(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-537505(P2019-537505A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】水からの硝酸塩の除去
(51)【国際特許分類】
C02F 3/34 20060101AFI20191129BHJP
A01K 63/04 20060101ALI20191129BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20191129BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
C02F3/34 101A
C02F3/34 101B
C02F3/34 Z
C02F3/34 101D
A01K63/04 A
C12M1/00 Z
C12N1/20 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-519231(P2019-519231)
(86)(22)【出願日】2017年10月3日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月22日
(86)【国際出願番号】US2017054958
(87)【国際公開番号】WO2018067581
(87)【国際公開日】20180412
(31)【優先権主張番号】15/284,720
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519122116
【氏名又は名称】ジョージア アクアリウム インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドーヴ, アリステア
(72)【発明者】
【氏名】ホール, エリック
【テーマコード(参考)】
2B104
4B029
4B065
4D040
【Fターム(参考)】
2B104CA01
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(57)【要約】
硫黄脱窒システムは、硝酸塩を含む塩水源に流体的に結合された液体供給口;塩水源に流体的に結合された液体取出口;複数の垂直配向タンクであって、該タンクのうちの少なくとも1つが、塩水の流れを受け取るように液体供給口に流体的に結合された液体注入口と、硝酸塩を亜酸化窒素又は窒素ガスのうちの少なくとも一方へと生物学的に変換する脱窒菌を担持する複数の硫黄粒子を封入するように構成された容積と、タンクの液体取出口及び液体注入口に流体的に結合された液体排出口とを含むタンク;並びに、液体供給口を通じて複数のタンクの液体注入口へ、複数のタンクを通り、かつ、該タンクの液体排出口から該タンクの液体取出口及び液体注入口へと、塩水の一部を循環させるように構成された循環システムを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄脱窒システムであって、
硝酸塩を含む塩水源に流体的に結合された液体供給口と、
塩水源に流体的に結合された液体取出口と、
複数の垂直配向タンクであって、該タンクのうちの少なくとも1つが、
塩水の流れを受け取るように液体供給口に流体的に結合された液体注入口と、
硝酸塩を亜酸化窒素又は窒素ガスのうちの少なくとも一方へと生物学的に変換する脱窒菌を担持する複数の硫黄粒子を封入するように構成された容積と、
タンクの液体取出口及び液体注入口に流体的に結合された液体排出口と
を含むタンクと、
液体供給口を通じて複数のタンクの液体注入口へ、複数のタンクを通り、かつ、該タンクの液体排出口から該タンクの液体取出口及び液体注入口へと、塩水の一部を循環させるように構成された循環システムと
を含む硫黄脱窒システム。
【請求項2】
複数のタンクが、液体供給口と液体取出口との間に並列に流体的に結合されている、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項3】
複数のタンクのうちの少なくとも1つが、複数の炭酸カルシウム粒子を封入するように構成された容積を含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項4】
複数の炭酸カルシウム粒子を封入するように構成された容積に流体的に結合された二酸化炭素注入装置であって、二酸化炭素の流れを容積内へと循環させるように構成された二酸化炭素注入装置をさらに含む、請求項3に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項5】
タンクの液体排出口と複数のタンクの液体注入口との間に流体的に結合された流量制御装置をさらに含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項6】
流量制御装置が、タンクの液体排出口と複数のタンクの液体注入口との間に結合されたバイパス導管に配置された調節弁を含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項7】
脱窒菌がチオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus・denitrificans)を含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項8】
複数のタンクのうちの少なくとも1つが、タンクの上部又はその近くに配置されたガス放出装置であって、タンク内の容積を開放し、かつ、その容積内の設定圧力以上の周囲環境に流体的に結合するように構成されたガス放出装置をさらに含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項9】
液体取出口が、循環システム内の塩水の圧力を周囲圧力又はその近くへと低下させるように構成された膨張弁と、該膨張弁に隣接して配置されたガス放出装置とを含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項10】
循環システムが、液体供給口、液体取出口、及び複数のタンクに流体導管で流体的に結合された1つ以上のポンプを含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項11】
液体供給口、液体取出口、又は液体排出口のうちの少なくとも1つに取り付けられた、少なくとも1つの温度センサ;及び
液体供給口、液体取出口、又は液体排出口のうちの少なくとも1つに取り付けられ、かつ、塩水の流れの温度を上昇させるように構成されたヒーター
を備えた温度制御システムをさらに含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項12】
液体供給口、液体取出口、又は液体排出口のうちの少なくとも1つに取り付けられた、少なくとも1つの酸化還元電位センサ;及び
液体取出口に取り付けられ、かつ、オゾンを塩水の流れへと注入するように構成された、1つ以上のオゾン接触装置
を含むオゾンシステムをさらに含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項13】
塩水源が、人工の動物生息環境を含む、請求項1に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項14】
人工の動物生息環境が、水族館又は再循環水産養殖システムのうちの少なくとも一方を含む、請求項13に記載の硫黄脱窒システム。
【請求項15】
硫黄脱窒方法であって、
塩水を、硝酸塩を含む塩水源から液体供給口を通じて複数の垂直配向タンクへと循環させること;
塩水の少なくとも一部を、複数のタンクのうちの少なくとも1つの液体注入口を通じて、かつ、タンク内の脱窒菌を担持する複数の硫黄粒子を通じて循環させること;
硝酸塩の少なくとも一部を、脱窒菌を用いて、亜酸化窒素又は窒素ガスのうちの少なくとも一方へと変換させること;
塩水の一部を、複数のタンクの容積から該複数のタンクの液体排出口を通して循環させること;
液体排出口から循環した塩水の一部を塩水の第1の流れ及び塩水の第2の流れに配分すること;
塩水の第1の流れを液体排出口から塩水源へと循環させること;及び
塩水の第2の流れを複数のタンクの液体注入口へと循環させること
を含む方法。
【請求項16】
塩水の一部を垂直配向タンクに通して並行に循環させることをさらに含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項17】
塩水の別の一部分を、複数のタンクのうちの別のタンクの液体注入口を通じて、かつ、他のタンク内に封入された炭酸カルシウムを通じて循環させることをさらに含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項18】
炭酸カルシウムを封入する他のタンクに二酸化炭素を注入すること;及び
注入された二酸化炭素に基づいて、塩水の他の部分への炭酸カルシウムの溶解速度を増加させること
をさらに含む、請求項17に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項19】
炭酸カルシウムを封入する他のタンクに二酸化炭素を注入することが、
塩水のpHレベルを閾値pHと比較すること;
比較に基づいて、炭酸カルシウムを封入する他のタンクに二酸化炭素を注入すること
を含む、請求項18に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項20】
液体排出口から液体注入口への塩水の第2の流れの流量を制御することをさらに含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項21】
脱窒菌が、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus・denitrificans)を含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項22】
少なくとも1つのタンクから周囲環境へと窒素ガスを放出することをさらに含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項23】
塩水源へと循環する塩水の第1の流れの圧力を、周囲圧力又はその近くまで低下させること;及び
圧力の低下に基づいて、塩水の第1の流れから窒素ガスを放出すること
をさらに含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項24】
複数のタンクの液体注入口へと循環する塩水の第2の流れの圧力を、周囲圧力又はその近くまで低下させること;及び
圧力の低下に基づいて、塩水の第2の流れから窒素ガスを放出すること
をさらに含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項25】
塩水源が人工の動物生息環境を含む、請求項15に記載の硫黄脱窒方法。
【請求項26】
硝酸塩を含む、ある容積の水を含む保水タンクと、
保水タンクから水の流れを受け取り、水の流れを複数の脱窒チャンバに通して循環させ、チャンバ内で硝酸塩の少なくとも一部を窒素ガスへと変換するように、保水タンクに流体的に結合された脱窒システムと、
制御システムであって、
水の流れに配置された少なくとも1つのセンサ;
1つ以上のハードウェアプロセッサ;及び
1つ以上のハードウェアプロセッサに結合され、かつ、1つ以上のハードウェアプロセッサによって実行されると、1つ以上のハードウェアプロセッサに、
少なくとも1つのセンサから、水の流れの硝酸塩濃度に関連した測定値を受け取り;
測定値を硝酸塩濃度設定値と比較し;かつ
硝酸塩濃度設定値を超える測定値に基づいて、脱窒システムの構成要素を調整すること
を含む動作を実行させる命令を保存するデータストア;
を含む制御システムと
を備えたシステム。
【請求項27】
脱窒システムの構成要素を調整することが、
脱窒システムの少なくとも1つの弁を調節して、複数の脱窒タンクの排出口から脱窒タンクの注入口へと直接再循環する水の流量を低下させること
を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
脱窒システムの構成要素を調整することが、
脱窒システムのポンプの速度を調整して、保水タンクから脱窒システムへの水の流量を低下させること
を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
脱窒システムの構成要素を調整することが、
脱窒システムのpHバランシングタンク内に二酸化炭素流体を注入して、水流への炭酸カルシウム又はアラゴナイトの溶解速度を増加させること
を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
