bに従い、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(71mg、0.27mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/CH
2Cl
2、1:1)により精製し、帯黄色固体で得た。(75mg、0.11mmol、41.9%)
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【0211】
ビス(2-ニトロ-5-(オキシプロパルギル)ベンジル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Bに従い、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(513mg、1.92mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/CH
2Cl
2、4:1)により精製し、帯黄色固体で得た。(704mg、1.45mmol、75.6%)
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【0212】
ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Bに従い、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(266mg、1.00mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/CH
2Cl
2、9:1〜4:1)により精製し、無色液体で得た。(87mg、0.32mmol、32.2%)
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【0213】
ビス-(4-ヒドロキシフェニル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Bに従い、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(534mg、2.00mmol)およびヒドロキノン(2.20g、10当量)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc、4:1〜1:1)により精製し、無色固体で得た。(280mg、0.96mmol、48.3%)
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【0214】
ジ(4-ニトロベンジル)ビニルホスホニトボラン
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化合物を、一般手順Bに従い、ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(533mg、2.00mmol)から合成した。純粋なボラン保護ホスホニトをフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/CH
2Cl
2、9:1〜4:1)により精製し、白色固体で得た。(540mg、1.44mmol、71.8%)
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【0215】
2-ニトロ-5-(オキシプロパルギル)ベンジルアルコール
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5mlマイクロ波チューブに200mgの5-ヒドロキシ-2-ニトロベンジルアルコール(1.18mmol、1.0当量)、245mgのK
2CO
3(1.77mmol、1.5当量)、132μlの臭化プロパルギル(トルエン中80重量%溶液)および4mlのDMFを加えた。得られた懸濁液を100℃で1時間照射した。室温まで冷却した後、5mlの水を加えた。得られた沈澱をろ過し、水で3回洗浄し、真空乾燥して、179mgの淡褐色固体を得た。(0.87mmol、73.2%)
NMRデータは文献中に報告されたものに一致している。
19
【0216】
4-(2-ニトロ-5-(オキシプロパルギル)ベンジルオキシ)フェノール
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火炎乾燥したシュレンク管、400mgの2-ニトロ-5-(オキシプロパルギル)ベンジルアルコール(1.93mmol、1.0当量)を、850mgのヒドロキノン(7.72mmol、4.0当量)および750mgのトリフェニルホスフィン(2.90mmol、1.5当量)と共に10mlの無水THFに溶解した。溶液を0℃に冷却し、1.33mlのアゾジカルボン酸ジエチル(トルエン中40%溶液)(2.90mmol、1.5当量)を滴加し、反応混合物を室温に戻して終夜反応させた。粗生成物を精製のためにシリカカラムに乾燥充填し、ヘキサン/EtOAc(7:3〜3:2)で溶出して、505mgの黄色固体を得た。(1.68mmon、87.5%)
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【0217】
小分子試験:無保護アルケンホスホニトの異なるアジドとの反応
まずビニルホスホニトによるシュタウディンガー-ホスホニト反応を、やや単純なジエチル誘導体により調べた。これらを市販のクロロ亜リン酸ジエチルのアルキル化により合成し、異なる脂肪族および芳香族アジドとインサイチューで反応させた。ホスホンイミデートの加水分解の後に、所望のホスホンアミデートをカラムクロマトグラフィで単離した。
【0218】
スキーム11:ジエチルビニルホスホニトの異なるアジドとのシュタウディンガー-ホスホニト反応および単離収率
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【0219】
ホスホンアミデートのO-置換基を変動させることで、チオール付加の反応性の細かい調節ならびに第三の官能基の系への設置が可能となる。エチル以外の官能基を有するホスホンアミデートを、それぞれのホスホニトのシュタウディンガー-ホスホニト反応により合成した。単離したボラン保護ホスホニトをDABCOで処理して、反応性P(III)種を生成し、インサイチューでアジドと反応させて、ホスホンアミデートを生成した。その後、水を加えて加水分解することにより、所望のホスホンアミデートを中等度の収率で得た。
【0220】
スキーム12:ビニルホスホニトボラン付加物のDABCOによる脱保護後のインサイチューシュタウディンガー-ホスホニト反応
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【0221】
2-ニトロ-ベンジル基は感光性の置換基として広く公知で、UV照射後に結合された分子を遊離することが明らかにされている。
20ホスホンアミデート化学における発明者らの専門知識から、我々はホスホンアミデートのP-N-結合はホスホンアミデートエステルが切断されると非常に不安定であることを知っていた。したがって、発明者らは、チオール付加コンジュゲートからのアミンの制御された光による遊離を可能にする、2-ニトロベンジル置換ホスホンアミデートを合成したいと考えた。
【0222】
スキーム13:2-ニトロ-ベンジルビニルホスホニトと様々なアジドとの間のシュタウディンガー-ホスホニト反応の単離収率
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【0223】
光切断可能なビオチンならびにCy5-色素およびDABCYLクエンチャーバリアントを含む、いくつかの2-ニトロ-ベンジル置換ホスホンアミデートを合成することができた。2-ニトロベンジル基における追加のアルキンは、第三の官能基の銅触媒クリックケミストリーによる系への設置を可能にし、これはまた光照射によって切断することができる。
【0224】
スキーム14:2つの異なるアルキン修飾2-ニトロ-ベンジルビニルホスホニトとフェニルアジドとの間のシュタウディンガー-ホスホニト反応の単離収率
[この文献は図面を表示できません]
【0225】
その後のチオール付加の反応性のさらなる細かい調節を、ホスホンアミデートの電子特性を変えることにより達成した。したがって、異なるフェニル-ならびにトリフルオロエチル誘導体を合成した。
【0226】
スキーム15:様々なビニルホスホニトと異なるアジドとの間のシュタウディンガー-ホスホニト反応の単離収率
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
いくつかのホスホニトは、それらの対応するアルコールがボラン付加に適合性でないため、ボラン保護基を付加して単離することができなかった。スキーム16に示すとおり、発明者らは、ホスホニトを単離することなく、アジドとのインサイチュー合成においてこれらのホスホニトを用い得ることを示すことができた。
【0228】
スキーム16:ピリジルホスホニトのワンポット合成とその後のフェニルアジドとのシュタウディンガー-ホスホニト反応
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【0229】
ホスホンアミデートの異なるpHに対する安定性を、水性緩衝液中、室温での
31P-NMRにより証明した。最初の実験において、安定性の測定のためにエチル-N-フェニル-P-ビニル-ホスホンアミデートを選択した。化合物は広いpH範囲で安定であることが判明した。P-N-結合の切断が強酸性条件下で起こった(
図11:異なるpHに対するエチル-N-フェニル-P-ビニル-ホスホンアミデートの経時的安定性)。
【0230】
小分子チオールおよびグルタチオンのビニルホスホンアミデートへのチオール付加
最初の試験において、ビニルホスホンアミデートを異なる小分子チオールと、アルキニルホスホンアミデートに対して以前にうまくはたらいた反応条件下で反応させた。炭酸カリウム存在下、1当量のチオールで3時間処理した後に、ホスホンアミデート出発原料の完全変換を観察することができた。
【0231】
スキーム17:異なる小分子チオールのエチルビニルホスホンアミデートへのチオール付加
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【0232】
次の段階において、水溶性グルタチオンホスホンアミデートコンジュゲートを合成するために、これらの反応条件をここで適用した。水溶性4-カルボキシフェニル-ホスホンアミデートの場合、いかなる有機溶媒も加えずに反応が進行した。半分取HPLCにより、わずかに塩基性の勾配で、極性の高い生成物が単離された。
【0233】
スキーム18:グルタチオンのエチルビニルホスホンアミデートへの付加および単離収率(半分取HPLC)
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【0234】
チオール付加物の異なるpHに対する安定性を、水性緩衝液中、室温での
31P-NMRにより証明した。コンジュゲートは広いpH範囲ですぐれた安定性を示した。P-N-結合の切断が強酸性条件下で起こった。逆チオール付加と呼ばれるチオールの脱離は観察されなかった(
図12:異なるpHに対するグルタチオンホスホンアミデート付加物の経時的安定性)。
【0235】
反応速度に対するO-置換基の影響を、pH8.5の炭酸水素アンモニウム緩衝液中の様々なN-フェニルアルキニルホスホンアミデートの溶液にグルタチオンを加えることによって調査した。異なるホスホンアミデートの経時的変換を
図11に示す。
【0236】
発明者らは、ビニルホスホンアミデートはチオールとの反応が、それらの対応するアルキニル誘導体よりもはるかに遅いことを見出した。発明者らは、ホスホンアミデートの電子供与性エチル基をより電子求引性の置換基に交換することで、親電子性がさらに高まり、したがってチオール付加の速度が上がると考えた。エチルをフェニル基に交換することで、反応中の出発原料の半減期t
1/2は10時間から1時間へとすでに短縮している。トリフルオロエチルはt
1/2を30分へとさらに短縮するが、2-ニトロベンジルは2時間で50%まで反応する(
図13:pH8.5でのグルタチオンとの反応における様々なN-フェニルビニルホスホンアミデートの消費。HPLC UVトレースを異なる時点で取った。実験は三つ組で行った。
【0237】
タンパク質レベルでのビニルホスホンアミデートへのチオール付加
タンパク質レベルでのアルケンホスホンアミデートによる最初の実験を、水溶性エチル-N-(4-カルボキシ-フェニル)-P-ビニル-ホスホンアミデートで行った。以前の試験は、炭酸塩基がチオール付加の促進において非常によくはたらくことを示したため、pH9.0の炭酸水素アンモニウム緩衝液を最初の実験のために選択した。利用可能なシステインを1つだけ有する変異eGFPバリアントを、試験のために選択した。
【0238】
スキーム19:1つの利用可能なシステインを有するeGFPへの水溶性ビニルホスホンアミデートの付加
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
タンパク質を50当量のホスホンアミデートと37℃でインキュベートした。16時間後の反応混合物のMALDI/MS分析はまだ未反応のタンパク質を示したが、発明者らは所望のタンパク質コンジュゲートの生成を観察して非常に満足した。
【0240】
さらなるeGFPコンジュゲーション実験を、蛍光Cy5-ホスホンアミデートで実施し、Cy5-チャネルのゲル内蛍光測定により観察した。
【0241】
スキーム20:1つの利用可能なシステインを有するeGFPのCy5ホスホンアミデート標識。SDS Page後のゲル内蛍光読み取りは選択的Cy5標識を確認する。
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反応のシステイン残基に対する選択性を、この実験で確認することができた。ホスホンアミデートとインキュベートしたいかなる利用可能なシステインも持たないeGFPバリアント、またはCys含有eGFPへのCy5アジド付加のいずれも、蛍光標識を示さなかった。反応混合物への5%DMSO(ライン1)またはアセトニトリル(ライン3)の添加はいずれも、反応自体に影響をおよぼすことなく色素を可溶化するのに十分であった。
【0242】
光切断可能な三重コンジュゲーション
発明者らは以前、CuAACのための追加のアルキンハンドルを有するo-ニトロベンジル置換基を有するホスホンアミデートを合成し得ることに言及した。これらの化合物に対する1つの可能な適用は、タンパク質コンジュゲートを精製するためのアルキンへのビオチンの設置である。発明者らは、ビオチンがストレプトアビジンビーズに結合し、非結合材料を洗浄することができ、純粋なタンパク質を光照射により溶出し得ると考えた。
【0243】
タンパク質レベルでの最初の実験において、O-置換光切断可能アルキンを有する単純なN-フェニルホスホンアミデートをまず、発明者らの単一システイン含有eGFPと、以前に最適化した条件下で反応させた。この段階の後、アジド修飾ビオチンを作成物に、CuACCにより連結し、コンジュゲートを抗ビオチンウェスタンブロッティングにより分析した。
