(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-501916(P2020-501916A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】砂中子製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
B22C 9/10 20060101AFI20191220BHJP
【FI】
B22C9/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-554022(P2019-554022)
(86)(22)【出願日】2017年12月7日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月14日
(86)【国際出願番号】ES2017070801
(87)【国際公開番号】WO2018115548
(87)【国際公開日】20180628
(31)【優先権主張番号】16382625.8
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】515275421
【氏名又は名称】ロラメンディ,エセ.クープ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス オリーヴ,ルイス アルフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】オルティス デ エルゲア ガスティアン,アルベルト
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093QA01
4E093QC02
4E093QC10
(57)【要約】
中子型(1)と、中子型(1)内に無機砂−結合剤混合物を導入する吹込装置と、混合物を硬化させるために特定の経路を介して中子型(1)内に高温の圧縮空気を導入する硬化装置(3)と、を備え、硬化装置(3)は、中子型(1)に達する前の圧縮空気を加熱するために経路内に配置された少なくとも1つの加熱ユニット(3.1)を備え、当該装置(100)は、経路を通過する気流を測定するための流量計(7)と、気流を調整するための流量調整器(6)と、を備え、流量調整器(6)は、流量計(7)で取得した測定値に応じて、流量調整器(6)を作動する、砂中子製造装置、および砂中子製造装置に関連する砂中子製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中子型(1)と、前記中子型(1)内に砂−結合剤の混合物を導入する吹込装置と、前記中子型(1)に存在する前記混合物を硬化させるために前記中子型(1)への特定の経路を介して前記中子型(1)に高温の圧縮空気を導入する硬化装置(3)と、を備え、
前記硬化装置(3)は、前記中子型(1)の上流側の前記経路内に配置され、前記中子型(1)に到達する前の圧縮空気を加熱するための少なくとも1つの加熱ユニット(3.1)を備える、砂中子製造装置であって、
当該装置(100)は、前記経路を通過する前記圧縮空気の流量を測定する流量計(7)と、前記流量計(7)によって取得された測定値に応じて作動させることができ、気流を調整する流量調整器(6)と、をさらに備え、
前記装置(100)は、前記流量計(7)および前記流量調整器(6)と接続され、前記流量計(7)によって取得された測定値に応じて前記流量調整器(6)に作用し、前記圧縮空気の流量を調整する制御ユニット(8)をさらに備え、
前記中子型(1)は、製造される中子の形状を有するキャビティ(1.3)と、前記中子型(1)の外側と前記キャビティ(1.3)とを接続し、前記キャビティ(1.3)に前記混合物と前記圧縮空気とを導入することができる少なくとも1つの入口導管(1.1.1)と、前記中子型(1)の外側と前記キャビティ(1.3)とを接続し、前記混合物および前記圧縮空気が前記キャビティ(1.3)に導入されると前記キャビティ(1.3)内に存在する空気を前記キャビティ(1.3)から排出することができる前記入口導管(1.1.1)とは異なる少なくとも1つの出口導管(1.2.1)と、を備え、
前記装置(100)は、必要に応じて、前記出口導管(1.2.1)と流体連通し前記出口導管(1.2.1)を介して排出される空気を導流させるための出口管(5)と、前記出口管(5)内に配置された前記流量調整器(6)と、を備え、
前記流量調整器(6)は、前記出口管(5)を通る流体を直接調整するように構成される、砂中子製造装置。
【請求項2】
