(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、骨粗鬆症およびその関連疾患の予防及び/または治療におけるプラスミノーゲンの用途を提供する。本発明はさらに、骨粗鬆症を予防及び/または治療するための薬物及び製品を提供する。
前記継発性骨粗鬆症は、内分泌疾患、リウマチ性疾患、胃腸疾患に継発する骨粗鬆症、及び薬物治療によって引き起こされる骨粗鬆症を含む、請求項1または2に記載の方法。
前記継発性骨粗鬆症は、グルココルチコイド、原発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、原発性胆汁性肝硬変、性腺機能低下、糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化症、慢性腎臓病、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、骨関節炎、性腺ホルモン治療、抗てんかん薬治療、化学療法薬物治療によって引き起こされる骨粗鬆症を含む、請求項4に記載の方法。
被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、疾患と合併する骨粗鬆症を予防及び治療するための方法であって、前記疾患と合併する骨粗鬆症は、グルココルチコイド、原発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、原発性胆汁性肝硬変、性腺機能低下、糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化症、慢性腎臓病、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、骨関節炎、性腺ホルモン治療、抗てんかん薬治療、化学療法薬物治療と合併する骨粗鬆症を含む、疾患と合併する骨粗鬆症を予防及び治療するための方法。
骨粗鬆症に罹患しやすい被験者、骨粗鬆症に罹患するリスクが高い被験者、または骨粗鬆症に罹患していると診断された被験者に、骨折の発生を予防するために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、骨粗鬆症による骨折を予防するための方法。
前記被験者は、グルココルチコイド、原発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、原発性胆汁性肝硬変、性腺機能低下、糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化症、慢性腎臓病、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎または骨関節炎に罹患している被験者を含む、請求項7に記載の方法。
前記調節制御は、血中カルシウムレベルを低下させることと、血中リン酸塩レベルを上昇させることと、骨基質におけるカルシウムの沈着を促進すること及び/または血管壁、内臓におけるカルシウムの沈着を低下させることとを含む、請求項11に記載の方法。
前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するものである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したものであり、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記プラスミノーゲンは、Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性を保持した変異体である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、またはその依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、またはその依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(i)請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンと、(ii)前記プラスミノーゲンを前記被験者に送達するための手段(means)とを含む、予防性または治療性キット。
請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンを前記被験者に投与することを指示するラベルまたはプロトコルをさらに含む、請求項26または27に記載のキット。
前記その他の薬物は、骨粗鬆症を治療するためのその他の薬物または骨粗鬆症と合併するその他の疾患を治療するための薬物を含む、請求項30に記載のキットまたは製品。
【実施例】
【0101】
材料と方法:
動物:C57マウスとPlg
+/+およびPlg
−/−マウス(Jackson Lab)を相関実験に使用した。動物は中国国家標準に合致する実験動物の使用環境に飼育された。
試薬:ビタミンD(Sigma Aldrich、品目番号D1530)、コーンオイル(Sigma Aldrich、品目番号C8267)、低カルシウムの特殊飼料(0.2%カルシウム、1%リン酸塩、2000UビタミンD3/kg、南通トロフィー飼料科技有限公司、15kg)、カルシウム含有量測定キット(南京建成生物工程研究所、品目番号C004−2)、ヒトプラスミノーゲン(10mg/ml、健常な血漿献血者から精製された)。
Aloka Micro CTはマウス、ラットの形態観察に専用され、最新の第三代X線測定を採用し、短時間で高品質の断層撮影画像が得られる。骨測定(骨密度、骨塩含有量、骨体積、骨微細構造など)、体脂肪率測定、内臓、皮下脂肪の識別および測定、シンクロ撮影などに使用できる。骨測定はマウスの大腿骨、頭蓋骨または腰椎骨を測定対象とする。マウスを殺処分してから大腿骨、頭蓋骨、及び腰椎骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行い、Micro CT(Aloka、日本HITACHI社製)を採用して骨を測定した。
【0102】
[実施例1]
実施例1は、プラスミノーゲンの欠乏が骨粗鬆症と密接な関係があることに関するものである。
15週齢の野生型とプラスミノーゲン欠陥型(Plg
−/−)マウス各5匹ずつを取った。膝関節を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、10%EDTAにおいて三週間脱カルシウムを行い、段階的にスクロース溶液で洗浄した。以上の操作は4℃の条件下で行う必要がある。そしてパラフィンで包埋し、8μm切片に対してSafranin O染色を行った。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、野生型マウス(
図1A)と比べ、Plg
−/−マウス(
図1B)には広範な骨質減少と骨髄細胞の増加が現れる。
【0103】
[実施例2]
