(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-532391(P2019-532391A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】インスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/17 20180101AFI20191011BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20191011BHJP
【FI】
G16H20/17
A61M5/172 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2019-508874(P2019-508874)
(86)(22)【出願日】2017年8月14日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月10日
(86)【国際出願番号】EP2017070585
(87)【国際公開番号】WO2018033514
(87)【国際公開日】20180222
(31)【優先権主張番号】16184451.9
(32)【優先日】2016年8月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.アンドロイド
4.iPhone
5.Linux
6.UNIX
7.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アラドティエ, ティナ ビョルク
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマイヤー, ピート
(72)【発明者】
【氏名】ピーダスン, ヨーナス キルデゴー
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066QQ22
4C066QQ61
4C066QQ82
4C066QQ92
5L099AA25
(57)【要約】
初期の基礎/ボーラス比を定義する日々の量の基礎インスリン薬剤およびボーラスインスリン薬剤を備える、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における、基礎/ボーラス比を調節するためのシステムおよび方法が提供される。被験者のグルコース測定取得値を備える第1のデータセットが、時間的経過にわたるそれぞれのそのような測定取得値に関するそれぞれのタイムスタンプを伴って得られる。時間的経過において1つまたは複数の空腹時イベントが識別される。各空腹時イベントについて、空腹時イベント期間の範囲内のデータセットにおけるグルコース測定取得値を使用して、時間的グルコース勾配が計算される。被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定するために空腹時イベントのグルコース勾配が使用される。被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節が通信される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を備える、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのデバイス(250)であって、前記メモリに記憶された命令が前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
日々の合計のインスリン薬剤を含む、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画(206)を得ることであって、前記日々の合計のインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤(210)と、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画によって指定された、1つまたは複数のインスリンペンによって投与される日々の量のボーラスインスリン薬剤(214)との組合せによって満たされ、前記日々の量の基礎インスリン薬剤および前記日々の量のボーラスインスリン薬剤が、前記日々の量の基礎インスリン薬剤と前記日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する、得ることと、
時間的経過にわたる前記被験者の複数のグルコース測定取得値と、前記複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値(218)について、前記それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプ(220)とを含む、第1のデータセット(216)を得ることと、
前記時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントを識別することと、
前記それぞれの空腹時イベントの期間(228)にある前記第1のデータセットから得られた前記被験者の前記グルコース測定取得値を使用して、前記1つまたは複数の空腹時イベント(224)におけるそれぞれの空腹時イベントについて、それぞれの時間的なグルコース勾配(226)を計算することと、
前記1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの前記勾配を使用して、前記被験者に対して前記日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することと、
前記被験者に対して前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、前記基礎/ボーラス比の前記推奨される調節を、
(i)前記有効なインスリン投薬計画における前記基礎/ボーラス比の手動調節のために、被験者に通信すること、
(ii)投与量調節の命令として、前記被験者に対して前記有効なインスリン投薬計画を送達することを命じられる前記1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペンに通信すること、または
(iii)前記被験者に関連した医療関係者に通信することと、
の方法を遂行する、デバイス。
【請求項2】
前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画が、食後のグルコース目標と、前記食後のグルコース目標を上回る食後のグルコースレベルを担うための補正ボーラスとをさらに含み、前記補正ボーラスが前記1つまたは複数のインスリンペンによって投与されるように指定されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画が、より低い範囲のグルコース目標と、前記より低い範囲のグルコース目標を下回るグルコースレベルを担うための炭水化物補正とをさらに含み、
前記炭水化物補正が経口で投与され得るものである、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記1つまたは複数の空腹時イベントが複数の空腹時イベントであり、
前記1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの前記勾配を使用して、前記被験者に対して前記日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することが、
前記複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの前記勾配の中心傾向の第1の測度を取得すること、
中心傾向の前記第1の測度がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画は基礎インスリン薬剤不足であると見なすこと、
中心傾向の前記第1の測度がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤不足であると見なすこと、および、
どちらでもなければ、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画の基礎/ボーラス比は十分であると見なすことを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記1つまたは複数の空腹時イベントが単一の空腹時イベントであり、
前記1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの前記勾配を使用して、前記被験者に対して前記日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することが、
前記単一の空腹時イベントの前記勾配がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画は基礎インスリン薬剤不足であると見なすこと、
前記単一の空腹時イベントの前記勾配がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤不足であると見なすこと、および、
どちらでもなければ、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画の基礎/ボーラス比は十分であると見なすことを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数のグルコース測定取得値における各グルコース測定取得値が自律的に測定され、
前記1つまたは複数の空腹時イベントが、前記第1のデータセットにおける前記被験者の前記複数のグルコース測定取得値および前記それぞれのタイムスタンプを使用して判定される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数の空腹時イベントを識別することが、
前記複数のグルコース測定取得値にわたる分散の移動期間
を、次式を使用して計算することにより、前記時間的経過に包含された第1の期間における第1の空腹時期間を識別することであって、
ここにおいて、
G
iは前記複数のグルコース測定取得値の部分kにおけるi番目のグルコース測定取得値であり、
Mは前記複数のグルコース測定取得値におけるグルコース測定取得値の数であり連続した所定時間の範囲を表し、
は前記複数のグルコース測定取得値から選択された前記グルコース測定取得値の平均値であり、
kは前記第1の期間の範囲内にある、識別することと、
前記第1の空腹時期間を、前記第1の期間の範囲内の最小の分散の期間
に関連づけることとを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記1つまたは複数の空腹時イベントを識別することが、前記被験者から前記1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの指示を受け取ることを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記1つまたは複数の空腹時イベントを識別することが、前記被験者が着用するウェアラブルデバイスから第2のデータセット(220)を受け取ることを含み、
前記第2のデータセットが、前記1つまたは複数の空腹時イベントを指示する前記時間的経過中の前記ユーザの生理的メトリック(232)を指示する、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記有効なインスリン投薬計画が、前記日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を含むイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定し、
前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、
前記基礎/ボーラス比の前記推奨される調節は、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画における前記日々の量のボーラスインスリン薬剤の増加を推奨することであり、前記方法が、
前記時間的経過にわたる前記2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定値を判定すること、
前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した前記最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度を計算し、それによって中心傾向の複数の第2の測度を計算すること、および
中心傾向の前記第2の測度が、中心傾向の前記複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも大きい閾値量よりも大きいときには、前記増加させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の前記最大の第2の測度に関連した前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける前記日々のボーラス注射イベントタイプを選択し、そうでなければ、前記ボーラスインスリン薬剤量における前記増加を、前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配すること
により、前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を増加させるために変更するべきか判定することをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記有効なインスリン投薬計画が、前記日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を含むイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定し、
前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、
前記基礎/ボーラス比の前記推奨される調節は、前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画における前記日々の量のボーラスインスリン薬剤の減少を推奨することであり、前記方法が、
前記時間的経過にわたる前記2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定値を判定すること、
前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、前記それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した前記最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度を計算し、それによって中心傾向の複数の第2の測度を計算すること、および
中心傾向の前記第2の測度が、中心傾向の前記複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも小さい閾値量よりも大きいときには、前記減少させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の前記最小の第2の測度に関連した前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける前記日々のボーラス注射イベントタイプを選択し、そうでなければ、前記ボーラスインスリン薬剤量における前記減少を、前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配することにより、
前記2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を減少させるために変更するべきか判定することをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記方法が、
前記有効なインスリン投薬計画を適用するために、前記被験者が使用する1つまたは複数のインスリンペン(104)から第3のデータセット(302)を得ることであって、前記第3のデータセットが複数のインスリン薬剤記録を含み、前記複数の薬剤記録における各インスリン薬剤記録(304)が、(i)前記1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して前記被験者に注射されたインスリン薬剤の量(308)を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント(306)と、(ii)前記それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時に前記それぞれのインスリンペンによって自動的に発生された対応するインスリンイベントの電子的タイムスタンプ(310)と、(iii)(a)前記基礎インスリン薬剤および(b)前記ボーラスインスリン薬剤のうちの1つから前記被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ(312)とを含む、得ることと、
前記第3のデータセットを使用して、前記1つまたは複数の空腹時イベントから、ボーラス注射イベント後の第1の所定時間間隔または基礎注射イベント後の第2の所定時間間隔の範囲内に生じたものではない空腹時イベントを除外することと、
をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数の空腹時イベントが、前の1週間、前の2週間、または前の1か月の範囲内にあり、前記方法が、時間が経つと循環的に繰り返される、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記被験者に対して前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、前記調節が、前記初期の基礎/ボーラス比の1〜5パーセント、前記初期の基礎/ボーラス比の5〜10パーセント、または前記初期の基礎/ボーラス比の10〜15パーセントである、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
ワイヤレス受信器をさらに備えるデバイスであって、前記第1のデータセットが、前記被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記基礎インスリン薬剤が、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤、または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成り、
前記ボーラスインスリン薬剤が、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤、または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節する方法であって、