前記制御ユニット(8)は、前記圧縮空気を前記中子型(1)へ導入する間、前記流量計(7)によって取得された流量測定値および前記流量調整器(6)によって調整された前記出口管(5)を通る流量に応じて、前記装置(100)内の異常を識別するように構成され、
前記制御ユニット(8)は、前記流量計(7)によって取得された前記流量測定値、および前記流量調整器(6)が前記中子型(1)への前記経路を通る圧縮空気の流量を調整する量に応じて、前記出口導管(1.2.1)の少なくとも部分的な閉塞を検出するように構成され、測定された流量値が前記経路を通る圧縮空気の流量を調整する前記流量調整器(6)によって調整された対応する流量についての特定の最小閾値より小さい場合、前記閉塞を異常として識別し、
前記制御ユニット(8)は、前記流量計(7)によって取得された前記流量測定値、および前記流量調整器(6)が前記中子型(1)への前記経路を通る圧縮空気の流量を調整する量に応じて、前記中子型内に存在する不要な圧縮空気漏れを検出するように構成され、前記測定された流量値が前記流量調整器(6)によって調整された対応する流量についての特定の最大閾値よりも大きい場合、前記漏れを異常として識別する、請求項1に記載の砂中子製造装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(8)は、前記混合物を前記中子型(1)へ導入する間、前記出口管(5)を通る流量を可能な限り最良な状態で維持するように構成され、
前記圧縮空気を前記中子型(1)へ導入する間、前記流量計(7)の測定値に応じて、前記流量調整器(6)が流量を調整する量を調整することによって、前記流量が調整される、請求項1または請求項2に記載の砂中子製造装置。
【請求項4】
前記流量調整器(6)は、電子制御の比例流量弁である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の砂中子製造装置。
【請求項5】
中子を製造するために、砂−結合剤の混合物を中子型(1)の少なくとも1つの入口導管(1.1.1)を介して前記中子型(1)のキャビティ(103)へ導入する砂中子製造方法であって、
前記混合物を前記中子型(1)へ導入した後に、高温の圧縮空気が、前記混合物を硬化させるために前記入口導管(1.1.1)を介して前記中子型(1)へ導入され、
前記圧縮空気を特定の経路を介して前記中子型(1)へ導き、前記高温の圧縮空気を前記中子型(1)へ導入する間に、前記中子型(1)内に存在する空気および前記経路を通る前記圧縮空気の流量が測定され、前記測定に応じて前記流量が所望の流量値に調整されるように、流量測定および調整が自動的に実行されることを特徴とし、
前記中子型(1)に導入された前記圧縮空気は、必要に応じて、出口管(5)、および前記キャビティ(1.3)と前記出口管(5)とを流体連通する出口導管(1.2.1)へ導流されて、前記中子型(1)から排出され、
前記出口管(5)を通る前記経路は、前記圧縮空気が前記中子型(1)から排出されると、前記中子型(1)に通じる前記経路を通る前記圧縮空気の流量を調整するように調整され、
前記出口管(5)に配置された流量調整器(6)は、前記圧縮空気の流量を調整するように作用し、
前記流量調整器(6)の開閉率は、前記流量を調整するように調整される、砂中子製造方法。
【請求項6】
取得された流量測定値と、前記流量調整器(6)が前記出口管(5)を通る前記流量を調整する量に応じて、前記中子型(1)に前記圧縮空気を導入する間に生じる異常が検出され、
前記測定された流量値が前記流量調整器(6)によって調整された対応する前記流量についての特定の最小閾値よりも小さい場合、少なくとも部分的な閉塞が異常として検出され、および/または前記測定された流量値が前記流量調整器(6)によって調整された対応する前記流量についての特定の最大閾値よりも大きい場合、前記中子型(1)の不要な圧縮空気漏れが異常として検出される、請求項5に記載の砂中子製造方法。
【請求項7】
前記中子型(1)に前記混合物を導入する際に前記出口管(5)を通る前記圧縮空気の流量は、前記測定された流量値にかかわらず、可能な限り最良な状態で維持するように構成され、
前記中子型(1)に前記圧縮空気を導入する際の測定に応じて流量調整が実行される、請求項5または請求項6に記載の砂中子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂中子製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
