特表2019-532945(P2019-532945A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-532945USP30の阻害剤としての活性を有するシアノ置換複素環
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-532945(P2019-532945A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】USP30の阻害剤としての活性を有するシアノ置換複素環
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20191018BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20191018BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20191018BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20191018BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20191018BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20191018BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20191018BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191018BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20191018BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20191018BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20191018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   C07D401/04CSP
   C07D471/04 107Z
   C07D413/04
   C07D413/14
   C07D401/14
   C07D498/04 105
   C07D471/04 108Q
   A61K31/4545
   A61K31/5377
   A61K31/454
   A61K31/506
   A61P43/00 105
   A61P3/00
   A61P9/00
   A61P25/00
   A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】82
(21)【出願番号】特願2019-516577(P2019-516577)
(86)(22)【出願日】2017年9月27日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月27日
(86)【国際出願番号】GB2017052882
(87)【国際公開番号】WO2018060691
(87)【国際公開日】20180405
(31)【優先権主張番号】1616511.0
(32)【優先日】2016年9月29日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.CombiFlash
2.TWEEN
3.Nonidet
(71)【出願人】
【識別番号】517299582
【氏名又は名称】ミッション セラピューティクス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】マーティン リー ストックリー
(72)【発明者】
【氏名】マーク イアン ケンプ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC26
4C063CC52
4C063CC54
4C063CC58
4C063DD10
4C063DD26
4C063DD41
4C063EE01
4C065AA03
4C065AA04
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD02
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH02
4C065HH05
4C065JJ01
4C065KK05
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP09
4C065PP12
4C065PP13
4C065PP16
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE03
4C072FF07
4C072GG01
4C072HH02
4C072HH07
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086BC69
4C086BC70
4C086BC71
4C086BC73
4C086CB05
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、癌及びミトコンドリア機能不全を伴う状態を含む様々な治療分野において有用性を有する、脱ユビキチン化酵素、特に、ユビキチンC末端加水分解酵素30又はユビキチン特異的ペプチダーゼ30(USP30)の阻害剤としての活性を有する式(I)のシアノ置換複素環類に関する。(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
USP30の阻害が哺乳動物において有益な効果を生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療における使用のための、式(I)の化合物:
【化1】
その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩
(式中、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
aは、水素、フルオロ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル及び任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシから選択され、又はRaは、Rb又はRiと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
b、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1〜C3アルキルから選択され、又は1個以上のスピロ環基を形成し(ここで、RbはRcと結合し、又はRdはReと結合する)、又はRbはRaと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
f及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル及び任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシから選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RfはRgと結合する)、又はRgはRiと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
XがO又はN(Rh)である場合、Ra、Rf及びRgのいずれもフルオロ又は任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシではなく、
hは、水素、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたC(O)C1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたS(O)21〜C3アルキル及び任意選択的に置換された3〜6員環から選択され、
i及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシ及び任意選択的に置換された3〜6員環から選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RiはRjと結合する)、又はRiはRa又はRgと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
環Aは、非置換であるか又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
nは、0又は1であり、
1は、Q1a及びQ1bから選択され、
1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR4、NR23、CONR23、C0〜C3アルキレン−NR4COR5、NR4CONR56、COR4、C(O)OR4、SO24、SO2NR45、NR4SO25、NR4SO2NR56、NR4C(O)OR5、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニルから選択され、
1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR7、SO、SO2、CO、C(O)O、C0〜C3アルキレン−C(O)NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3アルキレン−NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3アルキレン−NR4C(O)−C0〜C3アルキレン、NR4CONR5、SO2NR4、NR4SO2、NR4SO2NR5、NR4C(O)O、NR4C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンから選択され、
1は、3〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルから選択され、
7は、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレンであり、
1は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR8、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2〜C6アルキニル、Q2a−R11、Q2a−O−Q2b−R11、Q2a−S−Q2b−R11、Q2a−SO−Q2b−R11、Q2a−NR8CONR910、Q2a−NR8CONR9−Q2a−R11、Q2a−NR89、Q2a−NR8−Q2b−R11、Q2a−COR8、Q2a−CO−Q2b−R11、Q2a−NR8COR9、Q2a−NR8CO−Q2b−R11、Q2a−NR8C(O)OR9、Q2a−NR8C(O)O−Q2b−R11、Q2a−SO28、Q2a−SO2−Q2b−R11、Q2a−CONR89、Q2a−CONR8−Q2b−R11、Q2a−CO28、Q2a−CO2−Q2b−R11、Q2a−SO2NR89、Q2a−SO2NR8−Q2b−R11、Q2a−NR8SO29、Q2a−NR8SO2−Q2b−R11、Q2a−NR8SO2NR910及びQ2a−NR8SO2NR9−Q2b−R11から各々独立して選択される1個以上の置換基で置換され、
2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンから選択され、
8、R9及びR10は、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルから選択され、
11は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換されたシクロアルキルから選択される)。
【請求項2】
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
aは、水素、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はRaは、Rb又はRiと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
b、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択され、又は1個以上のスピロ環基を形成し(ここで、RbはRcと結合し、又はRdはReと結合する)、又はRbはRaと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
f及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RfはRgと結合する)、又はRgはRiと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
XがO又はN(Rh)ある場合、Ra、Rf及びRgのいずれもフルオロ又はC1〜C3アルコキシではなく、
hは、水素、C1〜C3アルキル、C(O)C1〜C3アルキル及びS(O)21〜C3アルキルから選択され、
i及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RiはRjと結合する)、又はRiはRa又はRgと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
環Aは、非置換であるか又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
nは、0又は1であり、
1は、Q1a及びQ1bから選択され、
1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR4、NR23、CONR23、C0〜C3−アルキレン−NR4COR5、NR4CONR56、COR4、C(O)OR4、SO24、SO2NR45、NR4SO25、NR4SO2NR56、NR4C(O)OR5、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ及びC2〜C6アルケニルから選択され、
1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR7、SO、SO2、CO、C(O)O、C0〜C3−アルキレン−C(O)NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3−アルキレン−NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3アルキレン−NR4C(O)−C0〜C3アルキレン、NR4CONR5、SO2NR4、NR4SO2、NR4SO2NR5、NR4C(O)O、NR4C(O)OR7、C1〜C6アルキレン及びC2〜C6アルケニレンから選択され、
1は、3〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、水素及びC1〜C6アルキルから選択され、
7は、C1〜C6アルキレンであり、
1は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R11及びO-R11から各々独立して選択される1〜6個の置換基で置換され、
11は、非置換であってもよいし又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル及びC1〜C6アルコキシから各々独立して選択される1〜5個の置換基で置換されてもよい、5〜6員のアリール又はヘテロアリール環であり、ここで、前記アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
aは、水素、フルオロ、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択される、請求項1又は2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
b、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri及びRjは、各々独立して、水素、メチル及びエチルから選択される、請求項3に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、非置換であるか又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜7員の単環式ヘテロアリール若しくはヘテロシクリル環又は9〜10員の二環式ヘテロアリール若しくはヘテロシクリル環である、請求項1〜4の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項6】
環Aは、非置換であるか、又は1〜4個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル、2,3-ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、3,4−ジヒドロピラニル、3,6−ジヒドロピラニル、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H−キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ピロロピリジニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、オキサゾロピリジニル及びテトラヒドロピラジニルから選択される、請求項5に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
環Aは、非置換であるか又は1〜4個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、イミダゾピリジニル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジニル、ベンゾオキサゾリル及びオキサジアゾリルから選択される、請求項6に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
(i)nは0であり、Q1はハロシアノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択され、又は
(ii)nは1であり、Q1は、共有結合又は酸素であり、R1は、フェニル及び5〜6員の単環式ヘテロアリールから選択され、
1は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、R11及びO−R11から各々独立して選択される1〜5個の置換基で置換され、
11は、フェニル及び5〜6員の単環式ヘテロアリールから選択され、これらの各々は、非置換であるか、又ハロ、シアノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから各々独立して選択される1〜5個の置換基で置換された、請求項1〜7の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
環AはNH2又はC(O)NH2で置換されてなく、又は環Aは窒素含有ヘテロアリール環で置換され、置換はNHリンカーを介さず、
2及びR3は、水素であることはできず、
1が窒素含有ヘテロアリール環である場合、Q1bはNHではない、請求項1〜8の何れか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項10】
3−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
3−(4−(3−シアノフェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
2−(4−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
2−(4−(3−シアノフェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
2−(3−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
3−(4−(2−フェノキシフェニル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−3−(5−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(5−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−4−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−[2,4’−ビピリジン]−2’−カルボニトリル、
(R)−4−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピコリノニトリル、
(R)−2’−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−[4,4’−ビピリジン]−2−カルボニトリル、
3−(6−(1H−ピラゾール−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−3−フルオロ−3−(5−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
(S)−3−(5−(3−シアノフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(5−(1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)ピコリノニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)ピコリノニトリル、
3−(6−(3−シアノフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−6−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)ピコリノニトリル、
(R)−3−(5−(3−シアノフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−6−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル、
(R)−2−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピコリノニトリル、
(R)−2−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)イソニコチノニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−6−イル)ピコリノニトリル、
3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−6−イル)ピコリノニトリル、及び
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)ピコリノニトリル
から選択される式(I)の化合物、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項11】
式(I)の化合物:
【化2】
その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩
(式中、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
aは、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はRaはRb又はRiと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
X、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及び環Aは、請求項1〜9の何れか一項に記載の通りであり、
XがO又はN(Rh)である場合、Ra、Rf及びRgのいずれもフルオロ又はC1〜C3アルコキシでない)。
【請求項12】
(i)Xは、C(Ri)(Rj)であり、
aは、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、
i及びRjは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択され、又は
(ii)XはOであり、
aはC1〜C3アルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
XはCH2であり、Raはフルオロである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式(I)の化合物:
【化3】
その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩
(式中、
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、非置換であるか又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜7員の単環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
X、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Q1、R1及びnは、請求項1〜9及び11〜13の何れか一項に記載の通りである)。
【請求項15】
前記ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、3,4−ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル及びテトラヒドロピラジニルから選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記ヘテロアリール環は、トリアゾリル、オキサゾリル及びオキサジアゾリルから選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
式(I)の化合物:
【化4】
その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩
(式中、
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、9〜10員の二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
環Aが9員のヘテロアリールである場合、少なくとも1個のヘテロ原子はO又はSであり、
環Aは、非置換であるか、又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換され、
X、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Q1、R1及びnは、請求項1〜9及び11〜13の何れか一項に記載の通りである)。
【請求項18】
前記ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、オキサゾロピリジニル、4H−キノリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、及びジヒドロベンゾオキサジニルから選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記ヘテロアリール環は、オキサゾロピリジニル及びベンゾオキサゾリルから選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
式(I)の化合物:
【化5】
その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩
(式中、
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から各々独立して選択される1〜4個のZ原子を有し、残りのZ原子は炭素である、9員の二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
環Aは、非置換であるか、又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換され、
X、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Q1、R1及びnは、請求項1〜9及び11〜13の何れか一項に記載の通りである)。
【請求項21】
前記ヘテロアリール環は、インドリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ピロロピリジニル、インドリル、インドリジニル、プリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、チアゾロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル及びオキサゾロピリジニルから選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
*は窒素である、請求項20又は21に記載の化合物。
【請求項23】
USP30の阻害が哺乳動物において有益な効果を生じることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療の方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の、請求項1〜22の何れか一項に記載の化合物、その互変異性体、又は前記化合物若しくは互変異性体の薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項24】
USP30の阻害が有益な効果を生じることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療のための医薬の調製における、請求項1〜22の何れか一項に記載の化合物、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩の使用。
【請求項25】
前記障害又は状態が、ミトコンドリア機能不全を伴う状態及び癌から選択される、請求項10に記載の使用のための化合物、請求項23に記載の方法、又は請求項24に記載の使用。
【請求項26】
ミトコンドリア機能不全を含む障害又は状態が、CNS障害;神経変性疾患;多発性硬化症(MS);ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(MELAS)症候群;レーベル遺伝性視神経症(LHON);癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍又は組織器官の他の癌、及びリンパ腫及び白血病などの血液細胞の癌、多発性骨髄腫、大腸癌、並びに非小細胞肺癌);神経性薄弱・運動失調・網膜色素変性症・母性遺伝性リー症候群(NARP−MILS);ダノン病;糖尿病;糖尿病性腎症;代謝障害;心不全;心筋梗塞を引き起こす虚血性心疾患;精神疾患;統合失調症、多発性スルファターゼ欠損症(MSD);ムコリピドーシスII(ML II);ムコリピドーシスIII(ML III);ムコリピドーシスIV(ML IV);GMI−ガングリオシドーシス(GM1);神経セロイドリポフスチン症(NCL1);アルパーズ病;バース症候群;ベータ酸化欠損;カルニチン−アシル−カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチン欠乏症候群:コエンザイムQ10欠損症:複合体I欠損症;複合体II欠損症;複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;COX欠損症;慢性進行性外眼筋麻痺症候群(CPEO);CPT I欠損症;CPT II欠損症;グルタル酸尿症II型;カーンズ・セイヤー症候群;乳酸アシドーシス;長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD);リー病又は症候群;致死性小児心筋症(LIC);ルフト病;グルタル酸尿症II型:中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD;ミオクローヌスてんかん症候群・赤色ぼろ線維(MERRF)症候群;ミトコンドリア細胞変性;ミトコンドリア劣性運動失調症候群;ミトコンドリアDNA枯渇症候群;筋神経胃腸障害及び脳症;ピアソン症候群;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;POLG変異;中/短鎖3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ(M/SCHAD)欠損症;極長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(VLCAD)欠損症;認知機能及び筋力の年齢依存性の低下から選択される、請求項25に記載の使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項27】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、虚血症、脳卒中、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症;及びα−シヌクレイン、パーキン及びPINK1の変異に関連するPD、パーキンが変異している常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR−JP)を含む、パーキンソン病の治療から選択される、請求項26に記載の使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項28】
