特表2019-534747(P2019-534747A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.の特許一覧

特表2019-534747飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法
<>
  • 特表2019534747-飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法 図000002
  • 特表2019534747-飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法 図000003
  • 特表2019534747-飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法 図000004
  • 特表2019534747-飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法 図000005
  • 特表2019534747-飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法 図000006
  • 特表2019534747-飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-534747(P2019-534747A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】飲料を調製するためのカプセル、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20191108BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20191108BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   A47J31/06 323
   A47J31/36 122
   B65D85/804 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-518268(P2019-518268)
(86)(22)【出願日】2017年10月6日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月29日
(86)【国際出願番号】NL2017050662
(87)【国際公開番号】WO2018067012
(87)【国際公開日】20180412
(31)【優先権主張番号】2017587
(32)【優先日】2016年10月7日
(33)【優先権主張国】NL
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー,グレン アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104AA20
4B104EA13
4B104EA17
4B104EA30
(57)【要約】
カプセルであって、カプセル内に加圧下で流体を供給することによって物質を抽出及び/又は溶解することにより飲用飲料を調製するための、大量の固まっていない固体粒子から構成される物質を収容するカプセル内において、透水性かつ物質の粒子の主要部分に対して不透過性のスクリーンが、物質と底部との間に位置決めされる。スクリーンは、煎出中にスクリーンがカプセル本体から解放されるように、カプセル本体に取り付けられている。このようなカプセルを含む飲料煎出システム及びそのようなカプセルの使用方法も同様に説明される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、側壁と、前記底部の反対側の端部と、前記開いた端部の周囲に前記側壁から外向きに延びるフランジとを有する、カプセル本体と、
前記外向きに延びるフランジに取り付けられ、前記カプセル本体の前記底部の反対側の前記端部を閉鎖しているカバーと、
を備えるカプセルであって、
前記カプセル本体及び前記カバーが、カプセルチャンバを画定し、前記カプセルチャンバが、
多量の固まっていない固体粒子から構成される物質であって、前記カプセル内に加圧下で流体を供給することによる前記物質の抽出及び/又は溶解による飲用飲料の調製のための物質、並びに、
前記粒子の主要部分に対して不透過性の材料のスクリーンであって、前記物質と前記底部との間に位置決めされ前記カプセル本体に取り付けられたスクリーン、を収容する、カプセルにおいて、
前記スクリーンが、煎出中に前記カプセル本体から解放されるように前記カプセル本体に取り付けられていることを特徴とする、カプセル。
【請求項2】
前記スクリーンが、少なくとも1つの取り付け部によって取り付けられており、前記取り付け部が、煎出中に引き剥がされるように配置されている、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記取り付け部が、径方向に細長く前記カプセルの中心軸線から径方向に間隔を空けた最内端を有する、少なくとも1つの取り付けゾーンを構成している、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記取り付けゾーンの内端の部分が、前記内端における鋭い先端まで内向きに減少する幅を有する、請求項3に記載のカプセル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの取り付けゾーンが、2mm未満の幅を有する、請求項3又は4に記載のカプセル。
【請求項6】
前記取り付け部が、92℃未満、好ましくは85℃未満のガラス転移温度を有する成分を有する感熱接着剤によって形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項7】
