(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-532685(P2019-532685A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】食事イベント向けのボーラスインスリン薬剤投与量を最適化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20191018BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20191018BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20191018BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
A61M5/142 530
G16H20/10
A61M5/168 500
A61M5/172 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2019-508875(P2019-508875)
(86)(22)【出願日】2017年8月14日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月10日
(86)【国際出願番号】EP2017070583
(87)【国際公開番号】WO2018033513
(87)【国際公開日】20180222
(31)【優先権主張番号】16184673.8
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.アンドロイド
4.iPhone
5.Linux
6.UNIX
7.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アラドティエ, ティナ ビョルク
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマイヤー, ピート
(72)【発明者】
【氏名】ピーダスン, ヨーナス キルデゴー
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
5L099AA25
(57)【要約】
有効な投薬計画を用いて、被験者の予期された食事向けの短期作用の投与量を調節するためのシステムおよび方法が提供される。有効な投薬計画は、短期作用の投薬計画および長期作用の投薬計画を備える。有効な投薬計画を適用するインスリンペンから過去の記録が得られる。各記録が注射された薬剤の量およびタイプならびにタイムスタンプを指定し、タイプは短期作用の薬剤および長期作用の薬剤のうちの1つである。時間(t
0)における予期された食事に応答して、合計のインスリンオンボード(IOB
total)がIOB
bolusとIOB
basalの合計として計算され、IOB
bolusは、注射された短期作用の薬剤の総量であり、短期作用の薬剤のt
0までの持続時間の範囲内のタイムスタンプを有する記録によって指示され、IOB
basalは、注射された長期作用の薬剤の総量であり、長期作用の薬剤のt
0までの持続時間の範囲内のタイムスタンプを有する記録によって指示される。IOB
totalは、食事向けの短期作用の投与量を計算するのに役立つ。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効なインスリン投薬計画(206)を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(210)を調節するためのデバイス(250)であって、
前記有効なインスリン投薬計画が、短期作用のインスリン薬剤(210)を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画(208)および長期作用のインスリン薬剤(214)を用いる基礎インスリン薬剤投与計画(212)を含み、
前記デバイスが1つまたは複数のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を備え、前記メモリが、
前記短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、前記短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル(216)と、
前記長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、前記長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル(218)とを記憶しており、
前記メモリにさらに記憶されている命令が前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
前記有効なインスリン投薬計画を適用するために前記被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含む第1のデータセット(220)を得ることであって、前記複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録(222)が、
(i)前記1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペン(104)を使用して前記被験者に注射されたインスリン薬剤(226)の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント(224)と、
(ii)(a)前記短期作用のインスリン薬剤および(b)前記長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから、前記被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ(228)と、
(iii)前記それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時に前記それぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、前記時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプ(230)とを含む、得ることと、
所与の時間t0における前記被験者に関連した前記予期された食事イベントの指示を受け取るのに応答して、
前記第1のデータセットを使用して、前記被験者の合計のインスリンオンボードIOBtotalを次式の関係から計算することであって、
IOBtotal=IOBbolus+IOBbasal
ここにおいて、
IOBbolusは、前記短期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t0までの前記持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
IOBbasalは、前記長期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t0までの前記持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される、計算することと、
前記IOBtotalを使用して、前記被験者の前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量を計算することと、
前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量を、(i)前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、前記被験者に通信すること、または(ii)前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、前記短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信すること、
との方法を遂行する、デバイス。
【請求項2】
前記メモリが、
(i)前記被験者のインスリン感性係数(232)、(ii)前記被験者向けの炭水化物対インスリンの比(234)、および(iii)前記被験者の目標の血中グルコースレベル(236)(BG
ref)をさらに記憶し、
前記方法が、
前記被験者の複数の自律性のグルコース測定取得値と、前記複数の自律性のグルコース測定取得値におけるそれぞれの自律性のグルコース測定取得値(240)について、それぞれの測定が行われた時刻を表すグルコース測定取得値のタイムスタンプ(242)とを含む、第2のデータセット(238)を得ることをさらに含み、
前記IOB
totalを使用して前記被験者の予期される前記食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量(Bolus)を計算することが、次式を使用し、
ここにおいて、
Bolusは前記短期作用のインスリン薬剤投与量であり、
Food ingested in gCHOは前記予期された食事イベントのタイプに基づいて推定され、
Carb to Insulin ratioは記憶された前記被験者の炭水化物対インスリンの比であり、
BGは前記第2のデータセットから得られた前記被験者の現在の血中グルコースであり、
BG
refは前記被験者の目標の血中グルコースであって、
ISFは前記被験者の前記インスリン感性係数である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記予期された食事イベントのタイプが、「朝食」、「昼食」、および「夕食」のうちの1つであり、前記メモリが、各タイプの前記予期された食事イベントに関する異なるFood ingested in gCHO値を記憶する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
IOBbasalが、前記長期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t0までの前記持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
前記長期作用のインスリン薬剤の前記持続時間の範囲内の前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量が、前記長期作用のインスリン薬剤に関して前記記憶された基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルに従って、前記それぞれの量の長期作用のインスリン薬剤が前記被験者に注射された時刻と前記所与の時間t0の間の時間の量だけディスカウントされる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1のデータセットが、前記長期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t
0までの前記持続時間の範囲内の単一の時間t
1において前記被験者が前記長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、前記時間t
1における前記長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する前記寄与C
basalが次式で計算され、
ここにおいて、
D
basalは時間t
1において注射された前記長期作用の薬剤の投与量であり、
T
basalはt
1とt
0の間の経過時間であり、
f
basal(T
basal)は、任意の値T
basalに対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basalの線形または非線形の関数であり、
DIA
basalは前記基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた前記長期作用のインスリン薬剤の前記持続時間である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
fbasal(Tbasal)がTbasalである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1のデータセットは、前記被験者が、前記長期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t
0までの前記持続時間の範囲内の時間t
1および時間t
2において前記長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、前記時間t
1における前記長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal1が次式で計算され、
ここにおいて、
D
basal1は時間t
1において注射された前記長期作用の薬剤の投与量であり、
T
basal1はt
1とt
0の間の前記経過時間であり、
f
basal(T
basal1)は、任意の値T
basal1に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal1の線形または非線形の関数であり、
DIA
basalは前記基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた前記長期作用のインスリン薬剤の前記持続時間であって、
前記時間t
2における前記長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal2が次式で計算され、
ここにおいて、
D
basal2は時間t
2において注射された前記長期作用の薬剤の投与量であり、
T
basal2はt
2とt
0の間の経過時間であって、
f
basal(T
basal2)は、任意の値T
basal2に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal2の線形または非線形の関数である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項8】
IOBbolusが、前記短期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t0までの前記持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
前記短期作用のインスリン薬剤の前記持続時間の範囲内の前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量が、前記短期作用のインスリン薬剤に関して前記記憶されたボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルに従って、前記それぞれの量の短期作用のインスリン薬剤が前記被験者に注射された時刻と前記所与の時間t0の間の時間の量だけディスカウントされる、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1のデータセットが、前記短期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t
0までの前記持続時間の範囲内の単一の時間t
3において前記被験者が前記短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、
前記時間t
3における前記短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する前記寄与C
bolusが次式で計算され、
ここにおいて、
D
bolusは時間t
3において注射された前記短期作用の薬剤の投与量であり、
T
bolusはt
3とt
0の間の経過時間であり、
f
bolus(T
bolus)は、任意の値T
bolusに対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolusの線形または非線形の関数であって、
DIA
bolusは、前記ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた前記短期作用のインスリン薬剤の前記持続時間である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
fbolus(Tbolus)がTbolusである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1のデータセットが、前記短期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t
0までの前記持続時間の範囲内の第1の時間t
3および第2の時間t
4において前記被験者が前記短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、
前記時間t
3における前記短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する前記寄与C
bolus1が次式で計算され、
ここにおいて、
D
bolus1は時間t
3において注射された前記短期作用の薬剤の投与量であり、
T
bolus1はt
3とt
0の間の前記経過時間であり、
f
bolus(T
bolus1)は、任意の値T
bolus1に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus1の線形または非線形の関数であり、
DIA
bolusは、前記ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた前記短期作用のインスリン薬剤の前記持続時間であり、
前記時間t
4における前記短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する前記寄与C
bolus2が次式で計算され、
ここにおいて、
D
bolus2は時間t
4において注射された前記短期作用の薬剤の投与量であり、
T
bolus2はt
4とt
0の間の経過時間であって、
f
bolus(T
bolus2)は、任意の値T
bolus2に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus2の線形または非線形の関数である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2のデータセットの複数の自律性のグルコース測定取得値における連続した測定取得値が、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、前記被験者から自律的に取得される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
ワイヤレス受信器をさらに備えるデバイスであって、前記第2のデータセットが、前記被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
前記短期作用のインスリン薬剤が、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤、または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成り、