砂中子製造装置において、中子は、砂と結合剤を含有する混合物から製造される。混合物は、製造される1つの中子(または複数の中子)の形状を有し、1つのキャビティ(または複数のキャビティ)を画定する中子型内に導入される。中子型は、通常、2つの対向する形成器具で構成され、それらの間にキャビティを画定する。単心の中子を(キャビティが画定される)同一の中子型の内に作ることができ、または複数の中子を(複数のキャビティが画定される)同一の中子型内に同時に作ることができる。
【0003】
中子型内に画定された各キャビティには、中子を製造するために使用される混合物が充填される。混合物を対応するキャビティ内に導入する前のキャビティは、混合物をキャビティ内に収容することを可能にするために排出されなければならない空気によって満たされている。そのため、中子型は、キャビティと中子型の外側とを連通する少なくとも1つの出口導管を含む。キャビティ内の空気は、混合物が徐々に導入されるにつれて出口導管を介して外側(外部環境)に排出される。さらに、混合物が出口導管を通って外側へ排出されるのを防ぐために、出口導管内にはフィルタが配置されている。出口導管は、通常、器具の下部に設けられる貫通孔によって構成されている。
【0004】
混合物は、必要とされる混合物が対応するキャビティ内に入ると、硬化されて中子に剛性を与える。そして、中子は、次に必要とされる場所において必要に応じて使用され得る。
【0005】
結合剤は、有機結合剤または無機結合剤が使用され得る。有機結合剤を有する混合物を硬化させる場合、例えばアミンのような触媒が通常混合物に適用される。また、場合によっては、高温の圧縮空気が(通常触媒と共に)使用され得る。この場合、結合剤または触媒の性質として、汚染ガスが混合物の硬化中に発生する。そのため、ガスに対する次の処理または工程が必要となる。さらに、触媒は、主にこの種の触媒のコスト性および危険性から制御され、かつ計量された方法で供給される。触媒に対して要求される制御は、(空気が使用されるときに)空気に対して要求される制御と比較して、より複雑でコストがかかる。
【0006】
無機結合剤を有する混合物を硬化させる場合、無機結合剤は、(吸湿の結果として湿った空気が通常生成される)工程内で汚染ガスを発生させることなく、混合物の湿気の少なくとも一部を吸収する。そして、混合物を硬化させることによって混合物を乾燥させる。
【0007】
高温の圧縮空気を使用する硬化工程では、乾燥し、かつ高温の空気が使用される。空気は、キャビティ内に存在する混合物から水分を吸収し、その結果、混合物が硬化する。また、これに加えて、中子型の実熱が混合物の水分の一部を吸収するように中子型を加熱することが一般的である。空気は、通常、圧縮空気源から供給されて中子型へと導流する。空気は、空気を加熱するための加熱装置を予め通過し、中子型(中子型に対応するキャビティ)で高温に達する。これらの空気はため、中子型内に存在する混合物から水分を吸収することができる。空気は、混合物が中子型に入る際に空気の温度が高ければ高いほど、より高い吸収能力を有し得る。しかしながら、空気のこれらの特性の値が大きくなればなるほど、(特に高温を達成するための必要なエネルギー要件のために)中子の製造工程に伴うコストが高くなる。
【0008】
さらに、上述したタイプの方法では、空気がキャビティ内に存在する混合物の全体に渡ることを確実にするために、中子型内の吸気口における最低空気圧を確保する必要がある。空気は、低圧の状態で吸気口に到達すると混合物の中心に到達しない危険性があり、例えば、脆弱な中子を製造してしまう危険性(この場合、混合物の中心は硬化されない)、および/または(同一の中子型内で複数の中子が同時に作られる場合)空気がすべての中子に適切に届かない危険性が生じる。したがって、圧力調整器は、通常、圧縮空気源と加熱装置との間に配置され、空気が少なくとも必要最低限の圧力で確実に供給されるように配置される。中子型を他の中子型と交換し各中子型が異なる空気圧の調整を必要とする場合は、必要に応じて新たに空気圧を所定の値に調整することができ、調整された空気圧は中子型が再度交換されない限り維持される。つまり、空気圧は、中子型の製造サイクル中には変更されない。
【0009】
中子型内に存在する混合物を硬化させるために導入される高温の圧縮空気は、混合物の水分が中子型から排出され、混合物が適切に硬化されるように、混合物の導入時に排出されなければならない。中子型は、混合物が中子型内に導入されるときに、対応するキャビティ内に存在する空気を排出する。通常、空気の排出には中子型の出口導管(一般的には複数の出口導管)が利用される。これにより、圧縮され既に湿った高温な空気は、中子型から出口導管を介して排出される。
【0010】
