特表2020-501035(P2020-501035A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-501035調節可能な湿潤強度および含水強度を持つ耐湿繊維含有基材、ならびにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-501035(P2020-501035A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(54)【発明の名称】調節可能な湿潤強度および含水強度を持つ耐湿繊維含有基材、ならびにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/587 20120101AFI20191213BHJP
   D06M 13/127 20060101ALI20191213BHJP
   D06M 13/342 20060101ALI20191213BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20191213BHJP
   D06M 15/09 20060101ALI20191213BHJP
【FI】
   D04H1/587
   D06M13/127
   D06M13/342
   D06M13/144
   D06M15/09
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2019-529884(P2019-529884)
(86)(22)【出願日】2017年11月16日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2017079386
(87)【国際公開番号】WO2018099724
(87)【国際公開日】20180607
(31)【優先権主張番号】16201550.7
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519193699
【氏名又は名称】ツェーハーエーエムウントペー ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194892
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 麻美
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】エクル,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】センガー,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ヘルベルト
【テーマコード(参考)】
4L033
4L047
【Fターム(参考)】
4L033AB01
4L033AB07
4L033AC07
4L033BA09
4L033BA11
4L033BA12
4L033BA14
4L033BA21
4L033BA53
4L033CA02
4L033CA03
4L033CA05
4L033CA06
4L033CA07
4L047BA12
4L047BC01
4L047CC03
4L047DA00
(57)【要約】
本発明は、調節可能な湿潤強度および水を有する耐湿繊維含有基材であって、前記基材に繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とが含まれ、前記少なくとも1つの結合剤には、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖が含まれるかこれより構成され、また前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖 およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれていることを特徴とする耐湿繊維含有基材に関し、またさらに本発明は、前記耐湿繊維含有基材の、製造方法およびその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維と、
少なくとも1つの結合剤と、
ブレンステッド酸およびブレンステッド塩基の両方として反応可能な化合物である少なくとも1つの両性アミンと、
少なくとも1つの湿潤剤と、
を含み、
前記少なくとも1つの結合剤には、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖が含まれ、また
前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれる、
ことを特徴とする耐湿繊維含有基材。
【請求項2】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの結合剤の前記少なくとも1つの多糖は、セルロース、でんぷん、アガロース、アルギン、アルギン酸塩、キチン、ペクチン、アラビア・ゴム、キサンタンゴム、ガラナおよびこれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは前記少なくとも1つの酸性基含有残基は、カルボキシル基含有残基、リン酸塩含有残基、ホスホン酸含有残基およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはカルボキシル基含有残基であることを特徴とする請求項1に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項3】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの結合剤は、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロースおよびこれらの混合物からなる群から選択され、アルキル残基が直鎖状または分岐状となり、何れも1〜4の炭素原子を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項4】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの結合剤はカルボキシメチルセルロース(CMC)のアルキル金属塩、好ましくはカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩を含み、
前記カルボキシメチルセルロース(CMC)は、ASTM D1439-03/方法Bに従って測定される、カルボキシル基による、0.4を超える1.5までの範囲、好ましくは0.6〜1.1の範囲、好ましくは0.7〜0.9の範囲の、平均置換度(DS)を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項5】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含む耐湿繊維含有基材であって、
前記少なくとも1つの結合剤が、乾燥した前記基材の全重量に基づいて、1重量%〜35重量%の範囲の割合で含有されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項6】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの両性アミンが、好ましくは2〜36の炭素原子を有し、置換または非置換とすることのできるアミノカルボン酸、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項7】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの両性アミンが、
アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、S−メチルシステイン、シスチン、クレアチン、ホモシステイン、ホモセリン、ノルロイシン、2−アミノブタン酸、2−アミノ−3−メルカプト−3−メチルブタン酸、3−アミノブタン酸、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン酸、4−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロパン酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロパン酸、3−アミノプロパン酸、2,3−ジアミノプロパン酸、3−アミノヘキサン酸、γ−カルボキシグルタミン酸(3−アミノプロパン−1,1,3−トリカルボン酸)、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、イソロイシン、イソバリン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン((S)−(+)−2,5−ジアミノペンタン酸)、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
好ましくはアラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはアラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物、
より好ましくはアルギニン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはアラニン、グリシン、プロリン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
から選択されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項8】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含む耐湿繊維含有基材であって、
前記少なくとも1つの両性アミンが、乾燥した前記基材の全重量に基づいて、0.1重量%〜30重量%の範囲の割合で含有されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項9】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの湿潤剤に、前記少なくとも1つの湿潤剤の全重量に基づいて、前記少なくとも1つの有機成分が、少なくとも5.0重量%の割合で含まれていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項10】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの湿潤剤に少なくとも1つの有機成分が含まれ、
前記少なくとも1つの有機成分が、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4,5,6−ヘキサンヘキサオール、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノール、PEG−4、PEG−6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−10、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−18、PEG−20およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3−プロパントリオールおよびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオールおよびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオールおよびこれらの混合物からなる群、
から選択されることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項11】
前記基材が生地、好ましくはワイプ、毛布、バッグ、クッション、ポーチまたは袋状であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項12】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの湿潤剤にはさらに少なくとも1つの多価金属カチオンが含まれ、
前記少なくとも1つの多価金属カチオンが、遷移金属からなる多価イオン、元素周期表の第3典型元素および第4典型元素に属する金属多価イオン、アルカリ土類金属のイオン、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項13】
繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とを含み、
前記少なくとも1つの湿潤剤はさらに少なくとも1つの金属カチオンを含み、
前記少なくとも1つの金属カチオンがCa2+、Zn2+およびこれらの混合物からなる群、より好ましくはCa2+から選択されることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材。
【請求項14】
繊維と少なくとも1つの結合剤とを含有し、前記少なくとも1つの結合剤には、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖が含まれる繊維含有基材、を提供するステップ(a)を含む、請求項1〜13の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材の製造方法において、
さらに、前記ステップ(a)の途中、および/または、後で、少なくとも1つの両性アミンと少なくとも1つの湿潤剤とを、連続して、一緒に、または同時に添加し、
前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれることを特徴とする耐湿繊維含有基材の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜13の何れか一項に記載の耐湿繊維含有基材の、衛生用品としての使用、特に、ウェットティッシュ、ウェットトイレットペーパー、ケアワイプ、クレンジングワイプ、もしくは赤ちゃん用おむつとしての使用、またはシードキャリア、栽培ポットもしくは植物バッグとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐湿繊維含有基材に関し、前記基材には、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの湿潤剤と、少なくとも1つの両性アミンと、が含まれ、前記少なくとも1つの結合剤は、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖を含むか、または前記多糖から構成され、またさらに本発明は、前記繊維含有基材の製造方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットタイプのトイレットペーパーまたはスキンクレンジングワイプ、いわゆるウェットティッシュは、従来技術として長らく公知であり、不織生成物、紙生成物、または繊維生成物から製造することができるが、不都合にも高い含水強度を有するように処理されてきた。一旦汚水などの水に入ったとしても、これらの製造物は乾燥したトイレットペーパーとは異なり、比較的持続的な耐久性を有する。高い含水強度の存在は、ウェットティッシュが水に入った後に、概して不十分な分解性を示すか、または全く分解しないことを意味し、またこれによりパイプの詰まりが生じ、実際に水を浄化する前に、水処理施設で分別しなければならないことを意味する。
【0003】
