特表2020-500089(P2020-500089A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキシ ソリューションズ アーエスの特許一覧

<>
  • 特表2020500089-調合物 図000004
  • 特表2020500089-調合物 図000005
  • 特表2020500089-調合物 図000006
  • 特表2020500089-調合物 図000007
  • 特表2020500089-調合物 図000008
  • 特表2020500089-調合物 図000009
  • 特表2020500089-調合物 図000010
  • 特表2020500089-調合物 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-500089(P2020-500089A)
(43)【公表日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】調合物
(51)【国際特許分類】
   A61L 26/00 20060101AFI20191206BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20191206BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20191206BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20191206BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20191206BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20191206BHJP
   A61L 15/32 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20191206BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20191206BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 8/90 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20191206BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20191206BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20191206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20191206BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20191206BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20191206BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20191206BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20191206BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/60 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20191206BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20191206BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20191206BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20191206BHJP
【FI】
   A61L26/00
   A61L15/18
   A61L15/26
   A61L15/28
   A61L15/20
   A61L15/24
   A61L15/32
   A61K9/06
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K47/34
   A61K47/38
   A61K47/42
   A61K8/19
   A61K8/42
   A61K8/73
   A61K8/90
   A61K8/81
   A61K8/65
   A61Q19/00
   A61Q19/08
   A61P17/00
   A61P17/02
   A61P17/10
   A61P17/16
   A61P31/10
   A61P31/00
   A61K31/085
   A61K31/17
   A61K31/194
   A61K31/423
   A61K31/455
   A61K31/60
   A61K31/122
   A61K38/12
   A61K38/08
   A61P31/04
   A61K9/08
   A61L15/44
   A61L15/32 300
   A61K33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-546088(P2019-546088)
(86)(22)【出願日】2017年10月20日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月25日
(86)【国際出願番号】GB2017053185
(87)【国際公開番号】WO2018078340
(87)【国際公開日】20180503
(31)【優先権主張番号】1618110.9
(32)【優先日】2016年10月26日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1714461.9
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519155033
【氏名又は名称】オキシ ソリューションズ アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】モーエン、イングリッド
(72)【発明者】
【氏名】ウグランド、ヘーゲ
(72)【発明者】
【氏名】アミリー−モハダム、マフモード
(72)【発明者】
【氏名】ハグレロド、カミラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
4C076BB31
4C076CC19
4C076CC20
4C076CC31
4C076CC32
4C076DD22
4C076DD50
4C076DD52A
4C076EE02G
4C076EE17G
4C076EE27A
4C076EE30A
4C076EE30G
4C076EE32G
4C076EE36G
4C076EE37G
4C076EE42G
4C076EE43G
4C076FF29
4C076FF35
4C076FF68
4C081AA02
4C081AA03
4C081AA12
4C081BA14
4C081BB06
4C081CA082
4C081CA181
4C081CA212
4C081CD011
4C081CD012
4C081CD022
4C081CD042
4C081CD082
4C081CD092
4C081CD122
4C081CD152
4C081CE01
4C081CE02
4C081DA12
4C081DA15
4C081DC12
4C081EA02
4C083AB012
4C083AB032
4C083AB061
4C083AB062
4C083AB332
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC542
4C083AD051
4C083AD052
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE14
4C083EE16
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA27
4C084BA28
4C084DA43
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA16
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA63
4C084ZA891
4C084ZA902
4C084ZA911
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC19
4C086BC69
4C086DA17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA63
4C086ZA89
4C086ZA90
4C086ZA91
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA28
4C206CB25
4C206DA17
4C206DA36
4C206HA30
4C206KA09
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA36
4C206MA48
4C206MA52
4C206MA83
4C206ZA89
4C206ZA90
4C206ZA91
(57)【要約】
本発明は、溶存酸素(例えば10mg/Lから100mg/Lまでの溶存酸素)、及び体表面又は体組織と接触するとゲルを形成することができる物質を含む、液体調合物を提供する。ここで前記ゲルは、治療上有効量の溶存酸素を放出可能である。ゲルを形成することができる物質は、熱ゲル化性であり得、そして例えば、ポロキサマーのブレンドを含み得る。液体調合物は体組織に適用することができ、それにより障害組織、例えば、(急性又は慢性の)創傷、火傷、皮膚障害(例えば乾癬、ニキビ、酒さ、又はアトピー性皮膚炎などの他の皮膚科学的状態)、皮膚の痛み、又は組織壊死の治療に適したゲルを形成する。液体調合物は、体表面上、例えば皮膚上の細菌性バイオフィルムの予防又は治療における使用にも適している。本発明はさらに、かかる液体調合物又はそれから形成されたゲルをその中に組み込んだ送達デバイス(例えば、創傷被覆材又は包帯)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存酸素と、体表面又は体組織と接触するとゲルを形成することができる物質とを含み、前記ゲルが治療有効量の溶存酸素を放出することができる、液体調合物。
【請求項2】
約10mg/L以上の溶存酸素、好ましくは約100mg/L以下の溶存酸素、例えば約15mg/L〜70mg/L、又は約25mg/L〜50mg/Lの溶存酸素を含む、請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
体表面又は体組織と接触するとゲルを形成することができる前記物質が、少なくとも1種のin-situゲル化剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の調合物。
【請求項4】
前記in-situゲル化剤が熱ゲル化性であり体温においてゲルを形成することができる、請求項3に記載の調合物。
【請求項5】
前記in-situゲル化剤が、界面活性ブロックコポリマー、多糖類(例えばセルロース誘導体、キシログリカン、及びキトサン)及びN−イソプロピルアクリルアミドからなる群より選択される、請求項4に記載の調合物。
【請求項6】
前記in-situゲル化剤が1種又は複数種のポロキサマーを含む、請求項4に記載の調合物。
【請求項7】
前記in-situゲル化剤が、約25℃超、例えば約25℃〜約37℃の範囲の熱ゲル化温度を有する少なくとも1種のポロキサマーを含む、請求項4に記載の調合物。
【請求項8】
前記in-situゲル化剤が、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー124、及びポロキサマー237から選択される1種又は複数種のポロキサマーを含む、請求項6又は請求項7に記載の調合物。
【請求項9】
前記in-situゲル化剤がポロキサマー407を含む、請求項8に記載の調合物。
【請求項10】
ポロキサマーのブレンドを含む、請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項11】
前記ブレンドが2種のポロキサマーを5:1〜50:1、好ましくは10:1〜25:1、例えば10:1〜15:1の比で含む、請求項10に記載の調合物。
【請求項12】
前記ブレンドが、ポロキサマー407及びポロキサマー188、又はポロキサマー407及びポロキサマー124を含む、請求項10又は請求項11に記載の調合物。
【請求項13】
前記ポロキサマー又は前記ポロキサマーのブレンドが、調合物の重量基準で10重量%〜30重量%、好ましくは15重量%〜25重量%、例えば16重量%〜20重量%の範囲の量で存在する、請求項6〜請求項12のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項14】
カルボポール、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、親水コロイド、アルギン酸塩、ヒドロゲル、ポリウレタン、コラーゲン、キトサン、及びヒアルロン酸から選択される1種又は複数種の増粘剤をさらに含む、請求項4〜請求項13のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項15】
1種又は複数種の生体接着剤、例えば1種又は複数種の粘膜付着性ポリマーをさらに含む調合物である。
【請求項16】
調合物中に存在する酸素が、生理学的に許容される水性媒体、例えば生理的塩類溶液(例えば食塩水)又は水に溶解している、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項17】
加圧された液体を配管ネットワークに導入して流れを形成するステップ;
気体状態の酸素を前記流れの中に注入して液体と酸素の泡との混合物を生成するステップ;
ベンチュリ管を含む線形流加速器を提供するステップ;及び
流動する前記液体と気体状態の酸素の泡との混合物を、前記線形流加速器を通過させて、流動する前記混合物を加速し、続いて流動する前記混合物を音速未満の速度まで減速させて、気体状態の酸素の泡を崩壊させるステップ
を含む方法によって取得可能である(例えば、前記方法によって得られた)酸素化された液体(例えば、生理食塩水又は水)を含む、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項18】
抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、核酸、ビタミン、ミネラル、麻酔剤、抗炎症剤、保湿剤、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、植物由来の幹細胞、卵由来又は卵殻由来の抽出物、植物抽出物、脂肪酸、及び皮膚浸透促進剤からなる群より選択される1種又は複数種の作用物質をさらに含む、請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項19】
前記抗細菌剤が、アルコール、塩素、過酸化物、アルデヒド、トリクロサン、トリクロカルバン、塩化ベンザルコニウム、リネゾリド、キヌプリスチン−ダルフォプリスチン、ダプトマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、キノロン及びモキシフロキサシンからなる群より選択される、請求項18に記載の調合物。
【請求項20】
レチノイド(例えば、ビタミンA、アシトレチン、イソトレチニオン、トレチニオン又はタザロテン)、過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル)、抗生物質(例えば、テトラサイクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はトリメトプリム)、ホルモン(例えば、コ−サイプリンジオール)、アゼライン酸、アゼライン酸誘導体、アダパレン、ニコチンアミド、サリチル酸、コルチコステロイド、ビタミンD、ビタミンD誘導体、アントラリン、及びカルシニューリン阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの作用剤を含む、請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項21】
少なくとも1種の創傷治癒剤、例えばコラーゲン又はキトサンを含む、請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項22】
化粧料調合物であり、ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸、ヒドロキシ酸、ビタミン、ビタミン誘導体、レチノイド、セラミド、カルバミド(尿素)及びコエンザイムQ10からなる群より選択される1種又は複数種の美容活性成分を含む、請求項1〜請求項21のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項23】
水を50重量%〜99重量%、好ましくは水を80重量%〜99重量%含む、請求項1〜請求項22のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項24】
緩衝化されたpHを維持するか、浸透圧を体表面又は体組織への適用に適した範囲に維持するか、又は組成物の安定性を維持する、1種又は複数種の成分を含む、請求項1〜請求項23のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項25】
緩衝剤、pH調整剤(例えば、水酸化ナトリウム又は塩酸)、浸透圧調整剤、保存料(例えば、抗微生物剤)、抗酸化剤、ゲル形成剤(例えばカルボポール又はセルロース誘導体)、香料、及び着色剤からなる群より選択される1種又は複数種の成分を含む請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載の調合物であって、好ましくは2〜7、好ましくは5〜5.5、例えば約5.1〜5.5の範囲のpHを提供するのに十分な緩衝剤を含有する調合物である、請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載の調合物。
【請求項26】
請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載の液体調合物をゲル化させて得られる酸素放出ゲル。
【請求項27】
医療において使用するため、又は医薬として使用するための、請求項1〜請求項26のいずれか一項に記載の調合物又は酸素放出ゲル。
【請求項28】
障害組織、例えば(急性又は慢性の)創傷、火傷、皮膚障害(例えば乾癬、ニキビ、酒さ、又はアトピー性皮膚炎などの他の皮膚科学的状態)、皮膚の痛み、又は組織壊死の治療に使用するための、請求項27に記載の調合物又は酸素放出ゲル。
【請求項29】
皮膚の細菌感染症又は真菌感染症、例えば蜂巣炎、慢性創傷における感染症、ガス壊疽、壊死性筋膜炎(Enterococcus、Enterobacteriacea、Clostridium、B. fragilis、Streptococcus、Pyogenisによる感染)、又はケカビ(mucorales)もしくはアスペルギルスに関連する真菌感染症の治療において使用するための、請求項27に記載の調合物又は酸素放出ゲル。
【請求項30】
体表面上、好ましくは体外表面上、例えば皮膚上の細菌性バイオフィルムの予防又は治療における使用のための、請求項27に記載の調合物又は酸素放出ゲル。
【請求項31】
請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載の液体調合物又は請求項26に記載の酸素放出ゲルをその中に組み込んでいる送達デバイス(例えば創傷被覆材又は包帯)。
【請求項32】
(i)有効量の請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載の液体調合物を、哺乳動物である対象(例えば、ヒト)の障害を有する体表面又は体組織に塗布すること;及び
(ii)前記調合物が固化することによりゲルを形成すること
を含む、表面又は組織を治療する方法。
【請求項33】
哺乳動物である対象(例えば、ヒト)の障害を有する体表面又は体組織の治療方法において使用するための医薬の製造における、請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載の液体調合物の使用。
【請求項34】
(a)請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載の液体調合物を含む密封容器又は密封包装;及び
(b)送達デバイス、例えば創傷被覆材又は包帯
を含み、任意で
(c)障害組織の局所的治療における構成要素(a)及び構成要素(b)の使用説明書
を含む、
哺乳動物である対象(例えば、ヒト)の障害を有する体表面又は体組織の治療に使用するためのキット。
【請求項35】
請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載の液体調合物を対象に投与する工程を含む、哺乳類である対象(例えばヒト)の皮膚の表面に施される美容処置の方法。
【請求項36】
皮膚の外観を改善等して向上させるための、請求項35に記載の方法、ここで前記向上は、例えば皮膚を柔らかくすることにおける、又は色素沈着過剰、荒れ、乾燥、線(fine lines)及び皺のうちのいずれか1つを減少させることにおける向上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に体組織、特に創傷、火傷、炎症及び/又は感染組織(例えば、ニキビ及び他の炎症性皮膚疾患に関連するもの)を含む、障害組織への酸素送達に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、治癒及び/又は再生を補助するために、高レベルの溶存酸素を、障害組織に直接送達することができる局所調合物に関する。本発明はさらに、そのような調合物の調製方法、これらを組み込んだ送達器具(創傷被覆材、包帯など)、及び障害組織の局所治療における医薬としてのそれらの使用に関する。
【0003】
本発明はまた、体表面、特に皮膚の美容的治療方法におけるそのような局所調合物の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
正常な代謝状態にない生物の任意の組織又は細胞は、「障害を有する(compromised)」と見なされ得る。
【0005】
炎症及び/又は感染した組織は障害を有すると解されよう。ほとんどの肌の状態や肌の疾患は炎症に関連する。これには、にきび、特に毛嚢脂腺単位の慢性炎症性疾患である尋常性ざ瘡のような状態が含まれる。感染症は、例えば湿疹や非治癒性の創傷などの状態で皮膚のバリアが壊れる多くの皮膚疾患の合併症であり、これは炎症をも引き起こす可能性がある。
【0006】
生体組織への血液供給に対して損傷があると急速に障害組織となり、もはや正常な代謝状態にはなくなる。適切な血液供給の機能の一つは、体組織への溶存酸素の供給である。酸素送達が不十分であると、損傷した組織の治癒が遅くなり、感染の可能性があり、瘢痕組織が発達することがあり、場合によっては最終的に組織の死滅や患肢の切断の必要に至ることがある。
【0007】
創傷は皮膚組織への血液供給の損傷又は破壊を伴い、これは組織再生に必要な酸素及び栄養素の供給を危うくする。創傷の治癒は、高齢者にとって特に問題である。特に酸素は、細菌感染の低減、再上皮化の増加、線維芽細胞の増殖、コラーゲン合成及び血管新生を含む創傷治癒において重要な役割を果たす。血液循環が不十分であることで創傷の酸素化(oxygenation)が不十分になると、適切な創傷治癒が損なわれ、慢性創傷の形成をもたらし得る。
【0008】
多くの慢性創傷は、典型的にはバイオフィルムの一部として好気性及び/又は嫌気性生物のコロニーを含む。慢性的に開放された創傷の60〜100%において、バイオフィルムが存在する。細菌バイオフィルムは一般的であり、細菌が体表面と相互作用して体表面を被覆し、さらなる細菌のコロニー形成及び増殖のための生きているコロニーを提供するポリマーフィルム(「エキソ多糖」又は「細胞外多糖」ポリマーとしても知られる)を形成する場合に形成される。バイオフィルム中に棲みこむようになった細菌は、プラクトン状態のままでいるもの(すなわち、単一細胞として漂っているもの)よりも除去又は殺傷がより困難であり、多くの抗生物質に対して耐性であり得る。研究では、バイオフィルム形成の減少において酸素が役割を果たし得ることが示唆されている。
【0009】
創傷治療は現在、全世界の総医療費の約4%を占めており、高齢化人口に伴い大幅に増加すると予想されている。創傷治療のための1つのアプローチは、患者への酸素の全身投与及び/又は局所的局所送達のいずれかによって、損傷組織の環境における酸素圧を増加させることである。
【0010】
酸素ガスが患者に供給される酸素ガス療法は、慢性創傷の治療への使用が十分に確立されている。場合によっては、創傷組織は拡散によって直接酸素化されうる。あるいは、酸素ガスが血液中に溶解し、それによって血中酸素レベルが上昇し、体組織への酸素の送達を促進する。創傷組織中の酸素レベルを上げることは、治癒過程を助ける。
【0011】
現在、創傷治癒のために最も一般的に使用されている酸素ベースの治療法は、HBOT(高気圧酸素療法)である。これは、患者を圧力室内に配置することを含み、治療は、周囲圧力より高い圧力で供給される純酸素ガスへの曝露及び呼吸を基とする。しかしながら、この治療には特殊な設備と高度に熟練した人員が必要であり、医療システムに高いコストをもたらす。治療はまた、治療を受けている間に患者の可動性を著しく低下させる。HBOTの他の不利な点は、それが患者にとって時間がかかり不快であること、 多くの患者が治療中に閉所恐怖症及び気圧外傷を経験すること、そして酸素毒性及びその結果生じる臓器損傷の可能性が高まる一方で、創傷部位(血液循環の乱れによる)において酸素富化雰囲気から低酸素組織への酸素の移動が不十分となるかもしれないことである。
【0012】
HBOTに代わるものとしては、局所的酸素療法(TOT)及び酸素ガス連続拡散(CDO)が挙げられる。これらは創傷部位へ直接的に、連続的又は特定の治療期間の間、局所的に酸素ガスを拡散させることを含む。TOTは、酸素ガスを供給され、大気圧よりわずかに高い圧力で加圧されている、患者の肢を包むスリーブを介して達成される。しかしながら、局所酸素の吸収の深さ、従ってその有効性に関しては、論争がある。CDOは継続的で持続的な酸素療法を提供する。CDO療法は、創傷被覆材と一緒に使い捨て式酸素濃縮器及びカニューレを使用して、創傷に酸素を連続的に供給する。1日24時間治療を受けている間、患者は自由に移動できる。
【0013】
創傷治療への他のアプローチとしては、酸素化被覆材(oxygenated dressing)の使用が挙げられる。これらは酸素療法の安価なオプションであるが、現在市場に出ている製品の数は限られている。これらは、主に酸素気泡の形態で酸素を取り込んでいるか、又は使用中に酸素ガスを発生する成分を含有する。そのような製品の例としては、OxyBand(登録商標)、OxygeneSys(登録商標)とOxyzyme(登録商標)被覆材が挙げられる。
【0014】
OxyBand(登録商標)被覆材(OxyBand Technologies、米国ミネソタ州、米国)は、方向透過性のガス放出リザーバを使用して、治療される創傷に高濃度の純酸素を局所的に送達する。酸素は、閉塞性の上層と下層の酸素透過性フィルムとの間の貯蔵部に貯蔵され、これにより包帯剤が創傷液を酸素で過飽和させることが可能になる(Lairet et al., J. Burn Care Res.35(3):214-8, 2014; Lairet et al., abstract at The Military Health Services Research Symposium, 2012; and Hopf et al., abstract of the Undersea & Hyperbaric Medical Society Annual Scientific Meeting, 2008).