癌が、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍、組織器官の癌、血液細胞の癌、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、大腸癌、非小細胞肺癌、アポトーシス経路が調節不全である癌、及びBCL−2ファミリーのタンパク質が変異している又は過剰発現若しくは過少発現している癌から選択される、請求項25に記載の使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項29】
医薬として使用するための、請求項11〜22の何れか一項に記載の化合物。
【請求項30】
請求項11〜22の何れか一項に記載の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱ユビキチン化酵素、特に、ユビキチンC末端加水分解酵素30又はユビキチン特異的ペプチダーゼ30(USP30)の阻害剤としての活性を有するシアノ置換複素環類、その使用、その調製方法、及び該阻害剤を含有する組成物に関する。これらの阻害剤は、癌及びミトコンドリア機能不全を含む状態を含む様々な治療分野において有用性を有する。
【背景技術】
【0002】
ユビキチンは、細胞におけるタンパク質機能の調節に重要な76個のアミノ酸からなる小さなタンパク質である。ユビキチン化及び脱ユビキチン化は、ユビキチンが共有結され又は脱ユビキチン化酵素(DUB)によって標的タンパク質から切断される、酵素媒介プロセスであり、そのうちの約95種のDUBはヒト細胞中に存在し、配列相同性に基づいてサブファミリーに分けられる。USPファミリーは、そのDUB活性にとって重要なCys及びHis残基を含む共通のCys及びHisボックスによって特徴付けられる。ユビキチン化及び脱ユビキチン化プロセスは、細胞周期の進行、アポトーシス、細胞表面受容体の修飾、DNA転写及びDNA修復の調節を含む、多くの細胞機能の調節に関与している。したがって、ユビキチンシステムは、炎症、ウイルス感染、代謝機能不全、CNS障害及び発癌を含む多くの病状の病因に関与している。
【0003】
ユビキチンは、ミトコンドリア動態のマスターレギュレーターである。ミトコンドリアは動的オルガネラであり、その生合成、融合及び分裂事象は、ミトフシンなどの多くの重要な因子のユビキチン化を介する翻訳後調節によって調節される。パーキン(parkin)などのユビキチンリガーゼが多くのミトコンドリアタンパク質をユビキチン化することは既知であるが、最近まで、脱ユビキチン化酵素はあまり理解されていなかった。USP30は、ミトコンドリア外膜に見出される517個のアミノ酸タンパク質である(Nakamura et al.,Mol Biol 19:1903-11,2008)。それはミトコンドリアアドレッシングシグナル(addressing signal)を有する唯一の脱ユビキチン化酵素であり、多くのミトコンドリアタンパク質を脱ユビキチン化することが示されている。USP30がパーキン媒介性のマイトファジーを妨害すること、及びUSP30活性の低下によってマイトファジーにおけるパーキン媒介性の欠陥が救済され得ることが実証されている。
【0004】
ミトコンドリア機能不全は、ミトコンドリア含量の減少(マイトファジー又はミトコンドリア生物発生)として、ミトコンドリア活性及び酸化的リン酸化の減少として、さらには活性酸素種(ROS)の生成の調節として定義することができる。したがって、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症)、癌、糖尿病、代謝障害、心血管疾患、精神疾患(例えば、統合失調症)及び変形性関節症を含むがこれらに限定されない、非常に多くの老化及び病理におけるミトコンドリア機能不全において役割を有する。
【0005】
例えば、パーキンソン病は、世界中で約1000万人が罹患しており(パーキンソン病財団)、黒質のドーパミン作動性ニューロンが喪失することを特徴としている。PDの根底にある正確なメカニズムは不明であるが、ミトコンドリア機能不全は、PDにおけるドーパミン作動性ニューロン感受性の重要な決定因子としてますます認識されており、家族性及び散発性疾患の両方並びに毒素誘発性パーキンソニズムの特徴である。パーキンは、早期発症PDと関係があるとされる多くのタンパク質のうちの1つである。ほとんどのPD症例はα−シヌクレインの欠陥と関連しているが、パーキンソン症例の10%は特定の遺伝子欠陥と関連しており、そのうちの1つはユビキチンE3リガーゼパーキンにある。パーキン及びプロテインキナーゼPTEN誘導性推定キナーゼ1(PINK1)は、損傷したミトコンドリアのミトコンドリア膜タンパク質をユビキチン化するように共同して働き、マイトファジーをもたらす。マイトファジーの調節不全は酸化ストレスの増加をもたらし、これはPDの特徴として説明されている。したがって、USP30の阻害は、PDの治療のための潜在的な戦略となり得る。例えば、活性低下を引き起こすパーキン変異を有するPD患者は、USP30の阻害によって治療的に補償され得る。
【0006】
USP30の枯渇は、ミトコンドリアのマイトファジークリアランス(mitophagic clearance)を促進し、またパーキン誘導性の細胞死を促進することも報告されている。USP30はまた、パーキンの過剰発現とは独立してBAX/BAK依存性アポトーシスを調節することが示されている。USP30の枯渇は、パーキン過剰発現を必要とせずに、ABT−737などのBH−3模倣物に対して癌細胞を感作する。このようにUSP30について抗アポトーシスの役割が実証されており、したがってUSP30は抗癌治療のための潜在的な標的である。
【0007】
ユビキチン−プロテアソームシステムは、多発性骨髄腫の治療のためのプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))の認可後、癌治療のための標的として関心を集めている。ボルテゾミブによる長期治療は、それに伴う毒性及び薬剤耐性によって制限される。しかしながら、DUBなど、プロテアソーム上流におけるユビキチン−プロテアソーム経路の特定の態様を標的とする治療戦略は、より良好に許容されると予測される(Bedford et al.,Nature Rev 10:29-46,2011)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、USP30の阻害の必要が示される症状の治療のために、USP30の阻害剤である化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一連のシアノ置換複素環は、PCT出願の国際公開第2016/046530号パンフレット、国際公開第2016/156816号パンフレット、国際公開第2017/009650号パンフレット、国際公開第2017/093718号パンフレット、国際公開第2017/103614号パンフレット及び国際出願PCT/GB2017/050830号明細書において脱ユビキチン化酵素阻害剤として開示されている。Falgueyret et al., J.Med.Chem.2001, 44, 94-104及びPCT出願の国際公開第01/77073号パンフレットは、骨粗鬆症及び他の骨再吸収関連状態の治療において潜在的な有用性を有する、カテプシンK及びLの阻害剤としてのシアノピロリジンに言及している。PCT出願の国際公開第2015/179190号パンフレットは、潰瘍性大腸炎及びクローン病の治療において潜在的な有用性を有する、N−アシルエタノールアミン加水分解酸アミダーゼ阻害剤について言及している。PCT出願の国際公開第2013/030218号パンフレットは、癌、神経変性疾患、炎症性疾患及びウイルス感染症の治療における潜在的な有用性を有する、ユビキチン特異的プロテアーゼ、例えば、USP7の阻害剤としてのキナゾリン−4−オン化合物に言及している。PCT出願の国際公開第2014/068527号パンフレット、国際公開第2014/188173号パンフレット、国際公開第2015/017502号パンフレット、国際公開第2015/061247号パンフレット、国際公開第2016/019237号パンフレット及び国際公開第2016/192074号パンフレットは、自己免疫疾患、炎症性疾患、及び癌などの疾患の治療において潜在的な有用性を有する、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤に関する。国際公開第2009/026197号パンフレット、国際公開第2009/129365号パンフレット、国際公開第2009/129370号パンフレット及び国際公開第2009/129371号パンフレットは、COPDの治療において潜在的な有用性を有するカテプシンCの阻害剤としてのシアノピロリジンに言及している。米国特許出願公開第2008/0300268号明細書は、チロシンキナーゼ受容体PDGFRの阻害剤としての多環芳香族化合物に言及している。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、USP30の阻害が哺乳動物において有益な効果を生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療における使用のための、式(I)の化合物:
【0011】
【化1】
【0012】
その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
aは、水素、フルオロ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、及び任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシから選択され、又はRaは、Rb又はRiと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
b、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1〜C3アルキルから選択され、又は1個以上のスピロ環基を形成し(ここで、RbはRcと結合して、又はRdはReと結合する)、又はRbはRaと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
f及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、及び任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシから選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RfはRgと結合する)、又はRgはRiと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
XがO又はN(Rh)である場合、Ra、Rf及びRgのいずれも、フルオロ又は任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシではなく、
hは、水素、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたC(O)C1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたS(O)21〜C3アルキル、及び任意選択的に置換された3〜6員環であり、
i及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシ、及び任意選択的に置換された3〜6員環から選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RiはRjと結合する)、又はRiはRa又はRgと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成し、
環Aは、非置換であるか又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
nは、0又は1であり、
1は、Q1a及びQ1bから選択され、
1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR4、NR23、CONR23、C0〜C3アルキレン−NR4COR5、NR4CONR56、COR4、C(O)OR4、SO24、SO2NR45、NR4SO25、NR4SO2NR56、NR4C(O)OR5、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニルから選択され、
1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR7、SO、SO2、CO、C(O)O、C0〜C3アルキレン−C(O)NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3アルキレン−NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3アルキレン−NR4C(O)−C0〜C3アルキレン、NR4CONR5、SO2NR4、NR4SO2、NR4SO2NR5、NR4C(O)O、NR4C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン、及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンから選択され、
1は、3〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルから選択され、
7は、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレンであり、
1は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR8、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2〜C6アルキニル、Q2a−R11、Q2a−O−Q2b−R11、Q2a−S−Q2b−R11、Q2a−SO−Q2b−R11、Q2a−NR8CONR910、Q2a−NR8CONR9−Q2a−R11、Q2a−NR89、Q2a−NR8−Q2b−R11、Q2a−COR8、Q2a−CO−Q2b−R11、Q2a−NR8COR9、Q2a−NR8CO−Q2b−R11、Q2a−NR8C(O)OR9、Q2a−NR8C(O)O−Q2b−R11、Q2a−SO28、Q2a−SO2−Q2b−R11、Q2a−CONR89、Q2a−CONR8−Q2b−R11、Q2a−CO28、Q2a−CO2−Q2b−R11、Q2a−SO2NR89、Q2a−SO2NR8−Q2b−R11、Q2a−NR8SO29、Q2a−NR8SO2−Q2b−R11、Q2a−NR8SO2NR910、及びQ2a−NR8SO2NR9−Q2b−R11から各々独立して選択される1個以上の置換基で置換され、
2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン、及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンから選択され、
8、R9及びR10は、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルから選択され、
11は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたシクロアルキルから選択される。
【0013】
特に別段の定めがない限り、置換された、という用語は、1個以上の定義された基によって置換されていることを意味する。基が2個以上の選択肢から選択してもよい場合、選択される基は同じでも又は異なってもよい。この用語は、2個以上の置換基が2個以上の可能な置換基から選択される場合、それらの置換基は同じでも又は異なってもよいことを独立して意味する。
【0014】
特に別段の定めがない限り、対応する二価基を含む、アルキル、アルケニル及びアルコキシ基は、直鎖状又は分枝状でもよく、1〜6個の炭素原子、典型的には1〜4個の炭素原子を含んでもよい。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル及びヘキシルが含まれる。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシが含まれる。
【0015】
x〜Cyアルキルとは、直鎖状又は分枝状でもよい、x〜y個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基を指す。例えば、C1〜C6アルキルは、1〜6個の炭素原子を含み、C-1、C2、C3、C4、C5及びC6を含む。「分枝状」とは、少なくとも1個の炭素分岐点が基の中に存在することを意味する。例えば、tert−ブチル及びイソプロピルは両方とも分枝状の基である。C1〜C6アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びn−ヘキシルが含まれる。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、R10、Q1aの定義内及びR1の置換基の定義内のC1〜C6アルキル、C1〜C4アルキル及びC1〜C3アルキルは、非置換であってもよいし、又は本明細書で定義される1個以上の置換基で置換されていてもよい。したがって、置換されたC1〜C6アルキルの例には、CF3、CH2CF3、CH2CN、CH2OH及びCH2CH2OHが含まれる。
【0016】
x〜Cyアルキレン基又は部分は、直鎖状又は分枝状であってもよく、上記で定義したCx~yアルキルから1個少ない水素原子を有する二価炭化水素基をいう。C1〜C6アルキレンは、酸素などの介在するヘテロ原子を含んでもよく、したがってアルキレンオキシ基を含む。本明細書で使用されるアルキレンオキシはまた、酸素原子(例えば、単一の酸素原子)がアルキレン鎖内に位置している実施形態に及ぶ(例えば、CH2CH2OCH2又はCH2OCH2)。C1〜C6アルキレン基の例には、メチレン、メチレンオキシ、エチレン、エチレンオキシ、n−プロピレン、n−プロピレンオキシ、n−ブチレン、n−ブチレンオキシ、メチルメチレン及びジメチルメチレンが含まれる。特に明記しない限り、R7、Q1b、Q2a及びQ2bの定義内のC1〜C6アルキレン、C1〜C4アルキレン及びC1〜C3アルキレンは、非置換であってもよいし、又は本明細書で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0017】
2〜C6アルケニルは、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖基を意味し、C2〜C4アルケニルを含む。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−メチル−1−プロペニル、1,2−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、1,4−ペンタジエニル及び1−ヘキサジエニルが含まれる。特に明記しない限り、Q1aの定義内及びR1の置換基の定義内のC2〜C6アルケニルは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0018】
2〜C6アルケニレンとは、上記で定義したC2〜C6アルケニルから1個少ない水素原子を有する直鎖状又は分枝状炭化水素基を指す。C2〜C6アルケニレンの例には、エテニレン、プロペニレン及びブテニレンが含まれる。特に明記しない限り、Q1b、Q2a、Q2bの置換基の定義内のC2〜C6アルケニレン及びC2〜C4アルケニレンは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0019】
2〜C6アルキニルとは、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の三重結合を含有する直鎖状又は分枝状炭化水素鎖基を指す。アルケニル基の例には、エチニル、プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。別段の定めがない限り、R1の置換基の定義内のC2〜C6アルキニルは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0020】
「C1〜C6アルコキシ」とは、上記のCx〜Cyアルキルの定義に従った−O−Cx〜Cyアルキル基を有する基又は基の一部を指す。C1〜C6アルコキシは1〜6個の炭素原子を含み、C-1、C2、C3、C4、C5及びC6を含む。C1〜C6アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びヘキソキシが含まれる。本明細書で使用されるアルコキシはまた、酸素原子(例えば単一の酸素原子)がアルキル鎖内に位置している実施形態に及ぶ(例えば、CH2CH2OCH3又はCH2OCH3)。したがって、アルコキシは炭素を介して分子の残部に結合することができ(例えば、−CH2CH2OCH3)、又はあるいはアルコキシは酸素を介して分子の残部に結合することができる(例えば、−OC1~6アルキル)。一例において、アルコキシは酸素を介して分子の残部と結合するが、アルコキシ基はさらなる酸素原子を含む(例えば、OCH2CH2OCH3)。別段の定めがない限り、Ra、Rf、Rg、Ri、Rj、Q1aの定義内及びR1の置換基の定義内のC1〜C6アルコキシ及びC1〜C3アルコキシは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。したがって、置換されたC1〜C6アルコキシの例には、OCF3、OCHF2、OCH2CF3、CH2CH2OCH3及びCH2CH2OCH2CH3が含まれる。
【0021】
ハロという用語は、クロロ、ブロモ、フルオロ又はヨード、特に、クロロ又はフルオロを指す。ハロアルキル及びハロアルコキシ基は、1個以上のハロ置換基を含むことができる。例は、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシである。「オキソ」との用語は、=Oを意味する。「ニトロ」との用語は、NO2を意味し、SF5(ニトロの既知の模倣物)を含む。
【0022】
本明細書に開示され、かつRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、R1、R11及び環Aの定義内のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリール環は、単環式又は二環式であってもよい。二環系には、架橋、縮合及びスピロ環系が含まれる。特に、二環系は縮合環系である。置換基は、存在する場合、炭素原子又はヘテロアリール及び複素環系の場合にはヘテロ原子であり得る任意の好適な環原子に結合し得る。
【0023】
「シクロアルキル」とは、全ての環原子が炭素であり、示された数の環原子を有する、単環式飽和又は部分不飽和非芳香族環を指す。例えば、C3〜C10シクロアルキルは、3〜10個の炭素原子を含有する単環式又は二環式炭化水素環を指す。C3〜C10シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びデカヒドロナフタレニルである。二環式シクロアルキル基には、ビシクロヘプタン及びビシクロオクタンなどの架橋環系が含まれる。別段の定めがない限り、Ra、Rb、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、R1、R11の定義内のシクロアルキルは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0024】
「アリール」基/部分とは、少なくとも1個の芳香族基を含み、5〜10個の炭素原子の環員を有する、任意の単環式又は二環式炭化水素基を指す。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。二環は、両方の環が芳香族である縮合芳香族環、例えばナフタレニルであり得る。好ましいアリール基は、フェニル及びナフチル、より好ましくはフェニルである。別段の定めがない限り、Rh、Ri、Rj、R1及びR11の定義内のアリールは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0025】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される少なくとも1個から5個以下のヘテロ原子、特に1、2又は3個のヘテロ原子を含有する、多不飽和、単環式又は二環式の5〜10員の芳香族部分を意味し、当業者に既知の安定な組合せでは、残りの環原子は炭素原子である。ヘテロアリール環の窒素原子及び硫黄原子は任意選択的に酸化され、窒素原子は任意選択的に四級化される。ヘテロアリール環は、単一の芳香族環又は縮合した二環であることができ、該二環系は芳香族であることができ、又は縮合環の一方が芳香族であり、他方が少なくとも部分的に飽和である。環の一方が芳香族であり、他方が少なくとも部分的に飽和である縮合環の例には、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。そのような場合、二環が基(例えばシアノピロリジンコア)の置換基である該基への二環の結合は、二環の芳香族環からである。特定の例において、二環式ヘテロアリールは、縮合環系全体が芳香族であるものである。二環式ヘテロアリールは、縮合環のいずれかにおいて少なくとも1個のヘテロ原子を有することができる。例えば、部分飽和環に縮合した芳香族環を有する二環は、芳香族環又は部分飽和環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有してもよい。二環が基の置換基である該基への二環の結合は、ヘテロ原子を含有する環又は炭素のみを含有する環のいずれかを介することができる。ヘテロアリールが基の置換基である該基へのヘテロアリールの結合点は、炭素原子又はヘテロ原子(例えば、窒素)を介することができる。環Aがヘテロアリール環である場合、シアノピロリジンコアへの結合は芳香族環中の炭素環原子を介し、該芳香族環はさらなる芳香族環又は部分飽和環に縮合していてもよい。
【0026】
例には、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピラジニル、テトラヒドロキノリニル、オキサゾロピリジニル、及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。別段の定めがない限り、Rh、Ri、Rj、R1、R11及び環Aの定義内のヘテロアリールは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0027】
環の記載において本明細書で使用される「ヘテロシクリル」又は「複素環式(heterocyclic)」とは、特に明記しない限り、単環式飽和若しくは部分不飽和非芳香族環又は二環式飽和若しくは部分不飽和環であって、該二環系は、例えば、3〜10員又は5〜10員の非芳香族の単環若しくは二環であり、環の少なくとも1員から5員以下、特に1、2又は3員がN、O及びSから選択されるヘテロ原子であるものを意味し、当業者に既知の安定な組合せでは、残りの環原子は炭素原子である。複素環の窒素原子及び硫黄原子は任意選択的に酸化され、窒素原子は任意選択的に四級化される。本明細書で使用される場合、複素環は、二環を形成するために別の環系への縮合環であってもよく、すなわち、複素環炭素のうちの1又は2個はさらなる環系と共通する。ヘテロシクリルが二環である場合には、第2の環は芳香族、例えば、縮合フェニル、ピリジル、ピラゾリル又は同種のものであることができる。ヘテロシクリルは、炭素又はヘテロ原子を介して分子の残部に結合していてもよく、ヘテロシクリルが二環である場合、結合はヘテロ原子含有環又は縮合環を介してもよい。環Aがヘテロシクリル環である場合、シアノピロリジンコアへの結合は非芳香族環中の炭素環原子を介し、該非芳香族環は、芳香族でも又は非芳香族でもよいさらなる環と縮合していてもよい。ヘテロシクリル基の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル,ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4−ジヒドロピラニル、3,6−ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H−キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ピロロピリジニル、ジヒドロナフチリジニル、ジヒドロイソキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。別段の定めがない限り、Rh、Ri、Rj、R1、R11及び環Aの定義内のヘテロシクリルは、非置換であってもよいし、又は本明細書で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0028】
任意の基に適用される「任意選択的に置換された」とは、該基が、所望する場合、1個以上の同じでも又は異なってもよい置換基(例えば1、2、3又は4個の置換基)で置換されてもよいことを意味する。
【0029】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、R10、Q1aの定義内及びR1の置換基の定義内の「置換された」及び「任意選択的に置換された」C1〜C6アルキル(C1〜C4アルキル、C1〜C3アルキル、及びC1〜C2アルキルを含む)、及びC1〜C6アルコキシ(C1〜C4アルコキシ、C1〜C-3アルコキシ、及びC1〜C2アルコキシを含む)、及びC2〜C6アルケニル(C2〜C4アルケニルを含む)、及びC2〜C6アルキニル(C2〜C4アルキニルを含む)、並びにR7、Q1b、Q2a、及びQ2bの定義内の「置換された」及び「任意選択的に置換された」C1〜C6アルキレン(C1〜C3アルキレンを含む)及びC2〜C6アルケニレンの好適な置換基の例には、C1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロ、特に、ハロ(好ましくは、フルオロ若しくはクロロ)、ヒドロキシル及びシアノが含まれる。
【0030】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、R1、R11及び環Aの定義内の「置換された」及び「任意選択的に置換された」環、すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリール環の好適な置換基の例には、ハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシ、C1〜C6アルキル若しくはC1〜C3アルキル、C1〜C6アルコキシ若しくはC1〜C3アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C3〜C6シクロアルキル、C1~3アルキルアミノ、C2~6アルケニルアミノ、ジ−C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C3アシルアミノ、ジ−C1〜C3アシルアミノ、カルボキシ、C1〜C3アルコキシカルボニル、カルボキサミジル、モノ−C1~3カルバモイル、ジ−C1~3カルバモイル又はヒドロカルビル部分がそれ自体、ハロ、特にフルオロ、ヒドロキシル、シアノ、アミノ及びニトロによって置換された上記のうちのいずれかが含まれる。ヒドロキシ及びアルコキシなどの酸素原子を含有する基において、酸素原子を硫黄で置き換えて、チオ(SH)及びチオ−アルキル(S−アルキル)などの基にすることができる。したがって、任意選択的な置換基は、S−メチルなどの基を含む。チオ−アルキル基では、硫黄原子をさらに酸化してスルホキシド又はスルホンにすることができ、したがって、任意選択的な置換基には、S(O)−アルキル及びS(O)2−アルキルなどの基が含まれる。
【0031】
「置換された」及び「任意選択的に置換された」環の好適な置換基の例には、特に、ハロ、オキソ、シアノ、C1〜C3アルキル、C1〜C3アルコキシ、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリ又はアリールが含まれ、ここで、アルキル又はアルコキシは、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上(例えば、1、2又は3個)の置換基で任意選択的に置換される。特に、本明細書に開示される「置換された」及び「任意選択的に置換された」環の好適な置換基には、フルオロ、クロロ、オキソ、シアノ、C1〜C3アルキル、C1〜C3アルコキシが含まれ、ここで、アルキル又はアルコキシは、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上(例えば、1、2又は3個)の置換基、特に1個以上フルオロで任意選択的に置換される。
【0032】
したがって、置換基には、例えばBr、Cl、F、CN、Me、Et、Pr、t−Bu、OMe、OEt、OPr、C(CH33、CH(CH32、CF3、OCF3、C(O)NHCH3、シクロプロピル、フェニルなどが含まれる。アリール基の場合、置換は、アリール環中の隣接する炭素原子からの環形態、例えば、O−CH2−Oなどの環状アセタールであってもよい。
【0033】
本発明で使用するための式(I)の化合物の好ましい実施形態は、以下に定義される。
【0034】
aは、水素を表すことができる。Raは、C1〜C3アルキルを表すことができる。Raは、C1〜C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Raは、メチル又は置換メチルを表すことができる。XがC(Ri)(Rj)である場合、Raはフルオロを表すことができる。XがC(Ri)(Rj)ある場合、Raは任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)を表すことができる。一実施形態において、Raが水素以外である場合、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)は、各々、水素を表す。Raの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、該アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0035】
