(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【解決手段】 顔料分散物およびインクジェットインク組成物に組み込むことができ、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される第2のモノマーとを含むポリマーを、本明細書において開示する。ポリマーは、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されている、第2のモノマーの一部分を有することができる。これに加えておよび/または代えて、少なくとも1種のポリマーは、第2のモノマーを介して架橋することができる。このようなポリマーを含む分散物およびインクジェットインク組成物はまた、少なくとも1種の顔料および液体ビヒクルをさらに含むことができる。また、このようなポリマーを作製する方法も開示する。
前記少なくとも1個の有機基が、少なくとも1個のホスホン酸基またはその塩、および前記少なくとも1個のホスホン酸基またはその塩に対してビシナルまたはジェミナルである少なくとも1個の第2のイオン性基、イオン化可能基または塩基性基を含む、請求項1に記載の組成物。
前記少なくとも1個の有機基が、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ヒドロキシル、アミン、ならびにそれらのエステル、アミドおよび塩およびエステルから選択される少なくとも1個の基を含む、請求項1に記載の組成物。
前記少なくとも1個の有機基が、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1個の有機基で官能化されている前記第2のモノマーの前記部分が、第2のモノマーの総量の少なくとも3mol%である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の組成物。
前記エチレン性不飽和疎水性モノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、イソブチレン、ブタジエンおよびメチルビニルエーテルから選択される、請求項1から15までのいずれか1項に記載の組成物。
前記エチレン性不飽和エステルが、酢酸ビニル、酢酸アリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリロニトリルおよびアクリルアミドから選択される、請求項20に記載の組成物。
前記第2のモノマーが、無水マレイン酸およびマレイン酸、ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドの混合物を含む、請求項1から21までのいずれか1項に記載の組成物。
前記第2のモノマーが、前記少なくとも1種のポリマーに対して10〜60mol%の範囲の量で前記少なくとも1種のポリマー中に存在する、請求項1から24までのいずれか1項に記載の組成物。
前記第1のモノマーが、前記少なくとも1種のポリマーに対して40〜90mol%の範囲の量で前記少なくとも1種のポリマー中に存在する、請求項1から25までのいずれか1項に記載の組成物。
前記第1のモノマーが、前記少なくとも1種のポリマーに対して67〜80mol%の範囲の量で前記少なくとも1種のポリマー中に存在する、請求項1から25までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーが、前記第2のモノマーのカルボキシレート含有基の少なくとも10%を介して架橋している、請求項1から29までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーが、アミド連結、イミド連結およびエステル連結から選択される少なくとも1個の連結を介して架橋している、請求項1から35までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーが、エーテル連結およびチオエーテル連結から選択される少なくとも1個の連結を介して架橋されている、請求項1から35までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーが、インクジェットインク組成物の総質量に対して0.1質量%〜25質量%の範囲の量で存在する、請求項1から46までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1個の第2の有機基が、アミド連結、イミド連結およびエステル連結を介して前記第2のモノマーの前記第2の部分に結合している、請求項48から50までのいずれか1項に記載の組成物。
エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される第2のモノマーとを含むポリマーであって、
前記第2のモノマーの少なくとも一部分は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されている、ポリマー。
前記少なくとも1種のポリマーを少なくとも1種の架橋剤と合わせる前に、または合わせるのと同時に、前記少なくとも1種のポリマーを加水分解することをさらに含む、請求項63から65までのいずれか1項に記載の方法。
前記少なくとも1種のポリマーが、前記第2のモノマーのカルボキシレート基の少なくとも10%を介して架橋している、請求項67または68のいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーが、アミド連結、イミド連結およびエステル連結から選択される少なくとも1個の連結を介して架橋されている、請求項67から70までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーが、エーテル連結およびチオエーテル連結から選択される少なくとも1個の連結を介して架橋している、請求項67から70までのいずれか1項に記載の組成物。
前記エチレン性不飽和疎水性モノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、イソブチレン、ブタジエンおよびメチルビニルエーテルから選択される、請求項67から76までのいずれか1項に記載の組成物。
前記第2のモノマーが、前記少なくとも1種のポリマーに対して10〜60mol%の範囲の量で前記少なくとも1種のポリマー中に存在する、請求項67から82までのいずれか1項に記載の組成物。
前記第1のモノマーが、前記少なくとも1種のポリマーに対して40〜90mol%の範囲の量で前記少なくとも1種のポリマー中に存在する、請求項67から83までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1個の有機基が、アミド結合、イミド結合およびエステル結合から選択される少なくとも1個の連結を介して前記第2のモノマーに結合している、請求項85から87までのいずれか1項に記載の組成物。
前記少なくとも1種のポリマーを少なくとも1種の架橋剤と合わせる前に、または合わせるのと同時に、前記少なくとも1種のポリマーを加水分解することをさらに含む、請求項98または99に記載の方法。
エポキシ含有化合物から選択される前記少なくとも1種の架橋剤が、前記第2のモノマーのカルボキシレート含有基と反応する、請求項98から101までのいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、
少なくとも1種の顔料;
液体ビヒクル;ならびに
架橋されている、かつ/またはカルシウムおよび/もしくは他の二価金属を結合することができる、少なくとも1種のポリマー
を含むか、これらから本質的になるか、これらからなる組成物を開示する。
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、カルシウムおよび/または他の二価金属を結合することができる。一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される第2のモノマーとを含み、ここで、第2のモノマーの一部分は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されている。一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する。
【0008】
別の実施形態は、
少なくとも1種の顔料;
液体ビヒクル;ならびに
少なくとも1種の顔料をカプセル化している少なくとも1種のポリマー
を含むか、これらから本質的になるか、これらからなる組成物を提供し、ここで、少なくとも1種のポリマーは、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される第2のモノマーとを含み、ここで、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、式CH
2=CR
1R
2を含み、式中、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリールおよびC
6−C
20アルカリルから独立に選択され、R
1およびR
2の炭素原子は、O、NおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられていてもよく、
少なくとも1種のポリマーは、第2のモノマーを介して架橋されている。
【0009】
一実施形態では、顔料をカプセル化している少なくとも1種のポリマーを含む組成物は、自己分散顔料を含む組成物に対して、ならびに/または顔料と、同じモノマーを含むポリマー分散剤とを含み、ポリマー分散剤が架橋されていない組成物に対して、増進された安定性を示す。
【0010】
一実施形態では、「エチレン性不飽和」モノマーは、重合可能なC=C基を含有する。例示的なエチレン性不飽和疎水性モノマーは、アクリル酸基およびメタクリル酸基、ビニル基、ならびにアリル基を含む。一実施形態では、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、式CH
2=CR
1R
2を有し、式中、R
1およびR
2は、H、C
1−C
20アルキル(例えば、C
1−C
12またはC
1−C
6アルキル)、C
5−C
20アリール(例えば、C
5−C
12アリール、C
6−C
12アリール、C
5−C
10アリール、C
6−C
10アリール)、C
6−C
20アラルキル(アリール置換アルキル、例えば、C
6−C
12アラルキル、C
6−C
10アラルキル)、およびC
6−C
20アルカリル(アルキル置換アリール、例えば、C
6−C
12アルカリル、C
6−C
10アルカリル)から独立に選択される。R
1およびR
2は、直鎖状または分岐状でよい。一実施形態では、R
1およびR
2の炭素原子は、O、NおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられていてもよい。一実施形態では、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリール、C
6−C
20アラルキルおよびC
6−C
20アルカリルから独立に選択される。別の実施形態では、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキル、C
6−C
12アリール、C
6−C
12アラルキルおよびC
6−C
12アルカリルから独立に選択される。さらに別の実施形態では、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキルおよびC
5−C
12アリール(例えば、C
5−C
10アリール)、またはH、C
1−C
12アルキルおよびC
6−C
12アリール(例えば、C
6−C
10アリール)から独立に選択される。さらに別の実施形態では、R
1およびR
2は、HおよびC
5−C
12アリール(例えば、C
5−C
10アリール)、またはHおよびC
6−C
12アリール(例えば、C
6−C
10アリール)から独立に選択される。
【0011】
一実施形態では、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、ビニル基を含有するもの、例えば、α−オレフィンから選択される。ビニル基を含有する例示的なモノマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、2−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘプテン、4,4−ジメチル−1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、イソブチレン、ジ−イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンならびにこれらの混合物を含む。
【0012】
一実施形態では、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、エチレン性不飽和エステル、例えば、脂肪族系酸のエチレン性不飽和エステルから選択され、ここで、酸部分は、3〜8個の炭素原子、例えば3〜6個の炭素原子を有し、エステル部分は、1〜8個、例えば1〜6個または1〜4個の炭素原子を有する。例示的なエチレン性不飽和エステルは、酢酸ビニル、酢酸アリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリロニトリルおよびアクリルアミドを含む。一実施形態では、第1のモノマーは、2種またはそれより多い異なるエチレン性不飽和疎水性モノマーを含むことができる。
一実施形態では、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、メチルビニルエーテルから選択される。一実施形態では、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、スチレンおよびα−メチルスチレンから選択される。
【0013】
一実施形態では、第2のモノマーは、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択され、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸およびその塩から選択される。例えば、第2のモノマーは、無水マレイン酸もしくはマレイン酸、または無水マレイン酸ならびにマレイン酸(ならびに/もしくはその塩、エステル、イミドおよびアミド)の混合物を含むことができる。第2のモノマーは、置換されていなくてもよい(少なくとも1個の有機基で官能化されている部分以外)。これに代えて、第2のモノマーは、例えば、C
1−C
6アルキルおよびハライドから選択される少なくとも1個の基で置換することができる。例示的な置換されている第2のモノマーは、無水メチルマレイン酸、無水ジメチルマレイン酸、無水フルオロマレイン酸、および無水メチルエチルマレイン酸を含む。
【0014】
一実施形態では、第2のモノマーは、少なくとも1種のポリマーに対して10〜60mol%の範囲の量で、例えば、少なくとも1種のポリマーに対して、10〜50mol%、10〜40mol%、10〜35mol%、20〜60mol%、20〜50mol%、20〜40mol%、20%〜35mol%の範囲の量で少なくとも1種のポリマー中に存在する。一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、40〜90mol%、50〜90mol%、40〜80mol%、または50〜80mol%の範囲の量で、第1のモノマーを含む。別の実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、少なくとも1種のポリマーに対して、67〜80mol%の範囲の量で第1のモノマー、および20〜33mol%の範囲の量で第2のモノマーを含む。少なくとも1種のポリマーは、ランダムコポリマーまたは交互コポリマーでよい。
【0015】
一実施形態では、第1のモノマーは、スチレンから選択される。一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、スチレン−無水マレイン酸(SMA)ポリマーから選択され、ここで、無水マレイン酸モノマーの一部分は、少なくとも1個の有機基で官能化されている。一実施形態では、スチレン−無水マレイン酸ポリマーは、スチレンまたはスチレンモノマーおよび無水マレイン酸またはその誘導体の重合によって調製することができる。例えば、スチレン−無水マレイン酸ポリマーは、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマーであり得る。一実施形態では、無水マレイン酸モノマーのいくらかまたは全ては、マレイン酸に加水分解され、スチレン、無水マレイン酸ならびにマレイン酸(およびその塩)モノマーを含むポリマーがもたらされる。さらなるモノマー、例えば、アクリレートおよびメタクリレートがまた存在し得る。一実施形態では、さらなるモノマーは、低レベルで存在する。例えば、スチレン−無水マレイン酸ポリマーは、スチレン、無水マレイン酸およびさらなるモノマーのポリマーであって、重合されたスチレンおよび無水マレイン酸と他の重合されたモノマーとのモル比が1/1超、例えば、5/1超、10/1超、および20/1超であるポリマーであってよい。このようなポリマーは、連続的モノマー供給を使用した重合およびワンポット重合プロセスを使用した重合を含めた、当技術分野において公知の任意の方法を使用して調製することができる。一実施形態では、スチレン−無水マレイン酸ポリマーは、連続的モノマー供給方法で調製される。
【0016】
スチレン−無水マレイン酸ポリマーの他の例は、官能化スチレン−無水マレイン酸ポリマー(少なくとも1個の有機基で官能化されている部分に加えて官能化されている)を含み、この官能化スチレン−無水マレイン酸ポリマーは、例えば、スチレンおよび無水マレイン酸モノマーを重合し、アルコールとさらに反応させてエステル基を形成する、またはアミンとさらに反応させてアミドもしくはイミド基を形成することによって、調製されるポリマーである。官能化スチレン−無水マレイン酸ポリマーの具体例は、スチレンモノマーと、重合された無水マレイン酸の半エステルまたはアミドのモノマー(このように、−CH(COOH)−CH(COOR)−または−CH(COOH)−CH(CONR
2)−などの式を含むモノマーを含み、式中、Rは、C
1−C
20アルキル、アラルキル、アルカリルおよびアリール基から選択され、例えば、C
6−C
18アルキル、アラルキルおよびアリール基から選択される)とを含むポリマーを含む。部分的に官能化されているスチレン−無水マレイン酸ポリマーをまた使用することができ、ここで、重合された無水マレイン酸モノマーの全部ではないが、いくらかは、官能化されている。これらのポリマーの例は、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸エステルポリマーおよびスチレン−無水マレイン酸−マレイン酸アミドポリマーを含む。さらに、重合されたスチレンのモノマーと、重合された無水マレイン酸のイミドのモノマーとを含むポリマーをまた使用し得る。
【0017】
少なくとも1種のポリマーは、通常の重合技術を使用して調製し得る。アルファオレフィン無水マレイン酸コポリマーは、例えば、それらの開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国再発行特許第Re.28,475号および米国特許第3,553,117号、同第3,560,455号、同第3,560,456号、同第3,560,457号、同第3,488,311号、同第4,522,992号、同第4,358,573号、同第4,871,823号、同第4,859,752号、および同第5,336,727号に記載のものを含めていくつかの通常の重合プロセスのいずれかによって調製し得る。少なくとも1種のポリマーは、例えば、無溶媒アルケン中で160℃にて;モノマーを溶解するが、ポリマーを沈殿させる溶媒、例えば、芳香族炭化水素中で(沈殿重合もしくは懸濁重合);または溶媒、例えば、反応物およびポリマーの両方を溶解するケトン中で(溶液重合)、調製することができる。一実施形態では、溶液重合のための温度は、60〜80℃の範囲である。ラジカル開始剤は、通常AIBNまたは過酸化ベンゾイルである。
【0018】
一実施形態では、第2のモノマーの一部分は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されている。一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、カルシウムおよび/または他の二価金属を結合することができる。一実施形態では、二価金属の結合能力は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,858,695号に記載されているように、カルシウム指数値によって定量化することができる。「カルシウム指数値」は、有機基が溶液中のカルシウムイオンを配位または結合する能力の尺度を指す。カルシウム指数値が高いほど、より強力にまたは効果的に、その基はカルシウムイオンを配位することができる。カルシウム指数値を使用して、他の二価金属イオン、例えばマグネシウムの結合能力を示すこともできる。
【0019】
カルシウム指数値は、当技術分野において公知の任意の方法によって決定することができる。例えば、カルシウム指数値は、可溶性カルシウムイオンおよび変色指示薬を含有する標準液中の化合物によって配位されるカルシウムの量を、紫外可視分光法を使用して測定する方法によって測定し得る。これに代えて、強い色を有する化合物については、カルシウム指数値は、NMR方法を使用して測定し得る。
