(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-501515(P2020-501515A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】微細孔を含む生皮製動物用ガムおよび形成方法
(51)【国際特許分類】
A23K 10/26 20160101AFI20191220BHJP
A23K 50/45 20160101ALI20191220BHJP
【FI】
A23K10/26
A23K50/45
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-519306(P2019-519306)
(86)(22)【出願日】2017年12月15日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月11日
(86)【国際出願番号】US2017066721
(87)【国際公開番号】WO2018112369
(87)【国際公開日】20180621
(31)【優先権主張番号】62/435,374
(32)【優先日】2016年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518175153
【氏名又は名称】アイエムエス トレーディング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アクセルロッド,グレン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ガジリア,アジャイ
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA07
2B150AA06
2B150AB20
2B150AE06
2B150CD04
(57)【要約】
【課題】消化されやすく噛み応えがあり長持ちする動物用ガムを提供する。
【解決手段】0.1ミリメートルから3.0ミリメートルの範囲内の厚さを有する生皮シートと、前記生皮シート全体にわたる複数の微細孔とを含む微細孔性動物用ガム。この生皮シートは、消化されやすいが噛み応えがあり、長持ちする動物用ガムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1ミリメートルから3.0ミリメートルの範囲内の厚さを有する生皮シートと、
前記生皮シート全体にわたる複数の微細孔とを含み、前記微細孔は、1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内で最大の断面長さ寸法を示し、1平方センチメートルあたり1個から100個の細孔の密度で存在する、
微細孔性動物用ガム。
【請求項2】
前記微細孔は、3本から6本の腕の範囲内で複数の腕を示す、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項3】
支持添加物は、前記微細孔内で保持される、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項4】
前記生皮は、生皮樹脂合成物である、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項5】
前記細孔は、前記生皮の表面に対する角度αにあり、αは、10度から80度の範囲内にある、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項6】
前記微細孔は、前記厚さより大きい長さを示す、請求項5に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項7】
前記生皮シートは、ロール、リング、プレッツェル、スティック、ブレイド、チップの形であり、または骨もしくは結び目のある骨の全体的な幾何形状をとるために結び目が作られる、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項8】
前記ガムは、70.2%超から100%の範囲内の、パンクレアチンを含む小腸液内での乾物消失を示す、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項9】
前記ガムは、1重量%から20重量%の含水率を有する、請求項1に記載の微細孔性動物用ガム。
【請求項10】
微細孔性動物用ガムを形成する方法であって、
生皮シートの総重量の60重量%から80重量%またはそれより高い重量%で存在する水分を含む、0.5ミリメートルから4.0ミリメートルの範囲内の厚さを有する湿った前記生皮シートを提供することと、
ピンで前記生皮シートを穿刺し、前記生皮シート内に1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内で最大の断面長さを有し、1平方センチメートルあたり1個から100個の細孔の範囲内の細孔密度を提供するように配置された微細孔を形成することと、
