(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
積層ワークスタックをレーザー加工する方法は、第1の透明ワークと第2の透明ワークとの間に配置される樹脂層を有する積層ワークスタックの第1の透明ワーク中に輪郭線を形成することを含む。輪郭線を形成することは、第1の透明ワークに向けられたパルスレーザービーム焦線にパルスレーザービームの焦点を合わせて、第1の透明ワーク内に誘起吸収を生じさせることおよびパルスレーザービーム焦線を第1のワーク分離線に沿って並進移動させることを含み、それにより、レーザーは複数の欠陥を有する輪郭線を形成する。方法はまた、樹脂層に向けられたパルスレーザービーム焦線にパルスレーザービームの焦点を合わせることおよびパルスレーザービーム焦線を樹脂分離線に沿って並進移動させ、それにより、レーザーは樹脂層をアブレートすることにより樹脂分離線に沿って樹脂層を分離することを含む。
前記第1の透明ワークを前記第1のワーク分離線に沿って分離するステップに続いて、前記樹脂層を前記樹脂分離線に沿って分離するステップの前に、前記第1の透明ワークを前記ビーム経路に沿って前記第2の透明ワークの下流に配置するように前記積層ワークスタックを位置付けるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、その例が、添付図面に示されている、透明ワークおよび樹脂層などの複数の材料層を含む積層ワークスタックを形成し、レーザー加工するプロセスの実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面を通して、同一の参照符号が、同一または同様の部品を参照するため使用される。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態によれば、積層ワークスタックの複数の材料層は、第1の透明ワーク、第2の透明ワーク、および樹脂層のいずれかの組み合わせを含みうる。実施形態によっては、樹脂層は、第1の透明ワークと第2の透明ワークとの間に位置付けられ、第1の透明ワークおよび第2の透明ワークに張り合わされてもよい。実施形態によっては、積層ワークスタックは、樹脂層を使わずに第2の透明ワーク上に積層された第1の透明ワークを含んでもよい。さらに実施形態によっては、樹脂層は、単一の透明ワークに張り合わされてもよい。自動車の文脈では、例示的な積層ワークスタックは、車両のフロントガラス、車両の側窓、車両の後部窓、または車両のサンルーフなどを含む。
【0015】
積層ワークスタックをレーザー加工することは、レーザービーム(例えば、パルスレーザービーム)を積層ワークスタックの1つまたは複数の層に方向づけて(例えば、焦点を合わせる)、積層ワークスタックを2つ以上の部品に分離することを含んでもよい。例えば、積層ワークスタックが車両のフロントガラスを含むとき、本明細書に記載のレーザー加工する方法が使用されて、車両のフロントガラスの所望の周囲を切り取って、車両の製造の厳しい公差の要求を満たすことができる。さらに、実施形態によっては、積層ワークスタックは、少なくとも1つの弧状面を含んでもよい。さらに、実施形態によっては、積層ワークスタックの1つ以上の層が異なる材料の特性を含み、各層は、単一のレーザーの動作に異なるように応答する可能性があるので、その結果、1つまたは複数の層を同時にレーザー加工することは有利ではない場合がある。したがって、本明細書に記載の実施形態は、実施形態によっては、第1の透明ワークと第2の透明ワークとの間に配置された樹脂層を含み、実施形態によっては、少なくとも1つの弧状面を含む積層ワークスタックを形成し、レーザー加工する方法およびシステムを提供する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「レーザー加工」は、積層ワークスタックの複数の層の1つ以上の中に、かつ/またはその上にレーザービームを向けることおよびレーザービームを積層ワークスタックに対して所望の分離線に沿って並進移動させることを含む。レーザー加工の例には、パルスレーザービームを使用して、積層ワークスタックの透明ワーク内に一連の欠陥を含む輪郭線を形成すること、パルスレーザービームを使用して、積層ワークスタックの樹脂層の一部をレーザーアブレートすること、および赤外レーザービームを使用して、積層ワークスタックの透明ワークを加熱することが含まれる。レーザー加工により、透明ワークおよび/または樹脂層を1つまたは複数の所望の分離線に沿って分離してもよい。しかし、実施形態によっては、追加の非レーザー工程を使用して、積層ワークの透明ワークおよび/または樹脂層を1つまたは複数の所望の分離線に沿って分離してもよい。
【0017】
本明細書で使用される「透明ワーク」という句は、透明なガラスまたはガラスセラミックで製造されたワークを意味し、ここで、本明細書で使用される「透明」という用語は、その材料が、特定のパルスレーザー波長に対して、材料の深さ1mm当たり約10%未満、または特定のパルスレーザー波長に対して、材料の深さ1mm当たり約1%未満など、材料の深さ1mm当たり約20%未満の光吸収であることを意味する。透明ワークは、約50マイクロメートル(μm)から約10mm(約100μmから約5mm、または約0.5mmから約3mmなど)の深さ(例えば、厚さ)であってもよい。透明ワークは、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノケイ酸アルカリ、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ土類ホウ素‐アルミノケイ酸塩ガラス、石英ガラス、またはサファイア、ケイ素、ガリウムひ素、もしくはその組み合わせなどの結晶材料などのガラス組成物で形成されたガラスワークを含んでもよい。実施形態によっては、透明ワークは、透明ワークをレーザー加工する前、またはその後、熱焼き戻しを介して強化されてもよい。実施形態によっては、ガラスの組成物が、透明ワークのレーザー加工前または後で、ガラス強化のためイオン交換を受けることができるように、ガラスがイオン交換性であってもよい。例えば、透明ワークは、コーニング市、ニューヨーク州にあるコーニングインコーポレイティッド(例えば、code 2318、code 2319、およびcode 2320)から市販されているCorning Gorilla(登録商標)ガラスなどのイオン交換ガラスおよびイオン交換性ガラスを含んでもよい。さらに、これらのイオン交換ガラスは、熱膨張率(CTE)が約6ppm/℃から約10ppm/℃であってもよい。他の例示的な透明ワークは、コーニング市、ニューヨーク州にあるコーニングインコーポレイティッドから市販されているEAGLE XG(登録商標)、CONTEGO、およびCORNING LOTUS(商標)を含んでもよい。さらに、透明ワークは、レーザーの波長に対して透明な(例えば、サファイアまたはセレン化亜鉛などの結晶)その他の構成要素を含んでもよい。
【0018】
イオン交換のプロセスでは、透明ワークの表面層中のイオンは、例えば、部分的にまたは完全に透明ワークをイオン交換槽に沈めることで、同じ原子価または酸化状態を有するより大きいイオンに置き換えられる。小さいイオンを大きいイオンと取り換えることにより、圧縮応力の層を、層の深さと呼ばれる、透明ワークの1つ以上の表面から透明ワーク内の所定の深さまで広げる。圧縮応力は、ガラスシート中のネット応力が0になるように、引張応力の層(中央応力と呼ばれる)により均衡している。ガラスシート表面での圧縮応力の形成は、ガラスを機械的損傷に対して強くし、抵抗力を持たせ、そうして、層の深さを貫通しない欠陥に対するガラスシートの破局故障を軽減する。実施形態によっては、透明ワークの表面層中のより小さいナトリウムイオンは、より大きいカリウムイオンと交換される。実施形態によっては、表面層中のイオンおよびより大きいイオンは、Li+(ガラス中に存在するとき)、 Na+、K+、Rb+、および Cs+などの一価アルカリ金属陽イオンである。代替で、表面層中の一価陽イオンは、Ag+、Tl+、またはCu+などのアルカリ金属陽イオン以外の一価陽イオンと交換されてもよい。
【0019】
本明細書で使用される「輪郭線」という句は、透明ワークが適切な加工状態に露出すると複数の部分に分離される、透明ワークの表面上の所望の分離線に沿ってまたは所望の分離線の近くで形成される線(例えば、線、曲線など)を示す。輪郭線は、一般に、様々な技術を用いて透明ワークに導入される一連の欠陥から成る。これらの欠陥は、本明細書の様々な実施形態で、透明ワークの線状欠陥、穿孔、またはナノパーフォレーションと呼ばれうる。本明細書で使用される「欠陥」は、透明ワーク内の修正材料(バルク材料に対して)領域、空所領域、ひび割れ領域、スクラッチ領域、割れ目領域、穴領域、またはその他の変形の領域を含んでもよい。さらに、透明ワークを、例えば、輪郭線に隣接する透明ワークの領域を加熱するまたは曲げる、線で刻み付ける、もしくはその他の方法で機械的に透明ワークに圧力を加えるよう構成される、赤外レーザーまたはその他のレーザーを用いて輪郭線に沿って分離してもよい。実施形態によっては、透明ワークに機械的に圧力を加えて分離させてもよく、または、分離が自発的に起きてもよい。理論に制限されることを意図しなければ、輪郭線で透明ワークに圧力を加えることにより、輪郭線に沿ってひび割れを伝播してもよい。
【0020】
本明細書で使用される「樹脂層」という句は、積層ワークスタックの1つ以上の透明ワークに張り合わされることができる延性材料の層を意味する。例えば、樹脂層は、透明ワークの間に位置付けられて張り合わされ、例えば、車両のフロントガラス、車両の側窓、車両の後部窓、または車両のサンルーフなどの車両の合わせガラスなどの積層ワークスタックを形成してもよい。透明ワークの間に位置付けられ、張り合わされると、樹脂層は、積層ワークスタックが意図しないひび割れまたは破壊をうけたとき、透明ワークの破片を一緒に保持することができる。例示的な樹脂層材料には、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、またはその組み合わせなどが含まれる。
【0021】
樹脂層は延性なので、樹脂層内に一連の欠陥を含む輪郭線を形成することは、ガラスなどの砕けやすい材料の場合と同様には、輪郭線に沿って欠陥の間に連続したひび割れの伝播を引き起こさない。したがって、所望の分離線に沿って樹脂層を分離するため、例えば、パルスレーザービームを使用して、レーザーアブレーションを実行してもよい。さらに、樹脂層が透明ワークの間に位置付けられるとき、樹脂層のアブレートされた材料が、積層ワークスタックから出ていく経路があるように、樹脂層を分離する前またはそれと同時に、透明ワークの少なくとも1つを所望の分離線に沿って分離することは有利でありうる。例えば、少なくとも1つの透明ワークを分離する前に、樹脂層がアブレートされた場合など、樹脂層のアブレートされた材料が積層ワークスタックから出られない場合、樹脂層のアブレートされた材料は、積層ワークスタックの透明ワークに損傷を与えうる。
【0022】
ここで、
図1Aおよび
図1Bを参照すると、複数の材料層、例えば、複数の透明ワーク112および樹脂層120を含む積層ワークスタック110が図示されている。
図1Aおよび
図1Bに図示された積層ワークスタック110は、第1の透明ワーク112a、第2の透明ワーク112b、および樹脂層120を含む。樹脂層120は、第1の透明ワーク112aと第2の透明ワーク112bとの間に配置され、それらに張り合わされる。さらに、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bはそれぞれ、内側表面116a、116bに向かい合う外側表面114a、114bを含む。
図1Aおよび
図1Bに示すように、外側表面114a、114bはそれぞれ、樹脂層120から外側に向き、内側表面116a、116bはそれぞれ、樹脂層120の方に向き、それに接する。図示されていないが、実施形態によっては、積層ワークスタック110は、追加の層、例えば、透明ワーク112および樹脂層120の追加の材料層を含んでもよい。
【0023】
さらに、積層ワークスタック110は平面であっても、または弧状であってもよい。例えば、
図1Aに示す複数の透明ワーク112および樹脂層120は、平面であり、
図1Bに示す複数の透明ワーク112および樹脂層120は弧状である。弧状の実施形態では、積層ワークスタック110は、積層ワークスタック110の少なくとも1つの表面(例えば、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bの外側表面114a、114b)に沿って、約5°から約20°まで(例えば、8°、10°、12°、15°、または18°など)の斜面を含んでもよい。車両のフロントガラス、車両の側窓、車両の後部窓、または車両のサンルーフなどの車両の合わせガラスは、弧状の積層ワークスタック110の例示的な実施形態である。
