(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、フィブロネクチン1のエクストラドメインBスプライスバリアントに結合する抗体および抗体−薬物コンジュゲート、ならびにそれらを調製および使用するための方法を提供する。
前記抗体または抗原結合性断片が、配列番号3、5および7を含む3つのCDRを含む重鎖可変領域ならびに配列番号12、13および14を含む3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記抗体または抗原結合性断片が、配列番号1または21を含む重鎖可変領域および配列番号10を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記抗体または抗原結合性断片が、配列番号8、17、19、23、25、27または29を含む重鎖および配列番号15または31を含む軽鎖を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記抗体または抗原結合性断片が、部位特異的コンジュゲーションのために操作されたシステイン残基を含む重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域を含む、請求項1に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記重鎖定常領域が、KabatのEUインデックスの番号付けに従って、290位における操作されたシステイン残基(K290C)を含む、請求項7に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記軽鎖定常領域が、Kabatの番号付けに従って、183位における操作されたシステイン残基(κK183C)を含む、請求項7に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記重鎖定常領域が、KabatのEUインデックスの番号付けに従って、290位における操作されたシステイン残基(K290C)を含み、前記軽鎖定常領域が、Kabatの番号付けに従って、183位における操作されたシステイン残基(κK183C)を含む、請求項1に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記抗体または抗原結合性断片が、前記抗体中に挿入されたまたは前記抗体中の1つもしくは複数の内因性アミノ酸を置き換える操作されたグルタミン含有タグを含む重鎖定常領域を含む、請求項1に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記重鎖定常領域が、KabatのEUインデックスの番号付けに従って、222位におけるリジン(K)を置換するアルギニン(R)(K222R)をさらに含む、請求項11に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
前記抗体または抗原結合性断片が、Kabatの番号付けに従って、94位におけるリジン(K)を置換するアルギニン(R)(K94R)を含む重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
(a)配列番号3、5および7を含む3つのCDRを含む重鎖可変領域ならびに配列番号12、13および14を含む3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(b)vcリンカー、ならびに(c)0101薬物を含む抗体−薬物コンジュゲート。
(a)配列番号21を含む重鎖可変領域および配列番号10を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片;(b)vcリンカー、ならびに(c)0101薬物を含む抗体−薬物コンジュゲート。
(a)配列番号25を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片;(b)vcリンカー、ならびに(c)0101薬物を含む抗体−薬物コンジュゲート。
複数の請求項1から25のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲートおよび任意選択により薬学的担体を含む組成物であって、3から5までの範囲の平均DARを有する組成物。
複数の請求項1から25のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲートおよび任意選択により薬学的担体を含む組成物であって、1から3までの範囲の平均DARを有する組成物。
前記コンジュゲートするステップが、前記抗体上の1つまたは複数の操作されたシステイン残基および/または操作されたグルタミン残基上で部位特異的である、請求項33に記載のプロセス。
EDB+FN発現性障害または疾患を処置する方法であって、請求項1から25のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲートを含む組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
前記固形腫瘍が、甲状腺がん、肉腫、乳がん、膵臓がん、神経膠芽腫、胆嚢がん、腎臓がん、皮膚がん、子宮がん、中皮腫、結腸直腸がん、頭頚部がん、卵巣がん、膀胱がん、精巣がん、前立腺がん、肝臓がん、内分泌がん、胸腺がん、脳腫瘍、副腎がん、眼がん、子宮頚がんおよび肺がんである、請求項37に記載の方法。
前記固形腫瘍が、甲状腺がん、肉腫、乳がん、膵臓がん、神経膠芽腫、胆嚢がん、腎臓がん、皮膚がん、子宮がん、中皮腫、結腸直腸がん、頭頚部がん、卵巣がん、膀胱がん、精巣がん、前立腺がん、肝臓がん、内分泌がん、胸腺がん、脳腫瘍、副腎がん、眼がん、子宮頚がんおよび肺がんである、請求項42に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、相互交換可能に「EDB+FN」または「EDB」と呼ばれるフィブロネクチン(FN)のエクストラドメインB(EDB)に結合する抗体および抗体薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。本発明は、抗EDB抗体、リンカーおよび薬物(ペイロード)を使用してADCを調製するためのプロセスもまた提供する。本発明は、慣習的および/または部位特異的コンジュゲーションテクノロジーを使用して生成されたADCをさらに提供する。本発明の抗体およびADCは、EDB+FN発現を特徴とするまたはEDB+FN発現と関連する過剰増殖障害、例えばがんの診断、予防および/または処置において使用され得る、医薬などの組成物の調製および製造に有用である。本発明は、EDB ADCを作製する際に使用される抗EDB抗体をコードする核酸もまた提供する。
【0024】
ADCは、典型的にはリンカーの使用を介して薬物にコンジュゲートされた抗体構成要素を含む。慣習的コンジュゲーションテクノロジーによって生成されたADCは、抗体重鎖および/または軽鎖上に内因性に存在するリジンまたはシステイン残基を介して、薬物を抗体にランダムに連結する。従って、かかるADCは、異なる薬物:抗体比(DAR)を有する種の不均質な混合物である。部位特異的コンジュゲーションテクノロジーによって生成されたADCは、抗体重鎖および/または軽鎖上の特定の操作された残基において、薬物を抗体に連結する。このように、部位特異的コンジュゲートされたADCは、規定された薬物:抗体比(DAR)を有する種から構成されるADCの均質な混合物である。従って、部位特異的コンジュゲートされたADCは、改善された薬物動態、体内分布および安全性プロファイルを生じる均一な化学量論を実証する。
【0025】
本発明のADCは、リンカーを介して1つまたは複数の薬物にコンジュゲートされた抗EDB抗体を含む(即ち、リンカー−薬物部分を形成する)。本発明は、(a)EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片;(b)リンカー、および(c)薬物を有するADCを提供する。本発明は、式Ab−(L−D)のADCをさらに提供し、式中、(a)Abは、EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片であり、(b)L−Dはリンカー−薬物部分であり、Lはリンカーであり、Dは薬物である。別の態様では、本発明は、式Ab−(L−D)pのADCを提供し、式中、(a)Abは、EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片であり、(b)L−Dはリンカー−薬物部分であり、Lはリンカーであり、Dは薬物であり、(c)pは、抗体に結合したリンカー−薬物部分の数である。
【0026】
抗体に結合したリンカー−薬物部分の数は、ADCの開発のために好ましい任意の数であり得る。一部の態様では、抗体1つ当たりのリンカー−薬物部分の数は、4である。他の態様では、抗体1つ当たりのリンカー−薬物部分の数は、3である。別の態様では、抗体1つ当たりのリンカー−薬物部分の数は、2である。別の態様では、抗体1つ当たりのリンカー−薬物部分の数は、1である。他の態様では、抗体1つ当たりのリンカー−薬物部分の数は、抗体1つ当たり、4個よりも多い、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12個の、または12個よりも多いリンカー−薬物部分である。
【0027】
さらに、本発明は、リンカー−薬物部分が、慣習的または部位特異的コンジュゲーションテクノロジーを介して抗体に結合される、ADCを提供する。一部の態様では、抗EDB抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書にさらに記載される細胞傷害剤、細胞分裂停止剤および/または治療剤などの薬物にコンジュゲートまたは連結される。例えば、細胞傷害剤は、細胞傷害剤の標的化された局所的送達のために、本明細書に記載される抗EDB抗体に連結またはコンジュゲートされ得る。かかるADCを調製および製造する方法、ならびに臨床適用におけるその使用もまた提供される。
【0028】
内部移行性の細胞表面発現されたタンパク質を標的化するために開発されている他のADCとは対照的に、本発明のADCは、細胞外マトリックス(ECM)において発現されるタンパク質であるEDBを標的化する。ECMにおいて発現されるタンパク質を標的化することは、腫瘍細胞上で発現されるタンパク質を標的化することを超える利益を提供し得る。ADCは、多くの処置が困難なヒトがんにおいて共通する間質およびECM障壁を透過する必要なしに、標的に直接アクセスし得る。さらに、ECM中のEDBをADCで標的化することは、腫瘍微小環境中の標的化が困難な多くの細胞型にアクセスする具体的な機構を提供する。これは、細胞傷害性ペイロードまたは薬物の細胞外放出を生じ得、バイスタンダー機構による腫瘍細胞および/または間質細胞の細胞死/細胞周期停止などの機構を介した、種々の細胞の死滅を生じる。さらに、さらなる機構には、調節不全の血管新生もしくは細胞傷害性血管標的化/虚脱、血管正常化、免疫調節および細胞分化の誘導ならびに/または上皮間葉転換の妨害が含まれるがこれらに限定されない。
【0029】
本明細書で提供される実施例は、抗EDB抗体およびEDB ADC生成の間に得られる改善された特徴、例えば、免疫原性を低減させるためのアロタイプ最適化、産物の均質性を増加させるためのCOOH末端リジンの除去、ならびに潜在的な糖化傾向を緩和するためおよび不均質性を減少させるための変異の導入を実証する(実施例1および2を参照のこと)。さらに、実施例に示されるように、種々の慣習的および部位特異的コンジュゲーションテクノロジー(即ち、システイン、リジンおよび/またはアシルドナーグルタミン含有(「Q」)タグ)ならびに種々のリンカー−薬物部分を使用して生成されたEDB ADCは、ロバストなin vitroおよびin vivo有効性を実証している(実施例6〜8を参照のこと)。本明細書で提供される実施例は、操作されたシステイン残基を介した部位特異的コンジュゲーションを使用して生成されたEDB ADCが、システイン残基を介した慣習的コンジュゲーションを使用して生成されたEDB ADCと比較して改善された特徴、例えば、改善された薬物動態(PK)プロファイル(即ち、より少ないオフターゲット毒性効果をもたらす、増加した曝露およびコンジュゲーション安定性)、好ましい熱安定性およびプロファイリングされた非臨床的安全性(即ち、骨髄抑制の軽減)を実証したことも示した(それぞれ、実施例9、10および11を参照のこと)。さらに、部位特異的コンジュゲーションテクノロジーを用いて生成されたEDB ADCの改善された特徴は、ヒト処置におけるより高い投薬量を可能にし得、従って、増加した有効性を提供し得る。一部の態様では、これらのEDB ADCは、部位特異的コンジュゲーションを可能にするために、ヒトIgG1重鎖定常領域中の290位(KabatのEUインデックスに従う)におけるリジン(K)の、反応性システイン(C)による置換(K290C)、および/またはヒトカッパ軽鎖定常領域中の183位(Kabatに従う)におけるリジン(K)の、反応性システイン(C)による置換(κK183C)を含み得る。
【0030】
フィブロネクチンのエクストラドメインB
本明細書で使用する場合、「EDB+FN」および「EDB」は、相互交換可能に使用され、エクストラドメインB(EDB)を含むフィブロネクチン(FN)を指す。さらに、「抗EDB抗体」および「抗EDB+FN抗体」は、相互交換可能に使用され、EDBに結合する抗体を指す。「抗EDB抗体−薬物コンジュゲート」、「EDB抗体−薬物コンジュゲート」、「抗EDB ADC」、「EDB ADC」は、相互交換可能に使用され、EDBに結合し、薬物にコンジュゲートまたは連結された抗体またはその抗原結合性断片を含むADCを指す。FNは、細胞外マトリックス(ECM)中に存在する高分子量糖タンパク質であり、胚発生、創傷治癒、血液凝固、宿主防御および転移を含む、細胞接着および遊走プロセスに関与する。FNは、典型的には、一対のジスルフィド結合によってそれらのC末端近傍で共有結合した2つのほぼ同一の約250kDaのサブユニットによって形成されるダイマーとして存在する。各モノマーは、3つの型の反復単位:I型、II型およびIII型FNリピートからなる。単一の75kb遺伝子がFNをコードするが、ヒトでは20種のタンパク質バリアントが観察される。FN遺伝子の選択的スプライシングは、3つの領域で生じ、エクストラドメインA(EDA)およびエクストラドメインB(EDB)と呼ばれる2つのIII型リピートのうちいずれか1つの、ならびにIII型コネクティングセグメント(IIICS)と呼ばれる、2つの他のIII型リピートを接続するセグメントの、内包または排除を生じる。EDBは、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、カニクイザルおよびヒトにおいて100%同一な、91アミノ酸の配列である。代表的なEDB+FNヌクレオチド配列は、アクセッション番号NM_001306129.1の下で提供され、対応するアミノ酸配列は、アクセッション番号NP_001293058.1の下で提供される。EDBおよび組換えヒト7−EDB−8−9のアミノ酸配列は、表1に提供される。組換えヒト7−EDB−8−9は、EDBのアミノ末端でドメイン7(下線)が隣接し、カルボキシ末端にドメイン8(ボックス)およびドメイン9(イタリック)が隣接するEDBを含む。
【0032】
抗EDB抗体
本発明の抗体は、EDBに特異的に結合する。本発明のADCの調製のために、抗体またはその抗原結合性断片は、EDBに特異的に結合する任意の抗体(本明細書に記載される抗体を含む)またはその抗原結合性断片であり得る。この抗体またはその抗原結合性断片は、EDB ADCの調製における使用のために、単離、精製または誘導体化され得る。
【0033】
本明細書で使用する場合、「抗体」または「Ab」とは、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、特異的標的または抗原、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどを認識しそれに結合することが可能な免疫グロブリン分子を指す。この用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、「抗原結合性断片」(または部分)、例えば、所与の抗原(例えば、EDB)に特異的に結合する能力を保持するインタクトな抗体のFab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv、Fcなど、単離された相補性決定領域(CDR)、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、それらの変異体、抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ドメイン抗体)を有する融合タンパク質、単鎖(ScFv)および単一ドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ科動物抗体)、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、イントラボディ(intrabody)、ディアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v−NARおよびビス−scFv(例えば、HolligerおよびHudson、2005、Nature Biotechnology 23(9):1126〜1136を参照のこと)、ヒト化抗体、キメラ抗体、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアントおよび共有結合的に改変された抗体を含む、必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置が含まれるがこれらに限定されない、任意の型の抗体を包含し得る。これらの抗体は、マウス、ラット、ヒトまたは任意の他の起源(キメラまたはヒト化抗体を含む)であり得る。本発明の一部の態様では、開示されたEDB ADCの抗体またはその抗原結合性断片は、キメラ、ヒト化もしくは組換えヒト抗体、またはそれらのEDB結合性断片である。
【0034】
ネイティブまたは天然に存在する抗体およびネイティブ免疫グロブリンは、典型的には、2つの同一の軽鎖(LC)および2つの同一の重鎖(HC)から構成される約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各重鎖は、「CHドメイン」と呼ばれるいくつかの定常ドメインまたは領域(例えば、ヒンジ、CH1、CH2またはCH3)が後に続く可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は、可変ドメイン(VL)、および「CLドメイン」と呼ばれる定常ドメインを有する。抗体の「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は、単独または組み合わせてのいずれかの、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。これらの定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、種々のエフェクター機能、例えば、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性細胞傷害(ADCC)における抗体の関与、オプソニン化、補体依存性細胞傷害の開始、およびマスト細胞脱顆粒を示す。EDB抗体の定常領域は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、それらの任意のアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプのIgG)、ならびにそれらのサブクラスおよび変異バージョンのいずれか1つの定常領域に由来し得る。
【0035】
CH1ドメインは、例えば、KabatのEUインデックスに従って約118〜215位に伸びる免疫グロブリン重鎖の第1の(最もアミノ末端の)定常領域ドメインを含む。CH1ドメインは、免疫グロブリン重鎖分子のVHドメインに隣接し、ヒンジ領域に対してアミノ末端側にあり、免疫グロブリン重鎖のFc領域の一部を形成しない。
【0036】
ヒンジ領域は、CH1ドメインをCH2ドメインに連結する重鎖分子の部分を含む。このヒンジ領域は、およそ25残基を含み、可撓性であり、従って、2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの別個のドメイン:上部、中部および下部ヒンジドメインへと下位分割され得る。
【0037】
CH2ドメインは、例えば、KabatのEUインデックスに従って約231〜340位に伸びる、重鎖免疫グロブリン分子の部分を含む。CH2ドメインは、もう1つのドメインと緊密に対形成しないという点で、独自である。むしろ、2つのN結合型分岐鎖炭水化物鎖が、インタクトなネイティブIgG分子の2つのCH2ドメイン間に置かれる。一部の態様では、本発明の抗体(またはその断片)は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4などのIgG分子に由来するCH2ドメインを含む。一部の態様では、このIgGはヒトIgGである。
【0038】
CH3ドメインは、例えば、KabatのEUインデックスに従って約341〜447位に、CH2ドメインのC末端からおよそ110残基伸びる、重鎖免疫グロブリン分子の部分を含む。CH3ドメインは、典型的には、抗体のC末端部分を形成する。しかし、一部の免疫グロブリンでは、さらなるドメインが、分子のC末端部分を形成するように、CH3ドメインから伸び得る(例えば、IgMのμ鎖およびIgEのε鎖におけるCH4ドメイン)。一部の態様では、本発明の抗体(またはその断片)は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4などのIgG分子に由来するCH3ドメインを含む。一部の態様では、このIgGはヒトIgGである。
【0039】
CLドメインは、例えば、KabatのEUインデックスに従って約108〜214位に伸びる、免疫グロブリン軽鎖の定常領域ドメインを含む。CLドメインは、VLドメインに隣接する。一部の態様では、本発明の抗体(またはその断片)は、カッパ軽鎖定常ドメイン(CLκ)を含む。一部の態様では、抗体(またはその断片)は、ラムダ軽鎖定常ドメイン(CLλ)を含む。CLκは、公知の多型遺伝子座CLκ−V/A45およびCLκ−L/V83(Kabat番号付けを使用する)を有し、従って、多型Km(1):CLκ−V45/L83;Km(1,2):CLκ−A45/L83;およびKm(3):CLκ−A45/V83を可能にする。本発明のポリペプチド、抗体およびADCは、これらの軽鎖定常領域のいずれかを有する抗体構成要素を有し得る。
【0040】
Fc領域は一般に、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位におけるアミノ酸残基からまたはPro230位から(KabatのEUインデックスに従う)、そのカルボキシル末端まで延びると定義される。Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域またはバリアントFc領域であり得る(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1991)。
【0041】
抗体の「可変領域」は、単独または組み合わせてのいずれかの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当該分野で公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても公知の3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖中のCDRは、FRによって非常に近位にされ、他方の鎖由来のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。
【0042】
可変ドメインのCDRは、Kabatの定義(Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、NIH、Washington D.C)、Chothia(Chothiaら、Nature 342:877〜883、(1989))、KabatおよびChothiaの両方の集積、AbM定義(Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標))を使用して導出される)、接触定義(MacCallumら、J.Mol.Biol.、262:732〜745、(1996)に示される、観察された抗原接触に基づく)および/もしくはコンフォメーション定義(Makabeら、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166、2008)、または当該分野で周知のCDR決定の任意の方法に従って定義され得る。本明細書で使用する場合、CDRとは、アプローチの組み合わせを含む、当該分野で公知の任意のアプローチによって定義されるCDRを指し得る。本発明について、以下の表2に示されるCDRは、KabatおよびChothiaの定義を使用して導出した。本発明の抗EDB抗体またはその抗原結合性断片は、1つまたは複数のCDR(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全てのCDR)を含む。