前記取り付け部が、水溶性成分を含む接着剤によって形成されている、請求項1〜6いずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記スクリーンが、煎出中に前記カプセル本体から完全に解放されるように前記カプセル本体に取り付けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記スクリーンが、前記物質の少なくとも一小部分が固体形態で通過できるように寸法設定された複数の通路を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記通路が、前記スクリーンの全表面にわたって均一なパターンで配置されている、請求項9に記載のカプセル。
【請求項11】
前記取り付けゾーンが、前記取り付けゾーンに対する前記通路の前記均一なパターンの配置に関係なく、互いに最近接している取り付けゾーンからなる三角形の前記取り付けゾーンが、前記通路からなる任意の三角形の前記通路内に全て同時に完全に位置することができないような構成に配置されている、請求項10に記載のカプセル。
【請求項12】
前記取り付けゾーンの数が、少なくとも5個である、請求項11に記載のカプセル。
【請求項13】
前記スクリーンが、中心から間隔が空けられ互いに円周方向に間隔が空けられた取り付けゾーンに沿って前記カプセル本体に取り付けられている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
前記取り付けゾーンの全てが、前記スクリーンの周縁に沿って接近して、好ましくは均等に分配されている、請求項13に記載のカプセル。
【請求項15】
連続する取り付けゾーン同士の間の円周方向の間隔が、前記取り付けゾーンが位置する円周ゾーンの円周方向において少なくとも30%空いている、請求項13又は14に記載のカプセル。
【請求項16】
前記通路のうちの少なくともいくつかが、前記スクリーンの周縁に窪み又は凹部の形態で設けられている、請求項9〜15のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項17】
前記通路のうちの少なくともいくつかが、前記スクリーンの材料によって円周方向に画定された開口部の形態で設けられている、請求項9〜16のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項18】
前記通路のうちの少なくともいくつか又は全てが、少なくとも3.0mmの断面積を有する、請求項9〜17のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項19】
前記通路のうちの少なくともいくつか又は全てが、少なくとも1.0mmの最小断面サイズを有する、請求項9〜18のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項20】
前記通路のうちの少なくともいくつかが、前記中心からそれぞれの通路の方向で測定すると、前記中心から周縁の距離の40%を超える、より好ましくは50%を超える、又は60%を超える前記中心からの距離に配置されている、請求項9〜19のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項21】
前記通路の全てが、前記中心からそれぞれの開口部の方向で測定すると、前記中心から周縁の距離の40%を超える、より好ましくは50%を超える、又は60%を超える前記中心からの距離に配置されている、請求項9に記載のカプセル。
【請求項22】
前記スクリーンが、内側表面領域と、前記内側表面領域を取り囲む外側表面領域とを含む表面領域を有し、前記内側表面領域が、前記スクリーンの全表面領域の少なくとも25%を形成しており、前記内側表面領域内の前記通路の内側部分が、前記内側表面領域の第1の割合の開放表面領域を提供しており、前記外側表面領域内の前記通路の外側部分が、前記外側表面領域の第2の割合の開放表面領域を提供しており、前記第2の割合は、前記第1の割合よりも大きい、請求項9に記載のカプセル。
【請求項23】
前記内側表面領域が、前記スクリーンの前記全表面領域の少なくとも40%を形成している、請求項22に記載のカプセル。
【請求項24】
前記内側表面領域が、前記通路を含まない、請求項22又は23に記載のカプセル。
【請求項25】
前記内側表面領域が、円形境界を有し、前記スクリーンの中心が、前記内側表面領域の中心を形成している、請求項22〜24のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項26】
前記カプセル本体が、前記底部側よりも前記カバー側で大きい、前記カバーに平行な平面に沿った内部断面積を有する、請求項1〜25のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項27】
肩部が、前記カプセル本体の側壁に設けられており、前記内部断面積が、前記肩部の底部側よりも前記肩部のカバー側で大きい、請求項26に記載のカプセル。
【請求項28】
前記スクリーンが、透水性材料からなる、請求項1〜27のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項29】
前記スクリーンが、濾紙、フェルト材料、又は織布材料などの繊維材料の1つ以上の層からなる、請求項28に記載のカプセル。
【請求項30】
前記スクリーンを前記カプセルに取り付けている前記取り付けゾーンの全てが、前記中心から間隔が空けられ、互いに円周方向に間隔が空けられている、請求項1〜29のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項31】
前記スクリーンが、前記底部の中央領域に取り付けられていない、請求項1〜30のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項32】
