特表2019-537105(P2019-537105A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-537105関節式アーム及び工作機械を具備する装置及び対応する機械加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-537105(P2019-537105A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】関節式アーム及び工作機械を具備する装置及び対応する機械加工方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20191122BHJP
   B23Q 9/00 20060101ALI20191122BHJP
   B23P 17/00 20060101ALI20191122BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20191122BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20191122BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20191122BHJP
   B64C 1/14 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   G05B19/4093 A
   B23Q9/00 Z
   B23P17/00 A
   B25J13/00 Z
   B64F5/10
   B64C1/00 B
   B64C1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-517889(P2019-517889)
(86)(22)【出願日】2017年10月3日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月1日
(86)【国際出願番号】EP2017075066
(87)【国際公開番号】WO2018065408
(87)【国際公開日】20180412
(31)【優先権主張番号】1659519
(32)【優先日】2016年10月3日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516105914
【氏名又は名称】フィブ マシーニング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】パスカル スーリエ
(72)【発明者】
【氏名】シンジアナ ルング
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ キュミナル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ サルトーリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール ニケス
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB27
3C269BB05
3C269CC09
3C269CC11
3C269EF64
3C269JJ18
3C269JJ20
3C269MN16
3C707AS12
3C707AS29
3C707BS10
3C707CS04
3C707FS01
3C707FT11
3C707KS34
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT05
3C707KV06
(57)【要約】
工作機械(28)は、関節式アーム(26)によって支持され、少なくとも一つの開口部(32)を画定するハウジング(30)であって、開口部(32)が機械加工されるべき表面(16)に面して配置される機械加工位置に関節式アーム(26)によって設置されることが意図されたハウジング(30)と、ハウジングに固定された少なくとも三つの支持体であって、機械加工されるべき表面(16)を機械加工位置に支持することが意図された少なくとも三つの支持体と、機械加工されるべき表面にハウジングを固定する取り付けシステム(50)と、ハウジングに対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部(52)と、支持部(52)に取り付けられるように設計された機械加工工具(54)と、機械加工されるべき表面のハウジングに対する相対位置を示す位置パラメータを提供するように設計された少なくとも一つの位置センサ(56)とを備える。装置は、支持部を作動させて移動命令に従って機械加工工具をハウジングに対して移動させるように設計された制御システムを備える。制御システムは位置パラメータを使用して移動命令を算出するように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(5)、特に航空機の翼の一部を機械加工するための装置(1)であって、
前記物体(5)が、機械加工されるべき表面(16)、例えば検査孔(10)の周囲(18)を画定し、
当該装置(1)が、関節式アーム(26)と、該関節式アーム(26)によって支持された工作機械(28)とを具備し、
前記工作機械(28)が、
少なくとも一つの開口部(32)を画定するハウジング(30)であって、前記開口部(32)が前記機械加工されるべき表面(16)に面して配置される機械加工位置に前記関節式アーム(26)によって設置されることが意図されたハウジング(30)と、
前記ハウジング(30)に固定された少なくとも三つの支持体(44、46、48)であって、前記機械加工されるべき表面(16)を前記機械加工位置に支持することが意図された少なくとも三つの支持体(44、46、48)と、
前記機械加工されるべき表面(16)に前記ハウジング(30)を固定する取り付けシステム(50)と、
前記ハウジング(30)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部(52)と、
前記支持部(52)に取り付けられるように設計された機械加工工具(54)と、
前記機械加工されるべき表面(16)の前記ハウジング(30)に対する相対位置を示す位置パラメータを提供するように設計された少なくとも一つの位置センサ(56)、例えばカメラと
を備え、
当該装置(1)が、前記支持部(52)を作動させて移動命令(C1、C2)に従って前記機械加工工具(54)を前記ハウジング(30)に対して移動させるように設計された制御システム(31)であって、前記位置パラメータを使用して前記移動命令(C1、C2)を算出するように設計された制御システム(31)を更に具備する、装置(1)。
【請求項2】