前記長期作用のインスリン薬剤が、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤、または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための方法であって、
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータにおいて、
前記メモリが、
短期作用のインスリン薬剤を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画および長期作用のインスリン薬剤を用いる基礎インスリン薬剤投与計画を含む、有効なインスリン投薬計画と、
前記短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、前記短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルと、
前記長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、前記長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルとを記憶しており、
前記メモリにさらに記憶されている命令が前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
前記有効なインスリン投薬計画を適用するために前記被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含む第1のデータセットを得ることであって、前記複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、
(i)前記1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して前記被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、
(ii)(a)前記短期作用のインスリン薬剤および(b)前記長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから、前記被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、
(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時に前記それぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、前記時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプとを含む、得ることと、
所与の時間t0における前記被験者に関連した前記予期された食事イベントの指示を受け取るのに応答して、
前記第1のデータセットを使用して、前記被験者の合計のインスリンオンボードIOBtotalを次式の関係から計算することであって、
IOBtotal=IOBbolus+IOBbasal
ここにおいて、
IOBbolusは、前記短期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t0までの前記持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する前記複数の薬剤記録における前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
IOBbasalは、前記長期作用のインスリン薬剤の前記所与の時間t0までの前記持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する前記第1のデータセットの前記薬剤記録によって指示される、前記被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される、計算することと、
前記IOBtotalを使用して、前記被験者の前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量を計算することと、
前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量を、(i)前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、前記被験者に通信すること、または(ii)前記予期された食事イベント向けの前記短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、前記短期作用のインスリン薬剤で満たされた前記1つまたは複数のインスリンペンにおける前記インスリンペンに通信することとの方法を遂行する、方法。
【請求項16】
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行されたとき請求項15に記載の方法を遂行する命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを記憶している、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、被験者の血糖リスクを最小化するために、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2型真性糖尿病は、通常の生理的インスリン分泌の漸進的破壊によって特徴づけられる。健康な人では、膵臓のβ細胞によって基礎インスリンが連続的に分泌され、食事間の長期間にわたって安定したグルコースレベルを維持する。また、健康な人では、食事に応答する初期の第1段階のスパイクにおいてインスリンが急速に放出される食事の分泌があり、長期のインスリン分泌がそれに続き、2〜3時間後に基礎レベルへ戻る。
【0003】
インスリンは、インスリン受容体に結合して、グルコース、アミノ酸、および脂肪酸の骨格筋および脂肪組織への細胞の摂取を促進するとともに、肝臓からグルコースが出ることを阻止することにより、血中グルコースを低下させるホルモンである。通常の健康な人では、生理的な基礎インスリン分泌および食事のインスリン分泌が正常血糖を維持し、これが空腹時の血漿グルコース濃度および食後の血漿グルコース濃度に作用する。2型糖尿病では基礎インスリン分泌および食事のインスリン分泌が低下し、初期の食後の応答がない。これらの有害事象に対処するために、2型糖尿病を伴う被験者はインスリン薬剤治療計画を提供される。1型糖尿病を伴う被験者も、インスリン薬剤治療計画を提供される。これらのインスリン薬剤治療計画の目的は、低血糖および高血糖の推定されたリスクを最小化する所望の空腹時血中グルコースの目標レベルを維持することである。
【0004】
従来のインスリン薬剤送達システムは、インスリン薬剤の、定期的に繰返す頻繁な投薬をもたらすポンプ機構の使用を含むものであった。最近になって、インスリンペンなどの新たなタイプの送達システムが開発されており、それほど頻繁でないインスリン薬剤注射の形態の自己投与のインスリン薬剤治療計画に使用され得る。そのような送達システムを使用する、1型糖尿病と2型糖尿病に対する共通の手法には、食事イベントに応答して、または食事イベントを予期して、被験者向けに処方されたインスリン投薬計画における短期作用のインスリン薬剤(ボーラス)の1回分の用量を注射するものがある。そのような手法では、被験者は、そのような食事に由来するグルコースレベルを低下させるために、毎日、1回または複数回の食事の直前または直後に、短期作用のインスリン薬剤投与量を注射する。
【0005】
しかしながら、食事向けの単一のボーラス注射として短期作用のインスリン薬剤をどれだけ取得するべきか正確に判定する際に問題が生じる。この問題は被験者に固有のものである。すなわち、特定の食事向けの短期作用のインスリン薬剤の最適な量は被験者ごとに一様でなく、被験者に固有の多くの要因に依拠し、そのような要因の例をいくつか挙げると、インスリン感性、インスリン作用速度、インスリンクリアランス率、食事吸収速度、分布ボリューム、体重、被験者の最近の身体運動などがある。そのため、食事向けのボーラスとして短期作用のインスリン薬剤の正確な量を注射することが不成功であると、グルコースレベルにおける望ましくない変化が生じて低血糖および/または高血糖のイベントをもたらす恐れがある。
【0006】
Insulet Corporationの「Calculating Insulin on Board for Extended Bolus Being Delivered by an Insulin Delivery Device」という名称の米国特許第8,140,275号は、インスリン輸液ポンプによって送達される拡張ボーラスに関するインスリンオンボード(IOB)を計算するために使用されるシステムおよび方法を開示している。インスリン輸液ポンプは、異なる時間帯においてインスリンの異なる用量を供給する送達プログラム(たとえば異なる時間セグメントに対して異なる基礎比を与える基礎プログラム)に従ってインスリンを送達し得る。インスリン輸液ポンプは、たとえば高度の血中グルコースを修正するために、または血中グルコースに影響する可能性がある食事などのイベントに関連して、インスリンのボーラス用量も送達し得る。しかしながら、米国特許第8,140,275号は、インスリンポンプでなくインスリンペンを使用することは企図していない。インスリンペンは、インスリンポンプとは著しく異なった特性を有する。たとえば、インスリンペンは、長期作用の基礎インスリン薬剤を1日当たり1回または2回の注射として送達するように構成され得るが、米国特許第8,140,275号に開示されているインスリンポンプは、「基礎比」を指定する送達プログラムに従って短期作用のインスリン薬剤を1日に数回供給するものである。その上に、インスリンペン送達に基づく有効なインスリン投薬計画は、一般的には、投薬計画の基礎成分として長期作用のインスリン薬剤を使用し、投薬計画のボーラス成分として別の短期作用のインスリン薬剤を使用するものである。対照的に、米国特許第8,140,275号に開示されているインスリンポンプは、インスリン薬剤投薬計画の基礎成分とボーラス成分の両方を担うように同じ種類のインスリン薬剤を使用する。そのため、基礎比を計算するとき、米国特許第8,140,275号は基礎およびボーラスのインスリンオンボードを担うが、米国特許第8,140,275号では、単一のインスリン薬剤の投薬計画のみ企図されているため、採用された手法は、インスリンペン投薬計画に適用可能ではなく、その上に、米国特許第8,140,275号で求められるは、食事向けの単一のボーラス量とは対照的に、食事向けのインスリン薬剤を送達するための最適なポンプ比である。
【0007】
Metronic Minimed社の「Infusion Devices and Related Methods and Systems for Regulating Insulin on Board」という名称の米国特許出願公開第20150306312号は、同様に、インスリンポンプ(輸液デバイスまたは輸液ポンプとしても知られている)を使用して、被験者に単一のインスリン薬剤タイプを送達するためのシステム、デバイスおよび方法を開示している。そのため、米国特許出願公開第20150306312号には、米国特許第8,140,275号について上記に明示したものと同じ難点がある。
【0008】
Bigfoot medical社の「Insulin Delivery Systems and Methods」という名称の国際公開WO 15191459で開示されたシステムは、ワイヤレス通信チャネルを使用して互いに通信することができるように構成された、グルコース監視デバイス、インスリンポンプおよびコントローラを備える。コントローラは、特定の時間において、参照インスリンオンボード値を表す第1の値を計算し、特定の時間において、自動化されたインスリンオンボード値を表す第2の値を計算して、一方から他方を差し引くことにより、特定の時間の相対的なインスリンオンボード値を計算するように構成されており、ここにおいて、自動化されたインスリンオンボード値は、コンピュータベースの制御ユニットによって自動的に指定された少なくとも1つのインスリン送達を表す。この公報が説明しているのはポンプに関するシステムおよび方法であり、したがって、1つのインスリンタイプ(すなわち短期作用のインスリン)しか説明されていない。
【0009】
Insulet Corporationの「Calculating Insulin on Board for Extended Bolus Being Delivered by an Insulin Delivery Device」という名称の米国特許出願公開第20100017141号は、本明細書で説明する実施形態と一致するインスリンオンボード(IOB)計算のシステムおよび方法を開示しており、インスリン輸液ポンプによって送達される拡張ボーラス用インスリンオンボードを計算するのに使用され得る。一般に、このシステムおよび方法は、拡張ボーラスに関する拡張ボーラスIOB値を計算し、これは、拡張ボーラスから現在のオンボードのインスリンと、インスリン作用の持続時間と等価な後続の期間にわたって拡張ボーラスによって送達される予定のインスリンとを考慮に入れるものである。拡張ボーラスIOB値は、示唆されるボーラスを計算するため、および/または他の目的のために、ユーザにインスリンオンボード情報を提供するのに使用され得る。本明細書で使用されるように、「拡張ボーラス」は、直ちに送達されるのでなく、少なくともある期間にわたって拡張された部分を含む所定量のインスリンの注入を指す。拡張ボーラスまたは拡張ボーラスの拡張部分は、一般に炭水化物摂取をカバーするために供給される(すなわち食事ボーラス)が、拡張ボーラスの少なくとも一部分は、高度の血中グルコースレベルを補正するために供給されてもよい(すなわち補正ボーラス)。拡張ボーラスの持続時間は、ボーラスが対象とする食品の性質(たとえば高脂肪高蛋白質の食品は延長された時間にわたって血糖を高める可能性がある)および/またはインスリンを受け入れる人(たとえば消化する能力)などの様々な要因に依拠して変化し得る。この公報が説明しているのは輸液ポンプに関するシステムおよび方法であり、したがって、1つのインスリンタイプ(すなわち短期作用のインスリン)しか説明されていない。
【0010】
Endotool社の「Systems and Methods for Determining Insulin Therapy for a Patient」という名称の国際特許公開WO 2013/096769は、患者向けの皮下インスリン療法を判定するためのシステムおよび方法を開示し得る。一例では、患者のグルコース測定値、患者の予想される栄養摂取、および患者向けの短期作用のインスリンオンボードに関連した情報が受け取られ得る。この情報に少なくとも部分的に基づき、患者に投与される、短期作用の皮下インスリン推奨投与量、補正の皮下インスリン推奨投与量、静脈内インスリン推奨投与量、炭水化物の推奨される量のうちの少なくとも1つ、またはこれらの組合せが判定され得る。加えて、患者向けの栄養摂取の確認および患者向けの長期作用のインスリンオンボードを指示する情報が受け取られ得、この情報に少なくとも部分的に基づき、患者にとって必要な長期作用の皮下または静脈内のインスリン投与量が判定され得る。短期作用の皮下インスリン推奨投与量または静脈内インスリン推奨投与量は、長期作用のインスリンオンボードと必要な長期作用の皮下または静脈内のインスリン投与量の間の差に基づいて調節され得る。医療関係者は、たとえば注射器または輸液ポンプを使用して、患者の皮下にインスリンを投与してよい。インスリン投与は、たとえばワークステーションに対するアプリケーションサーバおよび/または入力ユニットによって提供された療法の推奨に従ってよい。いくつかの例では、インスリン投与は、たとえばアプリケーションサーバおよび/またはワークステーションによって提供される療法の推奨を受け取る輸液ポンプまたは他のデバイスによって自動的に提供され得る。この方法は、上記で説明されたように、たとえばワークステーションおよび/または入力デバイスに、看護師または他のユーザによって患者ごとに入力され得る3つのタイプの入力を利用してよい。たとえば静的入力、血糖計入力、および/または薬の(経口(PO))入力が使用されてよい。薬/PO入力は、限定されるものではないが、何らかの予測された炭水化物または実際に患者(たとえば経管栄養法を含む)が取り入れた腸内もしくは腸管外の炭水化物と、患者に投与された何らかの静脈内ブドウ糖(IV)薬に関連した情報と、患者に投与された何らかのステロイドに関連した情報と、患者の予想された活動レベルまたは実際の活動レベルを指示する情報と、患者による何らかの嘔吐を指示する情報と、以前の皮下インスリン用量または同時の皮下インスリン用量に関する情報と、患者の活動に関する何らかの他の主観的情報とを含み得る。ワークステーションは、医師によって指図されてフロア/ユニットの医療管理者によって容認された血糖コントロール技法のタイプに依拠して、患者にインスリンを投与するように指令を送出してよい。患者に皮下インスリンを投与した後、看護師は、投与の記録をワークステーションに登録してよい。しかしながら、WO2013/096769の公報には、たとえばペンまたは注射器といった手動操作の注射デバイスを使用して複数の日々の注射を適用する、被験者のための信頼できるインスリンオンボード推定を得る方法の教示が提供されていない。
【0011】
上記の背景を所与として、当技術において必要とされるのは、糖尿病を治療するために、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための、頑健で信頼できるシステムおよび方法であり、有効なインスリン投薬計画は、食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤と基礎療法向けの長期作用のインスリン薬剤の両方として投与されるものである。
図7はこの問題を図解している。
図7において適用されている従来のボーラスアルゴリズムが担うのは、被験者に注射される短期作用のインスリン薬剤の総量(IOB
bolus)のみであり、多量の基礎注射の知見がなく、したがって低血糖を引き起こす。
【発明の概要】
【0012】
本開示は上記で識別された短所に対処するものである。本開示では、改善されたインスリン薬剤処方のアドバイスを提供するためのシステムおよび方法が提供される。ボーラス注射を推定するための医療システムが提供され、これは、(i)第1のインスリン注射デバイスからの、ボーラスインスリン注射イベントおよびボーラス注射の対応する時間に関係のあるデータと、(ii)第2のインスリン注射デバイスからの、基礎インスリン注射イベントおよび基礎注射の対応する時間に関係のあるデータとを受け取るように適合された受信デバイスを備える。受信デバイスは、インスリンペンからのデータを使用して、ボーラスデータおよび基礎データに基づきインスリンオンボードを計算し、計算されたインスリンオンボードに基づいて、推奨されるボーラスを計算する。インスリンオンボードの総量、すなわち基礎インスリンとボーラスインスリンを推定することにより、ボーラス計算がより正確かつ安全になる。計算された食事ボーラスからボーラスIOBを差し引くことに加えて基礎IOBも考慮されて差し引かれ、それによってボーラスインスリンの過剰投与が防止される。
図6に図解する。ボーラスアルゴリズムは、IOBの総量の知見を有する。ボーラスサイズを判定するとき基礎注射を考慮に入れて、より少量のボーラスを与えることにより、低血糖イベントを防止する。
