特表2019-532840(P2019-532840A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-532840インプリント用テープ、その製造方法およびそれを含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-532840(P2019-532840A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】インプリント用テープ、その製造方法およびそれを含む物品
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/02 20060101AFI20191018BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20191018BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20191018BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   B29C59/02 B
   B32B3/10
   B32B27/34
   B32B27/36 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-515395(P2019-515395)
(86)(22)【出願日】2017年9月20日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月17日
(86)【国際出願番号】US2017052438
(87)【国際公開番号】WO2018057586
(87)【国際公開日】20180329
(31)【優先権主張番号】62/396,950
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517036013
【氏名又は名称】シャークレット テクノロジーズ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ストーンバーグ,ライアン・イー
(72)【発明者】
【氏名】スィールマン,ウォルター・エス
【テーマコード(参考)】
4F100
4F209
【Fターム(参考)】
4F100AB00B
4F100AD00B
4F100AK25C
4F100AK45A
4F100AK49B
4F100AK52C
4F100AK53C
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA26A
4F100BA26B
4F100CB00C
4F100DB08C
4F100DC22B
4F100EJ05C
4F100HB00A
4F100HB21A
4F100JA04A
4F100JA04B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F209AF01
4F209AG05
4F209AG08
4F209AJ03
4F209AJ09
4F209PA02
4F209PA08
4F209PB01
4F209PN06
4F209PQ09
4F209PQ11
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】 ここで開示されるのは第1層と第2層とを備える多層テープであり、第1層は第1表面と第2表面とを有し、第1層の第1表面に表面テクスチャーを有し、第2層は第1表面と第2表面とを有し、第2層の第1表面は、第2層の第2表面よりも第1層の第2表面に近接しており、第2層の第2表面は、多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と第2層とを備える多層テープであって、
前記第1層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第1層の前記第1表面に表面テクスチャーを有し、
前記第2層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第2層の前記第1表面は、前記第2層の前記第2表面よりも前記第1層の前記第2表面に近接しており、前記第2層の前記第2表面は、前記多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有する
ことを特徴とする多層テープ。
【請求項2】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第2層が、前記多層テープの長手方向に平行な複数の仕切りを有する、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項3】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記仕切りは、前記多層テープが前記テクスチャーを付与する相手の表面に接触したときに延伸するように作用する、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項4】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第1層と前記第2層との間に配置され前記第1層を前記第2層に結合するように作用する第3層をさらに備えることを特徴すとる多層テープ。
【請求項5】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第1層が前記第2層よりも低い軟化温度を有する、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項6】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第1層が130℃を超える軟化温度を有し、前記第2層が200℃を超える軟化温度を有する、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項7】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第1層がポリカーボネートを含み、前記第2層がポリイミドを含む、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項8】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第1層がポリカーボネートを含み、前記第2層が金属またはセラミックを含む、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項9】
