(54)【発明の名称】イソシアネートフリー及びイソチオシアネートフリーのアルコキシシランポリマーの製造のための反応体としての有機カーボネート変性プレポリマーの使用
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、ポリマー骨格に酸素原子を介して直接に結合している少なくとも平均で1.5個のカーボネート基、チオカーボネート基、カルバメート基又はチオカルバメート基を有するオルガノカーボネート変性プレポリマーの使用であって、上記の酸素原子のそれぞれは、ポリマー骨格の第一、第二又は第三水酸基と、ジオルガノカーボネート、ジオルガノチオカーボネート、環状カーボネート、環状チオカーボネート、N,N-ジヘテロシクロウレア誘導体、及びN,N-ジヘテロシクロチオウレア誘導体からなる群から選ばれる反応性化合物との反応に由来する、前記使用に関する。本発明はアルコキシシランポリマーの製造にも関する。
ポリマー骨格は、線状であるか又は分岐しており、かつ、ポリエーテル,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリアクリレート,ポリスルフィド,ポリシロキサン,ポリアセタール,及びこれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
N,N-ジヘテロシクロウレア誘導体は、1,1‘-カルボニルジイミダゾール (CDI),1,1‘-カルボニルジベンゾイミダゾール,1,1‘-カルボニルジ(1,2,4)-トリアゾール(CDT),1,1‘-カルボニルビス(2-メチルイミダゾール),1,1‘-カルボニルジベンゾトリアゾール,及びカルボニルビスカプロラクタム(CBC)からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
前記ポリマー骨格が、ポリエーテル,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリスルフィド,ポリシロキサン又はポリアクリレート及びこれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
前記ポリマー骨格が、ポリエーテル、好ましくはポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、より好ましくは線状又はマルチアームのポリプロピレングリコールである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
前記(A)又は前記(B)による反応段階の前に、前記プレポリマーをアルコール又は活性化アルコールと反応させ、活性化アルコールは好ましくはグリセロールカーボネートである、請求項13に記載の方法。
前記(A)の前記アミノアルコキシシランが、3-アミノプロピルトリメトキシシラン,3-アミノプロピルトリエトキシシラン,N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン,N-エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン,N-エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン,3-ピペラジノプロピルトリメトキシシラン,3-ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン,3-ピペラジノプロピルトリエトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及びピペラジンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物、からなる群から選択され、そして
前記メルカプトアルコキシシランが、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン,3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン,3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される、
請求項13又は14に記載の方法。
請求項13〜15いずれか一項に記載の方法で製造したアルコキシシランポリマーを含む組成物の湿分硬化性シーラント又は接着剤としての使用であって、アルコキシシランポリマーがイソシアネートフリー及び/又はイソチオシアネートフリーであることを特徴とする使用。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明は、少なくとも平均で1.5個の式(I)及び(II)のカーボネート基又は式(Ia)及び(IIa)のチオカーボネート基、式(XI)及び(XII)のカルバメート基又は式(XIa)及び(XIIa)のチオカルバメート基:
【化1】
(式中、R
1 及びR
2 は、お互いに独立して、線状又は分岐のC
1〜C
6アルキル,C
1〜C
6アシル,C
3〜C
8シクロ脂肪族,C
6〜C
10アリール又はイミド基又はC
3〜C
6アルコールであり、
R
11とR
12及び同様にR
13とR
14は、それぞれ一緒に、ヘテロ環系(heterocyclic ring systems)を形成し、このヘテロ環系は芳香族又は非芳香族であってよく、お互いに独立であり、ここに、これらの環系はさらに酸素,窒素,及び硫黄からなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでいてもよく、又はアシル及びチオアシルの群から選ばれる官能基を含んでいてもよい。)
を有するプレポリマーの使用であって、
アルコキシシラン基がカルバメート基,チオカーボネート基又はチオカルバメート基を介してポリマー骨格に結合しているアルコキシシランポリマーの、イソシアネートフリー及びイソチオシアネートフリーな製造のための反応体としての使用に係り、
ここにおいて、少なくとも平均で1.5個のカーボネート基,チオカーボネート基,カルバメート基又はチオカルバメート基は、ポリマー骨格に対してそれぞれ1個の酸素原子を介して直接に結合していて、そのそれぞれ1個の酸素原子は,ポリマー骨格の第一、第二又は第三水酸基と、ジオルガノカーボネート,ジオルガノチオカーボネート,環状カーボネート,環状チオカーボネート,N,N-ジヘテロシクロウレア誘導体,及びN,N-ジヘテロシクロチオウレア誘導体の群から選ばれた反応性化合物との反応に由来する。
【0013】
好ましくは、本発明は、とりわけ、少なくとも平均で1.5個のカーボネート基
【化2】
(式中、R
1及びR
2は、お互いに独立して、線状又は分岐のC
1〜C
6アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル)、C
1〜C
6アシル基、C
3〜C
8シクロ脂肪族基(例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシル)、C
6〜C
10アリール基(例えば、フェニル)又はイミド基(例えば、スクシンイミド又はマレインイミド)又はC
3〜C
6アルコール(例えば、プロパノール,ブタノール又は1,3-プロパンジオール)である。)
を有するプレポリマーの使用であって、
アルコキシシラン基がカルバメート基,チオカーボネート基又はチオカルバメート基を介してポリマー骨格に結合しているアルコキシシランポリマーの、イソシアネートフリー及びイソチオシアネートフリーな製造のための反応体としての使用に係り、
ここにおいて、少なくとも平均で1.5個のカーボネート基は、ポリマー骨格に対してそれぞれ1個の酸素原子を介して直接に結合していて、そのそれぞれ1個の酸素原子は,ポリマー骨格の水酸基と、ジオルガノカーボネート又は環状カーボネートとのエステル交換反応(transesterification reaction)に由来する。
