特表2019-534417(P2019-534417A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-534417風力タービン及び風力タービンを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-534417(P2019-534417A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】風力タービン及び風力タービンを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20191101BHJP
【FI】
   F03D7/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-519369(P2019-519369)
(86)(22)【出願日】2017年10月25日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017077271
(87)【国際公開番号】WO2018091241
(87)【国際公開日】20180524
(31)【優先権主張番号】102016121978.9
(32)【優先日】2016年11月16日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メッシング ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ギンギル ウォイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ゼーベルク スヴェン
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB04
3H178BB42
3H178CC02
3H178DD31Z
3H178DD54X
3H178EE05
3H178EE07
3H178EE13
(57)【要約】
本発明は、風力発電設備であって、タワーと、可変のロータ速度で動作させることができ、調節可能なロータブレード角をそれぞれ有する一定数のロータブレードを有する空力ロータと、出力電力を生成する発電機と、を備えており、風力発電設備を動作させるために、ロータ速度と出力電力との間の関係を示す動作特性が規定され、ロータ速度に依存して動作特性に対応する態様で出力電力を設定するコントローラが設けられており、風力発電設備のシステム共振の励起が、該システム共振を励起する速度を除外することなく、最適電力動作特性に比べて低減されるように設計された低減トナリティ動作特性が、動作特性として、選択可能である、風力発電設備に関する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電設備(100)であって、
・タワー(102)と、
・可変のロータ速度(n)で動作させることができ、調節可能なロータブレード角(α)をそれぞれ有する一定数のロータブレード(108)を有する空力ロータ(106)と、
・出力電力を生成する発電機(Gen)と、
を備えており、
・前記風力発電設備(100)を動作させるために、前記ロータ速度(n)と前記出力電力(P)との間の関係を示す動作特性(200、202、204、300、302、304、306)が規定され、
・前記ロータ速度(n)に依存して前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)に対応する態様で前記出力電力(P)を設定するコントローラが設けられており、
・前記風力発電設備(100)のシステム共振の励起が、該システム共振を励起する速度(n)を除外することなく、最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)として、選択可能である、前記風力発電設備(100)。
【請求項2】
前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)が、少なくとも
・前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)と、
・風からの電力の取得が最大になるように設計された前記最適電力特性(200、300)と、
・前記風力発電設備(100)の音響放出が、特に該音響放出の音響パワー範囲が、前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減音響動作特性と、
から選択可能であることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置(100)。
【請求項3】
前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記風力発電設備(100)のシステム共振を励起するロータ速度(n)の共振速度範囲内において、これと同じ共振速度範囲内における最適電力動作特性(200、300)よりも低い出力電力(P)の値を有しており、
前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が前記共振速度範囲内においても安定している、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の風力発電設備(100)。
【請求項4】
前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記共振速度範囲内でさえも、連続的に微分可能であり、完全に単調上昇していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項5】
・前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、第1、第2及び第3のロータ速度範囲に分割でき、
・前記第1のロータ速度範囲が、前記風力発電設備(100)が始動されるときのロータ速度を表す始動速度から始まり、
・前記第2のロータ速度範囲が前記第1のロータ速度範囲よりも高い回転速度(n)を有しており、
・前記第3のロータ速度範囲が前記第2のロータ速度範囲よりも高い回転速度(n)を有しており且つ定格速度まで延びており、
・前記第2のロータ速度範囲が共振ロータ速度を含み、
・前記第2のロータ速度範囲内において、前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)の出力電力(P)が前記最適電力動作特性(200、300)の出力電力(P)よりも低く、
・前記第2のロータ速度範囲が特に前記共振速度範囲を含むか又はそれに対応している、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項6】
前記ロータブレード角(α)を、ピッチ特性(700、702、800、806)に対応する態様で、部分的負荷動作における前記生成出力電力に依存して、設定するピッチ制御を備えており、前記ピッチ特性(700、702、800、806)が、前記選択された動作特性(200、202、204、300、302、304、306)に依存して適合化でき、特に一定数のピッチ特性(700、702、800、806)から選択可能であり、特に専用のピッチ特性が、各々の動作特性に対して設けられている、ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項7】
・任意の又は前記ピッチ特性(700、702、800、806)が、第1、第2及び第3の出力電力範囲に分割でき、
・前記第1の出力電力範囲が、前記風力発電設備(100)が始動されるときの出力電力(P)に対応する発電機電力(P)から始まり、
・前記第2の出力電力範囲が、前記第1の出力電力範囲よりも高い出力電力(P)を有しており、
・前記第3の出力電力範囲が、前記第2の出力電力範囲よりも高い出力電力(P)を有しており、部分的負荷動作の最大出力電力(P)まで、あるいは、前記発電機(Gen)の定格電力まで延びており、
・前記低減トナリティ動作特性(202、306)を選択する際に、適合化されるピッチ特性(702、806)が規定され、
・前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、前記第1の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性(700、800)よりも大きいロータブレード角(α)を有している、及び/又は、
・前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、前記第2の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性(700、800)よりも大きいロータブレード角(α)を有している、及び/又は、前記適合化されるピッチ特性(806)が、前記第2の出力電力範囲内において、前記第1の出力電力範囲内においてよりも小さいロータブレード角(α)を有している、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項8】