【0015】
OxygeneSys(登録商標)被覆材は、酸素ガスを封入した独立気泡フォーム構造を形成するポリアクリレートマトリックスを含む。マトリックスのフォーム気泡の壁が溶存酸素を含む。被覆材が滲出液、食塩水又は水で湿らされると、被覆材内の気体酸素が液体に溶解し始めるが、酸素の放出速度は遅く、15mg/Lに達するまでにすぎない(例えば、米国特許第7,160,553号参照)。
【0016】
Oxyzyme(登録商標) は、互いの上に積層された2つのポリスルホン酸シートヒドロゲルを含む酵素活性化ヒドロゲル被覆材システムである。被覆材内にはオキシダーゼ酵素、グルコース及びヨウ化物も含まれる。包装から取り出して創傷と接触させると、最上層内のオキシダーゼ酵素が空気中の酸素と接触し、被覆材の2つの層の間の接触によって活性化される。酵素と酸素との反応は、被覆材内に過酸化水素を生成し、過酸化水素が創傷に面する表面に達すると、被覆材のヨウ素成分との相互作用によって溶存酸素に変換される(IIvins et al., Wounds UK, Vol. 3 No. 1, 2007; and Lafferty et al., Wounds UK, Vol. 7 No. 1, 2011)。
【0017】
酸素化被覆材は高圧室よりも創傷環境への局所酸素供給が改善しており、ケーススタディで有望な結果を示している(例えばLairet et al., 2014; Lairet et al., 2012; Hopf et al., 2008; Ivins et al., 2007; and Lafferty et al., 2011 (all as above); Roe et al., Journal of Surgical Research 159: e29-e36, 2010; Zellner et al., Journal of International Medical Research Vol. 43(1), 93-103, 2014及びKellar et al., Journal of Cosmetic Dermatology 12:86-95, 2013を参照)。しかしながら、これらの現在入手可能な製品の酸素濃度/入手可能性及び酸素安定性の文献は限られており、これらは広く使用されていない。
【0018】
最近の研究では、直接組織を酸素ガスにさらすことと比較して、溶存酸素がより効率的に組織に拡散し浸透することが示された(例えばRoe et al., 2010(上記)、St[ue]ker, J. Physiol. 538(3): 985-994, 2002; Atrux-Tallau et al., Skin Pharmacol. Physiol. 22: 210-217, 2009; Reading et al., Int. J. Cosmetic Sci. 35:600-603, 2013; 及び Charton et al., Drug Design, Devel. and Ther. 8:1161-1167, 2014を参照)。既存の治療法はいずれも、障害組織への高レベルの溶存酸素の直接送達を可能するものではない。ほとんどの場合、これらは酸素を、有効となる前に(例えば、創傷滲出液又は他の細胞液中に)溶解しなければならない気体の形態で送達する。これは治療の有効性を制限する。OxygeneSys(登録商標) 被覆材は、フォームマトリックスの壁を覆う水分中にいくらかの溶存酸素を含み、酸素の放出速度は高々15mg/Lに達するまでにすぎない。したがって、溶解形態で組織に高レベルの酸素を直接提供する処置は有益である。
【0019】
障害組織を治療するために酸素を送達するための代替手段が必要とされている。特に、炎症組織を含む障害組織に酸素を溶解形態で送達し、炎症性ざ瘡及び創傷、特に慢性的な皮膚の傷などの状態の治癒率を改善しうる、患者にとっての不便を最小限に抑えながら費用効果の高い治療が必要とされている。本発明はこれらの要求に応えるものである。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、正常な代謝状態の治癒、再生又は回復を補助するために、障害を有する身体組織、例えば炎症を起こした組織又は創傷部位に、酸素を送達する代替的方法を提供する。本発明はさらに、外観を改善又は増強するために、患者の体表面(例えば皮膚の表面)に酸素を送達する方法を提供する。
【0021】
少なくともいくつかの実施形態では、本発明は、酸素ガスよりも組織内により迅速に浸透することができる溶存酸素の形態で高安定レベルの酸素を体組織に供給する酸素送達のための改良された方法を提供する。
【0022】
具体的には、本発明者らは、高レベルの溶存酸素を含む新規な局所調合物を開発した。使用の際には、これらは、その大きさ及び位置に関係なく標的組織に適用するのに便利な「液体」(増粘された、又は「粘性の」液体を含む)の形態で提供される。投与後、これらは粘度の増加を示し、標的である組織の幾何学的形状に適合し且つ障害組織との接触点で溶存酸素を直接放出することができるゲルに変換される。かかる調合物は、本明細書において「in-situゲル化(in-situ gelling)」と称される。
【0023】
調合物は体組織に直接適用されてもよく、又はこれらは体の所望の領域に適用されることが意図されている適切な送達手段(本明細書では「送達デバイス」)に組み込まれてもよい。例えば、調合物は、被覆材、包帯、又は標的部位への適用に適した他の創傷被覆材の中に、又はそれらの構成要素として提供されてもよい。
【0024】
したがってある態様では、本発明は、溶存酸素と、体表面又は体組織に接触すると治療上有効量の溶存酸素を放出することができるゲルを形成することができる物質と、を含む液体調合物を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の液体調合物をゲル化させることによって得られる酸素放出ゲルを提供する。
【0026】
さらなる態様において、本発明は、医療における使用のための又は医薬としての使用のための、本明細書中に記載される処方物又は酸素放出ゲルを提供する。
【0027】
別の態様において、本発明は、哺乳動物被対象(例えば、ヒト)の障害を有する体表面又は体組織を治療する方法を提供し、該方法は、
(i)溶存酸素と、前記表面又は組織に接触するとゲルを形成することができる物質と、を含む有効量の液体調合物を前記表面又は組織に適用すること、ここで前記ゲルは治療上有効量の溶存酸素を放出することができる;及び
(ii)前記調合物が固化することによりゲルを形成すること、を含む。
【0028】
別の態様では、本発明は、哺乳動物対象(例えばヒト)の障害を有する体表面又は体組織を治療する方法に使用するための医薬の製造における、本明細書に記載の液体調合物の使用を提供する。
【0029】
別の局面において、本発明は、哺乳動物対象(例えば、ヒト)の障害を有する体表面又は体組織の治療に使用するためのキットを提供する。該キットは、
(a)本明細書に記載の液体調合物を含有する密封された容器又は包装;及び
(b)送達デバイス、例えば創傷被覆材又は包帯を含む。
【0030】
キットはさらに、障害組織の局所治療におけるキットの構成要素の使用のための説明書、例えば本明細書に記載の任意の方法に従う使用のための説明書を含み得る。
【0031】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の液体調合物がその中に組み込まれた送達デバイス(例えば創傷被覆材又は包帯)を提供する。
【0032】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物対象(例えば、ヒト)に対して施される美容処置方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載の液体調合物を前記対象の皮膚の表面に投与する工程を含む。
【0033】
ある実施形態では、本発明は、安定した制御された高レベルの溶存酸素を障害組織に送達し、市場で入手可能な最も一般的に使用される酸素療法よりも低いコストで組織治癒速度を改善することができる調合物を提供する。
【0034】
ある実施形態では、本明細書に記載の液体調合物は、皮膚又は他の体組織に塗布したとき、例えば使用時に被覆材又はフィルムで覆われている場合、長期間、例えば少なくとも30時間、酸素安定性(oxygen stability)を有するゲルを形成することができる。
【0035】
本明細書に記載の製品及び方法は在宅ケアに適しており、医療費を削減し、例えば長期入院の必要性を回避しながら、治療中の患者が完全に可動であることも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】皮膚モデルに適用したときの本発明による調合物(「オキシ被覆材」)の安定性を示す。元の溶存酸素レベルが32mg/Lである「オキシ被覆材」の溶存酸素レベルは、密閉系で保管した場合、35℃で30時間以上、25 mg/L超に維持された。対照の被覆材は元の溶存酸素濃度が14 mg/Lであり、約5時間後に2.5 mg/Lに低下した。
図2】本発明による調合物(「オキシ被覆材」)のレオロジーを示す。MilliQ及び「Oxy Water」中のLutrol F127の上昇温度に対する粘度(G:剪断弾性率複素成分)の影響が示されている。提示されたデータは各調合物についての一つの個試料の代表的な測定値である。
図3】本発明の調合物(「オキシ被覆材」)の貯蔵寿命を示す。溶解酸素は、室温(20℃)又は冷蔵庫(4℃)で7週間まで貯蔵した後の「オキシ被覆材」中のウィンクラー滴定によって測定した。「オキシ被覆材」は、4℃で保存した場合は30mg/Lを超え、室温でキャップ付きガラスバイアルに保存した場合は20mg/Lを超える、安定した溶存酸素レベルを8週間維持しました。データは平均±SDとして提示されている。
図4】本発明による調合物(「オキシ被覆材」)のpH安定性を示す。5℃及び23℃で3ヶ月間貯蔵された、20mM酢酸緩衝液及びMilliQ水中に配合したLutrol F127のpH値を示す。「オキシ被覆材」は、20mM酢酸緩衝液中で調製した場合、3ヶ月間安定したpHを維持した。 結果は、3〜9の異なるサンプルの個々の測定値からの平均及び標準偏差として提示されている。
図5】ヒト皮膚線維芽細胞に対する溶存酸素(DO)−アデノシン三リン酸(ATP)のin vitro効果を示す。平均nmol/10生細胞±SDとして表されるATPレベルを、対照培地(10重量%FBS、8mg/L DOのDMEM)、10重量%FBS及び33.0mg/L DOのDMEM中で4時間インキュベートしたヒト皮膚線維芽細胞、又は陽性対照(HeLa細胞、10%FBS、8mg/L DOを含むDMEM)において測定した。細胞をそれぞれの条件で1、2及び3時間後に再刺激した。33mg/L DO(113.1nmATP/10細胞)で処理した細胞及び陽性対照(191.6nmATP/10細胞)は、4時間後に、対照(70.9nm/10細胞)よりも有意に高いATPレベルを有していた(n=3、p<0.05)。
図6】ヒト皮膚線維芽細胞−増殖に対する溶存酸素(DO)のin vitro効果を示す。細胞を、高レベルのDOを含む(23〜50mg/L)又は含まない(11mg/L) 1重量%FBS含有DMEM 、又は10重量%FBS含有DMEM(11mg/L、陽性対照)中で増殖させた。培地は毎日交換した。2日目に、3及び4細胞を採取し、血球計を使用して手動で計数した。細胞を50mg/LまでのDOで処理しても、ヒト皮膚線維芽細胞の増殖速度は、対照と較べて有意には変化しなかった。データは平均±SD(n=4)として表される。
図7】皮膚線維芽細胞−細胞生存率に対する溶存酸素(DO)のin vitro効果を示す。細胞を、高レベルのDOを含む(23〜50mg/L)又は含まない(11mg/L)1重量%FBS含有DMEM 、又は10重量%FBS含有DMEM中で増殖させた。1%トリトンXを陽性対照として使用した。培地は毎日交換した。2日目に、3及び4細胞を回収し、トリパンブルーと混合し、TC20自動細胞計数器を用いて死細胞を計数した。細胞を50mg/LまでのDOで処理しても、死細胞の数は、4日間にわたって対照と較べて有意には変化しなかった。データは全細胞に対する死細胞の百分率として表され、平均±SDを表す(n=4、p<0.05)。
図8】ヒト皮膚線維芽細胞−活性酸素種(ROS)に対する溶存酸素(DO)のin vitro効果を示す。相対蛍光(×10±)SDとして表されるROSレベルを、対照(5重量%FBS含有DMEM、8.6mg/L DO)、3つの異なる濃度のDO(5重量%FBS含有DMEM、21.6、26.5、又は34.9mg/L DO)、又はH陽性対照(5重量%FBS含有DMEM、8.6mg/L DO及び500μMのH22)中で30分間インキュベートしたヒト皮膚線維芽細胞において測定した。陽性対照(H22)は、対照と比較して有意に高いレベルのROSを有していた。DO(21〜35mg/L)で処理した細胞と対照で処理した細胞との間にROS産生の有意差はなかった(n = 3、*p<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義:
別途定義されない限り、本明細書で使用される「液体」という用語は、自由に流れ、一定の体積を維持する物質を指す。これは濃厚な液体及び流れる粘性液体を含む。「液体」は、典型的には、その貯蔵弾性率(G’)より大きい損失弾性率(G’’)及び1より大きい損失正接(tanδ)を有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「ゲル」は、自己保持性であるが変形可能である、すなわち固体ではない物質を指す。典型的には、「ゲル」は、その貯蔵弾性率(G’)未満の損失弾性率(G’’)及び1未満の損失正接(tanδ)を有する。
【0039】
貯蔵弾性率(又は「弾性率」)G’は、材料の弾性的性質を表す。損失弾性率(又は「粘性率」)G’’は、材料の粘弾性的性質を表す。ゾル−ゲル材料の場合、損失正接(tanδ)は、貯蔵されたエネルギーに対する失われたエネルギーの比の尺度である。「ゲル」の形成は、G’’がG’に等しく、tanδが1に等しいときに起こる。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「熱ゲル化」とは、約20〜25℃の範囲の周囲温度(室温)で一般に液体であるが、より高い温度で、例えば約30〜40℃、好ましくは約34〜約37℃、例えば約34〜約35℃の範囲の体温において、ゲル化する調合物を指す。 好ましくは、調合物は約30〜約37℃の範囲で液体からゲルへの転移を起こす。
【0041】
「ゾル−ゲル転移温度」は、熱ゲル化調合物が液体からゲルへ転移する温度である。
【0042】
本明細書で使用される「送達デバイス」という用語は、体組織又は体表面に適用され、溶解酸素を体組織に送達するために適所に留まることが意図される、任意のデバイスを意味する。送達デバイスは、創傷被覆材、創傷被覆材、包帯、パッチ、プラスターなどの材料を包含する。後述するように、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の酸素化液体調合物を含むそのような送達デバイスに関する。
【0043】