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータシステムにおいて、
前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画(206)を得ることであって、
前記被験者向けの前記有効なインスリン投薬計画が日々の合計のインスリン薬剤を含み、
前記日々の合計のインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤(210)と、前記被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された、1つまたは複数のインスリンペンによって投与される日々の量のボーラスインスリン薬剤(214)との組合せによって満たされ、
前記日々の量の基礎インスリン薬剤および前記日々の量のボーラスインスリン薬剤が、前記日々の量の基礎インスリン薬剤と前記日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する、得ることと、
時間的経過にわたる前記被験者の複数のグルコース測定取得値と、前記複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値(218)について、前記それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプ(220)とを含む、第1のデータセット(216)を得ることと、
前記時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントを識別することと、
前記それぞれの空腹時イベントの期間(228)にある前記第1のデータセットから得られた前記被験者の前記グルコース測定取得値を使用して、前記1つまたは複数の空腹時イベント(224)におけるそれぞれの空腹時イベントについて、それぞれの時間的なグルコース勾配(226)を計算することと、
前記1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの前記勾配を使用して、前記被験者に対して前記日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することと、
前記被験者に対して前記基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、前記基礎/ボーラス比の前記推奨される調節を、
(i)前記有効なインスリン投薬計画における前記基礎/ボーラス比の手動調節のために、前記被験者に通信すること、
(ii)投与量調節の命令として、前記被験者に対して前記有効なインスリン投薬計画を送達することを命じられる前記1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペンに通信すること、または
(iii)前記被験者に関連した医療関係者に通信することと、
を含む方法。
【請求項18】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき請求項17に記載の方法を遂行する命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを記憶している、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、有効なインスリン投薬計画の効能を最適化するために初期の基礎/ボーラス比を定義する日々の量の基礎インスリン薬剤およびボーラスインスリン薬剤を備える、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2型真性糖尿病は、通常の生理的インスリン分泌の漸進的破壊によって特徴づけられる。健康な人では、膵臓のβ細胞によって基礎インスリンが連続的に分泌され、食事間の長期間にわたって安定したグルコースレベルを維持する。また、健康な人では、食事に応答する初期の第1段階のスパイクにおいてインスリンが急速に放出される食事の分泌があり、長期のインスリン分泌がそれに続き、2〜3時間後に基礎レベルへ戻る。
【0003】
インスリンは、インスリン受容体に結合して、グルコース、アミノ酸、および脂肪酸の骨格筋および脂肪組織への細胞の摂取を促進するとともに、肝臓からグルコースが出ることを阻止することにより、血中グルコースを低下させるホルモンである。通常の健康な人では、生理的な基礎インスリン分泌および食事のインスリン分泌が正常血糖を維持し、これが空腹時の血漿グルコース濃度および食後の血漿グルコース濃度に作用する。2型糖尿病では基礎インスリン分泌および食事のインスリン分泌が低下し、初期の食後の応答がない。これらの有害事象に対処するために、2型糖尿病を伴う被験者はインスリン薬剤治療計画を提供される。1型糖尿病を伴う被験者も、インスリン薬剤治療計画を提供される。これらのインスリン薬剤治療計画の目的は、低血糖および高血糖の推定されたリスクを最小化する所望の空腹時血中グルコースの目標レベルを維持することである。
【0004】
従来のインスリン薬剤送達システムは、インスリン薬剤の、定期的に繰り返す頻繁な投薬をもたらすポンプ機構の使用を含むものであった。最近になって、インスリンペンなどの新たなタイプの送達システムが開発されており、それほど頻繁でないインスリン薬剤注射の形態の自己投与のインスリン薬剤治療計画に使用され得る。そのような送達システムを使用する、糖尿病療法のための一般的な手法には、食事イベントに応答して、または食事イベントを予期して、被験者向けの有効なインスリン投薬計画に従い、インスリンペンを使用して、短期作用のインスリン薬剤(ボーラス)の1回分の用量を注射するものがある。そのような手法では、被験者は、そのような食事に由来するグルコースレベルを低下させるために、毎日、1回または複数回の食事の直前または直後に、短期作用のインスリン薬剤投与量を注射する。さらに、被験者は、食事イベントから独立した血糖コントロールを維持するために、有効なインスリン投薬計画に従って、長期作用のインスリン薬剤(基礎)投与量を食事イベントとは無関係に注射する。
【0005】
したがって、従来の2型糖尿病のインスリン療法において、上記で説明されたように基礎インスリン薬剤投与量とボーラスインスリン薬剤投与量の両方が取得される場合、有効なインスリン薬剤投薬計画における基礎インスリン薬剤とボーラスインスリン薬剤の間の比は、血糖コントロールを最適化するために重要である。最適な状況は、ボーラス注射については、食事からのグルコースのみを担い、基礎注射については、ベースライン血中グルコースを低下させて、空腹時血中グルコースを、最適な血中グルコース目標レベルに安定して維持することである。たとえば基礎インスリン薬剤の取得が少なすぎてこのバランスが崩壊すると、多量のボーラス注射で高いベースライン血中グルコースを補償する必要があって血中グルコースレベルにおける不必要な変動の原因となり、一般的には空腹期間中に血中グルコースが上昇することになる。
【0006】
実際には、健康管理の専門家は、一般的には基礎インスリン薬剤とボーラスインスリン薬剤の両方を総計して、患者が取得するべきインスリン薬剤の合計の日々の量を判定する。そこで、2つのタイプのインスリン薬剤の間の比は、50/50から始めて(たとえば30単位の速く作用するインスリン薬剤と30単位の遅く作用するインスリン薬剤の合計60単位を与えて)、所望の血中グルコースプロファイルになるまで診療室への訪問を繰り返して調節される「試行錯誤」によって決定される。しかしながら、診療室の訪問がかなり希であり、したがって、そのような手法で基礎/ボーラス比を最適化するのに長時間を要する可能性があるので、比をバランスさせるためのそのような手法は不十分である。
【0007】
United States Veteran Affairs Departmentの「Automated System and Method for Diabetes Control」という名称の米国特許出願公開第20090281519号は、糖尿病コントロールの自動化された方法およびシステムを開示している。しかしながら、米国特許出願公開第20090281519号の公報で開示された方法は、一般的には集中治療室(ICU)のセッティングにおいて使用されるものであり、そのようなセッティングの外部では利用するのが容易でない入力データを必要とする。その上に、米国特許出願公開第20090281519号の教示を使用して投与されるインスリン薬剤のうちの少なくとも1つは、ドリップラインで静脈内に投与される。そのため、この公報では、インスリンペンを使用してインスリン薬剤を投与するための最適な基礎/ボーラスのインスリン薬剤比を判定して被験者に通知する上で満足すべき教示が提供されない。
【0008】
Insulet Corporationの「Diabetes Management Systems and Methods」という名称の国際特許公開WO2007/051139は、被験者からの実質的に連続したグルコース測定取得値を使用する、糖尿病を管理するためのシステムおよび方法を開示している。しかしながら、WO2007/051139の公報は、ポンプを使用するインスリン薬剤の投与に頼り、さらに、最適の基礎/ボーラス比を見いだそうとするものではない。したがって、米国特許出願公開第20090281519号の公報と同様に、WO2007/051139の公報では、インスリンペンを使用してインスリン薬剤を投与するための最適な基礎/ボーラスのインスリン薬剤比を判定して被験者に通知する上で満足すべき教示が提供されない。
【0009】
Diabetes Care Centerの「Continuous Glucose Monitoring−Directed Adjustments in Basal Insulin Rate and Insulin Bolus Dosing Formulas」という名称の米国特許出願公開第20090036753号は、グルコースレベルを連続的に監視して、それに応じてインスリン用量を調節する、インスリン依存の被験者の糖尿病医療の管理のための治療方法を開示している。本発明の実施形態は、日々の連続したグルコース監視(CGM)データの記録および解析的評価と、低血糖を引き起こすことなくグルコースを正常に近いレベルへコントロールするように患者のインスリンポンプに送達される連続したグルコース主導のインスリン調節(CGIA)の発生とを提供するものである。時間の関数としてのグルコースレベルを示す
図8を参照すると、患者のグルコースの基礎レベルが高すぎるように見える。開示された解析は、「グルコースパターンがありますか?」という質問から始まる。データの調査は、パターンが2日間繰り返されることに注目することになる。
図8に表された高いグルコースは、不適切な食事インスリンボーラスまたは不適切なインスリン基礎比によるものと考えられる。この食事を省略すると、不適切なインスリン基礎比を切り離して評価することができるはずである。この間に何らかの他のイベントが起こっているか、患者の日記の注記を検査するべきである。
図8のパターンは、2300〜0500時間の期間中に、グルコースが200mg/dLのピークレベルまで上昇したことを示す。次いで、基礎比を変更するために、処方箋に従って基礎インスリン注入比が修正され得、それによって日々の合計のインスリンも変更する。
【0010】
したがって、米国特許出願公開第20090281519号の公報およびWO2007/051139の公報と同様に、米国特許出願公開第20090036753号では、インスリンペンを使用してインスリン薬剤を投与するための最適な基礎/ボーラスのインスリン薬剤比を判定して被験者に通知する上で満足すべき教示が提供されない。上記の背後事情を所与として、当技術で必要とされるのは、血糖リスクを最小化するために、インスリンペンを用いてインスリン薬剤を投与するための最適な基礎/ボーラスインスリン薬剤比を判定して被験者に通知するためのシステムおよび方法である。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するための被験者向けのシステムおよび方法に関する当技術における必要性に対処するものである。本開示では、被験者が有する初期の有効なインスリン投薬計画は、初期の基礎/ボーラス比を定義する日々の量の基礎インスリン薬剤およびボーラスインスリン薬剤を備える。被験者のグルコース測定取得値を備える第1のデータセットは、時間的経過にわたるそれぞれのそのような測定取得値に関するそれぞれのタイムスタンプを伴って得られる。時間的経過において1つまたは複数の空腹時イベントが識別される。各空腹時イベントについて、空腹時イベント期間の範囲内の第1のデータセットにおけるグルコース測定取得値を使用して、時間的グルコース勾配が計算される。被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比を調節することを推奨するべきかどうかを判定するために空腹時イベントのグルコース勾配が使用される。被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節が通信される。
【0012】
そのため、本開示の一態様は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するためのデバイスを提供するものである。このデバイスは、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備える。メモリに記憶された命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画を得る方法を遂行する。被験者向けの有効なインスリン投薬計画は、日々の合計のインスリン薬剤を備える。日々の合計のインスリン薬剤は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の組合せによって満たされる。日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤は、日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する。第1のデータセットが得られる。第1のデータセットは、時間的経過にわたる被験者の複数のグルコース測定取得値と、複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値について、それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプとを備える。時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントが識別される。それぞれの空腹時イベントの期間にある第1のデータセットから得られた被験者のグルコース測定取得値を使用して、1つまたは複数の空腹時イベントにおけるそれぞれの空腹時イベントについて、それぞれの時間的なグルコース勾配が計算される。1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配は、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定するために使用される。被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節が、(i)有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比の手動調節の被験者、(ii)投与量調節命令として、被験者に有効なインスリン投薬計画を送達するように命じられた1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペン、または(iii)被験者に関連した医療関係者に通信される。
【0013】
時間的なグルコース勾配は、数値微分法の任意の方法によって計算され得る。たとえば、タイムスタンプおよび対応するグルコース測定値を備えるグルコース測定取得値のデータセットに対して、ラインが数的に当てはめられ得る。時間的なグルコース勾配は、対応する時間値間の差に対するライン上のグルコース値間の差を評価することにより、当てはめたラインの傾斜として評価され得る。推奨される調節は、時間的なグルコース勾配を最小化するような傾向の、比の増減であり得る。勾配を最小にするプロセスは反復するものでよい。
【0014】
さらなる態様では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画は、食後のグルコース目標と、食後のグルコース目標を上回る食後のグルコースレベルを担うための補正ボーラスインスリン薬剤の量とをさらに備え、補正ボーラスは1つまたは複数のインスリンペンによって投与されるように指定されている。
【0015】
このようにして、日々の合計のインスリン薬剤の一部分である日々の量のボーラス薬剤が担うよりも多くの食品を被験者が摂取する場合には、血中グルコースレベルにおける食品に関係のある上昇を、補正ボーラスインスリン薬剤が担う。言い換えれば、補正ボーラスに由来する薬剤の量は、日々の量のボーラス薬剤には含まれず、したがって日々の合計のインスリン薬剤の計算には含まれない。補正ボーラスは、いわゆる置換療法すなわち基礎ボーラスインスリンおよび食前食後の高い血中グルコースレベルを担うボーラス補正のための、インスリン投薬計画の一般的な構成要素である。
【0016】
さらなる態様では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画は、より低い範囲のグルコース目標と、より低い範囲のグルコース目標を下回るグルコースレベルを担うための炭水化物補正とをさらに備え、炭水化物補正は経口投与が可能であり、被験者が低血糖のイベントを防止し得ることを保証する。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントは複数の空腹時イベントであり、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定するステップは、複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配の中心傾向の第1の測度を取得することを備える。そのような実施形態では、中心傾向の第1の測度がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画は基礎インスリン薬剤の不足と見なされる。中心傾向の第1の測度がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤の不足と見なされる。どちらでもなければ、被験者の基礎/ボーラス比に対する有効なインスリン投薬計画は十分であると見なされる。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントは単一の空腹時イベントであり、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定するステップは、単一の空腹時イベントの勾配がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画は基礎インスリン薬剤の不足であると見なすこと、単一の空腹時イベントの勾配がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤の不足であると見なすこと、および、どちらでもなければ、被験者向けの有効なインスリン投薬計画の基礎/ボーラス比は十分であると見なすことを備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定取得値における各グルコース測定取得値は自律的に測定され、1つまたは複数の空腹時イベントは、第1のデータセットにおける被験者の複数のグルコース測定取得値およびそれぞれのタイムスタンプを使用して判定される。いくつかのそのような実施形態では、複数の空腹時イベントを識別することは、複数のグルコース測定取得値にわたる分散の移動期間