少なくとも前記第2の出力電力範囲が前記第2のロータ速度範囲に対応していることを特徴とする、請求項7に記載の風力発電設備(100)。
【請求項9】
・前記第2の出力電力範囲が約4〜10m/sの風速範囲に対応している、及び/又は、
・前記第2のロータ速度範囲が前記ロータ(106)の定格速度の約20%〜80%の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項10】
少なくとも前記第2のロータ速度範囲内において、前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減された出力電力(P)の値を有しており、同じ範囲内において、前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、先端速度比(λ)を変化させることによって生じる電力係数の悪化を少なくとも部分的に打ち消すために、最適電力ピッチ特性(700、800)に比べて変更されたロータブレード角(α)を有しており、オプションとして、前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、前記第1の出力電力範囲内においても、前記最適電力ピッチ特性(700、800)に比べて変更されており、それによって、前記最適電力ピッチ特性(700、800)よりも大きいロータブレード角(α)を有している、ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項11】
始動風速から少なくとも前記定格風速の半分までの風速(V)の範囲内において前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を使用する場合、先端速度比(λ)が、特に−2未満の傾きで、前記定格風速に正規化された風速の場合、−2〜−10、望ましくは、−2〜−4の傾きで、風速の増加と共に完全に単調減少することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項12】
最適電力動作特性(200、300)を使用するときの先端速度比(λ)に対する前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を使用するときの先端速度比(λ)の比が1より大きいことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項13】
タワー(102)と、可変のロータ速度(n)で動作させることができ、調節可能なロータブレード角(α)をそれぞれ有する一定数のロータブレード(108)を有する空力ロータ(106)と、出力電力(P)を生成する発電機(Gen)と、を備えた風力発電設備(100)をパラメータ化する方法であって、
前記ロータ速度(n)と前記出力電力(P)との関係を示す最適電力動作特性(200、300)を決定するステップであり、前記最適電力動作特性(200、300)が、前記風力発電設備(100)がこの動作特性(200、300)に対応する態様で動作させられる限り、最大出力電力(P)を送り出すように選定される、該ステップと、
前記風力発電設備(100)のシステム共振を励起するロータ速度(n)を表す共振速度を記録するステップと、
前記共振速度(n)を囲むように共振速度範囲を設定するステップと、
前記共振速度範囲内において、前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低い出力電力(P)の値を有する低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を決定するステップであり、前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が前記共振速度範囲内においても安定している、該ステップと、
を備えた前記方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)がパラメータ化され、それによって、
・最適電力ピッチ特性(700、800)、
・適合化されるピッチ特性(702、806)、
・第1のロータ速度範囲、
・第2のロータ速度範囲、
・第3のロータ速度範囲、
・第1の出力電力範囲、
・第2の出力電力範囲、
・第3の出力電力範囲、及び、
・低減音響動作特性
を含むリストから少なくとも1つを設定することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記共振速度の前記記録が、特に10Hz〜100Hzの範囲内にある所定の検査周波数範囲内において、前記ロータ速度(n)を変化させて、前記風力発電設備(100)の付近で関連するトナリティを記録することによって実施され、前記トナリティが最大となる前記ロータ速度(n)が前記共振速度として使用されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記風力発電設備(100)の付近で記録される任意の又は前記トナリティが所定の制限値を下回る程度まで前記共振速度範囲内における特に前記共振速度における前記出力電力(P)が前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が決定され、特に、前記出力電力(P)を低減して前記トナリティを記録するプロセスが、前記トナリティが前記所定の制限値を下回るまで、繰り返されることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
タワー(102)と、可変のロータ速度(n)で動作させることができ、調節可能なロータブレード角(α)をそれぞれ有する一定数のロータブレード(108)を有する空力ロータ(106)と、出力電力(P)を生成する発電機(Gen)と、を備えた風力発電設備(100)を動作させる方法であって、
・前記ロータ速度(n)と前記出力電力(P)との間の関係を示す動作特性(200、202、204、300、302、304、306)が、前記風力発電設備(100)を動作させるために、規定され、
・前記出力電力(P)が、前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)に対応する態様で、前記ロータ速度に依存して設定され、
・前記風力発電設備(100)のシステム共振の励起が、該システム共振を励起する速度(n)を除外することなく、最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)として、選択可能である、前記方法。
【請求項18】
前記風力発電設備(100)が請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法によってパラメータ化されていること、及び/又は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)が使用されること、を特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
外部仕様又は時刻に依存して、
・前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を使用する前記風力発電設備(100)の動作と、
・風からの電力の取得が最大になるように設計された前記最適電力動作特性(200、300)を使用する前記風力発電設備(100)の動作と、
・前記風力発電設備(100)の音響放出が、特に該音響放出の音響パワー範囲が、前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減音響動作特性を使用する前記風力発電設備(100)の動作と、
の間で切り換えが実施されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法によってパラメータ化されていること、及び/又は、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法によって動作させられること、を特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電設備に関する。また、本発明は風力発電設備をパラメータ化する方法にも関し、更に、本発明は風力発電設備を動作させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備は周知であり、特に電力を電力供給網に送り込むために、風からその電力を生成している。環境に優しい発電という便益とは別に、風力発電設備は、状況によっては、迷惑になることもある。特に風力発電設備を人口密集地域の近くで動作させる場合、風力発電設備の動作の騒音が迷惑になることがある。
【0003】
特に風力発電設備のロータブレードにおける風の騒音は、様々な大音響の範囲の騒音になることがある。そのような範囲の騒音を低減し、それによって風力発電設備をより静かにするために、場合によっては、風力発電設備の回転速度を低下させることが提案されることがある。
【0004】