【0020】
一実施形態では、「カルシウム指数値」は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,858,695号の29欄、45行から31欄、37行に記載されている方法、例えば方法Aまたは方法Bによる。使用するいずれかの方法のために、試験する所望の有機基に対応する化合物を選択した。試験化合物において、少なくとも1個の有機基は、カルシウムイオンを結合させることに関与する原子が、少なくとも2個の結合によって残基から分離されている限り、任意の残基に結合することができる。残基は、水素、C
1−C
10アルキル(置換もしくは非置換)またはC
4−C
18アリール(置換もしくは非置換)を含むかまたはこれからなることができ、例えば、試験される化合物は、水素、C
1−C
10アルキル(置換もしくは非置換)またはC
4−C
18アリール(置換もしくは非置換)に結合している有機基を含むことができる。例えば、3,4,5−トリカルボキシフェニル官能基およびその塩について、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸を選択することができる。この例において、残基は、水素であり、カルボン酸の酸素原子は、水素残基から少なくとも2個の結合分離れている。
【0021】
一実施形態では、カルシウム指数値への言及は、その値が、参照材料の値と等しいかまたはそれより大きいことを意味する。一実施形態では、参照は、フェニルホスホン酸である。このように、少なくとも1個の有機基は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する。別の実施形態では、参照は、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸である。一実施形態では、カルシウム指数値は、下記でより詳細に記載するように、紫外可視分光法(または方法A)を使用して決定して、2.53と等しいかまたはそれより大きく、例えば、2.8と等しいかもしくはそれより大きく、3.0と等しいかもしくはそれより大きく、または3.2と等しいかもしくはそれより大きい。
【0022】
方法A。この方法のために、0.087mMのコンゴーレッド指示薬、5mMの塩化セシウム、1質量%のMW350ポリエチレングリコールメチルエーテル、ならびに0〜7mMの範囲(0.2mM、0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mM、4.5mM、5mM、6mM、および7mM)の濃度の塩化カルシウムを含有する、一連の溶液を、pH9にて調製した。これらの溶液の紫外可視スペクトルを、UV−2501PCを使用して、これらの調製の1時間以内に記録した。これらのスペクトルを使用して、520nmでの吸光度をカルシウム濃度と相関させた較正曲線を作成した。
【0023】
次いで、pH9でのイオン濃度が5mMとなるように、0.087mMのコンゴーレッド指示薬、1質量%のMW350ポリエチレングリコールメチルエーテル、5mMの塩化カルシウム、および目的の化合物のセシウム塩を含有した試験溶液を、pH9にて調製した。非複合体化カルシウム濃度は、較正曲線との比較によって決定した。次いで、カルシウム指数値を、log
10((0.005−非複合体化カルシウム)/((非複合体化カルシウム)
2))として計算した。測定は2回行い、平均化した。
【0024】
方法B。高レベルの色を発色し、したがって方法Aにおいて使用するのに困難な化合物のために、第2の方法を開発した。この方法のために、pH8または9にて、
43CaCl
2で0.01M、NaClで0.01M、10%D
2Oである水溶液を、
43CaCO
3、HCl/D
2O、NaOH/D
2O、D2Oおよび水から調製した。pHは、研究中の化合物をイオン化し、化合物を溶解するように選択した。約0.65gの重さの溶液の一部分を、5mmのNMRチューブに加え、最も近い0.001gまで秤量した。非結合の
43Caのケミカルシフトは、プロトン共振周波数400.13MHzでのBruker Avance II分光計を使用して測定した。研究中の化合物(リガンド)の0.2〜1.0Mの溶液を、連続的に増大させながら加えた。それぞれの添加の後、
43Caケミカルシフトを測定し、試料のケミカルシフトおよび非結合のカルシウムのケミカルシフトの間の差異であるδを計算した。L
o/Ca
o比は、0.25、0.5、1、2、3、4、6および8であるように連続的に増大させることを計画した。式中、L
oは、リガンドからの複合体化アニオン、プロトン化アニオンおよび遊離アニオンの総濃度であり、Ca
oは、存在する全ての種におけるカルシウムの総濃度である。カルシウム指数値(NMR)は、log
10(X)として計算し、式中、Xは、パラメーターXおよびδ
mを等式にフィットさせることによって決定した。
【0025】
【数1】
そのため、データと等式から予測されるケミカルシフトとの間のRMSの差異が最小化され、式中、
δは、試料の
43Caケミカルシフトに対する遊離水性
43Ca
2+の
43Caケミカルシフトの差異であり;
δ
mは、
43Caケミカルシフトにおける無限のL/Caでの
43Caケミカルシフトに対する遊離
43Ca
2+の
43Caケミカルシフトの計算した差異であり;
L
oは、リガンドからの複合体化アニオン、プロトン化アニオンおよび遊離アニオンの総濃度であり;
Ca
oは、存在する全ての種におけるカルシウムの総濃度であり;
Xは、フィッティングパラメーターであり;
K
aは、リガンドLHについてのプロトン解離定数である。
【0026】
理論に束縛されるものではないが、現在特許請求しているポリマー分散剤は、基材中もしくは基材上に存在するカルシウム塩および/または他の二価金属塩(例えば、マグネシウム)との相互作用または結合の結果として、改善された印刷性能をもたらすことができる。二価金属塩は、基材上のコーティングであってよく、または、例えば、金属塩を含有する定着液と共に印刷することによってその後に加えることができる。最初に安定的な分散物は、基材と接触したときに、急速に不安定化し得る。これに代えてまたは加えて、不安定化は、基材に接触することによるpHの変化に起因し得、これは、上記の付着した官能基を含むポリマー分散剤について有利であり得る。pHの変化、カルシウムおよび/もしくは他の二価金属塩、またはこれらの混合物との相互作用によってもたらされる印刷の後の急速な不安定化は、良好な全体的な特性、例えば、光学密度、エッジ明瞭度、および/またはインターカラーブリードを伴う印刷イメージをもたらすと考えられる。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基で官能化されている第2のモノマーの部分は、第2のモノマーの総量(官能化および非官能化の第2のモノマーの合計)のmol%として表される。一実施形態では、少なくとも1個の有機基で官能化されている第2のモノマーの部分は、第2のモノマーの総量に対して、少なくとも3mol%、例えば、少なくとも5mol%、少なくとも7mol%、または少なくとも10mol%である。一実施形態では、少なくとも1個の有機基で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの最大で75mol%、例えば、第2のモノマーの総量の最大で60mol%、最大で50mol%、または最大で40mol%である。一実施形態では、少なくとも1個の有機基で官能化されている第2のモノマーの部分は、第2のモノマーの総量の3mol%〜75mol%、例えば、5mol%〜75mol%、3mol%〜60mol%、5mol%〜60mol%、3mol%〜50mol%、5mol%〜50mol%、3mol%〜40mol%、または5mol%〜40mol%の範囲である。
【0028】
一実施形態では、第2のモノマーの一部分は、当技術分野において公知のいくつかの反応、例えば、カルボン酸および/または無水物との反応によって、少なくとも1個の有機基で官能化されている。一実施形態では、少なくとも1個の有機基を含有するアルコールまたはアミンは、必要な場合、任意選択で塩基の存在下で、無水マレイン酸またはマレイン酸と反応することができる。一実施形態では、少なくとも1個の有機基を含有する第一級アミンは、塩基の存在下で無水マレイン酸またはマレイン酸と反応し、少なくとも1個の有機基をポリマーに結合させるアミド基を形成することができる。
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ヒドロキシル、アミン、ならびにそれらのエステル、アミドおよび塩およびエステルから選択される少なくとも1個の基を含む。
【0029】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、
・少なくとも1個のホスホン酸基(例えば、少なくとも2個のホスホン酸基)、その部分エステル、およびその塩、例えば、ジェミナルビスホスホン酸基、その部分エステル、およびその塩;
・少なくとも1個のOH基(例えば、少なくとも2個のOH基)およびその塩を含む少なくとも1個の複素環式基;
・少なくとも1個のホスホン酸基またはその塩、ならびにホスホン酸基およびその塩に対してビシナルまたはジェミナルである少なくとも1個の第2のイオン性基、イオン化可能基または塩基性基;
・少なくとも3個のカルボン酸を含むアリールまたはアルキルポリ酸基;
・少なくとも1個のカルボン酸基およびその塩を含むヘテロアリール基;
・少なくとも1個のニトロソ基、ならびに少なくとも1個のOH基およびその塩を含むアリール基;ならびに
・少なくとも1個のOH基、少なくとも1個のNH
2基、または少なくとも1個のOH基および少なくとも1個のNH
2基を含み、かつ式Ar
1−N=N−Ar
2を有するアゾアレーン基であって、式中、Ar
1およびAr
2は、同じでもまたは異なっていてもよく、アリーレン基またはアリール基であり、Ar
1またはAr
2の少なくとも1つは、アリーレン基である、アゾアレーン基
の1つもしくは複数から選択される。
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも2個のホスホン酸基、そのエステルまたはその塩を含む。
【0030】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のジェミナルビスホスホン酸基、その部分エステル、およびその塩を含み得、すなわち、少なくとも1個の有機基は、同じ炭素原子に直接結合している少なくとも2個のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩を含み得る。このような基はまた、1,1−ジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩と称し得る。このように、例えば、少なくとも1個の有機基は、式−CQ(PO
3H
2)
2を含む基、その部分エステルおよびその塩を含み得る。Qは、ジェミナル位に結合しており、H、R、OR、SRまたはNR
2であり得、式中、Rは、同じでもまたは異なっていてもよく、H、C
1−C
18飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは枝分かれしていないアルキル基、C
1−C
18飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは枝分かれしていないアシル基、アラルキル基、アルカリル基、またはアリール基である。例えば、Qは、H、R、OR、SRまたはNR
2であり得、式中、Rは、同じでもまたは異なっていてもよく、H、C
1−C
6アルキル基またはアリール基である。一実施形態では、Qは、H、OHまたはNH
2である。さらに、少なくとも1個の有機基は、式−(CH
2)
n−CQ(PO
3H
2)
2を含む基、その部分エステルおよびその塩を含み得、式中、Qは、上記の通りであり、nは、0〜9、例えば、1〜9、0〜3、または1〜3である。一実施形態では、nは、0または1である。また、少なくとも1個の有機基は、式−Y−(CH
2)
n−CQ(PO
3H
2)
2を含む基、その部分エステルおよびその塩を含み得、式中、Qおよびnは、上記の通りであり、Yは、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレン、ビニリデン、アルカリーレン、アラルキレン、環式基または複素環式基である。一実施形態では、Yは、任意の基、例えば、1個または複数のアルキル基またはアリール基でさらに置換されていてもよいアリーレン基、例えば、フェニレン、ナフタレンまたはビフェニレン基である。Yがアルキレン基であるとき、例には、これらに限定されないが、分岐状であってもよくもしくは枝分かれしていなくてもよい置換もしくは非置換アルキレン基が含まれ、1個もしくは複数の基、例えば芳香族基で置換することができる。例には、これらに限定されないが、C
1−C
12基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が含まれる。
【0031】
Yは、これらに限定されないが、R’、OR’、COR’、COOR’、OCOR’、カルボキシレート、ハロゲン、CN、NR’
2、SO
3H、スルホネート、スルフェート、NR’(COR’)、CONR’
2、イミド、NO
2、ホスフェート、ホスホネート、N=NR’、SOR’、NR’SO
2R’、およびSO
2NR
2’から選択される1個または複数の基でさらに置換されていてもよく、式中、R’は、同じでもまたは異なっていてもよく、独立に、水素、分岐状のまたは枝分かれしていないC
1−C
20置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アルカリル、または置換もしくは非置換アラルキルである。
【0032】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、式−Y−Sp−(CH
2)
n−CQ(PO
3H
2)
2を含む基、その部分エステルまたはその塩を含み得、式中、Y、Qおよびnは、上記の通りである。Spは、本明細書において使用する場合、2個の基の間の連結であるスペーサー基である。Spは、結合または化学基でよい。化学基の例には、これらに限定されないが、−CO
2−、−O
2C−、−CO−、−OSO
2−、−SO
3−、−SO
2−、−SO
2C
2H
4O−、−SO
2C
2H
4S−、−SO
2C
2H
4NR’’−、−O−、−S−、−NR’’−、−NR’’CO−、−CONR’’−、−NR’’CO
2−、−O
2CNR’’−、−NR’’CONR’’−、−N(COR’’)CO−、−CON(COR’’)−、−NR’’COCH(CH
2CO
2R’’)−およびそれからの環状イミド、−NR’’COCH
2CH(CO
2R’’)−およびそれからの環状イミド、−CH(CH
2CO
2R’’)CONR’’−およびそれからの環状イミド、−CH(CO
2R’’)CH
2CONR’’およびそれからの環状イミド(これらのフタルイミドおよびマレイミドを含めた)、スルホンアミド基(−SO
2NR’’−および−NR’’SO
2−基を含めた)、アリーレン基、アルキレン基などが含まれる。R’’は、同じでもまたは異なっていてもよく、水素、または有機基、例えば、置換もしくは非置換のアリール基もしくはアルキル基を表す。上記の構造によって示されているように、少なくとも2個のホスホン酸基およびその塩を含む基は、スペーサー基Spを介してYに結合している。一実施形態では、Spは、−CO
2−、−O
2C−、−O−、−NR’’CO−、または−CONR’’−、−SO
2NR’’−、−SO
2CH
2CH
2NR’’−、−SO
2CH
2CH
2O−、または−SO
2CH
2CH
2S−であり、式中、R’’は、HまたはC
1−C
6アルキル基である。
【0033】
さらに、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個の式−CR=C(PO
3H
2)
2を含む基、その部分エステルおよびその塩を含み得る。Rは、H、C
1−C
18飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは枝分かれしていないアルキル基、C
1−C
18飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは枝分かれしていないアシル基、アラルキル基、アルカリル基、またはアリール基でよい。一実施形態では、Rは、H、C
1−C
6アルキル基、またはアリール基である。
【0034】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、2個超のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩を含み得、例えば、複数のタイプの基(例えば、2種またはそれより多い)を含み得、ここで、各タイプの基は、少なくとも2個のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩を含む。例えば、少なくとも1個の有機基は、式−Y−[CQ(PO
3H
2)
2]
pを含む基、その部分エステルまたはその塩を含み得る。YおよびQは、上記の通りである。一実施形態では、Yは、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレン、アルカリーレンまたはアラルキレン基である。この式において、pは、1〜4であり、例えばpは2である。
【0035】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のビシナルビスホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩を含み得、これらの基が、互いに隣接していることを意味する。このように、少なくとも1個の有機基は、隣接するか、もしくは近傍の炭素原子に結合している2個のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩を含み得る。このような基はまた、1,2−ジホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩と称されることがある。2個のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩を含む基は、芳香族基またはアルキル基であり得、したがって、ビシナルビスホスホン酸基は、ビシナルアルキルまたはビシナルアリールジホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩であり得る。例えば、少なくとも1個の有機基は、式−C
6H
3−(PO
3H
2)
2を含む基、その部分エステルおよびその塩であり得、ここで、酸、エステルまたは塩基は、互いに対してオルト位にある。
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のホスホン酸基またはその塩、ならびにホスホン酸基およびその塩に対してビシナルまたはジェミナルである少なくとも1個の第2のイオン性基、イオン化可能基または塩基性基を含む。
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、−C(OH)(PO
3H
2)
2、−CH
2C(OH)(PO
3H
2)
2、−CH
2CH
2C(OH)(PO
3H
2)
2、−CH
2CH
2CH
2C(OH)(PO
3H
2)
2、−CH(PO
3H
2)
2、−CH
2CH(PO
3H
2)
2、その部分エステル、およびその塩から選択される。
【0036】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のOH基、例えば、少なくとも2個のOH基およびその塩を含む、少なくとも1個の複素環式基(例えば、ヘテロアリール基)を含む。複素環式基は、窒素含有ヘテロアリール基、例えば、ピリジニル基またはキノリニル基であり得、少なくとも1個の有機基は、ヒドロキシピリジニル基またはヒドロキシキノリニル基である。ヒドロキシ基は、ヘテロ原子に対して幾何学的に近く、例えば、ヘテロ原子に対してオルトであるように、ヘテロアリール基上に位置することができる。このような基は、塩の形態であり得る。例えば、少なくとも1個の有機基は、2−ヒドロキシピリジニル基または2−ヒドロキシ−キノリニル基、ならびに8−ヒドロキシ−キノリニル基およびその塩を含み得る。他の異性体または互変異性体はまた、当業者には公知である。一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、8−ヒドロキシ−キノリニル基を含む。さらに、少なくとも1個の有機基は、Yについて上記で記載したものを含めたさらなる有機基をさらに含み得る。例えば、電子吸引基、例えば、クロロ基またはニトロ基は、OH基のpKaを低下させるために含み得る。一実施形態では、有機基は、少なくとも1個のOH基およびその塩を含む少なくとも1個の複素環式基(例えば、ヘテロアリール基)を含み得る。