水に導入されるとウェットタイプの繊維ティッシュの分解性が高くなることについて、従来技術から数多くの手法が知られている。
【0004】
特許文献1には、0.1〜0.9重量%のホウ酸と5〜8重量%のアルカリ金属重炭酸塩からなる溶液で予め湿らせたティッシュであって、内部の繊維がポリビニル・アルコールを含有する結合剤により結合されている、分解性のウェットティッシュが記載されている。不都合なことに、この製品の製造はコストが非常に高く、使い勝手が悪く、また毒性学的に好ましくない。
【0005】
特許文献2にはセルロース繊維と再生セルロース繊維の水ジェットニードリングにより製造された不織繊維ウェブが記載されており、このウェブは汚水中で攪拌または持続的に滞留することにより分解するといわれている。しかし、不都合なことに、この繊維ウェブもまた、廃棄されても非常に高い力学的耐久性を有している。
【0006】
特許文献3には水分解性ティッシュのさらなる製造方法が記載されており、3層のティッシュペーパーの角部のみをエンボス加工することにより互いを接続し、また2層の外側層が、湿潤強度剤を追加的に局所塗布した結果として、水系システム中でのティッシュの分解を促進すると言われている。不都合なことに、この生成物の製造は非常にコストが高い上に使い勝手が悪く、生成物が水に入ってから分解するまでかなりの時間を要する。
【0007】
特許文献4には不織繊維材ウェブと接着結合剤からなるウェットタイプの水洗可能ティッシュが開示されており、前記接着結合剤はウェブの内部に分散し、ウェブの繊維ウェブ材料を結合しており、また前記接着結合剤は、酸不溶/アルカリ溶解性の酸性ポリマーから略構成され、酸性流体中のウェブ繊維間の結合の低下に耐性があるといわれている。
【0008】
しかしこの場合の欠点は、使用しようとする前にティッシュの分解がすでに発生しているために、さらなる有用性に悪影響を与えることである。
【0009】
特許文献5には水分散性繊維から織られた生地を含む水解性クレンジングワイプが記載されており、前記生地には、カルボキシル基を有する水溶性結合剤と、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルトおよびニッケルのイオンからなる群から選択される少なくとも1つの金属イオンと、有機溶媒を含有する水性クレンジング組成物と、が組み込まれている。
【0010】
この場合の欠点は、水解性クレンジングワイプの含水強度が高く、分解させるために寸法が50mm×50mmのクレンジングワイプを、機械エネルギーの高入力で攪拌する必要がある点にある。
【0011】
特許文献6は水に分解可能で、また最高で500mPas・sまでの粘性を有する水溶性セルロースエーテルにより結合した繊維を含む不織繊維ウェブに関し、当該粘性はシリンダーシステム、MV計量カップを有するHaake VT550粘性試験装置を用いて、2.55s−1の20℃の2重量%の水溶液として測定される。
【0012】
しかしこの場合の欠点は、この分解可能性不織繊維ウェブが湿潤強度を全く有さない点にある。
【0013】
公知の市販されている水分解性ウェットティッシュは、一方で、場合によっては侵攻性の物質が含まれており、十分な力学湿潤強度を達成するには、食品法の観点から問題があり、またアレルギー性および炎症性となるものである、という欠点を有している。他方で、湿潤強度がある程度低くなっている場合もあるが、不都合なことに、ウェットティッシュの一体性は、例えば運転中に発生するような、ほんの僅かな力学的負荷により損なわれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,629,081号明細書
【特許文献2】米国特許第4,755,421号明細書
【特許文献3】米国特許第5,667,635号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2817604号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0372388号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第2785914号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的はしたがって、使用中に十分な機械的湿潤強度を示す一方で、他方で、一度水に導入されると、十分な分解性、すなわち低い含水強度を示すことにより、例えば、トイレパイプが詰まることがなく、および/または、汚水を実際に浄化する前に水処理プラントからこれを取り除く必要のない、耐湿繊維含有基材を提供することにある。
【0016】
本発明のさらなる目的は、製造が簡単で安価な耐湿繊維含有基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は請求項1に記載の耐湿繊維含有基材を提供することにより達成され、前記耐湿繊維含有基材には、繊維と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とが含まれ、前記少なくとも1つの結合剤には、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖が含まれ、また前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれている。
【0018】
前記基材には好ましくは、
繊維と、
少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤と、
少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンと、
少なくとも1つの好ましくは液体の湿潤剤と、が含まれ、
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかまたはこれより構成され、
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖には、少なくとも1つの酸性基含有残基、より好ましくはカルボキシル基含有残基が含まれ、より好ましくはカルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルデンプン(CMS)およびこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはカルボキシメチルセルロースであって、
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンは、少なくとも1つの好ましくは水溶性のアミノカルボン酸、より好ましくはα−アミノカルボン酸であって、
好ましくはアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、S−メチルシステイン、シスチン、クレアチン、ホモシステイン、ホモセリン、ノルロイシン、2−アミノブタン酸、2−アミノ−3−メルカプト−3−メチルブタン酸、3−アミノブタン酸、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン酸、4−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロパン酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロパン酸、3−アミノプロパン酸、2,3−ジアミノプロパン酸、3−アミノヘキサン酸、γ−カルボキシグルタミン酸(3−アミノプロパン−1,1,3−トリカルボン酸)、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、イソロイシン、イソバリン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン((S)−(+)−2,5−ジアミノペンタン酸)、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくはアラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくはアルギニン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくはアラニン、グリシン、プロリン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくはヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、また
前記少なくとも1つの好ましくは液体の湿潤剤は、
脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、
より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオールおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、
より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオールおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分を含み、
また任意選択的に、少なくとも1つの多価金属カチオンをさらに含み、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCa2+をさらに含む。
【0019】
本発明の好ましい一実施形態によれば、耐湿繊維含有基材の湿潤強度と含水強度は制御可能である。言い換えると、本発明の繊維含有基材の分解性は制御可能である。
【0020】
本目的は耐湿繊維含有基材を製造する請求項1〜13何れか一項に係る請求項14に記載の方法を提供することによりさらに達成され、前記方法には以下のステップ:
(a)繊維と少なくとも1つの結合剤とを含む繊維含有基材を提供するステップであって、前記少なくとも1つの結合剤には、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖が含まれるステップ、
が含まれ、
さらにステップ(a)の途中、および/または、後で、少なくとも1つの両性アミン、および少なくとも1つの湿潤剤が、連続して、一緒に、または同時に添加され、
前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれることを特徴とする。
【0021】
さらに、本目的は、請求項15に記載の耐湿繊維含有基材の衛生用品としての使用、特に、ウェットティッシュ、ウェットトイレットペーパー、赤ちゃん用おむつ、ケアワイプ、またはクレンジングワイプとしての使用、またはシードキャリア、栽培ポットまたは植物バッグとしての使用により達成される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0023】
本発明に係る「結合剤」との用語は、少なくとも1つの酸性基含有残基、より好ましくはカルボキシル基含有残基を有する少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかまたはこれより構成され、本発明の基材繊維を互いに結合することのできる高分子物質のことを指すものとして理解される。
【0024】
例えば、本発明の基材繊維を適用すると、
当該少なくとも1つの結合剤は、物理的に乾燥させることで繊維に接着したままにし、また、接着および/または凝集により、これらの繊維を互いに結合させることができる。
【0025】
当該少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖から構成されるかまたはこれらを含有し、様々な結合剤、例えば2、3、4またはそれ以上の、好ましくは水溶性の結合剤を含むことができる。
【0026】
例えば、異なる複数の結合剤の各々が、異なる複数の好ましくは水溶性の多糖から構成されるかまたはこれらを含有する場合があり、前記少なくとも1つの酸性基含有残基は、何れの場合も、同一とするかまたは互いに異なるものとなる場合がある。
例えば、それぞれの多糖の一分子あたりの酸性基含有残基の数、および/または、その構造は、何れの場合も、同一とするかまたは互いに異なる場合がある。
【0027】
場合によっては、異なる複数の結合剤は、同一の好ましくは水溶性の多糖から構成されるかまたはこれを含有する場合があり、この場合、これら複数の結合剤は、それぞれの多糖分子に結合している酸性基含有残基の数、またはその構造は、それぞれ異なるものとすることができる。
【0028】
本発明に係る「両性アミン」との用語は、好ましくは陽子供与体と陽子受容体の両方となり、つまりブレンステッド酸とブレンステッド塩基の両方として反応可能な、有機化合物のことを指すものとして理解できる。
本発明が意味する両性アミンは、好ましくは少なくとも1つのプロトン化可能な、および/または、プロトン化しているアミノ基を有し、さらに少なくとも1つの脱プロトン化可能な、および/または、脱プロトン化しているアミノ基、より好ましくはカルボキシル基を有している。
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンは、複数の異なる両性アミン、例えば2、3、4またはそれ以上の、好ましくは水溶性の両性アミンを含む場合がある。
両性アミンは、好ましくはアミノカルボン酸、および/または、これらの塩、および/または、これらの錯体、より好ましくはαアミノ酸、および/または、これらの塩、および/または、これらの錯体である。
両性アミンの塩、好ましくはアミノカルボン酸、より好ましくはα−アミノカルボン酸の塩は、より好ましくは、多価金属カチオンの塩、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCaの塩である。
両性アミンの錯体、好ましくはアミノカルボン酸、より好ましくはα−アミノカルボン酸の錯体は、より好ましくは、多価金属カチオンの錯体、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCa2+の錯体である。
【0029】
本発明に係る「湿潤剤」との用語は、少なくとも1つの結合剤の水中での膨張特性を改変し、好ましくは湿潤剤に含まれる水分の存在下で、少なくとも1つの結合剤の膨張性を改変する物質または組成物のことを指す。
【0030】
本発明によれば、前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物」からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれ、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれる。
【0031】
当該少なくとも1つの湿潤剤は、本発明の基材を保管するとき、好ましくは本発明の基材が乾燥することを、水の結合、および/または、水の蒸発の防止などにより、および/または大気水分を自身に結合させることにより防止する。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の基材は溶媒を含有し、好ましくは水分を含んでいる。
より好ましくは、本発明の基材は、乾燥状態にある本発明の基材の全重量に基づいて、50重量%〜450重量%の範囲、より好ましくは90重量%〜390重量%の範囲、より好ましくは110重量%〜340重量%の範囲、より好ましくは150重量%〜310重量%の範囲、より好ましくは160重量%〜200重量%の範囲、より好ましくは230重量%〜280重量%の範囲、にある溶媒含有率、好ましくは液体成分の含有率を有している。
【0033】