【0043】
標的または抗原(例えば、EDBタンパク質)に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」(本明細書で相互交換可能に使用される)抗体、ADCまたはポリペプチドは、当該分野で十分に理解される用語であり、かかる特異的または優先的結合を決定するための方法もまた当該分野で周知である。分子は、代替的な細胞または物質との場合よりも、特定の細胞または物質と、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、および/またはより高い親和性で反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。他の物質に結合するよりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、抗体は、標的または抗原に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、EDBエピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のEDBエピトープまたは非EDBエピトープに結合するよりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間でこのエピトープを結合する抗体である。
【0044】
用語「結合親和性」または「K
D」は、本明細書で使用する場合、特定の抗原−抗体相互作用の平衡解離定数を指す意図である。K
Dは、会合の速度、即ち、「オンレート(on-rate)」または「k
a」に対する、「オフレート(off-rate)」または「k
d」とも呼ばれる解離の速度の比である。従って、K
Dは、k
d/k
aに等しく、モル濃度(M)として表される。K
Dが小さいほど、結合親和性が強いということになる。従って、1μMのK
Dは、1nMのK
Dと比較して、弱い結合親和性を示す。抗体についてのK
D値は、当該分野で十分確立された方法を使用して決定され得る。抗体のK
Dを決定するための1つの方法は、BIAcore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを典型的には使用する、表面プラズモン共鳴を使用することによる。例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIAおよびフローサイトメトリー分析を含む、標的に対する抗体などのリガンドの結合能を評価するための他の標準的なアッセイが、当該分野で公知である。
【0045】
「単離された抗体」とは、本明細書で使用する場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、EDBを特異的に結合する単離された抗体は、EDB以外の抗原を特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。さらに、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合してもしなくてもよいこともまた、理解される。
【0046】
本発明の一部の態様では、EDB ADCは、ヒトEDBへの結合について、本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合性断片と競合する抗体、および/または本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合性断片と同じエピトープを結合する抗体を含む。
【0047】
抗体に関して、用語「競合する」は、本明細書で使用する場合、第1の抗体とその同族エピトープとの結合の結果が、第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比較して、第2の抗体の存在下で検出可能に減少されるように、第1の抗体またはその抗原結合性断片が、第2の抗体またはその抗原結合性断片の結合と十分に類似の様式でエピトープに結合することを意味する。第2の抗体のそのエピトープへの結合もまた第1の抗体の存在下で検出可能に減少される選択肢が当てはまり得るが、当てはまらなくてもよい。即ち、第1の抗体は、第1の抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を第2の抗体が阻害することなしに、第2の抗体のそのエピトープへの結合を阻害できる。しかし、各抗体がその同族エピトープまたはリガンドと他の抗体との結合を検出可能に阻害する場合、同じ程度までであれ、より高い程度までであれ、より低い程度までであれ、これらの抗体は、そのそれぞれのエピトープ(複数可)の結合について、互いに「交差競合する」と言われる。競合する抗体および交差競合する抗体の両方が、本発明によって包含される。かかる競合または交差競合が生じる機構(例えば、立体障害、コンフォメーション変化、または共通のエピトープもしくはその部分への結合)にかかわらず、当業者は、本明細書で提供される教示に基づいて、かかる競合する抗体および/または交差競合する抗体が包含され、本明細書で開示される方法に有用であり得ることを理解する。
【0048】
本明細書で「EDB−L19」抗体とも呼ばれる「L19」抗体は、EDBを結合するヒト抗体である。L19抗体は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる、PCT国際特許出願公開番号WO1997/045544、WO1999/058570およびWO2001/062800において開示および特徴付けられ、L19−EDB配列は、表2中に本明細書で提供される(配列番号1〜16)。
【0049】
本発明の一部の態様では、EDB ADCを調製するために使用される抗体は、モノクローナル抗体であり得る。用語「モノクローナル抗体」または「mAb」とは、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原性部位に対して指向され、高度に特異的である。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向された異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるとして抗体の特徴を示すが、任意の特定の方法による抗体の産生を要求すると解釈すべきではない。
【0050】
本発明の一部の態様では、本発明のADCを調製するために使用される抗体は、一価であり得る、即ち、1分子当たり1つの抗原結合部位を有し得る(例えば、IgGまたはFab)。一部の例では、一価抗体は、1つよりも多い抗原結合部位を有し得るが、これらの結合部位は、異なる抗体由来である。本発明の一部の態様では、本発明のADCの抗体またはその抗原結合性断片は、「二価抗体」を含み得る、即ち、1分子当たり2つの抗原結合部位を有し得る(例えば、IgG)。一部の例では、これら2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。あるいは、二価抗体は、二重特異性であり得る。「二重特異性(bispecific)」、「二重特異性(dual-specific)」または「二機能性」抗体は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異性抗体の2つの抗原結合部位は、同じまたは異なるタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。
【0051】
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列の一部または全てが1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指す意図である。
【0052】
本明細書で使用する場合、「ヒト化」または「CDR移植した」抗体とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(例えば、抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)
2または他の抗原結合性サブ配列)である、非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントの1つまたは複数のCDR由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラットまたはウサギの1つまたは複数のCDR由来の残基によって置き換えられた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0053】
本発明の抗体は、当該分野で周知の技術、例えば、組換えテクノロジー、ファージディスプレイテクノロジー、合成テクノロジー、またはかかるテクノロジーもしくは当該分野で容易に公知の他のテクノロジーの組み合わせを使用して産生され得る(例えば、Jayasena,S.D.、Clin.Chem.、45:1628〜50(1999)およびFellouse,F.A.ら、J.MoI.Biol.、373(4):924〜40(2007)を参照のこと)。さらなるガイダンスは、Sambrook J.およびRussell D.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2000);Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Wiley,John & Sons,Inc.(2002);HarlowおよびLane、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1998);ならびにColiganら、Short Protocols in Protein Science、Wiley,John & Sons,Inc.(2003)において見出され得る。
【0054】
本発明のADCを調製するために使用される抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸は、発現または拡大増殖のためにベクター中にクローニングされ得る。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞においてベクター中で維持され得、次いで、この宿主細胞は、さらなる使用のために、拡大および凍結され得る。細胞培養物における組換えモノクローナル抗体の産生は、当該分野で公知の手段により、B細胞からの抗体遺伝子のクローニングを通じて実施され得る。例えば、Tillerら、J.Immunol.Methods 329:112〜124、2008;米国特許第7,314,622号を参照のこと。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」とは、目的の1つまたは複数の遺伝または配列を送達すること、好ましくは宿主細胞中でそれらを発現させることが可能な構築物を指す。ベクターの例には、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、および特定の真核生物細胞、例えば、産生細胞が含まれるがこれらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクター(複数可)のレシピエントであり得るまたはレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、この子孫は、天然の、偶発的なまたは計画的な変異に起因して、元の親細胞と完全に同一(形態学において、またはゲノムDNA相補体において)である必要は必ずしもない。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド(複数可)をin vivoでトランスフェクトされた細胞を含む。
【0057】
当該分野で公知のように、「ポリヌクレオチド」、「核酸/ヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で相互交換可能に使用され、任意の長さの、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれかのヌクレオチド、それらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによって鎖中に取り込まれ得る任意の基質の、ポリマー形態を含む。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有し得、公知または未知の任意の機能を実行し得る。ポリヌクレオチドは、天然に存在する、合成、組換え、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0058】
本発明で議論される全ての重鎖定常領域アミノ酸位置について、番号付けは、配列決定された最初のヒトlgG1である骨髄腫タンパク質Euのアミノ酸配列を記載するEdelmanら、1969、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63(1):78〜85に最初に記載されたEuインデックスに従う。EdelmanらのEuインデックスは、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、United States Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesdaにも示されている。従って、「Kabatに示されるEUインデックス」または「KabatのEUインデックス」とは、Kabat 1991に示されるような、EdelmanらのヒトlgG1 Eu抗体に基づく残基番号付けシステムを指す。
【0059】
軽鎖定常領域アミノ酸配列に使用される番号付けシステムは、Kabat 1991に示されるものである。
【0060】
本発明のEDB ADCは、慣習的システインテクノロジーまたは部位特異的コンジュゲーションテクノロジーを使用して、薬物/ペイロードにコンジュゲートされ得る。操作されたシステインを介した部位特異的コンジュゲーションを受け入れるために、定常ドメインは、1つまたは複数の特異的部位において操作された反応性システイン残基を提供するように改変され得る(「Cys」変異体とも呼ばれる)。トランスグルタミナーゼベースのコンジュゲーションを介した部位特異的コンジュゲーションを受け入れるために、アシルドナーグルタミン含有(「Q」)タグまたは内因性グルタミンは、トランスグルタミナーゼおよびアミンの存在下でのポリペプチド操作によって、反応性にされる。
【0061】
本発明は、非免疫原性抗体の生成によるL19−EDB抗体の最適化を提供する。一部の態様では、356位におけるアスパラギン酸(D)および358位におけるロイシン(L)を有するG1m(a)アロタイプを含むL19−EDBヒトIgG1定常領域は、356位におけるグルタミン酸(E)および358位におけるメチオニン(M)を有する非G1m(a)アロタイプで置換され得る(KabatのEUインデックスの番号付けに従う)。
【0062】
さらに、潜在的な化学的傾向および推定タンパク質糖化部位を結合する抗原を低減させるために、本発明の抗EDB抗体は、94位(KabatのEUインデックスの番号付けに従う)におけるリジン(K)のアルギニン(R)への変異、例えば(K94R)を含む重鎖可変領域を有し得る。
【0063】
操作されたシステインを介した部位特異的コンジュゲーションについて、抗EDB抗体重鎖定常ドメインは、KabatのEUインデックスの番号付けに従って、290位における反応性の操作されたシステイン残基(K290C)を含み得る。さらなるシステイン置換が導入され得る。別の態様では、抗EDB抗体軽鎖定常ドメインは、Kabatの番号付けに従って、183位における反応性の操作されたシステイン残基(κK183C)を含み得る。さらなるシステイン置換が導入され得る。
【0064】
操作されたグルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーションについて、抗EDB抗体重鎖定常ドメインは、操作されたH16−グルタミン含有タグLLQG(配列番号40)を含み得る。さらに、この部位特異的コンジュゲーションを最適化するために、重鎖上の222位(KabatのEUインデックスに従う)におけるリジン(K)アミノ酸は、アルギニン(R)で置換され得る、例えば(K222R)。
【0065】
アミノ酸改変は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得、多くのかかる方法、例えば、変異、置換、欠失および/または付加は、当業者にとって周知であり、慣用的である。例えば、限定としてではなく、アミノ酸置換、欠失および挿入は、任意の周知のPCRベースの技術を使用して達成され得る。アミノ酸置換は、部位特異的変異誘発によって行われ得る(例えば、ZollerおよびSmith、1982、Nucl.Acids Res.10:6487〜6500;ならびにKunkel、1985、PNAS 82:488を参照のこと)。
【0066】
本発明の一部の態様では、EDB ADCは、本明細書で開示される重鎖または軽鎖のいずれかに対して少なくとも90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖および/または軽鎖を有する抗体またはその抗原結合性断片を含む。変更された残基は、抗体の可変領域中または定常領域中に存在し得る。一部の態様では、1、2、3、4または5つ以下の残基が、本明細書で開示される重鎖または軽鎖のいずれかと比較して変更されている。
【0067】
用語「パーセント同一」は、アミノ酸配列に関して、最大の対応のためにアラインさせた場合に同じである、2つの配列中の残基の数を意味する。アミノ酸パーセント同一性を測定するために使用され得る、当該分野で公知のいくつかの異なるアルゴリズムが存在する(即ち、Basic Local Alignment Tool即ちBLAST(登録商標))。特記しない限り、特定のプログラムまたはアルゴリズムのためのデフォルトパラメーターが使用される。
【0068】
EDB ADCの調製における使用のために、本明細書に記載される抗体は、実質的に純粋、即ち、少なくとも50%純粋(即ち、汚染物を含まない)、より好ましくは、少なくとも90%純粋、より好ましくは、少なくとも95%純粋、なおより好ましくは、少なくとも98%純粋、最も好ましくは、少なくとも99%純粋であり得る。
【0069】
表2および3は、本発明の抗EDB抗体のアミノ酸(タンパク質)配列および関連する核酸(DNA)配列を提供する。CDRは、KabatおよびChothiaによって定義されたとおりである。影付きの残基は、抗体最適化に関連するアミノ酸変異、置換および/または挿入を特定し、下線付きの残基は、部位特異的コンジュゲーションテクノロジーに関連するアミノ酸変異、置換および/または挿入を特定する。
【0079】
本発明の一部の態様では、EDB ADCは、フィブロネクチン(FN)のエクストラドメインB(EDB)に結合する抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0080】
本発明の一部の態様では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を有し、このVHは、配列番号3、5および7を含む3つのCDRを有する。本発明の一部の態様では、抗体またはその抗原結合性断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を有し、このVLは、配列番号12、13および14を含む3つのCDRを有する。抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3、5および7を含む3つのCDRを有するVH;ならびに配列番号12、13および14を含む3つのCDRを有するVLを有し得る。
【0081】
別の態様では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のVH CDR1、配列番号5のVH CDR2および配列番号7のVH CDR3(Kabatに従う)、または配列番号4のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2および配列番号7のVH CDR3(Chothiaに従う)、または配列番号3もしくは4のVH CDR1、配列番号5もしくは6のVH CDR2および配列番号7のVH CDR3を含む重鎖可変領域(VH)を有し得る。別の態様では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号12のVL CDR1、配列番号13のVL CDR2および配列番号14のVL CDR3(KabatおよびChothiaに従う)を含む軽鎖可変領域(VL)を有し得る。さらなる態様では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3または4のVH CDR1、配列番号5または6のVH CDR2および配列番号7のVH CDR3ならびに配列番号12のVL CDR1、配列番号13のVL CDR2および配列番号14のVL CDR3を有し得る。
【0082】
本発明の一部の態様では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1もしくは21を含む重鎖可変領域および/または配列番号10を含む軽鎖可変領域を有し得る。抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号10に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;配列番号21に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号10に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;配列番号1を含む重鎖可変領域および配列番号10を含む軽鎖可変領域;または配列番号21を含む重鎖可変領域および配列番号10を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0083】
本発明の別の態様では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号8、17、19、23、25、27および29のいずれか1つを含む重鎖ならびに/または配列番号15または31を含む軽鎖を有し得る。
【0084】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号8に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号8に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号31に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号17に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号17に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号31に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号19に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号19に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号31に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号23に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号23に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号31に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号25に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号25に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号31に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号27に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号27に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号31に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖;または配列番号29に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号15に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含み得る。