【0244】
スキーム21:1つの利用可能なシステインを有するeGFPの光切断可能アルキン標識と、その後のCuACCによるビオチン標識およびウェスタンブロット分析
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
ウェスタンブロット分析は、ビオチンのeGFP作成物へのコンジュゲーションが成功したことを確認した。ホスホンアミデートが結合していないeGFPをCuACC反応において用いた場合、ビオチンは検出されなかった。銅非存在下でも同じである。
【0246】
ストレプトアビジンビーズ上のさらなる固定化実験を、アジド含有ペプチドおよび単一システイン含有ユビキチンから合成したホスホンアミデートで行った。高分子量のペプチドはSDSゲルにおいてタンパク質のシフトを誘導し、コンジュゲーション収率の推定を可能にする。
【0247】
スキーム22:1つの利用可能なシステインを有するユビキチンの光切断可能アルキン標識と、その後のCuACCによるビオチン標識。ストレプトアビジンビーズ上の固定化後のウェスタンブロット分析。1:ユビキチン出発原料、2:CuACC後の反応混合物、3:反応混合物のストレプトアビジンアガロースとのインキュベーション後の上清、4:ストレプトアビジンアガロース洗浄後の通過画分、5:煮沸ビーズ、6:照射ビーズ
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【0248】
ペプチドのタンパク質へのコンジュゲーション収率は60%と推定することができた。最終作成物はストレプトアビジンビーズ上にうまく固定された。SDS緩衝液中でビーズを煮沸し、それによりインタクトなタンパク質ペプチドコンジュゲートを遊離するか、またはUV光照射のいずれかにより、作成物を遊離することができた。後者の方法はホスホンアミデートエステルを切断し、P-N-結合の不安定性と、したがって、コンジュゲートされていないタンパク質の遊離を引き起こす。光照射後にインタクトなエステルを生成して、光照射後にコンジュゲートされた作成物を遊離するホスホンアミデートで、さらなる実験を実施する。
【0249】
b)ビニルホスホンアミデートとの抗体コンジュゲーション
ビニルホスホンアミデートを、モノクローナル抗体の修飾のためにも適用した。発明者らは、2-ニトロ-ベンジル置換ビニルホスホンアミデートがチオール付加においてより速やかに反応することを見いだしたため、ビオチン修飾したこれらのホスホンアミデートを選択した。
【0250】
スキーム23:抗体ジスルフィドの還元と、その後のビオチンビニルホスホンアミデートによる修飾
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
発明者らは、より低い温度がジスルフィド形成を減速し、したがってより高いコンジュゲーション収率をもたらすことを見出したため、チオール付加を4℃にした以外は、前述の還元-アルキル化手順と同じ反応条件を選択した。
【0252】
ウェスタンブロット分析は、抗体のシステイン選択的修飾を確認した。遊離システイン残基に対する高い選択性を、ジスルフィド結合を事前に還元していない抗ビオチンウェスタンブロットではシグナルが見られないことによって観察することができた。アルキニルホスホンアミデートによる標識実験とは対照的に、今回は抗体断片の再編成を観察することができた(
図14:非還元SDS-PAGE後のウェスタンブロット分析。SM:セツキシマブ出発原料。1:5分、2:1時間、3:2時間、4:4時間、5:20時間のビオチン修飾ホスホンアミデートとのインキュベーション。ジスルフィドを事前に還元した(左)および還元しない(右)反応)。
【0253】
システイン選択的修飾を、セツキシマブホスホンアミデートコンジュゲートのトリプシン消化と、続くMS/MS分析によってさらに確認した。MS/MSスペクトルを単純化するために、修飾を前述の条件下、構造的により単純なフェニル-N-フェニルアルキニルホスホンアミデートで実施した。重鎖のCys 264およびCys 146の修飾をMS/MS(HCD断片化)によって確認することができたが、ジスルフィド結合の事前の還元なしに修飾は検出されなかった。
【0254】
ASGP-R指向薬物コンジュゲートの合成におけるアルケンホスホニト
発明者らはさらに、我々のモジュール式コンジュゲーションアプローチを標的指向性の薬物コンジュゲートの合成に適用したいと考えた。Khorev et alは以前に、末端アミノ修飾を有するASGP-R指向三価リガンドの合成を記載した。この経路に基づき、発明者らは末端チオール修飾を有する同じリガンドを合成した(20)。
【0255】
スキーム24:ビニルホスホンアミデートへのモジュール式付加による蛍光標識したASGP-R指向Cy5コンジュゲートの合成
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
チオール修飾し、完全に脱保護したリガンドにより、発明者らは作成物を我々の蛍光Cy5-ホスホンアミデートにうまくコンジュゲートした。このコンジュゲートで、FACS分析および蛍光顕微鏡法により肝細胞への十分な取り込みをモニターすることができる。
【0257】
図15は、本記載中で言及する配列を示す。
【0258】
アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入
スキーム25に示すアミノ修飾誘導体N2またはNHS-エステルN1としての一般構築ブロックは、アルキン-ホスホンアミデート部分を機能性分子にアミド結合形成反応によって導入することができる。
【0259】
スキーム25:Cys残基の化学選択的修飾のためのアルキン-ホスホンアミデート。一般構築ブロックN1およびN2による化学選択的シュタウディンガー-ホスホニト反応またはアミドカップリングを介しての導入。
[この文献は図面を表示できません]
【0260】
このアプローチは、不安定なP(III)化合物を扱わなくてもよいため、好都合であり得る。さらに、これらの一般構築ブロックを用いることにより高収率を達成し得ることが明らかにされており、これは高価な出発原料のために特に重要である。
【0261】
スキーム26:アルキン-ホスホンアミデート部分の機能性蛍光色素へのアミド結合を介しての高収率結合の2つの例
[この文献は図面を表示できません]
【0262】
アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順
分取HPLC
分取HPLCをGilson PLC 2020システム(Gilson Inc, WI, Middleton, USA)でVP 250/32 Macherey-Nagel Nucleodur C18 HTec Spumカラム(Macherey-Nagel GmbH & Co. Kg, Germany)を用いて実施した。本開示のすべての項を通して以下の勾配を用いた:方法C:(A=H
2O+0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)、B=MeCN(アセトニトリル)++0.1%TFA、流速30ml/分、5%B 0〜5分、5〜90%B 5〜60分、90%B 60〜65分。方法D:(A=H
2O+0.1%TFA、B=MeCN++0.1%TFA)、流速30ml/分、5%B 0〜5分、5〜25%B 5〜10分、25%〜45%B 10〜50分、45〜90% 50〜60分、90%B 60〜65分。
【0263】
半分取HPLC
半分取HPLCを、CBM20A通信バスモジュール、FRC-10Aフラクションコレクター、2ポンプLC-20AP、およびSPD-20A UV/VIS検出器を備えたShimadzu prominence HPLCシステム(Shimadzu Corp., Japan)でVP250/21 Macherey-Nagel Nucleodur C18 HTec Spumカラム(Macherey-Nagel GmbH & Co. Kg, Germany)を用いて実施した。本開示のすべての項を通して以下の勾配を用いた:方法E:(A=H
2O+0.1%TFA、B=MeCN++0.1%TFA)、流速10ml/分、5%B 0〜5分、5〜99%B 5〜65分、99%B 65〜75分。
【0264】
芳香族アジドの合成のための一般手順1
500-ml丸底フラスコに10mmolの芳香族アミンを加え、15mlの水に懸濁し、0℃に冷却した。5mlの濃HCl水溶液を加え、続いて10mlの水中1.27gの亜硝酸ナトリウム(15.00mmol、1.50当量)溶液を滴加した。混合物を0℃で20分間撹拌し、100mlのEtOAc(酢酸エチル)を加え、5mlの水中0.98gのアジ化ナトリウム(15.00mmol、1.5当量)溶液を滴加した。溶液を室温に戻し、さらに1時間撹拌した。相を分離し、水相をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機分画を水で2回洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、すべての揮発性物質を減圧下で除去した。
【0265】
クロロ亜リン酸ジエチルからのO-エチル-アルキニルホスホンアミデートの合成のための一般手順2
25-mlシュレンク管に173μlのクロロ亜リン酸ジエチル(1.20mmol、1.2当量)をアルゴン雰囲気下で加え、-78℃に冷却し、2.40mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.20mmol、1.2当量)を滴加した。帯黄色溶液を室温に戻し、3.0mlのTHFまたはDMFに溶解した1.00mmolのアジド(1.0当量)を加え、室温で終夜撹拌した。5mlの水を加え、さらに2時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機分画を乾燥(MgSO
4)し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィまたは分取逆相HPLCにより精製した。
【0266】
4-アジド安息香酸
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化合物を、一般手順1に従い、2.00gの4-アミノ安息香酸(14.58mmol)から合成し、帯黄色固体で得た。(2.00g、12.26mmol、84.1%)
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NMRデータは文献値に一致していた(23)。
【0267】
4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル
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50-ml丸底フラスコ中、500mgの4-アジド安息香酸(3.056mmol、1.00当量)、705mgのN-ヒドロキシスクシンイミド(6.112mmol、2.00当量)および20mgの4-ジメチルアミノピリジン(0.164mmol、0.05当量)を10mlの無水CH
2Cl
2に懸濁した。1.172gのEDC・HCl(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、6.112mmol、2.00当量)を0℃でゆっくり加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(50%EtOAc/ヘキサン)により精製し、白色固体で得た(763mg、2.934mmol、96.0%)
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NMRデータは文献値に一致していた(24)。
【0268】
エチル-N-(4-(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ-カルボニル-フェニル)-P-エチニルホスホンアミデート
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化合物を、一般手順2に従い、173μlのクロロ亜リン酸ジエチル(1.20mmol、1.20当量)、2.40mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M(テトラヒドロフラン)、1.20mmol、1.20当量)および260mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(1.00mmol、1.00当量)から合成した。粗製ホスホンアミデートをシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(100%EtOAc)により精製し、帯黄色固体で得た。(225mg、0.643mmol、64.3%)
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【0269】
2-(4-アジドフェニル)-エタノール
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化合物を、一般手順1に従い、1.00gの2-(4-アミノフェニル)-エタノール(7.21mmol)から合成し、褐色油状物で得た(0.50g、3.06mmol、42.5%)。
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NMRデータは文献値に一致していた(25)。
【0270】
2-(4-アジドフェニル)-エチル-4-トルエンスルホネート
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50-ml丸底フラスコに455mgの2-(4-アジドフェニル)-エタノール(2.79mmol、1.00当量)を加え、8mlのピリジンに溶解し、0℃に冷却した。787mgの固体塩化トシル(4.18mmol、1.50mmol)を分割して加え、混合物を室温で4時間撹拌し、10mlの飽和NaCl溶液および10mlの水を加え、黄色溶液をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機分画を1N HClで2回、飽和NaHCO
3溶液で2回および水で1回洗浄した。有機層を乾燥(MgSO
4)し、すべての揮発性物質を減圧下で除去した。生成物を黄色油状物で得た(0.72g、2.44mmol、87.4%)。
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NMRデータは文献値に一致していた(26)。
【0271】
2-(4-アジドフェニル)-エチルフタルイミド
