(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-501248(P2020-501248A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(54)【発明の名称】幾何学的特性を決定する照明システムならびに運転支援システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20191213BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20191213BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20191213BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20191213BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20191213BHJP
B60Q 1/26 20060101ALI20191213BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T1/00 420F
F21V7/00 590
F21V14/04
B60Q1/04 Z
B60Q1/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-528024(P2019-528024)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月24日
(86)【国際出願番号】DE2017200120
(87)【国際公開番号】WO2018099525
(87)【国際公開日】20180607
(31)【優先権主張番号】102016223671.7
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】ブロイアー・カルステン
(72)【発明者】
【氏名】フェクナー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クレーケル・ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ゲルマー・シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ヌネス−ジルヴァ・ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】キュンツェル・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アウステラー・マクシミリアン
【テーマコード(参考)】
3K339
5B047
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA13
3K339AA16
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5B047AA19
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5H181AA01
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5H181CC04
5H181LL01
5H181LL04
(57)【要約】
本発明は、車両用の運転支援システムは車両用の照明システム(1)を備え、照明システム(1)は、
車両周辺のシーン(3)を制御可能な画素(4)の総数からなる面全体(5)を投射することにより照明するように構成される照明ユニット(2)であって、予め定義されたパターンをシーンに投射するように構成される照明ユニット(2)と、
シーンの少なくとも一部の画像を認識するように構成される画像認識ユニット(7)と、
認識された画像および予め定義されたパターンを用いてシーンの少なくとも1つの幾何学的特性(9、10)を得るように構成される演算ユニット(8)と、を有する、
運転支援システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の運転支援システムは前記車両用の照明システム(1)を備え、前記照明システム(1)は、
前記車両周辺のシーン(3)を制御可能な画素(4)の総数からなる面全体(5)を投射することにより照明するように構成される照明ユニット(2)であって、予め定義されたパターンを前記シーンに投射するように構成される前記照明ユニット(2)と、
前記シーンの少なくとも一部の画像を認識するように構成される画像認識ユニット(7)と、
前記認識された画像および前記予め定義されたパターンを用いて前記シーンの少なくとも1つの幾何学的特性(9、10)を得るように構成される演算ユニット(8)と、を有する、
運転支援システム。
【請求項2】