請求項4に記載の多層テープにおいて、前記第3層が、シリコーン接着剤、アクリレート、エポキシ、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項10】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記第3層がシリコーン接着剤を含む、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項11】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記表面テクスチャーは複数のパターンを含み、各パターンは、間隔を置いて配置された複数のフィーチャーによって定義され、前記複数のフィーチャーはそれぞれ、実質的に異なる形状を有する少なくとも1つの隣接するフィーチャーを有し、隣接する離隔されたフィーチャーの間の平均間隔は、表面テクスチャーの少なくとも一部において約1nmから約1mmであり、複数の離隔されたフィーチャーは周期関数で表される、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項12】
請求項1に記載の多層テープにおいて、前記多層テープの幅方向の端部が斜めに切られている、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項13】
請求項4に記載の多層テープにおいて、前記第3層が架橋されている、ことを特徴とする多層テープ。
【請求項14】
第1層を第2層の上に配置して多層テープを形成する方法において、
前記第1層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第1層の前記第1表面に表面テクスチャーを有し、
前記第2層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第2層の前記第1表面は、前記第2層の前記第2表面よりも前記第1層の前記第2表面に近接しており、前記第2層の前記第2表面は、前記多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有し、
前記第1層を前記第2層に接着する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記第1層と前記第2層との間に第3層を配置することを特徴とする方法。
【請求項16】
デバイスを多層テープに接触させる方法において、
前記第1層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第1層の前記第1表面に表面テクスチャーを有し、
前記第2層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第2層の前記第1表面は、前記第2層の前記第2表面よりも前記第1層の前記第2表面に近接しており、前記第2層の前記第2表面は、前記多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有し、
前記デバイスと多層テープとを案内チューブを通して輸送し、前記多層チューブが前記管路と前記案内チューブとの間の前記管路の外側表面上に配置され、前記テープの長手軸が実質的に前記デバイスの長手軸と平行であり、
前記デバイスと前記多層鋳型とが前記案内チューブを通して輸送するときに、前記鋳型から前記デバイスにテクスチャーを転写する
方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記デバイスは、円形断面を有するシリンダーまたは導管である、ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示するのは、製造中にチューブおよびシリンダーの表面上にマイクロテクスチャーをインプリント(刻印)するために使用するテープである。より具体的には、ここで開示されるのは、製造中にカテーテルの表面にマイクロテクスチャーを刻印するために使用することができるテープである。
【背景技術】
【0002】
模様やその他の形態の表面加工(以下、「テクスチャー加工」という)を有する表面を利用して、有利に、表面への生物および他の形態の非生物物質(例えば、氷、ほこり、汚れなど)の付着を最小限に抑えることができる。テクスチャー加工は、表面での特定の生物または非生物の付着を特に防止すると同時に、表面への他の生物の成長または他の種類の非生物の付着を促進するように、寸法が選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、ある種の生物の成長を防ぐためには、テクスチャー加工の寸法はnmまたはμmの範囲になければならないが、他のある種の生物の成長を防ぐためには、テクスチャー加工の寸法はミリメートルまたはセンチメートルの範囲でなければならない。別の例として、ある種の生物の成長を促進するためには、テクスチャー加工の寸法はnmまたはμmの範囲内でなければならないが、他のある種の生物の成長を促進するためには、テクスチャー加工はミリメートルまたはセンチメートルの範囲でなければならない。このテクスチャー加工をサイズの大きい表面上(例えば、数平方センチメートルの面積)または複雑な形状を有する表面上(例えば、円形または球状の非平面表面)に再現することは、困難である。
【0004】
したがって、パターンの面積に対して大きな表面積を有するカテーテル上にテクスチャーリングを再現できる方法が望まれる。また、複雑な形状を有する表面、またはアクセスが困難な領域に位置する表面上に配置された表面上にテクスチャーを再現することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示されるのは第1層と第2層とを備える多層テープであり、第1層は第1表面と第2表面とを有し、第1層の第1表面に表面テクスチャーを有し、第2層は第1表面と第2表面とを有し、第2層の第1表面は、第2層の第2表面よりも第1層の第2表面に近接しており、第2層の第2表面は、多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有する。
【0006】
ここでは、第1層を第2層の上に配置して多層テープを形成する方法も開示される。この方法において、第1層は、第1表面と第2表面とを有し、第1層の第1表面に表面テクスチャーを有し、第2層は、第1表面と第2表面とを有し、第2層の第1表面は、第2層の第2表面よりも第1層の第2表面に近接しており、第2層の第2表面は、多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有し、第1層を第2層に接着する。
【0007】
ここでは、デバイスを多層テープに接触させる方法も開示される。この方法において、第1層は、第1表面と第2表面とを有し、第1層の第1表面に表面テクスチャーを有し、第2層は、第1表面と第2表面とを有し、第2層の第1表面は、第2層の第2表面よりも第1層の第2表面に近接しており、第2層の第2表面は、多層テープの長手方向に平行な少なくとも1つの仕切りを有し、デバイスと多層テープとを案内チューブを通して輸送し、多層チューブが管路と案内チューブとの間の管路の外側表面上に配置され、テープの長手軸が実質的に前記デバイスの長手軸と平行であり、デバイスと多層鋳型とが案内チューブを通して輸送するときに、鋳型からデバイスにテクスチャーを転写する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、表面にテクスチャーを付与するために使用される典型的な多層テープの上面および側面の概略図である。