【0037】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基はまた、少なくとも2個のOH基を含む少なくとも1個のヘテロアリール基を含み得る。2個のOH基が存在するとき、OH基は、ヘテロアリール基上で互いに対してオルト位であってもよい。2個超のOH基が存在するとき、OH基の少なくとも2つは、ヘテロアリール基上で互いに対してオルト位である。例えば、少なくとも1個の有機基は、ジヒドロキシ−ピリジニル基、例えば、2,3−ジヒドロキシ−ピリジニル基(3−ヒドロキシ−2−ピリドニル(pyridonyl)基ともまた称することができる)、3,4−ジヒドロキシ−ピリジニル基(3−ヒドロキシ−4−ピリドニル(pyridonyl)基ともまた称することができる)、2,3−ジヒドロキシ−キノリニル基(3−ヒドロキシ−2−キノロニル基ともまた称することができる)、または3,4−ジヒドロキシ−キノリニル基(3−ヒドロキシ−4キノロニル基ともまた称することができる)であり得る。他の異性体および互変異性体はまた、当業者には公知である。
【0038】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩、ならびに少なくとも1個の第2のイオン性基、イオン化可能基または塩基性基を含む。第2の基は、ホスホン酸基またはその塩ではない。一実施形態では、第2のイオン性基またはイオン化可能基は、カルボン酸基、スルホン酸基またはその塩である。一実施形態では、塩基性基は、ルイス塩基、例えば、OH基(ヒドロキシル基)またはアミノ基である。一実施形態では、これらの2個の基は、互いに対してジェミナルであり、これによって、同じ炭素原子に直接結合していることを意味する。このように、例えば、第2のイオン性基またはイオン化可能基が、カルボン酸基またはその塩であるとき、少なくとも1個の有機基は、式−CQ(PO
3H
2)(CO
2H)を含む基およびその塩を含み得る。ジェミナル位に結合しているQは、上記で記載されているもののいずれかであり得る。一実施形態では、Qは、Hである。さらに、少なくとも1個の有機基は、式−(CH
2)
n−CQ(PO
3H
2)(CO
2H)を含む基およびその塩を含み得、式中、nは、0〜9、例えば、0〜3である。さらに、少なくとも1個の有機基は、式−Y−(CH
2)
n−CQ(PO
3H
2)(CO
2H)を含む基またはその塩を含み得、式中、Yは、上記の通りである。一実施形態では、Yは、アリーレン基である。また、少なくとも1個の有機基は、式−Y−Sp−(CH
2)
n−CQ(PO
3H
2)(CO
2H)を含む基またはその塩を含み得、式中、Y、およびスペーサー基であるSpは、上記の通りである。一実施形態では、Yは、アリーレン基である。
【0039】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のホスホン酸基、その部分エステルおよびその塩、ならびに少なくとも1個のヒドロキシ基またはその塩、例えば、式−Y−(PO
3H
2)(OH)を含む基およびその塩を含み得、式中、Yは、上記の通りである。一実施形態では、Yは、アリーレン基であり、ホスホン酸基およびヒドロキシ基は、互いに対してオルト位である。これらの基がジェミナルであるとき、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個の式−CR(PO
3H
2)(OH)を含む基および/またはその塩を含み得、式中、Rは、HまたはC
1−C
6アルキル基である。一実施形態では、Rは、Hである。また、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個の式−(CH
2)
n−CR(PO
3H
2)(OH)を含む基およびその塩を含み得、式中、nは、0〜9、例えば、0〜3である。さらに、少なくとも1個の有機基は、式−Y−(CH
2)
n−CR(PO
3H
2)(OH)を含む基およびその塩または−Y−Sp−(CH
2)
n−CR(PO
3H
2)(OH)およびその塩を含み得、式中、YおよびSpは、上記の通りである。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも3個のカルボン酸を含むアリールまたはアルキルポリ酸基を含む。一実施形態では、カルボン酸基の少なくとも2つは、ビシナルであり、これらが、隣接する原子(例えば、隣接する炭素原子)に結合していることを意味する。例えば、少なくとも1個の有機基は、少なくとも3個のカルボン酸を含むアリールポリ酸基、例えば、1,2,3−または1,2,4−トリカルボン酸(tricarboyxlic acid)、1,2,3,4−または1,2,4,5−テトラカルボン酸基である。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のカルボン酸基またはその塩を含むヘテロアリール基を含む。ヘテロアリール基は、当技術分野において公知のもののいずれかであり得る。一実施形態では、ヘテロアリール基は、窒素含有ヘテロアリール基、例えば、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、キノリニル基またはピラジニル基である。一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、2個のカルボン酸基およびその塩を含む。これらの酸基は、ヘテロアリール環上のどこかであり得る。一実施形態では、酸基は、互いに対してオルトまたはメタでよい。さらに、ヘテロアリール基が、少なくとも1個の窒素原子を含有するとき、2個の酸基は、両方とも窒素原子に隣接していて(すなわち、窒素原子に対してオルトで)よい。このように、例えば、ヘテロアリール基は、2,6−ピリジニル−ジカルボン酸基であり得る。
【0042】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、少なくとも1個のニトロソ基および少なくとも1個のOH基またはその塩を含む、アリール基を含む。2個の基は、アリール基上のどこかに位置し得る。一実施形態では、アリール基は、フェニル基であり、ニトロソ基およびOH基は、互いに対してオルト位である。アリール基は、どのような互変異性形態にそれがあるのかに関わらず、少なくとも1個の有機基のpKaを低下させることができる電子吸引基、例えば、クロロ基およびニトロ基を含めて、他の置換基、例えば、アルキル基、ハロゲン基、エーテル基などをさらに含み得る。例えば、少なくとも1個の有機基は、ニトロソフェノール基、例えば、式−C
6H
3(OH)(NO)を含む基または式−C
6H
2Z(OH)(NO)を含む基でよく、式中、Zは、電子吸引基、例えば、クロロまたはニトロである。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、アゾアレーン基を含む。例えば、少なくとも1個の有機基は、式Ar
1−N=N−Ar
2を含む基を含み得、式中、同じでももしくは異なっていてもよいAr
1およびAr
2は、アリーレン基、例えば、フェニレン基もしくはナフチレン基、またはアリール基、例えば、フェニル基もしくはナフチル基であり、Ar
1またはAr
2の少なくとも1つは、アリーレン基である。この実施形態について、アゾアレーン基は、少なくとも1個もしくは少なくとも2個のOH基、少なくとも1個もしくは少なくとも2個のNH
2基、または少なくとも1個のOH基および少なくとも1個のNH
2基を有する。このように、例えば、アゾアレーン基は、式−(HO)Ar
1−N=N−Ar
2(OH)(ビス−ヒドロキシアゾアレーン基)、−(H
2N)Ar
1−N=N−Ar
2(NH
2)(ビス−アミノアゾアレーン基)、または−(HO)Ar
1−N=N−Ar
2(NH
2)もしくは−(H
2N)Ar
1−N=N−Ar
2(OH)(アミノ−ヒドロキシアゾアレーン基)を有し得る。他の組合せがまた可能であり得る。一実施形態では、OHおよび/またはNH
2基は、アゾ基(N=N基)に対してオルト位に位置している。例えば、少なくとも1個の有機基は、構造−(HO)C
6H
3−N=N−C
6H
3(OH)を含む基であり得る。また、電子吸引基、例えば、クロロ基またはニトロ基は、アリールおよび/またはアリーレン基上に含み得る。例えば、少なくとも1個の有機基は、構造−(HO)C
6H
3−N=N−C
6H
3Z(OH)を含む基であり、式中、Zは、電子吸引基、例えば、クロロまたはニトロである。
【0044】
一実施形態では、第2のモノマーの少なくとも一部分は、式−A−N(R
3)(R
4)を含む少なくとも1個の有機基(または、所望のカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基を含有するポリマーについて、少なくとも1個の第2の有機基で官能化されている第2のモノマーの少なくとも第2の部分)で官能化されており、式中、R
3およびR
4は、H、C
1−C
10アルキル、C
4−C
18アリール、C
4−C
18ヘテロアリールおよびC
3−C
20ヘテロシクロアルキルから独立に選択され、Aは、C
1−C
10アルキレン、C
3−C
20シクロアルキレン、C
3−C
20ヘテロシクロアルキレン(ここで、シクロアルキレンの少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、アリーレン、ヘテロアリーレン(ここで、ヘテロアリーレンの少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、ならびにC
2−C
20エーテルから選択される。別の実施形態では、第2のモノマーの少なくとも一部分は、−CH
2CH
2−N(CH
3)
2、−CH
2CH
2CH
2−N(CH
3)
2、−CH(CH
3)CH
2−N(CH
3)
2、−CH
2CH
2CH
2CH
2−N(CH
3)
2、−CH
2CH
2−N(CH
2CH
3)
2、−CH
2CH
2CH
2−N(CH
2CH
3)
2、−CH
2CH
2CH
2CH
2−N(CH
2CH
3)
2、−CH
2CH
2−NHCH
2CH
2OH、−CH
2CH
2−N(CH
2CH
2OH)
2、および
【0045】
【化1】
から選択される式を含む少なくとも1個の有機基(または、所望のカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基を含有するポリマーについて、少なくとも1個の第2の有機基で官能化されている第2のモノマーの少なくとも第2の部分)で官能化されている。さらに別の実施形態では、第2のモノマーの少なくとも第2の部分は、式−A−N
+(R
3)(R
4)(R
5)を含む少なくとも1個の有機基(または、所望のカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基を含有するポリマーについて、少なくとも1個の第2の有機基で官能化されている第2のモノマーの少なくとも第2の部分)で官能化されており、式中、R
3、R
4およびR
5は、H、C
1−C
10アルキル、C
4−C
18アリール、C
4−C
18ヘテロアリールおよびC
3−C
20ヘテロシクロアルキルから独立に選択され、Aは、C
1−C
10アルキレン、C
3−C
20シクロアルキレン、C
3−C
20ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンおよびC
2−C
20エーテルから選択される。これらの実施形態のいずれかにおいて、少なくとも1個の有機基は、アミド連結、イミド連結およびエステル連結、例えば、アミド連結およびエステル連結を介して第2のモノマーのその部分に結合している。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、顔料を液体媒体(例えば、水性媒体)に分散させるポリマー分散剤として作用することができる。分散させることは、当技術分野において公知の方法、例えば、混合(例えば、高剪断ミキサーによる)、超音波処理、粉砕(例えば、媒体またはボールミルによる)などで行うことができる。一実施形態では、架橋は、架橋剤をポリマーにより分散される顔料に加えることによって行われる。
【0047】
一実施形態では、組成物は、顔料に吸着されているかまたは顔料をカプセル化している(例えば、ポリマーによってカプセル化されている顔料)少なくとも1種のポリマーを含む、ポリマーにより分散される顔料である顔料を含む。別の実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、第2のモノマーを介して架橋している。例えば、ポリマーによってカプセル化されている顔料は、少なくとも1種のポリマーが様々な架橋剤で架橋している、ポリマーにより分散される顔料を含むことができる。顔料は、本明細書に記載されている任意の顔料、例えば、修飾されていないか、そうでなければ未処理の顔料、または修飾されている(自己分散)顔料でよい。
【0048】
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、アミド、イミド、エステル、エーテルおよびチオエーテル連結から選択される少なくとも1個の連結(例えば、アミド、エステルおよびエーテル連結、またはアミドおよびエステル連結)を介して架橋している。例えば、架橋剤、例えば、2個もしくはそれより多いエポキシ、チオールおよびアミン基、ならびにこれらの混合物を含有する多官能性試薬(例えば、二官能性、三官能性など)を使用して、例えば、第2のモノマーのカルボキシレート含有基との反応において連結を形成することができる。一実施形態では、少なくとも2種の異なるポリマーの第2のモノマー(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドなどを含む)は、架橋剤と反応することができる。一実施形態では、架橋剤は、エポキシ含有化合物、例えば、ジ−またはトリ−エポキシをベースとする化合物、例えば、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルから選択され、例えば、エステル連結を含む架橋ポリマーが形成される。一実施形態では、エステル連結は、エポキシ含有化合物(例えば、ジ−およびトリ−グリシジルエーテル化合物、例えば、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)および第2のモノマーのカルボキシレート含有基の間の反応に由来する。別の実施形態では、架橋剤は、アミノエタンチオールから選択される。
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、第2のモノマーのカルボキシレート含有基、例えば、無水物、カルボン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミド、またはカルボン酸およびその塩を介して架橋している。一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、無水物、カルボン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドを含有する場合、加水分解して、カルボキシレート含有基(例えば、カルボン酸またはカルボキシレート)を生じさせることができ、これは架橋剤と反応することができる。架橋剤の添加の前にまたは同時に、加水分解を行って、カルボン酸またはカルボキシレートを生じさせることができる。
【0049】
別の実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、第2のモノマーのカルボキシレート含有基の少なくとも10%、例えば、第2のモノマーのカルボキシレート含有基の10%〜50%、10%〜40%、または10%〜30%を介して架橋している。一実施形態では、架橋の標的となるカルボキシレート含有基の数(「CO
2標的化%」)は、加えた架橋剤の量によって決定することができる。
一実施形態では、架橋されている少なくとも1種のポリマーは、325未満の酸価(「AN(xlink)」)を有する。一実施形態では、少なくとも1種のポリマーの酸価は、下記の等式によって、出発ポリマーの酸価(「AN(SP)」)および架橋の標的となるカルボキシレート含有の百分率(「CO
2標的化%」)に関する理論値として定義される。
AN(xlink)=AN(SP)−(CO
2標的化%)×AN(SP)
【0050】
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、300未満、275未満、250未満、または200未満の酸価AN(xlink)を有する。別の実施形態では、少なくとも1種のポリマーAN(xlink)は、50〜325の範囲の酸価、例えば、50〜300、50〜275、50〜250、50〜225、50〜200、75〜325、75〜300、75〜275、75〜250、75〜225、75〜200、90〜325、90〜300、90〜275、90〜250、90〜225、または90〜200の範囲の酸価を有する。
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、組成物中で、インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.1質量%〜25質量%、例えば、0.1質量%〜20質量%、0.2質量%〜25質量%、0.2質量%〜20質量%、0.5質量%〜25質量%、または0.5質量%〜20質量%の範囲の量で存在する。
【0051】
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、少なくとも1000、例えば、少なくとも2000または少なくとも3000(非架橋ポリマーについて)の質量平均分子量(M
w)を有する。別の実施形態では、M
wは、200,000と等しいかまたはこれ未満、例えば、150,000未満、100,000未満、または70,000未満である。一実施形態では、M
wは、1000〜200,000、例えば、1000〜150,000、1000〜100,000、1,000〜70,000、2000〜200,000、2000〜150,000、2000〜100,000、2000〜70,000、3000〜200,000、3000〜150,000、3000〜100,000、または3000〜70,000の範囲である。
一実施形態では、少なくとも1種のポリマー(例えば、第2のモノマーを介して架橋している少なくとも1種のポリマー)を含む組成物は、8〜11の範囲のpH、例えば、8.5〜11、8〜10.5、8.5〜10.5、8〜10、または8.5〜10の範囲のpHを有する。一実施形態では、組成物は、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の顔料および液体ビヒクル(例えば、水溶液または水)を含むか、これらから本質的になるか、これらからなる分散物(例えば、水性分散物)である。
【0052】
別の実施形態は、
(a)(i)エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される第2のモノマーとを含む少なくとも1種のポリマー、ならびに
(ii)アミノ基と、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基とを含む少なくとも1種の試薬
を合わせることと;
(b)ポリマーを形成することと
を含む、ポリマー(例えば、二価金属イオンを結合することができるポリマー、例えば、カルシウムおよび/またはマグネシウム結合ポリマー)を作製する方法を提供する。
一実施形態では、合わせることは、NH
4OH、NaOHおよびKOHから選択される少なくとも1種の塩基の存在下で行われる。一実施形態では、少なくとも1種の試薬は、第一級アミンから選択されるアミノ基を含む。
【0053】
別の実施形態は、
(a)(i)エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される第2のモノマーとを含む少なくとも1種のポリマーであり、ここで、エチレン性不飽和疎水性モノマーは、式CH
2=CR
1R
2を含み、式中、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリールおよびC
6−C
20アルカリルから独立に選択され、R
1およびR
2の炭素原子は、O、NおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられていてもよい、ポリマー、ならびに
(ii)エポキシ含有化合物から選択される少なくとも1種の架橋剤
を合わせることと;
(b)ポリマーを形成することと
を含む、ポリマーを作製する方法を提供する。
【0054】
一実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかはさらに、ポリマーと、例えば、エポキシ含有化合物、例えば、本明細書において開示されているジ−またはトリ−エポキシをベースとする化合物、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルから選択される少なくとも1種の架橋剤とを合わせることを含む。一実施形態では、方法は、ポリマーと、少なくとも1種の架橋剤およびホウ酸とを合わせることを含む。一実施形態では、エポキシ含有化合物から選択される少なくとも1種の架橋剤は、第2のモノマーのカルボキシレート含有基と反応する。
【0055】
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーと少なくとも1種の架橋剤とを合わせる前にまたは合わせるのと同時に、方法はさらに、少なくとも1種のポリマーを加水分解することを含む。加水分解は、当技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、水ならびに/または少なくとも1種の塩基、例えば、NH