しかしながら、その他の音源もあり得る。具体的には、風力発電設備のタワー又はナセルにおける振動によっても、特に共振が励起されたときに、音が生成されることがある。そのような音又はそのように生成された音は、構造物由来音響(structure-borne sound)とも呼ばれることがある。この構造物由来音響による増大音響パワーレベルは、狭い周波数帯域内で発生することが多く、また、低周波数であることが多く、人間の耳には不快に感じられる。複数の周波数範囲内において、構造物由来音響として発せられるこの騒音は、それぞれの周波数帯域内におけるピークとして生じる。
【0005】
また、そのような構造物由来音響、特に周波数範囲内における上述のピークは、動作中に、風力発電設備を抑制することによって、低減できる。しかしながら、風力発電設備の動作を抑制する結果として、全体的な範囲が低減され、それによって構造物由来音響のピークがより優勢になることがある。この結果として、そのような構造物由来音響が人間の耳に更に一層大きく聞こえて、従って、更に一層不快なものになる。
【0006】
周波数範囲内における顕著なピークを有するそのような構造物由来音響は、トナリティ(tonality)とも呼ばれる。
【0007】
動作中の設備の既知の共振を排除する方法も知られている。特に、この目的のために、システム共振を励起する対応ロータ速度を排除する、あるいは、それらを可能な限り速やかに通過する閉ループ速度制御(closed-loop speed control)が実施されている。そのような方法についての1つの特有の問題は、設備を、排除されるべき速度範囲よりも低い速度で動作させるべきか、あるいは、高い速度で動作させるべきかについて決定を行う必要があることである。もし、その他の点で望ましい動作ポイントが、排除されるべき速度の範囲内にあれば、そのような決定は、より困難になることがあり、最悪の場合、次のより高い速度と次のより低い速度との間で頻繁に変わることがある。
【0008】
独国特許商標庁は、本出願に関する優先権出願において、次の先行技術文献を調査した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0164091号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0139244号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/139584号
【特許文献4】国際公開第2013/097863号
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明は、前述の問題のうちの少なくとも1つに対処する目的に基づいている。特に、そのような構造物由来音響の発生又は知覚を減少させることを意図している。少なくとも、これまでに知られている解決手段と比べても遜色のない代替の解決手段を提案することを意図している。
【0011】
本発明に従って、特許請求の範囲の請求項1に従う風力発電設備を提案する。これは、タワー、空力ロータ及び発電機を備えている。空力ロータは、一定数のロータブレードを備えているが、原理上は、1つでも十分であり、可変のロータ速度で動作させることができ、ロータブレードは、それらのロータブレード角について調節可能である。ロータブレード角は、一般的にピッチ角とも呼ばれており、ロータブレード角の調節は、一般的にピッチングとも呼ばれている。
【0012】
ロータ速度と出力電力との間の関係を示す動作特性が、風力発電設備を動作させるために、規定される。特に、風力発電設備は、そのような動作特性に依存して動作させられるが、その際、ロータ速度が確定されると、それに対応する出力電力が、その動作特性に従って設定される。このために、コントローラが、設けられており、出力電力をロータ速度に依存して動作特性に対応する態様で設定する。従って、この動作特性として、選択可能な低減トナリティ動作特性が設けられている。これは、トナリティが低減又は制限されるべきである時には常に、それに対応して選択される。
【0013】
この低減トナリティ動作特性は、風力発電設備のシステム共振の励起が最適電力用の動作特性に比べて低減されるように設計されている。しかしながら、この低減トナリティ動作特性は、この場合、このシステム共振を励起する速度を排除しないように形成されている。特に、この低減トナリティ動作特性は、連続特性である。
【0014】
従って、本発明に従えば、トナリティを低減又は制限するために、異なるが唐突ではない動作特性を選択することを提案する。
【0015】
望ましくは、動作特性は、低減トナリティ動作特性と最適電力動作特性と低減音響動作特性とから選択可能であることを提案する。最適電力動作特性は、この場合、風からの電力の取得が最大になるように設計された動作特性である。この最適電力動作特性は、特に音響の低減が原則的に必要ではない場合には常に、あるいは、騒がしい音響が予想されない所与の状況において、選択されてもよい。これは、例えば、風が風力発電設備からの音響を無人地域のみに運ぶ場合など、風向きにも依存し得る。
【0016】
低減音響動作特性は、風力発電設備の音響放出が一般的に最適電力動作特性に比べて低減されるように設計されている。特に、ここでは、この音響放出の音響パワー範囲が低減される。これとは対照的に、低減トナリティ動作特性については、具体的には、トナリティが低減される。これは、また、全体の騒音範囲が最適電力動作特性に比べて低減されないか、あるいは、少しだけしか低減されないことをも意味し得る。
【0017】
従って、この上述の動作特性相互間の選択によって、連続的動作又は連続的動作制御を確実にする一方で、風力発電設備をそれぞれの条件又は要件に容易に設定することが可能になる。
【0018】
一構成に従って、低減トナリティ動作特性が、共振速度範囲内において、これと同じ共振速度範囲内における最適電力動作特性よりも低い出力電力の値を有しており、低減トナリティ動作特性が共振速度範囲内においても安定している、ことを提案する。従って、共振速度範囲は、風力発電設備のシステム共振を励起するロータ速度が存在する範囲である。ここでは、低減トナリティ動作特性は、最適電力動作特性よりも少なくとも幾分平坦な形状を有している。
【0019】
両動作特性は、等価の回転速度を使用することもできるが、ロータ速度に依存して出力電力を示しており、低減トナリティ動作特性は、ここでは、それに対応して低くされている。少なくとも、低減トナリティ動作特性の共振速度における出力電力の値は、最適電力動作特性の場合よりも小さい。しかしながら、この場合、低減トナリティ動作特性は、共振速度範囲内においても安定している。従って、ここでは、出力電力の単独の値ではなく全体の範囲が最適電力動作特性の場合よりも低く、これは、低減トナリティ動作特性の少なくとも1つの値も最適電力動作特性の場合よりも低いことを意味している。このようにして、関係する速度範囲内において、電力が特に低減される点において、特にトナリティを考慮に入れることも可能である。従って、この速度で作用する力も全体的に低減され、それに対応してシステム共振の励起も低減される。
【0020】
風力発電設備は、原理上、一定数のシステム共振を有することもあるが、ここでは、1つのシステム共振が際立っており、この提案する対策は、このシステム共振があまり励起されないという効果を有していると仮定する。それにもかかわらず、風力発電設備は、この場合、安定した動作特性で動作させることができる。
【0021】
低減トナリティ動作特性は、共振速度範囲内でさえも、連続的に微分可能であり、完全に単調上昇していることが望ましい。従って、この動作特性は、導関数、即ち、ロータ速度に対する出力電力の導関数に基づいても安定している。更に、これは、完全に単調上昇しており、従って、出力電力は、ロータ速度が増加するに従って、下降する領域又は同じままである領域なしに、増加する。その結果、この動作特性もまた、低減トナリティ動作についての風力発電設備の制御に容易に使用できる。特に、水平になる、あるいは、下降さえもする動作特性の領域のせいで、実施すべき閉ループ制御にとって不確定な及び/又は不安定な範囲が生じることが回避される。
【0022】
別の一実施形態に従って、低減トナリティ動作特性が第1、第2及び第3のロータ速度範囲に分割できることを提案する。この場合、第1のロータ速度範囲は、風力発電設備が始動されるときのロータ速度を表す始動速度から始まる。第2のロータ速度範囲は、第1のロータ速度範囲よりも高い回転速度を有しており、従って、第1のロータ速度範囲の後に続く。第3のロータ速度範囲は、第2のロータ速度範囲よりも更に高い回転速度を有しており、定格速度まで延びている。この場合、第2のロータ速度範囲は、共振ロータ速度を含んでいる。従って、これらの3つのロータ速度範囲は、従って共振速度も、部分的負荷動作又は部分的負荷範囲内にある。従って、この部分的負荷動作は、第1のロータ速度範囲の始まりから第3のロータ速度範囲の終わりまでに及んでいる。従って、第2のロータ速度範囲はこの部分的負荷動作における中間範囲であり、共振速度はこの中間範囲内にある。従って、共振速度又は共振速度範囲は、システム共振が励起される回転速度又はその範囲である。
【0023】
更に、一実施形態に従って、第2のロータ速度範囲内において、低減トナリティ動作特性の出力電力が最適電力動作特性の出力電力よりも低いことを提案する。また、第2のロータ速度範囲が特に共振速度範囲を含むか又はそれに対応していることも提案する。