前記生皮シートの総重量の1重量%から20重量%の水分を含む、前記生皮シートを乾燥させることと
を含む方法。
【請求項11】
乾燥の前に、前記生皮シート内に存在する水分の一部を除去することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
乾燥の前に、前記生皮シートを引き伸ばすことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記生皮シートは、キャリア板と受け板との間に提供され、前記キャリア板は、前記ピンが取り付けられており、前記生皮シートを穿刺することは、前記板と板とを一緒に押しつけることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記受け板は、その中に前記ピンを受ける穴を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生皮シート内に存在する水分の少なくとも一部を除去するために前記生皮シートを前記板と板との間で圧縮することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生皮シートは、カレンダ・ローラに供給され、前記ローラのうちの1つは、前記ピンを含み、前記ピンは、前記ピンがベアリング・ロールに対して圧迫する時に前記生皮シートを穿刺する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
絞りロールと前記ベアリング・ロールとの間で前記生皮シートを圧縮し、前記生皮シート内に存在する前記水分の一部を除去することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生皮シートをテンタ・ロールの間に通すことによって、乾燥の前に前記生皮シートを引き伸ばすことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
乾燥の前に支持添加物を前記微細孔に充填することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記ピンは、前記生皮の表面に対して角度αで前記生皮シートを穿刺し、αは、10度から80度の範囲内にある、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記微細孔は、前記生皮シートの厚さより大きい長さを示す、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記湿った生皮シートは、生皮樹脂合成物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記乾燥された生皮は、0.1ミリメートルから3.0ミリメートルまでの厚さを有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微細孔を含む生皮製動物用ガムおよびそのようなガムを形成する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
動物用ガムは、生来の噛む必要を満足させるために、一般に、飼い馴らされたペット、特に犬に与えられる。動物用ガムは、楽しみを与え、形成される材料に応じて、動物用ガムが栄養源にもなる。さらに、動物用ガムなどの物体を噛むことで、十分に磨かれて動物の歯の健康および衛生が改善されると考えられる。生皮製ペット用ガムは、しばしば、熱可塑性材料から形成されたペット用ガムと比較して、より自然な製品と認識される。調製によっては、生皮は、むしろ長持ちする傾向もある。長持ちするため、犬は、生皮をゆっくりと擦り減らしながら長い時間をかけて生皮を噛むことができる。しかし、犬は、長い時間をかけて生皮をかじることができるが、犬が比較的大きな欠片はぎ取り、摂取することがある。したがって、長持ちを犠牲にせずに、容易に消化されやすい生皮製ガムを提供することも有益である。
【0003】
噛み応えを維持しつつ長持ちさせながら消化率を改善するという問題を解決するための様々な手段が、従来技術で検討されてきた。たとえば、Mendal他の米国特許第8,613,261号は、消化率を高めるために生皮を分解するための様々な酵素を用いる生皮の処理を説明している。Axelrod他の米国特許第7,691,426号は、生皮を小粒子または粉末に粉砕し、これを食用樹脂に組み込むことを説明している。Marinoの米国特許第7,678,402号は、噛まれた時に折り取られる小さいセクションを提供するための、ガム内の大きな目打ち線の形成を記載している。さらに、Brown他の米国特許第7,147,888号は、バイオフィルムを崩壊させる乳剤で、生皮製ペット用ガムを含浸することを説明している。生皮への含浸を助けるために、生皮は、スリットおよび穴によって目打ちを入れられる。