本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかこれより構成される少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤と、少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンと、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分を含む少なくとも1つの湿潤剤と、を用いることによって、十分な力学的湿潤強度を示す一方で、皮膚に擦れるなどしたときの短時間の力学的負荷の下で一体性を失わない耐湿繊維含有基材、を提供することが可能であることを見出した。他方で、水への導入後、本発明の耐湿繊維含有基材は十分な分解性、つまり低い含水強度を有し、このため、例えばトイレに流した後の汚水パイプの詰まりが防止され、または汚水を実際に浄化する前に、本発明の基材を水処理プラントから取り除く必要がない。さらに、長期の保管後でも、本発明の耐湿繊維含有基材は十分な力学的安定性を示す。
【0034】
本発明でいう「湿潤強度」とは、少なくとも1つの有機成分を含む水溶液の存在下における、本発明の基材の強度のことを指し、ここで前記少なくとも1つの有機成分は、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物ならなる群から選択されるものとする。「湿潤強度」は、含水基材を直接測定するDINENISO13934−1(1999−04)と同様のストリップ引張試験を用いて好ましくは測定することができる。
【0035】
本発明に係る耐湿繊維含有基材は、20℃で65%の相対湿度の下、DIN EN ISO 13934、パート1(発行日:1999−04)に従うストリップ引張試験を用いて測定したとき、好ましくは3Nを超える湿潤強度、好ましくは3N〜250Nの範囲、より好ましくは4N〜150Nの範囲、より好ましくは4.5N〜120Nの範囲、より好ましくは5N〜80Nの範囲、より好ましくは6N〜55Nの範囲の湿潤強度を示す。
【0036】
本発明者らは本発明の基材の湿潤強度は、基材内に存在する成分量を、各成分に対して以下の通りに定めた制限値の範囲内で変化させることにより、調整できることを見出した。本発明の基材の湿潤強度は、好ましくは本発明の基材の特定の用途に適合させることができる。
【0037】
例えばウェットトイレットペーパーとして形成される場合、本発明の耐湿繊維含有基材は、20℃で65%の相対湿度の下、DIN EN ISO 13934、パート1(発行日:1999−04)に従うストリップ引張試験を用いて測定して、8N〜14Nまでの範囲、好ましくは10N〜12Nまでの範囲にある湿潤強度を有する。
【0038】
例えば8Nよりも低い湿潤強度は、ウェットトイレットペーパーとして使用される状況では、不十分な力学安定性につながる。14Nを超える湿潤強度では、反対に、ウェットトイレットペーパーとして形成して使用した場合、過度に固い、および/または、堅固な触感が出てしまう。
【0039】
さらに、例えば、本発明の基材の意図する使用に、高い力学安定性が必要とされる場合、または本発明の基材の触り心地、例えば、フワフワ感、柔軟性、および/またはグリップが大して重要でない場合に、湿潤強度を高めることができる。
【0040】
本発明者らは、本発明の基材の湿潤強度の高まりにも関わらず、水に導入された後の基材は、好ましくは完全に分解することが分かった。分解後には好ましくは繊維のみが残る。
【0041】
「含水強度」とは、水が多く存在している状況における本発明の基材の強度のことを指す用語として好ましくは理解される。本発明の基材の含水強度は、好ましくはDIN EN ISO 12625、パート5(発行日:2005−09)の「含水引張強度の測定」を用いて確定することができる。
【0042】
本発明に係る耐湿繊維含有基材は、20℃で65%の相対湿度の下、DIN EN ISO12625、パート5(発行日:2005−09)に従う含水引張試験を用いて測定したとき、2N以下、より好ましくは1N以下、好ましくは0.5N以下の含水強度を好ましくは有する。
【0043】
上記の通り測定された3Nを超える湿潤強度を有する本発明の基材、好ましくは3N〜250Nの範囲、より好ましくは6N〜210Nの範囲、より好ましくは4N〜150Nの範囲、より好ましくは4.5N〜120Nの範囲、より好ましくは5N〜80Nの範囲、より好ましくは6N〜55Nの範囲、にある湿潤強度を有する本発明の基材は、好ましくは、水に導入された後に、継続して完全に分解可能となって、より好ましくは、上記の通り測定された基材の含水強度は2N以下、好ましくは1N以下、より好ましくは0.5N以下である。
【0044】
好ましくは、水への導入後、本発明の基材は1時間未満のうちに完全に分解され、好ましくは15分未満のうち、好ましくは1分未満のうち、好ましくは30秒未満のうち、より好ましくは10秒から1時間未満までの間、より好ましくは30秒から30分未満までの間、より好ましくは1分から15分未満までの間に完全に分解される。分解の後に好ましくは繊維だけが残る。
【0045】
本発明によれば、繊維以外にも、耐湿繊維含有基材には、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかこれより構成される、少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤と、少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤とが含まれ、前記好ましくは水溶性の多糖は少なくとも1つの酸性基含有残基を有している。
【0046】
前記少なくとも1つの両性アミンは、好ましくは、前記少なくとも1つの結合剤と共に、少なくとも1つの高分子塩、および/または、高分子集合体を形成し、前記少なくとも1つの湿潤剤と共に、実質的に、非溶解的および/または非分散的となる。
【0047】
本発明に係る「高分子塩」との用語は、イオン解離した少なくとも1つの酸性基含有残基、より好ましくはカルボキシル基含有残基を有し、これが反対の電荷を持つ好ましくはイオン結合を形成している、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかこれらより構成される高分子物質のことを指す。
【0048】
多糖に結合したイオン解離した基は、好ましくはアニオン荷電性の基、好ましくは脱プロトン化した酸性基、より好ましくはカルボン酸基である。
【0049】
高分子塩の形成において、好ましくは、例えば少なくとも1つの酸性基含有残基の脱プロトン化した酸性基などの、少なくとも1つの結合剤のアニオン荷電性の官能基と、例えばプロトン化したアミノ酸などの、少なくとも1つの両性アミンのカチオン荷電性の官能基は、相対する電荷を持つ残基のイオン相互作用などにより、互いに結合することができ、これにより好ましくは、前記少なくとも1つの湿潤剤の存在下での溶解性が抑えられるか、または溶解性がなくなる。
【0050】
少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンの使用と少なくとも1つの湿潤剤の使用に加えて、少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤を使用することにより、本発明の繊維含有基材の、例えば力学的な負荷の下での湿潤強度を高めることができる。
【0051】
繊維含有基材が水道水、雑排水、汚水などの水に一旦取り込まれると、少なくとも1つの有機成分を含む少なくとも1つの湿潤剤が、好ましくは水に希釈および/または溶解される。このため、少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤に水を結合させることができ、および/または、少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は水を吸水することができるため、これにより少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤を、何れの場合にも膨張させることができる。このため、好ましくは、結合剤の結合能力が低減するか、またはなくなる。
【0052】
例えば、本発明の基材を中性pHまたはアルカリpHの水に導入させると、高分子塩が部分的に溶解、好ましくは完全に溶解する起こることがある。これにより少なくとも1つの結合剤の水溶性、および/または、水分散性が高くなり、これにより本発明の基材の構造一体性を、弱くするかまたは破壊させることができる。
【0053】
これは、本発明の基材内部の繊維同士の結合および/または繊維構造を、広げ、緩め、弱め、延伸させ、および/または、破壊させることができることを意味している。汚水中で発生する流れの影響などによる力学的な影響により、本発明に係る基材の構造一体性はさらに弱められ、好ましくは破壊される。
【0054】
一般的に、汚水のpHは7.0から8.5までの範囲に存在する。
【0055】
少なくとも1つの結合剤を繊維含有基材に施用してセットした後に、結合剤含有繊維含有基材の繊維は、少なくとも1つの結合剤により、互いに、少なくとも部分的に、好ましくは完全に結合される。少なくとも1つの両性アミンが結合剤含有繊維含有基材に施用されると、少なくとも1つの結合剤と少なくとも1つの両性アミンは、好ましくは部分的に高分子塩および/または高分子集合体の形態で、より好ましくは完全に高分子塩および/または高分子集合体の形態で、存在する。
【0056】
場合によっては、少なくとも1つの両性アミンを、少なくとも1つの結合剤と共に、繊維含有基材に施用することが可能であって、この場合、少なくとも1つの結合剤と少なくとも1つの両性アミンは、同様にして、好ましくは部分的に高分子塩および/または高分子集合体の形態で、より好ましくは完全に高分子塩、および/または、高分子集合体の形態で、存在する。
【0057】
上記少なくとも1つの有機成分を有する少なくとも1つの湿潤剤を、繊維含有基材に施用した結果、本発明の基材が得られる。少なくとも1つの湿潤剤は、例えば少なくとも1つの両性アミンと共に施用可能であるが、例えば、少なくとも1つの湿潤剤と少なくとも1つの両性アミンを別々に用いて施用することができ、および/または、少なくとも1つの湿潤剤と少なくとも1つの両性アミンを含む混合物を用いて施用することもできる。
【0058】
本発明の基材が好ましくはpH7.0以上を有する水に導入されると、上記少なくとも1つの有機成分を含む少なくとも1つの湿潤剤が、好ましくは水に希釈または溶解し、基材が繊維サイズまで分解するようになっている。好ましくは分解後に繊維だけが残る。
【0059】
この場合、少なくとも1つの結合剤、および/または、少なくとも1つの両性アミンに水が結合可能となり、好ましくは高分子塩および/または高分子集合体は、部分的に、より好ましくは完全に溶解する。高分子塩および/または高分子集合体が部分的に、より好ましくは完全に溶解した結果、少なくとも1つの両性アミンと少なくとも1つの結合剤との接触が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に遮られる。
【0060】
少なくとも1つの両性アミンと少なくとも1つの結合剤との間で、例えば高分子塩および/または高分子集合体の溶解により、接触が遮られる結果、少なくとも1つの結合剤に対する水の結合が促進され、および/または、少なくとも1つの結合剤の水溶性を高めることができる。
【0061】
少なくとも1つの結合剤は、本発明の基材繊維に、水素結合などを用いて、結合可能である。
【0062】
本発明の基材が、好ましくはpHが7.0以上の水に導入されると、水素結合が解除され、本発明の基材の繊維と少なくとも1つの結合剤の結合が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に切れ、この結果、少なくとも1つの結合剤を繊維等から切り離すことができる。
【0063】
本明細書に記載のpH値は、好ましくは標準状態(25℃、1013mbar)で、水中で測定される。
【0064】
本発明で使用される結合剤には、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖が含まれるかこれより構成される。
【0065】
本発明でいう「多糖」との用語は、ホモ多糖類、ヘテロ多糖類およびこれらの混合物のことを指し、これらは同一のまたは異なる単糖類から構成可能であって、また直鎖状または分岐した分子構成を有することができる。
【0066】
工業利用の際には、高分子量多糖バイオポリマーを部分的に分解し、および/または、好ましくは、熱力学的に、および/または、化学的に、および/または、触媒的に変質させることにより官能基化することができる。この処理により生じた部分的に分解/変換された多糖は、好ましくは、より水に溶けやすくなり、溶液がより安定的になり、および/または、これらより形成された被覆または表面フィルムは、より強固な強度および結合力を形成する。
【0067】
多糖よりなる溶液の動的粘度は、多糖の熱力学的な、および/または、化学的な、および/または、触媒的な変質により、好ましくは調節することができ、対応する施用操作で問題なく溶液を使用することができるようになっている。
【0068】
好ましい一実施形態において、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖からなる、全溶液重量に基づいて2重量%の溶液は、20℃の水中で、1mPa・sから10000mPa・sまでの範囲、好ましくは50mPa・sから3000mPa・sまでの範囲、より好ましくは550mPa・sから2500mPa・sまでの範囲の動的粘度を有し、これらはサール(Searle)型の、タイプHaake(登録商標)Viscotester(登録商標)550の回転粘度計(サーモフィッシャー サイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific Inc.)、カールスルーエ、ドイツ)を用いて好ましくは測定され、当該粘度計は2.55s−1の回転速度を持ち、円筒測定設備、MV測定カップを有する。
【0069】
多糖の組成と変質の性質に応じて、変質多糖溶液は、好ましくは異なる分散度を有する場合があり、好ましくは多分散性を有する場合がある。
【0070】
例えば、変質多糖溶液は変化するモル質量組成を有することができ、これにより好ましくは、溶液の動的粘度を、溶液の調節可能な粘弾性および/または構造粘度などにより、使用する施用システムに合わせることができる。例えば、変質多糖溶液には多糖分子が含まれる場合があり、各々の多糖分子は、例えば、グリコシド結合により互いに結合している複数の異なる数の単糖類から構成することができる。さらに、変質多糖溶液は単糖類および/またはオリゴ糖を含むことができる。
【0071】
オリゴ糖には好ましくは2から9の同一または異なる単糖類が含まれ、各々の単糖類はグリコシド結合により互いに結合されている。
【0072】
少なくとも1つの酸性基含有残基を有する、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖は、好ましくは少なくとも10の、好ましくは少なくとも50の、同一または互いに異なる単糖類が含まれ、各々の単糖類はグリコシド結合により互いに結合されている。
少なくとも1つの酸性基含有残基を有する、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖は、好ましくは平均で約10〜20000の、好ましくは110〜2000の、同一または異なる単糖類が含まれ、各々の単糖類はグリコシド結合により互いに結合されている。
【0073】
好適な多糖類は分岐または非分岐したものとすることが可能であるが、好ましくは非分岐のものである。
