特表2019-532910(P2019-532910A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-532910バイオセルロースシート、バイオセルロースシート製品、及びこれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-532910(P2019-532910A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】バイオセルロースシート、バイオセルロースシート製品、及びこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20191018BHJP
   C08B 16/00 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20191018BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20191018BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   A61K8/73
   C08B16/00
   A61K8/02
   A61Q19/00
   A61K9/70
   A61K47/46
   A61L15/28 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-552172(P2017-552172)
(86)(22)【出願日】2017年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月21日
(86)【国際出願番号】KR2017010604
(87)【国際公開番号】WO2018062808
(87)【国際公開日】20180405
(31)【優先権主張番号】10-2016-0127013
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】517343519
【氏名又は名称】ユーロフ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンギュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,キソク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA71
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC19
4C076EE31
4C076EE58
4C076FF39
4C076GG11
4C081AA02
4C081BA12
4C081BB09
4C081CD02
4C081DA02
4C081DC06
4C081EA02
4C083AA111
4C083AA112
4C083AD261
4C083AD262
4C083CC02
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
4C090AA10
4C090BA24
4C090BB33
4C090BB52
4C090BC12
4C090BD19
4C090CA01
4C090CA42
4C090CA44
4C090DA22
4C090DA26
(57)【要約】
本発明は、ココナッツを含むバイオセルロースシートであって、植物抽出物を含む保存剤を含む、支持体を有しないバイオセルロースシート、バイオセルロースシート製品及びこれらの製造方法に関するものであり、本発明のバイオセルロースシート及びこれを含む製品は、化粧料含有率が高く、皮膚に対する敏感性が少なく、利用が便利であり、本発明のバイオセルロースシート及びこれを含む製品を製造する方法を用いる場合、生産性が向上して原価を節減することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法であって、
ココナッツを含むセルロース材料を準備する段階;
セルロース材料を培養液に浸漬し、菌株を接種してバイオセルロースを製造する段階;
前記バイオセルロースを所定の厚さにスライスする段階;
バイオセルロースを殺菌する段階;
殺菌されたバイオセルロースを植物抽出物を含む保存剤に浸漬する段階;及び
浸漬後、前記バイオセルロースを脱水し、支持体を含まない前記バイオセルロースを圧縮及びカットする段階;を含む、支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項2】
バイオセルロースを殺菌する段階前、スライスされたバイオセルロースをホワイトニング及び洗浄する段階を含む、請求項1に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項3】
前記所定の厚さは0.5mm〜3.5mmの範囲である、請求項2に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項4】
前記殺菌する段階は、100℃〜200℃で15分〜30分間殺菌する、請求項3に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項5】