【0014】
「平均で1.5個のカーボネート基又はカルバメート基」なる表現は、反応の終わりに,本発明のプレポリマーのポリマー骨格に対して直接にそれぞれ1個の酸素原子を介して結合している、カーボネート基又はカルバメート基のそれぞれの数を指称する。場合によっては、反応は完全には進行せず、例えば、1.5個のカーボネート基又はカルバメート基が2個の水酸基と反応するので、カーボネート基の数又はカルバメート基の数は、ポリマー骨格の第一、第二又は第三水酸基の数と正確には一致しない。カーボネート又はカルバメート基の平均数は、当業者に知られているように、OH基数を測定して確認してよい。カーボネート基又はカルバメート基の平均数は、好ましくは、プレポリマー当り,それぞれ少なくとも1.7個のカーボネート又はカルバメート基,より好ましくは、プレポリマー当り,それぞれ少なくとも1.8個のカーボネート又はカルバメート基である。チオカーボネート及びチオカルバメート基に関しても、同じである。
【0015】
本発明のプレポリマーの使用は、アルコキシシランポリマーのイソシアネートフリー及びイソチオシアネートフリーな製造を可能にすることが確認された。同時に、これらのポリマーの特性は、大きな多様性をもって目的意識的に設定することが可能である。本発明のプレポリマーは、一種のモジュール「ビルディングブロックシステム」を表すものであり、望ましい特性に従う望ましいアルコキシシランポリマーのために、好ましいポリマー骨格を選択することを可能にする。
【0016】
可能なポリマー骨格の候補は、大量に安価に入手可能な多数の異なるポリマー鎖である。本発明のプレポリマーを生成する後続の反応のための反応体として満たす必要があるポリマー骨格の唯一の条件は、少なくとも2個の水酸基がなければならないことであり,それは選択的に第一、第二又は第三水酸基であってよい。
【0017】
これらの少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基は、単純なエステル交換(transesterification)により、プレポリマーの反応性基を表す少なくとも平均で1.5個のカーボネート基に変換される。これは、カーボネート基が酸素原子を介してポリマー骨格に直接に結合しているその酸素原子は、ポリマー骨格の水酸基とジオルガノカーボネート又は環状カーボネートとのエステル交換反応に由来することを意味する。したがって、プレポリマーの製造は、少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基のポリマー骨格を有するポリマー化合物から、ジオルガノカーボネート又は環状カーボネートとの反応によって、製造してもよい。本発明のこれらのポリマーは、簡単に、安価に製造することが可能である。
【0018】
選択的に,これらの少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基は、プレポリマーの反応性基を表す少なくとも平均で1.5個のカルバメート基に変換される。これは、カルバメート基が酸素原子を介して直接にポリマー骨格に結合されるその酸素原子の由来はポリマー骨格の水酸基とN,N-ジヘテロシクロウレア 誘導体との反応にあることを意味する。したがって、プレポリマーの製造は、同様に、少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基のポリマー骨格を有するポリマー化合物から、N,N-ジヘテロシクロウレア誘導体との反応から製造してよい。チオカルバメート基についても同じである。本発明のこれらのプレポリマーは、比較的架橋密度の高いポリマーの製造を可能にする。さらに反応で生成されるヘテロ環系が反応を促進する。
【0019】
本発明においてN,N-ジヘテロシクロウレア誘導体及びN,N-ジヘテロシクロチオウレア誘導体なる表現は、一般式(A)及び(B)の化合物を指称する。
【化3】
(式中、R
11とR
12及び同様にR
13とR
14は、それぞれ結合して、芳香族又は非芳香族であってよいヘテロ環系を生成し、お互いに独立であり、ここに、これらの環系は、ウレア又はチオウレア化合物の成分である窒素原子と同様に,さらに酸素,窒素,及び硫黄の群から選ばれるヘテロ原子を含んでよく、またはアシル及びチオアシルの群から選ばれる官能基を含んでもよい。)ここに、ヘテロ環系は、5〜14員からなることが好ましく、単環系又は二環系であってよい。単環系は5〜7員からなることが好ましく、二環系は10〜12員からなることが好ましい。
【0020】
N,N-ジヘテロシクロウレア誘導体は1,1‘-カルボニルジイミダゾール(CDI),1,1‘-カルボニルジベンゾイミダゾール,1,1‘-カルボニルジ(1,2,4)-トリアゾール(CDT),1,1‘-カルボニルビス(2-メチルイミダゾール),1,1‘-カルボニルジベンゾトリアゾール及びカルボニルビスカプロラクタム(CBC)からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは1,1‘-カルボニルジイミダゾール(CDI)である。
【0021】
少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基は、ポリマー骨格の終端に、ポリマー骨格それ自身に、又は側鎖に位置してよいので、大規模な出発化合物群から選択することが可能である。
【0022】
これらの少なくとも平均で1.5個のカーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基によって、高毒性のイソシアネート及びイソチオシアネート基の使用を避けることが可能である。
【0023】
さらに,ポリマー骨格として,少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基を有するか、又はなくとも2個の第一、第二又は第三水酸基を有するように変性された,天然の又は再生可能なオリゴマー又はポリマー原料を使用することも可能であり、それによって、例えば、非常に高い割合の再生可能原料を有する接着剤及びシーラント又はコーティングへのアクセスを可能にする。したがって、本発明のプレポリマーは、生態系に優しく、毒物学的に問題のない接着剤及びシーラントを提供する可能性へのアクセスを提供し、これは特に建設産業のために、また乗物産業(自動車、航空機、船舶産業)のために大きな利益である。
【0024】
本発明のプレポリマーは、非架橋ポリマーの特性(例えば、融点、粘度、溶解度)及び既架橋材料の特性(例えば、硬度、弾性、引張り強度、破断伸び、化学抵抗、熱安定性、光分解抵抗性)の両方を、ほぼ無限に、そして簡単な方法で、調整することを可能にする。特に好ましくは、改良されたプロセス特性のゆえに、本発明のプレポリマーは室温で液体である。
【0025】
プレポリマーの鎖長及びしたがって分子量は、プレポリマーの特性に大きく影響する。好ましくは、プレポリマーは100〜200 000 g/mol,より好ましくは5000〜50 000 g/molの平均分子量Mwを有する。この平均分子量Mwは、ゲル透過クロマトグラフィー(スチレン標準で、DIN 55672-1:2016-03に従い、溶出剤としてテトラヒドロフラン)により測定する。
【0026】
用語「シリル基」は、本発明と関連して、あらゆる(オルガノ-)シリル基を指称し、特に、後述するように置換シリル基及びシリルオキシ基を含む。
【0027】
用語「アミノ基」は、本発明の文脈において用いられるように、第一及び第二のアミノ基の両方を含む。それらは線状、環状、芳香族型として存在してよい。
【0028】
好ましくは、本発明のプレポリマーのポリマー骨格[A]は、線状であるか又は分岐を有し、かつ