前記支持体(44、46、48)が、それぞれ、前記機械加工されるべき表面(16)に該支持体(44、46、48)によってそれぞれ及ぼされる圧力(F1、F2、F3)を測定するように設計された歪みゲージ(44A、46A、48A)を備える、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記取り付けシステム(50)が、前記ハウジング(30)に固定され且つ前記機械加工位置において前記機械加工されるべき表面(16)に押し付けられるように設計された少なくとも三つの吸着カップ(70)と、前記吸着カップ(70)と前記機械加工されるべき表面(16)との間に真空を選択的に生成する少なくとも一つの真空生成部材(72)とを具備する、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記工作機械(28)が少なくとも三つのテレメーター(58、60、62)を更に具備し、該少なくとも三つのテレメーター(58、60、62)がそれぞれ少なくとも三つの距離パラメータを提供するように設計され、各距離パラメータが前記テレメーター(58、60、62)のうちの一つと前記機械加工されるべき表面(16)との間の距離(D1、D2、D3)をそれぞれ示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記三つの支持体(44、46、48)がそれぞれ実質的に前記三つの吸着カップ(70)の中央に配置される、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項6】
好ましくは実質的に前記機械加工工具(54)と同じ位置において、前記支持部(52)に取り付けられるように設計された少なくとも一つのプローブ(64)を更に具備し、
前記制御システム(31)が、前記機械加工されるべき表面(16)を探査すべく前記支持部(52)及び前記プローブ(64)を移動させ、前記機械加工されるべき表面(16)の形状を示す形状パラメータを算出し、前記形状パラメータを考慮して前記機械加工工具(54)のための移動命令(C2)を算出するように設計され、
当該装置(1)が、好ましくは、前記プローブ(64)又は前記機械加工工具(54)をそれぞれの格納位置に受け入れるように設計されたマガジン(66)を具備する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
物体(5)、特に航空機の翼の一部を機械加工する方法であって、
前記物体(5)が、機械加工されるべき表面(16)、例えば検査孔(10)の周囲(18)を画定し、
当該方法が、
関節式アーム(26)と、該関節式アーム(26)によって支持された工作機械(28)と、制御システム(31)とを提供するステップであって、前記工作機械(28)が、少なくとも一つの開口部(32)を画定するハウジング(30)と、該ハウジング(30)に固定された少なくとも三つの支持体(44、46、48)と、取り付けシステム(50)と、前記ハウジング(30)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部(52)と、機械加工工具(54)と、前記支持部(52)に取り付けられた少なくとも一つの位置センサ(56)、例えばカメラとを具備する、ステップと、
前記支持部(52)に前記機械加工工具(54)を取り付けるステップと、
前記開口部(32)が前記機械加工されるべき表面(16)に面して配置される機械加工位置に前記ハウジング(30)を前記関節式アーム(26)によって設置するステップであって、前記機械加工されるべき表面(16)に前記三つの支持体(44、46、48)を適用することを含むステップと、
前記取り付けシステム(50)を使用して、前記機械加工されるべき表面(16)に前記ハウジング(30)を固定するステップと、
前記機械加工位置における前記機械加工されるべき表面(16)の前記ハウジング(30)に対する相対位置を示す位置パラメータを前記位置センサ(56)によって提供するステップと、
前記位置パラメータを使用して前記制御システム(31)によって前記機械加工工具のための移動命令(C1、C2)を算出するステップと、
前記制御システム(31)によって前記支持部(52)を作動させ、算出された前記移動命令(C1、C2)に従って前記機械加工工具(54)を前記ハウジング(30)に対して移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記三つの支持体(44、46、48)が前記機械加工されるべき表面に適用されるとき、歪みゲージ(44A、46A、48A)が、前記機械加工されるべき表面(16)に前記支持体(44、46、48)によってそれぞれ及ぼされる圧力(F1、F2、F3)を測定し、前記ハウジング(30)が前記機械加工されるべき表面(16)に固定されるとき、吸着カップ(70)が前記機械加工されるべき表面(16)に適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
提供された前記工作機械(28)が少なくとも三つのテレメーター(58、60、62)を具備し、
前記ハウジングを設置するステップが、前記テレメーター(58、60、62)によって少なくとも三つの距離パラメータをそれぞれ提供することを含み、各距離パラメータが前記テレメーター(58、60、62)のうちの一つと前記機械加工されるべき表面(16)との間の距離(D1、D2、D3)をそれぞれ示す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハウジングを設置するステップが、
ハウジング(30)の接近段階において、前記距離パラメータを使用して前記制御システム(31)によって前記機械加工されるべき表面(16)に対する前記ハウジングの向きを示す少なくとも一つのパラメータを算出し、該向きのパラメータを考慮して前記制御システム(31)によって前記関節式アーム(26)を制御し、前記位置センサ(56)を随意に使用して、前記機械加工されるべき表面(16)に対する前記ハウジング(30)の位置に関する少なくとも一つのパラメータを算出し、該位置のパラメータに従って前記制御システム(31)によって前記関節式アーム(26)を制御するステップ、及び/又は、
前記機械加工されるべき表面に第1の支持体(44、46、48)を接触させ、その後、該第1の支持体が接触したままの状態で第2の支持体(44、46、48)を接触させ、その後、他の二つの支持体(44、46、48)が接触したままの状態で第3の支持体(44、46、48)を接触させるステップであって、接触の各々が、好ましくは、対応する前記圧力(F1、F2、F3)が予め定められた値に漸進的に達するように行われる、ステップ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
好ましくは実質的に前記機械加工工具(54)と同じ位置において、前記支持部(52)にプローブ(64)を取り付けるステップと、
前記機械加工位置に前記ハウジング(30)を設置するステップの後に前記機械加工されるべき表面を探査するステップであって、前記制御システム(31)によって前記ハウジング(30)に対して前記支持部(52)及び前記プローブ(64)を移動させることと、前記機械加工されるべき表面(16)の形状を示す形状パラメータを前記制御システム(31)によって算出することとを含むステップと
を更に含み、