【0074】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖は、セルロース、ヘミセルロース、でんぷん、アガロース、アルギン、アルギン酸塩、キチン、ペクチン、アラビア・ゴム、キサンタン、ガラナまたはこれらの混合物であり、好ましくは、セルロース、ヘミセルロース、でんぷん、またはこれらの混合物、好ましくはセルロース、ヘミセルロース、またはこれらの混合物、より好ましくはセルロースである。
【0075】
ヘミセルロースは、特に様々な組成を持つ天然由来の多糖類混合物の総称であって、植物バイオマス等から分離させることができる。
【0076】
ヘミセルロースの多糖類は異なる単糖類から構成することができる。よく見られる単糖類は、好ましくはキシロースおよび/またはアラビノースなどのペントース、グルコース、マンノース、および/またはガラクトースなどのヘキソースであって、また糖酸などの変質単糖類、好ましくはウロン酸であって、これは例えば、グルクロン酸、メチルグルクロン酸、および/または、ガラクツロン酸などのヘキスロン酸類からなる群、などから選択され、または、デオキシ単糖類、好ましくはラムノースなどのデオキシヘキソースである。
【0077】
デオキシ単糖は、好ましくは少なくとも1つのOH基が水素原子で置換された単糖である。
【0078】
セルロースは多糖であって、好ましくは非分岐である。セルロースは、好ましくは平均で約50から1000までのセロビオースユニットから構成される。セロビオースは、互いにβ−1,4−グリコシド結合した2つのグルコース分子からなる二糖である。
【0079】
好適なセルロースは、好ましくは平均で約100から20000まで、好ましくは110から2000までのグルコース分子を有している。
【0080】
でんぷんは、α−グリコシド結合を介して互いに結合したD−グルコースユニットから構成された多糖である。
【0081】
本発明でいうところのでんぷんは同様にして、アミロース、アミロペクチン、およびこれらの混合物を包含し、好ましくはアミロースを包含している。
【0082】
アミロースはα−1,4−グリコシド結合のみで結合されたDグルコースユニットからなる非分岐多糖である。
【0083】
アミロペクチンはα−1,4−グリコシド結合したDグルコースユニットからなる分岐多糖である。約15〜30のモノマー毎に、α−1,6−グリコシド結合した側鎖であって、α−1,4−グリコシド結合したDグルコースユニットからなる側鎖が現れる。側鎖にはα−1,4−グリコシド結合した少なくとも5つのグルコースユニットが好ましくは含まれている。より好ましくは側鎖には7〜60のグルコースユニット、好ましくは10〜50のグルコースユニット、好ましくは12〜30のグルコースユニットが含まれ、各々がα−1,4−グリコシド結合している。
【0084】
本発明に係る結合剤として使用される多糖には、少なくとも1つの酸性基含有残基が含まれ、当該酸性基含有残基は好ましくはエーテル基により多糖に結合している。
【0085】
少なくとも1つの多糖および少なくとも1つの酸性基含有残基はしたがって多糖エーテルを形成し、当該多糖エーテルは、少なくとも1つの多糖の単糖ユニットにあるヒドロキシル基の水素原子を、酸性基含有残基により、部分的にまたは完全に置換することにより形成され、前記酸性基含有残基は、互いに同一でも異なるものでも構わない。
【0086】
本発明に係る「酸性基含有残基」との用語は、水その他のプロトン化可能溶液と平衡反応することのできる有機残基のことを指す。水の場合にはこの生成物はオキソニウムイオンHであって、酸性基含有残基は水溶媒にプロトンを供給し、カルボキシレート基など、アニオンで荷電した官能基を形成する。
【0087】
「酸性基含有残基」との用語は、好ましくはカルボキシル基含有残基、リン酸塩含有残基、ホスホン酸含有残基、およびこれらの組み合わせ、より好ましくはカルボキシル基含有残基を指す用語として理解される。
【0088】
より好ましくは、少なくとも1つの酸性基含有残基は、少なくとも1つの-O-アルキルカルボキシル残基、少なくとも1つの-O-アルキルリン酸残基、少なくとも1つの-O-アルキルホスホン酸残基、またはこれらの組み合わせ、好ましくは少なくとも1つの-O-アルキルカルボキシル残基であって、何れの場合にもアルキルラジカルとは互いに独立しており、アルキルラジカルは直鎖状または分岐状であってよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有する。
【0089】
本発明の好ましい一実施形態において、少なくとも1つの酸性基含有残基は、カルボキシル基含有残基、好ましくはアルキルカルボキシル残基、より好ましくは-O-アルキルカルボキシル残基であって、何れの場合にもアルキルラジカルとは互いに独立しており、アルキルラジカルは直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有する。
【0090】
少なくとも1つの多糖と、少なくとも1つの酸性基含有残基、好ましくは-O-アルキルカルボキシル残基、-O-アルキルリン酸残基、-O-アルキルホスホン酸基またはこれらの組み合わせ、より好ましくは-O-アルキルカルボキシル基とが、好ましくは多糖エーテルを形成し、当該多糖エーテルは、好ましくは、少なくとも1つの多糖の単糖ユニットにあるヒドロキシル基の水素原子を、酸性基含有残基により、好ましくはアルキルカルボキシル残基,アルキルリン酸残基,アルキルホスホン酸残基またはこれらの組み合わせ,より好ましくはアルキルカルボキシル残基により、好ましくは部分的にまたは完全に置換することにより、形成され、前記酸性基含有残基は、何れの場合にも互いに同一でも異なるものでも構わず、何れの場合にも、アルキル残基は直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有する。
【0091】
本発明に係る結合剤として使用される多糖の、上記少なくとも1つの酸性基含有残基,好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基含有残基、好ましくは少なくとも1つの-O-アルキルカルボキシル残基による、平均置換度(degree of substitution;DS)は、0.4〜2.0の範囲、好ましくは0.5〜1.5、好ましくは0.6〜1.1の範囲、好ましくは0.7〜0.9の範囲であって、何れの場合にもアルキルラジカルは直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有する。
【0092】
平均置換度(DS)とは、酸性基含有残基、好ましくはカルボキシル基含有残基、好ましくは-O-アルキルカルボキシル残基の平均個数に関し、何れの場合にもアルキルラジカルは直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有し、単糖ユニット毎に好ましくはエーテル結合を介して結合されている。
【0093】
上記の酸性基含有残基、好ましくはカルボキシル基含有残基、好ましくは上記の-O-アルキルカルボキシル残基は、互いに同一か、または異なるものとすることができる。
【0094】
異なる酸性基含有残基、好ましくはカルボキシル基含有残基、好ましくは-O-アルキルカルボキシル残基が単糖ユニットに結合している場合には、平均置換度(DS)とは、上記酸性基含有残基すべての平均個数、好ましくはカルボキシル基含有残基、好ましくは-O-アルキルカルボキシル残基のすべての平均個数に関し、これら酸性基含有残基は何れの場合にも、単糖ユニット毎に、好ましくはエーテル結合を介して結合されている。
【0095】
好ましくは、本明細書中、少なくとも1つの酸性基含有残基、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基含有残基、好ましくは少なくとも1つの-O-アルキルカルボキシル残基による平均置換度(DS)のことを、「平均置換度(DS)」とよぶこととする。
【0096】
酸性基含有残基、好ましくはカルボキシル基含有残基、好ましくは-O-アルキルカルボキシル残基による多糖の平均置換度(DS)は、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩に対するASTM D 1439-03/方法Bと同様にして測定することができる。
【0097】
少なくとも1つの酸性基含有残基、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基含有残基、好ましくは少なくとも1つの上記-O-アルキルカルボキシル残基を有する好適な多糖に、アルキル残基が追加で含まれる場合があり、前記アルキル残基は、何れの場合にも互いに独立しており、直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有し、また、何れの場合にも互いに独立しているヒドロキシアルキルラジカルは、直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、特に1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子、またはこれらの組み合わせを有し、アルキルラジカル、および/または、ヒドロキシルアルキルラジカルは、好ましくは同様にして、多糖の単糖ユニットにエーテル結合を介して結合されている。
【0098】
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、好ましくは、カルボキシアルキル多糖類、カルボキシアルキルアルキル多糖類、カルボキシアルキルヒドロキシアルキル多糖類、カルボキシアルキルアルキルヒドロキシアルキル多糖類およびこれらの混合物からなる群、好ましくはカルボキシアルキル多糖類からなる群から選択される、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかまたはこれらから構成され、各々が互いに独立している上記アルキルラジカルは、直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有する。
【0099】
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、好ましくは、カルボキシメチル多糖類、カルボキシメチルメチル多糖類、カルボキシメチルヒドロキシメチル多糖類、カルボキシメチルメチルヒドロキシメチル多糖類およびこれらの混合物からなる群、好ましくはカルボキシメチル多糖類からなる群から選択される、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかまたはこれらから構成される。
【0100】
好ましい一実施形態において、前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロースおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖、を含むかまたはこれらから構成され、上記アルキルラジカルは、何れの場合にも互いに独立しており、直鎖状でも分岐状でもよく、1〜4の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、好ましくは1〜2の炭素原子、より好ましくは1の炭素原子を有する。
【0101】
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、より好ましくは、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖を含むかこれらより構成され、前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルデンプン(CMS)、カルボキシエチルセルロース(CEC)、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルpropylセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、カルボキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、カルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロースおよびこれらの混合物からなる群、より好ましくはカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロースおよびこれらの混合物からなる群、より好ましくはカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプンおよびこれらの混合物からなる群、より好ましくはカルボキシメチルセルロースから選択される。
【0102】
前記少なくとも1つの好ましくは水溶性の結合剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)のアルキル金属塩、好ましくはカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩であるか、もしくはこれを含み、カルボキシメチルセルロース(CMC)は、ASTM D 1439-03/方法Bに従って測定される、カルボキシルメチル基による平均置換度(DS)を、無水グルコースユニット当たりのカルボキシメチル基が、0.4〜1.5の範囲、好ましくは0.6〜1.1、好ましくは0.7〜0.9の範囲内に有する。
【0103】
好適とされる市販の好ましくは水溶性の結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、Rheolon(登録商標)30、Rheolon(登録商標)30N、Rheolon(登録商標)100NまたはRheolon(登録商標)300、Rheolon(登録商標)300N、Rheolon(登録商標)500GおよびRheolon(登録商標)1000Gであって、何れもUgur Seluloz Kimya(アイドゥン,トルコ)から入手可能である。
【0104】
さらなる好適な市販の結合剤は、例えば、Calexis(登録商標)型およびFinnfix(登録商標)型のカルボキシメチルセルロースであって、何れもシーピー・ケルコドイツ社(グローセンブローデ,ドイツ)から入手することができる。
【0105】
本発明に係る基材は、何れの場合においても、少なくとも1つの結合剤を、乾燥基材の面積に基づいて、1g/m〜30g/mの範囲内、好ましくは2g/m〜20g/mの範囲内、より好ましくは1.3g/m〜17g/mの範囲内、より好ましくは3.0g/m〜15g/mの範囲内、より好ましくは3.5g/m〜13g/mの範囲内、より好ましくは4g/m2〜11g/m2の範囲内、より好ましくは4.5g/m2〜9g/m2の範囲内の割合で含んでいる。
【0106】
本発明によれば、本発明に係る基材は、少なくとも1つの好ましくは水溶性の両性アミンを含んでおり、少なくとも1つの結合剤と共に、好ましくは、高分子塩、および/または、高分子集合体を形成する。
【0107】
本発明によれば、「両性アミン」との用語は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基およびこれらの組み合わせからなる群、好ましくは第1級アミノ基、第2級アミノ基およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの好ましくはプロトン化可能な、および/または、プロトン化されているアミノ基と、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基である少なくとも1つの酸性基と、を含む有機化合物のことを指すものと理解される。
【0108】