前記スクリーンが、使用中に前記カプセル内に流体を注入するために前記カプセルの前記底部に開口部を穿孔する穿孔要素の影響下で、及び/又は、前記カプセルがコーヒー煎出のために位置決めされたコーヒーマシンによって形成された前記底部の開口部を通って注入される流体の影響下で、前記底部の前記中央領域から遠ざかるように移動するように配置されている、請求項1〜31のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項33】
前記スクリーンが、20〜40mmの直径を有する円形の形状である、請求項1〜32のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項34】
前記スクリーンが、前記カプセル本体の前記底部の実質的に前記内側表面領域の全体を覆っている、請求項1〜33のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項35】
前記通路の数が、4〜30個である、請求項9〜25のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項36】
前記スクリーン材料が、20〜200g/cmの重さを有する、請求項1〜35のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項37】
前記通路がない前記スクリーン材料が、前記スクリーン材料にわたる100Paの圧力低下において、500〜3000l/(ms)の空気透過率を有する、請求項9〜25及び35のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか一項に記載のカプセルと、コーヒーマシンと、を備え、
前記コーヒーマシンが、
カプセル本体の主要部分を受け入れることができるハウジングと、
調製飲料が前記カプセルから流出することを可能にするための通路を有する閉鎖部材であって、前記ハウジング及び/又は前記閉鎖部材が、前記カプセルのフランジが前記ハウジングと前記閉鎖部材との間にクランプされている動作位置と、使用済みカプセルをそこを通して前記ハウジングから取り外すことができ新しいカプセルをそこを通して前記ハウジング内に位置決めすることができる開口部を残した移送位置との間で、他方に対して移動可能である、閉鎖部材と、
使用時に、少なくとも1つの穿孔位置において前記ハウジング内部の前記カプセル本体の底部部分を穿孔するように配置された穿孔要素と、
前記穿孔位置に水を供給し、前記穿孔された底部を介して前記水を前記カプセルに入れるための水供給部と、を有する、
システム。
【請求項39】
前記カプセルが、請求項9〜25、35又は36のいずれか一項に記載のカプセルであり、
前記通路のうちの少なくともいくつかが、前記少なくとも1つの穿孔位置の周辺に位置する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
カプセルをハウジング内に位置決めし、前記ハウジングと、カバーを通って出力された煎出飲料が前記カプセルから流出することを可能にするための貫通孔を有する閉鎖部材との間にクランプすることと、
熱水などの加圧注入流体を前記ハウジング内に送り込み、前記注入流体を前記底部の少なくとも1つの孔を通して前記カプセルに貫入させることと、
前記加圧注入流体が、スクリーンを前記カプセル本体から解放し、前記カプセル本体の前記底部から少なくとも部分的に離れるように移動させることと、
好ましくは前記カプセル内の流体圧力の影響下で、前記カバーが裂かれることと、
煎出飲料が前記カプセルから出るように、注入流体の流れを、少なくとも部分的に前記スクリーンを通して、物質を貫通して前記カバーを通り抜けるように押圧することと、
前記煎出飲料を受器に案内することと、
を含む、請求項38又は39に記載のシステムを使用して飲料を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部分(introductory portion)に記載のカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなカプセルは、欧州特許出願第0468079号から既知である。
実際には、このようなカプセルは、ほとんどが、焙煎コーヒー豆を粉砕することによって得られた粉末中に加圧下で熱水などの注入流体を押圧することによってコーヒーを抽出するために構成され、使用される。しかしながら、例えば顆粒、チップ又はフレークの形態であることもある物質は、砂糖又は粉乳などの溶解及び/又は同伴される成分によって構成されることがあり、又はそれらを含有することもある。抽出されるべき物質はまた、茶又はハーブなどのコーヒー以外の種類のものであってもよい。
【0003】
市場で広く使用されているのは、カプセル本体がアルミニウム又はプラスチックであり、開端が通常はアルミニウムである薄いシートによって封止されているカプセルである。カプセル本体の閉端は、典型的には底部と呼ばれる。コーヒーマシンは、カプセル本体の主要部分を受け入れることができるハウジングと、閉鎖部材とを有する。ハウジング及び/又は閉鎖部材は、カプセルのフランジがハウジングと閉鎖部材との間にクランプされている動作位置と、使用済みカプセルをそこを通してハウジングから取り外すことができ新しいカプセルをそこを通してハウジング内に位置決めすることができる開口部を残した移送位置との間で、他方に対して移動可能である。使用時にハウジング内部のカプセル本体の底部部分を穿孔する穿孔要素が提供される。
【0004】
加圧流体は、ハウジング内に送り込まれると、穿孔要素によって作製された孔を通ってカプセルに貫入し、内部圧力を上昇させ、それによって、例えば閉鎖部材の穿孔部材の補助により、カバーが裂ける。次いで、水流は物質に押し入れられ、煎出(brewed)された飲料がカプセルから出てマシンの外側にあるユーザの受器へと案内される。カバーはまた、例えば、使用前に除去されるべき香味を保持するためのバリア材料内にカプセルが包装されている場合、加圧流体の注入前にある程度開放されてもよい。
【0005】