最終的に、上述の方法により製造された中子は、中子型から取り出される。また、中子が取り出された中子型は、別の製造サイクルを開始する準備ができている。
【0011】
特許文献である欧州特許出願公開第1849537号明細書は、中子型を含み、導入される無機混合物がその中に続いて導入される高温の圧縮空気によって硬化される砂中子製造装置を開示している。当該装置は、供給源と中子型との間に配置された加熱装置と、空気圧を調整するために供給源と加熱装置との間に配置された比例圧力弁と、を備える。当該装置は、硬化工程の効率を改善するために、供給源から中子型まで延在する2つの択一式空気経路を含む。択一式空気経路は工程の開始に応じて制御された方法によって選択される。空気は、最初に特定の加熱能力を有する加熱装置の加熱ユニットを通過し、次に加熱ユニットと加熱装置に配置された2つの他の追加加熱ユニットとを介して通過する。これにより、空気の温度は著しく上昇し、空気の吸湿能力が増加する。しかしながら、当該装置は、第1段階において、エネルギーを1つの加熱ユニットのみに供給するにもかかわらず、全体エネルギー消費量を多く必要とする。さらに、当該装置は2つの異なる空気経路を設ける必要があるため、複雑な設備を必要とし、保守を困難なものにするとともにコストを増大させる。
【0012】
米国特許出願公開第2016/0250680号明細書は、基本成形材料をケイ酸アルカリまたは水溶性結合剤と混合し、中子型内で中子シューターを使用してロストコアまたは成形部品を形成する、中子または成形部品の製造方法を開示している。
【0013】
米国特許出願公開第2003/0173049号明細書は、中子型と、中子型に砂含有混合物を導入することに適した吹込装置と、中子型に存在する混合物を硬化させるため中子型内に高温の圧縮空気を導入することに適した硬化装置と、を備える砂中子製造装置を開示している。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、特許請求の範囲に規定されている砂中子製造装置および方法を提供することである。
【0015】
本発明の第1の態様は、砂中子製造装置に関する。砂中子製造装置は、中子が製造される中子型と、中子を中子型で製造するために使用される材料を導入することに適した吹込装置と、中子型に先に導入された材料を硬化させるために中子型に高温の圧縮空気を導入することに適した硬化装置と、を含む。当該装置は、圧縮空気源から中子型への特定の圧縮空気の経路と、圧縮空気が中子型に到達する前に通過する経路に配置された少なくとも1つの加熱ユニットをさらに備える。したがって、加熱ユニットは、中子型の上流側に配置され、中子型に到達する前の圧縮空気を加熱する。なお、加熱ユニットは、硬化装置の一部である。中子の製造に使用される材料は、砂−結合剤の混合物であり、高温の圧縮空気によって硬化される。
【0016】
当該装置は、圧縮空気の経路から中子型まで通過する圧縮空気の流量を測定する流量計と、より好ましくは、加熱ユニットの上流側の経路内に配置され測定に応じて流量を調整する流量調整器と、を備える。
【0017】
当該装置は、流量計および流量調整器と接続され、流量計によって取得された測定値に応じて流量調整器に作用し、圧縮空気の流量を調整する制御ユニットをさらに含む。
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
中子型は、製造されるコアの中子を有するキャビティと、中子型の外側をキャビティと接続し、キャビティに混合物と圧縮空気とを導入することができる少なくとも1つの入口導管と、中子型の外側とキャビティとを接続し、混合物および圧縮空気がキャビティに導入されるとキャビティ内に存在する空気を前記キャビティから排出することができる入口導管とは異なる少なくとも1つの出口導管と、をさらに含む。当該装置は、必要に応じて、出口導管と流体連通し出口導管を介して排出される空気を導流させるための出口管と、出口管内に配置された流量調整器と、を備える。流量調整器は、出口管を通る流体を直接調整するように構成される。したがって、出口管内に配置された流量調整器を調整することによって、中子型に供給される空気の流量も調整される。
【0019】
このように、このように、圧縮空気の水分吸収能力に影響する中子型に流入する流量の制御を実行することができる。これにより、対応する中子型については、推定された最適な流量を利用することが可能になる。そのため、工程の効率が強化され、中子の製造効率は、簡単であって費用対効果の高い方法によって改善される。原則として、より大きな流量になればなるほど高い吸収能力が得られるが、所定の流量を超えると水分吸収率が改善できない可能性がある。この場合、過剰な流量が加熱されることによって悪影響を及ぼしてしまう。