【0013】
WO2013/096769の公報には、少なくとも、(i)第1のインスリン注射デバイスからの、ボーラスインスリン注射イベントおよびボーラス注射の対応する時間に関係のあるデータと、(ii)第2のインスリン注射デバイスからの、基礎インスリン注射イベントおよび基礎注射の対応する時間に関係のあるデータとを受け取るように適合された受信デバイスは、開示されていない。また、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生されたタイムスタンプ、または有効なインスリン投薬計画を適用するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第1のデータセットを得る方法も開示されていない。受信デバイスは、インスリンペンからのデータを使用して、ボーラスデータおよび基礎データに基づきインスリンオンボードを計算し、計算されたインスリンオンボードに基づいて、推奨されるボーラスを計算する。したがって、WO2013/096769の公報には、ペンまたは注射器としての手動操作の注射デバイスを使用して複数の日々の注射を適用する、被験者のための信頼できるインスリンオンボード推定を得る方法の教示が提供されていない。
【0014】
それゆえに、本開示の一態様では、被験者の予期された食事向けの短期作用の投与量が有効な投薬計画とともに提供される。有効な投薬計画は、短期作用の投薬計画および長期作用の投薬計画を備える。有効な投薬計画を適用するインスリンペンから過去の記録が得られる。各記録が注射された薬剤の量およびタイプならびにタイムスタンプを指定し、タイプは短期作用の薬剤および長期作用の薬剤のうちの1つである。時間t
0における予期された食事に応答して、合計のインスリンオンボード(IOB
total)がIOB
bolusとIOB
basalの合計として計算される。ここで、IOB
bolusは、注射された短期作用の薬剤の総量であり、短期作用の薬剤のt
0までの作用持続時間の範囲内のタイムスタンプを有する記録によって指示される。IOB
basalは、注射された長期作用の薬剤の総量であり、長期作用の薬剤のt
0までの作用持続時間の範囲内のタイムスタンプを有する記録によって指示される。IOB
totalは、食事に関する短期作用の投与量を計算するのに使用される。
【0015】
そのため、本開示の一態様は、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのデバイスを提供する。有効なインスリン投薬計画は、短期作用のインスリン薬剤を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画および長期作用のインスリン薬剤を用いる基礎インスリン薬剤投与計画を備える。このデバイスは、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備える。メモリは、短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルを記憶する。メモリは、長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルも記憶する。
【0016】
メモリにさらに記憶された命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、方法が遂行される。この方法では、有効なインスリン投薬計画を適用するために、被験者が使用する1つまたは複数のインスリンペンから第1のデータセットが得られる。第1のデータセットは、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を備える。複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する電子的タイムスタンプとを備える。
【0017】
この方法では、所与の時間t
0における、被験者に関連する予期された食事イベントに応答して(たとえばユーザが予期された食事イベントに参加するつもりであるという指示を受け取るのに応答して)、第1のデータセットを使用して、IOB
total=IOB
bolus+IOB
basalという関係から、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalが計算される。IOB
bolusは、所与の時間t
0までの短期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内にあるタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。IOB
basalは、所与の時間t
0までの長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内にあるタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。次いで、IOB
totalを使用して、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量が計算される。次いで、予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量が、(i)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、被験者に通信される、または(ii)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信される。
【0018】
いくつかの実施形態では、メモリは、(i)被験者のインスリン感性係数、(ii)被験者向けの炭水化物対インスリンの比、および(iii)被験者の目標の血中グルコースレベル(BG
ref)をさらに記憶する。そのような実施形態では、この方法は、被験者の複数の自律性のグルコース測定取得値を備える第2のデータセットと、複数の自律性のグルコース測定取得値におけるそれぞれの自律性のグルコース測定取得値について、それぞれの測定が行われた時刻を表すタイムスタンプとを得ることをさらに備える。そのような実施形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(Bolus)を次式によって計算するためにIOB
totalが使用され、
「Bolus」は短期作用のインスリン薬剤投与量であり、「Food ingested in gCHO」は予期された食事イベントのタイプに基づいて推定され、「Carb to Insulin ratio」は記憶された被験者の炭水化物対インスリンの比であり、BGは第2のデータセットから得られた被験者の現在の血中グルコースであり、BG
refは被験者の目標の血中グルコースであり、ISFは被験者のインスリン感性係数である。予期された食事イベントの非限定的な例は、「朝食」、「昼食」、および「夕食」を含む。さらに、メモリは、各タイプの予期された食事イベントに関する異なる「Food ingested in gCHO」値を記憶する。いくつかの実施形態では、IOB
basalは、所与の時間t
0までの長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内にあるタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。そのような実施形態では、長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内の第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量は、長期作用のインスリン薬剤に関して記憶された基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルに従って、それぞれの量の長期作用のインスリン薬剤が被験者に注射された時刻と所与の時間t
0の間の時間の量だけディスカウントされる。いくつかのそのような実施形態では、第1のデータセットは、被験者が、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の単一の時間t
1において長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、時間t
1における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basalは、次式で計算され、
D
basalは時間t
1において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、T
basalはt
1とt
0の間の経過時間であり、f
basal(T
basal)は、任意の値T
basalに対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basalの線形または非線形の関数であり、DIA
basalは基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた長期作用のインスリン薬剤の持続時間である。いくつかの実施形態では、f
basal(T
basal)はT
basalであり、すなわちf
basalは1なる数の関数である。いくつかの実施形態では、第1のデータセットは、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の時間t
1および時間t
2において被験者が長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示する。そのような実施形態では、時間t
1における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal1は次式で計算され、
D
basal1は時間t
1において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、T
basal1はt
1とt
0の間の経過時間であり、f
basal(T
basal1)は、任意の値T
basal1に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal1の線形または非線形の関数であって、DIA
basalは、基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた長期作用のインスリン薬剤の持続時間である。そのような実施形態では、時間t
2における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal2は次式で計算され、
D
basal2は時間t
2において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、T
basal2はt
2とt
0の間の経過時間であって、f
basal(T
basal2)は、任意の値T
basal2に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal2の線形または非線形の関数である。いくつかの実施形態では、IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にあるタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。短期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内の第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量は、短期作用のインスリン薬剤に関して記憶されたボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルに従って、それぞれの量の短期作用のインスリン薬剤が被験者に注射された時刻と所与の時間t
0の間の時間の量だけディスカウントされる。たとえば、いくつかのそのような実施形態では、第1のデータセットは、被験者が、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の単一の時間t
3において短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、時間t
3における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolusは、次式で計算され、
D
bolusは時間t
3において注射された短期作用の薬剤の投与量であり、T
bolusはt
3とt
0の間の経過時間であり、f
bolus(T
bolus)は、任意の値T
bolusに対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolusの線形または非線形の関数であって、DIA
bolusは、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた短期作用のインスリン薬剤の持続時間である。いくつかのそのような実施形態では、f
bolus(T
bolus)はT
bolusである。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のデータセットは、被験者が、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の第1の時間t
3および第2の時間t
4において短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、時間t
3における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolus1は、次式で計算され、
D
bolus1は時間t
3において注射された短期作用の薬剤の投与量であり、T
bolus1はt
3とt
0の間の経過時間であり、f
bolus(T
bolus1)は、任意の値T
bolus1に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus1の線形または非線形の関数であり、DIA
bolusは、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた短期作用のインスリン薬剤の持続時間であり、時間t
4における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolus2は次式で計算され、
D
bolus2は時間t
4において注射された短期作用の薬剤の投与量であり、T
bolus2はt
4とt
0の間の経過時間であって、f
bolus(T
bolus2)は、任意の値T
bolus2に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus2の線形または非線形の関数である。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2のデータセットの複数のグルコース測定取得値における連続した測定取得値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、被験者から自律的に取得される。いくつかの実施形態では、このデバイスはワイヤレス受信器をさらに備え、第1のデータセットは被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる。
【0021】
いくつかの実施形態では、短期作用のインスリン薬剤は、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成り、長期作用のインスリン薬剤は、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る。
【0022】
本開示の別の態様は、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための方法を提供する。メモリは、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータにおいて、メモリに記憶された、短期作用のインスリン薬剤を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画および長期作用のインスリン薬剤を用いる基礎インスリン薬剤投与計画を備える有効なインスリン投薬計画と、短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルと、長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルとを備える。メモリがさらに記憶している命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、有効なインスリン投薬計画を適用するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから第1のデータセットを得る方法を遂行する。第1のデータセットは、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を備える。複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する電子的タイムスタンプとを備える。所与の時間t
0における被験者に関連する予期された食事イベントに応答して、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalを計算するために第1のデータセットが使用され、IOB
totalはIOB
total=IOB
bolus+IOB
basalとして計算され、IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にあるタイムスタンプを有する複数の薬剤記録における薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、IOB
basalは、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にあるタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。そのような実施形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を計算するためにIOB
totalが使用され、予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量は、(i)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、被験者に通信される、または(ii)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信される。
【0023】
さらなる態様において提供されるコンピュータプログラムに備わっている命令が、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行されたとき、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節する方法を遂行し、
