特表2019-537575(P2019-537575A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-537575酸、エステル、又はアミドC−グリコシド誘導体を使用するケラチン物質の処理の方法及びそれを含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-537575(P2019-537575A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】酸、エステル、又はアミドC−グリコシド誘導体を使用するケラチン物質の処理の方法及びそれを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20191129BHJP
   C07D 309/10 20060101ALI20191129BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20191129BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20191129BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   A61K8/60
   C07D309/10CSP
   A61Q19/00
   A61Q19/02
   A61Q19/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】92
(21)【出願番号】特願2019-522285(P2019-522285)
(86)(22)【出願日】2017年11月7日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月21日
(86)【国際出願番号】EP2017078485
(87)【国際公開番号】WO2018083344
(87)【国際公開日】20180511
(31)【優先権主張番号】1660744
(32)【優先日】2016年11月7日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1760399
(32)【優先日】2017年11月6日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マリー−セリーヌ・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ダルコ
【テーマコード(参考)】
4C062
4C083
【Fターム(参考)】
4C062AA18
4C062AA19
4C083AC092
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD092
4C083AD282
4C083CC02
4C083DD41
4C083EE16
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、皮膚などのケラチン物質への、Rが明細書に定義の通りでありSが単糖又は多糖である化合物(I)を含む組成物の適用を含む、ケラチン物質、特に皮膚の美容的処理の方法に関する。特に、本発明は、皮膚などのケラチン物質を白くし、明るくし、且つ/又は色素脱失するための薬剤としての、少なくとも1種の式(I)の化合物の非治療的な美容的使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特に皮膚を処理する方法であって、前記ケラチン物質への、少なくとも1種の式(I)の化合物、又は少なくとも1種の式(I)の化合物、並びに水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、互変異性体、並びにそのアルカリ性又は酸性の有機又は無機の塩を含む少なくとも1種の化粧用組成物の適用を含む方法:
【化1】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、以下から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−Rは下記から選択される基を表し:
i)ヒドロキシル;このヒドロキシルは、アルコキシドO,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す)の形態であってよく;(Rがアルコキシドの形態である場合、それは、α位のカルボニルと共に、カルボキシラート官能基COO,M(Mは先に定義の通り)を形成する);
ii)飽和若しくは不飽和(C〜C18)アルコキシ;
iii)フェニルオキシ若しくはフェノキシなど、任意選択で置換されているアリールオキシ;
iv)ベンジルオキシなど、任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルコキシ;
v)基(B1):
【化2】
(式中:
・R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
・w=1〜10(両端を含む));又は
iv)R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ−NR
○−Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;又は
v)任意選択で置換されているアリール若しくはヘテロアリール基;
○−Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
v)任意選択で置換されているアリール若しくはヘテロアリール基;
vi)基(B’1):
【化3】
(式中:
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示すが、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−y=1〜10(両端を含む));又は
vii)基(B’2):
【化4】
(式中:
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択されるか:
【化5】
或いは、Rは、R及びRを有する窒素原子と共に、式A1、A2、若しくはA3の飽和複素環を形成でき:
【化6】
−Rは下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが、同一でも異なっていてもよく、水素原子若しくは(C〜C)アルキル基を表す基−NR);
−或いは、RとRは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成する)。
【請求項2】
式(I)の化合物が、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、ラムノース、フルストース(frustose)、ソルボース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルコサミン、ガラクトサミン、ラクトース、セロビオース、及びマルトースから選択され、好ましくはグルコース、キシロース、及びラムノースから選択される単糖基を表す糖基Sを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が、以下の式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、(I’’’’a)、及び(I’b)の化合物:
【化7】
並びにまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体、並びにその有機又は無機の塩基塩又は酸塩から選択される、請求項1又は2に記載の方法
(式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、(I’’’’a)、及び(I’b)中:
−Rは、先に定義された通りであり、好ましくは以下から選択される基を表し:
i)ヒドロキシル;このヒドロキシルは、アルコキシド形態O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す)であってよく;(Rがアルコキシド形態である場合、それはα位のカルボニルと共にカルボキシラート官能基COO,Mを形成する(Mは先に定義の通り))
ii)(C〜C18)アルコキシ、好ましくはC〜Cアルコキシ、より優先的にはエトキシ;
iii)R’及びR’が互いに独立に下記を表すアミノ−NR’R’
○R’に関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル基、優先的にはメチル;
○R’に関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)下記などの基:
【化8】
(式中:
j=0又は1;
−R’は水素原子を表すか、或いは、R’は以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択され:
【化9】
R’は、R’及びR’を有する窒素と共に、式A1又はA2又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化10】
−R’は下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン又はNa、Kなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+、Ca2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR
好ましくはR’は、ヒドロキシル基、アルコキシド−O,M、飽和(C〜C)アルコキシ基、とりわけメトキシ又はエトキシ、又はアミノ基NHを表す)、
或いは、R’とR’は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成し、
−R’’は先に定義された通りであり、好ましくは水素原子又はアセチル基、好ましくは水素原子を表し;
−R’’’は、水素原子、又は(C〜C)アルキル基、又はR’’が先に定義された通りである基−CH−OR’’、とりわけ水素又はアセチル基、好ましくは水素原子を表し;好ましくは、R’’’は、水素原子、又はメチルなどの(C〜C)アルキル基、又はR’’が水素原子若しくはアセチル基を示す基−CH−OR’’を表す)。
【請求項4】
式(I)の化合物が、以下の化合物、並びにまたその塩、異性体、及び溶媒和物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【表1】
【表2】
【表3】
【請求項5】
式(IIa)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化11】
(式中:
−Sは、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、D−リキソース、L−フコース、L−アラビノース、D−アラビノース、L−ラムノース、D−キノボース、D−フルクトース、L−ソルボース、D−タロース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖糖基を示し;
前記糖単位は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−Rは下記から選択される基を表し:
i)水素原子;ii)飽和又は不飽和(C〜C18)アルキル;
iii)フェニルなど、任意選択で置換されているアリール;及び
iv)ベンジルなど、任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル;
下記が理解される:
−SがD−グルコースを示す場合、R’はメチルにもエチルにもなり得ず、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子以外であること;
−SがD−キシロースを示す場合、R’はメチルにも(C15〜C18)アルキルにもなり得ないこと;
−SがD−ガラクトースを示す場合、R’は水素になり得ず、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’はメチル又はエチル以外であること;
−SがD−マンノースを示す場合、R’は水素にもメチルにもなり得ないこと;
−SがL−ラムノースを示す場合、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子又はメチル基以外であること;
−SがL−フコースを示す場合、R’は水素になり得ないこと;
−SがD−アラビノースを示す場合、R’はメチルになり得ないこと;
−SがD−タロースを示す場合、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子以外であること;
−SがN−アセチル−D−グルコサミンを示す場合、R’はエチルになり得ず、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子以外であること;及び
−式(IIa)の化合物は800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと)。
【請求項6】
−Sが、D−グルコース又はD−キシロースから選択される糖、優先的にはD−グルコースを示し、好ましくはSの前記ヒドロキシル基が置換されておらず;且つ/又は
−R’が、水素原子又は好ましくは飽和である(C〜C18)アルキル基、より優先的にはC〜Cアルキル基、とりわけエチルを表す、請求項5に記載の式(IIa)の化合物。
【請求項7】
下記(及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩)から選択される請求項5又は6に記載の化合物。
【表4】
【請求項8】
式(IIb)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化12】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、或いは2個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;ii)飽和又は不飽和(C〜C14)アルキル;
下記が理解される:
−Sが単糖を示す場合、R’’は水素にもエチルにもなり得ないこと;
−Sがピラノース型の単糖を示す場合、R’’はn−ブチルになり得ないこと;及び
−式(IIb)の前記化合物は800Da未満のモル質量を有し、全体で3を超える環を含まないこと)。
【請求項9】
−Sが、二糖、好ましくは、ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースから選択される、好ましくはD−ラクトース、D−マルトース、又はD−セロビオースから選択される二糖を示し;且つ/又は
−Sの前記ヒドロキシル基が置換されておらず;且つ/又は
−R’’が、水素原子又は好ましくは飽和である(C〜C)アルキル基、とりわけエチルを表す、請求項8に記載の式(IIb)の化合物。
【請求項10】
式(IIc)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化13】
(式中
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
好ましくは、Sの前記ヒドロキシル基は置換されておらず、前記任意選択のアミノ基は遊離であるか(−NH)、又は全てアセチル基(−CO−CH)により置換されている(R=H及びR=H又はアセチル);
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−w=1〜10、好ましくはwは、1〜5、より優先的には1〜3であり;
式(IIc)の前記化合物が800Da未満のモル質量を有し、全体で3を超える環を含まないことが理解される)。
【請求項11】
式(IIIa)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化14】
(式中:
−Sは、D−キシロース、D−フルクトース、L−ソルボース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖糖基を示し;
前記糖単位は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
好ましくは、Sの前記ヒドロキシル基は置換されておらず;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
好ましくは、R’’は、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示し、
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
v)任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基;
或いは、R’’とR’’は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成し;
式(IIIa)の前記化合物が800Da未満のモル質量を有し、全体で3を超える環を含まないことが理解される)。
【請求項12】
下記から選択される請求項11に記載の式(IIIa)の化合物(及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩)。
【表5】
【請求項13】
式(IIIb)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化15】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜3個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;5−アミノフラノースタイプの単糖を除外し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−R’’’は下記から選択される基を表し:
i)(C〜C18)アルキル基;又は
ii)(C〜C18)アルケニル基;
iii)とりわけ少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