脱窒システムの構成要素を調整することが、
脱窒システムの膨張弁を調整して、脱窒システムから保水タンクへと戻るように循環する水の流れの圧力を低下させること
を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
塩水保持タンクから複数のタンクへと塩水を循環させること;
塩水の第1の部分を、複数のタンクのうちの少なくとも1つに保管された硫黄及び脱窒菌を通して循環させて、硝酸塩濃度の低下速度で塩水中の硝酸塩濃度を低下させること;
塩水の第2の部分を、複数のタンクのうちの少なくとも別のタンクに保管された炭酸カルシウム又はアラゴナイトを通して循環させること;
複数のタンクの下流で、塩水の第1の部分及び第2の部分を混合すること;
複数のタンクのうちの別のタンクに二酸化炭素流体を注入すること;及び
少なくとも部分的に二酸化炭素流体の注入に基づいて、塩水中の硝酸塩濃度の低下速度を増加させること
を含む方法。
【請求項32】
注入された二酸化炭素流体に基づいて、塩水の第1の部分と第2の部分を混合した溶液に溶解させる炭酸カルシウム又はアラゴナイトの濃度を増加させること
をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも部分的に二酸化炭素流体の注入に基づいて、塩水中の硝酸塩濃度の低下速度を増加させることが、
塩水の第1の部分と第2の部分を混合した溶液中に溶解する炭酸カルシウム又はアラゴナイトの濃度の増加に基づいて、塩水中の硝酸塩濃度の低下速度を増加させること
を含む、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、水から硝酸塩を除去するためのシステム及び方法に関し、より詳細には、飼育観賞用の水槽又は再循環水産養殖システム、若しくはその両方のための脱窒システム用のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飼育観賞用の水槽及び動物生息環境を形成する他の容器などの保水タンクは、タンク内の水(例えば、塩水又は淡水)をリサイクル及び再利用することが多い。幾つかの事例では、リサイクル水の洗浄及び処理に幾つかの処理技術を使用することができる。例えば、不要な微粒子を除去することができ、水の化学組成を調整することができる。幾つかの事例では、タンク内に生息する動物並びにそれらが消費する食物は、例えば、食べ残しの飼料分解物及び動物の排泄物による水中の有害物質の発生源である。例えば、硝酸塩は、このような食べ残しの動物飼料及び動物の排泄物の副産物でありえ、水中に望ましくない濃度で発生すると、動物の健康に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
一般的な実施形態では、硫黄脱窒システムは、硝酸塩を含む塩水源に流体的に結合された液体供給口;塩水源に流体的に結合された液体取出口;複数の垂直配向タンクであって、該タンクのうちの少なくとも1つが、塩水の流れを受け取るように液体供給口に流体的に結合された液体注入口と、硝酸塩を亜酸化窒素又は窒素ガスのうちの少なくとも一方へと生物学的に変換する脱窒菌を担持する複数の硫黄粒子を封入するように構成された容積と、タンクの液体取出口及び液体注入口に流体的に結合された液体排出口とを備えている、タンク;並びに、液体供給口を通じて複数のタンクの液体注入口へ、複数のタンクを通り、かつ、該タンクの液体排出口から該タンクの液体取出口及び液体注入口へと、塩水の一部を循環させるように構成された循環システムを含む。
【0004】
一般的な実施形態と組み合わせることができる態様では、複数のタンクが、液体供給口と液体取出口との間に並列に流体的に結合されている。
【0005】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数のタンクのうちの少なくとも1つは、複数の炭酸カルシウム粒子を封入するように構成された容積を含む。
【0006】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、複数の炭酸カルシウム粒子を封入するように構成された容積に流体的に結合された二酸化炭素注入装置であって、二酸化炭素の流れを容積内へと循環させるように構成された二酸化炭素注入装置をさらに含む。
【0007】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、タンクの液体排出口と複数のタンクの液体注入口との間に流体的に結合された流量制御装置をさらに含む。
【0008】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、流量制御装置は、タンクの液体排出口と複数のタンクの液体注入口との間に結合されたバイパス導管に配置された調節弁を含む。
【0009】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、脱窒菌は、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus・denitrificans)を含む。
【0010】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数のタンクのうちの少なくとも1つは、タンクの上部又はその近くに配置されたガス放出装置であって、タンク内の容積を開放し、その容積内の設定圧力以上の周囲環境に流体的に結合するように構成されたガス放出装置をさらに含む。
【0011】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、液体取出口は、膨張弁及び該膨張弁に隣接して配置されたガス放出装置を含み、該膨張弁は、循環システム内の塩水の圧力を周囲圧力又はその近くへと低下させるように構成されている。
【0012】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、循環システムは、液体供給口、液体取出口、及び複数のタンクに流体導管で流体的に結合された1つ以上のポンプを含む。
【0013】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、液体供給口、液体取出口、又は液体排出口のうちの少なくとも1つに取り付けられた、少なくとも1つの温度センサと、液体供給口、液体取出口、又は液体排出口のうちの少なくとも1つに取り付けられ、かつ、塩水の流れの温度を上昇させるように構成されたヒーターとを含む温度制御システムをさらに含む。
【0014】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、液体供給口、液体取出口、又は液体排出口のうちの少なくとも1つに取り付けられた、少なくとも1つの酸化還元電位センサと、液体取出口に取り付けられ、オゾンを塩水の流れへと注入するように構成された、1つ以上のオゾン接触装置とを含むオゾンシステムをさらに含む。
【0015】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、塩水源は、人工の動物生息環境を含む。
【0016】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、人工の動物生息環境は、水族館又は再循環水産養殖システムのうちの少なくとも一方を含む。
【0017】
別の一般的な実施形態では、硫黄脱窒プロセスは、塩水を、硝酸塩を含む塩水源から液体供給口を通じて複数の垂直配向タンクへと循環させること;塩水の少なくとも一部を、複数のタンクのうちの少なくとも1つの液体注入口を通じて、かつ、タンク内の脱窒菌を担持する複数の硫黄粒子を通じて循環させること;硝酸塩の少なくとも一部を、脱窒菌を用いて、亜酸化窒素又は窒素ガスのうちの少なくとも一方へと変換させること;塩水の一部を、複数のタンクの容積から該複数のタンクの液体排出口を通して循環させること;液体排出口から循環した塩水の一部を塩水の第1の流れ及び塩水の第2の流れに配分すること;塩水の第1の流れを液体排出口から塩水源へと循環させること;及び、塩水の第2の流れを複数のタンクの液体注入口へと循環させることを含む。
【0018】
一般的な実施形態と組み合わせ可能な態様は、塩水の一部を垂直配向タンクに通して並行に循環させることをさらに含む。
【0019】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様はさらに、塩水の別の一部分を、複数のタンクのうちの別のタンクの液体注入口を通じて、かつ、他のタンク内に封入された炭酸カルシウムを通じて循環させることを含む。
【0020】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様はさらに、炭酸カルシウムを封入する他のタンクに二酸化炭素を注入すること;及び、注入された二酸化炭素に基づいて、塩水の他の部分への炭酸カルシウムの溶解速度を増加させることを含む。
【0021】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、炭酸カルシウムを封入する他のタンクに二酸化炭素を注入することは、塩水のpHレベルを閾値pHと比較すること;及び、比較に基づいて、炭酸カルシウムを封入する他のタンクに二酸化炭素を注入することを含む。
【0022】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様はさらに、液体排出口から液体注入口への塩水の第2の流れの流量を制御することを含む。
【0023】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、脱窒菌は、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus・denitrificans)を含む。
【0024】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様はさらに、少なくとも1つのタンクから周囲環境へと窒素ガスを放出することを含む。
【0025】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様はさらに、塩水源へと循環する塩水の第1の流れの圧力を、周囲圧力又はその近くまで低下させること;及び、圧力の低下に基づいて、塩水の第1の流れから窒素ガスを放出することを含む。
【0026】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様はさらに、複数のタンクの液体注入口へと循環する塩水の第2の流れの圧力を、周囲圧力又はその近くまで低下させること;及び、圧力の低下に基づいて、塩水の第2の流れから窒素ガスを放出することを含む。
【0027】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、塩水源は、人工の動物生息環境を含む。
【0028】
別の一般的な実施形態では、システムは、硝酸塩を含む、ある容積の水を含む保水タンク;保水タンクから水の流れを受け取り、水の流れを複数の脱窒チャンバに通して循環させ、チャンバ内で硝酸塩の少なくとも一部を窒素ガスへと変換するように、保水タンクに流体的に結合された脱窒システム;及び、制御システムを含む。該制御システムは、水の流れに位置するセンサ;1つ以上のハードウェアプロセッサ;及び、1つ以上のハードウェアプロセッサに結合され、かつ、1つ以上のハードウェアプロセッサによって実行されると、センサから、水の流れの硝酸塩濃度に関連した測定値を受け取ること;測定値を硝酸塩濃度設定値と比較すること;及び、硝酸塩濃度設定値を超える測定値に基づいて、脱窒システムの構成要素を調整することを含む動作を1つ以上のハードウェアプロセッサに実行させる命令を保存する、データストアを含む。
【0029】
一般的な実施形態と組み合わせ可能な態様では、脱窒システムの構成要素を調整することは、脱窒システムの少なくとも1つの弁を調節して、複数の脱窒タンクの排出口から脱窒タンクの注入口へと直接再循環する水の流量を低下させることを含む。
【0030】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、脱窒システムの構成要素を調整することは、脱窒システムのポンプの速度を調整して、保水タンクから脱窒システムへの水の流量を低下させることを含む。
【0031】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、脱窒システムの構成要素は、脱窒システムのpHバランシングタンク内に二酸化炭素流体を注入して、水流への炭酸カルシウム又はアラゴナイトの溶解速度を増加させることを含む。
【0032】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、脱窒システムの構成要素を調整することは、脱窒システムの膨張弁を調整して、脱窒システムから保水タンクへと戻るように循環する水の流れの圧力を低下させることを含む。