bは、水素を表すことができる。Rbは、C1〜C3アルキルを表すことができる。Rbは、C1〜C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rbは、メチル又は置換メチルを表すことができる。RbがC1〜C3アルキルを表す場合、Ra、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)は、各々、水素を表す。Rbの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、該アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0036】
一実施形態において、Rcが水素以外である場合、Rbは水素である。Rb及びRcのうちの1つが水素であるように、Rcが水素以外である場合、Rbは水素であることができる。
【0037】
別の実施形態において、Rb及びRcは、各々、メチルを表すことができる。
【0038】
dは、水素を表すことができる。Rdは、C1〜C3アルキルを表すことができる。Rdは、C1〜C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rdは、メチル又は置換メチルを表すことができる。RdがC1〜C3アルキルを表す場合、Ra、Rb、Rc、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)は、各々、水素を表す。Rdの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、該アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0039】
一実施形態において、Rdが水素以外である場合、Reは水素である。Rd及びReのうちの1つが水素であるように、Reが水素以外である場合、Rdは水素であることができる。
【0040】
別の実施形態において、Rd及びReは、各々、メチルを表すことができる。
【0041】
fは、水素を表すことができる。Rfは、シアノを表すことができる。Rfは、C1〜C3アルキルを表すことができる。Rfは、C1〜C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rfは、メチル又は置換メチルを表すことができる。XがC(Ri)(Rj)である場合、Rfはフルオロを表すことができる。XがC(Ri)(Rj)である場合、Rfは任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)を表すことができる。Rfが水素以外である場合、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)は、各々、水素を表すことができる。Rfの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、該アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0042】
一実施形態において、Rfが水素以外である場合、Rgは水素である。Rf及びRgのうちの1つが水素であるように、Rgが水素以外である場合、Rfは水素であることができる。
【0043】
別の実施形態において、Rf及びRgは、各々、フルオロを表すことができる。あるいは、Rf及びRgは、各々、メチルを表すことができる。
【0044】
XがN(Rh)を表す場合、Rhのみが存在する。Rhは、水素を表すことができる。Rhは、C1〜C3アルキルを表すことができる。Rhは、C1〜C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rhは、メチル又は置換メチルを表すことができる。Rhは、3〜6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表すことができる。Rhが水素以外である場合、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素を表すことができる。Rhの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0045】
XがC(Ri)(Rj)を表す場合、Ri及びRjのみが存在する。Riは、水素を表すことができる。Riは、フルオロを表すことができる。Riは、シアノを表すことができる。Riは、C1〜C3アルキルを表すことができる。Riは、C1〜C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Riは、メチル又は置換メチルを表すことができる。Riは、C1〜C3アルコキシを表すことができる。Riは、C1〜C2アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)を表すことができる。Riは、メトキシ又は置換メトキシを表すことができる。Riは、3〜6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表すことができる。
【0046】
一実施形態において、Riが水素以外である場合、Rjは水素である。Ri及びRjのうちの1つが水素であるように、Rjが水素以外である場合、Riは水素であることができる。
【0047】
あるいは、Rb及びRcは一緒になって、スピロ環を形成してもよい。さらに又はあるいは、Rd及びReは一緒になって、スピロ環を形成してもよい。さらに又はあるいは、Rf及びRgは一緒になって、スピロ環を形成してもよい。さらに又はあるいは、Ri及びRj(存在する場合)は一緒になって、スピロ環を形成してもよい。そのような場合、好ましくは、Rb/Rc、Rd/Re、Rf/Rg及びRi/Rjのうちの1つのみがスピロ環を形成し、残りの基は、各々、水素を表す。スピロ環は、3、4、5又は6個の炭素環原子、特に3又は4個の炭素環原子を含有することができる。スピロ環は、シアノピロリジンコアと1個の環原子を共有する。スピロ環は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル若しくはC1〜C3アルキル、C1〜C6アルコキシ若しくはC1〜C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0048】
シアノピロリジンコアの炭素環原子に結合した隣接するR基は一緒になって、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成してもよい。例えば、RaはRbと一緒になって、RaはRiと一緒になって、RgはRiと一緒になる。そのような場合、好ましくは1個のシクロアルキル基が存在するが、残りのR基は、各々、水素を表す。C3〜C4シクロアルキル環は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル若しくはC1〜C3アルキル、C1〜C6アルコキシ若しくはC1〜C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0049】
本明細書に記載のすべての場合において、Xは、O、N(Rh)又はC(Ri)(Rj)を表す。
【0050】
Xは、Oを表すことができる。
【0051】
Xは、N(Rh)を表すことができる。XがN(Rh)を表す場合、Rhは、水素、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたC(O)C1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたS(O)21〜C3アルキル又は任意選択的に置換された3〜6員環を表す。該3〜6員環は、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリール環であることができる。
【0052】
特に、Rhは、C1〜C3アルキル、C(O)C1〜C3アルキル、S(O)21〜C3アルキル又は5若しくは6員のアリール又はヘテロアリール環を表す。
【0053】
あるいは、Xは、C(Ri)(Rj)を表すことができる。XがC(Ri)(Rj)を表す場合、Ri及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1〜C3アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C3アルコキシ、任意選択的に置換された3〜6員環、スピロ環基(ここで、RiはRjと結合する)を表し、又はRiはRa又はRgと結合して、任意選択的に置換されたC3〜C4シクロアルキル環を形成する。
【0054】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの1個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0055】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの2個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0056】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの3個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0057】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの4個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0058】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの5個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0059】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの6個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0060】
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの1、2、3、4、5又は6個は水素以外であり、他のR基は上記の定義に従う基を表す。特に、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの1、2、3又は4個は水素以外であり、残りは、各々、水素を表す。より特定的には、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)のうちの1又は2個は水素以外であり、残りは、各々、水素を表す。
【0061】
一実施形態において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg並びにRh又はRi及びRj(存在する場合)は、各々、水素を表す。
【0062】
本明細書で定義される式(I)において、環Aは、5〜10員(例えば、5、6、7、8、9若しくは10員)の単環式若しくは二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表す。
【0063】
環Aは、1個以上(例えば、1、2、3若しくは4個)のQ1(R1n、特に1若しくは2個のQ1(R1nで置換された、5〜10員のヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表す。
【0064】
特に、環Aは、1個以上(例えば、1、2、3若しくは4個)のQ1(R1nで置換された、5〜6員のヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表す。
【0065】
あるいは、環Aは、1個以上(例えば、1、2、3若しくは4個)のQ1(R1nで置換された、9〜10員の二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表す。
【0066】
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のヘテロ原子を含んでもよい。特に、環Aは、少なくとも1個の窒素原子、例えば1、2又は3個の窒素原子、好ましくは1又は2個の窒素ヘテロ原子を含有する。
【0067】
環Aは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4−ジヒドロピラニル、3,6−ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H−キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ピロロピリジニル、ジヒドロナフチリジニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル及びテトラヒドロピラジニルからなる群から選択することができる。
【0068】
特に、環Aは、イミダゾピリジニル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びオキサゾリルから選択される。
【0069】
環Aは、1個以上のQ1(R1nで置換されてもよく、ここで、Q1(R1nの各出現は同じでも又は異なってもよく、
nは、0又は1であり、
1は、Q1a又はQ1bを表し(すなわち、nが0である場合、Q1はQ1aであり、nが0である場合、Q1はQ1bである)、
1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR4、NR23、CONR23、C0〜C3−アルキレン−NR4COR5、NR4CONR56、COR4、C(O)OR4、SO24、SO2NR45、NR4SO25、NR4SO2NR56、NR4C(O)OR5、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニルから選択され、
1bは、共有結合、酸素原子,硫黄原子、OR7、SO、SO2、CO、C(O)O、C0〜C3−アルキレン−C(O)NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3−アルキレン−NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3−アルキレン−NR4C(O)−C0〜C3アルキレン、NR4CONR5、SO2NR4、NR4SO2、NR4SO2NR5、NR4C(O)O、NR4C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンから選択され、
1は、任意選択的に置換された3〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環を表し、
2及びR3は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルを表し、ここで、R2及びR3は両方とも水素であることはできず、
4、R5及びR6は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルを表し、
7は、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレンを表す。
【0070】
好ましくは、R1が窒素含有ヘテロアリール環である場合、Q1bは−NH−ではない。
【0071】
環Aは、1、2、3又は4個のQ1(R1nで置換されてもよい。例えば、環Aは、1、2又は3個のQ1(R1nで置換されてもよい。特に、環Aは、1又は2個のQ1(R1nで置換される。Q1(R1nの出現は、同じでも又は異なってもよい。より特定的には、環Aは、1個のQ1(R1nで置換される。Q1、R1及びnは、本明細書に定義される通りである。
【0072】
特に、Q1aは、オキソ、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ又はブロモ)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR4(例えば、チオール)、NR23(例えば、N,N−ジメチルアミノ)、CONR23、C0〜C3−アルキレン−NR4COR5(例えば、N−アセチル)、NR4CONR56、COR4(例えば、アセチル)、C(O)OR4(例えば、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル)、SO24(例えば、メチルスルホニル)、SO2NR45(例えば、ジメチルアミノスルホニル)、NR4SO25、NR4SO2NR56、NR4C(O)OR5、任意選択的に置換されたC1〜C4アルキル(例えば、プロピル、イソブチル又はtert−ブチル)、任意選択的に置換されたC1〜C2アルキル(例えば、メチル、エチル又はCF3)、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ又はOCF3)及び任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニルから選択することができ、ここで、アルキル、アルコキシ、アルケニルは、非置換であってもよいし、又はC1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0073】
1bは、共有結合、酸素原子,硫黄原子、OR7、SO、SO2、CO、C(O)O、C0〜C3−アルキレン−C(O)NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3−アルキレン−NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3−アルキレン−NR4C(O)−C0〜C3アルキレン、NR4CONR5、SO2NR4、NR4SO2、NR4SO2NR5、NR4C(O)O、NR4C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンから選択することができ、但し、R1が窒素含有ヘテロアリール環である場合、Q1bはNHではない。該アルキレン又はアルケニレンは、C1〜C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換される。
【0074】
特に、Q1bは共有結合である。
【0075】
1は、3〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表す。R1は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、デカヒドロナフタレニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピラジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4−ジヒドロピラニル、3,6−ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H−キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ピロロピリジニル、ジヒドロナフチリジニル、ジヒドロイソキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルから選択することができる。
【0076】
1は、任意選択的に置換された5若しくは6員のヘテロシクリル、シクロアルキル又はアリール環を表すことができる。あるいは、R1は、任意選択的に置換された9若しくは10員の二環式ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表すことができる。特に、R1は、置換又は非置換フェニルから選択される。一実施形態において、R1は、ジヒドロピラゾロオキサジニル又はピラゾリルではない。
【0077】
本明細書に記載のすべての場合において、R1は、ハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR8、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2〜C6アルキニル、Q2a−R11、Q2a−O−Q2b−R11、Q2a−S−Q2b−R11、Q2a−SO−Q2b−R11、Q2a−NR8CONR910、Q2a−NR8CONR9−Q2a−R11、Q2a−NR89、Q2a−NR8−Q2b−R11、Q2a−COR8、Q2a−CO−Q2b−R11、Q2a−NR8COR9、Q2a−NR8CO−Q2b−R11、Q2a−NR8C(O)OR9、Q2a−NR8C(O)O−Q2b−R11、Q2a−SO28、Q2a−SO2−Q2b−R11、Q2a−CONR89、Q2a−CONR8−Q2b−R11、Q2a−CO28、Q2a−CO2−Q2b−R11、Q2a−SO2NR89、Q2a−SO2NR8−Q2b−R11、Q2a−NR8SO29、Q2a−NR8SO2−Q2b−R11及びQ2a−NR8SO2NR910、Q2a−NR8SO2NR9−Q2b−R11から独立して選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換されてよく、
2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンを表し、
8、R9及びR10は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルを表し、
11は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール又は任意選択的に置換されたシクロアルキルを表す。
【0078】
特に、R1は、非置換であるか、又はシアノ、Q2a−R11若しくはQ2a−O−Q2b−R11で置換され、ここで、Q2aは、共有結合、Q2bは共有結合であり、R11はフェニルであり、すなわち、R1はシアノ、フェニル又はO−フェニルで置換されてもよい。
【0079】
11は、非置換であってもよいし又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル若しくはC1〜C3アルキル、C1〜C6アルコキシ若しくはC1〜C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよい、C3〜C4シクロアルキル環又は5若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール環を表すことができ、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。ある種の例において、R11はフェニルである。
【0080】
1は、ハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR8、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2〜C6アルキニル、Q2a−NR8CONR910、Q2a−NR89、Q2a−COR8、Q2a−NR8COR9、Q2a-NR8C(O)OR9、Q2a−SO28、Q2a−CONR89、Q2a−CO28、Q2a−SO2NR89、Q2a−NR8SO29及びQ2a−NR8SO2NR910から独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個)、特に1又は2個の置換基で置換されてもよく、
2aは、共有結合、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンを表し、
8、R9及びR10は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルを表す。R1は、非置換でもよいし、一置換又は二置換でもよい。
【0081】
ある種の場合において、R1は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、デカヒドロナフタレニル、フェニル、ナフチル、ナフタレニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4-ジヒドロピラニル、3,6−ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H−キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ピロロピリジニル、ジヒドロナフチリジニル、ジヒドロイソキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルから選択される3〜10員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表し、これらは、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR8、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2〜C6アルキニル、Q2a−R11、Q2a−O−Q2b−R11、Q2a−S−Q2b−R11、Q2a−SO−Q2b−R11、Q2a−NR8CONR910、Q2a−NR8CONR9−Q2a−R11、Q2a−NR89、Q2a−NR8−Q2b−R11、Q2a−COR8、Q2a−CO−Q2b−R11、Q2a−NR8COR9、Q2a−NR8CO−Q2b−R11、Q2a−NR8C(O)OR9、Q2a−NR8C(O)O−Q2b−R11、Q2a-SO28、Q2a−SO2−Q2b−R11、Q2a−CONR89、Q2a−CONR8−Q2b−R11、Q2a−CO28、Q2a−CO2−Q2b−R11、Q2a−SO2NR89、Q2a−SO2NR8−Q2b−R11、Q2a−NR8SO29、Q2a−NR8SO2−Q2b−R11及びQ2a−NR8SO2NR910、Q2a−NR8SO2NR9−Q2b−R11から選択される1個以上(例えば、1、2若しくは3個)の置換基で置換され、
2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンを表し、
8、R9及びR10は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルを表し、
11は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール又は任意選択的に置換されたシクロアルキルを表す。
【0082】
1は、フェニルを表すことができ、該フェニル環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR8、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキル、任意選択的に置換されたC1〜C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2〜C6アルキニル、Q2a−R11、Q2a−O−Q2b−R11、Q2a−S−Q2b−R11、Q2a−SO−Q2b−R11、Q2a−NR8CONR910、Q2a−NR8CONR9−Q2a−R11、Q2a−NR89、Q2a−NR8−Q2b−R11、Q2a−COR8、Q2a−CO−Q2b−R11、Q2a−NR8COR9、Q2a−NR8CO−Q2b−R11、Q2a−NR8C(O)OR9、Q2a−NR8C(O)O−Q2b−R11、Q2a-SO28、Q2a−SO2−Q2b−R11、Q2a−CONR89、Q2a−CONR8−Q2b−R11、Q2a−CO28、Q2a−CO2−Q2b−R11、Q2a−SO2NR89、Q2a−SO2NR8−Q2b−R11、Q2a−NR8SO29、Q2a−NR8SO2−Q2b−R11及びQ2a−NR8SO2NR910、Q2a−NR8SO2NR9−Q2b−R11から選択される1個以上、特に1又は2個の置換基で置換され、
2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1〜C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2〜C6アルケニレンを表し、
8、R9及びR10は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1〜C6アルキルを表し、
11は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール又は任意選択的に置換されたシクロアルキルを表す。
【0083】
1は、フェニルを表すことができ、該フェニル環は、非置換であるか、又はシアノ、−Q2a−R11又は−Q2a−O−Q2b−R11で置換され、Q2a及びQ2bは、各々、共有結合を表し、R11はフェニルを表す。
【0084】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2の態様によれば、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
aは、水素、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はRaは、Rb又はRiと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
b、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択され、又は1個以上のスピロ環基を形成し(ここで、RbはRcと結合し、又はRdはReと結合する)、又はRbはRaと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
f及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1〜C3アルキル、及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RfはRgと結合する)、又はRgはRiと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
XがO又はN(Rh)である場合、Ra、Rf及びRgのいずれもフルオロ又はC1〜C3アルコキシではなく、
hは、水素、C1〜C3アルキル、C(O)C1〜C3アルキル及びS(O)21〜C3アルキルから選択され、
i及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1〜C3アルキル、及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はスピロ環基を形成し(ここで、RiはRjと結合する)、又はRiはRa又はRgと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
環Aは、非置換であるか又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
nは、0又は1であり、
1は、Q1a及びQ1bから選択され、
1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR4、NR23、CONR23、C0〜C3−アルキレン−NR4COR5、NR4CONR56、COR4、C(O)OR4、SO24、SO2NR45、NR4SO25、NR4SO2NR56、NR4C(O)OR5、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ及びC2〜C6アルケニルから選択され、
1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR7、SO、SO2、CO、C(O)O、C0〜C3−アルキレン−C(O)NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3−アルキレン−NR4−C0〜C3アルキレン、C0〜C3アルキレン−NR4C(O)−C0〜C3アルキレン、NR4CONR5、SO2NR4、NR4SO2、NR4SO2NR5、NR4C(O)O、NR4C(O)OR7、C1〜C6アルキレン及びC2〜C6アルケニレンから選択され、
1は、3〜10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、水素及びC1〜C6アルキルから選択され、
7は、C1〜C6アルキレンであり、
1は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R11、及びO-R11から各々独立して選択される1〜6個の置換基で置換され、
11は、非置換であってもよいし又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル及びC1〜C6アルコキシから各々独立して選択される1〜5個の置換基で置換されてもよい、5〜6員のアリール又はヘテロアリール環であり、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0085】
第3の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物:
【0086】
【化2】
【0087】
その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
aは、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、又はRaは、Rb又はRiと結合して、C3〜C4シクロアルキル環を形成し、
X、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及び環Aは、本明細書、特に、本発明の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第1、第2及び第3の好ましい実施形態に定義される通りであり、
XがO又はN(Rh)である場合、Ra、Rf及びRgのいずれもフルオロ又はC1〜C3アルコキシではない。
【0088】
好ましい実施形態において、XはC(Ri)(Rj)であり、最も好ましくは、XはCH2であり、
aは、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、最も好ましくは、Raはフルオであり、
i及びRjは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択され、最も好ましくは、各々、水素である。
【0089】
別の好ましい実施形態において、XはOであり、RaはC1〜C3アルキルである。
【0090】