iv)任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基;
或いは、R’’’とR’’’は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成し;ピペリジン環は除外され;
R’’’が水素原子を表す場合、下記が理解される:
−SがD−ガラクトースを示す場合、R’’’はアルキル基にもアルケニル基にもなり得ないこと;
−Sが単糖を示す場合、R’’’は置換又は非置換のベンジル基になり得ないこと;
−Sがピラノースタイプの単糖を示す場合、R’’’は、置換又は非置換のフェニル基にも、2−ベンゾチアゾリル基にも、2−ベンゾイミダゾリル基にもなり得ないこと;
下記が理解される、
式(IIIb)の前記化合物は800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと;
且つ、以下の化合物が除外される)。
【表6】
【請求項14】
−Sが、二糖、好ましくは、ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースから選択される、優先的には、D−ラクトース、D−マルトース、又はD−セロビオースから選択される二糖を示し;且つ/又は
−Sの前記ヒドロキシル基が置換されておらず;且つ/又は
R’’’が、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示す、請求項13に記載の式(IIIb)の化合物。
【請求項15】
下記から選択される請求項13又は14に記載の式(IIIb)の化合物(及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩)。
【表7】
【請求項16】
式(IIIc)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化16】
(式中:
−Sは、D−キシロース、D−フルクトース、L−ソルボース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖糖基を示し;
前記糖単位は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは、以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択され:
【化17】
或いは、Rは、R’’及びR’’を有する窒素原子と共に、式A1、A2、又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化18】
−Rは下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa、Kなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;又は
iv)R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR
且つ、式(IIIc)の前記化合物が800Da未満のモル質量を有し、全体で3を超える環を含まないことが理解される)。
【請求項17】
−Sの前記ヒドロキシル基が置換されておらず;且つ/又は
−R’’が、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示し;且つ/又は
−Rが、ヒドロキシル、エトキシ、若しくはNH基を示し;且つ/又は
−i=0且つRが、水素原子若しくは以下の基(a1)若しくは(a5)若しくは(a16)から選択される基を表す:
【化19】
請求項16に記載の式(IIIc)の化合物。
【請求項18】
式(IIId)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化20】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは、以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択され:
【化21】
或いは、Rは、R’’及びR’’を有する窒素原子と共に、式A1、A2、又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化22】
は下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;又は
iv)R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子若しくは(C〜C)アルキル基を表す基−NR
且つ下記が理解される:
−R’’が水素原子を表す場合、且つSがピラノース型の単糖を示す場合、Rがメチル基にもヒドロキシル基にもなり得ないこと;
及び式(IIId)の前記化合物が800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと;
且つ、以下の化合物が除外される)。
【表8】
【請求項19】
−Sの前記ヒドロキシル基が置換されておらず;且つ/又は
−R’’が、水素原子若しくはとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示し;且つ/又は
−Rが、ヒドロキシル、エトキシ、若しくはNH基を示し;且つ/又は
−i=0且つRが、水素原子若しくは以下の基(a1)若しくは(a5)若しくは(a16)から選択される基を表す:
【化23】
請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
式(IIIe)の化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩:
【化24】
(−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の前記糖の1つのC炭素原子の間の結合により前記分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−y=1〜10;
且つ、式(IIIe)の前記化合物が800Da未満のモル質量を有し、全体で3を超える環を含まないことが理解される)。
【請求項21】
−Sの前記ヒドロキシル基が置換されておらず、前記任意選択のアミノ基が遊離(−NH)であるか、或いはアセチル基(−CO−CH)により置換されており(R=H及びR=H又はアセチル);且つ/又は
−yが、1〜5、より優先的には1〜3である、請求項19に記載の式(IIIe)の化合物。
【請求項22】
請求項1に定義された式(I)の化合物
【化25】
(式中:
は、好ましくはフラノン型の単糖を示し、
Rは、R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ基−NRを表す:
i)水素原子;又は
ii)(C〜C18)アルキル基;好ましくは(C〜C16)アルキル、とりわけ(C12〜C16)アルキル)。
【請求項23】
化合物5並びにまたその塩、異性体、及び/又は溶媒和物から選択される、請求項3に定義された式(I’b)の化合物。
【表9】
【請求項24】
以下のスキーム(1)に従って、請求項5〜20のいずれか一項に定義された式(I)の化合物を合成する方法であって:
【化26】
以下の工程:
−工程1a:糖単位を有する化合物(VI)を得るための、とりわけ三級アミン、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下での、式(IV)の単糖又は多糖とメルドラム酸(V)の反応;
−工程2:C−グリコシド酸化合物(II)を得るための、特に酸性媒体中での化合物(VI)の加水分解;
−工程3:前記酸(II)と、エステル化により式(II)のエステル化合物を得るためのアルコールR−OHとの反応又はN−アシル化/アミド化により式(III)のアミド化合物を得るためのアミンRr1r2NHとの反応;
を含むか、或いは:
−工程1b:NaOHなど、Mがカチオンを表すMOHなどの無機塩基、又は好ましくは(重)炭酸塩などの弱塩基の存在下での、とりわけアルカリ金属(重)炭酸塩による、又はトリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下での、式(IV)の単糖又は多糖と式(VII)のアセトアセトアミド化合物の間のLubineauタイプの反応による式(III)のアミド化合物の製造(工程1b)
を含む方法。
【請求項25】
以下のスキーム(2)に従って、Aが水素原子を示し、前記糖がフラノース型である、請求項1又は2に定義された式(I)の化合物及び請求項3に定義された式(I’b)の化合物を合成する方法であって:
【化27】
以下の工程:
−工程1:フラノース型の糖単位に縮合したラクトン中間体(VIII)を得るための、とりわけ、三級アミン、例えばトリエチルアミン又はtert−ブチルアミンなどの有機塩基の存在下での、式(IV)の単糖又は多糖とメルドラム酸(V)の反応;
−工程2a:フラノース型のC−グリコシド酸化合物(II)を得るための、特に酸性媒体中での化合物(VIII)の加水分解又はフラノース型のC−グリコシド酸化合物(II)を得るための、水性塩基性媒体中での前記ラクトン(VIII)の開環;
−工程2b:フラノース型のC−グリコシドエステル化合物(II)を得るための、前記ラクトン化合物(VIII)のアルコールR−OHによる開環又は対応するアルコキシドを形成するためにNa若しくはNaHなどの強塩基により事前に脱プロトン化されたアルコールR−OHによる前記ラクトン(VIII)の開環;
−工程2c:フラノース型のC−グリコシドアミド化合物(III)を得るための、前記ラクトン化合物(VIII)のアミンRr1r2NHによる開環
を含む方法。
【請求項26】
請求項1〜3のいずれか一項に定義された化合物(I)、好ましくは、前述の請求項に定義された式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物、並びに前述の請求項に定義された化合物1〜5から選択される少なくとも1種の式(I)の化合物の、ケラチン物質、とりわけ皮膚の美容的処理のための使用。
【請求項27】
生理的に許容できる媒体中に、請求項1〜23のいずれか一項に定義された少なくとも1種の式(I)の化合物、好ましくは、前述の請求項に定義された(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)、並びに前述の請求項に定義された化合物1〜5から選択される少なくとも1種の式(I)の化合物を含む組成物。
【請求項28】
顔及び/又は体の皮膚に、請求項1〜23のいずれか一項に記載又は定義された少なくとも1種の式(I)の化合物を含む少なくとも1種の組成物を適用することを含む少なくとも1工程を含む、ケラチン物質、特に顔及び/又は体の皮膚を色素脱失し、明るくし、且つ/若しくは漂白するための、且つ/又は皮膚の色つや若しくは半粘膜の色つやの減退を予防、低減、及び/若しくは治療するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容的処理方法。
【請求項29】
ケラチン物質、とりわけ皮膚を漂白し、明るくし、且つ/又は色素脱失するための薬剤としての、請求項1〜4のいずれか一項に定義された化合物(I)、好ましくは前述の請求項に定義された化合物1〜5から選択される少なくとも1種の式(I)の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧製品、より詳細には、ケラチン物質の手入れ、特に顔及び/又は体の皮膚の手入れのための化粧製品の分野に関する。
【0002】
本発明は、酸、エステル、又はアミド基を含むC−グリコシド化合物、それを含む化粧用組成物、調製方法、ケラチン物質、とりわけ皮膚の処理のための前記C−グリコシドの使用、並びに前記C−グリコシドを使用してケラチン物質を処理する方法に関する。
【0003】
より詳細には、本発明は、ケラチン物質、特に顔及び/若しくは体の皮膚を効率よく色素脱失し、且つ/若しくは明るくし、若しくは漂白すらするための、且つ/又は顔色、特にその均質性及びその輝きを改善するための新規活性薬剤の使用の提案を対象とする。
【背景技術】
【0004】
ヒトのケラチン物質、特にヒトの皮膚の色は、主に、色素であるメラニンの性質及び濃度により決まる。
【0005】
メラニン形成の機構、すなわちメラニンの形成の機構は、特に複雑であり、模式的に以下の主な段階を含む:
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→ドーパクロム→メラニン
【0006】
より詳細には、チロシナーゼは、2種のメラニンであるフェオメラニン及びユーメラニンの合成の第一段階を調節する必須の酵素である。
【0007】
顔及び/又は体の皮膚の色素沈着、より詳細には皮膚の色素沈着は、一年のうちの季節に関連する環境因子及び個人の出身など、種々の因子に依存する。
【0008】
さらに、一生の中の種々の時間で、特定の人々には、その皮膚、より特に手の上に、黒ずんだ、且つ/又はより色の付いたしみが発生して、皮膚が不均一になる。これらのしみは、良性の美的でない色素障害(pigmentary impairments)の中に分類され、皮膚中の高濃度のメラニンによるものである。
【0009】
そのため、これらの美的でない良性の色素障害の存在をなくすか、又は減少させるために、主に美容目的の多くのプロセスが開発されてきた。これらの障害の存在の除去又は減少は、通例、メラニン形成細胞中のメラニン合成の活性の減少に基づく色素脱失性の治療の適用に基づいている。色素脱失分子は、例えば紫外線による色素沈着の原因となるストレスの作用を制限する抗色素沈着分子とは区別されるべきである。
【0010】
より精密には、分子は、とりわけ、メラニン形成に関与する酵素の1つを阻害することにより、又はメラニン合成鎖の化学化合物の1つの構造アナログとして介入することにより、メラニン生合成の段階の1つに干渉する場合、色素脱失していると認識されるが、次いでメラニン合成鎖は遮断され、そのため色素脱失がもたらされ得る。
【0011】
今までに探求された主な経路の1つはチロシナーゼの阻害に基づいている。これらの治療の目的は、色素の合成を減少させ、又はさらには停止させることである。
【0012】
公知の主な色素脱失物質はヒドロキノン及びその誘導体、とりわけ、ヒドロキノンモノメチルエーテル及びモノエチルエーテルなどのそのエーテル、コウジ酸、アルブチンなどである。
【0013】
しかし、上述の色素脱失剤の使用に関連する重大な欠点がある。具体的には、色素脱失物質は、特に、あるレベルの不安定性、低濃度での低効率、他の機能に影響する生物学的活性などを示し得る。
【0014】
例えば、ヒドロキノン及びその誘導体に関して、これらの化合物は特定のレベルの効能を有するが、残念なことに副作用があり、そのために、使用が困難になることがあり、有害にすらなり得る。このため、良好な効能を有する無害な局所色素脱失物質が、ケラチン物質、特に皮膚を効率よく色素脱失し、且つ/若しくは明るくし、若しくは漂白すらする目的で、且つ/又は皮膚の色つや若しくは半粘膜の色つやの減退を予防、低減、且つ/若しくは治療する目的で、すなわちとりわけ顔色の均質性を改善し、且つ/又は顔色の輝きを取り戻す目的で、最も特に求められる。
【0015】
このため、特に顔色の均質性を改善し、顔色の輝きを取り戻すことも可能にする、ケラチン物質、特に皮膚を漂白するための新規薬剤が依然として必要とされており、その薬剤の作用は、公知薬剤とちょうど同じくらいに効率がよいが、その欠点を有さず、すなわち、安定で、水性組成物中など容易に製剤可能であり、且つ/又は低濃度ですら効率がよい。
【0016】
この点で、出願人である会社は、驚くべきことに、且つ意外にも、酸、エステル、又はアミド基を有する特定のC−グリコシド化合物が、ケラチン物質を色素脱失するのに良好な活性を有し、さらに皮膚の色つや又は半粘膜の色つやの減退を予防、低減、及び/又は治療することを可能とする作用、すなわちとりわけ顔色の均質性を改善し、顔色の輝きを取り戻すことを可能とする活性も、低濃度ですら有することを発見した。
【0017】
女性及び男性は、現在、さらに、できるだけ長く若々しく見えるように望み、その結果皮膚の加齢のしるしを和らげようとする傾向を有するが、加齢のしるしは、特に、しわ及び小じわ、表皮の菲薄化、並びに/又はたるんでしぼんだ皮膚の外観に反映される。この点で、広告産業及びファッション産業は、若々しい皮膚のしるしである輝いてしわのない皮膚をできるだけ長く維持するための製品に言及し、身体的外観は精神及び/又は意欲に影響を及ぼすので、なおさらそうである。
【0018】
皮膚は、表面の区画、表皮、及び他のより深い区画、真皮という相互作用する2つの区画から構成される。天然のヒト表皮は、主に、3種の細胞、すなわち、圧倒的多数であるケラチン生成細胞、メラニン形成細胞、及びランゲルハンス細胞から構成される。これらの種類の細胞のそれぞれは、その固有の機能により、体内で皮膚により果たされる必須の役割、とりわけ、「バリア機能」として知られる、外の攻撃因子に対して体を保護する役割に貢献する。
【0019】
表皮は、従来、表皮の胚芽層を構成するケラチン生成細胞の基底層、胚芽層上に位置する数層の多面体の細胞で構成された有棘層、独特な細胞質含有物、ケラトヒアリン顆粒を含む平坦な細胞で構成される1〜3の「顆粒」層、及び最後に、角質細胞として知られるその分化の最終段階にある一揃えの層のケラチン生成細胞で構成された角化層(又は角質層)に分類されている。角質細胞は、主に、角化外膜に囲まれたサイトケラチンを含む繊維状物質で構成される無核細胞である。
【0020】
真皮は、表皮に固体支持体を与える。それは、その滋養分を与える要素でもある。それは、主に、線維芽細胞並びに主にコラーゲン、エラスチン、及び基質として知られる物質から構成される細胞外マトリックスで構成される。これらの成分は、線維芽細胞により合成される。白血球、肥満細胞、又は他の組織マクロファージもその中に存在する。最後に、血管及び神経線維は真皮を通っている。表皮と真皮の間の密着は、真皮表皮接合部により与えられる。
【0021】
表皮は、角化層での表皮細胞の連続的な喪失を補うための新たなケラチン生成細胞を産生することに常に携わっている。しかし、年齢を重ねると、増殖期にある細胞の数の減少、及びその結果、生きている表皮層の減少が生理学的に観察され得る。細胞が分化期に進むのを制限及び/又は遅延することにより、幼若細胞の蓄えが維持される。
【0022】
そのため、加齢のしるしの始まりを遅らせることに寄与するために、増殖性細胞の分化を防ぐか又は遅らせることにより、この増殖性細胞の蓄えを保つことが重要である。