実施例2は、野生マウスとプラスミノーゲン欠陥型マウスのカルシウム流失の対比に関するものである。
15週齢の野生型(wt)とプラスミノーゲン欠陥型(kо)マウス各5匹ずつを取った。二つの群のマウスについて眼球を摘出して採血し、血中カルシウム濃度を検出した。正常な状況下で、体内カルシウムバランスは非常に精密に調節されている。しかし、骨粗鬆症の場合、カルシウム流失は骨粗鬆症の重要な指標の一つである。野生型とPlg
−/−マウスにおけるカルシウムのレベルを研究した結果、15週齢において、Plg
−/−(kо)マウスの血中カルシウムレベルは野生型マウスより明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図2)。
【0104】
[実施例3]
実施例3は、プラスミノーゲンがPlg
−/−マウスの膝組織構造に対する保護作用に関するものである。
20週齢のPlg
−/−マウス8匹を取ってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各4匹ずつとした。実験の1日目に体重を測って群に分け、プラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分し、膝関節を取って固定液において4℃で24時間固定を行った。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、膝関節をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは5umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水してヘマトキシリン及びエオシンで染色(H&E染色)させ、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹化処理した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図3A、C)は成長板(矢印に表記される)の排列が乱れ、一部の骨髄腔内の骨髄が消えた(三角に表記される);プラスミノーゲン投与群は成長板(矢印に表記される)の排列が整っている。これは、プラスミノーゲンがPlg
−/−マウスの膝関節の成長板の成長を促進することができることを示している。
【0105】
[実施例4]
実施例4は、プラスミノーゲンがPlg
−/−マウスの膝関節の関節軟骨表面の骨芽細胞活性の増加を促進することに関するものである。
20週齢のPlg
−/−マウス8匹を取ってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各4匹ずつとした。実験の1日目に体重を測って群に分け、プラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分し、大腿骨を取って固定液において4℃で24時間固定を行った。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、膝関節をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは5umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水して塩化マグネシウム緩衝液で4℃終夜インキュベーションをした。アルカリフォスファターゼ基質溶液で室温で1時間インキュベーションをしてヘマトキシリンで2分間染色した。流水で5分間流してから60℃で30分間乾かし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
アルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase,ALP)は骨芽細胞の初期に分化するマーカーである
[35]。その結果、溶媒PBS投与対照群(
図4A)の関節軟骨表面には極少ないアルカリフォスファターゼの着色しかなく(矢印に表記される)、プラスミノーゲン投与群(
図4B)の関節軟骨表面には多くの深紅のアルカリフォスファターゼの着色がある。これは、プラスミノーゲン投与群の関節軟骨表面のアルカリフォスファターゼの活性は対照群より明らかに高く、すなわち、プラスミノーゲンが膝関節の関節軟骨の骨芽細胞の活性の増加を明らかに促進したことを示している。
【0106】
[実施例5]
実施例5は、プラスミノーゲンがPlg
−/−マウスの膝関節の成長板の骨芽細胞活性の増加を促進することに関するものである。
20週齢のPlg
−/−マウス8匹を取ってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各4匹ずつとした。実験の1日目に体重を測って群に分け、プラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間連続的に投与し、31日目にマウスを殺処分し、大腿骨を取って固定液において4℃で24時間固定を行った。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、大腿骨をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは5umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水して塩化マグネシウム緩衝液で4℃終夜インキュベーションをした。アルカリフォスファターゼ基質溶液で室温で1時間インキュベーションをしてヘマトキシリンで2分間染色した。流水で5分間流してから60℃で30分間乾かし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察して撮影した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図5A)の成長板の骨芽細胞の活性箇所にはアルカリフォスファターゼの着色があり(矢印に表記される)、浅紅色を呈する;プラスミノーゲン投与群(
図5B)の成長板には多くのアルカリフォスファターゼの着色があり、しかも深紅色を呈する。これは、プラスミノーゲンを投与した後、膝関節の成長板の骨芽細胞の活性の増加を促進することができることを示している。これは、プラスミノーゲンを投与した後、膝関節の成長板の骨芽細胞の活性の増加を促進することができることを示している。
【0107】
[実施例6]
実施例6は、プラスミノーゲンがビタミンDにより誘発された老衰モデルマウスの血清のアルカリフォスファターゼ活性を改善することに関するものである。
5〜6週齢のオスC57マウス25匹を取り、体重を測ってからランダムに三つの群に分け、ブランク対照群で5匹、プラスミノーゲン投与群で10匹、溶媒PBS投与対照群で10匹とした。ブランク対照群マウスに毎日50μlのコーンオイルを腹腔注射により投与した;プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群マウスに0.5μg/kg/日でビタミンD(Sigma Aldrich)を腹腔注射により投与して老衰を誘発した
