(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-533314(P2019-533314A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】半導体ウエハの洗浄装置、および、洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20191018BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-522372(P2019-522372)
(86)(22)【出願日】2016年10月25日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】CN2016103151
(87)【国際公開番号】WO2018076152
(87)【国際公開日】20180503
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シー
(72)【発明者】
【氏名】チュ ヂェンミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーピン
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA03
5F157AA09
5F157AB14
5F157AB90
5F157BB11
5F157BB33
5F157BB42
5F157BB73
5F157CE07
5F157DA21
(57)【要約】
本発明によって提供される半導体ウエハ洗浄用の装置は、チャックと、超音波または高周波超音波装置と、アクチュエータと、少なくとも一つのディスペンサと、回転駆動機構とを備えている。前記チャックは前記半導体ウエハを保持する。前記アクチュエータは、前記超音波または高周波超音波装置を半導体ウエハ表面の上方位置まで駆動し、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成する。前記少なくとも一つのディスペンサから前記半導体ウエハの表面に洗浄液が噴射される。前記回転駆動機構は、前記チャックを駆動させて設定回転速度以下の回転速度で回転させることにより、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間に前記洗浄液が完全且つ継続的に充填され、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して前記半導体ウエハの表面全体に伝達する。本発明によれば、半導体ウエハの洗浄方法も提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを洗浄する装置であって、
前記半導体ウエハを保持するチャックと、
超音波または高周波超音波装置と、
前記超音波または高周波超音波装置を前記半導体ウエハ表面の上方位置まで駆動し、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成するアクチュエータと、
前記半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射する少なくとも一つのディスペンサと、
前記チャックを駆動させて設定回転速度以下の回転速度で回転させることにより、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間に前記洗浄液が完全且つ継続的に充填され、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して前記半導体ウエハの表面全体に伝達させる、回転駆動機構とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記半導体ウエハの表面は親水性であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのディスペンサは中央ディスペンサであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記回転駆動機構は、前記チャックを30rpm以下の回転速度で回転させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転駆動機構は、前記チャックを10〜30rpmの範囲の回転速度で回転させることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
サスペンションアームをさらに備え、前記超音波または高周波超音波装置は前記サスペンションアームの下面に配置されており、前記中央ディスペンサが前記サスペンションアームの先端に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記中央ディスペンサは半導体ウエハの中心の反対側で、前記半導体ウエハの中央部を僅かに越えた位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのディスペンサは、前記超音波または高周波超音波装置の側面に配置されるサイドディスペンサであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記回転駆動機構は、前記チャックを45rpm以下の回転速度で回転させることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記回転駆動機構は、前記チャックを10〜45rpmの範囲の回転速度で回転させることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記サイドディスペンサは、前記超音波または高周波超音波装置の前記側面に沿って一列に配置される複数の吐出口が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記超音波または高周波超音波装置を駆動して垂直移動させ、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間を変更する垂直アクチュエータをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記半導体ウエハを固定するための複数の位置決めピンを前記チャックに配置したことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