好適な両性アミンには、好ましくは少なくとも1つのプロトン化可能な、および/または、プロトン化したアミノ基が含まれる。さらに好ましくは、好適な両性アミンは、少なくとも1つのアミノ基が、アニオンで荷電した官能基、例えば少なくとも1つの結合剤の脱プロトン化した酸性基でプロトン化されると、反対の荷電を持つ残基の静電引力などにより、高分子塩が形成される。
【0109】
さらに好ましくは、本発明でいう両性アミンには、第1の好ましくはプロトン化可能な、および/または、プロトン化したアミノ基と、第1の酸性基、好ましくはカルボキシル基とが含まれ、さらに任意選択的に、第2の好ましくはプロトン化可能な、および/または、プロトン化したアミノ基、および/または、第2の酸性基、好ましくはカルボキシル基が含まれる。
【0110】
本発明でいう両性アミンに、好ましくは、恒久的に正に荷電している窒素原子は存在せず、より好ましくはテトラアルキルアンモニウム基などの第4級アンモニウム基は存在しない。
【0111】
好適な両性アミンは、好ましくは2〜36の炭素原子を有し、置換または非置換とすることのできるアミノカルボン酸、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から、好ましくは選択される。
【0112】
2〜36の炭素原子を有し、置換されるかまたは置換されない好適なアミノカルボン酸は、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基と少なくとも1つのアミノ基を有する、有機成分である。好適なアミノカルボン酸は、塩素、臭素、ヨウ素、チオール基、ヒドロキシル基、またはこれらの組み合わせで好ましくは置換可能である。
【0113】
好適なアミノカルボン酸は、好ましくはα−アミノカルボン酸である。好適なアミノカルボン酸は、さらに好ましくは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、S−メチルシステイン、シスチン、クレアチン、ホモシステイン、ホモセリン、ノルロイシン、2−アミノブタン酸、2−アミノ−3−メルカプト−3−メチルブタン酸、3−アミノブタン酸、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン酸、4−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロパン酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロパン酸、3−アミノプロパン酸、2,3−ジアミノプロパン酸、3−アミノヘキサン酸、γ−カルボキシグルタミン酸(3−アミノプロパン−1,1,3−トリカルボン酸)、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、イソロイシン、イソバリン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン((S)−(+)−2,5−ジアミノペンタン酸)、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
好ましくはアラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはアラニン、アルギニン、グリシン、プロリン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはアルギニン、リシン、オルニチン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはアラニン、グリシン、プロリン、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物からなる群、から選択される。
【0114】
さらに好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの両性アミンは、塩素、臭素、ヨウ素、チオール基、ヒドロキシル基、またはこれらの組み合わせにより置換または非置換が可能な、好ましくは2〜36の炭素原子を有する上記アミノカルボン酸からなる群から選択され、またこれらの塩,これらの錯体およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0115】
好ましくは、金属カチオン、より好ましくは多価金属カチオン、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCa2+は、上記のアミノカルボン酸の1つと、塩および/または錯体を形成する場合がある。
【0116】
さらに好ましくは、上記両性アミン、好ましくは上記アミノカルボン酸は、多価金属カチオン、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCa2+の塩、および/または、錯体として使用することができる。
【0117】
本発明者らは、少なくとも1つの両性アミン、好ましくは少なくとも1つのアミノカルボン酸、および/または、これらの塩、および/または、これらの錯体を使用することにより、本発明の基材の制御可能な分解性が改善されることを確認した。
【0118】
少なくとも1つの両性アミン、好ましくは2〜36の炭素原子を有し、塩素、臭素、ヨウ素、チオール基、ヒドロキシル基、またはこれらの組み合わせにより置換または非置換が可能な、好ましくは少なくとも1つのアミノカルボン酸、および/またはこれらの塩、および/または、これらの錯体は、少なくとも1つの酸性基含有残基と共に、好ましくは、少なくとも1つの好ましくは水溶性の多糖のカルボキシル基含有残基と共に、本発明の基材への施用後に、好ましくは高分子塩を形成する。
【0119】
好ましくは、少なくとも1つの両性アミン、より好ましくは少なくとも1つのアミノカルボン酸は、25℃で水に、9g/lを超える溶解度、より好ましくは11g/lを超える溶解度、より好ましくは20g/lを超える溶解度を有し、水のpHは7.0である。
【0120】
本発明の基材は好ましくは、好ましくは2〜36の炭素原子を有し、置換または非置換することのできる上記アミノカルボン酸と、好ましくは1〜36の炭素原子を有し、置換または非置換することのできる上記アミノスルホン酸と、これらの塩、これらの錯体およびこれらの混合物とからなる群から好ましくは選択される少なくとも1つの両性アミンを好ましくは含み、前記両性アミンは、何れの場合にも、本発明の乾燥基材の全重量に基づいて、0.1重量%〜30重量%の範囲内、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲内、より好ましくは0.7重量%〜17重量%の範囲内、より好ましくは2重量%〜15重量%の範囲内、より好ましくは3.3重量%〜13重量%の範囲内の割合で含まれている。
【0121】
本発明の基材には、さらに少なくとも1つの湿潤剤が含まれ、前記少なくとも1つの湿潤剤には少なくとも1つの有機成分が含まれ、前記少なくとも1つの有機成分は、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物から、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物から選択される。
【0122】
標準的な条件下(温度25℃、圧力1013mbar)で、少なくとも1つの湿潤剤は固体でも液体でも構わず、好ましくは液体である。
【0123】
繊維含有基材は好ましくは標準的な条件下で液体となり、好ましくは水性の湿潤剤が含まれ、少なくとも1つの有機成分は、標準的な条件下(温度25℃、圧力1013mbar)で、固体でも液体でも構わないが、好ましくは液体である。例えば、標準的な条件下で固体となる有機成分は、標準的な条件下で液体となる湿潤剤に、溶解して、および/または、分散して存在することができる。
【0124】
本発明に係る少なくとも1つの有機成分は、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0125】
好適な脂肪族アルコールは非環状でも環状でもよく、また飽和していても不飽和でもよい。好適な脂肪族アルコールは好ましくは飽和しており、より好ましくは非環状でかつ飽和している。
【0126】
好適な脂肪族アルコールには、何れの場合にも直鎖状または分岐状でもよい、好ましくは1〜12の炭素原子、より好ましくは1〜9の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子、より好ましくは1〜4の炭素原子、より好ましくは2〜3の炭素原子と、少なくとも1つのOH基、好ましくは1〜12のOH基、より好ましくは1〜9のOH基、より好ましくは1〜6のOH基、より好ましくは1〜4のOH基、より好ましくは2〜3のOH基と、が含まれる。
【0127】
好適な脂肪族アルコールは、何れの場合にも直鎖状でも分岐状でもよい、1〜12の炭素原子、より好ましくは1〜9の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子、より好ましくは1〜4の炭素原子、より好ましくは2〜3の炭素原子を有し、また1つのOH基を有する、脂肪族一価アルコール;何れの場合にも、直鎖状でも分岐状でもよい、2〜12の炭素原子、より好ましくは2〜9の炭素原子、より好ましくは2〜6の炭素原子、より好ましくは2〜4の炭素原子、より好ましくは2〜3の炭素原子を有し、また2〜12のOH基、より好ましくは2〜9のOH基、より好ましくは2〜6のOH基、より好ましくは2〜4のOH基、より好ましくは2〜3のOH基を有する、脂肪族多価アルコール;および、これらの混合物、からなる群から、より好ましくは選択される。
【0128】
好適な脂肪族一価アルコールは、1つのOH基と、何れの場合にも直鎖状でも分岐状でもよい、1〜12の炭素原子、より好ましくは1〜9の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子、より好ましくは1〜4の炭素原子、より好ましくは2〜3の炭素原子とを有し、
好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールおよびこれらの混合物からなる群、
から選択される。
【0129】
脂肪族多価アルコールは、好ましくは、何れの場合にも、直鎖状でも分岐状でもよい、2〜12の炭素原子、より好ましくは2〜9の炭素原子、より好ましくは2〜6の炭素原子、より好ましくは2〜4の炭素原子、より好ましくは2〜3の炭素原子を有するアルカンジオール、
何れの場合にも、直鎖状でも分岐状でもよい、3〜12の炭素原子、より好ましくは3〜9の炭素原子、より好ましくは3〜6の炭素原子、より好ましくは3〜4の炭素原子を有するアルカントリオール、
何れの場合にも、直鎖状でも分岐状でもよい、4〜12の炭素原子、より好ましくは4〜9の炭素原子、より好ましくは4〜6の炭素原子を有するアルカンテトラオール、
何れの場合にも、直鎖状でも分岐状でもよい、5〜12の炭素原子、より好ましくは5〜9の炭素原子、より好ましくは5〜6の炭素原子を有するアルカンペンタオール、
何れの場合にも、直鎖状でも分岐状でもよい、6〜12の炭素原子、より好ましくは6〜9の炭素原子を有するアルカンヘキサオール、およびこれらの混合物、からなる群から選択される。
【0130】
好適な脂肪族多価アルコールは、好ましくは、エタン−1、2−ジオール(エチレングリコール,1,2−グリコール)、プロパン−1,2−ジオール(プロピレングリコール)、プロパン−1,3−ジオール(トリメチレングリコール)、ブタン−1,2−ジオール(1,2−ブチレングリコール)、ブタン−1,3−ジオール(1,3−ブチレングリコール)、ブタン−1,4−ジオール(テトラメチレングリコール)、ブタン−2,3−ジオール(2,3−ブチレングリコール)、ペンタン−1,5−ジオール(ペンタメチレングリコール)、ヘキサン−1,6−ジオール(ヘキサメチレングリコール)、オクタン−1,8−ジオール(オクタメチレングリコール)、ノナン−1,9−ジオール(ノナメチレングリコール)、デカン−1,10−ジオール(デカメチレングリコール)、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3,4,5,6−ヘキサンヘキサオール(ソルビトール)、またはこれらの混合物からなる群、
より好ましくはエタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール(ヘキサメチレングリコール)、オクタン−1,8−ジオール(オクタメチレングリコール)、ノナン−1,9−ジオール(ノナメチレングリコール)またはこれらの混合物からなる群、
より好ましくはエタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、またはこれらの混合物からなる群、
より好ましくはエタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオールまたはこれらの混合物からなる群、から選択される。
【0131】
好適な脂肪族エーテルは、好ましくは多価脂肪族アルコールのエーテルであって、好適な脂肪族エーテルは、より好ましくは、グリコールエーテル、多価脂肪族アルコールのポリエーテル、またはこれらの混合物である。
【0132】
多価脂肪族アルコールのポリエーテルは好ましくは、上記多価脂肪族アルコールのポリエーテル、より好ましくは上記アルカンジオールのポリエーテルである。
【0133】
好適なポリエーテルは、好ましくは4〜40の炭素原子と、少なくとも2つのOH基、好ましくは2つのOH基とを有し、
好ましくは4〜40の炭素原子を有するポリエチレングリコール、6〜40の炭素原子を有するポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくは4〜40の炭素原子を有するポリエチレングリコールおよびこれらの混合物から選択される。
【0134】
好ましくは直鎖状または分岐状の4〜40の炭素原子を有する好適なポリエチレングリコールは、例えば、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコール)、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノール(トリエチレングリコール)、PEG−4、PEG−6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−10、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−18、PEG−20またはこれらの混合物である。
【0135】
好ましくは直鎖状または分岐状の6〜40の炭素原子を有する好適なポリプロピレングリコールは、例えばジプロピレングリコールであって、好ましくは構造異性体2,2’−オキシジ−1−プロパノール、1,1’−オキシジ−2−プロパノールおよび2−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−プロパノールの混合物である。
【0136】
好適なグリコールエーテルは、好ましくは3〜80の炭素原子を有し、何れの場合にも直鎖状または分岐状となりえる2〜12の炭素原子を有する上記アルカンジオールの上記脂肪族一価アルコールとのエーテル、直鎖状または分岐状となりえる4〜40の炭素原子を有する上記ポリエチレングリコールの上記脂肪族一価アルコールとのエーテル、直鎖状または分岐状となりえる6〜40の炭素原子を有する上記ポリプロピレングリコールの上記脂肪族一価アルコールとのエーテル、またはこれらの組み合わせ、とすることができる。
【0137】