[34,35]。これと同時にマウスに投薬し始め、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、ブランク対照群マウスには投薬処理をしなかった。連続して28日間投与してモデルを建築した。投与期間中、ブランク対照群マウスに低カルシウム食を与え、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群マウスに低カルシウム食を与えた。投薬、モデル建築の開始当日を1日目とし、29日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、血清のアルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase,ALP)の活性の測定をした。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性は溶媒PBS投与対照群マウスより明らかに高く、しかもその統計学的に有意であり、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群マウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性はブランク対照群マウスにより近い(
図6)。
血清ALPはイソ酵素糖タンパク質であり、血清ALPは主に肝臓と骨格から由来し、骨格から由来するALPは40%〜75%を占める。ALP活性の測定は主に肝胆と骨格系疾患の診断に用いられる。臨床上では、肝臓疾患、妊娠などの要素の他に、血清ALPは骨形成状況をも反映することができる。骨代謝が旺盛である時に骨芽細胞が活躍し、ALP分泌量が増え、骨芽細胞の周りおよび表面に存在し、血液に放出して血清LP活性を上昇しさせやすい。そのため、血清ALPは骨再建の活躍性の変化を示すマーカーの一つである
[36]。
本研究では、プラスミノーゲン投与群マウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性は溶媒PBS投与対照群マウスより明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である。これは、プラスミノーゲンがビタミンD老衰モデルマウスの骨芽細胞活性の増加を顕著に促進できることを示唆している。
【0108】
[実施例7]
実施例7は、プラスミノーゲンがビタミンDにより誘発された老衰モデルマウスの膝関節の成長板のアルカリフォスファターゼ活性の増加を促進することに関するものである。
5〜6週齢のオスC57マウス15匹を取り、体重を測ってからランダムに三つの群に分け、ブランク対照群、プラスミノーゲン投与群、溶媒PBS投与対照群で各5匹ずつとした。ブランク対照群マウスに毎日50μlのコーンオイルを腹腔注射により投与した;プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群マウスに1μg/kg/日でビタミンD(Sigma Aldrich)を腹腔注射により投与して老衰を誘発した
[34,35]。これと同時にマウスに投薬し始め、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、ブランク対照群マウスには投薬処理をしなかった。連続して28日間投与してモデルを建築した。投与期間中、すべてのマウスに低カルシウム食(南通トロフィー)を与えた。投薬、モデル建築の開始当日を1日目とし、29日目にマウスを殺処分し、膝関節を取って固定液において24時間固定を行った。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、膝関節をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは5umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水して塩化マグネシウム緩衝液で4℃終夜インキュベーションをした。アルカリフォスファターゼ基質溶液で室温で1時間インキュベーションをしてヘマトキシリンで2分間染色した。流水で5分間流してから60℃で30分間乾かし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図7B)の膝関節の成長板のアルカリフォスファターゼの陽性着色(矢印に表記される)はブランク対照群マウス(
図7A)より明らかに少ない;プラスミノーゲン投与群(
図7C)の膝関節の成長板のアルカリフォスファターゼの陽性着色は溶媒PBS投与対照群マウスより明らかに高い。これは、プラスミノーゲンがビタミンDにより誘発された老衰モデルマウスの膝関節の成長板の骨芽細胞の活性を改善できることを示している。
【0109】
[実施例8]
実施例8は、プラスミノーゲンが頭蓋骨密度に対する影響に関するものである。
12〜13、20〜21、29〜30週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、各群のマウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。頭蓋骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、Micro CTスキャンをして骨密度を測定した。
その結果、週齢が増えるにつれて、Plg
+/+マウスの皮質骨密度(
図8A)と全骨密度(
図8B)はしだいに増加する傾向があるが、Plg
−/−マウスの頭蓋骨の皮質骨密度と全骨密度はしだいに低下した。この二種類のマウスの骨密度は20〜21週齢において極有意な差があり、29〜30週齢においてその差がより有意である。これは、プラスミノーゲンが骨塩代謝の調節に関与し、しかも一定の時期において重要な役割を果たすことを示している。
骨粗鬆は、骨量の減少、骨の微細構造の退化を特徴とし、骨の脆弱性を増加させ、骨折しやすい全身性骨格疾患である。WHOは、骨密度(bone mineral density,BMD)の測定結果を用いて骨粗鬆症を診断することを提議している
[37,38]。上記実験結果は、プラスミノーゲンが骨塩代謝の調節に関与し、しかも一定の時期において重要な役割を果たすことを示している。
【0110】
[実施例9]
実施例9は、プラスミノーゲンが頭蓋骨骨塩の含有量に対する影響に関するものである。
20〜21週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、マウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。頭蓋骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、Micro CTスキャンをして骨塩含有量を測定した。