【0033】
別の一般的な実施形態では、方法は、塩水保持タンクから複数のタンクへと塩水を循環させること;塩水の第1の部分を、複数のタンクのうちの少なくとも1つに保管された硫黄及び脱窒菌を通して循環させて、硝酸塩濃度の低下速度で塩水中の硝酸塩濃度を低下させること;塩水の第2の部分を、複数のタンクのうちの少なくとも別のタンクに保管された炭酸カルシウム又はアラゴナイトを通して循環させること;複数のタンクの下流で、塩水の第1の部分及び第2の部分を混合すること;複数のタンクのうちの別のタンクに二酸化炭素流体を注入すること;及び、二酸化炭素流体の注入に基づいて、塩水中の硝酸塩濃度の低下速度を増加させることを含む。
【0034】
一般的な実施形態と組み合わせ可能な態様はさらに、注入された二酸化炭素流体に基づいて、塩水の第1の部分と第2の部分を混合した溶液に溶解させる炭酸カルシウム又はアラゴナイトの濃度を増加させることを含む。
【0035】
前述の態様のいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも部分的に二酸化炭素流体の注入に基づいて塩水中の硝酸塩濃度の低下速度を増加させることは、塩水の第1の部分と第2の部分を混合した溶液中に溶解する炭酸カルシウム又はアラゴナイトの濃度の増加に基づいて、塩水中の硝酸塩濃度の低下速度を増加させることを含む。
【0036】
本開示に従う脱窒システムの一、幾つか、又はすべての実施形態は、次の特徴の1つ以上を含みうる。例えば、本開示の脱窒システムは、例えば、より少ない水をポンプで送り、より小さいサイズの機器を使用して、より効率的に脱窒プロセスを実行することにより、従来の脱窒システムと比較して、動物生息環境から硝酸塩を除去することができる。別の例として、本開示の脱窒システムは、従来の脱窒システムよりも絶対基準でより多くの硝酸塩を除去することができる。さらに別の例として、本開示の脱窒システムは、従来の脱窒システムと比較して、動物生息環境のためのより大きな水処理システム内で途切れなく実施することができる。別の例として、本開示の脱窒システムは、より確実に動作し、より少ないサービスまたはプロセス中断をもたらすことができ、それによって、脱窒の生存し、呼吸する生物学的プロセスのための非常に安定した動作条件を提供することができる。脱窒システムの実施形態は、より長いプロセス寿命のためにこれらのパラメータを最適化することができる。別の例として、例示的な実施形態は、脱窒システムをスキッドユニットとして構成し、現在提供されているものよりも広範囲の水源及びパラメータタイプのための「プラグアンドプレイ」システムの提供を可能にしうることから、本開示の脱窒システムは、より大きな統合能力を提供することができる。別の例として、本開示の脱窒システムは、従来の脱窒と比較して、より低保守又はオペレータが扱い易いバージョンを提供することができる。別の例として、本開示の脱窒システムは、塩水又は淡水の水源で動作させることができる。
【0037】
1つ以上の実施態様の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、その説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示に従う塩水処理システムの例となる実施形態の概略図である。
【
図2A】本開示に従う塩水処理システムのための脱窒システムの例となる実施形態の概略図である。
【
図2B】本開示に従う塩水処理システムのための脱窒システムの例となる実施形態の概略図である。
【
図3A】本開示に従う脱窒システムのためのタンクの例となる実施形態を示している。
【
図3B-C】本開示に従う脱窒システムのためのタンクの例となる実施形態を示している。
【
図4】本開示に従う脱窒システムのための制御システムの概略図である。
【
図5】本開示に記載されているコンピュータ実施方法及び他の技術のいずれかに適用することができる制御システムのコントローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書は、水の流れの硝酸塩濃度を低下させるように、水流中の硝酸塩(例えば、可溶性)を亜硝酸塩へと変換し、その後、例えば亜酸化窒素(N
xO
x)へ、その後に窒素ガス(N
2)へと変換するように動作する、脱窒システムの実施形態について論じる。幾つかの態様では、水の流れは、動物生息環境又は、製造量の塩水(又はある量の淡水)で海水魚及び他の動物を支援する他の再循環する水生動物保持システムに由来する。本開示に記載される脱窒システムは、例えば、再循環ループを利用して、脱窒システム内の水流の水理学的滞留時間を増加させ、それによって脱窒プロセスの効率を高める。幾つかの態様では、脱窒プロセスは、該脱窒プロセスの効率を高めるために水のpH平衡化も含めた、独立栄養硫黄脱窒方法である。
【0040】
図1は、塩水処理システム100の例となる実施形態の概略図を示している。概して、塩水処理システム100は、塩水101の流れがその水源に戻る前に、塩水101の流れを受け入れ、塩水101の流れを濾過し、塩水101の流れを(例えば、機械的に、化学的に、生物学的に、又はそれらの組合せで)処理するように、塩水源102などの塩水源を含みうる、若しくはそれに流体的に結合されうる。幾つかの態様では、塩水源は、水族館又は再循環水産養殖システムなどの閉鎖タンクでありうる。閉鎖タンクは、幾つかの態様では、天然の海水源(例えば、大洋、海、又は他の起源)に流体的に結合されうる。代替的な態様では、閉鎖タンクは、天然の海水源に流体的に結合されていなくてもよく、例えば、天然の海水源に直接隣接していない地理的地域(例えば内陸地域)に位置していてもよい。幾つかの態様では、水族館又は再循環水産養殖システムとしての閉鎖タンクは、魚、哺乳類、甲殻類、及び他の動物などの生きた動物を支援することができる。
【0041】
幾つかの態様では、飼育観賞用水槽システム及び再循環水産養殖システムは、このようなシステムのさまざまな目的に基づいて、さまざまな構成を有することができる。例えば、水族館は、単一の動物生息タンク、若しくは、水源を共有するように流体的に結合されているが、一のタンクに由来する動物は、典型的には又は決して別のタンクに移動しないであろうという点で独立している、複数の独立した動物生息タンクで構成することができる。幾つかの態様では、一又は複数の特定の動物は、その一生又はその一生の大部分を水族館システムの単一のタンク内で過ごしうる。水族館システムについての懸念は、タンク内の動物密度が特定の閾値を超えないように(例えば、動物の鑑賞が妨げられないように、動物の平均余命を最長化するようになど)、特定のタンク内で低い動物個体数を維持することを含みうる。
【0042】
対照的に、再循環水産養殖システム(RAS)は、動物を収容又は飼育する、1つ以上の淡水、汽水、又は塩水(人工型又は天然型)のタンクのシステム又は一連のシステムを含みうる。これらのタンクは、必ずしも生息地ではないが、最終的な収穫及び人間が消費するための動物の生命(例えば魚)の準備を目的として、動物の生活を支援する目的及び動物の急速な成長の目的で利用することができる。RASは、水1立方メートルあたりの魚の質量が数百キログラムなど、飼育観賞用水槽システムと比較して高い、一又は複数の動物飼養密度を有しうる。このようなRAS動物密度は、典型的な飼育観賞用水槽の設定の100倍超になりうる。
【0043】
これらの動物飼養密度は、しばしば、硝酸塩となる高レベルの溶存窒素並びに動物の呼吸による大量の二酸化炭素を生成する飼育観賞用水槽システムに対する動物飼料量(animal feed rates)を必要とする。飼育観賞用水槽システムなどのRASの濾過構成要素には、機械的、生物学的、及び化学的濾過が含まれうる。RASの幾つかの態様では、塩水源102内の高レベルの溶存二酸化炭素によるガス交換システムが(例えば、システム100内に)含まれうる。二酸化炭素は、RAS中での急速攪拌を利用して塩水101から機械的に除去され、負圧ダクトシステムで収集されうる。
【0044】
システム100は、
図1の例となる実施に示されるように、導管107(例えば配管)を通じて、砂濾過システム108、気泡分別システム110、脱窒システム112、オゾンシステム114、脱気システム120、及びリターンサンプ122などの複数の処理サブシステムに流体的に結合された、塩水源102を含む。システム100はさらに、この例では、塩水源102に由来する塩水の流れをシステム100の1つ以上の構成要素へと循環するように配置されている、ポンプ106a、106b、116、及び118も含む。
【0045】
塩水源102は、この例では、魚及び他の動物などの動物の生命を支援する水族館又は再循環水産養殖システムを含む閉鎖タンク(例えば、周囲環境に対して上部が開放されている)である。導管、配管、及び上述のサブシステムを含むシステム100は、600万ガロン超の塩水101を保持又は含有できるのに対し、この例となる実施態様では、塩水源102は、約400万ガロンの塩水101を保持又は含有できる。システム100に囲まれた塩水101は、最初は淡水、塩、及び他の添加剤(例えば、化学物質)から製造することができ、あるいは、(利用可能な場合には)海水の天然資源からシステム100へと循環させてもよい。簡略化するために、化学添加剤システム、補給(make-up)塩水システム、栄養添加剤システム(動物飼育及び植物栽培用)などのシステム100のある特定の構成要素は、
図1の概略図では省略されている。
【0046】
示されるように、流体導管103及び105は、塩水源102をリターンサンプ122に連結している。流体導管105が塩水101の底の部分(例えば、塩水101の上面よりも30から40フィート深い)をリターンサンプ122に連結するのに対し、流体導管103は、塩水源102の塩水101の上面をリターンサンプ122に連結していている。幾つかの実施形態では、塩水101は、例えば、重力によって、塩水源102から表面スキマー(導管103)及び底部ドレーン(導管105)を通ってリターンサンプ122へと流れうる。リターンサンプ122は、この例では、壁で仕切られた2つのセクションである、チャンバ124aとチャンバ124bに分けられている。チャンバ124aは、導管103及び105によって、塩水源102に流体的に結合されている。チャンバ124aはまた、ポンプ106aを通じて、気泡分別システム110にも流体的に結合されている。チャンバ124bは、気泡分別システム110、並びにシステム100の他の構成要素から塩水101の流れを受け取るように流体的に結合されている。
【0047】
気泡分別システム110(すなわち、タンパク質スキミングシステム)は、概して、リターンサンプ122のチャンバ124aからチャンバ124bへと戻る再循環プロセスループを備えた複数のタンクを含む。気泡分別システム110は、気泡を生成するために空気/水を取り込むことによる溶存する有機廃棄物又は廃液の除去を目標としており、図示されるように、システム110のタンクを通じて塩水101の少なくとも一部を再循環するポンプ119を含みうる。水分子の極性及び気泡の表面張力は、これらの廃棄物に対する親和性を生み出し、これにより、システム110のタンクの上部から汚れた気泡を「分別」できるようにし、それによってプロセスから廃棄物を除去する。幾つかの態様では、このプロセスを強化するために、少量のオゾンガスを気泡分別システム110内の空気/水の流れに投入してもよく、また、塩水101の他の処理に役立つマイクロ凝集も作り出すことができる(例えば、砂濾過システム108内で)。
【0048】
砂濾過システム108は、リターンサンプ122のチャンバ124bに流体的に結合されており、塩水101の流れからの迅速な微粒子除去のために複数のタンクを含んでいる。砂濾過システム108は、ひとたび微粒子物質が充填されると、それらを浄化するために定期的に逆洗することもできる。水から粒子を機械的に濾過するほかに、砂濾過システム108はまた、後に詳しく説明するように、好気性従属栄養細菌の繁殖場所も作り出す。例えば、砂濾過システム108の各タンク内の速い水の流れ及び大きい表面積に起因して、幾つかの生物学的濾過、並びに機械的濾過が、動作中に行われる。例えば、砂濾過システム108のタンク内のバイオフィルムは、窒素、リン、及び有機炭素などの栄養素を合成することができる。幾つかの例では、砂濾過システム108は、およそ20μm以上の塩水流中の粒子を除去することができる。
【0049】
この例に示されるように、脱窒システム112及びオゾンシステム114は、砂濾過システム108からシステム100を通じて塩水101の流れの一部を受け取るように流体的に結合されている。例えば、ポンプ118は、脱窒システム112を通じて塩水101の流れの一部を循環するように配置されているとともに、ポンプ116は、オゾンシステム114を通じて塩水101の流れの一部を循環するように配置されている。
【0050】
脱窒システム112は、示されるように、システム100を通って循環する塩水101の流れの一部を受け取る。概して、脱窒システム112は、塩水101の硝酸塩を亜硝酸塩へと生物学的に変換し、その後、亜酸化窒素へ、その後(潜在的に)窒素ガスへと変換する。例えば、飼育観賞用水槽及び再循環水産養殖システムでは、水を塩水源102の塩水101に取り換えるなど、水源の交換は、最終的に溶存硝酸塩(NO
3)の形態となる食物及び動物の排泄物に由来する窒素をベースとした生成物の蓄積の理由から、必要でありうる。この硝酸塩は、窒素サイクルの硝化部の最終生成物として形成される場合があり、高濃度において、魚及び無脊椎動物などの飼育観賞用水槽内の動物に慢性的な健康問題を引き起こしうる。窒素サイクルの硝化部は好気性であり、水中で、並びに、好気性細菌及び溶存酸素の存在及び豊富さに起因して、閉じられた水族館又は再循環水産養殖システム内の物質上で容易に発生する。このような条件下で、硝化細菌と呼ばれるこれらの環境細菌は、主に排泄される動物老廃物であるアンモニアを亜硝酸塩へと、その後に硝酸塩へと容易に酸化する。硝酸塩をガス状窒素へと還元する窒素サイクルの脱窒部は、脱窒菌によって行われうる。脱窒菌は、幾つかの態様では、低酸素環境で硝酸塩化合物などの代替酸素源を利用する通性嫌気性細菌でありうる。これは、例えば、他の好気性環境では再現及び維持が困難である、望ましい又は要求された嫌気性条件を理由として、閉鎖系の水槽では達成がより困難でありうる。
【0051】
塩水(又は淡水)中の高い硝酸塩濃度に関連する問題は、塩水(又は淡水)源では、1週間あたりの総量の10−30%の割合の水を取り換えることによって対処することができる。水の変化は、例えば、新しい塩水(例えば、製造された又は天然の塩水源に由来する)の別の一部もシステム内に循環させつつ、塩水の一部を閉鎖系の外へと循環させることを含む。新しい塩水(又は淡水)は、過剰の硝酸塩濃度の希釈に役立ち、したがって、動物のための健康な水化学を維持する。代替的に、脱窒システム112などの脱窒システムは、塩水中の硝酸塩のすべて又は一部を窒素ガスへと変換するために使用することができ、その後、塩水から除去することができる。
【0052】
例となる実施形態では、脱窒システム112は硫黄脱窒システム112でありうる。例えば、硫黄脱窒(SDN)システムは、外部給餌又は炭素エネルギー源の補給をほとんど又は全く必要としない、独立栄養プロセスを実施することができる。対照的に、従属栄養性脱窒は、反応のエネルギー源とするために、通常は、エタノール又はメタノールの形態の炭素の外部補給に依存している。SDNプロセスは、硝酸塩(NO
3)を亜酸化窒素(N
xO
x)へと還元し、最終的には窒素ガス(N
2)へと還元する、硫黄を好む通性嫌気性細菌を培養する。それらの嫌気性の性質に起因して、SDNの適用は、低酸素圧を保持するように決定された水の流量で、元素硫黄を含む密閉型反応器内で行われうる。このような条件下で、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus・denitrificans)及び他の同様の硫黄を好む細菌などの細菌は、元素硫黄上で繁殖し、式1に示すように、硝酸塩を窒素ガスへと還元する:
【0053】
硫黄は、細菌が生息する媒体であり、細菌の電子供与体又はエネルギー源としても機能する。脱窒プロセスはまた、利用可能な炭素を、二酸化炭素、炭酸塩及び重炭酸塩の形態で、反応の主要成分として消費する。天然海水中では容易に入手可能であるが、炭酸塩は、再循環SDNプロセスループ内では枯渇する可能性がある。塩水処理システム100の幾つかの態様では、SDNプロセスを補充し最適化するために、アラゴナイトなどの炭酸カルシウム源を、システム100内(又は脱窒システム112などのシステム100に流体的に結合された別のシステム内)に入れてもよい。
【0054】
オゾンシステム114は、示されるように、システム100を通って循環する塩水101の流れの一部を受け取る。幾つかの態様では、オゾンガスをオンサイトで発生させて、システム100内の塩水に注入することができる。オゾンは、幾つかの例では、気泡分別システム110と、砂濾過システム108の下流のシステム100に位置するオゾンシステム114の一部としてのオゾン接触装置の両方において、注入することができる。オゾン接触装置は、色の除去、有機の除去及び塩水源102の消毒を含めた化学的濾過の形態として機能しうる。オゾンの酸化効果は、オゾンシステム114内のオゾン接触装置へのオゾンガスの流れを制御する酸化還元電位(ORP)センサを使用して測定される。気泡分別システム110(砂濾過システム108及び脱窒システム112を通じて)並びにオゾンシステム114からのオゾン化塩水は、脱気システム120へと循環される。
【0055】
塩水源102に戻る前に、システム100の塩水101は、脱気システム120へと循環される。脱気システム120は、酸素及び二酸化炭素など、塩水101中の溶存ガスが大気と平衡になるようにバランスをとる、1つ以上の脱気塔を含む。幾つかの態様では、脱気システム120はまた、生物学的濾過が塩水中で生じるために有益なバイオフィルム成長場所でもありうる。処理された塩水101は、脱気システム120から、例えば導管109での重力送給によって、塩水源102へと戻るように循環されうる。
【0056】
図1には示されていないが、1つ以上の追加のシステム及びサブシステムもまた、塩水処理システム100の一部でありうる。例えば、1つ以上の熱交換器(例えば、プレート及びフレーム、シェル及びチューブ、又は他の形態の熱交換器)を、システム100内に、かつ、1つ以上の熱源(例えば、ボイラー)及び1つ以上の冷却源(例えば、冷却機)にも、熱的に結合することができる。例えば、幾つかの態様では、1つ以上の熱交換器の第1の側を、システム100内で導管107に流体的に結合することができるとともに、1つ以上の熱交換器の第2の側を、熱源、冷却源、又は両方に流体的に結合することができる。熱交換器の第1及び第2の側は、塩水101と加熱又は冷却源との間で熱を交換するように熱的に結合されうる。
【0057】
塩水処理システム100はまた、1つ以上の濾過池(basins)に砂濾過逆洗排水を捕捉することができる、逆洗回収システムも含みうる。幾つかの態様では、少なくとも1つの「清浄な」濾過池及び少なくとも1つの「汚い」濾過池が存在しうる。一又は複数の汚い濾過池及び一又は複数の清浄な濾過池を使用して、砂濾過逆洗水を、システム100内の(これらの特徴について記載したように動作する)回収システムのための専用の砂濾過、気泡分別、及びオゾン接触を用いてバッチ処理することができる。ひとたびバッチ濾過され、一又は複数の清浄な濾過池へと回収されると、逆洗水は、再利用されて、塩水源102へと循環させることができる。
【0058】
塩水処理システム100はまた、流量制御システムも含みうる。流量制御システムは、例えば、システム内の塩水101の細流をポンプで送るためのポンプ106a、106b、116、118、及び119、そこを通って細流が流れる導管103、105、107、及び109などの1つ以上のフロー管、並びに、管を通る塩水101の流れを調整するための1つ以上の弁を含みうる。幾つかの実施形態では、流量制御システムは、手動で操作することができる。例えば、オペレータは、各ポンプの流量を設定し、弁の開閉位置を設定することによって、流量制御システム内の管を通る塩水101の流れを調整することができる。ひとたびオペレータが塩水処理システム100に分散するすべての流量制御システムについて流量及び弁の開閉位置を設定すると、流量制御システムは、例えば、一定の容積率などの一定の流動条件又は他の流動条件下で、システム100内に塩水101を流すことができる。流動条件を変更するために、オペレータは、例えば、ポンプの流量又は弁の開閉位置を変更することによって、流量制御システムを手動で操作することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、流量制御システムを自動的に操作することができる。例えば、流量制御システムをコンピュータシステムに接続して、流量制御システムを操作することができる。コンピュータシステムは、操作(流れ制御操作など)を実行するために1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令(流れ制御命令及び他の命令など)を保存するコンピュータ可読媒体を含みうる。オペレータは、コンピュータシステムを使用して、塩水処理システム100に分散するすべての流量制御システムについての流量及び弁の開閉位置を設定することができる。このような実施形態では、オペレータは、コンピュータシステムを通して入力を提供することによって、流動条件を手動で変更することができる。また、このような実施形態では、コンピュータシステムは、流量制御システムの1つ以上を、例えば、塩水処理システム100内で実施され、かつコンピュータシステムに接続される、フィードバックシステムを使用して、自動的に(すなわち、手動介入することなく)制御することができる。例えば、センサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、流量センサ、硝酸塩センサ、又は他のセンサ)を、そこを通って塩水101が流れる管に接続することができる。一又は複数のセンサは、塩水101の流動条件(例えば、圧力、温度、流量、硝酸塩濃度、又は他の流動条件)を監視し、コンピュータシステムに提供することができる。閾値(例えば、閾値圧力値、閾値温度値、閾値流量値、閾値硝酸塩濃度値、又は他の閾値)を超える流動条件に応答して、コンピュータシステムは、動作を自動的に行うことができる。
【0060】
塩水処理システム100の例となる動作では、塩水101は、塩水源102からチャンバ124aへと循環される。幾つかの態様では、塩水源102は、約400万ガロンの塩水101を含んでよく、塩水の一部は、チャンバ124aへと連続的又は周期的に循環される。塩水101は、その後、気泡分別システム110へと循環されてよく、そこで、例えば、溶存する有機液及び廃液を除去することができ、オゾンを塩水101に入れることができる。幾つかの態様では、気泡分別システム110に循環される塩水101の量は、毎分約65,000ガロン(gpm)である。
【0061】
塩水101は、気泡分別システム110からチャンバ124bに戻るように循環され、その後、砂濾過システム108へと循環され、そこで粒子状物質が塩水101から除去される。気泡分別システム110と同様に、砂濾過システム108は、約65,000gpmの塩水101を扱うことができる。
【0062】
砂濾過システム108から循環された塩水101は、その後、脱気システム120へと循環される。例えば、気泡分別システム110及び砂濾過システム108を通って流れる65,000gpmの一部など、塩水101の一部は、脱窒システム112へと循環され、その後、オゾンシステム114に循環される。幾つかの実施形態では、脱窒システム112を循環し、その後、オゾンシステム114へと循環する小部分(例えば、50gpm、100gpm、200gpm、300gpm、400gpm又は別の体積流量)は、その後、脱気システム120へと循環する(塩水101の主流とともに)。ひとたびオゾンが塩水101に接触すると、硝酸塩は塩水101から除去され、塩水101中の溶存ガスは平衡化され、塩水101の流れは塩水源102へと戻される。
【0063】
図2A−2Bは、塩水処理システムのための脱窒システムの例となる実施形態の概略図を示している。
図2Aは、例えば、幾つかの態様では
図1に示される脱窒システム112として実施されうる、硫黄脱窒システム200の例となる実施形態を示している。例えば、
図2Aに示されるように、脱窒システム200は、塩水源102から塩水101の流れを受け取り、塩水101の流れを処理(例えば、脱窒プロセスを実施)し、処理された塩水101を塩水源102へと戻すように流体的に結合されている。
【0064】
図示するように、概して、脱窒システム200は、塩水源102に流体的に結合された再循環ループを含み、その再循環ループ内に、複数のタンク206を含む。再循環ループは、塩水源102に流体的に結合され、かつ、弁212を通って、タンク206の注入口に流体的に結合された、入口ヘッダ202を含む。再循環ループはまた、塩水源102に流体的に結合され、かつ、弁214を通って、タンク206の排出口に流体的に結合された、出口ヘッダ204も含む。出口ヘッダ204もまた同様に、例えば、バイパスヘッダ220及び弁222によって、入口ヘッダ202に流体的に結合されている。
【0065】