図2図2は、湾曲したときにテクスチャーを表面に付与するために使用されて、湾曲した表面にテクスチャー加工する典型的な多層テープの別の概略図である。
図3A図3Aは、多層テープによって表面に付与される1つの可能なテクスチャーを示す。
図3B図3Bは、多層テープによって表面に付与される他の可能なテクスチャーを示す。
図3C図3Cは、多層テープによって表面に付与される他の可能なテクスチャーを示す。
図3D図3Dは、多層テープによって表面に付与される他の可能なテクスチャーを示す。
図4図4は、曲面を有する物体の周りに巻き付けられたときの多層テープの断面の典型的な一実施形態を示す図である。
図5図5は、曲面を有する物体の周りに巻き付けられたときの多層テープの断面の別の典型的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで開示されるのは、製造中に表面にテクスチャーを付与するための多層テープである。一実施形態では、多層テープを使用して、平坦な表面または湾曲した表面に製造中にテクスチャーを付与することもできる。平坦面は、フィルム面を含むことができ、一方、湾曲面は、導管、円柱、球などの表面を含むことができる。テープは、少なくとも2つの層、すなわち、導管に付与されるテクスチャーを含む第1層と、この第1層上に配置され高温製造工程中に第1層に安定性を付与する役目をもつ第2層とを含む。接着剤を含むオプションの第3層が、第1層と第2層との間に配置されてもよい。
【0010】
一実施形態では、第1層と第2層との双方が、少なくとも100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上の高温で安定であり、したがって、100℃を超える高温を伴う製造工程中の導管へ、テクスチャーを付与することができる。高温安定性があるということは、多層テープがその寸法安定性を失ったり、製造工程中または工程後に劣化し始めないことを意味する。したがって、この多層テープは再利用可能である。
【0011】
図1および図2は、テクスチャー101Aを装置の表面に付与するために使用される多層テープ100を示す。図2に示す典型的な実施形態では、多層テープ100は、変形して円または半円の断面領域を覆うことができ、製造中のデバイス(例えばチューブ、導管、シリンダー)の外側湾曲表面にテクスチャーを付与することができる。
【0012】
ここで図1を参照すると、多層テープ100は第1層102を備え、この第1層102はオプションの第3層104と接し、この第3層104は次に第2層106と接する。第1層102は第1表面101を有し、この第1表面101は、テクスチャー加工対象のデバイスに付与される表面テクスチャー101Aを含む。表面テクスチャー101Aについては後に詳述する。図1に見られるように、第1層102は第1表面101と第2表面103とを有する。第2層は第1表面105と第2表面107を有する。第1層102の第1表面101は表面テクスチャー101Aを有し、その一方、第2層の外表面107は1つ以上の仕切り108を有する。この仕切り108については後述する。図1から、第2層106の第1表面105は、第2層106の第2表面107よりも第1層102の第2表面103に近いことが分かる。一実施形態では、第1層102の第2表面103は、第2層106の第1表面105と直接接触していてもよい。
【0013】
第1層102は、第2層106および第3層104よりも低い軟化温度を有する。オプションの第3層104は、好ましくは、第1層102を第2層106に接着する接着剤層である。第2層106は、多層テープ100が円筒または導管の周りに巻かれたときに、多層テープ100の外周面が内周面と比較して著しく延びるように、その外側表面に少なくとも1つの仕切り108を有する。
【0014】
一実施形態では、第2層106は複数の仕切りを含むことができる。この仕切り108はスリットとも呼ばれ、多層テープ100の長手方向X−X’に沿って延びる。長手方向はテープの長さと平行である。仕切り108は、多層テープ100の全長に沿って延びている。多層テープ100の外側表面107は、仕切り108が延伸するので、曲面上に配置されたときに内側表面101に対して延伸する。この特徴は、表面テクスチャー101Aとテクスチャー加工対象のデバイスの表面との均一かつ連続的な接触を可能にする。
【0015】
図1に見られるように、多層テープの長さLは、50cm超、1メートル超、2m超、そして好ましくは3m超である。多層テープは、端110Aが端110Bに接触するまで、テープをシリンダーまたは導管の外周に巻き付けるのに有効な値の幅Rを有する。一実施形態では、幅Rは、5mmから50cmの範囲とすることができる。非常に大きな表面をテクスチャー加工する場合は、50cmを超える場合がある。これは図4および図5により明確に示されており、これについては後で説明する。
【0016】
層102は、テクスチャーを付与している相手先の表面材料よりも高い軟化温度を有する組成物から製造される。ただし、層102の軟化温度は、層104および106に使用される材料の軟化温度より低い。一実施形態では、軟化温度はガラス転移温度である。層102としては、一般には有機ポリマーが用いられる。一実施形態では、層102に使用される有機ポリマーは、100℃超、好ましくは110℃超、より好ましくは120℃超の少なくとも1つのガラス転移温度を有する。典型的な実施形態では、ガラス転移温度は140℃より高い。
【0017】
有機ポリマーとしては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との少なくとも1つを含む化合物組が用いられる。有機ポリマーとしては、ブロックコポリマー、ジブロックコポリマー、スターブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、デンドリマー、イオン性コポリマー、高分子電解質などが用いられる。
【0018】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリフタルアミド、ホリビニルハライド、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホンアミド、ポリウレア、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
層102としての使用に適する熱硬化性ポリマーの例としては、エポキシポリマー、不飽和ポリエステルポリマー、ポリイミドポリマー、ビスマレイミドポリマー、ビスマレイミドトリアジンポリマー、シアネートエステルポリマー、ビニルポリマー、ベンゾオキサジンポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー、アクリル、アルキド、フェノールホルムアルデヒドポリマー、ノボラック、レゾール、メラミンホルムアルデヒドポリマー、尿素ホルムアルデヒドポリマー、ヒドロキシメチルフラン、イソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、不飽和ポリエステルイミドなど、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