その結果、20〜21週齢のPlg
+/+マウスの皮質骨と全骨の骨塩含有量はPlg
−/−マウスより明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である。これは、プラスミノーゲンが頭蓋骨の骨塩含有量の調節において重要な役割を果たし、骨粗鬆と密接な関係があることを示している。
【0111】
[実施例10]
実施例10は、プラスミノーゲンが欠乏しているマウスの大腿骨骨密度が低下することに関するものである。
12〜13、20〜21、29〜30週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、各群のマウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。大腿骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、Micro CTスキャンをして骨密度を測定した。
その結果、12〜30週齢の間、週齢が増えるにつれてPlg
+/+マウスの大腿骨密度はしだいに増加するに対して、Plg
−/−マウスの大腿骨の皮質骨密度(10A)、海綿骨密度(
図10B)、小柱骨密度(
図10C)および全骨密度(
図10D)はしだいに減少する。この間、Plg
+/+マウスの大腿骨密度はPlg
−/−マウスより高く、20週齢において二種類のマウスの骨密度の差が有意であり、しかも週齢が増えるにつれて、両者の差がますます有意になる。これは、プラスミノーゲンが大腿骨骨塩代謝の調節に関与し、しかも一定の時期において重要な役割を果たすことを示している。
【0112】
[実施例11]
実施例11は、プラスミノーゲンが欠乏しているマウスの大腿骨の骨塩含有量が減少することに関するものである。
12〜13、20〜21、29〜30週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、各群のマウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。大腿骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、Micro CTスキャンをして骨塩含有量を測定した。
その結果、12〜30週齢の間、週齢が増えるにつれてPlg
+/+マウスの大腿骨の異なる部分の塩含有量はあまり変化しないかしだいに増加するに対して、Plg
−/−マウスの大腿骨の海綿骨(11B)と小柱骨塩含有量はしだいに減少する。この間、Plg
+/+マウスの大腿骨塩含有量はPlg
−/−マウスより高く、20週齢において二種類のマウスの大腿骨皮質骨(11A)、小柱骨(11C)および全骨(11D)骨塩含有量の差が有意であり、しかも週齢が増えるにつれて、両者の骨塩含有量の差がますます有意になる。これは、プラスミノーゲンが大腿骨骨塩代謝の調節に関与し、しかも一定の時期において重要な役割を果たすことを示している。
【0113】
[実施例12]
実施例12は、プラスミノーゲンが欠乏しているマウスの腰椎骨の骨密度が低下することに関するものである。
12〜13、20〜21、29〜30週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、各群のマウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。腰椎骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、Micro CTスキャンをして骨密度を測定した。
その結果、12〜30週齢の間、週齢が増えるにつれてPlg
+/+マウスの腰椎骨骨密度はしだいに増加するに対して、Plg
−/−マウスの腰椎骨の皮質骨密度(12A)、海綿骨密度(
図12B)、小柱骨密度(
図12C)および全骨密度(
図12D)はしだいに減少する。この間、Plg
+/+マウスの骨密度はPlg
−/−マウスより高く、12週齢において二種類のマウスの腰椎骨骨密度の差が有意であり、しかも週齢が増えるにつれて、両者の差がますます有意になる。これは、プラスミノーゲンが腰椎骨密度の調節に関与し、しかも一定の時期において重要な役割を果たすことを示している。
【0114】
[実施例13]
実施例13は、プラスミノーゲンが欠乏しているマウスの腰椎骨の骨密度が低下することに関するものである。
12〜13、20〜21、29〜30週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、各群のマウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。腰椎骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行い、Micro CTスキャンをして骨塩含有量を測定した。
12〜30週齢の間、週齢が増えるにつれてPlg
+/+マウスの腰椎骨の骨塩含有量はあまり変化しないに対して、Plg
−/−マウスの腰椎骨の皮質骨塩含有量(13A)、海綿骨塩含有量(
図13B)、小柱骨塩含有量(
図13C)および全骨塩含有量(
図13D)はしだいに減少する。この間、Plg
+/+マウスの腰椎骨塩含有量はPlg
−/−マウスより高く、20週齢において二種類のマウスの腰椎骨の海綿骨と皮質骨の区域の骨塩含有量の差が有意であり、しかも週齢が増えるにつれて、両者の差がますます有意になる。これは、プラスミノーゲンが腰椎骨骨塩代謝の調節に関与し、しかも一定の時期において重要な役割を果たすことを示している。
【0115】
[実施例14]
実施例14は、プラスミノーゲン欠乏がマウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性はに対する影響に関するものである。
12〜13、20〜21、29〜30週齢のPlg
+/+マウスとPlg
−/−マウスを各5匹取り、各群のマウスの体重はほぼ同じであった。実験においてマウスに同じ食物と水を与えた。すべてのマウスについて眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、アルカリフォスファターゼ検出キットを用いて血清のアルカリフォスファターゼの活性を測定した。
その結果、12〜30週齢において、Plg
+/+マウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性は変動するがその変化が有意ではないに対して、Plg
−/−マウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性は週齢の増加につれてしだいに低下する;Plg
+/+マウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性はPlg