【0023】
自然老化及び/又は光老化の間に、真皮及び表皮は多くの変形及び劣化を受け、それは、年齢と共に、たるみ及び皮膚のしなやかさの喪失に反映される。
【0024】
劣化する成分(とりわけコラーゲン及びエラスチン)の中で、プロテオグリカン(PGとも称される)及びグリコサミノグリカン(GAGとも称される)も悪影響を受ける。具体的には、加齢の過程で、線維芽細胞及びケラチン生成細胞が産生するPG及びGAGはますます少なく、その合成は不完全である。それにより、著しい混乱が起こる:PGを形成するタンパク質骨格へのGAGの堆積は異常であり、それは、組織の緊張を減少させ、それにより皮膚のしなやかさを無くし、特にこれらのPGの水への親和性を低下させ、したがって組織の潤いを減少させる。
【0025】
線維芽細胞及びケラチン生成細胞によるPG及びGAGの正常な産生を取り戻すことは、皮膚の潤いの喪失を補うことに部分的に寄与する。
【0026】
さらに、年齢と共に、フィラグリン、膜トランスグルタミナーゼ、又は脂肪酸デサチュラーゼ2(FADS2)など、皮膚のバリア機能の維持に重要な役割を果たすタンパク質の発現の低下が特に観察される。
【0027】
したがって、組織の種々の構造タンパク質の劣化をなくそうとする重要性は、上記を読めば理解され、皮膚の加齢の結果を予防又は制限する、可能性のある作用経路は、とりわけ、コラーゲン、特にコラーゲンIII、並びにまたフィラグリン、ラミニン−5、脂肪酸デサチュラーゼ2(FADS2)、及び/又は膜トランスグルタミナーゼなど、皮膚の構造分子の合成の刺激である。
【0028】
出願人は、驚くべきことに、アミド基を含む特定のC−グリコシド化合物が抗加齢性及び/又は保湿性を有することを示した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の主題は、以下の式(I):
【化1】
の少なくとも1種の化合物、並びにまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体及び幾何異性体及び互変異性体、並びにその有機又は無機の塩基塩又は酸塩を含む少なくとも1種の化粧用組成物を使用して、ケラチン物質を処理する方法である
(式(I)中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−Rは、下記から選択される基を表し:
i)ヒドロキシル;このヒドロキシルは、アルコキシドO,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(K)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す)の形態であってよく;(Rがアルコキシドの形態である場合、それは、α位のカルボニルと共に、カルボキシラート官能基COO,M(Mは先に定義の通り)を形成する);
ii)飽和若しくは不飽和(C〜C18)アルコキシ;
iii)フェニルオキシ若しくはフェノキシなど、任意選択で置換されているアリールオキシ;
iv)ベンジルオキシなど、任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルコキシ;
v)基(B1):
【化2】
(式中:
・R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
・w=1〜10(両端を含む));又は
iv)R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ−NR
○−Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;又は
v)任意選択で置換されているアリール若しくはヘテロアリール基;
○−Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
v)任意選択で置換されているアリール若しくはヘテロアリール基;
vi)基(B’1):
【化3】
(式中:
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示すが、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−y=1〜10(両端を含む));又は
vii)基(B’2):
【化4】
(式中:
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択されるか:
【化5】
−或いは、Rは、R及びRを有する窒素原子と共に、式A1、A2、若しくはA3の飽和複素環を形成でき:
【化6】
−Rは下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが、同一でも異なっていてもよく、水素原子若しくは(C〜C)アルキル基を表す基−NR);
−或いは、RとRは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成する)。
【0030】
本発明の一主題は、少なくとも1種の式(I)の化合物、又は少なくとも1種の式(I)の化合物を含む少なくとも1種の化粧用組成物を使用して、ケラチン物質、とりわけ皮膚を処理する方法、ケラチン物質、特に顔及び/若しくは体の皮膚を色素脱失し、明るくし、且つ/若しくは漂白する方法、並びに/又は皮膚の色つや若しくは半粘膜の色つやの減退を予防、低減、且つ/若しくは治療する方法であるが、前記式(I)は、以下の式:
【化7】
、及びまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体及び幾何異性体及び互変異性体並びにその有機又は無機の塩基塩又は酸塩である
(式(I)中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基

前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−Rは、下記から選択される基を表し:
i)ヒドロキシル;このヒドロキシルは、アルコキシドO,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す)の形態であってよく;(Rがアルコキシドの形態である場合、それは、α位のカルボニルと共に、カルボキシラート官能基COO,M(Mは先に定義の通り)を形成する);
ii)飽和若しくは不飽和(C〜C18)アルコキシ;
iii)フェニルオキシ若しくはフェノキシなど、任意選択で置換されているアリールオキシ;
iv)ベンジルオキシなど、任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルコキシ;
v)基(B1):
【化8】
(式中:
・R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
・w=1〜10(両端を含む));又は
iv)R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ−NR
○−Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;又は
v)任意選択で置換されているアリール若しくはヘテロアリール基;
○−Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
v)任意選択で置換されているアリール若しくはヘテロアリール基;
vi)基(B’1):
【化9】
(式中:
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示すが、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−y=1〜10(両端を含む));又は
vii)基(B’2):
【化10】
(式中:
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択されるか:
【化11】
或いは、Rは、R及びRを有する窒素原子と共に、式A1、A2、若しくはA3の飽和複素環を形成でき:
【化12】
−Rは、下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが、同一でも異なっていてもよく、水素原子若しくは(C〜C)アルキル基を表す基−NR);
−或いは、RとRは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成する)。
【0031】
アスタリスク「」は、化合物の残りへの基の結合点を示す。
【0032】
本発明の主題は、少なくとも1種の式(I)の化合物、並びにまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、及び互変異性体、並びに/又はその化粧品として許容できる塩の、ケラチン物質、特に顔及び/若しくは体の皮膚を色素脱失し、明るくし、且つ/若しくは漂白するための、且つ/又は皮膚の色つや若しくは半粘膜の色つやの減退を予防、低減、及び/若しくは治療するための活性薬剤としての美容的使用でもある。
【0033】
発明者らは、実際に、本発明に定義される上述の式(I)の化合物が、ケラチン物質、特に皮膚を色素脱失し、明るくし、又は漂白すらする活性を有することを実証した。より詳細には、以下の実験の項に詳述される通り、これらの式(I)の化合物がメラニン合成を減少させることが示された。
【0034】
とりわけ、この第1の態様によると、本発明は、少なくとも1種の美的でない良性の色素障害の治療のための、本発明に定義される少なくとも1種の式(I)の化合物若しくは水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体、並びに/又はその化粧品として許容できる塩の美容的使用を保護することを対象とする。
【0035】
また、この第1の態様によると、本発明は、顔色の均質性を改善し、且つ/又は顔色の輝きを取り戻すための、本発明に定義される少なくとも1種の式(I)の化合物若しくは水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体並びに/又はその化粧品として許容できる塩の美容的使用に関する。
【0036】
好ましくは、本発明は、以下の本発明に定義される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の少なくとも1種の化合物、好ましくは化合物1〜5から選択される少なくとも1種の化合物、並びにまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体、並びに/又はその化粧品として許容できる塩の、顔色の均質性を改善するため、且つ/又は顔色の輝きを取り戻すための美容的使用に関する。
【0037】
本発明に定義される式(I)の化合物又はその化粧品として許容できる塩は、現在、ケラチン物質、特に皮膚を色素脱失し、明るくし、若しくは漂白すらするために、又は顔色の均質性を改善するために、又は顔色の輝きを取り戻すために使用されることが知られていない。
【0038】
本発明は、ケラチン物質、特に顔及び/若しくは体の皮膚を色素脱失し、明るくし、且つ/若しくは漂白するための、並びに/又は皮膚の色つや若しくは半粘膜の色つやの減退を予防、低減、及び/若しくは治療するための非治療的な美容的処理方法であって、前記ケラチン物質、とりわけ顔及び/又は体の皮膚に、本発明に定義される少なくとも1種の式(I)の化合物、若しくは水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体、並びに/又はその化粧品として許容できる塩を含む少なくとも1種の組成物を適用することを含む少なくとも1工程を含む方法を保護することを対象とする。
【0039】
特定の一実施形態において、本発明は、ケラチン物質、特に顔及び/若しくは体の皮膚を色素脱失し、明るくし、且つ/若しくは漂白するための、並びに/又は皮膚の色つや若しくは半粘膜の色つやの減退を予防、低減、及び/若しくは治療するための非治療的な美容的処理方法であって、前記ケラチン物質、とりわけ顔及び/又は体の皮膚に、以下の本発明に定義される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の少なくとも1種の化合物、好ましくは化合物1〜5から選択される少なくとも1種の化合物、並びにまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体、並びに/又はその化粧品として許容できる塩を含む少なくとも1種の組成物を適用することを含む少なくとも1工程を含む方法を保護することも対象とする。
【0040】
本発明の目的には、用語「予防すること」又は「予防」は、所与の現象、すなわち、本発明では皮膚の色つや又は半粘膜の色つやの減退の発生の危険性を少なくとも部分的に減少させることを意味する。
【0041】
本発明の主題は、以下に定義される式(I)のC−グリコシド化合物の、抗加齢剤及び/又は保湿剤としての美容的使用でもある。
【0042】
本発明の別の主題は、以下に定義される式(I)の新規化合物である。
【0043】
式(I)の化合物、とりわけ以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物は、とりわけ皮膚及び/又は皮膚外皮の加齢のしるしを減少及び/又は遅らせるために、ケラチン物質、とりわけ皮膚を処理することを可能にする。
【0044】
本発明は、ケラチン物質、とりわけ皮膚の美容的処理の方法であって、前記物質への、少なくとも1種の式(I)の化合物、又はとりわけ以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/若しくは(IIIe)の少なくとも1種の化合物を含む化粧用組成物の適用を含む方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の目的には、用語「ケラチン物質」は、皮膚及び皮膚外皮を意味するものとする。
【0046】
用語「皮膚」は、顔及び/若しくは体の皮膚又は頭皮を意味するものとする。
【0047】
用語「外皮」は、まつ毛、まゆ毛、爪、及び髪、とりわけまつ毛及び髪を意味するものとする。
【0048】
本発明の別の特定の実施形態によると、組成物は、皮膚などのケラチン物質への局所投与用のものである。
【0049】
化合物(I)、とりわけ以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物は、とりわけ、皮膚加齢のしるしを予防及び/又は治療することを可能にする。
【0050】
皮膚加齢のしるしの中で、とりわけ、皮膚の引き締まり及び/若しくは弾力性及び/若しくは緊張及び/若しくはしなやかさの喪失、とりわけ額及びまゆ毛の間の空間のしわ及び小じわ、表情じわ、口周囲のしわ及び/若しくは小じわの形成、並びに/又は唇周辺の領域の、とりわけ唇の最上点の領域(唇の最上点と鼻の間の領域)の緩み、顔色のさえない外観、並びに皮膚の薄い外観が言及される。
【0051】
化合物(I)、とりわけ以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物は、好都合には、グリコサミノグリカン−合成−刺激活性を有し、そのため、皮膚加齢のしるし、とりわけ皮膚の引き締まり及び/又は弾力性及び/又は緊張及び/又はしなやかさの喪失を予防及び/又は治療することができる。
【0052】
化合物(I)、とりわけ以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物は、とりわけ顔及び/又は体の、最も特に顔及び/又は首のしわ及び小じわを予防及び/又は治療することもできる。
【0053】
化合物(I)、とりわけ以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物は、保湿を維持及び/若しくは刺激し、且つ/又は皮膚などのケラチン物質の乾燥を減少させようとし、且つ/又はバリア機能を維持することもできる。
【0054】
本発明の主題は、以下に定義される式(I)の新規化合物、及びまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体、幾何異性体、若しくは互変異性体、並びに/又はその化粧品として許容できる塩、とりわけ並びにその有機又は無機の塩基塩又は酸塩でもある。
【0055】
本発明は、ケラチン物質、とりわけ皮膚の美容的処理の方法であって、前記物質への、少なくとも1種の式(I)の化合物、又は特に以下に記載される式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/若しくは(IIIe)の少なくとも1種の化合物を含む化粧用組成物の適用を含む方法にも関する。
【0056】
本発明の目的には、用語「ケラチン物質」は皮膚及びその外皮を意味する。
【0057】
用語「皮膚」は、頭皮、粘膜、及び半粘膜を含む、体の皮膚の全てを意味する。
【0058】
用語「皮膚外皮」は、体毛、まつ毛、髪、及び爪を意味する。より詳細には、襟足の、首の、及び顔の皮膚、手、並びに脇の下が本発明で考慮され、とりわけ顔の皮膚が考慮される。
【0059】
本発明の別の特定の様式によると、組成物は、皮膚などのケラチン物質への局所投与用である。
【0060】
好ましくは、基Sのヒドロキシル基は置換されていないか、又は先に定義された同じ基R’により、とりわけアセチル基により全て置換されている。
【0061】
好ましくは、基Sの任意選択のアミノ基NRは、Rが全て水素原子を示すか、又は全てアセチル基を示すNHRを示す。
【0062】
好ましくは、基Sのヒドロキシル基は置換されておらず、基Sの任意選択のアミノ基NRは、Rが全て水素原子を示すか、又は全てアセチル基を示すNHRを示す。
【0063】
本発明の目的には、且つ特記されない限り:
−飽和又は不飽和及び任意選択で縮合された環は、任意選択で置換されていてもよい;
−「アルキル」基は、飽和の、直鎖又は分岐鎖の、一般的にC〜C18、特にC〜C15の炭化水素系基、例えばC〜C14アルキル基であり、とりわけ、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びn−テトラデシル基が言及され得る;
−「アルケニル」基は、直鎖又は分岐鎖の、不飽和C〜C18炭化水素系基であり;好ましくは、1個以上の共役又は非共役二重結合を含み、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、2−メチルプロピレン、プレニル、及びデシレンなどである;