この例では、タンク206の少なくとも幾つかは、脱窒プロセスに用いられる媒体230及び細菌を保持することができる容積を画成する。例えば、幾つかの態様では、タンク206の少なくとも幾つかは、SDN中に、硝酸塩を、例えば、亜酸化窒素及び/又は窒素ガスへと変換するのに用いられる細菌(例えば、チオバシラス・デニトリフィカンス(Thiobacillus・denitrificans))を担持する硫黄媒体230を保持しうる。幾つかの例では、媒体230は、99.9%の元素硫黄の「プリル」で構成された硫黄媒体を含みうる。
【0066】
さらには、この例では、該タンク206のうちの少なくとも1つは、炭酸カルシウム(CaCO
3)又はアラゴナイト(すなわち、天然のCaCO
3)などの炭酸カルシウム媒体240を保持することができる容積を画成しうる。例えば、示されるように、タンク206は、入口及び出口ヘッダ202及び204に対して並列に結合されており、及び幾つか(例えば、4つ)のタンク206が脱窒媒体230を保持するとともに、1つのタンク206は炭酸カルシウム媒体240を保持する。代替的な実施形態では、脱窒媒体230を保持する、より多くの又はより少ないタンク206が存在してもよく、炭酸カルシウム媒体240を保持する、より多くの又はより少ないタンク206が存在していてもよい。
【0067】
この例では、炭酸カルシウム媒体240を保持するタンク206はまた、二酸化炭素(CO
2)注入システム228も含む。例えば、幾つかの態様では、SDNは、pH約5.5の水pHで、さらに実施することができる。炭酸カルシウム媒体240(例えば、CaCO
3、アラゴナイト、又は他の媒体)は、塩水101の特定の又は所定のpHの維持を助けることができるが、溶存する炭酸塩及び重炭酸塩を塩水101に提供すること(並びに、幾つかの事例では、豊富なこのような材料)によって、SDNプロセスに影響を与える可能性がある。幾つかの態様では、このような溶存する炭酸塩及び重炭酸塩は、効率(例えば、硝酸塩が亜酸化窒素又は窒素ガスへと変化する割合)を増加させることができる。幾つかの態様では、SDN反応は、CaCO
3がタンク206の1つ以上に加えられた場合に、30−60%の間でより効率的になされうる(例えば、窒素ガス又はN
xO
xに対する硝酸塩の割合を増加させる)。
【0068】
さらには、幾つかの態様では、CO
2ガスの流れをタンク206へと送達する炭酸カルシウム媒体240を含むCO
2注入システム228が、タンク206に流体的に結合されうる。ガス状CO
2は、幾つかの実施形態では、塩水101の流れ内の炭酸カルシウム媒体240を溶解させるか、あるいはその溶解速度を増加させることができ、それによって、SDNの効率を増加させる(例えば、窒素ガスに対する硝酸塩の割合を増加させる)。幾つかの態様では、例えばRASでは、CO
2の流れは、塩水101から溶存するCO
2を除去するガス交換システム(この図には示されていない)から送達されうる。例えば、捕集されたCO
2(例えば、ガス交換システムから)は、炭酸カルシウム媒体240を含むタンク206内の注入されたCO
2を通じてシステム200内に導入されうる。
【0069】
幾つかの実施形態では、特定のタンク206(又は複数のタンク206)は、硫黄媒体230と炭酸カルシウム媒体240をともに保持しうる。例えば、幾つかの実施形態では、硫黄媒体230、脱窒菌、及びCaCO
3(例えば、アラゴナイト)を、1つ以上のタンク206内で混合することができる。幾つかの態様では、細菌は自然に硫黄顆粒上に存在し、システム100のオペレータからの他の形態の追加又は補足を必要としないことがありうる。幾つかの態様では、複数のタンク206は、媒体230、細菌、及びアラゴナイトを含む場合があるとともに、他のタンク206は、硫黄媒体240/細菌又はアラゴナイトの一方又は他を含む場合がある。媒体240/細菌及びアラゴナイトの両方を含むタンク206では、炭酸カルシウム媒体240を硫黄媒体230の上に、例えば、8対1の硫黄のアラゴナイトに対する比で、配置することができる。媒体230及び240は、この構成で層別化かつ層状化されたままでありえ、よって、アラゴナイトの量を監視し、必要に応じて補充することを可能にする。他の態様では、アラゴナイトと硫黄媒体230を、同一のタンク206(又は複数のタンク206)内に、例えば、1対1の硫黄対アラゴナイトの割合で、この混合物の層別化又は層状化なしに、一緒にブレンドすることができる。
【0070】
この例では、各タンク206は、タンク206の排出口(例えば、タンク206と出口ヘッダ204の間)に逆洗ライン218を含む。幾つかの態様では、例えば、逆洗ライン218は、タンク206内で硫黄及びアラゴナイト媒体を(個別に又は組合せのいずれかで)洗い流し、したがって浄化可能になるように、開放されていてもよい。例えば、細菌性汚泥(例えば、従属栄養性)による媒体(例えば、媒体230又は240又は両方)の生物的汚染を低減するために、各タンク206への上昇流を別々に逆洗するか又は増加させること、並びに、回収システム(例えば、塩水源102で再利用するため)又は汚水渠に塩水101の一部を排出することが望ましい場合がある。幾つかの態様では、逆洗又は排出は、頻繁に起こりうる硫黄媒体230のチャネル化を元に戻すのに役立ちうる。例えば、逆洗は、水を安定して移動させ、できるだけ多くの硫黄と接触させるのに役立ちうる。チャネル化は、しばしば、効率を低下させ、有害な硫化水素ガスを放出しうる、過度に無酸素なゾーンを生じさせる可能性がある。
【0071】
この例では、各タンク206はまた、タンク206の内容積に流体的に結合されたガス放出装置216も含む。幾つかの態様では、ガス放出装置216をタンクの容積206内の所定の圧力又は現在の圧力に基づいて自動的に操作して、ガス232の流れを周囲環境に放出することができる。例えば、ガス232は、タンク206内での脱窒プロセスによって生じる、亜酸化窒素及び/又は窒素ガスでありうる。別の例として、CO
2などの他のガスを、ガス放出装置216を介して放出することができる。
【0072】
追加のガス放出装置224は、この例に示されるように、バイパス導管220及び弁234の下流の出口ヘッダ204に配置される。膨張弁などのオリフィス234もまた、ガス放出装置224の上流の出口ヘッダ204に配置される。組合せにおいて、ガス放出装置224とオリフィス234は、窒素などのガスを周囲環境へとさらに放出するために、圧力降下をもたらすように動作しうる。例えば、システム200内の高い位置(及び、幾つかの態様ではシステム200内の最も高い位置)に配置されうる、オリフィス234及び隣接するガス放出装置224の組み込みにより、再循環ループの圧力が、ループの他の部分(例えば、タンク206、入口ヘッダ202)に比べて、低いか又は低下した領域を生じうる。この高位置低圧力領域において、塩水101内の窒素及び他のガスは、液体の外へと泡立ち、周囲環境へと放出されうる。例えば、圧力低下の結果としての相変化によって、新たに放出された窒素及び同様のガスは、再循環ループから直ちに排気することができ、したがって、このようなガスが溶液に溶解して戻る(例えば、ポンプ208によるループを介した塩水101のポンピングによる)のを防ぐことができる。
【0073】
示されるように、別のガス放出装置224もまた、バイパス導管220(この例では、バイパス弁222の下流)に配置することができる。バイパス弁222及びガス放出装置242もまた、システム200の高い位置(及び、幾つかの態様ではシステム200内の最も高い位置)に配置することができる。述べたように、この高い配置により、ループの他の部分(例えば、タンク206、入口ヘッダ202)に比べて、再循環ループの圧力が、低いか又は低下した領域を生じうる。この高位置低圧力領域では、塩水101内の窒素及び他のガスは、液体の外へと泡立ち、バイパス導管220におけるガス放出装置224と連結して又は組み合わせて動作するバイパス弁222のすぐ下流に位置する周囲環境へと放出されうる。
【0074】
例となるシステム200は、ポンプ208及び弁210を含む。ポンプ208(例えば、遠心ポンプ又は他の形態のポンプであり、ポンプ118と同じであってもよい)は、再循環ループを介して流れるように、(例えば、
図1に示すように)塩水源102から塩水101を入口ヘッダ202内へと循環させることができる。幾つかの態様では、弁210を制御(例えば、調節)して、すべてのタンク206に循環する塩水101の流量を変動させることができる。代替的な態様では、弁210は、遮断弁又は調節弁であってよく、塩水101の流量を変動させるために、ポンプ208を(例えば、可変周波数駆動装置、ステップモーター、又は他の方法で)制御可能に変化させることができる。他の代替的な実施形態では、ポンプ208及び弁210は、再循環ループを介して、一定又は実質的に一定の流量の塩水101をもたらすことができる。
【0075】
述べたように、弁212及び214は、それぞれ、タンク206の注入口及び排出口に配置される。幾つかの態様では、弁212及び214は、動作時に(例えば、手動又は自動)、再循環ループからタンク206を(個別に又は組み合わせて)流動的に隔離することができる、シャットオフ遮断弁(例えば、全閉又は全開可能)でありうる。代替的な態様では、弁212及び214の1つ以上は、動作時に、タンクへの塩水101の流量を(個別に又は組み合わせて)調節することができる、調節制御弁でありうる。
【0076】
他の弁又は流量制御装置も、同様に、再循環ループ内に配置されうる。例えば、示されるように、調節弁222(例えば、自動又は手動、若しくはその両方)は、出口ヘッダ204から入口ヘッダ202へと循環する塩水101の流量を制御するように配置される。よって、制御弁222は、さらなる処理(例えば、硝酸塩のさらなる除去、炭酸塩添加、若しくはその両方)のために再循環ループ内を再循環する塩水101の流量を変動させるように、並びに、脱窒プロセスにおける展示水(exhibit water)の最適な水理学的滞留時間(HRT)を提供するように、制御されうる。よって、例となる脱窒システム200によれば、2つのループが存在してもよい。第1のループは、それぞれ、入口及び出口ヘッダ202及び204を含み、かつ、バイパスヘッダ220も含む。第2のループは、それぞれ、入口及び出口ヘッダ202及び204を含むが、バイパスヘッダ220は含まない。第1のループは、ポンピングされ、かつ、タンク206を介して再循環される(例えば、連続的に)とともに、第2のループは、塩水源102から第1のループへと流れ、再び塩水源102に戻る、少量の塩水101(例えば、塩水102中の塩水101の総体積に対して、又は塩水処理システム100を通って循環する塩水101の量に対して)を滴定する。
【0077】
幾つかの態様では、第1のループは、タンク206内の脱窒媒体230(例えば、硫黄)及び細菌の全容積及び表面積を効率的に利用するために、特定のパラメータ(例えば、圧力、速度)で循環される塩水101を含む。幾つかの態様では、このようなパラメータが満たされることを確実にするために、特定の容積の塩水101を、複数の通路内にタンク206を介してループさせて、その容積の塩水101の有効な(例えば、特定の硝酸塩濃度を達成する)脱窒を達成してもよい。幾つかの態様では、このような複数の通路は、例えば、タンク206内の媒体体積量に対して、より良好に有効な脱窒を達成することができる。よって、有効な脱窒を、従来の脱窒システムと比較して、より小さいタンクを有するシステム200で達成することができる。
【0078】
幾つかの態様では、第2のループ(例えば、塩水源102からの及び塩水源102への)を通る塩水101の流量は、第1のループ内の塩水の流れ101に負担をかけないように制御されうる。例えば、第2のループ内へと循環する塩水101が多すぎると、第1のループで有効な脱窒が起こらないかもしれず、溶存酸素レベルが上昇する可能性があり、全体の硝酸塩濃度は、例えば、塩水101中の食物及び動物の排泄物に起因して、上昇するか、あるいは低下しない可能性もある。
【0079】
システム200の例となる動作において、塩水源102からの塩水101は、入口ヘッダ202内へ、かつ、並行して、タンク206へと循環される。幾つかの態様では、各タンク206を循環する塩水101の流量は、同様、実質的に同様、又は同一である。少なくとも一部のタンク206内で、塩水101は、媒体230及び脱窒菌を通って流れ、脱窒プロセスは、前述のように、塩水101内の硝酸塩を窒素ガスへと変換する。亜酸化窒素又は窒素ガスは、ガス放出装置216を通ってタンク206から放出される。示されるように、少なくとも1つのタンク206内で、塩水101は、媒体240を通って流れ、それを通して炭酸カルシウム(例えばアラゴナイト)添加プロセス並びにpH平衡化プロセス(例えば、pHは最低でも少なくとも5.5に維持される)が起こる。さらには、媒体240は、CaCO
3又はアラゴナイトを含むことから、このような媒体は、少々、塩水101に溶解する。幾つかの態様では、CO
2注入装置は、ガス状のCO
2を炭酸カルシウム媒体240を保持するタンク206内に導入し、それによって、さらに、塩水101にCO