半導体ウエハを洗浄する装置であって、
チャックによって前記半導体ウエハを保持するステップと、
サイドディスペンサから前記半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射するステップと、
前記超音波または高周波超音波装置を駆動して前記半導体ウエハ表面の上方位置まで移動させ、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成するステップと、
前記チャックを駆動させて設定回転速度以下の回転速度で回転させることにより、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間に前記洗浄液が完全且つ継続的に充填され、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して前記半導体ウエハの表面全体に伝達するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記半導体ウエハの表面は親水性であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一つの中央ディスペンサから前記半導体ウエハの表面に前記洗浄液を噴射することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記チャックを駆動して30rpm以下の回転速度で回転させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャックを駆動して10〜30rpmの範囲の回転速度で回転させることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記中央ディスペンサは半導体ウエハの中心の反対側で、前記半導体ウエハの中央部を僅かに越えた位置に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一つのサイドディスペンサから前記半導体ウエハの表面に前記洗浄液を噴射することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記チャックを駆動して45rpm以下の回転速度で回転させることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記チャックを駆動して10〜45rpmの範囲の回転速度で回転させることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記サイドディスペンサは、前記超音波または高周波超音波装置の側面に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記サイドディスペンサは、前記超音波または高周波超音波装置の前記側面に沿って一列に配置される複数の吐出口が設けられていることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、半導体ウエハの洗浄装置および洗浄方法に関する。具体的には、半導体ウエハの洗浄用に超音波または高周波超音波装置を用い、半導体ウエハの回転速度を制御して設定回転速度以下にすることにより、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハとの間の隙間に洗浄液を完全且つ継続的に充填し、洗浄液を介して半導体ウエハに超音波または高周波超音波エネルギーを安定して伝達する一方、半導体ウエハのパターン構造に対する損傷を防止する洗浄装置および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの体積がより小さくなるなか、半導体洗浄技術における今日の課題は半導体ウエハ上のパターン構造の損傷を避けつつ、粒子除去率を向上するということである。超音波または高周波超音波洗浄技術の発展は、半導体装置の製造工程における洗浄の問題を解決し、単一の半導体ウエハの洗浄により多く適用され、粒子や異物をより効率的に除去することができる。高周波超音波装置を例に上げると、高周波超音波装置は一般的に、共振器と音響的に接続された圧電トランスデューサを備えている。圧電トランスデューサは、振動するように電気的に励起され、共振器は洗浄液に高周波音響エネルギーを伝達する。高周波超音波エネルギーによって洗浄液を撹拌することにより、半導体ウエハ上の粒子が緩められる。これによって、異物は半導体ウエハから振動により剥離され、ディスペンサから供給される洗浄液の流動によって前記半導体ウエハの表面から除去される。半導体ウェハを洗浄する際、半導体ウエハをチャックによって支持し、所定の回転速度でチャックと共に半導体ウエハを回転させる。ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射する。高周波超音波装置は、半導体ウエハ表面の上方位置に配置され、高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間に隙間が形成される。高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間の隙間に洗浄液が充填される。洗浄液を介して半導体ウエハの表面に高周波超音波エネルギーが伝達される。半導体装置の製造工程では、高周波超音波装置と半導体ウエハとの間の洗浄液がパターン構造の品質に影響を与えるのは明らかである。半導体ウエハの回転速度は、高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間の隙間への洗浄液の充填に影響を与える主な要素である。高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間の隙間に洗浄液が完全に充填されていない場合、半導体ウエハ表面への高周波超音波エネルギーの伝達が不安定となり、半導体ウエハのパターン構造が損傷する可能性がある。また、高周波超音波装置および半導体ウエハ表面との間の隙間への洗浄液の充填は、この他にも半導体ウエハの回転速度、半導体ウエハ表面上方の高周波超音波装置の位置、半導体ウエハ表面の特性(疎水性、親水性)等によっても影響されるため、高周波超音波装置および半導体ウエハ表面との間の隙間に洗浄液が完全に且つ継続的に充填されず、パターン構造が損傷する事態が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
