(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-537476(P2019-537476A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】周期信号をモニタリングするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
A61B5/11 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-524379(P2019-524379)
(86)(22)【出願日】2017年11月7日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月11日
(86)【国際出願番号】IL2017051210
(87)【国際公開番号】WO2018087752
(87)【国際公開日】20180517
(31)【優先権主張番号】62/420,209
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519159145
【氏名又は名称】コンティンユーズ バイオメトリクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ContinUse Biometrics Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ザレフスキー,ズィーフ
(72)【発明者】
【氏名】マークマン,ズィーフ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB32
4C038VC02
4C038VC20
(57)【要約】
周期信号の検出に用いるための方法及びシステムが記載される。方法は、周期信号の周期性に関するデータを提供すること;少なくとも1つのサンプリングイベントのその対応する周期に沿った時間位置が、所望される数の周期にわたって各周期において変動するように選択されるサンプリングレートで、前記信号の複数の周期に沿って前記周期信号をサンプリングすること;サンプリングされたデータピースを、そのサンプル時間に従って、前記周期信号の周期内の時間に対して配列すること;並びにサンプリングされた前記複数の周期から、前記サンプリングレートに伴う分解能よりも高い所望される分解能で、前記周期信号のプロファイルを再構築すること、を含む。サンプリングイベントの時間位置の変動は、サンプリングレートを適切に選択することによって、又は周期信号の周期に従ってサンプリングレートの時間を変動させることによって得られ得る。
【選択図】
図1及び
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期信号の検出に用いられる方法であって、前記方法は:
前記周期信号の周期性に関するデータを提供すること;
少なくとも1つのサンプリングイベントのその対応する周期に沿った時間位置が、所望される数の周期にわたって各周期において変動するように選択されるサンプリングレートで、前記信号の複数の周期に沿って前記周期信号をサンプリングすること;
サンプリングされたデータピースを、そのサンプル時間に従って、前記周期信号の周期内の時間に対して配列すること;並びに
サンプリングされた前記複数の周期から、前記サンプリングレートに伴う分解能よりも高い所望される分解能で、前記周期信号のプロファイルを再構築すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプリングレートが、前記周期信号の周期内に非整数の数のサンプリングイベントを有するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプリングイベントが、前記周期信号の周期間で時間的にシフトされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記周期信号を前記サンプリングすることが、前記選択されたサンプリングレートを有するパルス照射を検査領域に提供すること、及び前記検査領域から戻ってくる光に関するデータを、所定のフレームレート、前記パルス照射のパルス幅よりも長い集光の積分時間で収集することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス照射の前記サンプリングレートが、前記集光の各フレームが、照射のそれぞれの単一パルスに対応するように決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
周期信号の検出に用いられる方法であって、前記方法は:
前記信号の周期性に関するデータを提供すること;
前記周期信号の検出のために、目的の領域上へ選択された繰り返し率のパルス光学照射を指向させること;
前記検査領域から戻ってくる光に形成されたスペックルパターンに対応する複数のデータピースを収集すること;並びに
前記複数のデータピースを処理して、前記周期信号のプロファイルを特定すること、
を含み、前記処理は、前記複数のデータピースを、前記周期信号の周期に対する各データピースの時間位置に従って配列すること、及び配列された順番において連続するスペックルパターン間の相関に関するデータを特定することを含み、前記相関データは、前記周期信号のプロファイルを表す、方法。
【請求項7】
複数のデータピースの前記収集が、所定のフレームレート及び前記パルス光学照射のパルス幅と比較して長い積分時間で集光ユニットを動作させることを含み、それによって、前記パルス照射の繰り返し率及びタイミングが、前記信号のサンプリングを決定する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パルス照射の前記繰り返し率が、照射パルスが前記周期信号の周期間で時間的にシフトされるように、前記周期信号の前記周期性に従って選択される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