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50-ml丸底フラスコに4.11gの2-(4-アジドフェニル)-エチル-4-トルエンスルホネート(12.95mmol、1.00当量)を、3.60gのフタルイミドカリウム(19.42mmol、1.50当量)と共に加え、60mlのDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)に溶解した。褐色溶液を100℃で終夜撹拌した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、50mlの水を加え、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機分画を水で2回洗浄し、有機層を乾燥(MgSO
4)し、すべての揮発性物質を減圧下で除去した。生成物をそれ以上精製せずに次の段階で用いた。純粋な生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%〜20%EtOAc/n-ヘキサン)により黄色固体で得た(1.75g、5.99mmol、46.2%)。
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【0272】
2-(4-アジドフェニル)-エチルアミン塩酸塩
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100-ml丸底フラスコに722mgの2-(4-アジドフェニル)-エチルフタルイミド(2.47mmol、1.00当量)、144μlのヒドラジン水和物(2.96mmol、1.20当量)を加え、20mlの無水エタノールにアルゴン雰囲気下で溶解し、溶液を4時間還流した。ほとんどの溶媒を減圧下で除去し、50mlの水を加え、懸濁液を1N NaOHで塩基性化した。EtOAcで3回抽出し、合わせた有機分画を水で2回洗浄し、有機層を乾燥(MgSO
4)し、すべての揮発性物質を減圧下で除去した。純粋な生成物を、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%MeOH(メタノール)/DCM(ジクロロメタン)+0.5%N,N-エチルジメチルアミン)およびHClからの凍結乾燥により、帯黄色固体で得た(224mg、1.14mmol、2段階で46.2%)。
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NMRデータは文献値に一致していた(27)。
【0273】
エチル-N-(4-(2-アミノエチル)フェニル)-P-エチニルホスホンアミデートTFA塩
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化合物を、一般手順2に従い、181μlのクロロ亜リン酸ジエチル(1.26mmol、1.20当量)、2.52mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.26mmol、1.20当量)および322mgの2-(4-アジドフェニル)エチルアミン塩酸塩(1.05mmol、1.00当量)から合成した。粗製ホスホンアミデートを分取RP-HPLC(前述の方法C)により精製し、褐色油状物で得た。(209mg、0.57mmol、54.5%)
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【0274】
5-((2-(O-エチル-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸
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反応をDMF中で実施した。エチル-N-(4-(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ-カルボニル-フェニル)-P-エチニルホスホンアミデートの100mM溶液265μl(0.0265mmol、1.00当量)および5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホネートの50mM溶液1.06ml(0.0530mmol、2.00当量)を795μlのDMFと共にあらかじめ混合し、200mM DIPEA溶液530μl(0.1060mmol、4.00当量)を加えた。混合物を室温で2時間振盪し、すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗製混合物を分取HPLCにより前述の方法Cを用いて精製し、所望の化合物を凍結乾燥後に白色固体で得た。(9.30mg、0.0186mmol、70.0%)
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【0275】
Cy5-O-エチル-P-アルキニル-ホスホンアミデート
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Cy5-COOHを、発明者らの研究室が以前に発表した手順に従って合成した(28)。5-ml丸底フラスコに33.2mgのCy5-COOH(0.0628mmol、1.00当量)、35.8mgのHATU((1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)、0.0942mmol、1.5当量)および200μlのDMFを加えた。濃青色溶液を0℃に冷却し、32μlのDIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン、0.1884mmol、3.0当量)を加えた。5分後、300μl DMF中の23mgのエチル-N-(4-(2-アミノエチル)フェニル)-P-エチニルホスホンアミデートTFA塩(0.0628mmol、1.00当量)の溶液を滴加した。溶液を室温に戻し、2時間撹拌した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(0%〜5%MeOH/DCM)で精製して、青色固体で得た。(45mg、0.0590mmol、93.9%)。
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【0276】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)生成のためのアルキニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加
本明細書において前述したとおり、発明者らは全長IgG抗体のアルキン-およびアルケン-ホスホンアミデートによる修飾が可能であることを示すことができた。前述の実施例において、発明者らはモデル抗体としてセツキシマブを用い、鎖間ジスルフィドをビオチン化ホスホンアミデート(phorsphonamidate)により、Senterら(29)により以前に記載された還元およびアルキル化プロトコルを介して修飾した。この概念は、非常に強力なチューブリン結合細胞毒のMMAEおよびHer2結合抗体のトラスツズマブのホスホンアミデート仲介性コンジュゲーションによるADC生成のための実行可能なシステムへとさらに展開された。
【0277】
発明者らのセツキシマブによる前記試験と同様に、我々はトラスツズマブの鎖間ジスルフィドをジチオスレイトール(DTT)で還元し、マレイミド、ヨードアセトアミドおよびアルキン-ホスホンアミデート(ホスホンアミデート-標識)を含む異なる親電子ビオチン誘導体とのCysコンジュゲーション反応を実施して、最先端技術との直接比較を行った。後者をシュタウディンガー-ホスホニト反応プロトコルにより72%の全収率で合成した。抗体標識反応を、ジスルフィド結合の事前の還元あり、およびなしで実施して、Cysコンジュゲーション反応の化学選択性を調べた(
図16)。ウェスタンブロット分析により、還元トラスツズマブで試験したビオチン誘導体のすべてについて十分な標識が示された。最も衝撃的なことに、発明者らは、非還元トラスツズマブとのマレイミドの高い反応性を観察し、これはトリプシン消化およびMS/MS分析によりさらに確認された。これに対し、ホスホンアミデート-標識はCys-残基に顕著な選択性を示した(
図16)。
【0278】
図16:A:3つの異なるCys-反応性ビオチン誘導体によるトラスツズマブ修飾。ジスルフィド還元を50mMホウ酸塩含有PBS中、1000当量のDTTにより、37℃で30分間実施した。過剰のDTTをサイズ排除クロマトグラフィで除去した。標識を35当量ビオチン誘導体により、アミデートの場合は50mM NH
4HCO
3および1mM EDTA含有緩衝液、pH8.5中、および他の2つの化合物の場合は1mM EDTA含有PBS、pH7.4中、最終DMSO含有量1%で行った。B:ウェスタンブロット分析。レーン1および5:未処理抗体。レーン2〜4:事前にDTT処理しての反応。レーン6〜8:事前のDTT処理なしの対照反応。
【0279】
ホスホンアミデート連結ADCを、非常に効率的な抗有糸分裂毒素MMAFおよびFDA承認されたHer2指向抗増殖抗体トラスツズマブから生成した(
図17)。毒性ペイロードの遊離を調べるために、抗体と毒素との間にカテプシンB切断部位(バリン-シトルリンリンカーVC)を有するADCを調製した。アミデート-VC-PAB-MMAF作成物を、スキーム27に示す通り、前述の手順に基づいて合成した。
【0280】
スキーム27:ホスホンアミデート連結、カテピス(cathepis)B切断可能モノメチルオーリスタチンF(MMAF)コンジュゲート作成のための合成経路。VC:バリン-シトルリンジペプチド、PAB:p-アミノベンジル、PNP:p-ニトロフェニルカーボネート。
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【0281】
トラスツズマブへのコンジュゲーションを、鎖間ジスルフィド結合のDTTによる還元およびZeba(商標) Spin脱塩カラムによる過剰の還元剤の除去後に、50mM炭酸水素アンモニウム緩衝液、pH8.5中、14℃で16時間実施した。
【0282】
図17:ホスホンアミデート修飾、カテプシン切断可能MMAF(アミデート-VC-PAB-MMAF)によるトラスツズマブ修飾。A:鎖間ジスルフィドの還元およびアルキル化の反応スキーム。B:反応のSDS-PAGE分析。C. PNGアーゼFによる脱グリコシル(deglaycosylation )およびDTTによる還元後の抗体断片のデコンボリューション処理したMSスペクトル。LC:軽鎖;HC:重鎖;mod:アミデート-VC-PAB-MMAF。
【0283】
脱グリコシルおよび還元後のESI-MSにより、抗体あたり4.6薬物分子の平均ローディングが認められた。発明者らは、異なる修飾度を有する重鎖および軽鎖種の質量シグナルの強度により、薬物-抗体比(DAR)を概算した。
【0284】
得られたホスホンアミデート-ADCコンジュゲートを、以前に確立したHer2に基づく増殖検定において、2つの異なるHer2過剰発現細胞株BT474およびSKBR3により評価した(30)。Her2選択性を試験するために、対照としてHer2非過剰発現細胞株MDAMB468を用いた。ホスホンアミデート連結コンジュゲートを、マレイミド連結カテプシンB切断可能トラスツズマブMMAFコンジュゲートと比較した。これらの実験は明らかに、ホスホンアミデート標識MMAF-ADCはHer2過剰発現細胞の十分かつ選択的殺滅を可能にすることを示している。測定したIC
50値は、比較したマレイミド対照と少なくとも同程度に良好であった(
図18)。ホスホンアミデート標識の利点は、マレイミド化学に比べた場合に、インビトロ細胞殺滅効率においてプラスの効果を有すると期待すべきではないことに留意することが重要である。
【0285】
図18:MMAF連結トラスツズマブの、2つの異なるHer2過剰発現細胞株(BT474およびSKBR3)および1つの対照(MDAMB468)に対する抗増殖効力増大。プロットは、抗体処理4日後の、抗体濃度に依存しての、増殖細胞の数を示す。トラスツズマブ単独(ピンク)、トラスツズマブ-ホスホンアミデート-MMAF(青)およびトラスツズマブ-マレイミド-MMAF(緑)。
【0286】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)生成のためのアルキニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加の手順
N-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン
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50-mlシュレンク管に1.00gの4-アジド安息香酸(6.13mmol、1.00当量)を加え、8.5mlの無水DCM(ジクロロメタン)に1滴のDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)と共に、アルゴン雰囲気下で懸濁した。630μlの塩化オキサリルを0℃で滴加し、反応混合物を室温で2時間、溶液が澄明になるまで撹拌した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、対応する固体を4mlのDMFに再溶解した。対応する溶液を、8mlの水中720mgのL-バリン(6.13mmol、1.00当量)および612mgの水酸化ナトリウム(15.33mmol、2.50当量)の溶液に0℃で滴加し、さらに2時間撹拌した。溶液を1N HClで酸性化し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機分画を集め、乾燥(MgSO
4)し、溶媒を減圧下で除去した。純粋な生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(30%EtOAc、0.5%ギ酸/n-ヘキサン)により無色ヒュームで得た。(954mg、4.96mmol、80.9%)
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【0287】
N-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン-無水物
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100-ml丸底フラスコ中、954mgのN-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン(3.64mmol、1.00当量)、750mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(3.64mmol、1.00当量)、418mgのN-ヒドロキシスクシンイミド(3.64mmol、1.00当量)および9mgの4-(ジメチルアミノ)-ピリジン(0.07mmol、0.02当量)を25mlのTHFに溶解し、室温で終夜撹拌した。反応混合物をろ過し、固体をTHFで数回洗浄し、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(20〜40%EtOAc/n-ヘキサン)で精製した。化合物を白色粉末として単離した(513mg、1.01mmol、55.7%)