Brown他は、消化を改善することを目標に、体積に対する表面積の比率の増加が、動物の消化液に接触する面積を増やすことをも説明している。それでも、消化されやすく噛み応えがあり長持ちする動物用ガムを提供するという問題が残っている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、微細孔性動物用ガムに関する。このガムは、0.1ミリメートルから3.0ミリメートルの範囲内の厚さを有する生皮シートと、生皮シート全体にわたる複数の微細孔とを含む。微細孔は、1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内で最大の断面長さ寸法を示し、1平方センチメートルあたり1個から100個の細孔密度で存在する。
【0005】
本開示のもう1つの態様は、微細孔性動物用ガムを形成する方法に関する。この方法は、生皮シートの総重量の60重量%から80重量%またはそれより高い重量%で存在する水分を含む、0.1ミリメートルから4.0ミリメートルの範囲内の厚さを有する湿った生皮シートを提供することを含む。生皮シートを、ピンで穿刺することにより、微細孔が、生皮シート内に形成される。微細孔は、1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内で最大の断面長さを有し、1平方センチメートルあたり1個から100個の細孔の範囲内の細孔密度を提供するように配置される。生皮シートは、生皮シートの総重量の1重量%から20重量%の水分を含むように乾燥される。
【0006】
本開示の上で言及した特徴および他の特徴ならびにそれらを達成する方法は、添付図面に関連して解釈される本明細書で説明される実施形態の以下の説明を参照することによって、より明白になり、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】複数の微細孔を含む動物用ガムを形成する方法を示す図である。
【
図2A】微細孔を形成するピンの断面の実施形態を示す図である。
【
図2B】最大の断面長さCLを示す、微細孔を形成するピンによって形成される細孔の実施形態を示す図である。
【
図3A】生皮シート内に微細孔を形成するプレス機の板の配置の実施形態を示す図である。
【
図3B】生皮シート内に微細孔を形成するプレス機の板の配置の実施形態を示す図である。
【
図4】生皮シート内に微細孔を形成するカレンダ・ロール(calender roll)システムの実施形態を示す図である。
【
図5】生皮シート内でシート表面に対してある角度で形成された細孔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、微細孔を含む生皮製動物用ガムの提供およびそのような動物用ガムを形成する方法を対象とする。微細孔は、生皮の体積に対する表面積の比率を高め、より大きい表面積が動物の消化液と接触し、動物用ガムの酵素消化を増加させる。微細孔は、生皮が湿っている間にピンで生皮シートを穿刺することを含む、複数の方法によって形成され得る。
【0009】
本明細書で言及される場合、生皮は、水牛、鹿、ヘラジカ、ムース、畜牛、豚、羊、山羊、または他の有蹄動物の、なめされていない皮である。一般に、皮は、当初に、60重量%から70重量%の水分など、60重量%から80重量%の水分と、繊維性タンパク質、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、およびレチクリンなどの20重量%から40重量%の他の物質ならびにリン、カリウム、ナトリウムヒ素、マグネシウム、およびカルシウムを含む0.01重量%から2重量%の灰を含む。そのような水分を含むシートは、0.1mmから4.0mmの範囲内の厚さを有する。皮は、当業者に既知の任意の方法によって調製され得る。
図1に1つのそのような方法100が示されており、目に見える脂肪、肉、および毛のほとんどを皮から除去すること102を含む。脂肪および肉を削り取り、脂肪および肉を取り除いた後に、皮を、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、消石灰、および木灰の溶液内で処理することで、毛が緩まり、取り除きやすくなる。さらに、硫化ナトリウム、アンモニウム塩、または酵素が、溶液に追加され得る。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、酵素および酵素処理が、除外され得る。皮から毛が取り除かれ、皮は、ゆすがれる。その後、皮は、有機酸、無機酸、ならびに/または酒石酸水素カリウムおよび重炭酸ナトリウムなどの酸性塩を含む水溶液に浸され得る。いくつかの実施形態では、皮は、引き裂かれて上層が下層から分離されて104、下層が、ガムを作るのに使用される。さらに、片が、過酸化水素および塩素を含む溶液に浸され得る。皮は、もう一度ゆすがれ得る。生皮の片は、乾燥される、または乾燥の前にさらに処理され得る。乾燥の後に、皮は、好ましくは、1重量%から20重量%の水分の範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内、好ましくは5重量%から18重量%の水分の範囲内の含水率を示す。そのようなより低い水分レベルでは、シートは、0.1mmから3.0mmの好ましい厚さを有する。