複数のデータピースの前記収集が、前記パルス照射の繰り返し率に対応するサンプリングレートを有する、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス照射が、選択された波長範囲を有するコヒーレント照射である、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記信号の前記周期性に関するデータを前記提供することが、所定の周期時間プロファイルに従って前記目的の領域を刺激することを含み、前記信号の前記周期性は、前記所定の周期時間プロファイルに依存する、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
信号のモニタリングに用いるためのシステムであって、前記システムは:
選択された繰り返し率を有するコヒーレントパルス照射を検査領域に指向させるように構成された照射ユニット;
前記検査領域から戻ってくる光によって発生されるスペックルパターンに関連するイメージデータを収集するように構成された集光ユニット;並びに
前記照射ユニット及び前記集光ユニットの動作の制御、及びスペックルパターンに関する前記収集されたデータの複数のイメージデータピースに対応する入力データの前記集光ユニットからの受信、及び1又は複数の周期信号のプロファイルを特定するための前記入力データの処理、を行うように構成され、そのように動作可能であるコントロールユニット、
を含み、前記コントロールユニットは、前記複数のイメージデータピースを、前記周期信号の周期に対する各データピースの時間位置に従って配列し、配列された順番において連続するスペックルパターン間の相関に関するデータを特定することによって処理するように構成される、システム。
【請求項13】
前記コントロールユニットが、所定のフレームレート及び積分時間で前記集光ユニットを動作させるように、並びに前記照射ユニットのパルスタイミングを同期させて前記周期信号のサブ周期サンプリングを提供するように構成され、そのように動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記集光ユニットによって取り込まれた各フレームが、前記照射ユニットによる照射のそれぞれの単一のパルスに対応する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントロールユニットが、前記照射ユニット及び集光ユニットのいずれのサンプリングレートよりも高い分解能で前記1又は複数の周期信号のプロファイルを特定するように構成される、請求項11から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記集光ユニットが、前記検査領域から戻ってくる光に関連するデフォーカスイメージデータを収集するように構成されたカメラユニットを備える、請求項11から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記周期信号をサブ周期サンプリングするように構成され、前記コントロールユニットが、前記照射ユニットのパルスタイミングを同期させて、前記周期信号の異なる周期の照射タイミング間で時間的シフトを提供するように構成される、請求項11から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントロールユニットが、前記周期信号の周期内に非整数の数のパルスを有するようにパルスタイミングを選択するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントロールユニットが、前記照射ユニットに、前記周期信号の各周期の過程で所定の数のパルスを放射させるように、及び前記周期信号の周期間で所定の数の信号を時間的にシフトさせるように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
周期時間プロファイルに従って前記検査領域を刺激するように構成された刺激ユニットをさらに備える、請求項11から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントロールユニットが、前記刺激ユニットの動作を制御するように構成される、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物組織などのサンプル、又は患者のパラメータの光学的モニタリングの分野であり、詳細には、サンプリングレートを減少させた周期パラメータのモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
測定の精度は、少なくとも部分的に、測定の分解能に依存し得る。時間的に変動する信号の再構築は、ナイキスト周波数以上のサンプリング周波数で、又はより具体的には、信号の最大周波数の2倍以上のサンプリング周波数で信号が測定される場合に提供され得る。
【0003】
物体、生物組織などのサンプルのパラメータ、さらには人体のパラメータ(心拍数など)のモニタリングに用いるための様々な技術が報告されてきた。例えば、以下の特許公報には、スペックルをベースとする光学的モニタリング技術の概念が記載されている。
【0004】
米国特許第8,638,991号には、物体のイメージングのための方法が提示されている。この方法は、物体から伝播するコヒーレントスペックルパターンを、物体からずらされた面に焦点を当てるイメージングシステムを用いてイメージングすることを含む。
【0005】