【0020】
特に、このタイプの装置に使用される種類の加熱ユニットは、その加熱能力が加熱ユニットに接触する圧縮空気の量および持続時間に依存することを考慮すると、通過する圧縮空気をその流量に応じて加熱することに適している。加熱ユニットを通過する圧縮空気の流量を直接制御することは、加熱装置を通過した後の圧縮空気の温度を直接制御することを意味し、その他の関連する吸収能力の関連特性を制御することもできる。したがって、対応する中子型に存在する材料を硬化するための圧縮空気の温度と流量との間の望ましい関与を得ることができ、硬化工程の効率(要するに中子の製造効率)は、簡単で費用対効果の高い方法(圧縮空気の加熱、またはそうでなければ、硬化サイクルの時間の増加が防止されること)によって、時間とコストの両方においてさらに改善される。
【0021】
さらに、これにより、一つまたは同一の硬化サイクル中および/または同一の中子型を使用する間に、圧縮空気の流量を調整することが可能となる。したがって、毎時(リアルタイムで)圧縮空気の流量を最適化することができる。ただし、上述のフローを変更して、異なる中子型に必要なフローに調整することもできる。各中子型は、中子型によって製造される中子に応じて異なる可能性があり、混合物の量および形態の両方が変化する可能性がある。そのため、中子型内に存在する材料を硬化させるための高温の圧縮空気の異なる必要性または特性をもたらし得る。さらに、中子型の条件は、硬化サイクルが実行されるときに知り得るものであって、圧縮空気の流量がその情報を考慮して調整されるように、その情報は事前に得ることができる。したがって、中子型を硬化させるときに関連する特性を直接制御することができ、関連する中子型内に存在する材料の硬化効率を向上させることができる。したがって、中子の製造効率を簡単で費用対効果の高い方法によって向上させることができる。
【0022】
さらに、当該装置では、効率を圧縮空気の圧力を調整するための介入を必要とせずに改善することができるため、工程の開始時に必要に応じて調整でき、効率に悪影響を与えることなくそのまま維持することができる。これにより、本発明により開示された装置は効率を向上することができる。また同時に、通常の動作条件下において中子型に到達したときの圧縮空気の圧力は、中子全体を硬化させるためには十分である。
【0023】
本発明の第2の態様は、砂中子製造方法に関する。
【0024】
当該方法では、中子を製造するために、砂−結合剤混合物が中子型の少なくとも1つの入口導管を介して中子型のキャビティに導入される。混合物は、中子を製造するために使用される材料であり、混合物を中子型へ導入した後に、高温の圧縮空気が入口導管を介して中子型に導入されて混合物を硬化させる際に、圧縮空気が特定の経路を介して中子型へ導流される。
【0025】
中子型に高温の圧縮空気を導入する間、圧縮空気が中子型に導流され経路を通る圧縮空気の流量が測定される。そして、測定に応じて、流量は、混合物の硬化効率を改善するために特定の流量値に調整される。流量測定および調整は自動的に実行される。中子型に導入された圧縮空気は、キャビティと出口管とを流体連通する出口導管へ導流されて、中子型から排出され、出口管を介して必要な場所に導かれる。出口管を通る通路は、中子型に通じる経路を通る圧縮空気の流量を調整するように調整され、出口管に配置された流量調整器は、圧縮空気の流量を調整するように作用する。流量調整器の開閉率は、流量を調整するように調整される。上述の方法によって得られる利点は、本発明の第1の態様に関して述べた利点と同様である。
【0026】
本発明の上述した利点および特徴、およびその他の利点および特徴は、図面および本発明の詳細な説明によって明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る砂中子製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の態様は、少なくとも1つの中子が製造される中子型を備える砂中子製造装置100に関する。中子型1は、製造される中子の形状を有するキャビティ1.3を画定する。中子型は、好ましくは、少なくとも1つの上部器具1.1および1つの下部器具1.2によって形成され、それらの間にキャビティ1.3を画定する。
【0029】
装置100は、中子型1内、特に中子型1内に画定されたキャビティ1.3内において、中子を製造するために使用される材料を導入するための吹込装置(図示省略)を備える。材料は、砂−結合剤混合物を含む。装置100は、混合物が無機混合物を含むことによって中子の製造中に汚染ガスが発生しないような、無機工程によって砂中子を製造するように構成されることが好ましい。