−「アリール」基は、縮合又は非縮合の単環式又は多環式の炭素系基であって、優先的には6〜30個の炭素原子を含み、その少なくとも1個の環が芳香族である;アリール基は、優先的には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル、及びテトラヒドロナフチルから選択され、より詳細には、アリールはフェニルを示す;
−「アルコキシ」基は、アルキルが先に定義された通りであるアルキルオキシ基であり、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシなど、アルコキシのアルキル部分は、一般的にC〜C18、好ましくはC〜C10、より優先的にはC〜Cである;不飽和に言及される場合、これは、アルコキシ基が、アルケニルが先に定義された通りであるアルケニルオキシ基を表し得ることを意味する;
−「シクロアルキル」基は、C〜Cシクロアルキル基、好ましくはシクロペンチル及びシクロヘキシル基である;シクロアルキル基は、特にアルキル、アルコキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、及びケトン基により置換されている、置換シクロアルキル基であり得る;
−「ヘテロシクロアルキル」基は、とりわけ酸素、硫黄、及び窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含み4〜8個の環員を含む飽和又は部分不飽和の非芳香族複素環式基であり、好ましくは、モルホリノ、ピペラジノ、及びピペリジノ基である;ヘテロシクロアルキル基は、とりわけ、アルキル、アルコキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、及びケトン基により置換されている基でもよい;
−「アリール」又は「ヘテロアリール」基は、下記から選択される、少なくとも1個の原子又は少なくとも1個の炭素原子を有する基により置換されていてよい:
i)以下の基から選択される1個以上の基により任意選択で置換されているC〜C10及び好ましくはC〜Cアルキル:ヒドロキシル、任意選択で不飽和の(C〜C)アルコキシ、(ポリ)ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ、アシルアミノ、任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有する2個の同一又は異なるC〜Cアルキル基により置換されているアミノ、或いは2個の基が、それらが結合している窒素原子と共に、飽和又は不飽和で、任意選択で置換されている5員〜7員、好ましくは5員又は6員の、任意選択で窒素と同一又は窒素とは異なる別のヘテロ原子を含む複素環を形成することができる;
ii)ハロゲン;
iii)ヒドロキシル;
iv)C〜Cアルコキシ;
v)C〜C10アルコキシカルボニル;
vi)C〜C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ;
vii)C〜Cアルキルカルボニルオキシ、優先的には−O−アセチル又はアセチルオキシ;
viii)5員又は6員のヘテロシクロアルキル;
ix)(C〜C)アルキル基、優先的にはメチルにより任意選択で置換されている5員又は6員のヘテロアリール;
x)1個又は同一でも異なっていてもよい2個のC〜Cアルキル基により置換されているアミノであって、任意選択で少なくとも下記を有するアミノ:a)1個のヒドロキシル基、b)1又は2個の任意選択で置換されているC〜Cアルキル基により任意選択で置換されているアミノであって、前記アルキル基は、場合により、それらが結合している窒素原子と共に、飽和又は不飽和の、任意選択で場合により窒素とは異なる少なくとも1個の他のヘテロ原子を含む5〜7環員を含む任意選択で置換されている複素環を形成する、c)四級アンモニウム基−NR’R’’R’’’,Q(R’、R’’、及びR’’’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はC〜Cアルキル基を表し;Qは、ハライドなどのアニオン性対イオンを表す)d)(C〜C)アルキル基、優先的にはメチルにより任意選択で置換されている5員又は6員のヘテロアリール基;
xi)アシルアミノ(−N(R)−C(O)−R’)(式中、R基は、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC〜Cアルキル基であり、R’基はC〜Cアルキル基である);
xii)カルバモイル((R)N−C(O)−)(式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC〜Cアルキル基を表す);
xiii)アルキルスルホニルアミノ(R’S(O)−N(R)−)(式中、基Rは、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC〜Cアルキル基を表し、基R’は、C〜Cアルキル基、又はフェニル基を表す);
xiv)アミノスルホニル((R)N−S(O)−)(式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC〜Cアルキル基を表す);
xv)酸形態又は塩化された形態(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換のアンモニウムにより)のカルボキシル;
xvi)シアノ;
xvii)ベンジルオキシカルボニル;
xviii)ポリハロアルキル、優先的にはトリフルオロメチル;
xix)1個以上のヒドロキシル基により任意選択で置換されているフェニルカルボニルオキシ基;並びに
xx)1個以上のヒドロキシル基により任意選択で置換されているフェニル基;
−「ヘテロアリール」基は、少なくとも1個の環中に、とりわけO、N、及びSから選択された1個以上のヘテロ原子、好ましくはO又はNを含み、とりわけ1個以上のアルキル、アルコキシ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミン、又はケトン基により任意選択で置換されており、その環のうち少なくとも1個が芳香族である基である。これらの環は、1個以上のオキソ基を、ヘテロアリールの炭素原子上に含み得る;使用できる複素環式基のうち、とりわけ、フリル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、チエニル、及びピリミジニル基が言及され得る;任意選択で、複素環基は、ベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、インドリル、イソインドリル、キノリル、イソキノリル、クロマニル、イソクロマニル、インドリニル、イソインドリニル、クマリニル、又はイソクマリニル基などの縮合基であり、これらの基がとりわけ1個以上のOH基により置換されることが可能である;
−「ヒドロキシル」又は「アミノ」官能基の「保護基」又は「PG」は当業者により知られている;2冊の本“Protective Groups in Organic Synthesis”,T.W.Greene,John Wiley & Sons,NYにより出版,1981,pp.193−217;“Protecting Groups”,P.Kocienski,Thieme,3rd ed.,2005が言及され得る。
【0064】
とりわけ、保護基は下記から選択される:
・ホルミル、アセチル、又はt−ブチルカルボニルなどの(C〜C)アルキル(チオ)カルボニル;
・トリフルオロアセチル(TFA)などの(ジ)(トリ)ハロ(C〜C)アルキル(チオ)カルボニル;
・メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニルなどの(C〜C)アルコキシ(チオ)カルボニル;
・2,2,2−トリクロロエチルカルボニルなどの(ジ)(トリ)ハロ(C〜C)アルコキシ(チオ)カルボニル;
・(C〜C)アルキルチオ−チオカルボニル;
・(ジ)(トリ)ハロ(C〜C)アルキルチオチオカルボニル;
・(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル;
・(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノチオカルボニル;
・フェニルカルボニル又は2,4,6−トリメチルフェニルカルボニルなどの任意選択で置換されているアリールカルボニル;
・p−ニトロフェノキシカルボニルなどの任意選択で置換されているアリールオキシカルボニル;
・ベンジルオキシカルボニル又はCbz、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ブロモベンジルオキシカルボニル(2−ブロモ−Z)及び2−クロロベンジルオキシカルボニル(2−クロロ−Z)、4−ニトロベンジルオキシカルボニル(ニトロ−Z)などの任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルコキシカルボニル、
・9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)又はニコチノイルなどのヘテロアリール(C〜C)アルコキシカルボニル;
・(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、例えばジメチルアミノカルボニル;
・(C〜C)(アルキル)アリールアミノカルボニル;
・カルボキシル;
・フェニル、ジベンゾスベリル、又は1,3,5−シクロヘプタトリエニルなどの任意選択で置換されているアリール;
・任意選択で置換されているヘテロアリール;とりわけ1〜4個のヘテロ原子を含む以下のカチオン性又は非カチオン性ヘテロアリールを含む:
i)5員、6員、又は7員の単環式基、例えば、フラニル又はフリル、ピロリル又はピリル、チオフェニル又はチエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサゾリウム、イソオキサゾリル、イソオキサゾリウム、チアゾリル、チアゾリウム、イソチアゾリル、イソチアゾリウム、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリウム、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリウム、1,2,4−オキサゾリル、1,2,4−オキサゾリウム、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリウム、ピリリウム、チオピリジル、ピリジニウム、ピリミジニル、ピリミジニウム、ピラジニル、ピラジニウム、ピリダジニル、ピリダジニウム、トリアジニル、トリアジニウム、テトラジニル、テトラジニウム、アゼピン、アゼピニウム、オキサゼピニル、オキサゼピニウム、チエピニル、チエピニウム、イミダゾリル、イミダゾリウムなど;
ii)8員〜11員の二環式基、例えば、インドリル、インドリニウム、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリウム、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリウム、ピリドイミダゾリル、ピリドイミダゾリウム、チエノシクロヘプタジエニルなど、これらの単環式又は二環式基は、(C〜C)アルキル、例えばメチル、又はポリハロ(C〜C)アルキル、例えばトリフルオロメチルなどの1個以上の基により任意選択で置換されている;
iii)又は以下の三環式ABC基:
【化13】
(式中、2個の環A及び環Cは、任意選択でヘテロ原子を含み、環Bは、5員、6員、又は7員環、特に6員環であり、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、例えばピペリジル又はピラニルである);
・任意選択でカチオン性の、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルであって、とりわけ、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む飽和又は部分飽和の、5員、6員、又は7員の単環式基を表すもの、例えば、ジ/テトラヒドロフラニル、ジ/テトラヒドロチオフェニル、ジ/テトラヒドロピロリル、ジ/テトラヒドロピラニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロチオピラニル、ジヒドロピリジル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラメチルピペリジニル、モルホリニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロアゼピニル、ジ/テトラヒドロピリミジニルなど、これらの基は、(C〜C)アルキル、オキソ又はチオキソなどの1個以上の基により任意選択で置換されており、好ましくはテトラヒドロピラニルTHPであり;或いは、複素環は以下の基を表す:
【化14】
(式中、R’、R’、R’、R’、R’、及びR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表すか、或いは2個の基R’はR’と、且つ/又はR’はR’と、オキソ又はチオキソ基を形成するか、或いは、R’はR’と共にシクロアルキルを形成し;vは、両端を含む1〜3の整数を表し;優先的には、R’からR’は水素原子を表し;且つ、Anは対イオンを表す);
・イソチオウロニウム−C(NR’R’)=NR’R’;An(式中、R’、R’、R’、及びR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表し;優先的には、R’からR’は水素原子を表し;且つ、Anは対イオンを表す);
・イソチオウレア−C(NR’R’)=NR’;(式中、R’、R’、及びR’は先に定義の通り);
・任意選択で置換されている(ジ)アリール(C〜C)アルキル又はトリアリール(C〜C)アルキル、例えば、とりわけ、ハロゲン、(C〜C)アルキル、メトキシなどの(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシル、(C〜C)アルキルカルボニル、ジメチルアミノなどの(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノ、ニトロから選択される1個以上の基により任意選択で置換されている、9−アントラセニルメチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、又はトリフェニルメチルなど;
・任意選択で置換されている(ジ)ヘテロアリール(C〜C)アルキル又はトリヘテロアリール(C〜C)アルキルであって、ヘテロアリール基が、とりわけ、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、カチオン性又は非カチオン性の、5員又は6員の単環式であるもの、例えば、アルキル、特にメチルなどの1個以上の基により任意選択で置換されている、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、4−ピリジル若しくは2−ピリジル−N−オキシドなどのピリジルN−オキシド、ピリリウム、ピリジニウム、又はトリアジニル基など;好都合には、(ジ)ヘテロアリール(C〜C)アルキルは、(ジ)ヘテロアリールメチル又は(ジ)ヘテロアリールエチルである;
・CR(式中、R、R、及びRは、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子を表すか(2,2,2−トリクロロエチルなどの(トリ)(ジ)ハロ(C〜C)アルキルなど)、又は下記から選択される基を表す):
−メチルなどの(C〜C)アルキル;
−(C〜C)アルコキシ;
−1個以上の基、例えば(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ又はヒドロキシルにより任意選択で置換されているフェニルなど、任意選択で置換されているアリール;
−任意選択で置換されているヘテロアリール、例えば、(C〜C)アルキル基により任意選択で置換されているチオフェニル、フラニル、ピロリル、ピラニル、又はピリジルなど;
−P(Z)R’R’R’(式中、R’及びR’は、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ又はアルキル基を表し、R’は、ヒドロキシル又は(C〜C)アルコキシ基を表し、Zは酸素又は硫黄原子を表す);
・(C〜C)アルキレン、とりわけアリルHC=CH−CH−;
・p−トルエンスルホニル(Tos)などの任意選択で置換されているアリールスルホニル;
・アダマンチル基などの立体障害のあるシクロアルキル;
・1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)又は1−(アダマンチル)−1−メチルエトキシカルボニル(Adpoc)などの立体障害のあるシクロアルキルオキシ(チオ)カルボニル;
・メトキシメチル(MOM)、エトキシエチル(EOM)、及びイソブトキシメチルなどの任意選択で置換されている(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル;
・2,2,2−トリクロロエチルなどの(トリ)(ジ)ハロ(C〜C)アルキル;
・RSi−(式中、R、R、及びRは、同一でも異なっていてもよく、(C〜C)アルキル基、任意選択で置換されているアリール基、任意選択で置換されている(ジ)アリール(C〜C)アルキル基、任意選択で置換されているトリアリール(C〜C)アルキル基、ベンジルなどを表す)とりわけ、トリメチルシリル又はTMS、トリエチルシリル、イソプロピル−ジメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル又はTBDMS、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチル(ジ−t−ブチル)シリル、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリルから選択される;
・或いは、2個の連続するヒドロキシル基は、以下に描かれるアルキレン基−C(R)(R)−(C(R)(R))により保護できる:
【化15】
(式中、R、R、R、及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は(C〜C)アルキル、(ポリ)ハロ(C〜C)アルキル、フェニルなど任意選択で置換されているアリール、ベンジルなどアリール(C〜C)アルキル、(ポリ)ハロ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシ、ハロゲン、(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノ、又はヒドロキシル基を表すか、或いは、2個のRとR及び/又はRとR基は、それらを有する炭素原子と共に、オキソ基又はシクロヘキシル若しくはシクロプロピルなどの(ヘテロ)シクロアルキル基を形成し;qは、0、1、2又は3である)好ましくは−C(R)(R)−(C(R)(R))は、メチレン、エチレン、プロピレン、ジメチルメチレン、−C(CH、又はジフェニル−メチレン−C(Ph)、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、メトキシメチレン、及びエトキシメチレンを表す。
【0065】
アスタリスク「」は、化合物の残りへの基の結合点を示す。
【0066】
本発明の文脈では、糖基は、単糖基であろうと多糖基であろうと、アセタール基も、ヘミアセタール基も、アミナール基も、ヘミアミナール基も含まない。
【0067】
本発明に使用される化合物の許容できる溶媒和物は、前記化合物の調製の最終工程の間に溶媒の存在のために形成されるものなど、従来の溶媒和物を含む。例としては、水(水和物)又はエタノール若しくはイソプロパノールなどの直鎖若しくは分岐鎖のアルコールの存在による溶媒和物が言及され得る。
【0068】
少なくとも1個の酸官能基を含む化合物(I)の塩は、金属塩、例えばアルミニウム(Al3+)、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、若しくは銅(Cu2+);アルカリ金属塩、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、若しくはカリウム(K);又はアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム(Ca2+)又はマグネシウム(Mg2+)から選択できる。それらは、式NHのアンモニウム誘導体でも、式YNHのアンモニウムなどの有機塩でもよく、NYは有機アミンを示し、Y基は同一又は異なり、2又は3個のY基が、組になって、それらを有する窒素原子と共に環を形成することが可能であるか、或いはNYが芳香族アミンを示すことが可能である。有機アミンは、例えばアルキルアミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン若しくはエチルアミン、又はヒドロキシアルキルアミン、例えば2−ヒドロキシエチルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン若しくはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、又はシクロアルキルアミン、例えばビシクロヘキシルアミン、又はグルカミン、ピペリジン、若しくはピリジン、及び同種のもの、例えばコリジン、キニン、若しくはキノリン、又は本質的に塩基性であるアミノ酸、例えばリジン又はアルギニンである。
【0069】
少なくとも1個のアミン官能基を有する式(I)の化合物の塩は、クエン酸、乳酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩化水素酸、グリコール酸、又はリンゴ酸などの有機酸の塩であり得る。
【0070】
本発明による化合物が塩形態である場合、カチオンは、当然ながら、式(I)の化合物の電気的中性を確実にする量である。
【0071】
少なくとも1個の酸官能基を含む式(I)の化合物の塩は、好都合には、金属塩、Cu2+、Mn2+、及びZn2+、アルカリ金属塩、Li、Na、及びK、並びにアルカリ土類金属塩、Ca2+及びMg2+から選択できる。
【0072】
別の変形体によると、少なくとも1個の酸官能基を含む本発明による式(I)の化合物の塩は、好都合には、アンモニウムからも、好ましくは本質的に塩基性であるアミノ酸、例えばリジン又はアルギニンの塩からも、ジエタノールアミン塩又はトリエタノールアミン塩からも選択できる。
【0073】
好ましくは、少なくとも1個の酸官能基を含む化合物(I)はナトリウム塩Naの形態である。
【0074】
好ましくは、少なくとも1個の酸官能基を含む化合物(I)はカリウム塩Kの形態である。
【0075】
好ましくは、少なくとも1個の酸官能基を含む化合物(I)はカルシウム塩Ca2+の形態である。
【0076】
本発明の特定の一実施形態によると、式(I)の化合物は、Rが、ヒドロキシル基又はアルコキシド基O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、若しくはアンモニウムなどのカチオンを表す)を表すものである。
【0077】
この実施形態による式(I)の化合物の一例として、特に、以下の化合物、並びにまたその塩、異性体、及び溶媒和物が言及され得る:
【0078】
【表1】
【0079】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、Rが、好ましくは飽和(C〜C18)アルコキシ基、より優先的には(C〜C)アルコキシ基、とりわけエトキシを表すものである。
【0080】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが基(B1):
【化16】
を表すものである
(式中:
・R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
・w=1〜10、好ましくは1〜5、より優先的には1〜3(両端を含む))。
【0081】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが、R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ基−NRを表すものである:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C)アルキル及び/又は(C〜C16)アルキルなどの(C〜C16)アルキル;
iii)或いは、RとRは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成する。
【0082】
この実施形態によると、R及びRは、好ましくは、互いに独立に下記を表す:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C16)アルキル、とりわけメチル又はn−テトラデシル基。
【0083】
この実施形態の第1の形態によると、RとRは同一であり、下記から選択される
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C)アルキル、とりわけメチル基。
【0084】
この実施形態による式(I)の化合物の一例として、例えば、以下の化合物、並びにまたその塩、異性体、及び溶媒和物が言及され得る:
【0085】
【表2】
【0086】
この変形体の第2の形態によると、Rは水素原子を示し、Rは、(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C16)アルキル、とりわけn−テトラデシルなどの(C〜C16)アルキル基を示す。
【0087】
この実施形態による式(I)の化合物の例としては、例えば、以下の化合物5、及びまたその塩、異性体、又は溶媒和物が言及され得る:
【0088】
【表3】
【0089】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが、R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ基−NRを表すものである:
○Rに関して:
i)水素原子;又は
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C)アルキル;より優先的にはメチル;
好ましくは、Rは水素原子を表し;
○Rに関して:
下記などの基(B’1):
【化17】
(式中:
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示すが、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−y=1〜10、好ましくは1〜5、より優先的には1〜3(両端を含む))。
【0090】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが、R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ基−NRを表すものである:
○Rに関して:
i)水素原子;又は
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C)アルキル;より優先的にはメチル;
好ましくは、Rは水素原子を表し;
○Rに関して:
基(B’2):
【化18】
(式中:
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択されるか:
【化19】
或いは、Rは、R及びRを有する窒素原子と共に、式A1、A2、又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化20】
−Rは、下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;又は
iv)R及びRが、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR)。
【0091】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが、R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ基−NRを表すものである:
○Rに関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C)アルキル;より優先的にはメチル;
好ましくはRは水素原子を表し;
○Rに関して:
i)任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基、とりわけ任意選択で置換されているフェニル基;
iii)任意選択で置換されているヘテロアリール基;
iv)アリール(C〜C)−アルキル基、とりわけフェニル−(C〜C)アルキル基;
好ましくは、Rは任意選択で置換されているフェニル基を示す。
【0092】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが、任意選択で置換されているアリールオキシ基、とりわけ任意選択で置換されているフェノキシ基を表すものである。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態によると、式(I)の化合物は、共に又は別に、Rが、任意選択で置換されているベンジルオキシ基などの任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルコキシ基を表すものである。
【0094】
先に定義された式(I)の化合物に関して、Sが単糖基を表す場合、それがピラノース型(それを構成する糖の複素環が6個の環員を含む)でもフラノース型(それを構成する糖の複素環が5個の環員を含む)でもよく;Sが多糖基を表す場合、それが、同一でも互いに異なっていてもよく、フラノース型でもピラノース型でもよい連続した2〜5個の糖単位を含むことが理解される。好ましくは、Sが多糖基を表す場合、多糖は、2個のピラノース単位の連結又はフラノース型の糖単位とピラノース型の単位の連結又はピラノース型の糖単位とフラノース型の単位の連結から生じる二糖である;単糖基であろうと多糖基であろうと、各糖単位は、左旋性L形態でも、右旋性D形態でもあり得て、αアノマー型でも、βアノマー型でもあり得る。
【0095】
好ましい一実施形態において、糖基Sは、それを構成する複素環が4又は5個の炭素原子を含む以下の式S’の単糖基を表す:
【化21】
は、水素原子、メチルなどの(C〜C)アルキル基、又はヒドロキシメチル若しくは1,2−ジヒドロキシエチルなどの(ポリ)ヒドロキシ(C〜C)アルキル基を表し、(ポリ)ヒドロキシ(C〜C)アルキル基のヒドロキシル官能基は、以下に定義されるAにより置換されており;
糖単位がピラノース型である場合、R基がC位にあり、フラノース型である場合、C位にあることが理解され;
は、水素原子又は(C〜C)アルキル基、好ましくは水素を表し;
は、水素原子、又はR−C(O)−など、数個のヒドロキシル官能基の場合同一であるアミン官能基の保護基を表し(Rは(C〜C)アルキル基を表す)、Rは好ましくはアセチル基CH−C(O)−を表し;
は、水素原子又は−CH−O−A基を表し;
Aは、水素原子、(C〜C)アルキル基、又は先に定義されたR−C(O)−などのヒドロキシル官能基保護基、とりわけアセチルCH−C(O)−を表すか、或いは、nが2以上であり、2個の基A−Oが隣接している場合、2個のA基は共に直鎖又は分岐鎖の(C〜C)アルキレン鎖を形成でき;
好ましくは、Aの保護基は全て同一であり;
nは、1、2、又は3に等しく、mは、0又は1に等しい。
【0096】
本発明の特定の形態によると、mはゼロである。
【0097】
別の好ましい実施形態によると、糖基Sは、1→4(ある糖単位のC→他の糖単位のC)又は1→3(ある糖単位のC→他の糖単位のC)又は1→6(ある糖単位のC→他の糖単位のC)の酸素原子(オキシ)により連結した2〜5個の糖単位、とりわけ2〜3個、好ましくは2個の糖単位で構成される多糖基を表し、その各糖単位は、4又は5個の炭素原子を含む以下の式S’’の複素環で構成される:
【化22】
(式中、式S’’、p、及びqは、両端を含む0〜4の整数を表し、p+qは両端を含む1〜4、特に1〜2、優先的にはp+q=1であり;Rは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、Aは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、mは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、nは、同一でも異なっていてもよく、先に定義された通りであり、角括弧qとpの間の2個の糖単位が交換可能であること、すなわち以下の鎖を表し得ることが理解される)。
【化23】
【0098】
本発明の好ましい一変形体によると、式(I)の化合物は、以下のようなものである:
−Sは、ピラノース又はフラノース型である単糖糖基を表すが、前記単糖が、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、リキソース、フコース、アラビノース、ラムノース、キノボース、フルクトース、ソルボース、タロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルコサミン、及びガラクトサミンから選択され;或いは、Sは、ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースから選択される二糖を表し、好ましくはSは、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、ラムノース、フルクトース、ソルボース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルコサミン、ガラクトサミン、ラクトース、セロビオース、及びマルトースから選択され、好ましくはグルコース、キシロース、及びラムノースから選択される糖基を表し;
前記基Sは、1個以上の基−OR及び任意選択で1又は2個の基−NHR’を含み、
前記単糖又は二糖基は、糖又は糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−Rは下記を表す:
i)ヒドロキシル基;カルボキシラート形態O,Mでもよい(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す);
ii)(C〜C18)アルコキシ基、好ましくはエトキシなどの(C〜C)アルコキシ;
iii)(C〜C18)アルケニルオキシ、好ましくはプレニルオキシなどの(C〜C)アルケニルオキシ;
iv)フェニルオキシ又はフェノキシなどの任意選択で置換されているアリールオキシ基;
v)とりわけ少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルコキシ基、とりわけベンジルオキシなどのアリール(C〜C)アルコキシ基;
v)下記などの基:
【化24】
(式中:
・R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
・w=1〜10、好ましくは1〜5、優先的には1〜3(両端を含む))
vi)R及びRが互いに独立に下記を表すアミノ基−NR
○Rに関して:
−水素原子;
−飽和又は不飽和(C〜C18)アルキル基であって、好ましくは飽和であり、より優先的にはメチルなどの飽和C〜C基;
○Rに関して:
−水素原子;
−飽和又は不飽和(C〜C18)アルキル基であって、好ましくは飽和であり、より優先的にはメチルなどの飽和C〜C基;
−とりわけ少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
−好ましくは、同一でも異なっていてもよい1個以上の(C〜C)アルキル、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、又はカルボキシ基により任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基;
−下記などの基:
【化25】
(式中:
・R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
・y=1〜10、好ましくは1〜5、優先的には1〜3);
−下記などの基:
【化26】
(式中:
−i=0又は1;
は、水素原子又は以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択される基Rを表し:
【化27】
は、R及びRを有する窒素原子と共に、式A1又はA2又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化28】
−Rは下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR
或いは、R及びRは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成する。
−Rは、水素原子又はメチル基又はアセチル基を表し;
前記基Rは、好ましくは全て同一であり、全て好ましくは水素原子又はアセチル基を示し;
−R’は、水素原子又はアセチル基から選択される基を表す。
【0099】
より優先的には、式(I)の化合物は、以下の式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、(I’’’’a)及び(I’b)の化合物、並びにまた水和物などのその溶媒和物、その光学異性体及び幾何異性体及び互変異性体、並びにその有機又は無機の塩基塩又は酸塩から選択される:
【化29】
(式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、(I’’’’a)、及び(I’b)中:
−Rは先に定義された通りであり、好ましくは以下の基の1つを表す:
i)ヒドロキシル;このヒドロキシルは、アルコキシドO,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す)の形態であってよく;(Rがアルコキシドの形態である場合、それは、α位のカルボニルと共に、カルボキシラート官能基COO,M(Mは先に定義の通り)を形成する);
ii)(C〜C18)アルコキシ;好ましくはC〜Cアルコキシ、より優先的にはエトキシ;
iii)R’及びR’が互いに独立に下記を表すアミノ−NR’R’
○R’に関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基、好ましくは(C〜C)アルキル、優先的にはメチル;
○R’に関して:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)下記などの基:
【化30】
(式中:
−j=0又は1;
−R’は水素原子を表すか、或いはR’は以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択され:
【化31】
R’は、R’及びR’を有する窒素と共に、式A1又はA2又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化32】
−R’は下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR)。
【0100】
さらに好ましくは、R’は、ヒドロキシル基、アルコキシド−O,M、飽和(C〜C)アルコキシ基、とりわけメトキシ若しくはエトキシ、又はアミノ基NHを表すか;
或いは、R’及びR’は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成する。
−R’’は先に定義された通りであり、好ましくは水素原子又はアセチル基、好ましくは水素原子を表し;
−R’’’は、水素原子、又は(C〜C)アルキル基、又はR’’が先に定義された通りである−CH−OR’’基、とりわけ水素又はアセチル基、好ましくは水素原子を表す。好ましくは、R’’’は、水素原子、又はメチルなどの(C〜C)アルキル基、又はR’’が水素原子若しくはアセチル基を示す−CH−OR’’基を表す。
【0101】
特定の一実施形態によると、本発明の化合物は式(I’)のものである。式(I’)の化合物の例としては、先に記載された化合物2、3、及び4、並びにまたその塩、溶媒和物、及び異性体が言及され得る。
【0102】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’)のものである。
【0103】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’’’)のものである。
【0104】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’a)のものである。本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’a)のものである。本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’’’a)のものである。
【0105】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’b)のものである。式(I’b)の化合物の例としては、先に記載された化合物5、並びにまたその塩、溶媒和物、及び異性体が言及され得る。
【0106】
特定の一実施形態によると、S及びS’は、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、リキソース、フコース、アラビノース、ラムノース、リボース、デオキシリボース、キノボース、フルクトース、ソルボース、タロース、トレオース、エリトロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルコサミン、及びガラクトサミンから選択される単糖を表す。
【0107】
とりわけ、S及びS’は、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、L−キシロース、D−リキソース、L−リキソース、L−フコース、L−アラビノース、D−アラビノース、L−ラムノース、L−リボース、D−リボース、2−デオキシ−D−リボース、2−デオキシ−L−リボース、D−キノボース、D−フルクトース、L−ソルボース、D−タロース、D−トレオース、D−エリトロース、L−トレオース、L−エリトロース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖を表す。好ましくは、Sは、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、D−リキソース、L−フコース、L−アラビノース、L−ラムノース、D−リボース、2−デオキシ−D−リボース、D−キノボース、D−フルクトース、L−ソルボース、D−タロース、D−トレオース、D−エリトロース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖を示す。
【0108】
好都合には、S及びS’は、グルコース、キシロース、ラムノース、マンノース、及びガラクトースから選択される単糖又はラクトース、マルトース、及びセロビオースから選択される二糖を表す。とりわけ、Sは、D−グルコース、D−キシロース、L−ラムノース、D−マンノース、及びD−ガラクトースから選択される単糖又はD−ラクトース、D−マルトース、及びD−セロビオースから選択される二糖を示す。
【0109】
好ましくは、S及びS’は、グルコース、キシロース、ラムノース、及びラクトースから選択される糖を表す。より詳細には、S及びS’は、D−グルコース、D−キシロース、L−ラムノース、及びD−ラクトースから選択される糖を示す。優先的には、S及びS’は、グルコース、ラムノース、又はキシロースを示す。とりわけ、S及びS’は、D−グルコース、L−ラムノース、又はD−キシロースを示す。
【0110】
別の特定の実施形態によると、S及びS’’は、多糖、とりわけ、ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースから選択される二糖を表す。
【0111】
特定の一実施形態によると、基S及びS’’は、多糖、とりわけ、D−ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、D−ツラノース、D−セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びD−マルトースから選択される二糖を表す。
【0112】
別の特定の実施形態によると、Rは、R’及びR’が互いに独立に下記を表すアミノ基−NR’R’を表す:
○R’に関して:水素原子又は(C〜C18)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル基、優先的にはメチル;
○R’に関して:下記などの基:
【化33】
(式中:
−j=0又は1;好ましくはj=0;
−R’は、j=1の場合水素原子を表し、他の場合には(すなわち、j=0の場合)、R’は、以下に記載される基から選択される:
【化34】
R’は、R’及びR’を有する窒素と共に、式A1又はA2又はA3のアリプ飽和(alipsaturated)複素環を形成することもできる:
【化35】
−R’は下記を表す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和(C〜C)アルコキシ基、好ましくはメトキシ又はエトキシ;
iv)アミノ基−NH)。
【0113】
別の特定の実施形態によると、Rは、R’及びR’が互いに独立に下記を表すアミノ基−NR’R’を表す:
○R’に関して:水素原子又は(C〜C10)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル基、優先的にはメチル;
○R’に関して:水素原子又は(C〜C16)アルキル基、優先的にはメチル又はn−テトラデシル;
−R’’は先に定義された通りであり、好ましくは水素原子又はアセチル基、好ましくは水素原子を表し;
−R’’’は、水素原子、又は(C〜C)アルキル基、又はR’’が先に定義された通りである−CH−OR’’基、とりわけ水素又はアセチル基、好ましくは水素原子を表す。好ましくは、R’’’は、水素原子、又はメチルなどの(C〜C)アルキル基、又はR’’が水素原子若しくはアセチル基を示す−CH−OR’’基を表す。
【0114】
この実施形態によると、第1の変形体によると、R’とR’は同一である。
【0115】
この実施形態の第2の変形体によると、R’とR’は異なり、好ましくはR’は水素原子を示す。
【0116】
別の特定の実施形態によると、Rはヒドロキシル基を表す;このヒドロキシルはアルコキシドO,M(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、又はアンモニウムなどのカチオンを表す)の形態であってよく;(Rがアルコキシドの形態である場合、それは、α位にあるカルボニルと共に、カルボキシラート官能基COO,M(式中、Mは先に定義された通りである)を形成する);
−R’’は先に定義された通りであり、好ましくは水素原子又はアセチル基、好ましくは水素原子を表し;
−R’’’は、水素原子、又は(C〜C)アルキル基、又はR’’が先に定義された通りである−CH−OR’’基、とりわけ水素又はアセチル基、好ましくは水素原子を表す。好ましくは、R’’’は、水素原子、又はメチルなどの(C〜C)アルキル基、又はR’’が水素原子若しくはアセチル基を示す−CH−OR’’基を表す。
【0117】
本発明の主題は、式(IIa)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩でもある:
【化36】
(式中:
−Sは、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、D−リキソース、L−フコース、L−アラビノース、D−アラビノース、L−ラムノース、D−キノボース、D−フルクトース、L−ソルボース、D−タロース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖糖基を示し;
糖単位は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖基は(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖基は、前記単糖基のC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’は下記から選択される基を表す:
i)水素原子;ii)飽和又は不飽和(C〜C18)アルキル;
iii)フェニルなど、任意選択で置換されているアリール;
iv)ベンジルなど、任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル;
下記が理解される:
−SがD−グルコースを示す場合、R’はメチルにもエチルにもなり得ず、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子以外であること;
−SがD−キシロースを示す場合、R’はメチルにも(C15〜C18)アルキルにもなり得ないこと;
−SがD−ガラクトースを示す場合、R’は水素になり得ず、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’はメチル又はエチル以外であること;
−SがD−マンノースを示す場合、R’は水素にもメチルにもなり得ないこと;
−SがL−ラムノースを示す場合、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子又はメチル基以外であること;
−SがL−フコースを示す場合、R’は水素になり得ないこと;
−SがD−アラビノースを示す場合、R’はメチルになり得ないこと;
−SがD−タロースを示す場合、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子以外であること;
−SがN−アセチル−D−グルコサミンを示す場合、R’はエチルになり得ず、その全ヒドロキシル基がアセチル基により置換されている場合(R’=アセチル)、R’は水素原子以外であること;
−式(IIa)の化合物は800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと)。
【0118】
R’が上述の通り水素原子を示す場合、対応する式(IIa)の化合物は塩の形態でよい(カルボキシラートCOO,M(式中、Mは上述の定義を有する))。
【0119】
好ましくは、Sは、D−グルコース又はD−キシロースから選択される糖、より優先的にはD−グルコースを示す。
【0120】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されていない。
【0121】
好ましくは、R’は、水素原子又は好ましくは飽和している(C〜C18)アルキル基、より優先的にはC〜Cアルキル基、とりわけエチルを表す。
【0122】
式(IIa)の化合物の中で、とりわけ化合物2(及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩)が言及され得る:
【0123】
【表4】
【0124】
本発明の主題は、式(IIb)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩である:
【化37】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、或いは2個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;ii)飽和又は不飽和(C〜C14)アルキル;
下記が理解される:
−Sが単糖を示す場合、R’’は水素にもエチルにもなり得ないこと;
−Sがピラノース型の単糖を示す場合、R’’はn−ブチルになり得ないこと;
−式(IIb)の化合物は、800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと)。
【0125】
R’が上述の通り水素原子を示す場合、対応する式(IIb)の化合物は塩の形態でよい(カルボキシラートCOO,M(式中、Mは上述の定義を有する))。
【0126】
本発明の特定の形態によると、S2は、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロース、D−リキソース、L−フコース、L−アラビノース、D−アラビノース、L−ラムノース、D−キノボース、D−フルクトース、L−ソルボース、D−タロース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンを除いて、先に定義された単糖を示す。
【0127】
が二糖を示す場合、それは、好ましくは、二糖:ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースからである。より優先的には、それは、D−ラクトース、D−マルトース、又はD−セロビオースである。
【0128】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されていない。
【0129】
好ましくは、R’’は、水素原子又は好ましくは飽和している(C〜C)アルキル基、とりわけエチルを表す。
【0130】
本発明の主題は、式(IIc)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩でもある:
【化38】
(式中、S、R、R、及びwは先に定義された通りである
−Sは、単糖糖基を示すか、或いは2〜5個の糖単位、好ましくは2〜3個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−w=1〜10(両端を含む)、
下記が理解される:
式(IIc)の化合物は、800Da未満のモル質量を有し、全体で3を超える環を含まないこと)。
【0131】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されておらず、任意選択のアミノ基は遊離であるか(−NH)、又は全てアセチル基(−CO−CH)により置換されている(R=H及びR=H又はアセチル)。
【0132】
好ましくは、wは、1〜5であり、より優先的には1〜3である。
【0133】
本発明の主題は、式(IIIa)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩である:
【化39】
(式中:
−Sは、D−キシロース、D−フルクトース、L−ソルボース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、D−ガラクトサミンから選択される単糖糖基、とりわけD−キシロースを示し;