【0024】
ここで、
図1Cを参照すると、積層ワークスタック110の上面図が図示されている。具体的には、
図1Cは、第1の透明ワーク112aの外側表面114aおよび積層ワークスタック110の所望の周囲119を示す。所望の周囲119は、例えば、積層ワークスタック110が車両のフロントガラスに加工される実施形態における、積層ワークスタック110の所望の分離線を示す。例えば、積層ワークスタック110は、本明細書に説明する方法を用いて、所望の周囲119に沿ってレーザー加工されて、分離されてもよい。
【0025】
ここで、
図2から
図6を参照すると、積層ワークスタック110の例示的な透明ワーク112が、本明細書に説明される方法によるレーザー加工を受けているところを概略的に示す。具体的には、
図2から
図7Aは、積層ワークスタックの透明ワーク112を分離するために使用されうる複数の欠陥105を含む輪郭線102の形成を概略的に示す。
図2から
図7Aの方法を使用して、透明ワーク112をレーザー加工してもよく、追加のレーザー加工の工程(例えば、レーザーアブレーション)を使用して、樹脂層120を分離してもよい。したがって、以下に説明される追加のレーザーアブレーション工程と組み合わせて
図2から
図7Aの方法を使用して、例えば、車両のフロントガラスの周囲を切り取って、積層ワークスタック110を分離してもよい。レーザー加工を用いて、車両のフロントガラスまたは他の積層ワークスタックの周囲を切り取ることは、有利でありうる。というのも、レーザー加工は、所望の周囲の外側に位置付けられる余分なワーク材料に分離ツールを結合することなく実施することができ、レーザー加工前の積層ワークスタックに最小限のワーク材料を所望の周囲の外側に位置付けさせることができるからである。
【0026】
図2に示すように、複数の欠陥105を含む輪郭線102は、並進移動方向101に移動する超短波パルスレーザービーム152で透明ワーク112を加工することで形成されうる。欠陥105は、例えば、透明ワーク112の深さを貫通してもよく、透明ワーク112の結像面と直交する。本明細書に使用される透明ワーク112の「結像面」は、例えば、衝突位置115など、パルスレーザービーム152が最初に透明ワーク112に接触する、透明ワーク112の表面である。
【0027】
さらに、
図2に示す透明ワーク112は平坦であるが、透明ワーク112が、
図1Bに示すように弧状である実施形態で、パルスレーザービーム152は回動可能レーザー出力ヘッド140から伝搬してもよい。回動可能レーザー出力ヘッド140は、パルスレーザービーム152の伝播方向を変えるよう構成され、それによって、パルスレーザービーム152が衝突位置115で透明ワーク112の外側表面114に実質的に直交する透明ワーク112と接触できるように、ビーム経路151を変える。実施形態によっては、回動可能レーザー出力ヘッド140は、回動可能レーザー出力ヘッド140をワーク製造システム180(
図7A)の第1の移動アーム182に回動可能に結合する車軸関節142を備えてもよい。実施形態によっては、回動可能レーザー出力ヘッド140は、代替でまたは追加で、積層ワークスタック110をレーザー加工するために使用される光アセンブリ130を収容し、ビームステアリングミラー(例えば、Fシータ検流計)などの1つまたは複数の回動可能な光構成要素131(
図7B)を含んでもよい。
【0028】
図2に示すように、複数の欠陥105は、輪郭線102を画定してもよく、輪郭線102は、透明ワーク112を2つ以上の部分に分離しうる意図された分離線を描く(例えば、輪郭線102は、積層ワークスタック110の所望の周囲119に沿う積層ワークスタック110の第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bそれぞれに形成されてもよい)。複数の欠陥105は、透明ワーク112の表面に延在し、輪郭線102に沿って分離部分に透明ワーク112の分離のためのひび割れの伝播用の経路を確立する。輪郭線102を形成することは、パルスレーザービーム152を透明ワーク112に対して並進移動させて(例えば、並進移動方向101に)、輪郭線102の複数の欠陥105を形成することを含む。1つまたは複数の実施形態によれば、パルスレーザービーム152は、透明ワーク112の動き、パルスレーザービーム焦線153(例えば、回動可能レーザー出力ヘッド140)の動き、または、透明ワーク112およびパルスレーザービーム焦線153両方の動きによって透明ワーク112を横切って、並進移動してもよい。透明ワーク112に対してパルスレーザービーム153焦線を並進移動させることにより、複数の欠陥105を透明ワーク112内に形成してもよい。さらに、
図2に示す輪郭線102は線形であると同時に、輪郭線102はまた、非線形であってもよい(すなわち、湾曲している)。湾曲した輪郭線は、例えば、透明ワーク112またはパルスレーザービーム152のいずれかを他方に対して一次元ではなく二次元で並進移動させることにより、生成してもよい。例として、
図2に示される所望の周囲119に沿って形成される輪郭線102は、非線形の輪郭線102である。
【0029】
実施形態によっては、透明ワーク112は、その後の分離ステップにさらにしたがって、輪郭線102に沿って透明ワーク112の分離を誘発してもよい。その後の分離工程は、機械的な力または熱応力が誘発する力を使用することを含んでもよい。赤外レーザービームなどの熱源(例えば、
図8Bおよび
図9Cに示す赤外線光源160により出力された赤外レーザービーム162)を使用して、熱応力を生成してもよく、それにより、透明ワーク112を輪郭線102で分離してもよい。実施形態では、赤外線レーザーを使用して、自発的な分離を開始してもよく、その後、分離は機械的に終了してもよい。ガラスに熱応力を生成するための適切な赤外レーザーは、一般に、すぐにガラスに吸収される波長を有し、一般に、1.2μmから13μmまでの範囲の波長(例えば、4μmから12μmの範囲)の波長を有する。さらに、赤外レーザー光のパワーは、約10Wから約1000Wであってもよい(例えば、100W、250W、500W、または750Wなど)。さらに、赤外レーザービームのビーム直径1/e
2は、約20mm以下であってもよい(例えば、15mm、12mm、10mm、8mm、5mm、2mm、またはそれ以下)。動作の際には、より大きい1/e
2ビーム直径の赤外レーザービームは、より速いレーザー加工およびより大きいパワーを容易にしてもよく、一方でより小さい1/e
2ビーム直径の赤外レーザービームは、輪郭線102の近くの透明ワーク112の一部分に損傷を制限することによって高精密分離を容易にしてもよい。
【0030】
例えば、二酸化炭素レーザー(「CO
2レーザー」)、一酸化炭素レーザー(「COレーザー」)、固定レーザー、レーザーダイオード、またはその組み合わせなどの、赤外線光源160により生成されるレーザービームなどの赤外レーザービーム(
図8Bおよび
図9C)は、輪郭線102で、または輪郭線102の近くで透明ワーク112の温度を急速に上昇する制御された熱源である。この急速な加熱は、輪郭線102上のまたはそれに隣接する透明ワーク112中に圧縮応力を作りうる。加熱ガラス表面の面積は、透明ワーク112の全体的な表面積に比べて比較的小さいので、加熱面積は、比較的速く冷める。結果の温度勾配は、輪郭線102に沿って透明ワーク112の深さを貫通してひび割れを伝播するのに十分な引張応力を透明ワーク112に引き起こし、輪郭線102に沿って透明ワーク112の完全な分離をもたらす。理論に束縛されるものではないが、引張応力は、局所温度がより高いワークの一部のガラスの膨張(すなわち、密度の変化)によって引き起こされうると信じられている。
【0031】
実施形態によっては、応力誘導源は、輪郭線102に沿ったまたは輪郭線102の近くの場所で第1の透明ワーク112aに向けられたその後のパルスレーザービーム焦線を含んでもよく、積層ワークスタック110および複数の輪郭線102の欠陥105を形成するため使用されるパルスレーザービーム焦線153(例えば、第1のパルスレーザービーム焦線)より大きいパルスエネルギーを含む第2のパルスレーザービーム焦線を互いに対して輪郭線102に沿ってまたは輪郭線102の近くで並進移動させる。さらに、実施形態によっては、透明ワークに存在する応力は、種類、深さ、および材料の特性(例えば、吸収、CTE、応力、組成など)に応じて、さらなる加熱または機械的な分離工程なしで輪郭線102に沿った自発的な分離を引き起こしてもよい。例えば、透明ワーク112が、強化ガラス基板(例えば、イオン交換ガラス基板または熱強化ガラス基板)を含むとき、輪郭線102の形成により、輪郭線102に沿ってひび割れの伝播を誘発し、透明ワーク112を分離してもよい。
【0032】
一部の透明ワーク112では、輪郭線102の方向に沿った隣接する欠陥105との間の間隔または周期は、少なくとも約0.1μmまたは1μmおよび約20μm以下または30μm以下であってもよい。例えば、一部の透明ワーク112では、隣接する欠陥105との間の周期は、約0.5μmから約15μm、または約3μmから約10μm、または約0.5μmから約3.0μmであってもよい。例えば、一部の透明ワークでは、隣接する欠陥105との間の周期は、透明ワーク112の結像面で、約0.5μmから約1.0μmであってもよく、または少なくとも約5μm、または約1μmから約15μmなど少なくとも約1μmであってもよい。パルスレーザービーム153焦線が透明ワーク112の衝突位置115に対して直交するように透明ワーク112に衝突する実施形態では、2つの隣接する欠陥105の間の離間する距離は、透明ワーク112の深さdを通して均一である。さらに、パルスレーザービーム153焦線が透明ワーク112の衝突位置115に対して非直交角で透明ワーク112に衝突する実施形態では、透明ワーク112の結像面での2つの隣接する欠陥105の間の離間する距離は、結像面と反対側の表面の2つの隣接する欠陥105の間の間隔とは異なってもよい。この実施形態では、上記の間隔は、透明ワーク112の深さdを通して隣接する欠陥105の間の平均間隔であってもよい。
【0033】
様々な実施形態によれば、パルスレーザービーム152のパルスレーザービーム焦線153を用いて加工することによって輪郭線102を生成するためのいくつかの方法がある。パルスレーザービーム152は、ビーム源150により出力されうる。パルスレーザービーム焦線153を形成する光学法は、球面レンズ、アキシコンレンズ、回折素子、切り出し焦点要素、または高強度の線形領域を形成するためのその他の方法を含む、複数の形態を取ってもよい光アセンブリ130の使用を含む。さらに、光アセンブリ130は、回動可能光学部品131(
図7B)を含んで、パルスレーザービーム152およびパルスレーザービーム焦線153のビーム伝搬方向を制御してもよい。さらに、ビーム源150の種類(ピコ秒レーザー、フェムト秒レーザーなど)、ビーム源150により出力されたパルスレーザービーム152の波長(赤外、緑、UVなど)およびパルスレーザービーム152により出力されたパルスエネルギーはまた、非線形光学効果を介して透明ワーク112上の焦点領域で透明ワーク材料の破壊および樹脂層材料のアブレーションを起こすほど十分な光強度に到達する限り、変動してもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、ビーム源150は、所与のバースト内のパルス数を調整することによって経時的なエネルギー蓄積の制御を可能にするパルスバーストレーザーであってもよい。
【0034】
例えば、超短波パルスレーザーを備えるビーム源150の実施形態を使用して、安定した、制御可能な、再現可能な方法で高アスペクト比垂直欠陥105を生成してもよい。一実施形態によれば、光技術を使用して、透明ワーク112内の高強度パルスレーザービーム焦線153を生成する。一実施形態では、アキシコンレンズ素子を光学レンズアセンブリに使用して、高アスペクト比領域、超短(ピコ秒またはフェムト秒持続期間)ベッセルビームを使用する無テーパーの線欠陥を生成する。言い換えれば、アキシコンは円筒形で高アスペクト比(長尺で短直径)の高強度領域にレーザービームを濃縮する。パルスレーザービーム焦線153で生成された高強度により、パルスレーザービーム焦線153の電磁場および透明ワーク112の材料の非線形相互作用が生じてもよく、レーザーエネルギーは透明ワーク112に伝達されて、輪郭線102の要素になる欠陥105の形成を生じうる。
【0035】
ここで、
図3を参照すると、輪郭線102を形成する方法は、ビーム経路151に沿って配向されたパルスレーザービーム焦線153にパルスレーザービーム152の焦点を合わせることを含んでもよい。