−/−マウスより明らかに高く、二種類のマウスの血清のアルカリフォスファターゼの活性は12週齢においてその差が有意であり、しかも週齢が増えるにつれて、その差がますます有意になる(
図14)。これは、プラスミノーゲンが骨芽細胞の活性を促進し、骨再建を促進することができることを示している。
【0116】
[実施例15]
実施例15は、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症ApoEマウスの血中カルシウム濃度を低めることに関するものである。
6週齢のApoEオスマウス13匹に高脂肪高コレステロール食を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症を誘発した
[39,40]。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール濃度を測定し、マウスをランダムに二つの群に分け、各溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間中にマウスに引き続き高脂肪食を与えた。30日にマウスを16時間禁食した後、31日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、血清カルシウム濃度の検出に用いた。カルシウム検出キット(南京建成生物工程研究所、品目番号C004−2)を用いてそのプロトコルに記載する方法に従って血中カルシウムを測定した。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの血中カルシウム濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(
図15)。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの血中カルシウムの含有量を低下させることができることを示している。
【0117】
[実施例16]
実施例16は、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症ApoEマウスの大動脈洞の石灰化を改善することに関するものである。
6週齢のApoEオスマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症を誘発した
[39,40]。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール濃度を測定し、それによってマウスをランダムに二つの群に分け、各溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間中にマウスに引き続き高脂肪食を与えた。投与の31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において脱水して沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、アリザリンレッドSで3分間染色した。切片を光学顕微鏡下で40倍にて観察した。
アリザリンレッド染色は石灰化の程度を示すことができる。その結果、プラスミノーゲン投与群(
図16B)マウスの大動脈洞のカルシウム沈着は溶媒PBS投与対照群(
図16A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化における大動脈洞のカルシウム沈着を改善することができることを示している。
【0118】
[実施例17]
実施例17は、プラスミノーゲンがAopEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの大腿骨骨密度に対する影響に関するものである。
6週齢のApoEオスマウス19匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症を誘発した
[39,40]。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール濃度を測定し、それによってマウスをランダムに二つの群に分け、各溶媒PBS投与対照群で9匹とプラスミノーゲン投与群で10匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間中にマウスに引き続き高脂肪食を与えた。投与の11日目に各群からマウス5匹を取り、殺処分してから大腿骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。投与の31日目に残ったマウスを殺処分して大腿骨を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。取った大腿骨についてMicro CTスキャンをして骨密度を測定した。
アテローム性動脈硬化症と骨粗しょう症との関連性についてはすでに報告があり、高血脂はアテローム性動脈硬化症の重要な致病要素である。近年の研究より明らかに、アポリポタンパク質E(apolipoprotein E,ApoE)は脂肪代謝を影響するだけではなく、骨密度、骨損失および骨粗鬆性骨折に関係する
[41,42]。
その結果、プラスミノーゲンを10日投与した後、プラスミノーゲン投与群マウスの大腿骨密度は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかも海綿骨密度(
図17B)と全骨密度(
図17D)の差が有意である(*は、P<0.05を表す);30日投与した後、プラスミノーゲン投与群マウスの海綿骨密度、小柱骨密度(
図17C)および全骨密度は溶媒PBS投与対照群と比べて明かに上昇し、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。皮質骨密度(
図17A)では二つの群には明らかな差はない。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症モデルマウスの骨密度の上昇を促進し、アテローム性動脈硬化症に伴われる骨粗鬆症を改善できることを示している。
研究によると、血管石灰化の本質は、血管平滑筋細胞が骨芽細胞表型への転化及び血管組織が骨組織への転化である。血管石灰化の形成は骨塩の損失とも顕著な関連性がある
[10]。上記実施例16と17の実験結果から分かるように、プラスミノーゲンが動脈壁におけるカルシウム沈着を低下させると同時に骨密度を増強することができる。これは、骨粗鬆症および心血管疾患の予防と治療に対して重要な意義を持っている。
【0119】
[実施例18]
実施例18は、プラスミノーゲンがAopEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの膝関節組織構造に対する保護作用に関するものである。
6週齢のAopEオスマウス7匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症を誘発した