前記保存剤に浸漬する段階において、前記植物抽出物は、松葉、甘草、アスナロ、ヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、及びイチョウの中でいずれか1種を含む抽出物である、請求項3に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項6】
前記圧縮及びカットする段階は同時に行う、請求項3に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項7】
前記圧縮及びカットする段階は、エアホールを有する上面及びバイオセルロース支持部を有する下面を含む圧縮カッターで圧縮及びカットする、請求項3に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項8】
前記エアホールを有する上面はすべり防止部を含む、請求項7に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項9】
前記すべり防止部は、砂糖黍、プラスチック、及びシリコンの中でいずれか1種を含む、請求項8に記載の支持体を有しないバイオセルロースシートを製造する方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法によって製造される、支持体を有しないバイオセルロースシート。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法によって製造される、支持体を有しないバイオセルロースシートを容器に投入する段階;及び
前記容器をシールしてガンマ処理する段階;を含む、支持体を有しないバイオセルロースシート製品を製造する方法。
【請求項12】
前記容器は、ガラス、アルミニウム、磁器、プラスチック、アクリル、紙ビニル、及びPET/PP容器の中でいずれか1種を含む、請求項11に記載の支持体を有しないバイオセルロースシート製品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオセルロースシート、バイオセルロースシート製品、及びこれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品及び医療分野で用いられるシート(sheet)とはクリームや乳液タイプの化粧料又は軟膏などを手で付けて塗る必要なしに特定の形態に製作されたシートを人体に貼るものを意味し、このようなシートは火傷治療、保湿、美白や栄養供給のために用いられている。
【0003】
化粧品の分野で用いられるマスクシートは、コットンやパルプ材料で製造された植物性セルロース纎維又は合成纎維で製造された不織布の形態が一般的に用いられる。このような素材からなったシートは、化粧用乳液を含むのに適し、身体部位に合わせて形態を自由に変形して用いることができるので、多様に活用されている。
【0004】
しかし、コットン又は不織布素材の場合、対象部位に適用された後に短時間内にシートそのものが乾燥するという点、ほこりなどの異物が対象部位に一緒に付着し得るという点などの問題があるため、使用時間、着用感、効能などを考慮した多様な素材を研究しようとする試みが続いている。
【0005】
このような研究の結果、不織布形態のシート以外に天然寒天などを用いたハイドロゲル形態、又は微生物培養によって製造したバイオセルロース形態などの多様な形態のシートが製造されている。特に、微生物培養によって製造されたバイオセルロースは天然素材を用いるものなので人体に対する副作用がなく、超微細纎維からなるので物理的な強度に優れるだけでなく、高い含有率を有するので、水分及び栄養供給にも有利である。
【0006】
現在商用化されているバイオセルロース形態のシートは、バイオセルロースを支持する支持体を含む形態として用いられるものが一般的である。その理由は、バイオセルロースの上滑りする素材の特性上、支持体を含んでいない場合には、所望の形態に製造することができないからである。支持体は不織布形態であっても、メッシュ形態であっても、フィルム形態であってもよい。支持体はバイオセルロースシートの片面又は両面に付着された形態で用いられる(図1参照)。
【0007】
バイオセルロースマスクシートに支持体が付着されている場合には、マスクシートの支持体にも化粧料が吸収されるから、バイオセルロースシートが化粧料を充分に含むことができないという問題がある。また、支持体が付着されたバイオセルロースシート製品を用いる度に、ユーザーは除去し難い支持体を除去した後、支持体の除去されたバイオセルロースシートを身体に付着しなければならない不便さがある。それだけでなく、製造工程時にも、支持体をシートに付着しなければならない煩わしい追加工程がさらに必要であり、支持体の原価も追加されるため、製品の生産コストが上昇することになる。よって、ユーザーがより手軽に用いることができ、製造コストの安いバイオセルロースシートの開発が必要であるという実情がある。
【0008】