図3に示すように、ビーム源150は、光アセンブリ130に入射する部分152aを有するパルスレーザービーム152を放射する。光アセンブリ130は、入射レーザービーム部152aをビームの方向に沿う既定の膨張範囲(パルスレーザービーム焦線153の長さl)にわたって出力側のパルスレーザービーム焦線153に向ける。透明ワーク112は、ビーム経路151内に位置付けられて、少なくとも部分的にパルスレーザービーム152のパルスレーザービーム焦線153と重なる。したがって、パルスレーザービーム焦線153は、深さdである透明ワーク112に向けられる。
【0036】
ここで、
図2および
図3を参照すると、透明ワーク112の衝突位置115は、パルスレーザービーム焦線153および光アセンブリ130の一部またはすべてを収容可能で、輪郭線102の形成中、回動してパルスレーザービーム焦線153が透明ワーク112に直交するように保持可能な、回動可能レーザー出力ヘッド140に直交して位置合わせされている。
図3に示すように、透明ワーク112は、パルスレーザービーム焦線153が、透明ワーク112の外側表面114の前または外側表面114で開始し、透明ワーク112の内側表面116の前で停止する(すなわち、パルスレーザービーム焦線153は、透明ワーク112内で終了し、内側表面116を越えて伸びない)ように、パルスレーザービーム焦線153に対して位置付けられてもよい。したがって、透明ワーク112が、積層ワークスタック110内に位置付けられるとき、パルスレーザービーム焦線153は、樹脂層120に到達する前に停止しうる。
【0037】
さらに、パルスレーザービーム焦線153が、透明ワーク112の衝突位置115で透明ワーク112の撮像面(例えば、外側表面114)に対して直交して透明ワーク112に延在するように、透明ワーク112に対してパルスレーザービーム焦線153を位置付けることが望ましい。パルスレーザービーム焦線153が、透明ワーク112に直交しない場合、パルスレーザービーム焦線153は、透明ワーク112の深さに沿ってシフトし広がって、パルスレーザービーム焦線153に大容量の透明ワーク112にわたりエネルギーを送達させ、パルスレーザービーム焦線153の鮮明さおよび焦点を下げ、透明ワーク112内に品質の低い、あまり均一でない欠陥105を生じる。
【0038】
さらに
図2および
図3を参照すると、透明ワーク112内のパルスレーザービーム焦線153の重なる領域では(すなわち、パルスレーザービーム焦線153がカバーする透明ワーク材料内で)、パルスレーザービーム焦線153は、誘起吸収を透明ワーク112の材料内に生じさせる、セクション153a(長手方向のビームの方向に沿って位置合わせされる)を生じる(パルスレーザービーム焦線153に沿う適切なレーザー強度を想定する。その強度は、長さlの一部、すなわち、長さlの線状焦点にパルスレーザービーム152を集束させることで確保される)。誘起吸収は、セクション153aに沿って透明ワーク材料内に欠陥を形成する。欠陥105は、複数のレーザーパルスの単一の高エネルギーのバーストを用いて生じうる透明ワーク112内の顕微鏡的な(例えば、内径が約100nmから約0.5μmである)細長い欠陥である。一連のこれらの欠陥105は、輪郭線102に沿って透明ワーク112内に穿孔パターンを生成する。例えば、個々の欠陥105を、数百キロヘルツの速さで(すなわち、1秒当たり数十万個の欠陥)を生成できる。パルスレーザービーム焦線153と透明ワーク112との間の相対運動により、これらの欠陥105を互いに隣接して配置できる(空間的分離は、所望により1マイクロメートル未満から幾マイクロメートルまで変化する)。この空間的分離(ピッチ)は、透明ワーク112の選択を容易にするため選択されうる。実施形態によっては、欠陥105は「貫通欠陥」であり、外側表面114から内側表面116に延在する欠陥である。欠陥の形成は、局所的なだけでなく、誘起吸収のセクション153aの全体の長さにわたっている。セクション153aの長さは(パルスレーザービーム焦線153の透明ワーク112との重なりの長さに対応する)参照Lと表示されている。誘起吸収のセクション153aでの欠陥領域(すなわち、欠陥105)の内径は、参照Dと表示されている。この内径Dは、基本的にパルスレーザービーム焦線153の平均直径、すなわち、約0.1μmと約5μmとの間の範囲にある平均スポット径に対応する。
【0039】
パルスレーザービーム焦線153を発生するよう適用されうる代表的な光アセンブリ130ならびにこれらの光アセンブリ130を適用しうる代表的な光セットアップを以下に説明する。さらに、代表的な光アセンブリ130はそれぞれ、回動可能レーザー出力ヘッド140内に完全にまたは部分的に収容されてもよい。実施形態によっては、
図2に示すように、ビーム源150および光アセンブリ130の両方が、回動可能レーザー出力ヘッド140内に収容されてもよく、回動可能レーザー出力ヘッド140は、車軸関節142の周りを回動可能であってもよい。その結果、ビーム源150および光アセンブリ130の各構成部品は、回動可能レーザー出力ヘッド140の移動の間、互いに対して整列したままである。実施形態によっては、光アセンブリ130は、ビーム経路151の方向を制御し、それによりパルスレーザービーム焦線153の方向を制御することができる,ビームステアリングミラー(
図7B)などの、回動可能光学部品131を含んでもよい。さらに、本明細書に使用される「上流」および「下流」は、ビーム源150に対してビーム経路151に沿った2つの位置または2つ構成要素の相対位置を指す。例えば、パルスレーザービーム152が第2の構成要素を横切る前に第1の構成要素を横切る場合、第1の構成要素は、第2の構成要素の上流にある。さらに、パルスレーザービーム152が第1の構成要素を横切る前に第2の構成要素を横切る場合、第1の構成要素は、第2の構成要素の下流にある。
【0040】
ここで
図4Aを参照すると、光アセンブリ130は、レンズ132および開口134(例えば、環状開口)の両方を含んでもよい。
図4Aに示すように、光アセンブリ130に入射するビーム源150によって放射されるパルスレーザービーム152の部分152aは、使用されるレーザー放射の波長に対して不透明な開口134上にまず向けられている。開口134は、長手方向ビーム軸に対して垂直に向きを付けられ、図示のビーム部152aの中央部分の中心にある。開口134の直径は、ビーム部152aの中心近くのレーザー放射(すなわち、中央ビーム部、ここでは、152aZと示す)が開口134に命中し、開口134に完全に吸収されるような方法で選択される。ビームの直径に比べて小さい開口サイズにより、ビーム部152aの外周範囲のビームだけ(すなわち、周辺光線、ここでは、152aRと示す)は、環状開口134に吸収されず、開口134を側方に進み、この実施形態では、球状カット、両凸レンズとして設計された、光アセンブリ130の集束レンズ132の縁領域に命中する。
【0041】
図4Aに示すように、パルスレーザービーム焦線153は、パルスレーザービーム152の単一焦点であるだけなく、パルスレーザービーム152の様々な放射線の一連の焦点であってもよい。一連の焦点は、パルスレーザービーム焦線153の長さlとして
図4Aに示す、伸長パルスレーザービーム焦線153を形成する。レンズ132は、中央ビームの中心にあってもよく、一般の球状カットレンズの形態の未補正、両凸集束レンズとして設計されてもよい。代替として、理想的な焦点を形成せず他と全く別の、既定の長さの伸長パルスレーザービーム焦線153を形成する、理想的な補正システムから逸脱する非球面レンズまたはマルチレンズシステムを使用してもよい(すなわち、単一焦点を持たないレンズまたはシステム)。したがって、レンズ132の区域は、レンズ中心からの距離にしたがってパルスレーザービーム焦線153に沿って焦点を合わせる。ビーム方向を横切る開口134の直径は、パルスレーザービーム152の直径の約90%であってもよく(ピーク強度の1/e
2に減衰されるビームの強度に要求される距離によって規定される)、光アセンブリ130のレンズ132の直径の約75%であってもよい。したがって、中心においてビーム束を遮断することで形成された収差無補正球面レンズ132のパルスレーザービーム焦線153が使用される。
図4Aは、中央ビームを通る一平面の一部を示し、完全な三次元束は、図示のビームをパルスレーザービーム焦線153の周りで回転させると、見ることができる。
【0042】
図4B−1から
図4B−4までは、パルスレーザービーム焦線153の位置は、光アセンブリ130を透明ワーク112に対して適切に位置付けることおよび/または位置合わせすることならびに適切に光アセンブリ130のパラメータを選択することにより制御可能である(
図4Aの光アセンブリに対してだけでなく、任意の他の適用可能な光アセンブリ130に対して)ことを示す。
図4B−1は、パルスレーザービーム焦線153の長さ1を、透明ワーク112の深さdを超える方法で(ここでは、要素2によって)調整可能であることを示す。透明ワーク112が、パルスレーザービーム焦線153に対して中心に位置する(長手方向ビームの方向に見て)場合、誘起吸収の広範な部分(例えば、セクション153a)が、全体のワーク深さdにわたり生成されてもよい。パルスレーザービーム焦線153は、約0.01mmから約100mmまでの範囲または約0.1mmから約10mmまでの範囲の長さlであってもよい。様々な実施形態は、パルスレーザービーム焦線153が、例えば、約0.5mmから約5mmまでの、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.7mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mmまたは約5mmの長さlであるよう構成されてもよい。実施形態によっては、パルスレーザービーム焦線153の長さlを、光アセンブリ130を使用して調整して、透明ワーク112の深さdに一致させてもよく、例えば、レーザービーム焦線153の長さlが、例えば、1.25、または1.5など、透明ワーク112の深さdの約1.1倍から約1.8倍の長さの間になるように、光アセンブリ130を使用して調整してもよい。一例として、透明ワーク112が、約0.7mmの深さを備える実施形態では、パルスレーザービーム焦線153が、約0.9mmの長さを備えてもよい。
さらに、実施形態によっては、レーザービーム焦線153を、レーザービーム焦線153の長さlが、実質的に透明ワーク112の深さdと等しくなるように、光アセンブリ130を使用して調整してもよい。
【0043】
図4B−2に示す場合では、ほぼワーク深さdに対応する長さlのパルスレーザービーム焦線153が生成される。透明ワーク112は、パルスレーザービーム焦線153が透明ワーク112の外側の点で開始するように、パルスレーザービーム焦線153に対して位置付けられるので、誘起吸収の広範な部分153aの長さl(外側表面114から規定のワークの深さまで延びるが、内側表面116までではない)は、パルスレーザービーム焦線153の長さlより短い。
図4B−3は、透明ワーク112(ビームの方向に対して垂直方向に沿って見える)が、パルスレーザービーム焦線153の開始点より上に位置する場合を示し、それにより、
図4B−2のように、パルスレーザービーム焦線153の長さlが、透明ワーク112中の誘起吸収153aの部分の長さlより長くなる。したがって、パルスレーザービーム焦線153は、透明ワーク112内で開始し、内側表面116を越えて延びる。
図4B−4は、焦線の長さlが、ワーク深さdより短い場合を示し、それにより、パルスレーザービーム焦線153に対する透明ワーク112の中心位置を入射の方向に見た場合、パルスレーザービーム焦線153が、透明ワーク112内の外側表面114の近くで開始し、透明ワーク112内の内側表面116近くで終了する(例えば、l=0.75d)。
【0044】
本明細書に記載の実施形態では、誘起吸収のセクション153aが、透明ワーク112の外側表面114で始まるように、外側表面114が、パルスレーザービーム焦線153にカバーされる方法で(例えば、
図4B−1または
図4B−2の構成)パルスレーザービーム焦線153を位置付けることが有利でありうる。さらに、実施形態によっては、パルスレーザービーム焦線153が、内側表面116でまたはそこに到達する前に終了するように(
図4B−2および
図4B−4)パルスレーザービーム焦線153を位置付けることは有利でありえ、それにより、パルスレーザービーム焦線153は樹脂層120に衝突せず、樹脂層120が透明ワーク112の内側表面116に張り合わされる実施形態では(