前記照明システム(1)は前記車両の一方または両方の前照灯を照明ユニット(2)として含む、請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記照明ユニット(2)および前記画像認識ユニット(7)は、前記制御可能な画素(4)を用いて画素(4)の1つまたは複数のサブセット(6)を暗くすることで前記予め定義されたパターンが前記シーンに投射されるように配置されて構成される、請求項1または2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記照明ユニット(2)は、前記サブセット(6)の前記画素(4)の数が前記画素(4)の総数の半分よりも少ないように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記照明ユニット(2)は、前記サブセット(6)の前記画素(4)がどこの箇所でも50画素よりも大きい半径を有する円を覆うことはない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記照明ユニット(2)は、前記パターンを所定のパターン時間区間(12a、12b)中のみ投射するように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項7】
前記演算ユニット(8)は前記パターン時間区間(12a、12b)中のみ認識される画像(13a、13b)を使用する、請求項6に記載の運転支援システム。
【請求項8】
前記パターン時間区間(12a、12b)は各々1秒よりも短い、請求項6または7に記載の運転支援システム。
【請求項9】
前記画像認識ユニット(8)は画像を周期的に認識開始時間点(14c)において不変最小認識期間(15)にわたって認識し、パターン時間区間(12a、12b)の開始時間点はいくつかのまたはすべての認識開始時間点(14a、14b)に接続されている、請求項6〜8のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項10】
パターン時間区間(12a、12b)の長さは前記認識期間(15)の略倍数に対応する、請求項9に記載の運転支援システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの幾何学的特性(9、10)は、前記シーン(3)の少なくとも一部の位置、または参照点との前記シーン(3)の少なくとも一部の空間距離を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項12】
シーン(3)の少なくとも1つの幾何学的特性を得る方法において、車両周辺のシーン(3)を制御可能な画素(4)の総数からなる面全体(5)を前記車両の照明ユニット(2)を用いて投射することにより照明するステップと、予め定義されたパターンを前記シーン(3)に投射するステップと、前記シーン(3)の少なくとも一部の画像(13a、13b)を認識するステップと、
前記認識された画像(13a、13b)および前記予め定義されたパターンを用いて前記シーン(3)の少なくとも1つの幾何学的特性(9、10)を得るステップと、を備える方法。
【請求項13】
マイクロミラーアレイを用いて投射する車両用投射型投光装置の照明装置(2)としての請求項12に記載の方法のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺のシーンを照明する照明システムに関する。同様に、本発明は、対応する運転支援システム、対応する方法および車両用投射型投光装置を用いた対応する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の適用分野は特に車両の運転者支援システムに及ぶ。交通において動的に車両周辺に反応できるよう、特に車道を先見的に評価できるよう、運転支援システムは、例えば周辺の所定の部分と車両との空間的距離など、幾何学的特性を決定可能な手段を必要とする。
【0003】
一般に周知の従来技術では、運転支援システムにおいて、位置測定または距離測定は、単眼カメラを使用した方法を用いて、例えばモーションステレオ、既知のオブジェクトのクラス用の横幅変化の解釈またはオブジェクトの下端の高さの解釈に基づく。これらの方法は不利には良好なコントラスト比、例えば自然光を必要とする。
【0004】
特許文献1から、レーザ光源から出力されるレーザ光帯が三角測量法により評価される、車両のホイールが回転する車道の先見的評価方法が知られている。
【0005】
上記方法は、使用されるカメラが赤外線(NIR/IR)に感度を有する必要があることで、不利には可視スペクトル領域における色覚が低下し、またはレーザ光帯が可視スペクトル領域に位置する必要があることにより運転者もしくは他の交通参加者を妨害する恐れがあり、したがって道路交通において危険となるという不利な点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第19730414A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、劣悪な光条件においても運転者を妨害することなく車道または走行環境の先見的評価を可能にする運転支援システムの動作を改善するための照明システムまたは検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、請求項1に記載の車両用運転支援システム、請求項12に記載の方法および請求項13に記載の車両用投射型投光装置の使用により解決される。以下の各従属請求項は本発明の有利なさらなる態様を記載する。
【0009】
