特表2019-536428(P2019-536428A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-536428(P2019-536428A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】HIV臨床計画
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20191122BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20191122BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20191122BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20191122BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20191122BHJP
【FI】
   C12Q1/68
   C12N9/16 Z
   C12Q1/686 Z
   G01N33/68
   C12N15/09 110
   C12N15/09 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-513324(P2019-513324)
(86)(22)【出願日】2017年9月12日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】US2017051093
(87)【国際公開番号】WO2018049372
(87)【国際公開日】20180315
(31)【優先権主張番号】62/393,217
(32)【優先日】2016年9月12日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518153438
【氏名又は名称】エクシジョン バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マルコム,トーマス
【テーマコード(参考)】
2G045
4B050
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA77
4B050DD02
4B050LL01
4B050LL03
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
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4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
(57)【要約】
ウイルス負荷の低下において有効な高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を現在受容しているHIV感染個体をリクルートし、第1a相、第1b相、および第1c相において遺伝子編集または遺伝子切断系治療剤を個体に投与し、個体の細胞からのHIVウイルスゲノム切断を確認するためのアッセイを実施することにより、ヒトにおけるHIVを治療するための遺伝子編集または遺伝子切断系について臨床試験を実施する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおけるHIVを治療するための遺伝子編集または遺伝子切断系について臨床試験を実施する方法において、
ウイルス負荷の低下に有効な高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を現在受容しているHIV感染個体をリクルートするステップと、
第1a相、第1b相、および第1c相臨床試験において遺伝子編集または遺伝子切断系治療剤を前記個体に投与するステップと、
前記個体の細胞からのHIVウイルスゲノム切断を確認するためのアッセイを実施するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記遺伝子編集または遺伝子切断系が、CRISPR系であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記遺伝子編集または遺伝子切断系が、EBT101であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、前記CRISPR系が、Cas9およびCpf1からなる群から選択されるヌクレアーゼを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記遺伝子編集または遺伝子切断系が、アルゴノート系であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記アルゴノート系が、ナトロノバクテリウム・グレゴリイ(Natronobacterium