前記制御システム(31)によって前記機械加工工具(54)のための移動命令を算出するステップが前記形状パラメータを使用する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記探査するステップが、前記機械加工されるべき表面(16)に前記ハウジング(30)を固定するステップの後で且つ前記支持部(52)に前記機械加工工具(54)を取り付けるステップの前に行われ、
前記支持部(52)に前記機械加工工具(54)を取り付けるステップの間、前記ハウジング(30)が前記機械加工されるべき表面に固定されたままであり、
前記工作機械(28)が、好ましくは、前記プローブ(64)又は前記機械加工工具(54)をそれぞれの格納位置に受け入れるように設計されたマガジン(66)を具備する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記探査するステップの後、前記ハウジング(30)が前記関節式アーム(26)によって前記機械加工されるべき表面(16)から離れるように移動せしめられ、前記プローブ(64)が前記支持部(52)から取り外され、その後、前記機械加工工具(54)が前記支持部(52)に取り付けられ、前記ハウジング(30)が該ハウジング(30)を前記機械加工位置に戻すべく再び位置決めされる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体、特に飛行機の翼の一部を機械加工するための装置に関し、物体は、機械加工されるべき表面、例えば検査孔の周囲を画定し、装置は工作機械を具備する。本発明は、対応する機械加工方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機の翼は概して翼の下面(内弧面)に検査孔を具備する。これら検査孔は、通常、翼の残りの部分と連続的なカバーによって閉じられている。カバーが除去されると、検査孔は、例えばメンテナンスを行うために、翼の内部へのアクセスを提供する。
【0003】
斯かる検査孔の周囲は、概して、翼の下部が既に組み立てられているときに機械加工される。このため、この部分は既に極めて広範である。このため、検査孔は、非常に広範な斜面上の例えば楕円形の開口部である。
【0004】
機械加工されるべき検査孔の数は、典型的には数十の孔、例えば約30である。工作機械は、予めプログラムされた経路に従うため、全ての場合において非常に正確に位置決めされなければならない。
【0005】
各検査孔は概して最初に非常に高圧のウォータージェットカッターで作られる。その後、検査孔の縁を正確に機械加工する必要がある。
【0006】
斯かる機械加工作業を行うために、開口部を画定するハウジングと、ハウジング内で移動可能に取り付けられた機械加工工具とを具備する工作機械を使用することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1の手順によれば、工作機械が、機械加工装置を収容する作業場に対して固定され、機械加工されるべき検査孔が開口部に面するまで翼が移動せしめられる。その後、翼が適切な手段によって固定され、ハウジングに対して機械加工工具を移動させることによって機械加工が行われる。しかしながら、翼の位置決めは複雑であり、全ての検査孔を処理するために翼を何回も移動させる必要がある。
【0008】
第2の手順によれば、工作機械が、機械加工されるべき物体に固定されたシャーシに固定される。このことは、各検査孔を機械加工するために工作機械を移動させることを伴う。
【0009】
このため、本発明の目的は、機械加工作業の品質要件に適合しつつ既存の装置よりも迅速な、物体、特に航空機の翼の一部を機械加工するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、物体、特に航空機の翼の一部を機械加工するための装置であって、物体が、機械加工されるべき表面、例えば検査孔の周囲を画定し、装置が、関節式アームと、関節式アームによって支持された工作機械とを具備し、工作機械が、少なくとも一つの開口部を画定するハウジングであって、開口部が機械加工されるべき表面に面して配置される機械加工位置に関節式アームによって設置されることが意図されたハウジングと、ハウジングに固定された少なくとも三つの支持体であって、機械加工されるべき表面を機械加工位置に支持することが意図された少なくとも三つの支持体と、機械加工されるべき表面にハウジングを固定する取り付けシステムと、ハウジングに対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部と、支持部に取り付けられるように設計された機械加工工具と、機械加工されるべき表面のハウジングに対する相対位置を示す位置パラメータを提供するように設計された少なくとも一つの位置センサ、例えばカメラとを備え、装置が、支持部を作動させて移動命令に従って機械加工工具をハウジングに対して移動させるように設計された制御システムであって、位置パラメータを使用して移動命令を算出するように設計された制御システムを更に具備する、装置に関する。
【0011】
特定の実施形態によれば、装置は、技術的に実現可能な全ての組合せが考慮された以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
支持体は、それぞれ、機械加工されるべき表面に支持体によってそれぞれ及ぼされる圧力を測定するように設計された歪みゲージを備える。
取り付けシステムは、ハウジングに固定され且つ機械加工位置において機械加工されるべき表面に押し付けられるように設計された少なくとも三つの吸着カップと、吸着カップと機械加工されるべき表面との間に真空を選択的に生成する少なくとも一つの真空生成部材とを具備する。
工作機械は少なくとも三つのテレメーターを更に具備し、少なくとも三つのテレメーターはそれぞれ少なくとも三つの距離パラメータを提供するように設計され、各距離パラメータはテレメーターのうちの一つと機械加工されるべき表面との間の距離をそれぞれ示す。
三つの支持体はそれぞれ実質的に三つの吸着カップの中央に配置される。
装置は、好ましくは実質的に機械加工工具と同じ位置において、支持部に取り付けられるように設計された少なくとも一つのプローブを更に具備し、制御システムは、機械加工されるべき表面を探査すべく支持部及びプローブを移動させ、機械加工されるべき表面の形状を示す形状パラメータを算出し、形状パラメータを考慮して機械加工工具のための移動命令を算出するように設計され、装置は、好ましくは、プローブ又は機械加工工具をそれぞれの格納位置に受け入れるように設計されたマガジンを具備する。
【0012】
また、本発明は、物体、特に航空機の翼の一部を機械加工する方法であって、物体が、機械加工されるべき表面、例えば検査孔の周囲を画定し、方法が、関節式アームと、関節式アームによって支持された工作機械と、制御システムとを提供するステップであって、工作機械が、少なくとも一つの開口部を画定するハウジングと、ハウジングに固定された少なくとも三つの支持体と、取り付けシステムと、ハウジングに対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部と、機械加工工具と、支持部に取り付けられた少なくとも一つの位置センサ、例えばカメラとを具備する、ステップと、支持部に機械加工工具を取り付けるステップと、開口部が機械加工されるべき表面に面して配置される機械加工位置にハウジングを関節式アームによって設置するステップであって、機械加工されるべき表面に三つの支持体を適用することを含むステップと、取り付けシステムを使用して、機械加工されるべき表面にハウジングを固定するステップと、機械加工位置における機械加工されるべき表面のハウジングに対する相対位置を示す位置パラメータを位置センサによって提供するステップと、位置パラメータを使用して制御システムによって機械加工工具のための移動命令を算出するステップと、制御システムによって支持部を作動させ、算出された移動命令に従って機械加工工具をハウジングに対して移動させるステップとを含む、方法に関する。
