特表2019-534787(P2019-534787A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2019534787-高圧合金鋳造プロセス及び装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-534787(P2019-534787A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】高圧合金鋳造プロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/041 20060101AFI20191108BHJP
   B22D 21/06 20060101ALI20191108BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20191108BHJP
   B22D 7/00 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   B22D11/041 D
   B22D21/06
   B22F3/105
   B22D7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-516228(P2019-516228)
(86)(22)【出願日】2017年10月2日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月25日
(86)【国際出願番号】US2017054767
(87)【国際公開番号】WO2018071217
(87)【国際公開日】20180419
(31)【優先権主張番号】62/406,285
(32)【優先日】2016年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516343516
【氏名又は名称】アーコニック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンプル,ビベック エム.
(72)【発明者】
【氏名】チュー,メン グレン
(72)【発明者】
【氏名】クルジンスキ,マーク ティー.
(72)【発明者】
【氏名】カーディナーレ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キルマー,レイモンド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイトカス,エバン シー.
【テーマコード(参考)】
4E004
4K018
【Fターム(参考)】
4E004NA02
4E004NB04
4E004NC09
4E004SD10
4K018CA44
4K018DA33
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【解決手段】高圧不活性環境下で、顆粒状金属供給原料が、回転プラテン又は回転プラテン上の予め堆積された層上に加えられる、多成分金属合金インゴット又は製品の形成のための装置及びプロセス。顆粒状供給原料がプラテン上に堆積されると、プラテンは、供給原料を有するプラテンのセグメントが溶融レーザービーム又は渦電流誘導溶融場などのエネルギー生成場を通過するように、回転される。このセグメントは、通過すると、溶融されて、溶融物の弧状セグメントが形成される。次いで、溶融物をエネルギービームの下から外に回転させ、固体状態の所望の合金に冷却させ、その際に、供給原料の次の連続するセグメントが加えられ、層が形成されるまでプロセスが繰り返される。次いで、プラテンを下方に位置合わせしてもよく、新しい層を同じ方法で形成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分金属合金を鋳造するためのシステムであって、
ガス充填圧力チャンバであり、前記圧力チャンバ内に加えられたいずれの供給原料成分の沸騰も防止するのに十分な圧力を維持することができる、ガス充填圧力チャンバと、
前記圧力チャンバ内に可動プラテンを有する可動プラテンアセンブリと、
前記チャンバ内に、かつ前記可動プラテン上の表面に、チャンバ圧力下で供給原料を供給するように動作可能な、前記圧力チャンバ内に接続された供給原料供給部と、
前記表面に集束されたビーム又は場の下で、前記供給原料を溶融させるように動作可能な前記可動プラテン上の前記表面に集束される前記圧力チャンバ内の溶融レーザービーム又は電磁誘導溶融場などの1つ以上のエネルギー発生源と、
前記可動プラテンアセンブリに接続され、前記表面上に集束された前記レーザーから離れるように前記表面上の前記溶融物を移動させて、前記圧力チャンバ内の前記溶融物を前記可動プラテン上の前記表面上の多成分金属合金層に冷却し凝固させることを許容する機構と、を備える、システム。