第4の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物:
【0091】
【化3】
【0092】
その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、非置換であるか又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜7員の単環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環である。
【0093】
X、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Q1、R1及びnは、本明細書、特に、本発明の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第1、第2及び第3の好ましい実施形態に定義される通りである。
【0094】
好ましい実施形態において、ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル、2,3-ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、3,4−ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル及びテトラヒドロピラジニルから選択される。
【0095】
より好ましくは,ヘテロアリール環は、トリアゾリル、オキサゾリル及びオキサジアゾリルから選択される。最も好ましくは、ヘテロアリール環は、1,3,4−トリアゾリル、オキサゾリル及び1−オキサ−3,4−ジアゾリルから選択される。
【0096】
第5の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物:
【0097】
【化4】
【0098】
その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、9〜10員の二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
環Aが9員のヘテロアリールである場合、少なくとも1個のヘテロ原子はO又はSであり、
環Aは、非置換であるか、又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換され、
X、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Q1、R1及びnは、本明細書、特に、本発明の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第1、第2及び第3の好ましい実施形態に定義される通りである。
【0099】
好ましい実施形態において、ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、オキサゾロピリジニル、4H-キノリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル及びジヒドロベンゾオキサジニルから選択される。
【0100】
より好ましくは、ヘテロアリール環は、オキサゾロピリジニル及びベンゾオキサゾリルから選択される。最も好ましくは、ヘテロアリール環は、オキサゾロ[4,5−b]ピリジニル、オキサゾロ[5,4−b]ピリジニル及びベンゾオキサゾリルから選択される。
【0101】
第6の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物:
【0102】
【化5】
【0103】
その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
環Aは、窒素、酸素及び硫黄から各々独立して選択される1〜4個のZ原子を有し、残りのZ原子は炭素である、9員の二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環であり、
環Aは、非置換であるか、又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換され、
X、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Q1、R1及びnは、本明細書、特に、本発明の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第1、第2及び第3の好ましい実施形態に定義される通りである。
【0104】
好ましい実施形態において、ヘテロアリール環は、インドリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ピロロピリジニル、インドリル、インドリジニル、プリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、チアゾロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル及びオキサゾロピリジニルから選択される。
【0105】
より好ましくは、ヘテロアリール環は、イミダゾピリジニル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾロピリジニル及びベンゾオキサゾリルである。最も好ましくは、ヘテロアリール環は、イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾロ[4,5−b]ピリジニル、オキサゾロ[5,4−b]ピリジニル及びベンゾオキサゾリルから選択される。
【0106】
より好ましい実施形態において、Z*は窒素である。
【0107】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第1の好ましい実施形態において、
Xは、Oであり、
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択される。好ましくは、各々、水素、メチル及びエチルから独立して選択される。より好ましくは、1、2又は3個がメチルであり、残りは水素である。最も好ましくは、各々、水素である。
【0108】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第2の好ましい実施形態において、
Xは、N(Rh)であり、
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択される。好ましくは、各々、水素、メチル及びエチルから独立して選択される。より好ましくは、1、2又は3個がメチルであり、残りは水素である。最も好ましくは、各々、水素である。
【0109】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2、第3、第4、第5及び第6の態様の第3の好ましい実施形態において、
Xは、C(Ri)(Rj)であり、
aは、水素、フルオロ、C1〜C3アルキル及びC1〜C3アルコキシから選択され、
b、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri及びRjは、各々独立して、水素及びC1〜C3アルキルから選択される。
【0110】
好ましくは、Raは、水素、フルオロ、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択される。より好ましくは、Raは、水素及びフルオロから選択される。好ましくは、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri及びRjは、各々独立して、水素、メチル及びエチルから選択される。より好ましくは、1、2又は3個がメチルであり、残りは水素である。最も好ましくは、各々、水素である。
【0111】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2、第3、第4、第5及び第6の好ましい実施形態において、好ましくは、環Aは、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、非置換であるか又は1〜6個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、5〜7員の単環式ヘテロアリール若しくはヘテロシクリル環又は9〜10員の二環式ヘテロアリール若しくはヘテロシクリル環である。
【0112】
より好ましくは、環Aは、非置換であるか又は1〜4個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル、2,3-ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、3,4−ジヒドロピラニル、3,6−ジヒドロピラニル、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H−キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ピロロピリジニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、オキサゾロピリジニル及びテトラヒドロピラジニルから選択される。
【0113】
最も好ましくは、環Aは、非置換であるか又は1〜4個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換された、イミダゾピリジニル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジニル、ベンゾオキサゾリル及びオキサジアゾリルから選択される。
【0114】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2、第3、第4、第5及び第6の好ましい実施形態の各々において、好ましくは、環Aは、非置換であるか、又は1〜6個、より好ましくは1〜4個、最も好ましくは1又は2個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換され
(i)nは0であり、Q1はハロ、シアノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択され、又は
(ii)nは1であり、Q1は共有結合又は酸素であり、R1はフェニル及び5〜6員の単環式ヘテロアリールから選択され、
1は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、R11及びO−R11から各々独立して選択される1〜5個の置換基で置換され、
11は、フェニル及び5〜6員の単環式ヘテロアリールから選択され、それらの各々は非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから各々独立して選択される1〜5個の置換基で置換さてもよい。
【0115】
本発明で使用するための式(I)の化合物の第2、第3、第4、第5及び第6の好ましい実施形態の各々において、より好ましくは、環Aは、非置換であるか、又は1〜6個、より好ましくは1〜4個、最も好ましくは1又は2個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R1n基で置換され、
(i)nは0であり、Q1はフルオロ、クロロ、シアノ及びメチルから選択され、又は
(ii)nは1であり、Q1は共有結合又は酸素であり、R1は、フェニル及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員の単環式ヘテロアリール、最も好ましくはピラゾリル及びピリジルから選択される。
【0116】
1は、非置換であるか、又はフルオロ、クロロ、シアノ、メチル、R11及びO−R11から各々独立して選択され、最も好ましくはシアノ、メチル、R11及びO−R11から選択される、1〜5個、好ましくは1、2又は3個の置換基で置換される。
【0117】
11は、フェニル及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員の単環式ヘテロアリール(最も好ましくはピリジルである)から選択され、それらの各々は、非置換であるか、又はフルオロ、クロロ、シアノ及びメチルから各々独立して選択される1〜5個、好ましくは1、2又は3個の置換基、最も好ましくはシアノで置換される。
【0118】
本発明のすべての好ましい実施形態の別の態様において、環AはNH2又はC(O)NH2で置換されてなく、又は環Aが窒素含有ヘテロアリール環で置換されていない場合には置換はNHリンカーを介さず、R2及びR3は両方とも水素であることはできず、R1が窒素含有ヘテロアリール環である場合にはQ1bはNHではない。
【0119】
本発明のすべての態様による好ましい式(I)の化合物は、
3−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
3−(4−(3−シアノフェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
2−(4−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
2−(4−(3−シアノフェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
2−(3−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)モルホリン−4−カルボニトリル、
3−(4−(2−フェノキシフェニル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−3−(5−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(5−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−4−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−[2,4’−ビピリジン]−2’−カルボニトリル、
(R)−4−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピコリノニトリル、
(R)−2’−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−[4,4’−ビピリジン]−2−カルボニトリル、
3−(6−(1H−ピラゾール−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−3−フルオロ−3−(5−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル、
(S)−3−(5−(3−シアノフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(5−(1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)ピコリノニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)ピコリノニトリル、
3−(6−(3−シアノフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−6−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)ピコリノニトリル、
(R)−3−(5−(3−シアノフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−6−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル、
(R)−2−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピコリノニトリル、
(R)−2−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)イソニコチノニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−6−イル)ピコリノニトリル、
3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル、
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−6−イル)ピコリノニトリル、及び
(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)ピコリノニトリル、
又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0120】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、その酸付加塩及び塩基塩(二塩を含む)を含む。
【0121】
好適な酸付加塩は、無毒性の塩を形成する酸から形成される。
【0122】
例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプ酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、リン酸水素塩、イセチオン酸塩、D−及びL−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、パーム酸塩(palmate)、リン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−及びL−酒石酸塩及びトシル酸塩が含まれる。
【0123】
好適な塩基塩は、無毒性の塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム、アンモニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン及び亜鉛の塩が含まれる。
【0124】
好適な塩についての概説については、Stahl及びWermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,及びUse,Wiley-VCH,Weinheim,Germany(2002)を参照されたい。
【0125】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、必要に応じて、式(I)の化合物と所望の酸又は塩基の溶液とを一緒に混合することによって容易に調製することができる。塩は溶液から沈殿し、濾過により回収することができ、又は溶媒を蒸発させることにより回収することができる。
【0126】
本発明による薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換されてもよい水和物及び溶媒和物、例えば、D2O、アセトン−d6、DMSO−d6が含まれる。
【0127】
包摂化合物、薬物−ホスト包接錯体はまた、本発明の範囲内であり、前述の溶媒和物とは対照的に、薬物及びホストは非化学量論量で存在する。そのような錯体の概説についてはJ.Pharm Sci,64(8),1269-1288 by Haleblian(August 1975)を参照のこと。
【0128】
以下、式(I)の化合物についての全ての言及は、式(I)の化合物の塩、並びに式(I)の化合物及びその塩の溶媒和物及び包摂化合物への言及を含む。
【0129】
本発明は、上記で定義した式(I)の化合物の全ての多形体を包む。
【0130】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」はまた、本発明の範囲内である。したがって、薬理活性をそれ自体はほとんど又は全く持たない式(I)の化合物のある種の誘導体は、体内又は体表面に投与されて代謝されると、所望の活性を有する式(I)の化合物を生じることができる。そのような誘導体は「プロドラッグ」と呼ばれる。
【0131】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば“Design of Prodrugs” by H Bundgaard (Elsevier,1985)に記載される「プロ部分」として当業者に知られるある種の部分で置き換えることによって作製することができる。そして、ある種の式(I)の化合物はそれ自体、他の式(I)の化合物のプロドラッグとして作用することができる。
【0132】
窒素原子を含有する式(I)の化合物のある種の誘導体はまた、対応するN−オキシドを形成することができ、そのような化合物はまた本発明の範囲内である。
【0133】
1個以上の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つ以上の光学異性体として存在することができる。式(I)の化合物がアルケニル又はアルケニレン基を含有する場合、シス/トランス(又はZ/E)幾何異性体が可能であり、化合物が例えばケト又はオキシム基を含む場合、互変異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」)が生じ得る。したがって、単一の化合物が2種以上の異性を示し得る。
【0134】
2種以上の異性を示す化合物を含む、式の化合物の全ての光学異性体、幾何異性体及び互変異性体、並びにそれらの1つ以上の混合物が本発明の範囲内に含まれる。シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えば分別結晶法及びクロマトグラフィーによって分離することができる。
【0135】
個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来の技術には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(又は塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。あるいは、ラセミ体(又はラセミ前駆体)を好適な光学活性化合物、例えばアルコール、又は式(I)の化合物が酸性若しくは塩基性部分を含む場合は1−フェニルエチルアミン又は酒石酸などの塩基若しくは酸と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物を、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により分離し、ジアステレオ異性体の一方又は両方を、当業者に周知の手段により、対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆体)は、イソプロパノールの0〜50体積%、典型的には2〜20体積%、及びアルキルアミンの0〜5体積%、典型的には0.1%ジエチルアミンを含有する、炭化水素、典型的にはヘプタン又はヘキサンからなる移動相を有する不斉樹脂上でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、鏡像異性的に濃縮された形態で得ることができる。溶出液を濃縮することにより、濃縮混合物が得られる。本発明は、ラセミ体及びそのラセミ混合物(コングロメレート)を含む式(I)の化合物のすべての結晶形を含む。立体異性体のコングロメレートは、当業者に既知の従来の技術によって分離することができる(例えば、“Stereochemistry of Organic Compounds” by E.L.Eliel及びS.H.Wilen(Wiley,New York,1994)を参照のこと)。
【0136】
特に、式(I)の化合物は、Raによって置換された環の炭素原子にキラル中心を含有し、したがって、該立体中心は(R)又は(S)配置のいずれかで存在し得る。IUPAC命名法による立体異性体についての絶対配置(R)及び(S)の指定は、置換基の性質及び配列規則手順の適用に依存する。したがって、式(I)の化合物は、以下の鏡像異性体配置のいずれかで存在し得る。
【0137】
【化6】
【0138】
好ましい態様において、式(I)の化合物は、絶対立体化学配置:
【0139】
【化7】
【0140】
を有する。
【0141】
別の好ましい態様において、式(I)の化合物は、絶対立体化学配置:
【0142】
【化8】
【0143】
を有する。
【0144】
個々の形態における式(I)の化合物のこれらの(R)及び(S)立体異性体の各々又はそれらの混合物が、本発明の範囲内に含まれる。式(I)の化合物が単一の立体異性体として単離される場合、該化合物は少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、例えば96%、96%、98%、99%又は100%の鏡像体過剰率で存在し得る。
【0145】
さらなる態様によれば、本発明は、式(II)のアミンを臭化シアンと反応させて式(I)のN−CN化合物を形成する工程を含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を調製する方法を提供する:
【0146】
【化9】
【0147】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、X及び環Aは、本明細書に定義される通りである。)。
【0148】
本発明のさらなる態様によれば、式(II)の化合物(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、X及び環Aは、本明細書に定義される通りである。)及びその個々の異性体を提供する。
【0149】
本発明はまた、式(I)の化合物の全ての薬学的に許容される同位体バリエーションを含む。同位体バリエーションは、少なくとも1個の原子が同じ原子番号を有するが天然に通常見出される原子質量とは異なる原子質量を有する原子によって置き換えられるバリエーションとして定義される。
【0150】
本発明の化合物に含めるのに好適な同位体の例には、2H及び3Hなどの水素の同位体、13C及び14Cなどの炭素の同位体、15Nなどの窒素の同位体、17O及び18Oなどの酸素の同位体、32Pなどのリンの同位体、35Sなどの硫黄の同位体、18Fなどのフッ素の同位体及び36CIなどの塩素の同位体が含まれる。
【0151】
同位体は、放射性でも又は非放射性でもよい。一実施形態において、化合物は、放射性同位体を含まない。そのような化合物は治療的使用に好ましい。しかしながら、別の実施形態において、化合物は1つ以上の放射性同位体を含有してもよい。そのような放射性同位体を含有する化合物は、診断の関係で有用であり得る。
【0152】
ある種の同位体標識された式(I)の化合物、例えば放射性同位体を組み込んだ化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布の研究に有用である。放射性同位元素、すなわち3H及び14Cは、その組み込みの容易さ及び迅速な検出手段の観点から、この目的に特に有用である。より重い同位体、すなわち2Hでの置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加又は投与量要件の低減からもたらされるある種の治療上の利点を与えることがあり、したがっていくつかの状況では好ましいものとなり得る。11C、18F、15O及び13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影法(PET)研究に有用であり得る。式(I)の同位体標識化合物は、概して、当業者に既知の従来の技術によって、又はこれまで使用されている非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いた付随する実施例及び調製例に記載されているものと同様の方法によって調製することができる。
【0153】
式(I)の化合物は結晶形態又は非晶質形態で存在することができ、結晶形態のいくつかは多形体として存在することができ、これらは本発明の範囲内に含まれる。式(I)の化合物の多形形態は、赤外線スペクトル、ラマンスペクトル、X線粉末回折、示差走査熱量測定、熱重量分析及び固体核磁気共鳴を含むがこれらに限定されない、多くの従来の分析技術を使用して特徴付けし、区別することができる。
【0154】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、任意の記載された実施形態による結晶形態の化合物を提供する。化合物は、50%〜100%の結晶性、より特定的には少なくとも50%の結晶性、若しくは少なくとも60%の結晶性、若しくは少なくとも70%の結晶性、若しくは少なくとも80%の結晶性、若しくは少なくとも90%の結晶性、若しくは少なくとも95%の結晶性、若しくは少なくとも98%結晶、若しくは少なくとも99%の結晶性、若しくは少なくとも99.5%の結晶性、又は少なくとも99.9%の結晶性、例えば100%の結晶性であってもよい。あるいは、化合物は非晶質形態であってもよい。
【0155】
本明細書に記載される本発明は、そのように調製されたいずれかの開示化合物の全ての結晶形態、溶媒和物及び水和物に関する。本明細書に開示されたいずれかの化合物がカルボン酸塩又はアミノ基などの酸性又は塩基性中心を有する限りにおいて、該化合物のすべての塩形態が本明細書に含まれる。薬学的用途の場合、塩は薬学的に許容される塩であると解すべきである。
【0156】
本発明は、化合物及びその塩の任意の溶媒和物に関する。好ましい溶媒和物は、無毒性の薬学的に許容される溶媒(以下、溶媒和溶媒と称する)の分子が本発明化合物の固体状態構造(例えば結晶構造)に取り込まれることによって形成される溶媒和物である。そのような溶媒の例には、水、アルコール(エタノール、イソプロパノール及びブタノールなど)及びジメチルスルホキシドが含まれる。溶媒和物は、溶媒和溶媒を含む溶媒又は溶媒混合物とともに、本発明の化合物を再結晶することによって調製することができる。任意の所与の例において溶媒和物が形成されたか否かは、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線結晶学などの周知の標準的な技術を用いて、化合物の結晶を分析にかけることによって決定することができる。
【0157】
溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的溶媒和物であることができる。特定の溶媒和物は水和物であってもよく、水和物の例には半水和物、一水和物及び二水和物が含まれる。溶媒和物及びその製造及び特徴付けのために使用される方法のより詳細な考察については、Bryn et al.,Solid-State Chemistry of Drugs,Second Edition,published by SSCI,Inc of West Lafayette,IN,USA,1999,ISBN 0-967-06710-3を参照のこと。
【0158】
本発明の化合物は、インビボで代謝され得る。式(I)の化合物の代謝産物はまた、本発明の範囲内である。「代謝産物」という用語は、細胞又は生物、好ましくは哺乳動物において、本発明による化合物のいずれかから得られるすべての分子を指す。この用語は、生理学的条件下で任意のそのような細胞又は生物に存在する任意の分子とは異なる分子に関することが好ましい。
【0159】
本明細書で定義される治療は、唯一の療法として適用してもよいし、又は本発明の化合物に加えて、従来の手術又は放射線療法又は化学療法を伴ってもよい。さらに、式(I)の化合物はまた、小分子治療薬又は抗体ベースの治療薬を含む、癌に関連する状態の治療のための既存の治療剤と組み合わせて使用することができる。
【0160】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書で定義される式(I)の化合物又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を薬学的に許容される希釈剤又は担体と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0161】
本発明の医薬組成物は、任意の薬学的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルと組み合わせた、本発明の化合物のいずれかを含む。薬学的に許容される担体の例は当業者に知られており、投与様式及び剤形の性質に応じて、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、ロゼンジ剤、坐剤、シロップ剤、並びに懸濁剤及び液剤を含む液体製剤の形態であり得る。本発明の文脈における「医薬組成物」という用語は、活性剤を含み、さらに1つ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物を意味する。組成物は、投与方法及び剤形の性質に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤から選択される成分をさらに含有することができる。
【0162】
式(I)の化合物は、脱ユビキチン化酵素USP30の阻害剤である。
【0163】
さらなる態様によれば、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に定義する式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0164】
さらなる態様によれば、本発明は、哺乳動物においてUSP30の阻害により有益な効果が生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の、本明細書中で定義される式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0165】
さらなる態様によれば、本発明は、USP30の阻害により有益な効果が生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態を治療するための医薬の調製における、本明細書で定義される式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩の医薬としての使用を提供する。
【0166】
「治療する(treat)」又は「治療すること(treating)」又は「治療)(treatment)」という用語は、予防を含み、一時的又は恒久的のいずれかで症状を改善し、軽減し、症状の原因を排除するため、又は指定された障害又は状態の発症(appearance)を予防若しくは遅らせるための手段を含む。本発明の化合物は、ヒト及び非ヒト動物の治療に有用である。
【0167】
