特表2019-536635(P2019-536635A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧
特表2019-536635直接金属レーザ溶接の冷却速度制御のためのインラインレーザスキャナ
<>
  • 特表2019536635-直接金属レーザ溶接の冷却速度制御のためのインラインレーザスキャナ 図000003
  • 特表2019536635-直接金属レーザ溶接の冷却速度制御のためのインラインレーザスキャナ 図000004
  • 特表2019536635-直接金属レーザ溶接の冷却速度制御のためのインラインレーザスキャナ 図000005
  • 特表2019536635-直接金属レーザ溶接の冷却速度制御のためのインラインレーザスキャナ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-536635(P2019-536635A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】直接金属レーザ溶接の冷却速度制御のためのインラインレーザスキャナ
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/342 20140101AFI20191122BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20191122BHJP
【FI】
   B23K26/342
   B23K26/064 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-527367(P2019-527367)
(86)(22)【出願日】2017年10月16日
(85)【翻訳文提出日】2019年7月1日
(86)【国際出願番号】US2017056712
(87)【国際公開番号】WO2018093504
(87)【国際公開日】20180524
(31)【優先権主張番号】15/357,386
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カープ、ジェイソン、ハリス
(72)【発明者】
【氏名】カーター、ウィリアム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA32
4E168BA54
4E168BA65
4E168BA82
4E168BA87
4E168CB04
4E168DA13
4E168EA02
4E168EA08
4E168EA09
4E168EA13
4E168EA15
4E168JB04
(57)【要約】
粉末床の溶融プールの冷却速度を制御する方法が、溶融プールを形成するために粉末床に第1のレーザビームを向け、第2のレーザビームを第1のレーザビームと同軸に整列させ、第2のレーザビームの焦点を溶融プールに対して横方向にずらすことを含む。ここで第2のレーザビームは焦点内の粉末を加熱するが溶融させない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末床の溶融プールの冷却速度を制御する方法であって、
溶融プールを形成するために第1のレーザビームを前記粉末床に向け、
第2のレーザビームを前記第1のレーザビームと同軸に整列させ、
前記第2のレーザビームの焦点を前記溶融プールに対して横方向にずらす、
ことを含み、
前記第2のレーザビームは前記焦点内の粉末を加熱するが溶融させない、方法。
【請求項2】
前記第2のレーザビームを横方向にずらすことが、前記第2のレーザビームを2つの軸の周りに傾斜可能なリフレクタで反射させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リフレクタは、ピエゾ駆動ミラー、MEMSミラー、音響光学デフレクタ、電気光学デフレクタ、又はガルボスキャナ(galvo scanner)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のレーザビームを前記第1のレーザビームと同軸に整列させることは、前記第1のレーザビームにビームコンバイナを通過させ、ミラーから反射した前記第2のレーザビームを前記ビームコンバイナで反射させ、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームに共通の光学系を通過させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームは異なる波長を有し、かつ前記ビームコンバイナはダイクロイックビームコンバイナである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームは同一波長であって直交偏光を有し、かつ前記ビームコンバイナは偏光依存型のビームコンバイナである