【0010】
代わりに、生皮は、生皮樹脂合成物で提供され、ここで、生皮は、小粒子または粉末に切り刻まれるまたはすりつぶされ得る。粒子サイズは、0.001mmから10mmの範囲(その中のすべての値および増分を含む)など、約10mm未満とすることができる。生皮の含水率は、8%、10%、その他など、生皮の約1重量%から約20重量%(その中のすべての増分および値を含む)に調整され得る。その後、生皮は、約0.1重量%から約20重量%の範囲(その中のすべての値および増分を含む)内など、20重量%までのカゼインと結合され得る。カゼインは、牛乳のリンタンパク質と理解され得、リンタンパク質は、リン酸を含む物質に化学結合された物質のグループとして説明され得る。生皮は、0.1重量%から10重量%の範囲(その中のすべての値および増分を含む)内など、10重量%までのゼラチンとも結合され得る。ゼラチンは、コラーゲンの部分加水分解によって作られるタンパク質産物と理解され得る。さらに、フラボラント(flavorant)などの誘引物質または栄養分が、生皮に配合され得る。
【0011】
生皮粒子、カゼイン、ゼラチン、および任意の追加の誘引物質または栄養分は、溶融処理され得、ここで、粒子は、可塑化デバイス内で可塑化される。適切な可塑化デバイスは、射出成形機、押出機(2軸、単軸など)、またはブレンダなど、可塑化を引き起こすのに十分な熱機械的相互作用を提供することのできる任意の他のデバイスを含むことができる。可塑化デバイスの温度は、粒子の少なくとも10%から100%(その中のすべての値および増分を含む)を溶融させるのに十分なものとすることができ、約120℃から約150℃の範囲(その中のすべての値および増分を含む)内とすることができる。さらに、粒子は、可塑化中に加圧され得、印加される圧力は、約1MPaから約20MPaの範囲(その中のすべての値および増分を含む)内とすることができる。
【0012】
生皮(生皮片または生皮樹脂合成物)は、好ましくは、シートの形で供給される。乾燥の前、湿っている(たとえば、60%以上の水分レベルにある)間に、生皮シートは、好ましくは0.5mmから4mmの範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内の厚さを示す。したがって、乾燥されたシート(たとえば、1重量%から20重量%の含水率の)は、0.1ミリメートルから3.0ミリメートルの範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内の、好ましくは1.0mmから2.0mmの範囲内の、より好ましくは0.1mmから0.5mmの範囲内の、相対的により薄い厚さを有する。戻って
図1を参照すると、細孔は、好ましくは、湿っている間に生皮内に形成される。
【0013】
その後、生皮は、微細孔を形成するために穿刺される108。たとえばプレス機またはカレンダリング・ロール(calendaring roll)を使用して、生皮を穿刺することにより複数のピンを容易に貫通させ得る。マイクロサイズのピンにより、生皮が乾燥して縮んだ後に、1マイクロメートルから300マイクロメートルまで、100マイクロメートルから300マイクロメートルまで、300マイクロメートルから1000マイクロメートルまでなど、1マイクロメートルから2,000マイクロメートルまでの範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内の、好ましくは1,000マイクロメートルから2,000マイクロメートルまでの範囲内の最大の断面長さCL(
図2b参照)を有する微細孔が得られる。したがって、ピンは、所望の細孔サイズ寸法において0.1%から50%の範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内だけより大きいものとすることができる。ピンは、複数の断面幾何形状を示すことができる。好ましくは、いくつかの実施形態で、ピンおよびそれらによって作られる細孔は、3本以上の腕、好ましくは4本から6本までの腕を含む、アスタリスク様または星様の幾何形状を形成する複数の腕を示す。他の実施形態では、ピンは、好ましくは、断面において円形であるが、代わりに、断面において長方形、三角形、楕円四つ葉、または正方形とすることができ、あるいは、上で注記した形状のいずれかの1つまたは複数の組合せとすることができる。上の実施形態のいずれにおいても、ピンは、中空とされ得る。6本の腕を示すピン200およびそのようなピンによって作られる細孔202の例の断面が、
図2aおよび
図2bに示されている。微細孔は、最大の断面長さCLを示すものとして