好適なグリコールエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルグリコール)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(2−プロポキシエタノール)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(2−イソプロポキシエタノール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(2−ブトキシエタノール)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(2−ヘキソキシエタノール)、ジエチレングリコールモノメチル・エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチル・エーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル(1−ヘキソキシ−2−プロパノール)、ジプロピレングリコールモノメチル・エーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジメトキシエタン)、エチレングリコールジエチルエーテル(ジエチルグリコール)、エチレングリコールジブチルエーテル(ジブトキシエタン)、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。
【0138】
本発明でいう単糖類には好ましくは3〜9の炭素原子が含まれ、アルデヒド基もしくはケト基の形態を有する1カルボニル基[C(=O)]を含み、また少なくとも2つのヒドロキシル基(OH基)を含む。
本発明でいう単糖類には、より好ましくは、
一般式(I)で表されるポリヒドロキシアルデヒド(アルドース)
【化1】

と、これらから誘導される環状ヘミアセタール、
一般式(II)で表されるポリヒドロキシケトン(ケトース)
【化2】

とこれらから誘導される環状ヘミアセタール、
およびこれらの混合物、からなる群から選択され、
nは各々独立して2から8までの整数を表し、aとbは各々互いに独立して1から7までの整数を表し、ただしa+bは2〜8の範囲内にある整数、であるという条件が課されている。
【0139】
上記アルドースおよびケトースの環状ヘミアセタール(ラクトール)は、単糖のカルボニル基とOH基の分子内ヘミアセタール化により生じる。
【0140】
本発明でいうオリゴ糖は、好ましくは8〜40の炭素原子を有し、好ましくは2〜9、好ましくは2〜6の同一または異なる単糖類から構成され、前記単糖類はグリコシド結合により互いに結合している。本発明でいうオリゴ糖は直鎖状または分岐状のものとすることができる。
【0141】
好適なグリコールエステルは、好ましくは3〜60の炭素原子を有し、好ましくは、上記アルカンジオール、上記ポリエチレングリコール、上記ポリプロピレングリコール、またはこれらの組み合わせの、脂肪族カルボン酸との、モノエステル、ジエステルまたはこれらの混合物であって、前記脂肪族カルボン酸は、例えば、好ましくは1〜9の炭素原子、好ましくは1〜7の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子を有し、何れの場合にも直鎖状または分岐状となりえるモノカルボン酸、好ましくは1〜9の炭素原子、好ましくは1〜7の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子を有し、何れの場合にも直鎖状または分岐状となりえるヒドロキシカルボン酸、好ましくは2〜9の炭素原子、好ましくは2〜7の炭素原子、好ましくは2〜3の炭素原子を有し、何れの場合にも直鎖状または分岐状となりえるポリカルボン酸、またはこれらの組み合わせであって、より好ましくは、好ましくは1〜9の炭素原子、好ましくは1〜7の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子を有し、何れの場合にも直鎖状または分岐状となりえるヒドロキシカルボン酸、好ましくは2〜9の炭素原子、好ましくは2〜7の炭素原子、好ましくは2〜3の炭素原子、を有し、何れの場合にも直鎖状または分岐状となりえるポリカルボン酸、またはこれらの組み合わせ、などである。
【0142】
好適なグリコールエステルとしては、酢酸エチレングリコールメチルエーテルエステル(酢酸2−メトキシエチル)、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルエステル(酢酸2−エトキシエチル)、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテルエステル(酢酸2−ブトキシエチル)、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテルエステル[酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]、酢酸プロピレングリコールメチルエーテルエステル(酢酸1−メトキシ−2−プロピル)またはこれらの混合物が挙げられる。
【0143】
少なくとも1つの有機成分は、好ましくは、脂肪族一価アルコール、脂肪族多価アルコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0144】
さらに好ましくは、前記少なくとも1つの有機成分は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4,5,6−ヘキサンヘキサオール、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノール、PEG−4、PEG−6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−10、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−18、PEG−20およびこれらの混合物からなる群、より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3−プロパントリオールおよびこれらの混合物からなる群、より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオールおよびこれらの混合物からなる群、より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオールおよびこれらの混合物からなる群、から選択される。
【0145】
好ましい一変形実施形態によれば、湿潤剤は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、1,2,3−プロパントリオールまたはこれらの混合物からなり、より好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオールまたはこれらの混合物からなる。
【0146】
湿潤剤は好ましくは、何れの場合にも、湿潤剤の全重量に基づいて、少なくとも1つの有機成分を、少なくとも5重量%、好ましくは6重量%〜98重量%の範囲内、好ましくは8重量%〜95重量%の範囲内、より好ましくは10重量%〜85重量%の範囲内、より好ましくは12重量%〜65重量%の範囲内、より好ましくは17重量%〜55重量%の範囲内の割合で含んでいる。
【0147】
さらに好ましくは、湿潤剤には、何れの場合にも、湿潤剤の全重量に基づいて、水が、最大で70重量%、好ましくは2重量%〜65重量%の範囲内、より好ましくは5重量%〜60重量%の範囲内、より好ましくは7重量%〜57重量%の範囲内、より好ましくは9重量%〜45重量%の範囲内、より好ましくは10重量%〜30重量%の範囲内の割合で含まれている。
【0148】
さらに好ましくは、湿潤剤には、非水性成分、つまり湿潤剤の水でない成分の全部が、何れの場合にも、湿潤剤の全重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは35重量%〜98重量%の範囲内、より好ましくは40重量%〜93重量%の範囲内、より好ましくは55重量%〜92重量%の範囲内、より好ましくは70重量%〜90重量%の範囲内の割合で含まれている。
【0149】
「ローション」との用語は、好ましくは液体もしくは水性もしくは水性有機、好ましくは水性アルコール製剤のこと、または水中油型エマルションもしくは油中水滴型エマルションのことを指すものと理解される。
【0150】
前記少なくとも1つの湿潤剤は、標準的な条件下(温度25℃、圧力1013mbar)でローションの形態を有することが可能で、この場合、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が、ローション中の溶液の中に存在可能であって、および/または、ローションに有機相を形成することができる。
【0151】
さらに好ましい実施形態では、本発明に係る基材には、少なくとも1つの好ましくは液体の、好ましくは水性の湿潤剤が例えばローションの形態で含まれており、6.4以下のpH、好ましくは6.1以下のpH、好ましくは5.9以下のpHを有する。
【0152】
好ましい一変形実施形態によれば、前記少なくとも1つの好ましくは液体の、好ましくは水性の湿潤剤のpHは、pH4.0〜6.4の範囲内、好ましくはpH4.5〜6.1の範囲内、好ましくはpH4.9〜5.9の範囲内、好ましくはpH5.0〜5.6の範囲内に存在する。
【0153】
さらに好ましい実施形態では、本発明に係る基材には、少なくとも1つの結合剤が、何れの場合にも、本発明の乾燥した基材の全重量に基づいて、1重量%〜35重量%の範囲内、好ましくは3重量%〜30重量%の範囲内、より好ましくは4重量%〜25重量%の範囲内、より好ましくは5重量%〜20重量%の範囲内、より好ましくは6重量%〜15重量%の範囲内、より好ましくは7重量%〜13重量%の範囲内の割合で含まれている。
【0154】
本発明に係る基材には、好ましくは無機繊維、および/または、有機繊維が含まれている。繊維は、好ましくは、直径に対する長さの比が少なくとも5:1〜10:1の、制限された長さを持つ、無機もしくは有機の構造体である。
【0155】
本発明に係る基材には、少なくとも0.1mmの長さ、好ましくは0.1mmから最大で10mmを含む範囲内、より好ましくは0.2〜6mmの範囲内、より好ましくは1mm〜4mmの範囲内、より好ましくは1.1〜3mmの範囲内にある長さを有し、好ましくは水に分散、および/または、可溶な繊維が含まれている。
【0156】
好適な有機繊維は、天然繊維と合成繊維の何れでも構わず、またこれらの混合物でもよい。本発明に係る基材には、好ましくは天然繊維のみ、好ましくはセルロース繊維のみが含まれる。
【0157】
好適な合成繊維には例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維またはこれらの混合物が含まれ、好適な合成繊維は最大でも6mmの長さを有する。
【0158】
好適な無機繊維には、例えば、ミネラルウール繊維、玄武岩繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、炭素繊維またはこれらの混合物が含まれる。
【0159】
本発明に係る基材には、6mmを超える繊維長を有する繊維は好ましくは存在しない。本発明に係る基材が汚水に溶解した後において、例えば短繊維の使用、つまり長さが6mmを超えない繊維の使用により、個々の繊維が絡み合い、および/または、フェルト状になって、繊維集合体が形成されることが防止される。繊維集合体がサイフォンや排水網などに残ったままになると、詰まりを起こすことがある。
【0160】
好ましい一実施形態において、セルロース繊維が主に使用される。さらに、レーヨン、綿、ウール、アセテート繊維またはテンセル繊維などを使用することができる。さらに好ましい実施形態では、繊維含有基材には、何れの場合にも、本発明に係る乾燥した繊維含有基材の全重量に基づいて、約40%〜95重量%、より好ましくは60%〜90重量%のセルロース繊維が含まれている。
【0161】
使用するセルロース繊維は、植物繊維の化学的消化により、あるいは再生繊維を使用することによって、得ることができる。好みに応じて、木材繊維や、わら、バガス、ケナフまたは竹などの一年生植物、およびこれらの混合物に由来する繊維を使用することができる。さらに、例えば、広葉樹パルプだけでなく針葉樹パルプを使用することも可能であって、使用される化学的消化の性質や手法自体はさほど重要ではない。
【0162】
使用される繊維は、好ましくはセルロース繊維であり、少なくとも1つの結合剤を用いて、本発明に従い、互いに結合されている。
【0163】
前記少なくとも1つの結合剤は、好ましくは、水溶液として、および/または、結合剤フォームとして、使用することができる。
【0164】
本発明に係る基材には好ましくは少なくとも1つのフィラーが含まれ、前記フィラーは好ましくは1mm未満の粒子サイズを有し、その長さと直径の比は5:1未満である。
【0165】
さらに好ましくは、前記少なくとも1つのフィラーは、1mm未満の粒子サイズ、好ましくは0.9mm未満の粒子サイズを有し、その長さと直径の比が5:1未満、より好ましくは4:1未満の、無機粒子、有機粒子、またはこれらの混合物が含まれるか、これらより構成される。
【0166】
好適な有機フィラーは、好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、架橋ポリアクリル酸塩、非架橋ポリアクリル酸塩、これらの混合物、またはこれらのコポリマーなどから合成された、挽いたもしくは粉砕した繊維、切断もしくは沈殿ポリマーとすることができる。
【0167】
好適な有機フィラーには、好ましくは、セルロース、再生セルロースからなる微粒子も含まれ、および/または、他の天然繊維、粉末、加工デンプン、未加工デンプン、またはこれらの混合物が含まれる。
【0168】
好適な有機フィラーは、ドロマイト、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、沈殿シリカ、カオリンおよび他の泥、シリカ鉱物、またはこれらの組み合わせ、などを含むかこれらより構成される、好ましくは天然の鉱物粉末、沈殿無機塩またはこれらの組み合わせである。
【0169】
使用量に応じて、好適なフィラーを基材の中に組み込むか、または結合剤と共に基材の表面などに塗布することができる。二酸化チタン粒子などの好適なフィラーを使用することにより、基材の不透明度を調節することなどができる。
【0170】
好ましい一実施形態において、本発明に係る基材には、少なくとも1つのフィラーが、何れの場合にも、本発明の乾燥した基材の全重量に基づいて、0〜30重量%の範囲内、より好ましくは0.1〜25重量%の範囲内の割合で含まれている。
【0171】
使用されるフィラーは、より好ましくは、少なくとも1つの結合剤を用いて基材に結合されている。
【0172】
好ましい一実施形態において、本発明に係る基材には1〜4層の層が、好ましくは1〜3層の層が含まれる。さらに好ましくは、本発明に係る基材は単層である。
【0173】
さらに好ましい実施形態において、本発明の基材には複数の層、好ましくは2、3または4層の層が含まれ、これら複数の層は何れも、水性媒体に対し耐水性を持たない。
【0174】
本発明の基材は、30g/m2〜150g/m2の範囲内、好ましくは40g/m2〜80g/m2の範囲内、好ましくは45g/m2〜60g/m2の範囲内の単位面積あたりの重量を好ましくは有する。
【0175】
本発明に係る基材は、以下のステップ:(a)繊維と、少なくとも1つの結合剤とを含む繊維含有基材であって、前記少なくとも1つの結合剤に、少なくとも1つの酸性基含有残基を有する少なくとも1つの多糖が含まれる繊維含有基材を提供するステップ、を含む方法により生成され、さらに、ステップ(a)の途中、および/または、後で、少なくとも1つの両性アミンおよび少なくとも1つの湿潤剤が、連続して、一緒に、または同時に添加され、前記少なくとも1つの湿潤剤には、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機成分が含まれる。