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のレーザビームと、前記横方向にずれた第2のレーザビームを前記粉末床に対して走査することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のレーザビームは、前記第1のレーザビームを追跡する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のレーザビームと、前記横方向にずれた第2のレーザビームを走査することは、前記第2のレーザビームの前記焦点を、前記溶融プールの周りのパターン状に横方向にずらすことを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記リフレクタを傾斜させるときに、前記第1のレーザビーム又は前記第2のレーザビームの少なくとも1つの出力及び/又は出力密度を調節することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のレーザビームを前記リフレクタで反射させることは、ミラーを0.1°〜0.25°の間で傾斜させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
直接金属レーザ溶融製造システムであって、
第1のレーザビームと第2のレーザビームを生成するための少なくとも1つのレーザ光源と、
2つの軸の周りに傾斜可能で、かつ前記第2のレーザビームを反射するように構成されたリフレクタと、
前記第1のレーザビームを通し、かつ前記リフレクタで反射された第2のレーザビームを反射するビームコンバイナと、
前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームを同軸に整列させて、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームを粉末床に向けさせる光学系であって、前記第1のレーザビームが前記粉末床に溶融プールを形成する光学系と、
前記第2のレーザビームの焦点を前記溶融プールに対して横方向にずらすために前記リフレクタを傾斜させるコントローラであって、前記第2のレーザビームは前記焦点内の粉末を加熱するが溶融させない、コントローラと、
を備える、直接金属レーザ溶融製造システム。
【請求項13】
前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームは異なる波長を有し、かつ前記ビームコンバイナはダイクロイックビームコンバイナである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームは同一波長であって直交偏光を有し、かつ前記ビームコンバイナは偏光依存型のビームコンバイナである、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のレーザビームと、前記横方向にずれた第2のレーザビームを前記粉末床に対して走査するためのスキャナを更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のレーザビームは、前記第1のレーザビームを追跡する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記スキャナは前記横方向にずれた第2のレーザビームを前記溶融プールの周りにパターン状に走査する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記リフレクタを傾斜させるときに前記第1のレーザビーム又は前記第2のレーザビームの少なくとも1つの出力を調節する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記リフレクタを0.1°〜0.25°の間で傾斜させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのレーザ光源は、10〜60ワットの出力で前記第1と前記第2のレーザビームを生成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記第2のレーザビームの前記焦点を最大で0.1mm迄ずらすようにミラーを傾斜させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記リフレクタは、ピエゾ駆動ミラー、MEMSミラー、音響光学デフレクタ、電気光学デフレクタ、又はガルボスキャナを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
粉末床の溶融プールの冷却速度を制御する方法であって、
溶融プールを形成するために前記粉末床にレーザビームを向け、
前記溶融プールに隣接する粉末の温度を制御するために、前記レーザビームを前記溶融プールに対して横方向に振動させる、