米国特許出願公開第2013/0144137号及び米国特許出願公開第2014/0148658号には、対象のボディの1又は複数の状態のモニタリングに用いるためのシステム及び方法が提示されている。このシステムは、イメージデータを受信するための入力ポート、メモリユーティリティ、及びプロセッサユーティリティを含むコントロールユニットを含む。イメージデータは、ピクセル検出器アレイによって測定されたデータを表しており、ある特定のサンプリング時間のパターンに従ってのコヒーレント光によるその照射に応答して対象のボディの一部分によって発生されるスペックルパターンのシーケンスの形態である。メモリユーティリティは、1又は複数の所定のモデルを記憶し、このモデルは、1又は複数の測定可能パラメータと対象のボディの1又は複数の状態との間の関係を表すデータを含む。プロセッサユーティリティは、イメージデータを処理して対応する1又は複数のボディ状態を特定し、対応するボディ状態を表す出力データを作成するように構成され、そのように動作可能である。
【発明の概要】
【0006】
より高い時間分解能で信号プロファイルのモニタリングを可能とする技術が本技術分野において求められている。既存の光学的モニタリング技術、特にスペックルをベースとするモニタリング技術は、典型的には、集光のサンプリング周波数、例えばカメラユニット又はイメージャのサンプリングレートによる制限を受ける。このため、高い時間分解能での信号検出には、高価な高速度カメラ(さらには、高い強度の照射)の使用が必要となり、そうでなければ、単純な低速度カメラを用いたより低い時間分解能での信号の検出となる。
【0007】
本発明の技術は、信号の周期性に関するデータを用いて、その高分解能プロファイルを特定するものである。これは、信号周期性に関する与えられたデータに従って選択された相対的により低いサンプリングレートでデータを収集することに基づいている。このために、本発明の技術は、信号の各周期において、サンプルインスタンスが前の周期に対して時間的にシフトするように選択されたレートでのサンプリングを用いる。これは、周期間でのサンプリングの遅延によって、及び/又はサンプリングレートを、信号の周期性とサンプリングレートとの間に整数の公分母が存在しないようにサンプリングレートを選択することによって実現することができる。周期信号のプロファイルを再構築するために、信号の周期に対する各サンプルの相対的な位置に従って、収集されたデータが再配列される。したがって、複数の周期からのサンプルが一緒に組み合わされて、時間分解能が高められた信号のプロファイルが再構築される。この技術により、所望され、実現される分解能よりも非常に低いサンプリングレートを有する集光機器を用いて、周期信号の高分解能再構築が可能となる。
【0008】
本発明の技術は、典型的には、信号のサブ周期サンプリングを提供する照射パルスを用いてよいことには留意されたい。より具体的には、集光ユニットは、所定の(相対的に低い)サンプリングレートで動作してよく、一方照射ユニットは、信号の周期と同期してサブ周期サンプリングを提供する短パルスを提供する。したがって、集光ユニットは、照射ユニットのパルス幅よりも長い露光時間(積分時間)を用いてよく、一方照射パルスのタイミングが、サンプリングのタイミングを決定する。したがって、各照射パルスは、それぞれのサンプリングイベントに対応し、照射パルスの幅及び/又はプロファイルは、対応するサンプリングの露光時間及びプロファイルを決定する。
【0009】
例えば、ある実施形態によると、この技術は、サンプルのスペックルをベースとするモニタリングと組み合わせて用いられ得る。一般的に、サンプルの検査領域は、選択された波長範囲のコヒーレント照射によって照射され、反射及び/又は散乱によってサンプルから戻ってくる光は、中間平面を検出器アレイ上にイメージングすることによって(例:デフォーカスカメラユニットを用いて)集光される。そのように作成されたイメージデータは、検査領域から戻ってくる光成分間の干渉の結果である二次スペックルパターンに関するデータを提供する。スペックルパターンに関連するイメージデータピースのシーケンスは、検査領域に関するデータを提供し(例:振動、移動、及び/又は方向の変化)、連続するスペックルパターン間の相関を特定することによって、このデータは、イメージデータピースの収集レートに対応する所望されるサンプリングレートで特定され得る。したがって、本発明の技術は、信号周期性に関するデータを用い、データ収集のサブサンプリング同期を用いることによって、有効サンプリングレートを高めることができる。
【0010】
スペックルをベースとする検出のコンテクストにおいて、本発明の技術は、照射シーケンスパターンに従って決定されるサンプリングレートを用いる。より具体的には、検査領域は、コヒーレント照射のパルスシーケンスで照射され得る(例:スイッチレーザー又はパルスレーザーを用いる)。加えて、検査領域から戻ってくる光は、対応するサンプリングレートで集光されて、いくつかの周期(例:2以上、3以上、又はこれらよりも多い数の周期)のサンプリング時間に沿って戻ってくる光の二次スペックルパターンを表す複数のイメージデータピースが特定される。複数のイメージデータピースは、信号の周期に対する時間的サンプリング位置に従って配列されて、周期信号の1又は複数の再構築された完全周期をマッピングするイメージデータピースのシーケンスが形成される。スペックルをベースとする検出技術によると、再配列されたイメージデータピースは、連続するスペックルパターン(再配列された順番の)の間の相関を特定するために、したがって、サンプリングレートよりも高い時間分解能で、信号プロファイルを含むサンプルの様々な所望されるパラメータを特定するために、さらに処理され得る。
【0011】
検出されるべき信号の周期性は、信号に固有のものであってよく(例:心拍数及び血流プロファイル)、又は外部刺激によって導入されてもよい。より具体的には、本発明のシステムは、サンプルに対して、すなわち、検査領域に対して直接、又は概ねサンプルの1又は複数の選択された領域に対して、選択された周期刺激を適用するように構成された刺激ユニットを含んでもよく、システムは、選択されたサンプリングレートで検査領域の応答に関するデータを収集することによって、所望される分解能(サンプリングレートよりも高い)としてサンプルの応答関数を再構築し得る。