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータにおいて、
メモリは、
短期作用のインスリン薬剤を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画および長期作用のインスリン薬剤を用いる基礎インスリン薬剤投与計画を備える有効なインスリン投薬計画と、
短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルと、
長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルとを記憶しており、
メモリにさらに記憶されている命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
有効なインスリン投薬計画を適用するために、被験者が使用する1つまたは複数のインスリンペンから第1のデータセットを得ることであって、第1のデータセットが、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を備え、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、
(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、
(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、
(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプとを備える、得ることと、
所与の時間t
0における被験者に関連する予期された食事イベントの指示を受け取るのに応答して、第1のデータセットを使用して、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalを次式の関係から計算することであって、
IOB
total=IOB
bolus+IOB
basal
ここにおいて、
IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する複数の薬剤記録における薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
IOB
basalは、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される、計算することと、
IOB
totalを使用して、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を計算することと、
予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を、
(i)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、被験者に通信すること、または
(ii)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信することと、の方法を遂行する。
【0024】
さらなる態様では、上記で説明されたコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読データ記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の一実施形態により、通信ネットワークを通じて任意選択で相互接続されている、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための投薬計画の投与量デバイスと、患者データを収集するためのデータ収集デバイスと、被験者からのグルコースデータを測定する1つまたは複数のグルコースセンサと、有効なインスリン投薬計画に従ってインスリン薬剤を注射するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンとを含む、例示的システムトポロジの図解である。
【
図2】有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための、本開示の一実施形態によるデバイスの図解である。
【
図3】有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための、本開示の別の実施形態によるデバイスの図解である。
【
図4A】本開示の様々な実施形態による、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4B】本開示の様々な実施形態による、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4C】本開示の様々な実施形態による、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4D】本開示の様々な実施形態による、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図4E】本開示の様々な実施形態による、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのプロセスの流れ図およびデバイスの特徴を総体として提供する図である。破線のボックスによって指示されているのは流れ図の任意選択の要素である。
【
図5】本開示の一実施形態による、接続されたインスリンペンと、連続型のグルコース監視装置と、有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのメモリおよびプロセッサとの、例示の統合システムの図解である。
【
図6】上のパネル(A)は、食事が、対応する短期作用のインスリン薬剤注射(ボーラス)を伴って3回摂取され、長期作用のインスリン薬剤(基礎)が1回注射された、30時間にわたるグルコース濃度の図解であり、下のパネル(B)は、本開示の一実施形態による、短期作用のインスリン薬剤のインスリン、長期作用のインスリン薬剤のインスリン、およびそれらの合計について、すべての時点における活動状態のインスリン単位の推定を示す図である。
【
図7】被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量(IOB
bolus)のみを担う、多量の基礎注射の知見がなく、したがって低血糖を引き起こす、従来技術によるボーラスアルゴリズムの図解である。
【
図8】本開示の一実施形態により、短期作用のインスリン薬剤投与量(ボーラスサイズ)を調節するとき、注射された短期作用のインスリン薬剤の総量と注射された長期作用のインスリン薬剤の総量とを考慮に入れて、より少量の短期作用のインスリン薬剤投与量(ボーラス投与量)を与えることにより、低血糖イベントを防止する、インスリンオンボードの総量IOB
totalの知見を有するボーラスアルゴリズムの図解である。類似の参照数字は、図面のいくつかの図にわたって対応する部品を指す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、時間的経過にわたって取得された複数のインスリン薬剤記録を備えるデータセットを収集することに頼るものである。複数のインスリン薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、(i)1つまたは複数のインスリンペンのセットにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプとを備える。
図1はそのようなデータを収集するための統合システム502の一例を図解すものであり、
図5はそのようなシステム502をより詳細に与えるものである。統合システム502は、1つまたは複数の接続されたインスリンペン104と、1つまたは複数のグルコース監視装置102と、メモリ506と、被験者向けに処方されたインスリン投薬計画における短期作用のインスリン薬剤投与のタイミングを最適化するためのプロセッサ(図示せず)とを含む。いくつかの実施形態では、グルコース監視装置102は連続型のグルコース監視装置である。
【0027】
統合システム502を用いて、540で、被験者に有効なインスリン投薬計画を適用するために使用される1つまたは複数のインスリンペン104から、複数のインスリン薬剤記録としてデータが得られる。各インスリン薬剤記録は、有効なインスリン薬剤投与計画の一部分として被験者が注射されたインスリン薬剤の量を指定するタイムスタンプを付与されたイベントを備える。また、いくつかの実施形態では、520で、被験者の、自律性のタイムスタンプを付与されたグルコース測定取得値が得られる。そのような実施形態では、自律性のグルコース測定取得値が504でフィルタリングされ、506で非一時的メモリに記憶される。時間的経過にわたって取得された被験者の複数のインスリン薬剤記録は、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalを計算するために使用される。このようにして、インスリン薬剤記録は、(たとえば被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するために)510で、本開示の方法により解析されて視覚化される。
【0028】
ここで実施形態が詳細に参照され、実施形態の例は添付の図面に図解されている。以下の詳細な説明では、本開示の十分な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が明らかにされる。しかしながら、本開示は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の場合には、周知の方法、プロシージャ、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0029】
本明細書では、様々な要素を説明するために、第1の、第2の、などの用語が使用され得るが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別のものから区別するためにのみ使用されるものである。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の被験者が第2の被験者と称されることがあり、同様に第2の被験者が第1の被験者と称されることがある。第1の被験者と第2の被験者はどちらも被験者であるが、同一の被験者ではない。その上、「被験者」、「ユーザ」、および「患者」という用語は、本明細書では区別なく使用される。インスリンペンという用語は、インスリンの用量に関連したデータをログ記録したり通知したりするように適合されて、インスリンの離散的な用量を与えるのに適切な注射デバイスを意味する。
【0030】
本開示で使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するようには意図されていない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」といった単数形は、文脈が明らかに示さなければ、同様に複数形を含むように意図されている。本明細書で使用されるような「および/または」という用語は、関連する列記された品目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せを指し、かつ包含することも理解されよう。「備える」および/または「備えている」といった用語は、本明細書で使用されたとき、明示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0031】
本明細書で使用されるように、「〜であれば」という用語は、文脈に依拠して、「〜のとき」または「〜に際して」または「〜と判定するのに応答して」または「〜を検知するのに応答して」、ということを意味するように解釈されてよい。同様に、「〜と判定された場合」または「[明示された条件またはイベント]が検知された場合」という慣用句は、文脈に依拠して、「〜と判定したとき」または「〜と判定するのに応答して」または「[明示された条件またはイベント]を検知したとき」または「[明示された条件またはイベント]を検知するのに応答して」ということを意味するように解釈されてよい。
【0032】
本開示による、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するためのシステム48の詳細な説明が、
図1〜
図3とともに記述される。そのため、
図1〜
図3は、本開示によるシステムのトポロジを総体として図解するものである。このトポロジには、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤(210)の投与量を調節する投薬計画の投与量デバイス(「投薬計画の投与量デバイス250」)(
図1、
図2、および
図3)と、データを収集するためのデバイス(「データ収集デバイス200」)と、被験者にインスリン薬剤を注射するための1つまたは複数のインスリンペン104(
図1および
図5)と、任意選択の、被験者に関連した1つまたは複数のグルコースセンサ102(
図1および
図5)とがある。本開示の全体にわたって、データ収集デバイス200および投薬計画の投与量デバイス250は、単に明瞭さのために個別のデバイスとして参照される。すなわち、データ収集デバイス200の開示された機能および投薬計画の投与量デバイス250の開示された機能は、
図1に図解されているような個別のデバイスに含有されている。しかしながら、実際には、いくつかの実施形態において、データ収集デバイス200の開示された機能および投薬計画の投与量デバイス250の開示された機能が単一デバイスに含有されることが認識されよう。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200の開示された機能および/または投薬計画の投与量デバイス250の開示された機能は、インスリンペン104である単一デバイスに含有されている。
【0033】
図1を参照して、投薬計画の投与量デバイス250は、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するものである。これを行うために、投薬計画の投与量デバイス250と電気通信するデータ収集デバイス200が時間的経過にわたって複数のインスリン薬剤記録を受け取り、各記録が、(i)1つまたは複数のインスリンペン104におけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、インスリン薬剤注射イベントと、(ii)短期作用のインスリン薬剤および長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、(iii)インスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって発生された、対応する注射イベントの電子的タイムスタンプとを備える。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はまた、グルコースレベルを測定するために被験者が使用する1つまたは複数のグルコースセンサ(たとえば連続型のグルコースセンサ)102からグルコース測定取得値を受け取る。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、被験者によって使用されるインスリンペン104および/またはグルコースセンサ102とから、そのようなデータを直接受け取る。たとえば、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、このデータを無線周波数信号によってワイヤレスで受け取る。いくつかの実施形態では、そのような信号は802.11(Wi−Fi)、BluetoothまたはZigBeeの規格に従うものである。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200はそのようなデータを直接受け取り、データを解析し、解析されたデータを投薬計画の投与量デバイス250へ渡す。いくつかの実施形態では、インスリンペン104および/またはグルコースセンサ102は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用してデータ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250と通信する。いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200は、(たとえば着用可能生理的測定デバイス、データ収集デバイス200の内部の磁力計またはサーモスタットなどの測定デバイスなどから)被験者の生理的測定取得値を得るかまたは受け取る。
【0034】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250が、被験者に近接しておらず、かつ/またはワイヤレス能力を有しておらず、あるいは、そのようなワイヤレス能力が、インスリン薬剤注射データ、自律性のグルコースデータ、および/または生理的測定データを獲得する目的には使用されない。そのような実施形態では、通信ネットワーク106は、1つまたは複数のインスリンペン104からのインスリン薬剤注射データをデータ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250へ通信するため、グルコースセンサ102からの自律性のグルコース測定取得値をデータ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250へ通信するため、ならびに/あるいは1つまたは複数の生理的測定デバイス(図示せず)からの生理的測定データをデータ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250へ通信するために使用され得る。
【0035】
ネットワーク106の例は、限定されるものではないが、ワールドワイドウェブ(WWW)、イントラネットおよび/または携帯電話ネットワークなどのワイヤレスネットワーク、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)および/または都市内ネットワーク(MAN)、ならびにワイヤレス通信による他のデバイスを含む。ワイヤレス通信によって任意選択で使用される複数の通信規格、プロトコル、および技術のうちの任意のものには、限定されるものではないが、グローバル移動体通信システム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケット接続(HSDPA)、高速アップリンクパケット接続(HSUPA)、Evolution、Data−Only(EV−DO)、HSPA、HSPA+、Dual−Cell HSPA(DC−HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域の符号分割多元接続(W−CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、Wireless Fidelity(Wi−Fi)(たとえばIEEE 802.11a、IEEE 802.11ac、IEEE 802.11ax、IEEE 802.11b、IEEE 802.11gおよび/またはIEEE 802.11n)、ボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)、Wi−MAX、eメールのためのプロトコル(たとえばインターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(たとえばExtensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)、Session Initiation Protocol for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、Instant Messaging and Presence Service(IMPS))、および/またはShort Message Service(SMS)、あるいは本開示の出願日の時点でまだ開発されない通信プロトコルを含む何らかの他の適切な通信プロトコルが含まれる。
