特表2019-533901(P2019-533901A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-533901電磁波シールドフィルム及びその製造方法
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  • 特表2019533901-電磁波シールドフィルム及びその製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-533901(P2019-533901A)
(43)【公表日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】電磁波シールドフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20191025BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20191025BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20191025BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20191025BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20191025BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20191025BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20191025BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   H05K9/00 W
   H05K9/00 M
   B32B7/025
   B32B15/08 E
   B32B27/18 B
   B32B27/20 Z
   B05D1/36 Z
   B05D3/10 D
   B05D5/12 B
   B05D5/12 D
   B05D7/00 H
   B05D5/00 A
   B05D7/24 302U
   B05D7/24 303C
   B05D7/24 303E
   B05D7/24 303B
   C09J7/30
   C09J163/00
   C09J11/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-517791(P2019-517791)
(86)(22)【出願日】2018年6月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月27日
(86)【国際出願番号】CN2018092148
(87)【国際公開番号】WO2019052247
(87)【国際公開日】20190321
(31)【優先権主張番号】201710830858.4
(32)【優先日】2017年9月15日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519108833
【氏名又は名称】河南国安電子材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】崔 清臣
(72)【発明者】
【氏名】李 国法
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲雨▼娟
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J004
4J040
5E321
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075BB87X
4D075BB87Z
4D075CA07
4D075CA18
4D075CA22
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4D075DA06
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4D075DC19
4D075DC21
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4D075EB33
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4D075EC13
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5E321BB23
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5E321GG11
(57)【要約】
順に接続される離型フィルム、絶縁層、黒色絶縁シールド層、金属層、導電性接着剤層、保護フィルムを備える電磁波シールドフィルムにおいて、導電性接着剤層は、さらに、電磁波吸収剤を含み、電磁波吸収剤は、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフェライトの1種又は複数種の混合物であり、電磁波シールドフィルムは、離型剤を調製し、塗布プロセスにより離型フィルムを得るステップと、配合に従って絶縁層及び黒色絶縁シールド層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムにコーティングし、さらに絶縁層の他方の面に黒色絶縁シールド層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより、金属を黒色絶縁シールド層の他方の面にメッキして金属層を形成し、半製品を得るステップと、導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布し、導電性接着剤の他方の面に塗布プロセスにより保護フィルムを製造し、完成品を得るステップと、を含むことにより製造される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に接続された、離型フィルム(1)と、絶縁層(2)と、金属層 (4)と、導電性接着剤層(5)と、保護フィルム(6)とを備える、ことを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【請求項2】