【0012】
したがって、本発明の広い態様によると、周期信号の検出に用いられる方法が提供され、この方法は、周期信号の周期性に関するデータを提供すること;前記信号の複数の周期に沿って、前記周期信号を、前記周期信号の周期内に非整数の数のサンプルを有するように選択されるサンプリングレートでサンプリングすること;サンプリングされたデータピースを、そのサンプル時間に従って、前記周期信号の周期内の時間に対して配列すること;並びにサンプリングされた前記複数の周期から、前記サンプリングレートに伴う分解能よりも高い所望される分解能で、前記周期信号のプロファイルを再構築すること、を含む。
【0013】
別の選択肢として、又は加えて、本発明の広い態様によると、周期信号の検出に用いられる方法が提供され、この方法は:
周期信号の周期性に関するデータを提供すること;
少なくとも1つのサンプリングイベントのその対応する周期に沿った時間位置が、所望される数の周期にわたって各周期において変動するように選択されるサンプリングレートで、前記信号の複数の周期に沿って前記周期信号をサンプリングすること;
サンプリングされたデータピースを、そのサンプル時間に従って、前記周期信号の周期内の時間に対して配列すること;並びに
サンプリングされた前記複数の周期から、前記サンプリングレートに伴う分解能よりも高い所望される分解能で、前記周期信号のプロファイルを再構築すること、
を含む。
【0014】
ある実施形態では、サンプリングレートは、前記周期信号の周期内に非整数の数のサンプリングイベントを有するように選択されてよい。他のある実施形態では、サンプリングイベントは、前記周期信号の周期間で時間的にシフトされてよい。
【0015】
前記周期信号をサンプリングすることは、前記選択されたサンプリングレートを有するパルス照射を検査領域に提供すること、及び前記検査領域から戻ってくる光に関するデータを、所定のフレームレート、前記パルス照射のパルス幅よりも長い集光の積分時間で収集することを含む。
【0016】
一般的に、ある実施形態では、パルス照射のサンプリングレートは、集光の各フレームが、照射のそれぞれの単一パルスに対応するように決定され得る。
【0017】
本発明の1つの他の広い態様によると、周期信号の検出に用いられる方法が提供され、この方法は、信号の周期性に関するデータを提供すること、前記周期信号の検出のために、目的の領域上へ選択された繰り返し率のパルス光学照射を指向させること、前記検査領域から戻ってくる光に形成されたスペックルパターンに対応する複数のデータピースを収集すること、並びに前記複数のデータピースを処理して、前記周期信号のプロファイルを特定すること、を含み、前記処理は、前記複数のデータピースを、前記周期信号の周期に対する各データピースの時間位置に従って配列すること、及び配列された順番において連続するスペックルパターン間の相関に関するデータを特定することを含み、前記相関データは、前記周期信号のプロファイルを表す。
【0018】
ある実施形態によると、複数のデータピースの収集は、所定のフレームレート及び前記パルス光学照射のパルス幅と比較して長い積分時間で集光ユニットを動作させることを含んでよく、それによって、前記パルス照射の繰り返し率及びタイミングが、前記信号のサンプリングインスタンスを決定する。
【0019】
パルス照射の前記繰り返し率は、照射パルスが前記周期信号の周期間で時間的にシフトされるように、周期信号の前記周期性に従って選択されてよい。
【0020】
複数のデータピースの収集は、パルス照射の繰り返し率に対応するサンプリングレートを用いてよい。
【0021】
前記パルス照射は、一般的に、選択された波長範囲を有するコヒーレント照射を含んでよい。
【0022】
ある実施形態によると、前記信号の周期性に関するデータを提供することは、所定の周期時間プロファイルに従って目的の領域を刺激することを含んでよく、信号の周期性は、所定の周期時間プロファイルに依存する。
【0023】
本発明のなお別の広い態様によると、信号のモニタリングに用いるためのシステムが提供され、このシステムは、選択された繰り返し率を有するコヒーレントパルス照射を検査領域に指向させるように構成された照射ユニット、前記検査領域から戻ってくる光によって発生されるスペックルパターンに関連するイメージデータを収集するように構成された集光ユニット、並びに前記照射ユニット及び前記集光ユニットの動作の制御、及びスペックルパターンに関する前記収集されたデータの複数のイメージデータピースに対応する入力データの集光ユニットからの受信、及び1又は複数の周期信号のプロファイルを特定するための前記入力データの処理のために構成され、そのように動作可能であるコントロールユニットを含み;前記コントロールユニットは、前記複数のイメージデータピースを、前記周期信号の周期に対する各データピースの時間位置に従って配列し、配列された順番において連続するスペックルパターン間の相関に関するデータを特定することによって前記入力データを処理するように構成される。
【0024】
コントロールユニットは、所定のフレームレート及び積分時間で集光ユニットを動作させるように、並びに照射ユニットのパルスタイミングを同期させて前記周期信号のサブ周期サンプリングを提供するように構成されてよく、そのように動作可能であってよい。
【0025】
ある実施形態では、集光ユニットによって取り込まれた各フレームは、照射ユニットによる照射のそれぞれの単一のパルスに対応するか、又は関連付けられていてよい。
【0026】