ことを含む、方法。
【請求項24】
前記レーザビームを横方向に振動させることが、2つの軸の周りに傾斜可能なリフレクタから第2のレーザビームを反射させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記レーザビームを前記粉末床に対して走査することを更に含み、前記レーザビームを前記粉末床に対して走査するときに前記レーザビームは前記溶融プールの周りを横方向に振動させられる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記レーザビームを走査するときに、前記レーザビームは前記溶融プールから前記溶融プールの後方の点まで横方向に振動させられる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レーザビームを走査するときに、前記レーザビームは前記溶融プールから前記溶融プールの前方の点まで横方向に振動させられる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記レーザビームを横方向に振動させることは、前記レーザビームを前記溶融プールの周りにパターン状に振動させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
ミラーを傾斜させるときに、前記レーザビームの出力及び/又は出力密度を調節することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記レーザビームを前記リフレクタで反射させることは、前記リフレクタを0.1°〜0.25°の間で傾斜させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記リフレクタは、ピエゾ駆動ミラー、MEMSミラー、音響光学デフレクタ、電気光学デフレクタ、又はガルボスキャナを備える、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に部品、より具体的にはガスタービンエンジンの部品の製造又は修理のための、直接金属レーザ溶融(DMLM)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は、金属、セラミックス及びプラスチックを含む様々な材料の部品の「3Dプリンティング」を可能とする技術である。付加製造においては、金属粉末を水平に均し、高出力レーザ又は電子ビームを用いて層内の粉末を選択的に溶融することにより、部品を層ごとに構築する。各層の後に更なる粉末が追加されてレーザが次の層をパターン化し、同時にそれを前の層に融着して、粉末床内に埋め込まれた完全な部品を作製する。付加製造のシステム及びプロセスは、デジタルモデルからの精密な三次元部品の作製に使用される。
【0003】
現行の粉末床システムで構造体を作製する場合、レーザビーム又は電子ビームを使用して粉末層を走査し、粉末床の層内に所望のパターンを焼結及び溶融する。適用されるものによっては、構築に何日もの処理時間を必要とすることがある。DMLMの用途の1つは、航空機用ガスタービンエンジンのエアフォイルの作製及び修理である。エアフォイルの形状は、従来の鋳造技術での形成が困難であるために、DMLMプロセス又は電子ビーム溶融プロセスを利用するエアフォイル作製が提案されてきた。層が1層ずつ積層され、断面と断面が相互に結合されて、所要形状をしたエアフォイル、又は修理のためなどのその一部、が作製可能である。エアフォイルは所望の構造特性を出すために後処理を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DMLMプロセスを用いた、三次元金属部品の作製では、極めて高い温度勾配と冷却速度が発生し、それが内部の部分応力と亀裂をもたらす。この問題は、高温で高い強度を保持し、それゆえエアフォイルでの関心が高い、ニッケル基の超合金に特に一般的である。亀裂なしの部品製造は、過熱された構築プラットフォームを使用して達成することができるが、所要温度を得るには特注の誘導加熱器を必要とする。第2のレーザを溶融プールの近傍に使用して冷却速度を変えることが可能である。ただし、現行の2レーザ構成では2組の独立した光学系とスキャナが必要であり、これはコスト高となり、かつ連動に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示の技術の一例によれば、粉末床の溶融プールの冷却速度を制御する方法が、溶融プールを形成するために第1のレーザビームを粉末床に向け、第2のレーザビームを第1のレーザビームと同軸に整列させ、第2のレーザビームの焦点を溶融プールに対して横方向にずらすことを含む。ここで第2のレーザビームは焦点内の粉末を加熱するが溶融はしない。
【0006】