「障害組織」は、生物の、正常な代謝状態にはない任意の組織又は細胞を含む。障害組織は、炎症を起こした及び/又は感染した組織、並びに、低酸素状態、閉塞(occlusions)、閉塞(blockages)、外科手術、変性過程又は外傷性損傷によって引き起こされるもののような、血液供給が減少又は中断されている任意の組織を含む。組織又は細胞は、治療の時点で生体内に存在する必要はなく、例えばこれらは移植を待っている組織又は細胞であってもよく、あるいは培養皿中で増殖していてもよい。
【0044】
「創傷」は、物理的、化学的又は熱的損傷から、あるいは基礎的な医学的又は生理学的状態の結果として生じ得る、皮膚のあらゆる欠陥又は破壊を含む。創傷は、急性創傷又は慢性創傷として分類され得る。
【0045】
「細菌性バイオフィルム」は、細菌によって産生され、体表面に付着する、細胞外高分子物質(EPS)マトリックス内に含まれる細菌の集団を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「化粧料」は、美容用途、例えば調合物が適用される対象(例えばヒト対象)の外観を向上、改善、又は維持することのみを目的とする調合物又は治療方法を定義することを意図する。
【0047】
本発明による調合物は、所望の標的部位に都合よく適用される液体の形態で提供される。液体は標的組織と密接に接触し、そして一旦適所に固化又は硬化して標的部位に留まるゲルを形成し、組織との適合性を維持し、制御された方式で活性酸素を送達することができる。ゲルはまた、標的組織を保湿するのにも役立つ。得られたゲルは、それを形成した液体調合物よりも高い粘度を有する。ゲルは自己保持性であり、もはや流動しない。
【0048】
液体調合物は、その中に少なくとも1種のin-situゲル化剤があることにより、標的部位でゲルを形成し得る。固化すると、ゲルは下にある組織の性質に応じて多様な異なる形態をとることができ、例えば治療される組織を覆うブロック、シート又はフィルムを形成することができる。
【0049】
局所調合物に使用するためのin-situゲル化剤は、一般に当技術分野において公知である。適切なゲル化剤(又はかかる薬剤の組み合わせ)は、調合物の残りの成分との適合性の必要性や生理学的許容性の必要性などの要因を考慮して、当業者によって容易に選択されよう。
【0050】
ある実施形態では、ゲル化剤は、温度上昇などのin vivo状態にさらされるとゲルを形成する薬剤である。そのようなゲルの例には、熱ゲル化組成物が含まれる。熱ゲル化組成物はより高い温度で、好ましくは体温で、粘度の増加を示し、接着性であい粘性である「ゲル」を形成する。本発明のある実施形態では、in-situゲル化調合物は熱ゲル化性である。
【0051】
本発明の文脈において、熱ゲル化調合物は、周囲温度で約150Pa未満、より適切には約100Pa未満、好ましくは約0.01〜50Pa程度の、低い貯蔵弾性率(G’)を有し得ることが適切である。 体温(すなわち、一旦ゲル化した)での貯蔵弾性率は、典型的には5,000〜30,000Pa、好ましくは8,000〜20,000Pa、より好ましくは15,000〜19,000Pa、例えば約17,000〜18,000Paの範囲であり得る。
【0052】
界面活性ブロックコポリマー、多糖類(例えばセルロース誘導体、キシログリカン、及びキトサン)及びN−イソプロピルアクリルアミドなどの、熱ゲル化特性を有する多くの材料が、局所適用について知られている。
【0053】
適切な熱ゲル化剤の例には、ポリオキシ(エチレン)とポリオキシ(プロピレン)の非イオン性ブロックコポリマーであるポロキサマーが含まれる。これらは以下の一般式で表すことができ、ここで「a」は親水性エチレンオキシド鎖の数を表し、「b」は疎水性プロピレンオキシド鎖の数を表す。
【0054】
【化1】
【0055】
この式において、「a」は12〜101の範囲の整数であり、「b」は20〜56の範囲の整数である。
【0056】
ポロキサマーは、液体から固体まで様々なグレードで市販されている。「a」及び「b」の値を変えることによって、ポロキサマーの他の特性、例えばゲル化温度(Tsol−gel)を、所望通りに調整することもできる。それらの特性は、異なる分子量を有する異なるポロキサマーをブレンドすることによっても調整することができる。
【0057】
本発明における使用のための適切なポロキサマー及びポロキサマーブレンドは、当業者によって選択され得る。本発明では、約25℃を超える、例えば25〜37℃の範囲の熱ゲル化温度を有するものを使用することができる。
【0058】
適切なポロキサマーの例には、ポロキサマー407、188、338、124、237、及びそれらの混合物が含まれる。これらは、多くの供給業者から、例えば商品名Pluronic(登録商標)としてBASFから、又は商品名Kolliphor(登録商標)としてSigma-Aldrichから、市販されている。
【0059】
本発明における使用に好ましいのは、「a」が95〜105であり、「b」が54〜60である(分子量分布の最大値において、「a」は約101であり、「b」は約56である)、ポロキサマー407(Pluronic(登録商標)F127)である。この特定のポロキサマーは25〜40℃の範囲で熱ゲル化する。
【0060】
他の好ましいポロキサマーとしては、ポロキサマー188(Pluronic(登録商標)F68)(「a」は75〜85、「b」は25〜40であり、分子量分布の最大値において、「a」は80、「b」は27である)、ポロキサマー338(Pluronic(登録商標)F108)(ここで、「a」は137〜146であり、「b」は42〜47である)、及びポロキサマー124(Pluronic(登録商標)L44)(「a」は10〜15であり、「b」は18〜23である)が挙げられる。
【0061】
適切なポロキサマーブレンドは、高分子量ポロキサマー及び低分子量ポロキサマーを含み得、好ましくは、低分子量ポロキサマーより過剰の高分子量ポロキサマーを含む。ある実施形態において、ブレンドは、ポロキサマー407とポロキサマー188との組み合わせを含み得る。この場合、ポロキサマー188を添加して、ゲル化を増進し、周囲温度での調合物の粘度を改善することができる。代替のブレンドは、ポロキサマー407とポロキサマー124から形成されるものである。この場合、液体ポロキサマー124を添加すると、周囲温度条件下における調合物の加工性が向上する。他の適切な組み合わせは、当業者によって容易に決定されよう。
【0062】
ポロキサマーの適切なブレンド及びポロキサマー成分の比率は、ブレンドの所望の特性、例えば所望のゲル化温度に従って、選択することができる。異なる分子量を有する2種のポロキサマーを含む混合物を使用することができる。2種のポロキサマーが存在する場合、より高い分子量のポロキサマーが一般に主成分を形成するであろう。例えば、2つのポロキサマーが、5:1〜50:1、好ましくは10:1〜25:1、例えば10:1〜15:1の比(高分子量ポロキサマー:低分子量ポロキサマー)でブレンド中に存在してもよい。好ましいブレンドは、ポロキサマー407とポロキサマー188を約18.5:1.5の比で含むものである。
【0063】
ポロキサマーの適切な濃度は、調合物中に存在する他の成分及びこれがin-situでゲルを形成するという要件を考慮して、当業者によって決定され得る。典型的には、ポロキサマー(又はポロキサマーの混合物)は、調合物の総重量基準で、約15重量%以上の量で液体調合物中に存在するであろう。例えば、ポロキサマー濃度は、10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の範囲、例えば16〜20重量%であり得る。ポロキサマー濃度はTsol-gelに影響を及ぼし(これはポロキサマー濃度の増加と共に減少する)、これに応じて調整することができる。
【0064】
ゲル化を助けるために、他の成分が熱ゲル化調合物中に存在してもよい。他の成分には、Carbopol、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、親水コロイド、アルギン酸塩、ヒドロゲル、ポリウレタン、コラーゲン、キトサン、及びヒアルロン酸などの増粘剤が含まれる。一般的に理解されているように、追加の増粘剤が存在する場合には、in-situゲル形成システムの調製に必要なポロキサマーの濃度は低い可能性がある。追加のゲル化剤の存在は任意である。
【0065】
ある実施形態では、本発明による調合物はさらにヒドロゲルを含んでもよい。ヒドロゲルは、構造を維持しながら、水中で膨潤し、大量の水を保持することができる、不溶性の親水性ポリマーのネットワークである。三次元ネットワークは、例えば共有結合、水素結合、ファンデルワールス力又はイオン結合によるポリマー鎖の架橋によって形成される。適切なヒドロゲル材料は製薬業界において周知であり、当業者によって容易に選択され得る。ヒドロゲル材料としては天然及び合成ポリマー材料の両方が挙げられる。適切な材料の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微結晶セルロース、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ガム(例えば、アカシアガム、トラガカントガム)。ゼラチン、カラギーナン、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、ペクチン、カルボマー、加工デンプン、ポリ(メタクリレート)、及びポリビニルピロリジン。
【0066】
ある実施形態では、ヒドロゲル材料は、キトサン、デキストラン、ヒアルロン酸、寒天、アルギン酸塩、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、グリコーゲン、カラギーナン、ガラクトマンナン及びそれらの組み合わせを含む多糖類であり得る。
【0067】
ヒドロゲルは、死んだ組織を再水和し自己分解性創面切除を促進することにより、乾燥した、むらのある、又は壊死性の創傷を治療することに特に適している。ヒドロゲルはまた湿潤療法を促進するのに役立ち、非付着性であり、創傷の表面を冷却する。
【0068】
熱ゲル化調合物中に存在し得る他の成分には、生体接着剤、例えば粘膜付着性ポリマーが含まれる。
【0069】
本発明の調合物は、溶解した分子状酸素を含有し、これをin-situゲル化に続いて標的組織に放出することができる。これは活性物質として機能し一定レベルの酸素を組織に供給することを意図しているので、その濃度はそれに応じて選択されるべきである。正確な酸素レベルは、調合物の正確な性質(例えば、存在する可能性がある他の成分及び酸素の存在下でのそれらの安定性)、意図される用途及び任意の治療の期間、投与される患者を含む、様々な要因に依存する。適切なレベルは、必要に応じて当業者によって容易に決定され得る。
【0070】
典型的には、調合物は約10mg/L以上、好ましくは約15mg/L以上、例えば約20mg/L以上、そして好ましくは約100mg/L以下、例えば約10〜100mg/L、好ましくは約15〜70mg/L、約20〜60mg/L、又は約25〜50mg/Lの溶存酸素を含み得る。上昇したレベル、例えば25mg/L以上又は30mg/L以上の酸素を含む調合物が特に好ましい。ある一連の実施形態では、溶存酸素レベルは、30〜55mg/L、例えば35〜50mg/L、又は40〜50mg/Lの範囲であり得る。
【0071】
創傷治癒プロセスは、損傷組織の完全性及び欠失組織の置換を再確立するために様々な細胞成分及びマトリックス成分が一緒に作用する様々な重複段階を含む。これらは一般に、止血期、炎症期、遊走期、増殖期及び成熟期を含むと考えられている。急性低酸素症は血管形成を刺激し、一方、組織酸素レベルの上昇は上皮化及び線維芽細胞を刺激する。創傷治癒の様々な段階の間に様々な濃度の酸素を使用することができる。
【0072】
本発明の重要な面は、調合物が高くかつ安定したレベルの溶存酸素を含み得ることである。これに関連して、「安定した」とは、適切な貯蔵条件下、例えば4℃〜25℃の範囲の温度、好ましくはより低い温度、例えば2〜4℃の範囲で保存された場合に、調合物が2週間以上、好ましくは6ヶ月間以上その酸素レベルを維持することを意図する。本発明のさらなる面は、例えば皮膚への適用後、及び場合によっては閉塞後に(例えば適切な創傷被覆の適用によって)標的組織に適用されると、調合物が高安定レベルの溶存酸素を維持できることである。 )好ましくは、「安定した」レベルの溶存酸素は、施用後4時間以上、好ましくは30時間以上維持される。
【0073】
調合物中に存在する酸素は、生理学的に許容される水性媒体、例えば生理的塩類溶液(例えば食塩水)又は水に溶解されるであろう。典型的にはこれは生理的塩類溶液であろう。
【0074】
溶存酸素を含有する水などの液体、及びそれらの調製方法は、先行技術において一般的に知られている。本明細書に記載の調合物を調製する際には、これらの液体のいずれも使用することができる。本発明での使用に特に好ましいのは、酸素濃度が高く、液体中の酸素の経時的な保持率が高い液体である。そのような液体の例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第02/26367号及び国際公開第2010/077962号に記載されているものである。本発明による調合物の調製に使用するための高レベルの酸素を有する液体は、そこに記載された方法に従い、記載された装置によって、簡便に製造することができる。本発明の調合物を製造するために使用される高レベルの酸素を有する液体(例えば水)は、これらの先の出願に記載されている方法に従って製造することができる。そのような方法は以下のステップを含む。
【0075】
・加圧された液体を配管ネットワークに導入して流れを形成する。
・必要ならば、コロイド状ミネラルを所望の濃度で流れに添加する。
・気体状態の酸素を流れの中に注入して、液体と酸素の泡との混合物を生成する。
・ベンチュリ管と、ベンチュリ管を横切って所望の磁場強度の磁場を印加するための、ベンチュリ管に隣接しかつベンチュリ管に沿って整列されている磁石と、を含む線形流加速器を提供する。
・流動する液体と気体状態の酸素の泡との混合物に線形流加速器を通過させて、流動混合物を加速し、続いて流動混合物を音速未満の速度まで減速させて、気体状態の酸素の泡を崩壊させる。
【0076】
上記の方法を使用する酸素化は、高くかつ安定な酸素含有量を有する酸素化液体(例えば水)を製造することを可能にする。液体が水の場合、酸素の溶解度は約7mg/Lから50mg/L、60mg/L、70mg/L、又はそれ以上に増し、酸素含有量は冷却されたボトル内で数ヶ月間実質的に安定である。
【0077】
液体の過酸素化について先行文献に記載されている方法の結果として、酸素化液体はある量のコロイド状ミネラル、例えば10〜50ppmのコロイド状ミネラルを含む。「コロイド状ミネラル」とは、それが存在する液体中に懸濁したままである不溶性無機微粒子、すなわち本発明に従って使用される液体中で実質的に溶解しないままである物質、特に水に不溶性の物質を意味する。 コロイド状ミネラルは、典型的には1〜1000nm、特に2〜200nm、例えば10nm未満の平均粒径(例えば平均平均粒径)を有する。ナノ粒子のサイズを決定するための方法はよく知られており、動的光散乱、レーザー回折及び顕微鏡、例えば走査電子顕微鏡及び原子間力顕微鏡が挙げられる。
【0078】