【0024】
望ましい一実施形態に従えば、風力発電設備は、ロータブレード角を、ピッチ特性に対応する態様で、部分的負荷動作における生成出力電力に依存して、設定するピッチ制御を備えていることを特徴とする。更に、ピッチ特性は、選択された動作特性に依存して一定数のピッチ特性から選択可能である。特に、専用のピッチ特性が各々の動作特性に対して設けられていることを提案する。
【0025】
ここでは、可変ピッチ角が部分的負荷動作においてさえも望ましいことが確認されている。従って、部分的負荷動作において、所定の一定の最適な角、即ち、固定の部分的負荷角は使用されず、その代わりに、可変ピッチ角が、それぞれの条件に対応する態様で設定される。
【0026】
また、選択される動作特性に依存して、即ち、特に低減トナリティ動作特性、低減音響動作特性又は最適電力動作特性のいずれが形成されるかに依存して、対応するピッチ特性が選択されることも確認されている。この場合、それぞれのピッチ特性は、それぞれの動作特性に適合するように構成されることが望ましい。これによって、風力発電設備の動作も、空気力学的に、それぞれの動作特性に、従って、それぞれの動作状況に、適合化されることが可能になる。
【0027】
速度に依存する出力電力を変更することによって、その結果として、例えば、最適電力動作特性に比べて異なるロータ速度、従って、異なる先端速度比が、同じ風の条件においてさえも生じ得ることが確認されている。このような変化、特に先端速度比の変化は、適合化されるピッチ特性において考慮される。
【0028】
一実施形態に従って、ピッチ特性が第1、第2及び第3の出力電力範囲に分割できることを提案する。この場合、第1の出力電力範囲は、風力発電設備が始動されるときの出力電力に対応する始動電力から始まる。第2の出力電力範囲は、その後に続き、それに対応して第1の出力電力範囲よりも高い出力電力を有している。第3の出力電力範囲は、第2の出力電力範囲よりも高い出力電力を有しており、部分的負荷動作の最大出力電力まで、あるいは、発電機の定格電力まで延びている。
【0029】
従って、風力発電設備も、部分的負荷動作におけるその動作態様において、3つの出力電力範囲に分割されることが望ましい。また、このようにして、種々の状況を考慮した特定の動作が、部分的負荷動作においてさえも可能である。このために、少なくともトナリティの低減を実施するために、部分的負荷動作における単一の一定のロータブレード角の使用が改善できることも確認されている。
【0030】
この点に関して、一実施形態に従って、低減トナリティ動作特性を選択する際に、低減トナリティピッチ特性とも呼ばれることがある適合化されるピッチ特性が規定されることも提案する。そのような適合化されるピッチ特性は、第1の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性よりも大きいロータブレード角を有していることが望ましい。この場合、最適電力ピッチ特性とは、最適電力動作特性に関して使用されることを提案する特性である。
【0031】
従って、ピッチ特性が、選択された動作特性に依存して適合化できることを提案する。従って、このために、適合化されるピッチ特性を提案する。風力発電設備のコントローラが、1つ又は複数の対応するピッチ特性を既に収めており、次に、これらが、選択された動作特性に従って、選択できることが望ましい。
【0032】
それに加えて、あるいは、その代わりに、この適合化されるピッチ特性、即ち、低減トナリティピッチ特性は、第2の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性よりも大きいロータブレード角を有している。
【0033】
この場合、適合化されるピッチ特性は、第2の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性よりも大きく、即ち、より大きいロータブレード角を有している。それに加えて、あるいは、その代わりに、この適合化されるピッチ特性は、第2の出力電力範囲内において、第1の出力電力範囲に比べてより小さいロータブレード角を有していてもよい。従って、このブレード角は、最適電力ピッチ特性に比べてより大きく、それに加えて、あるいは、その代わりに、第1の出力電力範囲に比べてより小さい。
【0034】
第2の出力電力範囲は、第2のロータ速度範囲に対応していることが望ましい。これは、特に、風力発電設備が、第2の出力電力範囲内において動作させられる時は常に、第2のロータ速度範囲内においても動作させられることを意味している。グラフの観点から述べると、これらの2つの範囲は同じ風速範囲をカバーしているが、分類用の風速は特に含まれていない。第1、第2及び第3の出力電力範囲は、それぞれ、第1、第2及び第3のロータ速度範囲に対応していることが望ましい。従って、個々の範囲に関して上述した説明は、それぞれ、ピッチ特性と動作特性とに等しく適用できる。特に、それぞれの第1、第2及び第3の範囲の相互間の切り換えは、ピッチ特性の場合と動作特性の場合の両方において等しく実施できる。
【0035】
代わりの形態に従えば、ピッチ角が同様にロータ速度に依存して設定され、それに対応して、ピッチ特性がそれぞれロータ速度に依存して規定される。ここでは、ピッチ特性については、動作特性の場合と同じロータ速度範囲が基準として使用されることを提案することが特に望ましい。
【0036】
別の一形態に従って、第2の出力電力範囲が毎秒約4〜10メートルの風速範囲に対応していることを提案する。従って、第2の出力電力範囲は、部分的負荷動作の大きな中間範囲に関係する。特性の有利な切り換えが、特にここで適用でき、始動風速の十分に後で、且つ、上向きの方向において、同様に、全負荷動作への移行の十分に前で、適用される。
【0037】
それに加えて、あるいは、その代わりに、第2のロータ速度範囲がロータの定格速度の約20%〜80%の範囲内にあることを提案する。また、このようにして、部分的負荷動作の大きな中間範囲がこの第2のロータ速度範囲に設けられることによって、上述の利点が得られる。ここでは、上側及び下側の制限範囲は必要ない。
【0038】
風力発電設備は、少なくとも第2のロータ速度範囲内において、低減トナリティ動作特性が最適電力動作特性に比べて低減された出力電力の値を有しており、同じ範囲内において、適合化されるピッチ特性が最適電力ピッチ特性に比べて変更されたロータブレード角を有していることを特徴とすることが望ましい。その結果、先端速度比を変化させることによって生じる電力係数の悪化が、少なくとも部分的に打ち消される。従って、適合化されるピッチ特性は、この先端速度比の変化を考慮に入れている。
【0039】
それに加えて、適合化されるピッチ特性は、第1の出力電力範囲内においても、最適電力ピッチ特性に比べて変更されており、それによって、このピッチ特性は、そこで、最適電力ピッチ特性よりも大きいロータブレード角を有していてもよい。
【0040】
ブレード角を大きくすることによって、特に空気力学の改善も達成できる。
【0041】
一実施形態に従って、始動風速から少なくとも定格風速の半分までの風速の範囲内において低減トナリティ動作特性を使用する場合、先端速度比が、風速の増加と共に完全に単調減少することを提案する。特に−2未満の傾きを提案する。従って、例えば、−3と−4の値も考えられる。一実施形態に従って、−10の値を提案する。これは、定格速度に正規化された風速に関係する。
【0042】
最適電力動作特性を使用するときの先端速度比に対する低減トナリティ動作特性を使用するときの先端速度比の比は1より大きいことが望ましい。従って、低減トナリティ動作特性を使用するときの先端速度比は、各々の場合において、最適電力動作特性を使用するときの対応する先端速度比よりも大きい。
【0043】
本発明に従って、風力発電設備をパラメータ化する方法も提案する。ここでも、タワーと空力ロータとを備えた風力発電設備を基準とする。空力ロータは、可変のロータ速度で動作させることができ、調節可能なロータブレード角をそれぞれ有する一定数のロータブレードを備えている。出力電力を生成する発電機も設けられている。
【0044】
パラメータ化のために、最初に、ロータ速度と出力電力との関係を示す最適電力動作特性が決定される。この場合、最適電力動作特性は、風力発電設備がこの動作特性に対応する態様で動作させられる限り、最大出力電力を送り出すように選定される。
【0045】
また、風力発電設備のシステム共振を励起するロータ速度を表す共振速度が記録される。ここでも、そのようなシステム共振は、タワー、ナセル又は風力発電設備のその他の構成要素の共振であってもよい。風力発電設備全体についての共振も考えられ、その場合、例えばタワーとナセルのように一定数の構成要素が、一緒になってシステム共振を決定する。
【0046】
また、低減トナリティ動作特性も決定され、これは、共振速度範囲内において、最適電力動作特性に比べて低い出力電力の値を有している。この場合、低減トナリティ動作特性は、共振速度範囲内においても安定しているように決定される。従って、実際には、単に、特に対象とする又は特に回避すべき単独の速度−電力値ではない低減トナリティ動作特性が決定される。
【0047】