物質は、穿孔要素がカプセルから後退されたときに、穿孔された開口部を通ってカプセルを出ることができる。
【0006】
スクリーンはまた、物質を通る水流の分配、具体的には、飲料製造段階の継続時間全体にわたる、物質の全体にわたる水流の均一な分配に影響を及ぼし得る。また、物質の圧縮及び泡(「クレマ」)の形成の程度は、スクリーンによって影響を受けると思われる。
【0007】
コーヒーマシンの清潔さ並びに飲料の感覚刺激的(organoleptic)及び視覚的な品質に影響を及ぼす特性は重要であるが、製造コスト及び使用材料のリサイクルについての適合性もまた、大量に製造されるカプセルなどの包装製品にとって重要である。
【0008】
時がたつにつれ、カプセル開放後にカプセル内に物質を保持するためのスクリーン又はフィルタについての多くの解決策が提案されてきた。例えば、欧州特許出願0468079号では、スクリーンは、カプセル本体内の肩部に溶接され、カプセルの底部から分離されている。
【0009】
欧州特許出願第1165398号には、穿孔され得る、又は貫通要素がそこを通過及び後退することができる開口部を備えることができる、スクリーンが開示されている。このような予め切断された開口部は、十字形のカットアウトの形態であり、スクリーンの後ろにコーヒーを保持するために穿孔要素が後退されるときに閉じる。
【0010】
欧州特許出願第1190959号には、2つのゾーンであり、一方は中央部、他方は底部の周辺に沿った2つのゾーンにわたってカップの底部に封止された布地シートの形態のスクリーンであって、穿孔要素が、カプセル底部と、中央ゾーンと周辺封止ゾーンとの間のスクリーンとの間に残された間隔に入ることを可能にする、スクリーンが開示されている。
【0011】
欧州特許出願第2516296号には、スクリーンの周辺に沿った防塵封止部によって取り付けられた、微細なプラスチック繊維から製造された不織布材料のフィルタ要素の形態のスクリーンが開示されている。
【0012】
国際公開第2015/087180号には、粉末食品物質によって印加される抵抗を別とすれば、スクリーンが底部から自由に遠ざかることができるように、カプセルへのスクリーンの取り付けなしに、物質とカプセル底部との間にフィルタ要素の形態のスクリーンを配置することが開示されている。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、低コストで単純な方法により製造することができ、物質を高い感覚刺激的及び視覚的な品質の飲料へと処理することに関して更に改善されたカプセルを提供することである。
【0014】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載のカプセルを提供することによって達成される。
【0015】
スクリーンは、煎出中にカプセル本体から解放されるようにカプセル本体に取り付けられているので、液体がカプセルに注入されるにつれて、スクリーンは、カプセル本体の底部からより完全に遠ざかるように移動することができる。好ましくは、スクリーン全体は、底部から完全に間隔が空くように、カプセルに注入される液体に応じてカプセル本体の底部から遠ざかるように移動する。したがって、物質の上の径方向の水の分配のためのより多くの空間が、スクリーンとカプセル本体底部との間に残される。その一方で、煎出前、スクリーンはカプセル本体に取り付けられているので、煎出前のカプセルの充填及びその後の取り扱い中は、例えば移送中にカプセルが振り動かされても、スクリーンは確実に所定位置に保持される。
【0016】
スクリーンは、例えば、物質の粒子のうちの少なくともより小さな粒子が通過することを可能にするのに十分大きい複数の通路を備えたフィルタ材料から作製され得る。より具体的には、フィルタ材料は、不織布材料であってよい。このようなスクリーンは、物質床(具体的には、挽いたコーヒー床)上での優れた水分配を提供し、したがって抽出が向上することを示している。理論にとらわれずに、抽出向上は、一方でフィルタ材料の多孔性と他方でフィルタ材料内の通路とを組み合わせることによって得られることが予想される。
【0017】
通路は、例えば、1〜4mmの直径を有することができる。スクリーンの直径は、例えば、20〜40mm、例えば22〜30mmとすることができる。カプセルの底部の直径は、例えば、20〜40mm、例えば22〜30mmとすることができる。スクリーンの直径は、カプセルの内側の底部の直径とほぼ同じ(例えば、95〜105%)であってよい。スクリーンには、例えば、4〜30個の通路、好ましくは約15〜25個の通路が設けられ得る。通路のパターンを含むスクリーン領域は、底部の50〜100%を覆うことができ、スクリーン領域の残りの部分は、通路のパターンを含まない。実際の実施形態では、スクリーンには、それぞれ1.5〜2.5mm、好ましくは1.6〜2.2mm、より好ましくは1.6〜1.8mmの直径を有する15〜18個の通路が設けられる。
【0018】
スクリーン材料は、例えば、20〜200g/cm、好ましくは40〜100g/cmの重さを有することができる。スクリーン材料は、例えば、0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmの厚さを有することができる。スクリーン材料(通路なし)は、例えば、スクリーン材料にわたる100Paの圧力低下において500〜3000l/(ms)、好ましくはスクリーン材料にわたる100Paの圧力低下において1000〜1500l/(ms)の空気透過率を有することができる。
【0019】
本発明の特定の詳細及び実施形態は、従属請求項に記載される。本発明はまた、請求項38に記載のシステム、及び請求項40に記載の方法で実施されてもよい。
【0020】
本発明の更なる特徴、効果、及び詳細は、詳細な説明及び図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるカプセルの第1の実施例の斜視断面図である。