【請求項2】
前記圧力チャンバが、最初に排気されて、前記チャンバから実質的にすべての空気を除去し、その後、予め選択されたガスで充填される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記圧力チャンバが、いずれの供給原料成分金属又は合金の沸点圧力よりも高い圧力で維持される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
加圧チャンバが、前記可動プラテンを収容する管状部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記可動プラテンが、ピストンの円形ヘッド端部を含み、前記機構が、前記ピストンに接続された回転子を含み、前記機構が、重力を利用して、前記ピストンを前記圧力チャンバの前記管状部分から引き出すことを補助する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記圧力チャンバに接続され、加圧ガスを、前記チャンバから熱交換器を通し、前記チャンバに戻して循環させて、前記プラテンの前記表面上に形成された溶融物を冷却するための冷却システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記チャンバ及び前記チャンバ内に形成された前記多成分層を冷却することを補助するために、前記圧力チャンバの周囲に水冷チャンバをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記供給原料供給部が、前記供給原料を収容する圧力チャンバの圧力で閉鎖可能な供給原料ホッパーと、溶融のために前記プラテンの前記表面上への供給原料の制御された供給量を提供するように動作可能な供給装置アセンブリと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギー発生源が、前記プラテンの前記表面にわたって半径上に集束された1つ以上の溶融レーザーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記可動プラテンが、前記1つ以上の溶融レーザーの下で前記プラテンを通じる軸を中心に回転し、前記1つ以上のレーザーがそれぞれ、前記表面上の供給原料の弧状セグメントを溶融する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
多成分金属合金を鋳造するためのプロセスであって、
加圧チャンバ内で、可動プラテンの表面上に供給原料金属の部分層を形成することと、
前記表面上に溶融物を形成するために、溶融レーザービーム又は渦電流誘導場などのエネルギー発生源で前記部分層を溶融することと、
前記プラテン上の前記表面を前記ビーム又は場から離れるように移動させることと、
前記表面上の前記溶融物を固形多成分金属合金に冷却することと、
前記形成する動作、溶融する動作、移動させる動作、及び冷却する動作を繰り返して、所望の固体多成分金属製品を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項12】
前記加圧チャンバが不活性ガスで加圧される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記形成することが、供給原料を前記可動プラテン上の前記表面の回転部分上に広げることを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
移動させることが、前記加圧チャンバの管状部分を通じる長手方向軸を中心に前記プラテンを回転させることを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
移動させることが、前記製品が形成される際に前記プラテンを前記長手方向軸に沿って引き抜くことを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
冷却することが、前記加圧チャンバから熱交換器を通じて加圧ガスを循環させることを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
冷却することが、前記プラテンを回転させて、1つ以上の溶融レーザーと直接整列された領域から離れるように前記溶融物を移動させることを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