【0013】
特定の実施形態によれば、方法は、技術的に実現可能な全ての組合せが考慮された以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
三つの支持体が機械加工されるべき表面に適用されるとき、歪みゲージが、機械加工されるべき表面に支持体によってそれぞれ及ぼされる圧力を測定し、ハウジングが機械加工されるべき表面に固定されるとき、吸着カップが機械加工されるべき表面に適用される。
方法は、提供された工作機械が少なくとも三つのテレメーターを具備し、ハウジングを設置するステップが、テレメーターによって少なくとも三つの距離パラメータをそれぞれ提供することを含み、各距離パラメータがテレメーターのうちの一つと機械加工されるべき表面との間の距離をそれぞれ示すように行われる。
ハウジングを位置決めするステップは、ハウジングの接近段階において、距離パラメータを使用して機械加工されるべき表面に対するハウジングの向きを示す少なくとも一つのパラメータを制御システムによって算出し、向きのパラメータを考慮して制御システムによって関節式アームを制御し、位置センサを随意に使用して、機械加工されるべき表面に対するハウジングの位置に関する少なくとも一つのパラメータを算出し、位置のパラメータに従って制御システムによって関節式アームを制御するステップ、及び/又は、機械加工されるべき表面に第1の支持体を接触させ、その後、第1の支持体が接触したままの状態で第2の支持体を接触させ、その後、他の二つの支持体が接触したままの状態で第3の支持体を接触させるステップであって、接触の各々が、好ましくは、対応する圧力が予め定められた値に漸進的に達するように行われる、ステップを含む。
方法は、好ましくは実質的に機械加工工具と同じ位置において、支持部にプローブを取り付けるステップと、機械加工位置にハウジングを設置するステップの後に機械加工されるべき表面を探査するステップであって、制御システムによってハウジングに対して支持部及びプローブを移動させることと、機械加工されるべき表面の形状を示す形状パラメータを制御システムによって算出することとを含むステップとを更に含み、制御システムによって機械加工工具のための移動命令を算出するステップは形状パラメータを使用する。
方法は、探査するステップが、機械加工されるべき表面にハウジングを固定するステップの後で且つ支持部に機械加工工具を取り付けるステップの前に行われ、支持部に機械加工工具を取り付けるステップの間、ハウジングが機械加工されるべき表面に固定されたままであり、工作機械が、好ましくは、プローブ又は機械加工工具をそれぞれの格納位置に受け入れるように設計されたマガジンを具備するように行われる。
探査するステップの後、ハウジングが関節式アームによって機械加工されるべき表面から離れるように移動せしめられ、プローブが支持部から取り外され、その後、機械加工工具が支持部に取り付けられ、ハウジングがハウジングを機械加工位置に戻すべく再び位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る装置の概略的な斜視図である。
図2図2は、航空機の翼の一部と、図1に描かれた工作機械の特定の要素との部分断面図である。
図3図3は、図1に描かれた工作機械の上からの図である。
図4図4は、図1及び図2に描かれた機械加工されるべき表面に対して、図1及び図3に描かれた工作機械の支持体を示す下からの概略図である。
図5図5は、機械加工されるべき真の形状に関して、機械加工工具を移動させるための移動指示と、修正された移動指示とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、単に例として与えられた以下の説明を添付の図面を参照して読むことによってより良く理解されるだろう。
【0016】
物体5を機械加工するように設計された、本発明に斯かる装置1が図1に関して説明される。
【0017】
物体5は、例えば、複合材料から作られた航空機の翼の一部である。物体5は、例えば、航空機の翼の下部又は内弧面(intrados)であり、複数の検査孔10を具備し、複数の検査孔10のうちの一つが図2及び図4に描かれている。物体5は、長手方向X’、例えば水平に延在する。
【0018】
また、長手方向X’に対して実質的に垂直で且つ実質的に水平な横方向Y’と、鉛直方向Z’とが定義される。
【0019】
物体5は、長手方向X’及び横方向Y’に湾曲(curvature)を有する下側斜面12を有する。
【0020】
各検査孔10(図2)は、例えば、材料14の一片を除去可能な機械(図示せず)を用いた高圧のウォータージェット切断によって得られる。各検査孔10は、例えば、図4に描かれた楕円形状を有する。
【0021】
各検査孔10の周囲は、機械加工されるべき表面16(図2)を画定する。描かれた例では、機械加工の目的は、肩部20を形成すべく検査孔10の周りの全ての材料の一部18を除去することである。
【0022】
図2では簡略化のために物体5が直線的に描かれていることに留意されたい。実際には、上記のように、物体5は長手方向X’及び横方向Y’に湾曲を示す。
【0023】
図1に見られるように、装置1は、物体5を支持する架台(gantries)22と、レール24と、レール上に取付けられた関節式アーム(articulated arm)26と、関節式アームによって支持された工作機械28とを具備する。
【0024】
装置1は、関節式アーム26及び工作機械28を制御するように設計された制御システム31も具備する。
【0025】
レール24は例えば架台22の間に横方向に配置される。レール24は物体5の下で長手方向X’に延在する。
【0026】
関節式アーム26は制御システム31によってレール24に沿った並進移動で移動せしめられるように設計されている。有利には、関節式アーム26は、三つの方向X’、Y’及びZ’に並進移動で且つ方向X’及びY’回りに傾斜して、物体5に対して工作機械28を移動させるように設計される。
【0027】
工作機械28は、開口部32を画定し且つ関節式アーム26によって機械加工位置に設置されることが意図されたハウジング30(図1)を具備し、ハウジング30において、開口部32は、機械加工されるべき表面16に面して配置される。
【0028】
開口部32は、関節式アーム26が中立位置(図示せず)にあるときに、例えば、有利には鉛直である方向Zに対して垂直な平面P内で延びる。
【0029】
開口部32は例えば平面P内で長方形であり、開口部32の縁は、互いに実質的に垂直であり且つ方向Zに対して実質的に垂直な方向X及び方向Yを画定する。