gregoryi)アルゴノート(NgAgo)であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、ウイルス複製が無いこと、ウイルス負荷が無いこと、および健常CD4T細胞数を計測することにより、ウイルス負荷の低下に有効なHAARTを受容している前記個体を決定することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記HAARTが、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、CCR5アンタゴニスト、およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記個体が、前記臨床試験全体にわたりHAARTを受け続けることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、第1a相が、最大3つの異なる用量の前記遺伝子編集または遺伝子切断系により治療される6〜18人の個体を含むものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記アッセイ実施ステップが、PCRアッセイを実施し、安全性および忍容性ならびにウイルスDNA切断の効力および精度を決定するものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、第1b相が、単回低用量、単回高用量、1〜5日間の時間で分ける2回の用量、およびプラセボの4つの等しいコホートで治療される最大32人の個体を含むものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記アッセイ実施ステップが、PCRアッセイにより血液白血球除去試料をHIVゲノムの適切な切断について試験するものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記遺伝子編集または遺伝子切断系の最適用量を決定するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、第1c相が、プラセボの12〜16人の個体、最適用量の6〜8人、および前記第1b相の最適用量よりも0.5log高い用量における6〜8人の個体の3つのコホートにおける24〜32人の個体を含むものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記アッセイ実施ステップが、PCRアッセイにより血液白血球除去試料をHIVゲノムの適切な切断について試験するものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、前記アッセイ実施ステップが、GI管粘膜リンパ節生検物におけるHIVゲノム切断についての試験および血液白血球除去によるHIVゲノム切断についての循環T細胞の試験からなる群から選択される試験により前記個体の細胞からのHIVウイルスゲノム切断を確認するものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、前記アッセイ実施ステップが、HIVの存在を示すバイオマーカーまたは代謝産物を検出する前記遺伝子編集または切断治療剤の有効性を決定するための診断パネルを使用するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記診断パネル使用ステップが、前記個体から試料を採取し、HIVを示す少なくとも1つのバイオマーカーを含む前記診断パネルに前記試料をアプライし、少なくとも1つのバイオマーカーの存在を検出し、前記バイオマーカーのレベルをベースラインと比較し、前記遺伝子編集または遺伝子切断系治療剤が前記HIVを抑止し、または予防するように機能しているか否かを決定するものとさらに定義されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、前記バイオマーカーが、1,3−ジメチルウレート、レボグルコサン、1−メチルニコチンアミド、メタボライト1、2−ヒドロキシイソブチレート、2−オキソグルタレート、3−アミノイソブチレート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシイソバレレート、3−インドキシルスルフェート、4−ヒドロキシフェニルアセテート、4−ヒドロキシフェニルラクテート、4−ピリドキセート、アセテート、アセトアセテート、アセトン、アジペート、アラニン、アラントイン、アスパラギン、ベタイン、カルニチン、シトレート、クレアチン、クレアチニン、ジメチルアミン、エタノールアミン、ホルメート、フコース、フマレート、グルコース、グルタミン、グリシン、メタボライト2、メタボライト3、ヒプレート、ヒスチジン、ヒポキサンチン、イソロイシン、ラクテート、ロイシン、リジン、マンニトール、メタボライト4、メタボライト5、メタボライト6、N,N−ジメチルグリシン、O−アセチルカルニチン、パントテネート、プロピレングリコール、ピログルタメート、ピルベート、キノリネート、セリン、スクシネート、スクロース、メタボライト7、タウリン、トレオニン、トリゴネリン、トリメチルアミン−N−オキシド、トリプトファン、チロシン、ウラシル、尿素、バリン、キシロース、シス−アコニテート、ミオ−イノシトール、トランス−アコニテート、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、アスコルベート、フェニルアセチルグルタミン、4−ヒドロキシプロリン、グルコネート、ガラクトース、ガラクチトール、ガラクトネート、ラクトース、フェニルアラニン、プロリンベタイン、トリメチルアミン、ブチレート、プロピオネート、イソプロパノール、マンノース、3−メチルキサンチン、エタノール、ベンゾエート、グルタメート、グリセロール、グアノシン、グアニン、キサンチン、尿酸、アデノシン、イノシン、イノシン酸、CO、HO、N−カルバモイル−β−アラニン、ベータ−アラニン、アンモニア、β−アミノイソブチレート、プトレスシン、スペルミジン、スペルミン、メチオニン、S−アデノシルメチオニン、脱カルボキシル化S−アデノシルメチオニン、アルギニン、オルニチン、プトレスシン、N1−アセチルスペルミジン、N1−アセチルスペルミン、elF5A(Lys)、elF5A(Dhp)、elF5A(Hpu)、N1N2−ジアセチルスペルミン、3−アミノプロパナール、3−アセチルアミノプロパナール、アクロレイン、FDP−リジンタンパク質、トレオ−Ds−イソシトレート、オキサロ−スクシネート、2−オキソ−グルタレート、オキサロ−アセテート、L−グルタメート、2−ヒドロキシ−グルタレート、アセチル−CoA、シス−アコニテート、D−イソシトレート、α−ケトグルタレート、スクシニル−CoA、マレート、(−)O−アセチル−カルニチン、イタコネート、グリコレート、グリオキシレート、オキサレート、オキサリル−CoA、ホルミル−CoA、グルコース6−ホスフェート(G6P)、フルクトース6−ホスフェート(F6P)、フルクトース1,6−ビスホスフェート(F1,6BP)、グリセルアルデヒド3−ホスフェート(GADP)、ジヒドロキシアセトンホスフェート(DHAP)、1,3−ビスホスホグリセリン酸(1,3BPG)、3−ホスホグリセリン酸(3PG)、2−ホスホグリセリン酸(2PG)、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、D−グルコース、D−グルコノ−1,5−ラクトン、D−グルコネート、α−D−マンノース6−P、D−マンノース、D−フルクトース、D−ソルビトール、グリセロン−P、sn−グリセロール−3P、D−グリセルアルデヒド、1,2プロパン−ジオール、2−ヒドロキシプロピオンアルデヒド、3−Pセリン、3−P−ヒドロキシピルベート、D−グリセレート、ヒドロキシピルベート、L−アラニン、L−アラニル−tRNA、L−グルタメート、2−オキソグルタレート、L−ラクテート、D−ラクテート、アデノシントリホスフェート(ATP)、アデノシンジホスフェート(ADP)、H+、スクシネート、O、NADH、NAD+、NADP+、NADPH、6−ホスホグルコノラクトン、6−ホスホグルコネート、リブロース−5−ホスフェート、リボース−5−ホスフェート、キシルロース−5−ホスフェート、グリセルアルデヒド3−ホスフェート、セドヘプツロース7−ホスフェート、フルクトース6−ホスフェート、エリスロース4−ホスフェート、キシルロース5−ホスフェート、D−リブロース、D−リビトール、D−リボース、L−リブロース、セドヘプツロース1,7P、3−オキソ−6−P−ヘキスロース、L−オルニチン、カルバモイルホスフェート、L−シトルリン、アルギニノスクシネート、L−アルギニン、L−アスパルテート、アデノシンモノホスフェート(AMP)、ピロホスフェート、トランス−Δ−エノイル−CoA、L−β−ヒドロキシアシルCoA、β−ケトアシルCoA、FADH2、アシル−CoA、プロピオニル−CoA、イノシンモノホスフェート(IMP)、キサントシンモノホスフェート(XMP)、グアノシンモノホスフェート(GMP)、キサントシン、アデニロスクシネート、ウリジン、ウリジンモノホスフェート(UMP)、チミジン、チミン、デオキシリボース−1−ホスフェート、デオキシチミジンモノホスフェート(dTMP)、デオキシシチジン、デオキシシチジンモノホスフェート(dCMP)、レチニルパルミテート、パルミテート、パルミチル−CoA、レチノエート、β−グルクロニド、レチナール、β−カロテン、レチノイン酸、カルシジオール、25−ヒドロイエルゴカルシフェロール、カルシトリオール、メチルコバラミン、5’−デオキシアデノシルコバラミン、α−CECH、NH+、α−ケトグルタレート、オキサロアセテート、グルタメートγ−セミアルデヒド、Δ−ピロリン−5−カルボキシレート、シトルリン、NH、N,N10−メチレンTHF、3−ホスホグリセレート、α−ケトブチレート、α−アミノ−β−ケトブチレート、アミノアセトン、システインスルフィネート、β−スルフィニルピルベート、ビスルファイト、スルファイト、スルフェート、グルタチオン、ヒポタウリン、アデノシン5’−ホスホスルフェート、3’−ホスホアデノシン5’−ホスホスルフェート、ホモシステイン、α−ケト−β−メチルバレレート、α−ケトイソカプロエート、α−ケトイソバレレート、α−メチルブチリル−CoA、チグリル−CoA、3−メチル−3−ヒドロキシブチリル−CoA、2−メチルアセトアセチル−CoA、イソバレリル−CoA、3−メチルクロトニル−CoA、3−メチルグルタコニル−CoA、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA、アセトアセテート、イソブチリルCoA、メタクリリル−CoA、3−ヒドロキシイソブチリル−CoA、メチルマロン酸セミアルデヒド、p−ヒドロキシフェニルピルベート、ホモゲンチセート、4−マレイルアセトアセテート、4−フマリルアセトアセテート、フマレート、3−ヒドロキシトリメチルリジン、4−N−トリメチルアミノブチルアルデヒド、γ−ブチロベタイン、ウロカネート、4−イミダゾロン−5−プロピオネート、N−ホルムイミドイル−L−グルタメート、N−ホルムイミノ−テトラヒドロホレート、ヒスタミン、N−ホルミル−キヌレニン、キヌレニン、キヌレネート、3−ヒドロキシキヌレニン、アントラニレート、3−ヒドロキシアントラニレート、グルタリル−CoA、アセトアセチル−CoA、およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法において、前記バイオマーカーを、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー−質量分析、ガスクロマトグラフィー−質量分析、高速液体クロマトグラフィー−質量分析、キャピラリー電気泳動−質量分析、核磁気共鳴分光分析(NMR)、ラマン分光分析、および赤外線分光分析からなる群から選択される方法により検出することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性および忍容性を決定する一方、作用機序の確認を得、さらに後続の臨床試験の設計をガイドするための投与情報を得る目的で臨床試験を実施する方法に関する。より具体的には、本発明は、遺伝子治療薬による臨床試験を実施する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト参加者による臨床試験はFederal Drug Administration(FDA)により、それが医学的治療の安全性および有効性を承認するために要求される。臨床試験は、全ての新たな薬物、生物製剤、遺伝子療法、栄養補助食品、および医療機器について要求される。一般に、最初に小規模の予備試験が実施され、続いて大規模な試験が実施される。ヒト参加者は、通常、治療のために新たな治療が設計されるいくらかの医学的病態を罹患している。新たな治療の利益がリスクを上回ることが見出された場合、FDAはその新たな治療をその使用目的について承認する。
【0003】
これまで多くの遺伝子治療薬が臨床試験において試験されているが、FDAにより遺伝子治療薬は承認されていない。CRISPR−Cas9系(クラスター化された規則的に間隔が空いた短鎖回文反復配列(clustered regularly interspaced short palindromic repeats))についての最初の臨床試験の開始が、CRISPRがヒトにおける使用に安全であるか否かを決定するために近年承認されたばかりである。CRISPR−Cas9は、ヌクレアーゼの使用により生物体のゲノムを挿入し、欠失させ、またはそうでなければ突然変異させるために使用することができる微生物体に由来する遺伝子編集系である。3つのタイプ(I〜III)のCRISPR系が同定されている。CRISPRクラスターは、スペーサー、先行可動エレメントに相補的な配列を含有する。CRISPRクラスターは、転写され、成熟CRISPR(クラスター化された規則的に間隔が空いた短鎖回文反復配列)RNA(crRNA)にプロセシングされる。CRISPR関連エンドヌクレアーゼCas9は、II型CRISPR/Cas系に属し、標的DNAの切断を許容する強力なエンドヌクレアーゼ活性を有する。Cas9は、約20塩基対(bp)のユニーク標的配列(スペーサーと呼ばれる)を含有する成熟crRNAと、プレcrRNAのリボヌクレアーゼIII補助プロセシングのガイドとして機能するトランス活性化小分子RNA(tracrRNA)とによりガイドされる。crRNA:tracrRNA二本鎖は、Cas9をcrRNA上のスペーサーと、標的DNA上の相補的配列(プロトスペーサーと呼ばれる)との間の相補的塩基対合を介して標的DNAに配向する。Cas9は、トリヌクレオチド(NGG)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識して切断部位(PAMから3番目のヌクレオチド)を規定する。crRNAおよびtracrRNAは別個に発現させることができ、または人工融合小分子ガイドRNA(sgRNA)中に合成ステムループ(AGAAAU)を介して遺伝子操作して天然crRNA/tracrRNA二本鎖を模倣することができる。このようなsgRNA、例えば、shRNAは、直接的なRNA形質移入のために合成することができ、もしくはインビトロで転写させることができ、またはU6もしくはH1プロモーター駆動RNA発現ベクターから発現させることができるが、人工sgRNAの開裂効率は別個に発現されるcrRNAおよびtracrRNAを用いる系のものよりも低い。CRISPRおよびCRISPR様技術を研究する他の会社、例として、CRISPR Inc.(Basel,Switzerland)、Editas(Cambridge MA)、およびCaribou(Berkeley CA)は、ウイルスゲノムの大きなセグメントの欠失とは対照的に規定の遺伝子編集を作出し、または遺伝子発現を遮断するためにそれらの技術を利用している。