図2】コーヒー製造マシンのハウジングと閉鎖部材との間に位置決めされ、スクリーンがカプセル本体から解放されている、図1によるカプセルの概略側断面図である。
図3】本発明によるカプセルの第2の実施例の斜視断面図である。
図4】本発明によるカプセルの第3の実施例のスクリーンの上面図である。
図5】本発明によるカプセルの第4の実施例のスクリーンの上面図である。
図6】本発明によるカプセルの第5の実施例のスクリーンの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2には、本発明によるカプセル1の第1の実施例が示されている。カプセル1は、底部3と、側壁4と、底部3の反対側の端部5と、側壁4から外向きに開いた端部5の周りに延びるフランジ6とを有するカプセル本体2を有する。カプセルのカバー7は、外向きに延びるフランジ6に取り付けられ、カプセル本体5の底部3の反対側の端部5を密閉して閉鎖する。例示目的のため、カバー7は、透明部材として図示されている。カバーはまた、例えば、使用前に除去されるべき香味保持バリア内にカプセルが包装され、及び、煎出飲料が流れることを可能にするためにカバーが更に開放されなくてもよい実施形態では、ある程度開放されてもよい。
【0023】
カプセル本体2及びカバー7は、カプセルチャンバ8を画定する。カプセルチャンバ8は、カプセル内に加圧下で注入流体を供給することによって物質を抽出及び/又は溶解することにより飲用飲料を調製するために、大量の固まっていない固体粒子から構成される物質9を収容する。
【0024】
本実施例及び本発明の実施形態では、物質は、一般に、例えば、挽いた焙煎コーヒー豆であってよいが、成分が抽出されるべき別の物質、並びに/又は、例えば茶、粉乳及び/若しくは砂糖である、熱水などの加圧注入液体が通過するときに溶解及び/若しくは乳化される別の物質、又は乾燥スープであってもよい。物質は、例えば、5〜40グラム、好ましくは5〜30グラム、より好ましくは5〜14グラムの挽いた焙煎コーヒーであってよい。
【0025】
広く使用されているコーヒーマシンとの適合性のために、一般的に、カプセルは、以下の特徴であって、
・外向きに延びるフランジの外径は、約37〜45mmであること、
・カプセルの底部の直径は、約23〜30mmであること、
・外向きに延びるフランジの丸まった外縁の内縁は、カプセル本体中心軸線を中心とした32〜42mmの半径を有すること、
・外向きに延びるフランジの丸まった外縁は、約1.2〜1.6mmの最大寸法を有すること、
・カプセル本体の側壁の自由端の内径は、約29〜35mmであること、
・カプセル本体の側壁の自由端と外向きに延びるフランジの最外縁との間の距離は、約3.5〜5mmであること、
・カプセル本体の高さは、約28〜40mmであること、
・カプセル本体は、切頭形であり、好ましくはカプセル本体の側壁は、カプセル本体中心軸線を横断する線に対して約94〜98°の角度を形成すること、
・カプセル本体の底部は、約23〜29mmの最大内径を有すること、
・カプセル本体の底部は、切頭形であり、好ましくは約4〜7mmの底部高さを有し、底部は、更に、カバーの反対側に約8〜11mmの直径を有する概ね平らな中心部分を有すること、
・エンクロージャ部材が閉じられたときにエンクロージャ部材の自由端に最初に接触する封止部材部分の高さは、少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、最も好ましくは少なくとも0.8mmであり、最大3mm、より好ましくは最大2mm、最も好ましくは最大1.2mmであること、
のうちの1つ以上と一致することが好ましく、寸法は、カプセルが使用されるコーヒー製造マシンの種類に応じてこれらの範囲内で選択されるべきである。
【0026】
(好ましくはアルミニウム製の)カバーの壁厚は、好ましくは、例えばアルミニウム又はプラスチック材料のカプセル本体の壁厚よりも小さく、したがって、カバーは、例えば、カプセル内の流体圧力の影響下で飲料調製デバイスの抽出プレートなどの飲料調製デバイスの閉鎖部材上でアルミニウムカバーが裂き開かれることによってカプセルチャンバに加えられる圧力の補助で、開放され得る。
【0027】
カプセルチャンバ8内には、透水性かつ物質9の粒子の主要部分に対して不透過性の材料のスクリーン10が配置される。スクリーン10は、物質9とカプセルの底部3との間に位置決めされ、カプセル1の中心線11とほぼ同軸の中心を有する。図1に示される状態では、スクリーン10は、中心11から間隔が空けられ互いに円周方向に間隔が空けられた取り付けゾーン12に沿って、カプセル本体1に取り付けられている。図2に示される状態では、スクリーン10は、カプセル本体2から解放されており、すなわち、もはやカプセル本体2に取り付けられておらず、カプセル内の物質9上に載っている。
【0028】
いくつかの実施形態では、スクリーンがカプセル本体の底部から完全には解放されないことが、時々、大抵又は常に生じ得る。それによって、未解放の取り付け領域のパターンに応じて、カプセル本体内のスクリーンの位置が斜めになることがある。しかしながら、おそらくスクリーンが透過性であることにより、このことが煎出飲料の品質に顕著に影響を及ぼすことは見出されていない。
【0029】
ゾーン12内の取り付け部は、それが底部に固定された直後、及びカプセルの充填中、及び煎出前の保管及び取り扱い中は、スクリーン10をカプセル1内の所定位置に保持し、煎出中、スクリーン10はその周縁部までの比較的大きな部分が液体の通過のために利用可能になるようにカプセル本体2の底部3から解放されるので、スクリーン10を通過する液体流れをほとんど妨げない。スクリーン10は、スクリーン10及びスクリーン10の下流にある物質9の表面領域にわたって径方向に簡単に分配されるように穿孔要素13によって底部3に形成された穿孔部16を介してカプセルに入る液体のためのより大きな空間が残されるように、カプセル本体2の底部3から比較的遠くに離れた位置へと実質的にその全表面領域にわたって移動される。
【0030】