この提案するパラメータ化の結果は、特に低減トナリティ動作特性の決定である。しかしながら、概して述べると、少なくとも2つの動作特性、具体的には、最適電力特性と低減速度特性とがパラメータ化される。次に、選択に従って、風力発電設備を、これら2つの動作特性のうちの少なくとも一方で、動作させることができる。例えば、いかなる場合においても、そのようなトナリティの励起が予想されないので、あるいは、風力発電設備の付近でそのようなトナリティによって誰もが騒がしいと感じないので、トナリティを低減するための要件が規定されていない場合は、風力発電設備を最適電力動作特性で動作させてもよい。ここでは、原理的に既知の動作特性も最適電力動作特性として使用されてもよい。この低減トナリティ動作特性は、トナリティを低減する必要がある時にのみ、使用されてもよい。しかしながら、風力発電設備を低減トナリティ動作特性で永続的に動作させることが望ましい。最適電力動作特性と低減トナリティ動作特性との間で、連続的に行ったり来たりして、切り換えることは、実際には意図していない。
【0048】
上述の実施形態の少なくとも1つに従う風力発電設備はパラメータ化されることが望ましい。この場合、次のリスト、即ち、
・最適電力ピッチ特性、
・適合化されるピッチ特性、
・第1のロータ速度範囲、
・第2のロータ速度範囲、
・第3のロータ速度範囲、
・第1の出力電力範囲、
・第2の出力電力範囲、
・第3の出力電力範囲、及び、
・低減音響動作特性
のうちの少なくとも1つの要素がパラメータ化される。
【0049】
これらの要素の全ては、風力発電設備の実施形態に関連して既に上述されており、風力発電設備の少なくとも1つの実施形態に関連して上述されていることが実現されるようにパラメータ化を正確に実施することを提案する。
【0050】
一実施形態に従って、共振速度の記録が、ロータ速度を変化させて、風力発電設備の付近で関連するトナリティを記録することによって実施されることを提案する。その際、トナリティが最大となるロータ速度が、共振速度として使用される。これは、10Hz〜100Hzの範囲内にある所定の検査周波数範囲内において、実施されることが望ましい。
【0051】
トナリティは、特に1つの周波数の優勢な騒音である。従って、全音響パワー範囲の音響パワーが記録されるわけではなく、具体的には、1つの周波数のそのような騒音の成分が観察される。1つの周波数のそのような騒音は、風力発電設備がこの騒音を発生するように励起される値をロータ速度が有するときに、特に著しく増大する。特に、これは、風力発電設備が、この風力発電設備の対応する動きによって、放出する構造物由来音響である。
【0052】
このようにして記録された共振速度に基づいて、低減トナリティ動作特性も決定できる。それに基づいて、次に、適合化されるピッチ特性を決定できる。そのような適合化されるピッチ特性は、少なくとも1つの低減トナリティ動作特性に割り当てることができるので、低減トナリティピッチ特性とも呼ばれることがある。
【0053】
風力発電設備の付近で記録されるトナリティが所定の制限値を下回る程度まで共振速度範囲内における特に共振速度における出力電力が最適電力動作特性に比べて低減されるように低減トナリティ動作特性が決定されることが望ましい。また、出力電力を低減してトナリティを記録するプロセスが、トナリティが所定の制限値を下回るまで、繰り返される又は連続的に実施されることが望ましい。
【0054】
従って、ここでもまた、1つの周波数の特定の騒音、具体的には、特に共振速度が上述の如く記録されている場合に、特にその共振速度で生じる騒音、が調べられる。従って、設備を共振速度で動作させて、この1つの周波数における騒音が所定の制限値を下回るまで電力を低減することが望ましい。次に、この共振速度において、このようにして求めた低い発電機速度値を有するように低減トナリティ動作特性を設計できる。しかしながら、この場合、この動作特性は、安定しており、特に連続的に微分可能であり、完全に単調上昇するように規定される。その結果、共振速度において低い電力値を有する動作特性が得られる。しかしながら、これは、結果として、同じ速度における最適電力動作特性の電力に比べて全体的に遥かに低い電力が生成されることを意味してはいない。むしろ、異なる動作点が確立される。完全に単調上昇する動作特性によって、より高い速度の動作点が得られる。尚、低減トナリティ動作特性に従う動作、即ち、ともかくトナリティを低減させることは、音響パワー範囲が増大されるか、あるいは、少なくとも低減されないことをも意味し得ることにも留意されたい。音響パワーレベルが低減される動作は、トナリティの増大か、あるいは、少なくとも低減なしを意味し得る。トナリティについて又は孤立した一周波数の騒音の知覚について、一周波数のそのような優勢な騒音の、残りの音響パワー範囲に対する比率は特に重要である。
【0055】
本発明に従って、風力発電設備を動作させる方法も提案する。ここでも、風力発電設備は、本発明に従って説明した風力発電設備に関連して既に上述したように、タワーと、空力ロータと、電力を生成するための発電機とを備えている。
【0056】
ロータ速度と出力電力との間の関係を示す動作特性が、風力発電設備を動作させるために、規定され、出力電力が、この動作特性に対応する態様で、ロータ速度に依存して設定される。この場合、この動作特性として、低減トナリティ動作特性を選択できる。これは、風力発電設備のシステム共振の励起が、このシステム共振を励起する速度を除外することなく、最適電力動作特性に比べて低減されるように設計される。特に、本発明に従う風力発電設備の上述の実施形態の説明によっても規定されるような態様で風力発電設備を動作させることを提案する。望ましくは、上述の一実施形態に従う風力発電設備が使用されることも提案する。
【0057】
望ましい一実施形態に従って、外部仕様又は時刻に依存して、低減トナリティ動作特性を使用する風力発電設備の動作と、風からの電力の取得が最大になるように設計された最適電力動作特性を使用する風力発電設備の動作と、風力発電設備の音響放出が、特に該音響放出の音響パワー範囲が、最適電力動作特性に比べて低減されるように設計された低減音響動作特性を使用する風力発電設備の動作と、の間で切り換えが実施されることを提案する。従って、最適電力動作と低減トナリティ動作と低減音響動作との間で選択することが可能である。この選択は、対応する動作特性を選択することによって行われる。ここでも、もう一度、強調すべき点として、低減トナリティ動作と、従って低減トナリティ動作特性とは、低減音響動作又は低減音響動作特性と基本的に異なる。
【0058】
更に、新たな風力発電設備を最も基本的に提案するが、これは、上述の風力発電設備の少なくとも1つの実施形態に準拠しており、且つ、パラメータ化を説明した一実施形態に従ってパラメータ化されており、それに加えて、あるいは、その代わりに、本明細書に記載の一実施形態に従う方法によって動作させられる。
【0059】
次に、添付図面を参照して、本発明を実施形態に基づいて例として以下更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】風力発電設備を斜視図で示す図である。
図2】相異なる動作特性についてのグラフを示す図である。
図3】相異なる動作特性についてのグラフを示す図である。
図4】先端速度比の相異なる推移についてのグラフを示す図である。
図5】先端速度比の相異なる推移についてのグラフを示す図である。
図6】相異なる電力係数の推移についてのグラフを示す図である。
図7】相異なるピッチ特性についてのグラフを示す図である。
図8】相異なるピッチ特性についてのグラフを示す図である。
図9】音響パワーレベルのグラフを概略的に示す図である。
図10】本発明の一実施形態に従う閉ループ制御を実施するための制御構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、タワー102とナセル104とを備えた風力発電設備100を示している。3つのロータブレード108とスピナ110とを備えたロータ106が、ナセル104に配置されている。ロータ106は、動作時に、風によって回転運動させられ、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0062】
本発明に従えば、風力発電設備の動作中に、ロータブレードの周りの気流によって生じる音だけではなく、おそらくはタワー又はナセル又はその他の構成要素における振動によっても、特に共振の場合に、音が生じることが確認されている。この構造物由来音による増大音響パワーレベルは、狭い周波数帯域内で発生することが多く、また、低周波数であることが多く、人間の耳には不快に感じられる。複数の周波数範囲内において、構造物由来音によって励起されるこの騒音は、それぞれの周波数帯域内におけるピークとして生じて、風力発電設備の放音評価においてトナリティ許容値として考慮に入れられる。
【0063】
図9は、そのような周波数範囲を例示している。この図では、周波数fに依存する音響パワーレベルLがグラフとして概略的に描かれている。1つの音響パワーレベルが、音響パワーレベルLとして実線で概略的に表されている。説明の目的で、比較的に実質的に低減された音響パワーレベルLと全体的に増大された音響パワーレベルLとが、同様に概略的に描かれている。
【0064】