【0036】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250はインスリンペンの一部分である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250とインスリンペン104とは、単一デバイスである。
【0037】
いくつかの実施形態では、被験者に単一グルコースセンサ102が取り付けられており、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250はグルコースセンサ102の一部分である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250とグルコースセンサ102とは、単一デバイスである。
【0038】
もちろん、システム48の他のトポロジが可能である。たとえば、1つまたは複数のインスリンペン104および任意選択の1つまたは複数のグルコースセンサ102は、通信ネットワーク106に頼るよりも、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250に情報をワイヤレスで直接伝送してよい。さらに、データ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250は、携帯電子デバイス、サーバコンピュータを構成してよく、あるいはネットワークにおいて互いに連結されたいくつかのコンピュータを実際に構成してよく、クラウドコンピューティングの状況における仮想マシンでもよい。そのため、
図1に示された例示的なトポロジは、単に、当業者に容易に理解されるやり方で本開示の一実施形態の特徴を説明するように働くにすぎない。
【0039】
図2を参照して、一般的な実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250は1つまたは複数のコンピュータを備える。図解のために、
図2では、投薬計画の投与量デバイス250は、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(210)を調節するための機能をすべて含む単一コンピュータとして表されている。しかしながら、本開示はそのように限定されることはない。いくつかの実施形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(210)を調節するための機能は、任意数のネットワーク化されたコンピュータに及び、かつ/またはいくつかのネットワーク化されたコンピュータの各々に存在し、かつ/または通信ネットワーク106にわたってアクセス可能な遠隔地における1つまたは複数の仮想マシン上でホスティングされる。当業者なら、多様な異なるコンピュータトポロジのうちの任意のものが用途向けに使用され、すべてのそのようなトポロジは本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0040】
前述のことを念頭に
図2へ転じて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための例示的な投薬計画の投与量デバイス250は、(CPUの)1つまたは複数の処理ユニット274と、ネットワークまたは他の通信用インターフェース284と、メモリ192(たとえばランダムアクセスメモリ)と、1つまたは複数のコントローラ288によって任意選択でアクセスされる1つまたは複数の磁気ディスク記憶装置および/または持続性のデバイス290と、前述の構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス213と、ディスプレイ282および入力280(たとえばキーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むユーザインターフェース278と、前述の構成要素に電力を供給するための電源276とを備える。いくつかの実施形態では、メモリ192のデータは、キャッシングなど既知の計算技術を使用して不揮発性メモリ290とシームレスに共有される。いくつかの実施形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、中央処理装置274に対して遠隔に配置された大容量記憶装置を含む。言い換えれば、メモリ192および/またはメモリ290に記憶されたいくつかのデータはコンピュータ上で実際にホスティングされてよく、コンピュータは、投薬計画の投与量デバイス250の外部にあるが、投薬計画の投与量デバイス250により、ネットワークインターフェース284を使用して、インターネット、イントラネット、または他の形態のネットワークもしくは電子ケーブル(
図2において要素106として図解されている)を通じて電子的にアクセスされ得るものである。
【0041】
いくつかの実施形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための投薬計画の投与量デバイス250のメモリ192は、
・様々な基本システムサービスを扱うためのプロシージャを含むオペレーティングシステム202と、
・投与量調節モジュール204と、
・被験者向けの有効なインスリン投薬計画206であって、(i)短期作用のインスリン薬剤210を備えるボーラスインスリン薬剤投与計画208、および(ii)長期作用のインスリン薬剤214を備える基礎インスリン薬剤投与計画212を備える、インスリン投薬計画と、
・短期作用のインスリン薬剤210の作用持続時間を指示する、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216と、
・長期作用のインスリン薬剤214の作用持続時間を指示する、基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218と、
・時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録222を備える第1のデータセット220であって、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペン104を使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量226を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント224と、(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ228と、(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベント224と同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、対応する注射イベントの電子的タイムスタンプ230とを備える、第1のデータセットと、
・被験者のインスリン感性係数232と、
・予期された食事イベントの炭水化物対インスリンの比234と、
・被験者の目標の血中グルコースレベル236と、
・被験者の複数の自律性のグルコース測定取得値、および複数の自律性のグルコース測定取得値におけるそれぞれの自律性のグルコース測定取得値240について、それぞれの測定が行われた時刻を表すグルコース測定取得値のタイムスタンプ242を備える、第2のデータセット238と、を記憶する。
【0042】
いくつかの実施形態では、インスリン投与量調節モジュール204は、任意のブラウザ(電話、タブレット、ラップトップコンピュータ/デスクトップコンピュータ)の内部でアクセス可能である。いくつかの実施形態では、インスリン投与量調節モジュール204は本来のデバイス構造上で動作し、アンドロイドまたはiOSなどのオペレーティングシステム202を実行する投薬計画の投与量デバイス250へのダウンロードが可能である。
【0043】
いくつかの実装形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量210を調節するための投薬計画の投与量デバイス250の上記の識別されたデータ要素またはモジュールのうちの1つまたは複数が、以前に説明されたメモリのうちの1つまたは複数に記憶され、前述の機能を遂行するための1組の命令に対応する。上記で識別されたデータ、モジュールまたはプログラム(たとえば命令のセット)は、個別のソフトウェアプログラム、プロシージャまたはモジュールとして実施される必要はなく、したがって、様々な実装形態において、これらのモジュールの様々なサブセットが組み合わされるかまたは再構成されてよい。いくつかの実装形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、上記で識別されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを任意選択で記憶する。その上、いくつかの実施形態では、メモリ192および/またはメモリ290は、上記で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を記憶する。
【0044】
いくつかの実施形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量210を調節するための投薬計画の投与量デバイス250は、スマートフォン(たとえばiPHONE)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または電子デバイスの他の形態(たとえばゲームコンソール)である。いくつかの実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250は可動性ではない。いくつかの実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250は可動性である。
【0045】
図3は、本開示で使用され得る投薬計画の投与量デバイス250の、特定の実施形態のさらなる説明を提供するものである。
図3に図解された投薬計画の投与量デバイス250は、(CPUの)1つまたは複数の処理ユニット274と、周辺機器インターフェース370と、メモリコントローラ368と、ネットワークまたは他の通信用インターフェース284と、メモリ192(たとえばランダムアクセスメモリ)と、ディスプレイ282および入力280(たとえばキーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むユーザインターフェース278と、任意選択の加速度計317と、任意選択のGPS319と、任意選択の音声回路372と、任意選択のスピーカ360と、任意選択のマイクロフォン362と、投薬計画の投与量デバイス250に対する接触の強度を検知するための1つまたは複数の任意選択の強度センサ364(たとえば投薬計画の投与量デバイス250のタッチセンシティブ表示システム282などのタッチセンシティブ面)と、任意選択の入出力(I/O)サブシステム366と、1つまたは複数の任意選択の光センサ373と、前述の構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス213と、前述の構成要素に電力を供給するための電源276とを有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、入力280はタッチセンシティブ面などのタッチセンシティブ表示器である。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース278は1つまたは複数のソフトキーボードの実施形態を含む。ソフトキーボードの実施形態は、表示されるアイコン上の記号の標準構成(QWERTY)および/または非標準構成を含み得る。
【0047】
図3に図解された投薬計画の投与量デバイス250は、加速度計317に加えて、投薬計画の投与量デバイス250の配置および配向(たとえばポートレートまたはランドスケープ)に関する情報を得るため、および/または被験者による身体運動の量を判定するための、磁力計(図示せず)およびGPS319(またはGLONASSもしくは他のグローバルナビゲーションシステム)受信器を任意選択で含む。
【0048】
図3に図解された投薬計画の投与量デバイス250は、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(210)を調節するために使用され得る多機能デバイスの一例でしかなく、投薬計画の投与量デバイス250は、示されたものよりも多数または少数の構成要素を任意選択で有し、2つ以上の構成要素を任意選択で組み合わせるか、または構成要素の異なる構成もしくは機構を任意選択で有することを理解されたい。
図3に示された様々な構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその組合せで実施され、1つまたは複数の信号処理集積回路および/または特定用途向け集積回路を含む。
【0049】
図3に図解された投薬計画の投与量デバイス250のメモリ192は、高速ランダムアクセスメモリを任意選択で含み、1つまたは複数の磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性固体メモリデバイスなどの不揮発性メモリも任意選択で含む。CPU274など、投薬計画の投与量デバイス250の他の構成要素によるメモリ192へのアクセスは、メモリコントローラ368によって任意選択で制御される。
【0050】
周辺機器インターフェース370は、CPU274およびメモリ192に対してデバイスの入力周辺機器および出力周辺機器を結合するために使用され得る。1つまたは複数のプロセッサ274は、投薬計画の投与量デバイス250の各種機能を遂行し、かつデータを処理するために、インスリン投与量調節モジュール204など、メモリ192に記憶された様々なソフトウェアプログラムおよび/または命令のセットを走らせるかまたは実行する。
【0051】
いくつかの実施形態では、周辺機器インターフェース370、CPU274およびメモリコントローラ368は、任意選択で単一チップ上に実施される。他のいくつかの実施形態では、これらは個別のチップ上に実施される。
【0052】
ネットワークインターフェース284のRF(無線周波数)回路は、電磁気信号とも称されるRF信号を送受する。いくつかの実施形態では、有効なインスリン投薬計画206、第1のデータセット220、および/または第2のデータセット238が、このRF回路を使用して、被験者に関連したグルコースセンサ102、被験者に関連したインスリンペン104、および/またはデータ収集デバイス200などの1つまたは複数のデバイスから受け取られる。いくつかの実施形態では、RF回路108は、電気信号と電磁気信号の間の変換を行い、電磁気信号によって、通信ネットワークおよび他の通信デバイス、グルコースセンサ102、インスリンペン104および/またはデータ収集デバイス200と通信する。RF回路284が任意選択で含む、これらの機能を遂行するための周知の回路は、限定されるものではないが、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つまたは複数の増幅器、同調器、1つまたは複数の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどを含む。RF回路284は、通信ネットワーク106と任意選択で通信する。いくつかの実施形態では、回路284はRF回路を含まず、実際には1つまたは複数の配線(たとえば光ケーブル、同軸ケーブルなど)によってネットワーク106に接続されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、音声回路372、任意選択のスピーカ360、および任意選択のマイクロフォン362が、被験者と投薬計画の投与量デバイス250の間の音声インターフェースをもたらす。音声回路372は、周辺機器インターフェース370から音声データを受け取って電気信号に変換し、電気信号をスピーカ360へ伝送する。スピーカ360は、電気信号を人間にとって可聴の音波に変換する。音声回路372は、マイクロフォン362によって音波から変換された電気信号も受け取る。音声回路372は、電気信号を音声データに変換し、音声データを処理するために周辺機器インターフェース370へ伝送する。音声データは、周辺機器インターフェース370により、任意選択で、メモリ192および/またはRF回路284から取り出され、かつ/またはメモリ192および/またはRF回路284へ伝送される。
【0054】
いくつかの実施形態では、電源276は、電源管理システム、1つまたは複数の電源(たとえばバッテリー、交流(AC))、充電システム、停電検知回路、電力コンバータまたはインバータ、電力状態表示器(たとえば発光ダイオード(LED))、ならびに携帯デバイスの電力の発生、管理および分配に関連した何らかの他の構成要素を任意選択で含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250は、任意選択で1つまたは複数の光センサ373も含む。光センサ373は、電荷結合デバイス(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光トランジスタを任意選択で含む。光センサ373は、環境から、1つまたは複数のレンズによって投影された光を受け取って、画像を表すデータに変換する。光センサ373は、スチル画像および/またはビデオを任意選択で取り込む。いくつかの実施形態では、光センサは、投薬計画の投与量デバイス250の後部にあって、投薬計画の投与量デバイス250の正面のディスプレイ282の反対側にあり、その結果、入力280は、スチル画像および/またはビデオ画像の収集のためのビューファインダとして使用され得る。いくつかの実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250の正面に別の光センサ373があって、(たとえば被験者の健康状態または体調を検証するため、被験者の身体活動レベルを判定するため、被験者の体調を遠隔で診断するのを支援するため、あるいは被験者の目に見える生理的測定取得値を獲得するためなどの)被験者の画像が得られる。
【0056】
図3に図解されているように、投薬計画の投与量デバイス250は、好ましくは様々な基本システムサービスを扱うためのプロシージャを含むオペレーティングシステム202を備える。オペレーティングシステム202(たとえば、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、WINDOWS、またはVxWorksなどの組込み型オペレーティングシステム)は、全体的なシステムタスクの制御および管理(たとえばメモリ管理、記憶デバイス制御、パワーマネジメントなど)のための様々なソフトウェアコンポーネントおよび/またはドライバを含み、様々なハードウェアとソフトウェアコンポーネントの間の通信を容易にする。