本実施例では、スクリーン10は、煎出中に、取り付け部12が引き剥がされるように取り付けられる。こうして、煎出中にスクリーン10にわたる圧力低下が大きくなるほど、スクリーン10が迅速に解放されることが確実になる。
【0031】
スクリーン10は、取り付けゾーン12において底部3に取り付けられる。取り付けゾーン12は、径方向に細長く、カプセル1の中心軸線11から径方向に間隔を空けた最内端を有する。煎出が開始されると、スクリーン10は、中央領域が膨らみ、それによって取り付けゾーン12に及ぼされる剥離力が、その内端に集中することになる。これらの取り付けゾーン12は、径方向に細長いので、これらのゾーン12は、円周方向に比較的小さい。そのため、底部3からスクリーン10を引っ張る力は、円周方向に非常に小さい範囲内に集中し、したがって、大きな剥離張力が取り付けゾーンの内端に及ぼされ、比較的小さな力が底部3からのクリーン10の剥離開始に必要となる。剥離が開始されると、残りの取り付けゾーン12のその時点の内端が、取り付けゾーン12の外端に達するまで径方向外側に移動する。そして、スクリーン10は、底部3から完全に取り外される。
【0032】
取り付けゾーン12の長さに沿った剥離を容易にするために、取り付けゾーン12は、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満又は0.6mm未満の幅を有する。取り付けの信頼性及び製造のしやすさのため、少なくとも0.3又は0.4mmの最大取り付けゾーン幅が好ましい。
【0033】
スクリーン10には、物質9の少なくとも一小部分(fraction)が固体形態で通過できるように寸法設定された複数の通路23が設けられる。通路を通過することができる物質9の一小部分は、例えば、物質9の最小10%、30%又は50%とすることができる。原則として物質の全ての粒子が通路を通過することがきること、又は、通路のうちのいくつかが、他の通路よりも物質のより大きな一小部分の通過を可能にすることも提供され得る。更に、粒子は原則として通路を通過することが可能であっても、実際には、物質の大部分、及び通路を通過することができる一小部分の大部分は、実際には通路を通過しない。これは、煎出後、物質の大部分は、これらの粒子を通路の中へと運ぶのに十分な大きさの逆流に曝されないためであり、更に、粒子は、湿潤後、互いに粘着する傾向があるためである。しかしながら、適切な量の粒子が通路を通過し、更にはカプセルの外側に通過し、それによって、煎出後に、飲料がそれから煎出された物質のサンプルが見え、消費者が容易に香りを嗅ぐことができることが見出された。
【0034】
更に、比較的大きな通路が流動抵抗が特に低い分配局所領域を提供するので、水がそこを通ってスクリーンにわたるより小さな圧力低下で押されるこれらの通路23は、物質9の上への水の分配を可能にする。これは、水を、流動距離の単位当たりの圧力低下がそうでなければ比較的低い比較的長い流路を含む、流路にわたって分配させることを可能にする。更に、水が、スクリーン10を迂回して流路に沿って通過する、又はスクリーン10に穿孔された孔を通って比較的大きな範囲に通過する傾向が低減されるが、これは、スクリーン10にわたる圧力低下が低くなるためである。スクリーン10にわたる圧力低下の減少は、更に、むしろ全体的な圧力の低下が物質9にわたる正味圧力低下になり、したがって抽出がより集中的になり得るという利点を提供する。
【0035】
スクリーン10が、穿孔されることなく、穿孔要素13によって容易に変位されることを可能にするために、スクリーン10は、紙、プラスチックフィルム、又は織布、不織布若しくは編物構造の形態の繊維材料などの可撓性材料で作製されることが好ましい。スクリーン10が濾紙である場合、低コストで良好な煎出結果を達成することができる。濾紙が繊維及び/又は結合剤材料などの熱可塑性成分を含有する場合、これらは、より詳細に記載されるように、取り付けゾーン内でのカプセル本体への封止のために使用され得る。
【0036】
スクリーン10が穿孔要素13によって容易に変位されることを可能にするためには、全ての取り付けゾーンがスクリーン要素の周辺部に沿ってのみ分配される場合が有利である。
【0037】
図2では、また、カプセル1と共に飲料煎出システムを形成する、コーヒーマシンの関連部材が示されている。これらの部材は、カプセル本体2の主要部分を受け入れることができるハウジング14と、調製飲料がカプセル1から流出することを可能にするための通路17を含む閉鎖部材15とを含む。ハウジング14及び/又は閉鎖部材15は、カプセル1のフランジ6がハウジング14と閉鎖部材15との間にクランプされている動作位置と、使用済みカプセル1をそこを通してハウジング14から取り外すことができ新しいカプセル1をそこを通してハウジング14内に位置決めすることができる開口部を残した移送位置との間で、他方に対して移動可能である。穿孔要素13は、使用時に、ハウジング14の内部のカプセル本体2の底部部分3をいくつかの穿孔位置16で穿孔するように配置される(原則として、単一の位置で穿孔するための単一の穿孔要素も同様に可能であり、この実施例では、各穿孔要素がカプセルの底部の中央部のすぐ外側を穿孔するように、円上に位置する3つの穿孔要素が提供される)。このようなコーヒーマシンは市販されており、したがって、より詳細には記載しない。
【0038】
動作中、カプセル1は、ハウジング14内に位置決めされ、ハウジング14と、カバー7を通って出力された煎出飲料がカプセル1から流出することを可能にする貫通孔17を含む閉鎖部材15との間にクランプされている。ハウジング14内部のカプセル本体2の底部部分3は穿孔され、熱水などの加圧注入流体がハウジング14に送り込まれ、その注入流体が底部3に穿孔された少なくとも1つの孔16を通ってカプセル1に貫入させられる。孔はまた、例えば製造中である、ハウジング内にカプセルを配置する前に、底部に設けられてもよい。
【0039】
次いで、好ましくはカプセル1内の流体圧力の影響下で、カバー7が裂け、すると注入流体の流れが少なくとも部分的にスクリーン10を通って物質を貫通してカバーを通過し、煎出飲料はカプセルから出て、受器へと案内される。