本明細書に開示の技術の別の一例によれば、直接金属レーザ溶融製造システムが、第1のレーザビームと第2のレーザビームを生成するための少なくとも1つのレーザ光源と、2つの軸の周りに傾斜可能で、かつ第2のレーザビームを反射するように構成されたリフレクタと、第1のレーザビームを通過させ、かつリフレクタで反射された第2のレーザビームを反射するビームコンバイナと、第1と第2のレーザビームを同軸に整列させて、第1と第2のレーザビームを粉末床に向けさせる光学系であって、第1のレーザビームが粉末床に溶融プールを形成する光学系と、第2のレーザビームの焦点を溶融プールに関して横方向にずらすためにリフレクタを傾斜させるコントローラであって、第2のレーザビームは焦点内の粉末を加熱するが溶融させないコントローラと、を備える。
【0007】
本明細書に開示の技術の更に別の例によれば、粉末床の溶融プールの冷却速度を制御する方法が、溶融プールを形成するために粉末床にレーザビームを向け、溶融プールに隣接する粉末の温度を制御するために、レーザビームを溶融プールに対して横方向に振動させることを含む。
【0008】
本技術のこれら及びその他の特徴、態様、利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むことにより、より理解が深まるであろう。図面全体を通して、同様の部品は同様の数字で表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】直接金属レーザ溶融付加製造の冷却速度を制御するための、インラインレーザスキャナの概略図である。
図2】直接金属レーザ溶融付加製造の冷却速度を制御するための、インラインレーザスキャン方式の概略図である。
図3】直接金属レーザ溶融製造時の2つのレーザスポット間の、又は単一レーザスポットの2つの状態間の、関係を示す概略図である。
図4】直接金属レーザ溶融製造時に単一のレーザスポットあるいは複数のレーザスポットが追従し得るパターンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、DMLM製造プロセスの冷却速度を制御するためのインラインスキャナシステム2が、第1のレーザ光源4と第2のレーザ光源6とを備える。第1のレーザ光源4は第1のレーザビーム5を提供し、第2のレーザ光源6は第2のレーザビーム7を提供する。第1のレーザビーム5は、溶融プールレーザビームあるいは、主溶接レーザビームとも称される。また第2のレーザビーム7は加熱レーザビームとも称される。インラインスキャナシステム2は、第1のレーザビーム5に対する第1のレンズ8と第2のレーザビーム7に対する第2のレンズ10を更に備えてもよい。二軸のチップ/チルトリフレクタすなわちミラー14が第2のレーザビーム7をビームコンバイナ16に向けさせる。リフレクタすなわちミラー14は、ピエゾ駆動であってよい。リフレクタ14は、MEMSミラー(静電気式)、音響光学素子(回折式)、又は電気光学デフレクタであってよいことを理解されたい。また、リフレクタ14はビームコンバイナの後方のガルボスキャナ(galvo scanner)(回転モータ式)16であってもよいことを理解されたい。第1のレーザビーム5がビームコンバイナ16を通過し、第2のレーザビーム7がビームコンバイナ(beam combiner)16で反射される。
【0011】
第2のレーザビーム7は、チップ/チルト(tip/tilt)リフレクタ14とビームコンバイナ16で反射することにより第1のレーザビーム5に同軸に整列される。チップ/チルトリフレクタ14は、第2のレーザビーム7の平行ビーム経路を、数kHzで十分の数度(すなわち0.1°のオーダ)だけ変えることができる。ビームコンバイナ16はダイクロイック(dichroic)ビームコンバイナであって、加熱のために第2のレーザビーム7を反射しながら、第1のレーザビーム5を通過させてもよい。ダイクロイックビームコンバイナは、第1と第2のレーザ光源4、6の波長が異なる場合に適している。第1と第2のレーザ光源4、6が同一波長で直交偏光である場合には、偏光依存型のビームコンバイナを使用可能である。2つの同軸レーザビーム5、7は共通の光学系及び走査系12を通過する。これは、第1と第2の焦点長さのレンズ18、20とガルバノメータ走査ヘッド22とを用いて、(第1のレーザビーム5からの)第1のレーザスポット24と(第2のレーザビーム7からの)第2のレーザスポット26とを集束して粉末床に向ける。
【0012】
リフレクタ14の小さい傾斜角により、第1のレーザスポット24により形成される粉末床30内の溶接プールすなわち溶融プール32に対して焦点26を横方向にずらし、図2に示すように、第2のレーザスポット26により形成される制御された冷却ゾーン36を提供する。制御された温度ゾーン36はパターン34に沿って溶融プール32を追跡又は先導することを理解されたい。溶融プール32を先導する、制御された冷却ゾーン36の場合には、第2のレーザスポット26は溶融前の粉末の予熱に使用される。溶融プール32に追随する、制御された冷却ゾーン36の場合には、第2のレーザスポット26は溶融プール32内の粉末の固化の制御に使用される。いずれの場合にも、追加された熱により、固化中及び固化の直後における溶接プールの冷却速度をかなり減少させる。