図2bに示され、CLは、この円形細孔の場合には細孔直径である。
【0014】
微細孔は、1平方センチメートル(cm
2)あたり20個から50個の細孔の範囲内の、より好ましくは1平方センチメートルあたり2個から20個の細孔の範囲内のすべての値を含む、1平方センチメートルあたり1個から100個の細孔の範囲内の密度で生皮の表面にわたって均一にまたはランダムに間隔を空け得る。いくつかの実施形態では、細孔密度は、シート全体にわたって一定のままである。代わりに、細孔密度は、シート表面にわたって密度が増加するまたは減少するように、シートの表面にわたって変更される。
【0015】
一般に、ピンで生皮に穿刺するのに十分な圧力をかけることができる機器を利用することによって、ピンで生皮を貫通させる。上で注記したように、そのような機器の例は、液圧、機械的結合、または空気圧を使用して作動させ得るプレス機またはカレンダリング・ロールを含む。
図3は、プレス機300を利用する実施形態を示す。プレス機は、その間に生皮302が配置される2枚の板306および308を含む。2枚の板を押して加圧し、生皮およびピンに対して、2kPaから100kPaの範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内など、2kPaを超える圧力を与える。一方の板であるキャリア板306には、ピン304が取り付けられており、他方の板である受け板308は、ピンが圧迫する板またはピンを受ける板である。
図3に示されているように、受け板は、その中にピンを受ける複数の穴310を含むことができる。生皮を穿刺するために力を印加することに加えて、受け板308がピンを受ける時に、2枚の板が一緒に閉じ、皮から余分な水分を絞り出し、皮内の水分の量を減らすことができる。穴310は、プレス機からの排水を容易にするために排水経路を提供することができる。代替実施形態では、両方の板に、ピンと穴の両方が含まれる。さらに、上記実施形態のいずれにおいても、ピンおよび板から皮をはぎ取りやすくするためにピンをキャリア板内に引っ込めることができ、あるいは、
図3に示されるように、プレス機が開いた後に生皮をピンから外すのを助けるためにストリッパ板312が設けられ得る。
【0016】
図4は、生皮402が一連のロールを通過する、カレンダリング機器400の実施形態を示す。ロールは、少なくとも1つのベアリング・ロール(bearing roll)404と、複数のピン408がその上に取り付けられている少なくとも1つのピン・ロール406とを含む。さらに、絞りロール410が、任意選択で設けられ得る。ピン・ロール406に取り付けられたピン408は、ベアリング・ロール404を圧迫し、生皮がこれらのロールの間を通る時に生皮402を穿刺する。その後、ベアリング・ロール404または追加のベアリング・ロール(図示せず)に対して予め負荷を加えられた絞りロール410が、生皮から余分な水分を除去するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、ピンは、ピン・ロール406からたやすく解放させるために引っ込められ得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、生皮内に微細孔を形成する時またはその後に、細孔は、でんぷん、炭酸カルシウム、ビタミン、ミネラル、またはそれらの混合物などの支持添加物を充填される。生皮が乾燥し、縮む時に、支持添加物は、細孔が閉じるのを防ぎ、その形状を維持するのを助ける。ペットが生皮を噛むと、支持添加物により、動物用ガムがほぐれ、動物によってたやすく摂取される。支持添加物は、中空であるピンを介して微小孔内に詰め込まれ、生皮シートのさらなるカレンダリングを介して細孔形成時に注入されるか細孔に押し込まれ得る。いくつかの実施形態では、支持添加物は、乾いた粉末として供給され、中空のピンを介して押し込まれる。
【0018】
さらに、上で説明した実施形態のいずれにおいても、ピンは、好ましくは、生皮500の表面502に対して角度αで生皮内に挿入され、これによって、
図5に示された生皮の平均厚さtより大きい長さlを有する微細孔を作成する。生皮の表面に対する角度αは、10度から80度の範囲(30度から60度など、その中のすべての値および範囲を含む)内とすることができる。ある角度の細孔を提供することにより、体積に対する表面積の比率ならびに消化液との接触に使用可能な表面積を増やすのを助けることができる。角度αは、一定であり、あるいは、代わりに、シートの表面にわたって変更される。図示されているように、生皮の表面は、全体的に平行であり得る。しかし、生皮シートの厚さが変化し得ることを了解されたい。
【0019】
再び
図1を参照すると、細孔が形成された後に、生皮シートは、所望の最終形状に形成され、乾燥され得る110。シートは、35℃から80℃の範囲(その中のすべての値および範囲を含む)内の温度で3日から6日間乾燥され得る。いくつかの実施形態では、乾燥は、プレス機またはカレンダリング・ラインから生皮を取り除いた後に、テンション・フレームを使用して張力の下で行われ得る。他の実施形態では、