従って、本発明の目的は、超音波または高周波超音波装置を用いて、半導体ウエハの回転速度を制御して設定回転速度以下にすることにより、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハとの間の隙間に洗浄液を完全且つ継続的に充填し、洗浄液を介して前記半導体ウエハの表面全体に超音波または高周波超音波エネルギーを安定して伝達する一方、超音波または高周波超音波エネルギーによって、半導体ウエハのパターン構造が損傷しないようにする半導体ウエハの洗浄装置および洗浄方法を提供することである。
【0004】
本発明の一実施形態において、半導体ウエハ洗浄装置は、チャックと、回転駆動機構と、超音波または高周波超音波装置と、アクチュエータと、少なくとも一つの中央ディスペンサとを備えている。前記チャックは前記半導体ウエハを保持する。前記回転駆動機構は、前記チャックを30rpm以下の回転速度で回転させる。前記アクチュエータは、前記超音波または高周波超音波装置を駆動して前記半導体ウエハ表面の上方位置まで移動させ、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成する。前記少なくとも一つの中央ディスペンサから前記半導体ウエハの表面に洗浄液が噴射される。前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間には、前記洗浄液が完全且つ継続的に充填され、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーが安定して前記半導体ウエハの表面全体に伝達される。
【0005】
本発明の別の実施形態において、半導体ウエハ洗浄装置は、チャックと、回転駆動機構と、超音波または高周波超音波装置と、アクチュエータと、サイドディスペンサとを備えている。前記チャックは前記半導体ウエハを保持する。前記回転駆動機構は、前記チャックを45rpm以下の回転速度で回転させる。前記アクチュエータは、前記超音波または高周波超音波装置を駆動して前記半導体ウエハ表面の上方位置まで移動させ、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成する。前記サイドディスペンサから前記半導体ウエハの表面に洗浄液が噴射される。前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間には、前記洗浄液が完全且つ継続的に充填され、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーが安定して前記半導体ウエハの表面全体に伝達される。
【0006】
本発明の一実施形態は半導体ウエハを洗浄する方法であって、チャックによって半導体ウエハを保持するステップと、少なくとも一つの中央ディスペンサから前記半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射するステップと、前記超音波または高周波超音波装置を駆動して前記半導体ウエハ表面の上方位置まで移動させ、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成するステップと、前記チャックを駆動させて30rpm以下の回転速度で回転させることにより、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間に前記洗浄液が完全且つ継続的に充填し、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して半導体ウエハの表面全体に伝達するステップとを備えている。
【0007】
本発明の別の実施形態は半導体ウエハを洗浄する方法であって、チャックによって前記半導体ウエハを保持するステップと、少なくとも一つのサイドディスペンサから前記半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射するステップと、前記超音波または高周波超音波装置を駆動して前記半導体ウエハ表面の上方位置まで移動させ、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間に隙間を形成するステップと、前記チャックを駆動させて45rpm以下の回転速度で回転させることにより、前記超音波または高周波超音波装置と前記半導体ウエハの表面との間の前記隙間に前記洗浄液を完全且つ継続的に充填し、前記洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して前記半導体ウエハの表面全体に伝達するステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の第一実施形態に係る半導体ウエハ洗浄用の装置を示す概略図である。
【
図1B】装置の超音波または高周波超音波装置および中央ディスペンサを用いた半導体ウエハの洗浄を示す上面図である。
【
図2】本発明の第二実施形態に係る装置の超音波または高周波超音波装置およびサイドディスペンサを用いた半導体ウエハの洗浄を示す上面図である。
【
図3A】半導体ウエハを高速(>30rpm)で回転させ、中央ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する間に、洗浄液でカバーされる領域がどのように変化するかを示す上面図である。
【
図3B】半導体ウエハを高速(>30rpm)で回転させ、中央ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する間に、洗浄液でカバーされる領域がどのように変化するかを示す上面図である。
【
図3C】半導体ウエハを高速で回転させている間に、洗浄液で覆われる領域がどのように変化するかを示す概略図である。
【
図3D】半導体ウエハを高速で回転させている間に、洗浄液で覆われる領域がどのように変化するかを示す概略図である。
【
図4】
図1Aおよび