前記離型フィルム及び保護フィルムは、非シリコーン系離型材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項3】
前記絶縁層と金属層との間には、黒色絶縁シールド層(3)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項4】
前記絶縁層及び黒色絶縁シールド層は、重量比で、絶縁樹脂15〜85%、硬化剤2〜18%、促進剤0.1〜12%、充填剤5〜40%、及び難燃剤8〜45%を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項5】
前記絶縁樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DCPD型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂の少なくとも1種であり、
前記硬化剤は無水フタル酸系硬化剤及びシアナミド系硬化剤の少なくとも1種であり、
前記促進剤は、イミダゾール系促進剤であり、
前記充填剤は水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム及びカーボンブラックの少なくとも1種であり、
前記難燃剤はリン系及び窒素系難燃剤の少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項4に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項6】
前記金属層は銅めっき層または銀めっき層である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項7】
前記導電性接着剤層は導電性粉末が添加されたエポキシ樹脂である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項8】
前記導電性接着剤層は、さらに、電磁波吸収剤を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項9】
前記導電性粉末は、銀コート銅粉、銅粉およびニッケル粉の1種または複数種の混合物であり、前記電磁波吸収剤は、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフェライトの1種または複数種の混合物である、ことを特徴とする請求項8に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法であって、
(1)離型剤を調製し、塗布プロセスにより離型フィルムを得るステップと、
(2)配合に従って絶縁層及び黒色絶縁シールド層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムにコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁シールド層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより金属を黒絶縁シールド層の他方の面にメッキして金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面に保護フィルムを製造し、完成品を得るステップと、
を含むことを特徴とする電磁波シールドフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドフィルム分野に関し、具体的には、電磁波シールドフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器の開発に伴い、電磁波シールドフィルムはますます応用が広がってきている。電磁波シールドフィルムは、EMI保護フィルム、または電磁波吸収材料とも呼ばれる。主に打ち抜き加工後、無接着剤銅張積層板または被覆フィルムに圧着することにより、内部回路において電磁干渉を低減または排除する役割を果たす。当該材料は、フレキシブルプリント配線板(FPC)産業において広く使われている。フレキシブルプリント配線板は、ポリイミド又はポリエステルフィルムを基材として製造した高信頼性を有する、優れた可とう性プリント配線板であり、ソフト板又はFPCと単に呼ばれ、配線高密度化、軽量、薄型、柔軟な外形設計などの利点を有し、従って、近年、電子通信、写真機器、プリンター、携帯電話、ポータブルコンピューター用の回路基板に広く使用されている。
【0003】
フレキシブルプリント配線板は、上記の多くの利点を有するとともに、重要な指標、即ち電磁シールドを持つ。その電磁シールドが適切に処理されないと、移動通信システムに適用される場合に、重大な電磁による干渉問題が生じて通信システムの動作に影響を及ぼす。電子電気製品の汎用性、小型化に伴い、ポータブル電子製品の数は急速に増加し、環境中の電磁気汚染もますます深刻化し、様々な機器の機能障害やシステムエラーを引き起こすだけでなく、人体にも悪影響を与え、伝統的な電磁シールド材料は、金属系であり、ある程度電磁波シールド効果を有するものの、高材料密度である、腐食しやすい、Xバンドの電磁波に対するシールド効果が低いなどの欠点を有し、そのため、電磁波シールドフィルムは、軽量、高いシールド性能、広いシールド帯域などが要求される。
【0004】
カーボンナノチューブは、1次元ナノ材料として、軽量で、接続完璧な六角形構造、良好な導電性、機械的特性および熱伝導性を有し、他の材料をマトリックスとしてカーボンナノチューブともに複合材料を製造すると、複合材料は、良好な強度、弾性、耐疲労性、等方性を示し、複合材料の性能に大幅な向上をもたらす。カーボンナノチューブは、小さいサイズ効果、表面効果、量子サイズ効果及び巨視的量子トンネル効果により、非常に有望な電磁波吸収剤になる。グラフェンは、高強度、優れた導電性及び熱伝導性を有する単分子層の二次元結晶であり、現在、最も理想的な二次元ナノ材料である。グラフェンは、優れた導電性、熱伝導性、機械的特性、低密度により、炭素系電磁波シールド材として用いられることができ、従来の材料に比べて、グラフェンは元の制限を打破でき、効果的な新規な電磁波吸収剤になり、電磁波吸収材料の“薄く、軽く、広く、強い”という要求を満たす。フェライトは、強磁性をもつ金属酸化物である。電気的特性は、フェライトの抵抗率は金属および合金磁性材料よりもはるかに大きく、また、誘電特性も高く、フェライトの磁気特性は、さらに、高周波領域で高い透磁率を示し、そのため、フェライトは、高周波、低電圧領域で広く使われている非金属磁性材料になり、一定および超低周波磁界の場合には、フェライトはシールド体として用いられることもでき、伝統的な電磁波吸収材料である。