化粧品の分野で用いられるマスクシートには保存剤(又は防腐剤)が含まれ、バイオセルロースシートを用いた製品の場合にも、微生物増殖防止のために保存剤が用いられる。化粧品に使われる防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イミダゾリジニルウレアなどがある。このような合成パラベン類は各種の化粧品及び香水に用いられているが、このような成分が人体の内部に蓄積する場合には乳癌などの各種の疾病を誘発し得るという研究結果があり、近年化粧品に使われている合成物質に替わることができる天然材料の研究も必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1638371号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2014−0129509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ココナッツを含むバイオセルロースシートであって、植物抽出物を含む保存剤を含み、支持体は含まない、バイオセルロースシート及びバイオセルロースシート製品を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、ココナッツを含むセルロース材料を準備する段階;セルロース材料を培養液に浸漬し、菌株を接種して厚さ150mm〜200mmのバイオセルロースを製造する段階;バイオセルロースを厚さ0.5mm〜3.5mmにスライスする段階;スライスされたバイオセルロースをホワイトニング及び洗浄する段階;ホワイトニング及び洗浄されたバイオセルロースを殺菌する段階;殺菌されたバイオセルロースを植物抽出物を含む保存剤に浸漬する段階、及び保存剤に浸漬したバイオセルロースを脱水した後、圧縮及びカットする段階を含む、支持体を有しないバイオセルロースシートの製造方法及びこのような方法で製造された、支持体を有しないバイオセルロースシート、及びバイオセルロースシート製品を提供することである。
【0012】
しかし、本発明が解決しようとする課題は以上で言及した課題に制限されず、言及しなかった他の課題は下記の記載から当該技術分野の通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例によれば、ココナッツを含むバイオセルロースシートであって、植物抽出物を含む保存剤を含み、支持体を有しないバイオセルロースシートを提供する。
【0014】
本発明の一側面によれば、前記植物抽出物は、松葉、甘草、アスナロ、ヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、及びイチョウの中のいずれか1種を含む抽出物である、バイオセルロースシートを提供する。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記バイオセルロースシート及び容器を含む、バイオセルロースシート製品を提供する。
【0016】
本発明の一側面によれば、前記バイオセルロースシート製品の容器は、ガラス、アルミニウム、磁器、プラスチック、アクリル、紙ビニル、及びPET/PP容器の中のいずれか1種を含む、バイオセルロースシート製品を提供する。
【0017】
本発明の一実施例によれば、ココナッツを含むセルロース材料を準備する段階;セルロース材料を培養液に浸漬し、菌株を接種して厚さ150mm〜200mmのバイオセルロースを製造する段階;バイオセルロースを厚さ0.5mm〜3.5mmにスライスする段階;スライスされたバイオセルロースをホワイトニング及び洗浄する段階;ホワイトニング及び洗浄されたバイオセルロースを殺菌する段階;殺菌されたバイオセルロースを植物抽出物を含む保存剤に浸漬する段階;及び保存剤に浸漬されたバイオセルロースを脱水した後、圧縮及びカットする段階;を含む、支持体を有しないバイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0018】
本発明の一側面によれば、前記殺菌する段階は、100〜200℃で15分〜30分間殺菌する、バイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0019】
本発明の一側面によれば、前記保存剤に浸漬する段階において、前記植物抽出物は、松葉、甘草、アスナロヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、及びイチョウの中のいずれか1種を含む抽出物である、バイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0020】
本発明の一側面によれば、前記圧縮及びカットする段階は同時に行う、バイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の一側面によれば、前記圧縮及びカットする段階は、エアホールを有する上面及びバイオセルロース支持部を有する下面を含む圧縮カッターで圧縮及びカットする、バイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0022】
本発明の一側面によれば、前記エアホールを有する上面はすべり防止部を含む、バイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0023】