- ポリエーテル(例えば、ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコール,及びポリプロピレングリコール),
- ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブタジエン,ポリスチレン, ポアクリロニトリル-ブタジエン,及びポリ塩化ビニール),
- ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート,及びポリカプロラクトン),
- ポリカーボネート(例えば、ポリエチレンカーボネート,ポリプロピレンカーボネート,ポリブチレンカーボネート又はポリビニレンカーボネート),
- ポリアクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート又はポリブチルアクリレート),
- ポリスルフィド(例えば、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンスルフィド),
- ポリシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン又はポリジフェニルシロキサン),
- ポリアセタール(例えば、ポリオキシメチレン),及び
これらのコポリマーからなる群から選択される。
【0029】
ポリカーボネート又はポリエステル骨格又はこれらの混合物を有するプレポリマーは、例えば、高引張強度が必要であるときに使用される。対照的に、ポリスルフィド又はポリアクリロニトリル-ブタジエン骨格を有するプレポリマーは、優れた化学抵抗性を示し、ポリアクリレート,ポリブタジエン,ポリシロキサン,及びポリオレフィン骨格を有するプレポリマーは、高光分解抵抗性が求められるときに好ましく使用される。
【0030】
ポリマー骨格がOH基を有していない場合には、それは後続の反応を可能にするために水酸基で官能化される。このような官能化は、好ましくは、終端にあり、換言すると、ポリマー骨格の2つの終端であるか、及び/又は任意に、ポリマー骨格が分岐を有するときは側鎖の終端にある。例えば、ポリエステル 骨格は2以上の官能性を有するアルコールを用いて官能化してポリエステル ポリオールを生成することが可能であり、そのアルコール基はその後エステル交換されることが可能である。例えば、ポリオレフィンポリオールについても同様のことが適用できる。このような変性は当業者には知られている。また、第一、第二又は第三水酸基を有するポリマー骨格も、例えば、鎖長を延長し又は特性を改変するために、2以上の官能性を有する基で終端を官能化することが可能である。鎖長の延長によって、例えば、粘性の標的とする増大を達成することが可能である。第二水酸基を有するポリマー骨格を第一(primary)水酸基を用いて官能化することで、ポリマー骨格の反応性を増大させることが可能である。これは、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオールを, ポリプロポキシル化反応の終了後に、さらにエチレンオキシドでアルコキシル化して,エチレンオキシド終端(EO-エンドキャップ)ポリオキシプロピレンポリオールを生成することによって、実施してよい。
【0031】
本発明のプレポリマーでは、少なくとも平均で1.5個のカーボネート又はチオカーボネート基は、ポリマー骨格の終端に配置されていることが好ましい。本発明のこのようなプレポリマーを、以下に一般式III及びIIIaで表す。
【化4】
(式中、R
1及びR
2は上記と同じ定義である。[A]は先に既に述べた線状又は分岐の ポリマー骨格を表す。)
【0032】
少なくとも平均で1.5個のカーボネート又はチオカーボネート基のR
1及びR
2基は、好ましくは両方同じであり、より好ましくはメチル,エチル,フェニル,スクシンイミド,マレインイミド,プロパノール,ブタノール,及び1,3-プロパンジオール、より特定的にはメチル及びフェニルからなる群から選ばれてよい。エステル交換及び特に後続の重合で生成するアルコール、より特定的にはメタノール,フェノール,及びエタノールは,蒸留によって簡単にかつ迅速に除去することが可能である。これらの好ましいR
1及びR
2基は毒性学的に問題のないシランとの後続の反応を許容する。さらに、その反応を白金触媒なしで実施することが可能である。
【0033】
好ましくは終端に配置されているカーボネート基は追加の工程で反応して カルバメート又はチオカルバメートを生成することが可能である。
【0034】
本発明のプレポリマーにおいて、少なくとも1.5個のカルバメート又はチオカルバメート基は、ポリマー骨格の終端に配置されていることが好ましい。本発明のこのようなプレポリマーを、以下に一般式XIII 及び XIIIaで示す。
【化5】
(式中、R
11, R
12, R
13及びR
14は上記と同じ定義である。[A]は既に上記した線状又は分岐のポリマー骨格を表す。)
【0035】
少なくとも平均で1.5個のカルバメート及びチオカルバメート基における、R
11とR
12基及び同様にR
13とR
14基により形成される、ヘテロ環系(heterocyclic ring systems)は、両方が同じであることが好ましい。
【0036】
本発明の1つの態様において、本発明のプレポリマーは正確に2つのカーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基を有する。特に好ましくはこれらの基は終端に配置されている。
【0037】
ポリマー骨格が2以上の第一、第二又は第三水酸基を有する場合には、カーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基の数は対応して増大してよい。この意味で、ポリマーの最終的な特性に依存して, 水酸基の一部だけ又は全部について、反応することを考えることができる。例えば、高引張強度,高硬度,及び低弾性率を有するポリマーを製造することを意図する場合には、本発明のポリマー骨格は多数のカーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基を有して,より高密度の架橋を可能にする。
【0038】
プレポリマー当りのカーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基の平均数(mean number)は、1.5〜20の範囲内が好ましく,1.7〜10の範囲内がより好ましい。この数は、線状ポリマー骨格の場合には1.5〜2であり、分岐ポリマー骨格の場合には一般的により大きい。
【0039】
1つの態様において、ポリマー骨格の少なくとも一部は線状であり、好ましくは、特に最終の架橋ポリマーが低硬度及び高弾性率を有すべき場合には、全部のポリマー骨格が線状であることが好ましい。本発明のプレポリマーが線状であると、1000-100 000 g/mol,より好ましくは5000-50 000 g/molの平均分子量を有することが好ましい。本発明において用語「線状(linear)」は、主鎖が分岐せず、主鎖の個々の水素原子は例えばOH又はカルボキシル基などの官能基、又は例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,又はフェニルなどの短いアルキル基によって置換されていてよい、マクロ分子を指称する。
【0040】
別の態様では、ポリマー骨格の少なくとも一部が分岐することが可能である。これは、マクロ分子の主鎖が1以上の分岐部位(branchings(側鎖side chains))を有すること、その分岐が任意に1以上のエーテル、エステル、カーボネート,アクリレート又はスルフィド基を含んでよいこと、また任意に一般式式(IV)又は(XIV)の好ましくは終端基を有してよいことを意味する。
【化6】
(式中、R
3はR
1及びR