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【0288】
N-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン
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50-ml丸底フラスコ中、380mgのN-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン-無水物(0.75mmol、1.00当量)を2mlの1,2-ジメトキシエタンに溶解し、0℃に冷却した。4mlのH
2Oおよび2mlのTHF(テトラヒドロフラン)中の351mgのL-シトルリン(1.50mmol、2.00当量)および144mgの炭酸水素ナトリウム(2.25mmol、3.00当量)の溶液を滴加し、室温で終夜撹拌した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%MeOH、0.5%ギ酸/CH
2Cl
2)で精製した。化合物を無色油状物として単離した(312mg、0.74mmol、99.0%)。
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【0289】
N-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン-4-アミノベンジルアルコール
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50-ml丸底フラスコ中、330mgのN-(4-アジドベンゾイル)-L-バイン(vaine)-L-シトルリン(0.787mmol、1.0当量)および107mgの4-アミノベンジルアルコール(0.866mmol、1.10当量)を8mlのCH
2Cl
2および4mlのMeOH(メタノール)にアルゴン雰囲気下で溶解し、0℃に冷却した。390mgのN-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(1.574mmol、2.00当量)を分割して加え、得られた溶液を室温に戻して終夜反応させた。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%〜15%MeOH/CH
2Cl
2)により単離して、白色固体で得た(164mg、0.313mmol、39.8%)。鏡像異性的に純粋な化合物を分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法D)により単離し、凍結乾燥後に白色固体で得た。
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【0290】
N-(4-(O-エチル-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン-4-アミノベンジルアルコール
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化合物を、一般手順に従い、230μlのクロロ亜リン酸ジエチル(0.925mmol、5.0当量)、1.85mlの臭化エチニルマグネシウム(THF中0.5M、0.925mmol、5.0当量)および97mgのN-(4-アジドベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン-4-アミノベンジルアルコール(0.185mmol、1.0当量)から合成した。粗製ホスホンアミデートを分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法C)により単離し、凍結乾燥後に白色固体で得た。(60mg、0.098mmol、52.9%)。
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【0291】
N-(4-(O-エチル-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン-4-アミノベンジル-4-ニトロフェニルカーボネート
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5-ml丸底フラスコに31mgのN-(4-(O-エチル-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン-4-アミノベンジルアルコール(0.050mmol、1.00当量)および31mgのビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.101mmol、2.00当量)を加えた。固体を140μlのDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)に溶解し、17.4μlのDIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン、0.101mmol、2.00当量)を加えた。黄色溶液を室温で1時間撹拌し、溶液を30mlの氷冷ジエチルエーテルに加えた。沈澱を遠心沈降により回収し、DMFに再溶解し、再度エーテルで沈澱させた。手順を合計3回行い、最後に固体を高真空条件下で乾燥した。化合物を定量的収率および次の段階のために十分な純度で単離した。分析的に純粋な材料を分取HPLCにより、「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法Cを用いて精製した。
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【0292】
アミデート-Val-Cit-Pab-MMAF
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15-mLファルコンチューブに14.35mgのN-(4-(O-エチル-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)-L-バリン-L-シトルリン-4-アミノベンジル-4-ニトロフェニルカーボネート(0.0184mmol、1.00当量)、0.50mgの1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.0037mmol、0.20当量)および13.15mgのMMAF(モノメチルオーリスタチンF、0.0184mmol、1.00当量)を加えた。固体を250mlの無水DMFおよび25mlのピリジンに溶解し、60℃で終夜加熱した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物を半分取HPLCにより、「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法Eを用いて精製し、所望の化合物を凍結乾燥後に白色固体として得た。(4.84mg、0.0035mmol、19.2%)。HR-MS for C
69H
104N
11O
16P
2+ [M+2H]
2+ calcd:686.8695、found 686.8694。
【0293】
図19は、ホスホンアミデート-Val-Cit-Pab-MMAFのUPLC-UV純度を示す。
【0294】
トラスツズマブ生成
トラスツズマブ発現および精製を、GEからのSuperdex 200 Increase 10/300上、リン酸緩衝化食塩水(PBS)および流速0.75ml/分でのゲルろ過による最終精製を追加して、以前に発表したとおりに実施した(30)。
【0295】
トラスツズマブの還元/アルキル化プロトコルによる修飾のための一般手順
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トラスツズマブ修飾を、新しく発現した抗体(c=0.55mg/ml)を全体積80μlのPBS中に50mMホウ酸ナトリウムおよび4mM DTTを含む緩衝液(pH8.0)中、37℃で40分間インキュベートすることにより実施した。その後、過剰のDTT除去ならびに50mM NH
4HCO
3および1mM EDTA含有溶液(pH8.5)への緩衝液交換を、7K MWCOのZeba(商標) Spin Desalting Columns(Thermo Fisher Scientific, Waltham, United States)0.5mLを用いて行った。DMSO中に13mMアミデートを含む溶液1.60μlを急速に加えた。混合物を800rpm、14℃で16時間撹拌した。過剰のアミデートを再度、7K MWCOのZeba(商標) Spin Desalting Columns 0.5mLを用いての滅菌PBSへの緩衝液交換により除去した。
【0296】
細胞抗増殖検定
抗増殖検定を、以下のわずかな変更を加え、以前に報告したとおりに実施した(30):
− 100μLの培地を加えた96穴光学細胞培養プレートの各ウェルに、少量の2×10
3個のMDAMB468細胞を播種した。
− 20×高NA対物レンズを備えたOperetta High-Content Imaging system(PerkinElmer, Waltham, MA, USA)で画像を取得した。
− 細胞数を二つ組の試験から計算した。
【0297】
抗体フルオロフォアコンジュゲート(AFC)生成のためのアルキニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加
同様の様式で、「抗体薬物コンジュゲート(ADC)生成のためのアルキニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加」において前述したとおり、蛍光色素Cy5をトラスツズマブにコンジュゲートして、抗体-フルオロフォアコンジュゲートを生成した。Cy5-O-エチル-P-アルキニル-ホスホンアミデートの合成を、「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入」において前述したとおりに実施した。得られたホスホンアミデート-AFCコンジュゲートを、2つの異なるHer2過剰発現細胞株BT474およびSKBR3の免疫染色により評価した。Her2選択性を試験するために、対照としてHer2非過剰発現細胞株MDAMB468を用いた。細胞固定後の十分な膜染色が2つのHer2発現細胞株で観察されたが、Her2非発現細胞株は蛍光増大を示さなかった。
【0298】
図20:示すのは、細胞表面受容体Her2を過剰発現する(BT474およびSKBR3)または低いHer2発現レベルを示す(MDAMB468)固定細胞の免疫染色である。AFCトラスツズマブ-アミデート-Cy5は、Her2+細胞株では形質膜への明らかな局在化を示し、Her2-細胞では染色は見られない。マージした画像はDAPIシグナルを青で、Tras-ホスホンアミデート-Cy5シグナルを赤で示す。スケールバーは10μmを表す。
【0299】
抗体フルオロフォアコンジュゲート(AFC)生成のためのアルキニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加の手順
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トラスツズマブ-Cy5コンジュゲートを、以下のわずかな変更を加え、「抗体薬物コンジュゲート(ADC)生成のためのアルキニルホスホニトによるシュタウディンガー誘導チオール付加」において前述した、一般手順に従って合成した:アミデートの当量を130に上げ、DMSO(ジメチルスルホキシド)含有量を5%(より正確には、2%から5%)に上げて、Cy5を可溶化した。
【0300】
AFC撮像手順:
BT474、SKBR3およびMDAMB468を滅菌カバーストリップに播種し、細胞接着のために37℃、5%CO
2で終夜インキュベートした。細胞を1×PBSで3回洗浄した後、1×PBS/4%PFA(ホルムアルデヒド)中で10分間固定した。固定を等量の1×PBST(PBS+0.05%トゥイーン20)の添加により停止し、続いてPBSTでさらに2回洗浄した。AFCを最終濃度5μg/mLまで加え、室温で1時間インキュベートした。非結合AFCを、PBSで3回洗浄して除去した。
【0301】
画像を、63×1.40油浸レンズを備えたLeica SP5共焦点顕微鏡システム上で取得した。レーザーライン405nmおよび594nmを、標準DAPIおよびCy5フィルター設定と組み合わせて用いた。画像処理を、Fiji処理パッケージにより拡張したImageJ 1.5.1hソフトウェアで実施した。
【0302】
ホスホンアミデート連結の安定性試験
細胞溶解物または血清のような複雑な系におけるホスホンアミデート結合の安定性を試験するために、ホスホンアミデート結合の切断後に蛍光シグナルを生成する色素-クエンチャーの対を合成した。コンジュゲートは蛍光色素EDANS、クエンチャーDABCYLおよびコンジュゲートの水溶性を確実にするための連結ペプチドからなる(
図21)。マレイミド連結コンジュゲートを比較実験のために合成した(
図21B)。
【0303】
図21:A:ホスホンアミデート連結FRETコンジュゲートの構造。B:マレイミド連結FRETコンジュゲートの構造C:蛍光-クエンチャーに基づく読み出しの原理。コンジュゲートを10μMの濃度で室温でインキュベートした。測定を96穴プレートで少なくとも三つ組で実施した。D:蛍光増大を経時的にモニターした。HCl試料は測定前に中和した。溶解物をHeLa-細胞から、PBS中で溶解して新しく調製した。血清はヒト血液由来であった。E:PBS中1000等量のグルタチオンへの曝露中の、ホスホンアミデート-およびマレイミド-連結色素-クエンチャー対の比較
【0304】
図21に示すとおり、ホスホンアミデート付加物はPBS、HeLa細胞溶解物およびヒト血清中で高い安定性を示すが、強酸性条件(1N HCl)だけはホスホンアミデート結合切断を引き起こす。FRET-コンジュゲートを大過剰のグルタチオンにも曝露した。1000当量のグルタチオンと生理的pHで2日間インキュベートした後、15%のマレイミド連結が切断されたが、ホスホンアミデート付加物の99%は以前としてインタクトであった(
図21C)。
【0305】
次の実験において、ADCの数日間の安定性は血流における循環中に重要であるため、発明者らは、ホスホンアミデート標識またはマレイミド標識ADCの修飾要素がチオール存在下で血清タンパク質に移行するかどうかを調べた。異なるビオチン誘導体で修飾したトラスツズマブ(
図22)を0.5mMの血清様アルブミン濃度に曝露し、37℃でインキュベートし、抗体から血清タンパク質への修飾の移行をウェスタンブロッティングによりモニターした(
図22B)。ビオチンの血清濃度でのBSA(ウシ血清アルブミン)への顕著な移行が、マレイミド連結で観察されたが、ホスホンアミデート連結は試験した条件下で安定であった。まとめると、これらの安定性実験は、マレイミド標識ADCに比べてホスホンアミデート標識ADCのすぐれた安定性を明らかに示し、おそらくは通常のマレイミド連結コンジュゲートに比べて非特異的毒性の低減につながる。