[39,40]。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール濃度を測定し、それによってマウスをランダムに二つの群に分け、各溶媒PBS投与対照群で3匹とプラスミノーゲン投与群で4匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間中にマウスに引き続き高脂肪食を与えた。投与の31日目にマウスを殺処分して大腿骨を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。そして酸性脱カルシウム液(超純水で体積分率8%塩酸と10%ギ酸の脱カルシウム液を調製した)で3.5時間脱カルシウムをした。そしてパラフィンで包埋し、8μm切片をH&E染色し、切片を光学顕微鏡下で100倍(A、D)、200倍(B、C、E、F)にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図18A〜C)の軟骨表面には軽度の繊維化があり(細い矢印に表記される)、小柱骨(三角に表記される)が明らかに細くなり、太さが均一ではなく、軟骨組織(スターに表記される)の排列が乱れ、成長板(太い矢印に表記される)の分層が乱れ、軟骨細胞が軽度に減少し、潮標が基本的に鮮明である;プラスミノーゲン投与群(
図18D〜F)の関節軟骨の表面は基本的に正常であり、潮標が鮮明であり、骨小柱の太さが均一であり、成長板の構造がはっきりし、分層が規則して識別できる。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの膝関節の状況を改善できることを示している。
【0120】
[実施例19]
実施例19は、プラスミノーゲンが卵巣切除−デキサメタゾンによる骨粗鬆症モデルマウスの体重に対する影響に関するものである。
8〜10週齢のC57メスマウス17匹を取って体重を測り、体重によってマウスをランダムに二つの群に分け、正常対照群で3匹とモデル群で14匹とした。モデル群マウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した。正常対照群マウスに対してただ同じ位置で切り分け、卵巣の切除をしなかった。卵巣を切除してから14日後に、モデル群マウスを体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群で7匹ずつとした。モデル群マウスに125μg/匹でデキサメタゾンを腹腔注射により投与し、5日/週の注射頻度で12日間注射して骨粗鬆症を誘発し
[43]、正常対照群マウスに対して注射処理をしなかった。デキサメタゾンを注射すると同時にマウスに投薬し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して16日間投与した。正常対照群マウスに対してプラスミノーゲンまたはPBSを注射しなかった。投与し始めた日を1日目とし、17日目にマウスの体重を測った。
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの体重は正常対照群より明らかに低く、プラスミノーゲン投与群の体重は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(P<0.05)(
図19)。これは、プラスミノーゲンが卵巣切除およびデキサメタゾン注射により誘発された骨粗鬆症モデルマウスの体重の回復を顕著に促進できることを示している。
【0121】
[実施例20]
実施例20は、プラスミノーゲンが卵巣切除−デキサメタゾンによる骨粗鬆症モデルマウスの大腿骨に対する影響に関するものである。
8〜10週齢のC57メスマウス14匹を取って体重を測った。すべてのマウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した。卵巣を切除してから14日後に、マウスを体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群で7匹ずつとした。モデル群マウスに125μg/匹でデキサメタゾンを腹腔注射により投与し、5日/週の注射頻度で12日間注射して骨粗鬆症を誘発した
[43]。モデル建築と同時にマウスに投薬し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して16日間投与した。投与し始めた日を1日目とし、17日目にマウスを殺処分して大腿骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。Micro CTスキャンをして大腿骨の各指標を測定した。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの大腿骨の海綿骨、小柱骨および全骨の体積(
図20A)と骨塩含有量(
図20B)は、いずれも溶媒PBS投与対照群より大きく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが骨粗鬆症モデルマウスの大腿骨の海綿骨、小柱骨および全骨の体積の増加および骨塩の沈着を促進し、骨粗鬆を改善できることを示している。
【0122】
[実施例21]
実施例21は、プラスミノーゲンが卵巣切除−デキサメタゾンによる骨粗鬆症モデルマウスの大腿骨構造を改善することに関するものである。
8〜10週齢のC57メスマウス17匹を取って体重を測り、体重によってマウスをランダムに二つの群に分け、正常対照群で3匹とモデル群で14匹とした。モデル群マウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した。正常対照群マウスに対してただ同じ位置で切り分け、卵巣の切除をしなかった。卵巣を切除してから14日後に、モデル群マウスに125μg/匹でデキサメタゾンを腹腔注射により投与し、5日/週の注射頻度で12日間注射して骨粗鬆症を誘発し
[43]、正常対照群マウスに対して注射処理をしなかった。デキサメタゾンの注射が終わった後、モデル群マウスを体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群で7匹ずつとした。モデル建築後に(デキサメタゾン注射が終わった次の日)、マウスに投薬し始めた。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して16日間投与した。正常対照群マウスに対してプラスミノーゲンまたはPBSを注射しなかった。投与し始めた日を1日目とし、17日目にマウスを殺処分して大腿骨を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。取った大腿骨についてMicro CTスキャンをして大腿骨密度を測定した。
骨密度