本発明の一側面によれば、前記すべり防止部は、砂糖黍、プラスチック、及びシリコンの中のいずれか1種を含む、バイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記バイオセルロースシートの製造方法によって製造される、支持体を有しないバイオセルロースシートを提供する。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記バイオセルロースシートの製造方法によって製造される、バイオセルロースシートを容器に投入する段階;及び前記容器をシールしてガンマ処理する段階;を含む、支持体を有しないバイオセルロースシート製品を製造する方法を提供する。
【0026】
本発明の一側面によれば、前記容器は、ガラス、アルミニウム、磁器、プラスチック、アクリル、紙ビニル、及びPET/PP容器の中のいずれか1種を含む、バイオセルロースシート製品を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明はココナッツを含むバイオセルロースシートであって、植物抽出物を含む保存剤を含み、支持体を有しないバイオセルロースシートに関するもので、本発明を用いるユーザーは支持体を除去しなければならない不便さを解消して手軽にシートを用いることができ、製造業者は支持体を付着する製造工程を簡素化することによって支持体付着によるコストを節約することができる。
【0028】
また、本発明は、従来のバイオセルロースシートに比べて高い化粧料含有率を有するので、豊かな保湿及び十分な栄養供給が可能となる。それだけでなく、バイオセルロースを支持する支持体を付着する工程が必要ないので、支持体とシートの間に発生し得る微生物の繁殖を減少させることができる。また、本発明は、植物性材料を用いた天然保存剤を用いるので、人体に無害である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来のバイオセルロースシートの形態を示す図である。
図2】本発明の一例によるバイオセルロースシートを示す図である。
図3】本発明の一例によるバイオセルロースシートを容器に投入したバイオセルロースシート製品を示す図である。
図4】本発明の一例によるバイオセルロースシートの製造方法の一部を示す図である。
図5】本発明による支持体を有しないバイオセルロースシート及び支持体を含むバイオセルロースシートの化粧料含有率を比較したグラフである。
図6a】エッセンスに浸漬した直後のバイオセルロースシートの写真である。
図6b】24時間経過後のバイオセルロースシートの写真である。
図7a】支持体があるバイオセルロースシートをエッセンスに1時間浸漬した後を撮影した写真である。
図7b】支持体がないバイオセルロースシートをエッセンスに1時間浸漬した後を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて実施例を詳細に説明する。各図に提示した同じ参照符号は同じ構成を示す。
【0031】
以下で説明する実施例には多様な変更を付け加えることができる。以下で説明する実施例は実施形態に対して限定しようとするものではなく、これらに対する全ての変更、均等物又は代替物を含むものとして理解されなければならない。
【0032】
実施例で使用する用語は特定の実施例を説明するために使用したもので、実施例を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上特に他の指示しない限り、複数の表現を含む。この明細書で、“含む”又は“有する”などの用語は明細書上に記載する特徴、数字、段階、動作、構成要素、形態又はこれらの組合せが存在することを指示しようとするもので、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、又はこれらの組合せなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0033】
他の定義がない限り、技術的又は科学的用語を含めてここで使う全ての用語は実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を持っている。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものとして解釈されなければならなく、本出願で明らかに定義しない限り、過度に形式的な意味に解釈されない。
【0034】
また、添付図面に基づいて説明するに当たり、図面符号にかかわらず、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これについての重複説明は省略する。実施例の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が実施例の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0035】