【0005】
現在、フレキシブル基板によるシールドは、その表面にシールドフィルムを形成しなければならない。既存のシールド膜は単一の構造であり、電磁波反射効果しか有せず、電磁波吸収機能を持たないので、シールド効果が十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点を解決するために、本発明の目的の一つは電磁波シールドフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記電磁波シールドフィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0008】
順に接続された離型フィルム1、絶縁層2、金属層4、導電性接着剤層5、保護フィルム6を備える電磁波シールドフィルム。
【0009】
好ましくは、前記離型フィルム及び保護フィルムは、非シリコーン系離型材料であり、厚さが、20〜90μmである。
【0010】
好ましくは、前記絶縁層と金属層との間には、黒色絶縁シールド層3が設けられ、厚さが2〜7μm。
【0011】
より好ましくは、前記絶縁層及び黒色絶縁シールド層は、重量比で、絶縁樹脂5〜85%、硬化剤2〜18%、促進剤0.1〜12%、充填剤5〜40%及び難燃剤8〜45%を含む。
【0012】
さらに好ましくは、前記絶縁樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DCPD型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂の少なくとも1種である。
【0013】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、GelR28E(宏昌電子材料株式会社、エポキシ当量:185g/eq)、 GESR901(宏昌電子材料株式会社、エポキシ当量:475g/eq)、KET4131A70(Kolon,エポキシ当量:215.5g/eq)、jER1256(三菱化学株式会社、エポキシ当量:7800g/eq)、KEB− 3165(Kolon、エポキシ当量:220g/eq)を含み、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、NC−2000(日本化薬、エポキシ当量:280g/eq)を含み、DCPD型エポキシ樹脂は、XD−1000(日本化薬、エポキシ当量:253g/eq)、 HP7200(DIC corporation、エポキシ当量:275g/eq)を含み、ビフェニル型エポキシ樹脂は、NC−3000(日本化薬、エポキシ当量:280g/eq)を含む。
【0014】
さらに好ましくは、前記硬化剤は、無水フタル酸系硬化剤及びシアナミド系硬化剤の少なくとも1種である。
無水フタル酸系硬化剤は、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸を含み、シアナミド系硬化剤はジシアンアミドを含む。
【0015】
さらに好ましくは、前記充填剤は水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム及びカーボンブラックの少なくとも1種である。
【0016】
さらに好ましくは、前記促進剤はイミダゾール系促進剤であり、2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールを含む。
【0017】
さらに好ましくは、前記難燃剤は、リン系及び窒素系難燃剤の少なくとも1種であり、OP930 (Clariant Chemicals Ltd.)、PX−200(日本大八化学工業株式会社)、PA1(SOLVAY)、メラミンを含む。
【0018】
好ましくは、前記金属層は、銅めっき層または銀めっき層であり、厚さが10〜5000nmである。
【0019】
好ましくは、前記導電性接着剤層は、導電性粉末が添加されたエポキシ樹脂であり、前記導電性粉末は、銀コート銅粉、銅粉およびニッケル粉の1種以上の混合物であり、含有量は30〜80%である。
【0020】
より好ましくは、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DCPD型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含む。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、GelR28E(宏昌電子材料株式会社、エポキシ当量:185g/eq)、含有量3−18%であり、GESR901(宏昌電子材料株式会社、エポキシ当量: 475g/eq)、含有量5−20%であり、KET4131A70(Kolon、エポキシ当量:215.5g/eq)2−8%、jER1256(三菱化学株式会社、エポキシ当量:7800g/eq)、含有量3−10%であり、KEB−3165(Kolon、エポキシ当量:220g/eq)、含有量5−23%であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、NC−2000(日本化薬、エポキシ当量:280g/eq)、含有量3−16%であり、DCPD型 エポキシ樹脂は、XD−1000(日本化薬、エポキシ当量:253g/eq)、含有量2−9%であり、HP7200(DIC corporation、エポキシ当量:275g/eq)、含有量3−11%であり、ビフェニル型エポキシ樹脂有NC−3000(日本化薬、エポキシ当量:280g/eq)、含有量2−8%である。
【0021】
好ましくは、前記導電性接着剤層は厚さが3〜30μmである。
【0022】
より好ましくは、前記導電性接着剤層は、さらに電磁波吸収剤を含み、添加量は0.1〜5%である。
【0023】