2と同じ定義を有する。R
15と
16は、それぞれ一緒になって、R
11とR
12から、またR
13とR
14からそれぞれ形成されるヘテロ環系と同じ定義を有するヘテロ環系を形成する。)この種のプレポリマーは、主鎖の両終端に配置された2個の終端カーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基のみならず、さらに、x個の追加のカーボネート,チオカーボネート,カルバメート又はチオカルバメート基(ここにxはポリマー骨格の分岐部位の数を表す。)も含むことが好ましい。ポリマー骨格の分岐部位が多いほど、最終架橋ポリマーは硬くなる。この効果は、分岐部位の鎖長が短いとさらに補強されてよい。本発明のプレポリマーが分岐しているとき、好ましくは1000-100 000 g/mol,より好ましくは5000-50 000 g/molの平均分子量を有する。1つの態様において、各分岐部位は式IV又はXIVの終端基を有する。
【0041】
ポリマー骨格はポリエーテル,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリスルフィド,ポリシロキサン,ポリアクリレート,及びこれらのコポリマーの群から選ばれることが好ましい。特に好ましくは、これらは、各終端に、また存在する場合には各分岐部位の終端に,第一、第二又は第三水酸基を有する。
【0042】
特に好ましくは、ポリマー骨格は、ポリエーテルが追加の官能化なしで直接に処理できるので、ポリエーテルを含む。この観点で可能性のあるポリエーテルはポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのほか、低分子量多官能性アルコールとアルキレンオキシドとの反応生成物である。ポリプロピレングリコールはここでは特に好ましく、線状でもマルチアーム(multiarm)のいずれでもよい。
【0043】
アルキレンオキシドは2〜4個の炭素を有することが好ましい。適性なものは、エチレングリコール,プロピレングリコール,異性体ブタンジオール,異性体ヘキサンジオール,又は4,4'-ジヒドロキシジフェニルプロパンと、エチレンオキシド,プロピレンオキシド又はブチレンオキシド,又はこれらの2種以上の混合物との反応生成物によって得られる。多官能性アルコール,例えば、グリセロール,トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン,ペンタエリトリトール又は糖アルコール,あるいはこれらの2種以上の混合物と,上記のアルキレンオキシドとのポリエーテルポリオールを生成する生成反応物も同じく適性である。さらにポリエーテル骨格は、例えばグリセロール又はペンタエリトリトールの脱水凝縮により調製可能である。このようなポリエーテルの製造は当業者には知られており、例えば、DE 10259248 A1に詳細に記載されている。
【0044】
本発明の目的に有用である追加のポリエーテル骨格はテトラヒドロフランの重合(ポリTHF)によって入手してよい。
【0045】
さらに、適当なポリマー骨格は、ビニルポリマーにより変性されたポリエーテルである。この種の生成物は例えば、ポリオールの存在においてスチレン-又はアクリロニトリル,又はこれらの混合物を重合して入手可能である。
【0046】
同様にポリマー骨格として適当なものは、低分子量アルコール、特にエチレングリコール,ジエチレングリコール,プロパンジオール,ジプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ヘキサンジオール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ヘキサンジオール,プロピレングリコール,グリセロール又はトリメチロールプロパンと、カプロラクトンとの反応で生成されるポリエステルポリオールである。
【0047】
さらに適当なポリエステルポリオールは重縮合によって好ましく調製可能である。この種のポリエステルポリオールは多官能性,好ましくは二官能性アルコール(任意に少量の三官能性アルコールと一緒に)と、多官能性、好ましくは二官能性及び/又は三官能性のカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応生成物を含むことが好ましい。
【0048】
遊離のポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物又は好ましくは1〜3個の炭素を有するアルコールとの対応するポリカルボン酸エステルを用いることも可能である。このようなポリエステルポリオールを製造するのに適当なものは、特に、ヘキサンジオール,1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン,2-メチル-1,3-プロパンジオール,ブタン-1,2,4-トリオール-トリエチレングリコール,テトラエチレングリコール,エチレングリコール,ポリエチレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ジブチレングリコール,及びポリブチレングリコールである。ポリカルボン酸は、脂肪族,シクロ脂肪族,芳香族又は複素環系あるいは両方であってよい。これらは任意に例えばアルキル基,アルキレン基,エーテル基又はハロゲンによって置換されてよい。適当なポリカルボン酸の例には、琥珀酸,アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメリト酸,フタル酸無水物,テトラヒドロフタル酸無水物,ヘキサヒドロフタル酸無水物,テトラクロロフタル酸無水物,エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物,グルタル酸無水物,マレイン酸,マレイン酸無水物,フマル酸,ダイマー脂肪酸又はトリマー脂肪酸,あるいはこれらの2種以上の混合物がある。任意に、反応混合物中に少量の単官能性脂肪酸が存在してよい。適当な三カルボン酸はクエン酸又はトリメリト酸であることが好ましい。上記した酸は、単独で、又はその2種以上の混合物として使用してよい。
【0049】
その他の適当なポリマー骨格はポリエステルと特に上記したジカルボン酸 及びグリセロールの少なくとも一方とから生成し、OH基の残留含分を有するポリエステルポリオールである。この残留含分は少なくとも2個の水酸基を含む筈である。例えば、"ポリカプロラクトン"とも呼ばれるε-カプロラクトンに基づくラクトンから、又は例えばヒドロキシカルボン酸,ω-ヒドロキシカプロン酸から得られ得るポリエステルも同様に使用してよい。しかし、油脂化学(oleochemical)由来のポリエステルポリオールを用いることも可能である。このようなポリエステルポリオールは、例えば、少なくとも部分的にオレフィン性不飽和の脂肪酸を含む脂肪質混合物のエポキシ化トリグリセリドの、1〜12個の炭素を有する1種以上のアルコールによる完全開環と、その後のトリグリセリド誘導体の部分エステル交換によるアルキル基に1〜12個の炭素を有するアルキルエステルポリオールの生成によって製造してもよい。その他の適当なポリオールはポリカーボネートポリオール及びダイマージオール、及びキャスターオイル及びその誘導体である。
【0050】
同様にポリマー骨格として適当なものはポリアセタールである。ポリアセタールは、例えばジエチレングリコール又はヘキサンジオールあるいはこれらの混合物などのグリコールと,ホルムアルデヒドから得られ得る種類の化合物である。本発明の趣旨において使用可能なポリアセタールは環状アセタールの重合によっても入手可能である。
【0051】