本明細書で使用するセルロースとは植物体の細胞壁の主成分で、植物纎維を構成する纎維素を意味し、主にコットンから分離されて用いられるものを言う。そして、バイオセルロースとは微生物培養によって製造されたセルロースで、セルロース材料に多様な菌株を接種して培養した培養液に浸漬して製造したものを意味する。バイオセルロースシートとはバイオセルロースを適切な厚さにスライスして身体に付着可能な形態に製造したシートを言い、本明細書では支持体を含むバイオセルロースシートと支持体を有しないバイオセルロースシートを共に意味し、必要によって両者を区分して記載する。支持体とは、バイオセルロースの容易なカッティング及び支持のためにバイオセルロースシートの片面又は両面に付着された不織布形態、フィルム形態又はメッシュ形態の材料を意味する。一方、バイオセルロースシート製品とは、バイオセルロースを身体に付着可能な形態のバイオセルロースシートを製造した後、これを容器に投入した状態のものを意味する。
【0036】
まず、本発明の実施例は、既存のバイオセルロース製品の問題点であった支持体を除去して使用の便利性及び製品の効果を高め、バイオセルロースの上滑りする性質と吸着力のために生産工程に使っていた支持体を除去することによって生産コストと工程を大幅に減らすことができるようにしたことに利点があることに注目しなければならない。
【0037】
バイオセルロースはマスクパックの素材として立派なものであることは事実であるが、その間、工程のために支持体を含んでいたシートはエッセンスの有効成分が支持体に吸収される問題があった。支持体として使われる多様な素材の不織布はシートへのエッセンス吸収を邪魔し、エッセンスの有効成分を濾す濾過網のような役目をするため、エッセンスの有効成分が正常に浸漬されなかったが、バイオセルロースの上滑りする性質と互いにくっつく吸着力のため、これを改善することができなかったのが現実であった。
【0038】
したがって、バイオセルロースマスクシートのカバーシートのような支持体を除去することは単に既成品の不必要な部分を除去することに留まるものではなく、発想の転換により、その間に不便で不必要であったが必ず行わなければならなかった工程を新技術で除去した画期的な発明であると言える。その利点は次のようである。
【0039】
第一、支持体付着工程で生ずる汚染及びバクテリアの増加を防止することができる。バイオセルロースシートが同一であることを前提として、支持体の有無による菌テスト結果、支持体がある場合、細菌濃度は1.610CFU/gであるが、支持体がない場合は10CFU/g未満に減少した。
【0040】
第二、支持体を除去すると、バイオセルロースのエッセンスの吸収が増加し、保湿持続力が向上する。
【0041】
エッセンスに浸漬する前のバイオセルロースシートの厚さが0.7mmの場合、支持体がないバイオセルロース(A)を浸漬すれば厚さが2.3mmであるが、支持体があるシート(B)の場合、厚さは1.2mmであった。24時間の経過後、支持体がないバイオセルロース(A)の厚さは1.4mmであるが、支持体があるシート(B)の場合、厚さは0.9mmに減少した。図6aはエッセンスに浸漬した直後のバイオセルロースシートの写真を、図6bは24時間経過後のバイオセルロースシートの写真を示す。
【0042】
第三、支持体を除去すれば、エッセンスの有効成分をバイオセルロースが効果的に吸収して皮膚に伝達することができる。
【0043】
図7aは支持体があるバイオセルロースシート、図7bは支持体がないバイオセルロースシートをエッセンスに1時間浸漬した後を撮影した写真である。支持体がある場合、内容物の濃度が低くて残留量も少なく、粘度は20mPaSであった。しかし、支持体がない場合、内容物の濃度が高くて残留量が多く、粘度は45PaSであった。支持体が存在すれば、これがエッセンスの有効成分を濾すため、エッセンスの効果を奏しにくい。反対に、支持体がなければ、多くのエッセンスが皮膚に効果的に吸収できる。
【0044】
第四、マスクシートの使用時、カバーシートの除去にかかる時間を縮めることができるという点である。
【0045】
本発明者が14人を対象としてセルロースシートから支持体を除去するのにかかった時間を平均した値は、東洋人の場合に1分32秒、西洋人の場合に約2分程度であった。これは支持体の付着が製品の便利性に大きな影響を与えることを示唆する。
【0046】
第五、支持体を除去すると、生産コストと製品原価を減らすことができる。
【0047】
本発明の一実施例によれば、ココナッツを含むバイオセルロースシートであって、植物抽出物を含む保存剤を含み、支持体を有しないバイオセルロースシートを提供する。
【0048】
バイオセルロースシートはココナッツを主成分として含むシートであって、セルロース材料を微生物培養液に浸漬し、菌株を接種して培養することで製造する。ココナッツはバイオセルロースの製造に必要な纎維素が豊かに含有されており、加工が容易であるという利点がある。一方、ココナッツを含むバイオセルロースシートは、セルロース成分が非常に密集して形成されているので、十分な化粧料又は水分を含むことができ、天然物であるので皮膚に対する刺激が少ない。ココナッツは果肉を適切な形態にカットして用いるかあるいは果肉を粉砕して用いることができる。
【0049】
バイオセルロースシートは、微生物繁殖などを防止するために、保存剤を含んでいる。従来には、微生物又はかびの抑制のために、化粧品類にパラベン類の保存剤が使用されたが、近年このような成分が人体に有害であるという研究結果が出ているため、パラベン類の使用が自制されている。バイオセルロースは微生物が増殖しやすい環境になっており保存剤を必ず使わなければならないため、従来に用いていた合成物質の代わりに人体に無害な植物抽出物を含む保存剤を提供することによってバイオセルロースシートをより安心して使うことができるようにした。保存剤はその他に一般的に用いられる成分をさらに含むことができる。