4OH、NaOHおよびKOHから選択される少なくとも1種の塩基の添加によって行うことができる。一実施形態では、加水分解は、少なくとも1種の架橋剤と反応することができる第2のモノマーのカルボキシレート含有基(例えば、カルボン酸またはカルボキシレート基)を生じさせる。一実施形態では、架橋ポリマーの形成によって、組成物(例えば、ポリマーを含有する溶液)は、8〜11の範囲のpH、例えば、8.5〜11または8.5〜10.5の範囲のpHを有する。
【0056】
顔料
一実施形態では、インクジェットインク組成物は、無修飾でもまたは修飾されていてもよい少なくとも1種の顔料を含む。顔料は、一般に、微粒子の形態の、または微粒子へと容易に形成される形態、例えば圧縮ケーキの形態の、固体材料である。一実施形態では、修飾されている顔料は、少なくとも1個の部分、例えば、酸基(ならびに部分塩、部分エステル、その塩およびエステル)、ならびに有機基で、付着している。別の実施形態では、修飾されている顔料は、付着した部分をさらに含むことができる酸化顔料である。一実施形態では、修飾されている顔料は、顔料(自己分散顔料)を分散させるために外部の分散剤を必要としないような、自己分散性である。
【0057】
顔料が修飾されていない一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、分散剤としてさらに機能することができる。顔料が修飾されている一実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、添加物としてさらに機能することができる。いずれかの実施形態において、ポリマーは、1つまたは複数の印刷性能特性、例えば、O.D.、斑点および耐久性を改善させることができる。
【0058】
修飾されていない顔料は、当業者によって従来通り使用される任意のタイプの顔料、例えば、黒色顔料、および青色、黒色、茶色、シアン色、緑色、白色、スミレ色、マゼンタ色、赤色、オレンジ色または黄色顔料を含めた他の有色顔料でよい。異なる顔料の混合物をまた使用することができる。黒色顔料の代表例は、様々なカーボンブラック(ピグメントブラック7)、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ガスブラックおよびランプブラックを含み、例えば、Cabot Corporationから入手可能なRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Mogul(登録商標)、およびVulcan(登録商標)カーボンブラックとして販売されているカーボンブラックを含む(例えば、Black Pearls(登録商標)2000、Black Pearls(登録商標)1400、Black Pearls(登録商標)1300、Black Pearls(登録商標)1100、Black Pearls(登録商標)1000、Black Pearls(登録商標)900、Black Pearls(登録商標)880、Black Pearls(登録商標)800、Black Pearls(登録商標)700、Black Pearls(登録商標)570、Black Pearls(登録商標)L、Elftex(登録商標)8、Monarch(登録商標)1400、Monarch(登録商標)1300、Monarch(登録商標)1100、Monarch(登録商標)1000、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、Monarch(登録商標)700、Regal(登録商標)660、Mogul(登録商標)L、Regal(登録商標)330、Regal(登録商標)400、Vulcan(登録商標)P)。他の供給業者から入手可能なカーボンブラックを使用することができる。適切なクラスの有色顔料は、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン、キノロノキノロン、および(チオ)インジゴイドを含む。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、Sun Chemical Corporation、Clariant、およびDianippon Ink and Chemicals(DIC)を含めたいくつかのソースからの粉末またはプレスケーキ形態で市販されている。他の適切な有色顔料の例は、Colour Index, 3rd edition(The Society of Dyers and Colourists, 1982)に記載されている。一実施形態では、顔料は、シアン色顔料、例えば、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4もしくはピグメントブルー60、マゼンタ色顔料、例えば、ピグメントレッド122、ピグメントレッド177、ピグメントレッド185、ピグメントレッド202もしくはピグメントバイオレット19、黄色顔料、例えば、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185、ピグメントイエロー218、ピグメントイエロー220もしくはピグメントイエロー221、オレンジ色顔料、例えばピグメントオレンジ168、緑色顔料、例えば、ピグメントグリーン7もしくはピグメントグリーン36、または黒色顔料、例えばカーボンブラックである。
一実施形態では、顔料は、高構造カーボンブラック、例えば、下記の特性
OAN≧170mL/100g;および
0.7〜1の範囲のSTSA/BETの比
を有するカーボンブラックである。
【0059】
一実施形態では、STSA/BETの比は、0.8〜1、例えば、0.9〜1の範囲である。一実施形態では、カーボンブラックは、160〜220m
2/gの範囲のSTSAを有する。別の実施形態では、カーボンブラックは、少なくとも150m
2/g、例えば、少なくとも170m
2/g、少なくとも190m
2/g、190〜275m
2/gの範囲のBET表面積を有する。別の実施形態では、カーボンブラックは、少なくとも120mL/100gの圧縮OAN(COAN)、例えば、少なくとも130mL/100gのCOANを有する。OANおよびCOANは、ASTM−D2414によって決定することができる。表面積測定は、ASTM−D6556によって決定することができる。このようなカーボンブラックについてのさらなる詳細は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,388,300号に見出すことができる。
【0060】
一実施形態では、自己分散顔料は、酸化カーボンブラックである。一実施形態では、「酸化カーボンブラック」は、表面結合した1つまたは複数のイオン性基またはイオン化可能基、例えば、アルコール(フェノール、ナフトール)、ラクトン、カルボニル、カルボキシル(例えば、カルボン酸)、無水物、エーテルおよびキノンを特徴とする、pH<7.0を一般に有する炭素黒色顔料である。カーボンブラックの酸化の程度は、これらの基の表面濃度を決定することができる。一実施形態では、酸化カーボンブラックは、修飾されていないカーボンブラック、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ガスブラックおよびランプブラックから選択される顔料を酸化させることによって得られる。例示的な修飾されていないカーボンブラックは、Regal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Mogul(登録商標)、およびVulcan(登録商標)としてCabot Corporationから市販されているもの、例えば、Black Pearls(登録商標)1100、Black Pearls(登録商標)900、Black Pearls(登録商標)880、Black Pearls(登録商標)800、Black Pearls(登録商標)700、Black Pearls(登録商標)570、Elftex(登録商標)8、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、Monarch(登録商標)700、Regal(登録商標)660、およびRegal(登録商標)330を含む。カーボンブラックのための例示的な酸化剤は、酸素ガス、オゾン、過酸化物、例えば過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム、次亜ハロゲン酸塩、例えば次亜塩素酸ナトリウム、硝酸、および遷移金属含有酸化体、例えば過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、酸化クロム、硝酸セリウムアンモニウム、ならびにこれらの混合物(例えば、ガス状酸化体、例えば酸素およびオゾンの混合物)を含む。
【0061】
別の実施形態では、酸化カーボンブラック、例えば、Cabot Corporationから商業的に入手可能である、Black Pearls(登録商標)1400、Black Pearls(登録商標)1300、Black Pearls(登録商標)1000、Black Pearls(登録商標)L、Monarch(登録商標)1000、Mogul(登録商標)L、およびRegal(登録商標)400は、商業的ソースから得られる。
【0062】
一実施形態では、顔料は、少なくとも1個の有機基を付着しており、ここで、数時間(例えば、少なくとも4時間、6時間、8時間、12時間または24時間)のソックスレー抽出が付着した基を顔料から除去しないという点で、「付着されている」有機基は、吸着されている基と区別することができる。別の実施形態では、出発有機処理材料を溶解することができるが、処理された顔料を分散させることができない溶媒または溶媒混合物による繰り返しの洗浄の後で、有機基を除去することができない場合、有機基は顔料に付着している。さらに別の実施形態では、「付着されている」は、共有結合などの結合、例えば、求核試薬または有機基に結合または共有結合されている顔料を指す。
【0063】
一実施形態では、少なくとも1個の有機基は、脂肪族基、環状有機基、または脂肪族部分および環状部分を有する有機化合物、例えば、アリーレン、ヘテロアリーレンおよびアルキレンであり得る。一実施形態では、有機基は、一時的にでも、ジアゾニウム塩を形成することができる第一級アミンに由来するジアゾニウム塩を介して付着している。付着の他の方法を、下記で記載する。有機基は、置換または非置換でよく、分岐状でもまたは枝分かれしていなくてもよい。脂肪族基は、例えば、アルカン、アルケン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸および炭水化物に由来する基を含む。環状有機基には、これらに限定されないが、脂環式炭化水素基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、複素環式炭化水素基(例えば、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニルなど)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル)、ならびにヘテロアリール基(イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、インドリルおよびトリアゾリル、例えば、1,2,4−トリアゾリルおよび1,2,3−トリアゾリル)が含まれる。
【0064】
アリーレン、ヘテロアリーレンおよびアルキレンは、非置換でも、または置換されていてもよい。例示的なアリーレンは、フェニレン、ナフチレンおよびビフェニレンを含み、例示的なヘテロアリーレンは、1個または複数の酸素または窒素原子で置き換えられている環炭素を有する、フェニレン、ナフチレンおよびビフェニレンを含む。一実施形態では、アリーレンは、C
5−C
20アリーレンである。ヘテロアリーレンは、本明細書に定義されているようなアリーレンでよく、ここで、1個または複数の環炭素原子は、ヘテロ原子、例えば、N、OおよびSで置き換えられている。ヘテロ原子は、環原子であることに加えて、他の基に結合することができる。アルキレンは、分岐状であるか、または枝分かれしていなくてよい。アルキレンは、C
1−C
12アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレンであり得る。
【0065】
一実施形態では、少なくとも1個の付着されている有機基は、少なくとも1個のイオン性基、イオン化可能基、またはイオン性基およびイオン化可能基の混合物を含む。イオン性基は、アニオン性またはカチオン性でよく、無機または有機対イオン、例えば、Na
+、K
+、Li
+、NH
4+、NR’
4+、酢酸、NO
3-、SO
42-、R’SO
3-、R’OSO
3-、OH
-、またはCl
-を含めた反対電荷の対イオンと会合することができ、式中、R’は、水素または有機基、例えば、置換もしくは非置換のアリール基またはアルキル基を表す。イオン化可能基は、使用の媒体中でイオン性基を形成することができるものである。アニオン基は、アニオンを形成することができるイオン化可能な置換基を有する基(アニオン化可能基)、例えば、酸性置換基から生じさせることができる負電荷のイオン性基である。カチオン基は、カチオンを形成することができるイオン化可能な置換基(カチオン化可能基)、例えば、プロトン化アミンから生じさせることができる正電荷の有機イオン性基である。アニオン基の具体例は、−COO
-、−SO
3-、−OSO
3-、−HPO
3-;−OPO
32-、または−PO
32-を含み、アニオン化可能基の具体例は、−COOH、−SO
3H、−PO
3H
2、−R’SH、または−R’OHを含むことができ、式中、R’は、水素または有機基、例えば、置換もしくは非置換のアリール基もしくアルキル基を表す。また、カチオン性またはカチオン化可能基の具体例は、酸性媒体中でプロトン化され、アンモニウム基−NR’
2H
+を形成することができるアルキルまたはアリールアミンを含み、式中、R’は、有機基、例えば、置換または非置換のアリール基またはアルキル基を表す。有機イオン性基は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,698,016号に記載されているものを含む。
【0066】
例えば、付着されている基は、有機基、例えば、ベンゼンカルボン酸基(−C
6H
4−COOH基)、ベンゼンジカルボン酸基、ベンゼントリカルボン酸基、ベンゼンスルホン酸基(−C
6H
4−SO
3H基)、またはその塩であり得る。一実施形態では、顔料表面上へとイオン性基またはイオン化可能基を導入する表面修飾、例えば、塩素化およびスルホニル化をまた使用し得る。
【0067】
一実施形態では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO2007/053564号に記載されているそれらの有機基、本明細書に記載のようにカルシウムを結合することができる基を含めて、顔料に付着している少なくとも1個の有機基は、カルシウム(例えば、明確なカルシウム指数値を有する)を結合することができる。例えば、有機基は、少なくとも1個のジェミナルビスホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩、例えば、式−CQ(PO
3H
2)
2を有する基、その部分エステルまたはその塩を含み、式中、Qは、ジェミナル位に結合しており、H、R、OR、SRまたはNR
2であり得、式中、R’’は、同じでもまたは異なっていてもよく、上記のように定義されるか、あるいはH、C
1−C
18飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは枝分かれしていないアルキル基、C
1−C
18飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは枝分かれしていないアシル基、アラルキル基、アルカリル基、またはアリール基でよい。さらに、それらの開示が参照により本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,672,198号、同第5,922,118号、同第6,042,643号、および同第6,641,656号は、ホスホン酸基を含めた様々な付着されている基を有する修飾されている顔料を開示している。
【0068】
一実施形態では、顔料(カーボンブラックまたは有色顔料)は、例えば、それらの開示が参照により本明細書中に組み込まれる下記の特許:米国特許第5,554,739号;同第5,630,868号;同第5,672,198号;同第5,707,432号;同第5,851,280号;同第5,885,335号;同第5,895,522号;同第5,900,029号;同第5,922,118号;同第6,042,643号;同第6,506,245号;同第6,534,569号;同第6,641,653号、同第7,223,302号、同第6,398,858号および同第6,494,943号(高剪断条件)、同第6,372,820号;同第6,368,239号;同第6,350,519号;同第6,337,358号;同第6,103,380号;同第7,173,078号;同第7,056,962号;同第6,942,724号;同第6,929,889号;同第6,911,073号;同第6,478,863号;同第6,472,471号;WO2011/143533;および同第8,858,695号において詳述されるように、ジアゾニウム処理によって少なくとも1個の有機基で修飾されている。一実施形態では、付着は、ジアゾニウム反応を介して実現され、ここで、少なくとも1個の有機基は、ジアゾニウム塩置換基を有する。別の実施形態では、直接の付着は、例えば、それらの開示が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,068,688号;同第6,337,358号;同第6,368,239号;同第6,551,393号;同第6,852,158号に記載されている、少なくとも1個のラジカルと少なくとも1個の粒子との反応を利用する、ジアゾニウムおよび安定的なフリーラジカル方法を使用することによって形成することができ、ここで、ラジカルは、ラジカル捕捉などを可能とする1個もしくは複数の粒子の存在下で、少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種のオルガノハライド化合物との相互作用から生じる。さらに別の実施形態では、顔料(カーボンブラックまたは有色顔料)は、それらの開示が参照により本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,837,045号、同第6,660,075号およびWO2009/048564号(少なくとも1個の置換基によって活性化されるC−−C二重結合または三重結合を含有する有機化合物との反応)または米国特許出願公開第2004/0171725号、米国特許第6,664,312号、同第6,831,194号(無水成分との反応)、同第6,936,097号、米国特許出願公開第2001/0036994号、同第2003/0101901号(−N=N−N−基を有する有機基との反応)、カナダ特許第2,351,162号、欧州特許第1394221号、および国際公開第WO01/51566号(少なくとも1種の求電子試薬および少なくとも1種の求核試薬の間の反応)、WO04/63289、WO2010/141071(H2N−A−Yとの反応、式中、Aは、ヘテロ原子である)、ならびにWO99/23174の方法を使用することによって修飾(例えば、有機基を付着させる)することができる。
【0069】
一実施形態では、分散物を配合して、インクジェットインク組成物中の最終量が、インクジェットインクの性能に悪影響を及ぼすことなく、所望の画質(例えば、光学密度)を実現するのに有効であるように、ある量の顔料を提供することができる。一実施形態では、着色剤(例えば、顔料)は、組成物の総質量に対して、1質量%〜15質量%、例えば、1質量%〜10質量%の範囲の量で、組成物の総質量に対して、例えば、2質量%〜10質量%、3質量%〜10質量%、2質量%〜7質量%、または3質量%〜7質量%の範囲の量で存在する。
【0070】
分散物およびインクジェットインク組成物
一実施形態では、組成物は、液体ビヒクルを含む。一実施形態では、液体ビヒクルは、水性である。一実施形態では、組成物は、顔料を含み、分散物、例えば、インクジェットインク組成物などの水性分散物がもたらされる。一実施形態では、組成物、分散物またはインクジェットインク組成物は、少なくとも40%の水(水溶液)、例えば、少なくとも45%の水または少なくとも50%の水を含む液体ビヒクルを含む。
【0071】