化合物の用量は、障害の症状の発生を防ぐため、又は患者が罹患している障害のいくつかの症状を治療するために有効な量である。「有効量」又は「治療有効量」又は「有効用量」とは、所望の薬理学的又は治療的効果を生じさせ、したがって障害の有効な予防又は治療をもたらすのに充分な量を意味する。障害の予防は、医学的に有意な程度まで障害の症状の発症を遅らせることによって明らかになる。障害の治療は、障害に関連する症状の減弱又は障害の症状再発の改善によって明らかになる。
【0168】
USP30活性から利益を得る障害又は状態は、ミトコンドリア機能不全を伴う状態及び癌から選択される。
【0169】
本発明のすべての態様の好ましい一実施形態において、USP30活性から利益を得る障害又は状態は、ミトコンドリア機能不全を伴う状態である。
【0170】
ミトコンドリア機能不全は、赤血球を除く身体のあらゆる細胞に存在する特殊な区画であるミトコンドリアの欠陥に起因する。ミトコンドリアが機能しなくなると、細胞内で生成されるエネルギーが次第に少なくなり、その後に細胞傷害又は細胞死さえ起こる。この過程が身体全体にわたって繰り返されると、このことが起こっている対象の生命はひどく損なわれる。ミトコンドリア疾患は、脳、心臓、肝臓、骨格筋、腎臓、並びに内分泌系及び呼吸器系など、エネルギーを非常に必要とする臓器に最も頻繁に現れる。
【0171】
ミトコンドリア機能不全を伴う状態は、マイトファジー欠陥を伴う状態、ミトコンドリアDNAの突然変異を伴う状態、ミトコンドリア酸化ストレスを伴う状態、ミトコンドリア膜電位の欠陥を伴う状態、ミトコンドリア生合成、ミトコンドリア形状又はモルフォロジーの欠陥を伴う状態及びリソソーム蓄積欠陥を伴う状態から選択され得る。
【0172】
特に、ミトコンドリア機能不全を伴う状態は、神経変性疾患;多発性硬化症(MS);ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(mitochondrial myopathy;encephalopathy;lactic acidosis; stroke−like episodes)(MELAS)症候群;レーベル遺伝性視神経症(LHON);癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍又は組織器官の他の癌、及びリンパ腫及び白血病などの血液細胞の癌、多発性骨髄腫、大腸癌、並びに非小細胞肺癌);神経性薄弱・運動失調・網膜色素変性症・母性遺伝性リー症候群(NARP−MILS);ダノン病;糖尿病;糖尿病性腎症;代謝障害;心不全;心筋梗塞を引き起こす虚血性心疾患;精神疾患、例えば、統合失調症、多発性スルファターゼ欠損症(MSD);ムコリピドーシスII(ML II);ムコリピドーシスIII(ML III);ムコリピドーシスIV(ML IV);GMI−ガングリオシドーシス(GM1);神経セロイドリポフスチン症(NCL1);アルパーズ病;バース症候群;ベータ酸化欠損;カルニチン−アシル−カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチン欠乏症候群:コエンザイムQ10欠損症:複合体I欠損症;複合体II欠損症;複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;COX欠損症;慢性進行性外眼筋麻痺症候群(CPEO);CPT I欠損症;CPT II欠損症;グルタル酸尿症II型;カーンズ・セイヤー症候群;乳酸アシドーシス;長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD);リー病又は症候群;致死性小児心筋症(lethal infantile cardiomyopathy)(LIC);ルフト病;グルタル酸尿症II型:中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD;ミオクローヌスてんかん症候群・赤色ぼろ線維(MERRF)症候群;ミトコンドリア細胞変性(mitochondrial cytopathy);ミトコンドリア劣性運動失調症候群;ミトコンドリアDNA枯渇症候群;筋神経胃腸障害及び脳症(myoneurogastointestinal disorder and encephalopathy);ピアソン症候群;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;POLG変異;中/短鎖3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ(M/SCHAD)欠損症;極長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(VLCAD)欠損症;認知機能及び筋力の年齢依存性の低下から選択することができる。
【0173】
ミトコンドリア機能不全を伴う状態は、CNS障害、例えば、神経変性疾患であり得る。
【0174】
神経変性疾患には、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、虚血、脳卒中、レビー小体型認知症及び前頭側頭型認知症が含まれるが、これらに限定されない。
【0175】
特に、本発明の化合物は、α−シヌクレイン、パーキン及びPINK1の変異に関連するPD、パーキンが変異している常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR−JP)を含むがこれらに限定されない、パーキンソン病の治療に有用であり得る。
【0176】
本明細書に記載の本発明の化合物又はその医薬組成物は、ミトコンドリア機能不全を伴う状態の治療に使用される場合、1つ以上の追加の剤と組み合わせることができる。該化合物は、レボドパ、ドーパミン作動薬、モノアミノオキシゲナーゼ(MAO)B阻害薬、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、抗コリン薬、リルゾール、アマンタジン、コリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン、テトラベナジン、抗精神病薬、ジアゼパム、クロナゼパム、抗鬱薬及び抗てんかん薬から選択される1つ以上の追加の剤と組み合わせることができる。
【0177】
本発明のすべての態様の別の好ましい実施形態において、USP30活性から利益を得る障害又は状態は癌である。癌は、ミトコンドリア機能不全に関連している可能性がある。好ましい癌には、例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍又は他の組織器官の癌、並びに血液細胞の癌、例えばリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、大腸癌及び非小細胞肺癌が含まれる。
【0178】
特に、本発明の化合物は、アポトーシス経路が調節不全である、より特定的には、BCL−2ファミリーのタンパク質が変異している又は過剰発現若しくは過少発現している癌の治療に有用であり得る。
【0179】
「治療」への言及は、治癒、緩和及び予防を含み、一時的又は恒久的のいずれかで症状を改善し、軽減し、症状の原因を排除するため、又は指定された障害又は状態の発症を予防若しくは遅らせるための手段を含む。本発明の化合物は、ヒト及び他の哺乳動物の治療に有用である。
【0180】
本明細書に記載の本発明の化合物又はその医薬組成物は、単独で又は1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用することができる。該化合物は、追加の抗腫瘍治療剤、例えば、化学療法薬又は他の調節タンパク質の阻害剤と組み合わせることができる。一実施形態において、追加の抗腫瘍治療薬はBH−3模倣薬である。さらなる実施形態において、BH−3模倣薬は、ABT−737、ABT−199、ABT−263及びオバトクラックスのうちの1つ以上から選択することができるが、これらに限定されない。さらなる実施形態において、追加の抗腫瘍剤は化学療法剤である。化学療法剤は、オラパリブ、マイトマイシンC、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、電離放射線(IR)、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、タキサン、5−フルオロピリミジン、ゲムシタビン及びドキソルビシンから選択することができるが、これらに限定されない。
【0181】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、局所、吸入、鼻腔内、直腸内、膣内、眼内及び耳内(andial)などの任意の好適に有効な方法で投与することができる。本発明の化合物の送達に好適な医薬組成物及びその調製方法は当業者には容易に明らかになるであろう。そのような組成物及びその調製方法は、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,19th Edition(Mack Publishing Company,1995)に見出すことができる。
【0182】
経口投与
本発明の化合物は経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように飲み込むことを伴ってもよく、又は化合物が口から直接血流に入る口腔内又は舌下投与を用いてもよい。
【0183】
経口投与に好適な製剤には、錠剤などの固体製剤、粒子、液体又は粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、咀嚼剤(chews)、多粒子及びナノ粒子剤(multi−and nano−particulates)、ゲル剤、フィルム剤(粘膜付着剤を含む)、オビュール剤(ovules)、スプレー剤並びに液体製剤が含まれる。
【0184】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟カプセル剤又は硬カプセル剤の充填剤として用いることができ、典型的には担体、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は好適な油、並びに1つ以上の乳化剤及び/又は懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体、例えばサシェからの再構成によって調製することができる。
【0185】
本発明の化合物はまた、Expert Opinion in Therapeutic Patents,11 (6),981-986 by Liang及びChen(2001)に記載されているものなどの速溶解性及び速崩壊性剤形に使用できる。
【0186】
典型的な錠剤は、製剤化学者に既知の標準的な方法を用いて、例えば直接圧縮、造粒(乾式、湿式又は溶融)、溶融凝固又は押出しによって調製することができる。錠剤製剤は、1つ以上の層を含んでもよく、コーティングされていても又はコーティングされていなくてもよい。
【0187】
経口投与に好適な賦形剤の例には、担体、例えば、セルロース、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、マンニトール及びクエン酸ナトリウム、造粒結合剤、例えば、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びゼラチン、崩壊剤、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、ケイ酸塩、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸、湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、保存剤、酸化防止剤、風味剤、並びに着色剤などが含まれる。
【0188】
経口投与のための固体製剤は、即時放出及び/又は調節放出となるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、二重制御放出、ターゲット放出及びプログラム放出が含まれる。高エネルギー分散液、浸透性コーティング粒子などの好適な調節放出技術の詳細は、Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line,25(2),1-14(2001)に見出される。他の調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号明細書に記載されている。
【0189】
非経口投与
本発明の化合物はまた、血流中、筋肉中又は内臓中に直接投与することができる。非経口投与に好適な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内及び皮下が含まれる。非経口投与に適したデバイスには、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器及び注入技術を含む。
【0190】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物及び緩衝剤(好ましくはpH3〜9にする)などの賦形剤を含有することができる水溶液であるが、いくつかの用途では、滅菌非水溶液として、又は発熱物質不含の滅菌水などの好適なビヒクルと組み合わせて使用するための乾燥形態として、より好適に製剤化することができる。
【0191】
例えば滅菌条件下での凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術を使用して容易に達成することができる。
【0192】
非経口液剤の調製に使用される式(I)の化合物の溶解度は、好適な処理加工、例えば高エネルギー噴霧乾燥分散液の使用(国際公開第01/47495号パンフレットを参照のこと)により、及び/又は溶解度向上剤の使用などの適切な製剤化技術の使用により増加させることができる。
【0193】
非経口投与用の製剤は、即時放出及び/又は調節放出となるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、二重制御放出、ターゲット放出及びプログラム放出が含まれる。
【0194】
本発明の医薬組成物はまた、血液脳関門をバイパスするための当技術分野において既知の組成物及び方法を含み、又は脳に直接注入することができる。注入に好適な領域には、大脳皮質、小脳、中脳、脳幹、視床下部、脊髄及び心室組織、並びに頚動脈小体及び副腎髄質を含むPNS領域が含まれる。
【0195】
投与量
化合物の有効用量の大きさは、当然ながら、治療される状態の重症度の性質及び投与経路によって異なるであろう。適切な投与量の選択は、医師の職務範囲内である。1日用量の範囲は、ヒト及び非ヒト動物の体重1kgあたり約10μg〜約100mgであり、概して、1回用量あたり体重1kgあたり約10μg〜30mgであり得る。該用量を1日に1〜3回与えることができる。
【0196】
例えば、経口投与は、5〜500mgなどの5mg〜1000mgの1日の総用量を必要とし得るが、静脈内投与は、体重あたり0.1〜10mg/kg,より好ましくは0.1〜1mg/kgなどの体重あたり0.01〜30mg/kgのみを必要とし得る。1日の総用量は、単回投与又は分割投与で投与することができる。
【0197】
当業者はまた、ある種の状態の治療において、本発明の化合物を「必要に応じて」(すなわち必要に際し又は所望に応じて)単回用量として摂取することができることを理解するであろう。
【0198】
合成方法論
式(I)の化合物は、以下の一般的反応スキーム及び代表的な実施例に記載されるような方法を使用して調製することができる。適切な場合には、スキーム内の個々の変換は異なる順序で完了することができる。
【0199】
全ての化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)若しくは1H NMR又はその両方によって特徴付けした。
【0200】
略記:
CDI カルボニルジイミダゾール
d 二重項(NMRシグナル)
DCM ジクロロメタン
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
ES エレクトロスプレー
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
m 多重項(NMRシグナル)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
NaOEt ナトリウムエトキシド
psi 1平方インチあたりポンド
PTS パラトルエンスルホニル
rt 室温
s 一重項(NMRシグナル)
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
T3P 2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスホリナン−2,4,6−三酸化物
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMS トリメチルシリル
【0201】
分析方法:
【0202】
【表1】
【0203】
【表2】
【0204】
【表3】
【0205】
実施例1 3−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【0206】
【化10】
【0207】
工程a.1,4−ジオキサン:水(7:3、13ml)中の5−ブロモピリジン−2,3−ジアミン(CAS番号38875−53−5、1.000g、5.32mmol)の溶液に、Na2CO3(1.691g、15.957mmol)及びフェニルボロン酸(1.297g、10.64mmol)を室温で添加した。反応混合物を10分間脱気した後、Pd(Ph34(0.307g、0.265mmol)を添加した。反応混合物を90℃で16時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、水(50ml)で希釈した。得られた混合物をEtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中4%MeOH)により精製して、5−フェニルピリジン−2,3−ジアミン(1.3g、定量的)を得た。LCMS:方法C、1.474分、MS:ES+186.2。
【0208】
工程b.乾燥DMF(5ml)中の5−フェニルピリジン−2,3−ジアミン(0.208g、1.125mmol)の溶液に、tert−ブチル3−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレート(CAS番号118156−93−7、0.300g、1.406mmol)及びメタ重亜硫酸ナトリウム(0.267g、1.406mmol)を室温で添加した。反応混合物を120℃で16時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、水(25ml)で希釈し、EtOAc(3×25ml)で抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中36%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.100g、0.264mmol)を得た。LCMS:方法A、4.405分、MS:ES+379.13。
【0209】
工程c.DCM(5ml)中のtert−ブチル3−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.100g、0.264mmol)の溶液に、TFA(0.5ml)を0℃で添加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(20ml)を用いて共沸蒸留した。得られた物質を真空下で乾燥して、6−フェニル−2−(ピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンTFA塩(0.1g、定量的)を得た。LCMS:方法A、3.389分、MS:ES+279.13。
【0210】
工程d.THF(5ml)中の6−フェニル−2−(ピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンTFA塩(0.100g、0.254mmol)の溶液に、K2CO3(0.073g、0.508mmol)を室温で添加した。臭化シアン(0.033g、0.305mmol)を室温で反応混合物に添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。得られた混合物を水(20ml)に注ぎ、EtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中95%EtOAc)により精製して、表題化合物を得た。LCMS:方法A、3.469分、MS:ES+304.1、1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:12.63−12.95(m、1H)、8.56−8.64(m、1H)、8.06−8.21(m、1H)、7.72−7.74(m、2H)、7.48−7.52(m、2H)、7.37−7.42(m、1H)、3.71−3.75(m、1H)、3.33−3.45(m、2H)、3.28−3.32(m、1H)、3.09−3.18(m、1H)、2.16−2.20(m、1H)、1.81−1.90(m、2H)、1.70−1.75(m、1H)。
【0211】
実施例2 2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル
【0212】
【化11】
【0213】
工程a.1,4−ジオキサン(5ml)中の5−ブロモピリジン−2,3−ジアミン(CAS番号38875−53−5、0.100g、0.539mmol)の溶液に、4−(tert−ブトキシカルボニル)モルホリン−2−カルボン酸(CAS番号189321−66−2、0.120g、0.539mmol)及びDIPEA(0.3ml,1.595mmol)を室温で添加した。T3P(EtOAc中50%、0.676g、1.063mmol)を添加し、反応混合物を120℃で16時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、同じ規模で同じ方法により調製した他の3つのバッチと合わせた。混合物を水(150ml)に注ぎ、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%MeOH)により精製して、tert−ブチル2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.654g、1.707mmol)を得た。LCMS:方法C、2.038分、MS:ES+383.3、385。
【0214】
工程b.DMF:水(1:1、8ml)中のtert−ブチル2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.350g、0.913mmol)の溶液に、K3PO4(0.582g、2.748mmol)及びフェニルボロン酸(0.168g、1.374mmol)を室温で添加した。反応混合物を10分間脱気した後、PdCl2(dppf)(0.067g、0.091mmol)を添加した。反応混合物を120℃で16時間加熱し、次いで室温に冷却し、濾過した。濾液を60℃で加熱しながら減圧下で蒸発させた。得られた残渣をDCM中10%MeOH(3×20ml)に溶解し、濾過した。合わせた濾液をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.965g、定量的)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS:方法C、2.039分、MS:ES+381.41。
【0215】
工程c及びd.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.364分、MS:ES+306.32;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:12.98−13.34(m、1H)、8.63−8.69(m、1H)、8.05−8.29(m、1H)、7.73−7.74(m、2H)、7.49−7.52(m、2H)、7.38−7.42(m、1H)、4.99−5.09(m、1H)、3.99−4.01(m、1H)、3.76−3.88(m、2H)、3.51−3.62(m、1H)、3.40−3.42(m、2H)。
【0216】
実施例3 3−(4−(3−シアノフェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【0217】
【化12】
【0218】
工程a.乾燥DMF(5.0ml)中のtert−ブチル3−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレート(CAS番号118156−93−7;0.300g、1.407mmol)及び3−ブロモベンゼン−1,2−ジアミン(CAS番号1575−36−6;0.264g、1.407mmol)の撹拌溶液に、メタ重亜硫酸ナトリウム(0.267g、1.407mmol)を室温で添加した。反応混合物を125℃で1.5時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、水(50ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%MeOH)により精製して、tert−ブチル3−(4−ブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.325g、0.854mmol)を得た。LCMS:方法C、2.266分、MS:ES+380.00、382.00。
【0219】
工程b〜d.実施例2の工程b〜dについて記載したものと同様の手順を使用して、上記の中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.539分、MS:ES+328.5;1H NMR(400MHz、DMSO−d6、TFAの滴下)δ ppm:8.23(s、1H)、8.09(d、J=8.0Hz、1H)、8.00(d、J=8.0Hz、1H)、7.79−7.85(m、2H)、7.59−7.65(m、2H)、3.78−3.81(m、1H)、3.37−3.55(m、3H)、3.09−3.16(m、1H)、2.21−2.23(m、1H)、1.84−1.99(m、2H)、1.70−1.73(m、1H)。
【0220】
実施例4 2−(4−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル
【0221】
【化13】
【0222】
工程a.DCM(5ml)中の3−ブロモ−2−ニトロアニリン(0.500g、2.303mmol)及び4−(tert−ブトキシカルボニル)モルホリン−2−カルボン酸(CAS番号189321−66−2;0.692g、2.995mmol)の撹拌溶液に、ピリジン(0.911g、11.519mmol)、続いてPOCl3(1.06g、6.911mmol)を0℃で滴加した。得られた反応混合物をゆっくり室温に温め、45分間撹拌し、次いで飽和NaHCO3溶液(30ml)でクエンチし、DCM(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水溶液(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル2−((3−ブロモ−2−ニトロフェニル)カルバモイル)−モルホリン−4−カルボキシレート(0.910g、2.115mmol)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS:方法C、2.275分、MS:ES+430.60、432.60。
【0223】
工程b.THF:水(1:1、14ml)中のtert−ブチル2−((3−ブロモ−2−ニトロフェニル)カルバモイル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.900g、2.091mmol)の撹拌溶液に、鉄粉(0.584g、10.46mmol)、続いてNH4Cl(0.559g、10.456mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を60℃で18時間加熱し、次いで室温に冷却し、セライトベッドを通して濾過し、EtOAc(100ml)で洗浄した。濾液をEtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水溶液(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をn−ペンタンで洗浄し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル2−((2−アミノ−3−ブロモフェニル)カルバモイル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.830g、2.075mmol)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS:方法C、1.943分、MS:ES+400.50、402.50。
【0224】
工程c.酢酸(8ml)中のtert−ブチル2−((2−アミノ−3−ブロモフェニル)カルバモイル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.800g、1.998mmol)の撹拌溶液を40℃で3時間加熱した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中25%EtOAc)により精製して、tert−ブチル2−(4−ブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−モルホリン−4−カルボキシレート(0.650g、1.701mmol)を得た。LCMS:方法C、1.892分、MS:ES+382.50、384.40。
【0225】
工程d〜f.実施例2の工程b〜dについて記載したものと同様の手順を使用して、上記の中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.722分、MS:ES+305.5;1HNMR(400MHz、DMSO−d6)δppm:12.53−12.75(m、1H)、8.07(d、J=7.6Hz、2H)、7.46−7.57(m、3H)、7.34−7.41(m、2H)、7.28−7.32(m、1H)、4.89−5.01(m、1H)、4.00−4.03(m、1H)、3.84−3.90(m、1H)、3.66−3.79(m、1H)、3.49−3.54(m、1H)、3.38−3.43(m、2H)。
【0226】
実施例5 2−(4−(3−シアノフェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン−4−カルボニトリル
【0227】
【化14】
【0228】
実施例4について記載したものと同様の手順を使用して合成した。LCMS:方法A、4.014分、MS:ES+330.02;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:12.85(s、1H)、8.52(s、1H)、8.46(d、J=7.6Hz、1H)、7.81(d、J=7.6Hz、1H)、7.68(t、J=7.6Hz、1H)、7.50−7.52(m、2H)、7.31(t、J=7.6Hz、1H)、4.98−5.00(m、1H)、3.97−3.99(m、1H)、3.82−3.87(m、1H)、3.72−3.76(m、1H)、3.46−3.52(m、1H)、3.32−3.40(m、2H)。
【0229】
中間体A [1,1’−ビフェニル]−3−カルボキシミドアミド
【0230】
【化15】
【0231】
工程a.MeOH(15ml)中の[1,1’−ビフェニル]−3−カルボニトリル(CAS番号24973−50−0;2.000g、11.17mmol)の溶液に、SOCl2(2.4ml、33.51mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。アンモニアガスを反応混合物に1時間パージし、得られた混合物を室温で48時間撹拌した。得られた黄色沈殿物を濾過により回収し、MeOH(20ml)で洗浄した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中10%MeOH)により精製して、[1,1’−ビフェニル]−3−カルボキシミドアミド(2.000g、10.20mmol)を得た。LCMS:方法C、1.479分、MS:ES+197.23。
【0232】
実施例6 2−(3−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)モルホリン−4−カルボニトリル
【0233】
【化16】
【0234】
工程a.乾燥DMF(3ml)中の4−(tert−ブトキシカルボニル)モルホリン−2−カルボン酸(CAS番号189321−66−2;0.500g、2.164mmol)の溶液に、K2CO3(1.190g、8.66mmol)及びヨウ化メチル(0.922g、6.49mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で36時間撹拌し、次いで1M HCl(20ml)に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を水(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、4−(tert−ブチル)2−メチルモルホリン−2,4−ジカルボキシレート(0.624g、定量的)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS:方法C、1.756分、MS:ES+246.48。
【0235】
工程b.MeOH(1ml)中の4−(tert−ブチル)2−メチルモルホリン−2,4−ジカルボキシレート(0.624g、2.54mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(3.72ml)を室温で添加した。反応混合物を50℃で5時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、水(50ml)に注ぎ、次いでEtOAc(3×25ml)で抽出した。合わせた有機相を水(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル2−(ヒドラジンカルボニル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.539g、2.200mmol)を得た。LCMS:方法C、1.426分、MS:ES+246.48。