熱可塑性ポリマーの混合例としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン/ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリスルホン/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネート/熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマーアロイ、ナイロン/エラストマー、ポリエステル/エラストマー、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、アセタール/エラストマー、スチレン・マレイン酸無水物/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルイミドポリエチレン/ナイロン、ポリエチレン/ポリアセタールなどが挙げられる。
【0021】
典型的な熱可塑性ポリマーとしては、ポリカーボネートがある。第1層は、5から75μm、好ましくは10から60μm、より好ましくは15から45μmの厚さを有する。
【0022】
第1層102の表面101は、表面テクスチャー101Aを有する。表面テクスチャー101Aは、複数のパターンを含む。一実施形態では、パターンは、一般に、数nmから数mm程度のいくつかのフィーチャー(特徴、造作)を有する。各パターンは、表面テクスチャー101Aに取り付けられた、または表面テクスチャー101A内に描かれた複数の間隔を置いて配置されたフィーチャーによって画定される。表面上の複数のフィーチャーにはそれぞれ、実質的に異なる形状または実質的に異なるサイズの少なくとも1つのフィーチャーが隣接する。表面テクスチャー101A上の隣接するフィーチャー間の平均間隔は、曲面の少なくとも一部において、約1nmから約1mmの間である。
【0023】
一実施形態では、表面テクスチャー101Aを第1の方向で見たときに、間隔を置いて配置された複数のフィーチャー、すなわち離隔フィーチャーが、周期関数によって表される。別の実施形態では、複数の離隔フィーチャーが、ひとつのパターンを形成する。各パターンは、周期性を有する経路によって、隣接パターンから分離されている。この経路の周期性は、正弦波とすることができる。本発明を限定するものではないが、表面テクスチャー101A上に存在するテクスチャーの例が、図3A図3B図3Cおよび図3Dに示される。
【0024】
一実施形態では、表面テクスチャー101Aが、複数の離隔フィーチャーを含むひとつのパターンを形成する。これらの離隔フィーチャーは、複数のグループに分けて配置される。グループ分けされたフィーチャーが繰り返しユニットとなり、この繰り返しユニットが、表面全体に横方向および縦方向に繰り返される。ひとつのグループ分け内でのフィーチャーは、約1nmから約500μmの平均距離で配置される。各フィーチャーは、その表面が、隣接するフィーチャーの表面と実質的に平行である。各フィーチャーは隣接するフィーチャーから分離されており、フィーチャーのグループ分けは、互いに、曲がりくねった経路を画定するように行われる。
【0025】
さらに別の実施形態では、表面テクスチャー101Aは、複数の離隔フィーチャーを有する。これらのフィーチャーは複数のグループに分けて配置され、グループ分けされたフィーチャーが繰り返しユニットとなる。ひとつのグループ分け内でのフィーチャーは、約1nmから約500μmの平均距離で配置される。フィーチャーのグループ分けは、互いに、曲がりくねった経路を画定し、その経路の接線が、ひとつの離隔フィーチャーと交差するように行われる。離隔フィーチャーは、最も近くに隣接するものとは幾何学的に(形状またはサイズが)異なり、接してもいない。
【0026】
さらに別の実施形態では、表面テクスチャー101Aは、層102の底面に取り付けられ、または描かれた、複数の離隔フィーチャーによって画定されるひとつのパターンをもつ「地形」(トポグラフィ)を有する。複数のフィーチャーは、実質的に異なる幾何学的形状を有する少なくとも1つのフィーチャーを含み、隣接するパターンは同じフィーチャーを共有し、複数の離隔フィーチャーは、約1nm〜約1,000μmの少なくとも1つの寸法を有する。隣接する離間フィーチャーは、約5nmから約500μm、具体的には約10nmから約100μm、さらに具体的には約1μmから約50μm、より具体的には約2μmから約25μm、離されている。
【0027】
さらに別の実施形態では、表面テクスチャー101Aは、複数の離隔フィーチャーを有する。これらのフィーチャーは、複数のグループに分けて配置される。グループ分けされたフィーチャーが、繰り返しユニットとなる。ひとつのグループ分け内でのフィーチャーは、約1nmから約200μmの平均距離で配置される。フィーチャーのグループ分けは、特徴のグループは、曲がりくねった経路を画定するように互いに対して配置される。一実施形態では、曲がりくねった経路に対する接線は、少なくとも1つの特徴部と交差する。
【0028】
一実施形態では、第2の方向から見たときに、フィーチャー間の経路は、非線形でも非正弦波でもよい。言い換えれば、経路は、非線形で非周期的でもよい。別の実施形態では、フィーチャー間の経路は直線状でもよいが、厚さが変化してもよい。複数の離隔フィーチャーが、表面から外向きに突出していてもよく、または表面内に突出していてもよい。一実施形態では、複数の離隔フィーチャーが、表面と同じ化学組成を有することができる。別の実施形態では、複数の離隔フィーチャーが、表面とは異なる化学組成を有することができる。
【0029】
曲がりくねった経路は、周期関数で表すことができる。各経路に対して、周期関数が異なっていてもよい。一実施形態では、パターンは、2以上の周期関数によって表すことができる曲がりくねった経路によって、互いに分離することができる。周期関数としては、正弦波を含むことができる。典型的な実施形態では、周期関数は2以上の正弦波を含むことができる。
【0030】
別の実施形態では、複数の異なる曲がりくねった経路がそれぞれ複数の周期関数によって表されるとき、それぞれの周期関数は、固定の位相差によって分離される。さらに別の実施形態では、複数の異なる曲がりくねった経路が複数の周期関数によって表されるとき、それぞれの周期関数が、可変位相差によって分離される。
【0031】
別の実施形態では、表面テクスチャー101Aのトポグラフィは、2〜50の平均粗度係数(R)を有する。
【0032】
一実施形態では、ひとつのパターンの各フィーチャーには、幾何学形状(例えば、サイズまたは形状)が異なる少なくとも1つのフィーチャーが隣接する。ひとつのパターンのひとつのフィーチャーが、単一の要素となる。ひとつのパターンの各フィーチャーには、そのフィーチャーとは異なるジオメトリを持つ少なくとも2、3、4、5、または6つの隣接フィーチャーがある。一実施形態では、少なくとも2以上の異なるフィーチャーがあり、それらがひとつのパターンを形成する。別の実施形態では、少なくとも3以上の異なるフィーチャーがあり、それらがひとつのパターンを形成する。さらに別の実施形態では、少なくとも4以上の異なるフィーチャーがあり、それらがひとつのパターンを形成する。さらに別の実施形態では、少なくとも5以上の異なるフィーチャーがあり、それらがひとつのパターンを形成する。