図1Aおよび1B)、第1の透明ワーク112aまたは第2の透明ワーク112bの1つ以上で輪郭線102を形成するとき、それにより、パルスレーザービーム焦線153は樹脂層120の材料を変えない。
【0045】
図5は、光アセンブリ130の別の実施形態を示す。基本的な構造は、
図4Aに記載されたものにしたがい、それにより、違いのみを以下に説明する。
図5に示す光アセンブリ130は、非球状自由曲面(例えば、非球面レンズ)を備えたレンズを使用して、パルスレーザービーム焦線153を生成する。例えば、
図5では、アキシコンとも呼ばれる(例えば、アキシコン136)いわゆる円錐型プリズムを使用する。実施形態によっては、ワキシコンまたはその他の非球状レンズを使用してもよい。アキシコンは、光軸に沿った線上に点波源を形成する(または、レーザービームをリング状に変形する)円錐形にカットされたレンズである。アキシコン136の円錐角は、例えば、10°、15°、または20°など、約5°と約25°の間としうる。アキシコン136の頂点136aは、ビーム伝搬方向(例えば、透明ワーク112の方向)に向けられ、パルスレーザービーム152のビーム中心に配置される。アキシコン136により生成されるパルスレーザービーム焦線153は、アキシコン136の内部で始まるので、透明ワーク112(ここで、主ビーム軸に対して垂直方向に整列する)をアキシコン136のすぐ後ろのビーム経路151内に位置付けることができる。
【0046】
図5が示すように、アキシコン136の光学的特性により、ビーム経路151に沿って透明ワーク112を、パルスレーザービーム焦線153の範囲内にとどめながら、移動することもできる。したがって、透明ワーク112の材料内の誘起吸収153aの部分は、ワーク深さdを越えて延びる。しかし、図示のレイアウトは、以下の制限の対象となりうる。アキシコン136により形成されたパルスレーザービーム焦線153の領域は、アキシコン136内で始まるので、アキシコン136と透明ワーク112の間に分離がある状況では、レーザーエネルギーのかなりの部分は、透明ワーク112の材料内に配置される(例えば、部分153a)パルスレーザービーム焦線153の部分に焦点を合わせていない。さらに、パルスレーザービーム焦線153の長さlは、屈折率およびアキシコン136の円錐角を介してビーム直径に関連する。というのも、比較的薄い材料の場合(例えば、数ミリメートル)、総パルスレーザービーム焦線153は、透明ワーク112の深さよりずっと長くなり、レーザーエネルギーの多くが、材料の深さに焦点を合わしていないという結果になるからである。
【0047】
このため、アキシコンおよび集束レンズの両方を含む光アセンブリ130を使用することが望ましい可能性がある。
図6は、パルスレーザービーム焦線153を形成するようになされている非球状自由曲面を備える第1の光学素子が、ビーム源150からのビーム経路内に位置付けられるような光アセンブリ130を示す。
図6に示される場合では、この第1の光学素子は、ビームの方向に垂直に位置付けられるアキシコン137であり、ビーム源150からのビームの中心に配置される。アキシコン137の頂点は、ビームの方向に配向される。第2の、集束光学素子、ここでは平凸レンズ135(湾曲面がアキシコンに向けられている)が、ビームの方向に位置付けられる。実施形態によっては、
図6に示す平凸レンズの代わりに、集束メニスカスレンズまたは別の高次修正集束レンズ(例えば、非球面レンズ、マルチレンズシステム)も用いることができる。さらに、実施形態によっては、光アセンブリ130がさらに、集束レンズ135の環形照明をしっかりと調整することに役立ちうるコリメートレンズを含んでもよい。
【0048】
図2から6を再び参照すると、ビーム源150は、パルスレーザービーム152を出力するよう構成された既知のビーム光源150または未開発のビーム源150を備えてもよい。さらに、ビーム源150は、パルスレーザービームが回動可能レーザー出力ヘッド140と透明ワーク112との間のビーム経路151に沿って伝搬するように、回動可能レーザー出力ヘッド140内に収容されるか、または回動可能レーザー出力ヘッド140に光学的に結合されてもよい。動作の際には、ビーム源150により出力されたパルスレーザービーム152と透明ワーク112の相互作用により輪郭線102の欠陥105を生成する。実施形態によっては、ビーム源150は、例えば、1064nm、1030nm、532nm、530nm、355nm、343nmまたは266nmもしくは215nmの波長を備えるパルスレーザービーム152を出力してもよい。さらに、透明ワーク112内に欠陥105を形成するため使用されるパルスレーザービーム152は、選択されたパルスレーザーの波長に対して透明である材料に適していてもよい。
【0049】
欠陥105を形成するための適切なレーザーの波長は、透明ワーク112による吸収および拡散の組み合わせ損失が十分低い波長である。実施形態では、その波長において透明ワーク112の吸収および拡散による組み合わせ損失は、20%/mm未満、または15%/mm未満、または10%/mm未満、または5%/mm未満、または1%/mm未満であり、寸法「/mm」は、パルスレーザービーム152の伝搬の方向(例えば、Z方向)の透明ワーク112内の距離1ミリメートル当たりを意味する。多くのガラスワークに対する代表的な波長には、Nd
3+の基本波長および高調波(例えば、1064nm近辺の基本波長を有するNd
3+:YAGまたはNd
3+:YVO
4および532nm、355nm、および266nm近辺の高次高調波)が含まれる。所与の基板材料に対する吸収と拡散の組み合わせ損失の要求を満たすスペクトルの紫外線、可視、および赤外線の部分のその他の波長も使用可能である。
【0050】
さらに、ビーム源150は、例えば、100μJ、200μJ、250μJ、300μJ、400μJ、500μJ、600μJ、700μJ、750μJ、800μJ、900μJ、1000μJ、1100μJ、1200μJ、1250μJ、1300μJ、または1400μJなどの、約25μJから約1500μJまでのパルスエネルギーを有するパルスレーザービーム152を出力することができる。ビーム源150はまた、ビーム源150が様々なパルスエネルギーを備えるパルスレーザービーム152を出力しうるように調整可能であってもよい。動作の際には、パルスレーザービーム152がパルスレーザービーム焦線153に焦点を合わせるとき、パルスレーザービーム焦線153はまた、約25μJから約1500μJまでのパルスエネルギーを備えてもよい。
【0051】
動作の際には、ビーム源150により出力されたパルスレーザービーム152は、透明ワーク112内に多光子吸収(MPA)を生じてもよい。MPAは、1つの状態(通常基底状態)からより高いエネルギー電子状態(すなわち、イオン化)に分子を励起する同一または異なる周波数の2つ以上の光子の同時吸収である。
関連する分子の下位状態と上位状態との間のエネルギー差は、関連する光子のエネルギーの合計に等しい。MPAは誘起吸収とも呼ばれ、例えば、線形吸収より数桁弱い、二次または三次プロセス(またはより高次の)でありうる。MPAは、例えば、二次誘起吸収の強度が光強度の2乗に比例しうるという点で、線形吸収とは異なる。したがって、非線形光学プロセスとする。
【0052】
実施形態によっては、パルスレーザービーム152の個々のパルスのパルス持続時間は、約1ピコ秒から約100ピコ秒の範囲(約5ピコ秒から約20ピコ秒など)であり、個々のパルスの繰返し率は、約1kHzから4MHzの範囲(約10kHzから約3MHz、または約10kHzから約650kHzの範囲など)でありうる。上述の個々のパルスの繰返し率での単一パルス動作に加えて、パルスを、2パルス以上のバーストで生成できる(例えば、1パルスバースト当たり3パルス、4パルス、5パルス、10パルス、15パルス、20パルス、またはそれ以上など、1パルスバースト当たり1から30パルスまたは1パルスバースト当たり5から20パルス)。バースト内のパルスは、約1ナノ秒から約50ナノ秒の範囲内(例えば、約20ナノ秒など、約10ナノ秒から約30ナノ秒まで)の持続時間によって分離されてもよい。実施形態によっては、バースト内のパルスは、100ピコ秒までの持続時間によって分離されてもよい(例えば、0.1ピコ秒、5ピコ秒、10ピコ秒、15ピコ秒、18ピコ秒、20ピコ秒、22ピコ秒、25ピコ秒、30ピコ秒、50ピコ秒、75ピコ秒またはそれらの間の任意の範囲)。所与のレーザーに対して、バースト500内の隣接するパルス間の時間分離T
pは、比較的均一であってもよい(例えば、互いの約10%以内など)。例えば、実施形態によっては、バースト内の各パルスは、後続のパルスから約20ナノ秒(50MHz)だけ時間的に分離される。例えば、パルスの各バースト間の時間は、約0.25マイクロ秒から約1000マイクロ秒であってもよい(例えば、約1マイクロ秒から約10マイクロ秒または3マイクロ秒から8マイクロ秒)。
【0053】
本明細書に記載のビーム源150の例示的な実施形態の一部では、約200kHzのバースト繰返し率を備えるパルスレーザービーム152を出力するビーム源150に対し、時間分離T
bは、約5マイクロ秒である。レーザーバースト繰返し率は、バースト内の最初のパルスと後続のバースト内の最初のパルスの間の時間T
bに関係する(レーザーバースト繰返し率=1/T
b)。実施形態によっては、レーザーバースト繰返し率は、約1kHzから約4MHzの範囲内でありうる。実施形態では、レーザーバースト繰返し率は、例えば、約10kHzから約650kHzの範囲内でありうる。各バースト内の最初のパルスと後続のバースト内の最初のパルスとの間の時間T
bは、例えば、約0.5マイクロ秒(2MHzバースト繰返し率)から約40マイクロ秒(25kHzバースト繰返し率)、または約2マイクロ秒(500kHzバースト繰返し率)から約20マイクロ秒(50kHzバースト繰返し率)など、約0.25マイクロ秒(4MHzバースト繰返し率)から約1000マイクロ秒(1kHzバースト繰返し率)でありうる。正確なタイミング、パルス持続時間、およびバースト繰返し率は、レーザーの設計に応じて変化しうるが、高強度の短いパルス(T
d<20ピコ秒および、実施形態によっては、T
d≦15ピコ秒)が、特に良好に働くことが示されている。
【0054】
バースト繰返し周波数は、約1kHzから約200kHzまでなど、約1kHzから約2MHzの範囲内でありうる。パルスバーストをバーストすることまたは生成することは、パルスの照射が、均一で安定した流れでなく、むしろパルスの密集である、レーザー動作の一種である。パルスバーストレーザービームは、透明ワーク112の材料が、その波長で実質的に透明であるように操作された透明ワーク112の材料に基づいて選択された波長を有しうる。材料側で測定された1バースト当たりの平均レーザーパワーは、材料の深さ1mm当たり、少なくとも約40μJでありうる。例えば、実施形態では、1バースト当たりの平均レーザーパワーは、約40μJ/mmから約2500μJ/mm、または約500μJ/mmから約2250μJ/mmでありうる。具体的な例では、0.5mmから0.7mmの厚さのCorning 「EAGLE XG」透明ワークに対し、約300μJから約600μJのパルスバーストが、約428μJ/mmから約1200μJ/mmの例示的な範囲に対応するワークを切断および/または分離しうる(すなわち、0.7mmの「EAGLE XG」ガラスに対して300μJ/0.7mmおよび0.5mmの「EAGLE XG」ガラスに対して600μJ/0.5mm)。
【0055】
透明ワーク112を修正するために必要なエネルギーを、バーストエネルギーの点(すなわち、各バーストが、一連のパルスを含有するバースト内に含有されるエネルギー)で、または単一レーザーパルス内に含有されるエネルギーの点(その多くはバーストを含みうる)で、説明できる。バースト当たりのエネルギーは、約25μJから約1500μJでありうる(例えば、約50μJから約500μJ、または50μJから250μJ)。
一部のガラスの組成では、バースト当たりのエネルギーは約100μJから約250μJであってもよい。しかし、ディスプレイまたはTFTガラスの組成では、バースト当たりのエネルギーは、より高くてもよい(例えば、透明ワーク112の特定のガラス組成に応じて、約300μJから約500μJ、または約400μJから約600μJ)。こうしたバーストを生成可能なパルスレーザービーム152の使用は、例えば、ガラスなどの、透明材料を切断または修正するのに有利である。単一パルスレーザーの繰返し率により時間に間隔がある単一パルスの使用に対し、バースト内のパルスの迅速連続にわたってレーザーエネルギーを散布するバーストシーケンスの使用は、単一パルスレーザーで可能であるより、材料との高強度の相互作用のより広いタイムスケールへのアクセスを可能にする。
【0056】
ここで
図7Aおよび