【0057】
いくつかの実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250はスマートフォンである。他の実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250はスマートフォンではなく、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、緊急車両コンピュータまたは他の形態の有線もしくはワイヤレスのネットワーク化されたデバイスである。いくつかの実施形態では、投薬計画の投与量デバイス250は、
図2または
図3に表された投薬計画の投与量デバイス250にある回路、ハードウェアコンポーネント、およびソフトウェアコンポーネントのうちのいずれかまたはすべてを有する。簡潔さおよび明瞭さのために、投薬計画の投与量デバイス250にインストールされている追加のソフトウェアモジュールをより強調するように、投薬計画の投与量デバイス250の少数の可能な構成要素のみが示されている。
【0058】
図1に開示されたシステム48はスタンドアロンで正常に機能することができるが、いくつかの実施形態では、何らかのやり方で情報を交換するように電子カルテとリンクすることもできる。
【0059】
被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量210を調節するためのシステム48の詳細が開示されたので、本開示の一実施形態によるプロセスの流れ図およびシステムの特徴に関する詳細が、
図4A〜
図4Dを参照しながら開示される。いくつかの実施形態では、そのようなプロセスおよびシステムの特徴は、
図2および
図3に図解されたインスリン投与量調節モジュール204によって実行される。
【0060】
ブロック402〜404。
図4Aのブロック402を参照して、1型真性糖尿病または2型真性糖尿病のどちらかを伴う被験者におけるインスリン療法の目的は、空腹時および食後の血漿グルコースを通常の生理的インスリン分泌にできる限り一致させるように制御することである。
図2に図解されるように、有効なインスリン投薬計画206を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量210を調節するためのデバイス250が提供されている。有効なインスリン投薬計画は、短期作用のインスリン薬剤210を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画208および長期作用のインスリン薬剤214を用いる基礎インスリン薬剤投与計画212を備える。
【0061】
図4Aのブロック404を参照して、いくつかの実施形態では、短期作用のインスリン薬剤210は、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る。そのような短期作用のインスリン薬剤の例は、限定されるものではないが、Lispro(HUMALOG、2001年5月18日、insulin lispro [rDNA origin] injection、インディアナ州インディアナポリス:Eli Lilly and Company)、Aspart(NOVOLOG、2011年7月、insulin aspart [rDNA origin] injection、ニュージャージー州プリンストン、NOVO NORDISK Inc.、2011年7月)、Glulisine(Helms Kelley、2009年、「Insulin glulisine: an evaluation of its pharmacodynamic properties and clinical application」、Ann Pharmacother 43:658〜668)、およびRegular(Gerich、2002年、「Novel insulins:expanding options in diabetes management」、Am J Med. 113:308〜316)を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、長期作用のインスリン薬剤214は、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成るものである。そのような長期作用のインスリン薬剤の例は、限定されるものではないが、Insulin Degludec(NOVO NORDISKによってTresibaの商標で開発されたもの)、NPH(Schmid、2007年、「New options in insulin therapy」、J Pediatria(Rio J). 83(Suppl 5):S146〜S155)、Glargine(LANTUS、2007年3月2日)、Insulin Glargine [rDNA origin] injection (Dunnら、2003年、「An Updated Review of its Use in the Management of Diabetes Mellitus」、Drugs 63:1743頁)、およびDetermir(Plankら、2005年、「A double−blind, randomized, dose−response study investigating the pharmacodynamic and pharmacokinetic properties of the long−acting insulin analog detemir」、Diabetes Care 28:1107〜1112)を含む。
【0063】
ブロック406。
図4Aのブロック406を参照して、投薬計画の投与量デバイス250は1つまたは複数のプロセッサ274およびメモリ192/290を備える。メモリは、短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、短期作用のインスリン薬剤210に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216を記憶する。メモリは、長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、長期作用のインスリン薬剤214に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218も記憶する。
【0064】
ブロック408。
図4Aのブロック406を参照して、メモリがさらに記憶している命令は、1つまたは複数のプロセッサ274によって実行されたとき、有効なインスリン投薬計画206を適用するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペン104から第1のデータセット220を得る方法を遂行する。第1のデータセット220は、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を備える。それぞれのインスリン薬剤記録222が、(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペン104を使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量226を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント224と、(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤210および(b)長期作用のインスリン薬剤214のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ228と、(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペン104によって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプ230とを備える。
【0065】
ブロック410〜422。
図4Bのブロック410において、インスリン投与量調節モジュール204が、予期された食事イベントの警報を受ける状況が生じる。たとえば、いくつかの実施形態では、被験者が、インスリン投与量調節モジュール204によって提供されたグラフィカルユーザインターフェースにおけるアフォーダンス(たとえば対話型のラジオボタン)を切り換えることがある。いくつかのそのような実施形態では、ユーザは、予期された食事イベントにおける推定された炭水化物の量など、予期された食事イベントのパラメータを指定してよく、任意選択で、これらの炭水化物の血糖インデックス、予期された食事イベントの脂肪含有量、および/または予期された食事イベントのサイズ(たとえばカロリーの単位)を指定し得る。他の実施形態では、予期された食事イベントがカレンダーに記入され、ユーザからの入力は不要である。そのような実施形態の一例では、被験者が朝食を食べるとき、その日の昼食および夕食がカレンダーに記入され、これらのカレンダーに記入された各々の食事によってインスリン投与量調節モジュール204のアクションが起動される。予期された食事に関するインスリン投与量調節モジュール204への警報は、予期された食事の発生の、予測または実際の時間t
0を含む。インスリン投与量調節モジュール204が予期された食事イベントの警報を受ける機構に関係なく、所与の時間t
0に生じるまたは生じると推定された、被験者に関連する予期された食事イベントに応答して、獲得された第1のデータセット220を使用して、IOB
total=IOB
bolus+IOB
basalという関係から、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalが計算される。
【0066】
図6に図解する。
図6の上のパネル(A)は30時間にわたるグルコース濃度の図解であり、その間に、食事が、対応する短期作用のインスリン薬剤注射(ボーラス)を伴って3回摂取され、長期作用のインスリン薬剤(基礎)が1回注射されており、下のパネル(B)は、本開示の一実施形態による、短期作用のインスリン薬剤のインスリン、長期作用のインスリン薬剤のインスリン、およびそれらの合計について、すべての時点における活動状態のインスリン単位の推定を示す。基礎インスリン注射およびボーラスインスリン注射に関するインスリンペンデータが入手可能であれば、本開示は、PK/PDプロファイルを所与として、任意の所与の時点において各タイプのインスリンオンボード(IOB)(ボーラスおよび基礎)のどれだけの単位が活動中か推定することができる。
図6は、3つのボーラス注射および1つの基礎注射が取り入れられた場合の、合計の活動中のIOBが24時間の期間中に推定される様子を図解するものである。
【0067】
そのため、IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤210の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプ230を有する第1のデータセット220のインスリン薬剤記録222によって指示されるように、インスリンペン104を使用して被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤210の総量から計算される。たとえば、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216によって、短期作用のインスリン薬剤210の持続時間が30分であり、所与の日の予期された食事イベントの時間t
0が正午であると指示される事例を考える。そのような実施形態では、午前11時30分〜午後12時30分の間の注射イベントのタイムスタンプ230を有する短期作用のインスリン薬剤210の注射イベント(注射されたインスリン薬剤のタイプ228=短期作用のインスリン薬剤210)を含む、第1のデータセット220におけるあらゆるインスリン薬剤記録222がIOB
bolusに寄与することになる。いくつかの実施形態では、短期作用のインスリン薬剤210の2つ以上の注射イベントがIOB
bolusに寄与する。
【0068】
同様に、IOB
basalは、長期作用のインスリン薬剤214の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプ230を有する第1のデータセット220のインスリン薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤214の総量から計算される。たとえば、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218によって、長期作用のインスリン薬剤214の持続時間が6時間であり、所与の日の予期された食事イベントの時間t
0が正午であると指示される事例を考える。そのような実施形態では、午前6時〜午後6時の間の注射イベントのタイムスタンプ230を有する長期作用のインスリン薬剤214の注射イベント(注射されたインスリン薬剤のタイプ228=長期作用のインスリン薬剤214)を含む、第1のデータセット220におけるあらゆるインスリン薬剤記録222がIOB
basalに寄与することになる。いくつかの実施形態では、長期作用のインスリン薬剤214の2つ以上の注射イベントがIOB
basalに寄与する。
【0069】
図4Bのブロック412を参照して、いくつかの実施形態では、それぞれの長期作用のインスリン薬剤214の注射イベントと、予期された食事イベントの時間t
0の間の時間の量は、それぞれの長期作用のインスリン薬剤214の注射イベントがIOB
basalに寄与する量をディスカウントするのに役立つ。そのような実施形態では、IOB
basalは、長期作用のインスリン薬剤214の、予期された食事イベントの所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプ230を有する第1のデータセット220のインスリン薬剤記録222によって指示されるような、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。しかしながら、そのような実施形態における長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内の、第1のデータセット220のインスリン薬剤記録222によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤214のそれぞれの量は、長期作用のインスリン薬剤に関して記憶された基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218に従って、それぞれの量の長期作用のインスリン薬剤214が被験者に注射された時刻(対応する注射イベントのタイムスタンプ230によって指示される)と予期された食事イベントの所与の時間t
0の間の時間の量だけディスカウントされる。
【0070】
図4Bのブロック414に図解されているやり方では、いくつかのそのような実施形態において、基礎注射イベントと、予期された食事イベントの時間t
0の間の時間の量が、ディスカウントされる。ブロック414において、第1のデータセット220は、予期された食事イベントの所与の時間t
0までの、長期作用のインスリン薬剤の持続時間(基礎インスリン薬剤の持続時間プロファイル218によって指定される)の範囲内の単一の時間t
1において、被験者が長期作用のインスリン薬剤214を注射したことを指示する。そこで、時間t
1における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basalが次式で計算され、
D
basalは時間t
1において注射された長期作用のインスリン薬剤214の投与量であり、T
basalはt
1とt
0の間の経過時間であり、f
basal(T
basal)は、任意の値T
basalに対してプラスのDIA
basal以下の(常に0より大きい)値を有する、T
basalの線形または非線形の関数(たとえば多項式関数、べき級数、対数関数、指数関数、指数関数または対数関数の級数展開、テイラー級数、常微分方程式など)であって、DIA
basalは基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218から得られた長期作用のインスリン薬剤の持続時間である。たとえば、いくつかの実施形態では、f
basal(T
basal)はT
basalである。言い換えれば、いくつかの実施形態では、f
basal(T
basal)は単純にT
basalの値である。いくつかの実施形態では、T
basalの線形または非線形の関数は、所与の長期作用のインスリン薬剤214の絶対量、長期作用のインスリン薬剤214の医薬品製剤、長期作用のインスリン薬剤214の半減期、および/または治験もしくは他の公表された研究で判定されるような長期作用のインスリン薬剤214の濃度反応曲線の勾配などの長期作用のインスリン薬剤214の1つまたは複数の特性を担うことにより、長期作用のインスリン薬剤214の薬物作用の経時的な減少を担う。いくつかの実施形態では、f
basal(T
basal)は長期作用のインスリン薬剤214に関する公表された用量−反応曲線を使用して計算される。すなわち、基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218に記憶された(またはインスリン投与量調節モジュール204にとって電子的にアクセス可能な)、長期作用のインスリン薬剤214に関する公表された用量−反応曲線は、式
が、C
basalを、パラメータD
basalおよびT
basalの関数として正確に反映するように、f
basal(T
basal)をモデル化するのに使用される。
【0071】
ブロック414において与えられた式は単なる例示であり、予期された食事イベントの時間t
0までの長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内で生じる所与の基礎注射イベント向けのC
basalについて、基礎注射イベントにおいて注射された長期作用のインスリン薬剤214の絶対量、長期作用のインスリン薬剤214の医薬品製剤、長期作用のインスリン薬剤214の半減期、長期作用のインスリン薬剤214の濃度反応曲線の勾配および/または長期作用のインスリン薬剤214の他の薬物動態の特性を担うことにより、注射イベントのC
basalに対する寄与を、時間経過を基にディスカウントするいかなる式も本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0072】
図4Cのブロック416は、C
basalに対する寄与を、時間の関数としてディスカウントする議論を、予期された食事イベントの時間t
0までの長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内に2つの基礎注射イベントが生じる事例へと拡大するものである。この例示的実施形態では、第1のデータセット220は、長期作用のインスリン薬剤の、予期された食事イベントの所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の時間t