一実施形態では、組成物、分散物またはインクジェットインク組成物は、インクジェットインク組成物の総質量に対して1%〜50%の範囲の量で存在する、または本明細書に開示されているように他の量で存在する、少なくとも1種の有機溶媒を含む。少なくとも40%の水(または少なくとも45%の水または少なくとも50%の水)に加えて、少なくとも1種の有機溶媒が存在することができる。一実施形態では、有機溶媒は、水に可溶性または混和性である。別の実施形態では、有機溶媒は、水性加水分解条件(例えば、エステルおよびラクトンの加水分解を含めた、熱老化条件下での水との反応)に対して化学的に安定である。一実施形態では、有機溶媒は、水の比誘電率未満の比誘電率、例えば、20℃にて約10〜約78の範囲の比誘電率を有する。適切な有機溶媒の例は、低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびテトラエチレングリコールモノブチルエーテル);アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびtert−ブチルアルコール、2−プロピン−1−オール(プロパルギルアルコール)、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブチン−2−オール、ならびにシクロプロパノール);約2〜約40個の炭素原子を含有するジオール(例えば、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、およびポリ(エチレン−co−プロピレン)グリコール、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含めたアルキレンオキシドとのこれらの反応生成物);約3〜約40個の炭素原子を含有するトリオール(例えば、グリセリン(グリセロール)、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなど、ならびにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを含めたアルキレンオキシドとのこれらの反応生成物、ならびにこれらの混合物);ポリオール(例えば、ペンタエリスリトール);アミド(例えば、ジメチルホルムアルデヒドおよびジメチルアセトアミド);ケトンまたはケトアルコール(例えば、アセトンおよびジアセトンアルコール);エーテル(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサン);ラクタム(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびε−カプロラクタム);尿素または尿素誘導体(例えば、ジ−(2−ヒドロキシエチル)−5,5,−ジメチルヒダントイン(dantacol)および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン);分子内塩(例えば、ベタイン);ならびにヒドロキシアミド誘導体(例えば、アセチルエタノールアミン、アセチルプロパノールアミン、プロピルカルボキシエタノールアミンおよびプロピルカルボキシプロパノールアミン、ならびにアルキレンオキシドとのこれらの反応生成物)を含む。さらなる例は、サッカライド(例えば、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトンおよびマルトース);約2〜約40個の炭素原子を含有するスルホキシド誘導体(対称および非対称)(例えば、ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシドおよびアルキルフェニルスルホキシド);ならびに約2〜約40個の炭素原子を含有するスルホン誘導体(対称および非対称)(例えば、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホン、環状スルホン)、ジアルキルスルホン、アルキルフェニルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、メチルスルホラン、およびジメチルスルホラン)を含む。有機溶媒は、有機溶媒の混合物を含むことができる。
【0072】
溶媒の量は、溶媒の特性(溶解性および/または比誘電率)、着色剤のタイプ、ならびに得られるインクジェットインク組成物の所望の性能を含めた種々の要因によって変化させることができる。溶媒は、インクジェットインク組成物の全質量に対して、1%〜30%の範囲の量、または1%〜20%の範囲の量を含めて、1質量%〜40質量%の範囲の量で使用し得る。別の実施形態では、水性分散物またはインクジェットインク組成物の全質量に対して、溶媒の量は、約5%と等しいかまたはそれより多い、および約10質量%と等しいかまたはそれより多いことを含めて、約2質量%と等しいかまたはそれより多い。
【0073】
一実施形態では、インク組成物(例えば、インクジェットインク組成物)は、例えば、顔料が自己分散性ではないとき、少なくとも1種の界面活性剤を含む。少なくとも1種の界面活性剤は、組成物のコロイド安定性を増進させるか、または印刷基材、例えば印画紙との、もしくはインク印刷ヘッドとのインクの相互作用を変化させることができる。様々なアニオン性、カチオン性および非イオン性分散化剤は、本発明のインク組成物と併せて使用することができ、これらは無溶媒でまたは水溶液として使用し得る。一実施形態では、界面活性剤は、インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.05質量%〜5質量%の範囲の量で、例えば、0.1質量%〜5質量%、または0.5質量%〜2質量%の範囲の量で存在する。
【0074】
アニオン性分散剤または界面活性剤の代表例には、これらに限定されないが、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキル−スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(Na、K、Li、Caなど)、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸およびアミノ酸の間の縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフテン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アクリルメチルタウリン、アルキルエーテルスルホン酸塩、第二級高級アルコールエトキシ硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリシル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸塩およびアルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩およびビスホスホン酸塩、水酸化またはアミノ化誘導体が含まれる。例えば、スチレンスルホン酸塩、非置換および置換ナフタレンスルホン酸塩(例えば、アルキルまたはアルコキシ置換ナフタレン誘導体)、アルデヒド誘導体(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒドなどを含めた非置換アルキルアルデヒド誘導体)、マレイン酸塩、ならびにこれらの混合物のポリマーおよびコポリマーは、アニオン性分散助剤として使用し得る。塩は、例えば、Na
+、Li
+、K
+、Cs
+、Rb
+、ならびに置換および非置換アンモニウムカチオンを含む。カチオン性界面活性剤の代表例は、脂肪族アミン、第四級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などを含む。
【0075】
本発明のインクジェットインク中で使用することができる非イオン性分散剤または界面活性剤の代表例は、フッ素誘導体、シリコーン誘導体、アクリル酸コポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン第二級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンスチロールエーテル、エトキシ化アセチレンジオール、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物のエチレンオキシド誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル、ポリエチレンオキシド縮合型のエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドおよびポリオキシエチレンアルキルアミンオキシドを含む。例えば、エトキシ化モノアルキルまたはジアルキルフェノールを使用し得る。これらの非イオン性界面活性剤または分散剤は、単独でまたは上記のアニオン性およびカチオン性分散剤と組み合わせて使用することができる。
【0076】
一実施形態では、インクジェットインク組成物は、第1のポリマーとして本明細書において開示されているポリマーを含み、かつポリマー分散剤、例えば、天然ポリマーまたは合成ポリマー分散剤である第2のポリマーをさらに含む。天然ポリマー分散剤の具体例は、タンパク質、例えば、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびアルブミン;天然ゴム、例えば、アラビアゴムおよびトラガカントガム;グルコシド、例えば、サポニン;アルギン酸、およびアルギン酸誘導体、例えば、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸トリエタノールアミンおよびアルギン酸アンモニウム;ならびにセルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびエチルヒドロキシセルロースを含む。合成ポリマー分散剤を含めたポリマー分散剤の具体例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂またはメタクリル樹脂(「(メタ)アクリル」と記載されることが多い)、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、アクリル酸−(メタ)アクリロニトリルコポリマー、カリウム(メタ)アクリレート−(メタ)アクリロニトリルコポリマー、酢酸ビニル−(メタ)アクリレートエステルコポリマーおよび(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー;スチレン−アクリル樹脂またはメタクリル樹脂、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー;ビニルナフタレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマー;ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー;ならびに酢酸ビニルコポリマー、例えば、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレンコポリマー、酢酸ビニル−マレイン酸エステルコポリマー、酢酸ビニル−クロトン酸コポリマーおよび酢酸ビニル−アクリル酸コポリマー;ならびにその塩を含む。
【0077】
一実施形態では、インクジェットインク組成物は、1〜25cPの範囲の粘度を有する。粘度は、種々の方法によって調節することができることが理解される。一実施形態では、ポリマーバインダーは、本明細書において開示されているインクジェットインク組成物と併せて使用して、組成物の粘度を調節し、かつ/または他の望ましい特性、例えば、耐久性(例えば、少なくとも1種の耐久性ポリマー)を提供することができる。適切なポリマーバインダーには、これらに限定されないが、水溶性ポリマーおよびコポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリビニルアルコール(DuPontからのElvanol(登録商標)ポリビニルアルコール、Sekisui Specialty ChemicalsからのSelvol(商標))、ヒドロキシプロピレンセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリジノン(例えば、BASFからのLuvitec(登録商標)ポリビニルピロリジノンおよびKollidon(登録商標)ポリビニルピロリジノン)、ポリビニルエーテル、デンプン、多糖、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドで誘導体化されているかまたは誘導体化されていないポリエチレンイミン;Jeffamine(登録商標)ポリエーテルアミン(Huntsman)などが含まれる。水溶性ポリマー化合物のさらなる例は、例えば、スチレン−アクリル酸コポリマー(例えば、BASFからのJoncryl(登録商標)樹脂)、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルターポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー(例えば、BASFからのJoncryl(登録商標)樹脂)、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルターポリマー、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルターポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、アルギン酸、ポリアクリル酸、またはこれらの塩およびこれらの誘導体を含めた、上記の様々な分散剤または界面活性剤を含む。さらに、バインダーは、分散物またはラテックス形態中に加えるかまたは存在してもよい。例えば、ポリマーバインダーは、アクリレートもしくはメタクリレートコポリマーのラテックス(例えば、Koninklijke DSM N.V.からのNeoCryl(登録商標)樹脂、Alberdingk−BoleyからのACおよびASポリマー)であり得るか、または水分散性ポリウレタン(例えば、Alberdingk−BoleyからのABUポリマー)もしくはポリエステル(例えば、Eastman ChemicalからのEastman AQ(商標)ポリマー)であり得る。ポリマー、例えば、上記で列挙したもの、およびバリエーション、およびインクジェットインクにおけるバインダーのために使用することができる関連する材料は、Lyondell Chemical CompanyからのEthacryl(登録商標)分散剤、BASFからのJoncryl(登録商標)樹脂、Koninklijke DSM N.V.からのNeoCryl(登録商標)樹脂、ならびにAlberdingk−BoleyからのACおよびASポリマー中に含まれる。
【0078】
一実施形態では、ポリマーバインダーは、ポリウレタンから選択される。例示的なポリウレタンは、少なくとも1個のポリエーテルおよび少なくとも1個のジイソシアネートを含むものを含む。一実施形態では、少なくとも1個のポリエーテルは、式(I):
−O−R
1−O−(I)
を含むモノマーを含み、式中、R
1は、置換されていても、または置換されていなくてもよく、C
1−C
10アルキレン、C
3−C
20シクロアルキレン、C
3−C
20ヘテロシクロアルキレン(少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、C
5−C
20アリーレン、C
3−C
20ヘテロアリーレン(少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、C
6−C
20アルキルアリーレン、ポリエーテル部分、ならびにこれらの組合せから選択される。一実施形態では、R
1は、置換されていない。一実施形態では、R
1は、C
1−C
10アルキルおよびC
5−C
20アリール基から選択される少なくとも1個の置換基で置換されている。一実施形態では、R
1は、ポリエーテル部分、例えば、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、ポリテトラメチレンオキシド部分およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、少なくとも1個のポリエーテルは、例えば、ジオールモノマーの重合によって、ジオールモノマーから形成される。例示的なジオールモノマーは、C
1−C
10アルキレンジオール、例えば、プロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチルプロピルジオールを含む。別の実施形態では、ジオールモノマーは、式(I)のモノマーを含み、例えば、ジオールモノマーは、C
1−C
10ポリアルキレングリコール(glyocol)、ポリエーテルグリコール、または式(I)と一致する任意の他のジオールである。一実施形態では、少なくとも1個のポリエーテルは、ポリプロピレングリコール、例えば、400g/mol〜6000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリプロピレングリコールである。一実施形態では、少なくとも1個のポリエーテルは、ポリウレタンに対して30質量%〜95質量%の範囲の量で存在する。
【0079】
一実施形態では、少なくとも1個のジイソシアネートは、式(II):
OCN−R
2−NCO(II)
を有し、式中、R
2は、置換されていても、または置換されていなくてもよく、C
1−C
10アルキレン、C
3−C
20シクロアルキレン、C
3−C
20ヘテロシクロアルキレン(少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、C
5−C
20アリーレン、C
3−C
20ヘテロアリーレン(少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、R
2は、置換されていない。一実施形態では、R
2は、C
1−C
10アルキルおよびC
5−C
20アリール基から選択される少なくとも1個の置換基で置換されている。例えば、R
2は、メチルで置換されていてもよいヘキサメチレンもしくはフェニレン、またはメチルで置換されていてもよいシクロへキシレン、
【0081】
一実施形態では、少なくとも1個のジイソシアネートは、ジイソシアン酸トルエン、例えば、トルエン2,4−ジイソシアネート(2,4−TDI)およびトルエン2,6−ジイソシアネート(2,6−TDI)、ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’−MDI)、2,2’−メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’−MDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルジイソシアネート)(HDMI)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、ならびにジイソシアン酸イソホロン(IPDI)から選択される。一実施形態では、ジイソシアネートは、ジイソシアン酸トルエン(例えば、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、少なくとも1個のジイソシアネートは、ポリウレタンに対して3質量%〜50質量%の範囲の量で存在する。
【0082】
一実施形態では、少なくとも1個のポリエーテルおよび少なくとも1個のジイソシアネートに加えて、少なくとも1個のポリウレタンはさらに、少なくとも1個の親水基を含有するモノマーを含む。一実施形態では、少なくとも1個の親水基を含有するモノマーは、式(III):
−O−R
3−O−(III)
を有し、式中、R
3は、C
1−C
10アルキレン、C
3−C
20シクロアルキレン、C
3−C
20ヘテロシクロアルキレン(少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、C
5−C
20アリーレン、C
3−C
20ヘテロアリーレン(少なくとも1個の環原子は、O、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)、C
6−C
20アルキルアリーレンから選択される、置換されていてもまたは置換されていなくてもよい部分に結合している、少なくとも1個の親水基を含む。一実施形態では、「親水基」は、水と水素結合することができる。一実施形態では、少なくとも1個の親水基は、ヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、ならびにその塩およびエーテルから選択される。一実施形態では、少なくとも1個の親水基は、カルボン酸、ならびにその塩およびエーテルから選択される。一実施形態では、R
3部分は、置換されていない。別の実施形態では、R
3部分は、C
1−C
10アルキルおよびC
5−C
20アリール基から選択される少なくとも1個の置換基で置換されている。式(III)の1つの例示的なモノマーは、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。
【0083】
一実施形態では、ポリウレタン中の少なくとも1個のジイソシアネートおよびポリオールまたはジオールをベースとするモノマーの間のモル比は、0.5:1〜3:1の範囲である。別の実施形態では、少なくとも1個のポリウレタンは、全てのジオールモノマー、例えば、少なくとも1個のポリエーテル単独、または存在する場合、少なくとも1個のポリエーテル、および少なくとも1個の親水基を含有するモノマーの合計からの、イソシアネート基のモル量/ヒドロキシル基のモル量の比であるNCO/OH比によって特性決定される。一実施形態では、NCO/OH比は、0.85〜1.15、例えば、0.85〜1.1、0.9〜1.15、または0.9〜1.1の範囲である。
【0084】
一実施形態では、少なくとも1個のポリウレタンは、少なくとも1個の親水基、例えばカルボン酸基、または本明細書において開示されている任意の親水基を含有する、モノマーの量に対応する酸価を有する。例えば、少なくとも1個のポリウレタンの酸価(AN(PU))は、下記の等式から計算することができる:
AN(PU)=(親水基を含有するモノマーのmol数×56.1mgKOH×1000)/モノマーの総質量(g)