図7Bを参照すると、ワーク製造システム180が概略的に示される。ワーク製造システム180は、積層ワークスタック110を、所望の周囲119などの所望の分離線に沿って、レーザー加工し、分離することができるように、積層ワークスタック110とパルスレーザービーム152との間に4本以上の相対運動の軸を提供する。実施形態によっては、ワーク製造システム180は、パルスレーザービーム152と積層ワークスタック110との間に+/−X方向、+/−Y方向、+/−Z方向それぞれの、かつ少なくとも1つの角度方向(例えば、+/−θ方向)の相対運動の範囲を実現する、4〜6軸CNCマシンである。
【0057】
ワーク製造システム180は、第1の移動アーム182、第2の移動アーム184、および移動テーブル186を備える。
図7Aおよび
図7Bに示すように、移動テーブル186は、本明細書に記載のレーザー加工動作の間位置付けられる積層ワークスタック110の場所を提供する。弧状の実施形態では、積層ワークスタック110を上に凸である、移動テーブル186上に配置してもよい。さらに、移動テーブル186は、局面形状を含んで、積層ワークスタック110の弧状形状を構成する。移動テーブル186は、第1の移動アーム182および第2の移動アーム184の両方より下(例えば、Z方向に)に配置されてもよい。さらに、回動可能レーザー出力ヘッド140は、第1の移動アーム182例えば、第1の移動アーム182の端部183に結合されてもよく、それにより、パルスレーザービーム152は、ビーム経路151に沿って回動可能レーザー出力ヘッド140から積層ワークスタック110の方向に伝搬することができる。
【0058】
実施形態によっては、第1の移動アーム182は、第2の移動アーム184に移動可能に結合されてもよい。動作の際には、第1の移動アーム182は、第2の移動アーム184に沿ってX方向に横方向に移動して、回動可能レーザー出力ヘッド140とパルスレーザービーム152を積層ワークスタック110に対して並進移動してもよい。さらに、第1の移動アーム182は、第2の移動アーム184に沿ってZ方向に垂直に移動して、回動可能レーザー出力ヘッド140の垂直位置を変更でき、それにより、パルスレーザービーム焦線153の垂直位置を変えることができる。移動テーブル186および第2の移動アーム184もまた、並進移動可能である。実施形態によっては、第2の移動アーム184は、+/−Z方向に(例えば、
図7Aおよび
図7Bに示すように、上下に)並進移動してもよく、+/−Y方向に(例えば、
図7Aおよび
図7Bに示すようにページの中および外に)並進移動してもよい。さらに、実施形態によっては、移動テーブル186は、いずれのX方向に(例えば、
図7Aおよび
図7Bに示すように、左右に)、+/−Z方向に(例えば、
図7Aおよび
図7Bに示すように、上下に)および+/−Y方向に(例えば、
図7Aおよび
図7Bに示すようにページの中および外に)並進移動してもよい。実施形態によっては、ワーク製造システム180を使用する回動可能レーザー出力ヘッド140および積層ワークスタック110の相対並進速度は、約5m/s未満(例えば、4m/s、3m/s、2m/s、1m/s、0.5m/s、または0.1m/sなど)でありうる。
【0059】
図7Aに示すように、回動可能レーザー出力ヘッド140は、車軸関節142を用いて第1の移動アーム182に回動可能に結合されてもよく、それにより、回動可能レーザー出力ヘッド140は積層ワークスタック110に対して+/−θ方向に角度移動できる。実施形態によっては、
図7Bに示すように、回動可能レーザー出力ヘッド140内に位置づけられた光アセンブリ130は、ビームステアリングミラーなどの回動可能光学部品131を含みうる。本実施形態では、回動可能レーザー出力ヘッド140は、車軸関節142を用いずに第1の移動アーム182に結合されてもよく、回動可能光学部品131は、ビーム経路151およびパルスレーザービーム152の角度方向を制御しうる。実施形態によっては、移動テーブル186は、+/−θ方向に角度移動するよう構成されうる。
【0060】
ここで、
図8Aから
図8Eを参照すると、積層ワークスタック110をレーザー加工して、積層ワークスタック110を分離する1つの方法が概略的に示されている。
図8Aから
図8Eに示す積層ワークスタック110は平坦であるが、以下の方法の工程を使用して、弧状積層ワークスタック110を分離できる。最初に、
図8Aに示すように、その方法は、第1の透明ワーク112aがビーム経路151に沿って第2の透明ワーク112bの上流に位置するように、積層ワークスタック110を位置付けることを含む(例えば、衝突位置115が第1の透明ワーク112aの外側表面114aに位置するように)。さらに、その方法は、ビーム経路151を衝突位置115で第1の透明ワーク112aの外側表面114aに直交するように位置付けることを含む。
【0061】
次に、その方法は、第1の透明ワーク分離線118aに沿って第1の透明ワーク112aを分離することを含む。実施形態によっては、例えば、積層ワークスタック110が車両のフロントガラスを含むとき、第1の透明ワーク分離線118aは、積層ワークスタック110の所望の周囲119に一致しうる。第1の透明ワーク112aを分離することは、誘起吸収が第1の透明ワーク112a内に欠陥105を生成するように、第1の透明ワーク112aにパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせて、第1の透明ワーク112a内に誘起吸収を生じさせることを含みうる。パルスレーザービーム焦線153は、衝突位置115で外側表面114aに直交して第1の透明ワーク112a内に焦点を合わせることができる。さらに、パルスレーザービーム焦線153は、パルスレーザービーム焦線153が、樹脂層120内に延びることなく、第1の透明ワーク112aの深さの少なくとも一部内に延びるように位置付けられうる。例えば、パルスレーザービーム焦線153は、外側表面114aから内側表面116aまでの第1の透明ワーク112a内に延びてもよい。動作の際には、パルスレーザービーム焦線153の位置は、パルスレーザービーム152を透明ワーク112に対して適切に位置付けることおよび/または位置合わせすることならびに適切に光アセンブリ130およびワーク製造システム180のパラメータを選択することにより制御可能である。
【0062】
ここで
図8Aおよび
図8Bを参照すると、方法は、積層ワークスタック110をパルスレーザービーム焦線153に対して並進移動して(またはパルスレーザービーム焦線153を積層ワークスタック110に対して並進移動してもよい)、第1の透明ワーク分離線118aに沿って複数の欠陥105を含む輪郭線102を形成することをさらに含む。積層ワークスタック110が弧状である実施形態では、例えば、回動可能レーザー出力ヘッド140および/または回動可能光学部品131を用いて、パルスレーザービーム焦線153をまた、外側表面114に対して角度的に並進移動して、外側表面114aと直交を維持してもよい。さらに、これらの弧状の実施形態では、樹脂層120を照射せずに、パルスレーザービーム焦線153が第1の透明ワーク112a内にとどまるように、パルスレーザービーム焦線153をまた、積層ワークスタック110に対して垂直に並進移動してもよい(例えば、+/−Z方向に)。さらに、これらの弧状の実施形態では、ビーム源150により出力されたパルスレーザービーム152のパルス周波数、積層ワークスタック110に対するパルスレーザービーム152の相対並進速度、またはその両方は、第1の透明ワーク112a内に形成された結果としての欠陥105が輪郭線102に沿って均一に離間するように、積層ワークスタック110がパルスレーザービーム焦線153に対して並進移動するにつれ、変動してもよい。
【0063】
さらに、
図8Aおよび
図8Bを参照すると、第1の透明ワーク112aは、自発的に、自己伝播によりまたはその後加えられたストレス要因に反応して、第1の透明ワーク分離線118aに沿って分離しうる。第1の透明ワーク112aがイオン交換ガラス基板または熱強化ガラス基板などの強化ガラス基板を備える実施形態では、輪郭線102の複数の欠陥105間のひび割れは、自発的に自己伝播して、第1の透明ワーク112aを第1の透明ワーク分離線118aに沿って分離してもよい。さらに、第1の透明ワーク112aが、非強化ソーダ石灰ガラスなどの非強化ガラス基板を備える実施形態では、第1の透明ワーク112aは、機械的または熱源などの応力誘導源を用いてその後応力を加えられてもよい。
【0064】
例えば、
図8Bに示すように、赤外線光源160は、赤外レーザービーム162を輪郭線102に沿ってまたはそれに隣接して方向付けて、第1の透明ワーク112aの分離を第1の透明ワーク分離線118aに沿って誘発してもよい。さらに、実施形態によっては、輪郭線102に加えられたその後のストレス要因が、輪郭線102に沿ったまたは輪郭線102の近くの場所で第2のパルスレーザービーム焦線を第1の透明ワーク112a内に方向付けることおよび積層ワークスタック110および第2のパルスレーザービーム焦線を互いに対して輪郭線102に沿ってまたは輪郭線102の近くで並進移動させることを含んでもよく、それにより、第1の透明ワーク112aを第1の透明ワーク分離線118aに沿って分離する。さらに、第2のパルスレーザービーム焦線は、パルスレーザービーム焦線153より(例えば、第1のパルスレーザービーム焦線)大きいパルスエネルギーを備える。動作の際は、第2のパルスレーザービーム焦線は、輪郭線102を形成するために使用されるパルスレーザービーム152より高いパルスエネルギーを有するパルスレーザービーム152を出力することによって生成されうる。このより高いパルスエネルギーは、ビーム源150を調整することによって(例えば、ビーム源150の電源出力を上げることによって)、達成可能である。
【0065】
ここで、
図8Cを参照すると、その方法は、第1の透明ワーク112aがビーム経路151に沿って第2の透明ワーク112bの下流に位置するように、積層ワークスタック110を位置決めすること(例えば、再位置決め)をさらに含みうる(例えば、衝突位置115が第2の透明ワーク112bの外側表面114bに位置するように)。実施形態によっては、この再位置決めは、回動可能レーザー出力ヘッド140が第2の透明ワーク112bを向くように、回動可能レーザー出力ヘッド140の向きを変えること、または回動可能レーザー出力ヘッド140が第2の透明ワーク112bを向くように積層ワークスタック110の向きを変えること(例えば、積層ワークスタック110を裏返す)を含んでもよい。さらに、その方法は、ビーム経路151を衝突位置115で第2の透明ワーク112bの外側表面114bに直交するように位置決めすることを含む。
【0066】
次に、さらに
図8Cを参照すると、樹脂層120が、レーザーアブレーションによって樹脂分離線122に沿って分離されうる。例えば、樹脂層120は、樹脂層120にパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせること、および積層ワークスタック110をパルスレーザービーム焦線153に対して並進移動して樹脂層120の樹脂材料を樹脂分離線122に沿ってアブレートして、樹脂層120を樹脂分離線122に沿って分離することによって分離してもよい。樹脂層120をアブレートするため、光アセンブリ130およびビーム源150は、樹脂層120にパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせるよう構成されうる。樹脂層120は、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bそれぞれより薄くてもよく、それにより、パルスレーザービーム焦線153の長さが短くなりうる。例えば、パルスレーザービーム焦線153は、第1の透明ワーク112aの内側表面116aから第2の透明ワーク112bの内側表面116bまで樹脂層120を貫通するように積層ワークスタック110内に位置付けられてもよい。
【0067】
さらに、パルスレーザービーム焦線153のパルスエネルギー(例えば、パルスレーザービーム152がバーストの出力である実施形態のバーストエネルギー)は、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bにおける複数の欠陥105の形成中と樹脂層120のアブレーション中で違ってもよい。例えば、樹脂層120のレーザーアブレーション中のパルスエネルギーは、約100μJから約1500μJ(例えば、250μJ、500μJ、750μJ、800μJ、1000μJ、または1250μJなど)でありうるバースト当たりのエネルギーを含んでもよい。一例として、樹脂層120のレーザーアブレーション中、ビーム源150は、約200kHzのバースト繰返し率および約800μJのパルスエネルギーで532nmの波長を含むパルスレーザービーム152を出力しうる。動作の際に、レーザーが、樹脂層120をアブレートするときのパルスレーザービーム152により出力されたパルスエネルギーは、透明ワーク112に欠陥105を形成するときのパルスレーザービーム152により出力されたパルスエネルギーより大きくなりうる。