2及び炭酸塩を溶解させるか、あるいはそれらの溶解速度を増加させる。処理された塩水101は、タンク206から出口ヘッダ204内へと流れる。処理された塩水101の一部は、バイパスヘッダ220を介して入口ヘッダ202へと戻るように流れるとともに、処理された塩水101の別の一部分は、塩水源102へと戻るように流れる。バイパスヘッダ220を通って流れる処理された塩水101の一部は、塩水源102からの塩水101の追加の流れに合流してよく、タンク206へと戻るように循環されうる。
【0080】
この例の追加の動作又は態様では、温度制御システム242が、例えばバイパス導管220内など、システム200内に含まれていてもよい。例えば、温度制御システム242内の熱源は、システム200の再循環ループ内の塩水101を加熱するように動作しうる(例えば、ガス、電気、太陽、又は他のエネルギー形態によって作動する)。例えば、温度制御システム242は、再循環ループ内の塩水の温度を(例えば、設定温度として)20℃又は約20℃から22℃に維持するように、(例えば、自動又は手動で)動作しうる。温度制御システム242は、バイパス導管220内の塩水101及び熱源の温度を測定するサーモスタットを含みうる。幾つかの態様では、温度制御システム242は、熱源を含まなくてもよいが、システム242からの温度測定値に基づいてシステム200内の熱源を制御するコントローラに通信可能に接続されうる。
【0081】
この例の別の例となる動作又は態様では、オゾンガス注入及び加圧タンク接触システム244は、塩水101をタンク102へと戻す前に処理するために、システム200内(例えば、オリフィス234及びガス放出装置224の下流)に含まれうる。幾つかの態様では、このオゾンガス注入及び加圧タンク接触システム244を、
図1に示されるオゾンシステム114に加えて、動作させることができる。幾つかの態様では、このオゾンガス注入及び加圧タンク接触システム244を、
図1に示されるオゾンシステム114の代わりに動作させることができ、幾つかの事例では、オゾンシステム114に代えて使用することができる。よって、幾つかの態様では、脱窒システム200は、単一のパッケージとしてオゾンシステム(本開示による)を含みうる。動作中、硫黄脱窒プロセスは、未処理のままにしておくと塩水源102に生息する動物にとって有害になりうる化学種の減少を生じうる。塩水源102に戻る前に塩水101を酸化させることによって、例えば、塩水源102(例えば、水族館又は水産養殖環境)に生息する動物への有害な影響を与えないことを確実にするために、このような廃水を処理することができる。オゾンガス注入及び加圧タンク接触システム244は、システム244から塩水101へのオゾンの用量を制御するために、塩水101が酸化又は還元剤として作用する能力を測定する、酸化還元電位(ORP)センサを含みうる。ORPセンサは、動作中、コントローラへのフィードバックを提供し、これにより、今度は、システム244、オゾンシステム114、若しくはその両方が制御されて、塩水101のORP値を、200ミリボルトを上回るが400ミリボルトを超えないように維持することができる。
【0082】
図2Bを見ると、この図は、幾つかの態様では、
図1に示される脱窒システム112として実施することができる、硫黄脱窒システム250の例となる実施形態を示している。
図2Bに示されるように、システム250は、概して、塩水源102から塩水101の流れを受け取り、塩水101の流れを処理し(例えば、脱窒プロセス及びpH平衡化プロセスを通じて)、処理された塩水101の少なくとも一部を塩水源102へと戻すように流体的に結合された、2つの脱窒システム200を含む。よって、脱窒システム250内では、各システム200は、独立して、あるいは、塩水101の脱窒、pH平衡化、又はその両方を提供するように協力して、動作及び制御することができる、サブシステムでありうる。さらなる例となる脱窒システムは、例えば、塩水源102と並列に流体的に結合されている、3つ以上のサブシステム200を含みうる。また、システム250内の各サブシステム200は、脱窒媒体230を有するより多くの又はより少ないタンク206、並びに、炭酸カルシウム媒体240を含むより多くの又はより少ないタンク206を含めた、より多くのタンク206又はより少ないタンク206を含みうる。システム250内の各サブシステム200の例となる動作は、先に説明したものと同様であってよく、サブシステム200ごとに独立して(例えば、各サブシステム200の構成要素は、異なるパラメータ又は所望の出力に制御されうる)又はタンデムで(例えば、各サブシステム200の構成要素は、同一又は同様のパラメータ又は所望の出力に制御されうる)、実施することができる。
【0083】
図3A−3Cは、脱窒システムのためのタンク300の例となる実施形態を示している。幾つかの態様では、タンク300は、
図2A及び2Bに示されるタンク206の1つ以上と同様又は同一でありうる。よって、タンク300は、脱窒プロセス(例えば、脱窒媒体230を用いる)、pH平衡化及びアラゴナイト添加プロセス(例えば、炭酸カルシウム媒体240を用いる)、若しくはその両方似利用されうる。
図3Aは、タンク300の側面断面図を示している。
図3Bは、塩水注入マニホールド312を含むタンク300の底の部分の平断面図を示している。
図3Cは、塩水排出口310を含むタンク300の頂部の平断面図を示している。
【0084】
タンク300は、この例では、容積を取り囲み、基部306に支持されているシェル302を含む。この図では、タンク300は垂直に配向されるように示されているが、例えば、容積の長軸は、タンク300を支持する床に対して垂直に配向される。よって、長軸は、重力の方向に位置合わせされる。幾つかの態様では、
図2A−2Bに示されるタンク206の各々もまた、垂直に位置合わせされる。タンク300を垂直に位置合わせすることによって、タンク300内で処理される塩水の流れは、プロセス媒体322(例えば、脱窒菌を担持する硫黄などの脱窒媒体、又はCaCO
3などの炭酸カルシウム媒体)との十分な接触及び十分な接触時間を達成する。例となるタンク300では、媒体322は、脱窒菌を担持する硫黄でありうる。硫黄322はまた、シェル302の底の部分に配置された玉砂利324床に担持されていてもよい。
【0085】
シェル302は、複数の付属物を含む。例えば、アクセスパネル304及び308は、示されるように、それぞれ、シェル302の下側及び上側部分に配置されうる。このようなアクセスパネル304及び308は、人によるアクセス又はシェル302の容積への視覚的アクセス(例えば、検査のため、清掃のためなど)を提供するように開閉可能でありうる。さらには、試料ポート320は、例えば、媒体322並びに該媒体322中を流れる塩水の採水を手動で行うために、シェル302に沿って垂直に配置されうる。
【0086】
図3Bにより明確に示されるように、塩水注入マニホールド312は、ヘッダ316を介して複数の排出口分岐314と流体的に結合されている注入口318を含む。シェル302に近接している排出口分岐314の終端は、塩水が注入口318から、ヘッダ316を介して、及び分岐314を通じてシェル302の容積内へと流れることができるように開口部を含む。示されるように、排出口分岐314は、玉砂利324内にシェル302の容積にわたり(例えば、均等に)分散される。幾つかの態様では、このような分散は、容積を通じてシェル302の底の部分から鉛直上方に、塩水排出口310への塩水の均一又は実質的に均一な流れを提供しうる。幾つかの態様では、1つ以上の排出口分岐314は、分岐314の長さに沿って配置された穿孔又は微細加工したスリットを有してよく、それによって、媒体が排出口分岐314に流れ込む又は入ることなく、穿孔からの塩水取出口を提供する。代替的な実施形態では、複数の排出口を有するマニホールドではなく、シェル302内への単一の塩水注入口が存在しうる。さらなる代替的な実施形態では、排出口分布マニホールドを、注入マニホールド排出口312と同様に、穿孔又は細断されたスリットとともに利用することができる。例えば、排出マニホールドを、容器302内の媒体322が排出口310に逃げるのを防止するか、あるいは防止に役立てることができる。追加的に、この目的のため、スクリーン、有孔板、又は他の封じ込め機構を利用して、媒体322がタンク300から逃げるのを防ぐことができる。
【0087】
この例では、塩水排出口310は、容器側壁302の上部に配置され、シェル302の垂直軸と一直線になっている。代替的な実施形態では、塩水排出口310は、シェル302の上部に配置することができるが、シェル302の垂直軸から、若しくは上部近くのシェル302の側面からオフセットされてもよい。
【0088】
動作中、塩水は、注入口318を通して塩水注入マニホールド312内へと循環される(例えば、強制的に)。塩水は、例えば、分岐314における貫通孔又は微細加工したスリットなどのマニホールド312の分岐314、該分岐314の終端の排出口、又はその両方から出る。塩水は、玉砂利324を通って媒体322内へと循環される。脱窒タンク300の場合には、塩水は、脱窒菌を担持する媒体322を通じて循環される。脱窒プロセスは、前述のように、媒体322において生じる。硝酸塩は、細菌によって、亜硝酸塩へと変換され、その後、亜酸化窒素及び/又は窒素ガスへと変換され、これは、シェル302の上部に配置されたガス排出接続326に接続可能なガス放出装置を通じてタンク300から出ることができる。pHバランシングタンク300の場合には、媒体322は、塩水に溶解するCaCO
3又はアラゴナイトを含みうる。処理された塩水は、媒体322からシェル302の上部へと流れ、塩水排出口310を通ってタンク300から出る。
【0089】
図4は、脱窒システムのための制御システム400の概略図を示している。例えば、制御システム400は、例えば、脱窒システム112、脱窒システム200、脱窒システム250、又は本開示に従う他の脱窒システムを制御するために用いることができる。図示するように、制御システム400は、データベース404に通信可能に接続されたコントローラ402(例えば、マイクロプロセッサベース、PLC、電気機械式、空気圧式、又は他の形態のコントローラ)、並びに、供給口(コントローラ402への接続矢印で示される)及び取出口(コントローラ402から離れる接続矢印で示される)を含む。コントローラ402及びデータベース404の一方又は両方は、コントローラ402を用いて、(例えば、制御システム400のオペレータによって提供される)入力および設定値を出力に変換して、脱窒システムの1つ以上の構成要素を制御する、非一時的コンピュータ可読媒体にコード化された命令を保存することができる。
【0090】
図示するように、コントローラ402に供給口を提供する、脱窒システムの複数の構成要素が存在する。例えば、硝酸塩濃度センサ406は、塩水の流れの硝酸塩濃度を測定するために(例えば、ppm又は他の単位で)、脱窒システム内(例えば、硝酸塩を含む塩水又は淡水の流れを運ぶ流れ導管内、脱窒タンク内、若しくは塩水と接触する他の場所)に位置付けられうる。硝酸塩濃度の測定値(例えば、パーセンテージ又は絶対値として)は、コントローラ402に送信されうる。幾つかの態様では、硝酸塩濃度センサ406は、脱窒システムに入る塩水の流れと脱窒システムを離れる塩水の流れとの硝酸塩濃度の差を測定することができる。幾つかの例では、硝酸塩濃度センサ406は、Hach CompanyのNITRATAXでありうる。別の例として、センサ406は、OTT Hydromet社のSea−Bird Coastal SUNA光学式硝酸塩センサでありうる。幾つかの態様では、センサ406は、硝酸塩を測定するための光電池を備えた試薬ベースの分析装置を含みうる。センサ406は、例えばコントローラ402を介した、プロセス機器の制御のためのオンボード24VDCリレーで、4−20mAの信号を出力することができる。
【0091】
コントローラ402はまた、1つ以上の差圧センサ408(例えば、本明細書には2つのセンサとして示されている)からの差圧(DP)測定値も受け取ることができる。例えば、
図2Aに示される脱窒システム200に関して、DPセンサ408は、ポンプ208にわたる、並びに、出口ヘッダ204と入口ヘッダ202との間の流体圧力差を測定するように配置されうる。このような測定値は、例えば、システム200の再循環ループを通って流れる塩水の相対的な流量を決定するために、コントローラ402において使用することができる。
【0092】
コントローラ402はまた、1つ以上の流量計410(例えば、ここで示されているのは5つであるが、それより多い又は少ない数もまた予定されている)及び412(示されているのは2つであるが、それより多くても少なくてもよい)からの入力も受け取りうる。例えば、幾つかの態様では、流量計410は、各個別のタンク206を通る塩水の流量を測定するために、