図1Bに示す装置を用いた半導体ウエハの洗浄を示す概略図であって、半導体ウエハを低速で(10〜30rpm)で回転させて、中央ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する様子を示す図である。
【
図5】
図2に示す装置を用いた半導体ウエハの洗浄を示す概略図であって、半導体ウエハを低速で(10〜45rpm)で回転させて、サイドディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する様子を示す図である。
【
図6】
図2に示す装置を用いた半導体ウエハの洗浄を示す概略図であって、半導体ウエハを高速で(>45rpm)で回転させて、サイドディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する様子を示す図である。
【
図7】
図1Aおよび
図1Bに示す装置を用いた半導体ウエハの洗浄を示す概略図であって、半導体ウエハの表面が疎水性であり、半導体ウエハを低速で(10〜30rpm)で回転させて、中央ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する様子を示す図である。
【
図8】
図1Aおよび
図1Bに示す装置を用いた半導体ウエハの洗浄を示す概略図であって、半導体ウエハの表面が親水性であり、半導体ウエハを低速で(10〜30rpm)で回転させて、中央ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射して、半導体ウエハと超音波または高周波超音波装置との間の隙間に洗浄液を充填する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、
図1Aおよび
図1Bを参照して、本発明の第一実施形態による半導体ウエハ洗浄装置の一例を説明する。装置は半導体ウエハ105を保持するチャック106を備えている。チャック106には、半導体ウエハ105を固定する複数の位置決めピン107が配置されている。チャック106は回転駆動機構111に接続されている。回転駆動機構111は、チャック106を設定回転速度以下の回転速度で回転させる。回転速度は10〜3000rpmの範囲で設定される。半導体ウエハ105はチャック106に保持される。そして、半導体ウエハ105は、チャック106と同じ回転速度で、チャック106と共に回転する。装置はサスペンションアーム101を有している。超音波または高周波超音波装置は、サスペンションアーム101の下面に配置されている。超音波または高周波超音波装置は、共振器103と音響的に接続された圧電トランスデューサ102を備えている。超音波または高周波超音波装置を用いて半導体ウエハ105を洗浄する場合、超音波または高周波超音波装置を半導体ウエハ105の表面の上方に移動させ、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間に隙間を形成する。圧電トランスデューサ102は、電気によって振動を起こし、共振器103は洗浄液に高周波音響エネルギーを伝達する。超音波または高周波超音波エネルギーによって洗浄液を撹拌することにより、半導体ウエハ105上の粒子が緩められる。これによって、異物は半導体ウエハ105の表面から振動により隔離され、洗浄液104の流動によって半導体ウエハ105の表面から除去される。洗浄液104は、少なくとも一つの中央ディスペンサ108によって供給される。中央ディスペンサ108は、サスペンションアーム101の先端の位置に配置される。中央ディスペンサ108は半導体ウエハ105の中心の反対側で、半導体ウエハ105の中央部を僅かに越えた位置にあり、半導体ウエハ105の洗浄液104を噴射する。超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間に洗浄液104を完全且つ継続的に充填し、洗浄液104を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して半導体ウエハ105の表面全体に伝達させることにより、半導体ウエハ105のパターン構造が超音波または高周波超音波エネルギーによって損傷することを回避できる。特に半導体ウエハ105の縁部のパターン構造が超音波または高周波超音波エネルギーによって損傷することを回避できる。中央ディスペンサ108の数は、少なくとも一つまたはそれ以上である。中央ディスペンサ108は、半導体ウエハ105の表面に対して液体または気体の異なる化学物質を供給することができる。垂直アクチュエータ112は、サスペンションアーム101を上下駆動させて、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間を変更する。アクチュエータ113は、超音波または高周波超音波装置を駆動して半導体ウエハ105の表面の上方位置まで移動させる。
【0010】
図2を参照されたい。
図2は本発明の第二実施形態による半導体ウエハ洗浄装置の一例を示す上面図である。第二実施形態の装置は
図1に示す装置と類似するが、第二実施形態の装置には、装置の超音波または高周波超音波装置の横にサイドディスペンサ209が配置されている点で異なっている。本実施形態において、サイドディスペンサ209には、超音波または高周波超音波装置の側面に沿って一列に配置される複数の吐出口が設けられている。
【0011】
図3A〜
図3Dに示される実施形態で
図1Aおよび
図1Bに示す装置を用いて半導体ウエハ105を洗浄する場合、チャック106が複数の位置決めピン107によって半導体ウエハ105を保持して位置決めする。回転駆動機構111は、チャック106を30rpmより早い回転速度で回転させる。アクチュエータ113は、超音波または高周波超音波装置を駆動して半導体ウエハ105の表面の上方位置まで移動させる。垂直アクチュエータ112は、超音波または高周波超音波装置を駆動して垂直移動させて、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間を変更する。超音波または高周波超音波装置は、半導体ウエハ105の外縁をカバーする。中央ディスペンサ108から半導体ウエハ105の表面に洗浄液104が噴射される。回転駆動機構111は、チャック106を駆動して高い回転速度で回転させるが、これによって超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間、特に超音波または高周波超音波装置の端の部分に、洗浄液104を完全且つ継続的に充填することができない。洗浄工程において、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間に洗浄液104が完全に充填されるときと、充填されないときとが生じ、不安定となる。