加えて、又は別の選択肢として、コントロールユニットは、照射ユニット及び集光ユニットのいずれのサンプリングレートよりも高い分解能で前記1又は複数の周期信号のプロファイルを特定するように構成されてよい。
【0027】
さらに、ある実施形態によると、集光ユニットは、検査領域から戻ってくる光に関連するデフォーカスイメージデータを収集するように構成されたカメラユニットを備えてよい。
【0028】
上記で述べたシステムは、前記周期信号をサブ周期サンプリングするように構成されてよく、前記コントロールユニットは、前記照射ユニットのパルスタイミングを同期させて、前記周期信号の異なる周期の照射タイミング間で時間的シフトを提供するように構成される。
【0029】
ある実施形態によると、前記コントロールユニットは、前記周期信号の周期内に非整数の数のパルスを有するようにパルスタイミングを選択するように構成される。
【0030】
さらに、ある実施形態によると、コントロールユニットは、照射ユニットに、前記周期信号の各周期の過程で所定の数のパルスを放射させるように、及び前記周期信号の周期間で所定の数の信号を時間的にシフトさせるように構成されてよい。
【0031】
本明細書で述べるシステムは、さらに、周期時間プロファイルに従って検査領域を刺激するように構成された刺激ユニットをさらに備えてよい。ある実施形態では、コントロールユニットは、前記刺激ユニットの動作を制御するように構成されてよい。
【0032】
ここで、本明細書で開示される主題をより良く理解する目的で、及びそれを実際に実行し得る方法を例示する目的で、実施形態を、単なる限定されない例として、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態に従うサンプルのリモートモニタリングに用いるためのシステムを例示する。
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態に従うシステムに用いるためのコントロールユニットの構成を例示する。
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態に従う測定技術を、ブロック図の形態で例示する。
【
図4】
図4は、様々なサンプリングレートを用いた本発明のある実施形態に従う測定を示すサンプリングトレイン及び例示的な周期信号の図である。
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態に従う測定を示すシフトされたサンプリングトレイン及び例示的な周期信号の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
上記で示したように、本発明の技術は、周期信号プロファイルの再構築を、信号の測定に用いられるサンプリングレートよりも高いものであり得る所望される分解能で行うことを提供する。本発明の技術に従うサンプルの光学的モニタリングに用いるためのシステム1000を示す
図1を参照する。この例のシステム1000は、スペックルをベースとするモニタリングに用いられるように構成されており、パルスコヒーレント光照射を検査領域R上に指向させるように構成された照射ユニット200、及び検査領域Rから戻ってくる光を集光し、検査領域Rと集光ユニット300との間に位置する中間平面Pをイメージングすることによって二次スペックルパターンを表すイメージデータピースのシーケンスを作成するように構成された集光ユニット300を含む。しかし、本発明の技術は、スペックルをベースとするモニタリング又は光学的モニタリングに限定されず、ある特定のサンプリングレートを有する既知のいかなるモニタリング技術によって収集された周期信号の再構築にも用いられ得ることには留意されたい。スペックルをベースとする光学的モニタリングの本発明の限定されない例では、照射ユニット200及び集光ユニット300は、動作モードを決定するように構成され、収集されたデータを受信、処理するようにも構成されていてよいコントロールユニット500と接続され、コントロールユニット500によって動作可能である。しかし、ある実施形態では、コントロールユニット500は、場合に応じて、収集されたデータをリモート処理のために記憶及び/又は転送してもよいことには留意されたい。
図1にさらに示すように、システム1000は、選択された刺激(例:超音波刺激)を選択された繰り返し率(刺激周期性/周期時間プロファイル)で発生させ、それをサンプル又はその近傍に指向させるように構成された刺激モジュール400を含んでいてもよい。
【0035】
一般的に、照射ユニット200は、レーザーユニット(例:q−スイッチ、又はそれ以外のパルスレーザー)などの光源ユニットを含み、検査領域Rに向かう発生された照射を適切に指向させ、適切な形として検査領域R上に1又は複数の照射スポットを形成するための1又は複数の光学素子を含んでもよい。ある構成では、この光学装置は、発生された照射を調節し(例:連続波(CW)光源が用いられる場合)、選択された繰り返し率及びパルス幅でパルス状の照射を提供するように構成された制御可能なシャッターを含んでよく、別の選択肢として、Q−スイッチレーザー又は他の何らかのパルスレーザーが用いられてもよい。照射ユニット200によって提供される光の繰り返し率は、コントロールユニット500によって制御可能であり、典型的には、測定されるべき周期信号の周期性に関する既知の又は予め提供されたデータに従って選択される。制御ユニットはまた、周期信号のサンプリングの最適化を可能とするパルス幅に対する制御も可能とし得る。
【0036】