【0013】
図3においては、共通の光学及び走査系12の長焦点レンズ18、20による角度増幅によって、0.1°程の傾斜角で、第2のスポット26を最大1mmの距離D3だけずらすことができる。2つのレーザビーム5、7を同じ軸上に結合することで、溶接プール32上に中心を持つ局所座標系が生成される。これにより、別々であるが位置合わせされた2つのヘッドを使用する場合に生じる、2つの座標系を持つことが排除される。第1のレーザスポット24が第1の直径D1を持ち、第2のレーザスポット26が第2の直径D2を持ってもよい。第2の直径D2は、第1の直径D1の1〜10倍であってもよい。第2のレーザスポット26の出力及び/又は出力密度もまた、第1のレーザスポット24とは異なってもよい。
【0014】
リフレクタ14は数kHzで動的に駆動することができ、ガルバノメータスキャナよりも少なくとも1桁(すなわち少なくとも10倍)高速である。ただし運動範囲は比較的小さい。高速の傾斜角調節を用いて、溶接プール32の周りに走査パターン34を形成することが可能であり、これにより制御された冷却ゾーン36にカスタマイズされた加熱パターンを生成して冷却速度を変えることができる。このパターン34は溶融プール32を先導しても、あるいはそれに追随してもよい。粉末溶融に使用される高出力レーザは、kHzの速度で変調されて、加熱領域(例えばパターン34)と連動して溶融プール32のまわりでレーザ出力を動的に変化させる更なる機会を加えてもよい。
【0015】
これに代わって、リフレクタ14とガルバノメータ走査ヘッド22とを連動して動的に傾斜させることにより、粉末溶融と制御冷却の両者に1つのレーザを使用してもよい。レーザ出力もまたkHzの速度で変更可能であり、ミラーの傾斜と連携して調整することが可能である。単一レーザの使用は、第1のレーザを除いて第2のレーザ光源6のみを使用して行われ、制御された冷却ゾーンを実現する場合と同様に第2のレーザビーム7をリフレクタ14で反射させる。例えば、第2のレーザビーム7を使用して、レーザスポット26を粉末床上で第1の方向に与えて粉末を予熱し、次いでリフレクタ14を傾斜させてレーザスポット26を第1の方向とは逆の第2の方向に動かして予熱された粉末に溶融プールを形成するようにできる。別の例としては、第2のレーザスポット26を第1の方向に移動させて溶融プールを形成し、次いで第2のレーザスポットを第1の方向とは逆の第2の方向に移動させて溶融プールの冷却速度を制御してもよい。レーザスポット26の逆方向の経路は正確に逆方向、すなわち第1の方向の鏡像である必要はないことを理解されたい。例えば図3に示すように、パターン34はジグザグ形状であり、レーザスポット26は第1の方向に直線移動し、そして第2の方向ではパターン34に従って移動してもよい。または、その逆であってもよい。レーザスポット26あるいは複数のレーザスポット24、26のパターンは、図4に示すような揺動パターン38などの他のパターンに従って制御されてもよいことも理解されたい。レーザスポットの移動は非常に高速で発生し、本質的に溶融プールの周りあるいは近辺で振動しなければならないこともさらに理解されたい。
【0016】
コントローラ28は各レーザ光源4、6及び各レーザビーム5、7を制御可能し得る。コントローラ28はリフレクタ14及び共通の光学系及び走査系12も制御し得る。コントローラは、第1と第2のレーザビーム5、7の出力、プロファイル、持続時間、及びオフにしたときの各レーザ光源4、6の出力減少速度を制御することができる。例えば修理するエアフォイル上の粉末の与えられた層に対して、レーザ光源4、6を作動させて、コントローラ28に入力されるか格納されたCAD設計に従って、所望の形状に粉末を溶融する。所望の領域を構築するためにこのプロセスが必要な回数だけ反復されてよい。例えばエアフォイルである部品の作製に使用されるシステムの場合には、部品の構築にはこのプロセスが必要な回数だけ反復される。コントローラ28は、粉末層が追加されてレーザビーム5、7による処理が続行されるときに、粉末床30の支持体を下方向へ移動させるアクチュエータの制御も行うことができる。形成される各層は、例えば約1μm〜約1mmの厚さであってよい。エアフォイルの修理の場合には、各層は例えば約10μm〜100μmの厚さに形成されてよい。
【0017】
コントローラ28は、コンピュータプロセッサ又は他の論理ベースデバイス、ソフトウェア部品(例えばソフトウェアアプリケーション)、及び/又はハードウェア部品とソフトウェア部品の組み合わせ(例えば、コンピュータプロセッサ又は他の論理ベースデバイスと、関連するソフトウェアアプリケーション、コンピュータプロセッサ、あるいは結線された制御命令を有するその他の論理ベースデバイス、など)であってよい。