【0033】
別の実施形態では、パターンの少なくとも2つの同一のフィーチャーに、幾何学形状(例えば、サイズまたは形状)が異なる少なくとも1つのフィーチャーが隣接する。ひとつのパターンのひとつのフィーチャーが、単一の要素となる。一実施形態では、パターンの2つの同一のフィーチャーに、異なる幾何学的形状を有する少なくとも2、3、4、5、または6個のフィーチャーが隣接する。別の実施形態では、パターンの3つの同一のフィーチャーに、異なる幾何学的形状を有する少なくとも2、3、4、5、または6個のフィーチャーが隣接する。
【0034】
別の実施形態では、各パターンに、異なるサイズまたは形状を有する少なくとも1以上のパターンが隣接する。言い換えれば、第1のパターンには第2のパターンが隣接し、その第2のパターンは、第1のパターンと同じフィーチャーを含んでいるが、第1のパターンとは異なる形状を有することができる。さらに別の実施形態では、各パターンには、異なるサイズまたは形状を有する少なくとも2以上のパターンが隣接する。さらに別の実施形態では、各パターンには、異なるサイズまたは形状を有する少なくとも3以上のパターンが隣接する。さらに別の実施形態では、各パターンには、異なるサイズまたは形状を有する少なくとも4以上のパターンが隣接する。
【0035】
オプションの第3層104は接着剤層であり、表面テクスチャー101Aのある表面101とは反対側に位置する表面103で、第1層102と接する。接着剤層は、一般に、製造温度に耐えることができ、第1層102を第2層106に結合した状態に保つことができる熱可塑性ポリマーおよび/または熱硬化性ポリマーを含む。
【0036】
接着剤層(第3層104)として、上に挙げた熱可塑性または熱硬化性ポリマーのいずれを使用してもよい。接着剤は、熱により硬化され、あるいは、電磁放射線(例えば、X線、紫外線、電子ビーム放射線など)を使用して硬化される。好ましい接着剤としては、シリコーン接着剤、アクリレート接着剤、またはエポキシ樹脂接着剤がある。典型的な実施形態では、第3層104は架橋されている。
【0037】
適切なシリコーン接着剤は、以下の式(1)の構造によって表される。
【化1】
ここで、nは、1から10,000、または2,000から8,000、または5,000から7,000の整数である。各Rは、個別に、水素、または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、または1〜3個の炭素原子を有するアルキル基である。各Rは、個別に、水素、エポキシ基、エチレン性不飽和基、チオール基、アルコキシ基などである。一実施形態において、Rは、個別に、−H、または−C2x+1であり、各xは、個別に1〜6、または個別に1〜3である。一実施形態において、各Rは−CH3である。Rが芳香族基ではないことが望ましい。
【0038】
シリコーン接着剤としては、シリコーンゴムコンパウンドと硬化剤を含む二成分RTV硬化系を含む室温加硫(RTV)シリコーンが用いられる。このようなシリコーン接着剤として、RTV615がある。このシリコーン接着剤は、−115〜204℃の温度で可撓性を維持することができる。シリコーンポリマーは、硬化前に、23℃で3,000〜7,000センチポアズ(cps)、好ましくは23℃で3,500〜4,500cpsの粘度を有することができる。
【0039】
使用できるアクリレート分子としては、式(2)で表されるもの、あるいは式(3)で表されるモノマーがある。
【化2】
ここで、Rは、水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基である。R’は、水素、少なくとも1個のヘテロ原子を有する5員環または6員環であり、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄またはリンである。
【化3】
ここで、Rは、水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基である。R’は、水素、少なくとも1個のヘテロ原子を有する5員環または6員環であり、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄またはリンである。Rは、C1−30アルキル、C3−30シクロアルキル、C6−30アリル、C7−30アルカリル、C7−30アラルキル、C1−30ヘテロアルキル、C6−30ヘテロアリル、C7−30ヘテロアリル、C7−30ヘテロアリル、ヘテロアラルキル、C2−10フルオロアルキル基、アルキレンオキシド、またはこれらの基の少なくとも1つを含む組合せ、である。
【0040】
別の実施形態では、アクリレートとして、式(4)で表されるモノマーが用いられる。
【化4】
ここで、Rは、水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基である。R’は、水素、少なくとも1個のヘテロ原子を有する5員環または6員環であり、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄またはリンである。R、RおよびRの少なくとも1つは、C1−30アルキル、C3−30シクロアルキル、C6−30アリル、C7−30アルカリル、C7−30アラルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリル、C7−30ヘテロアルカリル、C7−30ヘテロアラルキル、C2−10フルオロアルキル基、アルキレンオキシド、またはこれらの基の少なくとも1つを含む組み合わせであって、各基が1つ以上のビニル基に共有結合しているもの、である。
【0041】
エポキシ接着剤としては、芳香族、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂が用いられる。一実施形態では、エポキシ樹脂として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルを用いることができる。これは、Epon862(登録商標)として知られており、式(5)に示される構造を有する。
【化5】
【0042】
別の実施形態では、エポキシ樹脂として、ビスフェノールFの変性ジグリシジルエーテルが用いられる。これは、変性EPON862(登録商標)として知られており、(式6)に示す構造を有する。
【化6】
ここで、nは繰り返し単位の数である。式(6)のエポキシ樹脂は、ビスフェノールFとEPON862を重合して製造される。
【0043】
一実施形態では、エポキシ樹脂として、式(7)に示す構造のものを用いることができる。
【化7】