【0040】
通路23は、物質9の粒子が固体形態で通過することを可能にするように寸法設定されるので、穿孔要素13が後退されカプセル2に圧力がもはや加えられなくなるにつれ及び/又はその後に、適切な量の粒子がカプセル本体2の外側に通過することになる。したがって、ユーザは、飲料がそれから煎出された物質の一部を見てより良く香りを嗅ぐことができ、したがって、挽いたコーヒーを手動で充填しなければならない従来のエスプレッソマシンなどの、手動充填煎出装置におけるコーヒー煎出との類似性及び関連性が促進される。
【0041】
水の径方向分配のために、通路23のうちの少なくともいくつかは、穿孔部16の位置(単数又は複数)、又は底部に予め作製された開口部の位置(単数又は複数)の周辺に配置されることが好ましい。
【0042】
図3には、本発明によるカプセル51の第2の実施例が示されている。原則として、図1及び図2に示されるカプセル1と著しく異なるこのカプセル51の特徴のみ説明する。例示目的のため、図3のカバー57は、透明部材として図示されている。
【0043】
このカプセル51では、取り付けゾーン62はやはり細長いが、内端から円周方向に延びて外端に向かってより径方向に延びるように湾曲している。これにより、確実な取り付けのための比較的長い取り付けゾーン62を可能にし、その一方で、剥離力がより小さくなる傾向にあるとき、径方向における剥離が、取り付けゾーン62の径方向外端に向かってより容易になる。
【0044】
この実施例では、物質59の粒子が固体形態で通過するのを可能にするのに十分大きい、スクリーン60を通る通路73が、図1及び2に示される実施例のような2つの同心円ではなく単一の円に配置される。
【0045】
図4には、本発明によるカプセルのスクリーン110の更に別の実施例が示されている。この実施例では、取り付けゾーン112は、スクリーン110の中心軸線の周りのエンドレス閉ループの形態である。このような実施形態では、取り付けゾーン112は、剥離が開始され得る自由最端部を有さない。しかしながら、煎出用液体はスクリーン110を通る以外に逃げることができないので、取り付けゾーンは煎出用液体と比較的密接に接触することになり、スクリーン110の圧力低下は、特にスクリーン110が液体に対して不透過性である、又は低い液体透過性しか有さない材料である場合、及び、取り付けゾーンによって形成されたループの内側にスクリーン材料を通る通路が配置されておらず、液体が通過する底部にある全ての開口部が取り付けループの内側にある場合、比較的大きくなる。
【0046】
具体的には、このような取り付けゾーン設計では、しかし他の設計の取り付けゾーンにおいても、92℃未満、好ましくは85℃未満のガラス転移温度を有する成分を含む食品グレードの感熱性接着剤(adhesive)によって取り付け部を形成するようにすることによって、スクリーン110の確実な解放を容易にすることができる。例えばコーヒー又は茶の煎出に使用される煎出用液体の熱によって、接着剤は容易に変形可能になり、したがって取り付け部はより容易に解放される。
【0047】
スクリーンの確実な解放は、水溶性の又は水溶性成分を含む食品グレードの接着剤によって取り付け部を形成するようにすることによっても向上させることができる。通常、煎出用液体は、水である。温かい煎出用液体との接触により、接着剤の水溶性成分が迅速に溶解し、それによってスクリーンが取り付けゾーン112に沿って解放される。
【0048】
図5には、本発明によるカプセルのスクリーン160の更なる実施例が示されている。この実施例では、取り付けゾーン162はそれぞれ、内端における鋭い先端まで内側方向に向かって狭くなる幅を有する内端部分を有する。これにより、径方向外側向きの剥離が特に容易に開始される。
【0049】
通路173、174、175は、スクリーン160の中心176の周りに同心の3つの環状ゾーンで配置される。内輪にある通路173、174は、スクリーン160の材料によって円周方向に画定される、スクリーン160の材料内の開口部によって形成される。外側環状ゾーンにある通路175は、スクリーン160の外周縁にベイによって形成される。ベイは、水がスクリーン160の周辺部とカプセル本体の側壁との間を通過することができる、流動抵抗の低減された領域を形成する。
【0050】
図6では、本発明によるカプセルのスクリーン210の更に別の実施例が示されている。この実施例では、通路223(全てが参照番号によって示されているわけではない)は、スクリーン210の表面領域全体にわたって均一なパターンで配置される。均一なパターンに従って配置された通路の利点は、スクリーンがスクリーン材料から切り離されるよりも前に、スクリーン材料が非常に効率的に通路を備えることができることである。次いで、スクリーンは、パターン付のスクリーン材料から切断され、又は別の方法で切り離され得る。
【0051】
この実施例では、パターンは、均一な相互距離にある列及び行からなる均一なパターンである。しかしながら、例えば連続する列同士の間のピッチの半分だけ、連続する行が長手方向に互い違いになるパターン、又は、通路の中心が仮想六角形セルの角部上に置かれるパターンなど、他のパターンもある。
【0052】