一実施形態では、少なくとも1個のポリウレタンは、10〜100mgKOH/gポリウレタン、例えば、10〜80、10〜70、10〜60、10〜50、10〜40、10〜35、15〜100、15〜80、15〜70、15〜60、15〜50、15〜40、15〜35、20〜100、20〜80、20〜70、20〜60、20〜50、20〜40の範囲の、または20〜35mgKOH/gポリウレタンの範囲の酸価を有する。
【0085】
一実施形態では、インクジェットインクはさらに、少なくとも80のヒドロキシル価を有する少なくとも1種の水溶性化合物を含み、ここで、少なくとも1種の水溶性化合物は、エトキシ化C
3−C
20ポリオール、例えば、エトキシ化トリオール、エトキシ化テトラオール、エトキシ化ペンタオール、およびエトキシ化ヘキサノール(hexaols)から選択される。一実施形態では、エトキシ化C
3−C
20ポリオールは、エトキシ化グリセロール、エトキシ化ペンタエリスリトール、エトキシ化トリメチロールプロパン、エトキシ化グルコシド、およびエトキシ化グルコースから選択される。別の実施形態では、少なくとも1種の水溶性化合物は、3個またはそれより多いヒドロキシル基を含むポリオール(例えば、キシリトールおよびソルビトール)、およびポリエーテルポリオールから選択される。少なくとも1種の水溶性化合物は、インクジェットインク組成物の総質量に対して1質量%〜60質量%の範囲の量で存在することができる。
【0086】
インクジェットインク組成物の粘度を調節する例示的なレオロジー的添加物には、これらに限定されないが、アルカリ膨潤可能エマルジョン(例えば、BASFからのRheovis(登録商標)ASレオロジー制御添加物)、疎水的に修飾されたアルカリ膨潤可能エマルジョン(例えば、BASFからのRheovis(登録商標)HSレオロジー制御添加物)、疎水的に修飾されたポリウレタン(例えば、BASFからのRheovis(登録商標)PUレオロジー制御添加物)、および疎水的に修飾されたポリエーテル(例えば、BASFからのRheovis(登録商標)PEレオロジー制御添加物)が含まれる。
一実施形態では、インクジェットインク組成物は、カラーバランスを修飾し、かつ光学密度を調節する染料をさらに含み得る。例示的な染料は、食用色素、FD&C染料、酸性染料、直接染料、反応性染料、銅フタロシアニン誘導体を含めたフタロシアニンスルホン酸の誘導体、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩を含む。
【0087】
一実施形態では、インクジェットインク組成物は、本明細書に開示されているようなポリマー分散剤およびポリマーバインダーから選択される1種もしくは複数のポリマーを、組成物の総質量に対して0.1質量%〜20質量%の範囲の量で、例えば、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜10質量%、0.1質量%〜5質量%、0.2質量%〜20質量%、0.2質量%〜10質量%、0.2質量%〜5質量%、0.5質量%〜20質量%、0.5質量%〜10質量%、または0.5質量%〜5質量%の範囲の量で含む。
【0088】
一実施形態では、界面活性剤に加えて、インクジェットインク組成物は、組成物の安定性を維持する一方で、いくつかの所望の特性を与える1種または複数の適切な添加物をさらに含むことができる。他の添加物は当技術分野で周知であり、保湿剤、殺生物剤および殺真菌剤、pH制御剤、乾燥促進剤、浸透剤などを含む。特定の添加物の量は、種々の要因によって変化するが、一般に、インクジェットインク組成物の質量に基づいて0.01%〜40%の範囲の量で存在する。一実施形態では、少なくとも1種の添加物は、インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.05質量%〜5質量%の範囲の量で、例えば、0.1質量%〜5質量%の範囲の量で、または0.5質量%〜2質量%の範囲の量で存在する。
【0089】
少なくとも1種の有機溶媒以外の保湿剤および水溶性有機化合物もまた、例えば、ノズルの目詰まりを防止する目的のために、ならびに紙の浸透(浸透剤)、改善された乾燥(乾燥促進剤)およびしわ防止特性を実現するために、本発明のインクジェットインク組成物に加え得る。一実施形態では、保湿剤および/または水溶性化合物は、0.1%〜50%の範囲の量で、例えば、1%〜50%、0.1%〜30%、1%〜30%、0.1%〜10%、または1%〜10%の範囲の量で存在する。
【0090】
使用し得る保湿剤および他の水溶性化合物の具体例は、低分子量グリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびジプロピレングリコール;約2〜約40個の炭素原子を含有するジオール、例えば、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリ(エチレン−co−プロピレン)グリコールなど、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含めたアルキレンオキシドとのこれらの反応生成物;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどを含めた約3〜約40個の炭素原子を含有するトリオール誘導体、ならびにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを含めたアルキレンオキシドとのこれらの反応生成物、ならびにこれらの混合物;ネオペンチルグリコール、(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)など、ならびに広範囲の分子量を有する材料を形成するのに任意の望ましいモル比の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含めたアルキレンオキシドとのこれらの反応生成物;チオジグリコール;ペンタエリスリトールおよび低級アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびtert−ブチルアルコール、2−プロピン−1−オール(プロパルギルアルコール)、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブチン−2−オール、ならびにシクロプロパノール;アミド、例えば、ジメチルホルムアルデヒドおよびジメチルアセトアミド;ケトンまたはケトアルコール、例えば、アセトンおよびジアセトンアルコール;エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサン;セロソルブ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはモノエチル)エーテル;カルビトール、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテル;ラクタム、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびε−カプロラクタム;尿素および尿素誘導体;分子内塩、例えばベタインなど;1−ブタンチオールを含めた上記の材料のチオ(硫黄)誘導体;t−ブタンチオール1−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール;2−メチル−2−プロパンチオール;チオシクロプロパノール、チオエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリチオ−またはジチオ−ジエチレングリコールなど;アセチルエタノールアミン、アセチルプロパノールアミン、プロピルカルボキシエタノールアミン、プロピルカルボキシプロパノールアミンなどを含めたヒドロキシアミド誘導体;アルキレンオキシドとの上記の材料の反応生成物;ならびにこれらの混合物を含む。さらなる例は、サッカライド、例えば、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトンおよびマルトース;多価アルコール、例えば、トリメチロールプロパンおよびトリメチロールエタン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;ジアルキルスルフィド(対称および非対称スルホキシド)、例えば、ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、アルキルフェニルスルホキシドなどを含めた、約2〜約40個の炭素原子を含有するスルホキシド誘導体;ならびに約2〜約40個の炭素原子を含有するスルホン誘導体(対称および非対称スルホン)、例えば、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホン、環状スルホン)、ジアルキルスルホン、アルキルフェニルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、メチルスルホラン、ジメチルスルホランなどを含む。このような材料は、単独でまたは組み合わせて使用し得る。
【0091】
殺生物剤および/または殺真菌剤はまた、本明細書において開示されている水性分散物またはインクジェットインク組成物へと加え得る。細菌はインクノズルより大きいことが多く、目詰まりおよび他の印刷の問題をもたらし得るため、殺生物剤は細菌成長を防止することにおいて重要である。有用な殺生物剤の例には、これらに限定されないが、安息香酸塩またはソルビン酸塩、およびイソチアゾリノンが含まれる。一実施形態では、殺生物剤および/または殺真菌剤は、組成物の総質量に対して、0.05質量%〜5質量%、0.05質量%〜2質量%、0.1質量%〜5質量%、または0.1質量%〜2質量%の範囲の量で存在する。
【0092】
一実施形態は、少なくとも1種の顔料、液体ビヒクル、ならびに第1のモノマーと、本明細書に記載のような無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸およびその塩から選択される)第2のモノマーとを含む少なくとも1種のポリマーを含む組成物を提供する。第1のモノマーは、式CH
2=CR
1R
2を含むエチレン性不飽和疎水性モノマーから選択することができ、式中、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリール、C
6−C
20アラルキルおよびC
6−C
20アルカリルから独立に選択され、R
1およびR
2の炭素原子は、O、NおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えられていてもよい(例えば、R
1およびR
2は、H、C
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリール、C
6−C
20アラルキル、およびC
6−C
20アルカリルまたはH、C
1−C
12アルキル、C
5−C
20アリールから独立に選択される)。一実施形態では、第1のモノマーは、スチレンである。第2のモノマーの少なくとも一部分は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化することができる。これに加えてまたは代えて、少なくとも1種のポリマーは、第2のモノマーを介して、例えば、第2のモノマーのカルボキシレート含有基を介して架橋されている。一実施形態では、ポリマーは、エステル連結から選択される少なくとも1個の連結を介して架橋されており、ここで、エステル連結は、エポキシ含有化合物(例えば、ジ−およびトリ−グリシジルエーテル化合物、例えばトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)と第2のモノマーのカルボキシレート含有基との間の反応に由来することができる。一実施形態では、組成物は、少なくとも1種の(架橋)ポリマー、少なくとも1種の顔料、および液体ビヒクル(例えば、水)から本質的になる。一実施形態では、組成物(例えば、水性分散物)は、8〜11の範囲のpHを有する。一実施形態では、組成物(例えば、水性分散物)は、50〜300の範囲の酸価を有する。
【実施例】
【0093】
定義
NaAL=アレンドロネートナトリウム。
NaOH=水酸化ナトリウム。
SMA2000=概ね2:1のモル比のスチレンおよび無水マレイン酸を有する低分子量スチレン−無水マレイン酸コポリマー(Total Petrochemicals & Refining USA,Inc.からのSMA(登録商標)2000ポリマー)。
SMA3000=概ね3:1のモル比のスチレンおよび無水マレイン酸を有する低分子量スチレン−無水マレイン酸コポリマー(Total Petrochemicals & Refining USA,Inc.からのSMA(登録商標)3000ポリマー)
SMA EF40=概ね4:1のモル比のスチレンおよび無水マレイン酸を有する低分子量スチレン−無水マレイン酸コポリマー(Total Petrochemicals & Refining USA,Inc.からのSMA(登録商標)EF40ポリマー)。
Joncryl683=スチレン−アクリル樹脂(BASFからのJoncryl(登録商標)683樹脂)。
酸性イオン交換樹脂=Purolite(登録商標)C107Eイオン交換樹脂(Puroliteから)。
TMPTGE=Sigma Aldrichからのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル。
SURFYNOL465=SURFYNOL(登録商標)465界面活性剤、Air Productsからの非イオン性界面活性剤。
TEGMBE=トリエチレングリコールモノブチルエーテル。
XIRAN(登録商標)SZ25010樹脂は、Polyscope Polymers,BVからの25%無水マレイン酸含量を有する低分子量スチレン−無水マレイン酸コポリマーである。
XIRAN(登録商標)SZ15010樹脂は、Polyscope Polymers,BVからの15%無水マレイン酸含量を有する低分子量スチレン−無水マレイン酸コポリマーである。
DMAPA=3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン。
【0094】
ポリマーの例
ポリマーA〜ポリマーDの例は、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸から選択される第2のモノマーとを含むポリマーの合成について記載しており、ここで、第2のモノマーの一部分は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されている。ポリマーEおよびポリマーGの例は、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸から選択される第2のモノマーとを有する比較ポリマーの合成について記載しており、ここで、第2のモノマーのどれもが、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されていない。ポリマーHの例は、エチレン性不飽和疎水性モノマーおよび親水性モノマーから選択されるモノマーを有する比較ポリマーの合成について記載しており、ここで、モノマーのどれも、無水マレイン酸、マレイン酸、またはその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択されない。ポリマーIおよびポリマーJの例は、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸から選択される第2のモノマーとを含むポリマーの合成について記載しており、ここで、ポリマーは加水分解されている。ポリマーKは、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸から選択される第2のモノマーとを含むポリマーの一例であり、ここで、第2のモノマーの一部分は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する少なくとも1個の有機基で官能化されており、ここで、第2のモノマーの一部分は、(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミンで官能化されている。ポリマーLの例は、エチレン性不飽和疎水性モノマーから選択される第1のモノマーと、無水マレイン酸から選択される第2のモノマーとを含むポリマーについて記載しており、ここで、第2のモノマーの一部分は、(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミンで官能化されている。
【0095】
ポリマーA
温度モニター、撹拌機、および冷却器を備えた1リットルの円筒型反応器に、100gのSMA EF40ポリマー粉末および320gの脱イオン(DI)水を加えた。NaAL溶液は、アレンドロネートナトリウム三水和物(31.6g)を122gの脱イオン水および58.4gの40質量%NaOH溶液の混合物に溶解することによって調製した。NaAL溶液を、撹拌しながら反応器に加えた。生成した混合物を、90℃にて11時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、徐々に透明および均質となった。室温に冷却した後に、溶液をステンレス鋼ビーカーに移したが、ここでそのpHは、11〜12の初期値からpHが8.5〜10となるまで、酸性樹脂の存在下で溶液を撹拌することによって調節した。イオン交換ビーズを除去するガラスフリットを通した吸引濾過によって、透明で無色の液体が得られた。
31P NMRを使用して、ポリマーに付着していたビスホスホン酸基の量を決定した。ポリマーAの最終溶液を得た。19.2%の固体、pH=9.60、および13%の最初に荷電しているNaALを、ポリマーに共有結合させた。ポリマーAについて、ビスホスホン酸基(フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの13mol%である。
【0096】
ポリマーB
温度モニター、撹拌機、および冷却器を備えた1リットルの円筒型反応器に、100gのSMA EF40ポリマー粉末および360gの脱イオン水を加えた。NaAL溶液は、アレンドロネートナトリウム三水和物(56.9g)を126gの脱イオン水および74gの40質量%NaOH溶液の混合物に溶解することによって調製した。NaAL溶液を、撹拌しながら反応器に加えた。生成した混合物を、90℃にて11時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、徐々に透明および均質となった。室温に冷却した後に、溶液をステンレス鋼ビーカーに移したが、ここでそのpHは、11〜12の初期値からpHが8.5〜10となるまで、酸性樹脂の存在下で溶液を撹拌することによって調節した。イオン交換ビーズを除去するガラスフリットを通した吸引濾過によって、透明で無色の液体が得られた。
31P NMRを使用して、ポリマーに付着していたビスホスホン酸基の量を決定した。ポリマーBの最終溶液を得た。17.6%の固体、pH=9.75、および11%の最初に荷電しているNaALを、ポリマーに共有結合させた。ポリマーBについて、ビスホスホン酸基(フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの11mol%である。
【0097】
ポリマーC
温度モニター、撹拌機、および冷却器を備えた1リットルの円筒型反応器に、80gのSMA3000ポリマー粉末および200gの脱イオン水を加えた。NaAL溶液は、アレンドロネートナトリウム三水和物(31.7g)を122gの脱イオン水および29.3gの40質量%NaOH溶液の混合物に溶解することによって調製した。NaAL溶液を、撹拌しながら反応器に加えた。生成した混合物を、80℃にて11時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、徐々に透明および均質となった。室温に冷却した後に、溶液をステンレス鋼ビーカーに移したが、ここでそのpHは、11〜12の初期値からpHが8.5〜10となるまで、酸性樹脂の存在下で溶液を撹拌することによって調節した。イオン交換ビーズを除去するガラスフリットを通した吸引濾過によって、透明で無色の液体が得られた。ICP分析方法を使用して、ポリマーに付着していたビスホスホン酸基の量を決定したが、ここで、ポリマー溶液のごく一部を、適切な分画分子量(すなわち、MWCO)を有する透析チューブ(例えば、Spectro/Por(登録商標)透析膜、MWCO、2kD)を使用することによって、最初に脱イオン水に対して透析した。ポリマーCの最終溶液を得た。12.7%の固体、pH=9.62、および11%の最初に荷電しているNaALを、ポリマーに共有結合させた。ポリマーCについて、ビスホスホン酸基(フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの11mol%である。
【0098】
ポリマーD