共振周波数fにおいて、トナリティを示すピークLがある。理解すべき点として、低減された音響パワーレベルLの場合のように、全体の音響パワーレベルが低減された場合に、このピークLは更により明確に現れる。逆に、ピークの優位性は、増大された音響パワーレベルLについては、減少することがある。
【0065】
従って、本発明に従えば、共振の発生とその結果として生じるトナリティとが、動作特性の巧みな選択によって、即ち、発電機速度に依存して出力電力を規定することによって、最小化できることが確認されている。共振とそれに伴うトナリティとが発電機によって引き起こされる場合、そのトナリティは、動作特性の適合化によって、特に効果的に最小化できる。
【0066】
これについて、図2は、動作特性の変化を例として示している。ここでは、図2は、3つの相異なる動作特性、即ち、風力発電設備の出力電力Pとロータ速度nとの間の関数の関係を示している。最適電力動作特性200とは別に、2つの低減トナリティ特性202と204も示されている。従って、この最適電力特性は、設備のトナリティが生じていない場合又は低減されるべきトナリティがない場合に、設備がどのように最適電力動作モードで動作させられるかを表しており、従って、先行技術の特性に対応している。
【0067】
設備にトナリティが生じて低減される必要がある場合には、この2つの低減トナリティ動作特性202と204を提案する。基準とした風力発電設備の場合に、特に0.8の範囲内の正規化回転速度において励起された周波数範囲内にピークの形態の増大音響パワーレベルがあった。従って、ここでは、この0.8の正規化回転速度は任意の又は特定の共振速度である。
【0068】
従って、このトナリティを回避するために、この速度範囲内における発電機の電力の取り込みを低減することを提案する。これには、2つの低減トナリティ動作特性202と204を使用できる。低減トナリティ動作特性202と204によって、共に、電力が、0.8の正規化共振速度において、最適電力動作特性に比べて40パーセントよりも多く低減されるという効果が得られる。この場合、2つの低減トナリティ動作特性202と204は、構造的に相異なる。低減トナリティ動作特性204は、最初から最適電力特性の場合よりも低い電力を既に提供しており、他方の低減トナリティ特性202は、初めは低回転速度において最適電力特性200と一致している。しかしながら、いずれにしても、両低減トナリティ動作特性202と204は、連続的な推移を有する動作特性であり、共振速度の範囲内でさえも安定しており、連続的に微分可能であり、その他でも完全に単調上昇している。従って、基本的には、低減トナリティ特性202と204は、動作特性200と非常によく似た態様における動作制御又は設備制御についての基準とすることができる。
【0069】
図3は、単に図2と比較すべき別の一例を示している。図3のグラフの場合、クリティカルな正規化速度範囲もまた約0.8にある。ここでも、最適電力動作特性300が示されており、また、3つの低減トナリティ動作特性302、304及び306も示されている。これらの低減トナリティ動作特性302、304及び306と図2のものとは、全て、本発明に従う低減トナリティ動作特性の例である。
【0070】
これらの3つの低減トナリティ動作特性302、304及び306によっても、ここでは0.8である正規化共振速度において、電力が最適電力動作特性に比べて約半分に低減されるという効果が得られる。しかしながら、本発明に従えば、トナリティの発生は、特に図2図3に関連して本明細書に記載される手順によって、回避できる又は低減できるけれども、動作特性の適合化は、ロータブレードの最適な先端速度比の範囲が、具体的には、より高い先端速度比を優先して、放棄されることを意味していることも確認されている。これを図4図5の2つの例によって説明する。
【0071】
具体的には、提案された低減トナリティ動作特性の場合、ロータブレードは、同じ風速で以前よりも速く回転し、即ち、それぞれ示された最適電力動作特性を使用する場合よりも速く回転する。この点において、ロータブレード面内における軸方向誘導(axial induction)が増大し、それによって一般的に電力係数が低減されることが確認されている。従って、最初に、更なる解決手段の提案がなければ、図2図3において説明されたトナリティの回避又は低減は、結果として風力発電設備の生産力の損失を招く可能性があることが確認されている。
【0072】
図4図5は、それぞれ、ピッチ特性の適合化が行われていない時の図2図3の対応する動作特性に対する先端速度比の推移を原理的に示している。この場合、推移400、402及び404は、図2の動作特性200、202及び204についての先端速度比λに対応している。図4では、いくつかの測定点を有する特性も表されており、この特性は、測定値を示しており、従って、計算又はシミュレートされるその他の推移を裏づけている。図5では、先端速度比の推移500、502、504及び506が、それぞれ、図3の動作特性300、302、304及び306に対応している。図4図5の両方において、最適先端速度比範囲λOPTも表されている。最適電力動作特性に属さない先端速度比の推移は、大部分が最適先端速度比範囲内にないことは明らかである。従って、この程度まで、風力発電設備が最適に稼働していないことが確認されており、この点に関しての改善措置を提案する。
【0073】
図2の場合について、電力係数cのそのような損失が図6に表されている。c値の推移600、602及び604は、それぞれ、図2の動作特性200、202及び204に対応している。最適C値CP_OPTが示されており、低減トナリティ動作特性604について、著しく低減されるc値が、少なくともより低い風速Vについて設定されていることは明らかである。低減トナリティ動作特性202も、c値について、より悪い推移602をもたらす。その他、c値についての測定値c図6に示されている。
【0074】
従って、毎秒約10メートルの風速までの電力係数のある程度顕著な低下が、各々の場合において観察できる。従って、この生産量の損失を部分的に又は完全に補償するために、動作特性に加えてピッチ特性も修正することも提案する。従って、動作特性の変更と共に、ピッチ特性の変更も行われることが重要な態様であることも確認されている。ピッチ特性とは、設備コントローラに記憶されている、出力電力Pelとロータブレードのピッチ角との間の関係を指すのに使用される用語である。出力電力として見なされるのは、設備が実際に送り出して電力供給網に供給できる電力である。この出力電力を記録する、例えば、DCリンクについてのフルコンバータの概念が用いられる場合にDCリンクからそれを特定する、様々な考えられる実行可能な手段がある。しかしながら、風力発電設備の出力端子における電流電圧測定も考えられる。その場合、この出力電力は、同義的に設備電力とも呼べる。
【0075】
従って、次に、本発明に従う特性を用いた動作中の先端速度比の引き上げの際に風力発電設備の生産量の予想される損失を回避するために、ピッチ特性を適合化することを提案する。従って、本発明にとって、少なくとも1つの実施形態について、新規な動作特性と新規なピッチ特性とを提案すること、具体的には、特に、低減トナリティ動作特性と、低減トナリティピッチ特性とも呼べる、その低減トナリティ動作特性に適合化されたピッチ特性と、を提案することが重要である。
【0076】
図7及び図8は、それぞれ、図2及び図3に従う最適電力動作特性200及び300についてのピッチ特性700及び800と、それぞれの低減トナリティ動作特性202又は306に割り当てられた適合化ピッチ特性702及び806と、を示している。各々の場合に、部分的負荷角αが示されており、これは、部分的負荷動作中のブレード角として通常の最適電力動作に使用されるブレード角を示している。
【0077】
図7において、この場合、最小ピッチ角が部分的負荷角αに比べて引き上げられていることは明らかである。これによって、提案された低減トナリティ動作特性による生産量の損失を補償することが可能になっている。この点に関して、図6において、電力係数606の推移について、この措置によって、即ち、ブレード角702を変更することによって、電力係数を改善することが可能になっていることは明らかである。従って、電力係数のこの変更推移606は、最適電力動作特性についての電力係数の推移600と殆ど変わらない。
【0078】
図8は、この場合、ブレード角の推移806と、生産量の損失を回避するために最適電力動作特性のピッチ角の推移が幾分より複雑な形で修正されているピッチ特性と、を示している。最小ピッチ角は、約6m/sまで引き上げられて、次に約8m/sで再び部分的負荷角αに低減される。
【0079】
図7図8は、風速Vに依存するブレード角の推移を示している。しかしながら、実用的な実施のために、ピッチ特性を記憶することを提案する。ここで、ブレード角は、特にロータ速度に依存してもよく、それに依存するように設定されてもよい。ロータ速度は、例えば、風力発電設備のそれぞれの動作点を記録するための良い基準であり、それに対応してブレード角を選択できる。その結果、ブレード角が、具体的には図7又は図8に表されているように、風速に依存するように設定される。しかしながら、風速を、少なくとも排他的には、このための基準とはしない。
【0080】