コロイド状ミネラルは、コロイド状粒子の表面にイオンを静電吸着させることを特徴とする。この吸着は一次吸着層を作り出し、それがコロイド粒子の表面に実質的な吸着層を作り出す。この表面電荷は2つの機能を果たす。(1)表面電荷が互いに接近すると2つの粒子間に反発力が生じるようにし、(2)表面電荷が反対に荷電したイオンを粒子の近くに引き付ける。結果として、イオン「雲」又は「二重層」が荷電粒子の周りの溶液中に形成され、イオンは液体全体に分散される。従って、コロイド状ミネラルは、それらが存在する液体(例えば水)が酸素を吸収し保持する能力を高めることができる静電表面イオン吸収特性を提供する。本明細書に記載の調合物を調製する際に使用するための液体(例えば水)中に存在し得るコロイド状ミネラルの量及び種類は、任意の所与の用途の要件、例えば所望の酸素含有量に依存する。
【0079】
適切なコロイド状ミネラルの例には、アルミニウム、硫黄、鉄及びフッ化物が含まれる。使用可能な具体的なミネラル組成物には、Rockland Corporation(米国オクラホマ州タルサ)によりBody Boosterの商標で、またTRC Nutritional Laboratories、Inc.(米国オクラホマ州タルサ)によりTRC Minerals(登録商標)の商標で製造されたものが含まれる。77LPPM TRCミネラルの適切な処方は、国際公開第2010/077962号の図2の表に記載されている。
【0080】
上記のようにして製造された、高レベルの酸素を有する液体は、安定であり、本発明に従う調合物の製造において、製造と使用との間にタンク中に貯蔵するか又は瓶詰めにすることができる。
【0081】
別の実施形態では、本発明の調合物を調製するために使用される酸素化液体は、コロイド状ミネラルを使用せず、磁場も印加しない、国際公開第02/26367号パンフレット及び国際公開第2010/077962号パンフレットに開示されたものの発展形である方法及び装置を使用して製造しうる。そのような装置は以下を含む:
装置内に液体(例えば水)を供給するための液体入口;
装置内の液体に酸素を供給して液体と酸素との混合物を生成するための酸素入口。この酸素入口は、液体入口と流体連通しており、その下流にある;
液体入口と酸素入口とに流体連通しており、それらの下流にあるベンチュリ管。ベンチュリ管は、ベンチュリ管を通過する液体に酸素を溶解するように構成されている;及び
ベンチュリ管と流体連通しており且つベンチュリ管の下流側にある、酸素を供給された液体(例えば水)のための出口。
【0082】
この装置は、液体及び酸素の入口と出口と、それらの間にあるベンチュリ管とを含む。液体及び酸素は、それぞれの入口を介して装置に供給され、酸素入口は、酸素が液体流に注入されるように、液体入口の下流に配置されている。次に、この液体と酸素の混合物は、例えば液体入口と酸素入口とに流体連通しそれらの下流にある導管を介して、ベンチュリ管に送られる。導管は液体と酸素をベンチュリ管に供給するように構成されている。流路内にベンチュリ管が形成する絞り(restriction)が、液体と酸素の混合物をベンチュリ管を通して加速させ、次に反対側で減速させ、液体と酸素の混合物に衝撃波を発生させ、液体に酸素を溶解させ、液体を酸素化する。
【0083】
装置は、酸素入口及び液体入口(及びそれが設けられている実施形態では拡散チャンバ)と流体連通しかつそれらの下流にある混合チャンバを備えることができる。混合チャンバは、それを通過する流体内に乱流を誘発するように構成されている。混合チャンバは、混合チャンバを通って流れる液体と酸素との乱流を生成し、酸素を液体内で小さな気泡に分解し、混合チャンバ内及び装置の下流において、例えばベンチュリで、より容易に溶解させる。混合チャンバは、任意の適切かつ望ましい方法で、すなわち必要な乱流を誘発するように、配置されうる。例えば、混合チャンバは、1種又は複数種の障害物(例えば、流路内の障壁)及び/又は曲がりくねった経路を含み得る。
【0084】
この装置を使用するとき、ベンチュリ管を通過する酸素と液体(例えば水)の混合物は磁場にさらされる必要はなく、装置はベンチュリ管に供給される液体(例えば水)と酸素の混合物が実質的にコロイド状ミネラルを含まないように構成される。「実質的にコロイド状ミネラルを含まない」とは、存在するとしても無視できる量、例えば50ppm未満、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満であることを意図している。
【0085】
したがって、本発明で使用するための酸素化液体(例えば水)を製造するための代替的方法は、以下の工程を含み得る。
・加圧された液体(例えば水)を配管ネットワークに導入して流れを形成する。
・気体状の酸素を流れの中に注入して、液体と酸素の泡との混合物を生成する。
・ベンチュリ管を含む線形流加速器を提供する。
・流動する液体と気体状態の酸素の泡との混合物を通過させて、流動混合物を加速し、続いて流動混合物を音速未満の速度まで減速させて、気体状態の酸素の泡を崩壊させる。
【0086】
コロイド状ミネラル又は磁石の使用を伴わない液体を酸素化する方法もまた、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/071691号に記載されている。
【0087】
本明細書に記載された装置のいずれも、適切かつ所望されるように任意の液体と共に使用することができる。この文脈において、「液体」という用語は、従来の意味の液体のみならず、流動性の材料、例えば粘性(thickened)もしくは粘稠(viscous)な液体、又は流動性のゲルを含む。典型的には、酸素添加され、本発明の調合物を製造するために使用されるのは、生理的塩類溶液又は水であるが、他の液体もしくは他の「流動性」成分、又は調合物の成分が、その余の成分と混合する前に酸素添加されてもよい。あるいは、最終調合物の正確な性質及び成分に応じて、これらは最終形態で本明細書に記載されている装置及び方法のいずれかを使用して酸素化されてもよい。
【0088】
したがって、ある一連の実施形態では、酸素化調合物は、本明細書に記載のゲルを形成することができる物質を含む適切な液体調合物の酸素化によって調製することができる。例えば、これらは以下の工程を含む方法によって製造することができる。
・一つ以上のin-situゲル化剤(例えば、1種又は複数種のポロキサマー)を含む液体(例えば水)を配管ネットワークに導入して流れを形成する。
・気体状の酸素を流れの中に注入して、前記液体と酸素の泡との混合物を生成する。
・通過する液体に気体を溶解させるように構成されたベンチュリ管を通して、液体とガス状酸素気泡との流動混合物を通過させる。
【0089】
この方法では、流れを形成するために配管ネットワークに導入された液体を加圧することができるが、必須ではない。典型的には、配管ネットワークへの導入時点では加圧はなされないであろう。
【0090】
酸素化液体又は酸素化調合物の調製のための本明細書に記載された方法のいずれも、国際公開第2016/071691号パンフレットに記載されているように、in-situゲル化剤を含んでも含まなくてもよい)液体を保持容量(holding volume)(例えば、保持タンク)に導入する工程をさらに含んでもよい。液体と酸素との混合物を形成する前に液体を保持容量内に導入してもよいし、あるいはベンチュリ管の下流側で保持容量内に導入してもよい。保持容積は加圧されてもよいが、そうである必要はない。保持タンク内の液体は、必要ならば、液体の均一性を維持するために攪拌されてもよい。
【0091】
本明細書に記載の方法のいずれにおいても、酸素化用液体は、1種又は複数種の泡低減剤(例えば、シメチコン)をさらに含有してもよく、又は方法はさらなる泡低減工程を含んでもよい。 泡低減ステップは、任意の適切な所望の方法を含むことができ、それは酸素添加法の任意の適切な時点に設けることができる。ある実施形態では、泡低減ステップは、本明細書で説明されているように、液体を保持容量(例えば、保持タンク)に導入することを含みうる。
【0092】
本明細書に記載の装置は、20mg/L超、例えば40mg/L超、例えば50mg/L超、例えば60mg/L以上、例えば約70mg/Lの溶存酸素濃度を有する酸素化液体(例えば生理的塩類溶液又は水)を製造することができる。最大約100mg/L、例えば最大約90mg/L又は最大80mg/Lの酸素化レベルを達成することができる。そのような酸素レベルは、1種又は複数種のin-situゲル化剤(例えば、1種又は複数種のポロキサマー)を含有する液体を本明細書に記載のように装置を使用して酸素化する場合にも達成することができる。
【0093】
障害組織又は細胞の治療において、他の作用剤(active agent)を損傷部位に送達することは、有益であり得る。ある実施形態では、少なくとも1つの他の作用物質(active substance)、例えば他の作用物質の組み合わせも、調合物中に存在し得る。これらには、炎症を起こした組織、創傷、火傷などの障害組織の治療に適していることが知られている物質が含まれる。
【0094】
本明細書に記載の調合物のいずれにも存在しうる他の作用剤としては、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、成長因子、サイトカイン、ケモカイン(例えばマクロファージ化学誘引性タンパク質(MCP−1又はCCL2)、DNA、RNA、siRNA、マイクロRNAを含む核酸、ビタミン(例えばビタミンA、C、E、B)、ミネラル(例えば亜鉛、銅、マグネシウム、鉄、銀、金)、麻酔剤(例えばベンゾカイン、リドカイン、プラモキシン、ジブカイン)プリロカイン、フェノール、ヒドロコルチゾン)、抗炎症薬(例えばコルチコステロイド、ヨウ化物溶液)、保湿剤(例えばヒアルロン酸、尿素、乳酸、ラクテート、グリコール酸)、細胞外マトリックスタンパク質(例えばコラーゲン、ヒアルロナン、エラスチン)、酵素(例えば魚卵由来の孵化液中の酵素、又はサーモン卵抽出物などの卵抽出物中の酵素)、植物由来の幹細胞、卵由来又は卵殻由来の抽出物(例えばサケ卵から又は鶏卵からの抽出物)、植物抽出物、脂肪酸(例えばオメガ6脂肪酸又はオメガ3脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸)、及び皮膚浸透促進剤が挙げられる。
【0095】
成長因子は、通常の創傷治癒に強力で重大な影響を及ぼす。創傷修復は増殖因子(血小板由来増殖因子[PDGF]、ケラチノサイト増殖因子、及びトランスフォーミング増殖因子-β)によって制御される。PDGFは創傷治癒のほとんどの段階で重要である。PDGF−BB(Becaplermin)の組み換えヒト変異体は、糖尿病性潰瘍及び褥瘡に上首尾に適用されてきた。調合物中に配され得る増殖因子としては、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF又はFGF7)、血管内皮増殖因子(VEGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−b1)、インスリン様増殖因子(IGF−1)、ヒト成長ホルモン及び顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)が挙げられる。
【0096】
サイトカイン、例えばインターロイキン(IL)ファミリー及び腫瘍壊死因子−αファミリーは、基底膜の成分の産生の刺激、脱水の防止、炎症の増加及び肉芽組織の形成などの様々な経路による治癒を促進する。IL-6は好中球と単球によって産生され、治癒反応の開始に重要であることが示されている。それはケラチノサイトに対する分裂促進性及び増殖性の効果を有し、好中球に対して化学誘引性である。存在し得るサイトカインの例には、インターロイキン(IL)ファミリー、及び腫瘍壊死因子−αファミリーが含まれる。
【0097】
ビタミンC(L−アスコルビン酸)、A(レチノール)、及びE(トコフェロール)は強力な抗酸化作用と抗炎症作用を示す。ビタミンC欠乏症は治癒障害を引き起こし、コラーゲン合成と線維芽細胞増殖の減少、血管新生の減少、毛細管の脆弱性の増加、免疫反応の障害及び創傷感染に対する感受性の増加と関連する。同様に、ビタミンA欠乏症は創傷治癒障害を引き起こす。ビタミンAの生物学的特性には、抗酸化活性、線維芽細胞の増殖増加、細胞の分化と増殖の調節、コラーゲンとヒアルロン酸の合成の増加、MMPを介した細胞外マトリックスの分解の減少などがある。
【0098】
いくつかのミネラルは最適な創傷修復に重要であることが示されている。マグネシウムは、タンパク質及びコラーゲンの合成に関与する多くの酵素の補因子として機能し、一方銅は、シトクロムオキシダーゼ、細胞質ゾル抗酸化スーパーオキシドジスムターゼ、及びコラーゲンの最適な架橋に必要な補因子である。亜鉛は、RNAポリメラーゼとDNAポリメラーゼの両方の補助因子であり、亜鉛欠乏症は創傷治癒において重大な障害を引き起こす。鉄はプロリン及びリジンのヒドロキシル化に必要であり、その結果、重度の鉄欠乏はコラーゲン産生の低下をもたらし得る。
【0099】
調合物が皮膚状態の治療における使用を意図している場合、そのような状態の治療に適していることが知られている薬剤を含有してもよい。症状がニキビである場合、追加の薬剤としては、ビタミンA、アシトレチン、イソトレチニオン、トレチニオン及びタザロテンなどのレチノイド;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物;テトラサイクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノサイクリン、トリメトプリムなどの抗生物質;コ−サイプリンジオール、アゼライン酸及びそれらの誘導体などのホルモン;アダパレン;ニコチンアミド;及びサリチル酸が挙げられる。
【0100】
乾癬の治療には、追加の作用剤は、サリチル酸、コルチコステロイド、ビタミンD及びその誘導体、レチノイド、アントラリン(DNA複製を阻害する)、及びカルシニューリン阻害剤を含んでもよい。
【0101】
コラーゲンは、凝固の誘導から最終的な瘢痕の形成及び最終的な外観までの自然な創傷治癒過程において極めて重要な役割を果たす。コラーゲンは線維芽細胞の形成を刺激し、そして損傷した組織と接触すると内皮細胞の移動を加速する。キトサンは増殖期及び創傷治癒中の肉芽形成を促進する。
【0102】
存在し得る抗細菌剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アルコール、塩素、過酸化物、アルデヒド、トリクロサン、トリクロカルバン、塩化ベンザルコニウム、リネゾリド、キヌプリスチン−ダルフォプリスチン、ダプトマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、キノロン、モキシフロキサシン。
【0103】
化粧料調合物はまた、ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸、ヒドロキシ酸、ビタミン又はそれらの誘導体、レチノイド、セラミド、カルバミド(尿素)及びコエンザイムQ10などの、美容において一般に知られ使用されている他の活性成分を含み得る。
【0104】
他の作用物質の量は、作用の選択に応じて当業者によって容易に決定され得る。典型的には、これは1〜10重量%、例えば1〜5重量%(調合物の総重量に基づく)の範囲であり得る。化粧料調合物の場合、(調合物の総重量に基づいて)例えば70重量%まで、例えば30重量%までの高濃度の作用物質を含有することがある。
【0105】
本明細書に記載の調合物は水性であるが、純粋に水性である必要はない。
【0106】