さらに好ましくは、前記電磁波吸収剤は、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフェライトの1種または複数種の混合物である。
【0024】
好ましくは、前記電磁波シールドフィルムの製造方法は、
(1)離型フィルムを調製し、原料は、離型剤樹脂、硬化剤、溶媒を含み、前記離型剤樹脂は、非シリコーン系離型剤、例えば変性ポリオレフィン類、フッ素樹脂類を含み、硬化剤は、酸無水物系硬化剤であり、溶媒は、ブタノン及び酢酸エチルを含むステップと、
(2)絶縁樹脂、硬化剤、促進剤、充填剤及び難燃剤により絶縁層及び黒色絶縁シールド層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムにコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁シールド層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより金属を黒色絶縁シールド層の他方の面にメッキし金属層を形成し、半製品が得られ、前記絶縁層及び黒色絶縁シールド層は、重量比で、絶縁エポキシ樹脂15〜55%、酸無水物硬化剤2〜18%、イミダゾール系促進剤0.1〜12%、水酸化アルミニウム充填剤5〜40%及びリン系難燃剤8〜45%を含むステップと、
(3)エポキシ樹脂、導電性粉末及び電磁波吸収剤により導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面にシールドフィルムを製造し、完成品を得るステップと、を含む。
【0025】
好ましくは、前記離型フィルム、絶縁層、黒色絶縁シールド層、導電性接着剤層の塗布方法は、押出コーティング、ブレードコーティング、スクリーン印刷、アニロックスロール印刷、マイクログラビア印刷の1種又は複数種の組み合わせである。
好ましくは、前記電磁波シールドフィルムは、フレキシブルプリント配線板に適用する。
【0026】
本発明の導電性接着剤層は、接地及び電磁波吸収の役割を果たし、金属メッキ層は、電磁波反射の役割を果たす。
【0027】
本発明は、導電性接着剤に電磁波吸収剤を添加することにより、製造されたフレキシブルプリント配線板用電磁波シールドフィルムは、金属層の電磁波反射機能を持つだけでなく、電磁波吸収機能を持ち、電磁波シールドフィルムの電磁波シールド効果を向上させるとともに、導電性接着剤にナノ材料成分を添加するため、導電性接着剤の接着力、耐熱性、耐屈曲性が大幅に改善されている。
【発明の効果】
【0028】
本発明の有益な効果
1、本発明の製造プロセスは、実現しやすく、通常の産業処理技術(例えば塗布、めっきなど)によって実現することができ、産業上の普及及び応用に便利であること、
2、本発明が製造するフレキシブルプリント配線板用電磁波シールドフィルムは、金属層の電磁波反射機能を有するだけでなく、導電性接着剤の電磁波吸収機能を有し、シールドフィルムの電磁シールド効果を向上させること、
3、導電性接着剤にナノ材料成分を添加することにより、電磁シールド機能が向上することに加えて、導電性接着剤の接着力、耐熱性および耐屈曲性が大幅に改善されていること。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は本発明の構造概略図である。ここで、1は離型フィルム、2は絶縁層、3は黒色絶縁シールド層、4は金属層、5は導電性接着剤層、6は保護フィルム層である。
図2図2は本発明の製造フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施例1>
電磁波シールドフィルムは、その構造が図1に示され、製造プロセスが図2に示されるように、
(1)離型フィルムを調製し、原料は、離型剤樹脂45%、硬化剤5%、溶媒50%を含むステップと、
(2)絶縁樹脂23%、硬化剤4%、促進剤0.5%、充填剤8%及び難燃剤7.8%により絶縁層及び黒色絶縁層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより銅を黒色絶縁層の他方の面にメッキし、厚さが100nmの金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)エポキシ樹脂12%及び導電性粉末65%により導電性接着剤を調製し、導電性接着剤金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面にシールドフィルムを製造し、完成品を得てその性能を測定するステップと、を含む。
【0031】
<実施例2>
電磁波シールドフィルムは、原料及び製造方法が、以下のとおりである。
(1)離型フィルムを調製し、原料は、離型剤樹脂45%、硬化剤5%、溶媒50%を含むステップと、
(2)絶縁樹脂23%、硬化剤4%、促進剤0.5%、充填剤8%及び難燃剤7.8%により絶縁層及び黒色絶縁層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムにコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより銅を黒色絶縁層の他方の面にメッキし、厚さが200nmの金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)エポキシ樹脂12%、導電性粉末65%及びカーボンナノチューブ1%により導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面にシールドフィルムを製造し、完成品を得て、その性能を測定するステップと、を含む。
【0032】
<実施例3>
電磁波シールドフィルムは、原料及び製造方法が、以下のとおりである。
(1)離型フィルムを調製し、原料は離型剤樹脂40%、硬化剤3.8%、溶媒56.2%を含むステップと、
(2)絶縁樹脂30%、硬化剤6%、促進剤0.8%、充填剤5%及び難燃剤8%により絶縁層及び黒色絶縁層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムにコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより銅を黒色絶縁層の他方の面にメッキし、厚さが150nmの金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)エポキシ樹脂17%、導電性粉末55%及びグラフェン1%により導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面にシールドフィルムを製造し、完成品を得てその性能を測定するステップと、を含む。