【0030】
ハウジング30は、例えば、方向Yにおいて互いに対向し且つ方向Xに対して平行な二つの側面34、36(図3)と、方向Xにおいて互いに対向し且つ方向Yに対して実質的に平行な二つの側面38、40とを有する実質的に平行六面体の全体形状を有する。ハウジング30は、方向Zに対して垂直に且つ方向Zにおいて開口部32の反対側に延在する底部42も具備する。
【0031】
また、工作機械28は、ハウジング30に固定され、且つ機械加工位置において機械加工されるべき表面16を支持することが意図された三つの支持体(bearers)と、機械加工されるべき表面にハウジングを固定する取り付けシステム50と、ハウジングに対して移動可能に取り付けられた支持部(support)52と、支持部52に取り付けられるように設計された機械加工工具54と、同様に支持部に取り付けられた位置センサ56とを具備する。
【0032】
工作機械28は、三つのテレメーター58、60、62と、好ましくは実質的に機械加工工具54と同じ位置において支持部52に取り付けられるように設計されたプローブ64とを随意に具備する。
【0033】
機械加工工具54及びプローブ64は、支持部52に取り付けられることが意図され、又は有利にはハウジング30内に配置されたマガジン66に格納されることが意図されている。
【0034】
代替案(図示せず)として、マガジン66は工作機械28の外側に配置される。
【0035】
三つの支持体44、46、48は、機械加工されるべき表面16に支持体によってそれぞれ及ぼされる圧力F1、F2、F3(図4)を測定するように設計された歪みゲージ44A、46A、48Aを備える。支持体44、46、48は、例えば、ハウジング30のリム68から方向Zに突出する。例えば、支持体44、46は、方向Yに整列され、開口部32に対してハウジングの面38の側に配置される。例えば、支持体48は、方向Xにおいて支持体44、46に対して開口部32の他方の側に配置される。図4に見られるように、支持体44、46、48は、有利には、方向Zから見られたときに二等辺三角形を形成する。
【0036】
本発明のこの例示的な実施形態では、取り付けシステム50は、ハウジング30に固定され、且つ機械加工位置において機械加工されるべき表面16に押し付けられるように設計された吸着カップ70と、吸着カップと機械加工されるべき表面との間に真空を選択的に生成する真空生成部材72とを具備する。
【0037】
吸着カップ70は、例えば、方向Xにおいて開口部32の両側に一つずつ位置決めされた二つの列に編成され、列は方向Yに対して実質的に平行である。各列は例えば五つの吸着カップを具備する。有利には、三つの吸着カップ70が支持体44、46、48の周りに配置される。言い換えると、支持体44、46、48は、それぞれ、方向Zにおいて見られたときに三つの吸着カップ70の中央に配置される。
【0038】
真空生成部材72は流体ネットワーク(図示せず)によって吸着カップ70の各々に接続される。
【0039】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、取り付けシステム50は、機械加工されるべき材料に適した取り付け手段を使用する。例えば、スチール製の表面の場合、取付システム50は電磁石を用いることができる。
【0040】
位置センサ56は、例えば、形状の制御のより良い精度のために、レーザを具備するカメラを具備する。
【0041】
テレメーター58、60は、例えば、方向Xにおいて開口部32の一方の側に配置され、方向Yにおいて実質的に整列される。テレメーター62は、例えば、方向Xにおいてテレメーター58、60から開口部32の他方の側に配置される。テレメーター58、60、62はそれぞれ少なくとも三つの距離パラメータを提供するように設計され、各距離パラメータは、それぞれ、テレメーターのうちの一つと、機械加工されるべき表面16との間の方向Zにおける距離D1、D2、D3(図2)を示す。
【0042】
支持部52は、三つの方向X、Y及びZに並進移動で且つ有利には方向X及びYに対して傾斜して機械加工工具54又はプローブ64をハウジング30に対して移動させるように設計される。有利には、支持部52は、マガジン66内の機械加工工具54又はプローブ64を取り出し又はこれらをマガジンに戻すようにも設計される。
【0043】
描かれた例では、支持部52は、ハウジング30上で方向Xに並進移動可能に取り付けられた第1の部分74と、第1の部分上で方向Yに並進移動可能に取り付けられた第2の部分76と、第2の部分上で方向Zに並進移動可能に取り付けられた第3の部分78とを具備する。また、支持部52は、方向Xに実質的に平行な軸線X1回りに第3の部分上で回転可能に取り付けられた第4の部分80と、第4の部分に固定され且つ支持部が図3に描かれた静止位置にあるときに方向Yと実質的に平行な軸線Y1回りに第4の部分上で回転可能に取り付けられた第5の部分82とを具備する。
【0044】
第1の部分74は、例えば、方向Yに延在する二つのビーム84A及び84Bを具備し、第2の部分76はビーム84Aとビーム84Bとの間に取り付けられる。
【0045】
位置センサ56は例えば第4の部分80に固定される。
【0046】
機械加工工具54又はプローブ64は第5の部分82上に取付けられる。
【0047】
制御システム31は、例えば、プロセッサ86、メモリ88、及び有利にはマンマシンインタフェース90を具備する。
【0048】
メモリ88は、検査孔10の形状に関する情報と、ソフトウェア命令とを格納するように設計され、ソフトウェア命令は、プロセッサ86によって実行されると、位置センサ56及びテレメーター58、60、62から関節式アーム26、支持部52及び位置センサ56を制御することを可能とする。
【0049】
また、制御システム31は、位置センサ56から来る位置パラメータと、テレメーター58、60、62から来る距離パラメータと、プローブ64から来る情報とを受信するように設計されている。
【0050】
装置1の動作が以下に説明され、この動作は本発明に係る方法を示す。
【0051】
この方法は、関節式アーム26がハウジング30を機械加工位置に設置することと、機械加工されるべき表面16にハウジングを取り付けシステム50によって固定することと、機械加工位置における機械加工されるべき表面のハウジングに対する相対位置を示す位置パラメータを位置センサ56によって提供することと、位置パラメータを使用して制御システム31によって機械加工工具54のための移動命令C2(図5)を算出することと、制御システムによって支持部52を作動させることと、算出された移動命令に従ってハウジングに対して機械加工工具を移動させることとを含む。
【0052】
機械加工位置にハウジング30を設置することは、関節式アーム26の粗位置決めと、その後のハウジングの接近段階と、工作機械28が物体5に接触する最終的な段階とを随意に含む。
【0053】
粗位置決めは、機械加工されるべき検査孔10が工作機械28の到達範囲内にあるように関節式アーム26を移動させることから成る。描かれた例では、制御システム31は、図1に描かれるように、関節式アーム26をレール24に沿って並進移動させて、関節式アームを実質的に検査孔の下に持ってくる。その後、工作機械28は例えば物体5から約50mmに位置する。