液体調合物は、99重量%までの水を含み得る。典型的には、これらは50重量%以上の水、より好ましくは60重量%以上の水、さらにより好ましくは70重量%以上の水、例えば80重量%以上の水を含み得る。例えば、本明細書に記載の液体調合物は、80〜99重量%の水を含み得る。比較的高い含水量は、高い酸素レベルを保証し、溶存酸素の皮膚への急速な吸収をもたらし得る。
【0107】
例えば、存在する可能性のある脂溶性成分(例えば他の活性成分)を可溶化するために必要とされる可能性がある場合、本発明による調合物中に1種又は複数種の脂質又は油性担体も存在し得る。適切な脂質担体は周知であり、皮膚調合物において使用されており、任意の公知の担体が使用され得る。これらの例としては、脂肪、ワックス、油、遊離脂肪酸又はそれらのエステル、及び脂肪アルコール、例えばプロピレングリコール、イソノリン、グリセリン、DMSO、グリセリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも1つの脂質担体が存在する場合、これは、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、例えば3〜35重量%の範囲の量で提供されてもよい。
【0108】
ある実施形態では、調合物は、エマルジョン、例えば水中油型又は油中水型のエマルジョンの形態で提供されてもよい。好ましいエマルジョンは水中油型エマルジョン、特に50重量%を超える水を含むものである。
【0109】
エマルジョンは典型的には1種又は複数種の乳化剤を含むであろう。これらは、皮膚、特にヒトの皮膚に適用される調合物において一般に知られそして使用されている任意の乳化剤から選択することができる。そのような乳化剤には、非イオン性、カチオン性及びアニオン性の化合物が含まれる。乳化剤は、調合物中に0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、例えば1〜15重量%の範囲で存在してもよい。
【0110】
組成物が2つ以上の相を含む場合、水相は本明細書に記載の酸素濃度を有するであろう。
【0111】
ある実施形態では、調合物は、いかなる脂質材料も実質的に含まなくてもよく、例えばこれらは5重量%未満、例えば1重量%未満の脂質を含有するであろう。調合物は、別の実施形態では、脂質担体を含まず、したがって無脂質であり得る。
【0112】
本発明による調合物は、他の任意成分、例えば緩衝されたpHを維持する成分、又は浸透圧を意図する用途に適した範囲に維持する成分、又は組成物の安定性を維持する成分を含んでもよい。したがって、存在し得る他の成分としては、緩衝剤、pH調整剤、浸透圧調整剤、保存料(例えば、抗微生物剤)、抗酸化剤、カルボポール及びセルロース誘導体などのゲル形成剤、香料、着色剤などが挙げられる。
【0113】
緩衝剤の存在は、pHを生理学的レベル、例えば3〜9、好ましくは4〜7の範囲、例えば約5.5に調整するのに役立つ。緩衝剤の適切な選択はまた、調合物のイオン強度を制御するのに役立ち得る。使用され得る緩衝剤の例としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、及び酢酸塩が挙げられる。リン酸塩などの等張水性緩衝液が特に好ましい。適切な緩衝剤の例には、TRIS、PBS、HEPESが含まれる。
【0114】
アルカリ性のpHを有する創傷は、pHが中性に近い創傷よりも治癒率が低い。またいくつかの研究では、創傷の酸性環境が自然治癒過程を支え、微生物感染を抑制することが示されている。慢性創傷は典型的には上昇したアルカリ環境を呈し、例えば7.15〜8.9の範囲のpHを有し得る。したがって、創傷、特に慢性創傷の治療においては、酸性pHが有利であり得る。したがって、ある実施形態では、調合物は、2〜7の範囲のpHを有するように緩衝化されてもよい。例えば、3〜6.5、好ましくは5〜6、より好ましくは5〜5.5、例えば約5.1〜約5.5の範囲のpHに緩衝化されてもよい。
【0115】
存在し得るpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、酢酸、ホウ酸、アスコルビン酸、ヒアルロン酸、及びクエン酸が挙げられる。場合によっては、蜂蜜もpHを調整するために使用することができる。
【0116】
調合物の浸透圧を調整し、それによりそのin vivo許容度を高めるために、塩が存在してもよい。当技術分野において公知の、浸透圧を調節するための任意の適切な塩を使用することができる。浸透圧は、創傷の性質に応じて調整することができる。例えば、過剰な滲出液を有する人は高張ゲルから利益を得るかもしれないが、他の人にとっては低張又は等張ゲルがより適切であるかもしれない。適切な塩の一例は塩化ナトリウムである。これを(調合物の総重量に基づいて)約0.05〜約2重量%、例えば約0.2〜約1重量%の範囲の量で添加して等張性ゲルを形成することができる。低張性又は高張性ゲルを得るために必要に応じて、より多い量又はより少ない量を添加することができる。塩化ナトリウムの存在はさらに、得られるゲルを強化し、その生体接着力を高め、そしてTsol−gelを高めるのに役立つ。
【0117】
追加成分の選択は、一旦ゲル化したときにそれが調合物のゲル強度に及ぼす可能性のあるあらゆる悪影響を考慮に入れるべきである。したがって、ゲルの強度を低下させる可能性のある薬剤は、使用を控えめにするか、まったく使用しないべきである。
【0118】
存在し得る適切な防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、パラベン、ビタミンE、EDTA二ナトリウム、グリセリン、エタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
1種又は複数種の酸化防止剤の存在は、例えば、これらが酸化に敏感な他の成分を含み得る場合、本明細書に記載の調合物の貯蔵寿命を延ばすのに役立ち得る。存在し得る適切な抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム及びアスコルビン酸カルシウム);アスコルビン酸パルミテート、アスコルビルステアレート等のアスコルビン酸の脂肪酸エステル;α−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールなどのトコフェロール類;プロピルガレート、オクチルガレート、ドデシルガレート又はエチルガレート;グアイアック樹脂;エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸又はナトリウムエルトルビン;tert−ブチルキノン(TBHQ);ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);アノキソマー及びエトキシキンが挙げられる。本発明における使用に好ましいのは、例えばアスコルビン酸及びアスコルビン酸塩などの、水溶性の抗酸化剤である。
【0120】
本発明の調合物中の酸化防止剤の最適量は、調合物の種類、その酸素濃度、調合物中の酸素感受性化合物の存在及び量などを含む、いくつかの要因に依存するであろう。適切なレベルは当業者によって容易に決定される。しかしながら、酸化防止剤の量は典型的には、0.001重量%以上、特に0.01重量%以上又は0.03重量%以上であろう。酸化防止剤の量は、典型的には5重量%未満、特に2重量%未満又は1重量%未満、例えば0.02〜0.5重量%又は0.05〜0.2重量%であろう。
【0121】
皮膚浸透促進剤も存在してもよく、これらは調合物の活性を増強するのに有益な効果を有し得る。製薬の文献に知られ記載されている任意の皮膚浸透促進剤を使用することができる。これらには、以下のいずれかが含まれ得るが、これらに限定されない:脂肪酸(例えばオレイン酸)、ジアルキルスルホキシド(例えばジメチルスルホキシド、DMSO)、アゾン(例えばラウロカプラム)、ピロリドン及びその誘導体(例えば2−ピロリドン、2P)、アルコール及びアルカノール(例えば、エタノール、デカノール、イソプロパノール)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、及び界面活性剤(例えば、ドデシルサルフェート)。他の皮膚浸透促進剤の例には、プロピレングリコールラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、イソプロピルミリステート、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ドデシルピリジニウム、オレイン酸、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸エステル、水素化大豆リン脂質、精油、アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、n−オクタノール及びデカノール)、テルペン、N−メチル−2−ピロリジン、ポリエチレングリコールサクシネート(TPGS)、Tween80及び他の界面活性剤、ならびにジメチル−β−シクロデキストリンが含まれる。存在する場合、任意の表面浸透促進剤が、0.1〜10重量%の範囲、例えば約5重量%の量で提供されてもよい。
【0122】
美容目的に使用される場合、調合物は心地良い香り、外観及び質感(例えば稠度)を示すべきである。したがって、そのような調合物は着色剤及び/又は香料も含み得る。
【0123】
ある実施形態では、本発明による液体調合物は、本質的に水、酸素、熱ゲル化剤、緩衝剤、浸透圧調節剤、及び任意に1種又は複数種の医薬的に許容される担体又は賦形剤からなる。本明細書で使用されるとき、用語「から本質的になる」は、調合物が、使用時にそれらの特性に実質的に影響を及ぼす他の成分、例えば創傷治療に典型的に使用され得る他の医薬的に許容される剤を、含まないことを意味する。
【0124】
本明細書に記載の調合物は、制御された温度条件下で所望の量の様々な成分を単純に混合することによって製造することができる。そのような方法は本発明のさらなる態様を構成する。
【0125】
詳細な調製方法は、成分の性質及び最終製品の形態などの要因を考慮して変えることができる。典型的には、酸素化の工程は、調合物の1種又は複数種の液体成分に関して行われるであろうが、これは代わりに最終の液体調合物に関して行われてもよい。上記のように、増粘した液体を(これが流動性である場合)、本明細書に記載の酸素化方法を用いて酸素化することも可能である。
【0126】
理解されるように、本発明の酸素化調合物は、それ故、異なる方法に従って製造することができる。そのような方法には以下が含まれるが、これらに限定されない。
− 酸素化を受ける最終液体の製造を包装の直前に行うこと。
− 包装前に、水又は生理的塩類溶液の酸素化及びこれを液体調合物の残りの成分に添加すること。
【0127】
調合物の種々の成分は、低温(例えば2〜25℃の範囲、好ましくは約4〜5℃の範囲)で、そして好ましくは制御された圧力条件下で混合されることが、酸素の損失を最小にするために一般に推奨される。例えば、混合は、ヘッドスペースなしで及び/又は高められた圧力(例えば、5バール)でバイアル又は容器中で行われうる。酸素の損失を避けるため、調製中の調合物の撹拌又は撹拌もまた、制御されるべき、例えば最小限に抑えられるべきである。
【0128】
調合物が熱ゲル化性である場合、熱ゲル化剤(例えば、ポロキサマー又はポロキサマーブレンド)の水溶液への溶解を容易にし、ポロキサマーの性質に対するあらゆる変化を最小限に抑えるために、一般に低温が必要とされる。
【0129】
ある実施形態では、均質な溶液が得られるまで、固体ポロキサマーの粉末又は顆粒を、溶存酸素を含む冷却水溶液(例えば、水又は生理食塩水)に溶解することができる。この時点で、調合物の残りの成分を添加することができる。あるいは、これらの成分を最初に水性酸素化溶液に溶解し、続いてこれをポロキサマー(又はポロキサマーブレンド)と混合することができる。さらなる方法は、酸素化水及び他の成分を添加する前に、ポロキサマー又はポロキサマーブレンドを最初に少量の水に溶解させる、高濃度ポロキサマー溶液の調製を含み得る。上記のように、さらなる方法は、様々な成分を混合して(非酸素化)液体調合物を製造し、続いてこの調合物を酸素化すること(例えば、これを本明細書に記載の酸素化装置に通すことによる)を含み得る。
【0130】
In vivoにおける使用には、本明細書に記載の調合物は滅菌されるべきである。これは当技術分野において公知の方法によって達成することができる。滅菌のための条件は、保存中の製品中の生存微生物のレベルを最小にしながら製品がその熱ゲル化特性を維持するように選択されるべきである。例えば、調合物の別々の成分は混合前に滅菌することができる。任意の固体ポロキサマー(例えば、粉末又は顆粒)の滅菌は、例えば、電子線照射又はガンマ線照射によって達成することができる。あるいは、すべての成分が混合及び溶解された後に最終調合物を滅菌してもよい。この場合、滅菌は、ガンマ線もしくは電子ビーム照射によって、又は他の手段、例えば小さい孔径(例えば、約0.22μm)を有するフィルターを使用する精密濾過によって、同様に達成され得る。調合物を濾過する能力はその最終粘度に依存するであろうが、調合物が液体状態の精密濾過であるかのように十分に冷却されたときには、一般的に実行可能であろう。
【0131】
別の態様では、本明細書に記載の液体調合物を適切な送達デバイスに組み込んでもよく、例えばこれらを被覆材、包帯又は他の任意の適切な創傷被覆材の中に、又はそれらの成分として提供してもよい。使用において、送達デバイスは、その中に含まれる液体が下にある身体組織と接触するように、標的組織(例えば、皮膚の表面)に適用され得る。液体がデバイスの内部に供給される場合、液体は身体との接触を提供するために外部表面に流れてもよい。組織と接触すると、流動性液体はゲルを形成し、溶存酸素を放出する。
【0132】
ある実施形態では、液体調合物は、吸収性被覆材、包帯もしくは創傷被覆材(例えば、ガーゼ)、又はその一部に浸され、すぐに使用できるように包装されてもよい。浸漬被覆材は真空又は圧力下で包装することができる。
【0133】
あるいは、調合物を含む送達デバイスは、体組織への適用の直前に、液体調合物を適切な創傷被覆材に適用することによって(例えば、創傷被覆材を液体調合物に浸漬又は浸漬することによって)使用時点で調製することができる。
【0134】
本明細書に記載の液体調合物は、例えば蒸気滅菌(すなわちオートクレーブ)又はガンマ線照射によって滅菌された適切な密封容器又は密封包装に包装することができる。オートクレーブ処理は、微生物を死滅させるのに十分な期間、105〜150℃、好ましくは120〜135℃の範囲の温度で実施することができる。滅菌時間は、滅菌される物品の種類、例えば金属、プラスチックなどに依存するが、1〜60分、例えば4〜45分の範囲であると予想され得る。典型的な蒸気滅菌温度は121℃又は132℃であり得る。
【0135】
適切な種類の容器は、調合物の性質、及びその意図される用途、例えば治療される創傷の種類、治療期間、及び複数の用途が想定されるかどうかに従って選択され得る。適切な包装には、バイアル、充填注射器、チューブ、パウチ、ボトルなどが含まれる。いずれの場合も、貯蔵中の酸素の枯渇を避けるためにこれらは効果的に密封されるべきである。バイアルは、例えば、蓋を破るために適切なねじれを備えていてもよい。
【0136】