【0030】
中子型1は、中子型1の外側からキャビティ1.3まで延在する入口導管1.1.1を形成する少なくとも1つの入口孔を備える。混合物は、入口導管1.1.1を介してキャビティ1.3へ導入される。中子型1は、好ましくは複数の入口導管1.1.1を備え、入口導管1.1.1は、上部器具1.1に配置される。混合物をキャビティ1.3へ導入する前のキャビティは、混合物がキャビティ1.3に収容されることを可能にするために排出されなければならない空気によって満たされている。そのため、中子型1は、キャビティ1.3から中子型1の外側まで延在する出口導管1.2.1を形成する少なくとも1つの出口孔を備える。空気は、出口導管1.2.1を介してキャビティ1.3から排出され、混合物は、キャビティ1.3に徐々に導入される。さらに、出口導管1.2.1には、フィルタ1.2.2が配置され、混合物が出口導管1.2.1から排出されることを防ぐ。中子型1は、好ましくは複数の出口導管1.2.1を備える。図面に示される実施形態では、すべての出口導管1.2.1が中子型1の下部器具1.2に描かれているが、上部器具1.1が出口導管1.2.1を備えていてもよい。
【0031】
装置100は、必要な量の混合物が中子型1へ導入されると、中子型1に存在する混合物を硬化させるために、中子型1へ高温の圧縮空気を導入することに適した硬化装置3をさらに備える。硬化装置3は、中子型1の上流側で圧縮空気を加熱する。そのため、硬化装置3は、中子型1の上流側に配置された少なくとも1つの加熱ユニット3.1を含む。経路は、圧縮空気が中子型1に到達する前に加熱を行うために、圧縮空気が加熱ユニット3.1を通過するように(または空気が少なくとも加熱ユニット3.1によって加熱される部位を通過するように)構成される。また、硬化装置3は、空気源4、好ましく圧縮空気源4に接続することに適している。中子型1内に存在する混合物を硬化させるために使用される空気は、空気源4を介して供給される。導入された圧縮空気は、中子型1を通過する際に混合物から水分を吸収すると中子型1から排出されなければならず、中子型1の出口導管1.2.1がそのために使用される。
【0032】
装置100は、好ましくはリアルタイムで経路を通る圧縮空気の流量を測定するための流量計7と、測定に応じて流量を調整できる流量調整器6と、をさらに備える。流量計7は、好ましくは加熱ユニット3.1の上流に配置される。したがって、装置100は、硬化工程の効率、さらに言えば、中子の製造効率を改善するために、圧縮空気が中子型1に導流される経路を通る圧縮空気の流量を簡易で簡単で費用対効果の高い方法によって制御できるように構成される。流量調整器6は、電気的に制御される比例流量弁であることが好ましいが、手動で制御される比例流量弁であってもよい。後者の場合、使用者自身が流量計7によって識別された測定値に応じて、手動で流量調整器6を作動させることによって空気流量を調整する。また、装置100は、空気が中子型1に導流される圧力を調整するための圧力調整器9をさらに備えることができる。圧力調整器9は、例えば、電気的に制御される(手動で制御することもできる)比例圧力弁によって構成されていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、装置100は、例えば、測定された流量を表示できるディスプレイを有することができ、使用者は、説明通りに、特定された測定に応じて流量を調整する流量調整器6を作動させる責任を負う。しかし、この方法を容易にするために、他の実施形態では、装置100はこれらのタスクを自動的に実行するように構成されている。そのため、装置100は、流量計7によって測定される測定値を受信するために流量計7と通信し、流量調整器6に作用することができるように流量調整器6と通信する制御ユニット8を備える。制御ユニット8は、流量計7によって取得された測定値に応じて流量調整器6に作用し、必要に応じて圧縮空気の流量を調整するように構成される。制御ユニット8は、例えば、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラなどの、データ処理および/または計算能力を備えた任意のデバイスから構成され得る。この場合、流量調整器6は、電子制御弁、より好ましくは電子制御比例流量弁であり得る。また、制御ユニット8は、装置100が圧力調整器9を備える場合、圧力調整器9と通信して圧力調整器9を制御することもできる。
【0034】