図10は、実行可能な実施形態を例示している。そこには、動作特性O1、O2及びO3が記憶されており、外部信号extがそれらの切り換えに使用できる。これらの動作特性O1、O2及びO3の入力変数が回転速度nによって形成されて、電力Pが出力値として得られる。次に、この電力Pは発電機に設定されることになる。1つの実行可能な態様は、ブロックIによって示された励起電流を変えることによって、少なくとも部分的に、これを実行することである。その得られた励起電流Iは、少なくとも発電機が他励同期機(separately excited synchronous machine)である場合には、常時、発電機Genのロータに直接送ることができる。しかしながら、例えば発電機のステータ電流に影響を及ぼすなどのその他の考えられる実行可能な態様もある。
【0081】
また、3つのピッチ特性P1、P2及びP3も記憶されており、それらの間で同様に選択を行うことができる。図10の表現は、同じ外部信号extがピッチ特性相互間の対応する選択にも使用されることを示すことを意図している。この場合、その選択は、ピッチ特性P1、P2及びP3が、それぞれ、動作特性O1、O2又はO3に割り当てられ、従って、動作特性O1がピッチ特性P1と共に運用又は使用され、動作特性O2がピッチ特性P2と共に運用又は使用され、及び、動作特性O3がピッチ特性P3と共に運用又は使用されるように行われる。ここで、動作特性O1は最適電力動作特性を表していてもよく、動作特性O2は低減トナリティ動作特性を表していてもよい。動作特性O3は、例えば、低減音響動作特性、又は、代替の、即ち、別の低減トナリティ動作特性を表していてもよい。
【0082】
図10の構造は、動作特性O1、O2及びO3が、入力変数として、電力Pを受信することを示している。電力Pは、3つのピッチ特性P1、P2及びP3のうちの各1つのピッチ特性の出力を形成しており、ここでは説明を簡単にするために使用されている。これは、ここでは、風力発電設備の出力電力の使用を例示することを意図している。対応して適合化されるピッチ特性について、電力Pの代わりに、ほんの一例を挙げると、ロータ速度又は同等の回転速度が、特にギアメカニズムを使用する場合に、使用されてもよいが、これは、空力ロータのロータ速度が使用されるか、あるいは、発電機速度が使用されるかに、結局、差がある場合には、通常、回避した方がよい。いずれにしても、ピッチ特性P1、P2及びP3の出力値は、ブレード角αである。これは、いずれの場合にも、ここではモータMとして示されている調節用モータに送ることができ、次に、このモータMは、ロータブレードBのそれぞれのブレード角を設定する。
【0083】
安定した動作を保証するために、一方におけるそれぞれの動作特性による発電機の電力設定と、他方における対応するピッチ特性によるブレード角の調節との間で異なる動的特性を設定することが有効な場合もある。図10に例示された構造の場合、特に励起電流を調節するための駆動要素Iの使用は、発電機の電力の調節が既にブレード調節よりも遥かに早くなるという効果を有するはずであり、その結果、既に異なる動的特性(dynamics)があり、従って、制御の安定性が既にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2019年7月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電設備(100)であって、
・タワー(102)と、
・可変のロータ速度(n)で動作させることができ、調節可能なロータブレード角(α)をそれぞれ有する一定数のロータブレード(108)を有する空力ロータ(106)と、
・出力電力を生成する発電機(Gen)と、
を備えており、
・前記風力発電設備(100)を動作させるために、前記ロータ速度(n)と前記出力電力(P)との間の関係を示す動作特性(200、202、204、300、302、304、306)が規定され、
・前記ロータ速度(n)に依存して前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)に対応する態様で前記出力電力(P)を設定するコントローラが設けられており、
・前記風力発電設備(100)のシステム共振の励起が、該システム共振を励起する速度(n)を除外することなく、最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)として、選択可能である、前記風力発電設備(100)。
【請求項2】
前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)が、少なくとも
・前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)と、
・風からの電力の取得が最大になるように設計された前記最適電力特性(200、300)と、
・前記風力発電設備(100)の音響放出が、特に該音響放出の音響パワー範囲が、前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減音響動作特性と、
から選択可能であることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電設備(100)。
【請求項3】
前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記風力発電設備(100)のシステム共振を励起するロータ速度(n)の共振速度範囲内において、これと同じ共振速度範囲内における最適電力動作特性(200、300)よりも低い出力電力(P)の値を有しており、
前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が前記共振速度範囲内においても安定している、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の風力発電設備(100)。
【請求項4】
前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記共振速度範囲内でさえも、連続的に微分可能であり、完全に単調上昇していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項5】
・前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、第1、第2及び第3のロータ速度範囲に分割でき、
・前記第1のロータ速度範囲が、前記風力発電設備(100)が始動されるときのロータ速度を表す始動速度から始まり、
・前記第2のロータ速度範囲が前記第1のロータ速度範囲よりも高い回転速度(n)を有しており、
・前記第3のロータ速度範囲が前記第2のロータ速度範囲よりも高い回転速度(n)を有しており且つ定格速度まで延びており、
・前記第2のロータ速度範囲が共振ロータ速度を含み、
・前記第2のロータ速度範囲内において、前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)の出力電力(P)が前記最適電力動作特性(200、300)の出力電力(P)よりも低く、
・前記第2のロータ速度範囲が特に前記共振速度範囲を含むか又はそれに対応している、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項6】
前記ロータブレード角(α)を、ピッチ特性(700、702、800、806)に対応する態様で、部分的負荷動作における前記生成出力電力に依存して、設定するピッチ制御を備えており、前記ピッチ特性(700、702、800、806)が、前記選択された動作特性(200、202、204、300、302、304、306)に依存して適合化でき、特に一定数のピッチ特性(700、702、800、806)から選択可能であり、特に専用のピッチ特性が、各々の動作特性に対して設けられている、ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項7】
・任意の又は前記ピッチ特性(700、702、800、806)が、第1、第2及び第3の出力電力範囲に分割でき、
・前記第1の出力電力範囲が、前記風力発電設備(100)が始動されるときの出力電力(P)に対応する発電機電力(P)から始まり、
・前記第2の出力電力範囲が、前記第1の出力電力範囲よりも高い出力電力(P)を有しており、
・前記第3の出力電力範囲が、前記第2の出力電力範囲よりも高い出力電力(P)を有しており、部分的負荷動作の最大出力電力(P)まで、あるいは、前記発電機(Gen)の定格電力まで延びており、
・前記低減トナリティ動作特性(202、306)を選択する際に、適合化されるピッチ特性(702、806)が規定され、
・前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、前記第1の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性(700、800)よりも大きいロータブレード角(α)を有している、及び/又は、