形成することが、供給原料金属を、前記供給原料金属が前記可動プラテン上に形成されているときに、前記製品が凝固した多成分金属の連続層かららせん状に構築されるように、前記プラテンの前記表面上に供給することを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
金属供給原料から多成分金属合金製品を形成するための装置であって、
0psia〜少なくとも1015psiaのチャンバガス圧に耐えることができる圧力チャンバと、
前記チャンバ内の回転する円形プラテン上に供給原料を堆積させるために、チャンバ圧力で前記チャンバに接続された供給原料供給部と、
前記回転プラテン上の層内に堆積された前記供給原料を溶融させるのに十分なエネルギーを前記回転プラテン上に集束させるように動作可能な1つ以上の溶融レーザー又は渦電流誘導場発生器と、
軸を中心に前記プラテンを回転させ、前記プラテンを軸方向に移動させるように動作可能なプラテン位置決め機構と、を備える、装置。
【請求項20】
前記圧力チャンバから及び前記圧力チャンバへとガスを再循環及び冷却するために、前記圧力チャンバに接続された熱交換器をさらに備える、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本開示は、高圧不活性環境下で、顆粒状金属供給原料などの金属供給原料が、回転プラテン又は回転プラテン上の予め堆積された層上に加えられる、多成分金属合金製品又はインゴットの形成のための新規な装置及びプロセスを記載する。供給原料がプラテン上に堆積されると、プラテンは、供給原料を有するプラテンのセグメントが溶融レーザービーム又は渦電流誘導加熱場などのエネルギービーム又は場を通過するように、回転される。このセグメントは、通過すると、溶融されて、溶融物の弧状セグメントが形成される。次いで、溶融物をレーザービーム又は場の下から外に回転させ、固体状態の所望の合金に冷却し、その際に、供給原料の次の連続するセグメントが、凝固した所望の合金の完全な層が形成されるまで、プラテン上に加えられ、ビーム又は場を通過し、溶融され、次いで冷却される。次いで、プラテンを下方に位置合わせし、新しい層を同じ方法で形成する。
【0002】
各セグメントの溶融は、本質的に連続プロセスであり、プラテンは、360度の完全な回転を通じて連続的に回転されて、所望の合金の各層を形成する。レーザービーム又は誘導場は、好ましくは、顆粒層セグメント、並びにすぐ下にある所望の合金の前の層を溶融する。あるいは、加圧チャンバ内で、各層は、プラテンとレーザーアレイとの間の相対回転を提供するために、不動又は固定プラテンに集束される可動溶融レーザーアレイを利用することによって形成されてもよい。
【0003】
所定量の顆粒状成分混合物は、好ましくは、混合物が円形表面のセグメントの上に均一に広がるように、加圧チャンバの溶融セクションに加えられる。次いで、このセグメントを表面上のレーザー走査領域又は渦電流誘導場に通過させて、顆粒状混合物を溶融物に溶融する。表面上の溶融物がレーザー走査領域外に移動すると、溶融物は所望の合金に凝固する。圧力は、チャンバ内で高レベルに維持されて、合金中の適用可能な又はすべての成分要素の沸騰を抑制し得る。
【0004】
本明細書で使用するとき、「多成分合金製品」等は、金属マトリックスを有する製品を意味し、少なくとも4つの異なる要素がマトリックスを構成し、多成分製品は5〜35at.%の少なくとも4つの要素を含む。一実施形態では、少なくとも5つの異なる要素がマトリックスを構成し、多成分製品は5〜35at.%の少なくとも5つの要素を含む。一実施形態では、少なくとも6つの異なる要素がマトリックスを構成し、多成分製品は5〜35at.%の少なくとも6つの要素を含む。一実施形態では、少なくとも7つの異なる要素がマトリックスを構成し、多成分製品は5〜35at.%の少なくとも7つの要素を含む。一実施形態では、少なくとも8つの異なる要素がマトリックスを構成し、多成分製品は5〜35at.%の少なくとも8つの要素を含む。以下に記載されるように、添加剤も、多成分合金製品のマトリックスに対して使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示による例示的な装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の1つの例示的な実施形態による、顆粒状金属供給原料から多成分金属合金を形成するための装置を図1に示す。装置10は、0psia〜少なくとも1015psiaのチャンバガス圧に耐えることができる圧力チャンバ12と、チャンバ10内の回転可能なプラテン18上に顆粒状供給原料16を堆積させるために、チャンバ圧力でチャンバ10に接続された供給原料供給部14と、回転プラテン18上の層22内に堆積された顆粒状供給原料16を溶融させるのに十分なレーザー光エネルギーをチャンバ10内の回転プラテン18上に集束させるように動作可能な溶融レーザー20などの1つ以上のエネルギービーム又は電磁場源と、軸を中心にプラテン18を回転させ、プラテン18を軸方向に移動させるように動作可能なプラテン位置決め機構24と、を含む。