温度モニター、撹拌機、および冷却器を備えた1リットルの円筒型反応器に、80gのSMA2000ポリマー粉末および200gの脱イオン水を加えた。NaAL溶液は、アレンドロネートナトリウム三水和物(42.5g)を164gの脱イオン水および78.4gの40質量%NaOH溶液の混合物に溶解することによって調製した。NaAL溶液を、撹拌しながら反応器に加えた。生成した混合物を、80℃にて8時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、徐々に透明および均質となった。室温に冷却した後に、溶液をステンレス鋼ビーカーに移したが、ここでそのpHは、11〜12の初期値からpHが8.5〜10となるまで、酸性樹脂の存在下で溶液を撹拌することによって調節した。イオン交換ビーズを除去するガラスフリットを通した吸引濾過によって、透明で無色の液体が得られた。ICP分析方法を使用して、ポリマーに付着していたビスホスホン酸基の量を決定したが、ここで、ポリマー溶液のごく一部を、適切な分画分子量(すなわち、MWCO)を有する透析チューブ(例えば、Spectro/Por(登録商標)透析膜、MWCO、2kD)を使用することによって、最初に脱イオン水に対して透析した。ポリマーDの最終溶液を得た。14.7%の固体、pH=9.58、および22%の最初に荷電しているNaALを、ポリマーに共有結合させた。ポリマーDについて、ビスホスホン酸基(フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの22mol%である。
【0099】
ポリマーE
ポリマーEは、SMA2000のナトリウム塩の水溶液であったが、これはNaOH溶液の存在下で加水分解によって調製することができる。ポリマーEの最終溶液は、28.7%の固体およびpH9.83であった。
【0100】
ポリマーF
ポリマーFは、SMA3000のナトリウム塩の水溶液であったが、これはNaOH溶液の存在下で加水分解によって調製することができる。ポリマーFの最終溶液は、17.2%の固体およびpH9.75であった。
【0101】
ポリマーG
ポリマーGは、SMA EF40のナトリウム塩の水溶液であったが、これはNaOH溶液および少量のポリマーF(加水分解助剤として使用される)の存在下で加水分解によって調製することができ、ここで、加えられたSMA3000の量は、SMA EF40の5.3質量%であった。ポリマーGの最終溶液は、20.9%の固体およびpH9.90であった。
ポリマーH
ポリマーHは、Joncryl683のナトリウム塩の水溶液であったが、これはJoncryl683ポリマーをNaOH溶液で中和することによって調製することができる。ポリマーHの最終溶液は、22.6%の固体およびpH8.84であった。
【0102】
ポリマーI
温度モニター、オーバーヘッド撹拌機および冷却器を備えた1リットルの円筒型反応器に、285gのXIRAN(登録商標)SZ25010樹脂粉体(酸価、AN(SP)=285)および1044gの脱イオン水を加えた。ポリマーおよび水の混合スラリーに、137.5gの40質量%NaOH溶液を加えた。生成した混合物を、95℃にて10時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、ポリマーが完全に加水分解されると、徐々に透明および均質となり、pH10.1の22.1%固溶体がもたらされた。
ポリマーJ
温度モニター、オーバーヘッド撹拌機および冷却器を備えた1リットルの円筒型反応器に、285gのXIRAN(登録商標)SZ15010樹脂顆粒(酸価、AN(SP)=156)および1169gの脱イオン水を加えた。ポリマーおよび水の混合スラリーに、75.3gの40質量%NaOH溶液を加えた。生成した混合物を、95℃にて10時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、ポリマーが完全に加水分解されると、徐々に透明および均質となり、pH10.4の19.8%固溶体がもたらされた。
【0103】
ポリマーK
温度モニター、撹拌機、および冷却器を備えた0.5Lの円筒型反応器に、30gのSMA3000ポリマー粉末、0.91mLのSigma Aldrichからの3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン(DMAPA)、および180gの脱イオン水を加えた。NaAL溶液は、アレンドロネートナトリウム三水和物(2.6g)を20gの脱イオン水および4.4gの40質量%NaOH溶液の混合物に溶解することによって調製した。NaAL溶液を、撹拌しながら反応器に加えた。生成した混合物を、90℃にて2時間加熱した。さらなる13.6gの40質量%NaOH溶液を加え、混合物を90℃にて6時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、徐々に透明および均質となった。ポリマーKの最終溶液を得た。15.8%の固体、pH=8.59。
31P NMRを使用して、ポリマーに付着しているビスホスホン酸基の量を決定し、
1H NMRを使用して、ポリマーに付着しているジメチルアミノ基の量を決定した。ポリマーKについて、ビスホスホン酸基(フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの3.3mol%である。ジメチルアミノ基(式−A−N(R
3)(R
4)を有する有機基)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの8.5mol%である。
【0104】
ポリマーL
温度モニター、撹拌機、および冷却器を備えた0.5Lの円筒型反応器に、30gのSMA(登録商標)EF40ポリマー粉末、0.56gのSigma Aldrichからの3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン(DMAPA)、および130gの脱イオン水を加えた。混合した後、0.5gの40質量%NaOH溶液を加え、生成した混合物を、94℃にて2時間加熱した。さらなる10.6gの40質量%NaOH溶液を加え、混合物を94℃にて8時間加熱した。この時間の間に、最初の乳濁したスラリーは、徐々に透明および均質となった。ポリマーLの最終溶液を得た。14.1%の固体、pH=8.59。
1H NMRを使用して、ポリマーに付着しているジメチルアミノ基の量を決定した。ポリマーLについて、ジメチルアミノ基(式−A−N(R
3)(R
4)を有する有機基)で官能化されている第2のモノマーの部分は、総第2のモノマーの8.4mol%である。
【0105】
顔料分散物の例
顔料分散物の例であるPigDisp−1〜5は、ポリマーによって安定化されている水性黄色顔料分散物である。顔料分散物の例であるPigDisp−6〜9は、ポリマーによって安定化されている水性シアン色顔料分散物である。顔料分散物の例であるPigDisp−10〜21は、ポリマーによって安定化されている水性マゼンタ色顔料分散物である。顔料分散物の例であるPigDisp−22〜24は、ポリマーによって安定化されている水性黒色顔料分散物である。顔料分散物は、下記のように調製する。
【0106】
PigDisp−1およびPigDisp−2
ポリマーG(560gの溶液、水中の20.9%固体)を、724gの脱イオン水および272gのピグメントイエロー74(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね7時間超音波処理し、低粘度の黄色分散物を得た。この分散物のごく一部(概ね50g)を、2,500Gにて20分間遠心し、次いで、デカントし、生成物を単離した。ポリマーGにより分散される黄色顔料であるPigDisp−1の最終溶液を得たが、15.5%の固体および198nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を有した。
残りの分散物(2014gの溶液、18.2%の固体含量)に、5.87gのTMPTGE、3.6gのホウ酸、および190gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。その後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−2:16.5%の固体および162nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0107】
PigDisp−3
ポリマーA(829gの溶液、水中の19.2%固体)を、917gの脱イオン水および370gのピグメントイエロー74(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね7時間超音波処理し、低粘度の黄色分散物を得た。次いで、溶液を10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。その後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−3:18.5%の固体および170nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0108】
PigDisp−4
ポリマーA(112gの溶液、水中の19.2%固体)を、124gの脱イオン水および50gのピグメントイエロー74(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね1時間超音波処理し、低粘度の黄色分散物を得た。分散物に、1.21gのTMPTGE(CO
2標的化%=15%)、0.74gのホウ酸、および144gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を、2,500Gにて20分間遠心した。遠心分離の後、最初に12%の固体にまで希釈した溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−4:20.1%の固体および177nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0109】
PigDisp−5
PigDisp−5は、Pro−Jet(商標)APD1000黄色着色剤である黄色水性顔料分散物であり、FUJIFILM Imaging Colorants, Incから市販されている。この分散物は、ポリアクリレート分散剤を使用することによって安定化する。
【0110】
PigDisp1〜5の評価
分散物の例であるPigDisp−1〜4を、沈降実験を行うことによって評価したが、ここで、これらの分散物は、実験台上にある期間に亘って室温にて静置させた。これらの沈降性能は、下記の判断基準に基づいてランク付けした。
乏しい:分散物は≦4日で2層に分かれ、ここで、上部層は僅かなまたは低減した量の顔料を含有し、一方、底部レベルにおける顔料濃度はその最初の濃度より非常に高い;
良好:分散物は5日間またはそれより長く均一のままである(すなわち、僅かな層の分離または層の分離なし)。
【表1】
【0111】
表1は、非架橋および架橋試料の両方について、ポリマーAによって安定化される顔料分散物が、ポリマーGによって安定化されるそれらの分散物より良好な沈降性能を示したことを示した。ポリマーAおよびポリマーGの間の主要な差異は、ポリマーAが、官能化SMA EF40ポリマーであり、ここで、ビスホスホン酸基はポリマーに付着しており、一方、ポリマーGが、このような官能基を含有しないことである。フェニルホスホン酸のカルシウム指数値は、2.53であり、これは、表5Aにおける様々な化合物についてのカルシウム指数値のリストを含めて、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,858,695号の29欄、45行から30欄、44行に記載されているように方法Aを使用することによって測定した。−CH
2(PO
32-)
2の従前の測定(米国特許第8,858,695号の表5A)に基づいて、ビスホスホン酸基についてのカルシウム指数値は、約3.45であると決定した。
【0112】
他の要因の中でも官能基および疎水性を考慮に入れて、多価金属イオン、例えば、マグネシウムおよびカルシウムを結合するポリマーの能力を考慮に入れて、マグネシウム感受性試験を開発した。Mg感受性試験は、(1)1滴(約0.05g)の分散物の例である(そのままの)PigDisp−3〜5を、多様なレベルのモル濃度:1.0mM、2.0mM、3.0mM、および5.0mMを有する一連の10〜15mLのMgCl
2溶液中に加え;(2)試料を振盪し、次いで、それらを室温にて1時間静置し;(3)顔料分散物の完全な沈殿(すなわち、水および顔料沈殿物の明確な分離)が観察されたとき、MgCl
2の最も低いモル濃度を記録することによって行った。全てのこれらの例を試験した後、そこで顔料が完全に沈殿したこれらのMgCl
2モル濃度を、表2において要約した。沈殿のために必要とされるMgCl
2濃度が低いほど、マグネシウムおよび/またはカルシウムイオンに対する感受性はより大きく、これはカルシウムおよび/またはマグネシウム結合についての能力を示すことができる。
【表2】
【0113】
ビスホスホネート官能化SMA EF40ポリマーであるポリマーAを含有するPigDisp−3およびPigDip−4は、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される任意のモノマーを含有しない、PigDisp−5というポリマーにより安定化される分散物より、良好なカルシウムおよび/またはマグネシウム結合能力を示した。
【0114】
PigDisp−6
ポリマーA(202gの溶液、水中の19.2%固体)を、223gの脱イオン水および90gのピグメントブルー15:4(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね1時間超音波処理し、低粘度のシアン色分散物を得た。分散物に、4.37gのTMPTGE(CO
2標的化%=30%)、2.68gのホウ酸、および257gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね13%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−6:20.7%の固体および152nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0115】
PigDisp−7
ポリマーB(220gの溶液、水中の17.6%固体)を、205gの脱イオン水および90gのピグメントブルー15:4(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね1時間超音波処理し、低粘度のシアン色分散物を得た。分散物に、4.37gのTMPTGE(CO
2標的化%=30%)、2.68gのホウ酸、および257gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね12%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−7:20.4%の固体および157nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0116】
PigDisp−8
ポリマーE(47gの溶液、水中の28.7%固体)を、213gの脱イオン水および40gのピグメントブルー15:4(プレスケーキとして、その量はその固体含量によって決定した)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね1時間超音波処理し、低粘度のシアン色分散物を得た。生成した溶液を、2,500Gにて20分間遠心し、次いで、デカントし、生成物を単離した。ポリマーEにより分散されるシアン色顔料であるPigDisp−8の最終溶液を得た。13.7%の固体および163nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)。
【0117】
PigDisp−9
PigDisp−9は、Pro−Jet(商標)APD1000シアン色である水性シアン色顔料分散物であり、FUJIFILM Imaging Colorants, Incから市販されている。この分散物は、ポリアクリレート分散剤を使用することによって安定化する。
【0118】
PigDisp6〜9の評価
これらのシアン色分散物について、これらのMg感受性試験は、(1)1滴(約0.05g)の分散物の例である(そのままの)PigDisp−6〜9を、多様なレベルのモル濃度:1.0mM、2.0mM、3.0mM、および5.0mMを有する一連の10〜15mLのMgCl
2溶液中に加え;(2)試料を振盪し、次いで、それらを室温にて1時間静置し;(3)顔料分散物の完全な沈殿(すなわち、水および顔料沈殿物の明確な分離)が観察されたとき、MgCl
2の最も低いモル濃度を記録することによって行った。全てのこれらの例を試験した後、そこで顔料が完全に沈殿したこれらのMgCl
2モル濃度を、表3において要約した。沈殿のために必要とされるMgCl
2濃度が低いほど、マグネシウムおよび/またはカルシウムイオンに対する感受性はより大きく、これはカルシウムおよび/またはマグネシウム結合についての能力を示すことができる。
【表3】
【0119】
それぞれ、ビスホスホネート官能化SMA EF40ポリマーであるポリマーAおよびポリマーBを含有するPigDisp−6およびPigDip−7は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する官能基を有さない、PigDisp−8という非官能化SMA2000により分散されるシアン色分散物、ならびに無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される任意のモノマーを含有しない、PigDisp−5というポリマーにより安定化される分散物より、良好なカルシウムおよび/またはマグネシウム結合能力を示した。ポリマーAよりポリマーBにおいて、より多い量のビスホスホン酸基が、SMA EF40ポリマーに付着している。
【0120】
PigDisp−10
ポリマーA(762gの溶液、水中の19.2%固体)を、1444gの脱イオン水および340gのピグメントバイオレット19(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね7時間超音波処理し、低粘度のマゼンタ色分散物を得た。分散物に、10.7gのTMPTGE、6.53gのホウ酸、および273gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−10:17.1%の固体および168nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0121】
PigDisp−11
ポリマーG(617gの溶液、水中の20.9%固体)を、1228gの脱イオン水および300gのピグメントバイオレット19(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね6時間超音波処理し、低粘度のマゼンタ色分散物を得た。分散物に、9.14gのTMPTGE、5.61gのホウ酸、および222gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−11:18.3%の固体および161nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0122】
PigDisp−12
ポリマーH(59gの溶液、水中の22.6%固体)を、215gの脱イオン水および40gのピグメントレッド122(プレスケーキとして、その量はその固体含量によって決定した)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね0.5時間超音波処理し、低粘度のシアン色分散物を得た。生成した溶液を、2,500Gにて20分間遠心し、次いで、デカントし、生成物を単離した。ポリマーHにより分散されるマゼンタ色顔料であるPigDisp−12の最終溶液を得た。14.0%の固体および106nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)。
PigDisp−13
PigDisp−13は、Pro−Jet(商標)APD1000マゼンタ色である水性マゼンタ色顔料分散物であり、FUJIFILM Imaging Colorants, Incから市販されている。この分散物は、ポリアクリレート分散剤を使用することによって安定化する。
【0123】
PigDisp−14〜15
ポリマーA(34gの溶液、水中の19.2%固体)を、38gの脱イオン水および15gのピグメントバイオレット19(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね0.5時間超音波処理し、低粘度のマゼンタ色分散物を得た。分散物に、43gの脱イオン水を加え、PigDisp−14:16.6%の固体および184nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
別々の反応器に、35gのPigDisp−14、0.13gのTMPTGE(CO
2標的化%=20%)および0.08gのホウ酸を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、200nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を有するPigDisp−15の最終溶液を得た。
【0124】
PigDisp−16〜17
ポリマーB(37gの溶液、水中の17.6%固体)を、35gの脱イオン水および15gのピグメントバイオレット19(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね0.5時間超音波処理し、低粘度のマゼンタ色分散物を得た。分散物に、43gの脱イオン水を加え、PigDisp−16:16.6%の固体および183nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0125】