【0236】
工程c.EtOH(6ml)中のttert−ブチル2−(ヒドラジンカルボニル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.399g、1.628mmol)及び[1,1’−ビフェニル]−3−カルボキシミドアミド(中間体A;0.351g、1.790mmol)の溶液に、NaOEt(0.332g、4.885mmol)を室温で添加した。反応混合物を80℃で40時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、塩水溶液(100ml)に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を水(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中60%EtOAc)により精製して、tert−ブチル2−(3−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)モルホリン−4−カルボキシレート(0.225g、0.554mmol)を得た。LCMS:方法C、2.203分、MS:ES+407.60。
【0237】
工程d及びe.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.934分、MS:ES+332.43;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:14.33−14.40(m、1H)、8.25−8.29(m、1H)、7.97−8.0(m、1H)、7.81−7.83(m、1H)、7.70−7.77(m、2H)、7.62−7.66(m、1H)、7.49−7.59(m、2H)、7.41−7.45(m、1H)、4.73−4.98(m、1H)、3.91−4.04(m、1H)、3.73−3.87(m、2H)、3.58−3.60(m、1H)、3.35−3.50(m、2H)。
【0238】
中間体B ベンジル3−カルバモイルピペリジン−1−カルボキシレート
【0239】
【化17】
【0240】
工程a.MeCN(20ml)中の1−((ベンジルオキシ)カルボニル)ピペリジン−3−カルボン酸(CAS番号78190−11−1;3.000g、11.390mmol)の撹拌溶液に、CDI(2.210g、13.670mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。アンモニア溶液(水中30%、40ml)を室温で反応混合物にゆっくり添加し、16時間撹拌した。得られた混合物を水(50ml)で希釈し、飽和NaHCO3溶液で塩基性にし、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相をクエン酸水溶液(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中4%MeOH)により精製して、ベンジル3−カルバモイルピペリジン−1−カルボキシレート(2.700g、10.30mmol)を得た。LCMS:方法C、1.585分、MS:ES+263.39。
【0241】
実施例7 3−(4−(2−フェノキシフェニル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【0242】
【化18】
【0243】
工程a.DMA(5ml)中の1−(2−フルオロフェニル)エタン−1−オン(CAS番号445−27−2;0.500g、3.620mmol)及びフェノール(0.374g、3.981mmol)の溶液に、K2CO3(0.450g、3.258mmol)を室温で添加した。反応混合物を155℃で4時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、同じ規模で同じ方法により調製した他の1つのバッチと合わせた。反応混合物を水(50ml)に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水溶液(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中1%EtOAc)により精製して、1−(2−フェノキシフェニル)エタン−1−オン(0.850g、4.01mmol)を得た。LCMS:方法C、2.275分、MS:ES+213.33;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:7.87(dd、J=7.6、1.6Hz、1H)、7.37−7.47(m、3H)、7.15−7.21(m、2H)、7.03−7.05(m、2H)、6.92−6.94(m、1H)、2.66(s、3H)。
【0244】
工程b.THF(10ml)中の1−(2−フェノキシフェニル)エタン−1−オン(0.750g、3.53mmol)の撹拌溶液に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(1.460g、3.887mmol)を数回に分けて0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物を水(30ml)で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水溶液(30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中3%EtOAc)により精製して、2−ブロモ−1−(2−フェノキシフェニル)エタン−1−オン(0.900g、3.10mmol)を得た。LCMS:方法C、2.417分、MS:ES+291.00、293.00;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:7.93−7.98(m、1H)、7.42−7.49(m、3H)、7.16−7.24(m、2H)、7.10−7.24(m、2H)、6.83−6.89(m、1H)、4.67(s、2H)。
【0245】
工程c.EtOAc(10ml)中の2−ブロモ−1−(2−フェノキシフェニル)エタン−1−オン(0.500g、1.72mmol)及びベンジル3−カルバモイルピペリジン−1−カルボキシレート(中間体B、0.540g、2.06mmol)の撹拌溶液に、銀トリフレート(silver triflate)(0.515g、2.060mmol)を数回に分けて室温で添加した。反応混合物を80℃で24時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、水(50ml)で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水溶液(50ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%EtOAc)により精製して、ベンジル3−(4−(2−フェノキシフェニル)オキサゾール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.405g、0.890mmol)を得た。LCMS:方法C、2.849分、MS:ES+455.75。
【0246】
工程d.EtOH(10ml)中のベンジル3−(4−(2−フェノキシフェニル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.380g、0.830mmol)の撹拌溶液に、10%Pd/C(50%水湿潤品、0.076g)を室温で添加した。反応混合物をH2ガスで室温にて5時間パージした。得られた反応混合物をセライトハイフロー(celite hyflow)を通して注意深く濾過し、EtOAc(100ml)で洗浄した。合わせた濾液を1,4−ジオキサン(1ml)中1Mの4M HClを用いて酸性にした。得られた有機相を減圧下で濃縮して、4−(2−フェノキシフェニル)−2−(ピペリジン−3−イル)オキサゾールHCl塩(0.220g、0.617mmol)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS:方法C、1.725分、MS:ES+321.48。
【0247】
工程e.THF:DMF(5:1、10ml)中の4−(2−フェノキシフェニル)−2−(ピペリジン−3−イル)オキサゾールHCl塩(0.210g、0.588mmol)の溶液に、K2CO3(0.406g、2.940mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で5分間撹拌した後、臭化シアン(0.074g、0.708mmol)を添加した。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌し、次いで水(50ml)に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を食塩水(30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)により精製して、表題化合物(0.120g、0.347mmol)を得た。LCMS:方法A、5.469分、MS:ES+346.00;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.25(s、1H)、8.11(dd、J=8.0、2.0Hz、1H)、7.36−7.42(m、2H)、7.32−7.34(m、1H)、7.25−7.29(m、1H)、7.13−7.17(m、1H)、7.02−7.05(m、2H)、6.94−6.96(m、1H)、3.63−3.67(m、1H)、3.35−3.42(m、1H)、3.30−3.32(m、1H)、3.19−3.24(m、1H)、3.12−3.16(m、1H)、2.06−2.07(m、1H)、1.66−1.79(m、3H)。
【0248】
実施例8 3−(4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【0249】
【化19】
【0250】
工程a.1,4−ジオキサン:水(8:2、10ml)中の(3−アセチルフェニル)ボロン酸(CAS番号204841−19−0;1.253g、7.64mmol)及びブロモベンゼン(1.00g、6.37mmol)の溶液に、Na2CO3(2.006g、19.1mmol)を室温で添加した。反応混合物を30分間脱気した後、Pd(PPh34(0.367g、0.318mmol)を添加した。反応混合物を90℃で1.5時間加熱した。得られた反応混合物を室温に冷却し、水(50ml)に注ぎ、EtOAc(4×30ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水溶液(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中9%EtOAc)により精製して、1−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)エタン−1−オン(0.850g、4.336mmol)を得た。LCMS:方法C、2.599分、MS:ES+197.20;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.21(s、1H)、7.95−7.97(m、1H)、7.80−7.83(m、1H)、7.64−7.66(m、2H)、7.55−7.58(m、1H)、7.48−7.51(m、2H)、7.39−7.43(m、1H)、2.68(s、3H)。
【0251】
工程b.THF(5ml)中の1−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)エタン−1−オン(0.790g、4.030mmol)の攪拌溶液に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(1.662g、4.433mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を水(25ml)で希釈し、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、1−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−2−ブロモエタン−1−オン(1.1g、定量的)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。MS:ES+275.0、277.0。
【0252】
工程c.1−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−2−ブロモエタン−1−オン(0.650g、2.37mmol)及びベンジル3−カルバモイルピペリジン−1−カルボキシレート(中間体B、0.621g、2.37mmol)の混合物を150℃で5時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、EtOAc(20ml)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(20ml)で希釈し、EtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機相を水(20ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%EtOAc)により精製して、ベンジル3−(4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.160g、0.365mmol)を得た。LCMS:方法C、3.312分、MS:ES+439.20。
【0253】
工程d.EtOH(10ml)中のベンジル3−(4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.180g、0.410mmol)の撹拌溶液に、触媒量の濃HCl、続いて10%Pd/C(50%m水湿潤品、0.036g)を室温で添加した。反応混合物を100psiのH2ガス圧下、室温で16時間撹拌した。得られた反応混合物をセライトハイフロー(celite hyflow)を通して注意深く濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−2−(ピペリジン−3−イル)オキサゾール(0.200g、定量的)を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS:方法C、2.085分、MS:ES+305.20。
【0254】
工程e.実施例1の工程dに記載のものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、4.594分、MS:ES+330.68;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.69(s、1H)、8.05(s、1H)、7.77(d、J=7.2Hz、1H)、7.70−7.78(m、2H)、7.62(d、J=7.6Hz、1H)、7.48−7.54(m、3H)、7.38−7.42(m、1H)、3.65−3.69(m、1H)、3.38−3.44(m、1H)、3.30−3.33(m、1H)、3.21−3.26(m、1H)、3.12−3.17(m、1H)、2.05−2.10(m、1H)、1.65−1.82(m、3H)。
【0255】
実施例9 (R)−3−(5−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0256】
【化20】
【0257】
工程a.アセトン(4ml)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(0.400g、1.62mmol)の撹拌溶液に、K2CO3(0.670g、4.86mmol)、続いてヨウ化メチル(0.689g、4.86mmol)を窒素下、0℃で添加し、得られた混合物を室温で12時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を水(50ml)で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、1−(tert−ブチル)3−メチル3−フルオロピペリジン−1,3−ジカルボキシレート(0.400g、1.53mmol、粗製物)を得た。LCMS:方法C、1.933分、MS:ES+262.58。
【0258】
工程b.MeOH(10ml)中の1−(tert−ブチル)3−メチル3−フルオロピペリジン−1,3−ジカルボキシレート(0.800g、3.07mmol、粗製物)の撹拌溶液に、ヒドラジン水和物(0.383g、7.66mmol)を0℃で滴加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗製物を水(50ml)で希釈し、DCM(2×150ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−フルオロ−3−(ヒドラジンカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.825g、3.16mmol、粗製物)を得た。粗物質をさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、1.503分、MS:ES+262.43。
【0259】
工程c.THF(3ml)中の[1,1’−ビフェニル]−3−カルボン酸(0.285g、1.44mmol、粗製物)の攪拌溶液に、DIPEA(0.70ml、3.85mmol)、続いてHATU(0.730g、1.92mmol)を0℃で添加した。同じ温度で15分間撹拌した後、THF(2ml)中のtert−ブチル3−フルオロ−3−(ヒドラジンカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.25g、0.96mmol)の溶液を0℃で添加し、撹拌を室温で3時間続けた。得られた反応混合物を水(50ml)で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(4×50ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−(2−([1,1’−ビフェニル]−3−カルボニル)ヒドラジン−1−カルボニル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.62g、1.41mmol、粗製物)を得た。粗物質をさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、2.285分、MS:ES−440.48。
【0260】
工程d.DCM(5ml)中のtert−ブチル3−(2−([1,1’−ビフェニル]−3−カルボニル)ヒドラジン−1−カルボニル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.600g、1.36mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.413g、0.57ml、4.09mmol)、続いて塩化トシル(0.388g、2.05mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物を水(50ml)で希釈し、DCM(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗塊(crude mass)を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中25%EtOAc)により精製し、tert−ブチル3−(5−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.420g、0.99mmol)を得た。LCMS:方法C、2.609分、MS:ES+424.48。
【0261】
工程e及びf.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。
【0262】
工程g.キラルSFCによるラセミ体の分離により、以下の条件下で第2の溶出異性体として表題化合物が得られた:Waters SFC200及びUV検出器、Chiralpak IC(250×21mm、5μM)を使用、カラム流量を75.0ml/分とした、移動相:(A)液体二酸化炭素及び(B)IPA、11分間にわたる25%Bのアイソクラティック勾配。LCMS:方法A、4.402分、MS:ES+349.1;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.31(s、1H)、8.09(d、J=7.6Hz、1H)、7.98(d、J=7.6Hz、1H)、7.78(d、J=7.6Hz、2H)、7.73(t、J=7.6Hz、1H)、7.53(t、J=7.6Hz、2H)、7.45(t、J=7.6Hz、1H)、4.04−3.99(m、1H)、3.85(dd、J=29.6Hz、14.4Hz、1H)、3.46−3.43(m、1H)、3.27−3.22(m、1H)、2.38−2.25(m、1H)、2.01−1.92(m、1H)、1.79−1.76(m、1H)。
【0263】
実施例10 3−(5−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0264】
【化21】
【0265】
実施例9の工程a〜fに記載されているものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法A、4.510分、MS:ES+349.1;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.17(d、J=8.0Hz、2H)、7.95(d、J=8.4Hz、2H)、7.79(d、J=7.6Hz、2H)、7.53(t、J=8.0Hz、2H)、7.46(t、J=7.2Hz、1H)、3.98−3.94(m、1H)、3.85(dd、J=29.2Hz、14.0Hz、1H)、3.46−3.43(m、1H)、3.28−3.25(m、1H)、2.38−2.25(m、1H)、1.99−1.95(m、1H)、1.79−1.76(m、1H)。
【0266】
中間体(R)−1−(tert−ブトキシカルバモイル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸
【0267】
【化22】
【0268】
工程a.MeCN(1.5%の水を含有する1.4L)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(CAS番号934342−39−9;285.3g、1.15mol)の溶液に、MeCN(1.5%の水を含有する1.4L)中のD−バリノール(107.1g、1.04mol)の溶液を添加した。固体が沈殿し、固体が完全に溶解するまで混合物を還流して撹拌し、次いで撹拌を室温で16時間続けた。得られた固体を濾別し、MeCN(500ml)で洗浄した。結晶性物質の試料の絶対立体化学は、単結晶X線回折により、(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸の(R)−2−アミノ−3−メチルブタン−1−オール(D−バリノール)塩として決定された。
【0269】
工程b.回収した固体をDCMに懸濁し、0.5M塩酸溶液で処理した。有機相を0.5M塩酸溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、110gの表題生成物(収率37%)を98%eeで得た(この物質のエナンチオマー過剰率は、試料をアニリンで誘導体化することによって確認した)。1H NMR(300MHz、CD3OD)δ ppm:4.14(bs、1H)、3.98−4.02(d、1H)、3.30−3.50(m、1H)、2.91(bs、1H)、1.95−2.08(m、2H)、1.59−1.80(m、2H)、1.45(s、9H)。
【0270】
逆の鏡像異性体は、L−バリノールを使用して調製することができる。
【0271】
実施例11 (R)−4−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−[2,4’−ビピリジン]−2’−カルボニトリル
【0272】
【化23】
【0273】
工程a〜d.最初の4工程は、実施例9の工程a〜dについて記載したものと同様の手順に従い、工程aでは(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸を使用し、工程cでは2−ブロモイソニコチン酸メチル(CAS番号26156−48−9)を使用した。
【0274】
工程e.DMF−水(5:1、6ml)中のtert−ブチル(R)−3−(5−(2−ブロモピリジン−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.160g、0.38mmol)及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ピコリノニトリル(0.129g、0.56mmol)の撹拌溶液に、NaHCO3(0.094g、1.13mmol)を室温で添加した。反応混合物を窒素で15分間脱気し、PdCl2(dppf)(0.027、0.04mmol)を反応混合物に添加した。得られた反応混合物を90℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を氷水(100ml)に注ぎ、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(5−(2’−シアノ−[2,4’−ビピリジン]−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.160g、0.36mmol)を得た。LCMS:方法C、1.763分、MS:ES+451.66。
【0275】
工程f及びg.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.510分、MS:ES+376;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.07(d、J=5.2Hz、1H)、8.95(d、J=5.2Hz、1H)、8.88(s、1H)、8.82(s、1H)、8.55(dd、J=4.8Hz、1.6Hz、1H)、8.21(dd、J=5.2Hz、1.2Hz、1H)、4.08−4.02(m、1H)、3.87(dd、J=29.6Hz、14.0Hz、1H)、3.49−3.46(m、1H)、3.30−3.24(m、1H)、2.50−2.26(m、2H)、2.04−1.95(m、1H)、1.82−1.79(m、1H)。
【0276】
実施例12 (R)−4−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピコリノニトリル
【0277】
【化24】
【0278】
工程a.DMF(5ml)中のtert−ブチル(R)−3−(5−(2−ブロモピリジン−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(実施例11の工程a〜dに記載の合成、0.200g、0.47mmol)の撹拌溶液に、Zn(CN)2(0.110g、0.94mmol)を室温で添加した。反応混合物を窒素で10分間脱気し、Pd(PPh34(0.054g、0.05mmol)を反応塊(reaction mass)に添加し、得られた反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、氷冷水(100ml)に注ぎ、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗製残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中20%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(5−(2−シアノピリジン−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.110g、0.29mmol)を得た。LCMS:方法C、1.729分、MS:ES(MH−56)318.3。
【0279】
工程b及びc.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.075分、MS:ES+316.1(MH+18);1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.03(d、J=4.8Hz、1H)、8.73(s、1H)、8.37(dd、J=5.2Hz、1.6Hz、1H)、4.04−3.98(m、1H)、3.83(dd、J=30.0Hz、14.4Hz、1H)、3.48−3.44(m、1H)、3.28−3.23(m、1H)、2.50−2.27(m、2H)、1.99−1.93(m、1H)、1.80−1.77(m、1H)。
【0280】
実施例13 (R)−2’−(5−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−[4,4’−ビピリジン]−2−カルボニトリル
【0281】
【化25】
【0282】
工程a.エタノール(7ml)中の4−ブロモピコリン酸エチル(CAS番号62150−47−4;0.700g、3.04mmol)の攪拌溶液に、ヒドラジン水和物(0.456g、9.12mmol)を0℃で滴加した。反応温度を0℃から室温に上げ、さらに30分間撹拌した。エタノールを減圧下で除去した。粗反応物に水(50ml)を添加し、生成物をEtOAc(2×50ml)中に抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、4−ブロモピコリノヒドラジド(0.620g、2.88mmol、粗製物)を得た。粗固体を精製することなく次の工程に直接使用した。LCMS:方法C、1.291分、MS:ES+216.13。
【0283】
工程b.THF中の(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(0.686g、2.78mmol)の撹拌溶液に、DIPEA(1.00g、7.75mmol)及びTBTU(1.300g、4.05mmol)を0℃で添加し、同じ温度で1時間撹拌した。4−ブロモピコリノヒドラジド(0.600g、2.78mmol)を反応混合物に添加した。反応温度を室温にし、5時間撹拌した。水(50ml)を添加し、混合物をEtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−ヘキサン中40%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(2−(4−ブロモピコリノイル)ヒドラジン−1−カルボニル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.900g、2.02mmol)を得た。LCMS:方法C、1.624分、MS:ES+447.30。
【0284】
工程c.DCM(9ml)中のtert−ブチル(R)−3−(2−(4−ブロモピコリノイル)ヒドラジン−1−カルボニル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.870g、1.96mmol)の撹拌溶液に、DIPEA(0.156g、1.21mmol)、続いて数回に分けてPTS−Cl(0.557g、2.93mmol)及び硫酸ナトリウム(0.555g、3.91mmol)を0℃で添加した。反応温度を室温にし、1時間撹拌を続けた。水(100ml)を反応塊に添加し、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中20%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(5−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.750g、1.76mmol)を得た。LCMS:方法C、1.748分、MS:ES+427.45。
【0285】
工程d.DMF:水(30:1、3.1ml)中のtert−ブチル(R)−3−(5−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.300g、0.70mmol)の撹拌溶液に、NaHCO3(0.177g、2.11mmol)及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピコリノニトリル(0.323g、1.40mmol)を添加した。3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピコリノニトリル(0.323g、1.40mmol)。反応混合物を窒素で15分間脱気した後、PdCl2(dppf)(0.051g、0.07mmol)を添加し、得られた混合物を100℃で2時間加熱した。水(50ml)を反応塊に添加し、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をさらに水(3×50ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(5−(2’−シアノ−[4,4’−ビピリジン]−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.310g、0.69mmol)を得た。LCMS:方法C、1.801分、MS:ES+(MH−56)395.4。
【0286】
工程e及びf.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.195分、MS:ES+376.2;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.02(d、J=5.2Hz、1H)、8.96(d、J=5.2Hz、1H)、8.74(d、J=5.6Hz、2H)、8.35(dd、J=4.8Hz、1.6Hz、1H)、8.23(dd、J=5.2Hz、1.6Hz、1H)、4.12−3.82(m、2H)、3.49−3.45(m、1H)、3.30−3.25(m、1H)、2.50−2.25(m、2H)、2.00−1.95(m、1H)、1.81−1.78(m、1H)。