を、次式を使用して計算することにより、時間的経過に包含された第1の期間における第1の空腹時期間を識別することを備え、
ここにおいて、G
iは複数のグルコース測定取得値の部分kにおけるi番目のグルコース測定取得値であり、Mは複数のグルコース測定取得値におけるグルコース測定取得値の数であり連続した所定時間の範囲を表し、
は複数のグルコース測定取得値から選択されたグルコース測定取得値の平均値であり、kは第1の期間の範囲内にある。次いで、第1の空腹時期間は、第1の期間の範囲内の最小の分散の期間
に関連づけられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントを識別することは、被験者から1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの指示を受け取ることを備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントを識別することは、被験者が着用しているウェアラブルデバイスから第2のデータセットを受け取ることを備える。そのような実施形態では、第2のデータセットは、1つまたは複数の空腹時イベントを指示する時間的経過中のユーザの生理的メトリックを指示する。
【0022】
いくつかの実施形態では、有効なインスリン投薬計画は、日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を備えるイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定する。いくつかのそのような実施形態では、基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定される。基礎/ボーラス比に対するこの推奨される調節は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における日々の量のボーラスインスリン薬剤の増加を推奨することであり、この方法は、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を増加させるために変更するべきか判定することをさらに備える。これは、時間的経過にわたる2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定値を判定することによって行われる。2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度が計算され、それによって中心傾向の複数の第2の測度が計算される。次いで、中心傾向の第2の測度が、中心傾向の複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも大きい閾値量よりも大きいときには、増加させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最大の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプが選択される。そうでなければ、ボーラスインスリン薬剤量におけるこの増加は、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配される。
【0023】
いくつかの実施形態では、有効なインスリン投薬計画により、日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を備えるイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定され、基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定される。基礎/ボーラス比の推奨される調節は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における日々の量のボーラスインスリン薬剤の減少を推奨することである。そのような実施形態では、この方法は、時間的経過にわたる2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定値を判定することにより、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を減少させるために変更するべきか判定することをさらに備える。2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度が計算され、それによって中心傾向の複数の第2の測度が計算される。中心傾向の第2の測度が、中心傾向の複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも小さい閾値量よりも大きいときには、減少させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最小の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプが選択される。そうでなければ、ボーラスインスリン薬剤量におけるこの減少は、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配される。
【0024】
いくつかの実施形態では、有効なインスリン投薬計画を適用するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第3のデータセットが得られる。第3のデータセットは、複数のインスリン薬剤記録を備える。複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、(ii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された対応する電子的タイムスタンプと、(iii)(a)長期作用のインスリン薬剤および(b)短期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプとを備える。第3のデータセットは、1つまたは複数の空腹時イベントから、ボーラス注射イベント後の第1の所定時間間隔または基礎注射イベント後の第2の所定時間間隔の範囲内に生じたものではない空腹時イベントを除外するのに使用される。
【0025】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントは、前の1週間、前の2週間、または前の1か月の範囲内にあり、この方法は時間が経つと循環的に繰り返される。
【0026】
いくつかの実施形態では、被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、調節は、初期の基礎/ボーラス比の1〜5パーセント、初期の基礎/ボーラス比の5〜10パーセント、または初期の基礎/ボーラス比の10〜15パーセントである。
【0027】
いくつかの実施形態では、デバイスはワイヤレス受信器をさらに備え、第1のデータセットは被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる。
【0028】
いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤は、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成り、ボーラスインスリン薬剤は、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る。
【0029】
本開示の別の態様は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するための方法を提供するものである。この方法は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータシステムにおいて生じる。この方法では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画が得られる。有効なインスリン投薬計画は、日々の合計のインスリン薬剤を備える。日々の合計のインスリン薬剤は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の組合せによって満たされる。日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤は、日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する。この方法では第1のデータセットが得られる。第1のデータセットは、時間的経過にわたる被験者の複数のグルコース測定取得値と、複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値について、それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプとを備える。時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントが識別される。それぞれの空腹時イベントの期間にある第1のデータセットから得られた被験者のグルコース測定取得値を使用して、1つまたは複数の空腹時イベントにおけるそれぞれの空腹時イベントについて、それぞれの時間的なグルコース勾配が計算される。1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配は、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定するために使用される。被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節が、(i)有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比の手動調節の被験者、(ii)投与量調節命令として、被験者に有効なインスリン投薬計画を送達するように命じられた1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペン、または(iii)被験者に関連した医療関係者に通信される。
【0030】
さらなる態様において提供されるコンピュータプログラムが備える命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
日々の合計のインスリン薬剤を備える、被験者向けの有効なインスリン投薬計画(206)を得ることであって、日々の合計のインスリン薬剤は、日々の量の基礎インスリン薬剤(210)と、被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された、1つまたは複数のインスリンペンによって投与される日々の量のボーラスインスリン薬剤(214)との組合せによって満たされ、日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する、得ることと、
時間的経過にわたる被験者の複数のグルコース測定取得値と、複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値(218)について、それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプ(220)とを備える第1のデータセット(216)を得ることと、
時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントを識別することと、
それぞれの空腹時イベントの期間(228)にある第1のデータセットから得られた被験者のグルコース測定取得値を使用して、1つまたは複数の空腹時イベント(224)におけるそれぞれの空腹時イベントについて、それぞれの時間的なグルコース勾配(226)を計算することと、
1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することと、
被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節を、
(i)有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比の手動調節の被験者、
(ii)投与量調節の命令として、被験者に対して有効なインスリン投薬計画を送達することを命じられる1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペン、または
(iii)被験者に関連した医療関係者に通信することと、の方法を遂行する。
【0031】
さらなる態様では、上記で定義されたコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読データ記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】通信ネットワークを通じて任意選択で相互接続される、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための投薬計画調節デバイスと、患者データを収集するためのデータ収集デバイスと、被験者からのグルコースデータを測定する1つまたは複数のグルコースセンサと、処方されたインスリン投薬計画に従ってインスリン薬剤を注射するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンとを含む、本開示の一実施形態による例示的なシステムトポロジの図解である。
【
図2】被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための、本開示の一実施形態によるデバイスの図解である。
【
図3】被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比をするための、本開示の別の実施形態によるデバイスの図解である。
【
図4A】本開示の様々な実施形態による、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4B】本開示の様々な実施形態による、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4C】本開示の様々な実施形態による、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4D】本開示の様々な実施形態による、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4E】本開示の様々な実施形態による、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図5】本開示の一実施形態による、接続されたインスリンペンと、連続型のグルコース監視装置と、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのメモリおよびプロセッサとの、例示の統合システムの図解である。
【
図6】被験者の日々のグルコースパターンを図解しており、食事には星印が付けられ、本開示の一実施形態に従って、食事間で測定された最低の食後のグルコース値に基づいてボーラス/基礎比の変更が判定される。
【
図7】本開示の一実施形態による、空腹時イベント中の時間的なグルコース勾配を図解するものである。パネルAでは、時間的なグルコース勾配がプラスであり、定義された許容範囲よりも大きく、したがって基礎が増加されてボーラスは減少される。パネルBでは、時間的なグルコース勾配はマイナスであるが、定義された許容範囲よりも小さく、したがって、基礎とボーラスの比は、時間的なグルコース勾配によって変更するべきであると指示されるまで一定に保たれる。
【
図8】基礎投与量とボーラス投与量の間の比を判定することが図解されており、上のパネルは9日間にわたる血中グルコース濃度を示し、中間のパネルはこの時間的経過中のボーラス注射を示し、下のパネルはこの時間的経過中の基礎注射を示す。比のアルゴリズムは、合計で60のIUを想定することから始めて、基礎/ボーラスを50%/50%に分割する。朝食/昼食/夕食のボーラスは、30%/20%/50%に分割されたボーラスインスリンである。基礎/ボーラスの比は、空腹時期間にわたって計算された勾配に従って変更され、空腹時期間は、この場合、本開示の例示的実施形態によって夕食の4時間後から朝食までと定義されている。
【
図9】本開示の一実施形態による被験者向けの有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するための例示的なアルゴリズムを図解するものである。類似の参照数字は、図面のいくつかの図にわたって対応する部品を指す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するためのシステムおよび方法を提供するものである。
図1は被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための統合システム502の一例を図解すものであり、
図5はそのようなシステム502をより詳細に与えるものである。統合システム502は、1つまたは複数の接続されたインスリンペン104と、1つまたは複数のグルコース監視装置102と、メモリ506と、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのプロセッサ(図示せず)とを含む。いくつかの実施形態では、グルコース監視装置102は連続型のグルコース監視装置である。
【0034】
統合システムを用いて、被験者向けの有効なインスリン投薬計画に関して基礎/ボーラス比が調節され、有効なインスリン投薬計画は、初期の基礎/ボーラス比を定義する日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤を備える。被験者のグルコース測定取得値を備えるデータセットが、時間的経過にわたるそれぞれのそのような測定取得値に関するそれぞれのタイムスタンプを伴って得られる。時間的経過において1つまたは複数の空腹時イベントが識別される。各空腹時イベントについて、空腹時イベント期間の範囲内の第1のデータセットにおけるグルコース測定取得値を使用して、時間的グルコース勾配が計算される。被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比を調節することを推奨するべきかどうかを判定するために空腹時イベントのグルコース勾配が使用される。被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節が通信される。