【0068】
次に、積層ワークスタック110を、パルスレーザービーム焦線153に対して並進移動して(または、パルスレーザービーム焦線153を積層ワークスタック110に対して並進移動してもよい)、樹脂層120の材料を樹脂分離線122に沿ってアブレートしてもよい。積層ワークスタック110およびパルスレーザービーム焦線153の相対並進速度ならびにパルスレーザービーム152の繰返し率は、パルスレーザービーム焦線153の各パルスがパルスレーザービーム焦線153の直径以下の距離で樹脂分離線122に沿って分離されるように構成されてもよい。この構成では、樹脂分離線122に沿うパルスレーザービーム焦線のパルス間に分離がほとんどないか、(全く)ないので、パルスレーザービーム焦線153が樹脂分離線122に沿って樹脂層120の材料の連続線をアブレートすることができる。したがって、パルスレーザービーム焦線153が樹脂分離線122に沿って並進移動すると、パルスレーザービーム焦線153は照射し、樹脂層120の反復部分(例えば、樹脂分離線122に沿う樹脂層120の第2の部分に隣接する樹脂層120の第1の部分)をアブレートしうる。実施形態によっては、樹脂層120の第1の部分は、隣接する樹脂層120の第2の部分と重なってもよい。実施形態によっては、樹脂層120の第1の部分は、樹脂層120の第2の部分から、例えば、約1.5μm、1μm、0.5μm、0.25μm、または0.1μmなど、約2μm以下離間してもよい。
【0069】
理論に制限されることを意図しなければ、樹脂層120を分離する前に第1の透明ワーク112aを分離することで、第1の透明ワーク分離線118aに沿ってひび割れが樹脂層120のアブレートされた樹脂材料用の出口経路をもたらすことができ、アブレートされた樹脂材料が第1の透明ワーク112aまたは第2の透明ワーク112bを損傷することを防ぐ。さらに、上述の通り、積層ワークスタック110を再位置決めすることで、パルスレーザービーム152が樹脂層120に到達する前に、ひび割れていない透明ワークを通って(例えば、第2の透明ワーク112b)横切ることができる。第1の透明ワーク分離線118aに沿ったひび割れの材料−空気界面は、非均一またはその他の制御するのが難しい方法で、パルスレーザービーム152およびパルスレーザービーム焦線153を変えて、効果的に樹脂層120をアブレートできることを妨げるので、これにより、パルスレーザービーム152をより容易に制御できるようになる。
【0070】
ここで
図8Dおよび
図8Eを参照すると、例えば、第1の透明ワーク112aに関連して上述し、
図7Aに図示したように、第2の透明ワーク112bにパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせることおよび積層ワークスタック110をパルスレーザービーム焦線153に対して並進移動することにより、第2の透明ワーク112bが第2の透明ワーク分離線118bに沿って分離されて、第2の透明ワーク分離線118bに沿って複数の欠陥105を備える第2の輪郭線102’を形成することができる。第2の透明ワーク112bが、非強化ソーダ石灰ガラスなどの非強化ガラス基板を備える実施形態では、第1の透明ワーク112aは、機械的または熱源などの応力誘導源を用いてその後応力を加えられてもよい。例えば、
図8Eに示すように、赤外線光源160は、赤外レーザービーム162を第2の輪郭線102’に沿ってまたは輪郭線102’の近くに向けて、第2の透明ワーク112bの分離を第2の透明ワーク分離線118bに沿って誘発してもよい。さらに、実施形態によっては、輪郭線102に加えられるその後の応力は、第2のパルスレーザービーム焦線153を第2の輪郭線102’に沿ったまたは第2の輪郭線102’の近くの場所で、第1の透明ワーク112aに向けることを含んでもよい。さらに、第2の透明ワーク112bが、イオン交換ガラス基板または熱強化ガラス基板などの強化ガラス基板を備える実施形態では、輪郭線102の複数の欠陥105間のひび割れは、第2の透明ワーク分離線118bに沿って第2の透明ワーク112bを分離することにより、自己伝播してもよい。
【0071】
さらに、
図8Aから
図8Eに図示するように、第1の透明ワーク分離線118a、第2の透明ワーク分離線118b、および樹脂分離線122は、衝突位置115で、第1の透明ワーク112aの外側表面114aおよび第2の透明ワーク112bの外側表面114bに実質的に直交方向に整列している。例えば、第1の透明ワーク分離線118a、第2の透明ワーク分離線118b、および樹脂分離線122はそれぞれ、所望の周囲119(
図1C)と一致しうる。
【0072】
ここで、
図9Aから
図9Dを参照すると、積層ワークスタック110を加工する別の方法が図示されている。この実施形態では、第1の透明ワーク112aは、例えば、熱強化ガラス基板またはイオン交換ガラス基板などの強化ガラス基板を備える。
図9Aに示すように、その方法は、まず、第1の透明ワーク112aが第2の透明ワーク112bの下流に位置するように(例えば、衝突位置115が第2の透明ワーク112bの外側表面114bに位置するように)、ビーム経路に対して積層ワークスタック110を位置決めすることを含みうる。さらに、その方法は、ビーム経路151を衝突位置115で第1の透明ワーク112aの外側表面114aに直交するように位置付けることを含む。
【0073】
さらに、
図9Aを参照すると、その方法は、例えば、
図9Aから
図9Dに関連して上述したように、第1の透明ワーク112aにパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせることにより第1の透明ワーク分離線118aに沿って第1の透明ワーク112aを分離して、誘起吸収が第1の透明ワーク112a内に欠陥105を生成するように第1の透明ワーク112a内に誘起吸収を生じさせることを含む。第1の透明ワーク112aを分離することはさらに、パルスレーザービーム焦線153に対して積層ワークスタック110を並進移動して、第1の透明ワーク分離線118aに沿って複数の欠陥105を含む輪郭線102を形成することを含む。第1の透明ワーク112aは、強化ガラス基板を備えているので、輪郭線102の複数の欠陥105間のひび割れは、自己伝播し、第1の透明ワーク分離線118aに沿って第1の透明ワーク112aを分離しうる。
【0074】
ここで
図9Bを参照すると、次に、樹脂層120にパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせることおよび積層ワークスタック110をパルスレーザービーム焦線153に対して並進移動して、樹脂層120の樹脂材料を樹脂分離線122に沿ってアブレートして、樹脂層120を樹脂分離線122に沿って分離することによって、
図9Bに関連して上述された方法を用いて、樹脂層120を樹脂分離線122に沿って分離できる。樹脂層120を分離する前に第1の透明ワーク112aを分離することで、第1の透明ワーク112a内のひび割れが樹脂層120のアブレートされた樹脂材料用の出口経路をもたらして、アブレートされた樹脂材料が第1の透明ワーク112aまたは第2の透明ワーク112bを損傷することを防ぐ。さらに、第1の透明ワーク112aは、強化ガラス基板を備えるので、積層ワークスタック110はビーム経路に対して再位置決めする必要がない。というのも、ひび割れは、赤外レーザービーム162を輪郭線102に沿って方向付けることなど、その後の加工工程なしで、第1の透明ワーク112a内に形成できるからである。
図10Aおよび
図10Bに示すオリエンテーションでは、赤外レーザービーム162は、第2の透明ワーク112bによって吸収される。したがって、第1の透明ワーク112aが、この構成で非強化ガラス基板の場合、赤外レーザービーム162は、第1の透明ワーク112aに到達できない。
【0075】
ここで、
図9Cおよび
図9Dを参照すると、その方法はさらに、第2の透明ワーク112bにパルスレーザービーム焦線153の焦点を合わせることおよびパルスレーザービーム焦線153に対して積層ワークスタック110を並進移動することによって第2の透明ワーク分離線118bに沿って第2の透明ワーク112bを分離して、第2の透明ワーク分離線118bに沿って複数の欠陥105を備える第2の輪郭線102’を形成することを含んでもよい。
図9Dに示すように、第2の透明ワーク112bが非強化ガラス基板を備える実施形態では、第2の透明ワーク112bは、機械的または熱源などの応力誘導源を用いてその後応力を加えられてもよい。例えば、
図9Dに示すように、赤外線光源160は、赤外レーザービーム162を第2の輪郭線102’に沿ってまたはそれに隣接して方向付けて、第2の透明ワーク分離線118bに沿って第2の透明ワーク112bの分離を誘発してもよい。さらに、第2のパルスレーザービーム焦線を使用して、第2の透明ワーク分離線118bに沿って第2の透明ワーク112bの分離を誘発してもよい。さらに、第2の透明ワーク112bが、イオン交換ガラス基板または熱強化ガラス基板などの強化ガラス基板を備える実施形態では、第2の輪郭線102’の複数の欠陥105間のひび割れは、第2の透明ワーク112bの強化ガラス内の応力の存在によって自己伝播して、第2の透明ワーク分離線118bに沿って第2の透明ワーク112bを分離してもよい。
【0076】
ここで、
図10を参照すると、流れ
図200が、積層ワークスタック110を形成する方法を示す。
図10に示す方法は、積層ワークスタック110が車両のフロントガラスを含む実施形態に使用されうる。流れ
図200は、工程202から210で説明される複数の方法の工程を示す。方法は、特定の順序で記載されるが、当然のことながらその他の順序も考えられる。第1に、例えば、上述のレーザー加工方法を使用して、ステップ202で、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bが、一枚のマザーガラスから分離されうる。次に、ステップ204で、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bがそれぞれ、弧状面に形状設定されうる。理解しやすくするために、形状設定プロセスを、第1の透明ワーク112aに関連して説明するが、第1の透明ワーク112aおよび第2の透明ワーク112bはそれぞれ、以下の方法でそれぞれ形状設定されうることを理解されたい。
【0077】
第1の透明ワーク112aを第1の透明ワーク112aの外周だけがリング金型に接触するように、リング金型上に位置付けてもよい。実施形態によっては、リング金型は、第1の透明ワーク112aをより簡単に搬送できるような成形ワゴン(例えば、サグワゴン)の構成要素であってもよい。次に、リング金型上に位置付けられた第1の透明ワーク112aは、レールオーブン内に配置されて加熱処理を受ける。レールオーブンは、電気発熱体を備えてもよい。第1の透明ワーク112aが発熱すると、第1の透明ワークのガラス材料は、柔らかくなる。第1の透明ワーク112aのガラス材料が約1億ポアズに到達するとき、第1の透明ワーク112aは、緩和し始め、リング金型の全周に接触しうる。
レールオーブンは、第1の透明ワーク112aが約1兆ポアズに到達し、第1の透明ワーク112aの中心がたわんで凹形状を作るように、第1の透明ワーク112aを加熱し続けてもよい。実施形態によっては、第1の透明ワーク112aの中心は、たわみが発生する方向に測定された周囲の長さと第1の透明ワーク112aの中心との間の約3mmから約50mmのオフセット距離までたわむ。さらに、実施形態によっては、第1の透明ワーク112aの所望の形状を有する金型は、第1の透明ワーク112aと接触して、追加の成形を誘発してもよい。
【0078】
さらに、ステップ206で、第1の透明ワーク112aおよび/または第2の透明ワーク112bは、熱焼き戻しまたはイオン交換強化プロセスを用いて、適宜強化されてもよい。次に、ステップ208で、樹脂層120は、第1の透明ワーク112aと第2の透明ワーク112bとの間で積層されて、積層ワークスタック110を形成しうる。ステップ208の積層プロセスの工程は、
図11に示す流れ
図300でより詳細を説明し、かつ以下で説明する。さらに、ステップ210で積層ワークスタック110は、
図8Aから9Dに関連して上述された積層ワークスタック110を分離する方法を用いて積層ワークスタック110の所望の周囲119に沿って分離されうる。