【0018】
リフレクタ14はコントローラ28によって制御されて、溶融粉末の冷却速度を変更するために、溶融プール32の近く又は近接する粉末の温度を制御してもよい。コントローラ28はまた、第2のレーザ光源6及び第2のレーザビーム7をリフレクタ14と共に制御して、粉末床30及び/又は修理する部品を予熱してもよい。第2のレーザビーム7の予熱出力密度は、約10〜100、000ワット/cmであってよい。粉末床30及び/又は部品の予熱、及び/又は溶融領域の近く又は隣接領域の加熱によって、温度勾配が、実質的に粉末床の法線方向にのみにあるように制御することができる。これにより、早い凝固冷却速度に敏感な、材料内の亀裂を減少させる。層の表面に垂直な、望ましい結晶成長は、粉末床層の面状冷却により達成可能である。これにより、エアフォイル型構造のビルド方式の修理を用いて、一方向性凝固(DS)型の結晶粒構造又は単結晶構造の形成が可能となる。第1のレーザ光源4及び第1のレーザビーム5を制御して粉末床30を加熱し、溶融プール32の温度及び温度勾配を制御することも理解されたい。溶融領域の温度及び温度勾配を制御することで、例えば粉末の蒸発、凝固層の結晶粒構造、及び/又は修理品又は部品の表面仕上げに対する制御を可能とする。各ビルド層の二次元平面での冷却速度を空間制御することで、各ビルド層の結晶粒構造が制御可能となり、また複数のビルド層が付加されて構造体を形成する時に35での結晶粒構造が制御可能となる。各ビルド層の二次元平面での冷却速度を空間制御することにより、三次元構造体又はその一部の表面を形成する体積部分への特定の処理も可能となる。これにより、表面粗さ及び表面の密度(気孔率)の制御が可能となり、部品の機械的性質、例えば疲労特性を改善することができる。
【0019】
粉末床30の材料は、金属粉末、例えばニッケル、コバルト又は鉄ベースのスーパーアロイであってよい。例えば、粉末はCoCrMo粉末であってよい。粉末床の粒子直径は、例えば10〜100μmであり、例えば40〜60μmであってよい。例えばプラスチック、セラミック、ガラスなどの他の材料が粉末床に使用され得ることを理解されたい。粉末床内の材料によって、溶接レーザビーム5の出力は約100〜約1000ワットであってよい。
【0020】
冷却速度が小さければ、DMLMを用いて作製される部品内の応力が低減される。第2のレーザビーム7をチップ/チルトリフレクタ14で同軸に整列させることで、同じ走査光学系セット12を用いて第2のスポット26を溶融プール32の周りに投射することが可能となる。ピエゾミラーはガルボスキャナよりも10倍超高速なので、カスタム化した加熱パターンを溶接プール32の近くに適用し得る。これは、第2の独立したレーザ光源を使用する場合には、ガルバノメータが本質的に応答が遅いために不可能である。
【0021】
リフレクタ14は、0.25°未満だけ傾斜して冷却スポット26を横方向にずらし、かつガルボスキャンヘッドより10倍超速く動作可能である。ピエゾミラーの高速性により、単一レーザを、粉末溶融と制御冷却の両方に使用することが可能となる。この構成により、部品コストが減少し、かつ溶融プール32の周りに、固有の局所的な冷却パターン34を生成する新しい機会が与えられる。この技術は、市販の部品で実装して、様々なDMLM装置に適合させることができる。
【0022】
制御された冷却速度により、従来DMLMでは加工できなかった合金において亀裂のない部品が作製可能となる。そのことを出願人はプラットフォーム加熱によって証明した。本明細書に開示したこの技術は、全ての市販のDMLMに適用可能であり、かつ第2のレーザ光源を超える最小の追加システムコストで、部品応力、亀裂、及び歪を低減することが可能である。プラットフォームヒータの熱平衡到達へ依存することに代わり、第2のレーザが冷却速度を制御するので、粉末を再被覆する間の時間を短縮可能である。
【0023】
本技術は部品の修理機能に適用可能であるが、本技術は新規作製部品の付加製造構築にも適用可能であることを理解されたい。
【0024】
上記のような目的又は利点は必ずしもすべてが任意の特定の実施例に従って達成されるとは限らないことは理解されるべきである。したがって例えば、本明細書に記載のシステム及び技術は、本明細書で教示した1つの利点又は一群の利点を達成もしくは最適化し、本明細書で教示されるか示唆される他の目的又は利点を必ずしも達成しないで、具現化又は遂行され得ることを、当業者は認識するであろう。
【0025】
本明細書においては本技術の特定の特徴のみを例示して説明したが、当業者には多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、そのような修正および変更の全てを添付の特許請求の範囲が網羅するように意図されていることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】