【0004】
CRISPRは、ウイルスを不活性化させることにより、または宿主のDNAからウイルスゲノムを欠失させることにより、多くの異なるウイルスの治療において使用することができる。例えば、Khalili,et al.の米国特許出願第14/838,057号明細書は、レトロウイルスが潜伏感染した宿主細胞のゲノム中に組み込まれたプロウイルスDNAを不活性化させる方法において、クラスター化された規則的に間隔が空いた短鎖回文反復配列(CRISPR)関連エンドヌクレアーゼ、および2つ以上の異なるガイドRNA(gRNA)を含む組成物により宿主細胞を処理するステップ(少なくとも2つのgRNAのそれぞれは、プロウイルスDNAの長鎖末端反復配列(LTR)中の異なる標的核酸配列に相補的である);およびプロウイルスDNAを不活性化させるステップを含む方法を開示している。好ましくは、不活性化されるプロウイルスDNAは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。
【0005】
特にHIVの治療剤としてのCRISPR遺伝子編集系についての臨床試験設計が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ウイルス負荷の低下において有効な高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を現在受容しているHIV感染個体をリクルートし、第1a相、第1b相、および第1c相において遺伝子編集または遺伝子切断系治療剤を個体に投与し、個体の細胞からのHIVウイルスゲノム切断を確認するためのアッセイを実施することにより、ヒトにおけるHIVを治療するための遺伝子編集または遺伝子切断系について臨床試験を実施する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、ヒトにおけるHIVを治療するための遺伝子編集または遺伝子切断系について臨床試験を実施する方法を提供する。本方法は、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を現在受容しており、それに対して十分に応答している(すなわち、それがウイルス負荷の低下において有効である)HIV感染個体をリクルートすること、第1a相、第1b相、および第1c相において遺伝子編集または遺伝子切断系治療剤を個体に投与すること、ならびに個体の細胞からのHIVウイルスゲノム切断を確認するためのアッセイを実施することを含む。
【0008】
好ましくは、(限定されるものではないが)、遺伝子編集または遺伝子切断系は、CRISPR系またはアルゴノート系であり、宿主細胞からHIVのゲノム全体を有効に切断する。最も好ましくは、治療剤は、EBT101(3’および5’LTR(長鎖末端反復配列配列)のU3領域を標的化する少なくとも2つのgRNAを使用するCRISPR−Cas9系)、ならびにHIV−1のプロウイルスおよび組み込まれていないウイルスのGagおよびPol遺伝子である。
【0009】
本明細書において使用される「ヌクレアーゼ」は、核酸のヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合を開裂し得る酵素を指す。
【0010】
CRISPR系は、Casヌクレアーゼ(例えば、Cas9)もしくはCpf1ヌクレアーゼ、または標的DNAもしくはRNAを標的化し、遺伝子全体または遺伝子クラスターの付加、欠失、突然変異、および好ましくは、切断を行い得る任意の他の好適なヌクレアーゼを使用し得る。
【0011】
アルゴノート系は、ガイドRNAまたはガイドDNAに相補的な任意の配列を開裂し得るRNAガイド型またはDNAガイド型エンドヌクレアーゼ酵素である。アルゴノートタンパク質は、PIWI(Pエレメント誘導精巣機能不全(P element−induced wimpy testis))ドメイン、MID(中間)ドメイン、PAZ(Piwi−アルゴノート(Argonaute)−Zwille)ドメイン、およびN末端ドメインを含有するPIWIタンパク質スーパーファミリーのタンパク質である。アルゴノートタンパク質は、小分子RNA、例えば、マイクロRNA、小分子干渉RNA(siRNA)、およびPiwi相互作用RNAに結合し得る。アルゴノートタンパク質は、それらのRNAにより標的配列にガイドさせて標的配列においてmRNAを開裂し、翻訳を阻害し、またはmRNA分解を誘導することができる。ナトロノバクテリウム・グレゴリイ(Natronobacterium gregoryi)アルゴノート(NgAgo)は、ヒト細胞におけるゲノム編集に好適なDNAガイド型エンドヌクレアーゼである。
【0012】
本方法は、第1相の終了まで拡張して現在の臨床試験において使用される既存の標準的PCRアッセイおよびELISAアッセイにより安全性、忍容性、および有効な切断/欠失の作用機序を確立する。質量分析/NMR診断アッセイに基づく生化学的メタボロミクスを、標準的PCRアッセイおよびELISAアッセイと並行して使用してメタボロミクスアッセイが独立した併用診断物としての将来的使用についての感度、特異度、選択性、堅牢性および正確性を増加させたことをバリデートすることができる。このアッセイはさらに以下に記載される。