パッケージは1回又は複数回の使用を意図する。これらが複数回の使用を意図している場合、製品の無菌性を維持しそして酸素の損失を最小にするために、開封及び各投与量の処方物の送出後に包装の残りの内容物を密封できることが重要である。適切な噴射剤を含むエアロゾルキャニスターの使用は、この点で適切であり得る。各用量を送出した後に任意のヘッドスペースが真空又は不活性ガスで置き換えられる任意の公知の送出システムを使用することができる。一方向ポンプを有する容器も適している。
【0137】
あるいは、調合物は、個々の用量で、例えば、皮膚への単回適用に十分な量を含有するサシェ、小チューブ又はボトルで提供されてもよい。使い捨てアンプルが好ましい。
【0138】
保管時に製品内の高い安定した酸素レベルを維持することは不可欠である。調製に使用される保存容器、蓋及び材料には適切なものが選択されるべきである。これらは、ガス、特に酸素の浸透に対する感受性が低いものであるべきである。好ましくはこれらはガス不透過性であるべきである。適切な容器としては、ガラス製の瓶、バイアル及びチューブ、ならびにポリエチレンテレフタレート(PET)又はそのコポリマーから作製されたものなどの使い捨てプラスチック容器が挙げられる。任意で、任意のプラスチック容器(例えば、PET又はそのコポリマーから作製されたもの)は、そのガスバリア性を高めるために追加の成分を含んでもよい。そのような材料は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開公報第2007/0082156号(The Coca-Cola社)及び国際公開第2010/068606号(The Coca-Cola社)に記載されている。
【0139】
理想的には、いかなる貯蔵容器も、製品の保存寿命を最大にするために酸素透過性が最小であるべきである。典型的には、適切な貯蔵寿命は周囲条件下で最低約6ヶ月、好ましくは6〜12ヶ月である。貯蔵寿命は、低温で、例えば2〜4℃の範囲の温度で冷蔵して貯蔵することによって延長することができる。意図された貯蔵寿命の間の貯蔵の間、製品の酸素含有量は25%以上減少され得ないことが好ましい。
【0140】
理解されるように、調合物はin-situでゲル化することを意図しているので、これらを液体状態に保つために、これらがゾル−ゲル転移温度より低い温度で貯蔵されることが重要である。貯蔵温度は、調合物の性質及び存在するゲル化剤を考慮して決定することができる。
【0141】
本明細書に記載されている調合物は、酸素を送達することが望まれる任意の障害組織に適用することができる。送達方法は、製品の形態、すなわちこれが液体であるか、又は本明細書に記載されるような送達媒体中の成分として提供されるかに依存するであろう。任意の治療的使用において、製品の無菌性を維持するために、これらは無菌手段によって適用されるべきであることが一般的に想定される。例えば、これらが液体として供給される場合は、アプリケータを使用して(例えばシリンジから)、又はスプレーなどの方法によって標的領域に塗布されてもよい。
【0142】
障害組織としては、血液の供給が中断され、それによって酸素の供給が不十分になった組織が挙げられる。創傷は障害組織の一例であり、典型的には皮膚の完全性の中断を伴う。皮膚が損傷を受けたり取り除かれたりすると、例えば手術によって取り除かれたり、やけどや裂傷が生じたり、磨耗したりすると、その保護機能は失われる。急性創傷及び慢性創傷の両方を含む、あらゆる種類の皮膚創傷を、本発明に従って治療することができる。
【0143】
急性創傷は通常、予想される期間内、例えば10日以内に最小限の瘢痕化で完全に治癒する組織損傷である。急性創傷の主な原因には、皮膚と硬い表面との間の摩擦接触によって引き起こされる擦り傷や裂傷などの外的要因による機械的損傷が含まれる。機械的損傷には、ナイフによって引き起こされた貫通創傷、及び外科的切開によって引き起こされた外科的創傷(例えば、腫瘍の除去における)も含まれる。急性創傷はまた、放射線、電気、腐食性化学物質及び熱源(高温及び低温の両方)から生じることがあるような火傷及び化学的損傷を含む。火傷は、その重症度に応じて、例えば一次、二次又は三次の火傷として分類することができる。
【0144】
慢性創傷は、ゆっくり治癒する組織傷害、例えば約12週間後に治癒していない傷害から生じ、しばしば再発する。そのような創傷は、典型的には、繰り返される組織損傷、又は糖尿病、肥満、悪性腫瘍、持続感染、一次治療の不十分さ、他の患者関連要因などの根本的な生理学的状態のせいで、治癒しない。慢性創傷には、褥瘡性潰瘍(例えば、床ずれ又は褥瘡)、下肢潰瘍(静脈性、動脈性、虚血性又は外傷性のいずれかに起因するもの)、及び糖尿病性潰瘍などの皮膚潰瘍が含まれる。静脈性下肢潰瘍は、脚の静脈内の弁の機能不全による静脈不全によって引き起こされ、生命を脅かす状態である肺塞栓症を引き起こす可能性がある。それらは治療に費用がかかり、しばしば入院を必要とする。動脈性下肢潰瘍は、脚の機能不全又は動脈の閉塞によって引き起こされ、動脈硬化などの状態から発生することもある。糖尿病性潰瘍は、糖尿病の結果としての微小循環障害に起因する。糖尿病性潰瘍の場合、治癒の失敗はしばしば四肢の喪失につながり得る。
【0145】
創傷はまた、影響が及んでいる皮膚層の数及び皮膚の面積に従って分類され得る。表在性創傷では、損傷は表皮表面のみに影響を与える。表皮と、血管、汗腺及び毛包を含むより深い真皮層との両方を含む傷害は、部分層創傷と呼ばれることがある。全層創傷は、表皮層及び真皮層に加えて、基礎となる皮下脂肪又はより深い組織が損傷を受けると発生する。
【0146】
創傷の治療に使用される場合、本発明の調合物は、創傷部位に水分を保持し、感染に対して保護しつつ、改善された酸素化によって創傷治癒の速度を増加させる。
【0147】
本明細書に開示される調合物及び送達デバイスの使用は、体組織が損傷を受けるか又は他の方法で障害を有しており再生する必要がある状態の治療、及び正常組織酸素レベルを低下させる傾向がある任意の状態の治療に、さらに及ぶ。治療され得る他の状態には、皮膚障害(例えば、乾癬、ニキビ、酒さ、及びアトピー性皮膚炎などの他の皮膚科学的状態)、皮膚の痛み、及び組織壊死が含まれる。
【0148】
にきびは、最も一般的な皮膚疾患の一つである。そのより穏やかな形態では、小面積の(spotty)皮膚刺激を伴う表面的な障害である。しかしながら、より重度のニキビでは毛嚢脂嚢胞に細菌が侵入し、丘疹、膿疱及び感染した嚢胞のような炎症性病変の形成をもたらす。炎症性ざ瘡及び非炎症性ざ瘡の両方を本発明に従って治療することができる。本明細書に記載の調合物を用いて治療することができるざ瘡の代表的な種類としては、尋常性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、集簇性ざ瘡、丘疹性ざ瘡、及び月経前ざ瘡、特に毛嚢脂嚢の炎症に関連する尋常性ざ瘡が挙げられる。にきびは、背中、胸部、上腕及び/又は顔面に発生する可能性があり、本明細書に記載の調合物は、身体のこれらの領域のいずれか、特に顔面及び背中の治療に使用することができる。
【0149】
本発明による調合物はまた、化粧方法、例えば皮膚の外観を改善するか高める方法における用途を見出す。
【0150】
美容方法は、皮膚の外観を改善するか又は高めることを含む。例えば、調合物は、それらのアンチエイジング活性、しわ防止活性、皮膚軟化効果、又は皮膚の色素沈着過多を軽減する能力のために使用することができる。皮膚の老化は、内的要因だけでなく、環境条件(例えば、皮膚の日光、風、湿気などへの曝露)などの外的要因によっても起こり得る。老化は肌荒れ、乾燥、色素沈着過剰、線(fine lines)及び皺を含む皮膚の変化をもたらす。
【0151】
理解されるように、ある種のより穏やかな形態のニキビ(例えば、黒ニキビ及び/又は白ニキビ)は必ずしも疾患であると見なされるとは限らないので、これらの治療は純粋に美容上の理由から行われうる。例えば、ニキビが比較的まれである及び/又は広がっていない(すなわち、斑点がほんの少し生じる)場合のニキビの美容処置が、本発明に包含される。そのような美容方法は、典型的には顔の治療を対象とするであろう。
【0152】
障害組織はまた、皮膚の正常な機能における他の障害からも生じ得る。例えば、損傷は、糖尿病などの内部代謝機能不全、炎症反応、又は循環器障害、又は化学的刺激物などの外部刺激物、UV損傷などから生じ得る。
【0153】
炎症性皮膚疾患は皮膚科学における一般的な問題であり、これらは本明細書に記載の調合物を用いて治療することができる。これらの疾患は、皮膚のかゆみ及び発赤を伴う時折の発疹から、皮膚炎(湿疹)、酒さ、脂漏性皮膚炎、及び乾癬などの慢性状態まで、多くの異なる形態をとり得る。皮膚の炎症は急性又は慢性として特徴付けることができる。急性炎症は、紫外線、電離放射線、アレルゲンへの曝露、又は化学刺激剤(石鹸、染毛剤など)との接触から発生する可能性がある。この種の炎症は通常、組織破壊をほとんど伴わずに1〜2週間以内に消散する。対照的に、慢性炎症は、皮膚自体の内部における持続的な免疫細胞媒介性の炎症反応から生じる。この炎症は長く続き、重大かつ深刻な組織破壊を引き起こす可能性がある。感染症は、皮膚の保護層が壊れている多くの炎症性皮膚疾患、例えば湿疹などの状態との合併症である。
【0154】
好気的細菌、嫌気的細菌又は真菌である病原性生物に対して酸素が毒性であることから、調合物の使用は、これら病原性生物感染症の治療にも及ぶ。細菌感染症に関連した状態の例には、蜂巣炎、慢性創傷における感染症、ガス壊疽、壊死性筋膜炎(Enterococcus、Enterobacteriacea、Clostridium、B. fragilis、Streptococcus、Pyogenisによる感染)が含まれる。侵襲性真菌感染症の例には、ケカビ(mucorales)、アスペルギルスに関連するものが含まれる。
【0155】
ある実施形態では、本明細書に記載の調合物及び方法は、感染症(例えば、嫌気性感染症又は好気性感染症)を治療するために使用することができる。これは、感染した皮膚の領域、例えばバクテリアを含んでいる皮膚病巣への調合物の適用を含むであろう。感染した組織はしばしば症を起こす。感染した組織を治療することによって、炎症を予防することができ、あるいは少なくとも軽減することができる。
【0156】
嫌気性細菌が見いだされる可能性がある状態の例には、壊疽及び潰瘍が含まれる。嫌気性細菌は感染した傷や皮膚のやけどの領域にも見られることがある。創傷及び火傷は、組織が破壊されるか又は2度又は3度の火傷の場合のようにひどく損傷している場合に、感染に特に敏感である。そのような場合、本発明の調合物は、細菌感染を予防するため、及び損傷組織を治療するために作用するように適用され得る。
【0157】
本発明の調合物を用いて治療及び/又は予防することができる嫌気性細菌感染症には、Pseudomona属、Bacteroides属、Clostridium属、Enterococcus属、Enterobacteriacea属、Bacillus属、Streptococcus属などが含まれる。
【0158】
ある実施形態では、本明細書に記載の調合物及び方法は、細菌性バイオフィルムの形成を防止するために、及び/又は体表面上の細菌性バイオフィルムを治療するために使用することができる。治療は典型的には体表面からのバイオフィルムの少なくとも一部の破壊、除去又は剥離を含むであろう。
【0159】
処置されるべき被験体は任意の哺乳動物であり得る。典型的には対象はヒトであろうが、本明細書に記載の方法はヒト以外の哺乳動物の治療にも同様に適している。したがって、調合物の獣医学的使用は本発明の範囲内で想定されている。
【0160】
調合物は、治療される領域、状態の性質、治療される対象などのような要因に応じて様々な異なる方法で適用されてもよい。これらは、顔、胸、腕、足、及び手を含む身体の任意の領域に適用され得る。通常、調合物は肌に適用される。化粧料としての使用では、主に顔に適用されることが想定される。皮膚への適用方法は、噴霧、擦り込み、浸漬、浸漬、連続灌流、注射などによるものであり得る。調合物の粘度に応じて、化粧用途では、調合物は通常手又は指で適用されるであろう。
【0161】
任意の治療的使用において、調合物は指によって適用され得るが、無菌性を維持するためには、これらは無菌手段によって、例えばアプリケータを使用して適用されることが一般的に想定される。皮膚用製品(dermal products)を適用する際に使用することが知られているアプリケータを、調合物の性質、特にその粘度に応じて使用することができる。例えば、調合物はスパチュラ(例えば、調合物が濃厚又は高粘稠液体である場合)を用いて適用されてもよく、又は皮膚の表面上に噴霧又は滴下されることも可能である。
【0162】
組成物が創傷の治療における使用を意図している場合、組成物は創傷に直接適用された後、典型的には被覆材で覆われるであろう。
【0163】
調合物は、標的組織(例えば創傷)と接触するゲルをin-situで形成し、「一次的被覆材」を形成するのに役立つ、液体の形態で適用されてもよい。典型的には、一次的被覆材は、ゲルを保護し治療の期間中その場所に留まることを確実にするために、二次的被覆材を必要とするであろう。二次的被覆材は柔軟性があり、創傷部位に適合できなければならない。典型的には、この被覆材は、治療されるべき障害組織の面積に応じて適切なサイズ及び形状に切断され得る従来の創傷被覆材材料のシートの形態をとる。
【0164】
二次的被覆材は、理想的には水及び/又は酸素に対する透過性が限られているべきであり、例えばこれは実質的に水及び/又は酸素に対して不透過性であるべきである。閉塞性被覆材の使用は、下にあるゲル中に存在する溶存酸素が皮膚に送達されることを確実にするだけでなく、創傷の湿った治癒環境を維持するのにも役立つ。「実質的に酸素不透過性である」とは、ゲルの酸素含有量の25%未満が被覆材を通して失われる可能性があることを意味する。
【0165】
障害組織、例えば創傷の修復及び治癒に対処する際には、創傷からの浸出液を制御することが必要であり得る。これは、創傷からの滲出液の排出又は適切な吸収性被覆材を用いた吸収を含み得る。障害組織の部位で最適レベルの水分を維持することもまた、特に滲出液の大量生産がある場合には重要である。被覆材の使用はこれを達成するのに役立つ。したがって、ある実施形態では、特に高レベルの滲出液がある創傷を治療する場合には、二次的被覆材は非常に高吸収性であってよい。被覆材が高吸収性である場合、液体調合物の被覆材への取り込みを最小限にし、組織との接触を最大にするために、調合物が創傷部位でゲルを形成してから、被覆材を通常創傷に適用する。
【0166】
適切な被覆材の例は当該分野で公知であり、そして創傷の種類、その大きさ及び位置に従って容易に選択され得る。既知の被覆材としては、合成フィルム、アルギン酸塩、親水コロイド、ヒドロゲル及びコラーゲン被覆材などの合成及び生物学的被覆材が挙げられる。酸素の通過に対して実質的に不透過性のものには、ポリエステル及びポリオレフィンが含まれる。
【0167】
必要ならば、創傷を圧迫包帯で覆うこともできる。これは、例えば静脈性潰瘍を治療するときに有益であり得る。
【0168】
使用時には、調合物は創傷部位に直接適用されるか、又は創傷部位にできるだけ近いところに適用される。好ましくは、調合物は創傷床と直接接触するべきである。次いで、適切な二次的被覆材を調合物上に適用し、そして必要ならば、これを無傷の皮膚に固定するためにテープ、ガーゼ又は任意の他の適切な手段を使用して適所に固定する。二次的被覆材は一時的なものであり得るので、必要ならばこれを除去し、新しい被覆材と交換し得る。ある実施形態では、二次的被覆材は、これを皮膚に固定することができる接着剤で部分的にコーティングすることができる。例えば、被覆材はその周囲に接着剤を有することができる。適切な接着材料は当技術分野において公知であり、例えば、ポリイソブチレン、ポリシリコーン及びポリアクリレートを含む。被覆材に接着剤部分が付与される場合、これは一般に剥離ライナー、例えば使用前に除去されるシリコーン処理ポリエステルフィルムも有する。