【0050】
バイオセルロースシートは、ココナッツを主成分とするから、上滑りしてぐにゃぐにゃした触感を有する。このようなセルロース素材の特性上、シートが一定の形態に固定されない。よって、既存のバイオセルロースシートには支持体が必須に含まれていた。すなわち、支持体を含む形態のバイオセルロースシートが用いられて来た。バイオセルロースに支持体を含んでいる場合にバイオセルロースの形態が固定されることができ、形態が固定されている場合に所望の形態(所定の形状、サイズなど)にシートをカットすることができるからであった(図1参照)。一般に、バイオセルロースを支持するために用いられる支持体は、コットン又は合成纎維からなる不織布形態、メッシュ形態又はフィルム形態に形成され、シートの片面又は両面に付着された形態で用いられる。しかし、本発明は支持体を有しないバイオセルロースシートを提供する(図2参照)。支持体を有しないバイオセルロースシートを用いる場合、シートを使う度にシートの片面又は両面の支持体を除去しなければならない不便さがない。一方、支持体に化粧料が不必要に吸収されることを防止するから、支持体を含むバイオセルロースシートに比べて、シートの化粧料含有率が非常に優れる。支持体を有しないバイオセルロースシートを用いる場合、シート製品の値段も著しく下げることができる。
【0051】
本発明の一側面によれば、前記植物抽出物は、松葉、甘草、アスナロ、ヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、及びイチョウの中のいずれか1種を含む抽出物である、バイオセルロースシートを提供する。
【0052】
保存剤に含有可能な植物としては、松葉、甘草、アスナロ、ヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、イチョウの抽出物などがある。松葉、甘草、アスナロ、ヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、イチョウは抗菌効果を有するから、人体に有害な合成保存剤の代わりとすることができる。特に、松葉はフィトンチッドを多量含有して抗酸化効能を有するため好ましい。このような植物の抽出物は、通常に用いられる抽出方式である浸出及び抽出液の分離精製工程によって保存剤に含まれることができる。保存剤は、バイオセルロースシート100重量%に対し、0.1重量%以上かつ5重量%以下の範囲で含むことが好ましく、1重量%以上かつ3重量%以下の範囲で含むことがより好ましい。
【0053】
本発明の一実施例によれば、バイオセルロースシート及び容器を含むバイオセルロース製品を提供する。バイオセルロース製品はココナッツを含むバイオセルロース材料から製造したバイオセルロースシートを容器に入れた製品を意味し、化粧料が注入される前段階の製品を意味する。前述したバイオセルロースシートを多様な形態で容器に入れたバイオセルロースシート製品を提供することができる。支持体を有しないバイオセルロースシートは一定の形態を維持しないので、しわくちゃになった化粧紙のように容器に入れることができ、シートを半分又は4半分に折った形態で容器に入れても構わない(図3参照)。若しくは、バイオセルロースシートを巻いて試験管チューブ状の容器に入れた製品を提供することもできる。バイオセルロースシートは容器の形態に合わせて多様な形態に変形して用いることができるので、多様な形態のバイオセルロース製品を提供することができる。バイオセルロースシートを入れる容器は、ガラス、アルミニウム、磁器、プラスチック、アクリル、紙ビニル、及びPET/PP容器の中のいずれか一つがあり得る。シートを肉眼で確認することができるガラス容器を用いることもでき、アルミニウム素材の包装容器を用いることもでき、美的効果のために磁器容器を用いることもでき、フレキシブルなプラスチック容器を用いることもでき、アクリル容器を用いることもできる。言及したどの素材の容器を用いても容器の形態は自由に変形して利用可能である。
【0054】
本発明の一実施例によれば、ココナッツを含むセルロース材料を準備する段階;セルロース材料を培養液に浸漬し、菌株を接種して厚さ150mm〜200mmのバイオセルロースを製造する段階;前記バイオセルロースを厚さ0.5mm〜3.5mmにスライスする段階;スライスされたバイオセルロースをホワイトニング及び洗浄する段階;ホワイトニング及び洗浄されたバイオセルロースを殺菌する段階;殺菌されたバイオセルロースを植物抽出物を含む保存液に浸漬する段階、及び保存液に浸漬されたバイオセルロースを脱水した後、圧縮及びカットする段階を含む、支持体を有しないバイオセルロースシートの製造方法を提供する。
【0055】
ココナッツを含むバイオセルロース材料を準備する段階において、ココナッツは果肉のままで又は粉砕して用いることができる。ココナッツを圧縮してシート状に製造することが可能であれば、その以外にも多様な方法を用いることができる。
【0056】