【0013】
これらの試験は、(1)ウイルス複製が無いこと、(2)ウイルス負荷が無いこと、および(3)健常CD4T細胞数により計測してHAART(高活性抗レトロウイルス療法)に十分に応答している(すなわち、HAART治療が有効である)HIV感染個体をリクルートし得る。個体が現在受けているHAART治療は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、CCR5アンタゴニスト、またはそれらの組合せであり得る。
【0014】
第1a相は、最大3つの異なる用量の治療剤(EBT101)により治療される6〜18人の個体を含む。この第1a相試験のエンドポイントは、分子バイオマーカー分析(PCRアッセイ)により指標付与されるとおり(i)安全性および忍容性ならびに(ii)ウイルスDNA切断の効力および精度を含む。分子アッセイは、非臨床表現型依存的にCRISPR治療薬の効力に関する情報を提供する。この効力データを使用して第1b相試験の設計をガイドする。
【0015】
第1b相は、4つの等しいコホート:(i)単回低用量、(ii)単回高用量(低用量を0.5〜1log上回る)、(iii)1〜5日間の時間で分ける2回の用量、および(iv)プラセボで治療される最大32人の個体を含む。前述のとおり、安全性および忍容性はプライマリーエンドポイントであり、PCRアッセイを使用して血液白血球除去試料をHIVゲノムの適切な切断について試験することができる。これらの試験により最適用量を決定することができる。第1c相は、3つのコホート:(1)プラセボの12〜16人、(2)最適用量(第1b相から)の6〜8人および(3)第1b相の最適用量よりも0.5log高い用量における6〜8人における24〜32人の個体においてEBT101を試験する。前述のとおり、安全性および忍容性はプライマリーエンドポイントである。PCRアッセイを使用して血液白血球除去試料をHIVゲノムの適切な切断について試験することができる。遺伝子編集または遺伝子切断治療剤の有効性の分析において、種々のアッセイを実施して試験における個体の細胞からのHIVウイルスゲノム切断を確認することができる。GI管粘膜リンパ節生検物を採取してHIVゲノム切断を試験することができる(分子決定は1〜2日後に行うべきである)。血液白血球除去を実施して循環T細胞をHIVゲノム切断について試験することができる(分子決定は1〜2日後に行うべきである)。
【0016】
第1a〜1c相における上記アッセイは、米国仮特許出願第62/340,624号明細書に記載の、遺伝子編集または切断治療剤の有効性を決定するための診断パネルを使用することを含み得る。診断パネルは、臨床試験において現在使用されるPCRおよびELISAアッセイが検出し得ないウイルス(HIV)の存在を示すバイオマーカーまたは代謝産物を検出し得る。試料は臨床試験において試験の間の任意の時点において必要に応じて個体から採取することができ、HIVを示す少なくとも1つのバイオマーカーを含む診断パネルに試料をアプライし、少なくとも1つのバイオマーカーの存在を検出し、バイオマーカーのレベルをベースラインと比較し、治療剤(EBT101)がHIVを抑止し、または予防するように機能しているか否かを決定する。診断パネルは、臨床試験における個体の細胞からHIVゲノムが切断されたことを裏付け得る。健常個体のベースラインは、臨床試験における個体における代謝産物レベルと比較するように選択することができる。代謝産物は、治療開始前および治療後の両方で(試験における任意の時点において)、HAARTを受けている臨床試験におけるHIVを有する個体において計測して治療剤が機能しているか否かを決定することができる。
【0017】
バイオマーカーは、好ましくは、疾患、特にウイルス(HIV)の存在を示す代謝産物である。代謝産物は、エネルギー産生、成長、発生、シグナリングおよび生殖のための細胞反応に関与する化学物質(一般に、1,000Da未満)であり、細胞の要求に従って細胞に取り込まれ、または細胞から放出され得る。これらの化学物質としては、糖、アミノ酸、有機酸、および生体異物化合物が挙げられる。メタボロミクス(またはメタボロミクスと称されることがあるもの)は、細胞または系における全ての代謝産物および内部または外部ストレス、例えば、感染、病状、または毒素への曝露から生じ得る変化の試験に費やされる。代謝変化は、それらの代謝産物(すなわち、代謝経路)、またはそれらの代謝産物を取り込み、もしくは放出する輸送体を使用する化学反応の変化から生じ得る。ウイルスまたは細菌によるヒトの感染は、細胞レベル(感染部位)、および全身(自然免疫応答を介する)の両方において大きな変化を引き起こす。これらの応答としては、限定されるものではないが、規定の免疫細胞のシグナリング、アポトーシスのシグナリング、輸送体の変化、ならびにミトコンドリア機能およびエネルギー産生の変化(細胞レベル、および血液または尿中で全身における代謝産物濃度の変化として観察することができる変化)が挙げられる。
【0018】