本発明は、車両用の照明システムまたは投光システムが、車両周辺のシーンを制御可能な画素の総数からなる面全体を投射することにより照明するように構成される照明ユニットであって、予め定義されたパターンをシーンに投射するように構成される照明ユニットまたは投光システムと、シーンの少なくとも一部の画像を認識するように構成される画像認識ユニットと、認識された画像および予め定義されたパターンを用いてシーンの少なくとも1つの幾何学的特性を得るように構成される演算ユニットと、を有するという技術的教示を備える。画素の可制御性とは、画素がその輝度および/または色について制御可能であることを意味する。
【0010】
この場合、シーンに投射可能もしくは投射される面全体、または投光システムのすべての画素からなる照明面全体は、例えば完全で、例えば欠陥がなく、または例えば連続的である。この場合、例えば画素のサブセットを暗くしても、面全体のすべてのそれ以外の画素に影響はない。また、各々サブセットの画素と隣接する面全体の画素も、コントラストを高めるために明るく切り替えてもよい。
【0011】
例えば、画像認識ユニットは、IRまたはNIRに感度を有さないカメラを備える。例えば、本発明の照明システムの有利な点は、IRまたはNIRに感度を有さない一般的なカメラを用いてこのようにして投射されたパターンが検知可能であることにある。
【0012】
好ましい態様によると、照明システムは、車両の一方または両方の前照灯を照明ユニットとして含む。言い換えると、前照灯はパターンの投射を行う。この性能を有する前照灯は、多数の制御可能な画素を車両周辺に投射する投射型投光装置である。
【0013】
有利には、照明ユニットは、画素の1つまたは複数のサブセットを暗くすることで予め定義されたパターンをシーンに投射するように構成される。例えば、暗くすることには隣接する画素に関して輝度を低減することが含まれる。例えば、暗くすることとは、スイッチを切るか点滅させることにより、または各画素を暗く切り替えることにより実現される。
【0014】
好ましくは、画素のサブセットを暗くすることは、パターンが運転者に知覚可能でないが画像認識ユニットには認識可能であるようにして行われる。例えばパターンが運転者には不可視であるか、例えば知覚可能ではない状態であるのは、暗い画素またはパッチは対応する明るく光るマークよりも注意を引き起こさないためである。
【0015】
好ましい態様によると、切り替え可能な画素を実現するため、投光装置から放射される光束に局所的に影響を及ぼすことができるように、移動可能なマイクロミラー(DMD‐デジタルマイクロミラーデバイス)、つまり好ましくは10より多い、特に100より多い、特に1000より多いミラー要素を光路に有するチップは位置する。投光システムのこの技術は、専門家には一般に「ピクセルライト」として、投光装置の照明特徴が例えば道路交通または他の交通参加者に応じて連続的に調整される車両の前照灯としてすでに知られている。
【0016】
さらなる好ましい態様によると、切り替え可能な画素を実現するため、投光装置から放射される光束に局所的に影響を及ぼすことができるように、投光システムは複数の、独立して切り替え可能な照明用光源、特にLEDを備える。この場合、投光システムは好ましく10より多い、特に100より多い、特に1000より多い個別の照明用光源を備える。投光システムのこの技術は、専門家には一般に、投光装置の照明特徴が例えば道路交通または他の交通参加者に応じて連続的に調整される車両の前照灯としてすでに知られている。
【0017】
本発明の好ましい態様によると、サブセットの画素数が画素総数の半分よりも少なく、特に4分の1よりも少なく、特に10分の1よりも少なく、特に100分の1よりも少なく、特に1000分の1よりも少ない。また、サブセットの画素数は画素総数の1000分の1よりも少なくてよい。
【0018】
これにより、パターンにより運転者または他の交通参加者に生じる視覚に対する刺激は主に面全体に起因するが、より少ないか大幅に少ない暗くされた画素のサブセットはあまり注意を引かないか注意を引くことはなく、または知覚しにくいか知覚可能ではない。
【0019】
さらなる好ましい態様によると、サブセットの画素はどこの箇所でも1画素よりも大きい、特に5画素よりも大きい、特に10画素よりも大きい、特に25画素よりも大きい、特に50画素よりも大きい、特に100画素よりも大きい半径を有する円を覆うことはない。この場合、1画素の半径を有する円とはまさに1画素から構成される。例えば2画素の半径を有する円ならば、例えば3×3画素のフィールドが考えられるだろう。
【0020】
これにより、より小さく連続する面、または細い形状であるため小さい半径を有する円のみ完全に覆う細線よりも視覚的によりよく知覚しうる可能性がある、より大きいか拡大された面またはパッチが生じないことがさらに確実になる。この場合、サブセットの隣接する画素の実際に選択されるべき理想的な最大幅は、照明ユニットの結像特性、例えば車道上における画素の期待される物理的空間的広がりや画像認識ユニットの分解能に依存する。
【0021】
さらなる有利な態様によると、サブセットの画素は、点および/または曲線および/または直線、例えば十字線または三角形または格子パターンまたは格子線を形成する。
【0022】
これらの形状は、画像認識アルゴリズムには特に容易に処理できるものである。