【0306】
図22:抗体修飾の血清タンパク質への移行。A:トラスツズマブ-ビオチンコンジュゲートを3μMの濃度で、PBS中500μM BSAと共に37℃でインキュベートした。B:ビオチンのアルブミンへの移行を、ウェスタンブロット分析によりモニターした。レーン1:未処理マレイミドコンジュゲート。レーン2〜5:BSA曝露マレイミド付加物の0、1、2および5日後の分析。レーン6:未処理アミデートコンジュゲート。レーン6〜10:BSA曝露アミデート付加物の0、1、2および5日後の分析。
【0307】
ホスホンアミデート連結の安定性試験の手順
DABCYl-Cysペプチド
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DABCYl-Cysペプチドを、手動カップリングによる直線的合成で標準的なFmoc化学により合成した。0.1mmolのRinkアミド樹脂(subst:0.4mmol/g)を反応容器に加え、合成を5倍のアミノ酸過剰で実施した。Fmoc脱保護を、DMF中20%ピペリジンで5分間の樹脂処理を2回行うことにより達成した。カップリングをDMF中HOBt/HBTU/DIPEA(5当量/5当量/10当量)を加えて45分間反応させることにより達成した。最終Cysカップリングの後、DMF中で5当量のDABCYL酸を5当量のHATUおよび10当量のDIPEAと45分間カップリングした。ペプチドを樹脂から、TFA/DTT/TIS(95/2.5/2.5、重量比)の添加により3時間以内に切断した。その後、ペプチドを氷冷ジエチルエーテルを加えて沈澱させた。沈澱を遠心沈降により回収し、乾燥し、分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法C)により精製した。ペプチドを赤色固体として35.8%の収率で得た(38.2mg、35.8μmol)。ESI-MS for C48H66N
12O14S
+ [M+2H]
+ calcd: 533.23, found 533.34。
【0308】
DABCYl-CysペプチドホスホンアミデートEDANS付加物
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1.5-mlエッペンドルフチューブに50mM NH
4HCO
3、pH8.5中のDABCYl-Cysペプチド(20mM)の溶液263μlを加えた。158μlの50mM NH
4HCO
3、pH8.5および105μlのDMF中のEDANSアミデートの溶液(100mM)を加えて、最終濃度を20%DMF/緩衝液中20mMペプチドおよび10mMアミデートとした。チューブを800rpm、室温で3時間振盪した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物を半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E)により精製した。ペプチドを赤色固体として得た。ESI-MS for C
71H
90N
15O
20PS
2+ [M+2H]
+ calcd:783.78, found 784.47。
【0309】
DABCYl-CysペプチドマレイミドEDANS付加物
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1.5-mlエッペンドルフチューブにPBS中のDABCYl-Cysペプチド(20mM)の溶液188μlを加えた。DMF中のEDANSマレイミド(40mM)の溶液188μlを加えて、最終濃度を50%DMF/緩衝液中10mMペプチドおよび20mMマレイミドとした。チューブを800rpm、室温で3時間振盪した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物を半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E)により精製した。ペプチドを赤色固体として得た。ESI-MS for C
66H
83N
15O
20S
2+ [M+2H]
+ calcd 734.77:, found. 734.79
【0310】
Dabcyl-EDANS付加物の安定性実験
安定性試験を96穴プレート(Corning 3615、黒色、透明平底)で、少なくとも三つ組で行った。Dabcyl-EDANS付加物の200μM保存溶液5μlおよびそれぞれの試験溶液95μlを各ウェルに加えた。
【0311】
HeLa細胞溶解物を、400μlのPBS中で超音波処理により溶解した約1×10
7細胞から生成した。細胞を75cm
2細胞培養プレート上で成長させ、PBSで2回洗浄し、細胞スクレーパーで回収した。ヒト血清はSigma Aldrichから購入した。グルタチオンをPBS中10mMの濃度で溶解し、pHを7.4に調節した。1N HCl試験を200μMで実施し、pH7に中和し、10μMに希釈した後、蛍光測定を行った。
【0312】
蛍光をTecan Safireプレートリーダーで測定した。励起:336nm、発光:490nm、バンド幅:5nm、20℃。
【0313】
トラスツズマブ-ビオチンコンジュゲートのBSAとのインキュベーション
トラスツズマブ-ビオチンコンジュゲートをPBS中3μMの濃度で、最終濃度0.5mMのBSAと共に37℃でインキュベートした。試料を0、1、2および5日後に採取し、液体窒素中で急速冷凍し、最終的にSDS/Pageおよびウェスタンブロット分析にかけた。
【0314】
チオール付加のさらなる動力学的調査
低濃度でのアルキン-ホスホンアミデートへのチオール付加の動力学を試験するために、蛍光EDANS系ホスホンアミデートを、1.1.章に記載の通りに合成した。モデル基質としてのグルタチオンの付加を、蛍光HPLCにより経時的に調べた。ピークの積分および内部標準としてのコンジュゲートされていないEDANSに対する正規化を適用して、反応の二次速度定数をもとめた。測定された二次速度定数は37.32±0.41 l/mol・sであった。
【0315】
図23:チオール付加の二次速度定数の決定。A: EDANSホスホンアミデートのグルタチオンとの反応。B:30分の反応時間後の蛍光HPLCトレース。C:ホスホンアミデートの経時的低減のモニタリング。D:反応時間に対する濃度の逆数のプロット。誤差バーは3回の反復実験の平均を表す(n=3)。
【0316】
チオール付加のさらなる動力学的調査の手順
EDANS-ホスホンアミデートへのグルタチオン付加を、pH8.5で1mM EDTAおよび1%DMFを含む50mM NH
4HCO
3緩衝液中、0.1mMアミデート、0.1mMグルタチオンおよび内部標準としての0.02mM EDANSの最終濃度で実施した。DMF中EDANS-ホスホンアミデートの20mM保存溶液2.5μlを、緩衝液488μlならびにDMFおよび緩衝液1:1混合物中のEDANSの2mM保存溶液5μlとあらかじめ混合した。緩衝液中グルタチオンの10mM溶液5μlを加えることによって反応を開始した。試料10μlを0、15、30、60、120、240および480分の時点で採取し、10mM NaOAc緩衝液(pH5.0)190μlで酸性化し、蛍光HPLC分析にかけた。
【0317】
さらなるホスホニトの合成
さらに、アルキンホスホニトのO-置換基はスキームE2に示すとおり多様で、電子豊富ホスホニトE1〜E5を合成した:
【0318】
スキーム28:ビス-(ジイスプロピル(diispropyl))-アミノ-クロロ-ホスホニトからのホスホニト合成。示すのはそれぞれのホスホニトE1〜E5の単離収率である。
[この文献は図面を表示できません]
【0319】
さらなるホスホニトE1〜E5合成の手順
ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順
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25-mlシュレンク管に267mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(1.00mmol、1.00当量)をアルゴン雰囲気下で加え、0℃に冷却し、2.20mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.10mmol、1.10当量)を滴加した。帯黄色溶液を室温に戻し、さらに30分間撹拌した。5.56mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.50mmol)に溶解したそれぞれのアルコールを加え、白色懸濁液を室温で終夜撹拌した。反応混合物をシリカゲルフラッシュカラムに直接載せた。
【0320】
ジ-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)エチニルホスホニト(化合物E1)
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順」に従い、267mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(1.00mmol、1.00当量)、2.20mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.10mmol、1.10当量)、1.06gの2-(2-ヒドロキシエトキシ)エタン-1-オール(10.00mmol、10.00当量)、5.56mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.50mmol)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(5%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した。化合物を帯黄色油状物で得た。(112mg、0.421mmol、42.1%)。
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【0321】
ジ-(3-ブチニル)エチニルホスホニト(化合物E2)
[この文献は図面を表示できません]
化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順」に従い、267mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(1.00mmol、1.00当量)、2.20mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.10mmol、1.10当量)、189μlの3-ブチン-1-オール(2.50mmol、2.50当量)、5.56mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.50mmol)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%EtOAc/n-ヘキサン)で精製した。化合物を無色油状物で得た。(152mg、0.774mmol、77.4%)。
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【0322】
化合物E3、E4およびE5の合成の手順を、本明細書において以下に「O-置換基上に切断可能な基を有する化合物合成のための手順」で提供する。
【0323】
ホスホニトE1およびE2とのシュタウディンガー-ホスホニト反応
電子豊富ホスホニトの非常に安定な性質を、水性溶媒中でアルキン-ホスホニトとのシュタウディンガー-ホスホニト反応を実施することにより、さらに活用した。
図24に示すとおり、純粋な水性系においてアルキンホスホニトE1から所望の生成物の生成が観察された。
【0324】
図24:トリス緩衝液中でのアジド修飾ペプチドの水溶性ホスホニトE1との反応。A:反応スキーム。B:HPLC-トレース;橙:出発原料;青:2時間後の反応。
【0325】
ホスホニトE1およびE2とのシュタウディンガー-ホスホニト反応
ペプチドE9
ペプチドE9を、手動カップリングによる直線的合成で標準的なFmoc化学により合成した。0.1mmolのRinkアミド樹脂(subst:0.4mmol/g)を反応容器に加え、合成を5倍のアミノ酸過剰で実施した。Fmoc脱保護を、DMF中20%ピペリジンで5分間の樹脂処理を2回行うことにより達成した。カップリングをDMF中HOBt/HBTU/DIPEA(5当量/5当量/10当量)を加えて45分間反応させることにより達成した。最終Glyカップリングの後、DMF中で5当量の4-アジド安息香酸を5当量のHATUおよび10当量のDIPEAと45分間カップリングした。ペプチドを樹脂から、TFA/TIS/H
2O(95/2.5/2.5、重量比)の添加により3時間以内に切断した。その後、ペプチドを氷冷ジエチルエーテルを加えて沈澱させた。沈澱を遠心沈降により回収し、乾燥し、分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法C)により精製した。ESI-MS for C37H50N
11O13
+ [M+H]
+ calcd: 856.36, found 856.36。
【0326】
塩基性トリス緩衝液中でのペプチドE9のアミデートE1とのシュタウディンガー-ホスホニト反応
100mMトリス-緩衝液(pH9.0)中のペプチドE9の50mM保存溶液10μlを、100mMトリス-緩衝液(pH9.0)80μlに加えた。同じ緩衝液中の500mMホスホニトE1の溶液10μlを加え、800RPM、37℃で2時間振盪した。試料10μlを採取し、90μlのH
2O中1%TFAで希釈し、UPLC-MS分析にかけた。
【0327】
E6の合成
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一般手順:5mlのDMF中、1.00mmolの有機アジド(1.00当量)を1.00mmolのアルキニルホスホニト(1.00当量)と共に終夜撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカのカラムクロマトグラフィで精製した。この一般手順の後、37mgのジ-(3-ブチニル)エチニルホスホニト(化合物E2)(0.192mmol、1.00当量)および50mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.162mmol、1.00当量) を1mlのDMF中で混合し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(70%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を無色油状物で得た。(55mg、0.147mmol、76.6%)。
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【0328】
O-置換基上に切断可能な基を有する化合物の合成および切断実験
O-置換基上の切断可能な基の導入