【0035】
ここで実施形態が詳細に参照され、実施形態の例は添付の図面に図解されている。以下の詳細な説明では、本開示の十分な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が明らかにされる。しかしながら、本開示は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の場合には、周知の方法、プロシージャ、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0036】
本明細書では、様々な要素を説明するために、第1の、第2の、などの用語が使用され得るが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別のものから区別するためにのみ使用されるものである。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の被験者が第2の被験者と称されることがあり、同様に第2の被験者が第1の被験者と称されることがある。第1の被験者と第2の被験者はどちらも被験者であるが、同一の被験者ではない。その上、「被験者」、「ユーザ」、および「患者」という用語は、本明細書では区別なく使用される。インスリンペンという用語は、インスリンの用量に関連したデータをログ記録したり通知したりするように適合されて、インスリンの離散的な用量を与えるのに適切な注射デバイスを意味する。
【0037】
本開示で使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するようには意図されていない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」といった単数形は、文脈が明らかに示さなければ、同様に複数形を含むように意図されている。本明細書で使用されるような「および/または」という用語は、関連する列記された品目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せを指し、かつ包含することも理解されよう。「備える」および/または「備えている」といった用語は、本明細書で使用されたとき、明示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0038】
本明細書で使用されるように、「〜であれば」という用語は、文脈に依拠して、「〜のとき」または「〜に際して」または「〜と判定するのに応答して」または「〜を検知するのに応答して」、ということを意味するように解釈されてよい。同様に、「〜と判定された場合」または「[明示された条件またはイベント]が検知された場合」という慣用句は、文脈に依拠して、「〜と判定したとき」または「〜と判定するのに応答して」または「[明示された条件またはイベント]を検知したとき」または「[明示された条件またはイベント]を検知するのに応答して」ということを意味するように解釈されてよい。
【0039】
本開示による、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのシステム48の詳細な説明が、
図1〜
図3とともに記述される。そのため、
図1〜
図3は、本開示によるシステムのトポロジを総体として図解するものである。このトポロジには、被験者向けの有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するための投薬計画調節デバイス(「投薬計画調節デバイス250」)(
図1、
図2および
図3)と、データ収集のためのデバイス(「データ収集デバイス200」)と、被験者に関連した1つまたは複数のグルコースセンサ102(
図1および
図5)と、被験者にインスリン薬剤を注射するための1つまたは複数のインスリンペン104(
図1および
図5)とがある。本開示の全体にわたって、データ収集デバイス200および投薬計画調節デバイス250は、単に明瞭さのために個別のデバイスとして参照される。すなわち、データ収集デバイス200の開示された機能および投薬計画調節デバイス250の開示された機能は、
図1に図解されているような個別のデバイスに含有されている。しかしながら、実際には、いくつかの実施形態において、データ収集デバイス200の開示された機能および投薬計画調節デバイス250の開示された機能が単一デバイスに含有されることが認識されよう。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200の開示された機能および/または投薬計画調節デバイス250の開示された機能は、グルコース監視装置102またはインスリンペン104である単一デバイスに含有されている。
【0040】
図1を参照して、投薬計画調節デバイス250は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するものである。これを行うために、投薬計画調節デバイス250と電気通信するデータ収集デバイス200は、被験者に対して継続的に取り付けられた1つまたは複数のグルコースセンサ102に由来するグルコース測定取得値を受け取る。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はまた、インスリン薬剤を注射するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペン104からインスリン薬剤注射データを受け取る。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、グルコースセンサ102と被験者によって使用されるインスリンペン104とから、そのようなデータを直接受け取る。たとえば、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、このデータを無線周波数信号によってワイヤレスで受け取る。いくつかの実施形態では、そのような信号は802.11(Wi−Fi)、BluetoothまたはZigBeeの規格に従うものである。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はそのようなデータを直接受け取り、データを解析し、解析されたデータを投薬計画調節デバイス250へ渡す。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ102および/またはインスリンペン104は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用してデータ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250と通信する。いくつかの実施形態では、
図2を参照して、データ収集デバイス200は、(たとえば着用可能生理的測定デバイス、データ収集デバイス200の内部の磁力計またはサーモスタットなどの測定デバイスなどから)被験者の生理的測定取得値234を得るかまたは受け取る。
【0041】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250が、被験者に近接しておらず、かつ/またはワイヤレス能力を有しておらず、あるいは、そのようなワイヤレス能力が、グルコースデータ、インスリン薬剤注射データ、および/または生理的測定データを獲得する目的には使用されない。そのような実施形態では、通信ネットワーク106は、グルコースセンサ102からのグルコース測定取得値をデータ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250へ通信するため、1つまたは複数のインスリンペン104からのインスリン薬剤注射データをデータ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250へ通信するため、ならびに/あるいは1つまたは複数の生理的測定デバイス(図示せず)からの生理的測定データをデータ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250へ通信するために使用され得る。
【0042】
ネットワーク106の例は、限定されるものではないが、ワールドワイドウェブ(WWW)、イントラネットおよび/または携帯電話ネットワークなどのワイヤレスネットワーク、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)および/または都市内ネットワーク(MAN)、ならびにワイヤレス通信による他のデバイスを含む。ワイヤレス通信によって任意選択で使用される複数の通信規格、プロトコル、および技術のうちの任意のものには、限定されるものではないが、グローバル移動体通信システム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケット接続(HSDPA)、高速アップリンクパケット接続(HSUPA)、Evolution、Data−Only(EV−DO)、HSPA、HSPA+、Dual−Cell HSPA(DC−HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域の符号分割多元接続(W−CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、Wireless Fidelity(Wi−Fi)(たとえばIEEE 802.11a、IEEE 802.11ac、IEEE 802.11ax、IEEE 802.11b、IEEE 802.11gおよび/またはIEEE 802.11n)、ボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)、Wi−MAX、eメールのためのプロトコル(たとえばインターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(たとえばExtensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)、Session Initiation Protocol for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、Instant Messaging and Presence Service(IMPS))、および/またはShort Message Service(SMS)、あるいは本開示の出願日の時点でまだ開発されない通信プロトコルを含む何らかの他の適切な通信プロトコルが含まれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、被験者に単一グルコースセンサ102が取り付けられており、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250はグルコースセンサ102の一部分である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250とグルコースセンサ102とは、単一デバイスである。
【0044】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250はインスリンペンの一部分である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250とインスリンペン104とは、単一デバイスである。
【0045】
もちろん、システム48の他のトポロジが可能である。たとえば、1つまたは複数のグルコースセンサ102および1つまたは複数のインスリンペン104は、通信ネットワーク106に頼るよりも、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250に情報をワイヤレスで直接伝送してよい。さらに、データ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250は、携帯電子デバイス、サーバコンピュータを構成してよく、あるいはネットワークにおいて互いに連結されたいくつかのコンピュータを実際に構成してよく、クラウドコンピューティングの状況における仮想マシンでもよい。そのため、
図1に示された例示的なトポロジは、単に、当業者に容易に理解されるやり方で本開示の一実施形態の特徴を説明するように働くにすぎない。
【0046】
図2を参照して、一般的な実施形態では、投薬計画調節デバイス250は1つまたは複数のコンピュータを備える。図解のために、
図2では、投薬計画調節デバイス250は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための機能をすべて含む単一コンピュータとして表されている。しかしながら、本開示はそのように限定されることはない。いくつかの実施形態では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための機能は、任意数のネットワーク化されたコンピュータに及び、かつ/またはいくつかのネットワーク化されたコンピュータの各々に存在し、かつ/または通信ネットワーク106にわたってアクセス可能な遠隔地における1つまたは複数の仮想マシン上でホスティングされる。当業者なら、多様な異なるコンピュータトポロジのうちの任意のものが用途向けに使用され、すべてのそのようなトポロジは本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0047】
前述のことを念頭に
図2へ転じて、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための例示的な投薬計画調節デバイス250は、(CPUの)1つまたは複数の処理ユニット274と、ネットワークまたは他の通信用インターフェース284と、メモリ192(たとえばランダムアクセスメモリ)と、1つまたは複数のコントローラ288によって任意選択でアクセスされる1つまたは複数の磁気ディスク記憶装置および/または持続性のデバイス290と、前述の構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス213と、ディスプレイ282および入力280(たとえばキーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むユーザインターフェース278と、前述の構成要素に電力を供給するための電源276とを備える。いくつかの実施形態では、メモリ192のデータは、キャッシングなど既知の計算技術を使用して不揮発性メモリ290とシームレスに共有される。いくつかの実施形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、中央処理装置274に対して遠隔に配置された大容量記憶装置を含む。言い換えれば、メモリ192および/またはメモリ290に記憶されたいくつかのデータはコンピュータ上で実際にホスティングされてよく、コンピュータは、投薬計画調節デバイス250の外部にあるが、投薬計画調節デバイス250により、ネットワークインターフェース284を使用して、インターネット、イントラネット、または他の形態のネットワークもしくは電子ケーブル(
図2において要素106として図解されている)を通じて電子的にアクセスされ得るものである。
【0048】
いくつかの実施形態では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための投薬計画調節デバイス250のメモリ192は、
・様々な基本システムサービスを扱うためのプロシージャを含むオペレーティングシステム202と、
・基礎/ボーラス比調節モジュール204と、
・被験者向けの有効なインスリン投薬計画206であって、指定された日々の量の基礎(長期作用)インスリン薬剤210を伴う基礎インスリン薬剤投与計画208を備え、指定された日々の量のボーラスインスリン薬剤214を伴うボーラス(短期作用)インスリン薬剤投与計画212をさらに備える、有効なインスリン投薬計画と、
・時間的経過を表す第1のデータセット216であって、時間的経過にわたる被験者の複数のグルコース測定取得値、および複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値218について、それぞれのグルコース測定が行われた時刻を表すグルコース測定取得値のタイムスタンプ220を備える、第1のデータセットと、
・第1のデータセットに包含された時間的経過において生じる複数の空腹時イベントを備える空腹時イベントデータセット222であって、それぞれのそのような空腹時イベント224が、時間的なグルコース勾配226および時間的経過の範囲内の対応する空腹時イベント期間228によって特徴づけられる、空腹時イベントデータセットと、
・被験者の1つまたは複数の生理的メトリック、および1つまたは複数の生理的メトリックにおけるそれぞれの生理的メトリック232に関して、1つまたは複数の生理的メトリック測定取得値234を備える任意選択の第2のデータセット230とを記憶する。
【0049】
いくつかの実施形態では、生理的メトリック測定取得値234は被験者の体温である。いくつかの実施形態では、生理的メトリック測定取得値234は被験者の活動の測定である。いくつかの実施形態では、これらの生理的メトリック測定取得値は、空腹時イベントを識別するため、および/または基礎/ボーラス比を計算するための、さらなる入力として役立つ。いくつかの実施形態では、任意選択の加速度計317、任意選択のGPS319、ならびに/あるいは投薬計画調節デバイス250の磁力計(図示せず)、または1つもしくは複数のグルコース監視装置102および/または1つもしくは複数のインスリンペン104の内部に任意選択で存在するそのような構成要素が、そのような生理的メトリック測定取得値234を獲得するために使用される。
【0050】
いくつかの実施形態では、基礎/ボーラス比調節モジュール204は、任意のブラウザ(電話、タブレット、ラップトップコンピュータ/デスクトップコンピュータ)の内部でアクセス可能である。いくつかの実施形態では、基礎/ボーラス比調節モジュール204は本来のデバイス構造上で動作し、アンドロイドまたはiOSなどのオペレーティングシステム202を実行する投薬計画調節デバイス250へのダウンロードが可能である。
【0051】
いくつかの実装形態では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための投薬計画調節デバイス250の上記の識別されたデータ要素またはモジュールのうちの1つまたは複数が、以前に説明されたメモリのうちの1つまたは複数に記憶され、前述の機能を遂行するための1組の命令に対応する。上記で識別されたデータ、モジュールまたはプログラム(たとえば命令のセット)は、個別のソフトウェアプログラム、プロシージャまたはモジュールとして実施される必要はなく、したがって、様々な実装形態において、これらのモジュールの様々なサブセットが組み合わされるかまたは再構成されてよい。いくつかの実装形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、上記で識別されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを任意選択で記憶する。その上、いくつかの実施形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、上記で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を記憶する。
