(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-536418(P2019-536418A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】傾斜した内部永久磁石を備えるローターを含む電気機械
(51)【国際特許分類】
H02K 1/22 20060101AFI20191115BHJP
H02K 1/27 20060101ALI20191115BHJP
H02K 21/14 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
H02K1/22 A
H02K1/27 501A
H02K21/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-529496(P2019-529496)
(86)(22)【出願日】2017年11月27日
(85)【翻訳文提出日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】FR2017053258
(87)【国際公開番号】WO2018100276
(87)【国際公開日】20180607
(31)【優先権主張番号】1661770
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518403447
【氏名又は名称】アンスティテュ ヴェデコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハミティ, タハール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァングラエフシェプ, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ベンラミーヌ, ラウーフ
【テーマコード(参考)】
5H601
5H621
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA25
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD22
5H601FF02
5H601FF04
5H601GA02
5H601GA24
5H601GA25
5H601GA32
5H601GA33
5H601GC23
5H621HH01
5H622AA03
(57)【要約】
本発明は、内部永久磁石を有するローター付きのブラシレス電気機械であって、管状コア(1)を含むローターを備え、前記コア(1)は、幅La及び長さLの台形断面を有するN組の縦スロット(2、3)を有し、La/Lの比率は0.25と0.35の間にあり、1つの組をなす2つのスロット(2、3)は、中央放射面の両側に7.5°±1.5°の角度で延在し、コアは、各組のスロットの収束領域において、コア(1)の両前端側にて開口する縦チャネル(10)を有することを特徴とする、ブラシレス電気機械に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部永久磁石を備えるブラシレス電気機械であって、
管状コア(1)を含むローターを備え、
前記コア(1)は、幅La及び中央長さLの台形断面を有するN組の縦スロット(2、3)を有し、
1つの組をなす2つの前記スロット(2、3)は、中央放射面の両側に7.5±1.5°の角度で延在し、
前記コアは、各組の前記スロットの収束領域において、前記コア(1)の両前端側にて開口する縦チャネル(10)を有することを特徴とする、ブラシレス電気機械。
【請求項2】
La/Lの比率は、0.25と0.35の間にあることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記コア(1)は、強磁性板のスタックを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項4】
前記スロット(2、3)は、前記コアの外周にて、前記スロット(2、3)の幅未満の幅を有するノッチ内側に開口することを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項5】
前記チャネルの断面の直径は、前記スロット(2、3)の前記幅の0.8倍から1.2倍の間であることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項6】
前記磁石は、反対方向に交互に磁化されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項7】
前記ローターは、同じ方向に磁化された隣り合う磁石の交互の対を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項8】
Nは12以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項9】
ステータはk.N数の歯を有し、kは整数であり、前記歯は長手(21)であり、外側のリング形状のヨーク(20)から前記ローターの方向に放射状に延在し、前記長手歯の少なくとも一部は、電気コイル(22)により囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項10】