ココナッツ果肉又は粉砕物を培養液に浸漬した後、菌株を接種して厚さ150mm〜200mmのバイオセルロースを静置培養方式で製造する。培養液はアセトバクターキシリナムを用いることができ、その外にもグルコナセトバクター属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、シュードモナス属、サルシナ属などの微生物菌株を用いることができる。微生物の培養条件は20℃〜40℃で5日乃至10日間培養してバイオセルロースを生産する微生物の最適成長条件を維持する。
【0057】
製造されたバイオセルロースを厚さ0.5mm〜3.5mm、好ましくは厚さ1.5mm〜2.7mmにスライスする。このような厚さの範囲は、化粧料を注入してマスクシートとして用いる場合、身体への付着を容易にしながらも高い含有率を持たせるのに好適である。
【0058】
スライスされたバイオセルロースは、通常の方法でホワイトニング及び精製水で3回以上洗浄する。洗浄されたバイオセルロースは保存剤を充分に吸収することができるように遠心分離機で約10分間脱水して水分を十分に除去する。洗浄バイオセルロースを100℃〜120℃で15〜30分間殺菌処理する。このような過程によって殺菌されたバイオセルロースは植物抽出物を含む保存剤に10分〜24時間浸漬する。
【0059】
保存剤に含まれる植物抽出物は、松葉、甘草、アスナロ、ヤナギ、アキグミ、ヨコグラノキ、又はイチョウの抽出物であり得る。特に、松葉はフィトンチッドを多量含んで抗酸化効能を有するので好ましい。このような植物抽出物は浸出による抽出及び抽出液の分離精製工程によって保存剤に含まれることができる。保存剤は、バイオセルロースシート100重量%に対し、0.1重量%以上かつ5重量%以下の範囲で含むことが好ましく、1重量%以上かつ3重量%以下の範囲で含むことがより好ましい。
【0060】
バイオセルロースを保存剤に浸漬した後、バイオセルロースを圧縮及びカットする。圧縮カッターは手動式又は動力式の圧搾カッターを用いることができ、レバー式と圧搾式のいずれも用いることができる。圧縮カッターを用いる場合、バイオセルロースを圧縮して残存の水分を除去するとともに所望の形態にカットすることができる。圧縮カッターの上面内部にはブレードが装着されており、圧縮時にはブレードがカットしながら上面の内部に挿入できる。圧縮カッターのブレードは使用製品の用途によって適切に調節して用いることができ、多様な形態にカットすることができる。特に、化粧品類に用いられるマスクシートを製造する場合は、圧縮カッターの上面に顔形態のブレードを含む圧縮カッターを用いてカットすることができる。圧縮カッターはエアホールを有する上面及びバイオセルロース支持部を有する下面を含む。エアホールは上面に複数が形成されていることが好ましい。圧搾及びカッティングの際、エアホールから空気を噴射することができ、バイオセルロースが圧縮カッターの上面に付着することを防止する。よって、バイオセルロースを所定の形態にカットした後、圧縮カッターからバイオセルロースシートを容易に除去することができる。一方、エアホールを有する上面はすべり防止部を含むことができる。ココナッツのように滑りやすい素材をカットするためには形態を固定する必要があるため、従来には、バイオセルロースをカットする前にシートの片面又は両面に支持体を付着してカットする方式を用いて来た。すなわち、バイオセルロースの片面又は両面に不織布、メッシュ、又はフィルムなどからなった支持体を付着することで、圧縮及びカッティングの際にバイオセルロースが滑ることを防止した。すべり防止部を含む圧縮カッターを用いれば、バイオセルロースに支持体を含ませなくても形態を一定に固定することができ、容易なカッティングが可能となる。すべり防止部は、砂糖黍、プラスチック、シリコンの中でいずれか1種を含むことができるが、滑らかな素材を固定することができる材料であればこれに限定されない(図4参照)。
【0061】
本発明の一実施例によれば、前記方法によって製造される支持体を有しないバイオセルロースシートを提供する。前記方法によれば、植物抽出物を含む保存液を含む、支持体を有しないバイオセルロースシートを製造することができる。
【0062】
本発明の一実施例によれば、前述したバイオセルロースシートを容器に入れた後、容器をシールしてからガンマ処理する段階によって、支持体を有しないバイオセルロースシート製品を製造することができる。容器は、ガラス、アルミニウム、磁器、プラスチック、アクリル、紙ビニル、及びPET/PP容器の中でいずれか1種を用いることができる。一般に、支持体を含むバイオセルロースシートを投入する場合には、バイオセルロースシートを4半分に折った後、パウチ形態の容器に投入する。しかし、支持体を有しないバイオセルロースシートは容器の形態に合うようにどんな変形を加えても構わない。すなわち、図3のような容器を用いる場合は、バイオセルロースシートを一定の形態なしにしわくちゃにして容器に入れても構わない。好ましくは、バイオセルロースシートをくるくる巻いて試験管形態の容器に投入して保管することができる。バイオセルロースシートを容器に投入した後、ふたと容器間の隙間をシールし、ガンマ滅菌処理を行う。このように製造されたバイオセルロースシート製品に美白、しわ防止、栄養供給などの特殊目的の化粧料を注入すれば市販の化粧用マスクパックシートが出来上がる。注入される化粧料の種類には制限がなく、用途に応じて多様に利用可能である。バイオセルロースシート製品に化粧料を注入すれば、バイオセルロースシートは化粧料を吸収することになる。バイオセルロース素材の特性上、化粧料が注入された製品を開封してバイオセルロースシートを抽出すれば、人体に付着可能な形態に容易に広がるので、多様な形態に変形して容器に投入することが可能となる。支持体を含むバイオセルロースシートを用いる場合には、シートを折る過程でシートが外部に露出される頻度が高くなるから微生物がより易しく繁殖することになるが、支持体を有しないバイオセルロースシートを用いる場合にはシートを折る工程を省略することができるので、微生物の繁殖を減らすことができる。