代謝産物としては、限定されるものではないが、1,3−ジメチルウレート、レボグルコサン、1−メチルニコチンアミド、メタボライト1、2−ヒドロキシイソブチレート、2−オキソグルタレート、3−アミノイソブチレート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシイソバレレート、3−インドキシルスルフェート、4−ヒドロキシフェニルアセテート、4−ヒドロキシフェニルラクテート、4−ピリドキセート、アセテート、アセトアセテート、アセトン、アジペート、アラニン、アラントイン、アスパラギン、ベタイン、カルニチン、シトレート、クレアチン、クレアチニン、ジメチルアミン、エタノールアミン、ホルメート、フコース、フマレート、グルコース、グルタミン、グリシン、メタボライト2、メタボライト3、ヒプレート、ヒスチジン、ヒポキサンチン、イソロイシン、ラクテート、ロイシン、リジン、マンニトール、メタボライト4、メタボライト5(メチルアミンであり得る)、メタボライト6(メチルグアニジンであり得る)、N,N−ジメチルグリシン、O−アセチルカルニチン、パントテネート、プロピレングリコール、ピログルタメート、ピルベート、キノリネート、セリン、スクシネート、スクロース、メタボライト7(タートレートであり得る)、タウリン、トレオニン、トリゴネリン、トリメチルアミン−N−オキシド、トリプトファン、チロシン、ウラシル、尿素、バリン、キシロース、シス−アコニテート、ミオ−イノシトール、トランス−アコニテート、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、アスコルベート、フェニルアセチルグルタミン、4−ヒドロキシプロリン、グルコネート、ガラクトース、ガラクチトール、ガラクトネート、ラクトース、フェニルアラニン、プロリンベタイン、トリメチルアミン、ブチレート、プロピオネート、イソプロパノール、マンノース、3−メチルキサンチン、エタノール、ベンゾエート、グルタメート、またはグリセロールを挙げることができる。
【0019】
代謝産物は、以下の代謝サイクルからのいずれかであってもよい。
【0020】
ポリプリン:グアノシン、グアニン、キサンチン、尿酸、アデノシン、イノシン、イノシン酸、ヒポキサンチン、キサンチン、CO2、H2O、尿素、N−カルバモイル−β−アラニン、ベータ−アラニン、アンモニア、およびβ−アミノイソブチレート。
【0021】
ポリアミン:プトレスシン、スペルミジン、スペルミン、メチオニン、S−アデノシルメチオニン、脱カルボキシル化S−アデノシルメチオニン、アルギニン、オルニチン、プトレスシン、N1−アセチルスペルミジン、N1−アセチルスペルミン、elF5A(Lys)、elF5A(Dhp)、elF5A(Hpu)、N1N2−ジアセチルスペルミン、3−アミノプロパナール、3−アセチルアミノプロパナール、アクロレイン、およびFDP−リジンタンパク質。
【0022】
KREBS/TCAサイクル:トレオ−Ds−イソシトレート、オキサロ−スクシネート、2−オキソ−グルタレート、オキサロ−アセテート、L−グルタメート、2−ヒドロキシ−グルタレート、ピルベート、アセチル−CoA、シス−アコニテート、D−イソシトレート、α−ケトグルタレート、スクシニル−CoA、スクシネート、フマレート、マレート、グリシン、シトレート、カルニチン、(−)O−アセチル−カルニチン、シス−アコニテート、イタコネート、グリコレート、グリオキシレート、オキサレート、オキサリル−CoA、ホルメート、ホルミル−CoA、およびCO
【0023】
解糖および糖新生:グルコース、グルコース6−ホスフェート(G6P)、フルクトース6−ホスフェート(F6P)、フルクトース1,6−ビスホスフェート(F1,6BP)、グリセルアルデヒド3−ホスフェート(GADP)、ジヒドロキシアセトンホスフェート(DHAP)、1,3−ビスホスホグリセリン酸(1,3BPG)、3−ホスホグリセリン酸(3PG)、2−ホスホグリセリン酸(2PG)、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、ピルベート、D−グルコース、D−グルコノ−1,5−ラクトン、D−グルコネート、α−D−マンノース、6−P、D−マンノース、D−フルクトース、D−ソルビトール、グリセロン−P、sn−グリセロール−3P、グリセロール、D−グリセルアルデヒド、1,2プロパン−ジオール、2−ヒドロキシプロピオンアルデヒド、3−Pセリン、3−P−ヒドロキシピルベート、D−グリセレート、ヒドロキシピルベート、L−アラニン、L−アラニル−tRNA、L−グルタメート、2−オキソグルタレート、L−ラクテート、およびD−ラクテート。
【0024】
酸化的リン酸化:アデノシントリホスフェート(ATP)、アデノシンジホスフェート(ADP)、(ADP)、H+、スクシネート、フマレート、HO、O、NADH、およびNAD+。
【0025】
ペントースホスフェート:グルコース−6−ホスフェート、NADP+、NADPH、6−ホスホグルコノラクトン、HO、H+、6−ホスホグルコネート、CO、リブロース−5−ホスフェート、リボース−5−ホスフェート、キシルロース−5−ホスフェート、グリセルアルデヒド3−ホスフェート、セドヘプツロース7−ホスフェート、フルクトース6−ホスフェート、エリスロース4−ホスフェート、およびキシルロース5−ホスフェート、D−リブロース、D−リビトール、D−リボース、L−リブロース、セドヘプツロース1,7P、3−オキソ−6−P−ヘキスロース。
【0026】