装置100は、フロー関連の情報を有するメモリ(図示省略)をさらに含むことができる。特定の中子型1(または複数の中子型1、それぞれの場合にいて選択されたターゲットの中子型1)の最適なフロー値(または複数のフロー値)は、メモリに事前に保存することができる。制御ユニット8は、流量計7によって測定された値をこの保存された値と比較し、適時、上記の比較の結果に応じて、流量を調整するために流量調整器6に作用する。メモリの動作において上述した例は非限定的であり、例えば、対応する中子型1が装置100に配置されたまたはこれから配置されるときに各中子型1の情報をアップロードするなど、他の可能性において使用することできる。メモリは、制御ユニット8自体に組み込まれていてもよく、組み込まれていなくてもよい。
【0035】
中子型1は、中子型1の外側をキャビティ1.3と連通させる少なくとも1つの入口導管1.1.1を備える。これにより、キャビティ1.3への圧縮空気の導入が可能となる。入口導管1.1.1は、好ましくは上部器具1.1に配置される。中子型1は、好ましくは、複数の入口導管1.1.1を備える。
【0036】
好ましい実施形態では、装置100は、中子型1から排出される空気を出口導管1.2.1に通して必要な場所へ導くために、出口導管1.2.1と流体連通する出口管5を備える。流量調整器6は、好ましくは出口管5に配置され、それにより、流量調整器6は、出口管5を通る空気の流量を直接調整するように構成される。出口管5は、中子型1自体を介して(特に出口導管1.2.1、キャビティ1.3および入口導管1.1.1介して)、圧縮空気を中子型1へ導くために、装置100に含まれる経路と流体連通している。したがって、出口管5を通る空気の流量を調整するときに、経路を通る空気の流量が間接的に調整される。したがって、出口管5に配置された流量調整器6を調整することにより、中子型1に送られる空気の流量も調整され、上述したように空気の流量に加えて空気の温度も容易に制御することができる。出口管5は、中子型1が複数の出口導管1.2.1を備える場合、各出口導管1.2.1に対応する導管と、異なる導管に接続された流量調整器6が配置される主導管と、を備えるが、出口管5は、好ましくは、すべての出口導管1.2.1に接続された単一の導管を含む。
【0037】
出口管5は、迅速かつ簡単な結合、および結合解除を可能にする特定の結合を介して中子型1に結合される。この方法によれば、一の中子型1を他の中子型1と交換する場合、例えば、中子型1を交換する時点で装置100に含まれる中子型1から出口管5を切り離し、その後、装置100の新しい中子型1に連結することができる。
【0038】
出口管5に出口管5および流量調整器6を含めることにより、すでに説明した利点に加えて、装置100におけるその他の一連の利点をさらに得ることが可能となる。装置100のこのような構成により、制御ユニット8は、さらに流量計7によって取得された測定値に応じて、および流量調整器(6)の開閉率に応じて、下記の例に示すように中子型1に圧縮空気を導入する間に生じる装置100の異常を識別するように構成され得る。
【0039】
まず、制御ユニット8は、流量調整器6が流量を調整している量(流量調整器6の開閉率)と、流量計7から取得された測定値と、に応じて、出口導管1.2.1内の閉塞を検出するように構成することができる。測定された流量値が流量調整器6の対応する開閉率に対する特定の最小閾値よりも小さい場合、少なくとも部分的な閉塞であるとして閉塞を異常として識別する。閉塞を異常として識別するために必要な流量がある場合、流量調整器6の開閉の度合いを特定の度合いよりも大きくする必要がある。制御ユニット8は、この不一致を特定し、異常として特定し、さらに報告することができる。これは、例えば出口導管1.2.1がキャビティ1.3からの混合物によって完全にまたは部分的に遮られているという事実に起因する可能性があり、必要に応じて、使用者が必要と考える行動(たとえば、装置100を停止し、対応する注入口を清掃する、または中子型1を交換する)を実行するように報告し、実際に必要な場合にのみ生産を中断するようにすることができる。制御ユニット8が異常を識別できる値は、対応する動作サイクルで事前に確立されており、上述したメモリまたは追加のメモリに保存することができる。制御ユニット8は、これらの異常を特定したときに装置100を停止するように構成することもできる。
【0040】