図2Aに示されるシステム200の各タンク206の注入口又は排出口に配置されうる。幾つかの態様では、流量計412は、例えば、再循環ループの入口ヘッダ202、出口ヘッダ204、又はバイパスヘッダ220の1つ以上にも配置されうる。各流量計410/412は、流量計410/412が配置される特定の場所における塩水の流量を(gpm又は他の単位で)測定し、コントローラ402に測定値を提供することができる。
【0093】
コントローラ402はまた、温度制御システム(例えば、
図2Aに示される温度制御システム242)の一部であるサーモスタット又は温度センサ428からの入力も受け取ることができる。サーモスタット428は、例えば、脱窒システム内の塩水の流れの温度の測定値を周期的に提供することができる。今度は、コントローラ402は、脱窒システムの再循環ループ(例えば、ループのバイパス導管内又は他の場所)に配置された温度制御システムのヒーターシステム424にも通信可能に接続されうる。
【0094】
コントローラ402はまた、ORPセンサ430からの入力も受け取ることができる(例えば、
図2Aに示されるオゾンガス注入及び加圧タンク接触システム244の一部として)。ORPセンサ430は、酸化又は還元剤として作用する塩水101の能力を測定することができる。今度は、コントローラ402は、2つの別々のオゾンシステムを含む場合に、例えば、オゾンガス注入及び加圧タンク接触システム244、オゾンシステム114、若しくはその両方など、オゾンシステム426を制御するために、通信可能に接続される。
【0095】
コントローラ402はまた、溶存酸素(DO)センサ432からの入力も受け取りうる。DOセンサ432は、塩水中の溶存酸素の量を測定するように、脱窒システムに配置されてもよい。例えば、幾つかの態様では、酸素センサは、塩水中の溶存酸素の濃度を測定するために、再循環ループ内(例えば、入口ヘッダ、出口ヘッダ、バイパスヘッダにおけるタンクの1つ以上の注入口又は排出口又はその近く)に置かれてもよい。幾つかの態様では、例えば、脱窒システムが通性脱窒菌を使用する独立栄養脱窒システムである場合などでは、脱窒プロセスは、酸素濃度が比較的低く保たれているときに最も有効でありうる。例えば、通性嫌気性細菌は、嫌気性環境に存在する場合には、代替的な酸素源として、硝酸塩などの代替的な酸素源を利用する。よって、硫黄脱窒システム内の細菌は、環境が嫌気性の場合に、硝酸塩を窒素ガスへと、より効率的に変換することができる。しかしながら、このような生息場所に要求される嫌気性条件(例えば、動物の要求)に起因して、嫌気性条件は閉鎖系の飼育観賞用水槽では達成することが困難でありうる。
【0096】
図示するように、コントローラ402は、脱窒システム200などの脱窒システムの複数の構成要素の動作を制御するように通信可能に接続されうる(例えば、無線又は有線)。例えば、コントローラ402は、例えば、
図2Aに記載のCO
2注入装置228でありうる、CO
2注入装置414に通信可能に接続されうる。コントローラ402は、それぞれ、例えば、バイパスヘッダ220及び脱窒システム200の入口ヘッダ202に配置された、制御弁416にも通信可能に接続されうる。コントローラ402はまた、脱窒システム200のタンク206の注入口及びタンク206の排出口にそれぞれ配置された、制御弁418及び420にも通信可能に接続されうる。コントローラ402はまた、1つ以上のポンプ422にも通信可能に接続されうる(ここでは1つ表示されているが、それより多くても少なくてもよい)。例えば、ポンプ422は、脱窒システム200に示される再循環ポンプ208を表しうる。
【0097】
幾つかの態様では、弁416は、それを通って循環する塩水の流量を調節するために、全開と全閉の間で制御可能に調節することができる。対照的に、弁418及び420は、全閉又は全開するように制御可能に動作させることができる。しかしながら、代替的な実施形態では、各弁416/418/420は、調節弁でありうる(例えば、全開と全閉の間で調節するように制御される)。
【0098】
幾つかの態様では、ポンプ422もまた、オン(例えば、フルパワー又は銘板電力)又はオフ(例えば、無電力)になるように制御されうる。よって、弁416/418/420の1つ以上の動作により、脱窒システムを循環する塩水の流量を制御することができる。弁416/418/420の各々の動作に基づいて、塩水の一部は、脱窒システム内の塩水の他の部分と比較して、異なる流量で流れうる。特定の例となる実施形態では、ポンプ422は、塩水を一定又は実質的に一定の流量で循環させるように制御することができると同時に、バイパスヘッダ(例えば、バイパスヘッダ220)に配置された弁416は、脱窒システム内を通る塩水の流量を制御するように調節される。弁418/420は、この例となる実施形態では、全開又は全閉となるように制御される(制御システム400を用いて又は手動で)、遮断弁でありうる。
【0099】
別の特定の例となる実施形態では、ポンプ422は、可変周波数駆動、ステップモーター、又は他のモーターコントローラなどによって、塩水の流量を変動させるように制御することができる。この特定の実施形態では、弁416/418/420はすべて、遮断弁(例えば、全開又は全閉)であってよく、ポンプ422は、脱窒システムの再循環ループ内の塩水の流量の制御かつ調節する責を負う。幾つかの事例では、この例においても、バイパスヘッダ内の弁416は調節弁でありうる。
【0100】
コントローラ402は、先に記載した例となる入力を受け取り、コントローラ402に命令として保存された1つ以上の運用アルゴリズムにおけるデータベース404に保存された入力値及び設定値の1つ以上を使用して、脱窒システムの構成要素を制御することができる。コントローラ402の例となる動作では、硝酸塩濃度測定値は、硝酸塩濃度406からコントローラ402へと送られうる。幾つかの事例では、この測定値は、動的に(例えば、塩水が脱窒システムを通って流れる際にリアルタイムで)、かつ周期的に(例えば、毎分、毎時、毎日、または他の期間)、送信されうる。コントローラ402は、塩水中の測定された硝酸塩濃度を、例えば、オペレータによって設定され、コントローラ402又はデータベース404に保存された、硝酸塩の設定値(又は設定範囲)と比較する。測定された濃度が設定値以下の場合には、コントローラ402は何も実行しない。
【0101】
測定された濃度が設定値又は設定範囲の上限を超えている場合には、コントローラ402は、塩水内の硝酸塩の濃度を低下させるために、脱窒システムの1つ以上の構成要素に信号を供給しうる。例えば、コントローラ402は、弁の開放状態のパーセントを増加させるために、バイパスヘッダの弁416(あるいは、独立して又は組み合わせて弁416/418/420のいずれか)に信号を送ることができる。幾つかの態様では、例えば、バイパスヘッダの弁416が開くと、脱窒タンクの排出口からより多くの塩水が、脱窒タンクの注入口に戻るように循環する。これにより、脱窒システム内(例えば、脱窒システムの再循環ループ内)の塩水の水理学的滞留時間が増加しうる。脱窒システム内の塩水の水理学的滞留時間が増加すると(例えば、複数回通過すると、特定の容積の塩水が、脱窒タンクを通って流れる)、より多くの硝酸塩が、亜硝酸塩へ、その後、窒素ガスへと変化し、それによって、塩水中の硝酸塩濃度を低下させることができる。コントローラ402が硝酸塩濃度センサ406から追加の硝酸塩濃度測定値を受け取ると、コントローラ402は、弁416を開放し続けるか、あるいは、弁416の開放を終止することができる(例えば、測定された値が設定値未満のとき)。
【0102】
コントローラ402はまた、脱窒システムの再循環ループ内を循環する塩水の流量を低下させるために、ポンプ422にも、若しくは代替的にポンプ422に、信号を送ってもよい。例えば、ポンプ220の速度が落ちると、再循環ループ内の塩水は、脱窒タンクを通って(例えば、底部から上部へと垂直に)循環するのに、より長い時間がかかる。これにより、脱窒システム内(例えば、脱窒システムの再循環ループ内)の塩水の水理学的滞留時間も増加させることができ、それによって、前述のとおり、脱窒プロセスにおける硝酸塩の窒素ガスへの変化の速度を増加させることができる。コントローラ402が硝酸塩濃度センサ406から追加の硝酸塩濃度測定値を受け取ると、コントローラ402は、ポンプ422のスピードを低下させ続けるか、あるいは、ポンプ422のスピードの変更を終止することができる(例えば、測定値が設定値未満のとき)。
【0103】
コントローラ402は、脱窒システムのpHバランシングタンクに注入されるCO
2の量を増加させるために、CO
2注入装置414にも、若しくは代替的にCO
2注入装置414に、信号を送ってもよい。例えば、より多くのCO
2がpHバランシングタンク内に注入されると、タンク内のCaCO
3又はアラゴナイトは、より迅速に塩水中に溶解しうる。再循環ループの塩水内のCaCO
3又はアラゴナイトの濃度が増加するにつれて、脱窒プロセスもまた増加しうる。コントローラ402が硝酸塩濃度センサ406から追加の硝酸塩濃度測定値を受け取ると、コントローラ402は、pHバランシングタンク内に注入される速度を増加させ続けるか、あるいは、CO
2の注入速度を一定に保つことができる(例えば、測定値が設定値未満のとき)。
【0104】
別の例となる動作では、コントローラ402は、センサ428からの温度測定値を設定温度と比較し、該比較に基づいて、ヒーター424(又は、1つ以上の弁416/418などの他の構成要素)を動作させて、塩水の流れを所定の設定点又はそれ以上に維持することができる。例えば、測定された温度が低すぎる場合には、ヒーター424は、作動させるか、又は電力を増加させることができ、あるいは、1つ以上の弁416/418は、流れを制限して、塩水の流れを加熱するように調整することができる。
【0105】
他の例となる動作では、DOセンサ432は、塩水中の溶存酸素の量を測定し、コントローラ402に測定値を提供する。コントローラ402は、測定されたDOを、例えば、オペレータによって設定され、コントローラ402又はデータベース404に保存されたDOの設定値に対して比較することができる。幾つかの態様では、設定値は、脱窒が起こるための最小値と考えられる、約3.0mg/l又は40%の飽和を下回りうる。幾つかの態様では、設定値は、理想的なSDNが起こるためには、約0.10mg/lから2.0mg/lの間でありうる。
【0106】
DOの測定値は、センサ432からコントローラ402へと動的に(例えば、塩水が脱窒システムを通って流れる際にリアルタイムで)、かつ周期的に(例えば、毎分、毎時、毎日、または他の期間)、送信されうる。測定されたDOが設定値以下(又は設定範囲内)の場合には、コントローラ402は何も実行しなくてよい。測定された濃度が設定値より大きいか、又は設定範囲外の場合には、コントローラ402は、塩水内の酸素の濃度を低下させるために、脱窒システムの1つ以上の構成要素に信号を提供しうる。例えば、DO濃度を低下させるために、コントローラ402は、入口ヘッダにおいて弁416を制御して、供給源から脱窒システムへと、より少ない塩水を循環させることができる。脱窒システムへの塩水の流量を低減することによって、循環する塩水の水理学的滞留率は増加し、DOは低下する。
【0107】
他の例となる動作では、理論的な硝酸塩除去をコントローラ402によって計算することができる。例えば、コントローラ402は、脱窒システムを通過し、塩水の水源へと戻る(例えば、第2のループ)流量の測定値、並びに、入ってくる硝酸塩濃度と出ていく硝酸塩濃度(例えば、第2のループに入り、第2のループから出ていくなど)との差異を使用して、理論的な硝酸塩除去を計算することができる。このような差異は、SDNプロセスのデルタ硝酸塩であってよく、コントローラ402で使用して、SDNプロセスの正味の硝酸塩フラックスを計算することができる。この正味の硝酸塩フラックスは、入力として表示することができ、場合によってはコントローラ402の設定値として入力され、したがってコントローラ402が達成又は維持しようと試みるための出力を作成することができる。
【0108】
コントローラ402は、これらのプロセス中に、センサ408からの差圧値及びセンサ410及び412からの流量値など、他の値も周期的に受け取ることができ、このような値を差圧及び流量の対応する設定値(又は設定範囲)と比較して、このような測定値が許容範囲内にあることを確実にすることができる。例えば、コントローラ402は、脱窒システム内のセンサから差圧値、流量、温度、及び他の測定値などのこのような測定値を周期的に受け取り、このような値を、これらの値に関連した保存された設定値(又は設定範囲)(例えば、制御システム400のオペレータによって設定される)と比較する、フィードバックループを実行することができる。測定された値が設定値を満たさない(又は設定範囲外にある)場合には、コントローラ402は、測定値が設定値を満たすまで、又は設定範囲内になるまで、1つ以上の構成要素(例えば、弁416/418/420、ポンプ422、又は他の構成要素)を調整することができる。
【0109】