図3Aおよび
図3Bは、半導体ウエハが高速で回転している間に、洗浄液によってカバーされる領域がどのように変化するかを示す上面図である。ゾーン1およびゾーン2には、洗浄液104が完全に充填されるときと、充填されないときとがある。場合によっては、
図3Aおよび
図3Cに示すように、ゾーン1およびゾーン2には洗浄液104が充填されないとき、または、完全には充填されないときがある。この場合、一方で、ゾーン3には洗浄液104が完全に充填される。しかし、場合によっては、
図3Bおよび
図3Dに示すように、ゾーン1およびゾーン2に洗浄液104が完全に充填され、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間全体に洗浄液104が完全に充填されることもある。すなわち、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間に気体と液体の相が交互に存在することになる。超音波または高周波超音波エネルギーは、気体相と液体相との境に集中する。エネルギーの集中によって生成される高い超音波または高周波超音波出力は、パターン構造に損傷を与える虞がある。また、ゾーン1およびゾーン2に洗浄液104が充填されない、または、ゾーン1およびゾーン2に洗浄液104が完全には充填されない場合、超音波または高周波超音波エネルギーが半導体ウエハ105の表面に伝達されない。一方で、ゾーン1およびゾーン2に洗浄液104が一旦完全に充填されると超音波または高周波超音波エネルギーが洗浄液104を介して半導体ウエハ105の表面に伝達される。これにより、半導体ウエハ105の表面に伝達される超音波または高周波超音波エネルギーの分布が不均一となる。また、不安定な液体の移動が乱流を引き起こし、これによって超音波または高周波超音波エネルギーの伝達がさらに不均一となる。
【0012】
上記問題を解決するために、
図4に示すように、チャック106の回転速度を30rpm以下の回転速度、好ましくは10〜30rpmの範囲に制御する。中央ディスペンサ108から半導体ウエハ105の表面に洗浄液104が噴射される。回転駆動機構111がチャック106を設定回転速度以下の回転速度で駆動回転させ、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間に洗浄液104が完全且つ継続的に充填されるので、超音波または高周波超音波エネルギーが安定して洗浄液104を介して半導体ウエハ105の表面全体に伝達され、半導体ウエハ105のパターン構造が損傷を受けることを回避できる。チャック106の回転速度を設定回転速度以下の回転速度となるように制御することによって、パターン構造への損傷を回避することができる。
【0013】
図5を参照して、
図2に示す装置を用いて半導体ウエハ205を洗浄する場合、チャック206が複数の位置決めピン207によって半導体ウエハ205を保持して位置決めする。回転駆動機構は、チャック206を45rpm以下の回転速度、好ましくは10〜45rpmの範囲で回転させる。アクチュエータは、超音波または高周波超音波装置を駆動して半導体ウエハ205の表面の上方位置まで移動させる。垂直アクチュエータは、サスペンションアーム201を駆動して超音波または高周波超音波装置を垂直移動させて、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ205の表面との間の隙間を変更する。超音波または高周波超音波装置の端部が、半導体ウエハ205の外縁をカバーすることが好ましい。サイドディスペンサ209から半導体ウエハ205の表面に洗浄液204が噴射される。回転駆動機構がチャック206を設定回転速度以下の回転速度で駆動回転させ、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ205の表面との間の隙間に洗浄液204が完全且つ継続的に充填されるので、超音波または高周波超音波エネルギーが安定して洗浄液204を介して半導体ウエハ205の表面全体に伝達され、半導体ウエハ205のパターン構造が超音波または高周波超音波エネルギーによって損傷を受けることを回避できる。チャック206の回転速度を設定回転速度以下の回転速度となるように制御することによって、パターン構造への損傷を回避することができる。
【0014】
図5に示す実施形態に対して、
図6に示す実施形態では、回転駆動機構が、チャック206を駆動して45rpmよりも高い回転速度で回転させている。これによって超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ205の表面との間の隙間、特に超音波または高周波超音波装置の端の部分に、洗浄液204が完全且つ継続的に充填されない。洗浄工程において、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ205の表面との間の隙間に洗浄液204が完全に充填されるときと、充填されないときとが生じ、不安定となる。超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ205の表面との間の隙間に気体と液体の相が交互に存在することになる。超音波または高周波超音波エネルギーは、気体相と液体相との境に集中する。エネルギーの集中によって生成される高い超音波または高周波超音波出力は、パターン構造に損傷を与える虞がある。また、隙間に洗浄液204が充填されない、または、隙間に洗浄液204が完全には充填されない場合、超音波または高周波超音波エネルギーが半導体ウエハ205の表面に伝達されない。一方で、隙間に洗浄液204が一旦完全に充填されると超音波または高周波超音波エネルギーが洗浄液204を介して半導体ウエハ205の表面に伝達される。これにより、半導体ウエハ205の表面に伝達される超音波または高周波超音波エネルギーの分布が不均一となる。また、不安定な液体の移動が乱流を引き起こし、これによって超音波または高周波超音波エネルギーの伝達がさらに不均一となる。