【0052】
いくつかの実施形態では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するための投薬計画調節デバイス250は、スマートフォン(たとえばiPHONE)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または電子デバイスの他の形態(たとえばゲームコンソール)である。いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250は可動性ではない。いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250は可動性である。
【0053】
図3は、本開示に従う、使用され得る投薬計画調節デバイス250の特定の実施形態のさらなる説明を提供するものである。
図3に図解された投薬計画調節デバイス250は、(CPUの)1つまたは複数の処理ユニット274と、周辺機器インターフェース370と、メモリコントローラ368と、ネットワークまたは他の通信用インターフェース284と、メモリ192(たとえばランダムアクセスメモリ)と、ディスプレイ282および入力280(たとえばキーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むユーザインターフェース278と、任意選択の加速度計317と、任意選択のGPS319と、任意選択の音声回路372と、任意選択のスピーカ360と、任意選択のマイクロフォン362と、投薬計画調節デバイス250に対する接触の強度を検知するための1つまたは複数の任意選択の強度センサ364(たとえば投薬計画調節デバイス250のタッチセンシティブ表示システム282などのタッチセンシティブ面)と、任意選択の入出力(I/O)サブシステム366と、1つまたは複数の任意選択の光センサ373と、前述の構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス213と、前述の構成要素に電力を供給するための電源276とを有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、入力280はタッチセンシティブ面などのタッチセンシティブ表示器である。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース278は1つまたは複数のソフトキーボードの実施形態を含む。ソフトキーボードの実施形態は、表示されるアイコン上の記号の標準構成(QWERTY)および/または非標準構成を含み得る。
【0055】
図3に図解された投薬計画調節デバイス250は、加速度計317に加えて、投薬計画調節デバイス250の配置および配向(たとえばポートレートまたはランドスケープ)に関する情報を得るため、および/または被験者による身体運動の量を判定するための、磁力計(図示せず)およびGPS319(またはGLONASSもしくは他のグローバルナビゲーションシステム)受信器を任意選択で含む。
【0056】
図3に図解された投薬計画調節デバイス250は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するために使用され得る多機能デバイスの一例でしかなく、投薬計画調節デバイス250は、示されたものよりも多数または少数の構成要素を任意選択で有し、2つ以上の構成要素を任意選択で組み合わせるか、または構成要素の異なる構成もしくは機構を任意選択で有することを理解されたい。
図3に示された様々な構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその組合せで実施され、1つまたは複数の信号処理集積回路および/または特定用途向け集積回路を含む。
【0057】
図3に図解された投薬計画調節デバイス250のメモリ192は、高速ランダムアクセスメモリを任意選択で含み、1つまたは複数の磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性固体メモリデバイスなどの不揮発性メモリも任意選択で含む。CPU274など、投薬計画調節デバイス250の他の構成要素によるメモリ192へのアクセスは、メモリコントローラ368によって任意選択で制御される。
【0058】
いくつかの実施形態では、
図3に図解された投薬計画調節デバイス250のメモリ192は、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を備える第3のデータセット302を任意選択で含む。複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録304が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペン104を使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量308を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント306と、(ii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペン104によって自動的に発生された対応するインスリンイベントの電子的タイムスタンプ310と、(iii)(a)基礎インスリン薬剤および(b)ボーラスインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ312とを備える。
【0059】
周辺機器インターフェース370は、CPU274およびメモリ192に対してデバイスの入力周辺機器および出力周辺機器を結合するために使用され得る。1つまたは複数のプロセッサ274は、投薬計画調節デバイス250の各種機能を遂行し、かつデータを処理するために、基礎/ボーラス比調節モジュール204など、メモリ192に記憶された様々なソフトウェアプログラムおよび/または命令のセットを走らせるかまたは実行する。
【0060】
いくつかの実施形態では、周辺機器インターフェース370、CPU274およびメモリコントローラ368は、任意選択で単一チップ上に実施される。他のいくつかの実施形態では、これらは個別のチップ上に実施される。
【0061】
ネットワークインターフェース284のRF(無線周波数)回路は、電磁気信号とも称されるRF信号を送受する。いくつかの実施形態では、有効なインスリン投薬計画206、第1のデータセット218、第2のデータセット224、複数のビン232、任意選択の第3のデータセット302、および/または任意選択の追加のデータセット310が、このRF回路を使用して、被験者に関連したグルコースセンサ102、被験者に関連したインスリンペン104、および/またはデータ収集デバイス200などの1つまたは複数のデバイスから受け取られる。いくつかの実施形態では、RF回路108は、電気信号と電磁気信号の間の変換を行い、電磁気信号によって、通信ネットワークおよび他の通信デバイス、グルコースセンサ102、インスリンペン104および/またはデータ収集デバイス200と通信する。RF回路284が任意選択で含む、これらの機能を遂行するための周知の回路は、限定されるものではないが、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つまたは複数の増幅器、同調器、1つまたは複数の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどを含む。RF回路284は、通信ネットワーク106と任意選択で通信する。いくつかの実施形態では、回路284はRF回路を含まず、実際には1つまたは複数の配線(たとえば光ケーブル、同軸ケーブルなど)によってネットワーク106に接続されている。
【0062】
いくつかの実施形態では、音声回路372、任意選択のスピーカ360、および任意選択のマイクロフォン362が、被験者と調節タイミングデバイス250の間の音声インターフェースをもたらす。音声回路372は、周辺機器インターフェース370から音声データを受け取って電気信号に変換し、電気信号をスピーカ360へ伝送する。スピーカ360は、電気信号を人間にとって可聴の音波に変換する。音声回路372は、マイクロフォン362によって音波から変換された電気信号も受け取る。音声回路372は、電気信号を音声データに変換し、音声データを処理するために周辺機器インターフェース370へ伝送する。音声データは、周辺機器インターフェース370により、任意選択で、メモリ192および/またはRF回路284から取り出され、かつ/またはメモリ192および/またはRF回路284へ伝送される。
【0063】
いくつかの実施形態では、電源276は、電源管理システム、1つまたは複数の電源(たとえばバッテリー、交流(AC))、充電システム、停電検知回路、電力コンバータまたはインバータ、電力状態表示器(たとえば発光ダイオード(LED))、ならびに携帯デバイスの電力の発生、管理および分配に関連した何らかの他の構成要素を任意選択で含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250は、任意選択で1つまたは複数の光センサ373も含む。光センサ373は、電荷結合デバイス(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光トランジスタを任意選択で含む。光センサ373は、環境から、1つまたは複数のレンズによって投影された光を受け取って、画像を表すデータに変換する。光センサ373は、スチル画像および/またはビデオを任意選択で取り込む。いくつかの実施形態では、光センサは、投薬計画調節デバイス250の後部にあって、投薬計画調節デバイス250の正面のディスプレイ282の反対側にあり、その結果、入力280は、スチル画像および/またはビデオ画像の収集のためのビューファインダとして使用され得る。いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250の正面に別の光センサ373があって、(たとえば被験者の健康状態または体調を検証するため、被験者の身体活動レベルを判定するため、被験者の体調を遠隔で診断するのを支援するため、あるいは被験者の目に見える生理的測定取得値312を獲得するためなどの)被験者の画像が得られる。
【0065】
図3に図解されているように、投薬計画調節デバイス250は、好ましくは様々な基本システムサービスを扱うためのプロシージャを含むオペレーティングシステム202を備える。オペレーティングシステム202(たとえば、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、WINDOWS、またはVxWorksなどの組込み型オペレーティングシステム)は、全体的なシステムタスクの制御および管理(たとえばメモリ管理、記憶デバイス制御、パワーマネジメントなど)のための様々なソフトウェアコンポーネントおよび/またはドライバを含み、様々なハードウェアとソフトウェアコンポーネントの間の通信を容易にする。
【0066】
いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250はスマートフォンである。他の実施形態では、投薬計画調節デバイス250はスマートフォンではなく、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、緊急車両コンピュータまたは他の形態の有線もしくはワイヤレスのネットワーク化されたデバイスである。いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250は、
図2または
図3に表された投薬計画調節デバイス250にある回路、ハードウェアコンポーネント、およびソフトウェアコンポーネントのうちのいずれかまたはすべてを有する。簡潔さおよび明瞭さのために、調節タイミングデバイス250にインストールされている追加のソフトウェアモジュールをより強調するように、投薬計画調節デバイス250の少数の可能な構成要素のみが示されている。
【0067】
図1に開示されたシステム48はスタンドアロンで正常に機能することができるが、いくつかの実施形態では、何らかのやり方で情報を交換するように電子カルテとリンクすることもできる。
【0068】
被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのシステム48の詳細が開示されたので、本開示の一実施形態によるプロセスの流れ図およびシステムの特徴に関する詳細が、
図4A〜
図4Eを参照しながら開示される。いくつかの実施形態では、そのようなプロセスおよびシステムの特徴は、
図2および
図3に図解された基礎/ボーラス比調節モジュール204によって実行される。
【0069】
ブロック402。
図4Aのブロック402を参照して、1型真性糖尿病または2型真性糖尿病のどちらかを伴う被験者におけるインスリン療法の目的は、空腹時および食後の血漿グルコースを通常の生理的インスリン分泌にできる限り一致させるように制御することである。
図2に図解されているように、投薬計画調節デバイス250は1つまたは複数のプロセッサ274およびメモリ192/290を備える。メモリに記憶された命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、方法が遂行される。
【0070】
ブロック404〜406。この方法では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206が得られる。被験者向けの有効なインスリン投薬計画は、日々の合計のインスリン薬剤を備える。日々の合計のインスリン薬剤は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された日々の量の基礎インスリン薬剤210と日々の量のボーラスインスリン薬剤214の組合せによって満たされる。日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤は、日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する。
【0071】
いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤投与計画208によって指定される基礎インスリン薬剤は、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成るものである。そのような基礎インスリン薬剤の例は、限定されるものではないが、Insulin Degludec(NOVO NORDISKによってTresibaの商標で開発されたもの)、NPH(Schmid、2007年、「New options in insulin therapy」、J Pediatria(Rio J). 83(Suppl 5):S146〜S155)、Glargine(LANTUS、2007年3月2日)、Insulin Glargine [rDNA origin] injection (Dunnら、2003年、「An Updated Review of its Use in the Management of Diabetes Mellitus」、Drugs 63:1743頁)、およびDetermir(Plankら、2005年、「A double−blind, randomized, dose−response study investigating the pharmacodynamic and pharmacokinetic properties of the long−acting insulin analog detemir」、Diabetes Care 28:1107〜1112)を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与計画212によって指定されるボーラスインスリン薬剤は、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物を備えるものである。そのような基礎インスリン薬剤の例は、限定されるものではないが、Lispro(HUMALOG、2001年5月18日、insulin lispro [rDNA origin] injection、インディアナ州インディアナポリス:Eli Lilly and Company)、Aspart(NOVOLOG、2011年7月、insulin aspart [rDNA origin] injection、ニュージャージー州プリンストン、NOVO NORDISK Inc.、2011年7月)、およびGlulisine(Helms Kelley、2009年、「Insulin glulisine: an evaluation of its pharmacodynamic properties and clinical application」、Ann Pharmacother 43:658〜668)、およびRegular(Gerich、2002年、「Novel insulins:expanding options in diabetes management」、Am J Med. 113:308〜316)を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤投与計画208は、治療計画を最適化するために、日々の基礎用量が1日2回の用量に分割される場合などにおける2回分以上の用量を指定する。いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与計画212は、朝食向けの第1の基礎インスリン薬剤投与量および昼食向けの第2の基礎インスリン薬剤投与量を指定する。いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与計画212は、朝食向けの第1の基礎インスリン薬剤投与量、昼食向けの第2の基礎インスリン薬剤投与量、および夕食向けの第3の基礎インスリン薬剤投与量を指定する。いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与計画212は、予期される食事イベント向けの第1の基礎インスリン薬剤投与量を、予期される食事イベントにあるものと被験者が推定する複数の炭水化物の関数として指定する。いくつかの実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与計画212は、予期される食事イベント向けの基礎インスリン薬剤投与量を、過去の予期された食事イベントで被験者がこれまで摂取した複数の炭水化物の関数として指定する。いくつかのそのような実施形態では、ボーラスインスリン薬剤投与計画212は、予期される食事イベント向けのそのような基礎インスリン薬剤投与量を指定する一方で、有効なインスリン投薬計画206の日々の基礎/ボーラスのインスリン比を保存する。
【0074】
ブロック408〜410。