【0023】
特に好ましい態様には、照明ユニットは、パターンを所定のパターン時間区間中のみ投射するように構成されることが含まれる。
【0024】
これにより、パターン時間区間外の期間中に、完全な変形されていない面全体が投射され、それにより最終期間中における運転者への妨害がなくなる。
【0025】
本態様のさらなる改良において、演算ユニットはパターン時間区間中のみ認識される画像を使用する。このことは、例えば、画像認識ユニットがこのパターン時間区間中のみ画像を認識するか、演算ユニットがパターン時間区間中に現れた、連続的に認識される画像のサブセットのみを演算の対象にするというようにして行われる。
【0026】
これにより、演算が最小化されることで所要時間が低減され、それゆえシーケンスがより迅速に形成されるだけでなく、パターンを含まない画像が分析されないため、場合によってはコントラストも改善される。
【0027】
さらなる好ましい態様は、パターン時間区間は各々1秒を1、特に2、特に4、特に10、特に24、特に30、特に60、特に120で割ったものよりも短いことに基づく。
【0028】
これにより、暗くされた影パターンを有する面全体が投射される区間は非常に短く、それゆえ運転者にとってさらに知覚しにくいことが確実になる。これに対し、画像認識ユニットのカメラは短期間に現れるパターンも問題なく認識できる。
【0029】
さらなる態様によると、画像認識ユニットは画像を周期的に認識開始時間点において不変最小認識期間にわたって認識し、パターン時間区間の開始時間点はいくつかのまたはすべての認識開始時間点に接続されている。
【0030】
言い換えると、照明ユニットは、不変最小認識期間に対応する画像認識ユニットのフレームレートに接続されるか、これと同期している。例えば、照明ユニットは、まさに画像認識ユニットのフレームが開始するときか間近に迫っているまさにそのとき、パターン時間区間を開始するように、つまりサブセットの画素を暗くするように構成される。
【0031】
これにより、特に良好なコントラストが達成されるのは、このように画像が認識される期間中にサブセットの画素が暗くされ、残りの面全体のように明るくないためである。同時に、例えば画像認識ユニットが画像を認識していないときにパターンが不必要に長期間フェードインして運転者を妨害することも妨げられる。
【0032】
この態様は、パターン時間区間の長さは認識期間の略倍数に対応することによりさらに改善される。
【0033】
例えば、倍数とは1倍、2倍、3倍または任意のより大きい整数倍であってよい。したがって、パターン時間区間の開始時間点だけでなくその終了時間点も、画像認識ユニットのフレームレート、またはこの割り当てられたカメラの1つに接続されている。これにより、さもなければ妨害となる可能性があるパターンがフェードインする期間が最小になるにもかかわらず、同時に特に良好なコントラストが生成される。
【0034】
好ましくは、この場合、シーンは車両の前方および/または側方および/または
後方に配置される。したがって、「サラウンドビュー」として任意の箇所に周辺の少なくとも1つの幾何学的特性を得ることができる。
【0035】
本発明のさらなる好ましい態様によると、少なくとも1つの幾何学的特性は、シーンの少なくとも一部の位置、または参照点とのシーンの少なくとも一部の空間距離を含む。例えば、参照点とは車両の一部か画像認識ユニットの一部またはシーンのその他の部分である。
【0036】
同様に、少なくとも1つの幾何学的特性は、例えば砂利や道路表面の穴を検知するためにシーンの凹凸を含んでよい。
【0037】
特に好ましくは、照明ユニットは、マイクロミラーアレイを用いてパターンを投射する投射型投光装置として構成される。これにより、シーンを明るく効率的に照明しながら、画素を特に迅速かつコントラスト豊かに制御することが実現される。
【0038】
同様に、本課題は、シーンの少なくとも1つの幾何学的特性を得る方法において、車両周辺のシーンを制御可能な画素の総数からなる面全体を車両の照明ユニットを用いて投射することにより照明するステップと、予め定義されたパターンをシーンに投射するステップと、シーンの少なくとも一部の画像を認識するステップと、認識された画像および予め定義されたパターンを用いてシーンの少なくとも1つの幾何学的特性を得るステップと、を備える方法により解決される。
【0039】
特に好ましくは、本課題を解決するために、マイクロミラーアレイを用いて投射する車両用投射型投光装置を照明装置として使用できる。
【0040】
これにより、独立した照明ユニットの取り付けが回避され、その代わりに利用可能なマイクロミラーアレイが組み込まれることため、照明システムの製造が技術的に簡単になる。
【0041】
さらに、本発明を改良する措置が以下において本発明の好ましい実施形態例とともに2つの図に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1a】
図1aは、本発明の1つの実施形態例を示す図である。
【
図1b】