【0015】
図7に示される実施形態で
図1Aおよび
図1Bに示す装置を用いて半導体ウエハ105を洗浄する場合、チャック106が複数の位置決めピン107によって半導体ウエハ105を保持して位置決めする。回転駆動機構111は、チャック106を30rpm以下の回転速度、好ましくは10〜30rpmの範囲で回転させる。アクチュエータ113は、超音波または高周波超音波装置を駆動して半導体ウエハ105の表面の上方位置まで移動させる。垂直アクチュエータ112は、サスペンションアーム101を駆動して超音波または高周波超音波装置を垂直移動させて、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間を変更する。超音波または高周波超音波装置の端部が、半導体ウエハ105の外縁をカバーする。中央ディスペンサ108から半導体ウエハ105の表面に洗浄液104が噴射される。本実施形態において、半導体ウエハ105の表面は疎水性であり、これによって超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間、特に超音波または高周波超音波装置の端の部分に、洗浄液104が完全且つ継続的に充填されない。
【0016】
上記問題を解決するために、本発明は
図8に示す別の実施形態を提供する。本実施形態で
図1Aおよび
図1Bに示す装置を用いて半導体ウエハ105を洗浄する場合、チャック106が複数の位置決めピン107によって半導体ウエハ105を保持して位置決めする。回転駆動機構111は、チャック106を30rpm以下の回転速度、好ましくは10〜30rpmの範囲で回転させる。アクチュエータ113は、超音波または高周波超音波装置を駆動して半導体ウエハ105の表面の上方位置まで移動させる。垂直アクチュエータ112は、サスペンションアーム101を駆動して超音波または高周波超音波装置を垂直移動させて、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間を変更する。超音波または高周波超音波装置の端部が、半導体ウエハ105の外縁をカバーする。中央ディスペンサ108から半導体ウエハ105の表面に洗浄液104が噴射される。半導体ウエハ105の表面が親水性であり、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハ105の表面との間の隙間に洗浄液104が完全且つ継続的に充填されるので、超音波または高周波超音波エネルギーが安定して洗浄液104を介して半導体ウエハ105の表面全体に伝達され、半導体ウエハ105のパターン構造が超音波または高周波超音波エネルギーによって損傷を受けることを回避できる。
【0017】
上述したように、チャックの回転速度、超音波または高周波超音波装置の位置、ディスペンサの種類、半導体ウエハの表面特性が、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間の隙間への洗浄液の充填に影響する要因となる。特に、チャックを駆動させて設定回転速度以下の回転速度で回転させることにより、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間の隙間に洗浄液が確実に完全且つ継続的に充填され、洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して半導体ウエハの表面全体に伝達することができ、半導体ウエハのパターン構造に対する損傷を回避することができる。中央ディスペンサの場合、半導体ウエハ上のパターン構造が超音波または高周波超音波エネルギーによって損傷することを回避するために、チャックの回転速度は30rpm以下である。サイドディスペンサの場合、半導体ウエハ上のパターン構造が超音波または高周波超音波エネルギーによって損傷することを回避するために、チャックの回転速度は45rpm以下である。
【0018】
したがって、本発明が提供する半導体ウエハの洗浄方法は以下のステップを含んでいる。
【0019】
ステップ1:チャックによって半導体ウエハを保持し、
【0020】
ステップ2:サイドディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射し、
【0021】
ステップ3:超音波または高周波超音波装置を半導体ウエハ表面の上方位置まで駆動し、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間に隙間を形成し、
【0022】
ステップ4:チャックを駆動させて設定回転速度以下の回転速度で回転させることにより、超音波または高周波超音波装置と半導体ウエハの表面との間の隙間に前記洗浄液が完全且つ継続的に充填され、洗浄液を介して超音波または高周波超音波エネルギーを安定して半導体ウエハの表面全体に伝達する。
【0023】
一実施形態において、半導体ウエハの表面は親水性である。
【0024】
一実施形態において、少なくとも一つの中央ディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射する。チャックを駆動して30rpm以下の回転速度、好ましくは10〜30rpmの範囲で回転させる。中央ディスペンサは半導体ウエハの中心の反対側で、半導体ウエハの中央部を僅かに越えた位置にある。
【0025】
一実施形態において、少なくとも一つのサイドディスペンサから半導体ウエハの表面に洗浄液を噴射する。チャックを駆動して45rpm以下の回転速度、好ましくは10〜45rpmの範囲で回転させる。サイドディスペンサは、超音波または高周波超音波装置の側面に配置されている。サイドディスペンサは、超音波または高周波超音波装置の側面に沿って一列に配置される複数の吐出口が設けられている。
【0026】
本発明の前述の説明は、例示および説明のために提示されたものである。本発明の正確な開示として限定または網羅するものではなく、上記の教示内容に鑑みて多くの修正および変形が可能であることは自明である。当業者に自明な改変および変形は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】