幾つかの態様では、コントローラ402は、流量、温度、溶存酸素、pH、又はORPなどの入力装置の値を比較することができ、また、測定値を、データベース404に設定可能な所定の警報パラメータと比較することができる。入力パラメータが安全範囲外であると測定された場合には、実行可能なアクションを実行してシステムをシャットダウンするか、あるいは、通常の運転状態が再確立される前にオペレータがクリアしなければならない「ロックアウト」状態を作り出すことができる。警報はまた、無線またはIP接続を使用して、電話またはテキストベースのメッセージとして送信される可視、可聴、又は通知アラームを含む取り出し装置として生成することもできる。
【0110】
図5は、制御システム400のコントローラ402など、制御システムのためのコントローラ500の概略図である。コントローラ500を使用して、注入物質検出システム及びプロセスの実行など、幾つかの実行に従う、前述のコンピュータ実行方法のいずれかに記載される動作を行うことができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるコンピューティングシステム及び装置、並びに機能動作は、本明細書に開示される構造(例えば、制御システム400)及びそれらの構造的な等価物を含む、デジタル電子回路内、有形に具現化されたコンピュータソフトウェア又はファームウェア内、コンピュータハードウェア内、若しくはそれらの1つ以上の組合せで実行されうる。コントローラ500は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバー、ブレードサーバー、メインフレーム、及びモジュール式車両のベースユニット又はポッドユニットに取り付けられた車両を含めた他の適切なコンピュータなど、さまざまな形態のデジタルコンピュータを含むことが意図されている。コントローラ500には、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、及び他の同様のコンピューティング機器などの携帯機器もまた含まれうる。追加的に、システムは、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュドライブなどの可搬記憶媒体を含みうる。例えば、USBフラッシュドライブは、オペレーティング・システム及び他のアプリケーションを保存することができる。USBフラッシュドライブは、別のコンピューティングデバイスのUSBポートに挿入可能な無線送信機又はUSBコネクタなどの入力/出力構成要素を含みうる。
【0111】
コントローラ500は、プロセッサ510、メモリ520、記憶装置530、及び入力/出力装置540を含む。構成要素510、520、530、及び540の各々は、システムバス550を使用して相互接続されている。プロセッサ510は、コントローラ500内で実行する命令を処理することができる。プロセッサは、複数のアーキテクチャのいずれかを使用して設計することができる。例えば、プロセッサ510は、CISC(複合命令セットコンピュータ)プロセッサ、RISC(縮小命令セットコンピュータ)プロセッサ、又はMISC(最小命令セットコンピュータ)プロセッサでありうる。
【0112】
実施形態では、プロセッサ510はシングルスレッドプロセッサである。別の実施形態では、プロセッサ510は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ510は、入力/出力装置540上にユーザインタフェースのためのグラフィック情報を表示するために、メモリ520又は記憶装置530に保存されている命令を処理することができる。
【0113】
メモリ520は、コントローラ500内に情報を保存する。一実施形態では、メモリ520は、コンピュータ可読媒体である。一実施形態では、メモリ520は揮発性メモリユニットである。別の実施形態では、メモリ520は不揮発性メモリユニットである。
【0114】
記憶装置530は、コントローラ500のための大容量記憶を提供することができる。一実施形態では、記憶装置530は、コンピュータ−可読媒体である。さまざまな異なる実施形態では、記憶装置530は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、又はテープ装置でありうる。
【0115】
入力/出力装置540は、システム500の入力/出力操作を提供する。一実施形態では、入力/出力装置540は、キーボード及び/又はポインティング装置を含む。別の実施形態では、入力/出力装置540は、グラフィカルユーザインターフェースを表示するための表示装置を含む。
【0116】
記載される機能は、デジタル電子回路で、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアで、又はそれらの組合せで実施することができる。装置は、例えば、プログラマブルプロセッサで実行するための機械可読記憶装置など、情報キャリアに有形に具現化されたコンピュータプログラム製品に実装することができる;並びに、方法ステップは、入力データを操作し、出力を生成することによって、記載される実施形態の機能を実行するための命令プログラムを実行する、プログラマブルプロセッサによって行うことができる。記載される機能は、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受け取り、かつ、それらにデータ及び命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムで、有利に実施することができる。コンピュータプログラムは、ある特定のアクティビティを実行するため、又はある特定の結果をもたらすために、コンピュータで直接的又は間接的に使用することができる命令セットである。コンピュータプログラムは、コンパイル言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で作成することができ、それは、独立型プログラムとして又はモジュールとして、構成要素、サブルーチン、又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットを含む任意の形態で展開することができる。
【0117】
命令プログラムの実行に適したプロセッサとしては、例えば、汎用マイクロプロセッサ及び特殊用途のマイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のコンピュータの単一のプロセッサ又は複数のプロセッサのうちの1つが挙げられる。概して、プロセッサは、リードオンリーメモリ又はランダムアクセスメモリ若しくはその両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを保存するための1つ以上のメモリである。概して、コンピュータはまた、データファイルを保存するための1つ以上の大容量記憶装置を含むか、あるいは、該装置と通信するように動作可能に結合される;このような装置としては、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;及び、光ディスクが挙げられる。有形に具現化するコンピュータプログラム命令及びデータに適した記憶装置としては、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;及び、CD−ROM及びDVD−ROMディスクなど、すべての形態の不揮発性メモリが挙げられる。プロセッサ及びメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)で補完するか、あるいはASICに組み込むことができる。
【0118】
ユーザーとの対話を提供するため、ユーザーに情報を表示するためのCRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニターなどの表示装置、並びに、ユーザーがコンピュータに入力を提供できる、キーボード及びマウス又はトラックボールなどのポインティング装置を有するコンピュータで機能を実施することができる。追加的に、このようなアクティビティは、タッチスクリーン・フラットパネルディスプレイ及び他の適切な機構を介して実施することができる。
【0119】
機能は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含む、若しくはアプリケーションサーバ又はインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含む、若しくはグラフィカルユーザインターフェース又はインターネットブラウザを有するクライアントコンピュ-タなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピュータシステム、あるいはそれらの任意の組合せで実施することができる。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなど、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体で接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、ピアツーピアネットワーク(アドホック又は静的メンバを有する)、グリッドコンピューティングインフラストラクチャー、及びインターネットが挙げられる。
【0120】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバーを含みうる。クライアント及びサーバーは、通常、互いに遠く離れており、典型的には、記載されたものなど、ネットワークを通して対話する。クライアントとサーバーとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアントとサーバーの関係を有する、コンピュータプログラムによって生じる。
【0121】
本明細書は、多くの具体的な実施形態の詳細を含むが、これらは、発明の範囲又は主張されうるものに対する限定としてではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書において別々の実施形態の文脈で説明されているある特定の特徴は、単一の実施の組合せで実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されているさまざまな特徴は、別々に又は任意の適切な部分的組合せで、複数の実施形態において実施することもできる。さらには、特徴は、ある特定の組み合わせで作用するものとして先に記載され、最初にそのように主張されることもあるが、主張される組合せに由来する1つ以上の特徴は、幾つかの事例では、組合せから削除することができ、該主張される組合せは、部分的組合せ又は該部分的組合せのバリエーションを対象とする場合がある。
【0122】
同様に、動作は特定の順序で図面に描かれているが、望ましい結果を達成するためには、このような動作が示された特定の順序で又は順次に実行されること、若しくは図示されたすべての動作が実行されることが必要であると理解されるべきではない。ある特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利でありうる。さらには、前述の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてこのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されるプログラム構成要素及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品に統合されるか、若しくは、複数のソフトウェア製品へとパッケージ化されうる。
【0123】
よって、主題の特定の実施形態が説明されている。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。幾つかの事例では、請求項に記載される動作は、異なる順序で実行することができ、それでもなお望ましい結果を達成することができる。加えて、添付の図面に示されたプロセスは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序、又は連番であることを必ずしも必要としない。ある特定の実施形態では、マルチタスク及び並列処理が有利でありうる。
【0124】
よって、本開示の特定の実施形態を説明してきたが、他のものも同様に本開示によって企図されている。例えば、本開示は、例えば脱窒、pH平衡化、及び他の処理によって処理される例となる液体として塩水を使用しているが、本明細書で論じられる概念は、魚及び他の動物を支える淡水の生息場所を含む非塩水源にも同様に適用することができる。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】