【0085】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号8を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号8を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号17を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号17を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号19を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号19を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号23を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号23を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号25を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号25を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号27を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号27を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号29を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;または配列番号29を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖を含み得る。
【0086】
抗EDB抗体重鎖および軽鎖可変領域をコードする代表的なDNAは、それぞれ、配列番号2および22ならびに配列番号11を含む。抗EDB抗体重鎖および軽鎖をコードする代表的なDNAは、それぞれ、配列番号9、18、20、24、26、28および30、ならびに配列番号16および32を含む。
【0088】
薬物
開示されたEDB ADCの調製において有用な薬物には、生物学的または検出可能な活性を有する任意の物質、例えば、治療剤、検出可能な標識、結合剤など、およびin vivoで活性な薬剤へと代謝されるプロドラッグが含まれる。薬物は、薬物誘導体であってもよく、このとき、薬物は、本発明の抗体とのコンジュゲーションを可能にするように官能化されている。
【0089】
治療剤は、がん細胞または活性化された免疫細胞に対して細胞傷害、細胞分裂停止および/または免疫調節効果を発揮する薬剤である。治療剤の例には、細胞傷害剤、化学療法剤、細胞分裂停止剤および免疫調節剤が含まれる。細胞傷害効果とは、標的細胞(複数可)の枯渇、排除および/または死滅を指す。細胞傷害剤とは、細胞に対する細胞傷害および/または細胞分裂停止効果を有する薬剤を指す。細胞分裂停止効果とは、細胞増殖の阻害を指す。細胞分裂停止剤とは、細胞に対する細胞分裂停止効果を有し、それによって、細胞の特定のサブセットの成長および/または拡大を阻害する薬剤を指す。化学療法剤とは、がんの処置において有用な化学化合物である薬剤を指す。免疫調節剤とは、直接的に、または別の薬剤をより効果的にすることによって間接的にのいずれかで、サイトカインおよび/もしくは抗体の産生、ならびに/またはT細胞機能の改変を介して免疫応答を刺激し、それによって、細胞(即ち、腫瘍細胞)のサブセットの成長を阻害または低減させる薬剤を指す。
【0090】
一部の態様では、この薬物は、膜透過性薬物である。かかる態様では、ペイロードは、バイスタンダー効果を誘発し得、このとき、EDB+FNを発現しないまたはそれらの表面に結合したEDB+FNを有さない場合があるが、ADCによって結合される細胞を取り囲む細胞は、細胞透過性ペイロードによって死滅される。これは、ペイロードが抗体から(即ち、切断可能なリンカーの切断によって)放出され、細胞膜を横切り、拡散に際して周囲の細胞の死滅を誘導する場合に生じる。
【0091】
開示された方法によれば、(a)EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片;(b)リンカー、および(c)薬物を有するEDB ADCが、産生または生成され得る。薬物対抗体比(DAR)または薬物負荷は、抗体1つ当たりのコンジュゲートされた薬物分子の数を示す。複数のADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、平均DARによって特徴付けられ得る。DARおよび平均DARは、種々の慣習的手段、例えば、UV分光測定、質量分析、ELISAアッセイ、放射測定法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、電気泳動およびHPLCによって決定され得る。
【0092】
本発明の態様では、EDB ADCは、1のDAR、2のDAR、3のDAR、4のDAR、5のDAR、6のDAR、7のDAR、8のDAR、9のDAR、10のDAR、11のDAR、12のDAR、または12よりも大きいDARを有し得る。本発明の態様では、EDB ADCは、1個の薬物分子、または2個の薬物分子、または3個の薬物分子、または4個の薬物分子、または5個の薬物分子、または6個の薬物分子、または7個の薬物分子、または8個の薬物分子、または9個の薬物分子、または10個の薬物分子、または11個の薬物分子、または12個の薬物分子、または12個よりも多い分子を有し得る。
【0093】
本発明の態様では、EDB ADCは、約2〜約4の範囲の平均DAR、または約3〜約5の範囲の平均DAR、または約4〜約6の範囲の平均DAR、または約5〜約7の範囲の平均DAR、または約6〜約8の範囲の平均DAR、または約7〜約9の範囲の平均DAR、または約8〜約10の範囲の平均DAR、または約9〜約11の範囲の平均DAR、または約10〜約12の範囲の平均DARなどを有し得る。一部の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、約1の平均DAR、または約2の平均DAR、約3の平均DAR、または約4の平均DAR、または約5の平均DAR、または約6の平均DAR、または約7の平均DAR、または約8の平均DAR、または約9の平均DAR、または約10の平均DAR、または約11の平均DAR、または約12の平均DAR、または12よりも大きい平均DARを有し得る。平均DARの上述の範囲において使用する場合、用語「約」は、+/−0.5%を意味する。
【0094】
EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、好ましい範囲の平均DAR、例えば、約3〜約5の範囲の平均DAR、約3〜約4の範囲の平均DAR、または約4〜約5の範囲の平均DARによって特徴付けられ得る。さらに、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、好ましい範囲の平均DAR、例えば、3〜5の範囲の平均DAR、3〜4の範囲の平均DAR、または4〜5の範囲の平均DARによって特徴付けられ得る。
【0095】
本発明の一部の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、約1.0の平均DAR、または1.0の平均DAR、または1.1の平均DAR、または1.2の平均DAR、または1.3の平均DAR、または1.4の平均DAR、または1.5の平均DAR、または1.6の平均DAR、または1.7の平均DAR、または1.8の平均DAR、または1.9の平均DARによって特徴付けられ得る。別の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、約2.0の平均DAR、または2.0の平均DAR、または2.1の平均DAR、または2.2の平均DAR、または2.3の平均DAR、または2.4の平均DAR、または2.5の平均DAR、または2.6の平均DAR、または2.7の平均DAR、または2.8の平均DAR、または2.9の平均DARによって特徴付けられ得る。別の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、約3.0の平均DAR、または3.0の平均DAR、または3.1の平均DAR、または3.2の平均DAR、または3.3の平均DAR、または3.4の平均DAR、または3.5の平均DAR、または3.6の平均DAR、または3.7の平均DAR、または3.8の平均DAR、または3.9の平均DARによって特徴付けられ得る。別の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、約4.0の平均DAR、または4.0の平均DAR、または4.1の平均DAR、または4.2の平均DAR、または4.3の平均DAR、または4.4の平均DAR、または4.5の平均DAR、または4.6の平均DAR、または4.7の平均DAR、または4.8の平均DAR、または4.9の平均DAR、または5.0の平均DARによって特徴付けられ得る。
【0096】
別の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、12以下の平均DAR、11以下の平均DAR、10以下の平均DAR、9以下の平均DAR、8以下の平均DAR、7以下の平均DAR、6以下の平均DAR、5以下の平均DAR、4以下の平均DAR、3以下の平均DAR、2以下の平均DAR、または1以下の平均DARによって特徴付けられ得る。
【0097】
他の態様では、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤は、11.5以下の平均DAR、10.5以下の平均DAR、9.5以下の平均DAR、8.5以下の平均DAR、7.5以下の平均DAR、6.5以下の平均DAR、5.5以下の平均DAR、4.5以下の平均DAR、3.5以下の平均DAR、2.5以下の平均DAR、1.5以下の平均DARによって特徴付けられ得る。
【0098】
本発明の一部の態様では、本明細書で開示されるシステイン残基を介した慣習的コンジュゲーションのための方法および精製条件は、約3〜5の範囲の、好ましくは約4の最適化された平均DARを有する、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤を提供する。
【0099】
本発明の一部の態様では、本明細書で開示される操作されたシステイン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのための方法および精製条件は、約3〜5の範囲の、好ましくは約4の最適化された平均DARを有する、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤を提供する。
【0100】
本発明の一部の態様では、本明細書で開示されるトランスグルタミナーゼベースのコンジュゲーションを介した部位特異的コンジュゲーションのための方法および精製条件は、約1〜3の範囲の、好ましくは約2の最適化された平均DARを有する、EDB ADCの組成物、バッチおよび/または製剤を提供する。
【0101】
細胞傷害剤の例には、アントラサイクリン、アウリスタチン、CC−1065、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、マイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN−38、チューブリシン(tubulysin)、ヘミアステリン、およびそれらの立体異性体、アイソスター、アナログまたは誘導体が含まれるがこれらに限定されない。植物毒素、他の生理活性タンパク質、酵素(即ち、ADEPT)、放射性同位体、光感受性物質(即ち、光線力学的治療のため)もまた使用され得る。
【0102】
アントラサイクリンは、細菌ストレプトマイセスに由来し、広範ながん、例えば、白血病、リンパ腫、乳、子宮、卵巣および肺がんを処置するために使用されてきた。例示的なアントラサイクリンには、ダウノルビシン、ドキソルビシン(即ち、アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシンおよびミトキサントロンが含まれるがこれらに限定されない。
【0103】
ドラスタチンならびにそれらのペプチド性アナログおよび誘導体であるアウリスタチンは、抗がんおよび抗真菌活性を有することが示されている、高度に強力な抗有糸分裂剤である。例えば、米国特許第5,663,149号およびPettitら、Antimicrob.Agents Chemother.42:2961〜2965、(1998)を参照のこと。例示的なドラスタチンおよびアウリスタチンには、ドラスタチン10、アウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、MMAD(モノメチルアウリスタチンDまたはモノメチルドラスタチン10)、MMAF(モノメチルアウリスタチンFまたはN−メチルバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−フェニルアラニン)、MMAE(モノメチルアウリスタチンEまたはN−メチルバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−ノルエフェドリン)、5−ベンゾイル吉草酸−AEエステル(AEVB)および他の新規物質が含まれるがこれらに限定されない。
【0104】
一部の態様では、薬物/ペイロードは、アウリスタチンである。アウリスタチンは、チューブリン重合の阻害を介して有糸分裂の間に微小管の形成を阻害することによって、細胞増殖を阻害する。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開番号WO2013/072813は、本発明のEDB ADCにおいて有用なアウリスタチンを開示し、アウリスタチンを産生する方法を提供する。例えば、構造:
【0105】
【化1】
を有するペイロード0101、構造:
【0106】
【化2】
を有するペイロード1569、構造:
【0107】
【化3】
を有するペイロード9411、構造:
【0108】
【化4】
を有するペイロード4574、構造:
【0109】
【化5】
を有するペイロードDM1および構造:
【0110】
【化6】
を有するペイロードセマドチン。
【0111】
デュオカルマイシンおよびCC−1065は、細胞傷害効力を有するDNAアルキル化剤として作用するCPIベースのモノマーである。BogerおよびJohnson、PNAS 92:3642〜3649、1995を参照のこと。例示的なドラスタチンには、(+)−デュオカルマイシンAおよび(+)−デュオカルマイシンSA、ならびに(+)−CC−1065が含まれるがこれらに限定されない。
【0112】
一部の態様では、薬物/ペイロードは、CPIまたはCBIダイマーである。CPIダイマーは、鎖間DNA架橋および強力な細胞傷害性を誘導する。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開番号WO2015/110935は、本発明のEDB ADCにおいて有用なCPIおよびCBIダイマーを開示し、CPIおよびCBIダイマーを産生する方法を提供する。例えば、構造:
【0113】
【化7】
を有するペイロードCPI−8314ダイマーおよび構造:
【0114】
【化8】
を有するペイロードCPI−0326。
【0115】
エンジインは、9員および10員環、またはコンジュゲートされた三重−二重−三重結合の環系の存在のいずれかを特徴とする抗腫瘍細菌産物のクラスである。例示的なエンジインには、カリチアマイシン、エスペラミシンおよびダイネミシン(dynemicin)が含まれるがこれらに限定されない。LL−E33288複合体とも呼ばれるカリチアマイシン、例えば、β−カリチアマイシン、γ−カリチアマイシンまたはN−アセチル−γ−カリチアマイシン(ガンマ−カリチアマイシン(γ
1))は、土壌生物ミクロモノスポラ・エキノスポラ種カリケンシス(Micromonospora echinospora ssp.calichensis)由来の天然産物として元々単離されたエンジイン抗生物質である(Zeinら、Science 27;240(4856):1198〜1201、1988);これは、標的細胞において二本鎖DNA切断を生成し、アポトーシスを引き続いて誘導する(Zeinら、Science 27;240(4856):1198〜1201、1988;Nicolaouら、Chem.Biol.9月;1(1):57〜66、1994;Prokopら、Oncogene 22:9107〜9120、2003)。ジスルフィドアナログは、N−アセチル−γ−カリチアマイシンジメチルヒドラジドである。
【0116】
ゲルダナマイシンは、Hsp90(ヒートショックタンパク質90)に結合するベンゾキノンアンサマイシン抗生物質であり、抗腫瘍薬物として使用されてきた。例示的なゲルダナマイシンには、17−AAG(17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)および17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)が含まれるがこれらに限定されない。
【0117】
マイタンシンまたはそれらの誘導体であるマイタンシノイドは、チューブリンの重合の阻害を介して有糸分裂の間に微小管形成を阻害することによって、細胞増殖を阻害する。Remillardら、Science 189:1002〜1005、1975を参照のこと。例示的なマイタンシンおよびマイタンシノイドには、メルタンシン(DM1)およびその誘導体、ならびにアンサマイトシン(ansamitocin)が含まれるがこれらに限定されない。
【0118】
タキサンは、抗チューブリン剤または有糸分裂阻害剤として作用するジテルペンである。例示的なタキサンには、パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))が含まれるがこれらに限定されない。
【0119】
ビンカアルカロイドもまた、抗チューブリン剤である。例示的なビンカアルカロイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンが含まれるがこれらに限定されない。
【0120】
本発明の一部の態様では、この薬剤は、免疫調節剤である。免疫調節剤の例には、ガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、グルココルチコイドおよびそのアナログ、サイトカイン、キサンチン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18およびIL−21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α、−βおよび−γ)、「S1因子」と称される幹細胞増殖因子、エリスロポエチンおよびトロンボポエチン、またはそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0121】
本発明において有用な免疫調節剤には、腫瘍に対するホルモン作用を遮断する抗ホルモン薬、およびサイトカイン産生を抑制し、自己抗原発現を下方調節し、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤もまた含まれる。代表的な抗ホルモン薬には、例えばタモキシフェンを含む抗エストロゲン薬、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY 117018、オナプリストンおよびトレミフェン;ならびに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリドおよびゴセレリン;ならびに抗副腎剤が含まれる。代表的な免疫抑制剤には、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHC断片に対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、ステロイド、例えば、グルココルチコステロイド、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(例えば、抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNFα抗体、抗IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体断片、ならびにT細胞受容体抗体が含まれる。
【0122】
本発明の一部の態様では、この薬物は、毒素、ホルモン、酵素および増殖因子が含まれるがこれらに限定されない治療的タンパク質である。
【0123】
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例には、ジフテリア(例えば、ジフテリアA鎖)、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素および内毒素、リシン(例えば、リシンA鎖)、アブリン(例えば、アブリンA鎖)、モデシン(modeccin)(例えば、モデシンA鎖)、アルファ−サルシン(sarcin)、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サボンソウ阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、トリコテシン、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えば、セラトトキシン(ceratotoxin))およびコノトキシン(例えば、KIIIAまたはSmIIIa)が含まれるがこれらに限定されない。
【0124】
ホルモンの例には、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチンおよびコルチコステロイドが含まれるがこれらに限定されない。
【0125】
本発明の一部の態様では、この薬物は、オリゴヌクレオチド、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0126】
本発明において有用なさらなる薬物には、血管形成を阻害する抗血管新生剤、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(例えば、2−メトキシエストラジオールビス−スルファメート(2−MeOE2bisMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジン(metallospondin)タンパク質、クラスIインターフェロン、インターロイキン12、プロタミン、アンジオスタチン、ラミニン、エンドスタチンおよびプロラクチン断片が含まれる。
【0127】
抗増殖剤およびアポトーシス促進剤には、PPAR−ガンマの活性化因子(例えば、シクロペンテノンプロスタグランジン(cyPG))、レチノイド、トリテルペノイド(例えば、シクロアルタン(cycloartane)、ルパン(lupane)、ウルサン(ursane)、オレアナン、フリエデラン(friedelane)、ダンマラン、ククルビタシンおよびリモノイドトリテルペノイド)、EGF受容体の(例えば、HER4)阻害剤、ラパマイシン、CALCITRIOL(登録商標)(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARA(登録商標)(レトロゾール))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレーター(例えば、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(Triapine))、アポプチン(apoptin)(ニワトリ貧血ウイルス由来のウイルスタンパク質3−VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害剤、TNF−アルファ、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−アルファ/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナル伝達の活性化因子、ならびにPI3K−Akt生存経路シグナル伝達の阻害剤(例えば、UCN−01およびゲルダナマイシン)が含まれる。
【0128】
代表的な化学療法剤には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa);エチレンイミン、ならびにアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミンを含むメチルメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−EU;アンドロゲン、例えば、カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン(diaziquone);エフロルニチン;酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;ならびにカペシタビンが含まれる。