【0054】
接近段階の間、テレメーター58、60、62は、距離D1、D2、D3を示すパラメータを提供し、このことは、開口部32と、機械加工されるべき表面16の平均平面P’との間の平行度を制御することを可能とする。例えば、制御システム31はこれらパラメータから(ハウジング30に対して固定される)方向Zと平均平面P’との間の角度θを算出する。描かれた例では、90°の角度θは完全な平行度を表す。角度θが減少するほど、ハウジング30はこの平行位置から逸脱する。
【0055】
制御システム31は、角度θが90°から過度に逸脱しないように、すなわち平面Pと平均平面P’とがほぼ平行に保たれるように、ハウジング30を移動させる。
【0056】
代替案として、接近段階は、平面Pと平面P’との間の平行度を示す、角度θ以外の別のパラメータを制御することによって実行される。
【0057】
更に別の代替形態(図示せず)によれば、装置1はテレメーターを有さず、平行度の特定の制御無しで直接的な接近が行われる。
【0058】
随意に、ハウジングの接近段階の間、位置センサ56が使用され、機械加工されるべき表面16に対するハウジング30の位置に関する一つ以上の位置パラメータが算出される。制御システム31は一つ又は複数の位置パラメータを評価し、これらが予め定められた基準を満たさない場合、関節式アーム26は、機械加工されるべき表面16に対するハウジング30の位置を修正するように制御される。このことは、図4に描かれるように、検査孔10が支持体44、46、48の間で再びセンタリングされることを可能とする。
【0059】
接近段階の間、いくつかの再センタリング作業が行われてもよい。
【0060】
依然として接近段階の間、随意に、検査孔10が位置センサ56のカメラによって認識され、検査孔10に関し且つ制御システムのメモリ88内に存在するデータが起動される。これらは、例えば、検査孔10の理論形状に関するデータである。
【0061】
接触段階は、機械加工されるべき表面16に三つの支持体44、46、48を適用することと、機械加工されるべき表面に支持体によって及ぼされた圧力F1、F2、F3を歪みゲージ44A、46A、48Aによって測定することとを含む。
【0062】
関節式アーム26は、歪みゲージ44A、46A、48Aが配置された三つの支持体44、46、48に圧力を加えるべく作動される。歪みゲージ44A、46A、48Aによって提供される値は制御システム31によって監視される。有利には、機械加工されるべき表面16にどの支持体が最初に接触したとしても、関節式アーム26によって及ぼされる圧力は、歪みゲージが、予め定められた値、例えば15kgよりも高い圧力値を提供する場合に中断される。
【0063】
有利には、三つの支持体44、46、48の適用は連続して行われる。例えば、支持体44が機械加工されるべき表面16に最初に接触した場合、その後、圧力F1が例えば11kgの予め定められた値に達するまで、支持体44に加重が掛けられる。
【0064】
次に、関節式アーム26は、第2の支持体、例えば支持体46が機械加工されるべき表面に接触し、且つ歪みゲージ46Aによって測定された圧力F2が例えば11kgの予め定められた値に達するまで、支持体44回りにハウジング30を回転させる。支持体44回りのハウジング30の回転は、例えば、支持体44及び支持体48を通る軸線Δ1回りで行われる。
【0065】
最後に、この例では支持体48である第3の支持体は、支持体44及び支持体46を通過する軸線Δ2回りにハウジング30を回転移動させることによって、機械加工されるべき表面16に接触せしめられる。測定された圧力F3が例えば11kgの予め定められた値に達すると、回転が中断される。
【0066】
当然のことであるが、代替案として、支持体44、46、48を異なる順番で接触させることが可能であり、機械加工されるべき表面16に支持体を適用するための手順は、上述された手順の円順列によって演繹可能である。
【0067】
支持体44、46、48を適用するための斯かる手順は、工作機械28が機械加工されるべき表面16に適用される方法において高レベルの再現性を得ることを可能とし、この適用の結果として検査孔10の周囲が変形される程度を最小にすることができる。
【0068】
描かれた例では、接触段階の終わりに、吸着カップ70は、機械加工されるべき表面16と接触している。その後、真空生成部材72は、吸着カップ70の各々と機械加工されるべき表面16との間の空気を吸い出すことによってこれらの間に真空を生成する。その後、ハウジング30は、機械加工されるべき表面16に堅固に固定される。
【0069】
その後、位置センサ56は、機械加工位置における機械加工されるべき表面16のハウジング30に対する相対位置を示す位置パラメータを提供する。例えば、検査孔10が、二重曲率(double curvature)を有する斜面上にプロットされた楕円である場合、六つの点A1〜A6(図4)が検査孔10の周囲の周りの位置センサ56によって特定される。このことは、例えば、X及びYにおける楕円の中心を見つけることを可能とする。位置センサ56は、支持体44、46及び48に最も近い三つの他の点を特定することによって、三角測量を使用して、機械加工されるべき表面の平面P’のZにおける平均高さを測定する。
【0070】
このことは、方向X、Y及びZに機械加工工具54を移動させるための命令を算出することを可能とする。
【0071】
移動命令は、例えば、方向X、Y、Zにおいてもたらされるべき機械加工工具54の並進移動及び支持部52による向きの変化のパラメータ化である。
【0072】
有利には、機械加工工具54のための移動命令を修正するために探査(probing)が行われる。これを行うために、プローブ64は、機械加工工具54が後で取り付けられる場所で支持部52に最初に取り付けられる。
【0073】
その後、支持部52は、制御システム31によってハウジング30に対して移動せしめられ、制御システム31は、検査孔10の真の形状を示す形状パラメータを算出する。例えば、所定数の探査が行われ、有利には約20回の探査が行われる。これら探査された点のX、Y及びZにおける座標はスプラインタイプの曲線を算出することを可能とし、このスプラインタイプの曲線は、その後、軸線Zに沿った機械加工工具54の経路を更新して機械加工精度を改善するための基準として使用される。
【0074】
このことは、形状パラメータを使用することによって機械加工工具54のための移動命令を修正することを可能とする。
【0075】
次に、支持部52は、プローブ64をマガジン66に戻し、マガジンに格納された機械加工工具54を取り上げる。その後、機械加工工具54は、プローブ64が配置されていた場所で支持部52に取り付けられる。
【0076】
その後、実際の機械加工が行われる。制御システム31は、修正された移動命令に従ってハウジング30に対して機械加工工具54を移動させるように支持部52を作動させる。
【0077】
描かれていない代替案によれば、マガジン66はハウジング30の外側に配置される。プローブ64を機械加工工具54に置き換えるために、ハウジング30は、この置換を達成するために、制御システム31によって、機械加工されるべき表面16から離れるように移動せしめられる。