1および時間t
2において、被験者が長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示する。時間t
1における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal1は次式で計算される。
ここで、D
basal1は時間t
1において注射された長期作用の薬剤214の投与量であり、T
basal1はt
1とt
0の間の経過時間であり、f
basal(T
basal1)は、任意の値T
basal1に対してプラスのDIA
basal以下の(常に0より大きい)値を有する、T
basal1の線形または非線形の関数(たとえば多項式関数、べき級数、対数関数、指数関数、指数関数または対数関数の級数展開、テイラー級数、常微分方程式など)であって、DIA
basalは基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた長期作用のインスリン薬剤の持続時間である。いくつかの実施形態では、f
basal(T
basal1)はT
basalである。言い換えれば、いくつかの実施形態では、f
basal(T
basal1)は単純にT
basalの値である。また、時間t
2における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal2は次式で計算され、
D
basal2は時間t
2において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、T
basal2はt
2とt
0の間の経過時間であり、f
basal(T
basal2)は、任意の値T
basal2に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal2の線形または非線形の関数(たとえば多項式関数、べき級数、対数関数、指数関数、指数関数または対数関数の級数展開、テイラー級数、常微分方程式など)である。
【0073】
ブロック416において与えられた式は単なる例示であり、予期された食事イベントの時間t
0までの長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内で生じる所与の基礎注射イベントの組合せ向けのC
basalについて、基礎注射イベントの各々において注射された長期作用のインスリン薬剤214の絶対量、長期作用のインスリン薬剤214の医薬品製剤、長期作用のインスリン薬剤214の半減期、長期作用のインスリン薬剤214の濃度反応曲線の勾配および/または長期作用のインスリン薬剤214の他の薬物動態の特性を担うことにより、注射イベントのC
basalに対する寄与を、時間経過を基にディスカウントするいかなる式も本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0074】
図4Cのブロック418を参照して、ブロック412のIOB
bolusの対応する事例と同様に、いくつかの実施形態では、それぞれの短期作用のインスリン薬剤210の注射イベントと、予期された食事イベントの時間t
0の間の時間の量は、それぞれの短期作用のインスリン薬剤210の注射イベントがIOB
bolusに寄与する量をディスカウントするのに役立つ。したがって、いくつかの実施形態では、IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤210の、予期された食事イベントの所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプ230を有する第1のデータセット220のインスリン薬剤記録によって指示される被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算される。短期作用のインスリン薬剤210の持続時間の範囲内の第1のデータセット220のインスリン薬剤記録222によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量は、短期作用のインスリン薬剤210に関して記憶されたボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216に従って、それぞれの量の短期作用のインスリン薬剤が被験者に注射された時刻と所与の時間t
0の間の時間の量だけディスカウントされる。
【0075】
図4Dのブロック420に図解されているやり方では、いくつかのそのような実施形態において、ボーラス注射イベントと、予期された食事イベントの時間t
0の間の時間の量が、ディスカウントされる。ブロック420において、第1のデータセット220は、予期された食事イベントの所与の時間t
0までの、短期作用のインスリン薬剤の持続時間(ボーラスインスリン薬剤の持続時間プロファイル216によって指定される)の範囲内の単一の時間t
1において、被験者が短期作用のインスリン薬剤210を注射したことを指示する。そこで、時間t
1における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolusが次式で計算され、
D
bolusは時間t
1において注射された短期作用のインスリン薬剤210の投与量であり、T
bolusはt
1とt
0の間の経過時間であり、f
bolus(T
bolus)は、任意の値T
bolusに対してプラスのDIA
bolus以下の(常に0より大きい)値を有する、T
bolusの線形または非線形の関数(たとえば多項式関数、べき級数、対数関数、指数関数、指数関数または対数関数の級数展開、テイラー級数、常微分方程式など)であって、DIA
bolusは、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216から得られた短期作用のインスリン薬剤の持続時間である。たとえば、いくつかの実施形態では、f
bolus(T
bolus)はT
bolusである。言い換えれば、いくつかの実施形態では、f
bolus(T
bolus)は単純にT
bolusの値である。いくつかの実施形態では、T
bolusの線形または非線形の関数は、それぞれの注射で与えられた短期作用のインスリン薬剤210の絶対量、短期作用のインスリン薬剤210の医薬品製剤、短期作用のインスリン薬剤210の半減期、および/または治験もしくは他の公表された研究で判定されるような短期作用のインスリン薬剤210の濃度反応曲線の勾配などの短期作用のインスリン薬剤210の1つまたは複数の特性を担うことにより、短期作用のインスリン薬剤210の薬物作用の経時的な減少を担う。いくつかの実施形態では、f
bolus(T
bolus)は短期作用のインスリン薬剤210に関する公表された用量−反応曲線を使用して計算される。すなわち、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216に記憶された(またはインスリン投与量調節モジュール204にとって電子的にアクセス可能な)、短期作用のインスリン薬剤210に関する公表された用量−反応曲線は、式
が、C
bolusを、パラメータD
bolusおよびT
bolusの関数として正確に反映するように、f
bolus(T
bolus)をモデル化するのに使用される。
【0076】
ブロック420において与えられた式は単なる例示であり、予期された食事イベントの時間t
0までの短期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内で生じる所与の基礎注射イベント向けのC
bolusについて、ボーラス注射イベントにおいて注射された短期作用のインスリン薬剤210の絶対量、短期作用のインスリン薬剤210の医薬品製剤、短期作用のインスリン薬剤210の半減期、短期作用のインスリン薬剤210の濃度反応曲線の勾配および/または短期作用のインスリン薬剤210の他の薬物動態の特性を担うことにより、注射イベントのC
bolusに対する寄与を、時間経過を基にディスカウントするいかなる式も本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0077】
図4Dのブロック422は、C
bolusに対する寄与を、時間の関数としてディスカウントする議論を、予期された食事イベントの時間t
0までの短期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内に2つのボーラス注射イベントが生じる事例へと拡大するものである。この例示的実施形態では、第1のデータセット220は、短期作用のインスリン薬剤の、予期された食事イベントの所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の時間t
1および時間t
2において、被験者が短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示する。時間t
1における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolus1は次式で計算され、
ここで、D
bolus1は時間t
1において注射された短期作用の薬剤210の投与量であり、T
bolus1はt
1とt
0の間の経過時間であり、f
bolus(T
bolus1)は、任意の値T
bolus1に対してプラスのDIA
bolus以下の(常に0より大きい)値を有する、T
bolus1の線形または非線形の関数(たとえば多項式関数、べき級数、対数関数、指数関数、指数関数または対数関数の級数展開、テイラー級数、常微分方程式など)であって、DIA
bolusは、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた短期作用のインスリン薬剤の持続時間である。いくつかの実施形態では、f
bolus(T
bolus1)はT
bolusである。言い換えれば、いくつかの実施形態では、f
bolus(T
bolus1)は単純にT
bolusの値である。また、時間t
2における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolus2は次式で計算され、
D
bolus2は時間t
2において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、T
bolus2はt
2とt
0の間の経過時間であり、f
bolus(T
basal2)は、任意の値T
bolus2に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus2の線形または非線形の関数(たとえば多項式関数、べき級数、対数関数、指数関数、指数関数または対数関数の級数展開、テイラー級数、常微分方程式など)である。
【0078】
ブロック422において与えられた式は単なる例示であり、予期された食事イベントの時間t
0までの短期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内で生じる所与のボーラス注射イベントの組合せ向けのC
bolusについて、ボーラス注射イベントの各々において注射された短期作用のインスリン薬剤210の絶対量、短期作用のインスリン薬剤210の医薬品製剤、短期作用のインスリン薬剤210の半減期、短期作用のインスリン薬剤210の濃度反応曲線の勾配および/または短期作用のインスリン薬剤210の他の薬物動態の特性を担うことにより、注射イベントのC
bolusに対する寄与を、時間経過を基にディスカウントするいかなる式も本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0079】
ブロック424〜432。
図4Eのブロック424において、この方法は、上記で計算されたIOB
totalを使用して、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を計算することにより継続する。
【0080】
たとえば、
図4Eのブロック426を参照して、いくつかの実施形態では、メモリ192/290は、(i)被験者のインスリン感性係数232、(ii)被験者向けの炭水化物対インスリンの比234、および(iii)被験者の目標の血中グルコースレベル236(BG
ref)をさらに記憶する。そのような実施形態では、この方法は、被験者の複数の自律性のグルコース測定取得値と、複数の自律性のグルコース測定取得値におけるそれぞれの自律性のグルコース測定取得値240についてそれぞれの測定が行われた時刻を表すグルコース測定取得値のタイムスタンプ242とを備える第2のデータセット238を得ることをさらに備える。一般的な実施形態では、これらの自律性のグルコース測定取得値は1つまたは複数のグルコースセンサ102からのものである。
図2に図解する。それぞれのそのような自律性のグルコース測定取得値240は、それぞれの測定が行われた時刻を表すように、グルコース測定タイムスタンプ242を付与される。したがって、一般的な実施形態では、自律性のグルコース測定取得値は人間の介入なしで測定される。すなわち、被験者が自律性のグルコース測定を手動で行うことはない。本開示の代替実施形態では、被験者または医療関係者はグルコース測定を手動で行い、そのような手動によるグルコース測定取得値は、第2のデータセット238における自律性のグルコース測定取得値240に対する置換または補足として使用される。
【0081】
自律性のグルコース測定取得値が使用される実施形態では、ABBOTT社のFREESTYLE LIBRE CGM(「LIBRE」)などのデバイスは、被験者の複数の自律性のグルコース測定を行うためのグルコースセンサ102として役立ち得る。LIBREは、皮膚表面のコインサイズのセンサと互いに接近したときには近距離無線通信によって較正なしのグルコース測定を可能にするものであり、このセンサは、リーダデバイス(たとえばデータ収集デバイス200および/または投薬計画の投与量デバイス250)に最大8時間のデータを送ることができる。LIBREは、すべての日常の生活活動において14日間着用され得る。いくつかの実施形態では、自律性のグルコース測定取得値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、被験者から自律的に取得される。いくつかの実施形態では、自律性のグルコース測定取得値は、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、1日以上、2日以上、1週間以上、または2週間以上の期間にわたって、被験者から取得される。いくつかの実施形態では、自律性のグルコース測定取得値は自律的に(たとえば人間の努力や人間の介入などなしで)取得される。
【0082】
いくつかの実施形態では、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(Bolus)を次式によって計算するために、上記で論じたように得られたIOB
totalが使用され、
「Bolus」は計算される短期作用のインスリン薬剤投与量であり、「Food ingested in gCHO」は予期された食事イベントのタイプに基づいて推定され、「Carb to Inslin ratio」は記憶された被験者の炭水化物対インスリンの比であり、「BG」は第2のデータセットから得られた被験者の現在の血中グルコースであり、「BG
ref」は被験者の目標の血中グルコースであって、「ISF」は被験者のインスリン感性係数である。
【0083】
ブロック426で与えられた式は単なる例示であり、「Bolus」を計算するのにIOB
totalを考慮に入れるいかなる式も本開示の範囲内であることが理解されよう。「Bolus」を計算するためのそのような式は、IOB
totalに加えて任意数の係数を考慮に入れてよい。たとえば、いくつかの実施形態では、そのような式は「Food ingested in gCHO」(予期された食事イベントのタイプに基づいて推定される)、「Carb to Inslin ratio」(記憶された被験者の炭水化物対インスリンの比)、「BG」(第2のデータセットから得られた被験者の現在の血中グルコース)、「BG
ref」(被験者の目標の血中グルコース)、および「ISF」(被験者のインスリン感性係数)を考慮に入れる。いくつかの実施形態では、そのような式は、「Food ingested in gCHO」(予期された食事イベントのタイプに基づいて推定される)、「Carb to Inslin ratio」(記憶された被験者の炭水化物対インスリンの比)、「BG」(第2のデータセットから得られた被験者の現在の血中グルコース)、「BG
ref」(被験者の目標の血中グルコース)、「ISF」(被験者のインスリン感性係数)、予期された食事イベントにおける炭水化物の推定された量、これらの炭水化物の血糖指数、予期された食事イベントの脂肪の含有量、および予期された食事イベントのサイズ(たとえばカロリーの単位)といった任意の2つ以上、3つ以上、または4つ以上の係数を考慮に入れる。
【0084】
ブロック430を参照して、いくつかの実施形態では、予期された食事イベントのタイプは、「朝食」、「昼食」、および「夕食」のうちの1つであり、メモリ192/290は、各タイプの予期された食事イベントについて異なる「Food ingested in gCHO値」を記憶する。ブロック432を参照して、いくつかの実施形態では、このデバイスはワイヤレス受信器をさらに備え、第2のデータセットは被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる。
【0085】
ブロック434。
図4Eのブロック434において、この方法は、予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を、(i)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、被験者に通信すること、または(ii)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信することで継続する。有利には、予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を通信されることにより、被験者は、医療関係者の訪問の間に、食事イベントに関連した短期作用のインスリン薬剤投与量を最適化することができる。
【実施例】
【0086】
図7は、患者が基礎インスリンを朝取得するが、ボーラスサイズを判定するとき、ボーラスIOBのみが考慮される状況を図解するものである。大きな用量の基礎インスリンが7時に取り込まれたことをアルゴリズムが識別しないので、8時における食事および高血糖を補償するために次式で全ボーラスが計算される(これはボーラスインスリンを計算する従来のやり方である)。
【0087】
しかしながら、高血糖の一部分が基礎注射によって補償され、したがって、8時に取り込まれたボーラスが過多であって低血糖(円で指示されている)を引き起こす。
【0088】
図8には類似の状況が図解されているが、ここで本開示のシステムおよび方法は、合計のインスリンオンボード推定を次式で計算して、ボーラス注射のサイズを判定するときこれを担うものであり、
aはボーラスから差し引く基礎単位の割合を指示する。そのゆえに、本開示のシステムおよび方法は、7時において多量の基礎注射が取り込まれたことを識別して、8時には、基礎として与えられた単位の割合を差し引く。
【0089】
実施形態のリスト
実施形態1