ここで、Rは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、またはC1〜18有機基である。C1〜18有機架橋基は、環式または非環式、芳香族または非芳香族であり、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、またはリンなどのヘテロ原子をさらに含むことができる。C1〜18有機基は、そこに結合したCアリレン基がそれぞれ共通のアルキリデン炭素またはC1〜18有機架橋基の異なる炭素に結合するように配置される。式(7)において、Rは、C1−30アルキル基、C3−30シクロアルキル、C6−30アリル、C7−30アルカリル、C7−30アラルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリル、C7−30ヘテロアルカリル、C7−30ヘテロアラルキル、C2−10フルオロアルキル基、またはそれらの組み合わせ、である。
【0044】
さらに別の典型的な実施形態では、エポキシ樹脂として、式(8)の2−(クロロメチル)オキシランと、4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル]フェノールと、の反応生成物が用いられる。これは、式(8)のビスフェノールA−エピクロロヒドリン系エポキシとしても知られている(ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしても知られている)。
【化8】
【0045】
式(8)のエポキシ樹脂は、EPON828として市販されている。式(7)のエポキシ樹脂の代わりに使用できる典型的な例を式(9)および(10)に示す。一実施形態では、式(6)のエポキシ樹脂の代わりに式(9)のエポキシ樹脂を使用することもできる。
【化9】
ここで、Rは、式(7)において説明したものである。RおよびRは、同じものでも異なるものでも良く、個別に、C1−30アルキル基、C3−30シクロアルキル、C6−30アリル、C7−30アルカリル、C7−30アラルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリル、C7−30ヘテロアルカリル、C7−30ヘテロアラルキル、C2−10フルオロアルキル基、またはそれらの組み合わせ、である。
【0046】
典型的な実施形態では、組成物に、式(10)の構造を有するエポキシを使用することができる。
【化10】
【0047】
適切なエポキシの例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジオメタンジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2,2’−((1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン))ビスオキシラン、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジグリシジルエーテル、2,2−ビス(p−グリシジルオキシフェニル)プロパン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタンジグリシジルエーテル、4,4’−イソプロピリデンビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゼン)、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジグリシジルエーテル、ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ジメチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、2−(ブトキシメチル)オキシラン、2−(クロロメチル)オキシランと4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル]フェノールの反応生成物(ビスフェノールA−エピクロロヒドリンベースのエポキシとしても知られる)、変性ビスフェノールA−エピクロロヒドリンベースのエポキシ、ジグリシジル1,2−シクロヘキサンジカルボオキシレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、シスおよびトランス1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルの混合物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)メチルエステル、tert−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジル1,2−シクロヘキサンジカルボキシレートなど、またはこれらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含む組合せ、が挙げられる。
【0048】
接着剤層は、2から50μm、好ましくは5から35μm、より好ましくは10から30μmの厚さを有することができる。
【0049】
第2層106は、表面103で第1層102と、あるいは表面105で接着剤層(第3層104)と接する。第1層102および第2層106の材料は、同じでもよく、異なってもよい。典型的な実施形態では、第1層102に使用される材料は、第2層106に使用される材料とは異なる。第2層に使用される材料は、第1層に使用される材料の軟化温度ならびに第3層に使用される材料の軟化温度よりも高い軟化温度を有する。一実施形態では、第2層に使用される材料のガラス転移温度は、第1層に使用される材料のガラス転移温度より高い。
【0050】
第2層106はバッキング層とも呼ばれ、製造工程中に経験する高温中に、多層テープ100の強度および安定性を提供する。第2層106に使用される材料は、200℃以上、好ましくは225℃以上、より好ましくは250℃以上の軟化点を有する。
【0051】
一実施形態では、第2層106は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリフタルアミド、ポリアミドなど、またはそれらの組み合わせ、により形成される。
【0052】
第2層106に使用される適切な材料の例は、ポリイミドである。典型的な市販のポリイミドはKAPTON(登録商標)であり、市販のポリアミドはNOMEX(登録商標)である。
【0053】
一実施形態では、第2層106は、金属フィルムまたはセラミックフィルムでもよい。ただし、その金属フィルムまたはセラミックフィルムに可撓性があり、多層テープ100が円形の断面積を有するカテーテルを包むように曲がることができる場合に限る。金属の例としては、鋼、銀、アルミニウム、チタン、銅などの延性金属、またはそれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0054】
セラミックの例としては、金属酸化物、炭化物、金属オキシ炭化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属ホウ化物、金属ホウ炭化物、金属ホウ窒化物、金属ケイ化物、金属ホウケイ化物など、またはそれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0055】