【0287】
実施例14 3−(6−(1H−ピラゾール−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0288】
【化26】
【0289】
工程a.DMF中:水(2:1、9ml)中の5−ブロモ−2−ニトロアニリン(CAS番号5228−61−5;0.700g、3.23mmol)及び1H−ピラゾール−5−イルボロン酸(CAS番号376584−63−3;0.720g、6.45mmol)の撹拌溶液に、Na2CO3(1.03g、9.68mmol)を室温で添加した。反応混合物を窒素で20分間脱気し、PdCl2(dppf)(0.166g、0.23mmol)を添加した。混合物をマイクロ波照射下、130℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(40ml)に注ぎ、EtOAc(2×40ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中60%EtOAc)により精製して、2−ニトロ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)アニリン(0.69g、定量的)を得た。LCMS:方法C、1.568分、MS:ES+205.38。
【0290】
工程b.DCM(20ml)中の2−ニトロ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)アニリン(0.522g、2.56mmol)及び1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(CAS番号934342−39−9;0.758g、3.07mmol)の撹拌溶液に、ピリジン(1.03ml、12.79mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、POCl3(0.74ml、7.68mmol)を反応混合物に滴加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(40ml)に注ぎ、DCM(2×40ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−フルオロ−3−((2−ニトロ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)カルバモイル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(1.27g、2.93mmol、粗製物)を得た。この粗製物質をさらに精製することなく次の工程に直接使用した。LCMS:方法C、2.162分、MS:ES+434.63。
【0291】
工程c.ヒドラジン水和物(6.3ml、5体積)をギ酸(12.15g、263.97mmol)に0℃で滴下し、室温で20分間撹拌した。上記溶液(6ml)を、MeoH:THF混合物(1:1、60ml)中のtert−ブチル3−フルオロ−3−((2−ニトロ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.27g、2.93mmol)及び亜鉛末(1.92g、29.33mmol)の懸濁液に0℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水:EtOAc混合物(1:1、100ml)に注ぎ、固体NaHCO3で塩基性にした。有機層を分離し、水層をEtOAc(50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−((2−アミノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g、粗製物)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、1.707分、MS:ES+404.51。
【0292】
工程d.酢酸(9.7ml、10体積)中のtert−ブチル3−((2−アミノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.970g、2.40mmol)の撹拌溶液を60℃で45分間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO3水溶液(100ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中70%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−(6−(1H−ピラゾール−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.346g、0.90mmol)を得た。LCMS:方法C、1.752分、MS:ES+386.53。
【0293】
工程e及びf.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、2.958分、MS:ES+311.4;1H NMR(400MHz、DMSO−d6+TFA滴下)δ ppm:8.14(s、1H)、7.96(d、J=8.4Hz、1H)、7.88(s、1H)、7.80(d、J=8.4Hz、1H)、6.91(s、1H)、3.98−3.92(m、1H)、3.76(dd、J=34.0Hz、14.4Hz、1H)、3.53−3.50(m、1H)、3.25−3.22(m、1H)、2.35−2.33(m、1H)、2.28−2.22(m、1H)、2.05−2.98(m、1H)、1.82−1.79(m、1H)。
【0294】
実施例15 (R)−3−フルオロ−3−(5−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【0295】
【化27】
【0296】
工程a.DME−水−EtOH混合物(5:0.25:0.25、5.5ml)中の6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(CAS番号84487−04−7;0.500g、2.29mmol)の撹拌溶液に、Na2CO3(0.360g、3.44mmol)及びフェニルボロン酸(0.550g、4.59mmol)を室温で添加した。反応混合物を窒素ガスで15分間脱気し、Pd(PPh34(0.053g、0.05mmol)を同じ温度で反応混合物に添加した。得られた反応混合物をマイクロ波照射下、100℃で30分間加熱し、次いで室温に冷却した。500mg(各々)の6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミンとの2つの並列反応を同様の反応条件下で実施し、3つ全てのバッチをワークアップ(work−up)前に混合した。合わせた混合物を水(50ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中3%EtOAc)により精製して、3−ニトロ−6−フェニルピリジン−2−アミン(0.280g、1.34mmol)を得た。LCMS:方法C、1.979分、MS:ES+216.28。
【0297】
工程b.DCM(8ml)中の3−ニトロ−6−フェニルピリジン−2−アミン(0.800g、3.72mmol)、1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(CAS番号934342−39−9;1.10g、4.47mmol)及びピリジン(1.49ml、18.6mmol)の撹拌溶液に、POCl3(1.06ml、11.16mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温に温め、16時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)に注ぎ、DCM(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中24%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−フルオロ−3−((3−ニトロ−6−フェニルピリジン−2−イル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.600g、1.35mmol)を得た。LCMS:方法C、2.424分、MS:ES+445.58。
【0298】
工程c.EtOH:水混合液(5:1、6ml)中のtert−ブチル3−フルオロ−3−((3−ニトロ−6−フェニルピリジン−2−イル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.510g、1.15mmol)の撹拌溶液に、NH4Cl(0.904g、17.22mmol)を室温で添加し、得られた混合物を15分間還流した。鉄粉(0.224g、4.02mmol)を室温で添加し、さらに2時間加熱還流した。室温に冷却した後、混合物を水(50ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中26.5%EtOAc)により精製し、tert−ブチル3−((3−アミノ−6−フェニルピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.245g、0.59mmol)を得た。LCMS:方法C、2.121分、MS:ES+415.57。
【0299】
工程d.酢酸(0.3ml)中のtert−ブチル3−((3−アミノ−6−フェニルピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.220g、0.53mmol)の撹拌溶液を60℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(30ml)に注ぎ、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−フルオロ−3−(5−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.145g、0.366mmol、粗製物)を得た。この粗生成物をさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、2.173分、MS:ES+397.43。
【0300】
工程e及びf.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。
【0301】
工程g.キラルSFCによるラセミ体の分離により、以下の条件下で第2の溶出異性体として表題化合物が得られた:Waters SFC200及びUV検出器、Chiralpak IC(250×21mm、5μM)を使用、カラム流量を75.0ml/分とした、移動相:(A)液体二酸化炭素及び(B)IPA、11分間にわたる25%Bのアイソクラティック勾配。LCMS:方法B、3.543分、MS:ES+340.2;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.11(d、J=7.6Hz、3H)、7.88(d、J=8.4Hz、1H)、7.51(t、J=7.6Hz、2H)、7.44(d、J=7.2Hz、1H)、3.8−3.73(m、2H)、3.84−3.45(m、2H)、3.33−3.24(m、2H)、1.99−1.96(m、1H)、1.78−1.75(m、1H)。
【0302】
実施例16 (S)−3−(5−(3−シアノフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0303】
【化28】
【0304】
実施例15の工程a〜fに記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて3−シアノフェニルボロン酸(CAS番号150255−96−2)を使用して、表題化合物をラセミ化合物として合成した。キラルSFCによるラセミ体の分離により、以下の条件下で第1の溶出異性体として表題化合物が得られた:Waters SFC200及びUV検出器、Chiralpak IC(250×21mm、5μM)を使用、カラム流量を75.0ml/分とした、移動相:(A)液体二酸化炭素及び(B)IPA、11分間にわたる25%Bのアイソクラティック勾配。LCMS:方法A、3.316分、MS:ES+347.1;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:13.50(br、1H)、8.55(s、1H)、8.48(d、J=8.0Hz、1H)、8.14(d、J=8.0Hz、1H)、8.00(d、J=8.4Hz、1H)、7.90(d、J=7.6Hz、1H)、7.73(t、J=8.0Hz、1H)、3.92−3.74(m、2H)、3.49−3.46(m、1H)、3.30−3.23(m、1H)、2.42−2.19(m、2H)、2.01−1.92(m、1H)、1.79−1.75(m、1H)。
【0305】
実施例17 3−(5−(1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0306】
【化29】
【0307】
実施例15の工程a〜fに記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて(1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−3−イル)ボロン酸(CAS番号1162261−97−3)を使用して、表題化合物をラセミ化合物として合成した。LCMS:方法A、2.298分、MS:ES+348;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.89(d、J=2.0Hz、1H)、8.79(d、J=2.0Hz、1H)、8.36(s、1H)、8.19(d、J=8.0Hz、1H)、7.94(d、J=8.0Hz、1H)、7.76(t、J=8.4Hz、1H)、4.04−3.82(m、2H)、3.49−3.46(m、1H)、3.35−3.25(m、1H)、2.50−2.19(m、2H)、2.04−1.95(m、1H)、1.81−1.78(m、1H)。
【0308】
実施例18 (R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)ピコリノニトリル
【0309】
【化30】
【0310】
工程a.ピリジン(5ml)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(0.200g、0.81mmol)及び5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(CAS番号6945−68−2;0.264g、1.21mmol)の撹拌溶液に、POCl3(0.7ml、8.09mmol)を0℃で添加し、室温で40分間撹拌した。得られた反応混合物を水(100ml)に注ぎ、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗残渣を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中15%EtOAc)により精製し、tert−ブチル3−((5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.180g、0.40mmol)を得た。LCMS:方法C、1.745分、MS:ES+447.5。
【0311】
工程b.THF:水(1:1;3ml)中のtert−ブチル3−((5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.160g、0.36mmol)の攪拌溶液に、鉄粉(0.100g、1.79mmol)、続いて酢酸(1.6ml、10体積)に室温で添加した。得られた反応混合物を130℃で5時間加熱した。反応混合物を水(100ml)に注ぎ、固体NaHCO3で塩基性(pH約10)にし、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.14g、0.35mmol、粗製物)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、1.660分、MS:ES+399.3。
【0312】
工程c.MeCN:水(5:4、9ml)中のtert−ブチル3−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.110g、0.28mmol)及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピコリノニトリル(CAS番号741709−62−6;0.095g、0.41mmol)の攪拌溶液に、KOAc(0.108g、1.11mmol)を室温で添加した。反応混合物を窒素で20分間脱気し、PdCl2(dppf)(0.020g、0.03mmol)を反応混合物に添加した。得られた反応混合物を80℃で5時間加熱した。混合物を室温に冷却し、水(100ml)に注ぎ、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粗残渣を得た。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中70%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−(6−(2−シアノピリジン−4−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.046g、0.11mmol)を得た。LCMS:方法C、1.570分、MS:ES+423.42。
【0313】
工程d及びe.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法A、2.730分、MS:ES+348.0;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:13.86(brs、1/2H;互変異性体)、13.62(brs、1/2H;互変異性体)、8.96(s、1H)、8.84(d、J=5.2Hz、1H)、8.69(s、1H)、8.60(s、1H)、8.24(dd、J=5.2Hz、1.2Hz、1H)、3.92−3.75(m、2H)、3.50−3.47(m、1H)、3.31−3.27(m、1H)、2.50−2.19(m、2H)、2.01−1.92(m、1H)、1.80−1.76(m、1H)。
【0314】
実施例19 (R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)ピコリノニトリル
【0315】
【化31】
【0316】
実施例18に記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて2−アミノ−6−ブロモ−3−ニトロピリジン(CAS番号84487−04−7)を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.316分、MS:ES+347.1;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:13.50(br、1H)、8.55(s、1H)、8.48(d、J=8.0Hz、1H)、8.14(d、J=8.0Hz、1H)、8.00(d、J=8.4Hz、1H)、7.90(d、J=7.6Hz、1H)、7.73(t、J=8.0Hz、1H)、3.92−3.74(m、2H)、3.49−3.46(m、1H)、3.30−3.23(m、1H)、2.42−2.19(m、2H)、2.01−1.92(m、1H)、1.79−1.75(m、1H)。
【0317】
実施例20 3−(6−(3−シアノフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0318】
【化32】
【0319】
工程a.ピリジン(15ml)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(1.0g、4.05mmol)及び5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(1.3g、6.07mmol)の撹拌溶液に、POCl3(1.85g、12.15mmol)を0℃で滴加し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(30ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中12%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−((5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(1.1g、2.47mmol)を得た。LCMS:方法C、1.816分、MS:ES+447.3、449.3。
【0320】
工程b.MeCN:水混合物(1:1、8ml)中のtert−ブチル3−((5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.400g、0.90mmol)及び(3−シアノフェニル)ボロン酸(CAS番号150255−96−2;0.197g、1.35mmol)の攪拌溶液に、KOAc(0.351g、3.583mmol)を添加した。得られた混合物を窒素で15分間脱気した後、PdCl2(dppf)(0.065g、0.09mmol)を添加し、得られた混合物を80℃で12時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(30ml)で希釈し、EtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(20ml)で洗浄し、無水Na2SO4乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗塊を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−((5−(3−シアノフェニル)−3−ニトロピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.200g、0.43mmol)を得た。LCMS:方法C、1.836分、MS:ES+470.35。
【0321】
工程c.THF:水(1:1、4ml)中のtert−ブチル3−((5−(3−シアノフェニル)−3−ニトロピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.190g、0.40mmol)の撹拌溶液に、NH4Cl(0.226mg、4.05mmol)及び鉄粉(0.218g、4.051mmol)を室温で添加し、得られた混合物を60℃で4時間加熱し、室温に冷却し、水(30ml)で希釈し、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(20ml)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−((3−アミノ−5−(3−シアノフェニル)ピリジン−2−イル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.180g、0.41mmol、粗製物)を得た。この粗物質をさらに精製することなしに次の工程に用いた。LCMS:方法C、1.591分、MS:ES+440.50。
【0322】
工程d〜f.実施例15の工程d〜fについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.279分、MS:ES+347.2;1H NMR(400MHz、DMSO−d6+TFA滴)δ ppm:8.89(s、1H)、8.55(s、1H)、8.32(s、1H)、8.15(d、J=8.0Hz、1H)、7.89(d、J=7.6Hz、1H)、7.73(t、J=8.0Hz、1H)、3.89−3.78(m、2H)、3.51−3.45(m、1H)、3.25−3.22(m、1H)、2.50−2.33(m、2H)、2.05−1.95(m、1H)、1.85−1.75(m、1H)。
【0323】
実施例21 (R)−6−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)ピコリノニトリル
【0324】
【化33】
【0325】
1,2−DME−DMF混合物(8:1、9ml)中の6−ブロモピコリノニトリル(CAS番号122918−25−6;0.400g、2.19mmol)の撹拌溶液に、ヘキサブチル二スズ(hexabutylditin)(1.900g、3.28mmol)を室温で添加した。反応混合物を窒素で30分間脱気した後、Pd(PPh34(0.224g、0.19mmol)を添加し、得られた混合物を100℃で8時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、氷水(100ml)で希釈し、EtOAc(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%EtOAcの溶液)により精製して、6−(トリブチルスタンニル)−ピコリノニトリル(0.350g、0.89mmol)を得た。LCMS:方法C、3.515分、MS:ES+395.58。
【0326】
実施例18に記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて2−アミノ−6−ブロモ−3−ニトロピリジン(CAS番号84487−04−7)を使用し、工程cにおいて6−(トリブチルスタンニル)−ピコリノニトリル(上記)を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.264分、MS:ES+348;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:13.85(brs、1/2H;互変異性体)、13.45(brs、1/2H;互変異性体)、8.72−8.67(m、1H)、8.37(br、1H)、8.26−8.22(m、2H)、8.11−8.09(m、1H)、3.92−3.75(m、2H)、3.50−3.47(m、1H)、3.31−3.30(m、1H)、2.50−2.22(m、2H)、2.01−1.98(m、1H)、1.80−1.77(m、1H)。
【0327】
実施例22 (R)−3−(5−(3−シアノフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0328】
【化34】
【0329】
工程a.DCM(10.0ml)中の2−アミノ−4−ブロモフェノール(0.400g、2.13mmol)の撹拌溶液に、EDC・HCl(0.611g、3.19mmol)及びHOBt(0.430g、3.19mmol)を室温で添加した。反応混合物を1時間攪拌した後、1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(CAS番号934342−39−9;0.525g、2.13mmol)を添加した。反応物を室温で16時間撹拌し、次いで水(50ml)に注ぎ、DCM(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル3−((5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)カルバモイル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.43g、1.03mmol、粗製物)を得た。これをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、2.236分、MS:ES+417.19。
【0330】
工程b.THF(5ml)中のtert−ブチル3−((5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)カルバモイル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.430g、1.03mmol、粗製物)の攪拌溶液に、トリフェニルホスフィン(0.541g、2.06mmol)を室温で添加した。20分間撹拌した後、DIAD(0.42g、2.06mmol)を反応混合物に添加し、得られた混合物を70℃で4時間撹拌した。反応物を水(50ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗製残渣を得て、これをコンビフラッシュ(combi−flash)クロマトグラフィー(n−ヘキサン中15%EtOAc)により精製し、tert−ブチル3−(5−ブロモベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.25g、0.62mmol)を得た。LCMS:方法C、2.493分、MS:ES+399.32;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:7.89(s、1H)、7.52(d、J=8Hz 1H)、7.46(d、J=8.8Hz 1H)、4.26−4.39(m、1H)、3.87−3.91(m、1H)、3.70−3.86(m、1H)、3.10−3.16(m、1H)、2.25−2.39(m、2H)、1.94−2.00(m、1H)、1.76−1.79(m、1H)、1.42(s、9H)。
【0331】
工程c〜e.実施例18の工程c〜eに記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物をラセミ体として合成した。鏡像異性体を分取キラルSFCにより分離し、第1の溶出異性体を表題化合物とした。LCMS:方法A、4.173分、MS:ES+347.2;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.27(s、2H)、8.12(d、J=8.0Hz、1H)、7.97(d、J=8.4Hz、1H)、7.92−7.87(m、2H)、7.72(t、J=8.0Hz、1H)、3.99−3.83(m、2H)、3.48−3.45(m、1H)、3.29−3.24(m、1H)、2.50−2.24(m、2H)、2.04−1.95(m、1H)、1.81−1.77(m、1H)。
【0332】
実施例23 (R)−6−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル
【0333】
【化35】
【0334】
工程a.DMF(10ml)中tert−ブチル(R)−3−(5−ブロモベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート((R)−1−(実施例22の工程a及びbに従い、工程aでtert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸を使用して製造、0.700g、1.75mmol)の攪拌溶液に、KOAc(0.343g、3.50mmol)及びビス(ピナコラト)ジボロン(0.668g、2.63mmol)、続いてPdCl2(dppf)・DCM錯体(0.143g、0.18mmol)を添加し、得られた混合物を80℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水(10ml)に注ぎ、EtOAc(3×10ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をn−ヘキサン(3×10ml)で洗浄することにより精製し、合わせた有機抽出物を減圧下で濃縮して、tert−ブチル(R)−3−フルオロ−3−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.900g、粗製物)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS:方法C、2.196分、MS:ES+447.52。
【0335】
工程b.1,4−ジオキサン:水混合物(8:1、10ml)中のtert−ブチル(R)−3−フルオロ−3−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.400g、0.90mmol、粗製物)の撹拌溶液に、Cs2CO3(0.584g、1.79mmol)及び4,6−ジクロロピリミジン(CAS番号1193−21−1;0.200g、1.34mmol)を室温で添加した。反応物を5分間窒素でパージすることによって脱気した後、PdCl2(dppf)(0.032g、0.044mmol)を添加し、得られた混合物を100℃で5時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水(10ml)に注ぎ、EtOAc(3×15ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(5−(6−クロロピリミジン−4−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.200g、0.46mmol)を得た。LCMS:方法C、2.044分、MS:ES+433.39。
【0336】
工程c.DMF(5ml)中のtert−ブチル(R)−3−(5−(6−クロロピリミジン−4−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.200g、0.42mmol)の撹拌溶液に、Zn(CN)2(0.065g、0.56mmol)、Pd2(dba)3(0.042g、0.05mmol)及びdppf(0.051g、0.09mmol)を添加し、得られた混合物をマイクロ波照射下、130℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水(5ml)に注ぎ、EtOAc(3×5ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル(R)−3−(5−(6−シアノピリミジン−4−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.200g、粗製物)を得て、これを精製せずに次の工程に用いた。LCMS:方法C、1.943分、MS:ES+424.4.