【0169】
治療期間は創傷の性質及び皮膚に適用される調合物の酸素含有量に依存するであろう。典型的には、被覆材は数日間、例えば最大3日間、創傷に使用することができる。数日間被覆材を使用することで、治療のコストがさらに低減し、被覆材の交換に伴う外傷も減少する(例えば、被覆材を毎日又は一日に数回交換する必要がある場合)。被覆材からの酸素の供給は制御される。制御放出は、7時間から2日までの所定の期間(predetermined period of time)にわたる酸素の放出に関する。酸素の供給は、この期間中、実質的に連続的であるのが好ましく、それは供給が実質的に中断されないことを意味する。
【0170】
場合によっては、調合物をさらに適用することが望ましく、これは必要に応じて何度も繰り返すことができる。被覆材を取り替えるために、無酸素水又は食塩水のような生理学的に許容される溶液を用いて穏やかに洗浄することによって、酸素が枯渇したゲルを創傷から容易に除去することができる。この目的のために、酸素化水又は酸素添加食塩水を使用することもできる。被覆材の交換の間の創傷の洗浄はまた、創傷を洗浄して死んだ組織又は壊死した組織を除去するのに役立つ。
【0171】
創傷治癒はいくつかの異なる段階を有し、それらはすべて特定の調合物又は被覆材によって標的にされるわけではない。したがって、調合物の性質及び任意の二次的被覆材は、異なる種類の創傷(例えば、急性、慢性、乾燥、滲出など)だけでなく、創傷の治癒における異なる段階についても調整することができる。これは、特に、異なる治療段階のために異なる調合物の酸素含有量を変えることを含む。創傷治癒の初期段階では、低pO(低酸素)は成長因子、サイトカイン、遺伝子活性化及び血管新生の必須の刺激因子であるのに対し、その後の段階では正常(正常酸素)又は上昇(高酸素)レベルのpOが創傷治癒により好ましい。例えば、線維芽細胞と内皮細胞の増殖はpOが30〜80mmHgにおいて最高であり、コラーゲン合成、血管新生及び上皮化はすべてに20〜60mmHgの間pOが必要である。
【0172】
その使用が容易であることから、本明細書に記載の創傷治療は在宅ケアとして使用することができ、それによって治療コストを削減し、患者の入院の必要を回避する。これらはまた、入院、酸素タンク又は追加の機器を必要とせずに、治療中の患者が完全に可動であることを可能にする。これにより患者の生活の質が向上する。
【0173】
本明細書に記載の調合物及び得られるゲルはまた、酸素化細胞培地を必要とする細胞又は組織の細胞及び組織を培養するin vitro方法において使用され得る。液体のゲルへの変換(例えば、組織又は細胞培養における使用に適した高温で)により、細胞又は組織のための適切な支持体又は足場が提供される。このように使用する場合は、in-situゲル化剤は熱可逆的にゲル化する。低温(例えば周囲温度)でゲルを食塩水又は他の適切なすすぎ溶液で洗い流すと、ゲルは可溶化し、したがって、たとえば体内への移植前に細胞又は組織の分離が可能になる。
【0174】
さらなる態様において、本発明は、細胞又は組織を、本明細書に記載の液体調合物から得られた(又は得られる)酸素化ゲルと接触させる工程を含む、前記細胞又は組織を培養するin vitro方法を提供する。
【0175】
本明細書に記載の調合物はまた、哺乳動物、好ましくはヒト対象の皮膚への経皮使用(dermal use)を意図している。そのため、これらは肌だけでなく、粘膜、爪、髪にも適合する。典型的には、これらは、皮膚に適用された場合には非刺激性でもあり、十分に許容もされるであろう。美容目的で使用されるとき、調合物は、顔、首、胸、腕、足又は手を含み得る対象の皮膚に適用される。主に、これらは、例えば手や指によって顔に適用され、そして標的領域上に穏やかに広げられ得る。in-situゲル化して溶解酸素を皮膚に送達するために、除去する前、例えば皮膚を水で洗浄する前に、適切な期間、そのままにしておくことができる。
【0176】
以下、非限定的な実施例及び添付の図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0177】
実施例1 − 酸素化水(「オキシウォーター」)の調製
方法:
1.逆浸透(RO)水を2〜4℃に冷却した。
2.国際公開第2016/071691号に記載されているように、冷水を酸素添加装置に供給した。
3.酸素ガスを同時に装置の混合室に供給した。
4.水とOガスにベンチュリ管を通過させ、Oガスを水に溶解させた。
5.ガス入力は、ガスの流速及びプロセス圧力に応じて変化することができ、これを用いて水のO含有量を調整することができる。この製造方法で用いられたプロセス圧力は42psiであった。
6.溶存酸素含有量が100mg/Lに達するまで装置を通す連続循環により、前記水が製造された。
7.酸素添加水をガラス瓶に詰め、周囲温度で貯蔵した。
【0178】
水の酸素含有量はOガスの流速と圧力を調整することによって変化させた。このようにして、必要に応じたO含量を備える酸素化水を調製することができた。
【0179】
実施例2 − 熱ゲル化調合物の調製とOレベルの定量
材料:
酸素化水(酸素含有量約70mg/L):実施例1と同様の方法で調製した。
ポロキサマー :Lutrol F127(登録商標)(BASF)
TRIS緩衝液(Merck)
5M HCl
【0180】
方法:
調合物の調製中、酸素化水は、高い酸素含有量を保持するために慎重に取り扱われた。各調合物について新しい過酸化水素水のボトルを開けた。使用前に、調合物の調製前に水を冷やすためにボトルを2〜4℃で冷蔵した。
【0181】
TRIS緩衝液の濃縮溶液は、8〜9mlの酸素化水を12.1gのTRIS塩基に添加することによって調製した。5MのHClを用いてpHを7.5に調整し、追加の酸素化水を加えることによって溶液を10mlの容量にした。混合バイアル中で、10mlのTRIS緩衝液及び30mlの酸素化水を含有する溶液中にポロキサマー粉末を溶解することによって40mlの濃縮ポロキサマー溶液(40重量%)を調製した。
【0182】
最終調合物は、濃縮したポロキサマー溶液(40ml)を新鮮な氷冷酸素化水(60ml)で最終濃度(16重量%ポロキサマー)に希釈することによって調製した。
【0183】
全ての工程は攪拌せずに実施した。気泡の形成及び酸素の損失の傾向を最小限にするために、全ての作業は5℃で行った。混合バイアル内のヘッドスペースは最小限に保たれた。酸素の損失をさらに最小限に抑えるために、混合は加圧下(空気又は酸素)で行われてもよい。
【0184】
酸素含有量の分析:
使用前に、水の酸素含有量をウィンクラー滴定により、またOrion、Thermo Scientificから入手可能な酸素計を使用して測定した。酸素計を使用した測定において、酸素化水をミリQ水と50:50で混合し、酸素化レベルは33〜41mg/L、すなわち希釈の補正後で66〜82mg/Lと測定された。
【0185】
ゲル化している間の調合物の酸素含有量は、SP Technical Research Institute of Swedenによって開発された酸素計を使用してモニターされた。これを皮膚モデルに適用する前に、Orion、Thermo Scientificによって提供される酸素計(Oxymeter)を使用して、調合物の酸素含有量を測定した。
【0186】
温度によるゲル化:
熱ゲル化は、液体調合物を含有するバイアルを35〜37℃の温水ビーカー中に降下させることによって、又は調合物を皮膚に直接適用することによって達成された。
【0187】
結果:
25〜30mg/Lの範囲の最終酸素含有量を有する熱ゲル化調合物を上記のプロトコルに従って調製した。得られたゲルは、適用後2時間以上(すなわちゲル形成後)約20mg/Lの酸素含有量を保持することができた。ゲルが乾燥するのを妨げられた(すなわち閉鎖系で貯蔵された)とき、25mg/Lを超える酸素レベルが30時間以上保持された。
【0188】
結論:
調合物プロトコルは、創傷治癒及び美容用途に使用される可能性がある、25〜30mg/Lの最終酸素含有量を有するオキシウォーターである熱ゲル化調合物を提供した。
【0189】
熱ゲル化調合物は、特定の条件下で、すなわちゲルが乾燥せず、酸素が周囲の空気に逃げるのが防止されるという条件で、30時間以上、組織を酸素化することができる。
【0190】
実施例3 − 熱ゲル化剤の調製とOレベルの定量
材料:
酸素化水(約70mg/L酸素含有量):実施例1と同様の方法で調製した。
ポロキサマー:Lutrol F127(登録商標)(BASF)
酢酸(Sigma−Aldrich)
酢酸ナトリウム
10N NaOH
【0191】
方法:
54.43gの酢酸ナトリウム及び12mlの酢酸に酸素化水を添加して180mlの全容量を生成することによって、酢酸緩衝液の濃縮溶液を調製した。10NのNaOHを用いてpHを7.5に調整し、追加の酸素化水を添加することによって溶液を200mlの容量にした。
【0192】
混合バイアル中で、10mlの酢酸緩衝液及び30mlの酸素化水を含有する溶液中にポロキサマー粉末を溶解することによって、40mlの濃縮ポロキサマー溶液(40重量%)を調製した。
【0193】
最終調合物は、濃縮したポロキサマー溶液(40ml)を新鮮な氷冷酸素化水(60ml)で最終濃度(16重量%ポロキサマー)に希釈することによって調製した。
【0194】
実施例4 - 熱ゲル化調合物の調製
58mg/Lの溶解Oを含有する酸素化水を用いて他のポロキサマー系調合物を調製した。混合バイアル中で、40mlの酸素化水を含有する溶液中にポロキサマー粉末を溶解することによって、40mlの濃縮ポロキサマー溶液(40重量%)を調製した。最終調合物は、濃縮ポロキサマー溶液(40ml)を新鮮な氷冷酸素化水で最終濃度に希釈することによって調製した。
【0195】
熱ゲル化は、調合物を含有するバイアルを35〜37℃の水浴中に降下させることによって、調合物を皮膚に直接適用することによって、又は直径20nmのプレート - プレートを備えたkinexus Pro Rheometerを用いて、評価した。
【0196】
表1は、調合物及びそれらの熱ゲル化特性の詳細を提供する。
【0197】
【表1】

1ゲル化前の調合物のO2レベル
2水浴中のゲル化温度
3レオロジーで測定したTgel(Tgel(Rheo))と、浴中で測定したTgel(WB)とは、Tgelの定義の違いにより異なる
4 皮膚に調合物を塗布した直後の粘稠度
【0198】
結論:
・全ての場合において、皮膚への適用時の粘度の低さは許容範囲内であった。
・ポロキサマー濃度を16重量%から20重量%に増加させると、より高いゲル強度及びより速いゲル化開始がもたらされる。ポロキサマー濃度を20重量%から25重量%にさらに増加させても、ゲル強度は有意には変化しない。
・調合物中に使用する酸素化水の酸素含有量がより高い場合、ゲル中の酸素含有量を増加させることができる。
・酸素の存在はゲル化特性に大きな影響を与えない。
・皮膚上のゲルを評価すると、調合物間にはごくわずかな差しか検出されなかった。
【0199】
実施例5 - 熱ゲル化調合物の調製と試験
方法:
酸素化水(「オキシウォーター」)の製造
国際公開第2016/07169号に記載されているように、高レベルの溶存酸素を有する水を製造した。逆浸透(RO)水及び酸素を酸素添加装置のチャンバーに供給した。水と酸素を混合し、続いてベンチュリ管を含む配管システムを通過させた。このシステムは2.9バールで連続的に運転され、98%O2が供給された。出口で、100mg/Lまでの溶存酸素を含有する酸素化水を集め、ガラス瓶に詰め、そして使用するまで室温で貯蔵した。
【0200】
溶存酸素濃度測定のためのウィンクラー滴定
オキシ水のサンプルを硫酸マンガン(2.2M)及びヨウ化アルカリアジド(12M NaOH、0.86M KI)と混合した。98%硫酸を添加する前に沈殿物を2回半ば沈降させ、暗琥珀色を呈色させた。次に溶液をチオ硫酸ナトリウム(0.0375M)で滴定した。溶液が淡黄色に達したときにデンプン指示薬溶液を加えた。使用したチオ硫酸ナトリウム各1.0mlは3mg/Lの溶存酸素に相当した。
【0201】
酸素化in-situゲル化被覆材調合物(「オキシ被覆材」)
オキシ被覆材は、オキシウォーター(約65mg/L)及びLutrol F127(BASF)を用いて調製した。各調合物について、2〜4℃で新鮮な酸素化水のボトルを開栓した。混合バイアル中で、穏やかに撹拌しながらポロキサマー粉末を酸素化水に溶解することにより、濃縮Lutrol F127溶液(40〜50重量%)を調製した。ポロキサマーが溶解したら、ストック溶液をオキシウォーター(両方とも0℃)で最終濃度15〜16重量%に希釈した。
【0202】
オキシ被覆材はまた、pH制御のために20mM酢酸緩衝液中で調製された。30重量%のLutrol F127を、氷浴(0℃)中で穏やかに混合することによって38mM酢酸緩衝液に溶解して、ブレンドの粘度を最小にした。原液中にLutrol F127を溶解した後、30重量%ポリマー溶液を0℃に冷却したオキシ水と混合して、最終濃度を15〜16重量%Lutrol F127とした。
【0203】
塗布後の酸素安定性
RISE(Bor[ao]s、Sweden)によって開発された酸素オプトードを使用して、35℃(皮膚表面温度)の温度制御された表面に適用したときのオキシ被覆材の酸素濃度及び安定性を経時的に評価した。オプトードを光ファイバープローブ(NeoFox、オーシャンオプティクス)の先端に組み付け、表面温度を制御する加熱ブロック上に反転させて(上向きに)取り付けた。測定の原理は、位相差測定に基づいていた。オプトード膜中の色素は、酸素濃度に依存するパルスLED周波数に対してルミネセンス遅延(位相シフト)を引き起こすパルス青色LEDで励起された。高い酸素レベルは、位相シフトのみならず発光寿命をも減少させ、低い酸素レベルは増加させる。光ファイバー先端部を囲むシール上に組み立てられた真鍮パイプ(15ml)を使用してオキシウォーター及び較正溶液を測定した。加熱された(35℃)オプトードの較正は、組み立てられたセンサをそれぞれ35℃でアルゴン及び酸素飽和超純水にさらすことによって行われた。較正溶液の酸素含有量もまた、ウィンクラー滴定で確認した。オキシ被覆材の測定中、ゲル塗布中の容器としてより小さな黒い密封材(seal)を使用し、体積(1.5ml)及び表面積(3.5cm2)を正確にすることを容易にした。測定されたゲルの面積は4mmの未硬化厚さに相当した。ゲルが乾燥するのを防ぐために、ゲルをガラス蓋で覆うときにも測定を行った。2〜50時間続いた実験中、温度及び酸素レベルを同時にかつ連続的に測定した。部屋の湿度と温度は測定の前後に決定された(29.7%の相対湿度と21.5℃)。MilliQ HOから調製した調合物を対照とした。
【0204】
有効期限試験
貯蔵寿命安定性試験のために、蓋付きガラスバイアル(Agilent HS、クリンプ、Hdspc Alクランプキャップ付きRB 20 ml、PTFE/Si)に、最少ヘッドスペースで、オキシ被覆材を静かに満たし、20℃又は4℃で7週間まで保存した。溶存酸素濃度をウィンクラー滴定により毎週測定した。MilliQ HOから調製した調合物を対照とした。