【0078】
その後、関節式アーム26は、上述された手順に従ってハウジング30を機械加工位置に再配置し、配置を再現する。その後、機械加工位置への二回目の配置後に機械加工が行われる。
【0079】
図5は、ハウジング30に関連付けられた方向X及びZに投影された移動命令C1及びC2を示す。これら移動指示を、機械加工工具54が検査孔10を機械加工するために移動するときに機械加工工具54が占める一連の点として見ることができる。
【0080】
X座標は、+250mmと−250mmとの間で変動し、方向Xにおける検査孔の拡がりを表す。Z座標が正の方向又は負の方向に数ミリメートルに等しいという事実は、機械加工されるべき表面16の傾斜の性質を示す。
【0081】
移動命令C1は、位置センサ56によって提供された形状パラメータから算出された命令であるが、探査によってもたらされる修正を有しない。曲線C3は、機械加工されるべき検査孔10の周囲の真の形状を表す。見ることができるように、曲線C1は、或る点において、曲線C3のZ方向に0.25mmを超えて曲線C3と異なっている。斯かる位置決め誤差は、所定の用途について許容可能であるが、概して航空工学において許容されない。このことが、探査による修正を行うことが有利である理由である。
【0082】
曲線C2は、探査後の修正された移動命令の方向X及びZへの投影である。見ることができるように、曲線C2は、曲線C1よりも曲線C3にはるかに近い。このため、探査は、航空工学において完全に許容可能な低い値(方向Zにおいて0.1mm未満)まで誤差を減少させることを可能とする。
【0083】
このため、上述された特徴によって、装置1は迅速であり且つ機械加工公差を遵守することを可能とする。
【0084】
さらに、探査が行われるという随意の特徴は、より正確な移動命令を得ることを可能とし、機械加工誤差を更に低減することができる。
【0085】
ハウジング30がテレメーターを備えるという随意の特徴は、接近段階の間、ハウジングと機械加工されるべき表面16との間の平行度を制御することを可能とする。
【0086】
最後に、マガジン66がハウジング30内に存在することは、探査が行われた後にプローブ64が機械加工工具54に置き換えられる間、ハウジングを機械加工位置に残すことができることを意味する。
【0087】
「ハウジングに固定された」とは、例えば、支持体がハウジングに対して固定されることを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2019年4月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工されるべき表面(16)を画定する物体(5)を機械加工するための装置(1)であって
該装置(1)が、関節式アーム(26)と、該関節式アーム(26)によって支持された工作機械(28)とを具備し、
前記工作機械(28)が、
少なくとも一つの開口部(32)を画定するハウジング(30)であって、前記開口部(32)が前記機械加工されるべき表面(16)に面して配置される機械加工位置に前記関節式アーム(26)によって設置されることが意図されたハウジング(30)と、
前記ハウジング(30)に固定された少なくとも三つの支持体(44、46、48)であって、前記機械加工されるべき表面(16)を前記機械加工位置に支持することが意図された少なくとも三つの支持体(44、46、48)と、
前記機械加工されるべき表面(16)に前記ハウジング(30)を固定する取り付けシステム(50)と、
前記ハウジング(30)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部(52)と、
前記支持部(52)に取り付けられるように設計された機械加工工具(54)と、
前記機械加工されるべき表面(16)の前記ハウジング(30)に対する相対位置を示す位置パラメータを提供するように設計された少なくとも一つの位置センサ(56)、例えばカメラと
を備え、
当該装置(1)が、前記支持部(52)を作動させて移動命令(C1、C2)に従って前記機械加工工具(54)を前記ハウジング(30)に対して移動させるように設計された制御システム(31)であって、前記位置パラメータを使用して前記移動命令(C1、C2)を算出するように設計された制御システム(31)を更に具備する、装置(1)。
【請求項2】
前記物体(5)が航空機の翼の一部である、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記機械加工されるべき表面(16)が検査孔(10)の周囲(18)である、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記支持体(44、46、48)が、それぞれ、前記機械加工されるべき表面(16)に該支持体(44、46、48)によってそれぞれ及ぼされる圧力(F1、F2、F3)を測定するように設計された歪みゲージ(44A、46A、48A)を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記取り付けシステム(50)が、前記ハウジング(30)に固定され且つ前記機械加工位置において前記機械加工されるべき表面(16)に押し付けられるように設計された少なくとも三つの吸着カップ(70)と、前記吸着カップ(70)と前記機械加工されるべき表面(16)との間に真空を選択的に生成する少なくとも一つの真空生成部材(72)とを具備する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記工作機械(28)が少なくとも三つのテレメーター(58、60、62)を更に具備し、該少なくとも三つのテレメーター(58、60、62)がそれぞれ少なくとも三つの距離パラメータを提供するように設計され、各距離パラメータが前記テレメーター(58、60、62)のうちの一つと前記機械加工されるべき表面(16)との間の距離(D1、D2、D3)をそれぞれ示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記三つの支持体(44、46、48)がそれぞれ実質的に前記三つの吸着カップ(70)の中央に配置される、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記支持部(52)に取り付けられるように設計された少なくとも一つのプローブ(64)を更に具備し、
前記制御システム(31)が、前記機械加工されるべき表面(16)を探査すべく前記支持部(52)及び前記プローブ(64)を移動させ、前記機械加工されるべき表面(16)の形状を示す形状パラメータを算出し、前記形状パラメータを考慮して前記機械加工工具(54)のための移動命令(C2)を算出するように設計される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも一つのプローブ(64)が実質的に前記機械加工工具(54)と同じ位置において前記支持部(52)に取り付けられるように設計される、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記プローブ(64)又は前記機械加工工具(54)をそれぞれの格納位置に受け入れるように設計されたマガジン(66)を更に具備する、請求項8又は9に記載の装置(1)。