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの大腿骨の皮質骨、海綿骨、小柱骨および全骨骨密度はいずれも正常対照群より小さいに対して、プラスミノーゲン投与群マウスの各部分の骨密度は溶媒PBS投与対照群より大きい。その傾向が明確であるが、マウスの数が少ないため、その差が統計学的に有意に近いだけである。マウスの数を増やすと統計学的な差が現れると予測できる(
図21A)。
骨塩含有量
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの大腿骨の各部分の骨塩含有量はいずれも正常対照群より小さいに対して、プラスミノーゲン投与群マウスの各部分の骨塩含有量はいずれも溶媒PBS投与対照群より大きい。その傾向が明確であるが、マウスの数が少ないため、その差が統計学的に有意に近いだけである。マウスの数を増やすと統計学的な差が現れると予測できる(
図21B)。
骨体積
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの大腿骨の小柱骨の体積は正常対照群より小さいに対して、プラスミノーゲン投与群マウスの大腿骨の小柱骨の体積は溶媒PBS投与対照より大きい。その傾向が明確であるが、マウスの数が少ないため、その差が統計学的に有意に近いだけである。マウスの数を増やすと統計学的な差が現れると予測できる(
図21C)。
以上によって、プラスミノーゲンが骨粗鬆を明らかに改善し、大腿骨の各部分の骨密度と骨量の増加を促進することができ、しかも小柱骨に対する改善作用が特に明らかである。
【0123】
[実施例22]
実施例22は、プラスミノーゲンが卵巣切除−デキサメタゾンによる骨粗鬆症モデルマウスの膝関節の組織構造の状況を改善することに関するものである。
8〜10週齢のC57メスマウス14匹を取って体重を測った。すべてのマウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した。卵巣を切除してから14日後に、マウスを体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群で7匹ずつとした。モデル群マウスに125μg/匹でデキサメタゾンを腹腔注射により投与し、5日/週の注射頻度で12日間注射して骨粗鬆症を誘発した
[43]。モデル建築と同時にマウスに投薬し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して16日間投与した。投与し始めた日を1日目とし、17日目にマウスを殺処分して膝関節を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。そして酸性脱カルシウム液(超純水で体積分率8%塩酸と10%ギ酸の脱カルシウム液を調製した)で3.5時間脱カルシウムをした。そしてパラフィンで包埋し、3μm切片をH&E(A、B)とSafrain O染色(C、D)をして、切片を光学顕微鏡下で100倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図22A、C)マウスの膝関節の骨小柱(矢印に表記される)は明らかに細くなって裂け、大きい面積の無骨小柱骨髄腔が現れ、髄腔が増大し、骨小柱の連接が中断し、成長板下の骨細胞が軽度に減少した(三角に表記される);プラスミノーゲン投与群(
図22B、D)の骨小柱部分は細くなり、溶媒PBS投与対照群と比べ、骨小柱の連続性が良く、太く、大きい面積の無骨小柱区域がなく、軟骨組織の分層構造も規則している。これは、プラスミノーゲンが骨粗鬆症モデルマウスの膝関節の組織構造の状況を明らかに改善できることを示している。
【0124】
[実施例23]
実施例23は、プラスミノーゲンが卵巣切除−デキサメタゾンによる骨粗鬆症モデルマウスの膝関節の骨芽細胞の活性を増加させることに関するものである。
8〜10週齢のC57メスマウス14匹を取って体重を測った。すべてのマウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した。卵巣を切除してから14日後に、マウスを体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群で7匹ずつとした。二つの群のマウスに125μg/匹でデキサメタゾンを腹腔注射により投与し、5日/週の注射頻度で12日間注射して骨粗鬆症を誘発した
[43]。モデル建築と同時にマウスに投薬し、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して16日間投与した。投与し始めた日を1日目とし、17日目にマウスを殺処分して膝関節を取って固定液において固定を行った。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、膝関節をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは3umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水して塩化マグネシウム緩衝液で4℃終夜インキュベーションをした。アルカリフォスファターゼ基質溶液で室温で1時間インキュベーションをしてヘマトキシリンで2分間染色した。流水で5分間流してから60℃で30分間乾かし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群マウス(
図23A、C)の膝関節の軟骨組織(細い矢印に表記される)と成長板(太い矢印に表記される)のアルカリフォスファターゼ着色はプラスミノーゲン投与群(
図23B、D)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが骨粗鬆症モデルマウスの膝関節の骨芽細胞活性の増加を促進できることを示している。
【0125】
[実施例24]
実施例24は、プラスミノーゲンが卵巣切除による骨粗鬆症モデルマウスの血中カルシウム濃度を低下させることに関するものである。
8〜10週齢のPlg
+/+メスマウス11匹を取った。マウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した
[44,45]。卵巣を切除してから65日後に、マウスの体重を測って体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群で6匹と溶媒PBS投与対照群で5匹とし、投薬し始めた。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して11日間投与した。投与し始めた日を1日目とし、12日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、血中カルシウム濃度を検出した。カルシウム検出キット(南京建成生物工程研究所、品目番号C004−2)を用いてそのプロトコルに記載する方法に従って血中カルシウムを測定した。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの血清カルシウム濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図24)。これは、プラスミノーゲンが卵巣切除による骨粗鬆症モデルマウスの血中カルシウムの濃度を顕著に低下させることができることを示している。