【0205】
ゲル化特性
サーモゲル化は、目視によって、調合物を含むバイアルを35〜37℃の水浴中に降下させることによって、皮膚に調合物を直接適用することによって、又はコーンプレートを備えたKinexus Pro Rheometer(4度 、直径40mm)を用いて、評価した。キネクサスプロレオメーターを使用する場合、各測定につき1.9mlの調合物を適用し、そして0.3Hzの周波数及び1Paの変形で温度を1度/分上昇させた。
【0206】
pH安定性テスト
20mM酢酸緩衝液中に配合したオキシ被覆材を、蓋をしたガラスバイアル中に室温(23℃)及び5℃で3ヶ月まで保存し、pHを定期的に評価し、MilliQ水中16重量%Lutrol溶液のpHと比較した。
【0207】
統計処理
各条件について5つのサンプルについてウィンクラー分析を行った。適用後の酸素安定性及びレオロジー研究を個々の試料について行った。有効期限の研究は、1条件につき1群につき2つのサンプルについて行われ、平均±標準偏差として提示された。pH安定性は、3〜9個の異なるサンプルの個々の測定値からの平均及び標準偏差として提示されている。各実験の平均値を比較して、対応のないt検定による二元分析又はボンフェローニ事後検定によるANOVAを用いて、結果をSPSSにおいて統計的に分析した。p<0.05の値を統計学的に有意と見なした。
【0208】
結果:
オキシ被覆材中の溶存酸素レベルは、35℃に制御された温度で皮膚モデルシステムに適用された場合、またガラス製のふたで覆われた場合、25mg/L以上の溶存酸素を30時間以上安定に保った(図1参照)。覆われたオキシ被覆材は170時間の操作後に乾燥しておらず、13mg/Lを超える酸素保持容量で終わった。図2に示すように、被覆材のレオロジー及びゲル化特性は溶存酸素の影響をあまり受けなかった。
【0209】
オキシ被覆材は、4℃で保存した場合は30mg/L以上、室温(20℃)で7週間保存した場合は20mg/L以上の、安定した溶存酸素レベルを維持した(図3参照)。
【0210】
図4の結果は、緩衝液中で調製することによりオキシ被覆材のpHを制御することが可能であり、調合物中のpHが室温及び冷蔵条件下で貯蔵された場合に経時的に安定であることを示す。
【0211】
結論:
本研究では、高酸素化及びpH制御された感熱性局所被覆材(オキシ被覆材)を調製し試験した。オキシ被覆材は、30時間以上にわたって安定した高レベルの酸素を持ち、同期間にわたって組織を効率的に酸素化することができる。有効期間の研究は、感熱的in situ形成被覆材が、保存された場合に高い溶存酸素量を保持することができることを示している。
【0212】
緩衝液中でオキシ被覆材を調製することで、経時的に安定したpHで、pHを制御することが可能となる。正常な皮膚は約5.5のpHを有するが、慢性創傷はアルカリ性のpHを有することが示されている。創傷の酸性環境は、創傷の感染を抑制し、抗菌活性を高め、プロテアーゼ活性を変え、線維芽細胞の成長をin vitroで促進し、 酸素を放出し、バクテリアの最終産物の毒性を減らし、そして上皮化と血管新生を促進することが示されている(Percival et al., Wound Repair Regen. 22(2):174-86, 2014)。創傷治癒に対するpHの重要性に照らして、pHを下げること自体が創傷の治癒に有利であり得、そしてオキシ被覆材の創傷治癒特性にさらなる利点を与え得る。
【0213】
実施例6 - 酸素化水のテスト
創傷治癒に対する酸素の影響は十分に確立されている。それにもかかわらず、メカニズムの理解はまだ限られており、さらなる評価が必要であることから、ヒト皮膚細胞に対する溶存酸素の影響のin vitro研究を行った。
【0214】
方法:
培養、細胞
ヒト皮膚線維芽細胞(HSF)及びHeLA細胞(ATCC)を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(PenStrep)(Sigma Aldrich)を含む完全細胞培地(DMEM)中で増殖させた。コンフルエントに達したら、5%トリプシン−1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)(Sigma Aldrich)を用いて細胞を剥離し、播種し直した。細胞を37℃、加湿雰囲気及び5%О2のインキュベーターで培養した。
【0215】
酸素化細胞培地の調製
実施例5に従って調製したオキシウォーターで希釈した粉末細胞培地を使用して、酸素化培地を調製した。混合比は、最終細胞培地中の所望の溶存酸素濃度に依るものとした。DMEM又はフェノールレッド非含有DMEM培地を使用した(Sigma Aldrich)。培地には添加剤及びFBSが供給された。蛍光読み取り値の乱れを避けるため、ROS実験にはフェノールレッド非含有細胞培地を使用した。
【0216】
ATP濃度
HSF細胞及びHeLa細胞(陽性対照)を2.5×10/9.5cmの濃度で播種し、48時間コンフルエントまで成長させた。実験では、ATP定量化用のウェル及び細胞計数用の対応するウェルを用いた。細胞を、溶存酸素を8mg/L又は33mg/L含む完全細胞培地(10%FBS)で処理した。刺激後、細胞を室温で30分間放置し、続いて37℃でインキュベートした。1、2及び3時間後に細胞をそれぞれの処理で再刺激した。4時間後、細胞をPBSですすぎ、溶解緩衝液(200 mM Tris、pH 7.5、2 M NaCl、20 mM EDTA、0.2%Triton X-100)を用いて氷上で細胞溶解した。溶解物を10000×gで5分間遠心分離した。発光をプレートリーダー(FLUOStar Omega、BMG/Labtech)で読みとり、ATP標準曲線と比較した(ATP決定キット、米国サーモフィッシャー)。対応するウェル中の細胞を回収し、トリパンブルー(Sigma Aldrich)を添加し、続いて血球計を用いて生細胞及び死細胞を手動で計数することによって細胞数を決定した。データをブランクの読みに対して補正し、nm ATP / 105生細胞として表した。
【0217】
増殖と細胞生存率
HSFを5×104細胞/25cm2の密度で播種し、一晩放置した。細胞を対照細胞培地(1%FBS、溶存酸素:11mg/L)、酸素化細胞培地(1%FBS、溶存酸素:23、31、41、50mg/L)、又は10%FBS(溶存酸素:10 mg/L)で処理した。刺激後、細胞を室温で30分間放置し、続いて37℃でインキュベートした。処理は4日間まで24時間毎に繰り返された。2、3及び4日目に細胞を採取した。細胞懸濁液をトリパンブルーと混合し、生細胞を血球計を用いて手動で計数し、死細胞をTC20自動細胞計数器(BioRad、USA)を用いて計数した。1%トリトンXを細胞死の陽性対照として用いた。
【0218】
活性酸素種(ROS)の生産
HSFを2.5×104細胞/0.32cm2の密度で播種し、コンフルエントになるまで一晩増殖させた。細胞を20μMのDCFDA(2’、7’−ジクロロフルオレシンジアセテート) (DCFDA Cellular ROS Detection Assayキット、Abcam、ケンブリッジ、イギリス)溶液で染色した。露光から保護して37℃で45分間インキュベートした。対照細胞培地(5%FBS、溶存酸素:8.6mg/L)、酸素化細胞培地(5%FBS、溶存酸素:21.6、26.5、34.9mg/L)及び陽性対照(500μM H2O2、5%FBS、溶存酸素:8.6mg/L)を添加した。細胞を室温でインキュベートした。処理を加えてから30分後に、485nmの励起波長及び520nmの発光波長で、FLx800プレートリーダー(BioTek、Winooski、USA)を用いて蛍光を読み取った。値をブランクの読みに対して補正し、相対蛍光として表した(×103)。10%FBSを用いて実験を繰り返した。
【0219】
統計処理
すべてのin vitro実験は3連で行い、少なくとも3回繰り返した。各実験の平均値を比較して、対応のないt検定による二元分析又はボンフェローニ事後検定によるANOVAを用いて、結果をSPSSにおいて統計的に分析した。p<0.05の値を統計学的に有意と見なした。
【0220】
結果:
in vitro研究では、ヒト皮膚線維芽細胞において、対照(溶存酸素8mg/L)と比較して4時間刺激後のATPレベルが溶存酸素33mg/Lと、有意に高いことが示された。ATPレベルは対照、溶存酸素33mg/L区、及び陽性対照でそれぞれ70.9±20.5、113.1±10.1、及び191.6±34.2nM ATP/105生細胞であった(図5参照)。溶存酸素濃度を50 mg/Lまで増加させても、HSFの細胞増殖は変化せず(図6参照)、細胞生存率のレベルも対照(溶存酸素11 mg/L)と比較して変化がなかった(図7参照)。HSF中における30分後のROS産生は、溶存酸素濃度を34.9 mg/Lまで増加させても、対照(溶存酸素8.6 mg/L)と比較して有意に変化しなかった。相対蛍光(×10)は、対照、溶存酸素21.6mg/L区、溶存酸素26.5mg/L区、溶存酸素34.9mg/L区及び陽性対照についてそれぞれ13.5±3.9、9.3±3.4、15.2±4.5、8.9±2.9、及び187.6±18.0、であった(図8を参照)。
【0221】
結論:
本研究は、高い溶存酸素レベルで細胞を処理することで、in vitroにおける増殖、細胞生存率、又は酸化ストレスに影響を及ぼすことなく、ATP産生を有意に増加させたことを示す。
【0222】
溶存酸素33mg/L区を4時間毎に刺激したところ、HSF中のATPレベルが対照と比較して増加した。これは、ヒト皮膚細胞のエネルギーレベル、ひいては創傷治癒の促進に対する、溶存酸素の有利な効果を示している。ここで示された結果では、50mg/Lまでの溶存酸素レベルで4日間HSFを処理した後に、増殖又は生存率に有意な変化はなく、これは50mg/Lまでの溶存酸素による局所処理が安全であり細胞毒性を誘発するものではないことを示す。
【0223】
ここで記載の試験において、5%又は10%のFBSを使用した場合のいずれにおいても、対照と比較した場合、溶存酸素レベルの増加で刺激したHSFでは30分後にROSの有意な増加は見られなかった。したがって、溶存酸素レベルを34.9 mg/Lまで増加させても、有害なレベルのROSは誘導されない。このことはさらに、高酸素化細胞培地(50mg/Lまで)で毎日刺激した後の細胞死の定量の結果に反映されており、ここでは4日後に対照と比較して毒性の差は観察されなかった。
【0224】
酸素化水は、様々な溶存酸素濃度及びpHを有する被覆材の製造に使用することができる。創傷の適切なモニタリングにより、被覆材は慢性創傷治療を最適化することができると予想される。
【0225】
実施例7 - 熱ゲル化調合物の調製
酸素化熱ゲル化調合物を、ポロキサマー含有組成物の酸化によって調製した。
材料:
ポロキサマー:Kolliphor P407(Sigma Aldrich)
Kolliphor P188(Sigma Aldrich)
緩衝液:クエン酸三ナトリウム(無水)
NaCl
クエン酸
MilliQ H
pH 5.1
【0226】
方法:
10mMクエン酸緩衝液の調製:
塩基(10mMクエン酸三ナトリウム/ 140mM NaCl):11.76gのクエン酸三ナトリウム(無水)及び32.73gのNaClをMilliQ H2Oに溶解し、最終体積を4000mlとした。
【0227】
酸(10mMクエン酸/ 140mM NaCl):1.92gのクエン酸及び8.18gのNaClをMilliQ H2Oに溶解し、最終体積を1000mlとした。
【0228】
3000mlの塩基を750mlの酸と混合した。酸又は塩基を用いてpHを5.1に調整し、緩衝液を冷蔵庫又は冷蔵室に入れた。
【0229】
調合物の調製:
調合物の最終体積の80重量%に等しい冷緩衝液を広口フラスコに入れ、磁気撹拌子で撹拌した。ポロキサマーをゆっくり撹拌しながら緩衝液に添加して、18.5重量%のKolliphor P407及び1.5重量%のKolliphor P188を含有する溶液を生成した。溶液を、一晩又は溶液が完全に透明になり塊がなくなるまで、冷蔵室の氷上で混合した。
【0230】
調合物の酸素化:
ポロキサマー含有調合物を、国際公開第2016/071691号に記載されている装置に通すことによって酸素化した。O圧力を4.1バール(60psi)に設定した。調合物を流速100ml/分Oで1回装置に通した。
【0231】
テスト:
実施例5に記載したプロトコルに従って、酸素化調合物である試料をウィンクラー滴定のために、そしてゲル化及びpH測定のために採取した。ゲル化能力には、35℃の表面上における大容量及び小容量の調合物のゲル化を比較するための、100μlのサンプル及び1mlのサンプルの両方のゲル化が含まれていた。
【0232】
結果:
100ml/分O2で1回、酸素化装置に調合物を通過させる。泡低減剤を添加しなくても、顕著な泡の集積はなかった。Winkler滴定で測定した平均溶存酸素量は、ベースライン、酸素なし区(シングルパス)、及び酸素化区(シングルパス)でそれぞれ8.2±1.1(n=4)、10.4±5.9(n=4)、及び36.1±3.8 mg/L(n=4)であった。酸素化された試料は、ベースラインより有意に高い溶存酸素値を有していた。
【0233】
酸素が存在する場合と存在しない場合で装置内を調合物を循環させた場合、pHは変化せず、それぞれ平均pHは5.47±0.04及び5.47±0.05であった。35℃の表面に適用された100μlの調合物及び1mlの調合物のゲル化は、酸素の添加とは無関係に、それぞれ約3分及び5分かかった。
【0234】
結論:
36.1±3.8mg/Lまでのポロキサマー含有調合物の酸素化は、酸素化装置を1回通過した後に、pH又は熱ゲル化特性を変えることなく達成された。シングルパスでは、泡低減剤を添加しなくても泡の集積は生じなかった。
【0235】
実施例8 - 熱ゲル化調合物の調製
方法:
以下の変更を条件として、実施例7の方法を繰り返した。
酸素添加の直前に、EX CELL泡低減剤(シメチコンエマルジョン、Sigma Aldrich)を緩衝液又は調合物に添加した。
調合物を200ml/分O2の流速で1回又は2回酸素添加装置に通した。
【0236】
結果:
ウィンクラー滴定で測定された平均溶存酸素量は、ベースライン、無酸素区、酸素化区(シングルパス)及び酸素化区(マルチパス)について、それぞれ11.0±1.7(n = 3)、12.4±2.8(n = 3)、46.8±5.7 mg/L(n = 3)、及び42.7±3.2 mg/L(n = 3)であった。酸素化試料は、ベースラインより有意に高い溶存酸素値を有した。
【0237】
緩衝液中の開始pHが5.1の場合、最終調合物中のベースラインでのpHは5.54±0.04であった。これは、調合物を酸素の存在下又は非存在下で装置を通して循環させた後にも変化しなかった。35℃の表面に適用された100μlの調合物及び1mlの調合物のゲル化は、酸素の添加とは無関係に、それぞれ約3分及び5分かかった。
【0238】
結論:
10mMクエン酸緩衝液中の18.5重量%/ 1.5重量%のKolliphor 407/188は熱ゲル化特性を有し、5.5のpHに調節することができる。pH又は熱ゲル化特性を変えることなく、調合物を46.8±5.7mg/Lまで酸素化した。装置を通して調合物を数回循環させても、溶存酸素レベルは増加しなかったが、泡の集積は増した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】