切断可能なジスルフィドを用いて、還元条件下で特定のペイロードを遊離し得ることが以前に記載されている。例えば、このアプローチは、細胞環境内での抗体薬物コンジュゲート(ADC)からの細胞毒性ペイロードの特異的遊離に適用されている(31)。この状況において、ベータ位に脱離基を有するジスルフィドはジスルフィド切断後にチイランへの環化を起こし、所与のペイロードを遊離することを示すことができよう(32)。
【0329】
本発明のために、スキーム29に示す、切断可能ジスルフィド含有O-置換基を有するコンジュゲートの合成が想定された。
【0330】
スキーム29:切断可能ジスルフィド含有O-置換基を有するコンジュゲートのシュタウディンガー-ホスホニト反応による合成
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O-置換基上に切断可能な基Rを有する以下の化合物を合成し、切断実験にかけた:
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式中、Rは
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である。
【0331】
O-置換基上に切断可能な基を有する化合物合成のための手順
2-ヒドロキシエチルジスルフィド合成のための一般手順1
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250ml丸底フラスコに10mmol(1.00当量)のそれぞれのチオール、10mmolの2-メルカプトエタノール(1.00当量)、0.1mmolのヨウ化ナトリウムおよび20mlのEtOAcを加えた。混合物を急速に撹拌し、10mmolの水中30%H
2O
2溶液を滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、揮発性物質を減圧下で除去し、ジスルフィドをカラムクロマトグラフィで単離した。
【0332】
2-ヒドロキシエチルエチルジスルフィド
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化合物を、前記「2-ヒドロキシエチルジスルフィド合成のための一般手順1」に従い、2.00mlのエタンチオール(27.74mmol、1.00当量)、1.96mlの2-メルカプトエタノール(27.74mmol、1.00当量)、41mgのヨウ化ナトリウム(0.28mmol、0.01当量)および3.14mlの過酸化水素溶液(水性、30%)(27.74mmol、1.00当量)から合成した。ジスルフィドをシリカのカラムクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)により無色油状物として単離した。収率:2.15g(15.53mmol、56.0%)。
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【0333】
2-ヒドロキシエチルイソプロピルジスルフィド
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化合物を、前記「2-ヒドロキシエチルジスルフィド合成のための一般手順1」に従い、2.00mlのイソプロピルチオール(21.53mmol、1.00当量)、1.52mlの2-メルカプトエタノール(21.53mmol、1.00当量)、32mgのヨウ化ナトリウム(0.21mmol、0.01当量)および2.44mlの過酸化水素溶液(水性、30%)(21.53mmol、1.00当量)から合成した。ジスルフィドをシリカのカラムクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)により無色油状物として単離した。収率:1.10g(7.22mmol、33.6%)。
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【0334】
2-ヒドロキシエチルtert-ブチルジスルフィド
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化合物を、前記「2-ヒドロキシエチルジスルフィド合成のための一般手順1」に従い、2.00mlのtert-ブチルチオール(17.74mmol、1.00当量)、1.24mlの2-メルカプトエタノール(17.74mmol、1.00当量)、26mgのヨウ化ナトリウム(0.18mmol、0.01当量)および2.04mlの過酸化水素溶液(水性、30%)(17.74mmol、1.00当量)から合成した。ジスルフィドをシリカのカラムクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)により無色油状物として単離した。収率:0.90g(5.41mmol、30.5%)。
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NMRデータは文献値に一致していた(33)。
【0335】
2-(3-ヒドロキシプロピル)イソプロピルジスルフィド
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500-ml丸底フラスコに2.00mlのチオール酢酸(23.55mmol、1.00当量)および150mlの無水THFを加えた。0℃で、1.60gの水素化アルミニウムリチウム(47.10、2.0当量)を分割して加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、再度0℃に冷却し、6N HClで注意深く反応停止した。水相を100mlのEtOAcで2回抽出し、有機分画を集め、乾燥(MgSO
4)し、すべての揮発性物質を減圧下で除去した。得られた無色油状物を20mlのEtOHに再溶解し、2.18mlのイソブチルチオール(23.55mmol、1.00当量)、55mgのヨウ化ナトリウム(0.24mmol、0.01当量)および2.70mlの過酸化水素溶液(水性、30%)(23.55mmol、1.00当量)を加えた。帯黄色溶液をさらに1時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、前記ジスルフィドをシリカのカラムクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)により無色油状物として単離した。収率:1.15g(6. 928mmol、29.4%)。
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【0336】
1-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-2-フェニルジアゼン
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化合物を以前に発表された手順に従って合成し、橙色固体として単離した(34)。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.03 - 7.86 (m, 4H), 7.68 - 7.42 (m, 5H), 4.81 (s, 2H)。NMRデータは文献値に一致していた(34)。
【0337】
ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2
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25-mlシュレンク管に267mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(1.00mmol、1.00当量)をアルゴン雰囲気下で加え、0℃に冷却し、2.20mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.10mmol、1.10当量)を滴加した。帯黄色溶液を室温に戻し、さらに30分間撹拌した。5.56mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.50mmol)に溶解したそれぞれのアルコールを加え、白色懸濁液を室温で終夜撹拌した。反応混合物をシリカゲルフラッシュカラムに直接載せた。
【0338】
ジ-(エチルジスルフィド)エチル)エチニルホスホニト
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2」に従い、116mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(0.44mmol、1.00当量)、0.96mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、0.48mmol、1.10当量)、150mgの2-ヒドロキシエチルエチルジスルフィド(1.10mmol、2.50当量)、2.42mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、1.10mmol、2.50当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を帯黄色油状物で得た。(112mg、0.34mmol、77.0%)。
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【0339】
ジ-(2-イソプロピルジスルフィド)エチル)エチニルホスホニト
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2」に従い、213mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(0.80mmol、1.00当量)、1.76mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、0.88mmol、1.10当量)、370mgの2-ヒドロキシエチルイソプロピルジスルフィド(2.00mmol、2.50当量)、4.44mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.00mmol、2.50当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を帯黄色油状物で得た。(183mg、0.51mmol、63.9%)。
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【0340】
ジ-(2-tert-ブチルジスルフィド)エチル)エチニルホスホニト
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2」に従い、167mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(0.63mmol、1.00当量)、1.38mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、0.69mmol、1.10当量)、260mgの2-ヒドロキシエチルtert-ブチルジスルフィド(1.57mmol、2.50当量)、3.48mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、1.57mmol、2.50当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を帯黄色油状物で得た。(190mg、0.49mmol、78.5%)。
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【0341】
ジ-((2-イソプロピルジスルフィド)-3-プロピル)エチニルホスホニト
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2」に従い、267mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(1.00mmol、1.00当量)、2.20mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.10mmol、1.10当量)、415mgの2-(3-ヒドロキシプロピル)イソプロピルジスルフィド(2.50mmol、2.50当量)、5.55mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.50mmol、2.50当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(0〜10%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物をジアステレオマー混合物として帯黄色油状物で得た。(91mg、0.235mmol、23.5%)。
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【0342】
ジ-(4-アセトキシベンジル)エチニルホスホニト
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2」に従い、267mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(1.00mmol、1.00当量)、2.20mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、1.10mmol、1.10当量)、415mgの2-(3-ヒドロキシプロピル)イソプロピルジスルフィド(2.50mmol、2.50当量)、5.55mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、2.50mmol、2.50当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(30%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を無色油状物で得た。(118mg、0.306mmol、30.6%)。
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【0343】
ジ(4-(ジアゾフェニル)-ベンジル)エチニルホスホニト
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化合物を、前記「ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンからのO-置換アルキニルホスホニト合成のための一般手順2」に従い、98mgのビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン(0.37mmol、1.00当量)、0.80mlの臭化エチニルマグネシウム溶液(THF中0.5M、0.4mmol、1.10当量)、195mgの1-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-2-フェニルジアゼン(0.93mmol、2.50当量)、2.00mlの1H-テトラゾール溶液(MeCN中0.45M、0.93mmol、2.50当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(0〜10%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を橙色固体で得た。(82mg、0.171mmol、46.3%)。