集光ユニット300は、一般的に、検査領域Rと検出器アレイとの間に位置する中間平面Pに基づいてイメージデータを収集するように構成された光学装置及び検出器アレイを含む。より詳細には、光学装置及び検出器アレイは、それらの間の相対的位置及び光学装置の光パワーによって、中間オブジェクト平面をイメージングするように、したがって、検査領域Rのデフォーカスイメージングを提供するように配置される。これによって、反射及び/又は散乱によって検査領域から戻ってくる光成分の干渉に起因して発生される二次スペックルパターンに対応するイメージデータが形成される。集光ユニット300は、典型的には、コントロールユニット500により、選択されたサンプリングレート及び所望に応じて露光時間で動作可能である。サンプリングレートは、各照射パルスについて、対応するイメージデータピースを収集することができるように、照射ユニットの繰り返し率に従って選択される。露光時間は、選択されたレートでのサンプリングが可能となるのに十分に短く選択されてよいが、有効な露光時間は、照射ユニット200のパルス幅によって決定されてもよく、相対的に低速度のカメラユニット又は検出器の使用が可能となる。
【0037】
コントロールユニット500は、照射ユニット200及び集光ユニット300の、並びにある実施形態では、刺激ユニット400の動作を制御するように構成され、そのように動作可能である。コントロールユニット500は、一般的に、本発明の技術に従って、収集されたイメージデータピースを受信し、処理するように、又は本発明のある実施形態に従って、さらなる処理のために、収集されたイメージデータピースを記憶し、送信するように構成され得る。
図2は、ある実施形態に従うコントロールユニット500の構成を、より詳細に模式的に示したものである。これに関連して、コントロールユニット500は、1又は複数のプロセッサ、メモリユーティリティ、入力/出力通信ポート、及び/又はコントロールインターフェースを含む演算ユニットとして構成されてもよい。コントロールユニット500は、検出されるべき信号の周期性に関する入力された又は予め記憶されたデータをインストールするためのメモリセクターを割り当ててよく、本発明の技術に従って照射及び集光ユニット(200及び300)の動作を制御するために、及び集光ユニットから入力ポートを介して受信した入力データを処理して、選択された時間分解能での周期信号に関するデータを提供するために、この記憶されたデータを用いてよい。
【0038】
図2に示されるように、コントロールユニットは、典型的には、処理ユーティリティ600、メモリユーティリティ700、並びにコントロールユニット500と、照射ユニット200、集光ユニット300、及び/又は刺激ユニット400との間でデータを送信及び受信するように、さらには、用いられる場合はネットワーク通信及びユーザーインターフェースを提供するようにも一般的には構成される入力/出力通信ポート800を含んでよい。
【0039】
処理ユーティリティ600は、一般的には、1又は複数のコンピュータプロセッサとして実装されてよく、その動作に関連するいくつかのハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールを含んでよい。加えて、処理ユーティリティは、システムのサンプリングレート(例:照射ユニット200の繰り返し率、及び所望に応じて、集光ユニット300の対応するサンプリングレート)を選択するように構成されたサンプリングレート選択モジュール610;以下でさらにより詳細に記載されるように、収集された入力データを受信し、受信したデータを相対的時間スタンプ及び周期信号の周期に従って配列するように構成されたデータ配列モジュール620;入力データピースのシーケンスを受信し、連続するデータピース間の相関を特定するように構成された相関モジュール630;並びに相関モジュール630によって特定された相関に従って再構築された信号のプロファイルを特定するように構成された信号再構築モジュール640、を含む。処理ユーティリティ600はまた、用いられる場合、サンプルに適用される外部刺激のレート/周期性を制御するように構成された刺激レートモジュール650も含んでよい。
【0040】
サンプリングレート選択モジュール610は、測定されるべき周期信号の周期性に関する既知の又は予め提供されたデータに従って、照射ユニット200の動作レートを決定するように構成され、そのように動作可能である。ある構成では、測定されるべき周期信号の周期性に関するそのようなデータは、システムによって実施される初期測定において特定されて、メモリユーティリティに記憶され得る。より具体的には、測定された信号を所望される分解能で再構築するための収集されたデータの処理を可能とするためには、信号の異なる周期が、各周期内での異なる時間位置でサンプリングされることが好ましい。周期間でのそのようなサンプリングインスタンスのシフトを提供するために、サンプリングレート選択モジュール610は、決定を行って照射ユニット及び/又は集光ユニットを制御し(本発明の例では、サンプリングレートは、パルス状の照射の繰り返し率及び時間位置によって決定され得る)、以下の技術のうちの1又は複数を用いて検査領域からデータをサンプリングする:システムのサンプリングレートが、選択された閾値よりも高い、例えば、3、4、5、又は他のいずれかの選択された閾値よりも高い、周期信号の周期性との最小公分母を有するように選択され得る;サンプリングインスタンスが、シフトしたサンプリングインスタンスが得られるように、周期間でシフトされ得る。
【0041】
サンプリングレート、及び信号周期に対するサンプル(スペックルパターン)収集のタイミング間の同期は、一般的には、集光ユニット300の実際のサンプリングレートに関わらず選択されてよいことには留意されたい。より具体的には、集光ユニット300は、所定のフレームレートで(ユニットの能力に応じて)、照射を集光し、対応するイメージデータピースを作成するように動作されてよく、一方サブ周期同期は、照射ユニット200の照射パルスのタイミングによって決定される。このことにより、照射タイミング(照射シーケンス)を調節することによって、一般的には予め決定された集光タイミング(フレームレート)で、サブ周期サンプリングが得られる。上記で述べたように、照射タイミング及び集光タイミングは、好ましくは、各フレームが1つの照射パルスからの光だけを集光するように選択される。照射パルスのタイミングは既知であることから、データ配列モジュール620は、光パルスのタイミングに従う相対的時間スタンプに従って受信したデータを配列するように構成される。