【0079】
ここで、
図11を参照すると、流れ
図300は、第1の透明ワーク112aと第2の透明ワーク112bとの間の樹脂層120を積層する方法を示す。具体的には、流れ
図300は、
図10の流れ
図200のステップ208のより詳細な説明を提供する。流れ
図300は、工程302から308で説明される複数の方法の工程を示す。方法は、特定の順序で記載されるが、当然のことながらその他の順序も考えられる。第1に、ステップ302で、樹脂層120は、第1の透明ワーク112aの内側表面116aと第2の透明ワーク112bの内側表面116bとの間に配置されて、積層ワークスタック110を形成する。次に、ステップ304で、積層ワークスタック110は、積層ワークスタック110の周囲の周りに真空リングを結合することおよび/または真空バッグ中に積層ワークスタック110を位置付けることで真空処理に備える。
【0080】
ステップ306で、積層ワークスタックを真空処理する。ステップ306の真空処理は、約室温で、約15分から20分の間の期間の大気圧より低い圧力、例えば、約0.5バールから約0.9バールまでの圧力(例えば、0.6バール、0.7バール、または0.8バールなど)を備える積層ワークスタック110の大気環境を設定することと、続いて以前の設定圧力を保持しながら、積層ワークスタック110を約35℃から約100℃の温度に加熱することとを含む。真空処理後、積層ワークスタック110を真空バッグから取り除き、真空リングを積層ワークスタック110から取り除いてもよい。次に、ステップ308で、積層ワークスタック110をオートクレーブ圧力容器内に位置付けて、オートクレーブ圧力容器内で高圧で加熱してもよい。例えば、積層ワークスタック110をオートクレーブ圧力容器内で、約35分から40分間、約125℃から約140℃の温度で、かつ約150psi(1.034MPa)から約200psi(1.38MPa)の圧力で(例えば、約160psi(約1.1MPa)、170psi(1.17MPa)、180psi(1.24MPa)、または190psi(1.31MPa)など)、加圧下(例えば、気圧下)で加熱してもよい。積層後、積層ワークスタック110を本明細書の実施形態に記載の積層ワークスタック110を分離する方法を用いて積層ワークスタック110の所望の周囲119に沿って分離して、車両のフロントガラスなどの現在および将来の車両製造プロセスの厳しい寸法公差を満たす車両の合わせガラスを形成することができる。
【0081】
本明細書に記載の方法は、主として車両のフロントガラスおよび車両製造用の積層ワークスタック110の形成に言及するが、当然のことながら、本明細書に記載の方法は、透明ワークの間に配置された樹脂層を備える任意の積層ワークスタックの分離を含む任意の製造プロセスに適用可能でありうる。上述の説明に照らして、車両のフロントガラスなどの積層ワークスタックの分離は、積層ワークの各層を高いレベルの品質および精密さで分離できるようなパルスレーザービームおよびレーザー加工を利用することで向上しうることを理解されたい。
【0082】
範囲は、本明細書において「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表されうる。こうした範囲を表すとき、別の実施形態は、一方の特定の値からおよび/または他方の特定の値までを含む。同様に、値を、先行する「約」を用いて近似値として表すとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。さらに、範囲のそれぞれの終点は、その他の終点との関係およびその他の終点とは独立に、重要であることが理解されよう。
【0083】
本明細書で使用される方向を表す用語(例えば、上に、下に、上、下、右、左、前、後ろ、上部、底部)は、図示の図面を参照するためにのみ使用され、絶対的な方向を示唆する意図はない。
【0084】
別段の指示がない限り、本明細書に記載のいかなる方法も、その工程が特定の順序で実施されることを要求していると解釈されることを意図しておらず、いずれの装置も特定の配向を要求されていると解釈されることを意図しない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に列挙しない、またはいずれの装置の請求項も、個々の構成要素に対する順序または配向を実際に列挙しない、あるいは、請求項または明細書中に、工程が特定の順序に制限されるという別段の定めがない、もしくは特定の順序または一装置の構成要素に対する配向が列挙されていない場合、いかなる点においても順序または配向を暗示することを意図しない。これは、工程、操作フロー、構成要素の順序、または構成要素の向きの配置に関する論理事項、文法構成または句読点に由来する単純な意味、および、本明細書に記載の実施形態の数または種類を含む、解釈のためのいずれの考えられる非明確な基準(non−express basis)についても言える。
【0085】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形の対象を含蓄するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。したがって、例えば、「1つの」構成要素に対する参照は、2つ以上のこうした構成要素を有する態様を含むが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0086】
請求項に記載された主題の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に対して様々な変更および変形が行われうることが、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような変更および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲であるという条件で、本明細書に記載される様々な実施形態の変更および変形を網羅することが意図される。
【0087】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0088】
実施形態1
積層ワークスタックをレーザー加工する方法において、
第1の透明ワークと第2の透明ワークとの間に配置される樹脂層を備える積層ワークスタックの前記第1の透明ワーク内に輪郭線を形成するステップであって、当該輪郭線を形成するステップが、
ビーム経路に沿って配向され前記第1の透明ワークに向けられた、パルスレーザービーム焦線にビーム源により出力されたパルスレーザービームの焦点を合わせるステップであって、前記パルスレーザービーム焦線が前記第1の透明ワーク内に誘起吸収を生じさせる、パルスレーザービームの焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して第1のワーク分離線に沿って並進移動させ、それにより、レーザーが、前記第1のワーク分離線に沿って複数の欠陥を含む前記輪郭線を形成するステップ、
を含む輪郭線を形成するステップと、
樹脂分離線に沿って前記樹脂層を分離するステップであって、前記樹脂層を分離するステップが、
前記ビーム経路に沿って配向され、前記樹脂層に向けられた前記パルスレーザービーム焦線に前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記樹脂分離線に沿って並進移動させ、それにより、レーザーが、前記樹脂分離線に沿って前記樹脂層をアブレートするステップ、
を含む前記樹脂層を分離するステップと、
を含む方法。
【0089】
実施形態2
前記樹脂層が、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、またはその組み合わせを含む、実施形態1に記載の方法。
【0090】
実施形態3
前記パルスレーザービーム焦線が、前記樹脂層の第2の部分をアブレートする前に前記樹脂層の第1の部分をアブレートするように、前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線が、前記樹脂分離線に沿って互いに対して並進移動し、
前記樹脂層の前記第1の部分が、前記樹脂分離線に沿って前記樹脂層の前記第2の部分に隣接する、実施形態1または2に記載の方法。
【0091】
実施形態4
前記樹脂層の前記第1の部分が、前記樹脂層の前記第2の部分に重なる、実施形態3に記載の方法。
【0092】
実施形態5
前記樹脂層の前記第1の部分が、前記樹脂分離線に沿って前記樹脂層の前記第2の部分から2μm以下離間する、実施形態3に記載の方法。
【0093】
実施形態6
前記第1の透明ワーク内に前記輪郭線を形成するとき、前記パルスレーザービームが第1のパルスエネルギーを備え、
前記樹脂層をアブレートするとき、前記パルスレーザービームが、前記第1のパルスエネルギーより大きい第2のパルスエネルギーを備える、実施形態1から5のいずれか一つに記載の方法
実施形態7
前記方法が、前記第1のワーク分離線に沿って前記第1の透明ワークを分離するステップをさらに含む、実施形態1から6のいずれか一つに記載の方法。
【0094】
実施形態8
前記パルスレーザービーム焦線が、第1のパルスレーザービーム焦線を含み、前記第1の透明ワークを分離するステップが、
前記輪郭線に沿ったまたは前記輪郭線近くの場所で、前記ビーム経路に沿って配向され前記第1の透明ワークに向けられた、第2のパルスレーザービーム焦線に前記ビーム源によって出力された前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップと、
前記積層ワークスタックおよび前記第2のパルスレーザービーム焦線を互いに対して、前記輪郭線に沿ってまたは前記輪郭線の近くで並進移動させ、それにより、前記第1のワーク分離線に沿って前記第1の透明ワークを分離するステップと、
を含む実施形態7に記載の方法。
【0095】
実施形態9
前記第2のパルスレーザービーム焦線が、前記第1のパルスレーザービーム焦線より大きいパルスエネルギーを備える、実施形態8に記載の方法。
【0096】
実施形態10
前記第1の透明ワークを分離するステップが、
前記第1の透明ワークが、前記ビーム経路に沿って前記第2の透明ワークの上流に配置されるように、前記積層ワークスタックを位置付けるステップと、
赤外レーザービームを前記輪郭線に沿ってまたは前記輪郭線の近くで前記第1の透明ワーク上に向けるステップと、
前記第1の透明ワークおよび前記赤外レーザービームを互いに対して、前記輪郭線に沿ってまたは前記輪郭線の近くで並進移動させ、それにより、前記第1のワーク分離線に沿って前記第1の透明ワークを分離するステップと、
を含む実施形態7に記載の方法。
【0097】
実施形態11
前記第1の透明ワークを前記第1のワーク分離線に沿って分離するステップに続いて、前記樹脂層を前記樹脂分離線に沿って分離するステップの前に、前記第1の透明ワークを前記ビーム経路に沿って前記第2の透明ワークの下流に配置するように前記積層ワークスタックを位置付けるステップをさらに含む、実施形態7に記載の方法。
【0098】
実施形態12
レーザーが前記輪郭線を前記第1のワーク分離線に沿って形成するステップが、ひび割れ伝播を前記輪郭線に沿って誘発して、前記第1の透明ワークを前記第1のワーク分離線に沿って分離するように前記第1の透明ワークが強化ガラス基板を備える、実施形態7に記載の方法。
【0099】
実施形態13
前記第1の透明ワークを前記第1のワーク分離線に沿って分離するステップおよび前記樹脂層を前記樹脂分離線に沿って分離するステップ両方の前に、前記第1の透明ワークを前記ビーム経路に沿って前記第2の透明ワークの下流に配置するように前記積層ワークスタックを位置付けるステップをさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0100】
実施形態14
前記方法が、
前記積層ワークスタックの前記第2の透明ワーク内に第2のワーク分離線に沿って第2の輪郭線を形成するステップであって、当該第2の輪郭線を形成するステップが、
前記ビーム経路に沿って配向され前記第2の透明ワークに向けられた、前記パルスレーザービーム焦線に前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップであって、前記パルスレーザービーム焦線が前記第2の透明ワーク内に誘起吸収を生じさせる、前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップと、
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記第2のワーク分離線に沿って並進移動させ、それにより、複数の欠陥を含む前記第2の輪郭線を前記第2のワーク分離線に沿って形成するステップと、