図4Aのブロック408を参照して、この方法では第1のデータセット216が得られる。第1のデータセット216は、時間的経過にわたって取得された被験者の複数のグルコース測定取得値を備える。一般的な実施形態では、グルコース測定取得値は1つまたは複数のグルコースセンサ102からのものである。
図2に図解する。それぞれのそのようなグルコース測定取得値218が、それぞれの測定が行われた時刻を表すように、グルコース測定タイムスタンプ220を付与される。したがって、いくつかの実施形態では、グルコース測定取得値は人間の介入なしで測定される。すなわち、被験者がグルコース測定を手動で行うことはない。本開示の代替実施形態では、被験者または医療関係者はグルコース測定を手動で行い、そのような手動によるグルコース測定取得値は、第1のデータセット216におけるグルコース測定取得値218として使用される。
【0075】
グルコース測定取得値が第1のデータセット216において使用される実施形態では、ABBOTT社のFREESTYLE LIBRE CGM(「LIBRE」)などのデバイスは、被験者の複数の自律性のグルコース測定を行うためのグルコースセンサ102として役立ち得る。LIBREは、皮膚表面のコインサイズのセンサと互いに接近したときには近距離無線通信によって較正なしのグルコース測定を可能にするものであり、このセンサは、リーダデバイス(たとえばデータ収集デバイス200および/または投薬計画調節デバイス250)に最大8時間のデータを送ることができる。LIBREは、すべての日常の生活活動において14日間着用され得る。いくつかの実施形態では、グルコース測定取得値218は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、被験者から自律的に取得される。いくつかの実施形態では、グルコース測定取得値218は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、1日以上、2日以上、1週間以上、または2週間以上の期間にわたって、被験者から取得される。いくつかの実施形態では、グルコース測定取得値218は自律的に(たとえば人間の努力や人間の介入などなしで)取得される。
図4Aのブロック410を参照して、いくつかの実施形態では、投薬計画調節デバイス250はワイヤレス受信器をさらに備え、第1のデータセット216は、被験者に付けたグルコースセンサ102から(たとえば802.11、Bluetooth、またはZigBee規格に従って)ワイヤレスで得られる。
【0076】
ブロック412〜416。
図4Bのブロック412を参照して、この方法は、時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントを識別することによって継続する。これは
図6に図解されている。
図6は被験者の日々のグルコースパターンを図解しており、食事602には星印が付けられ、本開示の一実施形態に従って、食事間で測定された最低の食後のグルコース値(空腹時イベント224)に基づいてボーラス/基礎比の変更が判定される。ブロック414を参照して、いくつかのそのような実施形態では、複数のグルコース測定取得値における各グルコース測定取得値218が自律的に測定され、空腹時イベント224は、第1のデータセット216における被験者の複数のグルコース測定取得値およびそれぞれのタイムスタンプを使用して判定される。いくつかのそのような実施形態では、空腹時イベントは、空腹時検知アルゴリズムおよび第1のデータセット216におけるグルコース測定取得値を使用して自律的に検知される。
【0077】
グルコースセンサ102からのグルコース測定取得値218を使用して空腹時イベント224を検知するための複数の方法がある。たとえば、ブロック416を参照して、いくつかの実施形態では、第1の空腹時イベント224は、第1のデータセット216における複数のグルコース測定取得値に包含された第1の期間(たとえば24時間の期間)において、グルコース測定取得値にわたって、最初に分散の移動期間
を次式で計算することによって識別され、
G
iは検討される複数のグルコース測定取得値の部分kにおけるi番目のグルコース測定取得値であり、Mは複数のグルコース測定取得値におけるグルコース測定取得値の数であり、連続した所定時間の範囲を表し、
は第1のデータセット216の複数のグルコース測定取得値から選択されたM個のグルコース測定取得値の平均値であり、kは第1の期間の範囲内にある。例として、グルコース測定取得値は5分ごとに取得されて数日または数週間に及び得る。この全体の時間スパンの範囲内の第1の期間k(たとえば1日)が選択され、したがって、複数の測定の部分kが、最小の分散の期間を求めて調査される。第1の空腹時期間が、第1の期間の範囲内で最小の分散の期間
であると見なされる。次に、このプロセスは、最小の分散の別の期間を求めて複数のグルコース測定取得値の次の部分kを調査することにより、複数のグルコース測定取得値の部分kに対して繰り返され、それによって別の空腹時期間を割り当てる。
【0078】
その上に、いくつかの実施形態では、基礎インスリン薬剤投与計画208ありと見なされる空腹時イベントのみが使用される。以下の例1は、空腹時イベント224が基礎インスリン薬剤投与計画208ありかどうかを判定するやり方を例証するものである。その上に、参照によってここで組み込まれる、2016年6月30日出願の「Regimen Adherence Measure for Insulin Treatment Base on Glucose Measurement and Insulin Pen Data」という名称の欧州特許出願EP16177080.5は、空腹時イベントを基礎インスリン薬剤投与計画ありまたはなしと識別して分類する技術を開示している。いくつかの実施形態では、被験者向けの有効なインスリン投薬計画において基礎/ボーラス比を調節するために使用されるのは、欧州特許出願EP16177080.5に従って「基礎投薬計画あり」と分類される空腹時イベントのみである。
【0079】
一般的な実施形態では、第1のデータセット230によって包含された所与の空腹時イベント224について、2つ以上のグルコース測定取得値218がある。一般的な実施形態では、第1のデータセット216によって包含された所与の空腹時イベント224について、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上のグルコース測定取得値218がある。いくつかの実施形態では、所与の空腹時イベント224の空腹時イベント期間228は時間帯を指定する。いくつかの実施形態では、所与の空腹時イベント224の空腹時イベント期間228は時間スパンを指定する。いくつかの実施形態では、この時間スパンは、5分未満、10分未満、20分未満、または30分未満である。いくつかの実施形態では、この時間スパンは5分〜1時間である。いくつかの実施形態では、この時間スパンは30分〜2時間である。
【0080】
ブロック418。
図4Bのブロック418を参照して、いくつかの実施形態では、空腹時イベントのうちの1つまたは複数を識別することは、被験者から、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベント224の指示をフィードフォワードイベントの形態で受け取ることを備える。それぞれのフィードフォワードイベントは、被験者が、空腹であるか空腹になるところであると指示した場合を表す。いくつかの実施形態では、ブロック416において開示されたものなど自律性の空腹時検知アルゴリズムと手動の(ユーザによって指示される)空腹時検知の両方が、空腹時イベント224を検知するために使用される。たとえば、いくつかの実施形態では、(たとえばブロック416のアルゴリズムを使用して)自律的に検知された空腹時イベント224は、次いで、フィードフォワードイベントを使用して検証される。例証のために、ブロック416に開示されたものなどのアルゴリズムを使用して自律的に検知された空腹時イベント224が、被験者が空腹であることを指示したフィードフォワードイベントに対して時間において一致したとき(時間的に一致したとき)、空腹であることが検証されたと見なされ、本開示のさらなるステップにおいて使用される。いくつかの実施形態では、空腹時イベント224はこのように検証されなければならず、基礎インスリン薬剤投与計画208ありと見なされる(たとえば以下の例1で開示されるように基礎インスリン薬剤投与計画208ありと見なされる)ことも必要である。
【0081】
ブロック420。
図4Bのブロック420を参照して、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントを識別することは、ウェアラブルデバイス(たとえばウェアラブル生理的測定デバイス、磁力計またはサーモスタットなどのデータ収集デバイス200の内部の測定デバイスなど)から第2のデータセット220を受け取ることを備え、第2のデータセットは、1つまたは複数の空腹時イベントを指示する時間的経過中のユーザの生理的メトリック232を指示する。いくつかの実施形態では、生理的メトリック測定取得値234は被験者の体温である。いくつかの実施形態では、生理的メトリック測定取得値234は被験者の活動の測定取得値である。いくつかの実施形態では、任意選択の加速度計317、任意選択のGPS 319、ならびに/あるいは投薬計画調節デバイス250の磁力計(図示せず)、または1つもしくは複数のグルコース監視装置102および/または1つもしくは複数のインスリンペン104の内部に任意選択で存在するそのような構成要素が、そのような生理的メトリック測定取得値234を獲得するために使用される。いくつかの実施形態では、ブロック416において開示されたものなど自律性の空腹時検知アルゴリズムと生理的メトリック測定取得値の両方が、空腹時イベント224を検知するために使用される。たとえば、いくつかの実施形態では、空腹時イベント224は生理的メトリック測定取得値234を使用して(たとえばブロック416によって)自律的に検知され、かつ検証される。例証のために、ブロック416に開示されたものなどのアルゴリズムを使用して自律的に検知された空腹時イベントが、被験者が空腹であることをさらに指示する生理的メトリック測定取得値234に対して時間において一致したとき(時間的に一致したとき)、空腹であることが検証されたと見なされ、本開示のさらなるステップにおいて使用される。いくつかの実施形態では、空腹時イベント224はこのように検証されなければならず、基礎インスリン薬剤投与計画208ありと見なされる(たとえば以下の例1で開示されるように基礎インスリン薬剤投与計画208ありと見なされる)ことも必要である。
【0082】
ブロック422。
図4Bのブロック422を参照して、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントが、前の1週間、前の2週間、または前の1か月の範囲内にある。そのような実施形態では、
図4A〜
図4Eに開示された方法は、更新されたグルコース測定取得値に基づいて基礎/ボーラスインスリン比が循環的に更新されるように、時間が経つと繰り返される。
【0083】
ブロック424。有効なインスリン投薬計画206の基礎/ボーラス比を最適化するのに使用されるために空腹時イベント224が基礎インスリン薬剤投与計画208ありと見なされる、さらなる要件を伴う実施形態が上記で説明されてきた。
図4Cのブロック424を参照して、いくつかの実施形態では、有効なインスリン投薬計画の基礎/ボーラス比を最適化するために使用される空腹時イベント224は、基礎インスリン薬剤投与計画208とボーラスインスリン薬剤投与計画212の両方がありと見なされる必要がある。そのような一実施形態では、そのような空腹時イベントは、被験者が有効なインスリン投薬計画206を適用するために使用する1つまたは複数のインスリンペン104から第3のデータセット302を得ることにより、基礎投薬計画とボーラス投薬計画があるかどうか検査される。第3のデータセット302は複数のインスリン薬剤記録を備える。複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録304が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量308を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント306と、(ii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された対応するインスリンイベントの電子的タイムスタンプ310と、(iii)(a)基礎インスリン薬剤および(b)ボーラスインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ312とを備える。第3のデータセット302は、1つまたは複数の空腹時イベントから、ボーラス注射イベント後の第1の所定時間間隔または基礎注射イベント後の第2の所定時間間隔の範囲内に生じたものではない空腹時イベントを除外するのに使用される。いくつかのそのような実施形態では、第1の所定時間間隔は、30分以下、1時間以下、4時間以下、または8時間以下である。いくつかのそのような実施形態では、第2の所定時間間隔は第1の所定時間間隔と異なり、1時間以下、4時間以下、8時間以下、12時間以下、16時間以下、20時間以下、または24時間以下である。いくつかの実施形態では、第1の所定時間間隔と第2の所定時間間隔は同一である。いくつかの実施形態では、この要件が満たされているかどうか判定するために、各空腹時イベントの空腹時イベント期間228がインスリンイベントの電子的タイムスタンプ310と比較される。
【0084】
ブロック426。
図4Cのブロック426を参照して、この方法は、それぞれの空腹時イベントの期間228にある第1のデータセットから得られた被験者のグルコース測定取得値を使用して、1つまたは複数の空腹時イベントにおけるそれぞれの空腹時イベント224について、それぞれの時間的なグルコース勾配226を計算することによって継続する。
図7は、本開示の一実施形態による、空腹時イベント中のそのような時間的なグルコース勾配を図解するものである。
図7のパネルAでは、第1の空腹時イベント224−1の時間的なグルコース勾配226−1はプラスであり、定義された許容範囲よりも大きく、したがって日々の量の基礎インスリン薬剤210が日々の量のボーラスインスリン薬剤214に対して増加される。パネルBでは、第2の空腹時イベント224−2の時間的なグルコース勾配226−2はマイナスであるが、定義された許容範囲よりも小さく、したがって、基礎/ボーラス比は、後続の空腹時イベント224における時間的なグルコース勾配226によって比を変更するように指示されるまで一定に保たれる。
【0085】
上記で論じられたように、一般的な実施形態では、任意の所与の空腹時イベント224の空腹時イベント期間228に、いくつかのグルコース測定取得値218がある。これらのグルコース測定取得値は、所与の空腹時イベント224の時間的なグルコース勾配226を計算するために使用される。いくつかの実施形態では、これは、最小2乗法、部分集合選択を伴う最小2乗法(部分集合選択技術に従って、空腹時期間におけるグルコース測定取得値のうちのいくつかだけが使用される)、または縮化を伴う最小2乗法(サイズに対してペナルティを課すことによって最小2乗法の回帰係数が最小化される)など、回帰の線形手法を使用して行われる。参照によってここで組み込まれる、Hastie、The Elements of Statistical Learning, Data Mining, Inference, and Prediction、Spinger−Verlag、2003年の補正版、第3章、41〜78頁を参照されたい。
【0086】
ブロック428〜432。
図4Cのブロック428を参照して、この方法は、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベント224の時間的なグルコース勾配226を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することによって継続する。すなわち、インスリン薬剤の単位の総数は同一に保たれるが、基礎インスリン薬剤として処方されるこの総数の量が、ボーラスインスリン薬剤として処方されるこの総数の量に対して変更される。これは複数のやり方で可能であり、そのようなやり方はすべて本開示の範囲内に包含される。
【0087】
たとえば
図4Cのブロック430を参照して、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントが複数の空腹時イベントを構成する。そのような実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベント224の時間的なグルコース勾配226は、複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベント224の時間的なグルコース勾配226の中心傾向の第1の測度を取得することにより、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうか判定するのに使用される。いくつかの実施形態では、複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベント224の時間的なグルコース勾配226の中心傾向の測度は、たとえば時間的なグルコース勾配226の算術平均、加重平均、ミッドレンジ、ミッドヒンジ、3項平均、ウィンザー化平均、メジアン、またはモードであり得る。この中心傾向の第1の測度がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206は基礎インスリン薬剤の不足と見なされる。いくつかの実施形態では、プラスの閾値は、3パーセントの値、4パーセントの値、5パーセントの値、または10パーセント以上の値である。いくつかの実施形態では、プラスの閾値は、被験者の特性に基づき各被験者向けに最適化される。例として、中心傾向の測度が単純平均であってプラスの閾値が3パーセントであれば、これは、
図7のパネルAの評価基準系を使用して、時間的なグルコース勾配226が平均で3パーセント以上のプラスの傾斜のラインであることを意味する。引き続きこの例において、中心傾向の第1の測度がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤の不足と見なされる。いくつかの実施形態では、マイナスの閾値は、−3パーセントの値、−4パーセントの値、−5パーセントの値、または−10パーセント以下の値である。いくつかの実施形態では、マイナスの閾値は、被験者の特性に基づき各被験者向けに最適化される。例として、中心傾向の測度が単純平均であってマイナスの閾値が−3パーセントであれば、これは、
図7のパネルBの評価基準系を使用して、時間的なグルコース勾配226が平均で3パーセント以下のマイナスの傾斜(より大きなマイナスの傾斜)のラインであることを意味する。被験者向けの有効なインスリン投薬計画が基礎インスリン薬剤の不足またはボーラスインスリン薬剤の不足と見なされなければ、基礎/ボーラス比は十分であると見なされ、基礎/ボーラス比は調節されない。
【0088】