【0176】
本発明に係る基材は、好ましくは不織布または不織材料の形態をとる。
他の好ましい実施形態において、カーディング、ウェットレイング、エアレイイング、スパンボンド法、またはメルトブロー法により、繊維が繊維ウェブに転換される。
特に好ましくは、繊維ウェブまたは不織ウェブは、エアレイド工程とも呼ばれるエアレイイング工程により形成され、ほぼ全ての、好ましくは全ての繊維が緊密に混合される。
エアレイドウェブは好ましくはその後、圧縮または圧密化される。
【0177】
好ましくは不織布または不織材料の形態で存在する本発明の基材は、好ましくは以下のステップを含む方法により製造される:
(a1)繊維を提供するステップと、
(a2)繊維を受け取り面に敷いて繊維層を作るステップと、
(a3)前記繊維層を圧密化させて圧密化した繊維層を作るステップと、
を含み、ステップ(a1)、および/または、(a2)、および/または、(a3)の最中に、および/または、ステップ(a1)、(a2)または(a3)の間に、および/または、ステップ(c)の後に、少なくとも1つの酸性基含有残基、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基含有残基を有する少なくとも1つの多糖を含む少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの湿潤剤が、連続して、一緒に、または同時に添加され、また少なくとも1つの湿潤剤には少なくとも1つの有機成分が含まれ、前記有機成分は、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、単糖類、オリゴ糖およびこれらの混合物からなる群、好ましくは脂肪族アルコール、脂肪族エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される水結合性の有機成分である。
【0178】
本明細書における繊維は、ラテックスボンディング、サーマルボンディング、水素結合、またはマルチボンディングなど、従来技術から公知の種々の手法により圧密化することができる。
本発明の基材の厚みは、カレンダー加工を用いて任意選択的に調節することができる。
【0179】
好ましい一実施形態において、本発明の基材には、エンボス加工などにより生成可能な表面凹凸、および/または、隆起部がある。
【0180】
さらに好ましい実施形態において、ステップ(a3)の途中または後に、少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの両性アミンおよび少なくとも1つの湿潤剤が塗布される。
【0181】
さらに好ましくは、ステップ(a1)において、および/または、ステップ(a2)、および/または、ステップ(a3)の途中に、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの両性アミンが、水溶液および/またはフォームの形態で、連続して、一緒に、または同時に塗布され、その後、100℃を超える温度、好ましくは120℃を超える温度、好ましくは150℃を超える温度で、固化される。少なくとも1つの湿潤剤が、好ましくは、その後塗布される。
【0182】
少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの両性アミンおよび少なくとも1つの湿潤剤は、互いに独立して、パッドによる塗布、フォームによる塗布、および/または、スプレーを用いて、好ましくは塗布される。
【0183】
パッドによる塗布、フォームによる塗布、および/または、スプレーを用いた好適な方法は、従来技術から公知であって、本発明に使用することができる。
【0184】
少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの両性アミンおよび少なくとも1つの湿潤剤は、何れの場合にも、本発明の基材の同じ側に、または、違う側に、互いに別々に塗布することができる。
【0185】
本明細書中の少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの両性アミン、および少なくとも1つの湿潤剤は、連続して塗布可能であって、塗布の順番は同時または変化可能である。
【0186】
好ましくは、まず最初に、少なくとも1つの結合剤の全部を、本発明の基材の一面または両面に塗布することができる。
少なくとも1つの結合剤がセットされると、少なくとも1つの両性アミンが、本発明の基材の一面または両面に好ましくは塗布され、より好ましくは、少なくとも1つの結合剤が既に塗布されている本発明の基材の一面または両面に塗布される。
【0187】
少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの両性アミン、および少なくとも1つの湿潤剤は、場合によっては、本発明の基材の一面または両面に、混合物の形態で塗布することもできる。
さらに好ましい実施形態において、本発明の基材には、0.1mm〜10mmの範囲内の長さ、好ましくは0.2mm〜6mmの長さ、より好ましくは1mm〜4mmの長さ、より好ましくは1.1〜3mmの長さを有し、本発明に係る基材の全重量に基づいて、60〜99重量%、好ましくは65〜97.5重量%のセルロース繊維を含むセルロース不織物と、本発明に係る乾燥基材の全重量に基づいて、0.5〜40重量%の割合、好ましくは1〜35重量%の割合の少なくとも1つの上記結合剤と、本発明に係る乾燥基材の全重量に基づいて、0.1〜20重量%の割合、好ましくは1〜15重量%の割合の、少なくとも1つの上記両性アミンと、任意選択的に、本発明に係る乾燥基材の全重量に基づいて、0〜30重量%、好ましくは0.1〜25重量%の割合の少なくとも1つの上記フィラーと、上記少なくとも1つの有機成分を含む少なくとも1つの湿潤剤と、を含むかこれらより構成され、ただし、少なくとも1つの結合剤の割合と、少なくとも1つの両性アミンの割合と、少なくとも1つのフィラーの割合と、好ましくは少なくとも1つの湿潤剤の非揮発成分の割合の合計が、それぞれ本発明の乾燥基材の全重量に基づいて、1〜40重量%の範囲内、好ましくは2.5〜35重量%の範囲内にあるという条件が課されている。
【0188】
湿潤強度の高さにも関わらず、本発明の基材は十分な水分解性を示し、つまり汚水で分解する低い含水強度を示す。
【0189】
前記少なくとも1つの好ましくは水性の湿潤剤は、4.0〜6.0のpH、好ましくは5.0〜5.6のpHを好ましくは有しているため、健常な皮膚のpHに関してpHが中性である。
【0190】
さらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの好ましくは液体のより好ましくは水性の湿潤剤には、さらに少なくとも1つの多価金属カチオンが含まれている。
【0191】
本発明者らは、少なくとも1つの多価金属カチオンを使用することで、少なくとも1つの有機成分が、少なくとも1つの好ましくは液体の好ましくは水性の湿潤剤に存在する場合に、
少なくとも1つの結合剤と少なくとも1つの両性アミンにより形成される、高分子集合体、および/または、高分子塩を、本発明の基材の表面または内部で、安定化させることができることを確認した。
【0192】
したがって、少なくとも1つの好ましくは液体の好ましくは水性の湿潤剤、好ましくは少なくとも1つの多価金属カチオンをさらに含むローションを塗布した後に、本発明の基材は非常に高い湿潤強度を示す。
【0193】
好適な多価金属カチオンは、好ましくは、遷移金属の多価イオン、元素周期表の第3典型元素および第4典型元素に属する金属多価イオン、アルカリ土類金属のイオン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0194】
「遷移金属」との用語は、本発明では、原子番号21〜30、39〜48、57〜80および89〜112を有する化学元素のことを指すものとする。原子番号は周期律表の化学元素の配置を表している。
【0195】
「多価金属カチオン」との用語は、本発明において、+2以上の電荷、好ましくは+2、+3または+4の電荷、より好ましくは+2の電荷を持つ金属カチオンのことを指す。
【0196】
さらに好ましくは、好適な多価金属カチオンは、Fe3+、Ca2+、Zn2+、およびこれらの混合物からなる群、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物からなる群、
より好ましくはCa2+、から選択される。
【0197】
好適な金属カチオンは、例えば、対応する金属カチオンの、水性塩、および/または、錯体の形態で、好ましくは水性溶液に、好ましくはローションの中に導入可能であって、好ましくは、対応する金属カチオンの、炭酸水素塩、塩化物、酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フマル酸エステルとして、カルボン酸塩として、および/または、上記アミノカルボン酸の1つの錯体またはこれらの混合物の形態で、好ましくは対応する金属カチオンの、塩化物、カルボン酸塩、および/または、上記アミノカルボン酸の1つの錯体またはこれらの混合物の形態で、導入可能である。
【0198】
両性アミン、好ましくはアミノカルボン酸、ならびに、多価金属カチオン、好ましくはCa2+、Fe3+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCa2+、Zn2+およびこれらの混合物、より好ましくはCa2+の、好適な塩、および/または、錯体を調製するプロセスは、米国特許第5,631,031号明細書および米国特許第4,830,716号明細書などに記載されている。
【0199】
少なくとも1つの好ましくは液体の好ましくは水性の湿潤剤は、好ましくは少なくとも1つの多価金属カチオンを、何れの場合にも前記少なくとも1つの湿潤剤の全重量に基づいて、0.1重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは0.2重量%〜9重量%の範囲内、より好ましくは1重量%〜8重量%の範囲内、より好ましくは3重量%〜6重量%の範囲内、の割合で含んでいる。
【0200】
好ましい一実施形態において、前記少なくとも1つの好ましくは水性の湿潤剤は、水と、少なくとも1つの上記有機成分と、任意選択的に少なくとも1つの上記両性アミンと、任意選択的に少なくとも1つの上記多価金属カチオンと、を含むかこれらより構成され、
ここで水の割合は、何れの場合にも湿潤剤の全重量に基づいて、最大で70重量%、好ましくは2重量%〜65重量%の範囲内、より好ましくは7重量%〜60重量%の範囲内、より好ましくは8重量%〜45重量%の範囲内、より好ましくは10重量%〜30重量%の範囲内であって、ここで少なくとも1つの有機成分の割合は、何れの場合にも湿潤剤の全重量に基づいて、少なくとも5.0重量%、好ましくは5重量%〜98重量%の範囲内、好ましくは8重量%〜95重量%の範囲内、より好ましくは10重量%〜85重量%の範囲内であって、
ここで少なくとも1つの両性アミンの割合は、何れの場合にも湿潤剤の全重量に基づいて、0重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲内、より好ましくは0.7重量%〜17重量%の範囲内、より好ましくは2重量%〜15重量%の範囲内、より好ましくは3.3重量%〜13重量%の範囲内であって、
ここで少なくとも1つの多価金属カチオンの割合は、何れの場合にも前記少なくとも1つの湿潤剤の全重量に基づいて、0重量%〜10重量%の範囲内、好ましくは0.2重量%〜9重量%の範囲内、より好ましくは1重量%〜8重量%の範囲内、より好ましくは3重量%〜6重量%の範囲内であって、
ただし、少なくとも1つの有機成分と、少なくとも1つの両性アミンと、少なくとも1つの多価金属カチオンの重量割合の合計が、何れの場合にも湿潤剤の全重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは35重量%〜98重量%の範囲内、より好ましくは40重量%〜93重量%の範囲内、より好ましくは55重量%〜92重量%の範囲内、より好ましくは70重量%〜90重量%の範囲内であるという条件が課されている。
【0201】
少なくとも1つの湿潤剤は好ましくは非揮発成分を含み、前記非揮発成分はより好ましくは、上記多価金属カチオンおよびこれらの塩、上記両性アミンおよびこれらの塩、ならびに/または、これらの錯体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0202】
キラリティーの中心は、特に明記しない限り、R配置またはS配置で存在することができる。本発明は、任意選択的に、Lアミノ酸またはDアミノ酸などの純粋化合物の使用と、エナンチオマー混合物およびジアステレオマー混合物など、あらゆる割合のステレオマー混合物の使用の、両方に関する。例えば、上記アミノカルボン酸のうちの1つを、L−アミノカルボン酸として、D−アミノカルボン酸として、またはラセミ化合物(D,L−アミノカルボン酸)として使用することができる。
【0203】
例えば、1,2,3,4−ブタンテトラオールは、(2R,3R)−1,2,3,4−ブタンテトラオール(D−トレイトール)、(2S,3S)−1,2,3,4−ブタンテトラオール(L−トレイトール)として、(2R,3R)−1,2,3,4−ブタンテトラオールおよび(2S,3S)−1,2,3,4−ブタンテトラオールのラセミ化合物(DLトレイトール)として、(2S,3R)−1,2,3,4−ブタンテトラオール(meso−1,2,3,4−ブタンテトラオール、エリトリトール)として、またはこれらの混合物として、存在することができる。
【0204】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの好ましくは液体の好ましくは水性の湿潤剤は、ローションの形態を有することができる。
【0205】
少なくとも1つの好ましくは液体の好ましくは水性の湿潤剤、好ましくはローションは、長期保存の際に例えば微生物から保護することのできる少なくとも1つの保存料を、好ましくはさらに含むことができる。当該保存料は、抗菌活性、抗真菌活性、抗イースト活性、またはこれらの組み合わせを含む、抗微生物活性を好ましくは提供する。
【0206】
さらに好ましい実施形態では、本発明に係る基材にはさらに、単に感覚的、および/または、美容的な利点に留まることのない利点を皮膚に提供する、アクティブな皮膚保護物質、および/または、皮膚治癒物質、および/または、スキンケア物質が含まれる。
【0207】
好ましい一実施形態において、例えば、アクティブスキンケアを、皮膚再生の刺激、皮膚生理機能のサポート、皮膚バリア機能の強化の形で提供することができる。皮膚表面のpHは、汗分泌、細菌フローラ、および皮脂組成に依存する。皮膚の部位に応じて、pHは4から6.4までの間にあり、健常な皮膚の場合には特に5.5付近に存在する。
【0208】
本発明の基材は好ましくは生地、好ましくはワイプ、毛布、バッグ、クッション、ポーチまたは袋状である。
【0209】
本発明に係る基材は、例えば、好ましくは一端が解放しているか、または閉鎖している封筒状またはカバー状の形状を有する。本発明に係る基材を含む封筒状またはカバー状のものは、消臭組成物をさらに含み、および/または、液体吸収組成物を、例えば、アクリル酸およびアクリル酸ナトリウムからなる一以上のコポリマー(超吸収剤)として含んでいる。
【0210】
封筒状またはカバー状の形状を有する基材は、例えば、赤ちゃん用のおむつなどのおむつとすることができる。