【0126】
[実施例25]
実施例25は、プラスミノーゲンが卵巣切除による骨粗鬆症モデルマウスの血中リン濃度を上昇させることに関するものである。
8〜10週齢のPlg
+/+メスマウス11匹を取った。マウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した
[44,45]。卵巣を切除してから65日後に、マウスの体重を測って体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群で6匹と溶媒PBS投与対照群で5匹とし、投薬し始めた。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して11日間投与した。投与し始めた日を1日目とし、12日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、血中リン濃度を検出した。リン検出キット(南京建成生物工程研究所、品目番号C006−3)を用いてそのプロトコルに記載する方法に従って血中リンを測定した。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの血清リン濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図25)。これは、プラスミノーゲンが卵巣切除による骨粗鬆症モデルマウスの血中リンの濃度を顕著に上昇させることができることを示している。
【0127】
[実施例26]
実施例26は、プラスミノーゲンが3%コレステロール高脂血症モデルマウスの膝関節の骨芽細胞の活性を増加させることに関するものである。
9週齢のオスC57マウス16匹に3%コレステロール高脂肪食(南通トロフィー)を4週間給餌して高脂血症を誘発し
[46,47]、このモデルを3%コレステロール高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き3%コレステロール高脂肪食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロールを測定し、モデルマウスを総コレステロール濃度と体重によってランダムに二つの群に分け、各群で8匹ずつとした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、20日間投与した。20日目にマウスを16時間禁食し、21日目にマウスを殺処分し、膝関節を取って固定液において固定を行った。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、膝関節をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは3umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水して塩化マグネシウム緩衝液で4℃終夜インキュベーションをした。アルカリフォスファターゼ基質溶液で室温で1時間インキュベーションをしてヘマトキシリンで2分間染色した。流水で5分間流してから60℃で30分間乾かし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
高脂血症は脂肪代謝障害の一種であり、一系列の合併症を引き起こし得る疾患である。近年の多くの研究によって、高脂血脂は骨粗鬆症とアテローム性動脈硬化症の共同の病因であることは発見された
[48,49]。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図26B、D)マウスの膝関節のアルカリフォスファターゼ着色(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図26A、C)より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意である(
図26E)。これは、プラスミノーゲンが3%コレステロール高脂血症モデルマウスの膝関節の骨芽細胞の活性を増加させることができることを示している。
【0128】
[実施例27]
実施例27は、プラスミノーゲンが卵巣切除−デキサメタゾンによる骨粗鬆症モデルマウスの膝関節の組織構造の状況を改善することに関するものである。
8〜10週齢のC57メスマウス14匹を取って体重を測った。マウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与して麻酔させ、マウスの背部の両側の毛髪を脱いで70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。切り口を縫い合わせた後、外部に消炎剤粉末を塗布した。同じ方法で反対側の卵巣を摘出した。卵巣を切除してから14日後に、モデル群マウスに125μg/匹でデキサメタゾンを腹腔注射により投与し、5日/週の注射頻度で12日間注射して骨粗鬆症を誘発した
[43]。デキサメタゾン注射が終わった後、マウスを体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群で7匹ずつとした。モデル建築後(デキサメタゾン注射が終わった次の日)にマウスに投薬し始めた。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して16日間投与した。投与し始めた日を1日目とし、17日目にマウスを殺処分して膝関節を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。そして酸性脱カルシウム液(超純水で体積分率8%塩酸と10%ギ酸の脱カルシウム液を調製した)で3.5時間脱カルシウムをした。そしてパラフィンで包埋し、3μm切片をH&E(A、B)とSafrain O染色(C、D)をして、切片を光学顕微鏡下で100倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図27A,C)マウスの骨小柱(矢印に表記される)は明らかに細くなって裂け、大きい面積の無骨小柱骨髄腔が現れ、骨小柱の連接が中断し、関節表面部分には繊維化があり、成長板下の骨形成区域の骨芽組織が明らかに減少した(三角に表記される);プラスミノーゲン投与群(
図27B、D)の骨小柱部分は細くなり、溶媒PBS投与対照群と比べ、骨小柱の連続性が良く、ひどい裂けがなく、大きい面積の無骨小柱区域がなく、軟骨組織の分層構造も規則し、潮標も鮮明である。これは、プラスミノーゲンが骨粗鬆症モデルマウスの膝関節の組織構造の状況を明らかに改善できることを示している。
【0129】
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