【0337】
工程d及びe.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.827分、MS:ES+349.5(M+H+);1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.48(s、1H)、8.95(s、1H)、8.80(s、1H)、8.49(d、J=8.8Hz、1H)、8.07(d、J=8.8Hz、1H)、4.00−3.83(m、2H)、3.48−3.45(m、1H)、3.30−3.24(m、1H)、2.50−2.25(m、2H)、2.04−1.95(m、1H)、1.81−1.77(m、1H)
【0338】
実施例24 (R)−2−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル
【0339】
【化36】
【0340】
工程a.1,4−ジオキサン:水混合物(4:1、5ml)中のtert−ブチル(R)−3−フルオロ−3−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(実施例23の工程aに従って製造、0.08g、0.18mmol)の撹拌溶液に、2−クロロ−ピリミジン−4−カルボニトリル(0.025mg、0.18mmol))、続いてCs2CO3(0.116g、0.39mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を(混合物を通して窒素をパージすることにより)10分間脱気した後、PdCl2(dppf)(0.007g、0.01mmol)を添加し、得られた混合物を80℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(5ml)で希釈し、EtOAc(3×5ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(5−(4−シアノピリミジン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.07g、0.17mmol)を得た。LCMS:方法C、1.902分、MS:ES+424.37。
【0341】
工程b及びc.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.930分、MS:ES+349.4(M−H+);1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.29(d、J=5.2Hz、1H)、8.76(d、J=1.2Hz、1H)、8.56(dd、J=8.8Hz、1.6Hz、1H)、8.12(d、J=4.8Hz、1H)、8.03(d、J=8.8Hz、1H)、3.95−3.82(m、2H)、3.48−3.44(m、1H)、3.29−3.24(m、1H)、2.50−2.27(m、2H)、2.00−1.97(m、1H)、1.80−1.76(m、1H)
【0342】
実施例25 (R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ピコリノニトリル
【0343】
【化37】
【0344】
工程a.1,4−ジオキサン:水(4:1、10ml)中のtert−ブチル(R)−3−フルオロ−3−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(実施例23の工程aに従って製造、0.200g、0.45mmol)の撹拌溶液に、Cs2CO3(0.292g、0.90mmol)及び4−ブロモ−ピコリノニトリル(0.123g、0.67mmol)を添加した。反応混合物を窒素で10分間脱気した後、PdCl2(dppf)を添加し、反応物を80℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(5ml)に注ぎ、EtOAc(3×5ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗塊を得て、これをカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中20%EtOAc)により精製し、tert−ブチル(R)−3−(5−(2−シアノ−ピリジン−4−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.110g、0.261mmol)を得た。LCMS:方法C、1.914分、MS:ES+423.5.
【0345】
工程b及びc.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.965分、MS:ES+348.3(M−H+);1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.84(d、J=4.0Hz、1H)、8.56(s、1H)、8.49(s、1H)、8.20(dd、J=4.0Hz、1.2Hz、1H)、8.10−8.03(m、2H)、4.00−3.84(m、2H)、3.49−3.46(m、1H)、3.30−3.25(m、1H)、2.50−2.25(m、2H)、2.04−1.95(m、1H)、1.81−1.78(m、1H)。
【0346】
実施例26 (R)−2−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)イソニコチノニトリル
【0347】
【化38】
【0348】
実施例25に記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて2−ブロモ−4−シアノピリジンを使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.983分、MS:ES+348.4;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.96(d、J=5.2Hz、1H)、8.65(s、2H)、8.36(d、J=8.8Hz、1H)、8.00(d、J=8.8Hz、1H)、7.88(d、J=4.8Hz、1H)、3.96−3.83(m、2H)、3.48−3.45(m、1H)、3.30−3.24(m、1H)、2.50−2.26(m、2H)、2.04−1.98(m、1H)、1.81−1.77(m、1H)。
【0349】
実施例27 (R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−6−イル)ピコリノニトリル
【0350】
【化39】
【0351】
実施例25に記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて2−アミノ−5−ブロモフェノールを使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.705分、MS:ES+348;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.86(d、J=5.2Hz、1H)、8.57(s、1H)、8.48(s、1H)、8.21(dd、J=5.2Hz、1.6Hz、1H)、8.04(s、1H)、3.95−3.82(m、2H)、3.48−3.45(m、1H)、3.29−3.23(m、1H)、2.50−2.34(m、2H)、2.01−1.98(m、1H)、1.80−1.77(m、1H)。
【0352】
実施例28 3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0353】
【化40】
【0354】
工程a.THF(8ml)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(0.500g、2.02mmol)の撹拌溶液に、DIPEA(0.523g、4.05mmol)、続いてTBTU(0.975g、3.04mmol)を0℃で添加した。室温で1時間撹拌した後、3−アミノ−5−ブロモピリジン−2−オール(0.383g、2.02mmol)を添加し、撹拌を室温で16時間続けた。反応混合物を水(50ml)に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−((5−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)カルバモイル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.466g、1.12mmol)を得た。LCMS:方法C、1.944分、MS:[M−56]:362.2。
【0355】
工程b.CHCl3(12ml)中のtert−ブチル3−((5−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)カルバモイル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.450g、1.08mmol)の撹拌溶液に、TEA(0.87g、8.61mmol)、トリフェニルホスフィン(0.85g、3.23mmol)及びヘキサクロロエタン(0.625g、2.64mmol)を窒素下、室温で添加し、18時間撹拌した。得られた混合物を水(100ml)に注ぎ、DCM(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中15%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−(6−ブロモオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.240g、0.60mmol)を得た。LCMS:方法C、2.341分、MS:[M−56]:344.02
【0356】
工程c.1,4−ジオキサン:水混合物(4:1、8ml)中のtert−ブチル3−(6−ブロモオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.200g、0.50mmol)の撹拌溶液に、(3−シアノ−フェニル)ボロン酸(0.110g、0.750mmol)及びK2CO3(0.207g、1.50mmol)を室温で添加した。反応混合物を30分間窒素で脱気した後、PdCl2(dppf)(0.018g、0.03mmol)を添加した。得られた反応混合物を75℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(50ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)により精製して、tert−ブチル3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.205g、0.49mmol)を得た。LCMS:方法C、2.281分、MS:ES+423.4。
【0357】
工程d及びe.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.836分、MS:ES+348(M+H+);1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.89(d、J=2.0Hz、1H)、8.79(d、J=2.0Hz、1H)、8.36(s、1H)、8.19(d、J=8.0Hz、1H)、7.94(d、J=8.0Hz、1H)、7.76(t、J=8.4Hz、1H)、4.04−3.82(m、2H)、3.49−3.46(m、1H)、3.35−3.25(m、1H)、2.50−2.19(m、2H)、2.04−1.95(m、1H)、1.81−1.78(m、1H)。
【0358】
実施例29 3−(6−(3−シアノフェニル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボニトリル
【0359】
【化41】
【0360】
実施例28に記載されたものと同様の手順を使用し、工程aにおいて2−アミノ−5−ブロモ−3−ヒドロキシピリジン(CAS番号39903−01−0)を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.646分、MS:ES+348;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.05(d、J=1.6Hz、1H)、8.78(d、J=2.0Hz、1H)、8.34(s、1H)、8.21(d、J=8.0Hz、1H)、7.95(d、J=7.6Hz、1H)、7.77(t、J=8.0Hz、1H)、4.01−3.83(m、2H)、3.50−3.47(m、1H)、3.30−3.26(m、1H)、2.50−2.24(m、2H)、2.05−1.92(m、1H)、1.82−1.79(m、1H)。
【0361】
実施例30 (R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−6−イル)ピコリノニトリル
【0362】
【化42】
【0363】
実施例28に記載されたものと同様の手順を使用し、工程cにおいて4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピコリノニトリル(CAS番号741709−62−6)を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.513分、MS:ES+349.5;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:9.06(d、J=1.2Hz、1H)、8.97(d、J=1.2Hz、1H)、8.91(d、J=4.0Hz、1H)、8.65(s、1H)、8.29(d、J=4.0Hz、1H)、3.97−3.83(m、2H)、3.50−3.45(m、1H)、3.30−3.29(m、1H)、2.50−2.29(m、2H)、2.01−1.98(m、1H)、1.82−1.79(m、1H)。
【0364】
実施例31(R)−4−(2−(1−シアノ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)ピコリノニトリル
【0365】
【化43】
【0366】
工程a.DCM(10ml)中の(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フルオロピペリジン−3−カルボン酸(1.000g、4.05mmol)の攪拌溶液に、塩化オキサリル(0.76ml、8.91mmol)及び触媒DMFF(0.044g、0.61mmol)を0℃で添加し、室温に温め、30分間撹拌した。反応塊を減圧下で濃縮し、THF:MeCN混合物(1:1、10ml)に溶解した。溶液を0℃に冷却した後、TMS−ジアゾメタン(ヘキサン中0.6M;23.5ml、14.1mmol)を窒素下で滴加した。反応塊を0℃で2.5時間撹拌し、続いて48%HBr水溶液(6.71ml、39.8mmol)を添加した。反応物を室温に温め、さらに10分間撹拌した。得られた反応混合物を水(50ml)に注ぎ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中6%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(2−ブロモアセチル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.627g、1.94mmol)を得た。LCMS:方法C、1.739分、MS:ES+324.4。
【0367】
工程b.エタノール(3ml)中の4−ブロモピリジン−2−アミン(CAS番号84249−14−9;0.214g、1.24mmol)撹拌溶液に、tert−ブチル(R)−3−(2−ブロモアセチル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.200g、0.62mmol)を室温で添加し、得られた混合物を100℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗塊を水(30ml)に注ぎ、EtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中28%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(7−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.165g、0.42mmol)を得た。LCMS:方法C、1.775分、MS:ES+398.4。
【0368】
工程c.DMF:水(4:1、5ml)中のtert−ブチル(R)−3−(7−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−3−フルオロ−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.150g、0.38mmol)撹拌溶液に、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピコリノニトリル(0.129g、0.57mmol)及びNaHCO3(0.095g、1.13mmol)を室温で添加した。反応塊を15分間脱気した後、PdCl2(dppf)(0.028g、0.04mmol)を添加し、得られた混合物を100℃に3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(25ml)に注ぎ、EtOAc(2×25ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン中100%EtOAc)により精製して、tert−ブチル(R)−3−(7−(2−シアノ−ピリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシレート(0.095g、0.23mmol)を得た。LCMS:方法C、1.719分、MS:ES+422.5。
【0369】
工程d及びe.実施例1の工程c及びdについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.180分、MS:ES+347.5(M+H+);1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ ppm:8.84(d、J=5.2Hz、1H)、8.31(d、J=6.8Hz、1H)、7.95(s、1H)、7.90(s、1H)、7.80(s、1H)、7.77(dd、J=5.2Hz、1.6Hz、1H)、7.13(dd、J=7.2Hz、1.6Hz、1H)、3.75−3.53(m、3H)、3.21(t、J=10.8Hz、1H)、2.36−2.24(m、3H)、1.80−1.76(m、1H)。
【0370】
本発明の化合物の生物活性
略記:
TAMRA カルボキシテトラメチルローダミン
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PBS リン酸緩衝生理食塩水
EDTA エチレンジアミン四酢酸
Tris 2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール
NP−40 NonidetP−40、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール
BSA ウシ血清アルブミン
PNS 末梢神経系
BH3 Bcl−2相同性ドメイン3
PTEN ホスファターゼ及びテンシンホモログ
【0371】
インビトロUSP30阻害アッセイ
USP30生化学反応速度論アッセイ。黒色の384ウェルプレート(small volume、Greiner784076)において、21μLの最終反応体積で、二つ組で反応を行った。USP30CD(57−517、#64−0057−050 Ubiquigent)を反応緩衝液(40mM Tris、pH7.5、0.005%Tween20、0.5mg/mlBSA、5mM β−メルカプトエタノール)中で0、0.005、0.01、0.05、0.1及び0.5μl/ウェルの当量に希釈した。緩衝液を、至適温度、pH、還元剤、塩、インキュベーション時間及び洗浄剤について最適化した。イソペプチド結合を介してユビキチンに結合した50nMのTAMRA標識ペプチドを蛍光偏光基質として添加することにより、反応を開始した。反応物を室温でインキュベートし、2分間毎に120分間読み取った。読み取りはPherastar Plus(BMG Labtech)で行った。λ励起光540nm;λ蛍光590nm。
【0372】
USP30生化学IC50アッセイ
希釈プレートを、96ウェルポリプロピレンV底プレート(Greiner#651201)において、50%DMSO中、最終濃度の21倍(100μMの最終濃度に対して2100μM)で調製した。典型的な8点希釈系列は、100、30、10、3、1、0.3、0.1、0.03μM最終であろう。黒色の384ウェルプレート(small volume、Greiner784076)において、21μLの最終反応体積で、二つ組で反応を行った。1μlの50%DMSO又は希釈化合物のいずれかをプレートに添加した。USP30を反応緩衝液(40mM Tris、pH7.5、0.005%Tween20、0.5mg/mlBSA、5mMβ−メルカプトエタノール)中で0.05μl/ウェルの当量に希釈し、10μLの希釈USP30を化合物に添加した。酵素及び化合物を30分間室温でインキュベートした。イソペプチド結合を介してユビキチンに結合した50nMのTAMRA標識ペプチドを蛍光偏光基質として添加することにより、反応を開始した。基質添加直後及び室温で2時間のインキュベーション後に反応を読み取った。読み取りはPherastar Plus(BMG Labtech)で行った。λ励起光540nm;λ蛍光590nm。
【0373】
USP30生化学IC50アッセイにおける例示化合物の活性
範囲:
0.01<A<0.1μM;
0.1<B<1μM;
1<C<10μM;
【0374】
【表4】
【国際調査報告】