また、制御ユニット8は、流量調整器6が流量を調整している量(流量調整器6の開閉率)と、流量計7から取得された測定値と、に応じて、中子型1の不要な圧縮空気漏れを検出するように構成することができる。測定された流量値が、流量調整器6の対応する開閉率に対する特定の最大閾値よりも大きい場合、異常として漏れを識別する。例えば流量調整器6において流量が完全にまたは部分的に遮られているにもかかわらず、つじつまの合わない流量(多くの流量)が測定された場合、圧縮空気が(出口管5を通るだけでなく)流出している漏れがあることを示している可能性がある。制御ユニット8はこのような異常を報告することができ、使用者が必要と考える行動を実行することができる。したがって、制御ユニット8は、中子の製造効率に悪影響を与える異常(この場合、過剰な圧縮空気と過剰な熱出力が無駄になること)を検出でき、全体的な装置効率の向上に貢献する。制御ユニット8は、これらの異常を特定したときに装置100を停止するように構成することもできる。
【0041】
このように、制御ユニット8は上述の2つの場合において、それぞれ閉塞と空気漏れを検出するように構成することができる。
【0042】
したがって、さらに、上記の場合のように装置100に異常を検出する追加能力の結果として、例えばより安全な装置100を得ることができる。
【0043】
制御ユニット8は、装置100が出口管5と出口管5に配置された流量調整器6とを含む場合、中子型1への混合物の導入中に、出口管5を通る可能な限り最良の流量を維持するようにさらに構成することができる。また、制御ユニット8は、中子型1への圧縮空気の導入中に、その測定に応じて流量調整器6の開閉率を適合させることによって流量を調整することができる。したがって、中子型1に混合物を送り込むときに中子型1に存在する空気は、可能な限り迅速に中子型1から排出され、可能な限り迅速な工程を得ることができる。中子型1では、出口管5を通る最大流量が調整され、より効率的な硬化を得ることができる。このように、硬化効率を改善するために出口管5および出口管5に配置された流量調整器6を組み込むことは、コア製造中の吹込み工程に悪影響を及ぼさない。したがって、吹込中に中子型1から排出される空気と、硬化中に中子型1から排出される圧縮空気と、が同じ排出経路(出口導管1.2.1および出口管5)を共有するという事実があるにもかかわらず、対応する装置100での中子の生産に悪影響を及ぼさない。
【0044】
本発明の第2の態様は、中子を製造するために、中子が製造される中子型1に対応する砂−結合剤混合物を導入する砂中子製造方法に関する。混合物は、製造に使用される材料である。混合物を中子型1へ導入した後に、混合物を硬化するために中子型1に高温の圧縮空気が導入され、特定の経路を通って中子型1へ導かれる。この方法では、中子を製造するために無機砂−結合剤混合物が導入され、中子の製造中に汚染ガスが発生しない砂中子製造方法であることが好ましい。
【0045】
高温の圧縮空気を中子型1へ導入する間に、中子型1へ導かれる経路を通る圧縮空気の流量が測定され、測定に応じて流量が所望の流量値に調整される。この方法は、装置100について上述した利点と同じ利点を得られる。流量測定および調整は、好ましくは自動的に実行される。そのため、例えば本発明の第1の態様において説明したように、制御ユニット8、流量計7および流量調整器6は、互いに通信することが好ましい。
【0046】
中子型1へ導入された圧縮空気は、中子型1から出口導管1.2.1を通って排出された後、出口管5を介して必要な場所に導かれる。出口管5を通る通路は、中子型1に導く経路を通る圧縮空気の流量を調整するように調整される。これは、本発明の第1の態様について説明したように、経路と出口管5とが中子型1を介して流体連通しており、一箇所での調整がその他の箇所にも影響するために可能となる。また、圧縮空気の流量を調整するために、出口管5に配置された流量調整器6は作動する。これにより、流量調整器6の開く度合いが調整され、出口管5を通る最大流量が調整される。
【0047】
混合物が中子型1へ導入する間、出口管5を通る圧縮空気の流量は、流量測定値に関係なく可能な限り高い流量に維持され、圧縮空気を中子型1へ導入する際に、測定に応じて流量の調整が実行される。したがって、装置100について上述したように、中子型100内に材料を吹き込む工程は、吹込中に中子型1から排出された空気と、硬化中に中子型1から排出された圧縮空気が同じ排出経路(出口管5)を共有するという事実があるにもかかわらず、当該装置が硬化工程の効率を改善するための出口管5および圧力調整器6を備えているために悪影響を受けない。
【0048】
開示された方法は、装置100の任意の実施形態および/または構成における、本発明の第1の態様の1つなどを装置100によって実施することができる。同様に、開示された装置100は、方法の任意の実施形態および/または構成における、本発明の第2の態様の方法をサポートするように適合および/または構成される。
【国際調査報告】