【0129】
本発明に従って使用され得るさらなる治療剤には、光線力学的治療のための感光剤、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20020197262号および米国特許第5,952,329号;温熱療法のための磁性粒子、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20030032995号;結合剤、例えば、ペプチド、リガンド、細胞接着リガンドなど、ならびにより高活性の細胞傷害性遊離薬物へと変換され得るプロドラッグ、例えば、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれる。
【0130】
抗EDB抗体を使用する診断方法について、薬物には、in vitroまたはin vivoでEDB+FN発現性ECMまたは細胞の存在について検出するために使用される検出可能な標識が含まれ得る。in vivoで検出可能な放射性同位体、例えば、シンチグラフィー、磁気共鳴画像化または超音波を使用して検出可能な標識が、臨床診断適用において使用され得る。有用なシンチグラフィー標識には、ポジトロン放射体およびγ−放射体が含まれる。磁場源画像化のための代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、エルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびガドリニウム)、酸化鉄粒子、および水溶性造影剤である。超音波検出のために、気体または液体は、マイクロバブル造影剤として放出される多孔性無機粒子中に捕捉され得る。in vitro検出のために、有用な検出可能な標識には、フルオロフォア、検出可能なエピトープまたは結合剤、および放射活性標識が含まれる。
【0131】
従って、本発明の一部の態様では、この薬物は、画像化剤(例えば、フルオロフォアまたはPET(ポジトロン断層撮影)標識、SPECT(単一光子放射断層撮影)標識)、またはMRI(磁気共鳴画像化)標識である。
【0132】
用語「標識」とは、本明細書で使用する場合、「標識された」抗体を生成するように抗体に直接的または間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体検出可能であり得(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)または、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物または組成物の化学的変更を触媒し得る。検出可能な標識として機能し得る放射性核種には、例えば、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212およびPd−109が含まれる。標識はまた、毒素などの非検出可能な実体であり得る。
【0133】
フルオロフォアの例には、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば、5−FITC)、フルオレセインアミダイト(fluorescein amidite)(FAM)(例えば、5−FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5,−TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)およびスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)が含まれるがこれらに限定されない。
【0134】
治療的または診断的放射性同位体または他の標識(例えば、PETまたはSPECT標識)も、本明細書に記載される抗EDB抗体へのコンジュゲーションのために、薬剤中に組み込むことができる。同位体は、例えば、抗体中に存在するシステイン残基において、抗体に直接結合され得、またはキレーターが、抗体と放射性同位体との結合を媒介するために使用され得る。放射線療法に適切な放射性同位体には、α−放射体、β−放射体およびオージェ電子が含まれるがこれらに限定されない。診断適用のために、有用な放射性同位体には、ポジトロン放射体およびγ−放射体が含まれる。本発明の抗EDB抗体は、抗体の検出または治療効果を促進するために、例えば、抗体のチロシン残基上でさらにヨウ素化され得る。
【0135】
放射性同位体または他の標識の例には、
3H、
11C、
13N、
14C、
15N、
15O、
35S、
18F、
32P、
33P、
47Sc、
51Cr、
57Co、
58Co、
59Fe、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
67Ga、
68Ga、
75Se、
76Br、
77Br、
86Y、
89Zr、
90Y、
94Tc、
95Ru、
97Ru、
99Tc、
103Ru、
105Rh、
105Ru、
107Hg、
109Pd、
111Ag、
111In、
113In、
121Te、
122Te、
123I、
124I、
125I、
125Te、
126I、
131I、
131In、
133I、
142Pr、
143Pr、
153Pb、
153Sm、
161Tb、
165Tm、
166Dy、
166H、
167Tm、
168Tm、
169Yb、
177Lu、
186Re、
188Re、
189Re、
197Pt、
198Au、
199Au、
201Tl、
203Hg、
211At、
212Bi、
212Pb、
213Bi、
223Ra、
224Acおよび
225Acが含まれるがこれらに限定されない。
【0136】
リンカー
本発明のEDB ADCは、薬物を抗体に直接的または間接的に連結またはコンジュゲートするためにリンカーを使用して調製され得る。リンカーは、ADCを形成するために薬物と抗体とを連結する二機能性化合物である。かかるADCは、特異的抗原またはタンパク質に結合する抗体を介した薬物の選択的送達を可能にする。適切なリンカーには、例えば、切断可能なおよび切断不能なリンカーが含まれる。切断可能なリンカーは、典型的には、特定の細胞内および細胞外条件による薬物の切断および放出に対して感受性である。コンジュゲートされた薬物が細胞内で抗体から切断され得る主要な機構には、リソソームの酸性pHにおける加水分解(ヒドラゾン、アセタールおよびシス−アコニタート様アミド)、リソソーム酵素(カテプシンおよび他のリソソーム酵素)によるペプチド切断、およびジスルフィドの還元が含まれる。コンジュゲートされた薬物は、腫瘍微小環境(TME)において、カテプシンなどのプロテアーゼによって抗体から細胞外で切断され得る。切断のためのこれらの異なる機構の結果として、薬物を抗体に連結する機構も広く変動し、任意の適切なリンカーが使用され得る。
【0137】
適切なリンカーには、任意の切断可能なリンカーが含まれ得る。一部の態様では、適切なリンカーは、バリン−シトルリン(val−cit)リンカー、フェニルアラニン−リジン(phe−lys)リンカーもしくはマレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)リンカーを含み、またはトランスグルタミナーゼベースのコンジュゲーションテクノロジーに適切な、さらなる犠牲(immolation)要素に結合したジペプチド、例えば、N〜2〜−アセチル−L−リジル−L−バリル−L−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−N,N’−ジメチルアミノエチル−CO−(AcLys−vc)リンカーを含む。別の態様では、適切なリンカーには、ジスルフィドリンカー、例えば、スルファニルピリジン(diS)リンカーおよび2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エチルカルバモイル(diS−C
2OCO)リンカーが含まれる。別の態様では、このリンカーは、切断不能なリンカー、例えば、マレイミドカプロイル(mc)、マレイミド−ヘプタノイル(me)およびマレイミド−Peg6C2(MalPeg6C2)であり得る。他の態様では、適切なリンカーには、特定のpHまたはpH範囲において加水分解可能なリンカー、例えば、ヒドラゾンリンカーが含まれる。
【0138】
このリンカーは、例えば、リンカー上に存在するマレイミドまたはハロアセトアミドと、抗体上に存在するネイティブまたは操作されたシステイン残基との反応によって、チオエステル連結を介して抗体に共有結合され得る。別の態様では、このリンカーは、例えば、リンカー上に存在するN−ヒドロキシ−スクシンイミド活性化カルボン酸と、リジン残基の遊離アミンとの反応によって、抗体上に存在するリジン残基へのアミド連結を介して、抗体に共有結合され得る。別の態様では、このリンカーは、例えば、グルタミン残基の側鎖アミドとの、リンカー上に存在する一級アミンからの新たなアミド連結を創出するトランスグルタミナーゼ酵素によって触媒される酵素反応によって、抗体中に存在するまたは抗体中に操作されたグルタミン残基の側鎖へのアミド連結を介して、抗体に共有結合され得る。
【0139】
一部の態様では、本発明のリンカーには、構造:
【0140】
【化9】
を有する「mc−vc−PABC」または「vc−PABC」または「vc」リンカー、構造:
【0141】
【化10】
を有する「AcLys−vc−PABC−DMAE−CO」または「AcLys−vc」リンカー、構造:
【0142】
【化11】
を有するdiSリンカーおよび構造:
【0143】
【化12】
を有するdiS−C
2OCOリンカーが含まれる。
【0144】
EDB ADCを調製する方法
本発明のEDB ADCを調製するための方法が、本明細書で提供される。本発明は、本明細書で開示される慣習的におよび部位特異的コンジュゲートされたEDB ADCを産生または生成するためのプロセスをさらに提供し、(a)リンカーを薬物に連結させるステップ;(b)リンカー−薬物部分を抗体にコンジュゲートするステップ;および(c)抗体薬物コンジュゲートを精製するステップを含み得る。実施例3および4を参照のこと。
【0145】
一部の態様では、EDB ADCは、抗EDB抗体またはその抗原結合性断片の1つまたは複数のシステイン残基を介したリンカー−ペイロード部分の慣習的な非特異的コンジュゲーションを使用して、生成され得る。
【0146】
別の態様では、EDB ADCは、抗EDB抗体定常ドメイン中に操作された1つまたは複数の反応性システイン残基を介したリンカー−ペイロード部分の部位特異的コンジュゲーションを使用して、生成され得る。操作されたシステイン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのために抗体を調製する方法は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開番号WO2013/093809に記載されている。
【0147】
抗EDB抗体重鎖の1つまたは複数のアミノ酸残基は、薬物またはペイロードへのコンジュゲーションを目的として、システイン残基などの別のアミノ酸に置換され得る。一態様では、本発明は、以下の位置における操作されたシステイン残基を含む抗体重鎖定常領域を含む抗EDB抗体またはその抗原結合性断片を提供する:KabatのEUインデックスの番号付けに従って、118(Kabatに従えば114)、246、249、265、267、270、276、278、283、290、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、375、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443もしくは444、またはそれらの任意の組み合わせ。特に、118(Kabatに従えば114)、290、334、347、373、375、380、388、392、421、443位、またはそれらの任意の組み合わせが使用され得る。さらなるシステイン置換が導入され得る。
【0148】
別の態様では、本発明は、KabatのEUインデックスの番号付けに従って、290位における操作されたシステイン残基(K290C)を含む重鎖定常ドメインを含む抗EDB抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0149】
抗EDB抗体軽鎖定常ドメインの1つまたは複数のアミノ酸残基は、薬物またはペイロードへのコンジュゲーションを目的として、システイン残基などの別のアミノ酸に置換され得る。一態様では、本発明は、(i)Kabatの番号付けに従って、110、111、125、149、155、158、161、183、185、188、189、191、197、205、207、208もしくは210位、またはそれらの任意の組み合わせにおける操作されたシステイン残基;(ii)定常ドメインを配列番号37(カッパ軽鎖)とアラインさせた場合、配列番号37の残基4、42、81、100、103、またはそれらの任意の組み合わせに対応する位置における操作されたシステイン残基;または(iii)定常ドメインを配列番号38(ラムダ軽鎖)とアラインさせた場合、配列番号38の残基4、5、19、43、49、52、55、78、81、82、84、90、96、97、98、99、101、またはそれらの任意の組み合わせに対応する位置における操作されたシステイン残基を含む抗体軽鎖定常領域を含む抗EDB抗体またはその抗原結合性断片を提供する。さらなるシステイン置換が導入され得る。
【0150】
別の態様では、本発明は、(i)Kabatの番号付けに従って、111、149、188、207、210位、もしくはそれらの任意の組み合わせ(好ましくは111もしくは210)における操作されたシステイン残基;または(ii)定常ドメインを配列番号37とアラインさせた場合、配列番号37の残基4、42、81、100、103、もしくはそれらの任意の組み合わせ(好ましくは残基4もしくは103)に対応する位置における操作されたシステイン残基を含む抗体カッパ軽鎖定常領域を含む抗EDB抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0151】
別の態様では、本発明は、(i)Kabatの番号付けに従って、110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208、210位、もしくはそれらの任意の組み合わせ(好ましくは110、111、125、149もしくは155)における操作されたシステイン残基;または(ii)定常ドメインを配列番号38とアラインさせた場合、配列番号38の残基4、5、19、43、49、52、55、78、81、82、84、90、96、97、98、99、101、もしくはそれらの任意の組み合わせ(好ましくは残基4、5、19、43もしくは49)に対応する位置における操作されたシステイン残基を含む抗体ラムダ軽鎖定常領域を含む抗EDB抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0152】
別の態様では、本発明は、(i)Kabatの番号付けに従って、183位における操作されたシステイン残基(κK183C);または(ii)定常ドメインを配列番号37とアラインさせた場合、配列番号37の残基76に対応する位置における操作されたシステイン残基を含む軽鎖定常ドメインを含む抗EDB抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0153】
配列番号37(Cκ定常ドメイン)
RTVAAPSVFI FPPSDEQLKS GTASVVCLLN NFYPREAKVQ WKVDNALQSG NSQESVTEQD SKDSTYSLSS TLTLS
KADYE KHKVYACEVT HQGLSSPVTK SFNRGEC
配列番号38(Cλ定常ドメイン)
GQPKANPTVT LFPPSSEELQ ANKATLVCLI SDFYPGAVTV AWKADGSPVK AGVETTKPSK QSNNKYAASS YLSLTPEQWK SHRSYSCQVT HEGSTVEKTV APTECS
【0154】
別の態様では、EDB ADCは、抗EDB抗体定常領域中の、1つもしくは複数の操作されたアシルドナーグルタミン含有タグ、または反応性にされた内因性グルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーションテクノロジーを使用して生成され得る。アシルドナーグルタミン含有タグまたはグルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのために抗体を調製する方法は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開番号WO2012/059882に記載されている。
【0155】
一部の態様では、このアシルドナーグルタミン含有タグは、少なくとも1つのグルタミン(Q)を含み、重鎖および/または軽鎖の異なる位置(即ち、N末端、C末端または内部)に結合され得る。別の態様では、このアシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号39)、LLQG(配列番号40)、LSLSQG(配列番号41)、GGGLLQGG(配列番号42)、GLLQG(配列番号43)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号44)、GLLQGGG(配列番号45)、GLLQGG(配列番号46)、GLLQ(配列番号47)、LLQLLQGA(配列番号48)、LLQGA(配列番号49)、LLQYQGA(配列番号50)、LLQGSG(配列番号51)、LLQYQG(配列番号52)、LLQLLQG(配列番号53)、SLLQG(配列番号54)、LLQLQ(配列番号55)、LLQLLQ(配列番号56)およびLLQGR(配列番号57)から選択されるアミノ酸配列を含み得る。一部の態様では、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖定常ドメイン中の野生型アミノ酸位置を置き換える。一部の態様では、抗EDB抗体は、重鎖のE294〜N297位(KabatのEUインデックスに従う)におけるアミノ酸を置き換える、アミノ酸配列LLQG(配列番号40)を有するアシルグルタミン含有タグを含み得る。
【0156】
ADCの生成のための最適な反応条件は、反応変数、例えば、温度、pH、リンカー−ペイロード部分投入量および添加剤濃度の変動によって経験的に決定され得る。他の薬物のコンジュゲーションに適切な条件は、過度の実験なしに当業者によって決定され得る。EDB ADCをコンジュゲートおよび特徴付けるための代表的な方法は、実施例3および4に記載されている。
【0157】
コンジュゲーション後、それらのコンジュゲートは、慣習的な方法によって、コンジュゲートされていない反応物および/または凝集形態のコンジュゲートから分離され得、精製され得、特徴付けられ得る。これには、例えば、質量分析、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、限外濾過/ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、クロマトフォーカシング(CF)、部位特異的変異誘発、蛍光標識、X線結晶解析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、Sephacryl S−200クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)であるがこれらに限定されないプロセスが含まれる。適切なHIC媒体には、Phenyl Sepharose 6 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Butyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Octyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Toyopearl Ether−650Mクロマトグラフィー媒体、Macro−Prep methyl HIC媒体またはMacro−Prep t−Butyl HIC媒体が含まれるがこれらに限定されない。
【0158】
表13は、本明細書に記載されるコンジュゲーションおよび精製方法に従って産生され、実施例で提供されるデータを生成するために使用されるEDB ADCを提供する。
【0159】
本発明の一部の態様では、本発明のEDB ADCは、(a)EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片;(b)リンカー、および(c)薬物を含む。
【0160】
本発明の別の態様では、本発明のEDB ADCは、(a)EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片;(b)リンカー、および(c)薬物を含み、このリンカーは、切断可能なまたは切断不能なリンカーである。一部の態様では、このリンカーは、vc、diS、diS−C
2OCOまたはAcLys−vcである。
【0161】
本発明の別の態様では、本発明のEDB ADCは、(a)EDBに結合する抗体またはその抗原結合性断片;(b)リンカー、および(c)薬物を含み、この薬物は細胞傷害剤である。一部の態様では、この薬物はアウリスタチンである。一部の態様では、この薬物は、CPIまたはCBIダイマーである。一部の態様では、このアウリスタチンは、0101、1569、9411または4574である。一部の態様では、このCPIダイマーは、CPI−8314またはCPI−0326である。
【0162】
本発明の一部の態様では、本発明のEDB ADCは、(a)配列番号8を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号8を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号17を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号17を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号19を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号19を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号23を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号23を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号25を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号25を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号27を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;配列番号27を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖;配列番号29を含む重鎖および配列番号15を含む軽鎖;または配列番号29を含む重鎖および配列番号31を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片;(b)リンカー、ならびに(c)薬物を含む。一部の態様では、このリンカーは、切断可能なまたは切断不能なリンカーである。一部の態様では、このリンカーは、vc、diS、diS−C
2OCOまたはAcLys−vcである。一部の態様では、この薬物は細胞傷害剤である。一部の態様では、この薬物はアウリスタチンである。一部の態様では、この薬物は、CPIまたはCBIダイマーである。一部の態様では、このアウリスタチンは、0101、1569、9411または4574である。一部の態様では、このCPIダイマーは、CPI−8314またはCPI−0326である。
【0163】
EDB ADCの使用
本発明の抗EDB抗体およびEDB ADCは、治療的処置方法および診断的処置方法が含まれるがこれらに限定されない種々の適用において有用である。
【0164】
本発明は、対象においてEDB+FN発現性障害または疾患、例えば、EDB+FN発現と関連する非がんもしくはがんおよび/またはEDB+FN発現性がんを処置するための方法を提供する。本発明は、対象においてEDB+FN発現性障害、例えば、EDB+FN発現と関連する非がんもしくはがんおよび/またはEDB+FN発現性がんを処置するための方法における使用のための、本明細書に記載されるEDB ADCまたは医薬組成物もまた提供する。本発明は、対象においてEDB+FN発現性障害、例えばEDB+FN発現と関連する非がんもしくはがんおよび/またはEDB+FN発現性がんを処置するための医薬の製造における、本明細書に記載されるEDB ADCまたは医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0165】