別々の反応器に、35gのPigDisp−16、0.13gのTMPTGE(CO
2標的化%=20%)および0.08gのホウ酸を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、205nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を有するPigDisp−17の最終溶液を得た。
【0126】
PigDisp−18〜19
ポリマーD(44gの溶液、水中の14.7%固体)を、27gの脱イオン水および15gのピグメントバイオレット19(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね0.5時間超音波処理し、低粘度のマゼンタ色分散物を得た。分散物に、43gの脱イオン水を加え、PigDisp−18:16.6%の固体および171nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
別々の反応器に、35gのPigDisp−18、0.19gのTMPTGE(CO
2標的化%=17%)および0.12gのホウ酸を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、220nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を有するPigDisp−19の最終溶液を得た。
【0127】
PigDisp−20〜21
ポリマーC(51gの溶液、水中の12.7%固体)を、20gの脱イオン水および15gのピグメントバイオレット19(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね0.5時間超音波処理し、低粘度のマゼンタ色分散物を得た。分散物に、43gの脱イオン水を加え、PigDisp−20:16.6%の固体および166nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
別々の反応器に、35gのPigDisp−20、0.16gのTMPTGE(CO
2標的化%=18%)および0.10gのホウ酸を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、179nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を有するPigDisp−21の最終溶液を得た。
【0128】
PigDisp10〜21の評価
これらのマゼンタ色分散物について、これらのMg感受性試験は、(1)最初に、1滴(約0.05g)の分散物の例である(そのままの)PigDisp−10〜21を、多様なレベルのモル濃度:1.0mM、2.0mM、3.0mM、および5.0mMを有する一連の10〜15mLのMgCl
2溶液中に加え;(2)最初の振盪によって、混合物を室温にて1時間静置し;(3)顔料分散物の完全な沈殿(すなわち、水および顔料沈殿物の明確な分離)が観察されたとき、MgCl
2の最も低いモル濃度を記録する。全てのこれらの例を試験した後、そこで顔料が完全に沈殿したこれらのMgCl
2モル濃度を、表4において要約した。沈殿のために必要とされるMgCl
2濃度が低いほど、マグネシウムおよび/またはカルシウムイオンに対する感受性はより大きく、これはカルシウムおよび/またはマグネシウム結合についての能力を示すことができる。
【表4】
【0129】
それぞれ、ビスホスホネート官能化SMA EF40ポリマーであるポリマーAおよびポリマーBを含有するPigDisp−10およびPigDip−14〜17、ならびにビスホスホネート官能化SMA2000ポリマーであるポリマーDを含有するPigDisp−18〜19、ならびにビスホスホネート官能化SMA3000ポリマーであるポリマーCを含有するPigDisp−20〜21は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する官能基を有さない、PigDisp−11という非官能化SMA EF40により安定化されるマゼンタ色分散物、ならびに無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される任意のモノマーを含有しない、PigDisp−12〜13というポリマーにより安定化される分散物より、良好なカルシウムおよび/またはマグネシウム結合能力を示した。ポリマーAよりポリマーBにおいて、より多い量のビスホスホン酸基が、SMA EF40ポリマーに付着している。
【0130】
マゼンタ色分散物について、Ca感受性試験はまた、(1)1滴(約0.05g)の分散物の例である(そのままの)PigDisp−10およびPigDisp−12〜17を、多様なレベルのモル濃度:1.0mM、2.0mM、3.0mM、および5.0mMを有する一連の10〜15mLのCaCl
2溶液中に加え;(2)試料を振盪し、それらを室温にて1時間静置し;(3)顔料分散物の完全な沈殿(すなわち、水および顔料沈殿物の明確な分離)が観察されたとき、CaCl
2の最も低いモル濃度を記録することによって行った。これらの試料のこれらのCaCl
2モル濃度を、表5において要約する。沈殿のために必要とされるCaCl
2濃度が低いほど、マグネシウムおよび/またはカルシウムイオンに対する感受性はより大きく、これはカルシウムおよび/またはマグネシウム結合についての能力を示すことができる。
【0131】
【表5】
【0132】
マゼンタ色分散物について、Ca感受性試験は、Mg感受性試験に基づくものと同じ結果を示した(表4)。それぞれ、ビスホスホネート官能化SMA EF40ポリマーであるポリマーAおよびポリマーBを含有するPigDisp−10およびPigDip−14〜17は、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される任意のモノマーを含有しない、PigDisp−12〜13というポリマーにより安定化される分散物より、良好なカルシウムおよび/またはマグネシウム結合能力を示した。
【0133】
PigDisp−22
ポリマーA(112gの溶液、水中の19.2%固体)を、124gの脱イオン水および50gのBlack Pearls900(Cabot Corporationから)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね10分間超音波処理し、低粘度の黒色分散物を得た。分散物に、0.90gのTMPTGE(CO
2標的化%=10%)、0.56gのホウ酸、および144gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね13%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−22:20.6%の固体および102nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0134】
PigDisp−23
ポリマーG(772gの溶液、水中の20.9%固体)を、999gの脱イオン水および375gのBlack Pearls900(Cabot Corporationから)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね1時間超音波処理し、低粘度の黒色分散物を得た。分散物に、8.1gのTMPTGE、4.967gのホウ酸、および750gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、PigDisp−23:17.1%の固体および101nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
PigDisp−24
PigDisp−24は、Pro−Jet(商標)APD1000黒色である水性黒色顔料分散物であり、FUJIFILM Imaging Colorants, Incから市販されている。この分散物は、ポリアクリレート分散剤を使用することによって安定化する。
【0135】
PigDisp22〜24の評価
これらの黒色分散物について、これらのMg感受性試験は、(1)1滴(約0.05g)の分散物の例である(そのままの)PigDisp−22〜24を、多様なレベルのモル濃度:1.0mM、2.0mM、3.0mM、および5.0mMを有する一連の10〜15mLのMgCl
2溶液中に加え;(2)試料を振盪し、次いで、それらを室温にて4時間静置し;(3)顔料分散物の完全な沈殿(すなわち、水および顔料沈殿物の明確な分離)が観察されたとき、MgCl
2の最も低いモル濃度を記録することによって行った。全てのこれらの例を試験した後、顔料が完全に沈殿したこれらのMgCl
2モル濃度を、表6において要約した。沈殿のために必要とされるMgCl
2濃度が低いほど、マグネシウムおよびカルシウムイオンに対する感受性はより大きく、これはカルシウムおよび/またはマグネシウム結合についての能力を示すことができる。
【表6】
【0136】
ビスホスホネート官能化SMA EF40ポリマーであるポリマーAを含有するPigDisp−22は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値と等しいかまたはそれより大きいカルシウム指数値を有する官能基を有さない、PigDisp−23という非官能化SMA EF40により安定化されるマゼンタ色分散物、ならびに無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される任意のモノマーを含有しない、PigDisp−24というポリマーにより安定化される分散物より、良好なカルシウムおよび/またはマグネシウム結合能力を示した。
【0137】
PigDisp−25
ポリマーK(136gの溶液、水中の15.8%固体、pH=8.59)を、90gの脱イオン水および50gのピグメントイエロー74(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね3時間超音波処理し、低粘度の黄色分散物を得た。分散物(274gの溶液、25.2%固体含量)に、1.41gのTMPTGE(CO
2標的化%=14%)、0.89gのホウ酸、および140gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。その後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、黄色のPigDisp−25分散物:19.34%固体、pH=9.38、および158nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。この黄色分散物について、そのMg感受性試験を、PigDisp1〜5の評価において記載したように行った。ビスホスホネート官能化SMA3000ポリマーであるポリマーKを含有するPigDisp−25は、無水マレイン酸、マレイン酸ならびにその塩、エステル、イミドおよびアミドから選択される任意のモノマーを含有しない、PigDisp−5という黄色のポリマーにより安定化される分散物より、良好なカルシウムおよび/またはマグネシウム結合能力を示した。
【0138】
PigDisp−26からPigDisp−34
分散物PigDisp−26からPigDisp−34を調製して、架橋による安定性の効果を調査した。安定性は、下記の方法に従って分散物上で行った溶媒安定性試験でアセスメントする。
50μLの溶媒液滴を、顕微鏡のスライドガラス上に置き、次いで、5μLの分散液滴(概ね18〜20%固体添加量で)を、溶媒液滴の上に置いた。顕微鏡カバーを使用して液滴を平らにし、着色剤粒子の外観を記録した。分散物が良好な適合性を有するとき、顔料粒子は液体と共に混合および流動し、液体のエリアを着色する。分散物が良好でない適合性を有するとき、顔料粒子は集塊し、液体と一緒に広がらない。
下記の表7は、各分散物のポリマーについての、酸価、およびCO
2標的化の百分率(「CO
2%」)を列挙する。
【表7】
【0139】
ポリマーI(298gの溶液、水中の22.1%固体)を、424gの脱イオン水と、米国特許第9,388,300号に記載されている方法によって調製し、かつ下記の特性:BET表面積=265m
2/g、STSA=197m
2/g、OAN=175mL/100g、およびCOAN=135mL/100gを有する198gのカーボンブラックとを合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね2時間超音波処理し、25.8%固体、pH=9.80で低粘度の黒色分散物を得た。
【0140】
PigDisp−27
PigDisp−26(250g)を概ね12%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、非架橋カーボンブラックPigDisp−27分散物:20.8%固体、pH=9.41、および146nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0141】
PigDisp−28
250g部分のPigDisp−26に、2.80gのTMPTGE、2.58gのホウ酸、および115.16gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を概ね12%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、架橋カーボンブラック分散物:18.10%固体、pH=8.83、および148nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
PigDisp−27〜28の評価
溶媒安定性試験を、様々な溶媒と共にPigDisp−27(非架橋カーボンブラック分散物)およびPigDisp−28(架橋カーボンブラック分散物)に適用した。結果を下記の表8において列挙する。
【表8】
【0142】
非架橋分散物PigDisp−27は、表8において列挙する溶媒に曝露されたとき、顕微鏡用スライド上にクラッシュアウトした顔料粒子の大きな集塊物からも明らかなように、直ちに不安定化した。対照的に、架橋分散物PigDisp−28は広がり、溶媒に分散し、これは溶媒に曝露されたときのその安定性を示す。
また溶媒安定性における対比を、顕微鏡スライドガラス上でジプロピレングリコールへ曝露したときの、PigDisp−27およびPigDisp−28それぞれの写真である
図1Aおよび1Bにおいて示す。
図1Aにおける非架橋分散物PigDisp−27は、凝集し、一方では、
図1Bにおける架橋分散物PigDisp−28は、目に見える凝集を伴わずにスライドガラス全体に亘って均等に広がることを見ることができる。
【0143】
PigDisp−29
ポリマーI(124gの溶液、水中の22.1%固体、pH=10.1)を、135.6gの脱イオン水および118gのピグメントグリーン7プレスケーキ(42.9%固体)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね2時間超音波処理し、25.2%固体で低粘度の緑色分散物を得た。
【0144】
PigDisp−30
PigDisp−29(75g)を概ね15%の固体にまで希釈し、それに続いて、10分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、緑色の非架橋PigDisp−30分散物:19.10%固体、pH=9.21、および147nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0145】
PigDisp−31
150g部分のPigDisp−29に、2.04gのTMPTGE、3.13gのホウ酸、および41gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を概ね15%の固体にまで希釈し、それに続いて、10分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、緑色の架橋PigDisp−31分散物:17.87%固体、pH=8.46、および151nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
PigDisp−30〜31の評価
溶媒安定性試験は、様々な溶媒と共にPigDisp−30(緑色の非架橋分散物)およびPigDisp−31(緑色の架橋分散物)に適用した。結果を下記の表9において列挙する。
【表9】
【0146】
非架橋分散物PigDisp−30は、表9において列挙した溶媒に曝露されたとき、顕微鏡用スライド上にクラッシュアウトした顔料粒子の大きな集塊物からも明らかなように、直ちに不安定化した。対照的に、架橋分散物PigDisp−31は広がり、溶媒に分散し、これは溶媒に曝露されたときのその安定性を示す。
【0147】
PigDisp−32
ポリマーJ(90gの溶液、水中の19.8%固体、pH=10.4)を、160gの脱イオン水および40gのピグメントバイオレット19(粉末形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね2時間超音波処理し、20.1%固体で低粘度のマゼンタ色分散物を得た。
【0148】
PigDisp−33
PigDisp−32(130g)を最初に概ね15%の固体にまで希釈し、それに続いて、10分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、非架橋のマゼンタ色のPigDisp−33分散物:22.9%固体、pH=8.8、および162nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0149】
PigDisp−34
130g部分のPigDisp−32に、0.86gのTMPTGEおよび1.24gのホウ酸を加えた。生成した混合物を、65℃にて5時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を最初に概ね15%の固体にまで希釈し、それに続いて、10分間の2,500Gでの遠心分離を行った。遠心分離の後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、マゼンタ色の架橋PigDisp−34分散物:18.56%固体、pH=8.62、および166nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
PigDisp−33〜34の評価
溶媒安定性試験を、様々な溶媒と共にPigDisp−33(非架橋のマゼンタ色分散物)およびPigDisp−34(マゼンタ色の架橋分散物)に適用した。結果を下記の表10において列挙する。
【表10】
【0150】
非架橋分散物PigDisp−33は、表10において列挙した溶媒に曝露されたとき、顕微鏡用スライド上にクラッシュアウトした顔料粒子の大きな集塊物からも明らかなように、直ちに不安定化した。対照的に、架橋分散物PigDisp−34は広がり、溶媒に分散し、これは溶媒に曝露されたときのその安定性を示す。
【0151】
PigDisp−35
ポリマーL(152gの溶液、水中の14.1%固体)を、72.5gの脱イオン水および50gのピグメントイエロー74(乾燥粉末の形態)と合わせた。次いで、この混合物を、Misonix(登録商標)プローブ超音波処理器で概ね10℃にて概ね3時間超音波処理し、低粘度の黄色分散物を得た。分散物(288gの溶液、26%の固体含量)に、1.13gのTMPTGE、0.70gのホウ酸、および140gの脱イオン水を加えた。生成した混合物を、65℃にて4時間加熱した。室温に冷却した後に、溶液を10%の固体にまで希釈し、それに続いて20分間の2,500Gでの遠心分離を行った。その後、溶液を、3,000分画分子量のポリスルホン膜を使用したダイアフィルトレーションによって精製および濃縮し、黄色のPigDisp−35:20.16%の固体および165nmの平均粒径(Microtrac(登録商標)粒径分析器を使用することによって決定)を得た。
【0152】
用語「a」および「an」および「the」の使用は、本明細書において他に示さない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方をカバーすると解釈される。用語「含む」、「有する」、「含めた」および「含有する」は、他に断らない限り、オープンエンド用語(すなわち、「これらに限定されないが、下記を含めた」を意味する)と解釈される。本明細書において値の範囲を列挙することは、本明細書において他に示さない限り、範囲内に入るそれぞれの別々の値を個々に指す略式の方法の役割を果たすことを単に意図し、1つ1つの値は、これが個々に本明細書において列挙されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書において他に示さない限り、または他に文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書において提供するありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明を単により良好に明らかにすることを意図し、他に特許請求しない限り、本発明の範囲に対して制限を与えない。本明細書におけるどの言語も、任意の特許請求していない構成要素を本発明の実施に対して必要不可欠であると示していると解釈すべきでない。