ステータはk.N数の歯(21)を有し、kは整数又は分数であり、前記歯はねじれており、外側のリング形状のヨーク(20)から前記ローターの方向に放射状に延在し、前記歯(21)の少なくとも一部は、電気コイル(22)により囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項11】
前記ローターは、ステータにおける半歯ピッチの複数の角度にてねじれていることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2016年12月1日に出願されたフランス特許出願1661770に基づく優先権を主張し、上記特許出願の内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、トルクを損なうことなく磁石の数を削減することが可能な、内部永久磁石(interior permanent magnetすなわちIPM)を備える回転ブラシレス電気機械の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
電気機械は、エンジン又は発電機により駆動され得る。
【0004】
そのような機械において、ローターは、回転軸が延在する回転軸挿入穴を備える、一般的に、略円形部を備えるリング状に形成された強磁性板のスタックからなる。
【0005】
さらに、ローター積層体の外周側は、主立方体磁石が挿入されている略矩形の磁石挿入穴を備える。
【発明の概要】
【0006】
従来技術において、数多くの内部永久磁石機械ソリューションがある。
【0007】
例えば、日本特許出願JP2016163462は、内部永久磁石を備えるブラシレス電気機械を記載する。この既知のソリューションによるローターは、外径D
ext及び内径D
intを有する管状コアからなる。コアは、台形断面を有するN組の縦スロットを有する。一組のスロットをなす2つのスロットは、中央放射面の両側に延在する。
【0008】
また、米国特許US3840763も既知である。これは、機械の磁界を増やすために強磁性コア内に収められた、磁束が弱い複数の低密度永久磁石を含む電気機械を記載する。一つの組をなすスロットは、約15°の角度にて中央放射面の両側に延在する。磁石は、コアの飽和磁束密度を超えることなくコア内の磁束密度を最大化するよう、好適な範囲内において、機械の主磁束通路に対して配向角度を有して配置されている。最大エネルギポイントでの磁石の磁束密度とコアの飽和磁束密度との間の関係により、磁石の担持角度の好適な範囲が決定される。
【0009】
ドイツ特許出願DE19915664は、ステータ及び少なくとも1つのローター板のスタックを含む機械を記載する。この板のスタックは、スタック内の板が少なくとも2つの異なる切り欠き部を有し、切り欠き部の1つ内にある板の少なくとも1つが、スタック内にて板を放射状にロックする手段、特に、個々の板が軸方向に組み立てられた際にロックする手段を有することを特徴とする。スロットは、略台形状であるものの、各組のスロットの収束領域内に縦チャネルのない部分を有する。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術によるソリューションは、磁気漏れに関する問題を引き起こす。効果的に内部磁石を保持することは、大きな遠心力にさらされる磁石の較正を保証するためのブリッジの存在に関係する。しかしこれらのブリッジは磁気漏れを引き起こし、電気機械の性能を損なう。
【0011】
さらに、従来技術による特定のソリューションにおける複雑な機械構造は、高速で運転する機械には十分に適さない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの従来技術の欠点に対処するため、本発明は、その広い意味において、ローターが、外径D
ext及び内径D
intを有する管状コアを含むことを特徴とする、内部永久磁石を備えるブラシレス電気機械に関する。D
ext/D
intは、1.3と1.4との間にある。該コアは、幅La及び中央長さLの台形断面を有するN組の縦スロットを有する。La/Lは、0.25と0.35との間にある。一つの組をなす2つのスロットは、中央放射面の両側に、7.5°±1.5°の角度にて延在する。該コアは、各組のスロットの収束領域において、該コアの両前端側にて開口する縦チャネルを有する。
【0013】
ここで「幅」とは、台形部の2つの基部の間を測定した距離を意味する。これら2つの基部は平行であり、ローターの半径方向に7.5°±1.5°の角度を形成する。
【0014】
ここで「中央長さ」とは、上述する2つの基部をつなぐ2つの側面の間を測定した、該基部に平行な軸上の、該2つの基部に垂直な線の中心を通る距離を意味する。
【0015】
第2の変形例によると、該コアは、強磁性板のスタックを含む。
【0016】
理想的には、該スロットは該コアの外周にてノッチ上に開口する。該スロットの幅は、該ノッチの幅未満である。該チャネルの断面の寸法は、該スロットの幅の0.8倍から1.2倍の間であると好都合である。