一部の態様では、本発明は、EDB発現性障害、例えばEDB+FN発現と関連する非がんもしくはがんおよび/またはEDB発現性がんを有する対象において、腫瘍の成長または進行を阻害する方法であって、1つまたは複数の本明細書に記載されるEDB ADCを有する組成物(即ち、医薬組成物)の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。本発明の他の態様では、対象においてEDB+FN発現と関連するがん細胞および/またはEDB+FN発現性がんの転移を阻害する方法であって、1つまたは複数の本明細書に記載されるEDB ADCを有する組成物(即ち、医薬組成物)の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提供される。本発明の他の態様では、対象においてEDB+FN発現と関連する腫瘍および/またはEDB+FN発現性がんの退縮を誘導する方法であって、1つまたは複数の本明細書に記載されるEDB ADCを有する組成物(即ち、医薬組成物)の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【0166】
一部の態様では、このEDB+FN発現は、腫瘍細胞に隣接する細胞外マトリックス(ECM)において検出され得る。EDB+FNは、腫瘍細胞を含む、腫瘍微小環境中の線維芽細胞以外の細胞によって発現され得る。次いで、分泌されたEDB+FNは、腫瘍細胞に隣接するマトリックス中または腫瘍細胞の原形質膜上に沈着され得る。他の態様では、本発明は、上記方法における使用のための、1つまたは複数の本明細書に記載されるEDB ADCを含む医薬組成物を提供する。他の態様では、本発明は、上記方法における使用のための医薬の製造における、1つもしくは複数の本明細書に記載されるEDB ADC、または本明細書に記載されるEDB ADCを含む医薬組成物の使用を提供する。
【0167】
EDB+FN発現と関連するがんおよび/またはEDB+FN発現性がんには、一般に、組織リモデリングと関連する任意のがんが含まれ得る。さらに、EDB+FN発現と関連するがんおよび/またはEDB+FN発現性がんには、固形腫瘍および血液がんが含まれ得るがこれらに限定されない。一部の態様では、固形腫瘍には、甲状腺がん、肉腫、乳がん、膵臓がん、神経膠芽腫、胆嚢がん、腎臓がん、皮膚がん、子宮がん、中皮腫、結腸直腸がん、頭頚部がん、卵巣がん、膀胱がん、精巣がん、前立腺がん、肝臓がん、内分泌がん、胸腺がん、脳腫瘍、副腎がん、眼がん、子宮頚がんおよび肺がんが含まれるがこれらに限定されない。別の態様では、血液がんには、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれるがこれらに限定されない。
【0168】
本発明のEDB ADCは、EDB+FN発現性障害、例えばEDB+FN発現と関連するがんおよび/またはEDB+FN発現性がんを処置する際に有用である。本発明のEDB ADCは、高いレベルのEDB+FN、中程度のレベルのEDB+FNまたは低いレベルのEDB+FNを発現するがんを処置するために使用され得る。
【0169】
従って、本発明のEDB ADCで処置される患者は、バルク腫瘍サンプルのmRNA(qPCR)、および腫瘍起源または組織学ではなく、富化された標的発現について選択された患者集団において生じるEDB+FNタンパク質の上昇した発現が含まれるがこれらに限定されないバイオマーカー発現に基づいて選択され得る。標的発現は、細胞染色の強度と組み合わせた、細胞染色の数の関数として測定され得る。
【0170】
がん成長または異常増殖とは、より発達したがん形態または障害状態への細胞内の変化を示唆するいくつかの指標のうちいずれか1つを指す。がん細胞または非新生物性増殖性障害の細胞の成長の阻害は、当該分野で公知の方法、例えば、遅延した腫瘍成長および転移の阻害によってアッセイされ得る。がん成長の阻害を測定するための他の指標には、がん細胞生存における減少、腫瘍体積または形態学的における減少(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波検査または他の画像化方法を使用して決定される)、腫瘍脈管構造の破壊、遅延型過敏症皮膚試験における改善された成績、細胞傷害性Tリンパ球の活性における増加、および腫瘍特異的抗原のレベルにおける減少が含まれる。
【0171】
開示された治療方法の所望の転帰は、一般に、対照またはベースライン測定値と比較した、定量化可能な尺度である。本明細書で使用する場合、相対的な用語、例えば、「改善する」、「増加させる」または「低減させる」は、対照または比較分子、例えば、本明細書に記載される処置の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される処置の非存在下での対照個体(または複数の対照個体)における測定値と比較した値を示す。代表的な対照個体は、処置される個体と同じ形態のがんに罹患し、処置される個体と約同じ年齢である個体である(処置された個体および対照個体における障害のステージが同等であることを確実にするため)。
【0172】
治療に応答した変化または改善は、一般に、統計的に有意である。本明細書で使用する場合、用語「有意性」または「有意な」は、2つ以上の実体間の非ランダムな関係が存在する確率の統計分析に関する。関係性が「有意」であるまたは「有意性」を有するか否かを決定するためのデータの統計的操作が「p値」であり得る。ユーザーが定義したカットオフポイントより下のp値は、有意とみなされる。0.1またはそれ未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.001未満のp値は、有意とみなされ得る。
【0173】
in vivo検出および診断
別の態様では、EDB+FN発現性障害、例えばEDB+FN発現と関連するがんおよび/またはEDB+FN発現性がんを検出、診断および/またはモニタリングする方法が提供される。例えば、本明細書に記載される抗EDB抗体は、検出可能な部分、例えば、画像化剤および酵素−基質標識で標識され得る。本明細書に記載される抗体は、in vivo診断アッセイ、例えば、in vivo画像化(例えば、PETまたはSPECT)、または染色試薬にも使用され得る。
【0174】
薬物が検出可能な標識であるEDB ADCの対象への投与後、および結合のための十分な時間の後、抗体が結合したEDB+FNタンパク質の体内分布が可視化され得る。開示された診断方法は、処置方法と組み合わせて使用され得る。さらに、本発明のEDB ADCは、検出および治療の二重の目的のために投与され得る。
【0175】
代表的な非侵襲性検出方法には、シンチグラフィー(例えば、SPECT(単一光子放射断層撮影)、PET(ポジトロン断層撮影)、ガンマカメラ画像化および直線移動形スキャニング)、磁気共鳴画像化(例えば、従来の磁気共鳴画像化、磁化移動画像化(MTI)、プロトン磁気共鳴分光法(MRS)、拡散強調画像化(DWI)および機能的MR画像化(fMRI))および超音波が含まれる。
【0176】
製剤
本発明は、本明細書で開示されるEDB ADCのいずれかおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物をさらに提供する。さらに、これらの組成物は、1つよりも多い本明細書で開示されるEDB ADCを含み得る。
【0177】
本発明において使用される組成物は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の、薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy 第21版、2005、Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編)をさらに含み得る。許容できる担体、賦形剤または安定剤は、投薬量および濃度においてレシピエントにとって非毒性であり、これには、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニン抗酸化剤を含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;グルコース、マンノースもしくはデキストランを含む、単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)が含まれ得る。「薬学的に許容できる塩」とは、本明細書で使用する場合、分子または高分子の薬学的に許容できる有機または無機塩を指す。薬学的に許容できる賦形剤は、本明細書にさらに記載される。
【0178】
薬学的に許容できる賦形剤を含む製剤が含まれるがこれらに限定されない、EDB ADCの種々の製剤が、投与のために使用され得る。薬学的に許容できる賦形剤は、当該分野で公知であり、薬理学的に有効な物質の投与を促進する、比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態もしくは堅牢性を与え得、または希釈剤として作用し得る。適切な賦形剤には、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変動させるための塩、カプセル化剤、緩衝液ならびに皮膚浸透増強剤が含まれるがこれらに限定されない。非経口および経口(nonparenteral)薬物送達のための賦形剤および製剤は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Mack Publishing、2000に示されている。
【0179】
本発明の一部の態様では、これらの薬剤は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために製剤化され得る。従って、これらの薬剤は、薬学的に許容できるビヒクル、例えば、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液などと組み合わされ得る。特定の投薬レジメン、即ち、用量、タイミングおよび反復は、特定の個体およびその個体の病歴に依存する。
【0180】
本発明に従って使用されるEDB ADCの治療的製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の、所望の程度の純度を有する抗体を任意選択の薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy 第21版、Mack Publishing、2005)と混合することによって、貯蔵のために調製され得る。許容できる担体、賦形剤または安定剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントにとって非毒性であり、これには、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸;塩、例えば、塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む、単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)が含まれ得る。
【0181】
治療的EDB ADC組成物は一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に配置される。本発明に従う組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与、または吸入もしくは吹送による投与のための単位投薬形態、例えば、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁物、または坐剤であり得る。
【0182】
適切な表面活性剤には、特に、非イオン性薬剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(商標)20、40、60、80または85)および他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80または85)が含まれる。表面活性剤を含む組成物は、0.05%と5%との間の表面活性剤を簡便には含み、0.1%と2.5%との間であり得る。必要に応じて、他の成分、例えば、マンニトールまたは他の薬学的に許容できるビヒクルが添加され得ることが理解される。
【0183】
適切な乳濁物は、市販の脂肪乳濁物、例えば、INTRALIPID(商標)、LIPOSYN(商標)、INFONUTROL(商標)、LIPOFUNDIN(商標)およびLIPIPHYSAN(商標)を使用して調製され得る。活性成分は、事前混合された乳濁物組成物中に溶解され得、またはあるいは、油(例えば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、コーン油またはアーモンド油)およびリン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質またはダイズレシチン)と水とを混合して形成される乳濁物中に溶解され得る。乳濁物の浸透圧を調整するために、他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースが添加され得ることが理解される。適切な乳濁物は、典型的には、最大で20%の油、例えば、5%と20%との間の油を含む。脂肪乳濁物は、0.1μmと1.0μmとの間、特に、0.1μmと0.5μmとの間の脂肪滴を含み得、5.5〜8.0の範囲のpHを有し得る。乳濁物組成物は、EDB ADCを、INTRALIPID(商標)またはその構成要素(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することによって調製される組成物であり得る。
【0184】
本発明は、本発明の方法における使用のためのキットもまた提供する。本発明のキットは、本明細書に記載されるEDB抗体またはEDB ADCを含む1つまたは複数の容器、および本明細書に記載される本発明の方法のいずれかに従う使用のための指示書を含む。一般に、これらの指示書は、上記診断的または治療的処置のためのEDB抗体またはEDB ADCの投与の説明を含む。
【0185】
本明細書に記載されるEBD抗体またはEDB ADCの使用に関する指示書は、一般に、意図した処置のための投薬量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。これらの容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数用量包装)またはサブ単位用量であり得る。本発明のキット中に供給される指示書は、典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キット中に含まれる紙シート)上に書かれた指示書であるが、機械可読な指示書(例えば、磁気または光学記憶ディスク上で運搬される指示書)も許容できる。
【0186】
本発明のキットは、適切な包装材料中にある。適切な包装材料には、バイアル、ビン、広口ビン、可撓性包装材料(例えば、密封Mylarまたはプラスチックバッグ)などが含まれるがこれらに限定されない。特定のデバイス、例えば、インヘラー、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)または注入デバイス、例えば、ミニポンプと組み合わせた使用のための包装もまた企図される。キットは、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。容器もまた、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1種の活性な薬剤は、EDB抗体またはEDB ADCである。この容器は、第2の薬学的に活性な薬剤をさらに含み得る。
【0187】
キットは、任意選択により、さらなる構成要素、例えば、緩衝液および解釈的情報を提供し得る。通常、キットは、容器、および容器上のまたは容器と関連するラベルまたは添付文書(複数可)を含む。
【0188】
用量および投与
本発明は、有効投薬量で投与されるEDB ADCを提供する。語句「有効投薬量」または「有効量」とは、本明細書で使用する場合、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望の治療結果を達成するために必要な、ADC、薬物、ペイロード、化合物または医薬組成物の量を指す。予防的使用について、有益なまたは所望の結果には、障害の生化学的、組織学的および/または行動的症状、障害の発達の間に存在するその合併症および中間の病理学的表現型を含め、障害のリスクを排除もしくは低減させること、その重症度を低下させること、またはその発生を遅延させることが含まれる。治療的使用について、有益なまたは所望の結果には、臨床結果、例えば、がんなどの種々のEDB+FN発現性障害の1つもしくは複数の症状の発生率を低減させることもしくはそれを軽快させること、障害を処置するために必要とされる他の薬物療法の用量を減少させること、別の薬物療法の効果を増強すること、および/または患者のEDB+FN発現性障害の進行を遅延させることが含まれる。
【0189】
有効投薬量は、1回または複数の投与で投与され得る。ADC、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物または医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。従って、「有効投薬量」は、1種または複数の治療剤を投与する観点から検討され得、単一の薬剤は、1種または複数の他の薬剤と併せて所望の結果が達成され得るまたは達成される場合、有効量で与えられるとみなされ得る。
【0190】
例えば、がん保有対象に投与される場合、有効量は、がん細胞細胞溶解、がん細胞増殖の阻害、がん細胞アポトーシスの誘導、がん細胞抗原の低減、腫瘍成長の遅延および/または転移の阻害を含む抗がん活性を誘発するのに十分な量を含む。腫瘍収縮は、有効性についての臨床的代用マーカーとして、十分に許容される。有効性についての別の十分に許容されるマーカーは、無増悪生存である。
【0191】
本発明のEDB ADCは、任意の適切な経路を介して個体に投与され得る。本明細書に記載される例は、限定ではなく、利用可能な技術の例示であることを意図するものであることを、当業者は理解すべきである。従って、本発明の一部の態様では、EDB ADCは、公知の方法に従って、例えば、静脈内投与、例えば、ボーラスとして、または一定期間にわたる連続的注入によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液嚢内で、吹送、くも膜下腔内、経口、吸入または外用経路を介して、個体に投与される。投与は、全身性、例えば、静脈内投与、または限局性であり得る。ジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーを含む、液体製剤のための市販のネブライザーが、投与に有用である。液体製剤は、直接噴霧され得、凍結乾燥粉末は、復元後に噴霧され得る。あるいは、EDB ADCは、フルオロカーボン製剤および計量用量インヘラーを使用してエアロゾル化され得、または凍結乾燥および製粉された粉末として吸入され得る。
【0192】
本発明の一部の態様では、EDB ADCは、部位特異的または標的化された局所的送達技術を介して投与される。部位特異的または標的化された局所的送達技術の例には、EDC ADCの種々のインプラント可能なデポー供給源、または局所的送達カテーテル、例えば、注入カテーテル、留置カテーテルもしくは針カテーテル、合成グラフト、外膜ラップ、シャントおよびステントもしくは他のインプラント可能なデバイス、部位特異的担体、直接注射、または直接適用が含まれる。
【0193】
本発明の目的のために、EDB ADCの適切な投薬量は、使用される特定のEDB ADC(またはその組成物)、処置される症状の型および重症度、薬剤が治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、患者の臨床歴および薬剤に対する応答、投与された薬剤についての患者のクリアランス速度、ならびに担当医の慎重さに依存し得る。臨床医は、所望の結果を達成するおよびそれを越える投薬量に到達するまで、EDB ADCを投与し得る。用量および/または頻度は、処置の過程にわたって変動し得るが、一定のままであってもよい。半減期などの経験的検討事項は、一般に、投薬量の決定に寄与するはずである。例えば、ヒト免疫系と適合性の抗体、例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体は、抗体の半減期を延長させるため、および宿主の免疫系によって抗体が攻撃されるのを防止するために使用され得る。投与の頻度は、治療の過程にわたって決定および調整され得、必ずではないが一般に、症状の処置および/または抑制および/または軽快および/または遅延、例えば、腫瘍成長の阻害または遅延などに基づく。あるいは、EDB ADCの連続的徐放製剤が適切であり得る。徐放を達成するための種々の製剤およびデバイスは、当該分野で公知である。
【0194】
本発明の目的のために、典型的な1日投薬量は、上述の因子に依存して、約3μg/kgから、30μg/kgまで300μg/kgまで3mg/kgまで、30mg/kgまで、100mg/kgまでまたはそれ以上までのいずれかの範囲であり得る。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kgおよび約25mg/kgの投薬量が使用され得る。数日間またはそれよりも長い期間にわたる反復投与について、障害に依存して、処置は、症状の所望の抑制が生じるまで、または例えば、腫瘍成長/がん細胞の進行もしくは転移を阻害するもしくは遅延させるのに十分な治療的レベルが達成されるまで、持続される。例示的な投薬レジメンは、漸増用量(例えば、1mg/kgの初回用量、および1週間毎またはより長い期間毎の、1つまたは複数のより高い用量への漸進的増加)を投与することを含み得る。他の投薬レジメンもまた、実務者が達成を望む薬物動態減衰のパターンに依存して、有用であり得る。例えば、本発明の一部の態様では、1週間に1回〜4回の投薬が企図される。他の態様では、1カ月に1回または隔月で1回もしくは3カ月毎に1回の投薬、ならびに毎週、隔週および3週間毎の投薬が企図される。この治療の進行は、慣習的な技術およびアッセイによって容易にモニタリングされ得る。投薬レジメン(使用されるEDB ADCを含む)は、経時的に変動し得る。
【0195】
本発明の一部の態様では、EDB ADCの投薬量は、EDB ADCの1回または複数の投与が与えられた個体において、経験的に決定され得る。個体には、EDB ADCの増分投薬量が与えられ得る。有効性を評価するために、障害の指標は以下のとおりであり得る。
【0196】
本発明の方法に従うEDB ADCの投与は、例えば、レシピエントの生理学的障害、投与の目的が治療的であるか予防的であるか、および当業者に公知の他の因子に依存して、連続的または間欠的であり得る。EDB ADCの投与は、事前選択された期間にわたって本質的に連続的であり得、または一連の間隔をあけた用量であり得る。
【0197】
併用治療
本発明の一部の態様では、本明細書に記載される方法は、さらなる形態の治療を用いて対象を処置するステップをさらに含む。一部の態様では、このさらなる形態の治療は、化学療法、放射線、手術、ホルモン治療および/またはさらなる免疫療法において使用されるものが含まれるがこれらに限定されない、さらなる抗がん治療である。
【0198】
開示されたEDB ADCは、初回処置として、または慣習的治療に対して非応答性であるがんの処置のために投与され得る。さらに、EDB ADCは、それによって相加的もしくは強化された治療効果を誘発するため、および/または一部の抗がん剤の細胞傷害性を低減させるために、他の治療(例えば、外科的切除、放射線、さらなる抗がん薬物など)と併用され得る。本発明のEDB ADCは、さらなる薬剤と共投与もしくは共製剤化され得、または任意の順序でのさらなる薬剤との継続的投与のために製剤化され得る。
【0199】
本発明のEDB ADCは、治療的抗体、ADC、免疫調節剤、細胞傷害剤および細胞分裂停止剤が含まれるがこれらに限定されない他の治療剤と併用して使用され得る。併用治療に有用な代表的な薬剤には、「薬物」の小見出しの下にEDB ADCの調製に有用として本明細書に上記される薬物のいずれかも含まれる。
【0200】
治療剤には、化学療法剤、ワクチン、CAR−T細胞ベースの治療、放射線療法、サイトカイン治療、ワクチン、二重特異性抗体、ADC、他の免疫抑制経路の阻害剤、血管新生の阻害剤、T細胞活性化因子、代謝経路の阻害剤、mTOR阻害剤、アデノシン経路の阻害剤、インライタ、ALK阻害剤およびスニチニブが含まれるがこれらに限定されないチロシンキナーゼ阻害剤、BRAF阻害剤、エピジェネティック改変因子、Treg細胞および/または骨髄系由来サプレッサー細胞の阻害剤または枯渇因子、JAK阻害剤、STAT阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、生物療法剤(VEGF、VEGFR、EGFR、Her2/neu、他の増殖因子受容体、CD20、CD40、CD−40L、CTLA−4、OX−40、4−1BBおよびICOSに対する抗体が含まれるがこれらに限定されない)、免疫原性薬剤(例えば、弱毒化がん性細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例えば、腫瘍由来の抗原または核酸でパルスした樹状細胞、免疫刺激性サイトカイン(例えば、IL−2、IFNa2、GM−CSF)、および例えばGM−CSFであるがこれに限定されない免疫刺激性サイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトされた細胞)の投与が含まれるがこれらに限定されない。