ポリマー骨格としてさらに適当なものはポリカーボネートである。ポリカーボネートは、例えば、ジオール、例えば、プロピレングリコール,1,4-ブタンジオール又は1,6-ヘキサンジオール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコール,あるいはこれらの2種以上の混合物と,ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)又はホスゲンとの反応から入手可能である。
【0052】
ポリマー骨格としては、植物又は動物由来のポリオールも適当である。これらのポリオールは通常短鎖であるから、最初に例えばカーボネート結合を介して鎖延長してよい。これによって天然物由来のポリカーボネートが得られ、終端水酸基を有する。
【0053】
同様に適当なポリマー骨格はポリアクリレート,特に追加のOH基を未だ有しているポリアクリレートである。この種のポリアクリレートは、例えば、OH基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合によって入手可能である。このようなモノマーは、例えば、エチレン性不飽和のカルボン酸と二官能性アルコールのエステル交換によって入手可能であり,ここでアルコールは一般的に僅かに過剰に存在する。この目的に適当なエチレン性不飽和のカルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、又はマレイン酸である。OH基を有する対応するエステルは、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート,2-ヒドロキシエチルメタクリレート,2-ヒドロキシプロピルアクリレート,2-ヒドロキシプロピルアクリレート,2-ヒドロキシプロピルメタクリレート,3-ヒドロキシプロピルアクリレート又は3-ヒドロキシプロピルメタクリレート,あるいはこれらの2種以上の混合物である。
【0054】
さらに追加の適当なポリマー骨格は、多水酸基官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーであり,例えば、エポキシド又はアミノアルコールとカルボキシル終端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーから製造でき、それらはEmerald Performance Materials, LLC, USAから商品名Hypro CTBNとして商業的に入手可能である。
【0055】
同様に適当なポリマー骨格は、2以上のポリマー鎖とジオルガノカーボネートとの反応によりカーボネート基を介してお互いに結合されているコポリマーである。この目的に用いるポリマー鎖は同じでも異なってもよい。例えば、様々な短鎖天然物質ポリオールはカーボネート基を介してお互いに結合されることが可能であり,ポリマー骨格の長さは天然物質ポリオールの数によって確認してよい。1つの可能性のある例は、式(V)で表され、式中[A1]及び[A2]は、例えば、2つの異なる、又は2つの同じ天然物質ポリオールであってよい。
【化7】
【0056】
コポリマーからのさらなるポリマー骨格は、ジアミンを介して連結されて,鎖長を対応して延長することができる、カーボネート終端ポリマー鎖であってよい。1つの可能性のある例は、式(Va)で表され、式中,[A1]及び[A3]は、例えば、2つの異なる、又は2つの同じ天然物質ポリオールであってよく、これらはポリマー鎖[A2]を有するジアミンに連結されているカーボネートを終端に有する。
【化8】
【0057】
さらに、特に適当なポリマー骨格は、例えば、欧州特許出願EP 2 930 197に記載されており、その内容は特に0045-0057段落は、本開示に参照して含められる。
【0058】
本発明のプレポリマーを製造するために、各反応性化合物はポリマー骨格の少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基に結合され、その化合物はジオルガノカーボネート,ジオルガノ-チオカーボネート,環状カーボネート,環状チオカーボネート,N,N-ジヘテロシクロウレア誘導体,及びN,N-ジヘテロシクロチオウレア誘導体からなる群から選択される。
【0059】
ジオルガノカーボネートの場合、原則として当業者はあらゆる公知の対称又は非対称のジオルガノカーボネートを用いることが可能であり,反応制御性の良さから対称ジオルガノカーボネートが好ましい。好ましいジオルガノカーボネートはジアルキルカーボネート又はジアリールカーボネート,より好ましくはジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,ジプロピルカーボネート,ジブチルカーボネート,メチルエチルカーボネート,ジフェニルカーボネート,N-N‘-ジスクシンイミジルカーボネート,アリルスクシンイミジルカーボネート,メチルスクシンイミジルカーボネート,エチルスクシンイミジルカーボネート,フェニルアリルカーボネート,メチルフェニルカーボネート,フェニルスクシンイミジルカーボネート,又はこれらのジオルガノカーボネートの混合物,そして、より好ましくはジメチルカーボネート又はジフェニルカーボネートである。水酸基に関して,ジオルガノカーボネートは1:1〜5:1の比で用いられる。環状カーボネートの場合,原則として当業者はあらゆる公知の環状カーボネートを用いることが可能である。好ましいのは、プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,グリセロールカーボネート,及びビニレンカーボネートの群から選ばれる環状カーボネートである。
【0060】
例えば、一般式IIIbによるプレポリマーは、以下のようにして入手してよい。
【化9】
(式中、[A]及びR
1は上記と同じ定義である。)
【0061】
上記の反応式において、少なくとも平均で1.5個のカーボネート基がポリマー骨格に対してそれぞれ1個の酸素原子を介して直接に結合していることが明らかである。したがって、この1個の酸素原子はポリマー骨格の第一、第二又は第三水酸基とジオルガノカーボネート又は環状カーボネートとのエステル交換反応に由来する。
【0062】
あるいは、一般式XIIIbによるプレポリマーは、以下のようにして入手してよい。
【化10】
(式中、[A]及びR
11, R
12, R
13, 及びR
14は上記と同じ定義である。)
【0063】
ポリマー骨格の少なくとも2個の第一、第二又は第三水酸基との反応は、触媒によって促進されてよい。触媒は、異種(heterogeneous)又は均質(homogeneous)触媒、例えば、MCM-41(Mobil組成物No.41;シリカ質及びアルミノシリカ質固体の属からの階層的ポア構造を有するメソポーラス材料),有機変性MCM-41,Mg/La金属酸化物,ナノ結晶性MgO, LiOH, Li
2CO
3, K
2CO
3, Cs
2CO
3, Mg
5(OH)
2(CO
3)
4, ジルコニウム(IV)ブトキシド,ジルコニウム(IV)プロポキシド,ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド,ジルコニウム(IV)イソプロポキシド,チタンテトラアルコシキド,ビブチル錫ジラウレート,ジブチル錫オキシド,ビストリブチル錫オキシド,イットリウム(III)アセチルアセトネート,ジルコニウム(III)アセチルアセトネート,イッテリビウム(III)アセチルアセトネート,1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU),1,5-ジアゾビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN),トリフレート、例えば、ビスマス(III)トリフレート,ランタン(III)トリフレート,イッテルビウム(III)トリフレート,イットリウム(III)トリフレート,ジルコニルトリフレート1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD),ピリジン,4-(ジメチルアミノ)ピリジン,1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,トリメチルシリルアミド、例えば、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド,ZrCl