糖単位は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖基は(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖基は、前記単糖基のC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
iv)特に、少なくとも1個のヒドロキシル及び/若しくは飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
v)任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基;
或いは、R’’とR’’は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ、ピペリジノ、又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成し、
下記が理解される:
式(IIIa)の化合物は、800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと)。
【0134】
好ましくは、SはD−キシロースを示す。
【0135】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されていない。
【0136】
好ましくは、R’’は、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示す。優先的には、R’’は、水素原子又はとりわけメチル若しくはn−テトラデシル基などのC〜C16アルキル基を示す。
【0137】
式(IIIa)の化合物の中で、新規化合物3及び5(及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩)がより特に好ましい:
【0138】
【表5】
【0139】
本発明の主題は、式(IIIb)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩でもある:
【化40】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位、好ましくは2〜3個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;5−アミノフラノースタイプの単糖を除外し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−R’’’は下記から選択される基を表し:
i)(C〜C18)アルキル基;又は
ii)(C〜C18)アルケニル基;
iii)とりわけ少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は飽和若しくは不飽和の(C〜C)アルコキシ基により任意選択で置換されているアリール(C〜C)アルキル基;
iv)任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基;
或いは、R’’’とR’’’は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペラジノ又はモルホリノなど、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルを形成し;ピペリジン環は除外され;
R’’’が水素原子を表す場合、下記が理解される:
−SがD−ガラクトースを示す場合、R’’’はアルキル基にもアルケニル基にもなり得ないこと;
−Sが単糖を示す場合、R’’’は置換又は非置換のベンジル基になり得ないこと;
−Sがピラノースタイプの単糖を示す場合、R’’’は、置換又は非置換のフェニル基にも、2−ベンゾチアゾリル基にも、2−ベンゾイミダゾリル基にもなり得ないこと;
下記が理解される:
式(IIIb)の化合物は800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと;
且つ、以下の化合物が除外される:
【0140】
【表6】
【0141】
が単糖を示す場合、前記単糖は、D−キシロース、D−フルクトース、L−ソルボース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン以外である。
【0142】
が二糖を示す場合、それは、好ましくは、以下の二糖:ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースからである。より優先的には、それは、D−ラクトース、D−マルトース、又はD−セロビオースである。
【0143】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されていない。
【0144】
好ましくは、R’’’は、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示す。優先的には、R’’’はメチル基を示す。好ましくは、R’’’は、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示す。
【0145】
式(IIIb)の化合物の中で、とりわけ、新規化合物4(及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩)が言及され得る:
【0146】
【表7】
【0147】
本発明の主題は、式(IIIc)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩でもある:
【化41】
(式中:
−Sは、D−キシロース、D−フルクトース、L−ソルボース、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、D−グルコサミン、及びD−ガラクトサミンから選択される単糖糖基を示し;
糖単位は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖基は(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖基は、前記単糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは、以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択され:
【化42】
は、R’’及びR’’を有する窒素原子と共に、式A1又はA2又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化43】
−Rは下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR)。
【0148】
式(IIIc)の化合物が800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないことが理解される。
【0149】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されていない。
【0150】
好ましくは、R’’は、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示す。優先的には、R’’は水素原子を示す。
【0151】
好ましくは、Rは、ヒドロキシル、エトキシ、又はNH基を示す。
【0152】
が水素原子を示す場合、対応する式(IIIc)の化合物は、当然ながら、塩の形態であり得る(カルボキシラート)。
【0153】
好ましくは、i=0、Rは、水素原子又は以下の基(a1)若しくは(a5)若しくは(a16)から選択される基を表す。
【化44】
【0154】
本発明の主題は、式(IIId)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩でもある:
【化45】
(式中:
−Sは、単糖糖基を示すか、又は2〜5個の糖単位、好ましくは2〜3個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−i=0又は1;
−Rは水素原子を表すか、或いは、Rは、以下に記載される基(a1)〜(a32)から選択され:
【化46】
は、R’’及びR’’を有する窒素原子と共に、式A1又はA2又はA3の飽和複素環を形成することもでき:
【化47】
は下記を示す
i)ヒドロキシル基−OH;
ii)アルコキシド−O,M(式中、Mは、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)などのカチオン、又はNa若しくはKなどのアルカリ金属カチオン、又はMg2+若しくはCa2+などのアルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウムカチオンを表す);
iii)飽和若しくは不飽和(C〜C)アルコキシ基;
iv)R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C〜C)アルキル基を表す基−NR)。
【0155】
下記が理解される:R’’が水素原子を表し、Sがピラノースタイプの単糖を示す場合、Rは、メチル基にもヒドロキシル基にもなり得ないこと;
下記が理解される:
式(IIId)の化合物は800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないこと;
且つ、以下の化合物が除外される:
【0156】
【表8】
【0157】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されていない。
【0158】
好ましくは、R’’は、水素原子又はとりわけメチル基などのC〜Cアルキル基を示す。優先的には、R’’は水素原子を示す。
【0159】
好ましくは、Rは、ヒドロキシル、エトキシ、又はNH基を示す。
【0160】
R’’がヒドロキシル基を示す場合、対応する式(IIId)の化合物は、当然ながら、塩の形態であり得る(カルボキシラート)。
【0161】
好ましくは、i=0、Rは、水素原子又は以下の基(a1)若しくは(a5)若しくは(a16)から選択される基を表す。
【化48】
【0162】
本発明の主題は、式(IIIe)の新規化合物、並びにまたその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩でもある:
【化49】
(式中、
−Sは、単糖糖基を示すか、或いは2〜5個の糖単位、好ましくは2〜3個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C〜C)アルキル;又は
ii)アセチル基;
前記単糖又は多糖基は、(ヘミ)アセタール官能基も(ヘミ)アミナール官能基も含むことができず;
前記単糖又は多糖基は、場合により、1個以上のアミノ基NRも含み、式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C〜C)アルキル(チオ)カルボニルなどのアミノ官能基の保護基を表し;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
−R’’は下記から選択される基を表し:
i)水素原子;
ii)(C〜C18)アルキル基;
iii)(C〜C18)アルケニル基;
−R及びRは、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示し、RとRが同時にメチル基を示し得ないことが理解され;
−y=1〜10(両端を含む);
式(IIIe)の化合物が800Da未満のモル質量を有し、全部で3を超える環を含まないことが理解される)。
【0163】
好ましくは、Sのヒドロキシル基は置換されておらず、任意選択のアミノ基は、遊離(−NH)であるか、又はアセチル基(−CO−CH)により置換されている(R=H及びR=H又はアセチル)。
【0164】
好ましくは、yは、1〜5、より優先的には1〜3である。
【0165】
好ましい新規化合物は、先に記載された化合物1〜5である。
【0166】
本発明の式(I)の化合物、とりわけ式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物を調製する方法
本発明の別の主題は、一方で、Aが水素原子以外である先に定義された式(I)の化合物、他方で、Aが水素原子を示し糖Sがピラノース又はフラノース型の単糖である式(I)の化合物を、以下に記載されるスキーム(1)により調製する方法、又はその化学合成の方法である。
【0167】
式(II)の化合物は、式(IIa)及び(IIb)の特定の化合物(カルボン酸)を含む。式(II)の化合物は、式(IIa)及び(IIb)の特定の化合物(エステル)、並びに式(IIc)の化合物も含む。
【0168】
式(III)の化合物は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び(IIIe)の化合物を含む。
【0169】
式(II)、(II)、及び(III)の新規化合物は、以下のスキーム(1)に従って調製できる:
【化50】
【0170】
このスキームによると、化合物(IV)において、Aが水素原子を示す場合、合成工程1aの前には、糖の基AO=OHを保護する工程がなくてはならない。この場合、化合物(II)、(II)、及び(II)を経由して得られる化合物(III)は、保護された糖(H以外のA)の形態で得られ、A=Hである対応する化合物(II)、(II)、(III)は、脱保護工程の後で得られる。
【0171】
化合物(III)は、工程1bに従って、保護又は未保護の化合物(IV)(A=H又はH以外)とベータ−ケトアミド(VII)との反応によっても得ることができる。(IV)がA=Hである場合、この場合、(III)はA=Hであるものである。(IV)がAがH以外であるものの場合、(III)はAがH以外であるものであり、A=Hである化合物(III)は、糖のヒドロキシルの脱保護の工程の後で得られる。
【0172】
スキーム(1)に記載される合成経路は、以下の工程を含む:
−工程1aは、式(IV)の単糖又は多糖を、メルドラム酸(V)と、とりわけ三級アミン、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で反応させることを含む。
【化51】
式(IV)中、A、R、R、R、R、n、及びmは先に定義された通りであり、p’及びq’は両端を含む0〜4の整数を表し、p’+q’は両端を含む0〜4、とりわけ0〜2であり、好ましくはp’+q’=0又は1であり、角括弧の間の2個の単位が逆転していてもよいことが理解され;式(IV)の化合物は、スキーム中で下記により表される:
【化52】
工程1は、糖単位を含む化合物(VI)を得るために、とりわけ、DMF又はアセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒中で、任意選択で30℃〜100℃の温度で、とりわけ40〜50℃で、好ましくは1時間〜7日、とりわけ2〜7日、2日などの期間加熱することにより実施される。
−工程2は、酸C−グリコシド化合物(II)を得るために、とりわけ酸媒体中で、とりわけ溶媒としても作用することができる酢酸などの弱い有機酸の存在下で、或いは、水などのプロトン性極性溶媒中の塩化水素酸など、水溶液中に希釈された酸媒体中で、任意選択で30℃〜120℃、とりわけ80℃〜100℃、100℃などの温度で、2時間〜24時間、とりわけ2時間〜5時間の期間加熱することにより、化合物(VI)の加水分解を実施することを含む。
−工程3は、酸(II)を、エステル化により式(II)のエステル化合物を得るためにアルコールR−OHと、又はN−アシル化/アミド化により式(III)のアミド化合物を得るためにアミンRr1r2NHと反応させることを含む。
【0173】
最初の2工程は、とりわけ、Mata et al.,Carbohydr.Res.1990,201,223−31;Mata et al.,Carbohydr.Res.1992,225,159−61;Koell et al.,J.Carbohydr.Chem.2000,19,1019−47により記載されている。
【0174】
或いは、特定の場合に(とりわけ、Rr1及びRr2がアルキル基である場合)、式(III)のアミド化合物を、式(IV)の単糖又は多糖と式(VII)のアセトアセトアミド化合物の間のLubineau反応(工程1b)により直接得ることが可能であり得る。反応は、とりわけ、NaOHなど、Mがカチオンを表すMOHなどの無機塩基の存在下で、又は好ましくは(重)炭酸塩などの弱塩基、とりわけアルカリ金属(重)炭酸塩と共に、又はトリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で、とりわけ水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で30℃〜100℃の温度で、とりわけ50℃〜60℃で、好ましくは1時間〜24時間、とりわけ2時間〜5時間、2又は3時間などの期間加熱することにより起こる。
【0175】
Aが水素原子を示し、糖がフラノース型である式(I)の化合物は、以下のスキーム(2)に従っても得ることができる:
【化53】
【0176】
この代替合成経路は以下の工程を含む:
−工程1は、式(IV)の単糖又は多糖をメルドラム酸(V)と、とりわけ三級アミン、例えばトリエチルアミン又はtert−ブチルアミンなどの有機塩基の存在下で反応させることを含む。工程1は、フラノース型の糖単位と縮合したラクトン中間体(VIII)を得るために、とりわけDMF又はアセトニトリルなどの極性非プロトン性溶媒中で、任意選択で、30℃〜100℃、とりわけ45〜49℃の温度に、好ましくは1時間〜7日、とりわけ2〜7日、5日などの時間加熱して実施される;
−工程2aは、フラノース型のC−グリコシド酸化合物(II)を得るために、特に酸性媒体中で、とりわけ水などの極性プロトン性溶媒中の塩化水素酸などの水溶液としての希酸性媒体中で、任意選択で30℃〜120℃、とりわけ80℃〜100℃、100℃などの温度に、2時間〜24時間の時間加熱して、化合物(VIII)の加水分解を実施することを含む;