【0201】
単独で使用され得るまたはADCとして使用され得るさらなる代表的な抗体には、抗5T4抗体(例えば、A1、A2およびA3)、抗CD19抗体、抗CD20抗体(例えば、RITUXAN(登録商標)、ZEVALIN(登録商標)、BEXXAR(登録商標))、抗CD22抗体、抗CD33抗体(例えば、MYLOTARG(登録商標))、抗CD33抗体−薬物コンジュゲート、抗Lewis Y抗体(例えば、Hu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗HER−2抗体(例えば、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、MDX−210、OMNITARG(登録商標)(ペルツズマブ、rhuMAb2C4))、抗CD52抗体(例えば、CAMPATH(登録商標))、抗EGFR抗体(例えば、ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)、ABX−EGF(パニツムマブ))、抗VEGF抗体(例えば、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ))、抗DNA/ヒストン複合体抗体(例えば、ch−TNT−1/b)、抗CEA抗体(例えば、CEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗CD47抗体(例えば、6H9)、抗VEGFR2(またはキナーゼインサートドメイン含有受容体、KDR)抗体(例えば、IMC−1C11)、抗Ep−CAM抗体(例えば、ING−1)、抗FAP抗体(例えば、シブロツズマブ(sibrotuzumab))、抗DR4抗体(例えば、TRAIL−R)、抗プロゲステロン受容体抗体(例えば、2C5)、抗CA19.9抗体(例えば、GIVAREX(登録商標))および抗フィブリン抗体(例えば、MH−1)が含まれるがこれらに限定されない。
【0202】
化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパおよびウレドパ;エチレンイミン、ならびにアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミンを含むメチルメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビセレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログKW−2189およびCBI−TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特に、カリチアマイシンガンマ1およびカリチアマイシンphiM、例えば、Agnew、Chem.Intl.Ed.Engl.、33:183〜186(1994)を参照のこと;ダイネミシンAを含むダイネミシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連の色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ(pyrrolino)−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、ペグ化リポソームドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えば、マイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン(特に、T−2毒素、ベルカリンA、ロリジンAおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;ならびに上のいずれかの薬学的に許容できる塩、酸または誘導体が含まれる。
【0203】
腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY1 17018、オナプリストンおよびトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン薬および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾールおよびアナストロゾールなど;ならびに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリドおよびゴセレリン;ならびに上のいずれかの薬学的に許容できる塩、酸または誘導体もまた含まれる。
【0204】
一部の態様では、EDB ADCは、クリゾチニブ、パルボシクリブ、ゲムシタビン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、FOLFOX、フォリン酸、オキサリプラチン、アキシチニブ、スニチニブリンゴ酸塩、トファシチニブ、ベバシズマブ、リツキシマブおよびトラスツズマブと併用して使用され得る。
【0205】
一態様では、EDB ADCによる処置後、腫瘍浸潤リンパ球における増加、CD8/CD4比における増加、F4/80+マクロファージにおける増加、ならびに/もしくは免疫調節タンパク質、例えば、PDL1および41BBにおける増加、またはそれらの任意の組み合わせが生じ得る。従って、EDB ADCと免疫チェックポイント阻害剤またはIO剤、例えば、抗41BBアゴニストおよび/または抗PDL1アンタゴニストモノクローナル抗体との併用は、有効であり得る(実施例12を参照のこと)。さらに、本発明のEDB ADC単独は、免疫調節機構、および免疫腫瘍(IO)剤を可能にする機構を有し得、これは、併用治療を用いて増加され得る。
【0206】
一部の態様では、EDB ADCは、PD−1、PD−L1、CTLA−4、LAG−3、B7−H3、B7−H4、B7−DC(PD−L2)、B7−H5、B7−H6、B7−H8、B7−H2、B7−1、B7−2、ICOS、ICOS−L、TIGIT、CD2、CD47、CD80、CD86、CD48、CD58、CD226、CD155、CD112、LAIR1、2B4、BTLA、CD160、TIM1、TIM−3、TIM4、VISTA(PD−H1)、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、4−1BB、4−BBL、DR3、TL1A、CD40、CD40L、CD30、CD30L、LIGHT、HVEM、SLAM(SLAMF1、CD150)、SLAMF2(CD48)、SLAMF3(CD229)、SLAMF4(2B4、CD244)、SLAMF5(CD84)、SLAMF6(NTB−A)、SLAMCF7(CS1)、SLAMF8(BLAME)、SLAMF9(CD2F)、CD28、CEACAM1(CD66a)、CEACAM3、CEACAM4、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM7、CEACAM8、CEACAM1−3AS CEACAM3C2、CEACAM1−15、PSG1−11、CEACAM1−4C1、CEACAM1−4S、CEACAM1−4L、IDO、TDO、CCR2、CD39−CD73−アデノシン経路(A2AR)、BTK、TIK、CXCR2、CCR4、CCR8、CCR5、VEGF経路、CSF−1を標的化する薬剤(例えば、抗体)、または自然免疫応答モジュレーターが含まれるがこれらに限定されない、免疫チェックポイントモジュレーターを標的化する1種または複数の他の治療剤と併用して使用され得る。
【0207】
併用治療について、EDB ADCおよび/または1種もしくは複数のさらなる治療剤は、意図した治療の成績に適切な任意の時間枠内に投与される。従って、単一の薬剤が、実質的に同時に(即ち、単一の製剤として、または数分もしくは数時間以内に)、または任意の順序で継続的に投与され得る。例えば、単一薬剤処置は、互いに約1年以内、例えば、約10、8、6、4もしくは2カ月以内、または4、3、2もしくは1週間以内、または約5、4、3、2もしくは1日以内に投与され得る。
【0208】
開示された併用治療は、相乗的治療効果、即ち、その個々の効果または治療的転帰の合計よりも大きい効果を誘発し得る。例えば、相乗的治療効果は、単一の薬剤によって誘発される治療効果、または所与の併用の単一の薬剤によって誘発される治療効果の合計よりも少なくとも約2倍大きい、または少なくとも約5倍大きい、または少なくとも約10倍大きい、または少なくとも約20倍大きい、または少なくとも約50倍大きい、または少なくとも約100倍大きい効果であり得る。相乗的治療効果は、単一の薬剤によって誘発される治療効果、または所与の併用の単一の薬剤によって誘発される治療効果の合計と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、またはそれよりも大きい、治療効果における増加としても観察され得る。相乗的効果は、治療剤が併用して使用される場合に、それらの投薬の低減を可能にする効果でもある。
【実施例】
【0209】
本発明を実施するための具体的態様の以下の実施例は、例示目的のために提供されているにすぎず、本発明の範囲を決して限定しない意図である。実際、本明細書に示され記載されるものに加えた、本発明の種々の改変が、上述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に入る。
【0210】
(実施例1)
抗EDB抗体の生成およびコンジュゲーションのための調製
抗EDB抗体の生成
EDBに結合する種々の完全ヒト抗体をコードするcDNAを、標準的な分子生物学の方法論を使用して構築し、EDBに特異的に結合するL19ヒトモノクローナル抗体(本明細書で以後「抗EDB−L19」または「EDB−L19」抗体)から誘導した。EDB−L19抗体は、356位におけるアスパラギン酸(D)および358位におけるロイシン(L)(KabatのEUインデックスに従う)を有するG1m(a)アロタイプを有するヒトIgG1定常領域、ならびにヒトカッパ軽鎖定常領域を含む。EDB−L19抗体重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号1および10に示され、重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号8および15に示される。
【0211】
非免疫原性抗体を産生するために、356位におけるグルタミン酸(E)および358位におけるメチオニン(M)(KabatのEUインデックスに従う)を有する非G1m(a)アロタイプを、EDB−L19重鎖中に導入した。重鎖を生成するために、EDB−L19重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を、Glm
z、非(a)、非(x)アロタイプを有するヒトIgG1定常領域cDNAに融合させた。一部の態様では、これらの抗体を、EDB−L19抗体IgG1定常領域のC末端リジン(K)を排除してさらに変更して、EDB−PFE HC(配列番号17)を生成することによって、抗体の電荷バリアントを減少させ、均質性を増加させた。EDB−PFE抗体重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号17および15に示される。
【0212】
表4に示されるように、Prince Autosamplerを備えたiCE3を使用して画像化キャピラリー電気泳動(iCE)を実施して、抗体調製物についての電荷バリアントのパーセントを決定した。EDB−L19抗体は、EDB−PFE抗体と比較して、細胞培養の間の不完全なC末端リジンプロセシングの結果として、塩基性種におけるかなりの増加および抗体の主要ピークの減少を有した。
【0213】
【表4】
【0214】
操作されたシステイン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのための抗体
反応性の操作されたシステイン残基を介した種々のリンカー−ペイロードへの部位特異的コンジュゲーションのために抗EDB抗体を調製するための方法を、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開番号WO2013/093809に記載されるように、一般に実施した。重鎖上の1つまたは複数の残基、例えば、K290位(KabatのEUインデックスに従う)、または軽鎖上の1つまたは複数の残基、例えば、K183位(Kabatに従う)を、部位特異的変異誘発によって、システイン(C)残基に変更した。
【0215】
一部の態様では、EDB−PFE抗体のヒトIgG1重鎖定常領域中のK290位(KabatのEUインデックスに従う)を、反応性システイン(C)で置換して、EDB−(K290C)HC(配列番号19)を生成する部位特異的コンジュゲーションを可能にした。他の態様では、ヒトカッパ軽鎖定常領域中の残基K183(Kabatに従う)を、反応性システイン(C)に置換して、EDB−(κK183C)LC(配列番号31)を生成する部位特異的コンジュゲーションを可能にした。
【0216】
操作されたグルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのための抗体
種々のリンカー−ペイロードへのコンジュゲーションのために、種々のアミノ酸位置においてグルタミン含有(「Q」)タグなどの反応性グルタミン残基で操作したヒトIgG1サブタイプを有する抗EDB抗体を発現させた。反応性グルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーションのために抗EDB抗体を調製するための方法を、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開番号WO2012/059882に記載されるように、一般に実施した。
【0217】
一部の態様では、H16−グルタミンタグLLQG(配列番号40)を、EDB−PFE抗体のヒトIgG1−Fc領域内に操作して、DAR 2トランスグルタミナーゼ媒介性部位特異的コンジュゲーションを可能にした。例えば、EDB−PFE抗体重鎖では、E294〜N297位(KabatのEUインデックスに従う)におけるアミノ酸を、H16−グルタミン含有タグLLQG(配列番号40)で置き換えた。他の態様では、これらの抗体を、操作されたH16−グルタミン含有タグへのコンジュゲーションの特異性を増加させるためにさらに変更した。重鎖上の222位(KabatのEUインデックスに従う)におけるリジン(K)アミノ酸を、アルギニン(R)で置換して、EDB−(H16−K222R)HC(配列番号27)を生成した。K222R置換は、均質なADCにおける増加、抗体とリンカー−ペイロードとの間の改善された分子間架橋、および/または抗体軽鎖のC末端上のH16−グルタミン含有タグとの鎖間架橋における有意な減少を提供した。
【0218】
潜在的な化学的傾向
特にCDR内の潜在的な化学的傾向は、分子不均質性に影響を与え得、推定タンパク質糖化部位を結合する抗原を生じ得る。タンパク質糖化は、細胞培養の間に組換え抗体において生じ得る非酵素的グリコシル化であり、糖化されたタンパク質は、終末糖化産物と集合的に呼ばれる、あまり特徴付けられていない不均質な産物を生成する、さらなる反応を受け得る。潜在的な糖化傾向を緩和するために、EDB−L19重鎖可変領域中のCDR3に隣接するK94位(Kabatの番号付け)をアルギニン(R)に変異させて、EDB−(K94R)VH(配列番号21)を生成し、次いで、ヒトIgG1定常領域に融合させて、EDB−(K94R)HC(配列番号23)を生成した。K94R糖化変異もまた、部位特異的コンジュゲーションのために操作されたEDB−(K290C)およびEDB−(H16−K222R)重鎖内に導入して、それぞれ、EDB−(K94R−K290C)HC(配列番号25)およびEDB−(K94R−H16−K222R)HC(配列番号29)を生成した。
【0219】
(実施例2)
EDB抗体バリアント結合特性の特徴付け
結合親和性分析
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、組換えヒト、カニクイザルおよびラット7−EDB−89(それぞれ、配列番号34、配列番号35および配列番号36)に対する抗EDB抗体バリアントの結合速度論を特徴付け、K94R糖化変異を有する抗EDB抗体の結合特性が完全に保持されていたことを確認した。結合は、表面から屈折してくるレーザー光の表面SPRによって検出する。シグナル速度論オンレート(ka)およびオフレート(kd)の分析は、非特異的相互作用と特異的相互作用との間の識別を可能にする。
【0220】
抗ヒトIgG抗体(GE Healthcare)を、製造業者のプロトコールに従って、約10,000共鳴単位(RU)の密度になるように、CM5カルボキシメチル化デキストランコーティングセンサーチップの4つ全てのフローセル上に共有結合的にアミンカップリングさせ、次いで、各抗EDB抗体バリアントを、およそ60〜90RUのレベルまで捕捉した。使用したランニングおよびサンプル緩衝液は、HBS−EP+緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTAおよび0.05%v/v界面活性剤P20 pH7.4)であった。600nM〜11.1nMの濃度範囲の7−EDB−89の3倍段階希釈シリーズを、60秒間の会合および120秒間の解離にわたって、50μL/分の流速で表面上に注入した。次いで、この表面を、3M MgCl
2の30秒間パルス、イオン性再生緩衝液(0.46M KSCN、1.83M MgCl2、0.92M尿素および1.83Mグアニジン−HCl pH7.4)の30秒間パルスで再生し、次いで、HBS−EP+ランニング緩衝液の30秒間パルスで平衡化した。全てのSPRアッセイを、BIAcore(登録商標)T200機器(GE Healthcare)を使用して、1Hzのデータ収集速度で25℃で実施した。得られたセンサーグラムを、対照表面および緩衝液注入の両方を使用して二重参照した(Myszka,D.G.、J.Mol.Recognit.、12:279〜284、1999)。速度定数を、BIAcore(登録商標)T200評価ソフトウェアv2.0および等式K
D=k
d/k
aを用いて、1:1ラングミュアモデルにデータを当てはめることによって決定した。各実験を二連で実施し、平均K
Dを決定した。表5に示されるように、EDB−L19およびEDB−(K94R)抗体は、ヒト7−EDB−89に対して同等の結合を示す。t1/2=半減期、Rmax=最大応答、RU=共鳴単位。
【0221】
【表5】
【0222】
さらに、ヒト、カニクイザルおよびラット7−EDB−89に対するEDB−L19およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体の結合親和性を決定した。表6に示されるように、EDB−L19およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体の結合親和性は、類似していた。表7に示されるように、ヒト、カニクイザルおよびラット7−EDB−89に対するEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体の結合親和性は同等であり、これにより、異種間反応性が、部位特異的コンジュゲーションおよび推定糖化部位の除去を可能にするためにEDB−L19抗体を操作した後に保持されていたことが確認された。
【0223】
【表6】
【0224】
【表7】
【0225】
ELISAによる競合的結合
EDB−(K94R)およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体の結合特性を、ビオチン化EDB−L19との競合ELISAを使用してさらに評価して、EDBへの結合が完全に維持されたことを確認した。ヒト7−EDB−89(配列番号34)を、96ウェルELISAプレート上に固定化し(100ng/ウェル)、20ng/mLビオチン化EDB−L19抗体を添加して、変動する濃度の改変抗EDB抗体サンプルと競合させ、結合を、抗ストレプトアビジン−HRP抗体(Southern Biotech、Birmingham、AL)を使用して検出した。
【0226】
図1Aおよび表8に示されるように、EDB−L19およびEDB−(K94R)抗体は、類似の最大半量阻害濃度値を有した。
図1Bおよび表9は、EDB−(K94R)およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体もまた、類似の最大半量阻害濃度値を有したことを示している。これは、EDB−(K94R)およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)改変抗体が、EDB結合特性を保持したこと、ならびに重鎖の(K94R)改変および/または部位特異的コンジュゲーションのための反応性の操作されたシステインの導入が、EDBへの結合を変更しなかったことを示している。
【0227】
【表8】
【0228】
【表9】
【0229】
結合力分析
EDBを結合するEDB−L19抗体についての親和性は、約230nMで、低い結合相互作用であることが決定された。従って、SPRを使用して、腫瘍微小環境内ので結合に、結合力が差示的標的レベルまで影響したかどうかを調査した。変動する密度のヒト7−EDB−89(配列番号34)を、CM5カルボキシメチル化デキストランコーティングセンサーチップの個々のフローセル上に共有結合的にアミンカップリングさせた。ランニングおよびサンプル緩衝液は、結合親和性分析について上記したとおりであった。6nM〜0.074nMの濃度範囲のEDB−L19抗体の3倍段階希釈シリーズを、110秒間の会合および900秒間の解離にわたって、50μL/分の流速で注入した。次いで、この表面を、イオン性再生緩衝液(0.46M KSCN、1.83M MgCl2、0.92M尿素および1.83Mグアニジン−HCl pH7.4)の30秒間パルス2回で再生し、次いで、HBS−EP+ランニング緩衝液の30秒間パルスで平衡化した。各実験を二連で実施し、平均ka、kdおよびK
Dを決定した。
【0230】
表10に示されるように、結果は、固定化されたヒト7−EDB−89のレベルが増加する場合、オフレート(kd)が緩徐化し、引き続いて親和性が増加したことを示した。見かけのK
D値は、ヒト7−EDB−89の固定化レベルと比例し、EDB−L19抗体が大きい結合力成分でEDBを結合することが確認された。
【0231】
【表10】
【0232】
抗EDB抗体の多重反応性
多重反応性は、in vivoでの迅速なクリアランス(Hotzelら、mAbs 4(6):753〜760、2012)および望ましくないタンパク質−タンパク質相互作用(Xuら、Protein Eng Des Sel 26(10):663〜670(2013)と関連している。DNAおよびインスリン直接結合ELISAは、臨床的に検証された抗体の公知の薬物動態(PK)と相関することが示されている。四連の10μg/mLで始まる抗体の段階希釈を、ELISAプレート上に直接コーティングされたDNAまたはインスリンのいずれかへの結合について、低いストリンジェンシーのアッセイで評価した。
【0233】
表11に示されるように、EDB−(K94R)およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体は共に、最適なPK特性を有する陰性対照と同等のまたはそれよりも良好な、非常に低い多重反応性スコアを有する。さらに、多重反応性スコアは、不良なPKを有し、迅速なクリアランスを生じる陽性対照抗体よりも、有意に低かった。
【0234】
【表11】
【0235】
FcRnクロマトグラフィー
FcRnクロマトグラフィーを利用して、FcRn依存的薬物動態に対する、野生型IgG1定常領域中への反応性の操作されたシステインの導入の、潜在的な荷電媒介性の影響を調査した。FcRnカラム方法論を使用した抗体の評価は、溶出時間が、ヒトおよび非ヒト霊長類クリアランスと正の相関を示したことを実証している(Schoch A.ら、PNAS、2015、112巻)。FcRnアフィニティカラムを、Schlothauerら、MAbs 5(4):576〜586、2013に従って調製した。次に、50μgのEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体またはEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101 ADCを注入し、次いで、20mM MES、150mM NaCl、pH5.5および20mM Tris、150mM NaCl、pH8.8を溶離液として使用して、60分以内のpH5.5〜8.8の線形pH勾配(30CV)によって溶出した。
【0236】