この実施例では、取り付けゾーン212(全てが参照番号によって示されるわけではない)は、通路223の均一なパターンとは異なるパターンで配置される。取り付けゾーン212の位置は、スクリーンをカプセル本体の底部に封止するための工具によって決定され、スクリーン210がカプセル本体内の中心に置かれる程度に、それに応じて、中心226とスクリーン210の外周との相関から中心が決められるが、スクリーン210のおおよそ中心226周りの回転方向には決定されない。対照的に、スクリーン210上の均一パターンの位置は、スクリーンが、スクリーンの中心226及び外側縁に対する通路223のパターンの位置に特に配慮することなく、通路223が予め設けられたスクリーン材料のウェブから切断されるため、(ほぼ)完全にランダムである。取り付けゾーン212は、取り付けゾーンに対する通路223の均一パターンの配置に関係なく、互いに最近接している取り付けゾーン212からなる三角形の取り付けゾーン(例えば、取り付けゾーンAの三角形は)が、通路223からなる任意の三角形の通路(例えば、通路B又はC又はDの三角形の通路223)内に全て同時に完全に(及び、好ましくは部分的にも)適合することができないような構成に配置される。したがって、最悪の場合でも、2つの隣接する取り付けゾーン212は、通路223内に位置することができ、スクリーン210をカプセル本体の底部に取り付けることに寄与しない。しかしながら、その状況では、取り付けゾーン212のうちの他のものが、カプセル本体内へのスクリーン210の十分な固定を提供する。
【0053】
本実施例では、取り付けゾーンの数は5個であり、したがって、2つの隣接する取り付けゾーン212が通路223と完全に重なり合う場合、これらの2つの取り付けゾーンに隣接する取り付けゾーンが、スクリーン210の固定に少なくとも部分的に寄与することになり、カプセル本体に対するスクリーン210の必要な固定を提供するのに十分に離れて配置される。取り付けゾーンの数はまた、5個よりも多くてもよいが、煎出中の迅速な解放及び例えばヒートシールによる迅速な取り付けのために、取り付けゾーンの数は、10個以下であり、より好ましくは8個未満であることが好ましい。
【0054】
カプセル及び物質59の径方向外側部分に水を効果的に分配するために、通路73のうちの少なくともいくつかを、中心からそれぞれの通路の方向で測定すると、中心から周縁の距離の40%を超える、より好ましくは50%を超える、又は60%を超える中心からの距離に配置すると、有利である。径方向外側の水の分配は、これが全ての通路に適用される場合に更に促進される。
【0055】
(やはりまた均一なパターンの開口部を含むスクリーンを使用して効果的に達成され得る)径方向外側の水の分配は、例として、図1図3、15に示す例と同様に、特に関連性のあるものである。カプセル本体2、52は、底部3、53側よりもカバー4、57側で大きい、カバー(cove)7、57に平行な平面に沿った内部断面積を有する。このようなカプセル1、51では、断面積は、底部3、53からカバー7、57へと、すなわち、物質を通る水の流れ方向に増加し、したがって、水は、物質9、59を通って流れるにつれて、より大きな断面積にわたって分配される必要がある。スクリーンにおいて比較的小さな圧力損失しか招かずに、水の比較的多くの部分を径方向外側に導くことによって、水が、カバー7、57に近い物質の断面の外側領域にも効果的に分配されることが確実になる。
【0056】
径方向外側の水の分配は、肩部の底部側よりも肩部のカバー側で内部断面積が大きくなる肩部が、カプセル本体の側壁に設けられる場合、より一層関連性のあるものである。
【0057】
局所流動抵抗の特に効果的な低減は、通路のうちの少なくともいくつか又は全てがそれぞれ、少なくとも3mm、例えば3〜7mm、より好ましくは4〜5.5mmの断面積、及び/又は少なくとも1〜4mmの断面サイズを有する場合、達成される。スクリーンの断面サイズは、例えば、20〜40mm、例えば22〜30mmであってよい。カプセルの底部の直径は、例えば、20〜40mm、例えば22〜30mmであってよい。スクリーンの直径は、カプセルの内側の底部の直径とほぼ同じであってよい。スクリーンには、例えば、4〜30個の通路、好ましくは約15〜25個の通路が設けられ得る。通路が位置するスクリーン領域は、底部の50〜100%を覆うことができる。実際の実施形態では、スクリーンにはそれぞれ、1.5〜2.5mm、好ましくは1.6〜2.2mm、より好ましくは1.6〜1.8mmの直径を有する15〜18個の通路が設けられる。
【0058】
スクリーン材料は、例えば、20〜200g/cm、好ましくは40〜100g/cmの比重量を有することができる。スクリーン材料は、例えば、0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmの厚さを有することができる。スクリーン材料(通路なし)は、例えば、スクリーン材料にわたる100Paの圧力低下において500〜3000l/(ms)、好ましくはスクリーン材料にわたる100Paの圧力低下において1000〜1500l/(ms)の空気透過率を有することができる。
【0059】
スクリーンは、内側表面領域、及び内側表面領域を取り囲む外側表面領域から構成されると見なされ得る表面領域を有し、内側表面領域は、スクリーンの全表面領域の少なくとも25%を形成し、内側表面領域内の通路の内側部分は、内側表面領域の第1の割合の開放表面領域を提供し、その一方で、外側表面領域内の通路の外側部分は、外側表面領域の第2の割合の開放表面領域を提供する。第2の割合が第1の割合よりも大きい場合、外側の水の分配が有利となる。内側表面領域は、スクリーンの全表面領域の少なくとも40%、50%又は60%を形成することができ、内側表面領域には、少なくとも煎出前、通路がなくてもよい。内側表面領域は、円形境界を有することができ、スクリーンの中心は、内側表面領域の中心を形成する。
【0060】
スクリーンは、好ましくは、透水性材料(例えば、濾紙、フェルト材料、又は織布材料などの繊維材料の1つ以上の層)からなることが好ましく、したがって、水流の全てが通路へと集中するわけではない。しかしながら、通路の数が十分に多く、通路が十分に均等に分配されていれば、スクリーンは水不透過性材料からなってもよい。
【0061】
いくつかの特徴は、同じ又は別個の実施形態の一部として記載されている。しかしながら、本発明の範囲はまた、実施例において具体化された特徴の特定の組み合わせ以外のこれらの特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態も含むことが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】