【0033】
<実施例4>
電磁波シールドフィルムは、原料及び製造方法が、以下のとおりである。
(1)離型フィルムを調製し、原料は離型剤樹脂55%、硬化剤6%、溶媒39%を含むステップと、
(2)絶縁樹脂20%、硬化剤4%、促進剤0.5%、充填剤9%及び難燃剤11%により絶縁層及び黒色絶縁層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより銅を黒色絶縁層の他方の面にメッキし、厚さが180nmの金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)エポキシ樹脂20%及び導電性粉末60%及びフェライト1%により導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面にシールドフィルムを製造し、完成品を得てその性能を測定するステップと、を含む。
【0034】
<実施例5>
電磁波シールドフィルムは、原料及び製造方法が、以下のとおりである。
(1)離型フィルムを調製し、原料は離型剤樹脂45%、硬化剤5%、溶媒50%を含むステップと、
(2)絶縁樹脂20%、硬化剤4%、促進剤0.5%、充填剤9%及び難燃剤11により絶縁層及び黒色絶縁層を調製し、塗布プロセスにより絶縁層を離型フィルムにコーティングし、さらに、絶縁層の他方の面に黒色絶縁層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより銅を黒色絶縁層の他方の面にメッキし、厚さが200nmの金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)エポキシ樹脂12%、導電性粉末65%及びカーボンナノチューブ5%により導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面にシールドフィルムを製造し、完成品を得てその性能を測定するステップと、を含む。
【0035】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態であり、それに加えて、本発明は、他の形態で実施されてもよく、本発明の精神から逸脱することなく、何れかの明らかな取り替えは、本開示の範囲内にある。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2019年3月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に重ねられた、離型フィルム(1)と、絶縁層(2)と、金属層 (4)と、導電性接着剤層(5)と、保護フィルム(6)とを備える、ことを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【請求項2】
前記離型フィルム及び保護フィルムは、非シリコーン系離型材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項3】
前記絶縁層と金属層との間には、黒色絶縁シールド層(3)が設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項4】
前記絶縁層及び黒色絶縁シールド層は、重量比で、絶縁樹脂15〜85%、硬化剤2〜18%、促進剤0.1〜12%、充填剤5〜40%、及び難燃剤8〜45%を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項5】
前記絶縁樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DCPD型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂の少なくとも1種であり、
前記硬化剤は無水フタル酸系硬化剤及びシアナミド系硬化剤の少なくとも1種であり、
前記促進剤は、イミダゾール系促進剤であり、
前記充填剤は水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム及びカーボンブラックの少なくとも1種であり、
前記難燃剤はリン系及び窒素系難燃剤の少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項4に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項6】
前記金属層は銅めっき層または銀めっき層である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項7】
前記導電性接着剤層は導電性粉末が添加されたエポキシ樹脂である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項8】
前記導電性接着剤層は、さらに、電磁波吸収剤を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項9】
前記導電性粉末は、銀コート銅粉、銅粉およびニッケル粉の1種または複数種の混合物であり、前記電磁波吸収剤は、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフェライトの1種または複数種の混合物である、ことを特徴とする請求項8に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法であって、
(1)離型剤を調製し、塗布プロセスにより離型フィルムを得るステップと、
(2)絶縁層及び黒色絶縁シールド層を調製し、塗布プロセスにより前記絶縁層を前記離型フィルムにコーティングし、さらに、前記絶縁層の他方の面に黒色絶縁シールド層をコーティングし、その後、めっきプロセスにより金属を黒絶縁シールド層の他方の面にメッキして金属層を形成し、半製品を得るステップと、
(3)導電性接着剤を調製し、導電性接着剤を金属層に塗布するステップと、
(4)塗布プロセスにより導電性接着剤の他方の面に保護フィルムを製造し、完成品を得るステップと、
を含むことを特徴とする電磁波シールドフィルムの製造方法。
【国際調査報告】