表12に示されるように、EDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101 ADCのFcRnカラム相対溶出時間は、許容できるPKパラメーターと一致していた。これらのデータは、IgG1定常領域中に反応性の操作されたシステイン残基K290Cを組み込んでも、FcRn結合に影響しないことを実証している。
【0237】
【表12】
【0238】
(実施例3)
EDB ADCのバイオコンジュゲーション
本発明の抗EDB抗体を、リンカーを介して薬物/ペイロードにコンジュゲートさせて、EDB ADCを生成した。使用したコンジュゲーション方法は、慣習的コンジュゲーション(即ち、ランダムなシステイン残基を介する)または部位特異的コンジュゲーション(即ち、操作されたシステイン残基または操作されたグルタミン残基を介する)のいずれかであった。表13は、種々のEDB ADCに使用したコンジュゲーション方法を示す。
【0239】
方法A:システイン残基を介した慣習的コンジュゲーション
PBS、pH7.2中27mg/mlの抗EDB抗体を、2.3〜2.6倍(m/m)のTCEPを用いて37℃で2時間還元し、次いで、コンジュゲートさせた。モル比は一般に2.5倍であったが、抗体コンジュゲートの量に依存して最適化して、約4.0の最適な最終平均DARを達成した。部分的に還元された抗体を、10%DMAを有するPBS中6〜7倍(m/m)のリンカー−ペイロードと、25℃で1時間コンジュゲートさせた。過剰なリンカー−ペイロードを、25℃で15分間、L−システインでクエンチした。粗製ADCを、4〜6℃でPBS中で一晩透析した。
【0240】
粗製ADCを、PBS中Superdex 200でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製し、収集したモノマーピークを、4〜6℃で貯蔵し、または20mMヒスチジン、8.5%スクロース、pH5.8中で透析し;無菌濾過し、−70℃で凍結した。陰性対照huNeg−8.8抗体を、同じ方法によってコンジュゲートさせた。
【0241】
方法B:操作されたシステイン残基を介した部位特異的コンジュゲーション
反応性の操作されたシステイン残基を伴って生成された2グラムの抗EDB抗体、PBS、pH7.2中27.2mg/mlを、15倍(m/m)のTCEPを用いて37℃で7時間還元し、PBS中Sephadex(登録商標)G−25で脱塩して、過剰なTCEPを除去した。鎖間システインを、4〜6℃で一晩、30倍のDHA(m/m)で酸化した。DHAを、PBS中Sephadex(登録商標)G−25で脱塩することによって除去した。部位特異的システインの好ましいシステインキャッピングの代わりにより高い程度のグルタチオンキャッピングを有するADCについては、100倍のTCEP(m/m)を還元に使用した。
【0242】
還元および酸化した抗体を、10%DMAを有するPBS中9倍(m/m)のリンカー−ペイロードと、25℃で2時間コンジュゲートさせた。過剰なリンカー−ペイロードを、25℃で15分間、9倍(m/m)のL−システインでクエンチした。粗製ADCを、4〜6℃でPBS中で一晩透析した。
【0243】
粗製ADCを、PBS中Superdex 200でのSECによって精製し、収集したモノマーピークを、20mMヒスチジン、8.5%スクロース、pH5.8中で透析し;無菌濾過し、−70℃で凍結した。陰性対照huNeg−8.8抗体を、同じ方法によってコンジュゲートさせた。
【0244】
方法C:操作されたグルタミン残基を介した部位特異的コンジュゲーション
反応性の操作されたグルタミン残基を伴って生成された抗EDB抗体を、反応緩衝液;100mMリン酸塩、200mM NaCl、pH7.0中で透析した。20mg/mlの抗体を、100mMリン酸カリウム、200mM NaCl、10%DMSO中で混合しながら、抗体1mg当たり1単位の市販の精製トランスグルタミナーゼ(TG)を使用して、リンカー−ペイロード(10倍m/m)に、室温で15時間コンジュゲートさせた。粗製ADCを遠心分離し、上清をSECによって精製した。
【0245】
粗製ADCを、PBS中Superdex 200でのSECによって精製し、収集したモノマーピークを、20mMヒスチジン、8.5%スクロース、pH5.8中で透析し;無菌濾過し、−70℃で凍結した。陰性対照huNeg−8.8抗体を、同じ方法によってコンジュゲートさせた。
【0246】
方法D:ジスルフィドリンカーを使用する、システイン残基を介した慣習的コンジュゲーション
PBS、pH7.2中27mg/mlの抗EDB抗体を、5倍(m/m)のTCEPを用いて37℃で2時間、部分的に還元し、Sephadex(登録商標)G−25 SECを使用して脱塩した。
【0247】
部分的に還元された抗体を、0.7mM DTPAおよび7%DMAを有する67mM HEPES、pH7.0中12〜15倍(m/m)の還元されたリンカー−ペイロードと、25℃で15分間コンジュゲートさせた。過剰なリンカー−ペイロードを、25℃で15分間、20倍のNEM(m/m)でクエンチした。
【0248】
粗製ADCを、50mM DHAおよび50mM DTPAを有するPBS中Superdex 200でのSECによって精製し、収集したモノマーピークを、4〜6℃で貯蔵した。陰性対照を、同じ方法によってコンジュゲートさせた。
【0249】
【表13-1】
【0250】
【表13-2】
【0251】
(実施例4)
EDB ADCの特徴付け
本発明のEDB ADCを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、LC−MSおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)の組み合わせを使用して特徴付けた。平均薬物:抗体比(DAR)を、質量分析(MS)によって決定した。表14は、種々のEDB ADCの分析的特徴を提供する。
【0252】
LC−MS:カラム=Waters BEH300−C4、2.1×100mm(P/N=186004496);機器=SQD2質量分析検出器を備えたAcquity UPLC;流速=0.7mL/分;温度=80℃;緩衝液A=水+0.1%ギ酸;緩衝液B=アセトニトリル+0.1%ギ酸。勾配は、2分間かけて3%Bから95%Bにし、95%Bで0.75分間維持し、次いで、3%Bで再平衡化する。サンプルを、注入の直前に、TCEPまたはDTTで還元する。溶出物を、LCMS(400〜2000ダルトン)によってモニタリングし、タンパク質ピークを、MaxEnt1を使用してデコンボリューションする。DARは、以前に記載されたとおり、重量平均負荷として報告する。
【0253】
SEC:カラム:Superdex200(5/150 GL);移動相:2%アセトニトリルを含有するリン酸緩衝溶液、pH7.4;流速=0.25mL/分;温度=周囲;機器:Agilent 1100 HPLC。
【0254】
HIC:カラム:TSKGel Butyl NPR、4.6mm×3.5cm(P/N=S0557−835);緩衝液A=10mMリン酸塩を含有する1.5M硫酸アンモニウム、pH7;緩衝液B=10mMリン酸塩、pH7+20%イソプロピルアルコール;流速=0.8mL/分;温度=周囲;勾配=12分間かけて0%B〜100%B、100%Bで2分間維持、次いで、100%Aで再平衡化;機器:Agilent 1100 HPLC。
【0255】
【表14】
【0256】
(実施例5)
EDB+FN発現
EDB ADCベースの治療のためのがん適応症の広い調査を実施するために、EDB+FN発現を、ヒト腫瘍およびPDXモデルにおいてタンパク質およびmRNAレベルで分析した。
【0257】
EDB+FN発現のRNA−Seq分析
31の腫瘍型に及ぶThe Cancer Genome Atlas(TCGA)プロジェクト(National Cancer Institute、HIH、Bethesda、MD)の一部として収集された10660の個々の腫瘍サンプルからのRNA−Seqデータを分析した。アイソフォームレベル発現データを、OmicSoftソフトウェア(Cary、NC)から得た。EDB+FN発現を、EDBを保有するフィブロネクチン(FN1)のアイソフォームの発現レベルの合計として計算した。発現レベルを、100万読み取り当たりの転写物1キロベース当たり断片(fragment per kilobase of transcript per million reads)(FPKM)によって測定した。各腫瘍型についてのEDB+FN発現レベルの要約統計量は、表15に示される。一般に、遺伝子は、FPKMが約1以上である場合、発現されたとみなされる。
【0258】
表15は、ヒト腫瘍におけるEDB+FNのRNA−Seq分析を示す。EDB+FN発現は、甲状腺癌、肉腫、乳癌、膵臓腺癌、神経膠芽腫、胆管細胞癌、肺腺癌、腎癌、黒色腫、子宮癌肉腫、中皮腫、肺扁平上皮癌、直腸および結腸腺癌、肝臓肝細胞癌、結腸癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌、ならびに膀胱癌が含まれるがこれらに限定されない、広範なヒト腫瘍適応症において実証される。
【0259】
【表15】
【0260】
遺伝子発現の定量化を、RSEMプログラムを使用して、乳がん、卵巣がん、頭頚部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓、非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん由来の160のPfizer内部患者由来異種移植(PDX)モデルのRNA−Seqデータに対して実施した。Liら、BMC Bioinformatics、12:323、2011を参照のこと。EDB+FN発現を、EDBを保有するフィブロネクチン(FN1)のアイソフォームの発現レベルの合計として計算した。
図2に示されるように、EDB+FNは、分析した全ての腫瘍型にわたって、変動するレベルで発現された(全てのサンプルは、レベル>1を有した)。データは、100万読み取り当たりの転写物1キロベース当たり断片(FPKM)として示される。
【0261】
EDB+FN発現の免疫組織化学(IHC)検出
ヒトがんにおけるEDB+FNタンパク質発現を、凍結切片においてEDB−L19抗体を使用するIHCによって検証した。Tissue−Tek O.C.T.Compound(Sakura Finetek)中に包埋された8ミクロンの新鮮な凍結組織切片を、アセトン対100%エタノールの3:1混合物中で4分間固定し、次いで、10%中性緩衝ホルマリン中に20秒間浸漬した。スライドをTBS中でリンスした。内因性ペルオキシダーゼ活性を、Peroxidazed 1(Biocare Medical)で10分間不活性化した。非特異的タンパク質相互作用を、Background Punisher(Biocare Medical)で10分間ブロッキングした。EDB−L19抗体またはアイソタイプ陰性対照huNeg−8.8抗体を、それぞれ、3μg/mlおよび0.5μg/mlの最終濃度のウサギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)と、室温で1時間、事前複合体化させた。事前複合体化させた混合物を、過剰な全ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)と共に室温で15分間インキュベートし、スライドに添加し1時間おいた。切片を、TBS中で洗浄し、SignalStain Boost Rabbit HRP(CellSignaling Technologies)と共に30分間インキュベートした。発色シグナルを、DAB+(Dako)で5分間生じさせ、引き続いて、蒸留H
2Oでクエンチした。スライドを、CATヘマトキシリン(Biocare Medical)で短時間対比染色し、水中で洗浄し、段階的アルコール中で脱水し、キシレン中で透徹し、Permount Mounting Medium(FisherChemicals)を用いてカバーガラスをかけた。発現の分析を実施し、確認した。
【0262】
表16に示されるように、EDB+FNタンパク質は、頭頚部癌(データ示さず)、膵臓癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌および乳癌を含む、プロファイリングした全てのヒトがん適応症にわたって、中程度〜高いレベルで発現された。全ての腫瘍における発現は、優位に間質性(線維芽細胞性、および脈管構造と関連するものを含む)であったが、腫瘍細胞のいくらかの染色も観察された。
【0263】
【表16】
【0264】
(実施例6)
EDB ADCのin vitro結合
抗EDB抗体およびEDB ADCのEDBに対する相対的結合を評価するために、MaxiSorp 96ウェルプレートを、PBS中0.5または1μg/mlのヒト7−EDB−89(配列番号34)でコーティングし、穏やかに振盪しながら4℃で一晩インキュベートした。次いで、プレートを空にし、200μl PBSで洗浄し、100μlのブロッキング緩衝液(ThermoScientific)で室温で3時間ブロッキングした。ブロッキング緩衝液を除去し、ウェルをPBSで洗浄し、ELISAアッセイ緩衝液(EAB;0.5%BSA/0.02%Tween−20/PBS)中で段階希釈(4倍)した抗EDB抗体またはEDB ADC 100μlと共にインキュベートした。プレートの最初のカラムを空のままにし、プレートの最後のカラムに、ブランク対照としてEABを満たした。プレートを室温で3時間インキュベートした。試薬を除去し、プレートを、200μlのPBS中0.03%のTween−20(PBST)で洗浄した。EAB中に1:5000希釈した抗ヒトIgG−Fc−HRP(Thermo/Pierce)を、100μlとしてウェルに添加し、室温で15分間インキュベートした。プレートを200μlのPBSTで洗浄し、次いで、100μlのBioFX TMB(Fisher)を添加し、室温で4分間発色させた。反応を、100μlの0.2N硫酸で停止させ、450nmにおける吸光度を、Victorプレートリーダー(Perkin Elmer、Waltham、MA)で読み取った。
【0265】
表17は、ELISA形式で96ウェルプレートに結合したヒト7−EDB−89タンパク質断片に対する抗EDB抗体およびEDB ADCの相対的結合を提供する。EDBを標的化する全ての抗体およびADCは、19pM〜58pMの範囲の類似の親和性で、標的タンパク質に結合した。対照的に、非EDB標的化抗体およびADCは、>10,000pMの高いEC
50値を有した。代表的なELISA結合曲線は、
図3Aおよび3Bに示される。
【0266】
【表17】
【0267】
(実施例7)
EDB ADCのin vitro細胞傷害性
細胞培養
WI38−VA13は、ATCCから得られるSV40で形質転換されたヒト肺線維芽細胞であり、10%FBS、1%MEM非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウム、100単位/mlペニシリン−ストレプトマイシンおよび2mM GlutaMaxを補充したMEMイーグル培地(Cell−Gro)中で維持する。HT29は、ヒト結腸直腸癌(ATCC)に由来し、10%FBSおよび1%グルタミンを補充したDMEM培地中で維持する。
【0268】
EDB+FN転写物の検出
EDB+FNの遺伝子発現および転写物分析のために、接着性増殖性WI38−VA13およびHT29細胞を、TrypLE Express(Gibco)を用いて細胞培養フラスコから解離させた。RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して、収集された細胞ペレットから総RNAを精製した。残留DNAを、RNA精製の間にRNase−Free DNase Set(Qiagen)によって除去した。High Capacity RNA−to−cDNA Kit(Applied Biosystems)を、総RNAのcDNAへの逆転写に使用した。cDNAを、UNGを含むTaqMan Universal Master Mix II(Applied Biosystems)を使用する定量的リアルタイムPCRによって分析した。EDB+FNシグナルを、TaqManプライマーHs01565271_m1によって検出し、ACTB(TaqManプライマーHs99999903_m1)およびGAPDH(TaqManプライマーHs99999905_m1)からの両方のシグナルの平均で標準化した。全てのプライマーは、ThermoFisher Scientificのものであった。代表的な実験からのデータが示される。
【0269】
ウエスタンブロッティングによるEDB+FNタンパク質の検出
ウエスタンブロッティングによるEDB+FNの検出のために、接着性増殖性WI38−VA13およびHT29細胞を、細胞剥離によって回収した。細胞溶解物を、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を含む細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)中で調製した。腫瘍溶解物を、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を含むRIPA溶解緩衝液または2×細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)のいずれか中で調製した。タンパク質溶解物を、SDS−PAGEとその後のウエスタンブロッティングによって分析した。タンパク質を、ニトロセルロースメンブレンに移し、次いで、5%ミルク/TBSでブロッキングし、その後、EDB−L19抗体および抗GAPDH抗体(Cell Signaling Technology)と共に4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、抗EDBブロットを、ECL HRP連結された抗ヒトIgG二次抗体(GE Healthcare)と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄後、EDB+FNシグナルを、Pierce ECL 2ウエスタンブロッティング基質(Thermo Scientific)によって発色させ、X線フィルムによって検出した。抗GAPDHブロットを、ブロッキング緩衝液中のAlexa Fluor 680コンジュゲートされた抗ウサギIgG二次抗体(Invitrogen)と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄後、GAPDHシグナルを、LI−COR Odyssey Imaging Systemによって検出した。EDB+FNウエスタンブロットの濃度測定分析を、Bio−Rad GS−800 Calibrated Imaging Densitometerを使用して実施し、Quantity Oneバージョン4.6.9ソフトウェアを使用して定量化した。代表的な実験からのデータが示される。
【0270】
図4は、WI38−VA13およびHT29細胞におけるウエスタンブロットによるEDB+FN発現を示す。EDB+FNは、WI38−VA13細胞株において発現され、HT29結腸癌細胞株は、in vitroで成長させた場合には陰性である。
【0271】
フローサイトメトリーによるEDB+FNタンパク質の検出
EDB−L19抗体を使用して、フローサイトメトリーによってWI38−VA13またはHT29細胞の細胞表面上のEDB+FNの発現を測定した。細胞を、非酵素的細胞解離緩衝液(Gibco)によって解離させ、ブロッキングのために氷上で冷フロー緩衝液(FB、3%BSA/PBS+Ca+Mg)と共にインキュベートした。次いで、細胞を、FB中氷上で一次抗体と共にインキュベートした。インキュベーション後、細胞を、冷PBS−Ca−Mgで洗浄し、次いで、製造業者の手順に従って、生存度染色(Biosciences)と共にインキュベートして、生細胞および死細胞を識別した。シグナルを、BD Fortessaフローサイトメーターで分析し、データを、BD FACS DIVAソフトウェアを使用して分析した。代表的な実験からのデータが示される。
【0272】
表18は、ウエスタンブロット、qRT−PCRおよびフローサイトメトリーからの結果をまとめる。このデータは、WI38−VA13がEDB+FN陽性であり、HT29がEDB+FN陰性であることを実証している。
【0273】
【表18】
【0274】
in vitro細胞傷害性アッセイ
増殖性WI38−VA13またはHT29細胞を、非酵素的細胞解離緩衝液を用いて培養フラスコから回収し、加湿チャンバー(37℃、5%CO2)中1000細胞/ウェルで96ウェルプレート(Corning)中で一晩培養した。次の日、細胞を、10個の濃度において二連で50μlの3×ストックを添加することによって、EDB ADCまたはアイソタイプ対照非EDB結合性ADCで処理した。一部の実験では、細胞を、1500細胞/ウェルでプレートし、同じ日に処理した。次いで、細胞を、EDB ADCまたはアイソタイプ対照非EDB結合性ADCと共に4日間インキュベートした。回収日に、50μlのCell Titer Glo(Promega)を細胞に添加し、室温で0.5時間インキュベートした。発光を、Victorプレートリーダー(Perkin Elmer、Waltham、MA)で測定した。相対的細胞生存度を、未処理の対照ウェルの百分率として決定した。IC
50値を、XLfit v4.2(IDBS)を用いて4パラメーターロジスティックモデル#203を使用して計算した。
【0275】
表19は、WI38−VA13(EDB+FN陽性腫瘍細胞株)およびHT29結腸癌細胞(EDB+FN陰性腫瘍細胞株)に対して実施した細胞傷害性アッセイにおけるEDB ADC処理のIC
50(抗体のng/ml)を示す。EDB ADCは、EDB+FN発現性細胞株において細胞死を誘導した。IC
50値は、およそ184ng/ml〜216ng/mlの範囲で、vc−0101リンカー−ペイロードを有する全てのEDB ADC(EDB−L19−vc−0101、EDB−(κK183C−K290C)−vc−0101、EDB−(K94R)−vc−0101、EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101)について類似していた。陰性対照vc−0101 ADCはかなり弱く、IC
50値は、EDB−vc−0101 ADCよりもおよそ70〜200倍高かった。全てのvc−0101 ADCは、EDB+FN陰性腫瘍細胞株HT29において、46〜83倍高いIC
50値を有した。従って、EDB ADCは、そのin vitro細胞傷害性について、EDB+FN発現に依存していた。
【0276】
「vc」プロテアーゼ−切断可能なリンカーを有する他のアウリスタチンベースのEDB ADCであるEDB−L19−vc−9411およびEDB−L19−vc−1569もまた、対応する陰性対照ADCと比較して約50〜180倍の高い選択性および非発現細胞株と比較して約25〜140倍の選択性で、WA38−VA13細胞において強力な細胞傷害性を示した。EDB−L19−diS−DM1 ADCは、vc−0101 ADCと類似の効力を有したが、陰性対照ADC(約3倍)およびHT29細胞(約0.9倍)と比較して、選択性はかなり低かった。
【0277】
【表19】
【0278】
表20に示されるように、コンジュゲートされていないペイロードは、EDB+FN発現とは無関係に、両方の細胞株において高度に強力であり、これは、これらの細胞が、ADCペイロードとして使用された細胞傷害剤に対して感受性であることを示している。
【0279】
【表20】
【0280】
(実施例8)
EDB ADCのin vivo有効性
EDB ADCを、細胞株異種移植(CLX)、患者由来異種移植(PDX)および同系腫瘍モデルにおいて評価した。EDB+FNの発現を、本明細書に以前に記載されたように免疫組織化学(IHC)アッセイを使用して検出した。
【0281】
CLXモデルを生成するために、8×10
6〜10×10
6細胞のH−1975、HT29またはRamos腫瘍系統を、雌性胸腺欠損ヌードマウス中に皮下でインプラントした。接種のためのRamosおよびH−1975細胞を、それぞれ、50%および100%のMatrigel(BD Biosciences)中に懸濁した。Ramosモデルについて、動物は、細胞接種前に全身照射(4Gy)を受けて、腫瘍の樹立を促進した。平均腫瘍体積がおよそ160〜320mm
3に達したところで、各群中8〜10匹のマウスで、動物を処置群にランダム化した。ADCまたはビヒクル(PBS)を、0日目に静脈内投与し、次いで、動物に、4〜8用量にわたって4日毎に1回投薬した。腫瘍を、1週間に1回または2回測定し、腫瘍体積を、体積(mm
3)=(幅×幅×長さ)/2として計算した。動物の体重を4〜9週間モニタリングしたが、動物の体重減少は、いずれの処置群でも観察されなかった。
【0282】
PDXモデルを生成するために、腫瘍をドナー動物から収集し、およそ3×3mmの腫瘍断片を、10ゲージのトロカールを使用することによって、雌性胸腺欠損ヌードマウス(PDX−NSX−11122モデルについて)またはNOD SCIDマウス(PDX−PAX−13565およびPDX−PAX−12534モデルについて)の脇腹に皮下でインプラントした。平均腫瘍体積がおよそ160〜260mm