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【0344】
アルキニルホスホニトおよびアジドからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順3
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1.00mmolの有機アジド(1.00当量)を1.00mmolのアルキニルホスホニト(1.00当量)と共に5mlのDMF中で終夜撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカのカラムクロマトグラフィで精製した。
【0345】
2-イソプロピル-ジスルフィド-エチル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート
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化合物を、前記「アルキニルホスホニトおよびアジドからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順3」に従い、147mgのジ-(2-イソプロピルジスルフィド)エチル)エチニルホスホニト(0.411mmol、1.00当量)および106mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.411mmol、1.00当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(60%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を無色油状物で得た。(80mg、0.175mmol、42.6%)。
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【0346】
2-tert-ブチル-ジスルフィド-エチル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート
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化合物を、前記「アルキニルホスホニトおよびアジドからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順3」に従い、50mgのジ-(2-tert-ブチルジスルフィド)エチル)エチニルホスホニト(0.129mmol、1.00当量)および33mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.129mmol、1.00当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(70%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を無色固体で得た。(29mg、0.0638mmol、47.4%)。
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【0347】
2-イソプロピルジスルフィド-3-プロピル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート
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化合物を、前記「アルキニルホスホニトおよびアジドからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順3」に従い、61mgのジ-((2-イソプロピルジスルフィド)3-プロピル)エチニルホスホニト(0.158mmol、1.00当量)および40mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.158mmol、1.00当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(70%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物をジアステレオマーの混合物として無色油状物で得た。(32mg、0.068mmol、43.0%)。
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【0348】
4-アセトキシ-ベンジル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート
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化合物を、前記「アルキニルホスホニトおよびアジドからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順3」に従い、103mgのジ-(4-アセトキシベンジル)エチニルホスホニト(0.267mmol、1.00当量)および69mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.267mmol、1.00当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(70%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を無色油状物で得た。(36mg、0.077mmol、28.7%)。
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【0349】
4-ジアゾフェニル-ベンジル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート
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化合物を、前記「アルキニルホスホニトおよびアジドからのO-置換アルキニルホスホンアミデート合成のための一般手順3」に従い、71mgのジ(4-(ジアゾフェニル)-ベンジル)エチニルホスホニト(0.148mmol、1.00当量)および39mgの4-アジド安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.148mmol、1.00当量)から合成し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(50%EtOAc/ヘキサン)で精製した。化合物を橙色固体で得た。(58mg、0.112mmol、75.8%)。
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【0350】
ホスホンアミデート-NHSエステルとEDANSとの間のアミド結合形成のための一般手順4
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0.1mmolのNHS-ホスホンアミデート(1.00当量)および0.12mmolの5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(1.20当量)を10mLのDMFに溶解した。0.40mmolのDIPEA(4.0当量)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗製混合物を分取HPLCにより、「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法Eを用いて精製した。
【0351】
5-((2-(O-(2-イソプロピル-ジスルフィド-エチル)-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸
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化合物を、前記「ホスホンアミデート-NHSエステルとEDANSとの間のアミド結合形成のための一般手順4」に従い、72mgの2-イソプロピル-ジスルフィド-エチル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート(0.157mmol、1.00当量)、54mgの5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(0.188mmol、1.20当量)および109μlのDIPEA(0.628mmol、4.0当量)から合成し、半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E) により精製した。化合物を白色固体で得た。(62mg、0.102mmol、64.9%)。
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【0352】
5-((2-(O-(2-tert-ブチル-ジスルフィド-エチル)-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸
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化合物を、前記「ホスホンアミデート-NHSエステルとEDANSとの間のアミド結合形成のための一般手順4」に従い、10mgの2-tert-ブチル-ジスルフィド-エチル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート(0.021mmol、1.00当量)、7mgの5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(0.025mmol、1.20当量)および15μlのDIPEA(0.084mmol、4.0当量)から合成し、半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E) により精製した。化合物を白色固体で得た。(8mg、0.013mmol、62.3%)。
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【0353】
5-((2-(O-2-イソプロピルジスルフィド-3-プロピル)-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸
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化合物を、前記「ホスホンアミデート-NHSエステルとEDANSとの間のアミド結合形成のための一般手順4」に従い、29mgの2-イソプロピル-ジスルフィド-3-プロピル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート(0.061mmol、1.00当量)、21mgの5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(0.073mmol、1.20当量)および42μlのDIPEA(0.244mmol、4.0当量)から合成し、半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E) により精製した。化合物をジアステレオマーの混合物として白色固体で得た。(15mg、0.024mmol、39.5%)。
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【0354】
5-((2-(O-(4-アセトキシベンジル)-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸
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化合物を、前記「ホスホンアミデート-NHSエステルとEDANSとの間のアミド結合形成のための一般手順4」に従い、36mgの4-アセトキシ-ベンジル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート(0.076mmol、1.00当量)、22mgの5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(0.095mmol、1.20当量)および53μlのDIPEA(0.284mmol、4.0当量)から合成し、半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E) により精製した。化合物を白色固体で得た。(14mg、0.023mmol、30.4%)。
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【0355】
5-((2-(O-(4-ジアゾフェニル-ベンジル)-P-エチニル-ホスホンアミダト-N-ベンゾイル)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸
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化合物を、前記「ホスホンアミデート-NHSエステルとEDANSとの間のアミド結合形成のための一般手順4」に従い、27mgの4-ジアゾフェニル-ベンジル-N-(4-安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)-P-エチニルホスホンアミデート(0.053mmol、1.00当量)、15mgの5-((2-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(0.064mmol、1.20当量)および37μlのDIPEA(0.212mmol、4.0当量)から合成し、半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E) により精製した。化合物を橙色固体で得た。(18mg、0.027mmol、50.9%)。
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【0356】
Cys-モデルペプチドの異なるO-置換EDANSホスホンアミデートへの付加のための一般手順5
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DMF中のそれぞれのEDANS-ホスホンアミデートの5mM溶液および100mM NH
4HCO