2,SnCl
2又はN-ヘテロ環カルベン、例えば、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデンなどを含んでよい。その他の可能なエステル交換用触媒は欧州特許出願第2 308 914号、特に段落0040〜0042に記載されており,本開示に参照して含められる。ヘテロ環系の反応性が高いので、この反応は触媒なしで行うことが好ましい。
【0064】
反応は好ましくは-20〜200°C,より好ましくは20〜120°Cで起きる。
【0065】
本発明のプレポリマーは好ましくは下記からなる群から選ばれる。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
(式中、
- nはモノマー単位の数であり、分子量は1000 g/molと100 000 g/molの間, 好ましくは5000 g/molと50 000 g/molの間であり、それによってモノマー単位の数nが規定される;
- R1, R2, R3, R3’は,お互いに独立して、線状又は分岐のC1〜C6アルキル,C1〜C6アシル,C3〜C8シクロ脂肪族,C6〜C10アリール又はイミド基である。好ましくは全部のR1, R2, R3, R3’基が同じであり、より好ましくはメチル,エチル又はフェニルであり、特に好ましくはメチルであり,そして
- R
11とR
12, R
13とR
14, R
15とR
16, そして同様にR
15’とR
16’は、それぞれ一緒になって、芳香族又は非芳香族であってよい、お互いに独立であるヘテロ環系を形成し、該ヘテロ環系は、酸素,窒素及び硫黄の群からなるヘテロ原子をさらに含んでよく、又はアシル及びチオアシルの群からなる官能基をさらに含んでよい。)
【0066】
本発明のプレポリマーはアルコキシシランポリマーのイソシアネートフリーの調製に好ましく用いられる。この場合、毒性のイソシアネートを用いなくてよいので、その製造に関連する環境負荷を大きく低減することが可能である。
【0067】
この場合、本発明のプレポリマーは、
(A) 任意に触媒の存在において、アミノアルコキシシラン又はメルカプトアルコキシシランと反応するか,又は
(B) ジアミン,トリアミン,ジチオール又はトリチオールと反応して変性プレポリマーを生成し、その後エポキシド基を含むアルコキシシラン化合物と反応して、
アルコキシシランポリマーが生成する。
したがって、上記変形態様(A)の反応工程では,本発明のプレポリマーは、1つの態様において、アミノアルコキシシランとの反応が進行してカルバメート(ウレタン)を生成する。この反応は好ましくは-20〜150°C,より好ましくは20〜100°Cで起きる。
【0068】
アミノアルコキシシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン,3-アミノプロピルトリエトキシシラン,N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン,N-エチルアミノイソブチル-トリメトキシシラン,N-エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン,3-ピペラジノプロピルトリメトキシシラン,3-ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン,3-ピペラジノプロピルトリエトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン,及びN-シクロヘキシル-3-アミノ-プロピルトリメトキシシランの群から選ばれる化合物が好ましい。同様に適当であるのは、アルファ-シラン、例えば、N-シクロヘキシルアミノメチル-トリエトキシシラン及びN-(6-アミノヘキシル)アミノメトキシトリエトキシシラン又はウレイドシラン、例えば、3-ウレイドプロピルトリメトキシシランである。その他の適当なアルコキシシランはジアミンとエポキシシランとの等モル反応生成物,例えば、ピペラジンと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物である。特に好ましいのは、特に反応性が高いので、第一アミノ基又は環状アミノ基を有するアルコキシシランである。
【0069】
この反応では、エステル交換について既に記載した触媒の1つを用いることが可能である。したがって、この反応では、イソシアネートを用いる必要なしで、ウレタン基を介してアルコキシシランが結合しているポリマーが得られ、これは環境問題において極めて有利である。
【0070】
上記変形態様(A)の反応工程では,本発明のプレポリマーは、もう1つの態様において、メルカプトアルコキシシランとの反応が進行してチオカーボネートを生成する。この反応は好ましくは-20〜150°C,より好ましくは20〜100°Cで起きる。
【0071】
チオールは、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン,3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン,3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの群から選ばれるメルカプトアルコキシシランであることが好ましい。
【0072】
上記変形態様(B)の反応工程では,本発明のプレポリマーは、任意に触媒の存在において、適当なジアミン,トリアミン,ジチオール又はトリチオールと反応する。
【0073】
この文脈において可能なジアミンの例はヘキサメチルジアミン,オクタメチレンジアミン,メチルペンタンジアミン,メタ-キシリレンジアミン,トリメチレンヘキサメチレンジアミン,ピペラジン,アミノエチルピペラジン又はイソホロンジアミンである。
【0074】
可能なトリアミンの例は、ペンタン-1,2,5-トリアミン,1,2,3-プロパントリアミン,フェニル-1,2,4-トリアミン,フェニル-1,3,5-トリアミン,プリミジン-2,4,6-トリアミンである。
【0075】
この反応に可能なメルカプト化合物は、EP 1 944 329, 特に段落0068〜0071に詳細に記載されており, その内容はここに参照して含められる。例は、ジチオトレイトール,1,2-エタンジチオール,1,2-プロパンジチオール,1,3-プロパンジチオール,1,4-ブタンジチオール,1,5-ペンタンジチオール,1,6-ヘキサンジチオール,1,7-ヘプタンジチオール,1,8-オクタンジチオール,1,9-ノナンジチオール,1,10-デカンジチオール,1,12-ドデカンジチオール,2,2-ジメチル-1,3-プロパンジチオール,3-メチル-1,5-ペンタンジチオール,2-メチル-1,8-オクタンジチオール,1,1,1-トリス(メルカプトメチル)エタン,2-エチル-2-メルカプトメチル-1,3-プロパンジチオール,テトラキス(メルカプトメチル)メタン,1,4-シクロヘキサンジチオール,1,4-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン,ビス(2-メルカプトエチル)エーテル,ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド,ビス(2-メルカプトエチル)ジスルフィド,2,5-ビス(メルカプトメチル)1,4-ジオキサン,2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン,3,3'-チオビス(プロパン-1,2-ジチオール),2,2'-チオビス(プロパン-1,3-ジチオール);メルカプト基を含む芳香族の置換又は未置換化合物、例えば、チオフェノール,1,2-ベンゼンジチオール,1,3-ベンゼンジチオール,1,4-ベンゼンジチオール,1,3,5-ベンゼントリチオール,トルエン-3,4-ジチオール,メルカプトメチルベンゼン,1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン,1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン,1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン,及び1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼンである。