典型的なセラミックは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなど、またはそれらの組み合わせ、である。
【0056】
一実施形態では、第2層106は、その中に複数の延伸可能な仕切り108を有する。この延伸可能な仕切り108は、表面105とは反対側の自由表面である外側表面107から、第2層106の全厚さを通って、第1層102(第3層が存在しないとき)内まで、あるいは第3層104が存在するときには第3層104および/または第1層102内まで延びる。「自由表面」という用語は、第2層106の外側表面107が他の層の表面と接しておらず、製造プロセス中ではないときに、周囲の雰囲気と接していることを意味する。
【0057】
仕切り108はスリットであり、多層テープ100が曲面にテクスチャーを与えるときに、表面101に対して層106の表面107の外周を延伸させるためのものである。仕切り108をエラストマーの薄い層で充填し、裂けを防ぐこともできる。
【0058】
図4および図5は、例えばチューブあるいはシリンダーの外側表面などの湾曲面にテクスチャーを付与するための多層テープ100の使用の一実施形態を示す。多層テープ100を導管200(シリンダーあるいはチューブ)の外周に配置すると、表面テクスチャー101Aを有する層102が、導管200と接触する。仕切り108が延伸して、外側表面107が内側表面101に対して占めなければならないより大きな円周を収容し、内側表面101がその全周にわたって均等に導管200と接触することを可能にする。図4に見られるように、多層テープ100がシリンダーまたはチューブの外周に接触するとき、多層テープ100の外側表面にわたって均一に半径方向の圧縮力を(例えば金型などを介して)加えることにより、テクスチャーが表面テクスチャー101Aからシリンダーまたはチューブに転写される。
【0059】
図4に示す実施形態では、多層テープ100をシリンダーまたは導管200の外側に配置してテクスチャー加工するとき、多層テープの端110Aおよび110Bが互いに接触して、表面テクスチャー101Aが、外側表面に連続的かつ均一に接する。多層テープの端110Aおよび110Bは、それがテクスチャー加工対象のデバイス上に配置されるときに、互いに重ならないことが望ましい。重なっていると、表面欠陥を引き起こすモールドライン(シームとも呼ばれる)(図示せず)の形成を引き起こす。
【0060】
テープの幅「R」(図1参照)がテクスチャー加工対象のデバイスの周囲長と等しくないためにモールドラインが形成されることを防止するため、テープの端110Aおよび110Bを、図5に示すように傾斜させることもできる。製造プロセス中に端110Aおよび110bの傾斜面が合わさると、端110Aの表面は端110Bの表面の下に滑り込み、いかなる重なり合いをも防ぎ、テクスチャー加工されるデバイスの表面の損傷を防止できる。
【0061】
一実施形態では、多層テープ100を製造するひとつの方法として、第1層102を押出成形し、鋳型(図示せず)を使用して所望のパターンをその上に配置する。テクスチャーを、テープ第1層102に連続プロセスで付与することもできる。第2層106もまた、別の押出工程で押出成形し、次いで、第1層102と第2層106の両方を、加圧および/または加熱下で、ロールミルにより互いに接着(互いに積層)することができる。
【0062】
別の実施形態では、第1層102、第2層106、およびオプションの第3層104を、圧力下のロールミルで薄く打ち延ばすことにより、一括押出成形および結合する。続いて、薄く打ち延ばされた積層体の第1層102を、所望のテクスチャーの画像またはネガ画像を有するテープ(金型)に接触させることによって、テクスチャー加工する。
【0063】
さらに別の実施形態では、第1層102を押出成形し、その上に金型(図示せず)を使用して所望のパターンを配置する。次に、第3層104と第2層106とを第1層102上に押出形成および積層する。一実施形態では、第3層は紫外線を使用して硬化される。他の実施形態では、第3層は熱エネルギーを用いて硬化される。
【0064】
多層テープ100を使用する1つの方法では、デバイス(例えば、その外側表面がテクスチャー加工される導管またはシリンダー)を、デバイスの長手軸が多層テープの長手軸と平行になるように、テープで包む。多層テープ100は、1回の接触工程でその全周にわたって均一にデバイスに接触し、デバイスとテープの両方が長手方向に移動している間に、そのテクスチャーをデバイスに転写する。静水圧を多層テープ100に均一に加えることによって、テクスチャーがテープからその全周にわたってデバイスに転写される。要するに、テクスチャーは、多層テープ100とデバイス(導管200)の両方を金型に1回通過させる間に、多層テープ100によって、デバイス(導管200)の全周面に付与される(図4および図5参照)。
【0065】
テクスチャー加工の方法は、同時出願の出願(PCT/US2017/052434)に詳述されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
テクスチャー加工されるデバイスは、一般に、エラストマー製である。典型的なデバイスは、カテーテル、チューブ、シリンダーなどである。適切なエラストマーの例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(S−EB−S)ブロックコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、コポリエステル−エーテル(テレフタル酸、ポリテトラメチレングリコール、および1,4−ブタンジオールから誘導されるブロックコポリマー)、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、およびエチレンプロピレンジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、ポリエーテル−ブロック−ポリアミド、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルなど、またはこれらのブロックエラストマーの少なくとも1つを含む組み合わせ、が挙げられる。典型的なエラストマーは、ポリシロキサンである。エラストマーは、約105パスカルから約108パスカルの弾性率を有することが望ましい。
【0067】
テクスチャーはまた、例えば人工肛門形成術などの手術において使用される身体部分の表面に使用することもできる。テクスチャーはまた、歯周包帯の内側表面および外側表面;静脈内カテーテルおよびポート;フォーリーカテーテル;例えばプレートのような組織と接触する表面;粘着テープ、パッチ、包帯など;電子リード線;歯科用インプラント;歯科矯正装置;iol(眼内レンズ);組織増強、皮膚移植、組織からの細菌または他の微生物の隔離、のためのヒドロゲルフィルム;感染症、凝固/血栓症を減らし、流れを良くするための心肺機械表面;臓器/組織形成のための組織構築物;透析装置の部品、チューブおよびコントロールパネル;人工内耳/耳鼻咽喉科用インプラントおよび電子機器;ペースメーカーの導線および本体;除細動導線および本体;心臓弁流動面および固定面;脊椎インプラント;頭蓋/顔面インプラント;例えば心臓弁のような生物医学的器具;メス;トング;鉗子;鋸;リーマー;グリッパー;スプレッダー;ペンチ;ハンマー;ドリル;喉頭鏡;気管支鏡;食道鏡;聴診器、鏡、口腔/耳鏡、X線プレート/フレーム、X線装置表面、磁気共鳴映像(MRI)表面、エコー心電図表面、キャットスキャン表面、スケール、クリップボードなど、にも使用される