【0042】
したがって、一般的に、システムには、検出されるべき信号の周期性に関するデータが提供されてよく、このデータは、システム又は外部システムによって、既知のいかなる技術で特定されてもよい。例えば、システム1000は、最初は、例えば米国特許第8,638,991号に記載の通りのスペックルをベースとするモニタリングを用いて検査領域Rをモニタリングし、検出されるべき信号の周期性を特定するために、周期性検出モードで動作されてよい。検出されるべき周期信号の周期性に関するデータに従って、サンプリングレート選択モジュール610は、対応する周期信号の測定のために好ましい選択されたサンプリング周波数を決定するように動作してよい。サンプリングレートは、サンプリングレート及び周期信号の周期性が、相対的に高い最小公分母(例:サンプリングされたデータの再配列によって折り畳まれるべき周期数に関連する所定の閾値よりも大きい)を有するように選択されてよく、したがって、信号周期とサンプリングインスタンスとの間の時間的変動は、時間と共に変化し、信号及びサンプリングが一緒にサイクルを完了するためには、ある特定の数のサイクルが必要である。例えば、毎分60イベントの周期性を有する周期信号を測定する場合(例:毎秒1パルス又は1Hzの速さの心拍)、サンプリングレート選択モジュール610は、例えば5.2Hz、3.7Hz、10.2Hzなどの非整数のサンプリングレートを決定し得る。したがって、それぞれの秒の間に、サンプリングインスタンスの時間位置が変化する(周期信号の周期に対して、又は何らかの任意のクロックに対して)。別の選択肢として、サンプリングレート選択モジュール610は、検出されるべき周期信号の周期性に関わらず、所定のサンプリングレートを選択するように動作してもよく、サンプリングインスタンス間に選択された又はランダムな時間シフトを導入して、サンプリングインスタンスと測定された信号の周期との間にシフトを発生させてよい。これら2つのサンプリングレートの関係の例を、
図3及び
図4に示し、さらに以下でより詳細に記載する。
【0043】
サンプリングレート選択モジュール610は、さらに、照射ユニット200を動作させるように、及びある実施形態では、さらに集光ユニット300を、又はサンプルデータピースの収集のために、選択されたレートで周期信号に関するデータをサンプリングするためにシステム1000に装備され得る概ね他のいかなるユニットをも動作させるように構成され、そのように動作可能である。スペックルをベースとするモニタリングのこの例では、照射ユニット200は、一般的に、照射パルスの時間位置がサンプリングインスタンスを決定するように、相対的に短いパルス幅(選択された繰り返し率と比較して)を有するパルスコヒーレント照射を提供するように動作される。集光ユニット300は、所定のサンプリングレートで動作されてよく、同時に、サンプリングがパルス状の照射によって実際に決定されるように、照射パルス幅よりも長いイメージ取得時間(積分時間)で構成されてよい。別の選択肢として、ある実施形態では、集光/サンプリングユニットはまた、所望されるサブ周期サンプリングと同期されてよい。スペックルをベースとするモニタリングにおいて上記で示したように、集光ユニットは、一般的に、検査領域Rと集光ユニット300との間の光の伝播に沿った中間平面に関連するイメージデータを収集してよく、それによって、二次スペックルパターンに関連するイメージデータピースが作成される。したがって、集光ユニットは、対応するサンプリングインスタンスに関連する複数のデータピースを含むデータシーケンスを作成する。
【0044】
集光ユニットによって(又は用いられる場合は、他の何らかの種類のサンプリングユニットによって)収集されたデータシーケンスは、再配列及び処理のために、一般的には入力通信ポート800又はそのサブポートを介して、コントロールユニット500に送信される。一般的に、処理ユーティリティ600のデータ配列モジュール620は、サンプリングされたデータピースのシーケンスを集光ユニット300から受信し、サンプリングインスタンス(データピース)の配列を、測定されるべき信号の周期に対するその時間シフトに従って決定するように動作可能である。データ配列モジュール620は、サンプリングインスタンスに関連する各データピースについて、データピースの時間スタンプ、及び周期信号の選択された参照点からの時間スタンプ(例:周期開始からの時間)の間の関係を特定するように構成されてよく、そのように動作可能であってよい。例えば、データ配列モジュールは、周期信号の周期長さをモジュロとするサンプリングインスタンス(時間スタンプ)の時間を表すデータを特定してよく、収集されたデータピースを特定されたモジュロ演算に従って配列してよい。したがって、収集されたサンプリングデータピースは、周期信号のいくつかの(1、2、又は3つの)周期に沿ったそれらの相対的な位置に従って配列され、信号の高分解能での再構築が可能とされる。再構築された分解能は、再構築された信号におけるサンプリングインスタンスの数に基づいて決定され、それは、サンプリング及び再構築に用いられた信号の周期数に関係する。
【0045】
一般的に、ある構成では、所望される信号は、オーバーサンプリングで再構築されてよく、すなわち、2つ以上の周期が再構築されるか、又は2つ以上のサンプリングインスタンスが、各時間スタンプに対して用いられる。これは、測定された信号を平均化し、繰り返し周期及び/又はノイズの間の変動を平滑化するために用いられる。
【0046】