【0076】
得られる少なくとも2個のアミノ基とカルバメート基を介して結合している変性プレポリマーは、第二工程において、続いてエポキシド基を有するアルコキシシラン化合物と反応されて、アルコキシシランポリマーを生成する。ポリマーの終端アミンとエポキシド基を有するアルコキシシラン化合物とのこの反応は、欧州特許出願第2 341 116号,特に段落[0024]〜[0042]に記載されている。その内容はここに参照して含められる。
【0077】
アルコキシシランポリマーが変性プレポリマーとエポキシド基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン化合物との反応によって得られる場合には、ポリマー当りのシリル基の好ましい数は、一般的に、第一アミノ基のときは1とアミノ基の数の2倍との間であり、第二アミノ基のときは1とアミノ基の数の1倍との間である。ジチオールで変性されたプレポリマーに関しても同じことが適用される。
【0078】
少なくとも2個のアミノ又はメルカプト基を有するプレポリマーとエポキシド基を有する化合物との間の反応性は比較的に高い。反応は任意に触媒の存在によってさらに促進されてよい。可能性のある触媒は、トリフレート、例えば、ビスマス(III)トリフレート,ランタン(III)トリフレート,イトリビウム(III)トリフレート,イットリウム(III)トリフレート,ジルコニルトリフレート, 第三アミン,例えば、トリエチルアミン,ベンジルジメチルアミン,トリエタノールアミン,フェノール誘導体、例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)-フェノールである。
【0079】
少なくとも2個の第一又は第二アミノ基又は少なくとも2個のチオール基を有する変性プレポリマーが、上記反応変形態様(B)により、エポキシド基を有するアルコキシシラン化合物と反応すると、そのとき後者の化合物の構造式は下記(VI)であることが好ましい。
【化18】
(式中、R
4は選択的に置換されている及び/又はヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり、R
5はアルコキシ,アセトキシ,オキシム又はアミン基であり、aは0, 1, 2又は3である。)
【0080】
一般的に言えば、R
4はメチル又はエチル基である。しかしながら、芳香族の、エステル又はチオエステル又はチオエーテルもR
4として考え得る。R
5はメトキシ又はエトキシ基であることが好ましい。
【0081】
したがって、特に、(3-グリシジルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン,(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン,(3-グリシジルオキシプロピル)ジエトキシメチルシラン又は(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランが考えられる。
【0082】
本発明の目的のためのさらなるエポキシド基を有するアルコキシシランはWO 2008/031895(7頁,No. 41〜47)にリストがあり、その内容はここに参照して含める。これと関連して、さらに,[2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシランを挙げることができる。
【0083】
選択的に、少なくとも平均で1.5個のカーボネート基を有する本発明のプレポリマーを,変形態様(A)又は変形態様(B)による反応工程の前に,アルコール又は活性アルコールでエステル交換することも可能である(変形態様(C))。活性アルコールはグリセロールカーボネートであることが好ましい。この反応により、その線状カ―ボネート基に環状カーボネート基が追加して結合した変性プレポリマーが得られる。環状カーボネート基は顕著により高い反応性を有する。その後、アミノアルコキシシラン又はメルカプトアルコキシシランはヒドロキシウレタン又はヒドロキシチオウレタン結合を介して変性プレポリマーと結合することが可能である。
【0084】
アルコキシシランポリマー当りのシリル基の平均数は1〜10の範囲内であることが好ましく、プレポリマー中のカーボネート基の数に依存する。線状のポリマー骨格の場合,その数は一般的に約2であるが、分岐のポリマー骨格では一般的により大きい。
【0085】
上記の反応方法(変形態様(A),変形態様(B)又は変形態様(C))により得られるアルコキシシランポリマーは、湿分硬化性シーラント又は接着剤として用いられる組成物に好ましく含まれる。この種の組成物は実質的に無水(anhydrous)である。大気中の湿分と接触すると、湿分硬化性シーラント又は接着剤は硬化してシーリング手段又は接着剤を形成する。大気中の湿分を排除すると、本発明で得られるアルコキシシランポリマーは貯蔵安定性である。
【0086】
特に、化合物をシーラント又は接着剤組成物に用いるとき、一方では、ポリマー骨格の選択を介して、ペースト状組成物の特性、例えば、毒性プロファイル、粘度、レオロジー、加工性、たわみ抵抗性(sag resistance)などに影響を与えることが可能である。他方では、ポリマー骨格の選択を介して、硬化した材料の特性に影響することが可能である。したがって、特に抵抗性に関して望ましい特性、例えば、耐熱性、耐火性、低温可撓性、低温加工性、UV安定性, 耐候性, 化学抵抗性,排泄物抵抗性(excrement resistance),耐油及び燃料性、耐水性、及び耐摩耗性のみならず、しかしまた機械的特性、例えば、引張抵抗、硬度、弾性、及び粘着性に関しても、実現することが可能である。同様のコメントは、硬化シーラント又は接着剤の透過性、すなわち、透水性、水蒸気透過性、気体透過性に関して、及び毒性プロファイル、すなわち、例えば、食品適合性、飲料水適合性、及び生分解性に関しても、当てはまり、これらの特性は要求に応じて調整することができる。
【0087】
特に本発明を接着剤組成物に用いる場合、接着特性-すなわち、例えば、プラスチック接着, 湿式接着、多孔質及びアルカリ性又は酸性表面への接着、濡れた基材への接着を-ポリマー骨格の対応する選択によって特定の最終用途のために適当な方法で調整することが可能である。さらに、ポリマー骨格は硬化材料の物理的特性、例えば、屈折率及び、電気、熱及び音響伝導性又は絶縁性をそれぞれ臨界的に規定する。
【0088】
また、ポリマー骨格は水酸基によって、好ましくは終端において、少なくとも部分的に又は完全にポリスルフィド官能化されたものが好ましい。このような最終ポリマーは良好な湿式接着を可能とし、また高い化学的、熱的及び光的安定性を有するシーラント及び接着剤を提供する。
【0089】