或いは、工程2は、フラノース型のC−グリコシド酸化合物(II)を得るために、水性塩基性媒体中の、特に水などの極性プロトン性溶媒中の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの無機強塩基の存在下で、室温で又は任意選択で30℃〜120℃、とりわけ80℃〜100℃、100℃などの温度に、2時間〜24時間の時間加熱しながら、ラクトン(VIII)を開環することにもあり得る;
−工程2bは、フラノース型のC−グリコシドエステル化合物(II)を得るために、アルコールR−OHにより、THF、ジオキサン、又はDMFなどの極性非プロトン性溶媒(アルコールR−OH自体が溶媒として使用され得る)中の塩化水素酸の存在下など、特に酸性媒体中で、任意選択で30℃〜160℃、とりわけ80℃〜120℃、100℃などの温度に、2時間〜24時間の時間加熱して、ラクトン化合物(VIII)の開環を実施することを含む。或いは、ラクトン(VIII)は、対応するアルコキシドを形成するためにNa又はNaHなどの強塩基により事前に脱プロトン化されたアルコールR−OHにより開環され得る;
−工程2cは、フラノース型のC−グリコシドアミド化合物(III)を得るために、THF、ジオキサン、又はDMF(アミンRr1r2NH自体が溶媒として使用され得る)などの極性非プロトン性溶媒中で、任意選択で30℃〜160℃、とりわけ80℃〜120℃、100℃などの温度に、2時間〜24時間の時間加熱して、アミンRr1r2NHによるラクトン化合物(VIII)の開環を実施することを含む。
【0177】
試薬は全て当業者に公知である従来の方法により得られる。後者は、合成工程に従って保護又は脱保護するように取り計らうだろう。第1の工程の前に、糖単位(IV)のヒドロキシル基(基A)及び/又はアミノ基(基NR)を保護する工程を実施して、第3の工程の後に任意選択のその脱保護を実施することが必要になり得る。例えば:
【0178】
化合物は、遊離であるか、又はC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルキルカルボニル基により置換されているOH基を含むか、又は保護基により保護されているOH基を含む糖(IV)から得ることができ、前記保護基は、Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greeneにより、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Fourth Edition,Wiley,2006に記載される方法に従って利用しやすい;糖のヒドロキシルのアルキル化又はアシル化の方法は公知であり、とりわけ、Durantie,Estelle et al,Chemistry−A European Journal,18(26),8208−8215(2012)に記載されている。
【0179】
糖(IV)は、同じC〜Cアルキルカルボニル基により、又はPeter G.M.Wuts and Theodora W.Greeneにより、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Fourth Edition,Wiley,2006に記載されるものなどのPGにより置換されている1個以上のアミノ基も含み得る。糖のヒドロキシルのアルキル化、又はアシル化の方法は当業者に公知であり、とりわけDurantie,Estelle et al,Chemistry−A European Journal,18(26),8208−8215(2012)に記載されている。
【0180】
ヒドロキシル基のアルキル化の工程は、一般的には、ハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤の存在下、DMF、NMP、THF、ACN、又はアセトンなどの非プロトン性極性溶媒中での、塩基、多くの場合NaH、tBuOK、又はtBuONaタイプの比較的強い塩基による処理により実施される。
【0181】
N−アシル化法も当業者に周知であり、アミンを、酸無水物若しくは酸ハライド(酸クロリド)などのカルボン酸の反応性誘導体と、又はHOBt、EDCI、CDI、DCC、HATU、若しくはPyBOPなどのカップリング剤によりインサイチュで活性化されたカルボン酸と、DIEA若しくはTEAなどの有機塩基又はNaOHなどの無機塩基及び任意選択で等モル若しくは触媒量のDMAPの任意選択の存在下で、DCM、THF、DMF、若しくはACNなどの非プロトン性極性溶媒又は任意選択で水などのプロトン性溶媒中で反応させることを含む。
【0182】
エステル化法は、一般的に、任意選択で、ピリジン、トリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミン、酢酸ナトリウム、又は水酸化ナトリウムなどの塩基及び任意選択で等モル若しくは触媒量のDMAPの存在下で、ACN、ピリジン、DCM、THF、若しくはアセトンなどの非プロトン性極性溶媒又は任意選択で水などのプロトン性溶媒中での、酸無水物若しくは酸ハライド(酸クロリド)などのカルボン酸の反応性誘導体、又はHOBt、EDCI、CDI、若しくはDCCなどのカップリング剤によりインサイチュで活性化されたカルボン酸のアルコールによる処理により実施される。或いは、ヒドロキシルを、酸媒体(APTS、無水HCl、HSO)中で、乾燥剤、例えばシリカゲル、NaSO、MgSO、若しくはPの存在、又は水と共沸混合物を形成する揮発性溶媒、例えばトルエン若しくはシクロヘキサンを使用するディーン・スターク装置など、形成される水を除く装置と共に、カルボン酸により処理することができる。
【0183】
本発明は、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも1種の式(I)の化合物、とりわけ式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の少なくとも1種の化合物、より詳細には上述の化合物2、3、4、及び5から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物にも関する。組成物はとりわけ化粧用組成物である。
【0184】
本発明の有利な一形態によると、化粧用組成物は、少なくとも1種の式(I)の化合物、とりわけ式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の少なくとも1種の化合物、より詳細には、先に定義された化合物2、3、4、及び5から選択される少なくとも1種の化合物、並びに香料、増粘剤、界面活性剤、色素、染料、及び保存剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含む。
【0185】
より詳細には、本発明による化粧用組成物は、化合物1〜5から選択される、優先的には先に定義された化合物2、3、4及び5から選択される少なくとも1種の化合物、並びにまた水和物などのその溶媒和物、及びその有機又は無機の酸又は塩基塩を含む。
【0186】
式(I)の化合物、とりわけ先に定義された式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物(組成物がその数種を含む場合は各式(I)の化合物)は、組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜15質量%、とりわけ0.5質量%〜10質量%であり得る量で存在し得る。
【0187】
組成物は生理的に許容できる媒体を含むが、それは、好ましくは化粧品として又は薬学的に許容できる媒体、とりわけ皮膚科学的に許容できる媒体、すなわち不快な臭いも、色も、外観も全くなく、使用者に許容できない痛みも、緊張も、発赤も起こさない媒体である。とりわけ、組成物は、皮膚及び皮膚外皮への局所適用に好適である。
【0188】
用語「生理的に許容できる媒体」は、ヒトの皮膚及び皮膚外皮と適合性のある媒体を意味するものとする。
【0189】
次いで、本発明による組成物は、水及び/又は想定される応用分野に通常使用されるあらゆる補助剤を含み得る。
【0190】
とりわけ、有機溶媒、とりわけC〜Cアルコール及びC〜C10カルボン酸エステル;鉱物、動物、及び/又は植物由来の炭素系及び/又はシリコーンオイル;水、蝋、顔料、充填剤、着色剤、界面活性剤、乳化剤、共乳化剤;化粧用又は皮膚科の活性薬剤、UV−スクリーニング剤、ポリマー、親水性又は親油性ゲル化剤、増粘剤、保存剤、香料、殺菌剤、臭い吸収剤、及び酸化防止剤が言及され得る。
【0191】
これらの任意選択の補助剤は、組成物中に、組成物の総質量に対して、0.001質量%〜80質量%、とりわけ0.1質量%〜40質量%の比率で存在し得る。
【0192】
本発明による組成物は、メイクアップ組成物、又は好ましくはスキンケア組成物、及びとりわけ顔、手、足、主な解剖学的なしわ、又は体用のクレンジングする、保護する、処置する、又はケアするためのクリーム(例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、メイクアップ除去クリーム、ファンデーションクリーム、又はアンチサンクリーム);フルイドファンデーション、メイクアップ除去ミルク、保護用若しくはケアボディーミルク、又はアンチサンミルク;クレンジングローションなどのスキンケアローション、ゲル、若しくはムース又は髪用組成物を構成し得る。
【0193】
本発明の主題は、皮膚などのケラチン物質の美容的処理の方法であって、皮膚などのこれらの前記物質への、少なくとも1種の式(I)の化合物、とりわけ上記で定義された式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物を含む組成物の、先に定義された通りの適用を含む方法でもある。
【0194】
特定の実施形態において、処理方法は、皮膚加齢のしるしを予防することを目指している。
【0195】
好ましくは、処理方法は、皮膚加齢のしるしを治療することを目指している。
【0196】
特定の実施形態において、それは、加齢を予防及び/又は治療することを意図する皮膚の美容的処理の方法であって、皮膚加齢のしるしを示す皮膚に、先に定義された式(I)の化合物を含む少なくとも1種の組成物を適用することを含む少なくとも1工程を含む方法にも関する。
【0197】
とりわけ、本発明による方法は、顔色の輝き及び/又は均一性を改善し;皮膚の輝き及び/又は透明性を改善し;皮膚の柔らかさ、しなやかさ、及び/若しくは弾力性並びに/又は皮膚の緊張及び/若しくは皮膚の引き締まりを改善し;且つ/或いはしわ及び/又は小じわを予防及び/又は減少させることを目指している。
【0198】
とりわけ、美容的処理方法は、保湿を維持及び/若しくは刺激し、且つ/又は皮膚の乾燥をなくそうとし、且つ/又は皮膚のバリア機能を維持することを目指している。
【0199】
特定の実施形態において、式(I)の化合物、とりわけ先に定義された式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物は、とりわけ、皮膚の加齢、とりわけ自然老化のしるしをなくそうとするための薬剤として有用である。
【0200】
本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物、とりわけ先に定義された式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、及び/又は(IIIe)の化合物、その塩、又はその溶媒和物の、皮膚などのケラチン物質の加齢、とりわけ自然老化のしるしをなくすことが意図される組成物を調製するための使用にも関する。それは、生理的に許容できる媒体を含む化粧用組成物において、先に定義された少なくとも1種の式(I)の化合物の、皮膚などのケラチン物質の加齢のしるしをなくすことが意図される薬剤として、且つ/又は皮膚などのケラチン物質の保湿剤としての使用にも関する。
【0201】
本発明は、皮膚の加齢、とりわけ自然老化のしるしをなくそうとし、且つ/又は皮膚の保湿を改善するための本発明による化合物又は組成物の使用にも関する。
【0202】
本発明による化合物又は組成物は、とりわけ、全ての皮膚の再上皮化障害を治すことを意図し得る。
【0203】
特定の実施形態において、本発明による化合物又は組成物は、表皮の自然老化のしるしをなくそうとするのに特に好適である。自然老化の間、表皮の厚さは減り、細胞分裂の数が減る。細胞増殖、とりわけ表皮の細胞増殖を促進することにより、表皮の再生が促進され、皮膚はより若い外観を有する。
【0204】
特定の実施形態において、本発明による化合物又は組成物は、とりわけ、しわ及び小じわ、並びに/又は皮膚の菲薄化、並びに/又はたるみ且つ/又はひからびた皮膚外観を予防若しくは減少させることを意図する。そのため、本発明は、しわ及び小じわ、並びに/又は皮膚の菲薄化、並びに/又はたるみ且つ/又はひからびた皮膚外観を予防又は減少させるための化粧用組成物における、本発明による少なくとも1種の化合物の使用にも関する。
【0205】
本発明は、以下の非限定的な例により、さらに詳細に説明される。
【実施例】
【0206】
実施例1:化合物2、3、4、及び5の合成
化合物2の合成
【化54】
化合物1([34010−29−2]/[267235−22−3])は、例えばMata et al.,Carbohydr.Res.1992,225,159−61に記載されている。
【0207】
CO(2.12g、15.37mmol)を、化合物1(3g、7.69mmol)のメタノール(50ml)溶液に加える。反応混合物を16時間室温で撹拌し、4N HCl水溶液によりpH 4に調整する。ろ過の後、ろ液を蒸発乾固させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 10:1)により精製すると、化合物2(白色固体、1g、収率=59%)が得られる。H/13C NMRスペクトル及び質量分析法は、予測された構造と一致する。
【0208】
化合物3の合成
【化55】
N,N−ジメチルアセトアセトアミドE2(1.40ml、8.0mmol)を、D−キシロースE1(1g、6.7mmol)の水(2.0ml)溶液に滴加する。次いで、温度を35℃未満に維持しながら、水酸化ナトリウム(1.33g、水中30%)を滴加する。反応混合物を45分間50℃で撹拌し、次いで、2時間30室温に戻した。ブタノール(1.52g)及び37%HCl(1.41g)を加える(pH 1)。酢酸エチル(2.5ml)の添加後、混合物を30分間撹拌し、次いで放置して分離させる。ジクロロメタン(2.5ml)を添加して、操作を繰り返す。残存する水性相を200mgの植物性ブラック(vegetable black)により処理し、15分間撹拌する。生成物をセライトに通してろ過し、水ですすぐ。得られたろ液をpH 10に中和し、次いで真空下で濃縮する。エタノールを加えて無機塩を沈殿させ、次いでろ過して濃縮し、次いで再びアセトンを加える。次いで、得られたろ液をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 95:5〜85:15)により精製する。得られた残渣をジクロロメタンから沈殿させ、ろ過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いでエタノールから再結晶化させ、真空下で乾燥させると、化合物3(白色固体、144mg、収率=10%)が得られる。
【0209】
化合物4の合成
【化56】
水酸化ナトリウム(水中35%、0.45ml)を、L−ラムノースE3(1g、5.5mmol)のN,N−ジメチルアセトアセトアミドE2(2.40ml、13.7mmol)溶液に加える。反応混合物を1時間60℃で撹拌し、次いで室温に戻し、水で希釈する。混合物をDowex 500WX2−200酸樹脂と共に30分間撹拌し、次いでろ過する。水性相をジクロロメタンで4回抽出し、次いで真空下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH 9:1)により精製する。得られた生成物を水に溶解させ、ジクロロメタン(DCM)で1回洗浄し、骨炭(animal black)により精製し、次いでセライトに通してろ過する。ろ液をDCMで2回再洗浄し、水性相を真空下で濃縮する。エタノールの添加後、形成された沈殿物をろ去し、次いでろ液を蒸発乾固させると、化合物4が得られる(濃緑色固体、223mg、収率=18%)。
【0210】
化合物5の合成
【化57】
化合物E4は、P.Koell et al.,J.Carbohydr.Chem.2000,19(8),1019−47に従って調製する。
【0211】
ラクトンE4(253mg、1.44mmol)を、50℃で液化されたn−テトラデシルアミン(1.54g、7.20mmol)に加える。反応混合物を76℃で4時間加熱する。室温に戻った後、混合物は固まって固体になる。それを酢酸エチルに吸収させ、次いで固体をろ去し、酢酸エチルで洗浄する。操作を2回繰り返す。白色粉末が45%の収率で得られる。
【0212】
実施例2:本発明での使用に好適である式(I)の化合物の色素脱失効果の実証
プロトコル
効能を以下の試験に基づいて実証した:
式(I)の化合物の色素脱失活性(メラニン産生の減少)を、以下の通り正常なヒトメラニン形成細胞のインビトロのアッセイにより測定した。
【0213】
最初に、正常なヒトメラニン形成細胞を培養し、マルチプルウェルプレートに分布させた。24時間後、培地を、評価すべき式(I)の化合物を含む培地と交換した。細胞を72時間インキュベートしてから、最終的な光学濃度を測定したが、それは、メラニン形成細胞により産生されたメラニンの量を測定するものである。測定を較正し、化合物を100μMで試験した。
【0214】
種々の試験実験を実施し、結果を以下の表に整理する。
【0215】
結果
試験結果を以下の表1にまとめる。
【0216】
【表9】
【0217】
これらの結果から、低濃度での式(I)の化合物が色素脱失性を有することが明らかになる。
【0218】
実施例3:本発明による組成物
皮膚色素脱失ゲルを調製する。それは、以下の成分を含む(組成物の総質量に対する質量%):
【0219】
【表10】
【0220】
皮膚に適用された本発明による組成物は、顔色を均質化し、とりわけ茶色のしみを退色させることを可能にする。
【0221】
実施例4
以下を含む(質量%)皮膚用の抗加齢ゲルを調製する:
化合物2 2%
ヒドロキシプロピルセルロース(HerculesのKlucel H)1%
香料、保存剤 必要量
イソプロパノール 40%
水 100%にする必要量
【0222】
類似の組成物を化合物3により調製する。この組成物は、毎日、とりわけ数週間顔に適用できる。
【国際調査報告】