例えば、周期信号の1周期をs(t)とし、サンプリング周波数が、M周期後にサンプリングが繰り返されるように、1/δtとして選択されるとする(すなわち、サンプリングバンド幅を実質的にM倍増加させる)。したがって、M周期(例:M=3、5、又は所望されるいずれかの数字)から収集されたデータは、対応する再構築分解能の増加を可能とする。別の選択肢として、M周期からサンプリングされたデータは、再配列されて、信号の2又は3つの周期を形成してもよく、それによって、サンプリング分解能がM/2又はM/3倍増加し、同時にノイズの影響を低減するために、2又は3つの信号周期が平均化される。
【0047】
サンプリングは、パルスレーザー(照射ユニット200)によってサンプルを照射することによって行われる。レーザーのサンプリングパルスの周波数及び/又は時間位置を適切に調節することによって、以下の3セットのサンプルが得られる。測定された周期信号の第一周期に対しては:
【0053】
式中、s(t)は、信号であり、δ(t)は、離散(デジタルサンプリング)を表すために用いられるデルタ関数であり、nは、信号再構築に用いられるデータピースの数であり、Mは、データ収集の周期数であり、δtは、再配列された信号における2つの連続するサンプリングのデータピース間での時間差である。
【0054】
これは、δt/Mのサブサンプリング周期シフトを提供する。上記で示したように、サブサンプリング周期は、集光ユニットのサンプリングレート及びタイミングではなく、照射ユニット200のパルス変調によって決定され得、したがって、相対的に低速度のカメラの使用が可能となる。
【0055】
さらに、収集されたサンプルのデータピースは、測定された信号の周期に対するその時間位置に従って再配列される。例えば、第一の周期からの第一のサンプル、第二の周期からの第一のサンプル、第三の周期からの第一のサンプル、第一の周期からの第二のサンプル、第二の周期からの第二のサンプル、第三の周期からの第二のサンプルなどである。得られる結果は、サンプリング周波数の3倍でサンプリングされた信号である。
【0057】
式中、tは、時間を意味し、nは、信号再構築に用いられるデータサンプルの数である。
【0058】
スペックルをベースとするモニタリングの例を用いると、信号の再構築は、連続するスペックルパターン間の、すなわち、サンプルデータピース間の相関を特定することに基づき得る。しかし、本発明の技術が、測定される各データピースが測定されるべき信号と直接関連していても、又は関連していなくてもよい他の測定システムに用いられてもよいことには留意されたい。収集されたスペックルパターンのデータピース間の相関を特定するために、処理ユーティリティ600は、配列モジュール620からイメージデータピースの配列されたシーケンスを受信するように構成された相関モジュール630を含んでよく、配列されたセットにおける各1対の連続するデータピース間の相関関数を特定してよい。相関関数データは、さらに、信号の再構築のために、信号再構築モジュール640に転送される。各サンプルが測定された信号と直接関連している実施形態では、サンプルの配列されたセットが、信号再構築のために再構築モジュール640に送信されてよい。
【0059】
上記でやはり示したように、コントロールユニットは、刺激ユニット400と接続可能であり、所望される所定の刺激周期性で刺激ユニット400を動作させるように構成され、そのように動作可能である刺激モジュール650を含んでよい。これによって、外部の力の周期性が既知である場合、周期性に関するデータを得ることが必要とされ得るサンプルの内部周期信号の測定を行うのではなく、外部周期信号に対する応答の測定が可能となる。
【0060】
サンプリングされたデータの処理は、システム1000の中でローカルで行われてよく、又は上記で述べた技術に従って、リモート処理に転送されてもよいことには留意されたい。
図3は、本発明の技術の主要な操作を、ブロック図の形態で示す。上記で示したように、所望される分解能(概ね、いかなる分解能であってもよい)で周期信号をサンプリングするために、この技術は、測定されるべき周期信号の周期性に関するデータを提供することを含む(3010)。周期性に基づいて、この技術は、測定される信号の異なる周期に対するサンプリングインスタンスの相対的時間のシフトが得られるように上記で述べたように選択されるサンプリングレートの選択及び決定を行うことを含む(3020)。選択されたサンプリングレートは、所定のサンプリング時間にわたって固定されていてよく、又は上記で述べたように、測定される信号の周期間での時間的シフト及び遅延を用いてもよい。シグナルのサンプリング(3030)は、適切なサンプリング技術を用いて、選択されたサンプリングレートで行われ、処理のためのサンプリングされた複数のデータピースが得られる。サンプリングされたデータピースの処理は、信号の周期内での対応する時間位置に従ってデータピースを配列すること(3040)、及び配列されたデータから信号を再構築すること(3050)を含む。
【0061】
本発明の技術と共に用いることができるサンプリングレートシフトのための2つの技術を例示する
図4及び
図5を参照する。
図4は、周期信号s1(t)、及び信号s1(t)の各周期内に非整数の数のサンプリングインスタンスが存在するように選択される繰り返し率を有するサンプリングトレインq1(t)を示す。これは、信号s1(t)の異なる周期のサンプリング時間の間にシフトを提供する。
図5は、別の周期信号s2(t)及びサンプリングトレインq2(t)のサンプリングを示す。サンプリングトレインは、第一周期τ後に、第一周期のサンプリングインスタンスの位置に対して選択された時間シフト(所望される再構築分解能に従って決定)でシフトされる(q2’(t))。
【0062】
したがって、本発明の技術は、減少されたサンプリングレートでの周期信号のサンプリングを提供し、それによって、サンプリングレートよりも高い所望される分解能での信号プロファイルの再構築を可能とするデータを提供するものである。
【国際調査報告】