【0211】
本発明に係る基材は、好ましくは衛生用品、特にウェットティッシュ、クレンジングワイプ、ケアワイプ、衛生ワイプ、またはウェットトイレットペーパーである。
【0212】
本発明に係る基材は好ましくは衛生用品として使用され、特にウェットティッシュ、ケアワイプ、クレンジングワイプ、ウェットトイレットペーパーまたはティッシュとして使用される。
【0213】
ウェットティッシュは例えば日用品として設計可能であって、例えば、化粧用ワイプとしてまたは消毒ワイプとして、または家庭環境内の布ワイプとして設計することができる。
【0214】
場合によっては、本発明に係る生地は、水性媒体に浸透性のある少なくとも1つの層を有する。
【0215】
本発明に係る基材は好ましくは袋状であって、例えば袋状の形状を有する本発明に係る基材には、水性媒体に浸透性のある少なくとも1つの層を有し、当該袋の中に存在する肥料と共に土壌中に導入させることができる。
既存の土壌水分、および/または、雨などにより、土壌中の養分を、水性媒体に浸透性のある本発明の基材の少なくとも1つの層を通過して、周辺土壌に侵入させることができる。
【0216】
本発明に係る基材は、例えば、シードキャリア、栽培ポットまたは植物バッグとして、好ましくは、農業および林業で利用され、またガーデニングでも利用される。
【0217】
本発明に係る基材は、好ましくはシードキャリア、栽培ポットまたは植物バッグである。
シードキャリア、好ましくはシードストリップまたはシードディスクは、本発明の基材からなり、好ましくは本発明の基材からなる2層の間に個々の種粒を保持している。
【0218】
シードキャリアにより、種粒の間隔に全く配慮する必要性をなしにして、幾花卉および野菜を何学パターンで種まきすることができる。例えば、シードキャリアを土壌に導入し、その後水で湿らせることができる。
【0219】
栽培ポットまたは植物バッグは、本発明の基材からなる一以上の層などから構成することができる。
例えば、栽培ポットまたは植物バッグは、追加で土と植物を含むことができる。
【0220】
本発明は下記の実施例により説明されるが、これらの実施例には限定されない。
下記の実験および測定は、特に条件が記載されていない限り、25℃(常温)の温度、1013mbarの圧力、および相対湿度65%で行われた。
【0221】
本明細書中に用いられる溶媒、両性アミン、特にアミノ酸、および塩は、例えば、Parchem-fine & specialty chemicals社(ニューロシェル、ニューヨーク、米国)から、またはシグマアルドリッチケミ(Sigma-Aldrich Chemie)社(ミュンヘン、ドイツ)から商用入手可能である。
【実施例】
【0222】
実施例1:調節可能な分解性を有するエアレイド不織物
以下の実験例では、約50g/m2の全重量を持つ市販のエアレイドセルロース不織物を使用し、ASCUTEC Airlaid−Produktion社(ニュルンベルク、ドイツ)の仕様W4が用いられた。各不織ウェブの紙重量を、10x10cmサイズの切り出しサンプルが使用される前に測定した。
【0223】
市販のカルボキシメチルセルロース(CMC)を、酸性基含有残基を持つ少なくとも1つの多糖を含む結合剤として使用した。Ugur Seluloz Kimya社(アイドゥン、トルコ)からRheolon(登録商標) 30、Rheolon(登録商標) 300、Rheolon(登録商標) 500GおよびRheolon(登録商標) 1000Gを入手した。シーピー・ケルコドイツ社(グローセンブローデ,ドイツ)からCalexis(登録商標) HMB および Finnfix(登録商標) 700を入手した。
【0224】
使用したカルボキシメチルセルロースは様々な動的粘度を有していた。結合剤の塗布前に、使用した特定の結合剤のサンプルを取り出し、2重量%の結合剤水溶液の動的粘度の測定を20℃で行った。
【0225】
対応する結合剤の2重量%水溶液の粘度は、シリンダー測定装置、MV計量カップを有するHaake(登録商標)タイプのViscotester(登録商標) 550(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific Inc.)、カールスルーエ、ドイツ)のサール(Searle)回転粘度計を用いて、20℃で2.55s−1の回転速度で測定された。使用した対応する結合剤の2重量%水溶液は、製造仕様書に従って、2gの結合剤を100gの蒸留水に20℃で攪拌して溶解させることにより調製した。
【0226】
各不織ウェブをまず、酸性基含有残基を持つ少なくとも1つの多糖を含有する上記結合剤の1つを含む5重量%水分散液で、一面をスプレー散布し、ここで上記%は100gの水あたりに使用される結合剤の分散含有率に基づくものである。使用した対応する結合剤の2重量%水溶液を、製造仕様書に従って、蒸留水に攪拌することにより調製した。塗布した結合剤の具体的な量は、乾燥後の不織ウェブの面積に基づいて、表1(「塗布量」)に記載した。
【0227】
150℃〜170℃の温度で結合剤を乾固した後、製造された不織ウェブを巻き取った。
【0228】
その後得られた不織ウェブの乾燥状態での引張値を測定した。このために、得られた10×10cmサイズの不織ウェブのサンプルを、DIN54540−8に従う引張試験で機械方向に引張することにより常温にて測定した。下記の引張値(「引張値,乾燥」)はそれぞれ、10回の測定の算術平均値を表している。結果を表1にまとめた。
【0229】
【表1-1】
【0230】
得られた不織ウェブの引張値を湿潤状態でも測定した。この目的のため、それぞれ得られた10×10cmサイズの不織ウェブのサンプルを切り出し、結合剤を乾固した後に、サンプルあたり11mLの「ローション1」を添加した。
「ローション1」の組成は以下の通りである。
【0231】
【表1-2】
【0232】
常温で60分静置した後、含水したサンプルの引張値を、DIN 54540−8と同様の引張試験で、機械方向に引張することにより、常温にて測定した。下記の引張値(「引張値,湿潤」)はそれぞれ、10回の測定の算術平均値を表している。
【0233】
さらに、ローション1で湿潤したサンプルの蒸留水中の溶解挙動を確認した。このために、サイズ10×10cmのウェットサンプルを、100mlの蒸留水を含んだ容器の中に入れ、その後サンプルが溶解するまで攪拌することなく静置した。ここで、ピンセットを用いて容器から繊維のみを取り除くことができた。何れの場合にも5秒おきに測定を行った。表2に記載の分解時間(「水への溶解時間」)は、何れの場合にも、10回の測定の算術平均値を表している。
【0234】
【表2】
【0235】
結合剤の塗布量を増やすと、結合剤を乾固した後に得られる不織材料の乾燥強度が高くなる。使用する結合剤の鎖長、および/または、粘性を少し高くするだけでも、特に低分子量カルボキシメチルセルロースの場合の同様の塗布量に対して、強度が過比例して高くなる。
【0236】
実施例2
実施例1で製造された不織ウェブ1a、1c、1eおよび1iを、様々な含水量を有する様々なローションでさらに処理した。この目的のため、それぞれ得られた10×10cmサイズの不織ウェブのサンプルを切り出し、結合剤を乾固した後に、サンプルあたり11mLの様々なローション1〜5を添加した。使用したローション1〜5の組成を表3に示した。記載の重量%は何れもローションの全重量に基づいている。
【0237】
常温で60分静置した後、湿潤サンプルの引張値を、DIN54540−8と同様の引張試験で、機械方向に引張することにより、常温にて測定した。以下に記載の引張値(「引張値,湿潤」)は何れも、10回の測定の算術平均値を表している。
【0238】
【表3】
【0239】
ローション中の水分割合の減少により湿潤強度が高くなる。特に、ローションの水分量を変化させることにより、湿潤強度を幅広い範囲で制御することができる。
【0240】
実施例3
実施例1で製造された不織ウェブ1aおよび1eをさらに様々なローションで処理し、ただしローション中に両性アミンのみが存在していたか(ローション6)、または両性アミンをカルシウム塩として使用した(ローション7および8)。このために、結合剤を乾固した後に、サイズが10×10cmのそれぞれの不織ウェブのサンプルを切り出し、各サンプルあたり11mlの様々なローション6〜8を添加した。使用したローション6〜8の各組成を表4に示した。記載の重量%はすべてローションの全重量のことを指している。
【0241】
L−リシンのカルシウム塩は、ローション7および8で使用される前に、表4に記載されているL−リシンの量を、表4に記載されているCaCl×2HOの量と、蒸留水で反応させることにより生成され、それぞれのローションに添加される。
【0242】
常温で60分静置した後、湿潤サンプルの引張値を、DIN 54540−8と同様の引張試験で、機械方向に引張することにより、常温にて測定した。下記の引張値(「引張値,湿潤」)はそれぞれ、10回の測定の算術平均値を表している。
【0243】
【表4】
【0244】
両性アミンのみを含みさらに多価金属カチオンを含まないローションを用いると、十分な湿潤強度を得ることができた。多価イオンの代わりに、4.0〜5.5の範囲内で使用されるpHを有する有機酸もしくは無機酸を用いて、pHを調節した。
【0245】
対応する両性アミンのカルシウム塩をローションに使用すると(ローション7および8)、非常に良好な湿潤強度が得られた。
【0246】
実施例4
使用したローション1〜8には、両性アミンとしてL−リシンが含まれていた。他の両性アミンの湿潤強度に対する効果を調べるため、さらなる不織ウェブを製造した。この目的のため、約50g/m2の全坪量を持つ市販のエアレイドセルロース不織物が同様に使用され、ASCUTEC Airlaid−Produktion社(ニュルンベルク、ドイツ)の仕様W4が用いられた。
【0247】
使用された結合剤はRheolon1000Gであって、これを4重量%の結合剤からなる水分散液の形態で、不織ウェブの両面にスプレー散布し、ここで上記のパーセント割合は、100gの水あたりに使用される結合剤の分散含有率のことである。1.75g/m2のRheolon1000Gを、不織ウェブの表裏面の各々に塗布した。不織ウェブに対する結合剤の全塗布量は、3.5g/m2のRheolon1000Gであった。結合剤を150℃〜170℃の温度で乾固した後、製造された不織生成物を巻きとった。
【0248】
その後、得られた不織ウェブの引張値を乾燥状態で測定した。このために、得られた10x10cmサイズの不織ウェブのサンプルを、DIN54540−8に従う引張試験で機械方向に引張することにより常温にて測定した。下記の引張値(「引張値,乾燥」)はそれぞれ、10回の測定の算術平均値を表している。
【0249】
得られた不織ウェブの引張値を湿潤状態でも測定した。この目的のため、それぞれ得られた10×10cmサイズの不織ウェブのサンプルを切り出し、結合剤を乾固した後に、サンプルの乾燥重量を測定して、サンプルあたり11mLの様々なローション9〜30を添加した。使用したローション9〜30の組成を表5に示した。記載の重量%は何れも各ローションの全重量に基づいている。
【0250】
【表5】
【0251】
「Ca−」とラベルされた表5中の両性アミンは、対応するLアミノ酸のカルシウム塩の形態で使用されたものである。それぞれのローションを使用する前に、表5に記載されている量の両性アミンを、表5に記載した量のCaCl×2HOと共に、蒸留水にまず溶解させ、この溶液をそれぞれのローションに添加した。
【0252】
製造した不織ウェブに係る乾燥状態の引張値と、ローション9〜30で湿潤させた後の引張値を図6にまとめた。
【0253】
さらにEDANA試験FG502(スロッシュボックスによる水解性試験)(EDANA=欧州不織布工業会)と同様の水への分解時間の測定が10サンプルの各々について20℃で行われた。
【0254】
このために、湿潤サンプルを各々2lの水道水(温度:20℃、総硬度:13.5dH(ドイツ硬度)、20℃での伝導性:412μS/cm、pH:7.5)を含む容器に入れて、攪拌することなく静置した。分解時間は目視により測定した。表6に記載の分解時間は何れも10回の測定の算術平均値を表す。
【0255】
分解の後、各サンプルを何れも容器中に20℃で攪拌することなく計3時間静置し、その後、有孔ふるい(メッシュ寸法:12.5mm)に通過させた。ふるいに残された材料を収集して乾燥させ、重量計測した。
【0256】
試験サンプルの各々に対して、何れも事前に測定した乾燥重量に基づいて、10重量%未満のサンプルがふるいに残されていたため、EDANA試験は調べた各溶液の通過率として評価される。
【0257】
水中への分解試験結果をまた表6にまとめた。
【0258】
【表6】
【0259】
ローション10〜30を含侵したサンプルに対して得られた湿潤強度は変動も含めてリシン(ローション9)の湿潤強度と同程度であった。
【0260】
比較例5
特許文献5に記載のクリーニングシートと同様に、実施例1で製造された不織ウェブ1aおよび1eを、両性アミンを含有しないローションで処理した。このために、サイズが10×10cmの各不織ウェブを切り出し、結合剤を乾固した後に、サンプルあたり11mlの異なるローション31および32を添加した。使用したローション31および32の組成を表7に示した。記載の重量%は何れもローションの全重量に基づくものである。
【0261】
常温で60分静置した後、湿潤サンプルの引張値を、DIN54540−8に従う引張試験で機械方向に引張することにより常温にて測定した。下記の引張値(「引張値,湿潤」)はそれぞれ、10回の測定の算術平均値を表している。
【0262】
【表7】
【0263】
L-アミノ酸などの両性アミンを使用しないときに得られた湿潤強度は非常に低かった。
【0264】
実施例6および比較例7
両性アミンの存在下と非存在化のそれぞれにおける湿潤サンプルの保存安定性を調べるために、実施例1で製造された不織ウェブ1aおよび1eを様々なローションで処理し、それぞれのローションを30日間保存した後に、湿潤強度を測定した。
【0265】
このために、サイズが10×10cmのそれぞれの不織ウェブのサンプルを切り出し、結合剤を乾固した後に、比較例5のそれぞれのローション31および32に加えて、実施例3のローション6、7および8をサンプル毎に11mlだけ添加した。使用したローションの組成を表8に示した。記載の重量%は何れもローションの全重量に基づいている。
【0266】
60分の静置の後、湿潤サンプルの引張値を、DIN54540−8と同様の引張試験で機械方向に引張することにより常温にて(「60分後」)測定した。それぞれのローションにさらなるサンプルを、密閉容器内で常温(25℃)で30日間保存し、湿潤サンプルの引張値を、DIN54540−8と同様の引張試験で機械方向に引張することにより常温にて(「30日後」)測定した。下記の引張値(「引張値,湿潤」)はそれぞれ、10回の測定の算術平均値を表している。
【0267】
【表8】
【0268】
各保存条件での湿潤強度の安定性は、両性アミンを含有するローションによりのみ達成された。
【0269】
アミノ酸などの両性アミンのないシステムは、この意味で需要のある生成物を製造するのには適さなかった。使用した各々のローション31および32を30日間保存することにより、湿潤強度が著しく下がり、これにより、例えば、ウェットトイレットペーパーとしてさらに使用することが不可能となる。
【0270】
一方で、ローション6〜8の何れかを使用する場合には、30日後に著しい湿潤強度の低下は認められなかった。このため、例えばエンドユーザーにより少なくとも30日間、それぞれのローションにウェットティッシュが大量に保存された場合でも、エンドユーザーに使用されたときにウェットティッシュまたはウェットトイレットペーパーの機械的耐久性が著しく低下しない。
【国際調査報告】