・前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、前記第2の出力電力範囲内において、これと同じ出力電力範囲内における最適電力ピッチ特性(700、800)よりも大きいロータブレード角(α)を有している、及び/又は、前記適合化されるピッチ特性(806)が、前記第2の出力電力範囲内において、前記第1の出力電力範囲内においてよりも小さいロータブレード角(α)を有している、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項8】
少なくとも前記第2の出力電力範囲が前記第2のロータ速度範囲に対応していることを特徴とする、請求項7に記載の風力発電設備(100)。
【請求項9】
・前記第2の出力電力範囲が約4〜10m/sの風速範囲に対応している、及び/又は、
・前記第2のロータ速度範囲が前記ロータ(106)の定格速度の約20%〜80%の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項10】
少なくとも前記第2のロータ速度範囲内において、前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減された出力電力(P)の値を有しており、同じ範囲内において、前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、先端速度比(λ)を変化させることによって生じる電力係数の悪化を少なくとも部分的に打ち消すために、最適電力ピッチ特性(700、800)に比べて変更されたロータブレード角(α)を有しており、オプションとして、前記適合化されるピッチ特性(702、806)が、前記第1の出力電力範囲内においても、前記最適電力ピッチ特性(700、800)に比べて変更されており、それによって、前記最適電力ピッチ特性(700、800)よりも大きいロータブレード角(α)を有している、ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項11】
始動風速から少なくとも前記定格風速の半分までの風速(V)の範囲内において前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を使用する場合、先端速度比(λ)が、特に−2未満の傾きで、前記定格風速に正規化された風速の場合、−2〜−10、望ましくは、−2〜−4の傾きで、風速の増加と共に完全に単調減少することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項12】
最適電力動作特性(200、300)を使用するときの先端速度比(λ)に対する前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を使用するときの先端速度比(λ)の比が1より大きいことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項13】
タワー(102)と、可変のロータ速度(n)で動作させることができ、調節可能なロータブレード角(α)をそれぞれ有する一定数のロータブレード(108)を有する空力ロータ(106)と、出力電力(P)を生成する発電機(Gen)と、を備えた風力発電設備(100)をパラメータ化する方法であって、
前記ロータ速度(n)と前記出力電力(P)との関係を示す最適電力動作特性(200、300)を決定するステップであり、前記最適電力動作特性(200、300)が、前記風力発電設備(100)がこの動作特性(200、300)に対応する態様で動作させられる限り、最大出力電力(P)を送り出すように選定される、該ステップと、
前記風力発電設備(100)のシステム共振を励起するロータ速度(n)を表す共振速度を記録するステップと、
前記共振速度(n)を囲むように共振速度範囲を設定するステップと、
前記共振速度範囲内において、前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低い出力電力(P)の値を有する低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を決定するステップであり、前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が前記共振速度範囲内においても安定している、該ステップと、
を備えた前記方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)がパラメータ化され、それによって、
・最適電力ピッチ特性(700、800)、
・適合化されるピッチ特性(702、806)、
・第1のロータ速度範囲、
・第2のロータ速度範囲、
・第3のロータ速度範囲、
・第1の出力電力範囲、
・第2の出力電力範囲、
・第3の出力電力範囲、及び、
・低減音響動作特性
を含むリストから少なくとも1つを設定することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記共振速度の前記記録が、特に10Hz〜100Hzの範囲内にある所定の検査周波数範囲内において、前記ロータ速度(n)を変化させて、前記風力発電設備(100)の付近で関連するトナリティを記録することによって実施され、前記トナリティが最大となる前記ロータ速度(n)が前記共振速度として使用されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記風力発電設備(100)の付近で記録される任意の又は前記トナリティが所定の制限値を下回る程度まで前記共振速度範囲内における特に前記共振速度における前記出力電力(P)が前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が決定され、特に、前記出力電力(P)を低減して前記トナリティを記録するプロセスが、前記トナリティが前記所定の制限値を下回るまで、繰り返されることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
タワー(102)と、可変のロータ速度(n)で動作させることができ、調節可能なロータブレード角(α)をそれぞれ有する一定数のロータブレード(108)を有する空力ロータ(106)と、出力電力(P)を生成する発電機(Gen)と、を備えた風力発電設備(100)を動作させる方法であって、
・前記ロータ速度(n)と前記出力電力(P)との間の関係を示す動作特性(200、202、204、300、302、304、306)が、前記風力発電設備(100)を動作させるために、規定され、
・前記出力電力(P)が、前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)に対応する態様で、前記ロータ速度に依存して設定され、
・前記風力発電設備(100)のシステム共振の励起が、該システム共振を励起する速度(n)を除外することなく、最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)が、前記動作特性(200、202、204、300、302、304、306)として、選択可能である、前記方法。
【請求項18】
前記風力発電設備(100)が請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法によってパラメータ化されていること、及び/又は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)が使用されること、を特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
外部仕様又は時刻に依存して、
・前記低減トナリティ動作特性(202、204、302、304、306)を使用する前記風力発電設備(100)の動作と、
・風からの電力の取得が最大になるように設計された前記最適電力動作特性(200、300)を使用する前記風力発電設備(100)の動作と、
・前記風力発電設備(100)の音響放出が、特に該音響放出の音響パワー範囲が、前記最適電力動作特性(200、300)に比べて低減されるように設計された低減音響動作特性を使用する前記風力発電設備(100)の動作と、
の間で切り換えが実施されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法によってパラメータ化されていること、及び/又は、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法によって動作させられること、を特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の風力発電設備(100)。
【請求項21】
ロータブレードを備える空力ロータと、
前記空力ロータの速度が、始動速度から定格速度までの範囲内の何れの速度であっても、最適電力動作特性及び低減トナリティ動作特性のいずれかの動作特性を選択的に設定可能であるコントローラと、
を備える、風力発電設備。
【請求項22】
前記低減トナリティ動作特性が設定された場合における前記ロータブレードのピッチ角度は、前記最適電力動作特性が設定された場合における前記ロータブレードのピッチ角度に等しいかそれよりも大きい、
請求項21に記載の風力発電設備。
【国際調査報告】