図1bは、運転支援システムを備える車両の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明のさらなる実施形態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1aにおいて、運転支援システムは、照明ユニット2を有する車両用の照明システムまたは投光システム1を含む。これは、車両周辺のシーン3を制御可能な画素4の総数からなる面全体5を用いて投射することにより照明するように構成される。好ましくは、車両の両方の前照灯を照明ユニット2として用い、前照灯は、多数の個別に制御可能な画素を車両周辺に投射する投射型投光装置である。
【0044】
特に、照明ユニット2は、画素4のサブセット6を暗くすることにより予め定義された線と点からなるパターンをシーンに投射するように構成される。サブセット6は黒色の画素によりマークされ、それにより構成される。パターンはまさに暗くされた画素4、つまりサブセットの形状を有する。ここで、画素4間の格子線は単によりよい説明のために用いられるのであって面全体またはパターンの一部ではない。
【0045】
さらに、運転支援システムは、シーンの少なくとも一部の画像を認識するように構成される画像認識ユニット7と、認識された画像および予め定義されたパターンを用いてシーンの少なくとも1つの幾何学的特性9、10を得るように構成される演算ユニット8とを含む。
【0046】
記載例において、演算ユニット8は、予め定義されたパターンと円筒形のオブジェクト11上に投射することで幾何学的に歪曲されるその画像を用いて、オブジェクト11と画像認識ユニットの距離としての幾何学的特性9と、その高さとしての幾何学的特性10を演算する。同様に、例えば、オブジェクトの曲率半径を演算可能である。同様に、ここではさらに説明しないが、曲率や例えば砂利の存在または道路表面の穴の寸法といった構造的特徴などの車道の特性を演算可能であり、または照明されるシーン内の任意の点の距離は演算可能である。この場合、例えば、演算ユニットは保管される較正の役割を担う。
【0047】
記載例によると、6個の画素からなるサブセット6の画素4の数は、面全体5の81個の画素4の10分の1よりも少ない。したがって、マークが視覚的にさらに注意を引くことはない。
【0048】
さらに、サブセット6の画素4は、どこの箇所においても1画素より大きい半径を有する円が重なることはないように配置される。つまり、交通参加者にとっては人間の物理的知覚条件から非常に知覚しにくい細線または点しか生成されない。
【0049】
ここで、照明ユニット2はマイクロミラーアレイを用いて投射する投射型投光装置として構成されている。例えば車両用投射型投光装置が照明ユニット2として使用される限り、追加の照明ユニットを設ける必要はない。
【0050】
図1bは、
図1aに記載される要素の車両への搭載を示している。車両の前照灯は照明システム1の照明ユニット2を表している。前照灯は、多数の個別に制御可能な画素4を車両周辺に投射する投射型投光装置である。画像認識ユニット7として、車両内のフロントガラスの後ろに配置される、前方に向けられた好ましくは単眼のカメラが用いられる。カメラは車両周辺を照明システムより投射されたパターンとともに認識する。
【0051】
図2において、照明ユニット2は、パターンを所定のパターン時間区間12a、12b中のみ投射するように構成される。ここで、この区間はタイムライン上の黒で色付けされているフィールドとして示されている。さらに、演算ユニット8はパターン時間区間12a、12b中のみ認識される画像13a、13bを使用する。
【0052】
例えば、画像認識ユニット7は連続的に画像13cを認識開始時間点14cにおいて不変最小認識期間15にわたって各々認識する。
【0053】
この例では、画像認識ユニットは認識開始時間点14a、14bのみにおいて画像13a、13bを認識する。この場合、照明ユニットにより開始されるパターン時間区間12a、12bの開始時間点は認識開始時間点14a、14bに接続されている。
【0054】
さらに、パターン時間区間12a、12bの長さは認識期間15の略2倍に対応する。
【0055】
第1画像13aにおいて、第1パターン時間区間12aの開始時間点は第1認識開始時間点14aよりもわずかに早く、第1パターン時間区間12aの長さは認識期間15の2倍よりもわずかに長いことにより、最大限に高いコントラストが達成されるが、パターンも必要より若干長時間フェードインする。
【0056】
第2画像13bにおいて、第1パターン時間区間12bの開始時間点は第1認識開始時間点14bよりもわずかに遅く、第2パターン時間区間12bの長さは認識期間15の2倍よりもわずかに短いことにより、わずかに低減されたコントラストが達成されるが、パターンは必要より長時間フェードインしない。
【0057】
したがって、例えば、短いパターン時間区間中にパターンを投射しても運転者には知覚不可能なのは、これにより対応する画素4の知覚される輝度が実際にはわずか数パーセントしか低下していないからである。これとは反対に、仮にマークがフェードアウトするのではなくフェードインするとしたら、車道またはシーンの黒色の背景においては、弱く光る画素4のフェードインによっても無限に高いコントラストが生じ、それゆえ演算ユニット8の処理能力が同じ場合には運転者にとっては大きな妨害が生じる。
【0058】
本発明は上述した好ましい実施形態例に限定されない。むしろ以下の特許請求の範囲に含まれるその変更も考えられる。例えば、画像認識ユニットが複数のカメラを含むか、照明ユニットが複数のマイクロミラーアレイを含むことも可能である。
【国際調査報告】