図4に示されているように、テンタ・ローラ(tenter roller)412、414、416、418が、
図4に示されているように、加工ライン内でカレンダリングの後に配置される。所望の張力を維持するために、テンタリング・ロール(tentering roll)は、それらに先行するロールより高速で回転することができる。他の幾何形状が望まれる場合には、シートは、切断され、丸められ、ロール、リング、プレッツェル、スティック、ブレイド、またはチップに形成され得る。生皮は、骨または結び目のある骨の全体的な幾何形状をとるために、結び目を作ることも可能である。代替実施形態では、生皮シートは、所望の形状に打ち抜き加工され得る。
【0020】
形成された後に、生皮は、上で注記した乾燥温度および乾燥時間内に、オーブンなどの熱源の助けを用いてまたは用いずに乾燥され得る。
図4は、シートの乾燥を容易にするための、加工ライン内のオーブン420の組込みを示す。水分の量は、最終製品の1重量%から20重量%(その中のすべての値および範囲を含む)に減らされ得る。
【0021】
したがって、上記は、0.1ミリメートルから3.0ミリメートルの範囲内の厚さを有する生皮シートから形成された生皮製動物用ガムを提供する。生皮シートは、1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内で最大の断面長さ寸法CLを有し、1平方センチレートルあたり1個から100個の細孔の範囲内の密度で存在する複数の微細孔を含む。細孔は、細孔を形成するのに利用されるピンに依存する1つまたは複数の幾何形状をとる。いくつかの実施形態では、生皮は、生皮樹脂合成物である。いくつかの実施形態の微細孔は、生皮が乾燥する時に生皮が縮むため、細孔内に機械的に保持される支持添加物が充填される。生皮シートは、ロール、リング、プレッツェル、もしくは結び目のある骨の幾何形状をとるように操作され、または所望の幾何形状を提供するために打ち抜き加工され得る。
【0022】
評価が、シミュレートされた胃液および小腸消化液を用いて体外試験手順を使用して行われた。BoisenおよびEggum、1991年、Nutr. Res. Rev.4 141〜162頁によって報告された体外試験手順を参照する。サンプルは、塩酸およびペプシンを含むシミュレートされた胃液内で6時間にわたって保温され、その後、パンクレアチンを含むシミュレートされた小腸液内で18時間にわたって保温された。保温の後に、体外乾物消失のパーセンテージが計算された。各おやつの寸法および重量が、保温の前および後に測定された。表1は、識別されたサンプル内の異なる細孔サイズおよび細孔の間の異なる間隔を有する生皮のサンプルに関する結果を提供する。
【0024】
本明細書の微細孔性動物用ガムは、70.2%の対照値と比較して、84.3%および92.1%の高さの、パンクレアチンを含む小腸液での腸相乾物消失を示すことができる動物用ガムである。これらの試験されたサンプルの平均厚さは、1.7mmであった。したがって、好ましい実施形態では、本明細書の微細孔性動物用ガムが、70.2%超から95.0%の範囲内、より好ましくは75.0%から95.0%の範囲内、さらにより好ましくは80.0%から95.0%、最も好ましい実施形態では85.0%から95.0%または90.0%から95.0%の範囲内の、パンクレアチンを含むシミュレートされた小腸液での乾物消失を示すことが企図されている。
【0025】
具体的には、3.0mm(±0.5mm)間隔で開けられた(細孔サイズが0.90mmから1.1mmまでの範囲にわたることができる)1.0mm細孔に関して、そのような細孔サイズで、識別された試験環境での18時間の後に、パンクレアチンを含む小腸液内での、注記したように90.0%から95.0%の範囲内の、90%を超える%乾物消失を達成できたことは、注目すべきであると考えられた。さらに、細孔サイズが1.0mm未満に縮小され、0.001mmから0.99mmの範囲内に含まれる時に、識別された試験環境での18時間の後に、%乾物消失が、70.2%超から100%までの範囲内に含まれることが、本明細書で企図されている。さらに、厚さを、試験されたサンプルの平均厚さ(1.7mm)未満の、0.1mmから1.7mm未満までの厚さに減らす時に、%乾物消失が、同様に70.2%超から100%までの範囲内に含まれることが、同様に企図されている。
【0026】
複数の方法および実施形態の前述の説明は、例示のために提示された。網羅的であることまたは特許請求の範囲を開示された正確なステップおよび/もしくは形態に限定することは意図されておらず、明らかに、上記の教示に鑑みて多数の変更形態および変形形態が可能である。本発明の範囲が、本明細書に付加された特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。
【国際調査報告】