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0064】
ただ、下記の実施例は本発明を例示するものであるだけ、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1:バイオセルロースを準備する段階
縦横2434のトレーにココナッツを粉砕したココナッツ原液を投入し、1重量%の砂糖を追加し、アセトバクターキシリナムを接種し、8〜10日間常温で保管することでバイオセルロースを製造する。製造されたバイオセルロースをスライスし、ホワイトニング及び洗浄を行った後、100〜150℃で15分間殺菌する。
【0066】
実施例2:植物抽出物を用いた保存剤製造方法
保存剤に含まれる植物抽出物を製造するために、ヤナギの枝を2〜3cm以下に細切した後、乾燥させる。大きさ2cmの乾燥したヤナギの枝を破砕抽出機に投入した後、抽出機を密封する。密封された抽出機のヒーターを作動させて50〜60℃の温度まで昇温した後、浸出させることで抽出物を得る。遠心分離で抽出物を分離精製し、回転蒸発濃縮器を用いて加温及び減圧の下で抽出物を濃縮させる。濃縮させた抽出物にグリセリンを混合することで保存剤を製造する。ヤナギ抽出物を含む保存剤に、先に製造されたバイオセルロースを浸漬する。
【0067】
実施例3:支持体を有しないバイオセルロースシートを圧縮及びカットする段階
製造されたバイオセルロースの水分を適切に放出させ、所望の形態及び大きさのシートを製造するために、バイオセルロースを圧縮及びカットする。顔に用いるバイオセルロースシートを製造するために、顔形態のブレードを含む圧縮カッターを用い、手動レバー式で圧縮と同時にカッティングを行う。圧縮及びカッティングの際には圧縮カッターの上面のエアホールから空気が噴射される。カットされたバイオセルロースシートを圧縮カッターから除去する。
【0068】
実施例4:バイオセルロースシート製品を製造する段階
製造されたバイオセルロースシートを一定の形態に折らず、シートをプラスチック容器に投入する。プラスチック容器のシーリング後、バイオセルロースシートが汚染されるとか外部の空気が流入するとかすることがないようにガンマ滅菌処理することでバイオセルロースシート製品を製造する。
【0069】
実施例5:支持体を含むバイオセルロースシートと支持体を有しないバイオセルロースシートの含有率比較テスト
支持体を有するバイオセルロースシートのうち、市販されている3形態のバイオセルロースシート(B、C、D)と実施例3によって製造された支持体を有しないバイオセルロースシート(A)にそれぞれ化粧料を注入した後、シートが含む化粧料含有率を比較した。
【0070】
バイオセルロースを準備した後、化粧料がうまく吸収されるように、遠心分離機で10分以上脱水して充分に水分を除去した。水分が除去されたバイオセルロースからそれぞれ下記のように4形態のバイオセルロースシートを作り、4形態のシートをそれぞれパウチに投入して密封した。密封されたパウチには同じ成分の化粧料30gを注入して充填し、常温で24時間保管した後、含有率をテストした。この時、B、C、Dの場合には、支持体を除去した後、支持体を有しないバイオセルロースシートのみでAと比較してテストした。
【0071】
その結果、Aは約98%の含有率(化粧料約29g含有)を示し、Bは約73%の含有率(化粧料約22g含有)、Cは約63%の含有率(化粧料約19g含有)、Dは約87%の含有率(化粧料約26g含有)を示した。すなわち、支持体を含むバイオセルロースの場合には、化粧料が支持体に吸収される量が多いから、バイオセルロースに吸収される化粧料の量が減少する。
A:支持体を有しないバイオセルロースシート
B:バイオセルロースの両面に不織布を支持体として含むバイオセルロースシート
C:バイオセルロースの一面には不織布を、他面にはフィルムを支持体として含むバイオセルロースシート
D:バイオセルロースの両面にメッシュ素材を支持体として含むバイオセルロースシート
【0072】
以上のように、本発明をたとえ限定された実施例及び図面に基づいて説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記の開示から多様な修正及び変形が可能である。例えば、前述した技術が前記方法とは違う手順で実行されるとか、前述した構成要素が前記方法とは違う形態に結合又は組合せされるか他の構成要素又は均等物に置換されても適切な結果が得られる。
【0073】
したがって、他の具現、他の実施例及び特許請求範囲と均等のものなども後述する請求範囲の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
【国際調査報告】