尿素サイクル:L−オルニチン、カルバモイルホスフェート、L−シトルリン、アルギニノスクシネート、フマレート、L−アルギニン、尿素、L−アスパルテート、アデノシンジホスフェート(ADP)、アデノシンモノホスフェート(AMP)、およびピロホスフェート。
【0027】
脂肪酸β酸化:トランス−Δ−エノイル−CoA、L−β−ヒドロキシアシルCoA、β−ケトアシルCoA、FADH2、NADH、アセチル−CoA、アシル−CoA、プロピオニル−CoA、およびスクシニル−CoA。
【0028】
ヌクレオチド代謝:AMP、イノシンモノホスフェート(IMP)、キサントシンモノホスフェート(XMP)、グアノシンモノホスフェート(GMP)、リボース−5−ホスフェート、アデノシン、イノシン、ヒポキサンチン、キサントシン、キサンチン、グアノシン、グアニン、尿酸、フマレート、アデニロスクシネート、ウリジン、ウリジンモノホスフェート(UMP)、ADP、チミジン、チミン、デオキシリボース−1−ホスフェート、デオキシチミジンモノホスフェート(dTMP)、デオキシシチジン、ATP、およびデオキシシチジンモノホスフェート(dCMP)。
【0029】
補因子およびビタミン:レチニルパルミテート、パルミテート、パルミチル−CoA、レチノエート、β−グルクロニド、レチナール、β−カロテン、レチノイン酸、カルシジオール、25−ヒドロイエルゴカルシフェロール(25−hydroyergocalciferol)、カルシトリオール、メチルコバラミン、5’−デオキシアデノシルコバラミン、α−CECH、NAD+、NADH、ADP、およびATP。
【0030】
アミノ酸代謝:グルタメート、NH4+、α−ケトグルタレート、ピルベート、オキサロアセテート、グルタメートγ−セミアルデヒド、Δ−ピロリン−5−カルボキシレート、シトルリン、アルギニン、尿素、オルニチン、グリシン、CO2、NH3、N,N10−メチレンTHF、3−ホスホグリセレート、α−ケトブチレート、プロピオニル−CoA、スクシニル−CoA、アセチル−CoA、セリン、α−アミノ−β−ケトブチレート、アミノアセトン、システインスルフィネート、β−スルフィニルピルベート、ビスルファイト、スルファイト、スルフェート、アラニン、グルタチオン、タウリン、ヒポタウリン、アデノシン5’−ホスホスルフェート、3’−ホスホアデノシン5’−ホスホスルフェート、ホモシステイン、α−ケト−β−メチルバレレート、α−ケトイソカプロエート、α−ケトイソバレレート、α−メチルブチリル−CoA、チグリル−CoA、3−メチル−3−ヒドロキシブチリル−CoA、2−メチルアセトアセチル−CoA、イソバレリル−CoA、3−メチルクロトニル−CoA、3−メチルグルタコニル−CoA、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA、アセトアセテート、イソブチリルCoA、メタクリリル−CoA、3−ヒドロキシイソブチリル−CoA、メチルマロン酸セミアルデヒド、チロシン、p−ヒドロキシフェニルピルベート、ホモゲンチセート、4−マレイルアセトアセテート、4−フマリルアセトアセテート、フマレート、3−ヒドロキシトリメチルリジン、4−N−トリメチルアミノブチルアルデヒド、γ−ブチロベタイン、カルニチン、ウロカネート、4−イミダゾロン−5−プロピオネート、N−ホルムイミドイル−L−グルタメート、N−ホルムイミノ−テトラヒドロホレート、ヒスタミン、N−ホルミル−キヌレニン、キヌレニン、キヌレネート、3−ヒドロキシキヌレニン、アントラニレート、3−ヒドロキシアントラニレート、キノリネート、グルタリル−CoA、およびアセトアセチル−CoA。
【0031】
病状の決定において、単一代謝産物、および代謝産物の任意の組合せを使用することができる。
【0032】
種々の方法、例えば、限定されるものではないが、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー−質量分析、ガスクロマトグラフィー−質量分析、高速液体クロマトグラフィー−質量分析、キャピラリー電気泳動−質量分析、核磁気共鳴分光分析(NMR)、ラマン分光分析、または赤外線分光分析を使用してバイオマーカーの存在を検出することができる。
【0033】
安全性および忍容性について、15日間〜6ヵ月間(好ましくは、30日間)のフォローアップを実施することができる。さらに、個体は、それらが現在受けている抗ウイルス(HAART)療法を停止されず、臨床試験全体にわたりHAARTを受け続け得る。
【0034】
本出願全体にわたり、種々の刊行物、例として、米国特許が著者および年ならびに特許番号により参照される。刊行物についての完全な引用は以下に列記される。これらの刊行物および特許のそれらの全体としての開示は、本発明が属する技術水準をより十分に説明するために参照により本出願に組み込まれる。
【0035】
本発明は説明的に記載され、使用された用語は、限定されるものではなく説明の語の性質におけるものとすることが理解すべきである。
【0036】
上記教示に照らし、本発明の多くの改変および変更が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、具体的に記載されているもの以外で本発明を実施することができることを理解すべきである。
【国際調査報告】