有効なインスリン投薬計画206を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量210を調節するためのデバイス250であって、
有効なインスリン投薬計画が、短期作用のインスリン薬剤210を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画208および長期作用のインスリン薬剤214を用いる基礎インスリン薬剤投与計画212を含み、
デバイス250が1つまたは複数のプロセッサ274およびメモリ192/290を備え、メモリが、
短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイル216と、
長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイル218とを記憶しており、
メモリにさらに記憶されている命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
有効なインスリン投薬計画を適用するために、被験者が使用する1つまたは複数のインスリンペンから第1のデータセット220を得ることであって、第1のデータセットが、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録222を含み、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、
(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペン104を使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量226を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベント224と、
(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプ228と、
(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプ230とを含む、得ることと、
被験者に関連した所与の時間t
0における予期された食事イベントの指示を受け取るのに応答して、
第1のデータセットを使用して、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalを次式の関係から計算することであって、
IOB
total=IOB
bolus+IOB
basal
ここにおいて、
IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
IOB
basalは、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される、計算することと、
IOB
totalを使用して、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を計算することと、
予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を、(i)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、被験者に通信する、または(ii)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信することとの方法を遂行する、デバイス。
実施形態2
メモリが、(i)被験者のインスリン感性係数232、(ii)被験者向けの炭水化物対インスリンの比234、および(iii)被験者の目標の血中グルコースレベル236(BG
ref)をさらに記憶し、
上記の方法が、
被験者の複数の自律性のグルコース測定取得値と、複数の自律性のグルコース測定取得値におけるそれぞれの自律性のグルコース測定取得値240について、それぞれの測定が行われた時刻を表すグルコース測定取得値のタイムスタンプ242とを含む、第2のデータセット238を得ることをさらに含み、ここにおいて、
IOB
totalを使用して被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量(Bolus)を計算することが、次式を使用し、
ここにおいて、
Bolusは短期作用のインスリン薬剤投与量であり、
Food ingested in gCHOは予期された食事イベントのタイプに基づいて推定され、
Carb to Insulin ratioは記憶された被験者の炭水化物対インスリンの比であり、
BGは第2のデータセットから得られた被験者の現在の血中グルコースであり、
BG
refは被験者の目標の血中グルコースであって、
ISFは被験者のインスリン感性係数である、実施形態1に記載のデバイス。
実施形態3
予期された食事イベントのタイプが、「朝食」、「昼食」、および「夕食」のうちの1つであり、メモリが、各タイプの予期された食事イベントについて、異なるFood ingested in gCHO値を記憶する、実施形態2に記載のデバイス。
実施形態4
IOB
basalが、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
長期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内の第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量が、長期作用のインスリン薬剤に関して記憶された基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルに従って、それぞれの量の長期作用のインスリン薬剤が被験者に注射された時刻と所与の時間t
0の間の時間の量だけディスカウントされる、実施形態1から3のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態5
第1のデータセットは、被験者が、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の単一の時間t
1において長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、時間t
1における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basalが次式で計算され、
ここにおいて、
D
basalは時間t
1において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、
T
basalはt
1とt
0の間の経過時間であり、
f
basal(T
basal)は、任意の値T
basalに対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basalの線形または非線形の関数であり、
DIA
basalは基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた長期作用のインスリン薬剤の持続時間である、実施形態4に記載のデバイス。
実施形態6
f
basal(T
basal)がT
basalである、実施形態5に記載のデバイス。
実施形態7
第1のデータセットが、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の時間t
1および時間t
2において被験者が長期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、
時間t
1における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal1が次式で計算され、
ここにおいて、
D
basal1は時間t
1において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、
T
basal1はt
1とt
0の間の経過時間であり、
f
basal(T
basal1)は、任意の値T
basal1に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal1の線形または非線形の関数であり、
DIA
basalは基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた長期作用のインスリン薬剤の持続時間であって、
時間t
2における長期作用のインスリン薬剤のIOB
basalに対する寄与C
basal2が次式で計算され、
ここにおいて、
D
basal2は時間t
2において注射された長期作用の薬剤の投与量であり、
T
basa2はt
2とt
0の間の経過時間であって、
f
basal(T
basal2)は、任意の値T
basal2に対してプラスのDIA
basal以下の値を有する、T
basal2の線形または非線形の関数である、実施形態4に記載のデバイス。
実施形態8
IOB
bolusが、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
短期作用のインスリン薬剤の持続時間の範囲内の第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤のそれぞれの量が、短期作用のインスリン薬剤に関して記憶されたボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルに従って、それぞれの量の短期作用のインスリン薬剤が被験者に注射された時刻と所与の時間t
0の間の時間の量だけディスカウントされる、実施形態1から6のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態9
第1のデータセットが、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の単一の時間t
3において被験者が短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、
時間t
3における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolusが次式で計算され、
ここにおいて、
D
bolusは時間t
3において注射された短期作用の薬剤の投与量であり、
T
bolusはt
3とt
0の間の経過時間であり、
f
bolus(T
bolus)は、任意の値T
bolusに対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolusの線形または非線形の関数であって、
DIA
bolusは、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた短期作用のインスリン薬剤の持続時間である、実施形態8に記載のデバイス。
実施形態10
f
bolus(T
bolus)がT
bolusである、実施形態9に記載のデバイス。
実施形態11
第1のデータセットが、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内の第1の時間t
3および第2の時間t
4において被験者が短期作用のインスリン薬剤を注射したことを指示し、
時間t
3における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolus1が次式で計算され、
ここにおいて、
D
bolus1は時間t
3において注射された短期作用の薬剤の投与量であり、
T
bolus1はt
3とt
0の間の経過時間であり、
f
bolus(T
bolus1)は、任意の値T
bolus1に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus1の線形または非線形の関数であって、
DIA
bolusは、ボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルから得られた短期作用のインスリン薬剤の持続時間であり、
時間t
4における短期作用のインスリン薬剤のIOB
bolusに対する寄与C
bolus2が次式で計算され、
ここにおいて、
D
bolus2は時間t
4において注射された短期作用の薬剤の投与量であり、
T
bolus2はt
4とt
0の間の経過時間であって、
f
bolus(T
bolus2)は、任意の値T
bolus2に対してプラスのDIA
bolus以下の値を有する、T
bolus2の線形または非線形の関数である、実施形態8に記載のデバイス。
実施形態12
第2のデータセットの複数の自律性のグルコース測定取得値における連続した測定取得値が、5分以下、3分以下、または1分以下の間隔で、被験者から自律的に取得される、実施形態2に記載のデバイス。
実施形態13
ワイヤレス受信器をさらに備えるデバイスであって、第2のデータセットが、被験者に付けたグルコースセンサからワイヤレスで得られる、実施形態2に記載のデバイス。
実施形態14
短期作用のインスリン薬剤が、3〜8時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または3〜8時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成り、
長期作用のインスリン薬剤が、12〜24時間の作用持続時間を有する1つのインスリン薬剤または12〜24時間の作用持続時間を総体として有するインスリン薬剤の混合物から成る、実施形態1から13のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態15
有効なインスリン投薬計画を用いて、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を調節するための方法であって、
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータにおいて、
メモリが、
短期作用のインスリン薬剤を用いるボーラスインスリン薬剤投与計画および長期作用のインスリン薬剤を用いる基礎インスリン薬剤投与計画を含む有効なインスリン投薬計画と、
短期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、短期作用のインスリン薬剤に関するボーラスインスリン薬剤の作用持続時間プロファイルと、
長期作用のインスリン薬剤の持続時間によって特徴づけられる、長期作用のインスリン薬剤に関する基礎インスリン薬剤の作用持続時間プロファイルとを記憶しており、
メモリにさらに記憶されている命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、
有効なインスリン投薬計画を適用するために被験者によって使用される1つまたは複数のインスリンペンから、時間的経過にわたる複数のインスリン薬剤記録を含む第1のデータセットを得ることであって、複数の薬剤記録におけるそれぞれのインスリン薬剤記録が、
(i)1つまたは複数のインスリンペンにおけるそれぞれのインスリンペンを使用して被験者に注射されたインスリン薬剤の量を含む、それぞれのインスリン薬剤注射イベントと、
(ii)(a)短期作用のインスリン薬剤および(b)長期作用のインスリン薬剤のうちの1つから被験者に注射されたインスリン薬剤のそれぞれのタイプと、
(iii)それぞれのインスリン薬剤注射イベントと同時にそれぞれのインスリンペンによって自動的に発生された、時間的経過の範囲内の対応する注射イベントの電子的タイムスタンプとを含む、得ることと、
被験者に関連した所与の時間t
0における予期された食事イベントの指示を受け取るのに応答して、
第1のデータセットを使用して、被験者の合計のインスリンオンボードIOB
totalを次式の関係から計算することであって、
IOB
total=IOB
bolus+IOB
basal
ここにおいて、
IOB
bolusは、短期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する複数の薬剤記録における薬剤記録によって指示される、被験者に注射された短期作用のインスリン薬剤の総量から計算され、
IOB
basalは、長期作用のインスリン薬剤の所与の時間t
0までの持続時間の範囲内にある注射イベントのタイムスタンプを有する第1のデータセットの薬剤記録によって指示される、被験者に注射された長期作用のインスリン薬剤の総量から計算される、計算することと、
IOB
totalを使用して、被験者の予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を計算することと、
予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を、(i)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量を手動調節するために、被験者に通信すること、または(ii)予期された食事イベント向けの短期作用のインスリン薬剤投与量の自動調節のために、短期作用のインスリン薬剤で満たされた1つまたは複数のインスリンペンにおけるインスリンペンに通信することとの方法を遂行する、方法。
実施形態16
1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき実施形態15に記載の方法を遂行する命令を含む、コンピュータプログラム。
実施形態17
実施形態16に記載のコンピュータプログラムを記憶している、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【0090】
引用された参考文献および代替実施形態
本明細書で引用されたすべての参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれるものであり、すべての目的のために、個々の刊行物または特許または特許出願が、あたかもその全体が、すべての目的のために参照によって組み込まれているかのように、同じ程度まで具体的かつ個々に指示された。
【0091】
本発明は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれたコンピュータプログラム機構を含むコンピュータプログラム製品として実施され得る。たとえば、コンピュータプログラム製品は、
図1、
図2、
図3、
図5の任意の組合せで示されたプログラムモジュールおよび/または
図4で説明されたプログラムモジュールを含有することもできる。これらのプログラムモジュールは、CD−ROM、DVD、磁気ディスク記憶製品、USBキー、または何らかの他の非一時的なコンピュータ可読のデータまたはプログラムの記憶製品に記憶され得る。
【0092】
この発明の多くの修正形態および変形形態が、この発明の精神および範囲から逸脱することなく作製され得ることは、当業者には明白であろう。本明細書で説明された特定の実施形態は、例としてのみ提供されたものである。これらの実施形態は、本発明の原理および実際の用途について最適に説明することにより、他の当業者が、本発明および様々な変更を伴う様々な実施形態を、企図された特定の使用に適するものとして、最もよく利用することを可能にするように選択されて説明されたものである。本発明は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の完全な範囲と併せて、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】