を含む第2の輪郭線を形成するステップをさらに含む、実施形態7から13のいずれか一つに記載の方法。
【0101】
実施形態15
前記方法が、前記第2のワーク分離線に沿って前記第2の透明ワークを分離するステップをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【0102】
実施形態16
前記パルスレーザービーム焦線が、第1のパルスレーザービーム焦線を含み、前記第2の透明ワークを分離するステップが、
前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線に沿ったまたは前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線の近くの場所で、前記ビーム経路に沿って配向され前記第2の透明ワークに向けられた、第2のパルスレーザービーム焦線にビーム源によって出力された前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップと、
前記第2の透明ワークおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記第2の輪郭線に沿ってまたは前記第2の輪郭線の近くで並進移動させ、それにより、前記第2の輪郭線に沿って前記第2の透明ワークを分離するステップと、
を含む、実施形態15に記載の方法。
【0103】
実施形態17
前記第2のパルスレーザービーム焦線が、前記第1のパルスレーザービーム焦線より大きいパルスエネルギーを備える、実施形態16に記載の方法。
【0104】
実施形態18
前記第2の透明ワークを分離するステップが、
前記第2の透明ワークが、前記ビーム経路に沿って前記第1の透明ワークの上流に配置されるように、前記積層ワークスタックを位置付けるステップと、
赤外レーザービームを前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線に沿ってまたは前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線の近くで前記第2の透明ワーク上に向けるステップと、
前記第2の透明ワークおよび前記赤外レーザービームを互いに対して前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線に沿ってまたは前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線の近くで並進移動させ、それにより、前記第2のワーク分離線に沿って前記第2の透明ワークを分離するステップと、
を含む、実施形態15に記載の方法。
【0105】
実施形態19
レーザーが、前記第2の輪郭線を前記第2のワーク分離線に沿って形成するステップが、ひび割れ伝播を前記第2の透明ワークの前記第2の輪郭線に沿って誘発して、前記第2の透明ワークを前記第2のワーク分離線に沿って分離するように、前記第2の透明ワークが強化ガラス基板を備える、実施形態14に記載の方法。
【0106】
実施形態20
前記ビーム源が、1パルスバースト当たり約1パルスから1パルスバースト当たり約30パルスまでのバースト繰返し率および1パルスバースト当たり約25μJから約1000μJまでのパルスバーストエネルギーを備えるパルスバーストを生成する、実施形態1から19のいずれか一つに記載の方法。
【0107】
実施形態21
第1の透明ワーク内に形成された隣接する欠陥間の間隔が、約1μmから約30μmである、実施形態1から20のいずれか一つに記載の方法。
【0108】
実施形態22
前記第1の透明ワークの外側表面が弧状であり、
前記パルスレーザービームが回動可能レーザー出力ヘッドから伝搬し、
前記積層ワークスタックが、前記パルスレーザービーム焦線に対して並進移動すると、前記回動可能レーザー出力ヘッドが、前記パルスレーザービーム焦線を軸に旋回し、それにより、前記パルスレーザービームは、前記第1の透明ワークの外側表面の衝突位置と直交を維持する、実施形態1から21のいずれか一つに記載の方法。
【0109】
実施形態23
前記パルスレーザービームが、ワーク製造アセンブリの移動アームに結合された回動可能レーザー出力ヘッドから伝搬する、実施形態1から22のいずれか一つに記載の方法。
【0110】
実施形態24
前記回動可能レーザー出力ヘッドが、車軸関節によってワーク製造アセンブリの移動アームに回動可能に結合される、実施形態23に記載の方法。
【0111】
実施形態25
回動可能光学部品が、回動可能レーザー出力ヘッド内に収容される、実施形態23に記載の方法。
【0112】
実施形態26
前記パルスレーザービームが、それぞれが前記ビーム源と前記積層ワークスタックとの間の前記ビーム経路内に位置付けられる集束レンズおよびアキシコンを備える光アセンブリを用いて前記パルスレーザービーム焦線に焦点を合わせる、実施形態1から25のいずれか一つに記載の方法。
【0113】
実施形態27
前記積層ワークスタックが車両の合わせガラスを含む、実施形態1から26のいずれか一つに記載の方法。
【0114】
実施形態28
積層ワークスタックをレーザー加工する方法において、
第1の透明ワークと第2の透明ワークとの間に樹脂層を積層して、積層ワークスタックを形成するステップであって、前記第1の透明ワークが、強化ガラス基板を含む、積層ワークスタックを形成するステップと、
前記第1の透明ワークが、ビーム経路に沿って前記第2の透明ワークの下流に配置されるように、前記積層ワークスタックを位置付けるステップと、
前記第1の透明ワーク内に第1のワーク分離線に沿って輪郭線を形成するステップであって、当該輪郭線を形成するステップが、
前記ビーム経路に沿って配向され前記第1の透明ワークに向けられた、パルスレーザービーム焦線にビーム源によって出力されたパルスレーザービームの焦点を合わせるステップであって、前記パルスレーザービーム焦線が前記第1の透明ワーク内に誘起吸収を生じさせ、前記誘起吸収が前記第1の透明ワーク内に前記パルスレーザービーム焦線に沿って欠陥を生成する、パルスレーザービームの焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記ビーム経路を互いに対し前記第1のワーク分離線に沿って並進移動させ、それにより、レーザーが、複数の欠陥を含む前記輪郭線を前記第1のワーク分離線に沿って形成して、前記輪郭線に沿ってひび割れ伝播を誘発して、前記第1の透明ワークを前記第1のワーク分離線に沿って分離するステップ、
を含む輪郭線を形成するステップと、
樹脂分離線に沿って前記樹脂層を分離するステップであって、当該樹脂層を分離するステップが、
前記積層ワークスタックの前記樹脂層に前記ビーム経路に沿って配向される前記パルスレーザービーム焦線の焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記樹脂分離線に沿って並進移動させ、それにより、前記樹脂分離線に沿って前記樹脂層をアブレートするステップ、
を含む前記樹脂層を分離するステップと、
を含む方法。
【0115】
実施形態29
前記方法が、
前記積層ワークスタックの前記第2の透明ワーク内に第2のワーク分離線に沿って第2の輪郭線を形成するステップであって、当該第2の輪郭線を形成するステップが、
前記ビーム経路に沿って配向され前記第2の透明ワークに向けられた、前記パルスレーザービーム焦線に前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップであって、前記パルスレーザービーム焦線が前記第2の透明ワーク内に誘起吸収を生じさせる、前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記第2の輪郭線に沿って並進移動させ、それにより、前記第2のワーク分離線に沿って複数の欠陥を含む前記第2の輪郭線を形成するステップ、
を含む第2の輪郭線を形成するステップをさらに含む、実施形態28に記載の方法。
【0116】
実施形態30
前記第1の透明ワークと前記第2の透明ワークとの間に前記樹脂層を積層するステップが、
前記第1の透明ワークと前記第2の透明ワークとの間に前記樹脂層を配置するステップと、
前記樹脂層、前記第1の透明ワーク、および前記第2の透明ワークを気圧より低い圧力で真空処理するステップと、
前記樹脂層、前記第1の透明ワーク、および前記第2の透明ワークを気圧より高い圧力で加熱するステップと、
を含む、実施形態28または29に記載の方法。
【0117】
実施形態31
前記積層ワークスタックが車両の合わせガラスを含む、実施形態28から30のいずれか一つに記載の方法。
【0118】
実施形態32
積層ワークスタックをレーザー加工する方法において、
第1の透明ワークと第2の透明ワークとの間に樹脂層を積層して、積層ワークスタックを形成するステップであって、前記第1の透明ワークおよび前記第2の透明ワークが、それぞれ弧状である、積層ワークスタックを形成するステップと、
前記第1の透明ワーク内に第1のワーク分離線に沿って輪郭線を形成するステップであって、当該輪郭線を形成するステップが、
ビーム経路に沿って配向され前記第1の透明ワークに向けられた、パルスレーザービーム焦線に回動可能レーザー出力ヘッドから伝搬するパルスレーザービームの焦点を合わせるステップであって、前記パルスレーザービーム焦線が前記第1の透明ワーク内に誘起吸収を生じさせる、パルスレーザービームの焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記第1のワーク分離線に沿って並進移動させ、それにより、レーザーが、前記第1のワーク分離線に沿って複数の欠陥を含む輪郭線を形成するステップ、
を含み、
前記積層ワークスタックが、前記パルスレーザービーム焦線に対して並進移動すると、前記回動可能レーザー出力ヘッドが、前記パルスレーザービーム焦線を軸に旋回し、それにより、前記パルスレーザービームが、前記第1の透明ワークの外側表面の衝突位置と直交を維持する、輪郭線を形成するステップと、
樹脂分離線に沿って前記樹脂層を分離するステップであって、当該樹脂層を分離するステップが、
前記ビーム経路に沿って配向され、前記樹脂層に向けられた前記パルスレーザービーム焦線に前記パルスレーザービームの焦点を合わせるステップ、および
前記積層ワークスタックおよび前記パルスレーザービーム焦線を互いに対して前記樹脂分離線に沿って並進移動させ、それにより、レーザーが、前記樹脂分離線に沿って前記樹脂層をアブレートするステップ、
を含む前記樹脂層を分離するステップと、
を含む方法。
【0119】
実施形態33
前記樹脂層が、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、またはその組み合わせを含む、実施形態32に記載の方法。
【0120】
実施形態34
前記第1の透明ワークと前記第2の透明ワークとの間に前記樹脂層を積層するステップが、
前記第1の透明ワークと前記第2の透明ワークとの間に前記樹脂層を配置するステップと、
前記樹脂層、前記第1の透明ワーク、および前記第2の透明ワークを気圧より低い圧力で真空処理するステップと、
前記樹脂層、前記第1の透明ワーク、および前記第2の透明ワークを気圧より高い圧力で加熱するステップと、
を含む、実施形態32または33に記載の方法。
【0121】
実施形態35
前記回動可能レーザー出力ヘッドが、車軸関節によってワーク製造アセンブリの移動アームに回動可能に結合される、実施形態32から34のいずれか一つに記載の方法。
【0122】
実施形態36
回動可能光学部品が、前記回動可能レーザー出力ヘッド内に収容される、実施形態32から35のいずれか一つに記載の方法。
【0123】
実施形態37
前記方法が、前記第1のワーク分離線に沿って前記第1の透明ワークを分離するステップをさらに含み、前記第1の透明ワークを分離するステップが、
前記第1の透明ワークが、前記ビーム経路に沿って前記第2の透明ワークの上流に配置されるように、前記積層ワークスタックを位置付けるステップと、
赤外レーザービームを前記輪郭線に沿ってまたは前記輪郭線の近くで前記第1の透明ワーク上に向けるステップと、
前記第1の透明ワークおよび前記赤外レーザービームを互いに対して、前記輪郭線に沿ってまたは前記輪郭線の近くで並進移動させ、それにより、前記第1のワーク分離線に沿って前記第1の透明ワークを分離するステップと、
を含む実施形態32から36のいずれか一つに記載の方法。
【0124】
実施形態38
レーザーが、前記輪郭線を前記第1のワーク分離線に沿って形成するステップが、ひび割れ伝播を前記輪郭線に沿って誘発して、前記第1の透明ワークを前記第1のワーク分離線に沿って分離するように前記第1の透明ワークが強化ガラス基板を備える、実施形態32から37のいずれか一つに記載の方法。