【0007】
図1では、装置10は、プラテン18上にすでに部分的に形成されたインゴット40と共に示されていることに留意されたい。溶融及び冷却されている進行中の層22は、レーザー20の直下に示される。層22の形成中、溶融レーザー20は、実際には、層22を形成する供給原料16、並びにプラテン18上の予め形成された多成分合金インゴット40の直下の層を溶融する。このようにして、インゴット40の予め選択された組成構造が生成される。一実施形態では、予め選択された組成構造は均一/均質である。別の実施形態では、予め選択された組成構造は不均質である。
【0008】
好ましくは、装置10は、圧力チャンバ12から及び圧力チャンバ12へとガスを再循環及び冷却するために、圧力チャンバ12に接続された熱交換器26を含む。フィルタ28は、好ましくは、熱交換器26と圧力チャンバ12との間の経路に位置決めされて、ガスが圧力チャンバ12に戻って再循環される際にガスから粒子及び他の汚染物質を除去する。このフィルタ28はまた、脱ガスされた酸素分子を除去するための酸素吸収材を含んでもよく、それにより動作中に内部チャンバ環境が無酸素で維持される。
圧力チャンバ12は、好ましくは、チャンバ12を取り囲む水冷ジャケット30を有する円筒形状であってもよい。チャンバ12は、好ましくは、プラテン18を収容する管状部分を有し、その上に所望の多成分合金のインゴット40が形成される。この管状部分は、中心軸Aを有し、この軸を中心として、プラテン18がプラテン位置決めアセンブリ24によって回転される。プラテン位置決めアセンブリ24は、回転子34及び軸方向位置合わせ機構36を含む。
供給原料供給部14は、好ましくは、圧力チャンバ12に接続され、圧力チャンバ12と同じ圧力で維持される。供給原料供給部14は、密封可能ホッパー38と、供給原料をプラテン18上に(例えば、均一な量で)分注するためのらせん状供給器42などの供給機構とを含むことが好ましく、これにより、顆粒状供給原料16は、回転プラテン18上に連続的に成長する放射状セグメントの様式で(例えば、均一な厚さで)堆積される。
【0009】
溶融レーザー20などの1つ以上のエネルギービームは、供給原料が光エネルギーのビームの下を通過する際に、プラテン18上に堆積された供給材料16上に、光エネルギーの放射ストリップ又はビームを集束させるように配置される。溶融レーザー20は、チャンバ12内に収容されてもよく、又はチャンバ10の外側に位置し、チャンバ12の壁にある好適な窓31を通じて、プラテン18の表面上に光ビームを投射するように配置されてもよい。
【0010】
レーザー20は、ビームセグメント内の供給原料を溶融し、プラテン18上の弧状セグメントに形成された溶融物がビームから離れて回転するのにつれて、溶融物は凝固し始める。プラテン18がさらに回転すると、凝固した溶融物は冷却されて、所望の多成分合金の層22の固体セグメントを形成する。プラテン18が360度の弧全体を回転すると、インゴット40の完全な層22が形成される。軸方向位置合わせ機構36は次に、プラテン18を前の軸方向位置から軸方向に離れるように位置合わせし(例えば、予め選択された層厚に等しい量で)、堆積、溶融、及び冷却プロセスが(例えば、連続的に)繰り返されて、インゴット40の次の層が形成される。
【0011】
本開示による多成分金属合金を鋳造するためのプロセスは、加圧チャンバ12内で、可動プラテン18の表面上に顆粒状供給原料金属16の部分層22を形成することと、表面上に溶融物を形成するために、溶融レーザー20又は渦電流誘導場のうちの1つなどのエネルギー源で部分層を溶融することと、レーザー20からのビームから離れるようにプラテン18の表面を移動させることと、表面上の溶融物を固形多成分金属合金に冷却することと、形成する動作、溶融する動作、移動させる動作、及び冷却する動作を繰り返して、層22を完成させ、次いでプラテン18を軸方向に移動させて、上記の動作を繰り返して、所望の固体多成分金属インゴット40を生成することと、を含む。
【0012】
初期段階の準備は、まず、適切な量の顆粒状供給原料金属材料で供給原料ホッパー38を充填し、次いで、ホッパー38を、それが圧力チャンバ12に接続される際に密封することを含む。所望の合金の顆粒状成分を物理的に混合して、供給原料中の所望の合金化学を得る。顆粒状成分は、顆粒状供給原料16の最大融点を低減するために提供される元素混合物又は予備合金を含んでもよい。
【0013】