【請求項11】
機械加工されるべき表面(16)を画定する物体(5)を機械加工する方法であって、
当該方法が、
関節式アーム(26)と、該関節式アーム(26)によって支持された工作機械(28)と、制御システム(31)とを提供するステップであって、前記工作機械(28)が、少なくとも一つの開口部(32)を画定するハウジング(30)と、該ハウジング(30)に固定された少なくとも三つの支持体(44、46、48)と、取り付けシステム(50)と、前記ハウジング(30)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも一つの支持部(52)と、機械加工工具(54)と、前記支持部(52)に取り付けられた少なくとも一つの位置センサ(56)、例えばカメラとを具備する、ステップと、
前記支持部(52)に前記機械加工工具(54)を取り付けるステップと、
前記開口部(32)が前記機械加工されるべき表面(16)に面して配置される機械加工位置に前記ハウジング(30)を前記関節式アーム(26)によって設置するステップであって、前記機械加工されるべき表面(16)に前記三つの支持体(44、46、48)を適用することを含むステップと、
前記取り付けシステム(50)を使用して、前記機械加工されるべき表面(16)に前記ハウジング(30)を固定するステップと、
前記機械加工位置における前記機械加工されるべき表面(16)の前記ハウジング(30)に対する相対位置を示す位置パラメータを前記位置センサ(56)によって提供するステップと、
前記位置パラメータを使用して前記制御システム(31)によって前記機械加工工具のための移動命令(C1、C2)を算出するステップと、
前記制御システム(31)によって前記支持部(52)を作動させ、算出された前記移動命令(C1、C2)に従って前記機械加工工具(54)を前記ハウジング(30)に対して移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記物体(5)が航空機の翼の一部である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記機械加工されるべき表面(16)が検査孔(10)の周囲(18)である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記三つの支持体(44、46、48)が前記機械加工されるべき表面に適用されるとき、歪みゲージ(44A、46A、48A)が、前記機械加工されるべき表面(16)に前記支持体(44、46、48)によってそれぞれ及ぼされる圧力(F1、F2、F3)を測定し、前記ハウジング(30)が前記機械加工されるべき表面(16)に固定されるとき、吸着カップ(70)が前記機械加工されるべき表面(16)に適用される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
提供された前記工作機械(28)が少なくとも三つのテレメーター(58、60、62)を具備し、
前記ハウジングを設置するステップが、前記テレメーター(58、60、62)によって少なくとも三つの距離パラメータをそれぞれ提供することを含み、各距離パラメータが前記テレメーター(58、60、62)のうちの一つと前記機械加工されるべき表面(16)との間の距離(D1、D2、D3)をそれぞれ示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ハウジングを設置するステップが、
ハウジング(30)の接近段階において、前記距離パラメータを使用して前記制御システム(31)によって前記機械加工されるべき表面(16)に対する前記ハウジングの向きを示す少なくとも一つのパラメータを算出し、該向きのパラメータを考慮して前記制御システム(31)によって前記関節式アーム(26)を制御し、前記位置センサ(56)を随意に使用して、前記機械加工されるべき表面(16)に対する前記ハウジング(30)の位置に関する少なくとも一つのパラメータを算出し、該位置のパラメータに従って前記制御システム(31)によって前記関節式アーム(26)を制御するステップ、及び/又は、
前記機械加工されるべき表面に第1の支持体(44、46、48)を接触させ、その後、該第1の支持体が接触したままの状態で第2の支持体(44、46、48)を接触させ、その後、他の二つの支持体(44、46、48)が接触したままの状態で第3の支持体(44、46、48)を接触させるステップ
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
接触の各々が、対応する前記圧力(F1、F2、F3)が予め定められた値に漸進的に達するように行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記支持部(52)にプローブ(64)を取り付けるステップと、
前記機械加工位置に前記ハウジング(30)を設置するステップの後に前記機械加工されるべき表面を探査するステップであって、前記制御システム(31)によって前記ハウジング(30)に対して前記支持部(52)及び前記プローブ(64)を移動させることと、前記機械加工されるべき表面(16)の形状を示す形状パラメータを前記制御システム(31)によって算出することとを含むステップと
を更に含み、
前記制御システム(31)によって前記機械加工工具(54)のための移動命令を算出するステップが前記形状パラメータを使用する、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
実質的に前記機械加工工具(54)と同じ位置において、前記支持部(52)に前記プローブ(64)を取り付けるステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記探査するステップが、前記機械加工されるべき表面(16)に前記ハウジング(30)を固定するステップの後で且つ前記支持部(52)に前記機械加工工具(54)を取り付けるステップの前に行われ、
前記支持部(52)に前記機械加工工具(54)を取り付けるステップの間、前記ハウジング(30)が前記機械加工されるべき表面に固定されたままである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記工作機械(28)が、前記プローブ(64)又は前記機械加工工具(54)をそれぞれの格納位置に受け入れるように設計されたマガジン(66)を具備する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記探査するステップの後、前記ハウジング(30)が前記関節式アーム(26)によって前記機械加工されるべき表面(16)から離れるように移動せしめられ、前記プローブ(64)が前記支持部(52)から取り外され、その後、前記機械加工工具(54)が前記支持部(52)に取り付けられ、前記ハウジング(30)が該ハウジング(30)を前記機械加工位置に戻すべく再び位置決めされる、請求項20又は21に記載の方法。
【国際調査報告】