3-緩衝液(pH8.5)中の前記DABCYL-修飾Cys-ペプチドの5mM溶液の等しい量を新しく調製し、混合して、室温で1時間振盪した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、チオール付加物を半分取HPLC(「アルキン-ホスホンアミデート部分の一般構築ブロックによるアミド結合を介しての導入の手順」において前述した方法E) により単離した。単離したコンジュゲートを以下の表5および
図25に示すとおりHPLC-MSにより分析した。
【0357】
(表5)
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【0358】
ジスルフィド含有アミデート付加物のTCEPによる切断の手順
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リン酸緩衝食塩水(PBS)中のそれぞれのペプチド(SM1〜3)の1mM保存溶液10μlを、80μlのPBSとあらかじめ混合した。PBS中のトリス-(2-カルボキシエチル)-ホスフィン(TCEP)の10mM保存溶液10μlを加え、溶液を37℃で1時間振盪した。その後試料15μlを採取し、水中2%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液15μlで希釈し、UPLC-MS分析にかけた。UPLC-MS分析を
図26A〜Cに示す。赤線はTCEPとのインキュベーション、黒はPBSだけとのインキュベーションを示す。ピークをMSにより同定した。結果は、ジスルフィド含有O-置換基が切断され、EDANS含有部分が出発原料から遊離されることを示している。
【0359】
エステル含有アミデート付加物の細胞溶解物による切断の手順
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PBS中のペプチドSM4の1mM保存溶液10μlを、新しく調製したPBS中のHeLa-溶解物90μlとあらかじめ混合した。溶液を37℃で1時間振盪した。その後試料15μlを採取し、水中2%TFA溶液15μlで希釈し、UPLC-MS分析にかけた。UPLC-MS分析を
図27に示す。赤線は細胞溶解物とのインキュベーション、黒はPBSだけとのインキュベーションを示す。ピークをMSにより同定した。結果は、エステル部分を含むリン上のO-置換基が切断され、EDANS含有部分が出発原料から遊離されることを示している。
【0360】
ジアゾ含有アミデート付加物の亜ジチオン酸ナトリウムによる手順
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PBS中のペプチドSM5の1mM保存溶液10μlを、80μlのPBSとあらかじめ混合した。PBS中のTCEPの200mM保存溶液10μlを加え、溶液を37℃で1時間振盪した。その後試料15μlを採取し、水中2%TFA溶液15μlで希釈し、UPLC-MS分析にかけた。UPLC-MS分析を
図28に示す。赤線はTCEPとのインキュベーション、黒はPBSだけとのインキュベーションを示す。ピークをMSにより同定した。結果は、ジアゾ部分を含むリン上のO-置換基が切断され、EDANS含有部分が出発原料から遊離されることを示している。
【0361】
したがって、リン上のO置換基として様々な切断可能な基を有するアミデートの切断が可能であることが判明した。
【0362】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、リン上のジスルフィド含有基について、切断のメカニズムはスキーム31に例示するとおりに、すなわち、ジスルフィドを還元的切断し、チイランへと環化して、遊離ホスホンアミド酸を生成し、これはP-N-加水分解を受けて遊離アミンとしてのペイロードを放出することにより進行すると考えられる。
【0363】
スキーム30:還元的切断および脱離メカニズム
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【0364】
タンパク質コンジュゲーションのためのジスルフィド置換ホスホニト
環状細胞透過性ペプチドc(Tat)をeGFPに、ジスルフィド置換ホスホニトとのシュタウディンガー誘導チオール付加によってコンジュゲートした。
【0365】
まず、発明者らは環状Tat-ペプチドを固相ペプチド合成(SPPS)によって合成した(スキーム32参照)。N-末端を4-アジド安息香酸でキャッピングすることにより、発明者らはアジド部分を有する化合物E11を得た。分取HPLCによる精製後、E11のジスルフィド含有アルキンホスホニトとのシュタウディンガー-ホスホニト反応をDMF中で実施して、化合物E12およびE13を得、これらを再度分取HPLCにより精製した。
【0366】
スキーム31:アルキン官能基化環状TatのSPPS
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【0367】
アルキン官能基化ペプチドを得て、発明者らは、
図29に示すとおり、システイン含有eGFPへのチオール付加をさらに試験した。eGFP C70M S147Cは、その1つだけが利用可能な2つだけのシステインを示す変異体である。
【0368】
tert-ブチル-ジスルフィド置換基(E13)について、チオール付加反応はeGFPを6当量のホスホニトとPBS中、63μMのタンパク質濃度で、37℃で16時間インキュベートした後、完了した。同じ反応条件をイソプロピル-ジスルフィド置換基(E12)で適用した場合、
図29に示すとおり、生成物をMALDI分析により約50%の変換で得た。
【0369】
図29:アルキン-c(Tat)のeGFP C70M S147Cへのチオール付加。
【0370】
タンパク質コンジュゲーションのためのジスルフィド置換ホスホニトの手順
c(Tat)-アジドの合成
c(Tat)を0.1mmolスケールでRinkアミド樹脂上、0.78mm/gのローディングで合成した。合成をPTI合成機により、DMF中各アミノ酸の単一カップリング(10当量アミノ酸で40分)で実施した。最終の構築ブロックカップリングの後、まだFmoc保護されたペプチドを4mlの無水DCM中、Pd(PPh
3)
4(24mg、20μmol、20mol%)およびフェニルシラン(308μl、2.5mmol、2.5当量)で1時間処理して、allocおよびアリル保護基を1段階で切断した。試験切断により完全な脱保護を確認した後、2当量のHATU 4当量のDIPEAによる環化をDMF中で終夜実施した。
【0371】
次いで、DMF中20%ピペリジンを用いてペプチドをFmoc-脱保護し、4-アジド安息香酸(81.6mg、0.5mmol、5当量)をN-末端にHATU(190.1mg、0.5mmol、5当量)およびDIPEA(170μl、1.0mmol、10当量)で1時間カップリングした。最後に、ペプチドを樹脂から4mlのTFA:TIS:H
2O(95:2.5:2.5)で3時間処理することにより切断し、冷ジエチルエーテル中で沈澱させた。粗製ペプチドを分取逆相C18 HPLC(0〜5分:95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);5〜60分:10/90、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))により精製した。生成物を白色粉末で得(30.0mg、11.4μmol、収率11.4%)、分析UPLC(RP-C18カラム、0.1%TFAを含む5〜95%アセトニトリル/水)により分析した。LRMS: m/z: 648.49 [M+3H]
3+ (calcd. m/z: 648.0569)。
【0372】
c(Tat)-ホスホンアミデートアルキンの合成:c(Tat)-アジドに対するシュタウディンガー反応
精製したc(Tat)-アジドペプチド(5mg、1.9μmol、1当量)を両方のジスルフィド置換ホスホニトと一般プロトコルに従って反応させた。粗製ペプチドを分取逆相C18 HPLCにより精製した。生成物を白色粉末で得、MALDI-TOFにより分析した。
【0373】
電子不足c(Tat)-ホスホンアミデートアルキンのヒドロチオール化:
GFP C70M S147Cとの反応
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PBS中のeGFP C70M S147C(2.7nmol、1当量)を40μlまで濃縮し、c(Tat)-ホスホンアミデートアルキン(0.05mg、16.2 nmol、6当量)を加えた。反応混合物を37℃、800rpmで終夜振盪した後、MWCOが7kDaのZebaSpinフィルターで精製した。生成物をMALDI-TOFにより分析した。ペプチドE12のコンジュゲーションについて、生成物への約50%の変換が観察されたが、これとは対照的にペプチドE13のコンジュゲーションは完全な変換を示した。
E14のMALDI TOF: 予想生成物 (単位Da): 29919 (M+H
+), 14960(M+2H
+); 実測 (単位Da): 29933 (M+H
+), 14967 (M+2H
+)
E15のMALDI TOF: 予想生成物 (単位Da): 29933 (M+H
+), 14967 (M+2H
+); 実測値 (単位Da): 29940 (M+H
+), 14965 (M+2H
+)
【0374】
ペプチド環化のための分子内シュタウディンガー誘導チオール付加
アジドならびにチオールの複雑な分子、例えば、ペプチドへの組み込みは、以下のスキームに示すとおり、分子内環化を実現し得る分子内シュタウディンガー誘導チオール付加の方法につながる:
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【0375】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、まずアジドが電子豊富アルキン/アルケンホスホニトと反応し、その後ホスホンアミデートが生成し、電子不足アルキン/アルケンホスホンアミデートが生成して、これはペプチド構造中のシステインと速やかな分子内チオール付加を起こすと考えられる。
【0376】
まず、発明者らは、標準的な固相ペプチド合成により、BCL-9のタンパク質配列から取ったペプチドを合成し、このペプチドにアミノ酸3つ離れたアジドホモアラニンおよびシステインを組み込んだ。固相からの切断および分取HPLCによる精製後に、発明者らはペプチドを得た。これにより、シュタウディンガー誘導チオール付加による分子内環化を調べることができた。
【0377】
発明者らは、無水DMSO中で可溶化ペプチドをジエチル-エチニルホスホニトまたはジエチル-ビニルホスホニトのいずれかと24時間反応させた。分取HPLCの後、環化ペプチドを得、これをエルマン試験によって確認した。
【0378】
ペプチド環化のための分子内シュタウディンガー誘導チオール付加の手順
BCL9-アジドの合成
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BCL9-アジドを0.1mmolスケールでRinkアミド樹脂上、0.78mm/gのローディングで合成した。合成をPTI合成機により、DMF中各アミノ酸の単一カップリング(5当量アミノ酸で40分)で実施した。最後に、ペプチドを樹脂から4mlのTFA:TIS:H
2O(95:2.5:2.5)で2時間処理することにより切断し、冷ジエチルエーテル中で沈澱させた。粗製ペプチドを分取逆相C18 HPLC(0〜5分:95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);5〜60分:10/90、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))により精製した。生成物を白色粉末で得(35.0mg、11.5μmol、収率11.5%)、分析UPLC(RP-C18カラム、0.1%TFAを含む5〜95%アセトニトリル/水)により分析した。LRMS: m/z: [M+3H]
3+ 759.86 (calcd. m/z: 759.6590)。
【0379】
分子内シュタウディンガー誘導チオール付加
アルキン-ホスホンアミデート
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【0380】
BCL9-アジドに対するシュタウディンガー反応
ペプチド1(20mg、6.55μmol、1当量)を無水DMSO(1.5ml、4.4mM)に溶解した。あらかじめ火炎乾燥したフラスコ中、高真空下で乾燥した後、ビスエトキシアルキン-ホスホニトを反応混合物に加えた(NMRにより決定した生成物のパーセンテージによる量、39.3μmol 、6当量)。反応混合物を50℃に加熱し、24時間撹拌した。水を加えた後、反応混合物を塩基性(10mM酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0/MeCN)半分取逆相C18 Nucleodur HPLC(0〜5分:95/5、緩衝液/MeCN;5〜70分:10/90、緩衝液/MeCN)で精製し、環化生成物を白色粉末で得た(3.82mg、1.22μmol、全収率18.7%)。生成物をエルマン試験でさらに分析し、システインの97%が反応したことが判明した。最終生成物2をLC-UV:室温、5.0分(RP-C18カラムで0〜1分:95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);1〜16.5分: 5/95、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))および質量分析で分析した。LRMS: m/z: [M+3H]
3+ 1049.19 (calcd. m/z: 1048.5349)。
【0381】
アルケン-ホスホンアミデート
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BCL9-アジドに対するシュタウディンガー反応
ペプチド3(34mg、11.55μmol、1当量)を無水DMSO(4ml、2.9mM)に溶解した。あらかじめ火炎乾燥したフラスコ中、高真空下で乾燥した後、ビスエトキシビニル-ホスホニトを反応混合物に加えた(NMRにより決定した生成物のパーセンテージによる量、39.3μmol 、6当量)。反応混合物を室温で24時間撹拌した。水を加えた後、反応混合物を分取逆相C18 HPLC(0〜5分:95/5、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA);5〜60分:10/90、水(0.1%TFA)/MeCN(0.1%TFA))で精製した。生成物を白色粉末で得(14.9mg、4.8μmol、収率41.3%)、分析UPLC(RP-C18カラム、0.1%TFAを含む5〜95%アセトニトリル/水)により分析した。LRMS: m/z: [M+4H]
4+ 782.89 (calcd. m/z: 782.6660)。生成物4をエルマン試験でさらに分析し、システインの99%が反応したことが判明した。
【0382】
引用文献:
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