次に、圧力チャンバ10からのすべての空気が、チャンバ10及び接続された供給原料供給部14上の高真空を約10−2ミリトールの圧力まで引き下げることによって除去され得る。すべての空気が除去されると、チャンバ12は、溶融レーザー20に直に露出される間、好ましくはアルゴン及び/又は窒素などの不活性ガスで、チャンバ12内の予め選択された圧力(例えば、任意の知覚される供給原料成分の沸点圧力よりも大きい圧力)まで充填される。
【0014】
次に、レーザー20を介して、溶融レーザー光などのエネルギーの放射ビームがプラテン18上に集束される。次いで、顆粒状供給原料16は、制御された量で回転する円形プラテン18上に加えられ、それによって、プラテン18上の供給原料16の層の均一な放射状セグメントを形成する。プラテン18が回転すると、この供給原料セグメントは、レーザー光のビーム内に入り/それを通過し、好ましくは直下の予め堆積された層部分と共に溶融される。そのように形成された溶融物が集束されたビームから出ると、溶融物は固体多成分合金へと凝固し始める。このプロセスは、プラテン18が回転する間継続する。360度の完全な弧全体をさらに回転すると、所望の多成分合金の完全な層が形成される。
【0015】
次いで、位置合わせ機構36を作動させて、プラテンを軸方向に(例えば、凝固した溶融物の厚さに等しい距離で)移動させる。供給原料の堆積、溶融、及び冷却動作は、プラテン18の別の360度の回転にわたって繰り返され、続いて、完全なインゴット40又は調整された付加的に製造された製品が形成されるまで、プラテン18の別の位置合わせが行われる。
【0016】
この繰り返しプロセスの間、圧力チャンバ12内の不活性加圧ガスの一部は、好ましくは、チャンバ12から出て、フィルタ28及び熱交換器26を通し、チャンバ12に戻って連続的に循環され、溶融物がレーザービームの下から出る際にチャンバ内の溶融物の冷却を支持するのに十分なチャンバ12内の温度を維持する。また、圧力チャンバ12の周囲の冷却水ジャケット30は、インゴット40が形成される際にそれを冷却するのに役立つ。
【0017】
本開示の実施形態では、溶融レーザー20のアレイが記載されているが、局所的溶融を達成するための他のエネルギー源及び機構が、上記のプロセス及び装置において代替的に利用されてもよい。例えば、レーザーアレイと同様の様式でエネルギーを十分なエネルギー密度で標的化する能力を有する好適な熱誘導アレイを利用することができる。このような誘導アレイは、高圧チャンバ環境と適合し得る。
【0018】
本開示によるさらなる実施形態は、異なる組成の異なる供給原料16が、順々のプラテン18の各回転によってホッパー38に順次加えられ得、その結果、組成物層の軸方向勾配は、インゴット40が軸方向に変化する組成物を有し得るように、圧力チャンバ12内のプラテン18上に堆積され得ることを除いて、上記の実施形態10と同様である。この実施形態では、インゴット40は、組成的に調整された付加的に製造された製品とみなされ得る。さらに、プラテン18上の層は、インゴット40ではなく最終的な物体の一部を形成するように構成されてもよく、異なる供給原料は、プラテン18上の異なる点に、又はプラテン18若しくは溶融レーザー20の照射領域の下に堆積された前の層の異なるパス上に適用される。このようにして、多層多成分物体は、圧力チャンバ12内の所定の特定の多成分組成物又は組成物勾配で形成されてもよい。
【0019】
上述した実施形態は、可動プラテンと、1つ以上の溶融レーザー又は渦電流誘導場ビーム発生器などのエネルギー発生源の固定アレイとを利用する実施形態である。あるいは、プラテンは適所に保持されてもよく、上記の溶融レーザーアレイなどのエネルギー源は、プラテンとレーザーアレイとの間の相対的な回転及び並進運動を提供するように移動可能であり得る。さらに、供給原料は、顆粒状合金、元素粉末、粉末予備合金、ロッドとチップとの混合物、又は箔、ワイヤ、及び/若しくは顆粒の組み合わせであってもよい。付加的なプリンタ用途では、供給原料は、粉末床、Sciakyワイヤスタイル又はオプトメックスプレースタイルで、予め合金化された粉末又はワイヤとして加えられてもよい。レーザーアレイが十分な電力を有する場合、供給原料は、完全な混合/交合を可能にするのに十分な深さの溶融プールを創出するように、薄いシート形態で加えられてもよく、それによって、所望の多成分合金製品が形成される。溶融物が形成されると同時に、溶融物が完全に混合されることを確実にするために、活発な混合を用いてもよい。
【0020】
本明細書に記載された新技術の種々の実施形態を詳細に説明してきた一方で、それら実施形態の変更及び調節が当業者に対して発生することが、明らかである。このような変更及び調節が、本明細書にて開示する技術の趣旨及び範囲内にあることを、明確に理解すべきである。
図1
【国際調査報告】