【0068】
多層テープ100、そのテープの製造方法、およびそれを使用する方法は、非常に小さい断面積を有するデバイスにテクスチャーを付与することができるという点で有利である。多層テープ100の柔軟性は、単一パスで複雑な形状を有する表面をインプリントすることを可能にする。デバイスの表面全体を、テープとの単一の接触でテクスチャー加工することができる。デバイスをテクスチャー加工するために、多層テープ100を何度も接触させる必要はない。
【0069】
本明細書で使用される用語「第1」、「第2」などは、いかなる順序または重要性を示すものではなく、1つの要素を別の要素から区別するために使用されるものである。また、「ひとつの」という用語は、数量の限定を意味するのではなく、少なくとも1つの言及された品目の存在を意味する。さらに、ここで開示したすべての範囲は複数の評価項目を含んでおり、個別に組み合わせることができる。
【0070】
本発明について、添付の図面を参照してより完全に説明する。添付図面には、種々の実施形態を示す。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化でき、ここで示す実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、かつ本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。全体を通して、同じ参照番号は同じ要素を指す。
【0071】
構成要素が他の要素の「上に」あるとは、他の要素の直接に上にあるか、あるいは、介在要素がそれらの間に存在するという意味である。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」あると言うとき、介在要素は存在しない。本明細書で使用されるとき、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のいずれかの組み合わせ、および全ての組合せを含む。
【0072】
本明細書では第1、第2、第3などの用語を使用して、様々な構成要素、部品、領域、層および/またはセクションを説明することがあるが、これらの要素、部品、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって制限されるべきものではない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層またはセクションを他の要素、部品、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用されている。したがって、以下で論じる第1の要素、部品、領域、層またはセクションは、本発明の教示から逸脱することなく、要素、部品、領域、層またはセクションと呼ぶこともできる。
【0073】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図してはいない。ここで使用される単数形は、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、複数形も含むことを意図している。用語「備える」、「備え」、「含む」、「含み」、「有する」および/または「有し」は、本明細書で使用されるとき、記載された特徴、領域、完全体、ステップ、動作、要素、および/または部品の存在を特定するが、1または複数の他の特徴、領域、完全体、ステップ、動作、要素、部品、および/またはそれらの組の存在または追加を排除するものではない。
【0074】
さらに、「下側」または「底」、および「上側」または「上部」などの相対用語は、ここでは、図に示されているような、ある要素と別の要素との関係を説明するために使用される。相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、装置の異なる向きを含むものである。例えば、図のうちの1つの装置をひっくり返すと、他の要素の「下側」にあると記載されている要素は、他の要素の「上側」に向けられる。したがって、典型的な用語「下側」は、図の特定の向きに応じて、「下側」および「上側」の両方の向きを包含することができる。同様に、図のうちの1つの装置をひっくり返すと、他の要素の「下」または「下方」として説明されている要素は、他の要素の「上」に向けられる。したがって、例えば「下」または「下方」という用語は、上および下の両方の向きを包含することができる。
【0075】
特に別の意味で定義されない限り、ここで使用される全ての用語(技術および科学の用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらによく理解されるように、一般的に使用される辞書で定義されている用語などの用語は、ここで明示的に定義されていない限り、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化され、または過度に形式的な認識で、解釈されるべきではない。
【0076】
典型的実施形態は、理想化された実施形態の概略図である断面図を参照して説明される。したがって、例えば製造技術および/または公差の結果として、図の形状からの変形が予想される。したがって、ここで記載される実施形態は、ここで示すような領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造から生じる形状の偏差を含むものである。例えば、平坦として図示または説明された領域は、典型的には、粗いおよび/または非線形のフィーチャーを有することがある。さらに、図示されている鋭角は、丸みを帯びていてもよい。したがって、図に示される領域は本質的に概略的であり、それらの形状は領域の正確な形状を示すことを意図するものではなく、本願の特許請求の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0077】
「含み」という用語は、「本質的に・・・からなる」およ「・・・からなる」という意味を包含する。
【0078】
本発明をいくつかの実施形態に関連して詳細に説明したが、本発明はそのような開示された実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の範囲に相応するどのような数の変形、変更、置換または同等の構成を組み込むように修正することができる。さらに、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、説明した実施形態のうちのいくつかのみを含むものである。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
【国際調査報告】