図4Dのブロック432を参照して、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空腹時イベントは単一の空腹時イベントである。そのような実施形態では、ブロック428で明らかにされた、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベント224の時間的なグルコース勾配226を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することは、単一の空腹時イベント222の時間的なグルコース勾配226がプラスであり、ブロック430について上記で論じられたプラスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206は基礎インスリン薬剤の不足であると見なすこと、単一の空腹時イベント222の時間的なグルコース勾配226がマイナスであり、ブロック430について上記で論じられたマイナスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206はボーラスインスリン薬剤の不足であると見なすこと、および、どちらでもなければ、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206の基礎/ボーラス比を十分と見なす(したがって基礎/ボーラス比は調節しない)ことを備える。
【0089】
ブロック434。
図4Dのブロック434は、本開示の特定の実施形態を説明するものである。この実施形態では、有効なインスリン投薬計画206は、日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を備えるイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定する。さらに、(たとえばブロック428、430、または432に従って)基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定される。ここで、基礎/ボーラス比の推奨される調節は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206における日々の量のボーラスインスリン薬剤の増加を推奨することである。この実施形態では、この方法は、時間的経過にわたる2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定値を判定することにより、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を増加させるために変更するべきか判定することをさらに備える。たとえば、特定のボーラス注射イベントタイプ「朝食」について、各朝食後の期間(たとえば朝食後の5分間、15分間、30分間、1時間)のグルコース測定取得値218は、各朝食に関連した最小の食後のグルコース測定値を求めてポーリングされる。次いで、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度が計算され、それによって中心傾向の複数の第2の測度が計算される。したがって、引き続き上記の例において、各朝食に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向の測度が取得される。同様に、各昼食に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向の測度が取得される。さらに、各夕食に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向の測度が取得される。中心傾向のこの測度は、たとえば所与のイベントタイプ(たとえば朝食、昼食または夕食)に関連した最小の食後のグルコース測定値の算術平均、加重平均、ミッドレンジ、ミッドヒンジ、3項平均、ウィンザー化平均、メジアン、またはモードであり得る。さらに、中心傾向の第2の測度が、中心傾向の複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも大きい閾値量よりも大きいときには、増加させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最大の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプが選択される。たとえば、朝食、昼食および夕食の3つのイベントタイプがある場合を考える。したがって、各イベントタイプに関連した最小の食後のグルコース測定値をそれぞれ表す中心傾向の3つの第2の測度がある。中心傾向の測度はこれら3つの値から取得され、これが中心傾向の第3の測度を構成する。中心傾向のこの第3の測度は、たとえば中心傾向の第2の測度の算術平均、加重平均、ミッドレンジ、ミッドヒンジ、3項平均、ウィンザー化平均、メジアン、またはモードであり得る。中心傾向の最大の第2の測度が中心傾向の第3の測度よりも大きい閾値量よりも大きければ、増加させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最大の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプが選択される。そうでなければ、ボーラスインスリン薬剤量の増加は、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配される(たとえば2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに関連する最小の食後のグルコース測定値に比例して、等しく、分配される、など)。ここで、いくつかの実施形態では、中心傾向の第2の測度のために必要な閾値量は用途に特有のものであり、各被験者について異なってよい。いくつかの実施形態では、中心傾向の第2の測度がそうあらねばならない必要な閾値量は、中心傾向の第3の測度よりも10パーセント大きい、20パーセント大きい、または30パーセント大きなものである。
【0090】
ブロック436。
図4Eのブロック436は、本開示の別の特定の実施形態を説明するものである。この実施形態では、有効なインスリン投薬計画206は、日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を備えるイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定する。(たとえばブロック428、430、または432に従って)基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定される。ブロック434に反して、基礎/ボーラス比の推奨される調節は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206における日々の量のボーラスインスリン薬剤の減少を推奨することである。この実施形態では、この方法は、時間的経過にわたる2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定取得値を判定することにより、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を減少させるために変更するべきか判定することをさらに備える。たとえば、特定のボーラス注射イベントタイプ「朝食」について、各朝食後の期間(たとえば朝食後の5分間、15分間、30分間、1時間)のグルコース測定取得値218が、各朝食に関連した最小の食後のグルコース測定値を求めてポーリングされる。次いで、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度が計算され、それによって中心傾向の複数の第2の測度が計算される。したがって、引き続き上記の例において、時間的経過における各朝食に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向の測度が取得される。同様に、各昼食に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向の測度が取得される。さらに、各夕食に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向の測度が取得される。中心傾向のこの測度は、たとえば所与のイベントタイプ(たとえば朝食、昼食または夕食)に関連した最小の食後のグルコース測定値の算術平均、加重平均、ミッドレンジ、ミッドヒンジ、3項平均、ウィンザー化平均、メジアン、またはモードであり得る。さらに、このイベントタイプに関する中心傾向の第2の測度が、中心傾向の複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも小さい閾値量よりも大きいときには、減少させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最小の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプが選択される。たとえば、朝食、昼食および夕食の3つのイベントタイプがある事例を考える。したがって、各イベントタイプに関連した最小の食後のグルコース測定値をそれぞれ表す中心傾向の3つの第2の測度がある。中心傾向の測度はこれら3つの値から取得され、これが中心傾向の第3の測度を構成する。中心傾向のこの第3の測度は、たとえば中心傾向の第2の測度の算術平均、加重平均、ミッドレンジ、ミッドヒンジ、3項平均、ウィンザー化平均、メジアン、またはモードであり得る。中心傾向の最小の第2の測度が中心傾向の第3の測度よりも小さい閾値量よりも大きければ、減少させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最大の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプが選択される。そうでなければ、ボーラスインスリン薬剤量の減少が、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配される(たとえば2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに関連する最小の食後のグルコース測定値に比例して、等しく、分配される、など)。ここで、いくつかの実施形態では、中心傾向の第2の測度のために必要な閾値量は用途に特有のものであり、各被験者について異なってよい。いくつかの実施形態では、中心傾向の第2の測度がそうあらねばならない必要な閾値量は、中心傾向の第3の測度よりも10パーセント超大きい、20パーセント大きい、または30パーセント小さいものである。
【0091】
ブロック438。ブロック438を参照して、この方法は、被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき(たとえば被験者向けの有効なインスリン投薬計画206は基礎インスリン薬剤またはボーラスインスリン薬剤が不足であると見なされたとき)継続する。いくつかのそのような実施形態では、調節は、初期の基礎/ボーラス比の1〜5パーセント、初期の基礎/ボーラス比の5〜10パーセント、または初期の基礎/ボーラス比の10〜15パーセントの間で行われる。いくつかの実施形態では、この調節のための開始ポイントとして有効なインスリン投薬計画による基礎/ボーラス比に頼るのではなく、実際に投与される基礎/ボーラス比は、第3のデータセット302におけるインスリン薬剤記録を使用して計算される。いくつかのそのような実施形態では、実際の基礎/ボーラス比を計算するために、前の1日、前の2日間、前の3日間、前の1週間、または前の2週間からの第3のデータセット302におけるインスリン薬剤記録が使用され、次いで、ブロック438において、被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたときには、調節は、初期の基礎/ボーラス比の1〜5パーセント、初期の基礎/ボーラス比の5〜10パーセント、または計算された基礎/ボーラス比の10〜15パーセントである。
【0092】
ブロック440。
図4Eのブロック440を参照して、この方法は、被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節を、(i)有効なインスリン投薬計画206における基礎/ボーラス比の手動調節の被験者、(ii)投与量調節命令として、被験者に有効なインスリン投薬計画206を送達するように命じられた1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペン104、または(iii)被験者に関連した医療関係者に、通信することによって継続する。
図9は
図4A〜
図4Eによって開示された方法の例示的実施形態を図解するものであり、
図8は、有効なインスリン投薬計画206に従って時間的経過にわたって被験者に基礎インスリン薬剤とボーラスインスリン薬剤を投与する様子と、この時間的経過にわたる、被験者の、結果として生じるグルコース濃度とを図解するものである。
【0093】
例1:空腹時イベントがインスリン投薬計画ありかどうか判定するためのグルコース測定取得値の使用。いくつかの実施形態では、複数のグルコース測定取得値を備える第1のデータセット216が得られる。いくつかの実施形態では、グルコース測定取得値は、たとえば連続型のグルコース監視装置102によって自律的に得られる。この例では、自律性のグルコース測定取得値に加えて、有効なインスリン投薬計画206を適用するために被験者が使用する1つまたは複数のインスリンペン104から、インスリン投与イベントが、インスリン薬剤注射イベント306の形態で得られる。これらのインスリン薬剤記録304は任意の形式でよく、実際には複数のファイルまたはデータ構造に及び得るものである。そのため、いくつかの実施形態では、本開示は、過去の投与されたインスリン薬剤のタイミングおよび量を記憶することができるという意味で「賢くなった」インスリン投与ペンの最近の進歩を導入するものである。そのようなインスリンペン104の一例にはNovoPen5がある。そのようなペンは、患者が用量を記録するのを支援し、2重の投薬を防止する。インスリンペンが、インスリン薬剤用量のボリュームおよびタイミングを送受することができ、したがって連続型のグルコース監視装置102と、インスリンペン104と、本開示のアルゴリズムとの集積化を可能にすることが企図される。そのため、1つまたは複数のインスリンペン104からのそのようなデータのワイヤレス収集を含む、1つまたは複数のインスリンペン104からのインスリン薬剤記録304が企図される。
【0094】
いくつかの実施形態では、各インスリン薬剤記録304が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペン104を使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量308を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント306と、(ii)それぞれのインスリン薬剤注射イベント306と同時にそれぞれのインスリンペン104によって自動的に発生された対応するインスリンイベントの電子的タイムスタンプ310とを備える。
【0095】
いくつかの実施形態では、空腹時イベント224は、第1のデータセット216における被験者のグルコース測定取得値218および関連するグルコース測定取得値のタイムスタンプ220を使用して識別される。一旦空腹時イベントが識別されると、たとえば上記のブロック412〜422のいずれか1つで説明された方法または何らかの他の方法によって、空腹時イベント224に分類が適用される。分類は、「インスリン投薬計画あり」および「インスリン投薬計画なし」のうちの1つである。
【0096】
空腹時イベント224の間に獲得された1つまたは複数の薬剤記録304が、基礎インスリン薬剤投薬計画208ありの状態を時間的にも量的にも確立するとき、空腹時イベント224はインスリン投薬計画ありと見なされる。空腹時イベント224の間に獲得された1つまたは複数の薬剤記録304に、基礎インスリン薬剤投薬計画208ありの状態を時間的も量的にも確立する1つまたは複数の薬剤記録が含まれないとき、空腹時イベント224はインスリン投薬計画なしと見なされる。いくつかの実施形態では、空腹時イベント224に関連したエポックに関するインスリン薬剤記録304がないとき、基礎インスリン薬剤投与計画208は、基礎インスリン薬剤の投与量を複数のエポックにおけるそれぞれのエポック(たとえば1日、12時間の期間)の間に取得するべきであり、空腹時イベント224はインスリン投薬計画なしと見なされる、と指定する。様々な実施形態において、複数のエポックにおける各エポックは、2日以下、1日以下、または12時間以下である。したがって、空腹時イベント224を識別するために第1のデータセット216が使用され、基礎インスリン薬剤投与計画208が24時間ごとに基礎インスリン薬剤の投与量Aを取得するように明示する事例を考える。したがって、この例ではエポックは1日(24時間)である。空腹時イベント224は、タイムスタンプを付与されたグルコース測定取得値における最小の分散の期間から導出されるか、またはタイムスタンプを付与されたグルコース測定取得値218の他の形態の解析によって導出されるので、本質的にタイムスタンプを付与されている。したがって、グルコース測定取得値のタイムスタンプまたはそれぞれの空腹時イベント224によって表される空腹時の期間(空腹時イベント期間228)が、空腹時イベントがインスリン投薬計画ありかどうか調査するための開始ポイントとして使用される。たとえば、インスリン薬剤記録304において、それぞれのタイムスタンプに関連した空腹時の期間に5月17日(火曜日)の午前6時が含まれているのが見つかると、これは、被験者が5月17日(火曜日)の午前6時までの24時間の期間(エポック)に基礎インスリン薬剤の(処方された投与量以上でも以下でもない)投与量Aを取得したという証拠である。このエポックの間に被験者が基礎インスリン薬剤の処方された投与量を取り入れていれば、空腹時イベントはインスリン投薬計画ありと見なされる。被験者がこのエポックの間に基礎インスリン薬剤の用量を取り入れていなければ(または、この期間中に取り入れた基礎インスリン薬剤の用量が、基礎インスリン薬剤投与計画208によって指定された用量を超えていれば)、空腹時イベント224はインスリン投薬計画なしと見なされる。
【0097】
いくつかの実施形態では、エポックは基礎インスリン薬剤投与計画208によって定義され、被験者が、エポックの間に(空腹時イベント224の後であっても)基礎インスリン薬剤投与計画208によって必要とされる基礎インスリン薬剤の(過剰でない)量を取り入れている限り、空腹時イベントはインスリン投薬計画ありと見なされる。たとえば、エポックが、毎日、真夜中の直後に始まり(言い換えれば、基礎インスリン薬剤投与計画208が、1つまたは複数の基礎インスリン薬剤投与量を毎日取り入れるように指定し、1日を真夜中から翌日の真夜中までとさらに定義しており)、空腹時イベント224が正午(たとえば正午を中心に10分間)に生じる場合、被験者が、その日に処方された基礎インスリン薬剤注射を、当日のある時点において取り入れると、空腹時イベント224はインスリン投薬計画ありと見なされることになる。