3に達したところで、各群中7〜10匹のマウスで、マウスを処置群にランダム化した。ADCまたはビヒクル(PBS)投薬レジームおよび投与経路ならびに腫瘍測定手順は、CLXモデルについて上記したものと同じである。動物の体重を5〜14週間モニタリングしたが、動物の体重減少は、いずれの処置群でも観察されなかった。腫瘍成長阻害は、腫瘍サイズの平均±平均の標準誤差としてプロットされる。
【0283】
EDB+FNの発現
表21に示されるように、H−1975、HT29およびRamos CLXモデル、PDX−NSX−11122、PDX−PAX−13565およびPDX−PAX−12534 PDXモデルならびにEMT−6同系腫瘍モデルにおけるEDB+FNの発現を、EDB−L19抗体の結合およびIHCアッセイにおける引き続く検出によって測定した。CLX HT−29は、中程度の発現性CLXであったが、CLXにおけるタンパク質発現のほとんどが腫瘍間質に由来することに起因して、in vitroで試験した場合には陰性であった。
【0284】
【表21】
【0285】
PDX−NSX−11122 NSCLC PDX
種々のADCの効果を、高いレベルのEDB+FNを発現するヒトがんのNSCLC PDXモデルであるPDX−NSX−11122において評価した。
図5Aは、0.3、0.75、1.5および3mg/kgにおける、EDB−L19−vc−0101についての抗腫瘍活性を示す。このデータは、EDB−L19−vc−0101が、3mg/kgおよび1.5mg/kgにおいて、用量依存的様式で腫瘍退縮を示したことを実証している。
【0286】
vc連結されたADCの抗腫瘍有効性を、ジスルフィド連結されたADCと比較した。
図5Bおよび5Cは、それぞれ、10mg/kgのジスルフィド連結されたEDB−L19−diS−DM1と比較した3mg/kgのEDB−L19−vc−0101の抗腫瘍活性、ならびに5mg/kgのジスルフィド連結されたEDB−L19−diS−C
2OCO−1569と比較した1および3mg/kgのEDB−L19−vc−0101の抗腫瘍活性を示す。
図5Bおよび5Cに示されるように、EDB−L19−vc−0101は、アイソタイプ陰性対照ADC、ならびにジスルフィドリンカーを使用して生成したADCであるEDB−L19−diS−DM1およびEDB−L19−dis−C
2OCO−1569と比較して、より高い有効性を実証した。さらに、EDB−L19−vc−0101で処置した腫瘍保有動物は、1mg/kgにおいて遅延した腫瘍成長を有し、3mg/kgにおいて完全な退縮を有した。このデータは、EDB−L19−vc−0101(ADC1)が、用量依存的様式でPDX−NSX−11122 NSCLC異種移植片の成長を阻害することを実証している。
【0287】
部位特異的および慣習的にコンジュゲートされたADCの活性を評価した。
図5Dは、1.5mg/kgの用量における慣習的にコンジュゲートされたEDB−L19−vc−0101と比較した、0.3、1および3mg/kgの用量における部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C+K290C)−vc−0101の抗腫瘍有効性を示す。用量レベルベースの有効性は同等であり、EDB−(κK183C+K290C)−vc−0101は、用量依存的様式で腫瘍退縮をもたらした。
【0288】
種々の変異を有するvc−0101 EDB ADCの活性を評価した。
図5Eは、0.3、1および3mg/kgの用量における、部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の抗腫瘍有効性を示す。EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101は、1および3mg/kgにおいて腫瘍退縮を誘導した。
図5Fは、
図5Eの3mg/kgで投薬したEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101群中の10匹の個々の腫瘍保有マウスについての腫瘍成長阻害曲線を示す。3mg/kg群における腫瘍退縮は、研究の最後(95日)に、10匹のマウスのうち8匹(80%)において完全であり、耐久性があった。
【0289】
H−1975 NSCLC CLX
種々のvc連結されたアウリスタチンおよびCPI ADCの効果を、ヒトがんの中程度〜高いEDB+FN発現性NSCLC CLXモデルであるH−1975において評価した。
図6Aは、0.3、0.75、1.5および3mg/mgにおいて抗腫瘍活性について評価したEDB−L19−vc−0101を示す。このデータは、EDB−L19−vc−0101が、3mg/kgにおいて、および1.5mg/kgの低さにおいて、用量依存的様式で腫瘍退縮を示したことを実証している。
図6Bは、EDB−L19−vc−0101およびEDB−L19−vc−1569を、0.3、1および3mg/kgにおいて抗腫瘍活性について評価したことを示す。このデータは、EDB−L19−vc−0101およびEDB−L19−vc−1569が、用量依存的様式で腫瘍退縮を示したことを実証している。
【0290】
vc連結されたアウリスタチンADCの抗腫瘍活性を、CPI ADCと比較した。
図6Cに示されるように、EDB−L19−vc−0101およびEDB−(H16−K222R)−AcLys−vc−CPI−8314を、それぞれ、0.5、1.5および3mg/kgならびに0.1、0.3および1mg/kgにおいて評価した。EDB−L19−vc−0101およびEDB−(H16−K222R)−AcLys−vc−CPI−8314は共に、評価した最も高い用量において腫瘍退縮を示した。
【0291】
部位特異的および慣習的にコンジュゲートされたEDB ADCの活性を評価した。
図6Dは、0.5、1.5および3mg/kgの用量における、慣習的にコンジュゲートされたEDB−L19−vc−0101と比較した、部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C+K290C)−vc−0101の抗腫瘍有効性を示す。用量レベルベースの有効性は同等であり、EDB−(κK183C+K290C)−vc−0101は、用量依存的様式で腫瘍退縮をもたらした。
【0292】
種々の変異を有するvc−0101 EDB ADCの活性を評価した。
図6Eは、1および3mg/kgにおける、EDB−L19−vc−0101およびEDB−(K94R)−vc−0101の抗腫瘍有効性を示す。
図6Fは、1および3mg/kgにおける、部位特異的EDB−(κK183C+K290C)−vc−0101およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の抗腫瘍有効性を示す。4つのADCは、それらがκK183C−K290Cおよび/またはK94R変異を含んだかどうかにかかわらず、H−1975モデルにおいて類似の有効性を実証した。さらに、試験した全てのADCは、3mg/kgにおいて、腫瘍退縮を含むロバストな抗腫瘍有効性を生じた。これらのデータは、κK183C−K290Cおよび/またはK94R変異の導入が、ADCの有効性に負の影響を与えなかったことを実証している。
【0293】
HT29結腸CLX
種々のvc連結されたアウリスタチンADCの効果を、ヒトがんの中程度のEDB+FN発現性結腸CLXモデルであるHT29において評価した。
図7に示されるように、EDB−L19−vc−0101およびEDB−L19−vc−9411を、3mg/kgにおいて抗腫瘍活性について試験した。EDB−L19−vc−0101およびEDB−L19−vc−9411は共に、3mg/kg用量において経時的に腫瘍退縮を示した。
【0294】
PDX−PAX−13565およびPDX−PAX−12534膵臓PDX
EDB−L19−vc−0101の抗腫瘍有効性を、ヒト膵臓PDXモデルにおいて評価した。
図8Aに示されるように、EDB−L19−vc−0101を、中程度〜高いEDB+FN発現性膵臓PDXであるPDX−PAX−13565において、0.3、1および3mg/kgにおいて評価した。
図8Bに示されるように、EDB−L19−vc−0101を、低い〜中程度のEDB+FN発現性膵臓PDXであるPDX−PAX−12534において、0.3、1および3mg/kgにおいて評価した。EDB−L19−vc−0101は、評価した両方の膵臓PDXモデルにおいて、用量依存的様式で腫瘍退縮を実証した。
【0295】
Ramosリンパ腫CLX
EDB−L19−vc−0101の抗腫瘍有効性を、中程度のEDB+FN発現性リンパ腫CLXモデルであるRamosにおいて評価した。EDB−L19−vc−0101を、1および3mg/kgにおいて抗腫瘍活性について評価した。
図9に示されるように、EDB−L19−vc−0101は、3mg/kg用量において、用量依存的様式で腫瘍退縮を示した。
【0296】
EMT−6乳癌同系モデル
EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の抗腫瘍有効性を、免疫適格背景にあるマウス同系乳癌モデルであるEMT−6において評価した。
図10Aに示されるように、EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101は、4.5mg/kgにおいて腫瘍成長阻害を実証した。腫瘍成長阻害を、11匹の腫瘍保有動物における腫瘍サイズの平均±平均の標準誤差としてプロットした。
図10Bは、4.5mg/kgで投薬したEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101群中の11匹の個々の腫瘍保有マウスについての腫瘍成長阻害曲線を示す。4.5mg/kg群における腫瘍退縮は、研究の最後(34日)に、11匹のマウスのうち9匹(82%)において完全であり、耐久性があった。
【0297】
卵巣
EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の活性を、EDB+FNを発現する卵巣および乳癌ヒトPDXモデルにおいて試験した。活性は、3mg/kgおよび10mg/kgの用量レベルにおいて観察された(データ示さず)。
【0298】
(実施例9)
薬物動態(PK)
慣習的にコンジュゲートされたEDB−L19−vc−0101および部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101コンジュゲートされた抗体薬物コンジュゲートの曝露を、カニクイザルにおいて、それぞれ、5または6mg/kgのいずれかの静脈内(IV)ボーラス用量投与後に決定した。総抗体(総Ab;コンジュゲートされたmAbおよびコンジュゲートされていないmAbの両方の測定)、ADC(少なくとも1つの薬物分子にコンジュゲートされたmAb)の濃度を、リガンド結合アッセイ(LBA)を使用して測定し、放出されたペイロード0101の濃度を、質量分析を使用して測定した。総AbおよびADC濃度の定量化を、蛍光検出を用いるGyrolab(登録商標)ワークステーションを使用するリガンド結合アッセイ(LBA)によって達成した。使用したビオチン化捕捉タンパク質は、ヒツジ抗hIgGであり、検出抗体は、総抗体についてはAlexa Fluor 647ヤギ抗hIgGであり、またはADCについてはAlexa Fluor 647抗0101mAbであった(データは、Watson v7.4 LIMSシステムによって処理した)。in vivoサンプルを、タンパク質沈殿を使用して、コンジュゲートされていないペイロード分析のために調製し、陽性Turbo IonSprayエレクトロスプレーイオン化(ESI)および多重反応モニタリング(MRM)モードを使用して、AB Sciex API5500(QTRAP)質量分析器上に注入した。743.6→188.0および751.6→188.0の転移を、それぞれ、分析物および重水素化内部標準に使用した。データの取得および処理を、Analystソフトウェアバージョン1.5.2(Applied Biosystems/MDS Sciex、Canada)を用いて実施した。
【0299】
EDB−L19−vc−0101 ADC(5mg/kg)およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101 ADC(6mg/kg)を投薬したカニクイザルからの、総Ab、ADCおよび放出されたペイロードの薬物動態が、表22に示される。部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101 ADCの曝露は、慣習的コンジュゲートと比較した場合、増加した曝露(用量標準化AUCによって測定した場合、約2.3×の増加)および増加したコンジュゲーション安定性の両方を示した。コンジュゲーション安定性を、慣習的EDB−L19−vc−0101 ADCと比較した、部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101 ADCについての、それぞれ、より高いADC/Ab比(84%対75%)およびより低い放出されたペイロード曝露(用量標準化AUC;0.0058対0.0082μg
*時間/mL)の両方によって評価した。NA=適用なし。
【0300】
【表22】
【0301】
(実施例10)
EDB ADCについての熱安定性評価
示差走査熱量測定(DCS)を使用して、抗EDB抗体バリアントならびに対応する慣習的および部位特異的コンジュゲートされたEDB ADCの熱安定性を決定した。PBS−CMF pH7.2中で処方したサンプルを、MicroCal VP−Capillary DSC with Autosampler(GE Healthcare Bio−Sciences、Piscataway、NJ)のサンプルトレイ中に分配し、10℃で5分間平衡化し、次いで、1時間当たり100℃の速度で、110℃までスキャンした。16秒間のフィルタリング期間を選択した。生データをベースライン補正し、タンパク質濃度を標準化した。Origin Software 7.0(OriginLab Corporation、Northampton、MA)を使用して、適切な数の転移で、データをMN2−Stateモデルに当てはめた。
【0302】
表23に示されるように、部位特異的および慣習的の両方のコンジュゲーションテクノロジーを使用する、種々の抗EDB抗体およびEDB ADCを評価したところ、これらは、第1の融解転移(Tm1)>65℃によって決定される好ましい熱安定性を示した。これらの結果は、操作されたシステイン残基を組み込んだEDB−(κK183C−K94R−K290C)抗体およびκK183C−K94R−K290C−vc−0101 ADCが、熱的に安定であったことを実証している。
【0303】
【表23】
【0304】
(実施例11)
毒性研究
慣習的コンジュゲートされたEDB−L19−vc−0101および部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の非臨床的安全性プロファイルを、Wistar−Hanラットおよびカニクイザルにおける探索性反復用量(Q3W×3)研究において特徴付けた。ラットおよびカニクイザルを、ヒトEDBとのタンパク質配列相同性が100%であり、実施例2において実証されたようにBiacoreアッセイによるラット、ヒトおよびサルに対する抗体EDB−L19およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)の結合親和性が類似していたので、毒性評価のための薬理学的に適切な非臨床種とみなした。
【0305】
EDB−L19−vc−0101を、Wistar Hanラットおよびカニクイザルにおいて、それぞれ10および5mg/kg/用量まで評価し、EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101を、カニクイザルにおいて、12mg/kg/用量まで評価した。ラットまたはサルに、3週間毎に1回(1、22および43日目に)静脈内投薬し、46日目(3回目の用量の3日後)に安楽死させた。動物を、臨床徴候、体重における変化、摂食量、臨床病理パラメーター、臓器重量、ならびに巨視的および微視的観察について評価した。死亡率も、動物の臨床状態における有意な変化も、これらの研究では認められなかった。
【0306】
ラットおよびサルでは、EDB+FN発現性組織/臓器における標的依存的毒性の徴候は存在しなかった。両方の種において、主要な毒性は、関連する血液学的変化を伴う、可逆的な骨髄抑制であった。サルでは、表24および
図11に示されるように、顕著な一過的な好中球減少症が、5mg/kg/用量の慣習的にコンジュゲートされたEDB−L19−vc−0101で見られたが、6mg/kg/用量の部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101では、好中球数に対する最小の影響のみが見られた。点は平均を示し、エラーバーは、平均からの±1標準偏差(SD)を示す。
【0307】
このデータは、部位特異的コンジュゲーションによる骨髄抑制の有意な軽減を実証している。EDB−L19−vc−0101およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の毒性プロファイルは、これらのコンジュゲートの標的非依存的効果と一致し、EDB−L19−vc−0101およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101についての重篤な毒性が発現しない最大用量(highest non-severely toxic dose)(HNSTD)は、それぞれ、≧5mg/kg/用量および≧12mg/kg/用量であると決定された。
【0308】
【表24】
【0309】
(実施例12)
IO併用
がん細胞が死ぬと、それらは、樹状細胞(DC)によって取り込みおよび提示される抗原を放出する。これらの腫瘍細胞における変異に起因して、これらの抗原の一部は、成熟DCによってT細胞に提示され、それによってそれらを活性化し、抗腫瘍標的化を誘導する潜在力を有するがんネオエピトープを含む。しかし、負の調節機構ががん患者において上方調節される。例えば、チェックポイント、例えば、PD−1/PD−L1経路を介したシグナル伝達は、ネオエピトープの認識およびT細胞の活性化を制限し得る。
【0310】
ADC形式で抗体にコンジュゲートされたペイロードは、樹状細胞成熟化経路を作動させるように関与し得、T細胞プライミングおよび増加した腫瘍T細胞標的化を可能にする増加した腫瘍抗原交差提示を生じる。種々のペイロード、例えば、ペイロード−0101を含む本発明のEDB ADCを利用して、免疫原性腫瘍環境を創出することによって腫瘍ネオ抗原の免疫認識を改善した。EDB ADCと免疫腫瘍剤とが併用して与えられる場合、これらの環境は、負の調節経路を遮断する免疫腫瘍剤に対して応答性になる。
【0311】
EDB−L19−vc−0101で処置したEMT6同系腫瘍の有効性研究からのデータは、ペイロード−0101に対するエフェクター応答が誘導されたことを示唆している。CD3+T細胞の増加した浸潤が、ビヒクル対照と比較して、EDB−L19−vc−0101処置した腫瘍において観察された。さらに、処置された腫瘍におけるPDL1の増加した発現が観察され、これは、増加したエフェクターT細胞応答に起因するIFNγ放出を示唆している。
【0312】
EDB ADCを、免疫調節経路を標的化する薬剤、例えば、抗PDL1アンタゴニスト抗体または抗41BBアゴニスト抗体と併用することは、抗腫瘍有効性を改善し、より耐久性がある応答を提供する可能性が高い。
【0313】
(実施例13)
バイオマーカー/作用機構
NSCLC PDXモデルPDX−NSX−11122を、以前に記載されたように、ヌードマウスにおいて発達させた。EDB−(K94R)−vc−0101、EDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101およびNeg−vc−0101 ADCを、3mg/kgで尾静脈注射によって投与した(1群当たり1時点当たり4匹の動物)。単一の投与の96時間後に、動物を麻酔し、生理食塩水で灌流した。生理食塩水灌流の後、腫瘍を取り出し、リガンド結合アッセイ(LBA)を介した抗体およびADCの測定のために調製し、または免疫組織化学(IHC)のために調製した。
【0314】
リガンド結合アッセイ(LBA)
LBAアッセイについて、5×緩衝液を腫瘍サンプルに添加した。組織抽出試薬(Invitrogen)は、6×の最終希釈で、1%プロテアーゼ阻害剤(Sigma)(v/w)を含有していた(μg/mLホモジネート→μg/g組織)。ステンレス鋼ビーズを添加し、組織を、Mini−Beadbeater−96(BioSpec)を使用してホモジナイズした。ホモジネート(サンプルサイズに依存して約100〜300μL)を、適切なバイアル(Marshチューブ)に移し、14000rpmで10分間遠心分離した(4℃)。遠心分離したホモジネートを、分析プロトコールに従う分析のためにSuper Block(商標)で希釈した(MRD)。
【0315】
表25に示されるように、リガンド結合アッセイを使用して、EDB ADCの単一用量投与後の、平均の総抗体およびADCの血漿濃度(μg/mL)と腫瘍濃度(μg/g)を決定した。このデータは、EDB−(K94R)−vc−0101およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101が、Neg−vc−0101と比較して、総抗体およびADCによって測定されるように増加したレベルで腫瘍の部位において検出されたことを実証している。さらに、Neg−vc−0101と比較して、EDB−(K94R)−vc−0101およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101について、ADCおよび総抗体の両方について血漿対腫瘍比の減少が観察されており、これは、EDB標的化ADCの腫瘍特異的標的化の増加した効率を示している。
【0316】
【表25】
【0317】
免疫組織化学(IHC)
ADC分布、および応答の下流バイオマーカーの免疫組織化学的検出のために、サンプルを、10%中性緩衝ホルマリン中で48時間固定した。固定後、サンプルをパラフィン中に包埋し、5μMで切片化した。切断したパラフィン切片を、キシレン代替品中で脱パラフィン処理し、蒸留水まで段階的アルコールで再水和した。抗原を、圧力鍋(Electron Microscopy Sciences)において、ホスホ−ヒストンH3および切断型カスパーゼ3検出については10mMクエン酸塩緩衝液pH6.0(Invitrogen)、または抗ヒトIgG検出および抗0101検出についてはBorg Decloaker緩衝液pH9.5(Biocare Medical)中で回収し、室温に冷却した。内因性ペルオキシダーゼを、3%過酸化水素で10分間ブロッキングした。非特異的タンパク質相互作用を、タンパク質ブロック(DAKO)で20分間ブロッキングした。組織切片を、一次抗体と共に室温で1時間インキュベートした。一次抗体は以下のとおりであった:0.3μg/mL抗ヒト汎IgG抗体(Epitomics);10μg/mL抗0101 Ab;0.13μg/mL抗ホスホヒストンH3(pHH3、Cell Signaling Technologies);1.3μg/mL抗切断型カスパーゼ3(Cell Signaling Technologies)。マウス対マウスの検出を回避するために、抗0101アイソタイプ抗体を、Alexa Fluor 488タンパク質標識キット(Life Technologies)を使用して、AlexaFluor 488で標識した。未標識の一次抗体を、Signalstain Boost試薬(Cell Signaling Technologies)を用いて室温で30分間検出した。AlexaFluor 488標識した一次抗体を、1μg/mlウサギ抗AlexaFluor488(Life Technologies)を用いて室温で45分間検出し、その後、Signalstain Boost試薬(Cell Signaling Technologies)と共に室温で30分間インキュベートした。DAB+(3’,3’−ジアミノベンジジン;Dako)を使用して、5分間発色させた。切片を、ヘマトキシリン中で短時間対比染色し、水中で洗浄し、段階的アルコール中で脱水し、キシレン代替品中で透徹し、Permount Mounting Mediumを用いてカバーガラスをかけた。
【0318】
単一の用量の96時間後に、慣習的EDB−(K94R)−vc−0101および部位特異的コンジュゲートされたEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101は共に、PDX−NSX−11122 PDXモデルにおいて抗ヒトIgG IHCによって同様に検出された。有糸分裂停止のマーカーであるpHH3陽性細胞における増加が、陰性対照ADC(Neg−vc−0101)で処置した腫瘍と比較して、EDB−(K94R)−vc−0101およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101の両方で処置した腫瘍において観察された。pHH3有糸分裂停止マーカーを保有する細胞の大部分は、新生物性細胞であり、これは、バイスタンダー効果を示唆している。切断型カスパーゼ3染色は、陰性対照ADC(Neg−vc−0101)で処置した腫瘍と比較して、EDB−(K94R)−vc−0101(およびEDB−(κK183C−K94R−K290C)−vc−0101)で処置した腫瘍において、増加したアポトーシスを示した。