実現できる可能な特性の多様性に基づき,本発明のアルコキシシランポリマーはそのような「仕立て」特性が望まれる応用分野に用いるのに特に適当である。例えば、建設、機械、電気、自動車又は航空産業における使用に好適であり、例えば、シート状シールのための耐水性及び気体透過性、構造的結合の機械的特性及び接着特性、また、対応する組成物の耐火性などを調整することができる。
【0090】
プレポリマーによって得られ得る化学抵抗性、特に,アルコキシシランポリマーの耐油及び燃料性は、それらを自動車産業に用いることを可能にする。
【0091】
またその他に、例えば、得られる耐候性に基づいて船舶建造物、得られる絶縁特性に基づいてエレクトロニクス用途に、用いることも考えられる。後者では、また、本発明によればシリコーンフリーの系を選択すること可能であり、したがって、慣用のシリコーン材料に見られる滲出に関する欠陥を回避することを可能にする。
【0092】
さらに、アルコキシシランポリマーは、例えば、耐スクラッチコーティング、接着性又は非粘着性コーティング,耐落書きコーティング,又は繊維用コーティングなどの、コーティングにも使用することができる。アルコキシシランポリマーは一般的に1-成分系又は2-成分系として使用してよい。さらに、建設及び産業用途用のイソシアネートフリーフォーム、又は例えば、粘弾性フォームとして、又はマットレス製造における冷フォームとして用いることも可能である。また、例えば、医療工学、ロボット工学又は自動車産業に用いることが可能である形状記憶ポリマーとして用いることも考えられる。
【0093】
本発明のさらなる側面によれば、本発明のプレポリマー又は変性プレポリマーを用いて完全にイソシアネートフリーのポリウレタン又は(ポリ)ヒドロキシウレタンを生成することが可能である。
【0094】
例えば、本発明のプレポリマーはブロックトジアミンと反応することが可能である。ブロックトジアミンの特徴は、アミノ基が水(湿分)と接触するたけで活性化されることである。ブロックトジアミンの1例は、Vestamin A139である。ブロックトジアミンは大気中の湿分と反応してジアミンを生成し,それが続いてオルガノカーボネート-又はカルバメート-終端プレポリマーを硬化させてポリウレタン又はポリヒドロキシウレタンにする。ブロックトジアミンと本発明のプレポリマーを含むこの種の接着剤は、長期間にわたり安定であり、耐熱性である。
【実施例】
【0095】
本発明を以下の実施例を参照してさらに説明する。
【0096】
実施例1:メチルカーボネート-終端ポリエーテルとアミノシラン
95.7 gのポリエーテルジオール(CovestroからのDesmophen 4028BD)を、17.3 gのジメチルカーボネート(OH基に基づき4:1)と0.1 gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)を用いて、120°Cにおいて18 時間還流する。生成したメタノールと過剰のジメチルカーボネートはその後減圧下で蒸留することができる。得られた生成物はメチルカーボネート-終端ポリエーテルである。
【化19】
【0097】
50 gのメチルカーボネート-終端ポリマーを、4.3 gの3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び0.1 gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)と60°Cにおいて24 時間反応させた。生成したメタノールは蒸留で除去した。得られる生成物はトリメトキシシラン-終端ポリエーテルである。トリメトキシシラン基はウレタン結合を介してポリエーテルに結合している。
【化20】
【0098】
ポリマーは、シラン-終端ポリマーに基づいて、湿分硬化性接着材、シーラント、コーティング材料を製造するために使用することができる。
【0099】
実施例2:メチルカーボネート-終端ポリエーテルとジアミン、続いてエポキシシランと反応
95.7 gのポリエーテルジオール(CovestroからのDesmophen 4028BD) を、17.3 gのジメチルカーボネート(OH基に基づき4:1)及び0.1 gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)で、120°Cにおいて18 時間還流する。生成したメタノールと過剰のジメチルカーボネートはその後減圧下で蒸留することができる。得られた生成物はメチルカーボネート-終端ポリエーテルである。
【0100】
50 gのメチルカーボネート-終端ポリマーを、2.84 gのヘキサメチレンジアミン及び0.1 gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)と、60°Cにおいて24 時間反応させる。生成するメタノールは蒸留して除去する。得られる生成物はアミン-終端ポリエーテルである。このポリエーテルは、エポキシド基を有するアルコキシシラン化合物、例えば、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランと反応して,トリメトキシシラン-終端ポリエーテルを生成することが可能である。このような反応は、ここに参照する欧州特許出願第2 341 116号に詳細に記載されている。
【0101】
得られるポリマーは、シラン-終端ポリマーに基づいて、湿分硬化性接着材、シーラント、コーティング材料を製造するために使用することができる。
【0102】
実施例3:メチルカーボネート-終端ポリエーテルの硬化によるイソシアネートフリーポリウレタンの生成
95.7 gのポリエーテルジオール(CovestroからのDesmophen 4028BD) を、17.3 gのジメチルカーボネート(OH基に基づき4:1)と0.1 gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)を用いて、120°Cにおいて18 時間還流する。生成したメタノールと過剰のジメチルカーボネートはその後減圧下で蒸留することができる。得られた生成物はメチルカーボネート-終端ポリエーテルである。
【0103】
50 gのメチルカーボネート-終端ポリマーを、1.42 gのヘキサメチレンジアミン及び0.1 gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)と、任意に溶媒中又は水中で、安定化剤及びエマルジョン化剤などの助剤の存在において、90°Cで24 時間混合する。ポリエーテル-ポリウレタンのモル量は、助剤と反応条件によって影響されることが可能である。得られる懸濁液は続いて、例えば、ポリウレタン分散体に基づく接着剤に用いることが可能である。
【0104】
実施例4:イミダゾールカルバメート-終端ポリエーテルとアミノシラン
95.5 gのポリエーテルジオール(Covestro からのDesmophen 4028BD)を、7.76 gの1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(OH基に基づき1:1)と、60°Cにて12 時間、窒素下で攪拌する。得られる生成物はイミダゾールカルバメート-終端ポリエーテルである。
【0105】
50 gのイミダゾールカルバメート-終端ポリマーを、4.3 gの3-アミノプロピルトリメトキシシランと60°Cで24時間反応させる。得られる生成物はトリメトキシシラン-終端ポリエーテルである。トリメトキシシラン基はウレタン結合を介してポリエーテルと結合している。
【0106】
得られるトリメトキシシラン-終端ポリマーは錫なしで触媒されることが可能であり、0.2%の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンと1%の3-アミノプロピルトリメトキシシランを添加すると、大気圧下で架橋して、7日後にShore A硬度が41である弾性体を生成する。