【0098】
実施形態のリスト
実施形態1
1つまたは複数のプロセッサ274およびメモリ192/290を備える、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節するためのデバイス250であって、メモリに記憶された命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
日々の合計のインスリン薬剤を含む、被験者向けの有効なインスリン投薬計画206を得ることであって、日々の合計のインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤210と、被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された、1つまたは複数のインスリンペンによって投与される日々の量のボーラスインスリン薬剤214との組合せによって満たされ、日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する、得ることと、
時間的経過にわたる被験者の複数のグルコース測定取得値と、複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値218について、それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプとを含む第1のデータセット216を得ることと、
時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントを識別することと、
それぞれの空腹時イベントの期間228にある第1のデータセットから得られた被験者のグルコース測定取得値を使用して、1つまたは複数の空腹時イベントにおけるそれぞれの空腹時イベント224について、それぞれの時間的なグルコース勾配226を計算することと、
1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することと、
被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節を、
(i)有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比の手動調節のために、被験者に通信すること、
(ii)投与量調節の命令として、被験者に対して有効なインスリン投薬計画を送達することを命じられる1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペンに通信すること、または
(iii)被験者に関連した医療関係者に通信することと、の方法を遂行するデバイス。
実施形態2
被験者向けの有効なインスリン投薬計画が、食後のグルコース目標と、食後のグルコース目標を上回る食後のグルコースレベルを担うための補正ボーラスとをさらに含み、補正ボーラスが1つまたは複数のインスリンペンによって投与されるように指定される、実施形態1に記載のデバイス。
実施形態3
被験者向けの有効なインスリン投薬計画が、より低い範囲のグルコース目標と、より低い範囲のグルコース目標を下回るグルコースレベルを担うための炭水化物補正とをさらに含み、炭水化物補正が経口で投与され得るものである、実施形態1または2に記載のデバイス。
実施形態4
1つまたは複数の空腹時イベントが複数の空腹時イベントであり、1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することが、
複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配の中心傾向の第1の測度を取得すること、
中心傾向の第1の測度がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画は基礎インスリン薬剤の不足であると見なすこと、
中心傾向の第1の測度がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤の不足であると見なすこと、および、
どちらでもなければ、被験者向けの有効なインスリン投薬計画の基礎/ボーラス比は十分であると見なすことを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態5
1つまたは複数の空腹時イベントが単一の空腹時イベントであり、
1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することが、
単一の空腹時イベントの勾配がプラスでありプラスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画は基礎インスリン薬剤の不足であると見なすこと、
単一の空腹時イベントの勾配がマイナスでありマイナスの閾値を超えるとき、被験者向けの有効なインスリン投薬計画はボーラスインスリン薬剤の不足であると見なすこと、および、
どちらでもなければ、被験者向けの有効なインスリン投薬計画の基礎/ボーラス比は十分であると見なすことを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態6
複数のグルコース測定取得値における各グルコース測定取得値が自律的に測定され、1つまたは複数の空腹時イベントが、第1のデータセットにおける被験者の複数のグルコース測定取得値およびそれぞれのタイムスタンプを使用して判定される、実施形態1から5のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態7
複数の空腹時イベントを識別することが、
複数のグルコース測定取得値にわたる分散の移動期間
を、次式を使用して計算することにより、時間的経過に包含された第1の期間における第1の空腹時期間を識別することであって、
ここにおいて、
G
iは複数のグルコース測定取得値の部分kにおけるi番目のグルコース測定取得値であり、
Mは複数のグルコース測定取得値におけるグルコース測定取得値の数であり連続した所定時間の範囲を表し、
は複数のグルコース測定取得値から選択されたグルコース測定取得値の平均値であり、
kは第1の期間の範囲内にある、識別することと、
第1の空腹時期間を、第1の期間の範囲内の最小の分散の期間
に関連づけることとを含む、実施形態6に記載のデバイス。
実施形態8
1つまたは複数の空腹時イベントを識別することが、被験者から1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの指示を受け取ることを含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態9
1つまたは複数の空腹時イベントを識別することが、被験者が着用するウェアラブルデバイスから第2のデータセット(220)を受け取ることを含み、第2のデータセットが、1つまたは複数の空腹時イベントを指示する時間的経過中のユーザの生理的メトリック232を指示する、実施形態1から6のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態10
有効なインスリン投薬計画が、日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を含むイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定し、
基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、
基礎/ボーラス比の推奨される調節は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における日々の量のボーラスインスリン薬剤の増加を推奨することであり、上記の方法が、
時間的経過にわたる2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定取得値を判定すること、
2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度を計算し、それによって中心傾向の複数の第2の測度を計算すること、および
中心傾向の第2の測度が、中心傾向の複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも大きい閾値量よりも大きいときには、増加させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最大の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプを選択し、そうでなければ、ボーラスインスリン薬剤量におけるこの増加を、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配することにより、
2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるどのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を増加させるために変更するべきか判定することをさらに含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態11
有効なインスリン投薬計画が、日々の量のボーラスインスリン薬剤を、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を含むイベントタイプのセットにおける2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプに分割するように指定し、
基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、
基礎/ボーラス比の推奨される調節は、被験者向けの有効なインスリン投薬計画における日々の量のボーラスインスリン薬剤の減少を推奨することであり、上記の方法が、
時間的経過にわたる2つ以上のボーラス注射イベントタイプにおける各ボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連したそれぞれの最小の食後のグルコース測定取得値を判定すること、
2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそれぞれの日々のボーラス注射イベントタイプについて、それぞれの日々のボーラス注射イベントタイプのそれぞれのボーラス注射に関連した最小の食後のグルコース測定値の中心傾向のそれぞれの第2の測度を計算し、それによって中心傾向の複数の第2の測度を計算すること、および
中心傾向の第2の測度が、中心傾向の複数の第2の測度の中心傾向の第3の測度よりも小さい閾値量よりも大きいときには、減少させるボーラスインスリン薬剤量に関して、中心傾向の最小の第2の測度に関連した2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおける日々のボーラス注射イベントタイプを選択し、そうでなければ、ボーラスインスリン薬剤量におけるこの減少を、2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにわたって分配することにより、
2つ以上の日々のボーラス注射イベントタイプにおけるそのボーラス注射イベントタイプにおいてボーラスインスリン薬剤量を減少させるために変更するべきか判定することをさらに含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態12
上記の方法が、
有効なインスリン投薬計画を適用するために、被験者が使用する1つまたは複数のインスリンペン104から第3のデータセット302を得ることであって、第3のデータセットが複数のインスリン薬剤記録を含み、複数の薬剤記録における各インスリン薬剤記録304が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量308を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント306と、(ii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペン104によって自動的に発生された対応するインスリンイベントの電子的タイムスタンプ310と、(iii)(a)基礎インスリン薬剤および(b)ボーラスインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ312とを含む、得ることと、
第3のデータセットを使用して、1つまたは複数の空腹時イベントから、ボーラス注射イベント後の第1の所定時間間隔または基礎注射イベント後の第2の所定時間間隔の範囲内に生じたものではない空腹時イベントを除外することとをさらに含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態13
1つまたは複数の空腹時イベントが、前の1週間、前の2週間、または前の1か月の範囲内にあり、上記の方法が、時間が経つと循環的に繰り返される、実施形態1から12のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態14
被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定され、調節は、初期の基礎/ボーラス比の1〜5パーセント、初期の基礎/ボーラス比の5〜10パーセント、または初期の基礎/ボーラス比の10〜15パーセントである、実施形態1から13のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態15
ワイヤレス受信器をさらに備えるデバイスであって、第1のデータセットが、被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる、実施形態1から14のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態16
基礎インスリン薬剤が、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成り、
ボーラスインスリン薬剤が、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る、実施形態1から15のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態17
被験者向けの有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比を調節する方法であって、
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータシステムにおいて、
被験者向けの有効なインスリン投薬計画206を得ることであって、
被験者向けの有効なインスリン投薬計画が日々の合計のインスリン薬剤を含み、
日々の合計のインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤210と、被験者向けの有効なインスリン投薬計画によって指定された、1つまたは複数のインスリンペンによって投与される日々の量のボーラスインスリン薬剤214との組合せによって満たされ、
日々の量の基礎インスリン薬剤および日々の量のボーラスインスリン薬剤が、日々の量の基礎インスリン薬剤と日々の量のボーラスインスリン薬剤の間の初期の基礎/ボーラス比を定義する、得ることと、
時間的経過にわたる被験者の複数のグルコース測定取得値と、複数のグルコース測定取得値におけるそれぞれのグルコース測定取得値218について、それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプ220とを含む第1のデータセット216を得ることと、
時間的経過における1つまたは複数の空腹時イベントを識別することと、
それぞれの空腹時イベントの期間228にある第1のデータセットから得られた被験者のグルコース測定取得値を使用して、1つまたは複数の空腹時イベントにおけるそれぞれの空腹時イベント224について、それぞれの時間的なグルコース勾配226を計算することと、
1つまたは複数の空腹時イベントにおける各空腹時イベントの勾配を使用して、被験者に対して日々の合計のインスリン薬剤を変更せずに基礎/ボーラス比の推奨される調節をするべきかどうかを判定することと、
被験者に対して基礎/ボーラス比の推奨される調節をするように判定されたとき、基礎/ボーラス比の推奨される調節を、
(i)有効なインスリン投薬計画における基礎/ボーラス比の手動調節のために、被験者に通信すること、
(ii)投与量調節の命令として、被験者に対して有効なインスリン投薬計画を送達することを命じられる1つまたは複数のインスリンペンにおける各インスリンペンに通信すること、または
(iii)被験者に関連した医療関係者に通信することとを含む方法。
実施形態18
1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき実施形態17に記載の方法を遂行する命令を含む、コンピュータプログラム。
実施形態19
実施形態18に記載のコンピュータプログラムを記憶している、コンピュータ可読データ記憶媒体。
引用された参考文献および代替実施形態
【0099】
本明細書で引用されたすべての参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれるものであり、すべての目的のために、個々の刊行物または特許または特許出願が、あたかもその全体が、すべての目的のために参照によって組み込まれているかのように、同じ程度まで具体的かつ個々に指示された。
【0100】
本発明は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれたコンピュータプログラム機構を備えるコンピュータプログラム製品として実施され得る。たとえば、コンピュータプログラム製品は、
図1、
図2、
図3、
図5の任意の組合せで示されたプログラムモジュールおよび/または
図4で説明されたプログラムモジュールを含有することもできる。これらのプログラムモジュールは、CD−ROM、DVD、磁気ディスク記憶製品、USBキー、または何らかの他の非一時的なコンピュータ可読のデータまたはプログラムの記憶製品に記憶され得る。
【0101】
この発明の多くの修正形態および変形形態が、この発明の精神および範囲から逸脱することなく作製され得ることは、当業者には明白であろう。本明細書で説明された特定の実施形態は、例としてのみ提供されたものである。これらの実施形態は、本発明の原理および実際の用途について最適に説明することにより、他の当業者が、本発明および様々な変更を伴う様々な実施形態を、企図された特定の使用に適するものとして、最もよく利用することを可能にするように選択されて説明されたものである。本発明は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の完全な範囲と併せて、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】