【0017】
第1の変形例に基づき、該磁石は反対方向に交互に磁化されている。
【0018】
第2の変形例に基づき、該ローターは、同じ方向に磁化された隣り合う磁石の交互の組を含む。理想的には、Nは12以上である。
【0019】
第1のアプローチに基づき、該ステータはk.N数の歯を有する。kは整数又は分数である。該長手歯は、外側のリング形状のヨークから該ローターの方向に放射状に延在する。該長手歯の少なくとも一部は、電気コイルにより囲まれている。
【0020】
別のアプローチに基づき、該ステータはk.N数の歯を有する。kは整数又は分数である。該長手歯はねじれており、外側のリング形状のヨークから該ローターの方向に放射状に延在する。ねじれている歯の少なくとも一部は、電気コイルにより囲まれている。
【0021】
別のアプローチに基づき、該ローターは、ステータにおける半歯ピッチの複数の角度にねじれている。
【0022】
本発明は、以下の、本発明の非制限例の詳細説明を読み、付属書類の図面を参照することにより、良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に基づく機械用のローターの第1の実施形態の斜視図を示す。
【
図2】第1のアプローチにおける例に相当する磁力線のマップを示す。
【
図3】本発明に基づく機械用のローターの第2の実施形態の断面図を示す。
【
図4】第2のアプローチにおける例に相当する磁力線のマップを示す。
【
図5】本発明に基づく機械用のステータの第2の実施形態の断面斜視図を示す。
【
図6】本発明に係る機械用の2つの作動手法に相当する、電気角に基づく電磁トルクカーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ローターの説明
図1は、本発明に基づく電気機械用のローターを構築する第1の例の斜視図を示す。
【0025】
ローターは、6組の極を有する管形状のコア(1)を含む。コア(1)は、その長さ全体にわたってローターのコアを横断する複数組の縦スロット(2、3)を有する。1つの組をなすスロット(2、3)は、「V」字を形成する。それら中央断面のそれぞれは、スロット間の中心を通る中央面(4)との間で7.5°の角度を形成する。2つの連続するスロット(2、3)の各中央断面により形成される角度はしたがって、15°である。スロット(2、3)は、ローターの外周面にて、開口(5、6)により開口する。開口の幅は、各スロット(2、3)の幅未満である。これは、各スロット(2、3)の中央面の両側に、それらスロットに挿入される磁石のための担持端を形成する。
【0026】
永久磁石は台形バーの形態であり、これらのスロット(2、3)に挿入されている。上述の例では、一組のスロットの磁石がそれぞれ、反対方向に磁化されている。さらに、隣り合う組に属する2つの連続するスロット(2、7)又は(3、8)が、同じ磁化方向にて磁石を受容する。
【0027】
スロット(2、3)に挿入された磁石の内面(12、13)は面取りされている。これらの面取りに対して、コアは、ローターを横断する縦チャネル(10)を有する。これら縦チャネル(10)は、磁気漏れの削減に貢献する。これらはまた、ローター内の空気又は冷却剤の循環に貢献する。
【0028】
一般的に、本発明に基づくブラシレス電気機械は、外径D
ext及び内径D
intを有する管状コア(1)を含む。
【0029】
コア(1)は、長手方向に延在するN組のスロット(2、3)を有する。スロットの断面は台形である。台形の平行な基部は、略放射状の方向に延在する。台形の平行な基部は理想的には、半径方向に約7.5°の角度を形成する。2つの隣り合うスロットは、断面に対してV字を形成する。このV字は、スロット間の中心を通る放射面の両側に延在する。各組のスロット(2、3)の収束領域において、コアは、コア(1)の両前端側にて開口してコアの内周付近に位置する縦チャネル(10)を有する。永久磁石は、スロット(2、3)と同じ形状である台形バーの形状にて、それらのスロット(2、3)に挿入されている。磁石の内面(12、13)は面取りされている。
【0030】
図2は、第1のアプローチにおける例に相当する、12極モーターの磁力線のマップを示す。
【0031】
図3は、代替的なアプローチを、
図1により示される第1の例と同一のコア構造を用いて示す。先の例では2つの連続する磁石が同じ磁化を有する一方で、これらの磁石は反対方向に磁化されている。
【0032】
図4は、第2のアプローチにおける例に相当する、24極モーターの磁力線のマップを示す。
ステータの説明
【0033】
図5に示すステータは、放射状に延在する72の歯(21)を有するリング形状ヨーク(20)で構成されている。これらの歯は、交互に帯電されるコイル(22)により囲まれている。
【0034】
1つの具体的なアプローチに基づき、これらの歯は、長手方向に延在するのではなく、ステータの2つの前端の間にてある程度のねじれを有してらせん状に延在する。
【0035】
そのような構成により、電気角の機能として以下を示す
図6に示すように、電磁トルクの変動を減少させることができる:
−曲線(30)について、ねじれた歯による伴うトルク変動
−曲線(31)について、長手歯によるトルク変動。
【国際調査報告】